(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構
(51)【国際特許分類】
F02B 37/18 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
F02B37/18 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506491
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 IB2020060049
(87)【国際公開番号】W WO2022090765
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】ビスリミ クシュトリム
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA14
3G005GA03
3G005GB28
3G005KA08
(57)【要約】
本発明は、互いに対して回転可能な、細長いリンクプレート(310)とピン(320)とを含むウエストゲートアクチュエータ機構(300)に関する。ウエストゲートアクチュエータ機構(300)は、リンクプレート(310)に固定された状態で接続されるブッシュ(410)と、ピン(320)に固定された状態で接続されるスリーブ(420)とを含む摺動アセンブリ(400)をさらに含む。ウエストゲートアクチュエータ機構(300)の組立が、ブッシュ(410)をリンクプレート(310)の目穴部内へ圧入するステップと、工程において、リンクプレート(310)の材料が変形することおよびブッシュ(410)の窪み部(411)に受容されることを可能にするステップと、ならびに/またはスリーブ(420)をピン(320)上に配置するステップと、ピン(320)の材料を変形することおよびピン(320)上に拡大された直径の端部(322)を形成する工程において、スリーブ(420)の窪み部(421)に受容されることを可能にするステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)で使用されるように構成されているウエストゲートアクチュエータ機構(300)であって、
前記ウエストゲートアクチュエータ機構(300)は、細長いリンクプレート(310)と、レバープレート(330)に取り付けられているピン(320)とを備えており、前記ピン(320)は、前記リンクプレート(310)に設けられている目穴部(311)を貫通して部分的に延在しており、前記リンクプレート(310)と前記ピン(320)とは、前記ピン(320)の長手方向に延在している回転軸(R)を中心として、互いに対して回転可能であり、前記ウエストゲートアクチュエータ機構(300)は、前記リンクプレート(310)と前記ピン(320)との間に且つ前記リンクプレート(310)の前記目穴部(311)の位置に配置されている摺動アセンブリ(400)をさらに備えており、前記摺動アセンブリ(400)は、前記リンクプレート(310)に固定された状態で接続されているブッシュ(410)と、前記ピン(320)に固定された状態で接続されているスリーブ(420)とを備えており、前記ブッシュ(410)の内面(413)と前記スリーブ(420)の外面(424)とが、摺動可能な状態で接触しており、
前記ブッシュ(410)と前記リンクプレート(310)との接触面において、前記ブッシュ(410)に窪み部(411)が設けられており、前記リンクプレート(310)の材料隆起部(316)が前記窪み部(411)に受容されており、かつ/または前記スリーブ(420)と前記ピン(320)との接触面において、前記スリーブ(420)に窪み部(421)が設けられており、前記ピン(320)の材料隆起部(323)が前記窪み部(421)に受容される、ウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項2】
前記ブッシュ(410)と前記リンクプレート(310)との前記接触面には、前記ブッシュ(410)に窪み部(411)が設けられており、前記リンクプレート(310)の材料隆起部(316)は、前記窪み部(411)に受容されており、前記ブッシュ(410)は、前記リンクプレート(310)とは別の材料から成り、前記ブッシュ(410)の材料は、前記リンクプレート(310)の前記別の材料よりも高い硬度を有している、請求項1に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項3】
前記リンクプレート(310)の前記材料隆起部(316)と前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)とは、前記リンクプレート(310)と前記ブッシュ(410)との周方向の相対運動を防止するように構成されている、請求項2に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項4】
前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)は、周方向において前記ブッシュ(410)上に分散配置されている、請求項2または3に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項5】
前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)は、前記ブッシュ(410)の面取り外縁部(412)に配置されている切欠きを備えている、請求項2から4のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項6】
前記ブッシュ(410)の前記面取り外縁部(412)は、前記ブッシュ(410)の2つの軸方向端部の各々に設けられている、請求項5に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項7】
前記ブッシュ(410)は、前記ブッシュ(410)の前記2つの軸方向端部に配置されている前記リンクプレート(310)の前記材料隆起部(316)同士の間において、前記長手方向に係止されている、請求項6に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項8】
前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)は、前記長手方向において前記ブッシュ(410)の外面(414)に沿って延在している溝部を備えている、請求項2から7のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項9】
前記スリーブ(420)と前記ピン(320)との前記接触面において、前記スリーブ(420)に窪み部(421)が設けられており、前記ピン(320)の材料隆起部(323)は前記窪み部(421)に受容されており、前記スリーブ(420)は前記ピン(320)とは別の材料から成り、前記スリーブ(420)の前記材料は前記ピン(320)の前記材料よりも高い硬度を有している、請求項1から8のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項10】
前記ピン(320)の前記材料隆起部(323)および前記スリーブ(420)の前記窪み部(421)は、前記ピン(320)と前記スリーブ(420)との周方向の相対運動を防止するように構成されている、請求項9に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項11】
前記スリーブ(420)の前記窪み部(421)は、周方向において前記スリーブ(420)に分散配置されている、請求項9または10に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項12】
前記スリーブ(420)と前記ピン(320)との前記接触面には、前記スリーブ(420)は、前記ピン(320)の前記材料に侵入するスパイク(422)を備えている、請求項9から11のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項13】
前記スリーブ(420)と前記ピン(320)との前記接触面には、前記ピン(320)は、錐台状の錐状部(321)を有し、前記スリーブ(420)の前記内面(425)は、前記ピン(320)の前記錐状部(321)を近接して取り巻く前記スリーブ(420)の部分(423)の位置においてテーパ状になっている、請求項9から12のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)を含む、ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載のウエストゲートアクチュエータ機構(300)を含むウエストゲートシステム(200)を備えている、ターボチャージャ(100)。
【請求項16】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)のウエストゲートアクチュエータ機構(300)に内蔵されるように、特に、前記ウエストゲートアクチュエータ機構(300)のリンクプレート(310)の目穴部(311)に圧入されるように構成されているブッシュ(410)であって、前記ブッシュ(410)の外面(414)には窪み部(411)が設けられている、ブッシュ(410)。
【請求項17】
前記窪み部(411)は周方向において前記ブッシュ(410)に分散配置されている、請求項16に記載のブッシュ(410)。
【請求項18】
前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)は、前記ブッシュ(410)の面取り外縁部(412)に配置されている切欠きを備えている、請求項16または17に記載のブッシュ(410)。
【請求項19】
前記面取り外縁部(412)は、前記ブッシュ(410)の2つの軸方向端部の各々に設けられている、請求項18に記載のブッシュ(410)。
【請求項20】
前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)は、長手方向において前記ブッシュ(410)の外面(414)に沿って延在している溝部を備えている、請求項16から19のいずれか一項に記載のブッシュ(410)。
【請求項21】
前記ブッシュ(410)は、ステンレス鋼よりも相当に硬い材料から成る、請求項16から20のいずれか一項に記載のブッシュ(410)。
【請求項22】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)のウエストゲートアクチュエータ機構(300)に内蔵されるように、特に、前記ウエストゲートアクチュエータ機構(300)のピン(320)に配置されるように構成されているスリーブ(420)であって、前記スリーブ(420)は、前記スリーブ(420)の内面(425)に窪み部(421)を備えている、スリーブ(420)。
【請求項23】
前記スリーブ(420)の前記窪み部(421)は、周方向において前記スリーブ(420)に分散配置されている、請求項22に記載のスリーブ(420)。
【請求項24】
前記スリーブ(420)は、前記スリーブ(420)の内面(425)にスパイク(422)を備えている、請求項22または23に記載のスリーブ(420)。
【請求項25】
前記スリーブ(420)の前記内面(425)は、前記スリーブ(420)の部分(423)の位置においてテーパ状になっている、請求項22から24のいずれか一項に記載のスリーブ(420)。
【請求項26】
前記スリーブ(420)は、ステンレス鋼よりも相当に硬い材料から成る、請求項22から25のいずれか一項に記載のスリーブ(420)。
【請求項27】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)のウエストゲートアクチュエータ機構(300)に内蔵されるように構成されているリンクプレート(310)であって、前記リンクプレート(310)は、ブッシュ(410)を受容するように、すなわち目穴部(311)に圧入されるように構成されている前記目穴部(311)を備えており、前記リンクプレート(310)は、前記リンクプレート(310)の本体表面(312、313)のうち一方の本体表面の移行位置において、前記目穴部(311)の内面(314)に至るまで延在している縁部(315)を備えている、リンクプレート(310)。
【請求項28】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)のウエストゲートアクチュエータ機構(300)に内蔵されるように構成されているピン(320)であって、前記ピン(320)は、錐台状の部分(321)を有している、ピン(320)。
【請求項29】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)のウエストゲートアクチュエータ機構(300)に内蔵されるように構成されているリンクプレート(310)にブッシュ(410)を固定するための方法であって、前記ブッシュ(410)は、前記リンクプレート(310)の目穴部(311)に嵌合する寸法になっており、前記ブッシュ(410)は、前記ブッシュ(410)が前記リンクプレート(310)に接触する位置に窪み部(411)を備えており、前記リンクプレート(310)は、前記リンクプレート(310)が前記ブッシュ(410)に接触する位置に延在している少なくとも1つの縁部(315)を備えており、前記方法は、前記ブッシュ(410)を前記リンクプレート(310)の前記目穴部(311)に圧入することによって、前記リンクプレート(310)の少なくとも1つの前記縁部(315)を変形させるステップと、少なくとも1つの前記縁部(315)の位置において前記リンクプレート(310)の材料を前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)に流入させることにより、前記ブッシュ(410)の前記窪み部(411)の前記位置において、前記リンクプレート(310)の材料隆起部(316)の形成を誘発するステップと、を備えている、方法。
【請求項30】
ターボチャージャ(100)のウエストゲートシステム(200)のウエストゲートアクチュエータ機構(300)に内蔵されるように構成されているピン(320)にスリーブ(420)を固定するための方法であって、前記スリーブ(420)は、前記スリーブ(420)の内面(425)が前記ピン(320)の外面(324)に面する位置に、窪み部(421)を備えており、前記方法は、前記スリーブ(420)を前記ピン(320)に配置するステップと、前記ピン(320)に拡大された直径の端部(322)を形成するために、前記ピン(320)に圧力を作用させることによって、前記ピン(320)の材料を変形させるステップと、前記ピン(320)の材料を前記スリーブ(420)の前記窪み部(421)に流入させることにより、前記スリーブ(420)の前記窪み部(421)の前記位置に、前記ピン(320)の材料隆起部(323)の形成を誘発するステップと、を備えている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャのウエストゲートシステム内で使用されるように構成されているウエストゲートアクチュエータ機構に関する。また、本発明は、ウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるように構成されている様々な構成要素、詳細にはリンクプレートおよびピン、ならびにまた、リンクプレートの目穴部内へ圧入されるように構成されているブッシュおよびピン上に配置されるように構成されているスリーブに関する。
【0002】
さらに、本発明は、ターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるように構成されているリンクプレートにブッシュを固定する方法、およびターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるように構成されているピンにスリーブを固定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンの分野において、エンジンの効率性およびエンジンへの強制給気を生成することによる出力を高めるためのターボチャージャの使用は周知である。ターボチャージャは、エンジンからの排ガス流の影響下で回転するように構成されているタービンホイールを含む。ターボチャージャは、タービンホイールと共に回転可能であるように、タービンホイールに連結されているコンプレッサホイールをさらに含む。コンプレッサホイールは、空気が中に取り込まれ、コンプレッサホイールが回転すると圧縮され、エンジンへ逃がされる空気経路内に配置されている。
【0004】
一般に、排ガス流量がより大きいと、ターボチャージャ内の給気圧がより高い。給気圧を調節するために、ターボチャージャは、排ガスの流入流のためのバイパス路をもたらしかつバイパス路内に配置されているバルブとバルブの位置を制御するためのウエストゲートアクチュエータ機構とを含む、ウエストゲートシステムを備え付けられている。ウエストゲートアクチュエータ機構によりバルブの位置を設定することにより、排ガスがコンプレッサホイールを迂回することを許される範囲が決定され、それによりコンプレッサホイールへ流動することを可能にされる排ガス量が設定される。ウエストゲートアクチュエータ機構は、ターボチャージャ内の給気圧力を表す信号を含む様々な制御信号に基づいて動作させられる。
【0005】
本発明はウエストゲートアクチュエータ機構に関連しており、この機構は、バルブに連結されているレバープレートと、ターボチャージャのコンプレッサハウジングに配置されているアクチュエータと、アクチュエータからレバープレートまで延在している細長いリンクプレートとを含み、リンクプレートは、レバープレートに取り付けられているピン上に係合することによりレバープレートに連結される。この構成では、ピンは、リンクプレートに設けられている目穴部を部分的に貫通して延在しており、リンクプレートとピンとは、ピンの長手方向に延びる回転軸を中心として、互いに対して回転可能である。したがって、リンクプレートとピンとは、ピンがリンクプレートの目穴部を貫通して延在する位置でそれらが互いに対して摺動するので、磨耗相手(wear partner)である。
【0006】
現代のエンジン配置は排ガスの温度上昇を伴い、その結果として、ウエストゲートアクチュエータ機構の使用が増進する。また、特にターボチャージャが3気筒エンジンまたは4気筒エンジン上に取り付けられている場合、ウエストゲートアクチュエータ機構上のエンジン脈動の衝撃が増大し、それによりウエストゲートアクチュエータ機構内で微小移動が引き起こされる可能性がある。結局、これらの要因は、ピンとリンクプレートとの間の摺動可能な状態で接触の位置で磨耗の一因になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、単により耐久性のある材料からリンクプレートおよびピンを製造することなどの費用のかかる手段を用いずに、リンクプレートとピンとの増大した磨耗状態を実際的に軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様が添付の独立クレームおよび従属クレームに提示されている。従属クレームによる特徴が、必要に応じて、クレームに明示されかつ次の明細書本文において説明されるだけでなく、それぞれの独立クレームによる特徴と組み合わせられ得る。
【0009】
上述を考慮して、本発明は、ターボチャージャのウエストゲートシステム内で使用されるように構成されているウエストゲートアクチュエータ機構であって、細長いリンクプレートと、レバープレートに取り付けられているピンとを含み、ピンは、リンクプレートに設けられている目穴部を部分的に貫通して延在しており、リンクプレートとピンとは、ピンの長手方向に延びる回転軸を中心として、互いに対して回転可能であり、ウエストゲートアクチュエータ機構は、リンクプレートとピンとの間のリンクプレートの目穴部の位置に配置されている摺動アセンブリをさらに含み、摺動アセンブリは、リンクプレートに固定された状態で接続されているブッシュと、ピンに固定された状態で接続されているスリーブとを含み、ブッシュの内面とスリーブの外面とが摺動可能な状態で接触しており、ブッシュとリンクプレートとの接触面において、ブッシュに窪み部が設けられており、リンクプレートの材料隆起部が窪み部に受容されており、かつ/またはスリーブとピンとの接触面において、スリーブに窪み部が設けられており、ピンの材料隆起部が窪み部に受容されている、ウエストゲートアクチュエータ機構を提供する。
【0010】
本発明によるウエストゲートアクチュエータ機構の上記の一般的定義から判断すると、本発明は、ピンがリンクプレートの目穴部を貫通して延在する位置において機能を果たすということになる。本発明によれば、中間構成要素、すなわちブッシュの内面とスリーブの外面とが摺動可能な状態で接触している摺動アセンブリ、を作り上げるブッシュとスリーブとが、その位置に設けられており、ブッシュはリンクプレートの目穴部に受容されており、スリーブはピン上に配置される。本発明は、ブッシュがリンクプレートに固定された状態で接続される方法、および/またはスリーブがピンに固定された状態で接続される方法に関連する。この点において、本発明は、次の構造:i)ブッシュとリンクプレートとの間の接触面において、ブッシュに窪み部が設けられており、リンクプレートの材料隆起部が窪み部に受容されており、ii)スリーブとピンとの接触面において、スリーブに窪み部が設けられており、ピンの材料隆起部が窪み部に受容される、の少なくとも1つを設ける。したがって、本発明は、ブッシュとリンクプレートとの接触面の位置および/またはスリーブとピンとの接触面の位置にフォーム閉鎖構造を設け、一方、ウエストゲートシステムの動作中にリンクプレートとピンとの間に起こる摺動動作は、ブッシュとスリーブとの接触面へ完全に移され、磨耗挙動の改善が、ブッシュおよびスリーブまたは少なくともその摺動可能な状態で接触面に関して、適切な材料を選択することにより達成され得る。本発明の適用に因り、ブッシュのリンクプレートへのかつ/またはスリーブのピンへの固定された状態で接続は保証され、ウエストゲートアクチュエータ機構の通常動作に関連する力の影響下で劣化される可能性はなく、その結果、改善された磨耗挙動の利点が損なわれない。
【0011】
第2の構成要素の窪み部に受容される第1の構成要素の材料隆起部を含む所望のフォーム閉鎖を達成する実用的方法が、第2の構成要素に窪み部を設け、第1の構成要素が第2の構成要素を第1の構成要素内に嵌め込む/上に取り付ける過程で変形するように、それぞれの構成要素の形状および寸法を選択し、詳細には、第1の構成要素の材料が第2の構成要素の窪み部へ強制的に流動させられる。このことは、第2の構成要素が第1の構成要素とは別の材料を含む場合、第2の構成要素の材料は第1の構成要素の材料よりも高い硬度を有することが有利であることを暗示する。リンクプレートとブッシュとの観点から、これは、ブッシュが少なくともその外側部の位置にリンクプレートとは別の材料を含む場合、ブッシュの材料はリンクプレートの材料よりも高い硬度を有することが有利であることを意味する。ピンとスリーブとの観点から、これは、スリーブが少なくともその内側部の位置にピンとは別の材料を含む場合、スリーブの材料はピンの材料よりも高い硬度を有することが有利であることを意味する。
【0012】
ブッシュに窪み部が設けられかつリンクプレートの材料隆起部が窪み部に受容される選択肢を考慮して、次の注目に値する選択肢が記載され、それらは、所望に応じて、適切な組合せで適用され得る:
- リンクプレートの材料隆起部とブッシュの窪み部とは、周方向の、すなわちリンクプレートとピンとの相対運動の回転軸を中心とする方向の、換言すれば摺動アセンブリの摺動方向の、リンクプレートとブッシュとの相対運動を防止するように構成され得る;
- ブッシュの窪み部は周方向にブッシュ上に分散していてもよく、その結果、周方向にブッシュに作用する力がブッシュ上に分散し、ピーク力が回避される;
- ブッシュは、少なくとも1つの面取り外縁部を有していてもよく、ブッシュの窪み部は、少なくとも1つの面取り外縁部内に配置されている切欠きを含み得る;
- ブッシュはその一方の軸方向端部の面取り外縁部と、その他方の軸方向端部の面取り外縁部とを有していてもよく、その場合、ブッシュが、ブッシュの2つの軸方向端部に配置されているリンクプレートの材料隆起部間で長手方向に係止される構造を有することが可能である;
- ブッシュの窪み部は、長手方向にブッシュの外面に沿って延在している溝部を含み得る。
【0013】
スリーブに窪み部が設けられており、かつピンの材料隆起部が窪み部に受容される選択肢を考慮して、次の注目に値する選択肢が記載され、それらは、所望に応じて、適切な組合せで適用され得る:
- ピンの材料隆起部とスリーブの窪み部とは周方向のピンとスリーブとの相対運動を防止するように構成されている;
- スリーブの窪み部は周方向にスリーブ上に分散している;
- スリーブとピンとの接触面において、スリーブに、ピンの材料内へ侵入するスパイクが設けられており、それは、ピン上でのスリーブの固定に寄与するさらなる手段である;
- スリーブとピンとの接触面において、ピンは、錐台状の錐状部を有し、スリーブの内面は、ピンの錐状部を近接して取り巻くスリーブの部分の位置においてテーパ状になっており、その結果、スリーブとピンとの熱膨張の差異が補償され得る。
【0014】
本発明は、上述において説明されているウエストゲートアクチュエータ機構を含む、ターボチャージャのウエストゲートシステムにさらに関し、また、ウエストゲートアクチュエータ機構を含むウエストゲートシステムを含むターボチャージャにさらに関する。本発明の背景の上記説明を参照して、ウエストゲートシステムは、ターボチャージャ内の排ガスの流入のためのバイパス路を設けるように構成されており、かつバイパス路内に配置されているバルブと、バルブの位置を制御するためのウエストゲートアクチュエータ機構とを含むことに留意すべきである。また、本発明の背景の上記説明を参照して、ターボチャージャは、内燃エンジンと協働して使用されるように構成されていること、およびターボチャージャは、エンジンからの排ガス流の影響下で回転するように構成されているタービンホイールと、タービンホイールと一緒に回転可能であるようにタービンホイールに連結されておりかつターボチャージャによりエンジンに供給される空気を圧縮するように構成されているコンプレッサホイールとを含むことに留意すべきである。
【0015】
さらに、本発明は、ウエストゲートアクチュエータ機構の分離した構成要素、詳細にはブッシュ、スリーブ、リンクプレート、およびピンに関し、これらの構成要素の様々な特定の特徴が上述において既に対応されていることに留意すべきである。
【0016】
上述から判断すると、方法の観点から、本発明は、ターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるように構成されているリンクプレートにブッシュを固定する方法に関し、かつまた、本発明は、ターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるように構成されているピンにスリーブを固定する方法に関する、ということになる。
【0017】
第1の方法は、次の特徴:i)ブッシュはリンクプレートの目穴部に嵌合する寸法になっており、ii)ブッシュには、ブッシュがリンクプレートに接触する位置に窪み部が設けられており、iii)リンクプレートには、リンクプレートがブッシュに接触する位置に延在している少なくとも1つの縁部が設けられている、を有し、第1の方法は、次のステップ:ブッシュをリンクプレートの目穴部内へ圧入し、それによりリンクプレートの少なくとも1つの縁部の変形を引き起こし、ブッシュの窪み部内への、少なくとも1つの縁部の位置におけるリンクプレートの材料流動により、ブッシュの窪み部の位置で、リンクプレートの材料隆起部の形成を誘発するステップを含む。
【0018】
第2の方法は、次の特徴:スリーブの内面がピンの外面に面する位置に、スリーブに窪み部が設けられている、を有し、第2の方法は、次のステップ:i)スリーブをピン上に配置するステップと、ii)ピン上に拡大した直径の端部を形成する目的で、ピンに圧力をかけて、それによりピンの材料の変形を引き起こし、スリーブの窪み部内へのピンの材料流動(flows of material)により、スリーブの窪み部の位置で、ピンの材料隆起部の形成を誘発するステップとを含む。
【0019】
本発明による方法のさらなる態様が、上述において開示されている特徴または特徴の組合せのいずれかを有するブッシュ、スリーブ、リンクプレート、およびピンのうちの1つまたは複数の適切な使用に関することが理解され得る。
【0020】
本発明のさらなる特徴および利点が、ターボチャージャおよびターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構の構成要素の例示的非制限的実施形態によって、本発明の説明から明らかになるであろう。
【0021】
ターボチャージャおよび本発明によるウエストゲートアクチュエータ機構の構成要素の説明された実施形態は事実上例示的なものに過ぎず、いずれにしろ、特許請求の範囲において定められる保護範囲を制限すると見なされるべきでないことを、当業者は理解するであろう。ウエストゲートアクチュエータ機構の代替案および等価の実施形態が、本発明の保護範囲から逸脱することなく、着想され、実施に移され得ることを、当業者は認識するであろう。
【0022】
添付の図面紙上の図が参照される。図は事実上概略的であり、かつしたがって必ずしも縮尺通りに描かれていない。さらに、等しい参照番号は同一部品または類似部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態によるターボチャージャの図である。
【
図2】本発明の実施形態によるターボチャージャの図である。
【
図3】ターボチャージャのウエストゲートシステムのウエストゲートアクチュエータ機構の実施形態の部分の図である。
【
図4】ウエストゲートアクチュエータ機構のリンクプレートの実施形態の図である。
【
図5】ウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるブッシュの実施形態の図である。
【
図7】リンクプレートとブッシュとのアセンブリの部分の図であり、ブッシュはリンクプレートの目穴部内に配置されている、図である。
【
図9】リンクプレートとブッシュとのフォーム閉配置(form closed arrangement)の図である。
【
図10】ウエストゲートアクチュエータ機構内に含まれるスリーブの実施形態の図である。
【
図11】ウエストゲートアクチュエータ機構のレバープレート、ピン、およびスリーブのアセンブリの図である。
【
図12】ピンとスリーブとのフォーム閉配置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2は、本発明の実施形態によるターボチャージャ100を図示する。ターボチャージャ100の一般設計は、広く知られているターボチャージャの一般設計と同等であり、したがって、本文では簡潔に説明されるのみである。
【0025】
ターボチャージャ100は、タービンハウジング110内に収容されているタービンホイールと、コンプレッサハウジング120内に収容されているコンプレッサホイールとを含む。タービンホイールとコンプレッサホイールとは、一体的に回転可能であるように、回転シャフトにより互いに接続されている。ターボチャージャ100の入口130が内燃エンジンの排ガス出口に接続可能である。回転中、流入排ガス流が、相互接続されたタービンホイールとコンプレッサホイールとの回転を引き起こす。コンプレッサホイールは空気を圧縮するように作用し、このように得られた圧縮空気は、内燃エンジンの入口に接続可能な、ターボチャージャ100の出口140を通して放出される。
【0026】
ターボチャージャ100は、流入排ガス流のためのバイパス路を設けかつバイパス路内に配置されているバルブを含むウエストゲートシステム200と、バルブの位置を制御するためのウエストゲートアクチュエータ機構300とを含む。例えば、エンジンが過剰な排ガス量を放出する場合、排ガスの一部分のみまたは全てがタービンホイールを迂回することを許されるように、ウエストゲートアクチュエータ機構300はバルブを開くように動作させられる。そのように、タービンの回転速度の過剰な上昇は防止され、給気圧が制限された状態に保たれる。
【0027】
図示の実施形態では、ウエストゲートアクチュエータ機構300は、バルブに連結されているレバープレート330と、コンプレッサハウジング120に配置されているアクチュエータ340と、アクチュエータ340からレバープレート330まで延在している細長いリンクプレート310とを含み、リンクプレート310は、レバープレート330に取り付けられているピン320上に係合することにより、レバープレート330に連結される。アクチュエータ340は、図示の実施形態の場合と同様に、レバープレートも含み得る。ピン320は、リンクプレート310に設けられている目穴部311を部分的に貫通して延在しており、リンクプレート310とピン320とは、ピン320の長手方向に延びる回転軸Rを中心として、互いに対して回転可能である。動作中、リンクプレート310は、アクチュエータ340からバルブへ駆動力を伝達するように機能する。
【0028】
図3を参照すると、ウエストゲートアクチュエータ機構300は、リンクプレート310とピン320との間のリンクプレート310の目穴部311の位置に配置されている摺動アセンブリ400をさらに含むことに留意すべきである。摺動アセンブリ400は、リンクプレート310に固定された状態で接続されているブッシュ410と、ピン320に固定された状態で接続されているスリーブ420とを含み、ブッシュ410の内面413とスリーブ420の外面424とが摺動可能な状態で接触している。ブッシュ410およびスリーブ420は、炭化タングステンなどの硬い/耐久性のある材料で作製される一方、リンクプレート310およびピン320は、ステンレス鋼などの別の耐久性に劣る材料で作製され得ることが有利である。
【0029】
図4は、その2つの目穴部311の各々にブッシュ410が設けられているリンクプレート310の選択肢を示す。これは、ブッシュ410とスリーブ420とを含む摺動アセンブリ400がアクチュエータ340の位置にも適用され得ることを暗示する。
【0030】
図5は、ブッシュ410の実施形態を図示する。ブッシュ410は一般にリング形状であり、略円形の内周と略円形の外周とを有する。最初に、ブッシュ410は、摺動アセンブリ400の2つの協働摺動可能な状態で接触面のうちの1つとして機能するように構成されている滑らかな内面413を有することが強調される。次に、ブッシュ410には、その2つの軸方向端部の各々に面取り外縁部412と、それぞれの面取り外縁部412に配置されている窪み部411とが設けられていることに留意すべきである。それぞれの面取り外縁部412の各々において、窪み部411は、2つの隣接した窪み部411間の周囲距離がいかなる2つの隣接した窪み部411に関しても同一である規則的なパターンで、周方向にブッシュ410上に分散している。
図5に示されているブッシュ410の実施形態では、窪み部411は切欠きを含む。
図6は、窪み部411は、長手方向にブッシュ410の外面414に沿って延在している溝部をさらに含み得ることを示すために、ブッシュ410の代替的実施形態を図示する。
【0031】
上述において言及されている通り、ウエストゲートアクチュエータ機構300では、ブッシュ410はリンクプレート310に固定された状態で接続されている。
図7、
図8および
図9を参照して、かつ
図5に示されているブッシュ410の実施形態の上述の説明を参照して、固定された状態で接続が実現され得る実用的方法をここで説明する。周方向と長手方向の両方の、ブッシュ410とリンクプレート310との間の(微小)移動を回避するために、固定された状態で接続を有することが重要であることに留意すべきである。
【0032】
本発明によれば、ブッシュ410は、ウエストゲートアクチュエータ機構300の組立工程中、リンクプレート310の目穴部311内へ圧入される。ブッシュ410は、リンクプレート310の目穴部311に嵌合する寸法になっている。ブッシュ410の外径が、目穴部311の内径と同一であるかまたはそれよりも少し大きいように選択され得る。さらに、リンクプレート310は、特別な周囲変形領域A、Bを備えて設計されており、進入変形領域Aが、目穴部311の内面314に至る、リンクプレート310の本体表面312、313のうち一方の本体表面の移行位置に配置されており、停止変形領域Bが、目穴部311の内面314に至る、リンクプレート310の本体表面312、313のうち他方の本体表面の移行位置に配置されている。停止変形領域Bは機械加工された周囲停止縁部315を含む。
【0033】
ブッシュ410が目穴部311内へ圧入される場合、これは、進入変形領域Aが存在する、リンクプレート310の側から行われる。ブッシュ410の移動方向に認められるように前面に存在する、ブッシュ410の面取り外縁部412が停止縁部315に到達した場合、ブッシュ410の移動は停止される。ブッシュ410にかけられる圧力の影響下で、停止縁部315は変形し、リンクプレート310の材料隆起部316の形成が、停止縁部315の位置における、ブッシュ410の窪み部411内へのリンクプレート310の材料流動により、ブッシュ410の窪み部411の位置において誘発される。さらに、変形領域Aの位置において、リンクプレート310の材料隆起部316の形成が、適切な押圧具により変形領域Aに圧力をかけ、それによりリンクプレート310の材料を径方向に内向きに変位させることにより、同様に誘発される。この工程において、材料の変位の結果として、周囲窪み部317が変形領域A内に形成される。ブッシュ410の窪み部411に受容されている、リンクプレート310の材料隆起部316に基づいて、ブッシュ410の両軸方向端部において、周方向と長手方向の両方の、リンクプレート310とブッシュ410との相対運動が防止される。
【0034】
図10は、スリーブ420の実施形態を図示する。スリーブ420は略リング形状であり、略円形の内周と略円形の外周とを有する。第1に、スリーブ420は、摺動アセンブリ400の2つの協働摺動可能な状態で接触面の1つとして機能するように構成されている滑らかな外面424を有することが強調される。外面424は、長手方向に若干凸状に湾曲した外形を有し、その結果、スリーブ420とブッシュ410との間の摺動可能な状態で接触は、スリーブ420の外面424とブッシュ410の内面413との画定された大体中心の部分に沿って起こることが有利である。第2に、
図11および
図12に認められるように、スリーブ420の内面425は、錐台状のピン320の錐状部321を取り巻くことが意図されているスリーブ420の拡大部423の位置において、テーパ状になることに留意すべきである。第3に、スリーブ420には、その内面425に窪み部421が設けられていることに留意すべきである。窪み部421は、2つの隣接した窪み部421間の周囲距離が任意の2つの隣接した窪み部421に関して同一である規則的なパターンで、周方向にスリーブ420上に分散している。
図10に示されているスリーブ420の実施形態では、窪み部421は、長手方向に認められるように、スリーブ420の相当な部分に沿って延在している切欠きを含む。さらに、スリーブ420には、スリーブ420の内面425から内向きに突出するように配置されているスパイク422が設けられている。
【0035】
上述において言及されている通り、ウエストゲートアクチュエータ機構300内で、スリーブ420はピン320に固定された状態で接続されている。固定された状態で接続が実現され得る実用的方法をここで説明する。周方向と長手方向の両方の、スリーブ420とピン320との間の(微小)移動を回避するために、固定された状態で接続を有することが重要であることに留意すべきである。
【0036】
本発明によれば、スリーブ420は、ウエストゲートアクチュエータ機構300の組立て工程中、ピン320上に配置され、一方、ピン320は、
図11および
図12に示されているように、ピン320が拡大された直径の端部322を有さない、まだ設けられていない製造状態にある。上述において提案されている通り、ピン320上のスリーブ420の正確な位置が、ピン320の錐状部321を取り巻く、スリーブ420の拡大部423を含む。その後、ピン320とピン320上に配置されているスリーブ420との組合せは、レバープレート330に対して導入され、ピン320の部分がレバープレート330の目穴部を貫通して挿入される。ピン320と、スリーブ420と、レバープレート330との固定構造が、圧力の影響下での拡大された直径の端部322を形成する工程において、すなわちピン320のリベット打ち工程において、実現される。リベット打ち工程の結果として、レバープレート330とスリーブ420とが、一方の側のピン320の端部322と他方の側のピン320の錐状部321との間でクランプ締めされる構造が得られる。リベット打ち工程中、ピン320の材料が変形するように作製され、ピン320の材料隆起部323の形成が、スリーブ420の窪み部421内へのピン320の材料流動により、スリーブ420の窪み部421の位置において誘発される。また、スリーブ420のスパイク422はピン320の材料内へ侵入する。
【0037】
スリーブ420の窪み部421に受容されるピン320の材料隆起部323に基づいて、ピン320とスリーブ420との周方向の相対運動が防止される。スリーブ420のスパイク422がピン320の材料内へ侵入することに基づいて、さらなる固定成果が達成される。ピン320の錐状部321を取り巻く、スリーブ420の拡大部423に基づいて、スリーブ420とピン320との熱膨張の差異を補償するように適合された構造が得られる。動作中、ピン320は、長手方向と径方向の両方に膨張する。円錐外面324の位置において、膨張はピン320からスリーブ420への力の伝達を引き起こす。ピン320の錐状部321とスリーブ420の拡大部分423との円錐角は、温度上昇を含む状態において、スリーブ420への接触の影響下でピン320の材料の変形が防止されるように、ピン320が過剰な圧力を加えられないように選択され得る。
【0038】
分かりやすくするために、リンクプレート310の目穴部311内にブッシュ410を導入する前述の工程において、リンクプレート310の材料が、局所的に変位し変形するように作製される比較的柔らかい材料である一方、ブッシュ410の比較的硬い材料はその最初の形状を維持し、その上、スリーブ420をピン320上に導入する前述の工程において、ピン320の材料が、局所的に変位し変形するように作製される比較的柔らかい材料である一方、スリーブ420の比較的硬い材料はその最初の形状を維持することに留意すべきである。
【0039】
図11および
図12に示されているように、スリーブ420とレバープレート330との間にワッシャ426を使用することが実践的可能性である。そのような場合、それは、一方の側のピン320の端部322と他方の側のピン320の錐状部321との間にクランプ締めされている、レバープレート330とワッシャ426とスリーブ420との積層である。ワッシャ426を適用することに関わる利点が、長手方向の熱膨張差異の減少と、長手方向のスリーブ420の寸法を縮小することによりスリーブ420の比較的高価な材料を節約する可能性とを含む。
【0040】
本発明による上述から判断すると、ブッシュ410とリンクプレート310との組合せ、およびスリーブ420とピン320との組合せは、それぞれの組合せの組立て中、他方の構成要素が一方の構成要素内に/上に導入される時に所定の方法で変形させられている一方の構成要素の材料に基づいて、固定された状態で接続が得られるように設計されることが可能であり、他方の構成要素には、一方の構成要素からの材料隆起部316、323を受容するための窪み部411、421が設けられており、一方の構成要素に、リンクプレート310の前述の停止縁部315などの特定の変形特徴が設けられることがさらに可能である、ということになる。窪み部411、421および材料隆起部316、323を含むフォーム閉構造に基づいて、良好な固定成果が得られ得るが、本発明は、固定された状態で接続される構成要素の両方を貫通して延在するように配置される係止ピンの適用などの、追加固定手段の適用を除外しない。さらに、ブッシュ410とリンクプレート310との組合せとスリーブ420とピン320との組合せの両方が、窪み部411、421内に収容されている材料隆起部316、323に依存するフォーム閉構造を含む場合、それは有利である可能性があるが、本発明が、そのようなフォーム閉構造がそれぞれの組合せの一方だけに適用されている選択肢も対象とすることに違いはない。
【0041】
本発明の範囲は、上述において検討されている例に限定されず、いくつかのその修正および変更が、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲から逸脱することなく可能であることが、当業者に明らかになるであろう。詳細には、本発明の様々な態様の特定の特徴の組合せが行われ得る。本発明のある態様が、本発明の別の態様に関連して説明された特徴を追加することにより、さらに有利に強化され得る。本発明を図および明細書本文において詳細に例示し、説明したが、そのような例示および説明は説明に役立つかまたは例示的であるに過ぎず、制限的でないと見なされるべきである。
【0042】
本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する変形形態が、特許請求された発明の実践において、図、明細書本文、および添付の特許請求の範囲の検討によって、当業者により理解され、達成され得る。特許請求の範囲において、「comprising(含む)」という用語は他のステップまたは要素を除外せず、「a」または「an」という不定冠詞は複数を除外しない。一定の手段が相互に異なる従属クレームに記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが利用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照番号が本発明の範囲を制限すると見なされるべきでない。
【0043】
本発明の注目に値する態様が次の通り要約される。本発明は、細長いリンクプレート310と、レバープレート330に取り付けられているピン320とを含む、ウエストゲートアクチュエータ機構300に関する。ピン320は、リンクプレート310に設けられている目穴部311を部分的に貫通して延在しており、リンクプレート310とピン320とは、ピン320の長手方向に延びる回転軸Rを中心として、互いに対して回転可能である。ウエストゲートアクチュエータ機構300は、リンクプレート310の目穴部311の位置にリンクプレート310とピン320との間に配置されており、かつリンクプレート310に固定された状態で接続されているブッシュ410と、ピン320に固定された状態で接続されているスリーブ420とを含む摺動アセンブリ400をさらに含み、ブッシュ410の内面413とスリーブ420の外面424とは摺動可能な状態で接触している。ブッシュ410とリンクプレート310との接触面において、ブッシュ410に窪み部411が設けられており、ブッシュ410とリンクプレート310との組立て中に圧力下で成形された、リンクプレート310の材料隆起部316は窪み部411に受容される。さらにまたはあるいは、スリーブ420とピン320との接触面において、スリーブ420に窪み部421が設けられており、スリーブ420とピン320との組立て中に圧力下で成形された、ピン320の材料隆起部323が窪み部421に受容される。ウエストゲートアクチュエータ機構300の組立ての観点から、これは、ブッシュ410をリンクプレート310の目穴部311内へ圧入することにより、ブッシュ410をリンクプレート310に固定された状態で接続し、スリーブ420をピン320上に配置することにより、スリーブ420をピン320上に固定された状態で接続する工程および/または作用において、リンクプレート310の材料が変形し、ブッシュ410の窪み部411に受容されることを可能にし、ピン320上の拡大された直径の端部322を形成する工程において、ピン320の材料が変形し、スリーブ420の窪み部421に受容されることを可能にする作用を暗示する。
【符号の説明】
【0044】
100 ターボチャージャ
110 タービンハウジング
120 コンプレッサハウジング
130 ターボチャージャの入口
140 ターボチャージャの出口
200 ウエストゲートシステム
300 ウエストゲートアクチュエータ機構
310 リンクプレート
311 リンクプレートの目穴部
312、313 リンクプレートの本体表面
314 目穴部の内面
315 停止縁部
316 リンクプレートの材料隆起部
317 周囲窪み部
320 ピン
321 ピンの錐状部
322 ピンの端部
323 ピンの材料隆起部
324 ピンの外面
330 レバープレート
340 アクチュエータ
400 摺動アセンブリ
410 ブッシュ
411 ブッシュの窪み部
412 面取り外縁部
413 ブッシュの内面
414 ブッシュの外面
420 スリーブ
421 スリーブの窪み部
422 スパイク
423 スリーブの拡大部
424 スリーブの外面
425 スリーブの内面
426 ワッシャ
A 進入変形領域
B 停止変形領域
R 回転軸
【国際調査報告】