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特表2023-537314燃料電池システムを作動させる方法、燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】燃料電池システムを作動させる方法、燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20230824BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04492 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20230824BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04701
H01M8/04746
H01M8/0444
H01M8/04492
H01M8/0438
H01M8/0432
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506295
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021070093
(87)【国際公開番号】W WO2022028867
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】102020209976.6
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リンク,マティアス
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127DB03
5H127DB06
5H127DB07
5H127DB13
5H127DB16
5H127DB17
5H127DC05
5H127DC06
5H127DC08
5H127DC15
5H127DC16
5H127DC18
(57)【要約】
本発明は、燃料電池システムを作動させる方法に関し、少なくとも1つの燃料電池(1)がアノード経路(2)を介して水素の供給を受け、カソード経路を介して酸素の供給を受け、燃料電池(1)から出るアノード排ガスが再循環経路(3)を介して再循環され、アノード排ガスに含まれる水蒸気がゼオライトコンテナ(4)によって吸着される。本発明によると、ゼオライトコンテナ(4)を再生するために次の各ステップが実行される:a)少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)の閉止によって、および/または方向制御弁(7)の切換によって、ゼオライトコンテナ(4)が再循環経路(3)から分離され、b)電気加熱装置(8)によってゼオライトコンテナ(4)が加熱され、それにより、それ以前に吸着されていた水が脱着され、c)方向制御弁(7)のあらためての切換によって、および/または少なくとも1つの洗浄弁(9,10)の開放によって、脱着された水がシステムから除去される。さらに本発明は、この方法を実施するのに適した燃料電池システムに関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムを作動させる方法であって、少なくとも1つの燃料電池(1)がアノード経路(2)を介して水素の供給を受け、カソード経路を介して酸素の供給を受け、前記燃料電池(1)から出るアノード排ガスが再循環経路(3)を介して再循環され、アノード排ガスに含まれる水蒸気がゼオライトコンテナ(4)によって吸着される、方法において、
前記ゼオライトコンテナ(4)を再生するために次の各ステップが実行され、
a)少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)の閉止によって、および/または方向制御弁(7)の切換によって、前記ゼオライトコンテナ(4)が前記再循環経路(3)から分離され、
b)電気加熱装置(8)によって前記ゼオライトコンテナ(4)が加熱され、それにより、それ以前に吸着されていた水が脱着され、
c)前記方向制御弁(7)のあらためての切換によって、および/または少なくとも1つの洗浄弁(9,10)の開放によって、脱着された水がシステムから除去されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記再循環経路(3)での最大の水素濃度(XH2,max)を下回ることをもって、および/または最大の水素分圧(pH2)を下回ることをもって、前記ステップa)が開始されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)で前記ゼオライトコンテナ(4)が約250℃の温度まで加熱され、および/または前記ゼオライトコンテナ(4)を加熱するために前記ゼオライトコンテナ(4)に組み込まれた少なくとも1つの加熱カートリッジが電気加熱装置(8)として利用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゼオライトコンテナ(4)の圧力および/または温度が測定され、前記ゼオライトコンテナ(4)で脱着された水量が測定値から推定されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼオライトコンテナ(4)での所定の最大の圧力限界値および/または温度限界値への到達をもって前記ゼオライトコンテナ(4)の加熱が終了されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップc)の開始前に、洗浄弁(9,10)を開くための特定の条件が、特に希釈条件が、成立しているか否かが検査されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップc)で、脱着された水が前記方向制御弁(7)および/または少なくとも1つの前記洗浄弁(9,10)を介してカソード排ガス経路に導入され、または周囲に放出されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップc)で少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)が開かれ、それにより、脱着された水が前記ゼオライトコンテナ(4)から少なくとも1つの前記洗浄弁(9,10)に供給されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップa)からc)が少なくとも1回、好ましくは複数回、反復され、好ましくは初回の洗浄時に第1の洗浄弁(9)が開かれ、反復される洗浄時に第2の洗浄弁(10)が開かれることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アノード経路(2)を介して水素を供給可能であるとともにカソード経路を介して酸素を供給可能である少なくとも1つの燃料電池(1)を有する燃料電池システムであって、前記燃料電池(1)から出るアノード排ガスを再循環可能である再循環経路(3)を含み、ならびに、アノード排ガスに含まれる水蒸気を吸着可能であるゼオライトコンテナ(4)を含む、燃料電池システムにおいて、
前記ゼオライトコンテナ(4)は少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)および/または方向制御弁(7)を介して接続可能かつ遮断可能であることを特徴とする、燃料電池システム。
【請求項11】
前記ゼオライトコンテナ(4)に電気加熱装置(8)が、好ましくは少なくとも1つの加熱カートリッジが、組み込まれ、それにより前記ゼオライトコンテナ(4)を水の脱着のために加熱可能であることを特徴とする、請求項10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記ゼオライトコンテナ(4)は前記方向制御弁(7)および/または少なくとも1つの洗浄弁(9,10)を介してカソード排ガス経路および/または周囲に接続され、それにより、脱着された水を前記ゼオライトコンテナ(4)から前記カソード排ガス経路に導入可能であり、または周囲に放出可能であることを特徴とする、請求項10または1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルの構成要件を有する、燃料電池システムを作動させる方法に関する。さらに本発明は、本発明による方法を実施するのに適した、ないしは本発明による方法に基づいて作動可能である、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、酸素を利用して水素を電気エネルギーに変換する。そのために燃料電池は、アノードとカソードを含む隔膜・電極構造を有している。アノードは、アノード経路を介して、適当なタンクに備蓄される水素の供給を受ける。カソードは、カソード経路を介して、酸素供給元としての役目を果たす周囲空気の供給を受ける。
【0003】
性能向上のために、通常、多数の燃料電池が、たとえば200個から400個の燃料電池が、スタックされた構造で燃料電池スタックをなすように構築される。これを複数の通路が貫通し、これらの通路が、燃料電池への必要なガスの供給、ならびに燃料電池から出る排ガスの運び出しの役目を果たす。アノード側で出る排ガスは未消費の水素を含んでいるので、アノード排ガスは通常再循環される。このときアノード経路での圧力損失は、ファンを用いて能動的に、および/またはジェットポンプを用いて受動的に克服される。アノード入口の手前で、再循環物に新鮮な水素がタンクから添加される。
【0004】
水素ベースの燃料電池を有する燃料電池システムは、基本的に水素だけを排ガスとして放出し、しかも迅速なタンク充填時間を可能にするので、未来の移動手段コンセプトであると考えられている。作動時に発生する水を運び出すために、通常、凝縮水分離器が利用され、これを用いてシステムの定義された個所で水が集められ、定義された時点でいわゆるドレイン・バルブを介して周囲へ放出される。車両の停車後にシステムの冷却によって、および気相の蒸発水の凝縮によって、追加的に水が発生する。このような水ないし凝縮水も、車両の再始動のときに液体の水の蓄積によって引き起こされるブロックを回避するために、同じく除去されなくてはならない。さらに、外気温が低いときには凝縮水が凍結する危険がある。
【0005】
したがって従来技術では、燃料電池がオフになった後に存在する残留水分をゼオライトベースの吸着ユニットによって吸着し、吸着時に解放される熱を次の始動段階で、燃料電池の加熱のために利用することがすでに提案されている。例示として、ここでは特許文献1を援用する。
【0006】
ゼオライトコンテナによる水の吸着は発熱反応で行われ、それによって約160℃までコンテナが加熱される。その後、コンテナが熱供給(吸熱反応)のもとで再生されなければならず、その際に、吸着によってそれ以前に吸収されていた水が脱着される。そのために、典型的には200℃から250℃の温度レベルが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102008007024A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に挙げた従来技術を前提としたうえで、本発明の課題は、燃料電池システムでのゼオライトベースの貯水器の再生を最適化することにある。特に、エネルギー最適化された再生をすることが意図される。さらに、脱着された水の凝結が回避されるのがよく、-可能である限りにおいて-それによって燃料電池システムの動作が悪影響を受けないのがよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、請求項1の構成要件を有する方法、ならびに請求項10の構成要件を有する燃料電池システムが提案される。本発明の好ましい発展例は、それぞれの従属請求項から明らかとなる。
【0010】
燃料電池システムを作動させる提案される方法では、少なくとも1つの燃料電池がアノード経路を介して水素の供給を受け、カソード経路を介して酸素の供給を受ける。燃料電池から出るアノード排ガスが再循環経路を介して再循環され、アノード排ガスに含まれる水蒸気がゼオライトコンテナによって吸着される。ゼオライトコンテナを再生するために、本発明によると次の各ステップが実行される:
a)少なくとも1つの遮蔽弁の閉止によって、および/または方向制御弁の切換によって、ゼオライトコンテナが再循環経路から分離され、
b)電気加熱装置によってゼオライトコンテナが加熱され、それにより、それ以前に吸着されていた水が脱着され、
c)方向制御弁のあらためての切換によって、および/または少なくとも1つの洗浄弁の開放によって、脱着された水がシステムから除去される。
【0011】
再生プロセス中における再循環経路からのゼオライトコンテナの提案される分離により、燃料電池システムの動作とほぼ関わりなくこのプロセスを実行することができる。すなわち、燃料電池システムの動作が再生プロセスによって制約されず、もしくは僅少な程度にしか制約されない。さらに、脱着された水を確実に運び出すことができ、アノードに溢れたり、ないしはアノード入口で液体の水が発生する危険が生じることがない。さらに、ゼオライトコンテナに封入される水素が少なくなり、ゼオライトコンテナの再生時に運び出されるので、いっそう少ない水素しか失われない。
【0012】
提案される方法を実施するために、たとえばゼオライト材料からなるバルク材を有するゼオライトコンテナを利用することができる。その代替としてゼオライトコンテナは、ゼオライト材料で被覆されたセラミックまたは金属の支持構造を含むこともできる。
【0013】
ゼオライトコンテナは、冒頭に説明した従来技術に基づき、能動的および/または受動的な再循環が行われる燃料電池システムに組み込むことができる。
【0014】
燃料電池システムの再循環経路からゼオライトコンテナを分離するために、少なくとも1つの遮蔽弁がゼオライトコンテナの上流側に設けられるのが好ましい。遮蔽弁が閉じることで、再循環物によるゼオライトコンテナの貫流が妨げられ、ゼオライトコンテナによって生み出される追加の容積が分断され、それによりシステムの挙動の緩慢さが減る。このようにして同時に、システムの挙動にもポジティブな影響を及ぼすことができる。
【0015】
ゼオライトコンテナの下流側に、別の遮蔽弁または方向制御弁、特に3/2方向制御弁が配置されるのが好ましい。別の遮蔽弁によって、あるいは方向制御弁によっても、脱着中に少なくとも1つの洗浄弁とゼオライトコンテナとの接続を断つことができる。脱着された水をゼオライトコンテナから除去するために、遮蔽弁および少なくとも1つの洗浄弁を開くことができ、それにより、脱着された水がこれを介して運び出される。第2の遮蔽弁に代えて方向制御弁が設けられる場合には、脱着された水の運び出しのための洗浄経路が解放されるように、これを切り換えることができる。
【0016】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ステップa)は、再循環経路で最大の水素濃度および/または最大の水素分圧を下回ることをもって初めて開始される。このことは、たとえば燃料電池システムの下側の負荷領域で該当し、または、システムの洗浄プロセスの直前に該当する。このようにして、水素消費量をいっそう削減ないし最小化することができる。さらに、ゼオライトコンテナに封入されている水素量が、運び出しの前に十分希釈されることが保証される。
【0017】
さらに、ステップb)で、それ以前に吸着された水ないし水蒸気の脱着を促進するために、ゼオライトコンテナが約250℃の温度まで加熱されることが提案される。その代替または補足として、ゼオライトコンテナを加熱するために、ゼオライトコンテナに組み込まれた少なくとも1つの加熱カートリッジが電気加熱装置として利用されることが提案される。少なくとも1つの組み込まれた加熱カートリッジを用いて、ゼオライトコンテナの加熱を促進することができる。少なくとも1つの加熱カートリッジは、たとえばゼオライトコンテナのゼオライトバルク材に配置することができる。
【0018】
ゼオライトコンテナがステップb)の開始前にシステムから分離されることで、対流および/または残りの容積との相互作用によって引き起こされる熱損失が回避され、ないしは少なく抑えられる。さらにゼオライトコンテナの加熱は、システム動作に関わりなく、特にシステムの圧力、温度、および/または容積流量に関わりなく、可能である。
【0019】
約250℃の温度に到達することをもって、ゼオライトコンテナが、それ以前に吸着されていた水を再び水蒸気としてゼオライトコンテナの容積に放出する。このことは、ゼオライトコンテナの圧力が上昇することを帰結する。このようにしてゼオライトコンテナの圧力を、脱着された水量を表す測定量として利用することができる。これに準じて、ゼオライトコンテナの温度にも同じことが当てはまる。したがって、ゼオライトコンテナの圧力および/または温度が測定され、ゼオライトコンテナで脱着された水量が測定値から推定されるのが好ましい。そして、ゼオライトコンテナで所定の最大の圧力限界値および/または温度限界値に到達することをもって、ゼオライトコンテナの加熱を終了することができる。
【0020】
ステップc)の開始前に、洗浄弁を開くための特定の条件が、特に希釈条件が、成立するか否かがまず検査されるのが好ましい。そしてシステムからの水ないし水蒸気の導出は、通常、そこに含まれる水素が十分に希釈されているという条件に結びつけられる(英語:”dilution constraint”)。この条件が満たされたときに初めて、少なくとも1つの洗浄弁を開くことができる。
【0021】
さらにステップc)で、脱着された水が方向制御弁および/または少なくとも1つの洗浄弁を介してカソード排ガス経路に導入され、または周囲に放出されることが提案される。カソード排ガス経路への導入は、たとえば、通常は再循環経路の洗浄のために設けられる洗浄弁を介して惹起することができる。これが洗浄のために開いているとき、燃料電池システムの動作は可能でなく、もしくは制約された動作しか可能でない。
【0022】
脱着された水がゼオライトコンテナから運び出されている間にシステム動作を制約しないようにするために、本発明の発展例では、追加の洗浄経路を開くための別の洗浄弁が設けられることが提案される。そして、この追加の洗浄経路を介して、脱着された水を同じくカソード排ガス経路に導入するか、または周囲に放出することができる。追加の洗浄経路の開放は、システム動作に悪影響を及ぼすことがない。すなわち、ゼオライトコンテナの再生と燃料電池システムの動作とを互いに切り離して進行させることができる。このことは、燃料電池システムの動作におけるいっそう高い自由度を可能にする。
【0023】
その代替として、第2の遮蔽弁の機能と別の洗浄弁の機能を、ゼオライトコンテナの下流側に配置される、すでに提案した方向制御弁にまとめることができる。追加の洗浄経路は、このケースでは方向制御弁の相応の切換によって解放することができる。そのために方向制御弁は、3/2方向制御弁として製作されるのが好ましい。そして方向制御弁の切換位置に依存して、脱着された水がゼオライトコンテナから追加の洗浄経路へと導入され、または一方の洗浄弁に供給される。
【0024】
ゼオライトコンテナの下流側に方向制御弁ではなく第2の遮蔽弁が配置される場合、ステップc)で少なくとも1つの遮蔽弁が開かれることが提案され、それにより、脱着された水がゼオライトコンテナから少なくとも1つの洗浄弁に供給される。すなわち洗浄のために、ゼオライトコンテナの下流側に配置された遮蔽弁ならびに1つの洗浄弁が少なくとも開かれる。洗浄時には、両方の遮蔽弁ならびに1つの洗浄弁を開くことができる。ただし、それによってアノード入口で液体水凝結が起こる危険は高くなる。
【0025】
所望の水量がゼオライトコンテナから追い出されるまで、および/またはゼオライトコンテナの再生が完了するまで、ステップa)からc)が少なくとも1回、好ましくは複数回反復されるのが好ましい。ゼオライトコンテナの再生が進むにつれて、ゼオライトコンテナの加熱のもとで圧力が温度ほどには大きく上昇しなくなるので、圧力上昇と温度上昇の特徴的な挙動を再生プロセスの監視のために利用することができる。さらに、ゼオライトコンテナの再生の完了を推定することができる次のような基準を援用することができる。
【0026】
-一定の温度のもとで圧力が上昇しておらず、もしくはほとんど上昇しておらず、すなわち、ゼオライトコンテナの容積中で水が気相に移行しなくなっている。
-温度が脱着温度よりも明らかに、ないしは急速に上昇しており、すなわち、ゼオライトコンテナの温度上昇の変化率dT/dtが特定の閾値を上回っており、脱着される水が少なくなっている。
【0027】
あるいは本発明による方法の実施は、ゼオライトコンテナの容積中の圧力を測定するための圧力センサなしでも可能である。というのも、加熱出力が既知でありゼオライトコンテナの熱挙動が既知であれば、温度勾配ないし温度推移だけを通じて、そのつどの時点でゼオライトコンテナにどれだけの量の水蒸気が存在するか、どのような再生状態をこれが有しているかを見積ることができるからである。
【0028】
完全な再生のためにゼオライトコンテナが反復して加熱され、脱着された水がゼオライトコンテナから洗浄によって除去されるのが好ましい。洗浄量に伴って残留水素も洗い流されていくが、初回の洗浄時には残留水素含有量がもっとも多い。それ以後の洗浄プロセスで残留水素含有量が次第に減っていく。特にゼオライトコンテナの上流側の閉じた遮蔽弁に基づき、水素含有の再循環物がゼオライトコンテナに追加流入しないからである。
【0029】
したがって、特に残留水素含有量が特別に高い初回の洗浄のときに、複合型の洗浄ストラテジーを行うことができる。たとえば、カソード排ガス経路に開く第1の洗浄弁と、-設けられている限りにおいて-追加の洗浄経路に開く第2の洗浄弁とを同時に開くことができる。
【0030】
その代替として、初回の洗浄時に第1の洗浄弁が開かれ、反復される洗浄時に第2の洗浄弁が開かれることが提案される。すなわち、第1および第2の洗浄弁が連続する洗浄プロセスで順次開かれる。第1の洗浄弁は、特に、カソード排ガス経路に開く洗浄弁である。初回の洗浄時には、残留水素含有量がまだ非常に高いからである。カソード排ガス経路では、洗浄量がそこにある空気と混合され、それにより残留水素が十分に希釈される。そして少なくとも1つの後続する洗浄プロセスで、残留水素含有量がすでに低下しているときに、第2の洗浄弁を介して追加の洗浄経路へと洗浄量を導入することができる。追加の洗浄経路への導入は、後続する洗浄プロセスを-最初の洗浄プロセスとは異なり-燃料電池システムの動作に関わりなく行えるという利点がある。それに応じて、燃料電池システムの動作が制約されることがない。
【0031】
上記に加えて、冒頭に述べた課題を解決するために、アノード経路を介して水素を供給可能であるとともにカソード経路を介して酸素を供給可能である少なくとも1つの燃料電池を有する燃料電池システムが提案される。さらに燃料電池システムは、燃料電池から出るアノード排ガスを再循環可能である再循環経路を含み、ならびに、アノード排ガスに含まれる水蒸気を吸着可能であるゼオライトコンテナを含む。本発明によると、ゼオライトコンテナは少なくとも1つの遮蔽弁および/または方向制御弁を介して接続可能かつ遮断可能である。ゼオライトコンテナが接続されることで、再循環物に含まれる水蒸気を吸着することができる。ゼオライトコンテナが再循環経路から遮断ないし分離されることで、脱着によってゼオライトコンテナを再生することができ、それは、燃料電池システムの動作とは関わりがない。すなわち、ゼオライトコンテナの再生がシステム動作の制約につながることがない。
【0032】
提案される燃料電池システムでは、ゼオライトコンテナは直列にではなく並列につながれる。並列回路は、特に、アノード経路での圧力損失が少なく抑えられるという利点がある。
【0033】
ゼオライトコンテナの並列配管は、再循環経路からのゼオライトコンテナの完全な分離を可能にする上記の各弁によって行われる。これらの弁は、ゼオライトコンテナの上流側に配置され、閉止位置にあるとき再循環物によるゼオライトコンテナの貫流を妨げる、少なくとも1つの遮蔽弁を含む。ゼオライトコンテナの下流側に、別の遮蔽弁または方向制御弁、好ましくは3/2方向制御弁が配置されていてよい。別の遮蔽弁が設けられる場合、ゼオライトコンテナの再生中に脱着される水を、通常設けられる、カソード排ガス経路に開く洗浄弁を介して運び出すことができる。その代替または追加として別の洗浄弁を介して、脱着された水を追加の洗浄経路に導入することもできる。追加の洗浄経路が設けられる場合、ゼオライトコンテナの下流側に配置される遮蔽弁および別の洗浄弁の機能を、方向制御弁によって具体化することができる。
【0034】
提案される燃料電池システムは、特に、上で説明した本発明による方法を実施するのに適している。それに応じて、燃料電池システムによって同じ利点を実現可能である。さらに、ゼオライトコンテナは上に説明したゼオライトコンテナに準じて製作されていてよく、および/またはシステムに接続されていてよい。
【0035】
本発明による燃料電池システムの発展例では、電気加熱装置がゼオライトコンテナに組み込まれることが提案され、それにより、ゼオライトコンテナを水の脱着のために加熱可能である。電気加熱装置により、ゼオライトコンテナを、脱着のために必要な約250℃の温度へと迅速に移行させることができる。さらに吸着のケースでは、特にコールドスタートをするときに、電気加熱装置によってゼオライトコンテナを予加熱することができる。
【0036】
特別に好ましい実施形態では、電気加熱装置は少なくとも1つの加熱カートリッジを含む。ゼオライト材料からなるゼオライトコンテナのバルク材に、これを容易に組み込むことができる。
【0037】
さらに、ゼオライトコンテナが方向制御弁および/または少なくとも1つの洗浄弁を介してカソード排ガス経路および/または周囲に接続されることが提案され、それにより、脱着された水をゼオライトコンテナからカソード排ガス経路に導入可能であり、または周囲に放出可能である。後者が可能である理由は、残留水素の含有量が、特に最初の洗浄プロセスの後に、通常は非常に少なくなっているからである。初回の洗浄時には洗浄量がカソード排ガス経路に導入されて、含まれている残留水素をそこに存在する空気で希釈するのが好ましい。
【0038】
次に、本発明とその利点について添付の図面を参照しながら詳しく説明する。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による方法を実施するための本発明による第1の燃料電池システムを示す模式図である。
図2図1の燃料電池システムを用いた本発明による方法の具体化である。
図3】本発明による方法を実施するための本発明による第2の燃料電池システムを示す模式図である。
図4図3の燃料電池システムを用いた本発明による方法の具体化である。
図5図3の燃料電池システムを用いた本発明による方法の別案の具体化である。
図6】本発明による方法を実施するための本発明による第3の燃料電池システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示す燃料電池システムは、アノード側でアノード経路2を介してアノードガスすなわち水素をタンク11から供給可能である、少なくとも1つの燃料電池1を含んでいる。新鮮な水素の供給を、弁12を介して制御可能である。燃料電池1から出るアノード排ガスはまだ残留する水素を含んでいるので、再循環経路3を介して再循環され、ないしは再びアノード経路2に導入される。再循環は、本例では再循環ファン13によって能動的にサポートされる。アノード経路2で、タンク11からの新鮮な水素が再循環物に添加される。
【0041】
再循環されるアノード排ガスは、水素のほか、水すなわち液体ならびに気体の水ないし水蒸気も含んでいるので、図1に示す燃料電池システムは上記に加えて、再循環物から水分除去をするためのゼオライトコンテナ4を有している。ゼオライトコンテナ4は、第1の遮蔽弁5および第2の遮蔽弁6を介して再循環経路3に接続されており、ないしは並列につながれている。遮蔽弁5,6が開放位置にあるとき、ゼオライトコンテナ4が再循環物によって貫流され、これに含まれる水が吸着によって取り除かれる。このときに発生する熱は、たとえばシステムのコールドスタートの際に、システムをいっそう迅速に動作温度へ移行させるのに利用することができる。その補足としてゼオライトコンテナ4は、一体化された電気加熱装置8によって加熱することができる。このことは、特に凍結発進のときに好ましい。
【0042】
さらに燃料電池システムの作動時には、たとえば(図示しない)カソード側からアノード側へと拡散する窒素がアノードガスで増えることがあるので、アノード経路2と再循環経路3が時おり洗浄されなければならない。そのために出口側に、好ましくは(図示しない)カソード排ガス経路に開く洗浄弁9が設けられている。そして、洗浄弁9を介して運び出された洗浄量が、タンク11からの新鮮な水素で置き換えられる。
【0043】
図1に示す洗浄弁9は、本例では、さらにゼオライトコンテナ4を再生するために利用される。まず最初にゼオライトコンテナ4が再循環経路3から分離され、次いで、電気加熱装置8によって約250℃の温度にされ、それにより、それ以前に吸着されていた水が脱着される。脱着された水量を、引き続き、遮蔽弁6および洗浄弁9を開くことでカソード排ガス経路に導入することができる。通常、吸着されている量がゼオライトコンテナ4から完全に除去されるまで、ゼオライトコンテナ4の加熱と洗浄が複数回繰り返される。それがいつ該当するのかは、ゼオライトコンテナ4の温度および/または圧力を利用して監視することができる。そのためにゼオライトコンテナ4には、温度センサ14と圧力センサ15がそれぞれ設けられている。
【0044】
次に、図示したゼオライトコンテナ4の吸着段階および脱着段階の詳しい進行について、図2のグラフを参照しながら説明する。
【0045】
時系列に時点t0からt9がプロットされている。時点t0で、再循環されるアノード排ガスから水ないし水蒸気を取り除き、場合によりたとえば凍結発進のときの熱を注入せよという要求がシステム側で発生する。両方の遮蔽弁5,6が開き、それにより、再循環されるアノード排ガスによってゼオライトコンテナ4が貫流される。時点t1で発熱性の吸着が始まり、このときゼオライトコンテナ4は時点t2までに約160℃まで加熱される。このときダイナミクスおよび/または初期温度に関わる要求事項に応じて、次の2通りの動作モードを区別することができる。
【0046】
1.電気エネルギーPelektr.の供給なし(実線T)、それにより、ゼオライトコンテナ4は発熱性の吸着を通じてのみ加熱される。
2.電気エネルギーPelektr.の初期供給あり(破線T)、それにより、ゼオライトコンテナ4は発熱性の吸着と、外部から追加される電気エネルギーPelektr.とによって加熱される。
【0047】
原則として、ゼオライトコンテナ4を加熱するには吸着プロセスのキネティクスで十分なので、選択肢1に従うことができる。特別に低い外気温のもとで、たとえば-40℃のもとで、キネティクスが非常に低速であり、ゼオライトコンテナ4の動的挙動に関わるシステムの要求が他の方法では満たされないときに、選択肢2が好ましいことが実証されている。
【0048】
時点t2で、たとえば水をそれ以上溜めることができなくなることで、またはそのような必要性がなくなることで、ゼオライトコンテナ4に水を溜めるようにとのシステム側の要求が取り消される。遮蔽弁5,6は引き続き開いているので、ゼオライトコンテナ4は引き続き貫流される。というのも遮蔽弁5,6を閉じるのに、適当な時点が待機されるからである。この時点に達するのは、たとえばゼオライトコンテナ4で最大の水素濃度XH2,maxを下回ったときである。このようにして、後続するゼオライトコンテナ4の再生時に水素損失を少なく抑えることができる。時点tshut-offで両方の遮蔽弁5,6が閉じられた後、ゼオライトコンテナ4中のガス組成はさしあたり変化しなくなる。
【0049】
時点t3で、ゼオライトコンテナ4が再生されることが意図される。そのためにゼオライト材料が電気加熱装置8によって約250℃まで加熱されて、ゼオライトコンテナ4から水を脱着する。両方の遮蔽弁5,6が閉じていることで、熱損失が最低限に抑えられる。さらに、ゼオライトコンテナ4の加熱がシステムに関わりなく可能である。
【0050】
時点t4で250℃の脱着温度に達し、ゼオライトコンテナ4がそれ以前に吸着していた水を再び水蒸気としてゼオライトコンテナ4の容積に放出する。このことは、ゼオライトコンテナ4内の圧力が上昇することを帰結し、このことを、脱着された水量を表す測定量として利用することができる。
【0051】
時点t5で、ないしはゼオライトコンテナ4で最大の圧力および/または最大の温度を上回ったときに、電気加熱装置8がスイッチオフされる。さらに、システムの洗浄をするために要求される希釈条件(”dilution constraint”)が成立しているか否かの照会がシステムに出される。肯定的な応答メッセージが来ると、遮蔽弁6と洗浄弁9が開かれ、水素・水蒸気・ガス混合物がゼオライトコンテナ4から洗い出される。この段階では燃料電池システムの動作は可能でなく、もしくは制約された動作しか可能でない。
【0052】
最初の洗浄プロセスの後、時点t6で遮蔽弁6が再び閉じられ、所望の水量がゼオライトコンテナ4から追い出されてゼオライトコンテナ4の再生が完了するまで、ゼオライトコンテナ4の加熱と洗浄のプロセスが反復される。このとき中止基準として、t3からt4ないしt6からt7等の加熱段階におけるゼオライトコンテナ4での温度上昇と圧力上昇の特徴的な挙動を援用することができる。というのも、ゼオライトコンテナ4の再生が進むにつれて、温度と比較したときの圧力の上昇が鈍くなっていくからである。
【0053】
連続する各段階が、図2では吸着段階についてA、弁閉止段階についてB、加熱段階についてC、および脱着段階についてDで表されている。その後に段階Eとして、システムのシャットダウンまたは継続動作を続けることができる。
【0054】
図3には、図1のシステムの改変を見て取ることができる。この改変の要諦は、追加の洗浄経路16に開く別の洗浄弁10が設けられることにある。別の洗浄弁10は、ゼオライトコンテナ4を再生するために第1の洗浄弁9に関わりなく、およびそれに伴って燃料電池システムの動作に関わりなく、開くことができる。このように別の洗浄弁10は、燃料電池システムの動作におけるいっそう高い自由度を可能にする。
【0055】
図3の燃料電池システムの動作における進行が図4に示されている。吸着段階A、弁閉止段階B、および加熱段階Cは図2の対応する各段階に準じて進行するので、図2の説明を参照されたい。相違があるのは脱着段階Dに関してのみである。水素・水蒸気・ガス混合物の運び出しが、ここでは別の洗浄弁10を介して追加の洗浄経路16へと行われる。その際にも特定の希釈条件が遵守されなければならないが、この希釈条件は上に挙げたものとは相違していてよい。ゼオライトコンテナ4の設計に応じて、およびXH2,maxの選択に応じて、ガス混合物を周囲へ直接放出することさえ可能である。
【0056】
その代替として図3のシステムを用いて、複合型の洗浄ストラテジーをとることもできる。そのことが例示として図5に示されている。ここでは脱着段階Dで両方の洗浄弁9,10が開かれ、すなわち時間オフセットされて開かれる。ゼオライトコンテナ4の水素濃度が高いときには、まず、少なくとも最初の洗浄プロセスで第1の洗浄弁9を介して洗浄が行われる。2回目およびその後の各々の洗浄プロセス(水素濃度が低くなっているか、無視することができる)では、別の洗浄弁10を介して洗浄が行われる。このようなストラテジーは、残留水素の必要な希釈を確保するのに最善である。というのも第1の洗浄弁9が開かれ、(図示しない)カソード排ガス経路へと洗浄量が導入されるのに伴って、そこに存在する空気と洗浄量が混ざるからである。ただし、それによって燃料電池システムの通常動作が中断ないし妨害される。したがって、ゼオライトコンテナ4の再生の以後の過程では、洗浄量が別の洗浄弁10と洗浄経路16を通じて排出されると好ましいことが判明している。というのも、このようなプロセスは燃料電池システムの動作に影響を及ぼさないからである。
【0057】
本発明による燃料電池システムのさらに別の改変が図6に示されている。ここでは遮蔽弁6と別の洗浄弁10の機能が3/2方向制御弁7によって具体化される。それにより、バルブが1つ削減されるので、燃料電池システムの構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 燃料電池
2 アノード経路
3 再循環経路
4 ゼオライトコンテナ
5,6 遮蔽弁
7 方向制御弁
8 電気加熱装置
9,10 洗浄弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムを作動させる方法であって、少なくとも1つの燃料電池(1)がアノード経路(2)を介して水素の供給を受け、カソード経路を介して酸素の供給を受け、前記燃料電池(1)から出るアノード排ガスが再循環経路(3)を介して再循環され、アノード排ガスに含まれる水蒸気がゼオライトコンテナ(4)によって吸着される、方法において、
前記ゼオライトコンテナ(4)を再生するために次の各ステップが実行され、
a)少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)の閉止によって、および/または方向制御弁(7)の切換によって、前記ゼオライトコンテナ(4)が前記再循環経路(3)から分離され、
b)電気加熱装置(8)によって前記ゼオライトコンテナ(4)が加熱され、それにより、それ以前に吸着されていた水が脱着され、
c)前記方向制御弁(7)のあらためての切換によって、および/または少なくとも1つの洗浄弁(9,10)の開放によって、脱着された水がシステムから除去されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記再循環経路(3)での最大の水素濃度(XH2,max)を下回ることをもって、および/または最大の水素分圧(pH2)を下回ることをもって、前記ステップa)が開始されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)で前記ゼオライトコンテナ(4)が約250℃の温度まで加熱され、および/または前記ゼオライトコンテナ(4)を加熱するために前記ゼオライトコンテナ(4)に組み込まれた少なくとも1つの加熱カートリッジが電気加熱装置(8)として利用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゼオライトコンテナ(4)の圧力および/または温度が測定され、前記ゼオライトコンテナ(4)で脱着された水量が測定値から推定されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼオライトコンテナ(4)での所定の最大の圧力限界値および/または温度限界値への到達をもって前記ゼオライトコンテナ(4)の加熱が終了されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップc)の開始前に、洗浄弁(9,10)を開くための特定の条件が成立しているか否かが検査されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップc)の開始前に、洗浄弁(9,10)を開くための希釈条件が成立しているか否かが検査されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップc)で、脱着された水が前記方向制御弁(7)および/または少なくとも1つの前記洗浄弁(9,10)を介してカソード排ガス経路に導入され、または周囲に放出されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップc)で少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)が開かれ、それにより、脱着された水が前記ゼオライトコンテナ(4)から少なくとも1つの前記洗浄弁(9,10)に供給されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップa)からc)が少なくとも1回、好ましくは複数回、反復され、好ましくは初回の洗浄時に第1の洗浄弁(9)が開かれ、反復される洗浄時に第2の洗浄弁(10)が開かれることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アノード経路(2)を介して水素を供給可能であるとともにカソード経路を介して酸素を供給可能である少なくとも1つの燃料電池(1)を有する燃料電池システムであって、前記燃料電池(1)から出るアノード排ガスを再循環可能である再循環経路(3)を含み、ならびに、アノード排ガスに含まれる水蒸気を吸着可能であるゼオライトコンテナ(4)を含む、燃料電池システムにおいて、
前記ゼオライトコンテナ(4)は少なくとも1つの遮蔽弁(5,6)および/または方向制御弁(7)を介して接続可能かつ遮断可能であることを特徴とする、燃料電池システム。
【請求項12】
前記ゼオライトコンテナ(4)に電気加熱装置(8)が組み込まれ、それにより前記ゼオライトコンテナ(4)を水の脱着のために加熱可能であることを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記ゼオライトコンテナ(4)に少なくとも1つの加熱カートリッジが組み込まれ、それにより前記ゼオライトコンテナ(4)を水の脱着のために加熱可能であることを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記ゼオライトコンテナ(4)は前記方向制御弁(7)および/または少なくとも1つの洗浄弁(9,10)を介してカソード排ガス経路および/または周囲に接続され、それにより、脱着された水を前記ゼオライトコンテナ(4)から前記カソード排ガス経路に導入可能であり、または周囲に放出可能であることを特徴とする、請求項11から13までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【国際調査報告】