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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】膵内分泌細胞の分化
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230824BHJP
   A61K 35/39 20150101ALI20230824BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/395 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230824BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C12N5/071
A61K35/39
A61K45/06
A61K31/20
A61K31/22
A61K31/395
A61K38/05
A61K38/18
A61K31/426
A61K31/203
A61K31/496
A61K31/4375
A61K38/22
A61K31/553
A61K31/519
A61K31/437
A61K35/12
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506497
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021044080
(87)【国際公開番号】W WO2022026932
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/059,433
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ハーブ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,チュンフイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA22
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA32
4C084BA44
4C084DB30
4C084DB54
4C084DB61
4C084DC32
4C084NA05
4C084ZC35
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086BC57
4C086BC82
4C086CB05
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA12
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB51
4C087BB63
4C087BB64
4C087CA04
4C087MA02
4C087NA14
4C087ZC35
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA05
4C206DA11
4C206DB03
4C206DB04
4C206DB56
(57)【要約】
幹細胞の膵臓内分泌細胞への分化に関連する組成物および方法が本明細書で開示される。一部の態様では、本明細書において提供される方法は、in vitroで膵β細胞、α細胞、δ細胞、およびEC細胞の産生に関する。一部の態様では、本開示は、本明細書で開示される方法に従って産生された細胞を含む医薬組成物、ならびにそれらを使用する処理の方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞をROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させることによって、前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を産生させるステップと、
(b)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と接触させるステップと、
(c)前記第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む第2の組成物と接触させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
(a)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と接触させるステップと、
(b)前記第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と接触させるステップと
を含む方法。
【請求項3】
前記第2の期間後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる第3の組成物と接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(a)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と接触させるステップと、
(b)前記第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と接触させるステップと、
(c)前記第2の期間後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性、の膵前駆細胞の少なくとも一部をNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる第3の組成物と接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップと
を含む方法であって、前記NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団は、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される、対応する細胞集団と比較して、
(i)グルカゴンを発現する細胞の増加した割合;
(ii)VMAT1を発現する細胞の減少した割合;
(iii)ソマトスタチンを発現する細胞の増加した割合;または
(iv)C-ペプチドを発現する細胞の増加した割合を含む方法。
【請求項5】
前記第3の組成物が、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の組成物が、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される分化因子を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の組成物が、前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、前記エピジェネティック修飾化合物、前記EGFファミリーからの成長因子、前記RAシグナル伝達経路活性化剤、前記SHH経路阻害剤、前記γ-セクレターゼ阻害剤、前記プロテインキナーゼ阻害剤、前記ROCK阻害剤、および前記BMPシグナル伝達経路阻害剤を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の組成物が前記PKC活性化剤を含まない、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1の組成物が、前記ROCK阻害剤、前記TGFβスーパーファミリーからの成長因子、前記FGFファミリーからの成長因子、前記RAシグナル伝達経路活性化剤、および前記SHH経路阻害剤を含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第2の組成物が、前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、前記EGFファミリーからの成長因子、前記RAシグナル伝達経路活性化剤、前記SHH経路阻害剤、前記THシグナル伝達経路活性化剤、前記プロテインキナーゼ阻害剤、前記ROCK阻害剤、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤、および前記エピジェネティック修飾化合物を含む、請求項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団が、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される対応する細胞集団と比較して、
(i)ソマトスタチンを発現する細胞の増加した割合;
(ii)グルカゴンを発現する細胞の増加した割合;
(iii)VMAT1を発現する細胞の減少した割合;または
(iv)C-ペプチドを発現する細胞の増加した割合
を含む、請求項3または5から10に記載の方法。
【請求項12】
NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団が、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される対応する細胞集団と比較して、
(i)ソマトスタチンを発現する細胞の増加した割合;
(ii)グルカゴンを発現する細胞の増加した割合;
(iii)VMAT1を発現する細胞の減少した割合;および
(iv)C-ペプチドを発現する細胞の増加した割合
を含む、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団が、フローサイトメトリーによって測定して、
ソマトスタチンを発現する少なくとも約4%の細胞、
グルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞、
VMAT1を発現する多くとも約35%の細胞、または
C-ペプチドを発現する少なくとも約40%の細胞
を含む、請求項3から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団が、フローサイトメトリーによって測定して、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される対応する細胞集団と比較して、
ソマトスタチンを発現する少なくとも約100%を超える細胞、
グルカゴンを発現する少なくとも約200%を超える細胞、
VMAT1を発現する少なくとも約50%より少ない細胞、または
C-ペプチドを発現する少なくとも約20%を超える細胞
を含む、請求項3から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の期間が1~3日である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の期間が約2日である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の期間が1~3日である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の期間が約2日である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記PKC活性化剤が、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記PKC活性化剤がPDBUを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記PKC活性化剤が、100nM~1000nMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記PKC活性化剤が、約500nMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記γ-セクレターゼ阻害剤がXXIを含む、請求項1、2または6から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記γ-セクレターゼ阻害剤が、0.5μM~10μMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される、請求項1から3または5から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記γ-セクレターゼ阻害剤が、約2μMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される、請求項1から3または5から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を含む組成物と接触させ、前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を得るステップ
をさらに含む、請求項2から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞を、ROCK阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、BMPシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞を前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させるステップ
をさらに含む、請求項1または26に記載の方法。
【請求項28】
胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記胚体内胚葉細胞を前記FOXA2陽性、PDX1陰性腸管細胞に分化させるステップ
をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
(a)集団中の多能性幹細胞をTGF-βスーパーファミリーからの成長因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と接触させることによって、前記多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、
(b)前記胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記胚体内胚葉細胞をFOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞に分化させるステップと、
(c)前記FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞を、ROCK阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、BMPシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させるステップと、
(d)前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞をROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させることによって、前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、
(e)1~3日の第1の期間、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と共にインキュベートするステップと、
(f)(e)の後に、1~3日の第2の期間、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記PKC活性化剤、前記γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と共にインキュベートするステップと、
(g)(f)の後に、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させることによって、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団に分化させるステップと
を含む方法。
【請求項30】
(A)前記SHH経路阻害剤がSANT1を含む;
(B)前記RAシグナル伝達経路活性化剤がレチノイン酸を含む;
(C)前記γ-セクレターゼ阻害剤がXXIを含む;
(D)前記EGFファミリーからの成長因子がベータセルリンを含む;
(E)前記BMPシグナル伝達経路阻害剤がLDNもしくはDMHを含む;
(F)前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤がAlk5阻害剤IIを含む;
(G)前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤がGC-1を含む;
(H)前記プロテインキナーゼ阻害剤がスタウロスポリンを含む;
(I)前記ROCK阻害剤がチアゾビビンを含む;または
(J)前記エピジェネティック修飾化合物がDZNep、GSK126、もしくはEPZ6438を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、
(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤およびγ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、
(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップと
を含む方法。
【請求項32】
細胞集団を、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGFβスーパーファミリーからの成長因子およびFGFファミリーからの成長因子の一方または両方と接触させるステップを含む方法であって、細胞集団はPDX1陽性細胞を含む方法。
【請求項33】
細胞集団がPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
細胞集団がPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(a)1~5日間以下の期間、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、
(b)第1の細胞集団をγセクレターゼ阻害剤と接触させるステップと
を含む方法。
【請求項36】
ステップ(a)の接触が、4日間または5日間の期間である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(b)が、第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させるステップをさらに含む、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、
(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップであって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体であるステップと、
(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップと
を含む方法。
【請求項39】
ベンゾラクタム誘導体がTPPBである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(b)が、第1の細胞集団をγ-セクレターゼ阻害剤と接触させるステップをさらに含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
方法が、
(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップ
をさらに含む、請求項31から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(d)が、第3の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含まない、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(d)が、第3の細胞集団をγ-セクレターゼ阻害剤と接触させるステップを含まない、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(d)が、第3の細胞集団をSHH経路阻害剤と接触させるステップを含まない、請求項41から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ステップ(d)が、第3の細胞集団をEGFファミリーからの成長因子と接触させるステップを含まない、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
方法が、
(e)第4の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップ
をさらに含む、請求項31から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(e)が、第4の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、
(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、
(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにγ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップと、
(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップと、
(e)第4の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびに血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップと、
を含む方法。
【請求項49】
ステップ(e)が、第4の細胞集団を血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(a)が、1、2、3、4、5または6日間にわたって行われる、請求項31から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(a)が、3~5日間(例えば、4日間)にわたって行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(b)が、1、2、3または4日間にわたって行われる、請求項31から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(b)が、1~3日間(例えば、2日間)にわたって行われる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ステップ(c)が、1、2、3、または4日間にわたって行われる、請求項31から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
ステップ(c)が、1~3日間(例えば、2日間)にわたって行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ステップ(d)が、1、2、3、4、5、6、または7日間にわたって行われる、請求項31から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
ステップ(d)が、4~6日間(例えば、5日間)にわたって行われる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ステップ(e)が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間にわたって行われる、請求項46から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
ステップ(e)が、10~12日間にわたって行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
第1の細胞集団が、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞および/またはPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、請求項31から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
第2の細胞集団が、PDX1陽性およびNKX6.1陽性細胞を含む、請求項31から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
第3の細胞集団が、PDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陰性細胞および/またはPDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項31から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
第4の細胞集団が、PDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項41から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
第5の細胞集団が、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない細胞を含む、請求項46から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
第4の細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞が、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
第4の細胞集団における40~60%の細胞が、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
第4の細胞集団が、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現しない細胞を含む、請求項41から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
第4の細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%の細胞が、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現しない、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
第4の細胞集団における10~25%の細胞が、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
第4の細胞集団が、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない細胞を含む、請求項41から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
第4の細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞が、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
ステップ(a)が、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させるステップを含む、請求項31から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
ステップ(b)が、第1の細胞集団を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させるステップを含む、請求項31から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
ステップ(c)が、第2の細胞集団を、ガンマ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む、請求項31から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
ステップ(d)が、第3の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む、請求項41から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ステップ(a)、(b)、(c)、(d)および/または(e)において使用するためのROCK阻害剤が、チアゾバビンまたはY-27632である、請求項31から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ステップ(a)および/または(b)において使用するためのTGFβスーパーファミリーからの成長因子がアクチビンAである、請求項31から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
ステップ(a)および/または(b)において使用するためのFGFファミリーからの成長因子がKGFである、請求項31から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
ステップ(a)、(b)および/または(c)において使用するためのRAシグナル伝達経路活性化剤がレチノイン酸である、請求項31から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
ステップ(a)、(b)および/または(c)において使用するためのSHH経路阻害剤がSant-1である、請求項31から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
ステップ(b)、(c)および/または(d)において使用するためのPKC活性化剤が、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される、請求項31または41から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
PKC活性化剤がPDBUである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
ステップ(b)および/または(c)において使用するためのγ-セクレターゼ阻害剤がXXIである、請求項31から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのTGF-βシグナル伝達経路阻害剤がALK5iである、請求項31から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
ステップ(c)において使用するためのEGFファミリーからの成長因子がベータセルリンである、請求項31から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのTHシグナル伝達経路活性化剤が、T3、GC-1または甲状腺ホルモン誘導体である、請求項31から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのプロテインキナーゼ阻害剤がスタウロスポリンである、請求項31から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのBMPシグナル伝達経路阻害剤が、LDN193189またはDMH-1である、請求項31から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのエピジェネティック修飾化合物がDZNepである、請求項31から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物。
【請求項91】
組成物における少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の細胞が、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞である、請求項90に記載の組成物。
【請求項92】
組成物における90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%または10%未満の細胞が、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞である、請求項90または91に記載の組成物。
【請求項93】
前記PKC活性化剤が、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される、請求項90から92のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項94】
γ-セクレターゼ阻害剤がDAPTである、請求項90から93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項95】
γ-セクレターゼ阻害剤がXXIである、請求項90から93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項96】
組成物がFGFファミリーからの成長因子をさらに含む、請求項90から95のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項97】
FGFファミリーからの成長因子がKGFである、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
組成物がTGFβスーパーファミリーの成長因子をさらに含む、請求項90から97のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項99】
TGFβスーパーファミリーの成長因子がアクチビンAである、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;およびPKC活性化剤を含むin vitro組成物であって、PKC活性化剤がベンゾラクタム誘導体である組成物。
【請求項101】
PKC活性化剤がTPPBである、請求項90から100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項102】
組成物がγ-セクレターゼ阻害剤をさらに含む、請求項100または101に記載の組成物。
【請求項103】
γ-セクレターゼ阻害剤がXXIである、請求項102に記載の組成物。
【請求項104】
γ-セクレターゼ阻害剤がDAPTである、請求項102に記載の組成物。
【請求項105】
TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、請求項90から104のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項106】
血清アルブミンタンパク質をさらに含む、請求項90から105のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項107】
血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、SHH経路阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤をさらに含む、請求項90から106のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項108】
ROCK阻害剤がチアゾバビンである、請求項105から107のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項109】
RAシグナル伝達経路活性化剤がレチノイン酸である、請求項105から108のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項110】
SHH経路阻害剤がSant-1である、請求項105から109のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項111】
TGF-βシグナル伝達経路阻害剤がALK5iである、請求項105から110のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項112】
EGFファミリーからの成長因子がベータセルリンである、請求項105から111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項113】
甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤が、T3、GC-1または甲状腺ホルモン誘導体である、請求項105から112のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項114】
プロテインキナーゼ阻害剤がスタウロスポリンである、請求項105から113のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項115】
BMPシグナル伝達経路阻害剤が、LDN193189またはDMH-1である、請求項105から114のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項116】
エピジェネティック修飾化合物がDZNepである、請求項105から115のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項117】
in vitro細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団が、
C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞;ならびに
(i)VMAT1を発現する多くとも約35%の細胞、および/または
(ii)グルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞
を含む組成物。
【請求項118】
前記細胞集団が、VMAT1を発現する多くとも約30%の細胞、およびグルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞を含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項119】
細胞のパーセンテージがフローサイトメトリーによって測定される、請求項117または118に記載の組成物。
【請求項120】
前記細胞集団が、グルカゴンを発現し、ソマトスタチンを発現しない少なくとも約15%の細胞を含む、請求項117から119のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項121】
前記細胞集団が、ソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない少なくとも約4%の細胞を含む、請求項117から120のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項122】
細胞集団を含む組成物であって、
a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、もしくは80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;
b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、もしくは35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに/または
c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、もしくは15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物。
【請求項123】
細胞集団を含む組成物であって、
a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;
b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに
c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物。
【請求項124】
細胞集団を含む組成物であって、
a)細胞集団における5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~35%、20~30%、20~25%、25~35%、25~30%、もしくは30~35%の細胞は、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現せず;
b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、もしくは35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;および/または
c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、もしくは15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物。
【請求項125】
細胞集団を含む組成物であって、
a)細胞集団における5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~35%、20~30%、20~25%、25~35%、25~30%、または30~35%の細胞は、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現せず;
b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;および
c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物。
【請求項126】
細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞が、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない、請求項124または125に記載の組成物。
【請求項127】
a)細胞集団における40~60%の細胞が、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1は発現せず;
b)細胞集団における10~25%の細胞が、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンは発現せず;ならびに
c)細胞集団における4~10%の細胞が、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンは発現しない、請求項122から126のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項128】
細胞集団における25%未満、20%未満、18%未満、15%未満、12%未満、または10%未満の細胞が、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現しない、請求項127に記載の組成物。
【請求項129】
細胞集団が、in vitroで幹細胞から産生される、請求項117から128のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項130】
C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞が、in vitroでグルコース刺激インスリン分泌応答を呈す、請求項117から129のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項131】
グルコースチャレンジに応答して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞によるインスリンの分泌が、グルコースチャレンジのグルコース濃度に比例する、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞が、1回または複数のグルコースチャレンジに応答してインスリンを分泌する、請求項130または131に記載の組成物。
【請求項133】
C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞が、第1のグルコースチャレンジ、第2のグルコースチャレンジ、および第3のグルコースチャレンジに応答してインスリンを分泌し、第1のグルコースチャレンジ、第2のグルコースチャレンジ、および第3のグルコースチャレンジが連続的に適用される、請求項130から132に記載の組成物。
【請求項134】
請求項90から133のいずれか一項に記載の組成物、または請求項1から89のいずれか一項に記載の方法に従って生成された細胞集団、および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項135】
請求項90から134のいずれか一項に記載の組成物、または請求項1から89のいずれか一項に記載の方法に従って生成された細胞集団を含むデバイスであって、デバイスは、対象に埋め込まれた場合、インスリンを生成し、放出するように構成されるデバイス。
【請求項136】
対象を処置する方法であって、請求項90から134のいずれか一項に記載の組成物、または請求項1から89のいずれか一項に記載の方法に従って生成された細胞集団、または請求項135に記載のデバイスと共に、対象に投与するステップを含む方法。
【請求項137】
PDX1陽性細胞、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGFβスーパーファミリーからの成長因子およびFGFファミリーからの成長因子のうちの一方または両方を含むin vitro組成物。
【請求項138】
細胞の組成物がPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む、請求項137に記載の組成物。
【請求項139】
細胞の組成物がPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、請求項138に記載の組成物。
【請求項140】
組成物が、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか1つまたはそれらの組合せをさらに含む、請求項137から139のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項141】
PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含む、in vitro組成物。
【請求項142】
γ-セクレターゼ阻害剤がXXIである、請求項141に記載の組成物。
【請求項143】
組成物における少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の細胞が、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞である、請求項141または142に記載の組成物。
【請求項144】
組成物における90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の細胞が、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞である、請求項141から143のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項145】
FGFファミリーからの成長因子をさらに含む、請求項141から144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項146】
FGFファミリーからの成長因子がKGFである、請求項145に記載の組成物。
【請求項147】
ソニックヘッジホッグ経路阻害剤をさらに含む、請求項141から146のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項148】
ソニックヘッジホッグ経路阻害剤がSANT-1である、請求項147に記載の組成物。
【請求項149】
ROCK阻害剤をさらに含む、請求項141から148のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項150】
ROCK阻害剤がチアゾビビンである、請求項149に記載の組成物。
【請求項151】
TGFβスーパーファミリーからの成長因子をさらに含む、請求項141から150のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項152】
TGFβスーパーファミリーからの成長因子がアクチビンAである、請求項151に記載の組成物。
【請求項153】
レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤をさらに含む、請求項141から152のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項154】
レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤がレチノイン酸である、請求項153に記載の組成物。
【請求項155】
PKC活性化剤をさらに含む、請求項141から154のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項156】
PKC活性化剤がPDBUである、請求項155に記載の組成物。
【請求項157】
組成物が、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか2つをさらに含む、請求項141から144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項158】
組成物が、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか3つをさらに含む、請求項141から144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項159】
組成物が、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか4つをさらに含む、請求項141から144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項160】
組成物が、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか5つをさらに含む、請求項141から144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項161】
組成物が、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか6つをさらに含む、請求項141から144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項162】
請求項141から161のいずれか一項に記載の組成物を含むデバイスであって、デバイスは、対象に埋め込まれた場合、インスリンを生成し、放出するように構成されるデバイス。
【請求項163】
請求項141から161のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与するステップ、または請求項162に記載のデバイスを対象に埋め込むステップを含む、対象を処置する方法。
【請求項164】
NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって、集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含み、集団における少なくとも73%の細胞がISL1陽性細胞である集団。
【請求項165】
NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって、集団における少なくとも40%の細胞はNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である集団。
【請求項166】
集団における12%未満の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である、請求項164または165に記載の集団。
【請求項167】
NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって、集団における12%未満の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である集団。
【請求項168】
集団における10%未満、8%未満、6%未満、または4%未満の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である、請求項165から167のいずれか一項に記載の集団。
【請求項169】
集団における少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも73%、少なくとも75%、または少なくとも80%の細胞がISL1陽性細胞である、請求項165から168のいずれか一項に記載の集団。
【請求項170】
集団における2~12%、4~12%、6~12%、8~12%、2~8%、4~8%、3~6%または3~5%の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である、請求項165から169のいずれか一項に記載の集団。
【請求項171】
集団における50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、50~70%、50~60%、60~90%、60~85%、60~80%、60~75%、60~70%、65~90%、65~85%、65~80%、65~75%、65~70%、70~90%、70~85%、70~80%、70~75%、75~90%、75~85%、75~80%、80~90%、80~85%、または85~90%の細胞が、ISL1陽性細胞である、請求項165から170のいずれか一項に記載の集団。
【請求項172】
集団が、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含む、請求項165から171のいずれか一項に記載の集団。
【請求項173】
集団における少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%、約4~11%、または約5~10%の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である、請求項165から172のいずれか一項に記載の集団。
【請求項174】
集団における少なくとも40%の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である、請求項165から173のいずれか一項に記載の集団。
【請求項175】
集団における少なくとも45%、少なくとも50%、約40~50%、約45~55%、または約50~55%の細胞が、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である、請求項165から174のいずれか一項に記載の集団。
【請求項176】
集団における少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、約85~95%、または約90~95%の細胞が、ISL1陽性細胞である、請求項165から175のいずれか一項に記載の集団。
【請求項177】
集団が、幹細胞由来ベータ細胞よりも多くの幹細胞由来アルファ細胞を含む、請求項165から176のいずれか一項に記載の集団。
【請求項178】
細胞集団がin vitroで幹細胞に由来する、請求項165から177のいずれか一項に記載の集団。
【請求項179】
培地をさらに含む、請求項165から178のいずれか一項に記載の集団。
【請求項180】
培地が糖を含む、請求項179に記載の集団。
【請求項181】
糖がスクロースまたはグルコースである、請求項180に記載の集団。
【請求項182】
培地が、約0.05%~約1.5%の濃度で糖を含む、請求項180または181に記載の集団。
【請求項183】
培地がCMRL培地であるか、または培地がHypoThermosol(登録商標)FRS Preservation Mediaである、請求項179から182のいずれか一項に記載の集団。
【請求項184】
細胞集団が細胞クラスター内にある、請求項165から183のいずれか一項に記載の集団。
【請求項185】
細胞集団が1つまたは複数の細胞クラスター内にある、請求項165から183のいずれか一項に記載の集団。
【請求項186】
細胞クラスターが、約125~約225ミクロンの直径、約130~約160ミクロンの直径、約170~約225ミクロンの直径、約140~約200ミクロンの直径、約140~約170ミクロンの直径、約160~約220ミクロンの直径、約170~約215ミクロンの直径、または170~約200ミクロンの直径である、請求項185に記載の集団。
【請求項187】
集団が、ベータ-2-ミクログロブリン遺伝子における遺伝的破壊を有する、請求項165から186のいずれか一項に記載の集団。
【請求項188】
集団が、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも低いレベルのMAFAを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項165から187のいずれか一項に記載の集団。
【請求項189】
集団が、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも高いレベルのMAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項165から188のいずれか一項に記載の集団。
【請求項190】
集団が、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも高いレベルのSIX2、HOPX、IAPPおよび/またはUCN3を発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項165から189のいずれか一項に記載の集団。
【請求項191】
集団が、MAFAを発現しないNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項165から190のいずれか一項に記載の集団。
【請求項192】
集団が、MAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む、請求項165から191のいずれか一項に記載の集団。
【請求項193】
対象への埋め込みのためのデバイスに含有される、請求項165から192のいずれか一項に記載の集団。
【請求項194】
請求項165から192のいずれか一項に記載の集団を含む移植用カプセル化デバイス。
【請求項195】
デバイスが、糖尿病を有する対象に埋め込まれている、請求項194に記載の移植用カプセル化デバイス。
【請求項196】
対象がI型糖尿病を有する、請求項195に記載の移植用カプセル化デバイス。
【請求項197】
請求項165から192のいずれか一項に記載の集団を含む組成物を対象に投与するステップ、または請求項193から196のいずれか一項に記載のデバイスを対象に埋め込むステップを含む、対象を処置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年7月31日に出願された米国仮特許出願第63/059,433号に対する特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]幹細胞由来β細胞の産生は、膵島および膵臓器官の産生に向けた潜在的に有用なステップを提供することができる。幹細胞から誘導された組織によって治療可能な急速に進行する疾患の1つが糖尿病である。1型糖尿病は膵島におけるβ-細胞の自己免疫的破壊に起因する。2型糖尿病は末梢組織のインスリン抵抗性およびβ-細胞の機能異常に起因する。糖尿病患者、特に1型糖尿病を患っている患者は、新たなβ-細胞の移植によって治癒する可能性がある。死体ヒト膵島の移植を受けた患者は、この戦略によって5年またはそれ以上、インスリン依存性を脱することができるが、ドナー膵島の希少性およびその品質のために、このアプローチには限界がある。幹細胞からヒトβ-細胞の無制限な供給を産生できれば、この療法を数百万人の新たな患者に広げることができ、これは幹細胞の生物学を臨床に変換する重要なテストケースになり得る。
【0003】
参照による組込み
[0003]本明細書に記述する全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれていると具体的にかつ個別に示されていると同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。他に指示がなければ、本明細書に記述する刊行物、特許、および特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一部の態様では、(a)PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞をROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させることによって、前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を産生させるステップと、(b)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と接触させるステップと、(c)前記第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む第2の組成物と接触させるステップとを含む方法が本明細書で開示される。
【0005】
[0005]一部の態様では、(a)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と接触させるステップと、(b)前記第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と接触させるステップとを含む方法が本明細書で開示される。
【0006】
[0006]一部の例では、本方法は、前記第2の期間後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる第3の組成物と接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップをさらに含む。
【0007】
[0007]一部の態様では、(a)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と接触させるステップと、(b)前記第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と接触させるステップと、(c)前記第2の期間後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる第3の組成物と接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップとを含む方法であって、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団は、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される、対応する細胞集団と比較して、(i)グルカゴンを発現する細胞の増加した割合;(ii)VMAT1を発現する細胞の減少した割合;(iii)ソマトスタチンを発現する細胞の増加した割合;または(iv)C-ペプチドを発現する細胞の増加した割合を含む方法が本明細書で開示される。
【0008】
[0008]一部の例では、前記第3の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモン(TH)シグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む。一部の例では、前記第3の組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される分化因子を含む。一部の例では、前記第3の組成物は、前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、前記エピジェネティック修飾化合物、前記EGFファミリーからの成長因子、前記RAシグナル伝達経路活性化剤、前記SHH経路阻害剤、前記γ-セクレターゼ阻害剤、前記プロテインキナーゼ阻害剤、前記ROCK阻害剤、および前記BMPシグナル伝達経路阻害剤を含む。一部の例では、前記第3の組成物は、前記PKC活性化剤を含まない。一部の例では、第1の組成物は、前記ROCK阻害剤、前記TGFβスーパーファミリーからの成長因子、前記FGFファミリーからの成長因子、前記RAシグナル伝達経路活性化剤、および前記SHH経路阻害剤を含む。一部の例では、第2の組成物は、前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、前記EGFファミリーからの成長因子、前記RAシグナル伝達経路活性化剤、前記SHH経路阻害剤、前記THシグナル伝達経路活性化剤、前記プロテインキナーゼ阻害剤、前記ROCK阻害剤、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤、および前記エピジェネティック修飾化合物を含む。一部の例では、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団は、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される対応する細胞集団と比較して、(i)ソマトスタチンを発現する細胞の増加した割合;(ii)グルカゴンを発現する細胞の増加した割合;(iii)VMAT1を発現する細胞の減少した割合;または(iv)C-ペプチドを発現する細胞の増加した割合を含む。一部の例では、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団は、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される対応する細胞集団と比較して、(i)ソマトスタチンを発現する細胞の増加した割合;(ii)グルカゴンを発現する細胞の増加した割合;(iii)VMAT1を発現する細胞の減少した割合;および(iv)C-ペプチドを発現する細胞の増加した割合を含む。一部の例では、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団は、フローサイトメトリーによって測定して、ソマトスタチンを発現する少なくとも約4%の細胞、グルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞、VMAT1を発現する多くとも約35%の細胞、またはC-ペプチドを発現する少なくとも約40%の細胞を含む。一部の例では、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む前記細胞集団は、フローサイトメトリーによって測定して、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記第1の組成物中または前記第2の組成物中の前記PKC活性化剤と接触させることなく産生される細胞の対応する集団と比較して、ソマトスタチンを発現する少なくとも約100%を超える細胞、グルカゴンを発現する少なくとも約200%を超える細胞、VMAT1を発現する少なくとも約50%より少ない細胞、またはC-ペプチドを発現する少なくとも約20%を超える細胞を含む。一部の例では、第1の期間は1~3日である。一部の例では、前記第1の期間は約2日である。一部の例では、前記第2の期間は1~3日である。一部の例では、前記第2の期間は約2日である。一部の例では、前記PKC活性化剤は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される。一部の例では、前記PKC活性化剤はPDBUを含む。一部の例では、前記PKC活性化剤は、100nM~1000nMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される。一部の例では、前記PKC活性化剤は、約500nMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される。一部の例では、前記γ-セクレターゼ阻害剤はXXIを含む。一部の例では、前記γ-セクレターゼ阻害剤は、0.5μM~10μMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される。一部の例では、前記γ-セクレターゼ阻害剤は、約2μMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団に接触される。
【0009】
[0009]一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を含む組成物と接触させ、前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む前記細胞集団を得るステップをさらに含む。一部の例では、本方法は、FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞を、ROCK阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、BMPシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞を前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させるステップをさらに含む。一部の例では、本方法は、胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記胚体内胚葉細胞を前記FOXA2陽性、PDX1陰性腸管細胞に分化させるステップをさらに含む。
【0010】
[0010]一部の態様では、(a)集団中の多能性幹細胞をTGF-βスーパーファミリーからの成長因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と接触させることによって、前記多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、(b)前記胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記胚体内胚葉細胞をFOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞に分化させるステップと、(c)前記FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞を、ROCK阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、BMPシグナル伝達経路阻害剤、PKC活性化剤、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と接触させることによって、前記FOXA2陽性、PDX1陰性の原腸管細胞をPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞に分化させるステップと、(d)前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞をROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させることによって、前記PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、(e)1~3日の第1の期間、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と共にインキュベートするステップと、(f)(e)の後に、1~3日の第2の期間、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、前記PKC活性化剤、前記γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と共にインキュベートするステップと、(g)(f)の後に、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させることによって、前記PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団に分化させるステップとを含む方法が本明細書で開示される。一部の例では、前記SHH経路阻害剤はSANT1を含み、前記RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含み、前記γ-セクレターゼ阻害剤はXXIを含み、前記EGFファミリーからの成長因子はベータセルリンを含み、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤はLDNもしくはDMHを含み、前記TGF-βシグナル伝達経路阻害剤はAlk5阻害剤IIを含み、前記甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はGC-1を含み、前記プロテインキナーゼ阻害剤はスタウロスポリンを含み、前記ROCK阻害剤はチアゾビビンを含み、または前記エピジェネティック修飾化合物がDZNep、GSK126、もしくはEPZ6438を含む。
【0011】
[0011]一部の態様では、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤およびγ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップとを含む方法が本明細書で開示される。
【0012】
[0012]一部の態様では、細胞集団を、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGFβスーパーファミリーからの成長因子およびFGFファミリーからの成長因子の一方または両方と接触させるステップを含む方法が本明細書で開示される。一部の実施形態では、細胞集団は、PDX1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。
【0013】
[0013]一部の態様では、(a)1~5日間以下の期間、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団をγセクレターゼ阻害剤と接触させるステップとを含む方法が本明細書で開示される。一部の実施形態では、ステップ(a)の接触は、4日間または5日間の期間である。一部の実施形態では、ステップ(b)は、第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させるステップをさらに含む。
【0014】
[0014]一部の態様では、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップであって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体であるステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップとを含む方法が本明細書で開示される。
【0015】
[0015]一部の例では、ベンゾラクタム誘導体はTPPBである。一部の例では、ステップ(b)は、第1の細胞集団をγ-セクレターゼ阻害剤と接触させるステップをさらに含む。一部の例では、本方法は、(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、ステップ(d)は、第3の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含まない。一部の例では、ステップ(d)は、第3の細胞集団をγ-セクレターゼ阻害剤と接触させるステップを含まない。一部の例では、ステップ(d)は、第3の細胞集団をSHH経路阻害剤と接触させるステップを含まない。一部の例では、ステップ(d)は、第3の細胞集団をEGFファミリーからの成長因子と接触させるステップを含まない。一部の例では、本方法は、(e)第4の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、ステップ(e)は、第4の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含む。
【0016】
[0016]一部の態様では、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにγ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップと、(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップと、(e)第4の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびに血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップとを含む方法が本明細書で開示される。
【0017】
[0017]一部の例では、ステップ(e)は、第4の細胞集団を血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。一部の例では、ステップ(a)は、1、2、3、4、5または6日間にわたって行われる。一部の例では、ステップ(a)は、3~5日間(例えば、4日間)にわたって行われる。一部の例では、ステップ(b)は、1、2、3、または4日間にわたって行われる。一部の例では、ステップ(b)は、1~3日間(例えば、2日間)にわたって行われる。一部の例では、ステップ(c)は、1、2、3、または4日間にわたって行われる。一部の例では、ステップ(c)は、1~3日間(例えば、2日間)にわたって行われる。一部の例では、ステップ(d)は、1、2、3、4、5、6、または7日間にわたって行われる。一部の例では、ステップ(d)は、4~6日間(例えば、5日間)にわたって行われる。一部の例では、ステップ(e)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間にわたって行われる。一部の例では、ステップ(e)は、10~12日間にわたって行われる。一部の例では、第1の細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞および/またはPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。一部の例では、第2の細胞集団は、PDX1陽性およびNKX6.1陽性細胞を含む。一部の例では、第3の細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陰性細胞および/またはPDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の例では、第5の細胞集団は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない。一部の例では、第4の細胞集団における40~60%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない。一部の例では、第4の細胞集団は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現しない細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現しない。一部の例では、第4の細胞集団における10~25%の細胞は、マトスタチンを発現するが、グルカゴンは発現しない。一部の例では、第4の細胞集団は、ソマトスタチンを発現するが。グルカゴンを発現しない細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない。一部の例では、ステップ(a)は、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の例では、ステップ(b)は、第1の細胞集団を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の例では、ステップ(c)は、第2の細胞集団を、ガンマ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む。一部の例では、ステップ(d)は、第3の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む。一部の例では、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)および/または(e)において使用するためのROCK阻害剤は、チアゾバビン(thiazovavin)またはY-27632である。一部の例では、ステップ(a)および/または(b)において使用するためのTGFβスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAである。一部の例では、ステップ(a)および/または(b)において使用するためのFGFファミリーからの成長因子はKGFである。一部の例では、ステップ(a)、(b)および/または(c)において使用するためのRAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸である。一部の例では、ステップ(a)、(b)および/または(c)において使用するためのSHH経路阻害剤は、Sant-1である。一部の例では、ステップ(b)、(c)および/または(d)において使用するためのPKC活性化剤は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される。一部の例では、PKC活性化剤はPDBUである。一部の例では、ステップ(b)および/または(c)において使用するためのγ-セクレターゼ阻害剤は、XXIである。一部の例では、ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5iである。一部の例では、ステップ(c)において使用するためのEGFファミリーからの成長因子は、ベータセルリンである。一部の例では、ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのTHシグナル伝達経路活性化剤は、T3、GC-1または甲状腺ホルモン誘導体である。一部の例では、ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである。一部の例では、ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1である。一部の例では、ステップ(c)、(d)および/または(e)において使用するためのエピジェネティック修飾化合物は、DZNepである。
【0018】
[0018]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で開示される。
【0019】
[0019]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で開示される。一部の実施形態では、組成物における少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞である。一部の実施形態では、組成物における90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%または10%未満の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞である。
【0020】
[0020]組成物の一部の実施形態では、前記PKC活性化剤は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される。一部の例では、γ-セクレターゼ阻害剤は、DAPT(N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル)-L-アラニル]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル)である。一部の例では、γ-セクレターゼ阻害剤はXXIである。
【0021】
[0021]組成物の一部の実施形態では、組成物は、FGFファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子はKGFである。一部の実施形態では、組成物は、TGFβスーパーファミリーの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリーの成長因子はアクチビンAである。
【0022】
[0022]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;およびPKC活性化剤を含むin vitro組成物であって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体である組成物が本明細書で開示される。
【0023】
[0023]組成物の一部の実施形態では、PKC活性化剤は、TPPBである。一部の例では、組成物は、γ-セクレターゼ阻害剤をさらに含む。一部の例では、γ-セクレターゼ阻害剤はDAPTである。一部の例では、γ-セクレターゼ阻害剤はXXIである。一部の例では、組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む。一部の例では、組成物は、血清アルブミンタンパク質をさらに含む。一部の例では、組成物は、血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、SHH経路阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤をさらに含む。一部の例では、ROCK阻害剤はチアゾバビンである。一部の例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸である。一部の例では、SHH経路阻害剤はSant-1である。一部の例では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤はALK5iである。一部の例では、EGFファミリーの成長因子がベータセルリンである。一部の例では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3、GC-1または甲状腺ホルモン誘導体である。一部の例では、プロテインキナーゼ阻害剤がスタウロスポリンである。一部の例では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1である。一部の例では、エピジェネティック修飾化合物はDZNepである。
【0024】
[0024]一部の態様では、in vitro細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団は、(a)C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞;および(b)VMAT1を発現する多くとも約35%の細胞、またはグルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞(例えば、フローサイトメトリーによって測定した場合)を含む組成物が本明細書で開示される。一部の態様では、本開示は、in vitro細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団は、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞;ならびに(i)VMAT1を発現する多くとも約35%の細胞、および/または(ii)グルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって測定される。
【0025】
[0025]一部の例では、前記細胞集団は、VMAT1を発現する多くとも約30%の細胞、およびグルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞を含む。一部の例では、前記細胞集団は、フローサイトメトリーによって測定して、VMAT1を発現する多くとも約30%の細胞、およびグルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞を含む。一部の例では、前記細胞集団は、グルカゴンを発現し、ソマトスタチンを発現しない少なくとも約15%の細胞を含む。一部の例では、前記細胞集団は、ソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない少なくとも約4%の細胞を含む。
【0026】
[0026]一部の態様では、細胞集団を含む組成物であって、a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、もしくは80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、もしくは35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに/またはc)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、もしくは15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で開示される。
【0027】
[0027]一部の態様では、複数の細胞を含む組成物であって、a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびにc)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で開示される。
【0028】
[0028]一部の態様では、細胞集団を含む組成物であって、a)細胞集団における5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~35%、20~30%、20~25%、25~35%、25~30%、もしくは30~35%の細胞は、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現せず;b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、もしくは35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;および/またはc)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、もしくは15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で開示される。
【0029】
[0029]一部の態様では、細胞集団を含む組成物であって、a)細胞集団における5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~35%、20~30%、20~25%、25~35%、25~30%、または30~35%の細胞は、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現せず;b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%、または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;およびc)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%、または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で開示される。
【0030】
[0030]組成物の一部の実施形態では、細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない。
【0031】
[0031]組成物の一部の実施形態では、細胞集団における40~60%の細胞が、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1は発現せず;細胞集団における10~25%の細胞が、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンは発現せず;ならびに細胞集団における4~10%の細胞が、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンは発現しない。一部の例では、細胞集団における25%未満、20%未満、18%未満、15%未満、12%未満、または10%未満の細胞が、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現しない。一部の例では、細胞集団は、in vitroで幹細胞から産生される。一部の例では、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞は、in vitroでグルコース刺激インスリン分泌応答を呈す。一部の例では、グルコースチャレンジに応答して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞によるインスリンの分泌は、グルコースチャレンジのグルコース濃度に比例する。一部の例では、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞は、1回または複数のグルコースチャレンジに応答してインスリンを分泌する。一部の例では、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない細胞が、第1のグルコースチャレンジ、第2のグルコースチャレンジ、および第3のグルコースチャレンジに応答してインスリンを分泌し、第1のグルコースチャレンジ、第2のグルコースチャレンジ、および第3のグルコースチャレンジが連続的に適用される。
【0032】
[0032]一部の態様では、PDX1陽性細胞、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGFβスーパーファミリーからの成長因子およびFGFファミリーからの成長因子の一方または両方を含むin vitro組成物が本明細書で開示される。一部の実施形態では、細胞の組成物は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の組成物は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。
【0033】
[0033]一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか1つまたはそれらの組合せをさらに含む。
【0034】
[0034]一部の態様では、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物が本明細書で開示される。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤はXXIである。
【0035】
[0035]一部の実施形態では、組成物における少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞である。一部の実施形態では、組成物における90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞である。
【0036】
[0036]一部の実施形態では、組成物は、FGFファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、ROCK阻害剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、TGFβスーパーファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の実施形態様では、組成物は、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤をさらに含む。
【0037】
[0037]一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか2つをさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか3つをさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか4つをさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか5つをさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか6つをさらに含む。
【0038】
[0038]組成物の一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子はKGFである。一部の実施形態では、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤はSANT-1である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンである。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAである。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸である。一部の実施形態では、PKC活性化剤はPDBUである。
【0039】
[0039]一部の態様では、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって;集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含み;集団における少なくとも73%の細胞がISL1陽性細胞である集団が本明細書で開示される。一部の実施形態では、集団における12%未満の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。
【0040】
[0040]一部の態様では、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって;集団における少なくとも40%の細胞はNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である集団が本明細書で開示される。一部の実施形態では、集団における12%未満の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。
【0041】
[0041]一部の態様では、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって、集団における12%未満の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である集団が本明細書で開示される。
【0042】
[0042]一部の実施形態では、集団における10%未満、8%未満、6%未満、または4%未満の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。一部の実施形態では、集団における少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも73%、少なくとも75%、または少なくとも80%の細胞はISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における2~12%、4~12%、6~12%、8~12%、2~8%、4~8%、3~6%または3~5%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。一部の実施形態では、集団における50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、50~70%、50~60%、60~90%、60~85%、60~80%、60~75%、60~70%、65~90%、65~85%、65~80%、65~75%、65~70%、70~90%、70~85%、70~80%、70~75%、75~90%、75~85%、75~80%、80~90%、80~85%、または85~90%の細胞は、ISL1陽性細胞である。
【0043】
[0043]一部の実施形態では、集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団における少なくとも40%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における少なくとも45%、少なくとも50%、約40~50%、約45~55%、または約50~55%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、約85~95%、または約90~95%の細胞は、ISL1陽性細胞である。
【0044】
[0044]一部の実施形態では、集団は、幹細胞由来ベータ細胞よりも多くの幹細胞由来アルファ細胞を含む。一部の実施形態では、細胞集団はin vitroで幹細胞に由来する。
【0045】
[0045]一部の実施形態では、集団は培地をさらに含む。一部の実施形態では、培地は糖を含む。一部の実施形態では、糖はスクロースまたはグルコースである。一部の実施形態では、培地は、約0.05%~約1.5%の濃度の糖を含む。一部の実施形態では、培地はCMRL培地であるか、または培地はHypoThermosol(登録商標)FRS保存培地である。
【0046】
[0046]一部の実施形態では、細胞集団は細胞クラスター内にある。一部の実施形態では、細胞集団は1つまたは複数の細胞クラスター内にある。一部の実施形態では、細胞クラスターは、約125~約225ミクロンの直径、約130~約160ミクロンの直径、約170~約225ミクロンの直径、約140~約200ミクロンの直径、約140~約170ミクロンの直径、約160~約220ミクロンの直径、約170~約215ミクロンの直径、または170~約200ミクロンの直径である。
【0047】
[0047]一部の実施形態では、集団は、ベータ-2-ミクログロブリン遺伝子における遺伝的破壊を有する。
[0048]一部の実施形態では、集団は、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも低いレベルのMAFAを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも高いレベルのMAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも高いレベルのSIX2、HOPX、IAPPおよび/またはUCN3を発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。
【0048】
[0049]一部の実施形態では、集団は、MAFAを発現しないNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、MAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。
【0049】
[0050]一部の実施形態では、集団は、対象への埋め込みのためのデバイスに含有される。一部の態様では、本開示は、集団を含む移植用カプセル化デバイスを提供する。一部の実施形態では、デバイスは、糖尿病を有する対象に埋め込まれている。一部の実施形態では、対象は、I型糖尿病を有する。一部の態様では、本開示は、対象を処置する方法であって、本方法は、集団を含む組成物を対象に投与するステップ、またはデバイスを対象に埋め込むステップを含む方法を提供する。
【0050】
[0051]一部の態様では、本明細書で開示される組成物、または本明細書で開示される方法に従って生成された細胞集団、および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物が本明細書で開示される。
【0051】
[0052]一部の態様では、本明細書で開示される組成物、または本明細書で開示される方法に従って生成された細胞集団を含むデバイスであって、デバイスは、対象に埋め込まれた場合、インスリンを生成し、放出するように構成されるデバイスが本明細書で開示される。
【0052】
[0053]一部の態様では、本明細書で開示される組成物、または本明細書で開示される方法に従って生成された細胞集団、または本明細書で開示されるデバイスを対象に投与するステップを含む、対象を処置する方法が本明細書で開示される。
【0053】
[0054]本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に示されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】[0055]図1は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコール(バージョンAおよびバージョンB)に従って産生されたin vitro内分泌細胞集団の単一細胞配列決定の結果を示す。
図2A】[0056]図2A~2Bは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図2B)、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団におけるC-ペプチド陽性、VMAT1陰性細胞のパーセンテージをまとめる(図2A)。
図2B図2A~2Bは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図2B)、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団におけるC-ペプチド陽性、VMAT1陰性細胞のパーセンテージをまとめる(図2A)。
図3】[0057]図3は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団におけるグルカゴン陽性、ソマトスタチン陰性細胞(GCG+/SST-)のパーセンテージをまとめる。
図4】[0058]図4は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団におけるソマトスタチン陽性、グルカゴン陰性細胞(SST+/GCG-)のパーセンテージをまとめる。
図5】[0059]図5は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団におけるVMAT1陽性、C-ペプチド陰性細胞(VMAT1+/c-ペプチド-)のパーセンテージをまとめる。
図6A】[0060]図6Aは、フローサイトメトリーによって測定した場合、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団における、再凝集前のSOX9陽性細胞のパーセンテージをまとめる。
図6B図6Bは、フローサイトメトリーによって測定した場合、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団における、再凝集後のSOX9陽性細胞のパーセンテージをまとめる。
図7】[0061]図7は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団における再凝集後の回収率をまとめる。
図8】[0062]図8は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団のグルコース刺激によるインスリン分泌(GSIS)応答をまとめる。
図9】[0063]図9は、S4d5からS5d2に適用されたPDBUの有無にかかわらず、2つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro内分泌細胞集団のインスリン含量をまとめる。
図10A】[0064]図10A~10Bは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図10A)、S4d5からS5d2の間に適用されたPDBUまたはPDBUおよびXXIの有無にかかわらず、3つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro細胞集団におけるNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞(図10B)のパーセンテージをまとめる。
図10B】[0064]図10A~10Bは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図10A)、S4d5からS5d2の間に適用されたPDBUまたはPDBUおよびXXIの有無にかかわらず、3つの例示的な分化プロトコールに従って産生されたin vitro細胞集団におけるNKX6.1陽性、ISL1陽性細胞(図10B)のパーセンテージをまとめる。
図11A】[0065]図11A~11Cは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図11A)、3つの例示的な分化プロトコール:a)PDBUまたはTPPBを伴わないバージョンA(バージョンA);b)PDBUを伴う(VA/PDBU);またはc)TPPBを伴う(VA/TPPB)、に従って産生されたin vitro細胞集団におけるNKX6.1陽性/陰性細胞およびISL1陽性/陰性細胞(図11B)のパーセンテージをまとめる。図11Cは、バージョンA、VA/PDBU、VA/TPPB、ならびにVA/TPPB+XXIの細胞収率を示す。
図11B図11A~11Cは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図11A)、3つの例示的な分化プロトコール:a)PDBUまたはTPPBを伴わないバージョンA(バージョンA);b)PDBUを伴う(VA/PDBU);またはc)TPPBを伴う(VA/TPPB)、に従って産生されたin vitro細胞集団におけるNKX6.1陽性/陰性細胞およびISL1陽性/陰性細胞(図11B)のパーセンテージをまとめる。図11Cは、バージョンA、VA/PDBU、VA/TPPB、ならびにVA/TPPB+XXIの細胞収率を示す。
図11C図11A~11Cは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図11A)、3つの例示的な分化プロトコール:a)PDBUまたはTPPBを伴わないバージョンA(バージョンA);b)PDBUを伴う(VA/PDBU);またはc)TPPBを伴う(VA/TPPB)、に従って産生されたin vitro細胞集団におけるNKX6.1陽性/陰性細胞およびISL1陽性/陰性細胞(図11B)のパーセンテージをまとめる。図11Cは、バージョンA、VA/PDBU、VA/TPPB、ならびにVA/TPPB+XXIの細胞収率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[0066]以下の記述および実施例によって、本開示の実施形態を詳細に説明する。本開示は本明細書に記載した特定の実施形態に限定されず、したがって変動し得ることを理解されたい。当業者であれば、本開示には多数の変形および改変が存在し、これらは本開示の範囲内に包含されることが認識される。
【0056】
[0067]全ての用語は当業者によって理解されるように理解されることを意図している。他に定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術における当業者によって共通に理解されると同じ意味を有する。
【0057】
[0068]本明細書で用いる見出しは整理の目的のみのためであって、記載した主題を限定するものと解釈すべきではない。
[0069]本開示の種々の特徴を単一の実施形態に関連して記述することができるが、特徴を個別にまたは任意の適切な組合せで提供することもできる。逆に、明確にするために本開示を個別の実施形態に関連して本明細書に記載することができるが、本開示を単一の実施形態で実行することもできる。
【0058】
[0070]以下の定義は当技術における定義を補うものであって本出願を指向しており、関連するまたは関連しないいかなる例、例えば広く共有されているいかなる特許または特許出願にも帰属されない。本明細書に記載した方法および材料と同様のまたは等価のいかなる方法および材料も本開示を試験するための実施において用いることができるが、本明細書には好ましい材料および方法を記載している。したがって、本明細書で用いる用語は特定の実施形態を記述する目的のためのみであって、限定することを意図していない。
【0059】
[0071]本出願において単数形の使用は、特に他の記述がなければ、複数形を含む。本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって他が明確に記述されない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0060】
[0072]本出願において「または」の使用は、他の記述がなければ、「および/または」を意味する。本明細書で用いる用語「および/または」および「それらの任意の組合せ」ならびにそれらの文法的等価物は、相互交換可能に用いられ得る。これらの用語は、任意の組合せが具体的に意図されることを伝達することができる。説明目的のみのために、以下の語句、「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはそれらの任意の組合せ」は、「個別にA、個別にB、個別にC、AおよびB、BおよびC、AおよびC、ならびにA、B、およびC」を意味し得る。用語「または」は、文脈によって特に離接的な使用が意味されない限り、接続的または離接的に用いられ得る。
【0061】
[0073]さらに、用語「含む(including)」ならびに「含む(include、includes)」および「含まれる(included)」等の他の形態の使用は、限定的でない。
[0074]明細書中における「一部の実施形態」、「一実施形態(an embodiment、one embodiment)」、または「他の実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態には含まれないことを意味する。
【0062】
[0075]本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、単語「含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」等のcomprisingの任意の形)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」等のhavingの任意の形)、「含む(including)」(ならびに「includes」および「include」等のincludingの任意の形)、または「含む(containing)」(ならびに「contains」および「contain」等のcontainingの任意の形)は包括的またはオープンエンドであり、言及されていない追加的な要素または方法ステップを排除しない。本明細書で論じる任意の実施形態は本開示の任意の方法または組成物に関して実行することができ、逆もそうであることが意図されている。さらに、本開示の組成物は本開示の方法を達成するために用いることができる。
【0063】
[0076]本明細書で用いる参照の数値およびその文法的等価物に関連する用語「約」は、その数値それ自体およびその数値のプラスマイナス10%の値の範囲を含み得る。
[0077]用語「約」または「ほぼ」は、当業者によって決定される特定の値についての許容される誤差範囲内を意味し、これは部分的にその値がどのようにして測定されまたは決定されたか、例えば測定システムの限界によることになる。例えば、「約」は当技術における慣例によって標準偏差の1倍以内または1倍を超えることを意味し得る。あるいは、「約」は所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。別の例では、「約10」の量は、10および9から11までの任意の量を含む。さらに別の例では、参照数値に関連する用語「約」は、その値のプラスマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲をも含み得る。あるいは、特に生物学的なシステムまたはプロセスに関しては、用語「約」は、ある値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。出願および特許請求の範囲において特定の値が記載されている場合には、他に記述がなければ、特定の値についての許容される誤差範囲内を意味する用語「約」を前提とすべきである。
【0064】
[0078]本明細書で用いる用語「糖尿病」およびその文法的等価物は、長期間にわたる高い血糖レベルによって特徴付けられる疾患を意味し得る。例えば、本明細書で用いる用語「糖尿病」およびその文法的等価物は、それだけに限らないが、1型糖尿病、2型糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、外科的糖尿病、妊娠性糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を含む全てまたは任意の型の糖尿病を意味し得る。一部の例では、糖尿病は遺伝性糖尿病の1形態であり得る。
【0065】
[0079]用語「内分泌細胞」は、特に特定しない限り、「膵島」、「膵島細胞」、「膵島同等物」、「膵島様細胞」、「膵臓島」、およびその文法的等価物等の、生体の膵臓に存在するホルモン生成細胞を意味し得る。一実施形態では、内分泌細胞は膵前駆細胞または前駆体から分化することができる。膵島細胞は、それだけに限らないが、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞、および/または膵ε細胞を含む様々な型の細胞を含み得る。膵島細胞は細胞の群、細胞クラスター、その他をも意味し得る。
【0066】
[0080]用語「前駆細胞」および「前駆体」細胞は本明細書において相互交換可能に用いられ、分化によって生じることができる細胞と比較してより原始的な(例えば発生経路または発達において完全に分化した細胞よりも早いステップにある)細胞表現型を有する細胞を意味する。前駆細胞はまた、顕著なまたは極めて高い増殖可能性を有し得ることが多い。前駆細胞は発生経路および細胞が発生し分化する環境に応じて、多くの異なった分化細胞型または単一の分化細胞型を生じることができる。
【0067】
[0081]インスリン陽性内分泌細胞に関連する用語としての「その前駆体」は、前駆細胞をインスリン陽性内分泌細胞に分化するために適した条件下で培養したときにインスリン陽性内分泌細胞に分化することができる、例えば多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、膵前駆細胞、または内分泌前駆細胞を含む任意の細胞を意味し得る。
【0068】
[0082]用語「幹細胞から誘導されたβ細胞」、「SC-β細胞」、「機能性β細胞」、「機能性膵β細胞」、「成熟SC-β細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えばPDX-1またはNKX6.1)を呈し、インスリンを分泌し、および内分泌成熟β細胞に特徴的なグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を呈する細胞(例えば非天然膵β細胞)を意味し得る。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-β細胞」および「非天然β細胞」は相互交換可能である。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は成熟した膵細胞を含む。SC-β細胞は幹細胞から(例えば直接)誘導される必要はないことを理解されたい。それは、本開示の方法が、出発点として任意の細胞を用いて任意のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体からSC-β細胞を誘導することができるからである(本発明はこの様式に限定することを意図していないので、例えば胚幹細胞、人工多能性幹細胞、前駆細胞、部分的に再プログラミングされた体細胞(例えば人工多能性幹細胞とそれが誘導されたもとの体細胞との間の中間状態に部分的に再プログラミングされた体細胞)、万能性細胞、全能性細胞、上記の任意の細胞の分化転換したバージョン、その他を用いることができる)。一部の実施形態では、SC-β細胞は多重のグルコースチャレンジ(例えば少なくとも1回、少なくとも2回、もしくは少なくとも3回またはそれ以上の一連のグルコースチャレンジ)に対する応答を呈する。一部の実施形態では、応答は多重のグルコースチャレンジに対する内因性膵島(例えばヒト膵島)の応答に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞の形態は内因性β細胞の形態に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vitroのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vivoのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は内因性β細胞のGSIS応答に類似したin vitroおよびin vivoの両方のGSIS応答を呈する。SC-β細胞のGSIS応答は、SC-β細胞を宿主(例えばヒトまたは動物)に移植した後、2週以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞はインスリンを分泌顆粒に詰め込む。一部の実施形態では、SC-β細胞はカプセル化された結晶インスリン顆粒を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は1を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は1.1を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は2を超える刺激インデックスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞はサイトカインに応答してサイトカイン誘起アポトーシスを呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞からのインスリンの分泌は公知の抗糖尿病薬(例えば分泌促進物質)に応答して増強される。一部の実施形態では、SC-β細胞はモノホルモナルである。一部の実施形態では、SC-β細胞は他のホルモン、例えばグルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを異常に共発現しない。一部の実施形態では、SC-β細胞は低い複製速度を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞はグルコースに応答して細胞内Ca2+を増加させる。
【0069】
[0083]用語「幹細胞由来α細胞」、「SC-α細胞」、「機能性α細胞」、「機能性膵α細胞」、「成熟SC-α細胞」およびそれらの文法的等価物は、膵α細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、グルカゴン、ISL1を発現するがNKX6.1を発現しない)を示し、グルカゴンを発現し、機能性グルカゴンを分泌する細胞(例えば、非天然膵α細胞)を指すことができる。一部の実施形態では、「SC-α細胞」は、ソマトスタチンを発現しない。一部の実施形態では、「SC-α細胞」は、インスリンを発現しない。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-α細胞」および「非天然α細胞」は、相互交換可能である。一部の実施形態では、「SC-α細胞」は、成熟膵細胞を含む。
【0070】
[0084]用語「幹細胞由来δ細胞」、「SC-δ細胞」、「機能性δ細胞」、「機能性膵δ細胞」、「成熟SC-δ細胞」およびそれらの文法的等価物は、膵δ細胞(例えば、ソマトスタチン)を示す少なくとも1つのマーカーを示し、ソマトスタチンを発現および分泌する細胞(例えば、非天然膵δ細胞)を指すことができる。一部の実施形態では、「SC-δ細胞」は、グルカゴンを発現しない。一部の実施形態では、「SC-δ細胞」は、インスリンを発現しない。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-δ細胞」および「非天然δ細胞」は、相互交換可能である。一部の実施形態では、「SC-δ細胞」は、成熟膵細胞を含む。
【0071】
[0085]用語「幹細胞由来腸クロム親和性(EC)細胞」、「SC-EC細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵EC細胞を示す少なくとも1つのマーカー(例えば、VMAT1(小胞性モノアミントランスポーター1)、NKX6.1を発現するがISL1を発現しない)を示す細胞(例えば、非天然膵EC細胞)を指すことができる。一部の実施形態では、本明細書で用いる用語「SC-EC細胞」および「非天然EC細胞」は、相互交換可能である。
【0072】
[0086]SC-β細胞と同様に、SC-α、SC-δ細胞、およびSC-EC細胞は幹細胞から(例えば、直接)誘導される必要はなく、これは、開示の方法が、出発点としてSC-β細胞のin vitro分化の間に産生された他の前駆細胞からSC-α細胞を誘導することができるためであることが理解されるべきである(例えば、本発明は、このように限定されることを意図しないため、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、前駆細胞、部分的に再プログラミングされた体細胞(例えば、人工多能性幹細胞とそれが誘導された体細胞との間の中間状態に部分的に再プログラミングされた体細胞)、万能性細胞、全能性細胞、前述の任意の細胞の分化転換したバージョンなどを使用することができる)。
【0073】
[0087]本明細書で用いる場合、用語「インスリン生成細胞」およびその文法的等価物は、膵前駆細胞またはその前駆体から分化し、インスリンを分泌する細胞を意味する。インスリン生成細胞は、その用語が本明細書に記載されているように、膵β細胞、ならびに構造的または誘導的な様式でインスリンを合成(例えばインスリン遺伝子を転写し、プロインスリンmRNAを翻訳し、およびプロインスリンmRNAを修飾してインスリンタンパク質に)し、発現(例えばインスリン遺伝子が運搬する表現型の形質を実現)し、または分泌(インスリンを細胞外スペースに放出)する膵β様細胞(例えばインスリン陽性内分泌細胞)を含み得る。例えばインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体を本開示の方法に従ってSC-β細胞に分化することによって生成されたインスリン生成細胞の集団は、膵β細胞またはβ様細胞(例えば内因性β細胞の少なくとも1つもしくは少なくとも2つの特徴を有し、内因性成熟β細胞に類似したグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を呈する細胞)であってよい。例えば本明細書に開示した方法によって生成されたインスリン生成細胞の集団は成熟した膵β細胞またはSC-β細胞を含んでよく、非インスリン生成細胞(例えばインスリンを生成せずまたは分泌しないこと以外は細胞様表現型を有する細胞)を含んでもよい。
【0074】
[0088]用語「インスリン陽性β様細胞」、「インスリン陽性内分泌細胞」、およびそれらの文法的等価物は、膵β細胞を示す少なくとも1つのマーカーを呈し、インスリンも発現するが、内因性β細胞に特徴的なグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を欠く細胞(例えば膵内分泌細胞)を意味し得る。「インスリン陽性の内分泌細胞」の例示的マーカーとしては、それだけに限らないが、NKX6.1(NK6ホメオボックス1)、ISL1(Islet1)、およびインスリンが挙げられる。一部の例では、用語「インスリン陽性の内分泌細胞」および「NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞」は相互交換可能に使用される。
【0075】
[0089]用語「β細胞マーカー」は、限定なく、特異的に膵β細胞中に発現しまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、要素、およびその他の分析物質を意味する。例示的なβ細胞マーカーには、それだけに限らないが、膵および十二指腸のホメオボックス1(PDX1)ポリペプチド、インスリン、c-ペプチド、アミリン、E-カドヘリン、Hnf3β、PCI/3、B2、Nkx2.2、GLUT2、PC2、ZnT-8、ISL1、Pax6、Pax4、NeuroD、1 Inf1b、Hnf-6、Hnf-3ベータ、およびMafA、ならびにZhangら、Diabetes. 50(10):2231-6 (2001)によって記載されたものが含まれる。一部の実施形態では、β細胞マーカーは核β-細胞マーカーである。一部の実施形態では、β細胞マーカーはPDX1またはPH3である。
【0076】
[0090]用語「膵内分泌マーカー」は、限定なく、特異的に膵内分泌細胞中に発現しまたは存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、要素、およびその他の分析物質を意味し得る。例示的な膵内分泌細胞マーカーには、それだけに限らないが、Ngn-3、NeuroD、およびIslet-1が含まれる。
【0077】
[0091]用語「膵前駆細胞」、「膵内分泌前駆細胞」、「膵前駆体」、「膵内分泌前駆体」、およびそれらの文法的等価物は本明細書で相互交換可能に用いられ、膵内分泌細胞、膵外分泌細胞、または膵導管細胞を形成することができる膵ホルモン発現細胞になることができる幹細胞を意味し得る。これらの細胞は少なくとも1つの型の膵細胞、例えばインスリンを生成するβ細胞、グルカゴンを生成するα細胞、ソマトスタチンを生成するδ細胞(またはD細胞)、および/または膵ポリペプチドを生成するF細胞に向けた分化に関与している。そのような細胞は以下のマーカー、NGN3、NKX2.2、NeuroD、ISL-1、Pax4、Pax6、またはARXのうち少なくとも1つを発現することができる。
【0078】
[0092]本明細書で用いる用語「PDX1陽性膵前駆細胞」は、膵β細胞等のSC-β細胞に分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を意味し得る。PDX1陽性膵前駆細胞はマーカーPDX1を発現する。その他のマーカーには、それだけに限らないが、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6もしくはNRx2.2が含まれる。PDX1の発現は、抗PDX1抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞はNKX6.1の発現を欠く。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は、それがNKX6.1の発現を欠くので、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞と称することもできる。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は「膵前腸内胚葉細胞」と名付けることもできる。
【0079】
[0093]用語「PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞」および「NKX6.1陽性の膵前駆体」は、本明細書において相互交換可能に使用され、膵β細胞などのインスリン生成細胞に分化する能力を有する膵内胚葉(PE)細胞である細胞を指すことができる。PDX1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞はマーカーPDX1およびNKX6-1を発現する。その他のマーカーには、それだけに限らないが、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6もしくはNRx2.2が含まれる。NKX6-1の発現は、抗NKX6-1抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。本明細書で用いる場合、用語「NKX6.1」および「NKX6-1」は等価で相互交換可能である。一部の例では、PDX1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞は「膵前腸前駆体細胞」と名付けることもできる。
【0080】
[0094]用語「NeuroD」および「NeuroD1」は相互交換可能に用いられ、膵内分泌前駆細胞において発現するタンパク質およびそれをコードする遺伝子を特定する。
[0095]用語「エピジェネティクス」は、DNA配列の変化を含まない遺伝子機能の遺伝性の変化を意味する。エピジェネティクスは遺伝子の活性および発現に影響する染色体の変化を意味することが最も多いが、ゲノムの修飾に由来しない任意の遺伝可能な表現型の変化を記述するために用いることもできる。細胞および生理学的な表現型の形質に対するそのような効果は外的または環境的な要因に起因することがあるか、または正常な発生プログラムの一部であることもある。エピジェネティクスはヌクレオチド配列の変化を含まないゲノムの機能的に関連する変化を意味することもある。そのような変化を生成する機構の例としてはDNAのメチル化およびヒストンの修飾があり、そのそれぞれは根底にあるDNA配列を改変せずに、遺伝子が発現される様式を改変する。遺伝子の発現はDNAのサイレンサー領域に結合している抑制タンパク質の作用によって制御され得る。これらのエピジェネティクスは細胞の寿命の間の細胞分割を通して持続することができ、これらが生命体の根底にあるDNA配列の変化を含まないとしても、多世代にわたって持続することができる。真核細胞の生物学におけるエピジェネティクスの1つの例として、細胞分化のプロセスがある。形態形成の間に全能性幹細胞が種々の多能性細胞になり、次いでこれが完全に分化した細胞になることができる。
【0081】
[0096]用語「エピジェネティック修飾化合物」は、遺伝子にエピジェネティクスを起こさせる、即ちDNA配列を変化させずに遺伝子の発現を変化させる化合物を意味する。エピジェネティクスは、遺伝子がオンまたはオフされるかを決定することを助け、ある種の細胞、例えばベータ細胞におけるタンパク質の生成に影響することができる。DNAのメチル化およびヒストンの修飾等のエピジェネティック修飾はDNAの接近可能性およびクロマチンの構造を改変し、それにより遺伝子発現のパターンを規制する。これらのプロセスは成体生命体における独特の細胞系統の正常な発生および分化に重要である。これらは外因性の影響によって修飾することができ、したがって表現型または病態表現型の環境的改変に寄与し得るか、またはその結果であり得る。重要なことに、エピジェネティック修飾は多能性遺伝子の規制において重要な役割を有し、これは分化の間に不活性化される。非限定的なエピジェネティック修飾化合物の例には、DNAメチル化阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ブロモドメイン阻害剤、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0082】
[0097]用語「分化した細胞」またはその文法的等価物は、その天然形においてその用語が本明細書において定義されるように多能性ではない任意の初代細胞を意味する。別の言い方では、用語「分化した細胞」は、細胞分化プロセスにおいて特殊性の低い細胞型(例えば人工多能性幹細胞等の幹細胞)の細胞から誘導された特殊性の高い細胞型の細胞を意味し得る。理論に限定されることは望まないが、正常な個体発生の過程における多能性幹細胞は、最初に膵細胞およびその他の内胚葉細胞型を形成することができる内胚葉細胞に分化することができる。内胚葉細胞のさらなる分化は膵経路に導かれ、細胞の約98%は外分泌性、導管性、またはマトリックスの細胞になり、約2%が内分泌細胞になる。早期の内分泌細胞は膵島前駆細胞であり、次いでこれがさらに、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、または膵ポリペプチドを分泌するインスリン生成細胞(例えば機能性内分泌細胞)に分化することができる。内胚葉細胞は内胚葉起源の他の細胞、例えば肺、肝臓、腸、胸腺等に分化することもできる。
【0083】
[0098]本明細書で用いる場合、用語「体細胞」は、生殖系列細胞とは反対に、生命体を形成する任意の細胞を意味し得る。哺乳動物では、生殖系列細胞(「配偶子」としても公知である)は、受精の間に融合して接合子と呼ばれる細胞を生成する精子および卵子であり、接合子から哺乳動物の胚の全体が発生する。体細胞がそれから作られる細胞である精子および卵子(生殖母細胞)および未分化幹細胞は別として、哺乳動物の体内の全ての他の細胞型は体細胞である。内部器官、皮膚、骨、血液、および結合組織は全て体細胞から作られている。一部の実施形態では、体細胞は「非胚性体細胞」であり、これは胚に存在せずまたは胚から得られず、そのような細胞のin vitro増殖に起因しない体細胞を意味する。一部の実施形態では、体細胞は「成体体細胞」であり、これは胚または胎児以外の生命体に存在しもしくはこれから得られ、またはそのような細胞のin vitro増殖に起因する細胞を意味する。他に指示しなければ、少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体をインスリン生成性でグルコース応答性の細胞に変換するための方法は、in vivoおよびin vitroの両方で実施することができる(少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体が対象の中に存在する場合にはin vivoが実施され、単離され培地中に維持された少なくとも1個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体を用いてin vitroが実施される)。
【0084】
[0099]本明細書で用いる場合、用語「成体細胞」は胚発生の後で体内の至るところに見出される細胞を意味し得る。
[0100]本明細書で用いる場合、用語「内胚葉細胞」は極めて早期の胚の中の3つの一次胚細胞層のうちの1つからのものである細胞を意味し得る(他の2つの胚細胞層は中胚葉および外胚葉である)。内胚葉は3つの層のうち最も内側にある。内胚葉細胞は分化して最初に胚性腸を生じ、次いで呼吸管および消化管(例えば腸)のライニング、肝臓、ならびに膵を生じる。
【0085】
[0101]本明細書で用いる用語「内胚葉起源の細胞」は、内胚葉細胞から発生しまたは分化した任意の細胞を意味し得る。例えば、内胚葉起源の細胞には肝臓、肺、膵、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞が含まれる。理論に縛られることは望まないが、肝臓および膵の前駆細胞(膵前駆細胞とも称される)は胚前腸内の内胚葉細胞から発生する。これらが特定されてからすぐに、肝臓および膵の前駆細胞は全く異なった細胞機能および再生能力を急速に獲得する。これらの変化は、脊椎動物の間で高度に保存された誘起シグナルおよび遺伝子制御因子によって引き起こされる。臓器の発生および再生に対する興味は、肝不全およびI型糖尿病の治療処置における肝細胞および膵β細胞への強いニーズによって加速されてきた。多様なモデルの生命体およびヒトにおける研究によって、肝細胞および膵細胞の分化を引き起こし、多様な幹細胞および前駆細胞の型からの肝細胞およびβ細胞の分化をどのように促進するかについての指針を提供する進化的に保存された誘起シグナルおよび転写因子のネットワークが明らかになってきた。
【0086】
[0102]本明細書で用いる用語「胚体内胚葉」は、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば膵β細胞)に分化することができる細胞を意味し得る。胚体内胚葉細胞はマーカーSox17を発現する。胚体内胚葉細胞に特徴的なその他のマーカーには、それだけに限らないが、MIXL2、GATA4、HNF3B、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CXCR4、Cerberus、OTX2、グーセコイド、C-Kit、CD99、CMKOR1、およびCRIP1が含まれる。特に、本明細書の胚体内胚葉細胞はSox17ならびに一部の実施形態ではSox17およびHNF3Bを発現し、顕著なレベルのGATA4、SPARC、APF、またはDABは発現しない。胚体内胚葉細胞はマーカーPDX1については陽性ではない(例えばそれらはPDX1陰性である)。胚体内胚葉細胞は肝臓、肺、膵、胸腺、腸、胃、および甲状腺の細胞を含む細胞に分化する能力を有している。Sox17およびその他の胚体内胚葉のマーカーの発現は、例えば抗Sox17抗体を用いる免疫化学または定量的RT-PCR等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。
【0087】
[0103]用語「膵内胚葉」は、膵β細胞を含む多重の膵臓系統に分化することができるが、非膵臓系統に分化する能力をもはや有しない内胚葉起源の細胞を意味し得る。
[0104]本明細書で用いる用語「原腸管細胞」または「腸管細胞」は、内胚葉細胞から分化し、SC-β細胞(例えば膵β細胞)に分化することができる細胞を意味し得る。原腸管細胞は以下のマーカー、HNP1-β、HNF3-β、またはHNF4-αのうち少なくとも1つを発現する。一部の例では、原腸管細胞は、FOXA2陽性およびSOX2陽性であり、即ち、FOXA2(HNF3-βとしても公知である)とSOX2の両方を発現する。一部の例では、原腸管細胞は、FOXA2陽性およびPDX1陰性であり、即ち、FOXA2を発現するがPDX1は発現しない。原腸管細胞は肺、肝臓、膵、胃、および腸の細胞を含む細胞に分化する能力を有している。HNF1-βおよびその他の原腸管のマーカーの発現は、例えば抗HNF1-β抗体を用いる免疫化学等の当業者には公知の任意の方法によって評価することができる。
【0088】
[0105]本明細書で用いる用語「幹細胞」は、増殖することができ、次に分化したまたは分化可能な娘細胞を生じることができる多数の母細胞を産生する能力を有するより多くの前駆細胞を生じる未分化の細胞を意味し得る。娘細胞それ自体は、増殖し、続いて1つまたは複数の成熟細胞型に分化する子孫を生成するように誘起される一方、親の発生可能性を有する1個または複数の細胞を保持することができる。用語「幹細胞」は、特定の状況下ではより特殊化されまたは分化した表現型に分化する能力または可能性を有し、特定の状況下では実質的に分化せずに増殖する能力を保持している前駆細胞のサブセットを意味し得る。一実施形態では、幹細胞という用語は一般に、その子孫(descendants、progeny)が、胚の細胞および組織の漸進的多様化で起こるように、分化によって、例えば完全に個別の特徴を獲得することによって、しばしば異なる方向に、特殊化する、天然に存在する母細胞を意味する。細胞の分化は典型的には多くの細胞分割を通して起こる複雑なプロセスである。分化した細胞は万能性細胞由来であってよく、万能性細胞はそれ自体、万能性細胞由来、等々である。これらの万能性細胞のそれぞれは幹細胞であると考えられるが、それぞれが生じることができる細胞型の範囲はかなり変動し得る。いくつかの分化した細胞はより大きな発生の可能性を有する細胞を生じる能力をも有する。そのような能力は天然であってもよく、種々の因子を用いる処理によって人工的に誘起してもよい。多くの生物学的な例では、幹細胞は2つ以上の異なった細胞型を有する子孫を生成することができるので「万能性」でもあるが、これは「幹細胞性」であるために必要ではない。「自己更新」は幹細胞の定義の他の古典的な部分であり、これは本書で用いるように重要である。理論的には、自己更新は2つの主な機構のいずれかによって起こり得る。幹細胞は非対称的に分割され、1つの娘は幹細胞状態を保持し、他の娘はいくつかの異なった他の特定の機能および表現型を発現することができる。あるいは、集団中の幹細胞のいくつかは2つの幹細胞に対称的に分割することができ、それにより集団中のいくつかの幹細胞は全体として維持される一方、集団中の他の細胞は分化した子孫のみを生じる。形式的には、幹細胞として始まった細胞が分化した表現型に向かって進行するが、「逆行」し、幹細胞の表現型を逆発現することも可能である。これは当業者によって「脱分化」または「再プログラミング」または「逆分化」と称されることが多い。本明細書で用いる場合、用語「多能性幹細胞」には、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、胎盤幹細胞等が含まれる。
【0089】
[0106]本明細書で用いる用語「多能性」は、種々の条件下で2種以上の分化した細胞型に分化し、好ましくは3種全ての胚細胞層に特徴的な細胞型に分化する能力を有する細胞を意味し得る。多能性細胞は、一次的には例えばヌードマウスの奇形腫形成アッセイを用いて2種以上の細胞型、好ましくは3種全ての胚葉層に分化する能力によって特徴付けられる。多能性は胚幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明されるが、多能性のための好ましい試験は3種の胚葉層のそれぞれの細胞へ分化する能力を実証することである。そのような細胞を単に培養するだけではそれ自体、これらの細胞を多能性にするわけではないことに留意されたい。再プログラミングされた多能性細胞(例えば本明細書でその用語を定義するようにiPS細胞)は、一般には培養中に限られた回数の分割のみの能力を有する初代親細胞と比較して、成長の可能性を失わずに延長された継代の能力を有することも特徴としている。
【0090】
[0107]本明細書で用いる場合、用語「iPS細胞」および「人工多能性幹細胞」は相互交換可能に用いられ、例えば1つまたは複数の遺伝子の強制的な発現を誘起することによって、非多能性細胞から、典型的には成体体細胞から人工的に誘導された(例えば誘起された、または完全な逆転による)多能性幹細胞を意味し得る。
【0091】
[0108]用語「表現型」は、実際の遺伝子型に関わらず、環境条件および因子の特定の組のもとに細胞または生命体を定義する1つまたはいくつかの生物的特徴の全てを意味し得る。
【0092】
[0109]用語「対象」、「患者」、または「個体」は本明細書で相互交換可能に用いられ、それから細胞が得られ、および/または本明細書に記載した細胞を用いる予防的処置を含む処置がそれに提供される動物、例えばヒトを意味し得る。ヒト対象等の特定の動物に特有な感染、病態、または疾患状態の処置については、対象という用語はその特定の動物を意味し得る。本明細書で相互交換可能に用いられる「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」には、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長類等の哺乳動物が含まれる。用語「対象」には、それだけに限らないが哺乳類、爬虫類、両生類、および魚類を含む任意の脊椎動物も包含される。しかし有利には、対象はヒト等の哺乳動物、または例えばイヌ、ネコ、ウマ、その他の家畜、もしくはウシ、ヒツジ、ブタ、その他の生産用哺乳動物等のその他の哺乳動物である。「それを必要とする患者」または「それを必要とする対象」は、本明細書では糖尿病に限らず、例えば疾患または障害を有すると診断されたか、その疑いがある患者を意味する。
【0093】
[0110]本明細書で用いる「投与する」は、本明細書に記載した1つまたは複数の組成物を患者または対象に提供することを意味し得る。例として限定せずに、組成物の投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって実施することができる。1つまたは複数のそのような経路を採用することができる。非経口投与は、例えばボーラス注射または時間をかけた段階的潅流によるものでよい。あるいは、または同時に、投与は経口経路によるものでよい。さらに、投与は細胞のボーラスまたはペレットを手術で堆積してもよく、医用デバイスを位置決めしてもよい。一実施形態では、本開示の組成物は、増殖性障害を治療しまたは予防するために有効な量の本明細書に記載した核酸配列または本明細書に記載した少なくとも1つの核酸配列を含むベクターを発現する操作された細胞または宿主細胞を含み得る。薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載した細胞集団を含んでよい。そのような組成物は、中性緩衝食塩液、リン酸緩衝食塩液等の緩衝液、グルコース、マンノース、スクロース、もしくはデキストラン、マンニトール等の炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、またはグリシン等のアミノ酸、酸化防止剤、EDTAもしくはグルタチオン等のキレート化剤、アジュバント(例えば水酸化アルミニウム)、および保存剤を含んでもよい。
【0094】
[0111]全体に開示したいくつかの数値は、例えば「Xは少なくともまたは少なくとも約100、または200[または任意の数]である」と称される。この数値にはその数それ自体および以下
i)Xは少なくとも100である、
ii)Xは少なくとも200である、
iii)Xは少なくとも約100である、および
iv)Xは少なくとも約200である
の全てが含まれる。
【0095】
[0112]全体に開示した数値によって、これら全ての異なった組合せが意図されている。他にその反対が具体的に指示されなければ、それが治療薬の投与についてであっても、日、月、年、重量、用量、その他についてであっても、開示した全ての数値はこのように解釈すべきである。
【0096】
[0113]全体に開示した範囲は、例えば「Xは1~2日目もしくは約1~2日目に、または2~3日目もしくは約2~3日目に[または任意の数値範囲に]投与される」と称されることがある。この範囲にはその数それ自体(例えば範囲の終点)および以下
i)Xは1日目と2日目の間に投与される、
ii)Xは2日目と3日目の間に投与される、
iii)Xは約1日目と2日目の間に投与される、
iv)Xは約2日目と3日目の間に投与される、
v)Xは1日目と約2日目の間に投与される、
vi)Xは2日目と約3日目の間に投与される、
vii)Xは約1日目と約2日目の間に投与される、および
viii)Xは約2日目と約3日目の間に投与される
の全てが含まれる。
【0097】
[0114]全体に開示した範囲によって、これら全ての異なった組合せが意図されている。他にその反対が具体的に指示されなければ、それが治療薬の投与についてであっても、日、月、年、重量、用量、その他についてであっても、開示した全ての範囲はこのように解釈すべきである。
【0098】
[0115]態様では、本開示は膵前駆細胞を分化する組成物および方法を提供する。本明細書で提供される組成物および方法は、一部の実施形態では、膵β細胞、細胞集団、または高純度の膵β細胞、高インスリン含量、優れたグルコース依存性インスリン分泌応答、ならびに構造的および機能的に天然膵島に類似し得る膵αおよびδ細胞ならびに腸クロム親和性細胞の適切なパーセンテージを有する細胞クラスターを提供することができる。
【0099】
[0116]一部の態様では、膵臓内分泌細胞を分化する方法が本明細書で提供される。一部の例では、本方法は、増加した膵β細胞、増加した膵α細胞、増加した膵δ細胞、減少した腸クロム親和性細胞(EC細胞)、またはそれらの任意の組合せの産生をもたらす。一部の例では、本方法は、約30%~40%の膵β細胞、30%~40%の膵α細胞、3~10%の膵δ細胞、および/または20%未満のEC細胞を含むin vitro細胞組成物の産生をもたらす。一部の例では、本明細書で開示される方法に従って産生された細胞組成物は、従来の方法に従って産生された細胞組成物と比較して、グルコース刺激ンスリン分泌(GSIS)応答を改善した。一部の例では、本明細書で開示される細胞組成物は、天然膵島に近い動的GSIS応答を有する。
【0100】
[0117]一部の態様では、本明細書で提供される方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞におけるNKX6.1発現の誘導中または誘導後、例えば、PDX1陽性の膵前駆細胞をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させる末期段階において、PKC活性化を利用する。ある特定の理論に縛られることなく、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞におけるPKCシグナル伝達の活性化は、ある特定の細胞の分化運命に影響し、膵α細胞のパーセンテージの増加およびEC細胞のパーセンテージの減少をもたらすことができる。
【0101】
[0118]一部の態様では、本開示は、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤およびγ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップとを含む方法を提供する。
【0102】
[0119]一部の態様では、本開示は、細胞集団を、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGFβスーパーファミリーからの成長因子およびFGFファミリーからの成長因子の一方または両方と接触させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞集団は、PDX1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。
【0103】
[0120]一部の態様では、本開示は、(a)1~5日間以下の期間、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団をγセクレターゼ阻害剤と接触させるステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ステップ(a)の接触は、4日間または5日間の期間である。一部の実施形態では、ステップ(b)は、第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させるステップをさらに含む。
【0104】
[0121]一部の態様では、本開示は、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップであって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体であるステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップとを含む方法を提供する。一部の例では、ベンゾラクタム誘導体はTPPBである。
【0105】
[0122]一部の態様では、本開示は、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにγ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップと、(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップと、(e)第4の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびに血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップとを含む方法を提供する。
【0106】
[0123]一部の態様では、本明細書で開示される方法は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させ、PDX1陽性の膵前駆細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を産生することによって、前記PDX1陽性の膵前駆細胞をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化するステップを含む。一部の例では、本方法は、第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む第2の組成物と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、第2の期間後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部を、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる第3の組成物と接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップを含む。
【0107】
[0124]一部の例では、本明細書では、細胞集団を含むin vitro組成物が提供され、細胞集団は、(a)C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞;および(b)VMAT1を発現する少なくとも約35%の細胞、またはグルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞を含む(例えば、フローサイトメトリーによって測定した場合)。一部の態様では、本開示は、in vitro細胞集団を含む組成物を提供し、前記細胞集団は、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%細胞;および(i)VMAT1を発現する少なくとも約35%細胞、および/または(ii)グルカゴンを発現する少なくとも約15%細胞を含む。一部の実施形態では、細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって測定される。一部の例では、前記細胞集団は、VMAT1を発現する少なくとも約30%の細胞、およびグルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞を含む。
【0108】
[0125]一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;およびPKC活性化剤を含むin vitro組成物であって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体である組成物が本明細書で提供される。
【0109】
[0126]一部の例では、細胞集団を含む組成物であって、(a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、もしくは80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;(b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%もしくは35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;(c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%もしくは15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で提供される。
【0110】
[0127]一部の例では、細胞集団を含む組成物であって、(a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;(b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに(c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で提供される。
【0111】
[0128]一部の例では、本明細書で提供される方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞をNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる場合、PKC活性化を含む。例えば、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞のNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞への分化を指向する分化因子と接触させる時間の初期段階で、PKC活性化剤を導入することができる。一部の例では、本方法は、(a)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と1~2日間接触させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を得るステップと、ならびに(b)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を、PKC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物と1~2日間接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む第2の形質転換細胞集団を得るステップとを含む。
【0112】
内分泌細胞を産生する方法
[0129]態様では、本開示は膵前駆細胞または前駆体から内分泌細胞を産生する組成物および方法に関する。内分泌細胞を産生して少なくとも1個のSC-β細胞を提供するある例示的な詳細なプロトコールは、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0240212号および第2015/0218522号に記載されている。
【0113】
[0130]一部の例では、内分泌細胞の集団を産生する方法は、膵β細胞を産生する場合、膵αおよび/またはδ細胞の増加したパーセンテージ、膵臓EC細胞の減少したパーセンテージをもたらす。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法を用いて、α細胞の濃縮された集団を得ることができる。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法を用いて、δ細胞の濃縮された集団を得ることができる。一部の例では、内分泌細胞集団を産生する方法は、(a)第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップと、(b)第1の期間後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む組成物と接触させ、それにより膵臓内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップとを含む。一部の例では、本明細書で開示される方法に従って産生された細胞集団は、第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞をPKC活性化剤と接触させずに産生された対応する細胞集団と比較して、(i)ソマトスタチンを発現する細胞のパーセンテージが増加し;(ii)グルカゴンを発現する細胞のパーセンテージが増加し;(iii)VMAT1を発現する細胞のパーセンテージが減少し;または(iv)C-ペプチドを発現する細胞のパーセンテージが増加している。
【0114】
[0131]一部の例では、本方法は、第1の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤からなる群から選択される因子を含む第1の組成物と接触させるステップと、第1の期間後に、第2の期間、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物からなる群から選択される因子を含む第2の組成物と接触させるステップを含む。一部の例では、第1の組成物は、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む。一部の例では、第2の組成物は、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む。
【0115】
[0132]一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞に分化させる組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、後成的修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される分化因子を含む。一部の例では、組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤を含む。
【0116】
[0133]一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、PKC活性化剤を含む組成物と接触させることをさらに含む。例えば、本方法は、(a)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と1~2日間接触させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を得るステップと、ならびにb)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を、PKC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物と1~2日間接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む第2の形質転換細胞集団を得るステップとを含む。一部の例では、本方法は、第2の形質転換細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む組成物と接触させ、それにより膵臓内分泌細胞を含む細胞集団を産生することをさらに含む。
【0117】
[0134]一部の例では、本明細書で提供される方法に従って産生された膵臓内分泌細胞を含む細胞集団は、フローサイトメトリーによって測定して、ソマトスタチンを発現する少なくとも約4%の細胞、グルカゴンを発現する少なくとも約15%の細胞、VMAT1を発現する少なくとも約35%の細胞、またはC-ペプチドを発現する少なくとも約40%の細胞を含む。一部の例では、膵臓内分泌細胞を含む細胞集団は、PKC活性化剤と接触することなく産生される対応する細胞集団と比較して、ソマトスタチンを発現する少なくとも約50%を超える細胞、グルカゴンを発現する少なくとも約50%を超える細胞、VMAT1を発現する少なくとも約20%を下回る細胞、またはC-ペプチドを発現する少なくとも約10%を超える細胞を含む。一部の例では、膵臓内分泌細胞を含む細胞集団は、PKC活性化剤と接触することなく産生される対応する細胞集団と比較して、ソマトスタチンを発現する少なくとも約100%を超える細胞、グルカゴンを発現する少なくとも約200%を超える細胞、VMAT1を発現する少なくとも約50%を下回る細胞、またはC-ペプチドを発現する少なくとも約20%を超える細胞を含む。
【0118】
[0135]一部の態様では、本開示は、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップを含む方法を提供する。一部の例では、本方法は、第1の細胞集団を、PKC活性化剤およびγ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、本方法は、第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、本方法は、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤およびγ-セクレターゼ阻害剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップとを含む。一部の例では、本方法は、(d)第3の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、ステップ(d)は、第3の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含む。
【0119】
[0136]一部の態様では、本開示は、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップであって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体であるステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップとを含む方法を提供する。一部の例では、ベンゾラクタム誘導体はTPPBである。一部の例では、第2の細胞集団を産生するステップ(b)は、第1の細胞集団をγ-セクレターゼ阻害剤と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、第4の細胞集団を産生するステップ(d)は、第3の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含まない。一部の例では、第4の細胞集団を産生するステップ(d)は、第3の細胞集団をγ-セクレターゼ阻害剤と接触させるステップを含まない。一部の例では、第4の細胞集団を産生するステップ(d)は、第3の細胞集団をSHH経路阻害剤と接触させるステップを含まない。一部の例では、第4の細胞集団を産生するステップ(d)は、第3の細胞集団をEGFファミリーからの成長因子と接触させるステップを含まない。
【0120】
[0137]一部の例では、本方法は、(e)第4の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップをさらに含む。一部の例では、ステップ(e)は、第4の細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含む。
【0121】
[0138]一部の態様では、本開示は、(a)複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第1の細胞集団を産生するステップと、(b)第1の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第2の細胞集団を産生するステップと、(c)第2の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびにγ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第3の細胞集団を産生するステップと、(d)第3の細胞集団を、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第4の細胞集団を産生するステップと、(e)第4の細胞集団を、PKC活性化剤、ならびに血清アルブミンタンパク質、ビタミンC、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物のうちの1つまたは複数と接触させ、それにより第5の細胞集団を産生するステップとを含む方法を提供する。一部の例では、本明細書で提供される方法のステップ(d)は、第4の細胞集団を血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。
【0122】
[0139]一部の例では、本明細書で開示される方法における第1の細胞集団を産生するためのステップ(a)は、約1、2、3、4、5または6日間にわたって行われる。一部の例では、第1の細胞集団を産生するためのステップ(a)は、3~5日間、例えば、3~4日間、4~5日間、約3日間、約4日間、または約5日間にわたって行われる。一部の例では、第1の細胞集団を産生するためのステップ(a)は、4日間にわたって行われる。一部の例では、本明細書で開示される方法における第2の細胞集団を産生するためのステップ(b)は、1、2、3または4日間にわたって行われる。一部の例では、第2の細胞集団を産生するためのステップ(b)は、1~3日間、例えば、1~2日間、2~3日間、約1日間、約2日間、または約3日間にわたって行われる。一部の例では、第2の細胞集団を産生するためのステップ(b)は、2日間にわたって行われる。一部の例では、本明細書で開示される方法における第3の細胞集団を産生するためのステップ(c)は、1、2、3、または4日間に行われる。一部の例では、第3の細胞集団を産生するためのステップ(c)は、1~3日間、例えば、1~2日間、2~3日間、約1日間、約2日間、または約3日間にわたって行われる。一部の例では、第3の細胞集団を産生するためのステップ(c)は、2日間にわたって行われる。一部の例では、本明細書で開示される方法における第4の細胞集団を産生するためのステップ(d)は、1、2、3、4、5、6、または7日間にわたって行われる。一部の例では、第4の細胞集団を産生するためのステップ(d)は、4~6日間、例えば、5~6日間、4~5日間、約4日間、約5日間、または約6日間にわたって行われる。一部の例では、第4の細胞集団を産生するためのステップ(d)は、5日間にわたって行われる。一部の例では、本明細書で開示される方法における第5の細胞集団を産生するためのステップ(e)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15日間にわたって行われる。一部の例では、第4の細胞集団を産生するためのステップ(d)は、10~12日間、例えば、10~11日間、11~12日間、約10日間、約11日間、約12日間にわたって行われる。
【0123】
[0140]一部の例では、第2の細胞集団は、PDX1陽性およびNKX6.1陽性細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団は、PDX1陽性、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞を含む。一部の例では、第5の細胞集団は、C-ペプチドおよびISL1を発現する細胞を含むが、VMAT1を発現しない。一部の例では、第4の細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない。一部の例では、第4の細胞集団における40~60%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現しない。一部の例では、第4の細胞集団は、グルカゴンを発現するがソマトスタチンを発現しない細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現しない。一部の例では、第4の細胞集団における10~25%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない。一部の例では、第4の細胞集団は、ソマトスタチンを発現するがグルカゴンを発現しない細胞を含む。一部の例では、第4の細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない。
【0124】
[0141]一部の例では、本明細書で提供される方法における第1の細胞集団を産生するステップは、複数のPDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の例では、本明細書で提供される方法における第2の細胞集団を産生するステップは、第1の細胞集団を、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤と接触させるステップを含む。一部の例では、本明細書で提供される方法における第3の細胞集団を産生するステップは、第2の細胞集団を、ガンマ-セクレターゼ阻害剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む。一部の例では、本明細書で提供される方法における第4の細胞集団を産生するステップは、第3の細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む。一部の例では、本明細書で提供される方法において使用するためのROCK阻害剤は、チアゾバビンである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第1の細胞集団および/または第2の細胞集団を産生するステップに使用するためのTGFβスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第1の細胞集団および/または第2の細胞集団を産生するステップに使用するためのFGFファミリーからの成長因子は、KGFである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第1の細胞集団、第2の細胞集団、および/または第3の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのRAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸である。一部の例では、本明細書で提供される方法における第1の細胞集団、第2の細胞集団、および/または第3の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのSHH経路阻害剤は、Sant-1である。一部の例では、本明細書で提供される方法における第2の細胞集団、第3の細胞集団、および/または第4の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのPKC活性化剤は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される。一部の例では、PKC活性化剤はPDBUである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第2の細胞集団、および/または第3の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのγ-セクレターゼ阻害剤は、XXIである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第3の細胞集団、および/または第4の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5iである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第3の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのEGFファミリーからの成長因子は、ベータセルリンである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第3の細胞集団および/または第4の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのTHシグナル伝達経路活性化剤は、T3、GC-1または甲状腺ホルモン誘導体である。一部の例では、第3の細胞集団、および/または本明細書で提供される方法における第4の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンである。一部の例では、本明細書で提供される方法における第3の細胞集団、および/または第4の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1である。一部の例では、本明細書で提供される方法における第3の細胞集団、および/または第4の細胞集団を産生するステップにおいて使用するためのエピジェネティック修飾化合物は、DZNepである。
【0125】
[0142]一部の例では、膵前駆細胞がPKC活性化剤で処理される第1の期間は、少なくとも2日間、3日間、または4日間である。一部の例では、第1の期間は、多くとも4日間、3日間、または2日間である。一部の例では、第1の期間は、2~4日間である。一部の例では、膵前駆細胞がPKC活性化剤で処理される第2の期間は、少なくとも2日間である。一部の例では、第2の期間は、多くとも4日間である。一部の例では、第2の期間は、2~4日間である。一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化とNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞の分化の間の移行の間に本明細書において検討されるPKC活性化剤の処理は、少なくとも2日間、3日間、または4日間である。一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化とNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞の分化の間の移行の間に本明細書において検討されるPKC活性化剤の処理は、多くとも2日間、3日間、または4日間である。一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の分化とNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞の分化の間の移行の間に本明細書において検討されるPKC活性化剤の処理は、2日間~4日間である。
【0126】
[0143]一部の実施形態では、PKC活性化剤は、分化プロセスの間、2つ以上の異なる時点で分化細胞集団に接触される。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、細胞集団に接触され、細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、細胞集団に接触され、細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、細胞集団に接触され、細胞は、インスリン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、以下の分化ステージ:細胞がPDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む場合;細胞がPDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む場合;および細胞がインスリン陽性細胞を含む場合の各々でPKC活性化剤は細胞集団に接触される。一部の実施形態では、同じタイプのPKC活性化剤(例えば、ホルボールエステルまたはベンゾラクタム誘導体)は、2つ以上の異なる時点で、異なる細胞集団に投与される。例えば、一部の実施形態では、ホルボールエステル(例えば、PDBU)は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞集団に投与され、ホルボールエステル(例えば、PDBU)は、同じ分化プロトコールの間、PDX陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞集団に投与される。一部の実施形態では、1種または複数の異なるPKC活性化剤(例えば、ホルボールエステルおよびベンゾラクタム誘導体)は、2つ以上の異なる時点で、異なる細胞集団に投与される。例えば、一部の実施形態では、ホルボールエステル(例えば、PDBU)は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む細胞集団に投与され、ベンゾラクタム誘導体(例えば、TPPB)は、同じ分化プロトコールの間、PDX陽性、NKX6.1陽性細胞を含む細胞集団に投与される。
【0127】
[0144]一部の例では、本明細書に記載される方法のPKC活性化剤の非限定的な例は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBを含む。一部の例では、PKC活性化剤はPDBUを含む。一部の例では、PKC活性化剤はTPPBを含む。一部の例では、PKC活性化剤は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団に、50nM~2000nM、75nM~1500nM、100nM~1000nM、200nM~750nM、または400nM~600nMの濃度で接触される。一部の例では、PKC活性化剤は、100nM~1000nMの濃度である。一部の例では、PKC活性化剤は、少なくとも約100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1000nMの濃度である。一部の例では、PKC活性化剤は、多くとも約100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1000nMの濃度である。一部の例では、PKC活性化剤は、約100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1000nMの濃度である。一部の例では、PKC活性化剤は、約500nMの濃度である。
【0128】
[0145]一部の例では、本明細書に記載される方法において使用されるガンマセクレターゼ阻害剤の非限定的な例には、XXIおよびDAPTが含まれる。一部の例では、ガンマセクレターゼ阻害剤はXXIを含む。一部の例では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、0.2μM~20μM、0.3μM~15μM、0.5μM~10μM、1μM~5μM、または1.5μM~2.5μMの濃度で、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団に接触される。一部の例では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、約0.5μM、0.75μM、1μM、1.25μM、1.5μM、1.75μM、2μM、2.25μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、7.5μM、10μM、15μM、または20μMの濃度である。一部の例では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、少なくとも約0.5μM、0.75μM、1μM、1.25μM、1.5μM、1.75μM、2μM、2.25μM、2.5μM、3μM、4μM、または5μMの濃度である。一部の例では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、多くとも約1μM、1.25μM、1.5μM、1.75μM、2μM、2.25μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、7.5μM、10μM、15μM、または20μMの濃度である。
【0129】
細胞組成物
[0146]一部の態様では、SC-β細胞、SC-α細胞、SC-δ細胞、およびSC-EC細胞を含む細胞組成物が本明細書で提供される。一部の例では、本明細書で提供される細胞組成物は、所望の量(例えば、パーセンテージ)のSC-β細胞、SC-α細胞、およびSC-δ細胞、ならびに限られた量のSC-EC細胞を有する。一部の例では、細胞組成物の細胞構成は、天然の膵島に類似している。
【0130】
[0147]一部の例では、本開示のSC-β細胞は、正常なβ細胞機能に重要であるβ細胞の多くの特徴的な特徴を共有する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、in vitroで、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、in vivoで、GSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、in vitroおよびin vivoでのGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、GSIS応答は、内因性成熟膵β細胞のGSIS応答に似ている。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも1つのグルコースチャレンジに対するGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも2つの連続的グルコースチャレンジに対するGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも3つの連続的グルコースチャレンジに対するGSIS応答を呈する。一部の実施形態では、GSIS応答は、複数のグルコースチャレンジに対する内因性ヒト膵島のGSIS応答に似ている。一部の実施形態では、GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物へと移植した直後に観察される。一部の実施形態では、GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物へと移植してからおよそ24時間以内に観察される。一部の実施形態では、GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物へと移植してからおよそ1週間以内に観察される。一部の実施形態では、GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物へと移植してからおよそ2週間以内に観察される。一部の実施形態では、低いグルコース濃度と比較して、高いグルコース濃度に応答して分泌されるインスリンの比率によって特徴付けられる細胞の刺激指数は、内因性成熟膵β細胞の刺激指数に類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1より大きい刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1より大きいかまたは1に等しい刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1.1より大きい刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1.1より大きいかまたは1.1に等しい刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、2より大きい刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1より大きいかまたは1に等しい刺激指数を呈する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、もしくは5.0またはそれより大きい刺激指数を呈する。
【0131】
[0148]一部の実施形態では、本開示は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物を提供する。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤は、DAPTまたはXXIである。
【0132】
[0149]一部の態様では、本開示は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;PKC活性化剤;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物における少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞である。一部の実施形態では、組成物における90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%または10%未満の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞である。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、FR236924、プロストラチン、SC-9、およびTPPBからなる群から選択される。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤は、DAPTまたはXXIである。一部の実施形態では、組成物は、FGFファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子はKGFである。一部の実施形態では、組成物は、TGFβスーパーファミリーの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリーの成長因子はアクチビンAである。
【0133】
[0150]一部の態様では、本開示は、PDX1陽性細胞、γ-セクレターゼ阻害剤、ならびにTGFβスーパーファミリーからの成長因子およびFGFファミリーからの成長因子のうちの一方または両方を含むin vitro組成物を提供する。一部の実施形態では、細胞の組成物は、PDX1陽性、NKX6.1陰性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の組成物は、PDX1陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちのいずれか1つまたはそれらの組合せをさらに含む。
【0134】
[0151]一部の態様では、本開示は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞;PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;およびγ-セクレターゼ阻害剤を含むin vitro組成物を提供する。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤はXXIである。一部の実施形態では、γ-セクレターゼ阻害剤はDAPTである。
【0135】
[0152]一部の実施形態では、組成物における少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞である。一部の実施形態では、組成物における90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の細胞は、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞である。
【0136】
[0153]一部の実施形態では、組成物は、FGFファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、ROCK阻害剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、TGFβスーパーファミリーからの成長因子をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤をさらに含む。
【0137】
[0154]一部の実施形態では、組成物は、PKC活性化剤、FGFファミリーからの成長因子、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、およびレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤のうちの2つ以上(例えば、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、またはいずれか6つ)をさらに含む。組成物の一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子はKGFである。一部の実施形態では、ソニックヘッジホッグ経路阻害剤はSANT-1である。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はチアゾビビンである。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAである。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸である。一部の実施形態では、PKC活性化剤はPDBUである。
【0138】
[0155]一部の態様では、本開示は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団を提供する。一部の実施形態では、集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団における少なくとも73%の細胞は、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における少なくとも40%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における12%未満の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。
【0139】
[0156]一部の態様では、本開示は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞およびNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含むin vitroで分化した細胞集団であって、集団における12%未満(例えば、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%またはそれ以下)の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である集団を提供する。一部の実施形態では、集団における10%未満、8%未満、6%未満、4%未満、1~11%、2~10%、2~12%、4~12%、6~12%、8~12%、2~8%、4~8%、3~6%または3~5%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。一部の実施形態では、集団における2~12%、4~12%、6~12%、8~12%、2~8%、4~8%、3~6%または3~5%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陰性細胞である。
【0140】
[0157]一部の実施形態では、集団における少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、約85~95%、または約90~95%の細胞は、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、50~70%、50~60%、60~90%、60~85%、60~80%、60~75%、60~70%、65~90%、65~85%、65~80%、65~75%、65~70%、70~90%、70~85%、70~80%、70~75%、75~90%、75~85%、75~80%、80~90%、80~85%、または85~90%の細胞は、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、約85~95%、または約90~95%の細胞は、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または約99%の細胞は、ISL1陽性細胞である。
【0141】
[0158]一部の実施形態では、集団は、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞よりも多くのNKX6.1陰性、ISL1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、集団における少なくとも40%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における少なくとも45%、少なくとも50%、約40~50%、約45~55%、または約50~55%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。一部の実施形態では、集団における約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、または約55%の細胞は、NKX6.1陰性、ISL1陽性細胞である。
【0142】
[0159]一部の態様では、本開示は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞;NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞;およびPKC活性化剤を含むin vitro組成物であって、PKC活性化剤はベンゾラクタム誘導体である組成物を提供する。一部の例では、ベンゾラクタムはTPPBである。一部の例では、組成物は、γ-セクレターゼ阻害剤をさらに含む。γセクレターゼ阻害剤はXXIであり得る。
【0143】
[0160]一部の例では、本明細書に提供される組成物は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、EGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、SHH経路阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤からなる群から選択される分化因子を含む。一部の例では、組成物は血清アルブミンタンパク質も含む。
【0144】
[0161]一部の例では、本明細書に提供される組成物は、血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、エピジェネティック修飾化合物、SHH経路阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、およびBMPシグナル伝達経路阻害剤を含む。
【0145】
[0162]一部の例では、ROCK阻害剤はチアゾバビンである。一部の例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸である。一部の例では、SHH経路阻害剤はSant-1である。一部の例では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤はALK5iである。一部の例では、EGFファミリーの成長因子はベータセルリンである。一部の例では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3、GC-1または甲状腺ホルモン誘導体である。一部の例では、プロテインキナーゼ阻害剤はスタウロスポリンである。一部の例では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1である。一部の例では、エピジェネティック修飾化合物はDZNepである。
【0146】
[0163]一部の例では、本開示の細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞を有する。一部の例では、細胞組成物の細胞におけるC-ペプチドの発現およびVMAT1の非存在は、細胞がSC-β細胞であることを示唆する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約30%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%の細胞を有する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない約30%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%を有する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない約30%~約60%、約35%~約55%、約40%~約50%の細胞を有する。
【0147】
[0164]一部の例では、本開示の細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、VMAT1を発現する多くとも約35%の細胞を有する。一部の例では、本開示の細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、VMAT1を発現し、C-ペプチドを発現しない多くとも約35%の細胞を有する。一部の例では、細胞組成物の細胞におけるVMAT1の発現およびC-ペプチドの非存在は、細胞がSC-EC細胞であることを示唆する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、VMAT1を発現し、C-ペプチドを発現しない、多くとも約35%、32%、31%、30%、28%、25%、24%、23%、22%、21%、または20%の細胞を有する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、VMAT1を発現し、C-ペプチドを発現しない約35%、32%、31%、30%、28%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、または15%の細胞を有する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、VMAT1を発現し、C-ペプチドを発現しない約15%~約30%、約16%~25%、約17%~約22%、約18%~約20%の細胞を有する。
【0148】
[0165]一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、グルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、グルカゴンを発現し、ソマトスタチンを発現しない少なくとも約15%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物の細胞におけるグルカゴンの発現、およびソマトスタチンの非発現は、細胞がSC-α細胞であることを示唆する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、グルカゴンを発現し、ソマトスタチンを発現しない少なくとも約12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、または22%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、グルカゴンを発現し、ソマトスタチンを発現しない約10%~約30%、約12%~約25%、約13%~約22%、約15%~約20%、または約16%~約18%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、グルカゴンを発現し、ソマトスタチンを発現しない約12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、または22%の細胞を含む。
【0149】
[0166]一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、ソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない少なくとも約4%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物の細胞におけるグルカゴンの発現、おとびソマトスタチンの非発現は、細胞がSC-δ細胞であることを示唆する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、ソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない少なくとも約2%、3%、4%、5%、6%、7%、または8%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、ソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない約1%~約9%、約2%~約8%、約3%~約7%、または約4%~約6%の細胞を含む。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、ソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない約2%、3%、4%、5%、6%、7%、または8%の細胞を含む。
【0150】
[0167]一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞、VMAT1を発現する多くとも約30%の細胞、およびグルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞を有する。一部の例では、細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞、VMAT1を発現する多くとも約30%の細胞、グルカゴンを発現する少なくとも約20%の細胞、およびソマトスタチンを発現し、グルカゴンを発現しない少なくとも4%の細胞を有する。
【0151】
[0168]一部の例では、本明細書で提供される細胞組成物は、フローサイトメトリーによって測定して、(a)C-ペプチドを発現し、VMAT1を発現しない少なくとも約35%の細胞;および(b)ソマトスタチンを発現する少なくとも約10%の細胞を含む。一部の例では、フローサイトメトリーによって測定して、細胞組成物においてソマトスタチンを発現する少なくとも約15%の細胞が存在する。
【0152】
[0169]一部の例では、細胞集団を含む組成物であって、(a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、もしくは80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;(b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%もしくは35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに/または(c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%もしくは15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で提供される。
【0153】
[0170]一部の例では、細胞集団を含む組成物であって、(a)細胞集団における30~90%、30~80%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~90%、40~80%、40~70%、40~60%、40~50%、50~90%、50~80%、50~70%、50~60%、60~90%、60~80%、60~70%、70~90%、70~80%、70~90%、70~80%、または80~90%の細胞は、C-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;(b)細胞集団における5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~40%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~40%、25~35%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%の細胞は、グルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに(c)細胞集団における3~20%、3~15%、3~12%、3~10%、3~8%、3~5%、4~20%、4~15%、4~12%、4~10%、4~8%、4~5%、5~20%、5~15%、5~12%、5~10%、5~8%、7~20%、7~15%、7~12%、7~10%、9~20%、9~15%、9~12%、8~10%、8~12%、8~15%、8~20%、10~20%、10~12%、10~15%、12~20%、12~15%または15~20%の細胞は、ソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない組成物が本明細書で提供される。
【0154】
[0171]一部の例では、本明細書で提供される細胞集団において、40~60%の細胞はC-ペプチドおよびISL1を発現するが、VMAT1を発現せず;10~25%の細胞はグルカゴンを発現するが、ソマトスタチンを発現せず;ならびに4~10%の細胞はソマトスタチンを発現するが、グルカゴンを発現しない。一部の例では、本明細書で提供される細胞集団において、25%未満、20%未満、18%未満、15%未満、12%未満、または10%未満の細胞は、VMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現しない。
【0155】
[0172]本開示のさらなる他の実施形態は、SC-β細胞およびインスリン陽性内分泌細胞またはそれらが分化されるその前駆体の混合物を含む、単離された細胞集団または細胞培養物などの組成物に関する。例えば、約95個毎のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体に対して少なくとも約5個のSC-β細胞を含む細胞培養物または細胞集団が産生され得る。他の実施形態では、約5個毎のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体に対して少なくとも約95個のSC-β細胞を含む細胞培養物または細胞集団が産生され得る。さらに、他の比率のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体に対するSC-β細胞を含む細胞培養物または細胞集団が企図される。例えば、約1,000,000個毎、または少なくとも100,000個、または少なくとも10,000個、または少なくとも1000個もしくは500個、または少なくとも250個または少なくとも100個または少なくとも10個のインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆体に対して少なくとも約1個のSC-β細胞を含む組成物を生成することができる。
【0156】
[0173]一部の事例では、本明細書に開示されている細胞集団または細胞クラスター、例えば、細胞選別プロセスを介さずに単離された細胞集団または細胞クラスターは、選別されていない。一部の実施形態では、本明細書に開示されている細胞クラスターは、所与の環境、例えば、3D懸濁液培養で培養された細胞の自己凝集によって形成された細胞クラスターを指し得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されている細胞クラスターは、本明細書に記載されているように、分化プロセスの間に形成された中間体細胞クラスターである。一部の例では、中間体細胞クラスター、例えば、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞を含む細胞クラスター(例えば、ステージ3細胞クラスター)、またはPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞クラスター(例えば、ステージ4細胞クラスター)は、細胞選別に供されない。一部の例では、細胞選別を通過する細胞集団は、本明細書に開示される中間体細胞クラスターを形成することができない場合がある。例えば、PDX1陽性の膵前駆細胞は、細胞選別を経た後に、本明細書に開示される細胞クラスターを形成することができない場合がある。
【0157】
[0174]本明細書に記載されている細胞選別は、細胞のサイズ、形状(形態)、表面タンパク質発現、内因性シグナルタンパク質の発現、またはこれらの任意の組合せにおける差に依拠することによって、複数の細胞から1群の細胞を単離するプロセスを指し得る。一部の事例では、細胞選別は、細胞をフローサイトメトリーに供することを含む。フローサイトメトリーは、レーザーまたはインピーダンスに基づく生物物理学的技術であり得る。フローサイトメトリーの間に、細胞を、流体流に懸濁させ、電子検出装置を通過させることができる。フローサイトメトリーの1種である、蛍光活性化細胞選別(FACS)では、細胞の光学特性(例えば、レーザー励起時の発光波長)のうちの1つまたは複数のパラメーターに基づいて、物理的に分離し、それによって、フローサイトメトリーを使用して目的の細胞を精製することができる。本明細書に記載されているように、選別されていない細胞クラスターは、活性細胞選別プロセス、例えば、フローサイトメトリーに供されていない複数の細胞によって形成された細胞クラスターであり得る。一部の事例では、本明細書で議論されているフローサイトメトリーは、細胞内で発現される1つまたは複数のシグナルペプチドに基づき得る。例えば、細胞クラスターは、シグナルペプチド(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはtdTomato)を発現する細胞を含むことができる。一部の事例では、シグナルペプチドは、細胞内のインスリン発現のインジケーターとして発現される。例えば、細胞クラスターは、インスリンプロモーターの制御下で、GFPをコードする外因性核酸配列を有する細胞を含むことができる。インスリンプロモーターは、内因性または外因性プロモーターであり得る。一部の事例では、これらの細胞内でのGFPの発現は、細胞内でのインスリン発現を示すことができる。よって、GFPシグナルは、膵β細胞のマーカーであり得る。一部の事例では、本明細書に記載されている細胞選別は、磁気抗体または他のリガンドを使用して異なる種類の細胞を標識し、磁気特性の差を細胞選別について使用することができる、磁気活性化フローサイトメトリーを含み得る。
【0158】
[0175]本明細書に記載されるPDX1、NKX6.1、インスリン、NGN3、またはCHGAのような1つまたは複数の特定のマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーアッセイのような技法を用いて検出されるパーセンテージ値であり得る。一部の事例では、フローサイトメトリーアッセイの間に、本明細書で議論された細胞集団または細胞クラスターは、トリプシンまたはTrypLE(商標)Expressのような消化酵素中でのインキュベーションによって、単細胞懸濁液中に分散される。分散された細胞は、PBSのような好適な緩衝液中で洗浄され、遠心分離され、次いで、4%のPFAのような固定緩衝液中に再懸濁され得る。次いで、目的の細胞マーカーに対する一次抗体とのインキュベーションを行うことができ、その後、二次抗体と共にインキュベートすることができる。抗体のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによる分離に供することができる。フローサイトメトリー以外の技法を使用して、本明細書に記載の細胞を特徴付ける、例えば、細胞のパーセンテージを決定することもできる。細胞を特徴付ける方法の非限定的な例としては、遺伝子配列決定、顕微鏡技法(蛍光顕微鏡、原子間力顕微鏡)、核型決定、アイソザイム分析、DNA特性、およびウイルス感受性が挙げられる。
【0159】
[0176]一部の態様では、本開示は、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団を含む組成物であって、細胞が、グルコースで誘導した際に分泌されるインスリンの量と比較して、KCl(例えば、約20~約50mM、例えば、約30mM)で誘導した際により多量のインスリンを分泌する組成物に関する。一部の実施形態では、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団は、グルコースで誘導した際に分泌されるインスリンの量と比較して、KClで誘導した際に、少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍多量のインスリンを分泌する。
【0160】
[0177]一部の態様では、本開示は、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団を含む組成物であって、細胞が、シグナル伝達因子の非存在下における同等の細胞と比較して、シグナル伝達因子の存在下で、KClおよび/またはグルコースで誘導した際により多量のインスリンを分泌する、組成物に関する。一部の実施形態では、細胞は、高グルコースの存在下でより多量のインスリンを分泌するが、低グルコースの存在下では分泌しない。一部の実施形態では、高グルコース濃度は、約10~20mMである。一部の実施形態では、低グルコース濃度は、約2~5mMである。
【0161】
[0178]一部の態様では、本開示は、分化した膵前駆細胞の集団を含む組成物であって、集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも60%の膵β細胞を含む、組成物に関する。一部の実施形態では、集団は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、または90%の膵β細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、基本培地の構成成分と接触していない同等の集団と比較して、所定の基本培地の構成成分と接触した際に、より高いパーセンテージの膵β細胞を含む。
【0162】
[0179]本明細書に記載の本開示の方法に従って産生された、in vitroで成熟した、SC-β細胞(例えば、膵β細胞)は、多くの利点を実証し、例えば、in vitroでのグルコース刺激インスリン分泌を実施し、遺伝子発現と超微細構造によってヒト膵島β細胞に似ており、マウスへと移植された場合にヒトインスリンを分泌し、高血糖症を改善し、細胞療法に対する新たなプラットフォーム(例えば、追加のおよび/または機能的β細胞を必要とする対象への移植)、薬物スクリーニング(例えば、インスリン産生/分泌、生存、脱分化など)、研究(例えば、正常なβ細胞と糖尿病のβ細胞の間の機能の差を決定すること)、および組織工学(例えば、膵島を再構築する際に第1の細胞型としてSC-β細胞を使用すること)を提供する。
幹細胞および再プログラミング
[0180]SC-β細胞(例えば成熟膵β細胞またはβ-様細胞)またはその前駆体を生成するための幹細胞の使用が本明細書で提供される。一実施形態では、それぞれが参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0240212号および第2015/0218522号に記載されたものと同様のプロトコールを用い、少なくとも1個のSC-β細胞を提供するために、幹細胞の代わりに、またはそれとともに胚細胞を使用してよい。好適な胚細胞は、例えば最後の生理周期の約8~11週後に採取したヒト胎児材料中に存在する原初胚細胞から調製することができる。説明的な胚細胞の調製法は、例えばShamblottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726, 1998および米国特許第6,090,622号に記載されている。
【0163】
[0181]SC-β細胞(例えば、膵β細胞)、ならびに膵α細胞、および/または膵δ細胞を産生する組成物および方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本開示は、膵α細胞について濃縮された細胞集団を産生する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、膵δ細胞について濃縮された細胞集団を産生する方法を提供する。
【0164】
[0182]一般には、少なくとも1個のSC-β細胞またはその前駆体、例えば本明細書に開示した方法によって生成した膵前駆細胞は、様々な細胞の混合物または組合せ、例えば原腸管細胞、PDX1陽性膵前駆細胞、PDX1陽性、NKX6-1陽性の膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、またはβ様細胞)、および/またはその他の多能性細胞もしくは幹細胞等の細胞の混合物を含み得る。
【0165】
[0183]幹細胞または多能性細胞を所望の分化ステージに分化させるために、任意の適切な培養プロトコールに従って、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体が生成され得る。一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、少なくとも1個の多能性細胞を少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体に分化させるために適した時間および条件下で少なくとも1個の多能性細胞を培養することによって生成される。
【0166】
[0184]一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、実質的に純粋な膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団である。一部の実施形態では、膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団は多能性細胞または分化した細胞の混合物を含む。一部の実施形態では、膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団は胚幹細胞または多能性細胞またはiPS細胞を実質的に含まないか、それらを欠いている。
【0167】
[0185]一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は、対象から例えば組織生検、例えば皮膚生検として単離することができ、本明細書に記載した組成物および方法における使用のための少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体を生成するためのさらなる分化のための人工多能性幹細胞に再プログラミングすることができる。一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は当業者には公知の方法によって培地中に維持され、一部の実施形態では、本明細書に開示した方法によって膵α、βおよび/もしくはδ細胞に変換される前に増加させられる。
【0168】
[0186]一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は当業者には公知の方法によって培地中に維持され、一部の実施形態では、本明細書に記載した方法によって膵α、βおよび/もしくはδ細胞に変換される前に増加させられる。
【0169】
[0187]さらに、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体、例えば、膵前駆体は、任意の哺乳動物種からのものであってよく、非限定的な例には、ネズミ科、ウシ科、サル科、ブタ科、ウマ科、ヒツジ科、またはヒトの細胞が含まれる。明確かつ単純にするため、本明細書における方法の説明は哺乳動物の少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体に言及しているが、本明細書に記載した方法の全ては少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の他の細胞型に容易に適用できることを理解されたい。一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体はヒト個体から誘導される。
【0170】
幹細胞
[0188]本開示の実施形態は、膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の産生のための幹細胞の使用に関する。本明細書で用いる用語「幹細胞」は、自己更新し、分化した細胞型を産生する能力を有する細胞(例えば植物幹細胞、脊椎動物幹細胞)を意味し得る(Morrisonら、(1997) Cell 88:287-298)。細胞発生学の文脈においては、形容詞「分化した」または「分化している」は相対的な用語である。「分化した細胞」は、それと比較している細胞よりも発生の経路をさらに下流に進行した細胞であり得る。したがって、多能性幹細胞は系統が制限された前駆細胞(例えば中胚葉幹細胞)に分化することができ、これは次にさらに制限された細胞(例えばニューロン前駆細胞)に分化することができ、これは最終段階の細胞(例えば最終分化細胞、例えばニューロン、心筋細胞等)に分化することができる。最終段階の細胞はある種の組織型において特徴的な役割を果たし、さらに増殖する能力を保持できることも保持できないこともある。幹細胞は特定のマーカー(例えばタンパク質、RNA等)の存在および特定のマーカーの非存在によって特徴付けることができる。幹細胞はin vitroとin vivoの両方の機能性アッセイ、特に多種の分化した子孫を生じる幹細胞の能力に関連するアッセイによっても同定することができる。一実施形態では、宿主細胞は成体幹細胞、体幹細胞、非胚幹細胞、胚幹細胞、造血幹細胞であり、多能性幹細胞、およびトロホブラスト幹細胞を含む。
【0171】
[0189]目的の幹細胞、例えば本明細書で提供する方法に使用できる幹細胞は、多能性幹細胞(PSC)を含み得る。本明細書で用いる用語「多能性幹細胞」または「PSC」は、生命体の全ての細胞型を生成することができる幹細胞を意味する。したがって、PSCは生命体の全ての胚葉の細胞(例えば脊椎動物の内胚葉、中胚葉、および外胚葉)を生じることができる。多能性細胞は奇形腫を形成すること、および生命体の外胚葉、中胚葉、または内胚葉の組織に寄与することができる。植物の多能性幹細胞は植物の全ての細胞型(例えば根、茎、葉、その他の細胞)を生じることができる。
【0172】
[0190]本開示の実施形態は膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の産生のためのPSCの使用に関する。動物のPSCはいくつかの異なった方式で誘導することができる。例えば、胚幹細胞(ESC)は胚の内部細胞集塊から誘導することができる(Thomsonら、Science. 1998 Nov. 6; 282(5391):1145-7)。一方、人工多能性幹細胞(iPSC)は体細胞から誘導することができる(Takahashiら、Cell. 2007 Nov. 30; 131(5):861-72;Takahashiら、Nat Protoc. 2007; 2(12):3081-9;Yuら、Science. 2007 Dec. 21; 318(5858):1917-20. Epub 2007 Nov. 20)。用語PSCはその起源に関わらず多能性幹細胞を意味することができるので、用語PSCは用語ESCおよびiPSC、ならびにPSCの別の例である用語、胎児胚幹細胞(EGSC)をも包含することができる。PSCは確立された細胞株の形態であってよく、これらは初代胚組織から直接得ることができ、または体細胞から誘導することもできる。
【0173】
[0191]本開示の実施形態は膵β細胞またはその前駆体の産生のためのESCの使用に関する。「胚幹細胞(ESC)」は胚から、典型的には胚盤胞の内部細胞集塊から単離されたPSCを意味し得る。ESC株、例えばhESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.社);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International社);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation (WiCell Research Institute)がNIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙されている。目的の幹細胞にはその他の霊長類からの胚幹細胞、例えばアカゲザル幹細胞およびマーモセット幹細胞も含まれる。幹細胞は任意の哺乳動物種、例えばヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター、霊長類等から得ることができる(Thomsonら、(1998) Science 282:1145;Thomsonら、(1995) Proc. Natl. Acad. Sci USA 92:7844;Thomsonら、(1996) Biol. Reprod. 55:254;Shamblottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726, 1998)。培養では、ESCは大きな核-細胞質比、明確な境界、および目立った核を有する平坦なコロニーとして成長することができる。さらに、ESCはSSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、およびアルカリホスファターゼを発現することができるが、SSEA-1は発現しない。ESCを産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,029,913号、同第5,843,780号、および同第6,200,806号に見出すことができる。未分化の形態のhESCを増殖させる方法は、それぞれが全体として本明細書に組み込まれるWO第99/20741号、WO第01/51616号、およびWO第03/020920号に記載されている。
【0174】
[0192]「胎児胚幹細胞(EGSC)または胎児胚細胞」または「EG細胞」は、胚細胞および/または胚細胞前駆細胞、例えば原初胚細胞、例えば精子および卵子になることができる胚細胞から誘導されたPSCを意味し得る。胎児胚細胞(EG細胞)は上記の胎児幹細胞と同様の特性を有すると考えられている。EG細胞を産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,153,684号;Matsui, Y.ら、(1992) Cell 70:841;Shamblott, M.ら、(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 113;Shamblott, M.ら、(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13726;およびKoshimizu, U.ら、(1996) Development, 122:1235に見出すことができる。
【0175】
[0193]本開示の実施形態は膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の産生のためのiPSCの使用に関する。「人工多能性幹細胞」または「iPSC」は、PSCでない細胞から(例えばPSCに対して分化した細胞から)誘導されたPSCを意味し得る。iPSCは最終的に分化した細胞を含む多種の異なった細胞型から誘導することができる。iPSCはES細胞様の形態を有し、大きな核-細胞質比、明確な境界、および目立った核を有する平坦なコロニーとして成長することができる。さらに、iPSCは、それだけに限らないがアルカリホスファターゼ、SSEA3、SSEA4、Sox2、Oct3/4、Nanog、TRA160、TRA181、TDGF1、Dnmt3b、FoxD3、GDF3、Cyp26a1、TERT、およびzfp42を含む当業者には公知の1つまたは複数の重要な多能性マーカーを発現することができる。iPSCを産生し特徴解析する方法の例は、例えばそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0047263号、同第2009/0068742号、同第2009/0191159号、同第2009/0227032号、同第2009/0246875号、および同第2009/0304646に見出すことができる。一般にiPSCを産生するためには、体細胞を再プログラミングして多能性幹細胞にする当技術で公知の再プログラミング因子(例えばOct4、SOX2、KLF4、MYC、Nanog、Lin28、その他)を体細胞に提供する。
【0176】
[0194]本開示の実施形態は膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の産生のための体細胞の使用に関する。「体細胞」は実験的操作の非存在下では生命体内の全ての型の細胞を通常には生じない生命体内の任意の細胞を意味し得る。換言すれば、体細胞は十分に分化しており、したがって生体の3つ全ての胚葉の細胞、例えば外胚葉、中胚葉、および内胚葉の細胞を天然には産生しない細胞であり得る。例えば、体細胞にはニューロンおよびニューロン前駆細胞が含まれ、ニューロン前駆細胞は中枢神経系の全てのまたはいくつかの細胞型を天然に生じることができるが、中胚葉または内胚葉の系統の細胞を生じることはできない。
【0177】
[0195]ある特定の例では、幹細胞は本明細書で開示した方法による少なくとも1つの分化因子または組成物に曝露される前には未分化(例えば特定の系統に関わっていない細胞)であってよく、一方、他の例では、本明細書に記載した少なくとも1つの分化因子または組成物に曝露する前に幹細胞を1つまたは複数の中間細胞型に分化することが望ましいことがある。例えば、幹細胞は未分化細胞の形態学的、生物学的、または物理的な特徴を呈することがあり、これらの特徴はこれらの細胞を胎児起源または成体起源の分化した細胞と区別するために用いることができる。一部の例では、未分化細胞は高い核/細胞質比および目立った核を有する細胞のコロニーにおいて微視的な二次元で現れ得る。幹細胞はそれ自体(例えば実質的に未分化細胞が何ら存在しない)であってよく、または分化細胞の存在下に使用してもよい。ある特定の例では、幹細胞は成長し、任意選択で分化し得るために、好適な栄養剤および任意選択で他の細胞の存在下で培養することができる。例えば、幹細胞の成長を補助するために、胎児線維芽細胞または線維芽細胞様細胞が培養中に存在してもよい。線維芽細胞は幹細胞の成長の1つの段階の間に存在してよいが、必ずしも全ての段階に存在する必要はない。例えば、線維芽細胞は最初の培養段階で幹細胞の培養に添加し、1つまたは複数の引き続く培養段階では幹細胞の培養に添加しなくてもよい。
【0178】
[0196]本発明の全ての態様において使用する幹細胞は任意の種類の組織(例えば胎児もしくは前胎児の組織等の胚組織、または成体組織)から誘導される任意の細胞であってよく、これらの幹細胞は適切な条件下で種々の細胞型、例えば3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の全てまたは少なくとも1つの誘導体からなる子孫を生成する能力があるという特徴を有し得る。これらの細胞型は確立された細胞株の形態で提供することができ、または初代胚組織から直接得て、直ちに分化に使用することもできる。NIH Human Embryonic Stem Cell Registryに列挙されている細胞、例えばhESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.社);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International社);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、FISF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation (WiCell Research Institute)が含まれる。一部の実施形態では、成熟したインスリン陽性細胞への化学的に誘起された分化のために使用したヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源には、ヒト胚を破壊するステップは含まれていなかった。一部の実施形態では、成熟したインスリン陽性細胞への化学的に誘起された分化のために使用したヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源には、ヒト胚を破壊するステップは含まれていない。
【0179】
[0197]別の例では、幹細胞は固体組織を含む組織から単離することができる。一部の実施形態では、組織は皮膚、脂肪組織(例えばアジポーズ組織)、筋肉組織、心臓または心臓組織である。他の実施形態では、組織は例えばそれだけに限らないが臍帯血、胎盤、骨髄、または軟骨である。
【0180】
[0198]本明細書で提供する方法において使用され得る幹細胞には、Thomsonら、(1998) Science 282:1145によって記載されたヒト胚幹(hES)細胞、アカゲザル幹細胞等の他の霊長類からの胚幹細胞(Thomsonら、(1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844)、マーモセット幹細胞(Thomsonら、(1996) Biol. Reprod. 55:254)、およびヒト胎児胚(hEG)細胞(Shambloftら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726, 1998)によって例示される種々の型の胚細胞も含まれ得る。本明細書で提供する方法には、中胚葉幹細胞およびその他の早期心臓発生細胞等の系統に関与する幹細胞も適用可能である(Reyesら、(2001) Blood 98:2615-2625、EisenbergおよびBader、(1996) Circ Res. 78(2):205-16等を参照されたい)。幹細胞は任意の哺乳動物種、例えばヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター、霊長類等から得ることができる。一部の実施形態では、ヒト胚は本明細書に開示した方法および組成物に使用する多能性細胞の供給源のために破壊されなかった。一部の実施形態では、ヒト胚は本明細書に開示した方法および組成物に使用する多能性細胞の供給源のために破壊されない。
【0181】
[0199]内皮、筋肉、および/またはニューロンの幹細胞の好適な供給源からの細胞の混合物を、本開示の目的のために哺乳動物のドナーから収穫することができる。好適な供給源は造血微小環境である。例えば、好ましくは固定化された(例えば動員された)循環末梢血を対象から取り出すことができる。一実施形態では、幹細胞は再プログラミングされた幹細胞、例えば体細胞または分化した細胞から誘導された幹細胞であってよい。そのような実施形態では、脱分化された幹細胞は、例えばそれだけに限らないが新生物細胞、腫瘍細胞、およびがん細胞、あるいは人工多能性幹細胞もしくはiPS細胞等の、誘導され再プログラミングされた細胞であってよい。
【0182】
[0200]一部の実施形態では、本明細書に記載した膵α、βおよび/またはδ細胞は、毛髪細胞、角化細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、ソマトトロピン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、クロマフィン細胞、傍濾胞細胞、グロムス細胞、メラニン形成細胞、母斑細胞、メルケル細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、角膜角化細胞、網膜ムラー細胞、網膜色素上皮細胞、ニューロン、グリア細胞(例えば乏突起樹状細胞、星状膠細胞)、上衣細胞、松果体細胞、肺細胞(例えばI型肺細胞およびII型肺細胞)、クララ細胞、ゴブレット細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、胃主細胞、壁細胞、小窩細胞、K細胞、D細胞、I細胞、ゴブレット細胞、パネス細胞、腸細胞、マイクロフォールド細胞、肝細胞、肝星細胞、(例えば中胚葉からのクッパー細胞)、胆嚢細胞、房心細胞、膵星細胞、膵α細胞、膵β細胞、膵δ細胞、膵F細胞(例えばPP細胞)、膵ε細胞、甲状腺(例えば濾胞性細胞)、副甲状腺(例えば副甲状腺主細胞)、好酸性細胞、尿路上皮細胞、骨芽細胞、骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋芽細胞、筋細胞、筋サテライト細胞、腱細胞、心筋細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、カハル介在細胞、血管芽細胞、内皮細胞、メサンギウム細胞(例えば糸球体内メサンギウム細胞および糸球体外メサンギウム細胞)、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、間質細胞(stromal cells)、間質細胞(interstitial cells)、テロサイト単純上皮細胞、有足細胞、腎近位細管刷子縁細胞、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、顆粒膜細胞、ペッグ細胞、胚葉細胞、精子、卵子、リンパ球、ミエロイド細胞、内皮前駆細胞、内皮幹細胞、血管芽細胞、中血管芽細胞、周皮壁細胞、脾細胞(例えばTリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、ミクロファージ、白血球)、トロホブラスト幹細胞、またはそれらの任意の組合せのうち1つまたは複数から誘導することができる。
【0183】
再プログラミング
[0201]本明細書で用いる用語「再プログラミング」は、体細胞の分化状態を改変または逆行させるプロセスを意味し得る。細胞は再プログラミングの前に部分的にまたは最終的に分化させることができる。再プログラミングは体細胞の分化状態の多能性細胞への完全な逆行を包含し得る。そのような分化の完全な逆行は人工多能性(iPS)細胞を生成し得る。本明細書で用いる再プログラミングは、細胞の分化状態の、例えば、多能性でも万能性でもないがそれが生じた元の分化した細胞の1つまたは複数の特定の特徴を失った細胞である万能性状態の細胞または体細胞への部分的な逆行、例えば分化した細胞の様々な体細胞型への直接的再プログラミングをも包含し得る。再プログラミングには、接合子が成体に成長する際の細胞の分化の間に起こる核酸の修飾(例えばメチル化)、クロマチンの縮合、エピジェネティクス、ゲノムの刷り込み等の遺伝可能なパターンの少なくともいくつかの改変、例えば逆行が含まれ得る。
【0184】
[0202]本明細書で用いる場合、用語「再プログラミング因子」は、細胞の「再プログラミング」、即ちそれによって細胞が異なった細胞型または表現型に変換される分化、および/または脱分化、および/または分化転換に関連する分子を意味し得る。再プログラミング因子は一般に、細胞の分化、脱分化、および/または分化転換に関連する遺伝子の発現に影響する。転写因子は再プログラミング因子の例である。
【0185】
[0203]本明細書で用いる用語「分化」およびその文法的等価物は、特殊性の低い細胞(例えばより高い細胞能力を有するより原始的な細胞)が特殊性の高い細胞型(例えばより低い細胞能力を有するより原始的でない細胞)になるプロセスを意味し、用語「脱分化」は、特殊性の高い細胞が特殊性の低い細胞型(例えばより高い細胞能力を有するより原始的な細胞)になるプロセスを意味し、用語「分化転換」は、特定の細胞型の細胞がその「細胞能力」または「原始性」のレベルを顕著に変化させずに別の細胞型に変換されるプロセスを意味し得る。理論に縛られることは望まないが、細胞がその「細胞能力」または「原始性」のレベルを顕著に変化させずに1つの系統関与細胞型または最終的に分化した細胞型から別の系統関与細胞型または最終的に分化した細胞型に変換された場合には、細胞は「分化転換」すると考えられる。
【0186】
[0204]本明細書で用いる場合、用語「細胞分化能」は、細胞が異なる系統の細胞に分化する能力を意味すると理解されたい。例えば、多能性細胞(例えば幹細胞)は、3つの胚葉、即ち内胚葉(胃の内部ライニング、胃腸管、肺)、中胚葉(筋肉、骨、血液、尿生殖器)、または外胚葉(上皮組織および神経系)のいずれの細胞にも分化する可能性を有し、したがって高い細胞分化能を有する。万能性細胞(例えば幹細胞またはある型の誘起された幹細胞)は多いが限られた数の系統(例えば造血幹細胞、心幹細胞、または神経幹細胞等)から細胞を生じる能力を有し、多能性細胞よりは比較的低い細胞分化能を有している。特定の系統に関与し、または最終的に分化した細胞は、さらに低い細胞分化能を有し得る。当技術で公知の分化転換の特定の例には、例えば線維芽ベータ細胞の、または膵外分泌細胞からベータ細胞への変換等が含まれる。
【0187】
[0205]したがって、細胞はより原始的な細胞に分化させることができ(例えば最終的に分化した細胞は万能性または多能性に分化することができ)、または細胞はより原始性の低い細胞に脱分化させることができる(例えば万能性または多能性の細胞は系統に関与する細胞または最終的に分化した細胞に分化することができる)。しかし、一実施形態では、細胞は例えば同様の細胞能力レベルで1つの細胞型(または表現型)から別の細胞型(または表現型)に変換または分化転換させることができる。したがって、本開示の一実施形態では、本開示の誘起するステップは、本開示の細胞を再プログラミングして、分化し、脱分化し、および/または分化転換することができる。本開示の一実施形態では、本開示の誘起するステップは、細胞を再プログラミングして分化転換することができる。
【0188】
[0206]1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドまたはポリペプチド再プログラミング因子を使用し、例えば分化、脱分化、および/または分化転換することによって特定の型の細胞を再プログラミングまたは誘起して別の型の細胞にする方法は、当業者には公知である。そのような方法は、細胞の再プログラミングに関連する1つまたは複数の転写因子またはその他のポリペプチドをコードする遺伝材料の導入に依拠し得る。例えば、PDX1、Ngn3およびMafA、またはそれらの機能的断片は全て、本開示の細胞の細胞分化、脱分化、および/または分化転換を誘起することができるペプチドをコードしていることが知られている公知である。当業者に公知のいくつかの方法では、再プログラミング遺伝子(上記の遺伝子等)によってコードされる外因性ポリペプチド(例えば組換えポリペプチド)が細胞と接触して、例えば本開示の細胞を誘起する。当業者であれば、他の遺伝子も細胞の再プログラミングに関連し、そのような遺伝子をコードする外因性分子(またはその機能性断片)およびコードされたポリペプチドもポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子(例えば、続いて細胞の再プログラミングに関連する別の遺伝子の発現レベルに影響するポリヌクレオチドまたはポリペプチド)であると考えられることが認識される。例えば、p53の不活性化を低減させる外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのエピジェネティック遺伝子サイレンサーの導入によって、人工多能性幹細胞(iPSC)を誘起する効率が上昇することが示されている。したがって、エピジェネティックサイレンサーをコードする外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびに細胞の再プログラミングまたは細胞のプログラミング効率の上昇に直接または間接に関与すると思われるその他の遺伝子またはタンパク質は、外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子を構成すると考えられる。当業者であれば、細胞の再プログラミングの阻害に関与する遺伝子の発現をノックダウンすることができるRNAi分子(またはRNAi分子をコードする遺伝子材料)の導入等の、細胞の再プログラミングに影響する他の方法が存在することが認識される。したがって、細胞の再プログラミングに関連し、または細胞の再プログラミングを促進する任意の外因性のポリヌクレオチド分子またはポリペプチド分子は、本明細書に記載した外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子であると理解されたい。
【0189】
[0207]本開示の一部の実施形態では、本方法には小分子でない再プログラミング因子の使用は含まれない。しかし、本方法では培地、血清、血清代替物、補助剤、抗生剤、その他、例えばRPMI、腎上皮基本培地(REBM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、MCDB131培地、CMRL1066培地、F12、ウシ胎児血清(FCS)、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、D-グルコース、L-グルタミン、GlutaMAX.TM-1(ジペプチド、L-アラニン-L-グルタミン)、B27、ヘパリン、プロゲステロン、プトレシン、ラミニン、ニコチンアミド、インスリン、トランスフェリン、セレン酸ナトリウム、セレン、エタノールアミン、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、ヒドロコルチゾン、エピネフリン、ノルマシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、およびアンホテリシン等の「日常的」な組織培養成分を利用できることが認識される。これらの典型的な組織培養成分(および組織培養で日常的に使用されるその他の同様の組織培養成分)は、本開示の目的のための小分子の再プログラミング分子ではない。これらの成分は本明細書で定義する小分子でも、本明細書で定義する再プログラミング因子でもない。
【0190】
[0208]したがって、一実施形態では、本開示は、細胞を1つまたは複数の外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子とともに培養するステップを含まない。したがって、一実施形態では、本開示の方法は、誘起されたα、βおよび/またはδ細胞を産生すること、またはそうでなければ本開示の細胞を誘起して分化させ、脱分化させ、および/または分化転換させることに関与する、例えばトランスポゾン、ウイルストランスジェニックベクター(レトロウイルスベクター等)、プラスミド、mRNA、miRNA、ペプチド、またはこれらの分子のいずれかの断片を導入することによる、1つまたは複数の外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子の導入を含まない。
【0191】
[0209]即ち、一実施形態では、本方法は、1つまたは複数の外因性のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの再プログラミング因子の非存在下で実施される。したがって、一実施形態では、本開示の方法では、ポリペプチド転写因子、分化、脱分化、および/または分化転換の誘起に特異的に関連するその他のポリペプチド因子、ポリペプチド転写因子をコードするポリヌクレオチド配列、分化、脱分化、および/または分化転換の誘起に特異的に関連するその他のポリペプチド因子をコードするポリヌクレオチド配列、mRNA、干渉RNA、マイクロRNA、ならびにそれらの断片を添加せずに、小分子(例えばHDAC阻害剤)を利用して細胞を再プログラミングすることを理解されたい。
幹細胞から誘導されたβ細胞を産生する方法
[0210]SC-β細胞(例えば、非天然の膵β細胞)を産生する方法が本明細書で提供される。幹細胞から内分泌細胞を産生して少なくとも1個のSC-β細胞を提供する詳細なプロトコールは、それぞれが参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0240212号および同第2015/0218522号に記載されている。
【0192】
[0211]内胚葉は消化管および呼吸管、甲状腺、肝臓、ならびに膵を生じることができる。内胚葉系統の代表的な疾患としてはインスリンを生成するβ細胞の破壊に起因する1型糖尿病がある。in vitroにおけるヒト多能性幹細胞(hPSC)からの機能性β細胞の産生は、1型糖尿病の置換細胞療法のための実際的で更新可能な細胞源になり得る。芽球段階の胚の内部細胞集塊から産生される胚幹(ES)細胞は、損傷された任意の細胞の移植または細胞に基づく療法のための有望な細胞源を表している。これらは培地中に維持され、それ自体で更新され、未分化ES細胞として無限に増殖することができる。ES細胞は外胚葉、中胚葉、および内胚葉の系統細胞または組織として、生体の全ての細胞型に分化することができる。ES細胞の主な利点は培地中での安定な自己更新および分化の可能性である。
【0193】
[0212]胚体内胚葉は胚発生の原腸形成のプロセスによってin vivoで内部細胞集塊から産生され、このプロセスで胚盤葉上層細胞が3つの胚葉を形成するように指令される。胚体内胚葉は膵β細胞、肝臓の肝細胞、肺の肺胞細胞、甲状腺、胸腺、ならびに栄養管および呼吸管の上皮ライニング等の生命臓器に寄与する多様な細胞および組織を生じることができる。これは、臓側および壁側内胚葉を生じることができる胚体外組織の原始内胚葉とは異なる。ES細胞から誘導された胚体内胚葉は、理論的には任意の内胚葉誘導体になることができ、ES細胞を内胚葉系統に導くことは治療用の内胚葉誘導体を産生させるための必須要件である。
【0194】
[0213]胚体内胚葉の前後軸の正確なパターニングによって、最終的には原腸管が形成され得る。胚体内胚葉によって誘導された原腸管は、前後軸に沿って咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、および大腸、ならびに膵、肺、甲状腺、胸腺、副甲状腺、および肝臓等の関連する臓器を誘起する。原腸管の前腸の前部は肺、甲状腺、食道、および胃になる。膵、肝臓、および十二指腸は、前腸の後部から起源する。原腸管の中腸および後腸は小腸および大腸を生じる。前腸の前部は発生マーカー、NK2ホメオボックス(NKX2-1)およびSRY(性決定領域Y)-ボックス2(SOX2)を発現し、前腸の後部は造血的に発現されるホメオボックス(HHEX)、膵および十二指腸のホメオボックス1(PDX1)、ワンカットホメオボックス1(ONECUT1、HNF6として公知である)、および肝細胞核因子4アルファ(HNF4A)を発現し、中腸/後腸は尾型ホメオボックス1(CDX1)、尾型ホメオボックス2(CDX2)、ならびに運動ニューロンおよび膵のホメオボックス1(MNX1)(3、19、20)を発現する。
【0195】
[0214]膵β細胞の分化の成功には、分化した細胞が生理学的に適切な量のインスリンを合成し分泌することが必要である。hPSC細胞分化を指向する例示的な段階的プロトコールが開発され、正常な膵内分泌発生の主要段階を反復する分化プロセスを伴う(例えば、実施例1のバージョンAプロトコール)。hPSC細胞のホルモン発現膵内分泌細胞への分化は、hPSC細胞を、胚の発生、中内胚葉および胚体内胚葉への分化、原腸内胚葉の確立、前腸後部のパターニング、ならびに膵内胚葉および内分泌前駆体の特定化および成熟からなる主要な段階に通過させることによって行われる。これらの段階を通じて、hPSC細胞は膵内分泌表現型およびin vitroにおけるグルコース応答インスリン分泌の能力を得ることができる。
【0196】
[0215]一般に、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体、例えば本明細書に開示した方法によって生成した膵前駆細胞は、様々な細胞の混合物または組合せ、例えばPDX1陽性膵前駆細胞、PDX1およびNKX6-1を共発現する膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、またはβ様細胞)、ならびに/またはその他の多能性細胞もしくは幹細胞を含み得る。
【0197】
[0216]少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、幹細胞または多能性細胞を所望の分化段階に分化する任意の好適な培養プロトコールに従って生成することができる。一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、少なくとも1個の多能性細胞を少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体に分化するために適した時間および条件下で少なくとも1個の多能性細胞を培養することによって生成される。
【0198】
[0217]一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は、実質的に純粋な膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団である。一部の実施形態では、膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団は多能性細胞または分化した細胞の混合物を含む。一部の実施形態では、膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の集団は実質的に胚幹細胞または多能性細胞またはiPS細胞を含まないか、それらを欠いている。
【0199】
[0218]一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は、対象から例えば組織生検、例えば皮膚生検として単離することができ、本明細書に記載した組成物および方法における使用のための少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体を生成するためのさらなる分化のための人工多能性幹細胞に再プログラミングすることができる。一部の実施形態では、体細胞、例えば線維芽細胞は当業者には公知の方法によって培地中に維持され、一部の実施形態では、本明細書に開示した方法によって膵α、βおよび/またはδ細胞に変換される前に増加させられる。
【0200】
[0219]一部の実施形態では、少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体は当業者には公知の方法によって培地中に維持され、一部の実施形態では、本明細書に開示した方法によって膵α、βおよび/もしくはδ細胞に変換される前に増加させられる。
【0201】
[0220]さらに、少なくとも1つの膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体、例えば、膵前駆体は、任意の哺乳動物種からのものであってもよく、非限定的な例には、ネズミ科、ウシ科、サル科、ブタ科、ウマ科、ヒツジ科、またはヒトの細胞が含まれる。明確かつ単純にするため、本明細書における方法の説明は哺乳動物の少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体に言及しているが、本明細書に記載した方法の全ては少なくとも1個の膵α、βおよび/もしくはδ細胞またはその前駆体の他の細胞型に容易に適用できることを理解されたい。一部の実施形態では、少なくとも1個のSC-β細胞またはその前駆体はヒト個体から誘導される。
【0202】
胚体内胚葉細胞
[0221]本開示の態様には胚体内胚葉細胞が含まれる。本明細書において使用する胚体内胚葉細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、多能性幹細胞、例えばiPSCまたはhESCは内胚葉細胞に分化される。一部の態様では、内胚葉細胞(ステージ1)は、例えば原腸管細胞(ステージ2)、PDX1陽性膵前駆細胞(ステージ3)、NKX6.1陽性膵前駆細胞(ステージ4)、またはNgn3陽性内分泌前駆細胞もしくはインスリン陽性内分泌細胞(ステージ5)にさらに分化され、続いてSC-β細胞(ステージ6)に誘起されまたは成熟する。
【0203】
[0222]一部の例では、胚体内胚葉細胞は、集団中の少なくともいくつかの多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させることによって、例えば多能性細胞の集団をi)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子およびii)WNTシグナル伝達経路活性化剤と接触させて多能性細胞の少なくともいくつかの胚体内胚葉細胞への分化を誘起することによって、得ることができ、胚体内胚葉細胞は胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0204】
[0223]多能性幹細胞を(例えば単独で、またはWNTシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起して胚体内胚葉細胞に分化させることができるTGF-βスーパーファミリーからの任意の成長因子を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子はアクチビンAを含む。一部の例では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は成長分化因子8(GDF8)を含む。多能性幹細胞を(例えば単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子と組み合わせて)誘起して胚体内胚葉細胞に分化させることができる任意のWNTシグナル伝達経路活性化剤は、本明細書で提供する方法において使用することができる。一部の例では、WNTシグナル伝達経路活性化剤はCHIR99Q21を含む。一部の例では、WNTシグナル伝達経路活性化剤はWnt3a組換えタンパク質を含む。
【0205】
[0224]一部の例では、集団中の少なくともいくつかの多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化するステップは、多能性細胞の集団をi)アクチビンA、およびii)CHIR99021と好適な期間、例えば約2日、約3日、約4日、または約5日、接触させて集団中の多能性細胞の少なくともいくつかの胚体内胚葉細胞への分化を誘起するプロセスによって達成され、胚体内胚葉細胞は胚体内胚葉に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0206】
[0225]一部の例では、本方法は、多能性細胞の集団を好適な濃度、例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLのTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させることによって多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部の例では、本方法は多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約100ng/mLのアクチビンAの使用を含む。一部の例では、本方法は多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約200ng/mLのアクチビンAの使用を含む。
【0207】
[0226]一部の例では、本方法は、多能性細胞の集団を好適な濃度、例えば約0.01μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.5μM、約2μM、約2.5μM、約3μM、約3.5μM、約4μM、約5μM、約8μM、約10μM、約12μM、約15μM、約20μM、約30μM、約50μM、約100μM、または約200μMのWNTシグナル伝達経路活性化剤(例えばCHIR99021)と接触させることによって多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部の例では、本方法は多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約2μMのCHIR99021の使用を含む。一部の例では、本方法は多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約5μMのCHIR99021の使用を含む。
【0208】
[0227]一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、Nodal、Tmprss2、Tmem30b、St14、Spink3、Sh3gl2、Ripk4、Rab1S、Npnt、Clic6、Cldn5、Cacna1b、Bnip1、Anxa4、Emb、FoxA1、Sox17、およびRbm35aからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現し、少なくとも1つのマーカーの発現は、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対して、胚体内胚葉細胞において統計学的に有意な量で上方制御される。一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、Gata4、SPARC、AFP、およびDab2からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対して統計的に有意な量で発現しない。一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、Zic1、Pax6、Flk1、およびCD31からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対して統計的に有意な量で発現しない。一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、それが誘導されたもとの多能性幹細胞に対してより高いレベルのSmad2のホスホリル化を統計的に有意な量で有する。一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、in vivoで腸管を形成する能力を有する。一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞に分化することができ、腸細胞に特徴的な形態を有する細胞はFoxA2および/またはClaudin6を発現する。一部の例では、本明細書で開示した方法によって生成した胚体内胚葉細胞は、内胚葉起源の細胞にさらに分化することができる。
【0209】
[0228]一部の例では、多能性幹細胞の集団は、いずれの分化の前にも、または分化の第1段階の間に、少なくとも1つのβ細胞分化因子の存在下に培養される。任意の多能性幹細胞、例えばヒト多能性幹細胞もしくはヒトiPS細胞、または本明細書で論じた任意の多能性幹細胞もしくはその他の好適な多能性幹細胞を使用することができる。一部の例では、本明細書に記載したβ細胞分化因子は多能性幹細胞の集団の培地中に存在してよく、または多能性幹細胞の集団の成長(例えば複製または増加)の間に一度にまたは定期的に添加してよい。ある特定の例では、多能性幹細胞の集団は、いずれの分化の前にも少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露してよい。他の例では、多能性幹細胞の集団は、分化の第1段階の間に少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露してよい。
【0210】
原腸管細胞
[0229]本開示の態様には原腸管細胞が含まれる。本明細書において使用する原腸管細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、胚体内胚葉細胞は原腸管細胞に分化される。一部の態様では、原腸管細胞は、例えばPDX1陽性膵前駆細胞、NKX6.1陽性膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘起されまたは成熟する。
【0211】
[0230]一部の例では、原腸管細胞は、集団中の少なくともいくつかの胚体内胚葉細胞を原腸管細胞に分化させることによって、例えば胚体内胚葉細胞を線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させて胚体内胚葉細胞の少なくともいくつかの原腸管細胞への分化を誘起することによって、得ることができ、原腸管細胞は原腸管細胞に特徴的な少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0212】
[0231]胚体内胚葉細胞を(例えば単独で、または他の因子と組み合わせて)誘起して原腸管細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の成長因子を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は角化細胞成長因子(KGF)を含む。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF2を含む。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF8Bを含む。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF10を含む。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はFGF21を含む。
【0213】
[0232]一部の例では、原腸管細胞は、集団中の少なくともいくつかの胚体内胚葉細胞を原腸管細胞に分化させることによって、例えば胚体内胚葉細胞をある期間、例えば約1日、約2日、約3日、または約4日、KGFと接触させて胚体内胚葉細胞の少なくともいくつかの原腸管細胞への分化を誘起することによって、得ることができる。
【0214】
[0233]一部の例では、本方法は、胚体内胚葉細胞を例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの好適な濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させることによって胚体内胚葉細胞を原腸管細胞に分化させるステップを含む。一部の例では、本方法は胚体内胚葉細胞の原腸管細胞への分化のための約50ng/mLのKGFの使用を含む。一部の例では、本方法は胚体内胚葉細胞の原腸管細胞への分化のための約100ng/mLのKGFの使用を含む。
【0215】
PDX1陽性の膵前駆細胞
[0234]本開示の態様にはPDX1陽性膵前駆細胞が含まれる。本明細書において使用するPDX1陽性膵前駆細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、原腸管細胞はPDX1陽性膵前駆細胞に分化される。一部の態様では、PDX1陽性膵前駆細胞は、例えばNKX6.1陽性膵前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘起されまたは成熟する。
【0216】
[0235]一部の態様では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤;vi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびvii)ROCK阻害剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるよう誘導することによって得ることができ、PDX1陽性の膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0217】
[0236]一部の態様では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびvi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部のPDX1陽性の膵前駆細胞への分化を誘導することによって得ることができ、PDX1陽性の膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0218】
[0237]一部の例では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤、およびv)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部のPDX1陽性の膵前駆細胞への分化を誘導することによって得ることができ、PDX1陽性の膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0219】
[0238]一部の例では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞を、i)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤;およびiii)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤と接触させることによって得ることができ、PDX1陽性の膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0220】
[0239]一部の例では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、およびii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤と接触させ、原腸管細胞の少なくとも一部のPDX1陽性の膵前駆細胞へ分化を誘導することによって得ることができ、PDX1陽性の膵前駆細胞はPDX1を発現する。
【0221】
[0240]原腸管細胞を(例えば単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の例では、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばLDN193189)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.2μM、約1.5μM、約1.75μM、約2μM、約2.2μM、約2.5μM、約2.75μM、約3μM、約3.25μM、約3.5μM、約3.75μM、約4μM、約4.5μM、約5μM、約8μM、約10μM、約15μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばDMH-1)と接触させるステップを含む。
【0222】
[0241]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができるTGF-βスーパーファミリーからの任意の成長因子を使用することができる。一部の例では、TGF-βファミリーからの成長因子はアクチビンAを含む。一部の例では、TGF-βファミリーからの成長因子はアクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約5ng/mL、約7.5ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、または約100ng/mLの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させるステップを含む。
【0223】
[0242]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の成長因子を使用することができる。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、角化細胞成長因子(KGF)を含む。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF2、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300nm/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させるステップを含む。
【0224】
[0243]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤を使用することができる。一部の例では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えばSant1)と接触させるステップを含む。
【0225】
[0244]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。
【0226】
[0245]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のPKC活性化剤を使用することができる。一部の例では、PKC活性化剤はPdBUを含む。一部の例では、PKC活性化剤はTPPBを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、約10nM、50nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1μM、10μM、約20μM、約50μM、約75μM、約80μM、約100μM、約120μM、約140μM、約150μM、約175μM、約180μM、約200μM、約210μM、約220μM、約240μM、約250μM、約260μM、約280μM、約300μM、約320μM、約340μM、約360μM、約380μM、約400μM、約420μM、約440μM、約460μM、約480μM、約500μM、約520μM、約540μM、約560μM、約580μM、約600μM、約620μM、約640μM、約660μM、約680μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、または約5mMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBUまたはTPPB)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、原腸管細胞を、例えば、10nM~1mM、10nM~500μM、10nM~1μM、10~800nM、100~900nM、300~800nM、300~600nM、400~600nM、450~550nM、または約500nMの濃度のPKC活性化剤(例えば、PdBUまたはTPPB)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、原腸管細胞は、PKC活性化剤(例えば、PDBU)で処理されない。
【0227】
[0246]原腸管細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、PKC活性化剤、および少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してPDX1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のROCK阻害剤を使用することができる。一部の例では、ROCK阻害剤はThiazovivin、Y-27632、Fasudil/HA1077、またはH-1152を含む。一部の例では、ROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の例では、ROCK阻害剤はThiazovivinを含む。一部の例では、本方法は、原腸管細胞を例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはThiazovivin)と接触させるステップを含む。
【0228】
[0247]一部の例では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞をレチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと、好適な期間、例えば、約1日、約2日、約3日、または約4日、接触させることによって、得ることができる。一部の例では、PDX1陽性の膵前駆細胞は、集団中の少なくとも一部の原腸管細胞をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させることによって、例えば、原腸管細胞をレチノイン酸、KGF、Sant1、DMH-1、PdBU、チアゾビビン、およびアクチビンAと約2日接触させることによって、得ることができる。
【0229】
NKX6.1陽性の膵前駆細胞
[0248]本開示の態様にはNKX6.1陽性膵前駆細胞が含まれる。本明細書において使用するNKX6.1陽性膵前駆細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、PDX1陽性膵前駆細胞はNKX6.1陽性膵前駆細胞に分化される。一部の態様では、NKX6.1陽性膵前駆細胞は、例えばNgn3陽性内分泌前駆細胞、またはインスリン陽性内分泌細胞にさらに分化され、続いてSC-β細胞に誘起されまたは成熟する。
【0230】
[0249]一部の態様では、PDX1陽性膵前駆細胞からNKX6.1陽性膵前駆細胞を生成する方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を含む細胞の集団を(例えば細胞のクラスター化を促進しおよび/または細胞の生存を促進する条件下で)a)線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、b)ソニックヘッジホッグ経路阻害剤、および任意選択でc)低濃度のレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化剤を含む少なくとも2つのβ細胞分化因子と接触させて集団中の少なくとも1個のPDX1陽性膵前駆細胞のNKX6.1陽性膵前駆細胞への分化を誘起するステップを含み、NKX6.1陽性膵前駆細胞はNKX6.1を発現する。
【0231】
[0250]一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤と接触させてPDX1陽性膵前駆細胞の少なくともいくつかのPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞への分化を誘起するステップによって得られ、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞はPDX1およびNKX6.1を発現する。
【0232】
[0251]一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、ならびにv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させてPDX1陽性膵前駆細胞の少なくともいくつかのPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞への分化を誘起することによって得られる。一部の実施形態では、接触の3、4、または5日後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させることによって得られ、次に、細胞は、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子、およびvi)PKC活性化剤、ならびに任意選択でガンマセクレターゼ阻害剤と接触される。一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下でFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子と接触させることによって得られる。一部の例では、FGFファミリーからの成長因子はKGFである。
【0233】
[0252]一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は多能性細胞の集団から生成される。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞はiPS細胞の集団から生成される。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞はESC細胞の集団から生成される。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は胚体内胚葉細胞の集団から生成される。一部の例では、PDX1陽性膵前駆細胞は原腸管細胞の集団から生成される。
【0234】
[0253]PDX1陽性膵前駆細胞を(例えば単独で、または少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子、および少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させることができるFGFファミリーからの任意の成長因子を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、角化細胞成長因子(KGF)を含む。一部の例では、FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF2、FGF8B、FGF10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を例えば約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの濃度のFGFファミリーからの成長因子(例えばKGF)と接触させるステップを含む。
【0235】
[0254]PDX1陽性膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の例では、SHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を例えば約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えばSant1)と接触させるステップを含む。
【0236】
[0255]PDX1陽性膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はレチノイン酸を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を例えば約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。
【0237】
[0256]PDX1陽性膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させることができる任意のROCK阻害剤を使用することができる。一部の例では、ROCK阻害剤は、Thiazovivin、Y-27632、Fasudil/HA1077、または14-1152を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはThiazovivin)と接触させるステップを含む。
【0238】
[0257]PDX1陽性膵前駆細胞を(例えば単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびROCK阻害剤と組み合わせて)誘起してNKX6.1陽性膵前駆細胞に分化させることができるTGF-βスーパーファミリーからの任意の活性化剤を使用することができる。一部の例では、TGF-βスーパーファミリーからの活性化剤はアクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を例えば約0.1ng/mL、約0.2ng/mL、約0.3ng/mL、約0.4ng/mL、約0.5ng/mL、約0.6ng/mL、約0.7ng/mL、約0.8ng/mL、約1ng/mL、約1.2ng/mL、約1.4ng/mL、約1.6ng/mL、約1.8ng/mL、約2ng/mL、約2.2ng/mL、約2.4ng/mL、約2.6ng/mL、約2.8ng/mL、約3ng/mL、約3.2ng/mL、約3.4ng/mL、約3.6ng/mL、約3.8ng/mL、約4ng/mL、約4.2ng/mL、約4.4ng/mL、約4.6ng/mL、約4.8ng/mL、約5ng/mL、約5.2ng/mL、約5.4ng/mL、約5.6ng/mL、約5.8ng/mL、約6ng/mL、約6.2ng/mL、約6.4ng/mL、約6.6ng/mL、約6.8ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、または約50ng/mLの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性膵前駆細胞を例えば約5ng/mLの濃度のTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えばアクチビンA)と接触させるステップを含む。
【0239】
[0258]一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、KGF、Sant1、およびRAと5日または6日間接触させることによって得られる。一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、KGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンAと5日または6日間接触させることによって得られる。一部の例では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、PDX1陽性膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、KGFと5日間接触させることによって得られる。一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞は、a)PDX1陽性の膵前駆細胞をKGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンAと3、4または5日間接触させ、続いてb)a)の細胞をPDBU、XXI、KGF、Sant1、RA、チアゾビビン、およびアクチビンAと1、2または3日間接触させることによって得られる。
【0240】
インスリン陽性の内分泌細胞
[0259]本開示の態様にはインスリン陽性内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、またはβ様細胞)。本明細書において使用するインスリン陽性内分泌細胞は、任意の供給源から誘導されまたは任意の好適なプロトコールに従って産生され得る。一部の態様では、NKX6.1陽性膵前駆細胞はインスリン陽性内分泌細胞(例えば、NKX6.1陽性、ISL1陽性細胞、またはβ様細胞)に分化される。一部の態様では、インスリン陽性内分泌細胞は、例えばSC-β細胞への誘起または成熟によってさらに分化される。
【0241】
[0260]一部の態様では、NKX6.1陽性膵前駆細胞からインスリン陽性内分泌細胞を生成する方法は、NKX6.1陽性膵前駆細胞を含む細胞の集団を(例えば細胞のクラスター化を促進する条件下で)a)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、およびb)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と接触させて、集団中の少なくとも1個のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘起するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞はインスリンを発現する。一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞はPDX1、NKX6.1、ISL1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3、および/またはインスリンを発現する。
【0242】
[0261]NKX6.1陽性膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、または他のβ細胞分化因子、例えば甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤を使用することができる。一部の例では、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-βI型受容体キナーゼシグナル伝達を含む。一部の例では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤はAlk5阻害剤IIを含む。
【0243】
[0262]NKX6.1陽性膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、または他のβ細胞分化因子、例えばTGF-βシグナル伝達経路阻害剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の例では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はトリヨードチロニン(T3)を含む。一部の例では、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤はGC-1を含む。
【0244】
[0263]一部の例では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)を、少なくとも1つの追加の因子と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)プロテインキナーゼ阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、またはvii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞集団(例えば、NKX6.1陽性の膵前駆細胞)を、少なくとも1つの追加の因子と接触させるステップを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)プロテインキナーゼ阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、またはvii)PKC活性化剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0245】
[0264]一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、vii)プロテインキナーゼ阻害剤、またはix)ROCK阻害剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0246】
[0265]一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、vii)エピジェネティック修飾化合物、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、またはx)ROCK阻害剤のうちの少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0247】
[0266]一部の実施形態では、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞からインスリン陽性内分泌細胞を生成する方法において、分化因子のいくつかは分化のステップの間、最初の1日、2日、3日、4日、または5日間のみ存在する。一部の例では、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化剤、PKC活性化剤、およびEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子などの分化因子のいくつかは、インキュベーションの最初の1、2、または3日後に培地から除去される。
【0248】
[0267]集団中のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のγ-セクレターゼ阻害剤を使用することができる。一部の例では、γ-セクレターゼ阻害剤はXXIを含む。一部の例では、γ-セクレターゼ阻害剤はDAPTを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性膵前駆細胞を例えば約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.7μM、約0.8μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約2.9μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.2μM、約5.4μM、約5.6μM、約5.8μM、約6μM、約6.2μM、約6.4μM、約6.6μM、約6.8μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、または約50μMの濃度のγ-セクレターゼ阻害剤(例えばXXI)と接触させるステップを含む。
【0249】
[0268]集団中のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができるEGFファミリーからの任意の成長因子を使用することができる。一部の例では、EGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はベータセルリンを含む。一部の例では、EGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子はEGFを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性膵前駆細胞を例えば約1ng/mL、約2ng/mL、約4ng/mL、約6ng/mL、約8ng/mL、約10ng/mL、約12ng/mL、約14ng/mL、約16ng/mL、約18ng/mL、約20ng/mL、約22ng/mL、約24ng/mL、約26ng/mL、約28ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLの濃度のEGFファミリーからの成長因子(例えばベータセルリン)と接触させるステップを含む。
【0250】
[0269]NKX6.1陽性膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のRAシグナル伝達経路活性化剤を使用することができる。一部の例では、RAシグナル伝達経路活性化剤はRAを含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性膵前駆細胞を例えば約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMの濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤(例えばレチノイン酸)と接触させるステップを含む。
【0251】
[0270]NKX6.1陽性膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のSHH経路阻害剤を、本明細書で提供する方法に使用することができる。一部の例ではSHH経路阻害剤はSant1を含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性膵前駆細胞を例えば約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMの濃度のSHH経路阻害剤(例えばSant1)と接触させるステップを含む。
【0252】
[0271]NKX6.1陽性膵前駆細胞の分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起してインスリン陽性内分泌細胞に分化させることができる任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤を使用することができる。一部の例では、BMPシグナル伝達経路阻害剤はLDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、本方法は、NKX6.1陽性膵前駆細胞を例えば約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMの濃度のBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えばLDN1931189)と接触させるステップを含む。
【0253】
[0272]集団中のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のROCK阻害剤を使用することができる。一部の例では、ROCK阻害剤はThiazovivin、Y-27632、Fasudil/HA1077、またはH-1152を含む。一部の例では、ROCK阻害剤はY-27632を含む。一部の例では、ROCK阻害剤はThiazovivinを含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のROCK阻害剤(例えばY-27632またはThiazovivin)と接触させるステップを含む。
【0254】
[0273]集団中のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のエピジェネティック修飾化合物を使用することができる。一部の例では、エピジェネティック修飾化合物はヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤またはHDAC阻害剤を含む。一部の例では、エピジェネティック修飾化合物はヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばDZNepを含む。一部の例では、エピジェネティック修飾化合物はHDAC阻害剤、例えばKD5170を含む。一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を例えば約0.01μM、約0.025μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.15μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMの濃度のエピジェネティック修飾化合物(例えばDZNepまたはKD5170)と接触させるステップを含む。
【0255】
[0274]一部の例では、細胞の集団は任意選択でプロテインキナーゼ阻害剤と接触させられる。一部の例では、細胞の集団はプロテインキナーゼ阻害剤と接触させられない。一部の例では、細胞の集団はプロテインキナーゼ阻害剤と接触させられる。集団中のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を(例えば単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤のいずれかおよび/もしくは甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤と組み合わせて)誘起することができる任意のプロテインキナーゼ阻害剤を使用することができる。一部の例では、プロテインキナーゼ阻害剤はスタウロスポリンを含む。
【0256】
[0275]一部の例では、本方法は、細胞(例えばNKX6.1陽性膵前駆細胞)の集団をXXI、Alk5i、T3またはGC-1、RA、Sant1、およびベータセルリンと7日間接触させて集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘起するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞はインスリンを発現する。一部の例では、本方法は、細胞(例えばNKX6.1陽性膵前駆細胞)の集団をXXI、Alk5i、T3またはGC-1、RA、Sant1、ベータセルリン、およびLDN193189と7日間接触させて集団中の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘起するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞はインスリンを発現する。一部の実施形態では、1つまたは複数の分化因子がステージ5の一部で、例えばステージ5の期間の最初の1日、2日、3日、4日、5日、または6日にのみ、またはステージの期間の最後の1日、2日、3日、4日、5日、または6日に、添加される。1つの例では、細胞はSHHシグナル伝達経路阻害剤とステージ5の間の最初の2日、3日、4日または5日にのみ接触させられ、その後、SHHシグナル伝達経路阻害剤は培地から除去される。別の例では、細胞はBMPシグナル伝達経路阻害剤とステージ5の間の最初の1日、2日、または3日にのみ接触させられ、その後、BMPシグナル伝達経路阻害剤は培地から除去される。
【0257】
[0276]一部の例では、本方法は細胞(例えばNKX6.1陽性膵前駆細胞)の集団をBE5培地中で培養して集団中の少なくとも1個のNKX6.1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘起するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞はインスリンを発現する。
【0258】
[0277]本開示の態様は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤で処理することを伴い、本明細書で開示される方法に従って産生された膵内分泌細胞の細胞集団において、膵α細胞のパーセンテージの増加、膵δ細胞のパーセンテージの増加、膵β細胞のパーセンテージの増加、EC細胞のパーセンテージの減少、またはそれらの任意の組合せをもたらすことができる。
【0259】
[0278]一部の例では、本方法は、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む細胞集団を、PKC活性化剤、ROCK阻害剤、TGFβスーパーファミリーからの成長因子、FGFファミリーからの成長因子、RAシグナル伝達経路活性化剤、およびSHH経路阻害剤を含む第1の組成物と1~2日間接触させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を得るステップと、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を、PKC活性化剤、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、およびエピジェネティック修飾化合物を含む第2の組成物と1~2日間接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む第2の形質転換細胞集団を得るステップを含む。
【0260】
[0279]一部の例では、本方法は、(1)PDX1陽性の膵前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子と約2~6日間接触させ、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化を誘導するステップと、(2)(1)の後に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む集団を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化剤、iv)ROCK阻害剤、v)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子、およびvi)PKC活性化剤と1~2日間接触させ、それによりPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を産生するステップとを含む。
【0261】
[0280]一部の例では、本方法は、(3)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む第1の形質転換細胞集団を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、x)ROCK阻害剤、およびxi)PKC活性化剤と1~2日間接触させ、それにより第2の形質転換細胞集団を産生するステップと、(4)第2の形質転換細胞集団を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、およびx)ROCK阻害剤と接触させ、それによりNKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を産生するステップとをさらに含む。
【0262】
膵β細胞
[0281]本開示の態様は膵β細胞(例えば非天然膵β細胞)を産生するステップを含む。非天然膵β細胞は、一部の例では、形態および機能において内因性成熟β細胞と類似しているが、それにも関わらず天然β細胞とは区別される。
【0263】
[0282]一部の例では、本明細書で提供する方法を用いて産生されたインスリン陽性膵内分泌細胞は、単独で、または他の型の細胞、例えばその前駆体、例えば幹細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、PDX1陽性膵前駆細胞、もしくはNKX6.1陽性膵前駆細胞とともに、細胞クラスターを形成することができる。
【0264】
[0283]一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞または細胞集団のいずれかは、細胞クラスター内にある。一部の態様では、内因性の膵島の機能および特徴に類似する細胞クラスターが本明細書で提供される。このような細胞クラスターは、代謝、例えば、対象におけるグルコース代謝の調節における内因性の膵島の機能を模倣することができる。したがって、細胞クラスターは、不十分な膵島機能、例えば、糖尿病に起因する疾患を処置するために対象に移植することができる。用語「クラスター」および「凝集体」は、相互交換可能に使用することができ、密接な細胞間接触を有する細胞群を指し、一部の例では、クラスター内の細胞を互いに接着させることができる。細胞クラスターは、複数の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも200個、少なくとも500個、少なくとも750個、少なくとも1000個、少なくとも1500個、少なくとも2000個、少なくとも2500個、少なくとも3000個、少なくとも3500個、少なくとも4000個、少なくとも4500個、少なくとも5000個、少なくとも6000個、少なくとも7000個、少なくとも8000個、少なくとも9000個、少なくとも10,000個、少なくとも20,000個、少なくとも30,000個、または少なくとも50,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、10~10,000個の細胞、50~10,000個、100~10,000個、100~10,000個、1,000~10,000個、500~10,000個、500~5,000個、500~2,500個、500~2,000個、1,000~100,000個、1,000~50,000個、1,000~40,000個、1,000~20,000個、1,000~10,000個、1,000~5,000個、および1,000~3,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも500個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも1,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも2,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも5,000個の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、100,000個以下、90,000個以下、80,000個以下、70,000個以下、60,000個以下、50,000個以下、40,000個以下、30,000個以下、20,000個以下、10,000個以下、7,000個以下、5,000個以下、3,000個以下、2,000個以下または1,000個以下の細胞を含む。
【0265】
[0284]細胞クラスターは、内因性の膵島に類似したサイズであり得る。例えば、細胞クラスターは、内因性の膵島に類似した直径を有することができる。細胞クラスターの直径は、細胞クラスターの表面上の2つの点の間の最大直線距離を指すことができる。一部の例では、細胞クラスターの直径は、多くとも300μm、200μm、150μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、または40μmである。細胞クラスターの直径は、約75μm~約250μmであり得る。細胞クラスターの直径は、多くとも100μmであり得る。
【0266】
[0285]一部の実施形態では、細胞クラスターは、約100~約250ミクロンの直径(例えば、約125、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約200、約210、約215、約220、または約225ミクロンの直径)である。例えば、一部の実施形態では、細胞クラスターは、約125~約225、約130~約160、約170~約225、約140~約200、約140~約170、約160~約220、約170~約215、または約170~約200ミクロンの直径である。
【0267】
[0286]一部の実施形態では、本開示の組成物、細胞または細胞集団は、少なくとも1つの遺伝子配列においてゲノム破壊を有する細胞を含む。一部の実施形態では、ゲノム破壊は、前記遺伝子配列によりコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは除去する。一部の実施形態では、少なくとも1つの遺伝子配列は、MHC-クラスI遺伝子をコードする。一部の実施形態では、MHC-クラスI遺伝子は、ベータ-2ミクログロブリン、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cをコードする。一部の実施形態では、少なくとも1つの遺伝子配列はCIITAをコードする。例えば、一部の実施形態では、組成物または細胞集団は、ベータ-2-ミクログロブリン遺伝子におけるゲノム破壊を有する。遺伝子およびそのゲノム破壊の追加の例は、関連する内容が参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO2020/033879号においてさらに詳細に記載される。一部の実施形態では、ゲノム破壊は、遺伝子編集技術(例えば、CRISPR Cas)を用いて誘導される。
【0268】
[0287]一部の実施形態では、本開示の組成物または細胞集団は、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL陽性細胞よりも低いレベルのMAFAを発現するNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物または細胞集団は、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL陽性細胞よりも高いレベルのMAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物または細胞集団は、健康な対照である成人対象の膵臓由来のNKX6.1陽性、ISL陽性細胞よりも高いレベルのSIX2、HOPX、IAPPおよび/またはUCN3を発現するNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含む。
【0269】
[0288]一部の実施形態では、本開示の組成物または細胞集団は、MAFAを発現しないNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含む。一部の実施形態では、組成物または細胞集団は、MAFBを発現するNKX6.1陽性、ISL陽性細胞を含む。
【0270】
[0289]一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団は、いかなる外因性分化因子(例えばTGF-βシグナル伝達経路の阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、PKC活性化剤、TGF-βスーパーファミリー、FGFファミリー、もしくはEGFファミリーからの成長因子、SHHシグナル伝達経路阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、またはBMPシグナル伝達経路阻害剤)の添加もなしに、SC-β細胞に成熟するように直接誘起することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を、血清アルブミンタンパク質、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、SHH経路阻害剤、THシグナル伝達経路活性化剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ROCK阻害剤、BMPシグナル伝達経路阻害剤、および/またはエピジェネティック修飾化合物と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団をヒト血清アルブミンタンパク質と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団をPKC活性化剤と接触させるステップを含む。
【0271】
[0290]一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞を分化因子と接触させることによって、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団を誘起してSC-β細胞に成熟させることができる。分化因子は、本明細書に記載したTGF-βシグナル伝達経路の少なくとも1つの阻害剤および甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤を含み得る。一部の例では、SC-β細胞はインスリン陽性内分泌細胞を含む細胞の集団をAlk5iおよびT3もしくはGC-1と接触させることによって得ることができる。
【0272】
[0291]一部の例では、本明細書で提供される方法は、NKX6.1陽性、ISL1陽性の内分泌細胞を含む細胞集団を、(i)FGFファミリーからの成長因子、(ii)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、(iii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、(iv)エピジェネティック修飾化合物、(v)プロテインキナーゼ阻害剤、(vi)ROCK阻害剤、(vii)BMPシグナル伝達経路阻害剤、および(viii)リパーゼ阻害剤と約1、2、5日間接触させるステップを含む。一部の例では、接触は約3日間である。
【0273】
[0292]一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞はNS-GFs培地、MCDB131培地、DMEM培地、またはCMRL培地中で成熟させることができる。一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞は10%FBSを補ったCMRL培地中で成熟させることができる。一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞は1%HSAを補ったDMEM/F12培地中で成熟させることができる。他の例では、SC-β細胞は、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞の集団を、2%BSAを補ってもよいMCDB131培地中で培養することによって得ることができる。一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞をSC-β細胞に成熟させるための2%BSAを補ったMCDB131培地は、本明細書に記載した小分子の因子を含まなくてよい。一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞をSC-β細胞に成熟させるための2%BSAを補ったMCDB131培地は、血清(例えばFBS)を含まなくてよい。他の例では、SC-β細胞は、0.05%HSAおよびビタミンCを補充することができるMCDB131培地中でインスリン陽性の内分泌細胞を含有する細胞集団を培養することによって得ることができる。一部の例では、SC-β細胞は、0.05%HSA、ITS-X、ビタミンCおよびグルタミン(Gln、例えば、4mM)を補充することができるMCDB131培地中でインスリン陽性の内分泌細胞を含有する細胞集団を培養することによって得ることができる。一部の例では、S6の間に培地の種類を変更することができる。例えば、S6細胞を、最初の2~4日間、0.05%HSAおよびビタミンCを補充することができるMCDB131培地中で培養し、次に、1%HSAを補充したDMEM/F12培地で培養する。一部の例では、追加の因子が培地に導入される。例えば、S6細胞は、0.05%HSA、ITS-X、ビタミンC、およびグルタミン(Gln、例えば、4mM)を補充することができるMCDB131培地中で、10~12日間培養することができ、その間、S6の第4日からZnSOが導入される。
【0274】
[0293]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させることによって、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、任意選択でvi)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、および任意選択でvii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補足したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップとを含み、SC-β細胞はin vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈す方法を提供する。一部の例では、GSIS応答は内因性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0275】
[0294]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させることによって、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤、v)PKC活性化剤、vi)ROCK阻害剤、およびvii)TGFβスーパーファミリーからの成長因子と2日間接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、および任意選択でvi)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、および任意選択でvii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補足したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップとを含み、SC-β細胞はin vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈す方法を提供する。一部の例では、GSIS応答は内因性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0276】
[0295]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させることによって、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)PKC活性化剤、およびv)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化剤、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化剤、v)γ-セクレターゼ阻害剤、および任意選択でvi)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補足したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップとを含み、SC-β細胞はin vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈す方法を提供する。一部の例では、GSIS応答は内因性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0277】
[0296]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させることによって、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5または6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、およびx)ROCK阻害剤と5~7日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補足したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップとを含み、SC-β細胞はin vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈す方法を提供する。一部の例では、GSIS応答は内因性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0278】
[0297]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させることによって、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間または6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)γ-セクレターゼ阻害剤、ii)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、iii)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、iv)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、v)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、vi)プロテインキナーゼ阻害剤、およびvii)ROCK阻害剤と5~7日間接触させ、5~7日間の最初の3日以内に、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、後でPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞から除かれるSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路、およびEGFファミリーマートからの少なくとも1つの成長因子と接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞を、外因性分化因子を含まない培地(例えば、NS-GFs培地、BSAを補足したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日間培養し、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部の、SC-β細胞へのin vitro成熟を誘導するプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップとを含み、SC-β細胞はin vitroおよび/またはin vivoでGSIS応答を呈す方法を提供する。一部の例では、GSIS応答は、内因性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0279】
[0298]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を産生する方法であって、本方法は、a)多能性幹細胞を、TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化剤と3日間接触させることによって、集団中の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと、b)胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間接触させるプロセスによって、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原腸管細胞に分化させるステップと、c)原腸管細胞を、i)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化剤、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスによって、原腸管細胞の少なくとも一部をPDX1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、d)PDX1陽性の膵前駆細胞を、細胞のクラスター化を促進する条件下で、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と3または4日間接触させ、続いてi)FGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および任意選択でiii)RAシグナル伝達経路活性化剤、および任意選択でiv)ROCK阻害剤、v)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子、およびvi)PKC活性化剤、および任意選択でvii)ガンマセクレターゼ阻害剤と1~2日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞に分化させるステップと、e)PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、viii)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、x)ROCK阻害剤、およびxi)PKC活性化剤と1~2日間接触させ、続いてi)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化剤、iii)γ-セクレターゼ阻害剤、iv)上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの成長因子、v)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、vi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、vii)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤、vii)エピジェネティック修飾化合物(例えば、DZNepまたはKD5170)、ix)プロテインキナーゼ阻害剤、およびx)ROCK阻害剤と3~6日間接触させるプロセスによって、PDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞の少なくとも一部をPDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞に分化させるステップと、f)PDX1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性の内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップとを含む方法を提供する。
【0280】
[0299]第1の細胞クラスターから分離された細胞を培養するために使用された培地は、ゼノフリーであり得る。動物を起源とする細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、他の動物由来の生成物を有することができない。一部の事例では、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、いずれの非ヒト動物由来の生成物も有することができない。例えば、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、ウシ胎仔血清(FBS)の代わりにヒト血小板溶解物(PLT)を含むことができる。例えば、培地は、約1%~約20%、約5%~約15%、約8%~約12%、約9~約11%の血清を含むことができる。一部の事例では、培地は、約10%の血清を含むことができる。一部の事例では、培地は、小分子および/またはFBSを含むことができない。例えば、培地は、2%のBSAを補充したMCDB131基礎培地を含むことができる。一部の事例では、培地は、血清を含まない。一部の例では、培地は、外因性小分子またはシグナル伝達経路アゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、線維芽細胞成長因子ファミリー(FGF、例えば、FGF2、FGF8B、FGF10、またはFGF21)からの成長因子、ソニックヘッジホッグアンタゴニスト(例えば、Sant1、Sant2、Sant4、Sant4、Cur61414、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、シクロパミン、またはこれらの誘導体)、レチノイン酸シグナル伝達アゴニスト(例えば、レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHPB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、またはCD2314)、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)の阻害剤(例えば、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、または14-1152)、プロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤(例えば、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート 13-アセテート、ブリオスタチン1、またはこれらの誘導体)、TGFβスーパーファミリーのアンタゴニスト(例えば、Alk5阻害剤II(CAS 446859-33-2)、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、SB-505124、またはこれらの誘導体)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体の阻害剤(例えば、LDN193189またはこれらの誘導体)、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤(例えば、T3、GC-1またはこれらの誘導体)、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI、DAPT、またはこれらの誘導体)、TGF-βシグナル伝達経路の活性化剤(例えば、WNT3aまたはアクチビンA) 上皮細胞成長因子(EGF)ファミリーからの成長因子(例えば、ベータセルリンまたはEGF)、広範囲のキナーゼ(例えば、スタウロスポリンまたはその誘導体)、非必須アミノ酸、ビタミンまたは酸化防止剤(例えば、シクロパミン、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンA、またはこれらの誘導体)、あるいはN-アセチルシステイン、硫酸亜鉛、またはヘパリンのような他の添加物を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、外因性細胞外マトリックス分子を含むことができない。一部の事例では、再凝集培地は、Matrigel(商標)を含まない。一部の事例では、再凝集培地は、他の細胞外マトリックス分子または材料、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectinならびにこれらの混合物、または、例えば、溶解された細胞膜調製物を含まない。
【0281】
[0300]当業者であれば、培地中に補充される血清アルブミンの濃度が変化し得ることを認識するであろう。例えば、培地(例えば、MCDB131)は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%のBSAを含むことができる。他の事例では、培地は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%のHSAを含むことができる。使用される培地(例えば、MCDB131培地)は、伝統的な基礎培地に見られない構成成分、例えば、微量元素、プトレシン、アデニン、チミジン、ならびに高レベルの一部のアミノ酸およびビタミンを含有することができる。これらの添加物によって、非常に低いレベルの血清または規定された構成成分が補充される培地を可能とすることができる。培地は、タンパク質および/または成長因子を含まなくてもよく、かつEGF、ヒドロコルチゾン、および/またはグルタミンが補充されてもよい。培地は、1つまたは複数の細胞外マトリックス分子(例えば、細胞外タンパク質)を含んでもよい。培地において使用される非限定的な例示的細胞外マトリックス分子としては、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、バイグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンを挙げることができる。一部の事例では、培地は、ラミニン、例えば、LN-332を含む。一部の事例では、培地は、ヘパリンを含む。
【0282】
[0301]培地は、例えば、培地中の細胞に最適な環境を与えるために、培養中に周期的に交換することができる。再凝集のために第1の細胞クラスターから分離された細胞を培養する場合、培地は、少なくともまたは約4時間毎、12時間毎、24時間毎、48時間毎、3日毎もしくは4日毎に交換することができる。例えば、培地は、約48時間毎に交換することができる。
【0283】
[0302]一部の事例では、細胞は、動的条件下(例えば、細胞が、懸濁培養下にある間、一定の動きまたは撹拌に供される条件下)で培養することができる。細胞を動的培養するために、細胞は、制御ユニットに接続され、よって、制御された培養系を提供することができる容器(例えば、スピナーフラスコ(例えば、200ml~3000ml、例えば、250mlの;100mlの;または125mlのエルレンマイヤー中の)などの非接着性容器)中で培養することができる。一部の事例では、細胞は、それらの増殖能力を維持しながら、非動的条件(例えば、静的培養)下で培養することができる。細胞を非動的培養するために、細胞は、接着性培養ベッセル中で培養することができる。接着性培養ベッセルは、ベッセル表面の細胞への接着性を改良するために、細胞外マトリックス(ECM)などの細胞接着のための基質のいずれかでコーティングされてもよい。細胞接着のための基質は、(使用される場合)幹細胞またはフィーダー細胞を付着させることを意図する任意の材料であり得る。細胞接着のための基質としては、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビン、およびRetroNectinならびにこれらの混合物、例えば、Matrigel(商標)、ならびに溶解された細胞膜調製物が挙げられる。
【0284】
[0303]動的細胞培養ベッセル(例えば、スピナーフラスコ)中の培地は、撹拌され得る(例えば、スターラーによって)。スピン速度は、再凝集される第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。スピン速度は、第2の細胞クラスターのサイズが内因性膵島に類似することができるように制御され得る。一部の事例では、スピン速度は、第2の細胞クラスターのサイズが、約75μm~約250μmとなり得るように制御される。動的細胞培養ベッセル(例えば、スピナーフラスコ)のスピン速度は、1分当たり約20回転(rpm)~約100rpm、例えば、約30rpm~約90rpm、約40rpm~約60rpm、約45rpm~約50rpmであり得る。一部の事例では、スピン速度は、約50rpmであり得る。
【0285】
[0304]本明細書において提供されるステージ6の細胞は、本明細書に記載されているように、分離および再凝集プロセスに供されても供されなくてもよい。一部の事例では、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞クラスターは再凝集され得る。細胞クラスターの再凝集により、インスリン陽性内分泌細胞を濃縮することができる。一部の事例では、細胞クラスター中のインスリン陽性内分泌細胞は、膵β細胞へとさらに成熟され得る。例えば、再凝集後に、第2の細胞クラスターは、天然の膵島に似た、in vitroでのGSISを呈し得る。例えば、再凝集後に、第2の細胞クラスターは、in vitroでのGSISを呈する非天然膵β細胞を含み得る。一部の実施形態では、再凝集プロセスは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT出願PCT/US2018/043179の開示に従って実施され得る。
【0286】
[0305]本明細書において提供される方法に従って得られるステージ6の細胞は、凍結保存および再凝集手順の後に、高い回収率を有することができる。一部の事例では、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置ならびにステージ5におけるエピジェネティック修飾化合物(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、DZNep)の処置に関与する分化プロセスで得られるステージ6の細胞は、このような処置を伴わない対応する細胞集団と比較して、ステージ5の後の凍結保存後により高い回収率を有し得る。一部の事例では、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置ならびにステージ5におけるエピジェネティック修飾化合物(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、DZNep)の処置に関与する分化プロセスで得られるステージ6の細胞は、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置を伴わない対応する細胞集団と比較して、ステージ5の後の凍結保存後により高い回収率を有し得る。一部の事例では、ステージ3におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN)およびTGF-βスーパーファミリーからの成長因子(例えば、アクチビンA)の処置ならびにステージ5におけるエピジェネティック修飾化合物(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、DZNep)の処置に関与する分化プロセスで得られるステージ6の細胞は、ステージ5の後の凍結保存後に、少なくとも約35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、48%、49%、または50%である回収率を有し得る。回収率は、凍結保存前の細胞と比較した、凍結保存、解凍および回収、ならびに再凝集手順後に生存し、再凝集した細胞クラスターを形成する細胞のパーセンテージとして計算することができる。
【0287】
[0306]一部の実施形態では、本開示は、本明細書において提供される方法を使用して得られる非天然膵β細胞またはその前駆体の凍結保存に関する。一部の実施形態では、非天然膵β細胞を含む細胞集団は、凍結保存によって保存することができる。例えば、非天然β細胞、例えば、ステージ6の細胞を含む細胞集団は、一部の事例では、細胞懸濁液、例えば、単一細胞の懸濁液中に分離されてもよく、細胞懸濁液は、凍結保存、例えば、凍結保存溶液中で凍結することができる。細胞の分離は、本明細書に与えられる技法のいずれか、例えば、酵素処理によって行うことができる。細胞は、最高-20℃、最高-30℃、最高-40℃、最高-50℃、最高-60℃、最高-70℃、最高-80℃、最高-90℃、最高-100℃、最高-110℃、最高-120℃、最高-130℃、最高-140℃、最高-150℃、最高-160℃、最高-170℃、最高-180℃、最高-190℃、または細胞は最高-200℃の温度で凍結することができる。一部の事例では、細胞は、約-80℃の温度で凍結される。一部の事例では、細胞は、約-195℃の温度で凍結される。凍結保存に必要とされる低温をもたらすために、以下に限定されないが、電気冷凍庫、固体二酸化炭素、および液体窒素などの任意の冷却方法を使用することができる。一部の事例では、カスタムメイドと市販の溶液の両方を含む、当業者にとって利用可能な任意の凍結保存溶液を、低温での保存用に細胞をインキュベートするために使用することができる。例えば、凍結保護物質を含有する溶液を使用してもよい。凍結保護物質は、細胞を凍結による損傷から保護するために構成される薬剤であり得る。例えば、凍結保護物質は、凍結保存溶液のガラス転移温度を低下させることができる物質であり得る。使用することができる例示的な凍結保護物質として、DMSO(ジメチルスルホキシド)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロール)、デキストラン(例えば、デキストラン-40)、およびトレハロースが挙げられる。他の作用のために、追加の薬剤を凍結保存溶液に添加してもよい。一部の事例では、市販の凍結保存溶液、例えば、FrostaLife(商標)、pZerve(商標)、Prime-XV(登録商標)、Gibco Synth-a-Freeze Cryopreservation Medium、STEM-CELLBANKER(登録商標)、CryoStor(登録商標) Freezing Media、HypoThermosol(登録商標) FRS Preservation Media、およびCryoDefend(登録商標) Stem Cells Mediaを本明細書において提供される方法において使用することができる。
【0288】
[0307]分化プロセスの間に、細胞を本明細書で提供される照射処置に供することができる。一部の事例では、ステージ6における細胞集団、例えば、インスリン陽性内分泌細胞から膵β細胞へと分化される細胞を有する細胞集団または細胞クラスターは、一定期間照射される。一部の事例では、凍結保存からの回収後の再凝集後のステージ6の細胞集団は、一定期間照射される。一部の事例では、凍結保存された細胞(例えば、ステージ5の終わりに凍結保存された細胞)は、次の分化プロセスのために、解凍および回収前に、ある特定の期間照射される。
【0289】
[0308]一部の実施形態では、ステージ6細胞は、NKX6.1陽性、インスリン陽性細胞を含む。一部の実施形態では、ステージ6細胞は、NKX6.1陽性、インスリン陰性細胞を含む。一部の実施形態では、ステージ6細胞は、C-ペプチド陽性細胞を含む。一部の実施形態では、ステージ6細胞またはステージ6細胞の特徴を有する細胞は、NS-GF培地、MCDB131培地、DMEM培地、またはCMRL培地中でインキュベートされる。一部の実施形態では、ステージ6細胞またはステージ6細胞の特徴を有する細胞は、ビタミンまたは酸化防止剤(例えば、ビタミンC)、アルブミンタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンタンパク質)、TGF-β経路阻害剤(例えば、ALK5阻害剤II)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体阻害剤(例えば、LDN193189)、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤(例えば、チアゾビビン)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、DZNEP)、およびプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)のうちの1つまたは複数と接触される。一部の実施形態では、ステージ6細胞は、PKC活性化剤(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2019217487号を参照されたい)と接触される。
【0290】
分化因子
[0309]本開示の態様は、例えば、インスリン陽性内分泌細胞の成熟または他の前駆細胞のSC-β細胞(例えば、成熟膵β細胞)への分化を誘導するために、前駆細胞(例えば、幹細胞、例えば、iPS細胞、胚体内胚葉細胞、原腸管細胞、PDX1陽性膵前駆細胞、NKX6.1陽性膵前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞)をβ細胞分化因子と接触させることに関する。一部の実施形態では、分化因子は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、多能性細胞(例えば、iPSCまたはhESC)の胚体内胚葉細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、胚体内胚葉細胞の原腸管細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、原腸管細胞のPDX1陽性膵前駆細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、PDX1陽性膵前駆細胞のNKX6-1陽性膵前駆細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、NKX6-1陽性膵前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、例えば、本明細書に記載の方法に従って、インスリン陽性内分泌細胞のSC-β細胞への成熟を誘導することができる。
【0291】
[0310]本明細書に記載の少なくとも1つの分化因子は、単独で、または他の分化作用剤と組み合わせて使用し、本明細書に開示されている方法に従って、SC-β細胞を産生することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の分化因子は、SC-β細胞を産生する方法において使用される。
【0292】
形質転換成長因子-β(TGF-β)スーパーファミリー
[0311]本開示の態様は、分化因子としての形質転換成長因子-β(TGF-β)スーパーファミリーからの成長因子の使用に関する。「TGF-βスーパーファミリー」は、公知のTGFβファミリーのメンバーの構造的および機能的特徴を有するタンパク質を意味する。タンパク質のTGFβファミリーとしては、TGFβシリーズのタンパク質、インヒビン(インヒビンAおよびインヒビンBを含む)、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、およびアクチビンABを含む)、MIS(ミュラー管阻害物質)、BMP(骨形成タンパク質)、dpp(デカペンタプレジック)、Vg-1、MNSF(モノクローナル非特異的抑制因子)などが挙げられる。このファミリーのタンパク質の活性は、様々な細胞型の特定の受容体への特異的結合に基づき得る。このファミリーのメンバーは、特にC末端において、それらの機能に相関する配列同一性の領域を共有することができる。TGFβファミリーは、100を超える別々のタンパク質を含むことができ、これらは全て、アミノ酸配列同一性の少なくとも1つの領域を共有する。本明細書に開示されている方法において使用することができるファミリーのメンバーとしては、以下のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されず、以下のタンパク質は、GenBank受託番号:P07995、P18331、P08476、Q04998、P03970、P43032、P55102、P27092、P42917、P09529、P27093、P04088、Q04999、P17491、P55104、Q9WUK5、P55103、O88959、O08717、P58166、O61643、P35621、P09534、P48970、Q9NR23、P25703、P30884、P12643、P49001、P21274、O46564、O19006、P22004、P20722、Q04906、Q07104、P30886、P18075、P23359、P22003、P34821、P49003、Q90751、P21275、Q06826、P30885、P34820、Q29607、P12644、Q90752、O46576、P27539、P48969、Q26974、P07713、P91706、P91699、P27091、O42222、Q24735、P20863、O18828、P55106、Q9PTQ2、O14793、O08689、O42221、O18830、O18831、O18836、O35312、O42220、P43026、P43027、P43029、O95390、Q9R229、O93449、Q9Z1W4、Q9BDW8、P43028、Q7Z4P5、P50414、P17246、P54831、P04202、P01137、P09533、P18341、O19011、Q9Z1Y6、P07200、Q9Z217、O95393、P55105、P30371、Q9MZE2、Q07258、Q96S42、P97737、AAA97415.1、NP-776788.1、NP-058824.1、EAL24001.1、1 S4Y、NP-001009856.1、NP-1-032406.1、NP-999193.1、XP-519063.1、AAG17260.1、CAA40806.1、NP-1-001009458.1、AAQ55808.1、AAK40341.1、AAP33019.1、AAK21265.1、AAC59738.1、CAI46003.1、B40905、AAQ55811.1、AAK40342.1、XP-540364.1、P55102、AAQ55810.1、NP-990727.1、CAA51163.1、AAD50448.1、JC4862、PN0504、BAB17600.1、AAH56742.1、BAB17596.1、CAG06183.1、CAG05339.1、BAB17601.1、CAB43091.1、A36192、AAA49162.1、AAT42200.1、NP-789822.1、AAA59451.1、AAA59169.1、XP-541000.1、NP-990537.1、NP-1-002184.1、AAC14187.1、AAP83319.1、AAA59170.1、BAB16973.1、AAM66766.1、WFPGBB、1201278C、AAH30029.1、CAA49326.1、XP-344131.1、AA-148845.1、XP-1-148966.3、148235、B41398、AAH77857.1、AAB26863.1、1706327A、BAA83804.1、NP-571143.1、CAG00858.1、BAB17599.1、BAB17602.1、AAB61468.1、PN0505、PN0506、CAB43092.1、BAB17598.1、BAA22570.1、BAB16972.1、BAC81672.1、BAA12694.1、BAA08494.1、B36192、C36192、BAB16971.1、NP-034695.1、AAA49160.1、CAA62347.1、AAA49161.1、AAD30132.1、CAA58290.1、NP-005529.1、XP-522443.1、AAM27448.1、XP-538247.1、AAD30133. I、AAC36741.1、AAH10404.1、NP-032408.1、AAN03682.1、XP-509161.1、AAC32311.1、NP-651942.2、AAL51005.1、AAC39083.1、AAH85547.1、NP-571023.1、CAF94113.1、EAL29247.1、AAW30007.1、AAH90232.1、A29619、NP-001007905.1、AAH73508.1、AADO2201.1、NP-999793.1、NP-990542.1、AAF19841.1、AAC97488.1、AAC60038.1、NP 989197.1、NP-571434.1、EAL41229.1、AAT07302.1、CAI19472.1、NP-031582.1、AAA40548.1、XP-535880.1、NP-1-037239.1、AAT72007.1、XP-418956.1、CAA41634.1、BAC30864.1、CAA38850.1、CAB81657.2、CAA45018.1、CAA45019.1、BAC28247.1、NP-031581.1、NP-990479.1、NP-999820.1、AAB27335.1、S45355、CAB82007.1、XP-534351.1、NP-058874.1、NP-031579.1、1REW、AAB96785.1、AAB46367.1、CAA05033.1、BAA89012.1、IES7、AAP20870.1、BAC24087.1、AAG09784.1、BAC06352.1、AAQ89234.1、AAM27000.1、AAH30959.1、CAGO1491.1、NP-571435.1、1REU、AAC60286.1、BAA24406.1、A36193、AAH55959.1、AAH54647.1、AAH90689.1、CAG09422.1、BAD16743.1、NP-032134.1、XP-532179.1、AAB24876.1、AAH57702.1、AAA82616.1、CAA40222.1、CAB90273.2、XP-342592.1、XP-534896.1、XP-534462.1、1LXI、XP-417496.1、AAF34179.1、AAL73188.1、CAF96266.1、AAB34226.1、AAB33846.1、AAT12415.1、AA033819.1、AAT72008.1、AAD38402.1、BAB68396.1、CAA45021.1、AAB27337.1、AAP69917.1、AATI2416.1、NP-571396.1、CAA53513.1、AA033820.1、AAA48568.1、BAC02605.1、BAC02604.1、BAC02603.1、BAC02602.1、BAC02601.1、BAC02599.1、BAC02598.1、BAC02597.1、BAC02595.1、BAC02593.1、BAC02592.1、BAC02590.1、AAD28039.1、AAP74560.1、AAB94786.1、NP-001483.2、XP-528195.1、NP-571417.1、NP-001001557. I、AAH43222.1、AAM33143.1、CAG10381.1、BAA31132.1、EAL39680.1、EAA12482.2、P34820、AAP88972.1、AAP74559.1、CAI16418.1、AAD30538.1、XP-345502.1、NP-1-038554.1、CAG04089.1、CAD60936.2、NP-031584.1、B55452、AAC60285.1、BAA06410.1、AAH52846.1、NP-031580.1、NP-1-036959.1、CAA45836.1、CAA45020.1、Q29607、AAB27336.1、XP-547817.1、AAT12414.1、AAM54049.1、AAH78901.1、AA025745.1、NP-570912.1、XP-392194.1、AAD20829.1、AAC97113.1、AAC61694.1、AAH60340.1、AAR97906.1、BAA32227.1、BAB68395.1、BAC02895.1、AAWS 1451.1、AAF82188.1、XP-544189.1、NP-990568.1、BAC80211.1、AAW82620.1、AAF99597.1、NP-571062.1、CAC44179.1、AAB97467.1、AAT99303.1、AAD28038.1、AAH52168.1、NP-001004122.1、CAA72733.1、NP-032133.2、XP-394252.1、XP-224733.2、JH0801、AAP97721.1、NP-989669.1、S43296、P43029、A55452、AAH32495.1、XP-542974.1、NP-032135.1、AAK30842.1、AAK27794.1、BAC30847.1、EAA12064.2、AAP97720.1、XP-525704.1、AAT07301.1、BAD07014.1、CAF94356.1、AAR27581.1、AAG13400.1、AAC60127.1、CAF92055.1、XP-540103.1、AA020895.1、CAF97447.1、AAS01764.1、BAD08319.1、CAA10268.1、NP-998140.1、AAR03824.1、AAS48405.1、AAS48403.1、AAK53545.1、AAK84666.1、XP-395420.1、AAK56941.1、AAC47555.1、AAR88255.1、EAL33036.1、AAW47740.1、AAW29442.1、NP-722813.1、AARO8901.1、AAO 15420.2、CAC59700.1、AAL26886.1、AAK71708.1、AAK71707.1、CAC51427.2、AAK67984.1、AAK67983.1、AAK28706.1、P07713、P91706、P91699、CAG02450.1、AAC47552.1、NP-005802.1、XP-343149.1、AW34055.1、XP-538221.1、AAR27580.1、XP-125935.3、AAF21633.1、AAF21630.1、AAD05267.1、Q9Z1 W4、NP-1-031585.2、NP-571094.1、CAD43439.1、CAF99217.1、CAB63584.1、NP-722840.1、CAE46407.1、XP-1-417667.1、BAC53989.1、BAB19659.1、AAM46922.1、AAA81169
.1、AAK28707.1、AAL05943.1、AAB17573.1、CAH25443.1、CAG10269.1、BAD16731.1、EAA00276.2、AAT07320.1、AAT07300.1、AAN15037.1、CAH25442.1、AAK08152.2、2009388A、AAR12161.1、CAGO1961.1、CAB63656.1、CAD67714.1、CAF94162.1、NP-477340.1、EAL24792.1、NP-1-001009428.1、AAB86686.1、AAT40572.1、AAT40571.1、AAT40569.1、NP-033886.1、AAB49985.1、AAG39266.1、Q26974、AAC77461.1、AAC47262.1、BAC05509.1、NP-055297.1、XP-546146.1、XP-525772.1、NP-060525.2、AAH33585.1、AAH69080.1、CAG12751.1、AAH74757.2、NP-034964.1、NP-038639.1、042221、AAF02773.1、NP-062024.1、AAR18244.1、AAR14343.1、XP-228285.2、AAT40573.1、AAT94456.1、AAL35278.1、AAL35277.1、AAL17640.1、AAC08035.1、AAB86692.1、CAB40844.1、BAC38637.1、BAB16046.1、AAN63522.1、NP-571041.1、AAB04986.2、AAC26791.1、AAB95254.1、BAA11835.1、AAR18246.1、XP-538528.1、BAA31853.1、AAK18000.1、XP-1-420540.1、AAL35276.1、AAQ98602.1、CAE71944.1、AAW50585.1、AAV63982.1、AAW29941.1、AAN87890.1、AAT40568.1、CAD57730.1、AAB81508.1、AAS00534.1、AAC59736.1、BAB79498.1、AAA97392.1、AAP85526.1、NP-999600.2、NP-878293.1、BAC82629.1、CAC60268.1、CAG04919.1、AAN10123.1、CAA07707.1 AAK20912.1、AAR88254.1、CAC34629.1、AAL35275.1、AAD46997. I、AAN03842.1、NP-571951.2、CAC50881.1、AAL99367.1、AAL49502.1、AAB71839.1、AAB65415.1、NP-624359.1、NP-990153.1、AAF78069.1、AAK49790.1、NP-919367.2、NP-001192.1、XP-544948.1、AAQ18013.1、AAV38739.1、NP-851298.1、CAA67685.1、AAT67171.1、AAT37502.1、AAD27804.1、AAN76665.1、BAC11909.1、XP-1-421648.1、CAB63704.1、NP-037306.1、A55706、AAF02780.1、CAG09623.1、NP-067589.1、NP-035707.1、AAV30547.1、AAP49817.1、BAC77407.1、AAL87199.1、CAG07172.1、B36193、CAA33024.1、NP-1-001009400.1、AAP36538.1、XP-512687.1、XP-510080.1、AAH05513.1、1KTZ、AAH14690.1、AAA31526.1によって特定される。
【0293】
[0312]本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、天然に得ることができるかまたは組換え体であり得る。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、アクチビンAを含む。用語「アクチビンA」は、アクチビンAの断片および誘導体を含み得る。例示的なアクチビンAの配列は、米国特許出願公開第2009/0155218号(’218公報)における配列番号1に開示されている。アクチビンAの他の非限定的な例は、’218公報の配列番号2~16に提供され、アクチビンAをコードする核酸の非限定的な例は、’218公報の配列番号33~34に提供されている。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、’218公報の配列番号1と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み得る。
【0294】
[0313]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、成長分化因子8(GDF8)を含む。用語「GDF8」は、GDF8の断片および誘導体を含み得る。GDF8ポリペプチドの配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、ヒトGDF8ポリペプチド配列(GenBank受託EAX10880)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0295】
[0314]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、GDF8に密接に関連する成長因子、例えば、成長分化因子11(GDF11)を含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、ヒトGDF11ポリペプチド配列(GenBank受託AAF21630)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0296】
[0315]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの成長因子は、TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子を模倣する薬剤と置き換えることができる。TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの成長因子を模倣する例示的な薬剤としては、限定されないが、IDE1およびIDE2が挙げられる。
【0297】
骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤
[0316]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのBMPシグナル伝達経路阻害剤の使用に関する。BMPシグナル伝達ファミリーは、TGF-βスーパーファミリーの多様なサブセットである(Sebaldら Biol. Chem. 385:697~710頁、2004年)。20種を超える公知のBMPリガンドは、3つの異なるII型(BMPRII、ActRIIa、およびActRIIb)および少なくとも3つのI型(ALK2、ALK3、およびALK6)受容体によって認識される。二量体のリガンドは、受容体ヘテロマーのアセンブリーを促進し、構成的に活性なII型受容体セリン/トレオニンキナーゼにI型受容体セリン/トレオニンキナーゼをリン酸化させる。活性化I型受容体は、BMP応答性(BR-)SMADエフェクター(SMAD1、5、および8)をリン酸化して、TGFシグナル伝達も促進するco-SMADであるSMAD4との複合体における核移行を促進する。さらに、BMPシグナルは、SMADに依存しない手法で、MAPK p38などの細胞内エフェクターを活性化し得る(Noheら Cell Signal 16:291~299頁、2004年)。可溶性BMPアンタゴニスト、例えば、ノギン、コーディン、グレムリン、およびフォリスタチンは、リガンド隔離によってBMPシグナル伝達を制限する。
【0298】
[0317]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、DMH-1、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、以下の化合物または以下の化合物の誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む:
【0299】
【化1】
【0300】
[0318]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189(LDN193189、1062368-24-4、LDN-193189、DM 3189、DM-3189、IUPAC名:4-[6-(4-ピペラジン-1-イルフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]キノロンとしても公知)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、以下の化合物または以下の化合物の誘導体、類似体、もしくはバリアントを含む:
【0301】
【化2】
【0302】
[0319]一部の事例では、DMH-1は、LDN193189と比較して、より選択的であり得る。本開示の一部の実施形態では、DMH-1は、本明細書において提供される方法に対して特に有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、LDN193189の使用を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、原腸管細胞からPDX1陽性膵前駆細胞を産生するために、LDN193189、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントの使用を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、原腸管細胞からPDX1陽性膵前駆細胞を産生するための、DMH-1、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントの使用に関する。
【0303】
[0320]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189の類似体または誘導体、例えば、LDN193189の塩、水和物、溶媒、エステル、またはプロドラッグを含む。一部の実施形態では、LDN193189の誘導体(例えば、塩)は、LDN193189ヒドロクロリドを含む。
【0304】
[0321]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2011/0053930号からの式Iの化合物を含む。
【0305】
TGF-βシグナル伝達経路阻害剤
[0322]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのTGF-βシグナル伝達経路阻害剤の使用に関する。
【0306】
[0323]一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-β受容体I型キナーゼ(TGF-β RI)シグナル伝達を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤II(CAS 446859-33-2、RepSoxとしても公知であるTGF-B RIキナーゼのATP競合阻害剤、IUPAC名:2-[5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン)を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤IIの類似体または誘導体である。
【0307】
[0324]一部の実施形態では、ALK5阻害剤IIの類似体または誘導体(「ALK5i」とも称される)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0021519号に記載されている式Iの化合物である。
【0308】
[0325]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2010/0267731号に記載されているTGF-β受容体阻害剤である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2009/0186076号および同第2007/0142376号に記載されているALK5阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、A 83-01である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、A 83-01ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、A 83-01を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 431542である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 431542ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SB 431542を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、D 4476である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、D 4476ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、D 4476を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、GW 788388を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 364947である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 364947ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、LY 364947を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 580276である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 580276ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、LY 580276を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 525334である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 525334ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SB 525334を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 505124である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 505124ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SB 505124を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SD 208である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SD 208ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、SD 208を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 6604である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 6604ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、GW 6604を除外する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388ではない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、GW 788388を除外する。
【0309】
[0326]上記化合物のコレクションから、以下のものを様々な供給源から得ることができる:Sigma, P.O. Box 14508, St. Louis, Mo., 63178-9916から入手可能なLY-364947、SB-525334、SD-208、およびSB-505124;Calbiochem(EMD Chemicals, Inc.),480 S. Democrat Road, Gibbstown, N.J., 08027から入手可能な616452および616453;GlaxoSmithKline, 980 Great West Road, Brentford, Middlesex, TW8 9GS, United Kingdomから入手可能なGW788388およびGW6604;Lilly Research, Indianapolis, Ind. 46285から入手可能なLY580276;ならびにBiogen Idec, P.O. Box 14627, 5000 Davis Drive, Research Triangle Park, N.C., 27709-4627から入手可能なSM16。
【0310】
WNTシグナル伝達経路
[0327]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのWNTシグナル伝達経路の活性化剤の使用に関する。
【0311】
[0328]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、CHIR99021の誘導体、例えば、CHIR99021の塩、例えば、CHIR99021のトリヒドロクロリド、ヒドロクロリド塩を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、Wnt3a組換えタンパク質を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化剤は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)阻害剤を含む。例示的なGSK3阻害剤としては、限定されないが、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インディルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC 693868、SB 216763、SB 415286、TC-G 24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびこれらのいずれかの類似体または誘導体が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、WNTシグナル伝達経路活性化剤を除外する。
【0312】
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリー
[0329]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのFGFファミリーからの成長因子の使用に関する。
【0313】
[0330]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの成長因子は、ケラチノサイト成長因子(KGF)を含む。KGFのポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトKGFポリペプチド配列(GenBank受託AAB21431)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0314】
[0331]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの成長因子は、FGF2を含む。FGF2のポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF2ポリペプチド配列(GenBank受託NP_001997)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0315】
[0332]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF8Bを含む。FGF8Bのポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF8Bポリペプチド配列(GenBank受託AAB40954)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0316】
[0333]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF10を含む。FGF10のポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF10ポリペプチド配列(GenBank受託CAG46489)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0317】
[0334]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるFGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、FGF21を含む。FGF21のポリペプチド配列は、当業者に利用可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの成長因子は、ヒトFGF21ポリペプチド配列(GenBank受託AAQ89444.1)に対して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、またはそれより高い割合で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0318】
ソニックヘッジホッグ(SHH)シグナル伝達経路
[0335]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのSHHシグナル伝達経路阻害剤の使用に関する。
【0319】
[0336]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、Sant1を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT2を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT3を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT4を含む。一部の実施形態では、SHHシグナル伝達経路阻害剤は、Cur61414を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、フォースコリンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、トマチジンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、AY9944を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、トリパラノールを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、化合物Aまたは化合物Bを含む(米国特許出願公開第2004/0060568号に開示されている)。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2006/0276391号に開示されているヘッジホッグシグナル伝達にアンタゴナイズするステロイダルアルカロイド(例えば、シクロパミンまたはその誘導体)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、SHHシグナル伝達経路阻害剤を除外する。
【0320】
Rhoキナーゼ(ROCK)シグナル伝達経路
[0337]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのROCKシグナル伝達経路阻害剤(ROCK阻害剤)の使用に関する。
【0321】
[0338]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、Y-27632またはチアゾビビンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、チアゾビビンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、Y-27632を含む。一部の事例では、本明細書において提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、以下の化合物またはその誘導体を含む:
【0322】
【化3】
【0323】
[0339]一部の事例では、本明細書において提供される方法および組成物におけるROCK阻害剤は、以下の化合物またはその誘導体を含む:
【0324】
【化4】
【0325】
[0340]本明細書において提供される方法および組成物において使用することができるROCK阻害剤の非限定的な例としては、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、H-1152、リパスジル、Y39983、Wf-536、SLx-2119、アザベンゾイミダゾール-アミノフラザン、DE-104、オレフィン、イソキノリン、インダゾール、およびピリジンアルケン誘導体、ROKα阻害剤、XD-4000、HMN-1152、4-(1-アミノアルキル)-N-(4-ピリジル)シクロヘキサン-カルボキサミド、Rhostatin、BA-210、BA-207、BA-215、BA-285、BA-1037、Ki-23095、VAS-012、ならびにキナゾリンが挙げられる。
【0326】
レチノイン酸シグナル伝達経路
[0341]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのレチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターの使用に関する。
【0327】
[0342]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるレチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターは、レチノイン酸シグナル伝達の活性化剤を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるRAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるRAシグナル伝達経路活性化剤は、レチノイン酸受容体アゴニストを含む。本明細書において提供される方法および組成物における例示的なレチノイン酸受容体アゴニストとしては、限定されないが、CD 1530、AM 580、TTNPB、CD 437、Ch 55、BMS 961、AC 261066、AC 55649、AM 80、BMS 753、タザロテン、アダパレン、およびCD 2314が挙げられる。
【0328】
[0343]一部の実施形態では、本明細書に提供される方法および組成物におけるレチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターは、レチノイン酸シグナル伝達の阻害剤を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、DEAB(IUPAC名:2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]3-プロパ-2-エニルベンズアルデヒド)を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、DEABの類似体または誘導体を含む。
【0329】
[0344]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるレチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、レチノイン酸受容体アンタゴニストを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるレチノイン酸受容体アンタゴニストは、(E)-4-[2-(5,6-ジヒロド-5,5-ジメチル-8-フェニル-2-ナフタレニル)エテニル]安息香酸、(E)-4-[[(5,6-ジヒロド-5,5-ジメチル-8-フェニルエチニル)-2-ナフタレニル]エテニル]安息香酸、(E)-4-[2-[5,6-ジヒロド-5,5-ジメチル-8-(2-ナフタレニル)-2-ナフタレニル]エテニル]-安息香酸、および(E)-4-[2-[5,6-ジヒロド-5,5-ジメチル-8-(4-メトキシフェニル)-2-ナフタレニル]エテニル]安息香酸を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸受容体アンタゴニストは、BMS 195614(CAS番号253310-42-8)、ER 50891(CAS番号187400-85-7)、BMS 493(CAS番号170355-78-9)、CD 2665(CAS番号170355-78-9)、LE 135(CAS番号155877-83-1)、BMS 453(CAS番号166977-43-1)、またはMM 11253(CAS番号345952-44-5)を含む。
【0330】
[0345]ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターを除外する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化剤を除外する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤を除外する。
【0331】
プロテインキナーゼC
[0346]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのプロテインキナーゼC活性化剤の使用に関する。プロテインキナーゼCは、プロテインキナーゼ酵素の最も大きなファミリーのうちの1つであり、種々のアイソフォームから構成される。従来のアイソフォームとしては、a、βI、βII、γが挙げられ;新規アイソフォームとしては、δ、ε、η、Θが挙げられ;および非典型的アイソフォームとしては、ξ、およびι/λが挙げられる。PKC酵素は、主にサイトゾルであるが、活性化されると膜に移動する。細胞質では、PKCは他のキナーゼによってリン酸化されるかまたは自己リン酸化される。活性化されるために、一部のPKCアイソフォーム(例えば、PKC-ε)は、ジアシルグリセロール(「DAG」)結合部位またはホスファチジルセリン(「PS」)結合部位に結合するために分子を必要とする。他のものは、いずれの二次的結合メッセンジャーも必要とせず活性化され得る。DAG部位に結合するPKC活性化剤としては、以下に限定されないが、ブリオスタチン、ピコローグ(picologue)、ホルボールエステル、アプリシアトキシン、およびグニジマクリンが挙げられる。PS部位に結合するPKC活性化剤としては、以下に限定されないが、多価不飽和脂肪酸およびその誘導体が挙げられる。単独でまたは1つまたは複数の他のβ細胞分化因子と組み合わせて、少なくとも1つのインスリンを産生する内分泌細胞またはその前駆体の、SC-β細胞への分化を誘導することが可能である任意のプロテインキナーゼC活性化剤を本明細書に記載の方法、組成物、およびキットにおいて使用することができることが企図される。
【0332】
[0347]一部の実施形態では、本明細書に開示されるPKC活性化剤のいずれかは、PKC上のDAG結合部位に結合することができるPKC活性化剤である。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、PKCのC1ドメインに結合することができる。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、ベンゾラクタム誘導体である。一部の実施形態では、ベンゾラクタム誘導体は、本明細書ではTPPBまたはTPBと称することがある((2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム)である。一部の実施形態では、細胞集団をベンゾラクタム誘導体PKC活性化剤(例えば、TPPB)と接触させると、ベンゾラクタム誘導体PKC活性化剤で処理されない細胞集団と比較して、細胞収量が増加する。一部の実施形態では、PKC活性化剤は、ホルボールエステルである。一部の実施形態では、ホルボールエステルは、本明細書ではPDBUまたはPdbUと称することがあるホルボール12,13-ジブチレートである。一部の実施形態では、細胞集団をベンゾラクタム誘導体PKC活性化剤(例えば、TPPB)と接触させると、ホルボールエステルPKC活性化剤(例えば、PdbU)で処理された細胞集団と比較して、細胞収量が増加する。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC活性化剤は、PdbUを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC活性化剤は、TPBを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC活性化剤は、WIPO公開第WO/2013/071282号に記載されているように、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸ホスフェート、大環状ラクトン、DAG誘導体、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ホルモン、および成長因子活性化剤を含む。一部の実施形態では、ブリオスタチン(bryostain)は、ブリオスタチン-1、ブリオスタチン-2、ブリオスタチン-3、ブリオスタチン-4、ブリオスタチン-5、ブリオスタチン-6、ブリオスタチン-7、ブリオスタチン-8、ブリオスタチン-9、ブリオスタチン-10、ブリオスタチン-11、ブリオスタチン-12、ブリオスタチン-13、ブリオスタチン-14、ブリオスタチン-15、ブリオスタチン-16、ブリオスタチン-17、またはブリオスタチン-18を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、プロテインキナーゼC活性化剤を除外する。
【0333】
γ-セクレターゼ阻害剤
[0348]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのγ-セクレターゼ阻害剤の使用に関する。
【0334】
[0349]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるγ-セクレターゼ阻害剤は、XXIを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるγ-セクレターゼ阻害剤は、DAPTを含む。本明細書において提供される方法および組成物における追加の例示的なγ-セクレターゼ阻害剤としては、限定されないが、米国特許第7,049,296号、同第8,481,499号、同第8,501,813号、およびWIPO公開第WO/2013/052700号に記載のγ-セクレターゼ阻害剤が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、γ-セクレターゼ阻害剤を除外する。
【0335】
甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤
[0350]本開示の態様は、β細胞分化因子としての甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤の使用に関する。
【0336】
[0351]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、トリヨードチロニン(T3)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、GC-1を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3またはGC-1の類似体または誘導体を含む。本明細書において提供される方法および組成物におけるT3の例示的な類似体としては、以下に限定されないが、選択的および非選択的甲状腺ホルモン模倣物(thyromimetic)、TRβ選択的アゴニスト-GC-1、GC-24、4-ヒドロキシ-PCB 106、MB07811、MB07344,3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA);選択的TR-βアゴニスト GC-1;3-ヨードチロナミン(T(1)AM)および3,3’,5-トリヨードサイロ酢酸(Triac)(ホルモンチロキシンの生物活性代謝産物(T(4));KB-2115およびKB-141;チロナミン;SKF L-94901;DIBIT;3’-AC-T2;テトラヨードサイロ酢酸(Tetrac)およびトリヨードサイロ酢酸(Triac)(チロキシン[T4]およびトリヨードチロニン[T3]アラニン鎖の酸化的脱アミノ化および脱炭酸化による)、3,3’,5’-トリヨードチロニン(rT3)(T4およびT3脱ヨウ素化による)、3,3’-ジヨードチロニン(3,3’-T2)および3,5-ジヨードチロニン(T2)(T4、T3、およびrT3脱ヨウ素化による)、および3-ヨードチロナミン(T1AM)およびチロナミン(T0AM)(T4およびT3脱ヨウ素化およびアミノ酸脱炭酸化による)、ならびにTHの構造的類似体として、例えば、3,5,3’-トリヨードチロプロピオン酸(Triprop)、3,5-ジブルモ-3-ピリダジノン-1-チロニン(L-940901)、N-[3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルフェノキシ)-フェニル]-オキサミン酸(CGS 23425)、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸(GC-1)、3,5-ジクロロ-4-[(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル]酢酸(KB-141)、および3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA)が挙げられる。
【0337】
[0352]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、T3のプロドラッグまたはプロホルモン、例えば、T4甲状腺ホルモン(例えば、チロキシンまたはL-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニン)を含む。
【0338】
[0353]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化剤は、米国特許第7,163,918号に記載されているヨードチロニン組成物である。
【0339】
上皮細胞成長因子(EGF)ファミリー
[0354]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのEGFファミリーからの成長因子の使用に関する。
【0340】
[0355]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、ベータセルリンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、EGFを含む。上皮細胞成長因子(EGF)は、大きな膜内在性タンパク質前駆体からタンパク質分解によって切断された53アミノ酸のサイトカインである。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの成長因子は、バリアントEGFポリペプチド、例えば、米国特許第7,084,246号に開示されているように、ヒト野生型EGFポリペプチド配列に対して少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する単離された上皮細胞成長因子ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの成長因子は、米国特許第8,247,531号に開示されているように、EGF受容体に結合し、これをアゴナイズする、操作されたEGF突然変異体を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの成長因子は、EGFファミリーのシグナル伝達経路を活性化する薬剤と置き換えられる。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの成長因子は、EGFを模倣する化合物を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、EGFファミリーからの成長因子を除外する。
【0341】
エピジェネティック修飾化合物
[0356]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのエピジェネティック修飾化合物の使用に関する。
【0342】
[0357]用語「エピジェネティック修飾化合物」は、遺伝子にエピジェネティクスを起こさせる、即ちDNA配列を変化させずに遺伝子の発現を変化させる化合物を意味し得る。エピジェネティクスは遺伝子がオンまたはオフされるかを決定することを助け、ある種の細胞、例えばβ-細胞におけるタンパク質の生成に影響することができる。DNAのメチル化およびヒストンの修飾等のエピジェネティック修飾はDNAの接近可能性およびクロマチンの構造を改変し、それにより遺伝子発現のパターンを規制することができる。これらのプロセスは成体生命体における独特の細胞系統の正常な発生および分化に重要であり得る。これらは外因性の影響によって修飾することができ、したがって表現型または病態表現型の環境的改変に寄与し得るか、またはその結果であり得る。重要なことに、エピジェネティック修飾は多能性遺伝子の規制において重要な役割を有し得、これは分化の間に不活性化される。非限定的なエピジェネティック修飾化合物の例には、DNAメチル化阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ブロモドメイン阻害剤、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0343】
[0358]一実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はゼステホモログ2(EZH2)のエンハンサーの阻害剤である。EZH2はヒストン-リシン N-メチルトランスフェラーゼ酵素である。本明細書で提供される方法において使用できるEZH2阻害剤の非限定的な例には、3-デアザネプラノシンA(DZNep)、EPZ6438、EPZ005687(S-アデノシルメチオニン(SAM)競合的阻害剤)、EI1、GSK126、およびUNC1999が含まれる。DZNepは全てのタンパク質メチルトランスフェラーゼの生成物系阻害剤であるS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)の加水分解を阻害してSAHの細胞内濃度の上昇を導き、これが次にEZH2を阻害することができる。DZNepはEZH2に特異的ではなく、他のDNAメチルトランスフェラーゼをも阻害することができる。GSK126はEZH1の150倍の選択性を有するSAM競合性EZH2阻害剤である。UNC1999はGSK126の類似体であり、その相当物であるGSK126より選択性が低い。
【0344】
[0359]一実施形態では、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤はDZNepである。一実施形態では、HDAC阻害剤はクラスI HDAC阻害剤、クラスII HDAC阻害剤、またはそれらの組合せである。一実施形態では、HDAC阻害剤はKD5170(メルカプトケトン系HDAC阻害剤)、MC1568(クラスIIa HDAC阻害剤)、TMP195(クラスIIa HDAC阻害剤)、またはそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、HDAC阻害剤はボリノスタット、ロミデプシン(Istodax)、チダミド、パノビノスタット(ファリダク)、ベリノスタット(PXD101)、パノビノスタット(LBH589)、バルプロ酸、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、SB939、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、HBI-8000(ベンザミドHDI)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、ME-344、スルホラファン、またはそれらの任意の変異体である。
【0345】
プロテインキナーゼ阻害剤
[0360]本開示の態様は、β細胞分化因子としてのプロテインキナーゼ阻害剤の使用に関する。
【0346】
[0361]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンの類似体を含む。本明細書において提供される方法および組成物におけるスタウロスポリンの例示的な類似体としては、限定されないが、Ro-31-8220、ビスインドリルマレイミド(Bis)化合物、10’-{5”-[(メトキシカルボニル)アミノ]-2”-メチル}-フェニルアミノカルボニルスタウロスポリン、スタラログ(staralog)(例えば、Lopezら、「Staurosporine-derived inhibitors broaden the scope of analog-sensitive kinase technology」、J. Am. Chem. Soc. 2013年;135(48):18153~18159頁を参照されたい。)、およびcgp41251が挙げられる。
【0347】
[0362]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、PKCβの阻害剤である。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、以下の構造を有するPKCβの阻害剤、または以下のような化合物の誘導体、類似体もしくはバリアントである:
【0348】
【化5】
【0349】
[0363]一部の実施形態では、PKCβの阻害剤は、以下の構造を有するGSK-2化合物または以下のような化合物の誘導体、類似体もしくはバリアントである:
【0350】
【化6】
【0351】
[0364]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKCの阻害剤は、ビスインドリルマレイミドである。例示的なビスインドリルマレイミドとしては、限定されないが、ビスインドリルマレイミドI、ビスインドリルマレイミドII、ビスインドリルマレイミドIII、ヒドロクロリド、またはその誘導体、類似体もしくはバリアントが挙げられる。
【0352】
[0365]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC阻害剤は、シュードヒペリシン、またはその誘導体、類似体、もしくはバリアントである。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物におけるPKC阻害剤は、インドルビン-3-モノオキシム(indorublin-3-monoximc)、5-ヨードまたはその誘導体、類似体、もしくはバリアントである。ある特定の実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、およびキットは、プロテインキナーゼ阻害剤を除外する。
医薬組成物
[0366]本開示は、前記方法のいずれかによって産生された細胞を含有するかまたは前記細胞集団のいずれかを含有する治療用組成物に関する。治療用組成物は、例えば、人工脳脊髄液またはリン酸緩衝生理食塩水を含む生理学的に適合性の溶液をさらに含むことができる。治療用組成物を使用して、糖尿病を処置、予防、または安定化することができる。例えば、体細胞または幹細胞は、処置を必要としている個体または健康な個体から得ることができ、本開示の方法によって幹細胞由来ベータ細胞に再プログラムすることができる。本開示の一実施形態では、幹細胞由来ベータ細胞は、選別され、濃縮され、状態を処置するために個体中に導入される。別の実施形態では、幹細胞は、個体への導入前に、ベータ細胞への分化に好適な条件下で培養され、疾患組織または損傷を受けた組織の正常な機能を置き換えるかまたは補助するために使用することができる。本開示の大きな利点は、移植に好適な同じHLA型を有する健康な個体からの、患者に特異的なヒトベータ細胞または適合性幹細胞由来ベータ細胞の本質的に制限のない供給を提供することである。細胞療法において、自家細胞および/または適合性細胞の使用は、免疫拒絶を受けやすい非自家細胞の使用に対して、より大きな利益をもたらす。対照的に、自家細胞は、重大な免疫応答を誘発しにくい。
【0353】
[0367]一部の事例では、本開示は、疾患(例えば、糖尿病)の処置のための様々な方法において、非天然膵β細胞(ベータ細胞)集団ならびに細胞の構成成分および生成物を利用することができる医薬組成物を提供する。ある特定の事例は、生細胞(例えば、単独のまたは他の細胞型と混合した非天然膵β細胞)を含む医薬組成物を包含する。他の事例は、非天然膵β細胞の構成成分(例えば、細胞溶解液、可溶性細胞画分、条件培地、ECM、または前述のいずれかの構成成分)または生成物(例えば、非天然膵β細胞によってまたは遺伝子修飾によって生成された栄養因子および他の生体因子、非天然膵β細胞の培養からの条件培地)を含む医薬組成物を包含する。いずれかの事例では、医薬組成物は、他の活性剤、例えば、当業者に公知の抗炎症剤、外因性小分子アゴニスト、外因性小分子アンタゴニスト、抗アポトーシス剤、酸化防止剤、および/または成長因子をさらに含んでもよい。
【0354】
[0368]一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれかは、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、前記破壊は、前記遺伝子配列によりコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは除去する。一部の実施形態では、前記細胞は、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、前記破壊は、前記遺伝子配列によりコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは除去する。一部の実施形態では、前記細胞は、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、前記破壊は、前記遺伝子配列によりコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは除去する。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞のいずれか(例えば、SC由来ベータ細胞、または本明細書に開示されるいずれかのクラスター中の細胞のいずれか)は、少なくとも1つの遺伝子配列におけるゲノム破壊を含み、前記破壊は前記遺伝子配列によりコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは除去する。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの遺伝子配列は、MHC-クラスI遺伝子をコードする。一部の実施形態では、前記MHC-クラスI遺伝子は、ベータ-2ミクログロブリン(B2M)、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cをコードする。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの遺伝子配列は、CIITAをコードする。一部の実施形態では、前記細胞は、ナチュラルキラー細胞活性化リガンド遺伝子におけるゲノム破壊を含む。一部の実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞活性化リガンド遺伝子は、細胞間接着分子1(ICAM1)、CD58、CD155、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)、細胞接着分子1(CADM1)、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)、またはMHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB)をコードする。一部の実施形態では、ゲノム破壊は、遺伝子編集システム、例えば、CRISPR Cas技術の使用によって誘導される。
【0355】
[0369]本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される担体(例えば、媒体または賦形剤)と共に製剤化される、非天然膵β細胞、またはその構成成分もしくは生成物を含むことができる。薬学的に許容される担体(または媒体)という用語は、生物学的に適合性の担体または媒体という用語と交換可能に使用することができ、治療上投与される細胞および他の薬剤と適合性であるだけでなく、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の合併症を有することなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのにも好適である、試薬、細胞、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指し得る。好適な薬学的に許容される担体としては、水、塩溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、およびラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを挙げることができる。このような調製物は、滅菌され、所望の場合、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、および着色剤などの補助剤と混合され得る。生細胞以外の細胞の構成成分または生成物を含む医薬組成物は、液体として製剤化することができる。生きた非天然膵β細胞を含む医薬組成物は、液体、半固体(例えば、ゲル、ゲルカプセル、またはリポソーム)または固体(例えば、マトリックス、スキャフォールドなど)として製剤化することができる。
【0356】
[0370]本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適な、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指し得る。
【0357】
[0371]本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、1つの器官、または体の部分から、別の器官、または体の部分に対象の化合物を運ぶまたは輸送することに関連する、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルク ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒カプセル化材料を指し得る。各担体は、製剤の他の成分に適合し、患者に有害でないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体としての役割を果たし得る材料のいくつかの例として、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤;(8)ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質無含有水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)ポリペプチドおよびアミノ酸などの嵩高剤;(23)血清アルブミン、HDLおよびLDLなどの血清成分;(22)エタノールなどのC2~C12アルコール;ならびに(23)医薬製剤中に用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤および酸化防止剤は、製剤中に存在してもよい。例えば、「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0358】
[0372]細胞集団に関して本明細書で使用される「治療有効量」という表現は、任意の医学的処置に適用できる合理的なベネフィット/リスク比で、一匹の動物の少なくとも細胞小集団においていくつかの所望の治療効果を生じるのに有効である、本開示の細胞、例えば、SC-β細胞もしくは成熟膵β細胞の集団、またはSC-β細胞を含む組成物における関連する細胞の量を意味する。例えば、糖化ヘモグロビンレベル、空腹時血中グルコースレベル、低インスリン血症などの1型、1.5型または2型糖尿病の少なくとも1つの症状に、統計的に有意な、測定可能な変化をもたらすのに十分である、対象に投与されたSC-β細胞集団の量。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般的に、治療有効量は、対象の病歴、年齢、状態、性別、ならびに対象の医学的状態の重篤度および種類、ならびに他の医薬活性剤の投与に応じて変化し得る。
【0359】
[0373]一部の事例では、幹細胞由来ベータ細胞の医薬組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の処理を容易にする、賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容される担体を使用して、従来の手法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載の医薬組成物の概要は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版(Easton、Pa.: Mack Publishing Company、1995年);Hoover, John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania 1975年;Liberman, H.A.およびLachman, L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980年;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版(Lippincott Williams & Wilkins 1999年)に見られる。
【0360】
[0374]医薬組成物は、任意選択で、例えば、例のみとして、従来の混合、溶解、造粒、糖衣形成(dragee-making)、研和(levigating)、乳化、カプセル化、捕捉または圧縮プロセスによる従来の手法で製造される。
【0361】
[0375]ある特定の実施形態では、組成物は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;クエン酸塩/デキストロース、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む、1つまたは複数のpH調整剤または緩衝剤を含むこともできる。このような酸、塩基および緩衝剤は、組成物のpHを許容可能な範囲に維持するために必要な量で含まれる。
【0362】
[0376]他の実施形態では、組成物は、1つまたは複数の塩を、組成物のオスモル濃度を許容可能な範囲にするために必要な量で含むこともできる。このような塩は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンおよび塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸水素、硫酸、チオ硫酸または重亜硫酸アニオンを有する塩を含み、好適な塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0363】
[0377]本明細書に記載の医薬組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内、または頭蓋内)、鼻腔内、頬側、舌下、または直腸投与経路を含むがこれらに限定されない任意の好適な投与経路によって投与される。一部の事例では、医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内、または頭蓋内)投与のために製剤化される。
【0364】
[0378]本明細書に記載の医薬組成物は、任意の好適な剤形へと製剤化され、この剤形としては、限定するものではないが、水性経口分散液、液体、ゲル、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液など(治療される個体による経口摂取のための)、固体経口剤形、エアゾール剤、制御放出製剤、速溶製剤、発泡性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出製剤、徐放製剤、拍動性の放出製剤、多重微粒子製剤、ならびに即時混合放出および制御放出製剤が挙げられる。一部の実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤へと製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、溶液剤(例えば、IV投与のために)へと製剤化される。一部の事例では、医薬組成物は、輸液剤として製剤化される。一部の事例では、医薬組成物は、注射剤として製剤化される。
【0365】
[0379]本明細書に記載の薬学的固体剤形は、任意選択で、本明細書に記載の化合物および1つまたは複数の薬学的に許容される添加剤、例えば、適合性担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、風味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、モイスチャリング剤、可塑剤、安定化剤、浸透増強剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、保存剤、またはこれらの1つもしくは複数の組合せを含む。
【0366】
[0380]さらなる他の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版(2000年)に記載されているものなど、標準的なコーティング手順を使用して、組成物の周りにフィルムコーティングが与えられる。一部の実施形態では、組成物は、粒子へと製剤化され(例えば、カプセルで投与するために)、粒子の一部または全てがコーティングされる。一部の実施形態では、組成物は、粒子へと製剤化され(例えば、カプセルで投与するために)、粒子の一部または全てはマイクロカプセル化される。一部の実施形態では、組成物は、粒子へと製剤化され(例えば、カプセルで投与するために)、粒子の一部または全ては、マイクロカプセル化されず、コーティングされない。
【0367】
[0381]ある特定の実施形態では、本明細書において提供される組成物は、微生物の活性を阻害するために1つまたは複数の保存剤を含んでもよい。好適な保存剤としては、水銀含有物質、例えば、メルフェン(merfen)およびチオメルサール;安定化二酸化塩素;ならびに第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
【0368】
[0382]一部の実施形態では、本開示の組成物は、例えば、糖尿病を処置または予防するのに有効な量で、幹細胞由来ベータ細胞を含むことができる。医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載されている幹細胞由来ベータ細胞を含むことができる。このような組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えば、グリシン;酸化防止剤;キレート剤、例えば、EDTAまたはグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および保存剤を含むことができる。
【0369】
[0383]医薬組成物は、当業者によく知られているように、補助化合物を含むことができる。例えば、医薬組成物は、使用される酸化防止剤の種類に応じて変わる範囲内で、酸化防止剤を含有することができる。通常使用される酸化防止剤の合理的な範囲は、約0.01質量対容積%~約0.15質量対容積%のEDTA、約0.01質量対容積%~約2.0質量対容積%の亜硫酸ナトリウム、および約0.01質量対容積%~約2.0質量対容積%のメタ重亜硫酸ナトリウムである。当業者は、上記のそれぞれについて、約0.1質量対容積%の濃度を使用することができる。他の保存剤化合物としては、腎投与に好適な他の酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸およびその塩または亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸ナトリウムも用いることができるが、メルカプトプロピオニルグリシン、N-アセチルシステイン、β-メルカプトエチルアミン、グルタチオンおよび類似種が挙げられる。
【0370】
[0384]緩衝剤は、標的組織における刺激を最小限にするために、約4.0~8.0の範囲で製剤のpHを維持するために使用することができる。直接腹腔内注射のために、製剤は、pH7.2~7.5、好ましくはpH7.35~7.45であるべきである。組成物は、腎臓への投与に好適な等張化剤を含んでもよい。これらの中で、血液とほぼ等張である製剤を作製するために、塩化ナトリウムが好適である。
【0371】
[0385]ある特定の事例では、医薬組成物は、粘度増強剤を用いて製剤化される。例示的な薬剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンである。医薬組成物は、必要である場合に添加される共溶媒を有してもよい。好適な共溶媒としては、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベート、プロピレングリコール、およびポリビニルアルコールを挙げることができる。保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀もしくは硝酸フェニル水銀、チメロサール、またはメチルもしくはプロピルパラベンも含まれてもよい。
【0372】
[0386]細胞、細胞の構成成分または細胞の生成物を含む医薬組成物は、当技術分野で公知のいくつかの送達方法のうちの1つまたは複数で、患者の腎臓に送達されてもよい。一部の事例では、組成物は、腎臓に送達される(例えば、腎被膜の上および/または腎被膜の下に)。別の実施形態では、組成物は、周期的な腹腔内または腎内注射によって、腎臓内の様々な位置に送達されてもよい。あるいは、組成物は、当業者に公知の他の剤形で、例えば、事前に形成されたかまたはin situで形成されたゲルまたはリポソームで適用されてもよい。
【0373】
[0387]半固体または固体担体中に生細胞を含む医薬組成物は、腎被膜の上または下に外科移植するために製剤化されてもよい。液体組成物も外科的手段で投与されてもよいことが認識されるべきである。特定の事例では、半固体または固体の医薬組成物は、非生分解性または生分解性であってもよい半透過性ゲル、格子、細胞スキャフォールドなどを含むことができる。例えば、ある特定の事例では、外因性細胞を、その周辺から隔離し、さらに、細胞が生物学的分子(例えば、インスリン)を周辺細胞または血流に対して分泌および送達できるようにすることが、望ましいかまたは適切である場合がある。これらの事例では、細胞は、移植細胞を宿主組織から物理的に分離する、非分解性で、選択的に透過性の障壁により囲まれた生きた非天然膵β細胞または非天然膵β細胞を含む細胞集団を含む自律性インプラントとして製剤化されてもよい。そのようなインプラントは、「免疫保護性」と呼ばれることもあり、これは薬理学的に誘導された免疫抑制の非存在下で、免疫細胞および巨大分子が移植細胞を死滅させるのを防ぐ能力を有するからである。
【0374】
[0388]他の事例では、様々な分解性ゲルおよびネットワークを、本開示の医薬組成物に対して使用することができる。例えば、持続放出製剤に特に好適な分解性材料としては、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが挙げられる。
【0375】
[0389]他の事例では、生分解性、好ましくは、生体吸収性(bioresorbableまたはbioabsorbable)のスキャフォールドまたはマトリックス上またはその中に細胞を送達するのが望ましいかまたは適切であり得る。これらの典型的な三次元生体材料は、スキャフォールドに付着した、スキャフォールド内に分散した、またはスキャフォールドに捕捉された細胞外マトリックスに組み込まれた生細胞を含有する。一旦、身体の標的領域に移植されると、これらの移植片は宿主組織と一体となり、移植細胞が次第に確立されてくる。
【0376】
[0390]本開示において使用することができるスキャフォールドまたはマトリックス(「フレームワーク」と総称されることがある)材料の例としては、不織マット、多孔質発泡体、または自己集合ペプチドが挙げられる。不織マットは、例えば、グリコール酸と乳酸(PGA/PLA)の合成吸収性コポリマー、発泡体、および/またはポリ(イプシロン-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーを含む繊維を使用して形成されてもよい。
【0377】
[0391]別の実施形態では、フレームワークはフェルトであり、このフェルトは、生体吸収性材料、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくはブレンド、またはヒアルロン酸から製造されたマルチ糸から構成され得る。この糸は、クリンピング、カッティング、カーディングおよびニードリングからなる標準的なテキスタイル加工技術を使用してフェルトにされる。別の実施形態では、細胞を混成構造であり得る発泡体スキャフォールド上に播種する。前記実施形態の多くでは、フレームワークは、有用な形状に成型することができる。さらに、非天然膵β細胞は、プレフォーム型の、非分解性外科用または移植用デバイス上で、培養することができる。
【0378】
[0392]マトリックス、スキャフォールドまたはデバイスは、細胞の接着を増強するために、細胞の接種前に処理することができる。例えば、接種前に、ナイロンマトリックスは、0.1モル酢酸で処理し、ポリリジン、PBS、および/またはコラーゲン中でインキュベートして、このナイロンをコーティングすることができる。ポリスチレンも硫酸を使用してて同様に処理することができる。また、フレームワークの外面は、細胞の接着または成長および組織の分化を向上させるために、例えば、フレームワークの血漿コーティングまたは1つもしくは複数のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸)、細胞マトリックス、および/または、以下に限定されないが、とりわけ、ゼラチン、アルギン酸塩、寒天、アガロース、および植物ゴムなどの他の材料の添加などにより修飾することができる。
【0379】
[0393]一態様では、本開示は、少なくとも1つの膵β細胞を含む細胞クラスターを含むデバイスを提供した。本明細書において提供されるデバイスは、対象へと移植された場合に、インスリンを産生および放出するように構成され得る。デバイスは、少なくとも1つの膵β細胞、例えば、非天然膵β細胞を含む細胞クラスターを含み得る。デバイス中の細胞クラスターは、in vitro GSISを呈し得る。デバイスは、半透膜をさらに含むことができる。半透膜は、デバイス中に細胞クラスターを保持するよう構成され、細胞クラスターによって分泌されるインスリンの通過を可能とすることができる。デバイスの一部の事例では、細胞クラスターは、半透膜によってカプセル化され得る。カプセル化は、当業者に利用可能な任意の技法によって実施され得る。半透膜は、当業者が認識し、検証するように、任意の好適な材料から作製することもできる。例えば、半透膜は、多糖またはポリカチオンから作製することができる。一部の事例では、半透膜は、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、ゼラチンを含むアガロース、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、またはそれらの任意の組合せから作製することができる。一部の事例では、半透膜は、アルギネートを含む。一部の事例では、細胞クラスターは、半透膜で囲まれたアルギネートコアを含むマイクロカプセル中にカプセル化される。一部の事例では、アルギネートコアは、例えば、RGD配列(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)と共有結合によりコンジュゲートしたオリゴペプチドを有するアルギネートコアを含むスキャフォールドを生成するために改変される。一部の事例では、アルギネートコアは、例えば、安定性の向上した、化学酵素的に操作されたアルギネートを有する、共有結合によって強化されたマイクロカプセルを生成するために改変される。一部の事例では、アルギネートコアは、例えば、アクリレート官能化されたリン脂質のin-situ重合によってアセンブルされた膜模倣フィルムを生成するために改変される。一部の事例では、マイクロカプセルは、エピメラーゼを使用して、酵素によって改変されたアルギネートから構成される。一部の事例では、マイクロカプセルは、マイクロカプセル膜の隣接する層間に共有結合を含む。一部の実施形態では、マイクロカプセルは、フェノール部分で連結したアルギネートを含むサブシーブカプセルを含む。一部の事例では、マイクロカプセルは、アルギネート-アガロースを含むスキャフォールドを含む。一部の事例では、SC-β細胞は、アルギネート内にカプセル化される前にPEGで修飾される。一部の事例では、単離された細胞、例えば、SC-β細胞の集団は、光反応性リポソームおよびアルギネート内にカプセル化される。マイクロカプセル中に用いられるアルギネートは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル中空繊維、コラーゲン、ヒアルロン酸、RODを含むデキストラン、BHDおよびポリエチレングリコール-ジアクリレート(PEGDA)、ポリ(MPC-コ-n-ブチルメタクリレート-コ-4-ビニルフェニルボロン酸(PMBV)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)、アガロース、ゼラチンを含むアガロース、ならびにこれらの多層の事例を含む他の好適な生体材料で置き換えることができる。一部の事例では、本明細書において提供されるデバイスは、体外のセグメントを含み、例えば、デバイスの一部は、デバイスが対象に移植される場合に、対象の体外に存在し得る。体外セグメントは、本明細書において提供される細胞または細胞クラスターを含むか含まないかに関わらず、デバイスの任意の機能的構成成分を含み得る。
【0380】
処置方法
[0394]対象における疾患を処置または予防するための方法がさらに本明細書において提供される。本明細書において提供されるかまたは本明細書において提供される方法に従って産生される細胞クラスターまたは細胞を含む組成物は、対象の膵機能の度合を回復させるために、対象へと投与することができる。例えば、内因性膵島に類似する細胞クラスター、または内因性の膵α、βおよび/もしくはδ細胞(例えば、非天然膵α、βおよび/もしくはδ細胞)に類似する細胞、またはそれらの前駆体は、糖尿病を処置するために対象に移植することができる。最も典型的には、対象に投与される組成物は、完全に分化した細胞、またはほぼ完全に分化した細胞を含む。しかしながら、細胞のさらなる分化がin vivoで達成され得るため、本開示は、この点において限定されない。例えば、一部の実施形態では、デバイス中にカプセル化される、および/または対象に投与される組成物は、完全には分化していない細胞(例えば、PDX1陽性、NKX6.1陰性の膵前駆細胞、およびPDX1陽性、NKX6.1陽性の膵前駆細胞を含む組成物)を含む。
【0381】
[0395]方法は、本出願に開示されている細胞クラスターまたは細胞を対象、例えば、それを必要とする対象に移植するステップを含み得る。用語「移植するステップ」は、所望の部位に導入された細胞または細胞クラスターの少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって、細胞もしくは細胞クラスター、細胞もしくはその細胞クラスターの任意の部分、または細胞、細胞クラスターもしくはこれらの任意の部分を含む任意の組成物の対象への配置を指し得る。細胞または細胞クラスターは、膵臓に直接移植されるか、またはあるいは、移植された細胞の少なくとも一部または細胞が生存可能である対象の所望の位置への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与され得る。対象への投与後の細胞または細胞クラスターの生存期間は、数時間、例えば、24時間程度の短さ、数日まで、数年ほどの長期であってもよい。一部の事例では、細胞もしくは細胞クラスター、または細胞もしくは細胞クラスターのいずれかの部分は、例えば、移植した細胞または細胞クラスターを移植した位置に維持し、移動を避けるために、カプセル(例えば、マイクロカプセル)で、膵臓以外の位置、例えば、肝臓内または皮下に、経投与されてもよい。
【0382】
[0396]本明細書で使用される場合、用語「処置すること(treating)」および「処置(treatment)」は、対象が、疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善、例えば、有益なまたは所望の臨床結果を有するように、有効量の組成物(例えば、細胞クラスターまたはその一部)を対象に投与することを指し得る。この開示の目的として、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下に限定されないが、検出可能か検出不可能かに関わらず、1つもしくは複数の症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾患状態の安定化(例えば、悪化しない)、疾患進行の遅延または緩慢化、疾患状態の改善または軽減、および寛解(例えば、部分的または全体的)が挙げられる。処置することは、処置を受けていない場合に期待される生存と比較して、生存が延長されることを指し得る。よって、当業者は、処置が、疾患状態を改善することができるが、疾患に対する完全な治癒でなくてもよいことを理解する。本明細書で使用される場合、用語「処置(treatment)」は、予防を含む。
【0383】
[0397]例示的な投与方式としては、以下に限定されないが、注射、注入、点眼、吸入、または摂取が挙げられる。「注射」としては、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、心室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内、および胸骨内への注射および注入が挙げられる。好ましい実施形態では、組成物は、静脈内注射または注入によって投与される。
【0384】
[0398]疾患または障害の「処置(treatment)」、「予防(prevention)」または「改善(amelioration)」は、このような疾患または障害の開始を遅延または予防すること、このような疾患または障害に関連する状態の進行、深刻化または悪化、進行または重篤度を、反転、緩和、改善、阻害、緩慢化または停止させることを意味する。一実施形態では、疾患または障害の症状は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%緩和される。
【0385】
[0399]糖尿病の処置は、標準的な医学的方法によって決定される。糖尿病処置の目標は、可能な限り安全に、糖レベルを低下させて、正常に近づけることである。共通して設定される目標は、食前に、1デシリットル当たり80~120ミリグラム(mg/dl)であり、就寝時に、100~140mg/dlである。特定の内科医は、他の要因、例えば、多くの場合、患者が低血糖反応をどの程度有するかに応じて、患者に対して異なる標的を設定してもよい。有用な医療的試験としては、血糖レベルを決定するための患者の血液および尿における試験、グリコシル化ヘモグロビンレベル(HbA1c;過去2~3カ月にわたる平均血中グルコースレベルの測定、正常範囲は4~6%である。)についての試験、コレステロールおよび脂肪レベルについての試験、ならびに尿タンパク質レベルについての試験が挙げられる。このような試験は、当業者に公知の標準的な試験である(例えば、American Diabetes Association、1998年を参照されたい)。好効果の処置プログラムは、そのプログラムにおいて、糖尿病に関する合併症、例えば、目の疾患、腎臓疾患、または神経疾患を患者がほとんど患っていないことによっても決定することができる。
【0386】
[0400]対象における糖尿病の開始を遅延させることは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年、少なくとも30年、少なくとも40年またはそれより長い期間、対象の寿命全体を含み得る間、糖尿病の少なくとも1つの症状、例えば、高血糖、低インスリン血症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、失明、記憶喪失、腎不全、心血管疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、アテローム硬化症、および高血圧を含む)、神経症、自律神経機能不全、高血糖性高浸透圧昏睡、またはこれらの組合せの開始の遅延を指す。
【0387】
[0401]一部の態様では、本開示は、本明細書において提供される細胞または細胞クラスター(例えば、インスリン産生細胞)を含むデバイスを対象に移植するステップを含む方法であって、デバイスが、対象における血中グルコースレベルの低減に十分な量でインスリンを放出する方法に関する。一部の実施形態では、インスリン産生細胞は、グルコース応答性インスリン産生細胞である。
【0388】
[0402]一部の実施形態では、本明細書において提供される細胞もしくは細胞クラスター、またはデバイスの移植によって誘導されるように、対象における血中グルコースレベルの低減は、糖尿病の閾値よりも低いグルコースの量をもたらす。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物対象である。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、ヒトである。一部の実施形態では、グルコースの量は、移植の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日後に、糖尿病の閾値よりも低く低下される。
【0389】
[0403]上記で詳細に記載されているように、本開示の医薬組成物は、以下の:(1)経口投与、例えば、水薬(水溶液もしくは非水性溶液または懸濁液)、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、錠剤(例えば、頬、舌下、および全身での吸収を標的とするもの)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への塗布用のペースト剤;(2)非経口投与、例えば、無菌の溶液剤もしくは懸濁剤、または持続放出製剤としての、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射による;(3)局所塗布、例えば、クリーム剤、軟膏剤または制御放出パッチもしくは皮膚に塗布されるスプレー剤;(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム剤またはフォーム剤;(5)舌下;(6)眼;(7)経皮;(8)経粘膜;または(9)経鼻に採用されたものを含む固体または液体形態での投与用に専用に製剤化され得る。さらに、化合物は、患者に移植するか、または、薬剤送達システムを使用して注射され得る。例えば、Urquhartら、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 24:199~236頁(1984年);Lewis編 「Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals」(Plenum Press、New York、1981年);米国特許第3,773,919号;および米国特許第353,270,960号明細書を参照されたい。
【0390】
[0404]本明細書の方法によって処置することができる対象は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。一部の事例では、対象は、哺乳動物であり得る。対象の例としては、以下に限定されないが、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、バンブー(bamboo)、またはヒトが挙げられる。一部の事例では、対象は、ヒトである。対象は、以下に限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどを含む非霊長類の動物であってもよい。一部の事例では、処置を受けている対象は、それを必要とする対象、例えば、それを必要とするヒトである。
【0391】
[0405]ある特定の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。用語「患者」および「対象」は、本明細書において交換可能に使用される。好ましくは、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得るが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物は、1型糖尿病、2型真性糖尿病、または糖尿病前症の動物モデルを表す対象として有利に使用することができる。さらに、本明細書に記載の方法を使用して、家畜および/またはペットを処置することができる。対象は、雄であっても雌であってもよい。対象は、糖尿病(例えば、1型または2型)、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症を患っているか、または有すると予め診断または特定されている者、および任意選択で、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症に対する処置を受ける必要がなかった者であり得る。対象は、糖尿病または糖尿病前症を患っていない者であってもよい。対象は、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症を患っていると診断または特定されているが、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症についての1つまたは複数の処置を受けた結果として、公知の糖尿病リスク要因における改善を示す者であってもよい。あるいは、対象は、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または糖尿病前症を有すると予め診断されていない者であってもよい。例えば、対象は、糖尿病、糖尿病に関連する合併症、もしくは糖尿病前症についての1つもしくは複数のリスク要因を呈する者、または糖尿病リスク要因を呈さない対象、または糖尿病、1つもしくは複数の糖尿病関連の合併症、もしくは糖尿病前症について無症候である対象であってもよい。対象は、糖尿病もしくは糖尿病前症を患っているかまたは糖尿病もしくは糖尿病前症になるリスクにある者であってもよい。対象は、本明細書で定義されているように、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または糖尿病前症を有すると診断または特定された者であってもよく、あるいは、対象は、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または糖尿病前症を有すると予め診断または特定されていない者であってもよい。
【0392】
[0406]方法は、当技術分野の任意の手段を使用して、細胞クラスターを対象に移植するステップを含み得る。例えば、方法は、腹腔内空間、腎被膜下、腎被膜、大網、皮下空間を介して、または膵床(pancreatic bed)注入によって、細胞クラスターを移植するステップを含み得る。例えば、移植は、被膜下移植、筋肉内移植、または門脈内移植、例えば、門脈内注入であり得る。免疫防御性カプセル化は、細胞クラスターに免疫防御性を与えるために実行され得る。一部の事例では、本明細書において提供される処置の方法は、移植片(例えば、細胞またはデバイス)に対する移植拒絶応答または他の免疫応答をモジュレートするまたは低減するための免疫応答モジュレーターを投与することを含み得る。この方法において使用することができる免疫応答モジュレーターの例としては、アザチオプリンおよびミコフェノール酸のようなプリン合成阻害剤、レフルノミドおよびテリフルノミドのようなピリミジン合成阻害剤、メトトレキサートのような抗葉酸剤、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、アベチムス、グスペリムス、レナリドマイド、ポマリドミド、サリドマイド、PDE4阻害剤、アプレミラスト、アナキンラ、シロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、テムシロリムス、ウミロリムス、ゾタロリムス、抗胸腺細胞グロブリン抗体、抗リンパ球グロブリン抗体、CTLA-4、その断片、ならびにアバタセプトおよびベラタセプトのようなその融合タンパク質、エタネルセプトおよびペグスネルセプトのようなTNF阻害剤、アフリベルセプト、アレファセプト、リロナセプト、エクリズマブのような補体成分5に対する抗体、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、インフリキシマブ、およびネレリモマブのような抗TNF抗体、メポリズマブのようなインターロイキン5に対する抗体、オマリズマブのような抗IgE抗体、ファラリモマブのような抗インターフェロン抗体、エルシリモマブのような抗IL-6抗体、レブリキズマブおよびウステキヌマブのようなIL-12およびIL-23に対する抗体、セクキヌマブのような抗IL-17抗体、ムロモナブ-CD3、オテリキシズマブ、テプリズマブ、およびビシリズマブのような抗CD3抗体、クレノリキシマブ、ケリキシマブ、およびザノリムマブのような抗CD4抗体、エファリズマブのような抗CD11a抗体、エルリズマブのような抗CD18抗体、オビヌツズマブ、リツキシマブ、オクレリズマブおよびパスコリズマブのような抗CD20抗体、ゴミリキシマブおよびルミリキシマブのような抗CD23抗体、テネリキシマブおよびトラリズマブのような抗CD40抗体、アセリズマブのようなCD62L/L-セレクチンに対する抗体、ガリキシマブのような抗CD80抗体、ガビリモマブのような抗CD147/ベイシジン抗体、ルプリズマブのような抗CD154抗体、ベリムマブおよびブリシビモドのような抗BLyS抗体、イピリムマブおよびトレメリムマブのような抗CTLA-4抗体、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、レルデリムマブ、およびメテリムマブのような抗CAT抗体、ナタリズマブのような抗インテグリン抗体、トシリズマブのようなインターロイキン-6受容体に対する抗体、オデュリモマブ(odulimomab)のような抗LFA-1抗体、バシリキシマブ、ダシリズマブ、およびイノリモマブのようなIL-2受容体/CD25に対する抗体、アトロリムマブ、セデリズマブ、フォントリズマブ、マスリモマブ、モロリムマブ、ペキセリズマブ、レスリズマブ、ロベリズマブ、シプリズマブ、タリズマブ、テリモマブアリトックス、バパリキシマブ、およびベパリモマブのようなTリンパ球(ゾリモマブアリトック)に対する抗体を挙げることができる。
【0393】
[0407]「消泡剤」は、水性分散液の凝固、完成フィルム中の泡を生じさせ得るか、または一般に加工を害し得る、加工中の発泡を減少させる。例示的な消泡剤としては、シリコンエマルジョンまたはソルビタンセスキオレアートが挙げられる。
【0394】
[0408]「酸化防止剤」としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびトコフェロールが挙げられる。ある特定の実施形態では、酸化防止剤は必要に応じて化学的安定性を高める。
【0395】
[0409]本明細書に記載の製剤は、酸化防止剤、金属キレート剤、チオール含有化合物および他の一般的な安定化剤から利益を得ることができる。このような安定化剤の例としては、以下に限定されないが、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、(e)約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)約0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.5%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)デキストラン硫酸、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリン類似物質、(m)マグネシウムおよび亜鉛などの二価のカチオン;または(n)これらの組合せが挙げられる。
【0396】
[0410]「結合剤」は、粘着性を与え、例えば、アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標));微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガカント、デキストリン、糖、例えば、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、およびラクトース;天然または合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカント、ガティガム、イサポール殻(isapol husk)の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、ラーチ・アラボガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ロウ、アルギン酸ナトリウムなどを含む。
【0397】
[0411]「担体」または「担体材料」としては、医薬において一般的に使用される任意の賦形剤が挙げられ、本明細書に開示されている化合物、例えば、イブルチニブの化合物および抗がん剤との適合性、ならびに所望の剤形の放出プロファイル特性に基づいて選択されるべきである。例示的な担体材料としては、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。「薬学的に適合性の担体材料」としては、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスフォチジルコリン(phosphotidylcholine)、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロースコンジュゲート、糖類 ステアロイルラクチル酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company、1995年);Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania 1975年;Liberman,H.A.およびLachman,L編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker,New York,N.Y.、1980年;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版(LippincotT Williams&Wilkins1999)を参照されたい。
【0398】
[0412]「分散剤」、および/または「粘度調整剤」としては、液体媒体または造粒法もしくはブレンド法によって薬物の拡散および均質性を制御する材料が挙げられる。一部の実施形態では、これらの薬剤はまた、コーティングまたは浸食性マトリックスの有効性を促進する。例示的な拡散促進剤/分散剤としては、例えば、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60もしくは80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;Plasdone(登録商標)として商業的に公知)、および炭水化物系分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、HPC、HPC-SL、およびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、およびHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、非結晶性セルロースなど、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポールとしても公知)、ポロキサマー(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体である、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、およびF108(登録商標));およびポロキサミン(例えば、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの逐次付加から誘導された四官能性ブロック共重合体である、Poloxamine 908(登録商標)としても公知の、Tetronic 908(登録商標)(BASF Corporation、Parsippany、N.J.))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S-630)、ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400の分子量を有し得る、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴムおよびアカシアゴム、グアーゴム、キサンタン(キサンタンゴムを含む)など、糖類、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギネート、キトサンおよびそれらの組合せが挙げられる。セルロースまたはトリエチルセルロースなどの可塑剤も分散剤として使用することができる。リポソーム分散液および自己乳化分散液において特に有用な分散剤は、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルグリセロール、コレステロールおよびミリスチン酸イソプロピルである。
【0399】
[0413]1つまたは複数の浸食促進剤の1つまたは複数の拡散促進剤との組合せも本発明の組成物において使用することができる。
[0414]用語「希釈剤」は、送達前に目的の化合物を希釈するために使用される化学化合物を指す。希釈剤は、それらがより安定な環境を提供し得るため、化合物を安定化させるためにも使用され得る。リン酸緩衝生理食塩水溶液を含むが、これらに限定されない、緩衝溶液中に溶解した塩(これはまた、pH制御または維持も提供し得る)が当技術分野で希釈剤として利用される。ある特定の実施形態では、希釈剤は、カプセル充填のための均一な配合のために圧縮を促進するかまたは十分なかさを作り出すために、組成物のかさを増加させる。このような化合物としては、例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース;第二リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース;アルファ化デンプン、Di-Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮糖;マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロース系希釈剤、精製粉末糖;第一硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストレート;加水分解した穀物固形物、アミロース;粉末化セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなどが挙げられる。
【0400】
[0415]「充填剤」としては、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン類、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物が挙げられる。
【0401】
[0416]「滑沢剤」および「流動化剤」は、材料の付着または摩擦を防止、低減または阻害する化合物である。例示的な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、ナトリウムステアリルフマレート、鉱物油などの炭化水素、または水素添加大豆油(Sterotex(登録商標))などの水素添加植物油、高級脂肪酸およびアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのそれらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ロウ、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4000)またはCarbowax(商標)などのメトキシポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベへン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムもしくはナトリウム、Syloid(商標)、Cab-O-Sil(登録商標)などのコロイド状シリカ、トウモロコシデンプンなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤などが挙げられる。
【0402】
[0417]「可塑剤」は、マイクロカプセル材料またはフィルムコーティングの脆性を低下させるようにそれらを軟化させるために使用される化合物である。好適な可塑剤としては、例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、およびPEG 800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロースおよびトリアセチンが挙げられる。一部の実施形態では、可塑剤はまた、分散剤または湿潤剤としても機能し得る。
【0403】
[0418]「可溶化剤」としては、例えば、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクサート、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200~600、グリコフロール、トランスクトール(transcutol)、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドなどの化合物が挙げられる。
【0404】
[0419]「安定化剤」としては、任意の酸化防止剤、緩衝剤、酸、保存剤などの化合物が挙げられる。
[0420]「懸濁化剤」としては、例えば、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400の分子量を有し得る)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートステアレート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、例えば、トラガカントガムおよびおよびアカシアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタンなどのガム、糖類、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系材料、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシ化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシ化モノラウリン酸ソルビタン、ポビドンなどの化合物が挙げられる。
【0405】
[0421]「界面活性剤」としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクサート、Tween60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロキサマー(polaxomer)、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などの化合物が挙げられる。いくつかの他の界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水素添加ヒマシ油;ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40が挙げられる。一部の実施形態では、界面活性剤は、物理安定度を増強するためまたは他の目的のために含まれてもよい。
【0406】
[0422]「粘度増強剤」としては、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギネート、アカシア、キトサンおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0407】
[0423]「湿潤剤」としては、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミンオレエート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ナトリウムドクサート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクサート(sodium doccusate)、トリアセチン、Tween 80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物が挙げられる。
【実施例
【0408】
[0424]これらの実施例は、例示の目的のみのために提供され、本発明において与えられる請求項の範囲を限定するものではない。
実施例1.膵内分泌細胞の分化のためのPKC活性化剤の適用
[0425]この実施例は、膵β、α、δ、またはEC細胞などの異なる膵内分泌細胞の生成におけるPKC活性化剤の効果を示す。
【0409】
[0426]本開示による例示的な分化プロトコール、例えば、バージョンAおよびバージョンBを、in vitroでのグルコースチャレンジに応答してインスリンを放出することができる成熟β細胞にヒト幹細胞を分化させるために試験した。
【0410】
[0427]バージョンAとバージョンBプロトコールはいずれも、類似の試薬および処置時期を共有する6ステージの段階的プロトコールである。バージョンAプロトコールで、幹細胞を、最初の5ステージ中、以下の連続した順序で試薬により処理した:ステージ1(S1)、アクチビン-Aを3日間、また最初の24時間はCHIR99021も;ステージ2(S2)、KGFを3日間;ステージ3(S3)、KGF、PDBU、Sant-1、レチノイン酸(RA)、アクチビンA、およびチアゾビビンを2日間、また1日目はDMH-1も;ステージ4(S4)、KGF、Sant-1、チアゾビビン、アクチビンA、およびRAを6日間;ステージ5(S5)、XXI、Alk5i、GC-1、LDN-193189、チアゾビビン、スタウロスポリン、およびDZNEPを7日間、また最初の2日間はRA、Sant-1、およびベータセルリンも。バージョンBプロトコールでは、バージョンAプロトコールとの違いの1つは、ステージ4の5日目(S4d5)からステージ5の2日目(S5d2)まで、細胞にPDBUを補充したことである。一実験では、500nMのPDBUを用いて、S4d5~S5d2の間に細胞を処理した。
【0411】
[0428]図1における単一細胞RNA配列決定の概略図に示されるように、S5分化の完了時に、バージョンBプロトコールを介して産生された細胞(S5c細胞)およびバージョンAプロトコールを介して産生されたS5c細胞は、CHGA(クロモグラニンAをコードする遺伝子;膵内分泌細胞の例示的マーカー)を発現する細胞の同程度のパーセンテージ、およびISL1(膵島細胞の例示的マーカー)を発現する細胞の同程度のパーセンテージを有した。対照的に、バージョンBプロトコールを介して産生されたS5c細胞は、DDC(ドーパ脱炭酸酵素をコードする遺伝子;腸クロム親和性(EC)細胞の例示的マーカー)を発現する細胞のパーセンテージが大幅に減少した。
【0412】
[0429]一実験では、4つの異なる例示的なステージ6処置パラダイムもまた、バージョンAまたはバージョンBプロトコールの最初の5ステージと組み合わせて、S6で試験した。簡単に説明すると、i)S6-aパラダイムで、S5c細胞を、1%HSAを含有するDMEM/F12培地中で7~14日間培養し;ii)S6-bパラダイムで、S5c細胞を、0.05%HSAと、以下の補充物(1L当たり、MCDB131):0.44gグルコース、1.23g NaHCO3、0.044gビタミンC、10ml Glutamax、および5ml ITS-xを含有するMCDB131培地中で培養し;(iii)S6-cパラダイムで、S5c細胞を、0.05%HSAおよびビタミンCを含有するMCDB131培地中で7~14日間培養し、その間、細胞を10μM Alk5i、1μM GC-1、100nM LDN-193189、2.5μMチアゾビビン、3nM SSP、および100nM DZNEPで最初の4日間を処置し;iv)S6-dパラダイムで、S5c細胞を、0.05%HSA、ITS-X、ビタミンC、および4mM Gln、ならびに10μM Alk5i、1μM GC-1、100nM LDN-193189、2.5μMチアゾビビン、3nM SSP、および100nM DZNEPを含有するMCDB131培地(グルタミンなしの基本培地)中で4日間培養し、続いて、0.05%HSA、ITS-X、ビタミンC、および4mM Glnを含有するが、追加の因子を含まないMCDB131(グルタミンなしの基本培地)中でさらに3~10日間培養した。
【0413】
[0430]図2Aは、フローサイトメトリー(図2B)によって測定した場合、バージョンAプロトコールと比較して、バージョンBプロトコールによって産生されたC-ペプチドを発現し、VMAT1(Sc-β細胞の例示的特徴)を発現しない細胞のパーセンテージの増加を示す。図に示されるように、バージョンAプロトコールでは、S6d9またはS6d14でのC-ペプチド陽性、VMAT1陰性細胞のパーセンテージは、S6d9でのVA/S6-aおよびVA/S6-d(いずれも約40%)を除き、全て約35%であったが、バージョンBプロトコールでは、C-ペプチド陽性、VMAT1陰性細胞のパーセンテージは、S6d9で45%~55%であり、S6d14で約45%であった。
【0414】
[0431]図3~5は、バージョンAプロトコールと比較して、バージョンBプロトコールを用いて、α細胞(フローサイトメトリーを介してグルカゴン(GCG)を発現するが、ソマトスタチン(SST)を発現しない細胞によって測定される)、δ細胞(フローサイトメトリーを介してSSTを発現するが、GCGを発現しない細胞によって測定される)、およびEC細胞(フローサイトメトリーを介してVMAT1を発現するが、C-ペプチドを発現しない細胞によって測定される)のパーセンテージの変化を示す。図3に示されるように、バージョンAプロトコールでは、S6d9またはS6d14でのα細胞のパーセンテージは全て5%未満またはその周辺であったが、バージョンBプロトコールでは、α細胞のパーセンテージは、S6d9で12.5%~17%であり、S6d14で15%周辺(vB/S6-cおよびvB/S6-d)または22%周辺(vB/S6-aおよびvB/S6-b)であった。図4に示されるように、vAプロトコールでは、S6d9またはS6d14でのδ細胞のパーセンテージは、2%未満もしくはその周辺(vA/S6-aおよびvA/S6-b)または2%~3%(vA/S6-cおよびvA/S6-d)であったが、バージョンBプロトコールでは、δ細胞のパーセンテージは、S6d9およびS6d14で5%周辺(vB/S6-a)、S6d9で7%周辺ならびにS6d14で5%周辺(vB/S6-b)、S6d9およびS6d14で6%~7%(vB/S6-c)、またはS6d9およびS6d14で8%周辺(vB/S6-d)であった。図5に示されるように、バージョンAプロトコールでは、S6d9またはS6d14でのEC細胞のパーセンテージは、40%~50%(vA/S6-a)、35%~45%(vA/S6-b)、または25%~35%(vA/S6-cおよびvA/S6-d)であったが、vBプロトコールでは、EC細胞のパーセンテージは全て、S6d9およびS6d14で20%未満であった。
【0415】
[0432]一実験では、SOX9発現をバージョンAとバージョンBプロトコールの間で比較し、S5の終わりに、バージョンAプロトコールと比較してバージョンBプロトコールでSOX9を発現する細胞が増加していることが分かった(図6A)。別の実験では、S5の終わりからS6の始まりまでの間に再凝集ステップが導入された。簡単に説明すると、S5c細胞クラスターを回収し、酵素で細胞懸濁液中に解離し、次にS6培養培地中で培養して、新しい細胞クラスターに再凝集させた。図6Bは、異なる分化プロトコールによる再凝集ステップ後のS6中にSOX9を発現する細胞のパーセンテージをまとめる。別の実験では、S6細胞回収パーセンテージを調査し、S6の開始時(S5c細胞の解離後、例えば、200万/ml)における初期種子密度に対するS6のある時点(例えば、S6d4、S6d9、またはS6d14)における細胞密度の比を測定した。図7に示されるように、バージョンBプロトコールは、バージョンAプロトコールと比較して類似のS6細胞回収パーセンテージを有した。
【0416】
[0433]一実験では、バージョンAおよびバージョンBプロトコールによって産生されたS6d13細胞のin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を調査した。図8に示されるように、バージョンBプロトコールで産生された細胞は、グルコースチャレンジに対して比較的低い応答性を示し、2.8mMグルコースチャレンジと比較して、20mMグルコースチャレンジに応答したインスリン分泌の明確な増加はなかった。対照的に、vA/S6-aプロトコールで産生された細胞は、2.8mMグルコースチャレンジと比較して、20mMに応答したインスリン分泌の急激な増加を示した。一方、バージョンBプロトコールで産生された細胞中のインスリン含量は、バージョンBプロトコールで産生された細胞と同等であった(図9)。
【0417】
[0434]一実験では、PDBUおよびガンマセクレターゼ阻害剤XXIの適用の効果を試験した。この実験では、3つの分化条件を調査し、比較した:バージョンAプロトコール;バージョンB;バージョンB+XXI(PDBUとXXIの両方をS4d5からS5d2に適用し、XXIをS5全体にわたって適用し続けた)。図10Bは、フローサイトメトリー(図10Aに例示)によって測定した場合、異なるプロトコールを介して産生されたS5cにおけるISL1陽性細胞およびISL1陰性細胞のパーセンテージをまとめる。図に示されるように、PKC活性化とS4中に開始するガンマセクレターゼ阻害の組合せは、ISL1陽性細胞の約65%から90%を超える強い誘導をもたらしたが、一方、PKC活性化単独は、約80%のISL1陽性細胞をもたらした。
【0418】
[0435]別の実験では、2つの異なるPKC活性化剤が腸クロム親和性細胞およびα細胞に及ぼす影響を調査した。この実験では、3つの分化条件を調査し、比較した:バージョンAプロトコール;S4d5、S5d1、およびS5d2(VA+PDBU)日目に0.5μMでPDBUを適用したバージョンA;ならびにS4d5、S5d1、およびS5d2(VA+TPPB)日目に0.1μMで((2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム)を有するバージョンA。図11Bは、フローサイトメトリーによって測定した場合(図11Aに例示される)、異なるプロトコールを介して産生されたS5cにおけるNKX6.1陽性/ISL陰性細胞およびISL1陽性/NKX6.1陰性細胞のパーセンテージをまとめる。図に示されるように、VA/TPPBは、sc-EC細胞を減少させ、α細胞を増加させるのにVA/PDBUと同様に有効であった。しかしながら、VA/TPPBは、VA/PDBU(図11C)と比較して、全細胞の収率を驚くべきことに2倍超で増加させた。S4d5、S5d1、およびS5d2日目のVA/TPPBへのXXIの添加は、細胞収量の減少を引き起こした(図11C)。
【0419】
[0436]本開示の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されてきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には自明であろう。多数の変化、変更、および置換が、ここで、本開示から逸脱することなく当業者に対して生じるであろう。本開示の実施形態に対する様々な代替物が、本開示の実践において用いられ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにこれらの均等物がそれらによってカバーされることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】