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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ひずみゲージセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/30 20230101AFI20230824BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/88 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/076 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/082 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/092 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/098 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/05 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/077 20230101ALI20230824BHJP
   H10N 30/093 20230101ALI20230824BHJP
   G01L 1/18 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H10N30/30
H10N30/853
H10N30/88
H10N30/857
H10N30/076
H10N30/082
H10N30/092
H10N30/098
H10N30/05
H10N30/077
H10N30/093
G01L1/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506551
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021071307
(87)【国際公開番号】W WO2022023482
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】LU101963
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518008275
【氏名又は名称】ルクセンブルク インスティトゥート オブ サイエンス アンド テクノロジー(リスト)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポレセル,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ジロー,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー,ラウル
(72)【発明者】
【氏名】グリサン,パトリック
(57)【要約】
本発明は、センサを作製する方法を提供し、前記センサはポリマー本体、および少なくとも1つのショットキー接合を含むひずみゲージを備え、ショットキー接合は、ウルツ鉱結晶構造を好ましくは有する圧電半導体材料を含む活性層を備え、ショットキー接合は、活性層に電気接続された少なくとも1つの金属電極をさらに備え;方法は、以下のステップ:ポリマー層を形成する(220)ステップ、ポリマー層上に少なくとも1つの金属電極を成長させる(240)ステップ、次いでポリマー層上におよび金属電極上に、原子層堆積、ALDによって活性層を成長させる(260)ステップを含む。本発明は、ポリマー本体、および、ALDによって得られたひずみゲージを含む片持ち梁を備えるセンサも提供する。150のゲージ率が、異なる周波数で達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ(2)を作製するための方法であって、前記センサ(2)は
ポリマー本体(4)、および少なくとも1つのショットキー接合(30)を含むひずみゲージ(12)を備え、
ショットキー接合(30)は、ウルツ鉱結晶構造を好ましくは有する圧電半導体材料を含む活性層(24)を備え、ショットキー接合(30)は、活性層(24)に電気接続された少なくとも1つの金属電極(14)をさらに備える、方法において、
ポリマー層(26)を形成する(220)ステップ、
ポリマー層(26)上に少なくとも1つの金属電極(14)を成長させる(240)ステップ、
ポリマー層(26)上に、原子層堆積ALDによって活性層(24)を成長させる(260)ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
活性層(24)を成長させる(260)ステップが、20℃から150℃、好ましくは60℃から100℃、より好ましくは60℃から80℃に及ぶ堆積温度を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性層(24)が、酸化亜鉛(ZnO)、任意選択で、マグネシウムドープ酸化亜鉛(MgZnO)を含み、活性層(24)および少なくとも1つの金属電極(14)がショットキー障壁(32)を画定する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
活性層(24)を成長させる(260)ステップが、分子酸素ガスパルシングを含む、請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
分子酸素ガスパルシングが、1秒から5秒に及ぶ時間長を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
活性層(24)が、以下の材料:窒化ガリウムGaN、硫化カドミウムCdS、窒化インジウムInN、スカンジウムドープ窒化アルミニウムSc-AlN、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属電極(14)、または少なくとも1つの金属電極(14)、またはそれぞれの金属電極(14)が、プラチナ電極である、または、プラチナ合金を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属電極(14)、または少なくとも1つの金属電極(14)、またはそれぞれの金属電極(14)が、金電極または銀電極またはパラジウム電極である、あるいは、金属電極(14)が、プラチナ合金または金合金または銀合金またはパラジウム合金を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
活性層(24)が、50ナノメートルから500ナノメートルに及ぶ厚さを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの金属電極(14)が、100ナノメートルから200ナノメートルに及ぶ厚さを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの金属電極(14)が、少なくとも5.0eV、好ましくは5.2eV、より好ましくは5.5eVの仕事関数を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
活性層(24)を成長させる(260)ステップにおいて、活性層(24)が金属電極(14)上で成長する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの金属電極(14)が、櫛歯状パターン(16)を画定する2つの金属電極を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
活性層(24)が、(002)結晶配向または(001)結晶配向または(101)結晶配向を示す多数の粒子を含むウルツ鉱多結晶構造を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記(002)結晶配向または(001)結晶配向または(101)結晶配向が、ポリマー層(26)に垂直である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
活性層(24)が、ポリマー層(26)に垂直である柱状(002)結晶構造を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ポリマー層が透明ポリマー層(26)であり、好ましくは、ポリマー本体(4)が透明ポリマー本体(4)である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ポリマー層(26)を形成する(220)ステップが、SU8エポキシベースフォトレジストを使用することを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ポリマー層(26)を形成する(220)ステップが、ポリマー検知ピーク(8)を形成することを含み、活性層(24)を成長させる(260)ステップにおいて、前記活性層(24)が、検知ピーク(8)の上方に成長する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
プロセスが、犠牲層を設ける(200)ステップを含み、ポリマー層(26)を形成する(220)ステップにおいて、前記ポリマー層(26)が、前記犠牲層上に形成され、プロセスが、センサ(2)が犠牲層から剥離される、剥離する(290)ステップをさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ポリマー本体(4)が少なくとも1つの片持ち梁(6)を備え、少なくとも1つのショットキー接合(30)が片持ち梁(6)内にあり、プロセスが、少なくとも1つの片持ち梁(6)を形成する(280)ステップを含み、少なくとも1つの片持ち梁(6)を形成する(280)ステップが、活性層(24)の厚さとポリマー層(26)の厚さの加算に等しい厚さを有する下ポリマーフィルムを形成する第1のサブステップ、および、下ポリマーフィルム上で、および活性層(24)上に上ポリマーフィルムを形成する第2のサブステップを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
金属電極(14)を成長させる(240)ステップにおいて、前記金属電極(14)が、電子ビーム蒸着によってまたはPVDスパッタリングによって成長される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
金属電極(14)を成長させる(240)ステップが、デフォーカシング、任意選択で、少なくとも-12のネガティブデフォーカシングを用いるレーザーリソグラフィによってフォトレジストパターニングする(242)サブステップを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ひずみゲージ(12)を含むポリマー本体(4)を備えるセンサ(2)であって、少なくとも1つのショットキー接合(30)がポリマー本体(4)内に埋め込まれ、ショットキー接合(30)が、
・圧電半導体材料を含む活性層(24)であって、前記圧電半導体材料が、好ましくは、ウルツ鉱結晶構造を含む、活性層(24)、
・活性層(24)に電気接続された少なくとも1つの金属電極(14)
を備え、活性層(24)が原子層堆積(ALD)によって得られ、ポリマー層(26)が、活性層(24)および少なくとも1つの金属電極(14)を支持する表面を備え、センサ(2)が、好ましくは、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法によって得られる、センサ(2)。
【請求項25】
主(002)結晶配向に垂直なポリマー層(26)上に、ひずみゲージ(12)のショットキー接合(30)の活性層(24)を形成するための、主(002)結晶配向を含む酸化亜鉛(ZnO)の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ製造プロセスの分野にある。より正確には、本発明は、ショットキーフィーチャを有するひずみゲージの作製プロセスを提供する。本発明は、ひずみゲージを収容するポリマー本体を有するセンサも提供する。本発明は、酸化亜鉛の使用法も提供する。
【背景技術】
【0002】
片持ち梁を含むチップセンサは、片持ち梁のクランプ端にひずみゲージを一般に装備する。片持ち梁の下面は、原子間力顕微鏡法(AFM:atomic force microscopy)にとって有用である検知先端を示す。突出先端によって伝達された片持ち梁振動は、ひずみゲージを変形し;それにより、被探索表面の深さ情報を提供する。
【0003】
しかしながら、そのようなセンサは、一般に、制限された精度を提供する。数千のセンサを有するデバイスをモニターするとき、電力消費が重要である。エネルギー自立型デバイスの文脈で、耐用年数が制限される。さらに、知られている解決策において、ひずみ検出感度に関連するゲージ率は、満足できるものでない。知られている製造プロセスは、一般に、短所を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点の少なくとも一部を克服する作製法を提示することが本発明の目的である。特に、ひずみゲージを有するセンサを作製する信頼性のある方法を提示することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、センサを作製する方法が提供され、前記センサは:ポリマー本体、および少なくとも1つのショットキー接合を含むひずみゲージを備え、ショットキー接合は、ウルツ鉱結晶構造を好ましくは有する圧電半導体材料を含む活性層を備え、ショットキー接合は、活性層に電気接続された少なくとも1つの金属電極をさらに備え;方法は、以下のステップ:ポリマー層を形成するステップ、ポリマー層上に少なくとも1つの金属電極を成長させるステップ、ポリマー層上に、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)によって活性層を成長させるステップを含む。
【0006】
好ましくは、活性層を成長させるステップは:20℃から150℃、好ましくは60℃から100℃、より好ましくは60℃から80℃に及ぶ堆積温度を使用することを含むことができる。
【0007】
好ましくは、活性層は、酸化亜鉛、ZnO、任意選択で、マグネシウムドープ酸化亜鉛、MgZnO、を含むことができ、活性層および少なくとも1つの金属電極はショットキー障壁を画定する。
【0008】
好ましくは、活性層を成長させるステップは、分子酸素ガスパルシングのサブステップを含む。
【0009】
好ましくは、分子酸素ガスパルシングのサブステップは、1秒から5秒に及ぶ時間長を含むことができる。好ましくは、前記パルシングは、1から5秒続くタイムスパンの間に実施されることができる。
【0010】
好ましくは、活性層は、以下の材料:窒化ガリウム、GaN、硫化カドミウム、CdS、窒化インジウム、InN、スカンジウムドープ窒化アルミニウム、Sc-AlN、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0011】
好ましくは、金属電極、または少なくとも1つの金属電極、またはそれぞれの金属電極は、プラチナ電極であるとすることができる、または、プラチナ合金を含むことができる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は、金電極または銀電極またはパラジウム電極であるとすることができる;あるいは、金属電極は:プラチナ合金または金合金または銀合金またはパラジウム合金を含むことができる。
【0013】
好ましくは、活性層は、50ナノメートルから500ナノメートルに及ぶ厚さを備えることができる。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は、100nmから200nmに及ぶ厚さを備えることができる。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は:少なくとも5.0eV;好ましくは5.2eV;より好ましくは5.5eVの仕事関数を備えることができる。
【0016】
好ましくは、活性層を成長させるステップにおいて、活性層は金属電極上で成長することができる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は、櫛歯状電極、IDE(interdigitated electrode)パターンを画定する2つの金属電極を備えることができる。
【0018】
好ましくは、活性層は、(002)結晶配向または(001)結晶配向または(101)結晶配向を示す多数の粒子を含むウルツ鉱多結晶構造を含むことができる。
【0019】
好ましくは、前記(002)結晶配向または(001)結晶配向または(101)結晶配向は、ポリマー層に垂直であるとすることができる。
【0020】
好ましくは、活性層は、ポリマー層に垂直である柱状(002)結晶構造を備えることができる。
【0021】
好ましくは、ポリマー層は、好ましくは透明ポリマー層であるとすることができ、好ましくは、ポリマー本体は透明ポリマー本体であるとすることができる。
【0022】
好ましくは、ポリマー層を形成するステップは、SU8エポキシベースフォトレジストを使用することを含むことができる。
【0023】
好ましくは、ポリマー層を形成するステップは、ポリマー検知ピークを形成することを含むことができる、および/または、活性層を成長させるステップにおいて、前記活性層は、検知ピークの上方にまたはその上部に成長することができる。
【0024】
好ましくは、プロセスは、犠牲層を設けるステップを含むことができ;ポリマー層を形成するステップにおいて、前記ポリマー層は、前記犠牲層上に形成されることができ;プロセスは、センサが犠牲層から剥離される、剥離するステップをさらに含むことができる。
【0025】
好ましくは、ポリマー本体は少なくとも1つの片持ち梁を備えることができ;少なくとも1つのショットキー接合は片持ち梁内にあり、プロセスは、少なくとも1つの片持ち梁を形成するステップを含み、少なくとも1つの片持ち梁を形成するステップは、活性層の厚さとポリマー層の厚さの加算に等しい厚さを有する下ポリマーフィルムを形成する第1のサブステップ;および、下ポリマーフィルム上で、および活性層上に上ポリマーフィルムを形成する第2のサブステップを含むことができる。
【0026】
ショットキー接合は、ポリマー本体から延在する部材またはアームに含まれることができる。
【0027】
部材またはアームは、好ましくは、ポリマー本体と一体形成されることができる。
【0028】
好ましくは、金属電極を成長させるステップにおいて、前記金属電極は、電子ビーム蒸着によってまたはPVDスパッタリングによって成長されることができる。
【0029】
好ましくは、金属電極を成長させるステップは、デフォーカシング、任意選択で、少なくとも-12のネガティブデフォーカシングを用いるレーザーリソグラフィによってフォトレジストパターニングするサブステップを含むことができる。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は、好ましくは、2つのバック・トゥ・バックショットキーダイオードを形成するために、活性層と電気接触状態にある2つの金属電極を備えることができる。
【0031】
好ましくは、活性層は、2つの金属電極との2つのショットキー接合を画定することができる。
【0032】
好ましくは、活性層は、せいぜい5μmの幅を有する2つの金属電極の間に、分離界面、特に、少なくとも1つのショットキー界面を形成することができる。
【0033】
好ましくは、ショットキー接合は、整流用ショットキー障壁を形成するために構成されることができる。
【0034】
好ましくは、ショットキー接合は、少なくとも部分的に、片持ち梁、部材、またはアーム内にあるとすることができる。
【0035】
好ましくは、片持ち梁またはそれぞれの片持ち梁は、自由または遠位端、ならびに、接続または近位端、例えば、本体にあり、自由端に対向するクランプ端を備えることができ、ひずみゲージは接続端にある。
【0036】
好ましくは、活性層を成長させるステップは:50℃から110℃、好ましくは55℃から85℃に及ぶ温度の使用を含むことができる。
【0037】
好ましくは、活性層、任意選択で、ウルツ鉱結晶構造は、セラミック、好ましくは、圧電半導体セラミックを備えることができる。
【0038】
好ましくは、櫛歯状電極、IDE、パターンは、平行フィンガーの少なくとも1つのセット、好ましくは、少なくとも2つのセットを備えることができる。
【0039】
好ましくは、処理された第1のポリマー層は、200nmから1マイクロメートルに及ぶ厚さを備えることができる。
【0040】
好ましくは、活性層を成長させるステップは、パッシベーション層を形成するサブステップを含むことができる。
【0041】
好ましくは、ポリマー層を形成するステップにおいて、前記ポリマー層は、或るエッジ高さを有するエッジを形成することができ、金属電極を成長させるステップにおいて、前記金属電極は、エッジ高さに沿って金属連続性を示すことができる。
【0042】
好ましくは、ポリマー層を形成するステップにおいて、前記ポリマー層は面取りした面を形成することができ、金属電極を成長させるステップにおいて、前記金属電極は、面取りした面をカバーすることができる。
【0043】
好ましくは、片持ち梁内で、活性層は、少なくとも1つの金属電極の、大多数の表面;または実質的に全表面をカバーすることができる。
【0044】
好ましくは、ショットキー接合は、活性層と少なくとも1つの金属電極との間の接触界面を備えることができる。
【0045】
好ましくは、活性層は、少なくとも1つの金属電極より肉厚である、好ましくは、少なくとも3倍肉厚であるとすることができる。
【0046】
好ましくは、活性層厚を金属電極厚で割った比は、1から4に及ぶことができる。
【0047】
好ましくは、活性層は、せいぜい:100μm、好ましくは、80μmの幅を備えることができる。
【0048】
好ましくは、活性層は、せいぜい:500μm、好ましくは、310μmの長さを備えることができる。
【0049】
好ましくは、片持ち梁またはそれぞれの片持ち梁は、せいぜい:200μm、好ましくは、120μmの幅を備えることができる。
【0050】
好ましくは、片持ち梁またはそれぞれの片持ち梁は、せいぜい:500μm、好ましくは、200μmの長さを備えることができる。
【0051】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は、活性層と垂直に同じ高さの電極層を形成することができる。
【0052】
好ましくは、本体は外側表面を備えることができ、ポリマー層は、外側表面と活性層および/または少なくとも1つの金属電極との間の分離を形成することができる。
【0053】
好ましくは、ひずみゲージは第1のひずみゲージとすることができ、センサは、第1のひずみゲージと同様のまたは同一の第2のひずみゲージをさらに備えることができる。
【0054】
好ましくは、ポリマー層は、ポリマー本体、好ましくは、片持ち梁を部分的に形成することができる。
【0055】
好ましくは、それぞれのショットキー接合は、ショットキー障壁を画定することができる。
【0056】
好ましくは、活性層を成長させるステップは、少なくとも1つの金属電極を成長させるステップの後に実行されることができる。
【0057】
好ましくは、活性層はピエゾトロニック材料を含むことができる。
【0058】
ひずみゲージを含むポリマー本体を備えるセンサであって、少なくとも1つのショットキー接合がポリマー本体内に埋め込まれ;ショットキー接合が、圧電半導体材料を含む活性層であって、前記圧電半導体材料が、好ましくは、ウルツ鉱結晶構造を含む、活性層、活性層に電気接続された少なくとも1つの金属電極を備え、活性層が原子層堆積、ALD、によって得られ、ポリマー層が、活性層および少なくとも1つの金属電極を支持する表面を備え、センサが、好ましくは、本発明による方法によって得られる、センサを提供することが本発明の別の態様である。
【0059】
好ましくは、少なくとも1つの金属電極は、少なくとも1つの金属電極と活性層との間にあるとすることができる。
【0060】
フィーチャALDは、本発明の本質的態様でない。
【0061】
少なくとも1つの片持ち梁およびひずみゲージを任意選択で含むポリマー本体を備えるセンサであって、少なくとも1つのショットキー接合がポリマー本体内にあり、ショットキー接合が、優先的にウルツ鉱結晶構造を有する半導体圧電材料を含む活性層または活性フィルム;および、少なくとも:5.00eV;または5.20eV;または5.50eVの仕事関数を備える少なくとも1つの金属電極を備える、センサを提供することが本発明の別の態様である。
【0062】
ポリマー主部分、特に、主本体、減少した厚さのポリマー部分、特に、片持ち梁、アームまたは部材、および、任意選択で、減少した厚さのオプション部分にある少なくとも1つのショットキー接合を有するひずみゲージを備えるセンサであって、ショットキー接合が、優先的にウルツ鉱結晶構造を有する半導体圧電材料を含む活性層、および、活性層に電気接続された少なくとも1つの金属電極を備え、活性層および少なくとも1つの金属電極が、好ましくは、ショットキーダイオードおよび/またはショットキー接触および/またはショットキー障壁またはショットキーフィーチャを形成する、センサを提供することが本発明の別の態様である。
【0063】
少なくとも1つの片持ち梁、アーム、または部材およびひずみゲージを任意選択で含むポリマー本体を備えるセンサであって、少なくとも1つのショットキー接合を有し、ショットキー接合(複数可)が、少なくとも1つの金属電極、および、活性層であって、金属電極とのショットキー接触を画定し、優先的にウルツ鉱結晶構造を有する材料を含み、50nmから500nm、好ましくは100nmから400nmに及ぶ厚さを備える、活性層を備える、センサを提供することが本発明の別の態様である。
【0064】
チップ本体等のポリマー本体、任意選択で、ポリマー本体から突出するポリマー片持ち梁、特に、ポリマーアーム;および、優先的にウルツ鉱結晶構造を有する半導体圧電材料を含む活性層を含むひずみゲージ;および、ポリマー片持ち梁内で1つまたは複数のショットキー接合を画定するための、活性層に電気接続された少なくとも1つの金属電極を備えるセンサを提供することが本発明の別の態様である。
【0065】
好ましくは、活性層は、物理気相堆積、PVD(physical vapor deposition)によって形成されることができる。
【0066】
任意選択でポリマー層上に、プラチナ電極と酸化亜鉛層によって形成された接触界面を含むひずみゲージを提供することが本発明の別の態様である。
【0067】
主(002)結晶配向に垂直なポリマー層上にひずみゲージのショットキー接合の活性層を形成するための主(002)結晶配向を含む酸化亜鉛、ZnOの使用法を提供することが本発明の別の態様である。
【0068】
ひずみゲージのショットキー接合、好ましくはショットキーダイオード、好ましくはショットキー障壁の活性層を形成するための酸化亜鉛、ZnOの使用法を提供することが本発明の別の態様であり、活性層は、ひずみゲージに垂直である柱状(002)結晶構造を備え;活性層は(002)結晶構造の(002)軸に垂直な第1の面を備え、ひずみゲージは、前記第1の面に配置される、2つの電極、好ましくは櫛歯状電極、IDEをさらに備える。
【0069】
任意選択で、少なくとも:5.00eV;または5.20eV;または5.50eVの仕事関数を備える少なくとも1つの金属電極を有する、ひずみゲージ内にショットキー障壁を形成するためのウルツ鉱構造を備える活性層の使用法を提供することが本発明の別の態様である。
【0070】
本発明によるセンサを用いた測定プロセスを提供することが本発明の別の態様であり、プロセスは、試料を設けるステップ、ひずみゲージを変形させるステップ;およびセンサを用いて試料に関連するデータを測定するステップを含む。
【0071】
好ましくは、測定プロセスは、ひずみ検知プロセスまたは応力検知プロセスとすることができる。
【0072】
好ましくは、測定プロセスは、原子間力顕微鏡法(AFM)プロセスおよび/またはシステムに一体化されることができる。
【0073】
好ましくは、測定するステップ中に、少なくとも10Vのバイアス電圧が、少なくとも1つの金属電極に適用されることができる。
【0074】
好ましくは、測定中、ひずみゲージは、せいぜい50μwの電力消費を含むことができる。
【0075】
好ましくは、片持ち梁は透明片持ち梁とすることができ、プロセスは、透明片持ち梁を通して試料の画像データを取得するステップをさらに含むことができる。
【0076】
本発明の異なる態様は、互いに組み合わされることができる。さらに、本発明のそれぞれの態様の好ましい特徴は、反対のことが明示的に述べられない限り、本発明の他の態様と組み合わされることができる。
【0077】
本発明の技術的利点
本発明は、センサ用のひずみゲージのショットキー接合の挙動を改善させる。
ゲージ率が改善される。電力消費が低減される。
【0078】
本発明の幾つかの実施形態は、本発明の範囲を限定しない図によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の好ましい実施形態によるセンサの側面図である。
図2】本発明の好ましい実施形態によるセンサの上面図である。
図3】本発明の好ましい実施形態によるセンサの1つまたは2つのショットキー界面(複数可)を形成する櫛歯状電極(IDE)の略図である。
図4】本発明の好ましい実施形態によるセンサの1つまたは2つのショットキーダイオードの切断図である。
図5】本発明の好ましい実施形態によるセンサのショットキー障壁Φを有するバンド構造の図である。
図6】本発明の好ましい実施形態による測定プロセスのブロックダイアグラムである。
図7】本発明の好ましい実施形態によるセンサを作製するための方法のブロックダイアグラムである。
図8】本発明の好ましい実施形態によるセンサを作製するための方法の詳細ブロックダイアグラムである。
図9A】本発明の好ましい実施形態によるセンサおよび/または方法についての、異なる温度のうちの1つの温度での原子層堆積(ALD)によって堆積された酸化亜鉛層の走査型電子顕微鏡法(SEM:Scanning Electron Microscopy)上面図画像である。
図9B】本発明の好ましい実施形態によるセンサおよび/または方法についての、異なる温度のうちの1つの温度での原子層堆積(ALD)によって堆積された酸化亜鉛層の走査型電子顕微鏡法(SEM)上面図画像である。
図9C】本発明の好ましい実施形態によるセンサおよび/または方法についての、異なる温度のうちの1つの温度での原子層堆積(ALD)によって堆積された酸化亜鉛層の走査型電子顕微鏡法(SEM)上面図画像である。
図10】本発明の好ましい実施形態によるセンサおよび/または方法についての、異なる温度で成長したZnOフィルムの回折パターンである。
図11】本発明の好ましい実施形態によるセンサおよび/または方法についての、ALDによって堆積されたZnO薄フィルムのXPSサーベイスペクトルである。
図12】本発明の好ましい実施形態によるセンサおよび/または方法についての、成長温度に応じたO:Zn原子比の進展を示すグラフである。
図13】本発明の好ましい実施形態によるセンサの場合の、異なる堆積温度についてのALDによって成長したZnO薄フィルムの抵抗を示すグラフである。
図14】本発明の好ましい実施形態による、入力バイアスの異なるバイアス電圧および異なる信号周波数におけるセンサについてのゲージ率を示すグラフである。
図15】本発明の好ましい実施形態による、I(V)電流対バイアス電圧曲線による、ピエゾトロニックひずみマイクロセンサの変換応答を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本節は、好ましい実施形態および図に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。同様の参照数字は、本発明の異なる実施形態全体を通して同様のまたは同じ概念を説明するために使用される。
【0081】
本明細書で説明する特定の実施形態について説明する特徴が、反対のことが明示的に述べられない限り、他の実施形態の特徴と組み合わされることができることが留意されるべきである。当技術で一般に知られている特徴は、本発明に特有である特徴に的を絞るために明示的に述べられないことになる。例えば、本発明によるセンサは、電源によって、たとえそのような電源が図にも参照されず、説明にも参照されない場合でも、明白に電力供給される。
【0082】
本説明において、層は、例えば、センサ内のレベルまたは階層として理解されることができる。
【0083】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるセンサ2を示す。
【0084】
センサ2は、チップ本体4(部分的に示される)を備え、チップ本体4から突出する少なくとも1つの片持ち梁6を有する。片持ち梁6は、本体から突出するアームまたは部材を形成する。片持ち梁6はチップ本体4より薄く、したがって、より弾性がある。片持ち梁6は、チップ本体4から反対の自由または遠位端6F、および、クランプ端6Cとしても指定される接続または近位端を備える。クランプ端6Cは、チップ本体4との界面にある。
【0085】
オプションの先端8は、片持ち梁6の下面から突出する。検知ピーク8または針としても指定される先端8は、調査中である設けられた試料10(点線で示す)を検知するようになされる。本体4は、SU8ポリマー等のポリマーを含むことができる。本体4、片持ち梁6、および先端8は、好ましくは、単一ピースとして一体に形成され、SU8エポキシで作られる。透明ポリマーが使用されることができる。そのため、片持ち梁6を通して試料の画像データを取得することが可能になる。
【0086】
センサ2は、1つのひずみゲージ12に関連する少なくとも1つの接触電極11を含む。ひずみゲージ12は、片持ち梁、部材、またはアーム6内に少なくとも部分的に延在する。測定動作中、片持ち梁6は振動し、それにより、ひずみゲージ12を変形させる。ひずみゲージ12の電気特性は、変形によって変動し、それにより、例えば、原子間力顕微鏡法、AFMによって、被探索表面を観察することを可能にする。
【0087】
例証として、センサ2は、2つの片持ち梁6、好ましくは、同様または同一の片持ち梁6を含む。各片持ち梁は、関連する接触電極11に電気接続されたひずみゲージ12を備える。
【0088】
図2は、本発明の好ましい実施形態によるセンサ2の平面図を示す。センサ2は、図1に関連して説明したセンサと同様または同一とすることができる。
【0089】
センサ2は、主本体4、2つの片持ち梁6、および片持ち梁6の一方における検知ピーク8を含む。検知ピーク8は、関連するひずみゲージ12Aから、特に縦方向に所定の距離にあるとすることができる。各片持ち梁6は、ひずみゲージ12に関連する。好ましくは、各片持ち梁6は、別個のひずみゲージ12に関連する。ひずみゲージは、本発明をこの特定の構成に限定することなく、図2の上部分に示す検知ひずみゲージ12A;および、図の下部分に示す参照ひずみゲージ12Bを備える。
【0090】
対のひずみゲージ12A、12Bによって、差動測定が可能になる。片持ち梁6の一方は、試料10と協働し、2つの片持ち梁の他方は、試料10から所定の距離にある。そして、検知ひずみゲージ12Aは検知データを提供し、参照ひずみゲージ12Bは、検知条件に関連するデータを提供する。雑音およびドリフトデータが推測されることができ、それにより、得られる特性の正確度および信号対雑音比、SNRを改善する。
【0091】
ひずみゲージ12は、電極14、特に、金属電極14を備える。電極14の一方は、両方のひずみゲージ12に接続することができる。各ひずみゲージ12は、関連する片持ち梁6内に延在する検知部分または活性エリアを備えることができる。
【0092】
片持ち梁6は、マイクロスケール片持ち梁6とすることができる。各片持ち梁6は、せいぜい;500μm、好ましくは、200μmの長さLCを備えることができる。各片持ち梁6は、せいぜい:200μm、好ましくは、120μmの幅CWを備えることができる。
【0093】
図3は、本発明の好ましい実施形態によるセンサ用のひずみゲージ12の略図を提供する。センサは、図1および/または2に関連して説明したセンサと同様または同一とすることができる。本体および片持ち梁は、明確にするために省略される。
【0094】
金属電極14は、櫛歯状電極、IDE、パターン16を画定する。各金属電極14は、平行フィンガー18のセットを備え、平行フィンガー18のセットは、他の金属電極14のセットのフィンガー18の間に延在する。この構成は、1つだけでない、幾つかの平行なバック・トゥ・バックショットキー接合の等価モデルを設定することを可能にする。これは、同じ機械的ひずみ信号によって影響を受ける多くのバック・トゥ・バックショットキーダイオード電流を合算することによって、センサのひずみ感度を改善する。単に例証として、および、本発明をこの数のフィンガーに限定することなく、各セットは16個のフィンガー18を備える。フィンガーセットは、交じり合い、インターリービングパターンを形成する。セットは互いの中に延在する。フィンガー18は、金属のストリップまたは金属トラックを形成する。電極14は櫛を形成することができる。金属電極14は分離される。分離部20はフィンガーの間に延在する。分離部20は蛇行を形成する。分離部20は、隣接するフィンガー18間に界面22を形成する。分離部20は、隣接するフィンガー18間で測定される、せいぜい5μmの幅を呈することができる。
【0095】
金属電極14は、金属層を画定することができる。金属電極14は、プラチナ、Pt、またはプラチナ合金等の大きい仕事関数の金属を含むことができる。少なくとも1つの金属電極14またはそれぞれの金属電極14は、少なくとも:5.00eV;または5.20eV;または5.50eV;または5.70eVの仕事関数を備えることができる。
【0096】
代替法としてまたはさらに、金属電極14は、金または銀またはパラジウムまたはそれらの合金を含むことができる。金属電極14は、異なる材料または合金を含むことができる。第1の電極は第1の金属を含むことができ、第2の電極は第2の金属を含むことができる。第1および第2の電極は、材料の上記リストから選択される異なる金属を含むことができる。
【0097】
ひずみゲージ12は活性層24を備えることができる。活性層24は分離部20を充填することができる。活性層24は界面22を充填することができる。活性層24は金属電極14をカバーすることができる。それは金属電極14上のコーティングを形成することができる。活性層24は、電極14を超えて広がることができる。活性層は電極14より肉厚であるとすることができる。金属電極14は活性層24内に埋め込まれることができる。したがって、活性層24は、対応する片持ち梁内に、そして、本体内に閉囲される。それは、透明ポリマーを通して観察されることができる。
【0098】
例証として、活性層24は、せいぜい:100μm、好ましくは80μmの幅WALを備える。活性層24は、せいぜい:500μm、好ましくは310μmの長さLALを備えることができる。ひずみゲージ12が屈曲(bent)すると、活性層24は、フィンガー18の間に応力を加えられる(stress)。それは、片持ち梁の湾曲に応じて、圧縮応力または引っ張り応力を経験することができる。活性層24は圧電材料を含む。圧電材料は、好ましくは、圧電半導体である。活性層24はセラミック材料を含むことができる。活性層24は、ウルツ鉱結晶構造等の六角形結晶構造を備えることができる。活性層24は、酸化亜鉛、ZnO、例えば、マグネシウムドープ酸化亜鉛、MgZnOを含むことができる。活性層24は、(002)ウルツ鉱結晶構造を有する酸化亜鉛、ZnOを含むことができる。
【0099】
代替法として、活性層24は、以下の材料:窒化ガリウム、GaN;硫化カドミウム、CdS;窒化インジウム、InN;スカンジウムドープ窒化アルミニウム、Sc-AlN;およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0100】
より一般的に、活性層はピエゾトロニック材料を含むことができる。
【0101】
活性層24は、少なくとも部分的に本体を形成するポリマー層上に、原子層堆積、ALDによって形成されることができる。原子層堆積、ALD、技法は、活性層24の均一性を改善する。原子層堆積、ALD、技法は、活性層24および金属電極を受けるポリマー層も保存する。ALDフィーチャは顕微鏡検査によって検出されることができる。
【0102】
金属電極14および活性層24はショットキー界面を画定する。ショットキー界面は、櫛歯状フィンガー18の間の界面22に沿って延在することができる。より一般的に、ショットキー界面はショットキーフィーチャを画定する。
【0103】
図4は、本発明の好ましい実施形態によるセンサについての、活性層24内に埋め込まれるまたは含まれる2つの金属電極14を示す。センサは、図1から3の任意の図に関連して説明したセンサおよびその組み合わせと同様または同一とすることができる。
【0104】
金属電極14および活性層24は、ポリマー層26、特に、下層26または第1のポリマー層によって支持される。さらに、上層27は活性層24上に設けられる。上層27は、活性層をカバーする第2のポリマー層27とすることができる。上ポリマー層27は、パッシベーション層としても指定される保護層とすることができる。活性層24は、層26と27との間に封止されることができる。活性層24は、金属電極14をカバーし、金属電極14は、活性層24内で連結され入れ子にされる。オプションとして、両者はそれぞれ、プラチナ、Ptおよび酸化亜鉛、ZnOを含む。
【0105】
2つの金属電極14および2つの金属電極14の間の活性層24の部分は、少なくとも1つのショットキーダイオード28、特に、2つのバック・トゥ・バックショットキーダイオード28を画定する。2つのショットキー接合30のそれぞれは、2つの金属電極14の一方に関連する。接合30は、金属電極14の傾斜エッジによって形成されることができる。そのため、材料連続性が改善される。
【0106】
活性層24は金属電極14より肉厚である。金属電極14は、活性層24より少なくとも2倍薄い、好ましくは、活性層24より少なくとも3倍薄い。活性層24は:50ナノメートル(nm)から500ナノメートル、好ましくは、200nmから400nmに及ぶ厚さを備えることができる。活性層24は、300nmの厚さを備えることができる。金属電極14は100nmから200nmに及ぶ厚さを備える。
【0107】
代替法として、活性層は電極層より薄い。それで、電極は活性層より高い。活性層は電極にオーバーハングする。
【0108】
図5は、本発明の好ましい実施形態によるセンサ用のショットキー接合30を示す。バンド構造ダイアグラムは、下の重ね合わせに示される。センサは、図1から4の任意の図に関連して説明したセンサおよびその組み合わせと同様または同一とすることができる。
【0109】
センサ2は、活性層24に隣接する金属電極14を示す。活性層24および金属電極14は、物理的に接触状態にある。両者は、ショットキーダイオード28の一端において明らかなショットキー接合30におけるショットキー接触を形成する。
【0110】
ショットキー接合30は、明らかなショットキー障壁Φ32、好ましくは、整流ショットキー障壁を形成するために構成される。この結果は、電極14内での大きい仕事関数の金属および圧電半導体の使用によって得られる。プラチナおよび酸化亜鉛の組み合わせは、ひずみゲージ用の興味深い接触界面を提供する。
【0111】
バンドダイアグラムは、n型半導体ショットキー障壁Φ32に対応することができる。パラメータEvm、Ef、EC、およびEveはそれぞれ:真空レベル、金属電極14のフェルミレベル、活性層24の圧電半導体材料の伝導帯、および半導体の価電子帯に対応する。
【0112】
順方向バイアス下で金属/半導体接合を通して流れる電流密度Jn0は:
Jn0=A*・T・exp({-q・ΦB0}/{kB・T})・[exp({q・[V-I・RS]}/{η・kB・T})-1]
として書かれることができ、ここで、Jn0およびΦB0はそれぞれ、圧電分極電荷がない状態の電流密度およびショットキー障壁高さであり、A*はリチャードソン定数であり、qは電気素量であり、Tは温度であり、kBはボルツマン定数であり、RSは半導体の直列抵抗であり、ηはダイオードの理想係数である。用語「exp」は、指数関数に対応する。
【0113】
所定のひずみ下で、金属/半導体界面における、作成されるピエゾ電荷密度ρpiezoは:
ΦB=ΦB0-{(q・ρpiezo・Wpiezo)/(2・εS)}(εSは半導体の誘電率)として、ショットキー障壁高さの高さΦB0を変化させるだけでなく、Wpiezoによるその幅も変化させる。
【0114】
そのため、圧電分極電荷の存在下で接合を通って流れる電流密度Jnは:
Jn=A*・T・exp({-q・ΦB0}/{kB・T})・exp({q・ρpiezo・Wpiezo}/{2・εS・kB・T})・[exp({q・(V-I・RS)}/{η・kB・T})-1]
として書かれることができる。
【0115】
これは、金属/半導体接触にわたって輸送される電流が、局所ピエゾ電荷の指数関数であり、その符号が、ひずみεに依存し:
P=d・σ=d・E・ε=q・ρpiezo・Wpiezo
であり、ここで、Pが圧電分極であり、dが半導体の圧電係数であり、σが応力であり、Eが半導体のヤング率であることを意味する。
【0116】
これは、最後に、以下の式:
Jn=A*・T・exp({-q・ΦB0}/{kB・T})・exp({q・Wpiezo・d・E・ε}/{2・εS・kB・T})・[exp({q・(V-I・RS)}/{η・kB・T})-1]
をもたらす。
【0117】
したがって、金属/半導体接合を通して輸送される電流は、ひずみの大きさによってだけでなく、ひずみの符号(引っ張り対圧縮)によっても、効果的に調整または制御されることができる。これは、ピエゾトロニック接合の理論的解釈である。機械的ひずみ検知のための研究された主要なピエゾトロニック材料システムは、酸化亜鉛、ZnO、半導体からなる。
【0118】
図6は、本発明の実施形態によるセンサを用いた測定プロセスの主要なステップを示すブロックダイアグラムを示す。センサは、図1から5の任意の図に関連して説明したセンサおよびその組み合わせと同様または同一とすることができる。
【0119】
測定プロセスは、以下のステップ:
表面を有する試料を設ける100ステップ、
ひずみゲージを変形させる102ステップ;
センサによって探索される試料表面に関するデータを、特に、図2に関連して規定された、センサデータプローブ12Aと参照プローブ12Bとの間の差動測定によって測定する104ステップ;
カメラ等のビジョン手段によって探索される試料表面の画像データを取得する106ステップ;
例えば、データプロセッサを備えるデータ処理手段を使用して、センサからのデータを計算する108ステップ;
センサからのデータをメモリ要素に記憶する110ステップ
を含む。
【0120】
ステップ106-110は、本発明の範囲において純粋にオプションである。
【0121】
測定する104ステップにおいて、10Vバイアス電位が、電極間に適用される。
【0122】
オプションまたは代替法として、測定プロセスは、ひずみ検知プロセスまたは応力検知プロセスである。さらに、測定プロセスは、ひずみセンサまたは試料表面のXおよびYにおける制御された横走査を有する、原子間力顕微鏡法、AFM、プロセスに一体化されることができる。
【0123】
測定する104間、ひずみゲージは、せいぜい50μWの電力消費を含むことができる。
【0124】
取得する110ステップにおいて、画像データは、透明片持ち梁を通して探索される試料表面の画像を含む。
【0125】
図7は、本発明の実施形態によるセンサを作製する方法の主要なステップを示すブロックダイアグラムを示す。センサは、図1から5の任意の図に関連して説明したセンサおよびその組み合わせと同様または同一であるとすることができる。
【0126】
プロセスは、特に以下のように実行される以下のステップ:
ポリマー層を形成する220ステップ、
ポリマー層上に少なくとも1つの金属電極を成長させる240ステップ、
ポリマー層上に、原子層堆積、ALDによって活性層を成長させる260ステップ
を含む。
【0127】
原子層堆積、ALDは、薄い活性層を提供する。さらに、活性層は均質である。接合のショットキー挙動は十分に尊重される。
【0128】
センサを作製する本方法は、ひずみゲージを作製する方法とすることができる。
【0129】
図8は、本発明の実施形態によるセンサを作製する方法の主要なステップを示すブロックダイアグラムを示す。センサは、図1から5の任意の図に関連して説明したセンサおよびその組み合わせと同様または同一とすることができる。方法は、図7に関連して説明した方法と同様であるとすることができる。
【0130】
プロセスは、特に以下のように実行される以下のステップ:
基板を設ける200ステップ;
基板の酸化202ステップ;
特に基板上にポリマー層を形成する220ステップ;
ポリマー層上に少なくとも1つの金属電極を成長させる240ステップ;
ポリマー層上に、原子層堆積、ALDによって活性層を成長させる260ステップ;
少なくとも1つの片持ち梁、好ましくは少なくとも2つの片持ち梁を形成する280ステップ;
基板からセンサを剥離する290ステップ
を含む。
【0131】
基板を設ける200ステップにおいて、基板は、犠牲層としても指定される犠牲基板とすることができる。全センサ構造が、少なくとも2インチ径のシリコンウェハ上に構築され、その後、犠牲層のエッチングによって剥離されることができる。犠牲層は、10nm厚チタン付着層を有する2μm厚スパッタ銅層を備えることができる。
【0132】
選択された材料は、構造剥離ステップについてエッチングするのが容易であるが、異なる作製ステップ中に関与する化学物質に対して不活性でなければならない。その材料は、同様に、プラチナおよびSU8フォトレジストのような、関与する他の材料に関する付着閾値を提示しなければならない。金、アルミニウム、および銅等の異なる材料ならびに厚さが考慮される。水酸化テトラメチルアンモニウム、TMAH(TetraMethylAmmonium Hydroxide)に基づくリソグラフィ現像液は、アルミニウムをエッチングする。肉厚のSU8層は、金に対して非常に不十分な付着力を有し、SU8 200μm現像中に層間剥離につながる。最後に、銅2μmの犠牲層が、最良の折衷物として見出された。
【0133】
代替法またはオプションとして、基板は検知ピークを設けられることができる。
【0134】
改良型プロセスにおける第1の代替のステップとして、シリコンウェハ100は、当業者によく知られているように、111側面を有するピラミッド型中空を得るために、KOHによって選択的にエッチングされる。その後、ステップ200にて規定されるように、10nm厚チタン付着層を有する2μm厚スパッタ銅で作られた犠牲層。
【0135】
第2の代替のステップとして、銅酸化が、ステップ202の場合と同様に実行され、酸化先鋭化が上部SU8先端頂点を改善するという利益を伴う。
【0136】
その後、次の代替のステップは、当業者によく知られているように、SU8 3005またはSU8 3010スピンコーティングと、それに続く、パターニングの標準ステップ(プリベーク→UV露光→ポストベーク→現像)によって、SU8先端を形作るために実施される。したがって、先端パターニング済みエリアのみが表面上に残る。表面上の、残っているメサSU8厚に応じて、有利には、反応性イオンエッチング、RIE(Reactive Ion Etching)による後処理は、SUメサの上部分を、10秒から5分の間、エッチングするために、80ミリトールの圧力で、O2:CF(95:5の比)のガス混合気、100ワットの電力で付加されることができる。したがって、表面内に、埋め込み型SU8先端が得られる。
【0137】
次の第3の代替のステップは、ポリマー層を形成するステップ220において図8に関連して述べた方法で説明したように、SU8封止層の堆積を含む。
【0138】
酸化202のステップにおいて、犠牲層の表面は、ホットプレート上で、40秒間200℃で酸化される。SU8 10μmおよびSU8 200μmを備える積層体は、SU8 200μmの現像ステップにおいて、SU8現像液への長い浸漬中に、銅犠牲層から剥離する傾向がある。SU8の銅に対する付着は、銅表面の弱酸化によって増加されることができる。
【0139】
Cuの酸化によるCuに対するSU8付着の改善についての利益は、Cu酸化物上でのPtの不十分な付着に関する欠点に関連する。その問題は、Pt蒸発の直前に1分間、酢酸10%で銅酸化物をエッチングすることによって解決される。ステップ2における銅酸化の継続時間は、酸化物厚さを最低限に、そしてその後、SU8 300nm封止層と犠牲層との間の段差高さの増加を制限するために、40秒に固定される。高過ぎるかまたは重要過ぎる段差は、Pt接触部の不連続性につながる可能性がある。
【0140】
ポリマー層を形成するステップ220において、ZnOパッシベーション層として働くことになる第1のSU8 300nm薄層がパターニングされる。SU8 2000.5フォトレジストは、30s間、4000rpm/s加速度で10000rpmの速度でスピンコーティングされ、390nm厚層をもたらす。レジストは、その後、ホットプレート上で、350℃/hランピングによって50℃から95℃までプリベークされる。レジストは、ホットプレートから取り除かれる前に、1分間、95℃のままにされる。露光は、2800mJ/cmのドーズ量および-12の光デフォーカシングを用いた直接レーザーリソグラフィ(Heidelberg MLA 150(TM)、レーザー波長λ=375nm)によって実施される。露光後ベークは、50℃から95℃(350℃/hランピング)まで実施され、ホットプレートから取り除かれる前に、1分間、95℃のままにされる。現像は、30秒間のイソプロパノール内でのリンス前に、10秒間、SU8現像液内で行われる。最終的なハードベークは、ホットプレート上で、15分間150℃で実施される。最後のプラズマエッチングステップ(Ar:O2)は、厚さを300nmに減少させるために使用される。
【0141】
示された金属電極を成長させるステップ240は、デフォーカシングを用いたレーザーリソグラフィによるフォトレジストパターニング242のサブステップを含む。デフォーカシングは、好ましくはネガティブデフォーカシングである。デフォーカシングは、金属電極上での傾斜エッジの形成を可能にする。電極は、台形断面を示すことができる。そのため、電気的連続性を提供することがより容易である。例証によれば、ネガティブデフォーカシングは、少なくとも:-8または-10または―12または-15である。
【0142】
Pt電極または他の金属の電極は、フォトレジストスピンコーティング、直接レーザー書き込みフォトリソグラフィ、金属堆積、およびリフトオフプロセスによってパターニングされる。2層の感光性レジストは基板上でスピンコーティングされる。第1のフォトレジスト層は、MicroChem(TM)からのLOR 3Aの350nm厚層である。スピンコーティングは、30秒間、4000rpm/s加速度で6000rpmで行われる。プリベークは、ホットプレート上で、5分間、115℃で実施される。第2のフォトレジスト層は、Microposit S1813(TM)の1.3μm厚層である。スピンコーティングは、60秒間、6000rpm/s加速度で4000rpmで実施される。プリベークは、ホットプレート上で、1分間、115℃で終了される。パターンは、91mJ/cmのドーズ量および-3の光デフォーカシングを使用する直接レーザー書き込みフォトリソグラフィ(Heidelberg MLA 150(TM)、レーザー波長λ=375nm)によって規定される。パターンは、露光後、40秒間、Microposit MF319(TM)現像液内で現像され、60秒間、脱イオン水内でリンスされる。
【0143】
金属電極を成長させるステップ240は、エッチングする244サブステップを含むことができる。エッチングする244サブステップは、基板を酸化させる202ステップ中に形成される酸化層を取り除くことを意図される。例えば、エッチングするサブステップ244は、銅酸化物フィルムを取り除くことができる。例証によれば、銅酸化物は、酢酸10%内で1分間局所的にエッチングされる。
【0144】
金属電極を成長させるステップ240は、金属電極、特に、それぞれの金属電極を形成する246または堆積するサブステップを含むことができる。Ti5nm/Pt100nmの層は、電子ビーム蒸着によってまたはPVDスパッタリングによって、パターニングされたフォトレジストの上部で成長される。PVDスパッタリングまたはスパッタリングによる物理気相堆積は、それ自体よく知られている技法であり、さらに詳述されない。
【0145】
方法の非常に重要なポイントは、SU8封止層上の検知用櫛歯状電極と銅犠牲層上の大きいバウンディングパッドとの間の堆積されたプラチナ連続性を保つことである。これは、段差電極の電気的連続性を維持するために必須である。困難さは、SU8封止層エッジにおける300nmの急峻段差から生じる。その問題は、レジスト表面から数ミクロンだけレーザー焦点化ポイントをシフトさせるマスクなしアライナー能力を利用することによって解決された。レーザー非焦点化は、はっきり規定されないパターンエッジをもたらす。MLA 150レーザーリソグラフィデフォーカシング能力のこの転用用途は、極めてポジティブな傾斜(台形形状)を有するレジストエッジを得ることを可能にし、プラチナ連続性に有利に働く。
【0146】
金属電極を成長させるステップ240は、フォトレジストパターニング242のサブステップにて形成されたマスクを取り除くために、リフトオフ248のサブステップを含むことができる。非限定的な方法で、リフトオフ248のステップは、MicroChem(TM)からのリムーバーPG溶媒の槽内にウェハを30分間浸漬させることによって実行される。ウェハは、リムーバーPG、アセトン、およびイソプロパノールによってリンスされる。
【0147】
活性層を成長させるステップ260は、パッシベーション層、例えば、次のステップ中の銅化学エッチングを回避するためのパッシベーション層を形成する262サブステップを含む。銅犠牲層は、ZnOのエッチング中に銅犠牲層がエッチングされることを防止するために、フォトレジストによってパシベートされる。S1813の層は、基板上でスピンコーティングされ、100mJ/cmのドーズ量を使用する直接レーザー書き込みフォトリソグラフィ(Heidelberg MLA 150(TM)、レーザー波長λ=375nm)によってパターニングされる。パターンは、露光後に、60秒間、Microposit MF319(TM)現像液内で現像され、60秒間、脱イオン水内でリンスされる。
【0148】
活性層を成長させる260ステップは、活性層を形成するステップとすることができる。活性層を成長させる260ステップは、活性層の堆積264サブステップを含むことができる。ソフト酸素/アルゴンプラズマ前処理は、電極表面から有機残留物を取り除くために20秒間実施される。このステップは、適切なショットキー界面を得るために重要である、良好なZnO/PtおよびZnO/SU8界面品質を保証するために使用される。ZnOの300nm層は、その後、全基板表面上に、原子層堆積、ALDによって成長される。60℃から100℃までの成長温度は、定着剤なしで使用される。
【0149】
ALD技法は、基板上への薄フィルムの堆積のための表面反応に基づき、したがって、この基板を変更することは主要な課題となる。重要な技術的要件は、基板の劣化を回避するために、ALDプロセスの堆積温度に関連する。架橋結合後のSU8のガラス転移温度が約200℃に位置するため、後続のALDプロセスは、リフロー現象を防止するために、この温度未満で実施されるべきである。さらに、ZnOの堆積に先立って、ソフト酸素/アルゴンプラズマであるプラズマ前処理が、SU8表面に適用された。この前処理の目標は、表面酸化を誘起することによってその濡れ性を増加させることである。プラズマ内に含まれる小量の酸素は、ポリマー基板上での意味のあるエッチング効果および化学的上位成分変化を有する。
【0150】
例えば、堆積264のサブステップ中に、活性層を成長させる260ステップは、分子酸素ガスパルシングのサブステップを含む。分子酸素ガスパルシングのサブステップまたはそのプロセスは、1秒から5秒に及ぶ時間長を含む。
【0151】
ALDによって作られた圧電半導体薄層は、ダイオード接合の直列抵抗だけでなく、自由キャリアの移動度および密度ならびに結晶構造とZn:O化学量論的組成との間の相互作用による材料の内部の抵抗率をも調節する重要なステージを示す。
【0152】
ポリマー表面の上部での成長の所与の温度について、これらの電子パラメータを制御するために、ALD処理のサイクルにおいて分子酸素ガスパルシングの使用が導入される。
【0153】
プロセスの好ましい実施形態によれば、堆積サイクルは、不活性パージガスとしてアルゴンを使用している間の、ジエチル亜鉛、DEZ(diethylzinc)、パルスと、それに続く、脱イオン水のパルスを含む。この節で提示されるプロセスの変形は、DEZパルスと脱イオン水パルスとの間における分子酸素ガスパルスの導入を含む。分子酸素ガスパルスのパージング時間は、ALD反応器の内部での考えられる任意の寄生CVD反応を回避するために、20sに設定される。使用される分子酸素ガスの純度に対して特別の注意が払われた。グローバル純度≧99.9995%モルおよびH2O≦0.5ppm.molを有するAlphagaz2酸素が使用された。酸素ガス搬送ラインは、水分汚染とDEZとの間のいずれの望ましくない反応も回避するために、カートリッジによって濾過された。
【0154】
ALDプロセス内への分子酸素の組み込みは、100℃以上の温度の微細柱状結晶に関する好ましい(002)結晶配向につながる。転移は100℃未満で起こり、(100)、(002)、および(101)結晶配向の間で共有された、粒子配向の異なる分布が観測されることができる。これは、基板に平行なくさび様形状結晶の分布および基板に垂直な微細柱状結晶の分布を示すSEM上面図画像によってさらに確認される。
【0155】
酸素ガスによって堆積されたZnO薄フィルムについての抵抗率の実質的な増加に気付くことができ、その増加は、酸素空孔の濃度の減少に起因する。これは、酸素ガスを使用して堆積されたZnO薄フィルムのO:Zn比によってさらに確認され、そのO:Zn比は、酸素ガスなしのZnO薄フィルムのO:Zn比より優れている。抵抗率のこの増加は、このセラミック薄フィルムの圧電効率を増加させることによって、漏洩電流を有利に減少させる。
【0156】
ピエゾトロニックひずみセンサについての圧電ベース用途に関して、ZnO薄フィルムは、最大出力電圧を保証するために、高い抵抗率と共に好ましい(002)結晶配向-または低い漏洩電流-を呈することが要求される。そのため、このALDプロセスは、分子酸素ガスを組み込むことによって、堆積されたZnO薄フィルムの構造的および電気的特徴を調節することを可能にし、100℃を超える温度についての圧電用途のために適合された特性を有する。酸素ガスによって堆積されたZnOは、急激な熱可塑性変形に対する感度が高いことが見出された。この現象は、基板に垂直な、そのよく規定された柱状結晶構造によって説明されることができる。この現象は、異なる熱膨張係数を有する材料が含まれるプロセス中のベーキング運転によって主に誘起される。
【0157】
活性層を成長させるステップ260は、活性層上でマスクを形成する266サブステップを含むことができる。
【0158】
ZnOマイクロパッドは、レジストマスクを通した化学ウェットエッチングによって画定される。レジストマスクは、100mJ/cmのドーズ量を使用する直接レーザー書き込みフォトリソグラフィ(Heidelberg MLA 150(TM)、レーザー波長λ=375nm)によってパターニングされた、スピンコーティングされた1.3μmS1813フォトレジスト層を備える。パターンは、露光後に、60秒間、Microposit MF319(TM)現像液内で現像され、60秒間、脱イオン水内でリンスされる。
【0159】
活性層を成長させるステップ260は、例えば、活性層上のマスクから離れて、活性層をエッチングする268サブステップを含む。活性層は、金属電極間に、そしておそらくは、金属電極上に保たれる。その後、活性パッドが、電極と接触状態で設けられる。ZnOエッチングは、2分間、FeCl:HO 740mMol溶液によって実施される。エッチングマスクは、16μm横方向等方性エッチングを補償するために拡大される。
【0160】
活性層を成長させるステップ260は、マスクを取り除く269サブステップを含む。レジストマスクは、アセトンでエッチングした後に取り除かれる。
【0161】
少なくとも1つの片持ち梁、部材、またはアームを形成するステップ280は、活性層の厚さとポリマー層の厚さの加算に等しい厚さを有する下ポリマーフィルムを形成する第1のサブステップ;および、下ポリマーフィルム上で、および活性層上に上ポリマーフィルムを形成する第2のサブステップを含むことができる。上ポリマーフィルムを形成する第2のサブステップは、活性層を覆うステップとすることができる。上ポリマー層は、活性層上で形成または成長される。
【0162】
片持ち梁は、10μm厚SU8エポキシフォトレジスト層から直接レーザー書き込みフォトリソグラフィによってパターニングされる。SU8 3010は、2つの連続するステップにおいてスピンコーティングされる。第1のステップには、5秒間の100rpm/s加速度による500rpm速度がある。第2のステップには、30s間の300rpm/s加速度による2600rpm速度がある。プリベークは、周囲温度から65℃までランプアップされたホットプレート上で実施され、ウェハは、5分間65℃のままにされる。ウェハは、その後、95℃までランプアップされ、7分間、95℃のままにされ、そして、周囲温度までランプダウンされる。使用される全てのランプは、150℃/hに設定される。露光は、1015mJ/cmのドーズ量および+3の光デフォーカシングを使用する直接レーザー書き込みフォトリソグラフィ(Heidelberg MLA 150(TM)、レーザー波長λ=375nm)によって実施される。露光後ベークは、プリベークと同じ方法で実施され、ウェハは、2分間65℃にそして4分間95℃のままにされる。パターンは、SU8現像液の2つの槽を使用して現像される。現像は、第1の槽内での2分15秒、第2の槽内での15秒、そして、イソプロパノール内でのリンシングの15秒後に達成される。SU8は、最後に、架橋結合を終了し、ひずみを解放するために、ホットプレート上で45分間150℃でベークされる。
【0163】
少なくとも1つの片持ち梁を形成するステップ280中にまたはその後に、プロセスは、チップ本体としても指定されるポリマー本体を形成するステップ(示されない)を含むことができる。
【0164】
チップ本体は、SU8エポキシフォトレジスト層から直接レーザー書き込みフォトリソグラフィによってパターニングされることもできる。このステップのために使用されるSU8は、200μm厚である。SU8 100は、2つの連続ステップでスピンコーティングされる。第1のステップには、10秒間の100rpm/s加速度による500rpm速度がある。第2のステップには、80s間の300rpm/s加速度による1250rpm速度がある。ウェハは、レジストの平坦化を可能にするために、12時間、周囲条件にあるままにされる。プリベークは、周囲温度から65℃までランプアップされたホットプレート上で実施され、ウェハは、30分間65℃のままにされる。ウェハは、その後、95℃までランプアップされ、100分間、95℃のままにされ、そして、周囲温度までランプダウンされる。ランプアップは、180℃/hに設定され、ランプダウンは120℃/hに設定される。露光は、2000mJ/cmのドーズ量および+20の光デフォーカシングを使用する直接レーザー書き込みフォトリソグラフィ(Heidelberg MLA 150(TM)、レーザー波長λ=375nm)によって実施される。露光後ベークは、プリベークと同じ方法で実施され、ウェハは、5分間65℃にそして25分間95℃のままにされる。パターンは、現像されるマイクロ構造の残留物汚染を回避するために、SU8現像液の3つの槽を使用して現像される。現像は、第1の槽内での45分、第2の槽内での5分、第3の槽内での1分、そして、イソプロパノール内でのリンシングの30秒後に達成される。SU8は、最後に、架橋結合を終了し、ひずみを解放するために、ホットプレート上で18時間の間、キャップを伴う状態で60℃でベークされる。
【0165】
剥離する最終ステップ290において、センサは、室温で数時間の間、銅犠牲層のFeCl:HO 740mMol内での化学エッチングによってシリコンウェハから剥離される。
【0166】
熱ショックは、ZnOの堆積後のプロセス中に回避されなければならない。堆積264のサブステップから、全てのベーキング運転は、180℃/h未満のランプを付加することによって実施される、または、可能であるとき、ベーキングはない。活性層上にマスクを形成する266サブステップの場合、ZnOエッチングマスクとして働くS1813フォトレジスト層は、リソグラフィ前に1日、スピンコーティングされる。プリベークは、周囲条件における終夜の溶媒蒸発に置き換えられる。少なくとも1つの片持ち梁を形成する280ステップおよび後続のステップ(複数可)におけるハードベークは、周囲温度から150℃までの180℃/hランピングによって実施される。
【0167】
図9A図9B、および図9Cは、(a)100℃、(b)80℃、および(c)60℃の堆積温度において基板上で成長したZnO薄フィルムの、走査型電子顕微鏡法、SEM、上面図画像、および、関連する斜入射X線回折、GI-XRD(grazing incident x-ray diffraction)、回折パターン(ω=0.3°)を示す。得られたZnOフィルムは、同じ数のALDループ(1000ループ)によって堆積された。スケールバーは300nmに対応する。
【0168】
図9A-9Cは、図9Aの100℃、図9Bの80℃、および図9Cの60℃の堆積温度における、関連する斜入射X線回折、GI-XRD、を用いた、参照基板上で原子層堆積、ALDによって成長したZnO薄フィルムのSEM上面図画像を提示する。堆積されたZnO薄フィルムは多結晶である。100℃の温度にて、(100)、(002)、および(101)結晶配向の間で共有された、粒子配向の異なる分布が観測されることができる。
【0169】
図10は、100℃、80℃、および60℃において、75μm厚ポリマー基板上部で成長したZnOフィルムのGI-XRD回折パターン(ω=0.3°)を示す。
【0170】
堆積されたZnO薄フィルムは多結晶である。100℃の温度にて、(100)、(002)、および(101)結晶配向の間で共有された、粒子配向の異なる分布が観測されることができる。これは、この温度における、基板に平行なくさび様形状結晶の分布および基板に垂直な微細柱状結晶の分布を示すSEM上面図画像によってさらに確認される。しかしながら、転移は、堆積温度が低下しているときに起こり、(002)結晶配向は、80℃で実質的に増加し、60℃で支配的になる。これは、微細柱状結晶が、堆積温度が低下する場合、かなり増加するという外見と適合する。これは、より低温で得られるZnO薄フィルムのモーフォロジの有意の変化をもたらし、粒子は、c軸に沿って、基板に垂直な(002)方向に主に配向し、それは、圧電用途にとって特に重要である。
【0171】
図11は、上部表面のAr+エッチング後に、薄フィルムのバルクで得られた、80℃でALDによって堆積されたZnO薄フィルムのXPSサーベイスペクトルを示す。
【0172】
XPSサーベイスペクトルは、80℃でALDによって堆積されたZnO薄フィルムのインバルク(in bulk)に対応する。深さプロファイリングのためのAr+イオンビームの使用によるAr+イオン注入に関連するAr 2sおよびAr 2pピークと別に、全ての他のピークは、ZnおよびO化学元素に関連し、それは、他の元素の有意のレベルの汚染がない状態での、高品質のALDによる作成済みZnO薄フィルムを裏付ける。これらの条件で堆積されたZnO薄フィルムについてのXPS深さプロファイリングによって得られたO:Zn原子比の進展が、図12に表示される。
【0173】
図12は、異なる堆積温度についての、ALDによる作成済みZnO薄フィルムのためのXPS深さプロファイリングによって得られたO:Zn原子比の進展を示すグラフを示す。
【0174】
O:Zn比は、60℃と120℃との間の研究された全ての温度について1に近く、それは、上記で述べた陳述をさらに裏付ける。その比は、温度が、150℃より高い値まで増加すると減少すると予想される。そのため、低温におけるALDによるZnO薄フィルムの堆積は、特権的化学量論的成長(privileged stoichiometric growth)につながり、ZnO欠陥、より正確には、酸素空孔および格子間亜鉛の形成がかなり減少する。その結果、大きい抵抗率、低いキャリア濃度、および適切な電子移動度を有する、ショットキー挙動のためによく適合したパラメータを呈するZnO薄フィルムがもたらされる。
【0175】
図13は、本発明によるセンサの場合の、SU8ポリマー表面上での異なる堆積温度についての、ALDによって成長したZnO薄フィルムの抵抗の進展を示すグラフである。横軸は、摂氏温度で表された堆積温度を示す。縦軸は、酸化亜鉛層の抵抗を示す。抵抗はオームで表され、対数スケールによって提供される。抵抗は、1mmだけ離間した同じ2つのタングステン先端プローブを有する電位計システム(Keithley 6517B(TM))によって測定される。例えば、酸化亜鉛を含む活性層の抵抗率は、温度と共に減少する。
【0176】
図14は、本発明によるセンサについての異なる周波数における異なるACバイアス電圧についてのゲージ率進展のグラフである。ゲージ率は、センサの変換感度(適用ひずみの相対的変化に対する相対的出力電流変化)をトラデュースする。
【0177】
明白な傾向は、研究された全ての周波数について、バイアス電圧を増加させる間に、ゲージ率値が増加するために識別されることができる。最高のゲージ率値は、センサの非線形挙動を促進する10Vのバイアス電圧について150と評価された。ALD堆積温度を60℃まで減少させることは、ZnO薄フィルムの抵抗率の実質的な増加につながり、センサ電流値の減少を伴う。このより低い温度において、センサは、典型的には、適用バイアス電圧が25Vまで増加した間に、数十から数百ナノアンペア範囲内で動作する。これは、センサの電力消費をマイクロワットレベルまで下げることを可能にする。同じ傾向は、ゲージ率の非線形挙動および増加が共に、より高いバイアス電圧で促進されるために識別されることができる。
【0178】
図15は、本発明による、センサの片持ち梁内に配置されたピエゾトロニックひずみマイクロセンサの出力電流対入力バイアス変換応答を示すグラフである。ZnO薄フィルムは、80℃でALDによって堆積される。バイアス電圧は、信号対雑音比を改善するために100HzでAC変調される。
【0179】
電流応答は、計装チェーン用の使用可能な電圧信号を得るために、トランスインピーダンス増幅器によって増幅される。電流応答は、非線形であり、ダイオード接合について従来通りの明確な整流挙動を示す。センサ応答は、順方向と逆方向の両方のバイアスについて常に対称であり、それは、バック・トゥ・バックダイオードの場合、同じ金属電極を使用する対称ダイオード界面を有するデバイスに典型的である。低温堆積に関連するセンサの高い抵抗率のせいで、与えられるバイアス電圧は、非線形挙動をさらに促進させるために、10ボルトまで実質的に増加されなければならない。50μWより小さい電力消費が、その後報告されている。そのため、ピエゾトロニックセンサは、ミリワット範囲内で動作する従来のピエゾ抵抗および静電容量センサと比較して、低電力消費検知技術についての有望な候補に見える。
【0180】
片持ち梁のクランプエリア内で生成されるひずみεは、以下の式:
ε=3/2・[{(t-ts)・(2L-Ls)}/{L}]・d
を使用して計算された。ここで、tは片持ち梁厚さであり、tsはセンサ厚さであり、Lは片持ち梁長さであり、Lsはセンサ長さであり、dは、走査型プローブおよび力分光法運転中に、Z軸ピエゾステージ(PI(TM)GmbHシステム)オブジェクトによって与えられる力の(長さLにおける)接触ポイントに対して片持ち梁に相対的に適用される偏位である。
【0181】
以下の式は、電流Iの相対的変化の機械的ひずみεに対する
比の絶対値に基づいて、ゲージ率の計算のために使用された:
GF=|{ΔI/I0}・{1}/{ε}|
ここで、I0は所与のバイアスについての定常状態の電流であり、ΔIは、同じ適用バイアスについての、所与のひずみε下での電流の変化である。このひずみは、上記式を使用して計算された、片持ち梁センサのクランプ端で生成されるひずみに対応する。
【0182】
これらの考察に基づいて、ゲージ率値は、80℃のALD堆積温度で処理された300nmのZnO層を有するセンサに与えられたバイアス電圧ならびにバイアス周波数をスイープすることによって計算された。
【0183】
本発明の全ての開示される実施形態において、高い仕事関数の金属、および、ZnO層等の半導体薄フィルムであって、ZnO薄フィルムが有利な(002)x軸配向を示す、半導体薄フィルムを備える接合を形成することによって、機械的ひずみに応答するショットキー接触を得ることが好ましい。ショットキー接合を得ることは、妥当な自由キャリア濃度Ndを得るために、高い仕事関数の金属、および、ZnO薄フィルムの半導体特性の制御に共に依存する。半導体特性は、Nd(1016と1017cm-3との間にあるべきである)およびバンドギャップEg≒3.3eV(300Kにおける)に依存する。同時に、ZnOについての高い圧電係数は、表面上での多結晶ZnO薄フィルムの有利な(002)c軸配向によって達成される。得られる電気パラメータは、実験(I-V)特性のバックワードスイープ内への非線形フィッティングによって決定されることができる。逆バイアスされたショットキー接合を通した伝導メカニズムを記述する式によるフィッティングは:
【数1】
である。
【0184】
本発明の範囲内の種々の変更および修正が当業者に明らかであるため、特定の好ましい実施形態の詳細な説明が、単に例証によって与えられることが理解されるべきである。保護の範囲は、特許請求項の添付セットによって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】