(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】自動食器洗浄方法及びパック
(51)【国際特許分類】
C11D 11/00 20060101AFI20230824BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20230824BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20230824BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20230824BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230824BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C11D11/00
C11D1/90
C11D3/30
C11D3/04
C11D3/20
C11D3/386
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506559
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020070354
(87)【国際公開番号】W WO2022031312
(87)【国際公開日】2022-02-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】グレイ、ニーナ・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】アーヴァイン、ルイーズ・エイミー
(72)【発明者】
【氏名】デルプランケ、パトリック・フィルミン・アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン、エマ
(72)【発明者】
【氏名】クローチェ・マゴ、ヴァニア
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003DA19
4H003DB01
4H003DB02
4H003EA16
4H003EA20
4H003EB06
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB20
4H003EB24
4H003EC01
4H003ED29
4H003FA28
(57)【要約】
家庭用食器洗浄機内で食器を洗浄する方法であって、食器洗浄機に食器を入れるステップと、第1の高アルカリ組成物を食器洗浄機に供給して、11以上のpHを有する第1の洗浄液を生成するステップと、第2の低アルカリ度組成物を食器洗浄機に供給して、11未満のpHを有する第2の洗浄液を生成するステップと、食器を第2の組成物に供する前に第1の組成物に供するステップと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用食器洗浄機内で食器を洗浄する方法であって、
a)前記食器洗浄機に前記食器を入れるステップと、
b)第1の高アルカリ組成物を前記食器洗浄機に供給して、11以上のpHを有する第1の洗浄液を生成するステップと、
c)第2の低アルカリ度組成物を前記食器洗浄機に供給して、11未満のpHを有する第2の洗浄液を生成するステップと、
d)前記食器を第2の組成物に供する前に第1の組成物に供するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記食器が、前記第2の組成物に供される少なくとも3分前に前記第1の組成物に供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の洗浄液の初期pHを一定に維持するために前記第1の洗浄液が生成された後にアルカリ源を供給する更なるステップを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、予備洗浄及び主洗浄を有するプログラムを使用することを含み、前記第1の組成物が前記予備洗浄に供給され、前記第2の組成物が前記主洗浄に供給される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の洗浄液の最高温度が周囲温度であり、前記第2の洗浄液の最高温度が周囲温度よりも高い、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の組成物がアルカリ金属水酸化物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の組成物が酵素を含み、前記第1及び第2の組成物が漂白剤を含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の組成物又は前記第2の組成物が、アルカノールアミン、グリコールエーテル及び錯化剤を含む混合物を含み、好ましくは、前記混合物が、トリエタノールアミン、ジプロピレングリコールブチルエーテル及びメチルグリシン二酢酸の塩を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の組成物が前記混合物を含み、前記方法がショートプログラムを使用することを含むか、又は前記第2の組成物が前記混合物を含み、前記方法がロングプログラムを使用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の組成物がアルキルアンホカルボキシレート界面活性剤を更に含み、前記アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤中の前記カルボキシレート基が2から4個の炭素原子を含み、前記アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤中の前記アルキル基が6から24個の炭素原子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤が、ココアンホ酢酸ナトリウムを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の洗浄液の最高温度が30℃以上である、請求項10から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第1の組成物又はその一部を含む第1の区画、及び第2の組成物又はその一部を含む第2の区画である少なくとも2つの異なる区画を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法における使用に適した自動食器洗浄パック。
【請求項14】
請求項13に記載のパックが前記食器洗浄機の内部に配置され、前記第1及び第2の組成物を複数の自動食器洗浄プログラムに投入する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
茶の染み除去を提供するための請求項7に記載の方法の使用、又は調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの除去を提供するための請求項8から12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄の分野に属する。特に、本発明は、効果的な洗浄、特に茶の洗浄及び/又は調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れなどの頑固な食品汚れの除去を提供する方法に関する。本方法は、漂白剤が存在しない場合であっても、そして硬水中で使用される場合であっても、茶の染みの良好な除去を提供する。また、本発明の方法において使用するためのパックも提供される。
【背景技術】
【0002】
茶の染み、及び食器からの調理済み汚れ、焼き付け汚れ及び焦げ汚れなどの頑固な食品汚れの除去は、自動食器洗浄において繰り返し問題となるようである。
【0003】
国際公開第2020/104611(A1)号パンフレットは、漂白剤を使用しない自動食器洗浄において汚れ、特に茶の染みを除去する方法を提供している。本方法は、40℃未満の温度で第1の洗浄剤を放出することと、主洗浄サイクル中の食器洗浄機内部の温度が所定の温度閾値を超えた場合に、主洗浄サイクル中に主洗浄剤を放出することと、を含む。
【0004】
本発明の目的は、茶の染み除去のための代替方法を提供することである。
【0005】
自動食器洗浄洗剤の配合者は、洗剤の性能を改善する方法を継続的に模索している。調理済み汚れ、焼き付け汚れ、焦げ汚れは、除去するのが最も困難な汚れの1つである。食器から調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れを除去することは、機械的作用の前に汚れた食器を浸す必要があり得る。明らかに、自動食器洗浄プロセスだけでは、調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れを十分に除去することはできない。特に、肉、卵及び乳製品などのタンパク質を含有する調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れである。洗剤がリン酸塩を含まない場合、調理済み汚れ、焼き付け汚れ、焦げ汚れの除去はより困難である。欧州特許出願公開第3 339 410(A1)号は、食器からの調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの除去を改善するためのアルキルアンホカルボキシレート界面活性剤の使用を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2020/104611(A1)号
【特許文献2】欧州特許出願公開第3 339 410(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、別の方法を提供すること、又は調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの除去を更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、家庭用食器洗浄機内で食器を洗浄する方法が提供される。本方法は、以下のステップ、すなわち、
a)食器洗浄機に食器を入れるステップと、
b)第1の高アルカリ組成物を食器洗浄機に供給して、11以上、好ましくは11.5以上、より好ましくは約12以上のpHを有する第1の洗浄液を生成するステップであって、好ましくは、高アルカリ組成物が、アルカリ金属水酸化物を含む、生成するステップと、
c)第2の低アルカリ度組成物を食器洗浄機に供給して、11未満、好ましくは9を超えるpHを有する第2の洗浄液を生成するステップと、
d)食器を第2の組成物に供する前に第1の組成物に供するステップと、を含む。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、自動食器洗浄パックが提供される。パックは、本発明の方法における使用に適している。パックは、少なくとも2つの異なる区画を備え、第1の区画は、洗浄水に添加された場合に11を超えるpH、好ましくは約12以上のpHを提供することができる第1の高アルカリ組成物を含み、第2の区画は、洗浄水に添加された場合に11未満、好ましくは約9以上のpHを提供することができる第2の低アルカリ度組成物を含む。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、茶の染み除去及び/又は調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの除去を提供するための本発明の方法の使用が提供される。
【0011】
本発明の第1の態様の要素は、本発明の第2の態様及び第3の態様に準用される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、食器洗浄機内で食器を洗浄する方法、この方法において使用するパック、及び茶の染み除去及び/又は調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの除去を提供するための方法の使用を包含する。本方法は、家庭用食器洗浄機内で行われる。
【0013】
自動食器洗浄機は、家庭用又は商業用/施設用の機械タイプであってもよい。一般に、違いは、サイズ、処理量、及び食器洗浄プロセスの期間に関する。これは、機械が非常に異なる方法で設計されていることを意味することができる。産業用/機関用機械は、家庭用機械と比較してはるかに短いがよりエネルギー集約的な(例えば、より高い温度)サイクルを有することが多く、及び/又ははるかに積極的な化学的性質を使用する。
【0014】
典型的には、これらは、効果的に機能するために処理された汚れとの一定の接触時間を必要とし、商業的サイクル時間が短すぎるため、酵素を使用しない。市販の食器洗浄機の場合、機械は、食器が食器洗浄機の単一又は複数のタンクを通って移動するコンベヤシステムに基づくことができるが、家庭用機械では、食器は、一般に、食器洗浄機の内側の1つのタンク内で常に静止したままであり、全ての洗浄ステップがその単一のタンク内で行われる。家庭用食器洗浄では、漂白剤及び酵素を洗剤に含めることが従来から行われている。
【0015】
本明細書における「食器」とは、調理器具、食器類及び食卓用食器類、すなわち、食器洗浄機内で通常洗浄される食品及び飲料の調理及び提供に関連する全ての品目を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。具体的に述べられていない限り、又は文脈がそうでないことを要求していない限り、本明細書に記載の実施形態は、本発明の全ての態様に等しく適用される。記載されているパーセンテージは、具体的に述べられていない限り、又は文脈がそうでないことを要求していない限り、重量による。
【0017】
特に明記されない限り、全ての測定は、25℃で実施される。
【0018】
本発明の方法
本発明の方法は、家庭用食器洗浄機内で実行される以下のステップ、すなわち、
a)食器洗浄機に食器を入れるステップと、
b)第1の高アルカリ組成物を食器洗浄機に供給して、食器洗浄機を、11以上、好ましくは11.5超、より好ましくは約12以上、特に約12のpHを有する第1の洗浄液に供するステップと、
c)第2の低アルカリ度組成物を食器洗浄機に供給して、食器洗浄機を、11未満、好ましくは約9以上のpHを有する第2の洗浄液に供するステップと、を含む。
【0019】
第1の組成物は、第2の組成物の前に食器洗浄機に供給され、好ましくは、第1の組成物は、第2の組成物の前に少なくとも3分、好ましくは少なくとも5分供給される。第1の洗浄液は、淡水を導入して第2の洗浄液を形成する前に排出されることができる。あるいは、第2の洗浄液は、第1の洗浄液に第2の組成物を添加することによって形成されることができる。この場合、中和剤を添加する中間ステップが好ましい。好ましくは、酸が添加されることができる。本明細書において使用するための好ましい酸はクエン酸である。
【0020】
第1の洗浄液のpHは、汚れた食器に由来する汚れの存在によって低下されることができ、脂肪などの汚れの一部は酸性の性質であり、第1の洗浄液のpHを低下させる。pHが一定に維持されると、より良好な洗浄が得られるようである。「一定」とは、本明細書では、食器が第1の洗浄液に曝されている時間の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の間、pHが0.5pH単位を超えて、好ましくは0.3pH単位以下変化しないことを意味する。
【0021】
好ましくは、第1の洗浄液のpHは、アルカリ化剤の反復添加によって、より好ましくは水酸化ナトリウムなどのアルカリ源を添加することによって一定に維持される。
【0022】
本出願の文脈では、「食器洗浄プログラム」は、好ましくは、主洗浄サイクルに加えて、予備洗浄、予備すすぎ及び/又はすすぎサイクルを含み、食器洗浄機のプログラムスイッチによって選択及び作動されることができる完成した洗浄プロセスである。洗浄プログラムの持続時間は、有利には少なくとも15分、有利には20~360分、好ましくは20~90分である。本出願の意義の範囲内で、「ショートプログラム」は60分未満継続し、「ロングプログラム」は60分以上継続する。
【0023】
家庭用食器洗浄機は、通常、ある程度まで乾燥した汚れた食器を洗浄するための、基本的な洗浄プログラム、非常に汚れた食器を洗浄するための、又は特に除去が困難な食物残渣(非常に乾燥した又は焦げた染み)の場合の、集中的な洗浄プログラム、汚れの少ない食器又は食器の部分量を洗浄するためのエコノミー洗浄プログラム、部分的な食器量のより速い洗浄が望まれる場合の、前のサイクルのような洗浄のための高速洗浄プログラム、などの複数のプログラムを提供することができる。各プログラムは、複数の連続するステップを含む。通常、1回又は2回の低温予備洗浄サイクル、洗浄サイクル(主洗浄としても知られる)、低温すすぎサイクル、高温すすぎサイクル、及び必要に応じて乾燥サイクルである。プログラムの異なるサイクルの間、異なる組成物が食器洗浄機の水に添加されて、洗浄を助けることができる。好ましくは、第1の組成物は、予備洗浄に供給され、第2の組成物は、主洗浄サイクルに供給される。
【0024】
選択された食器洗浄プログラムの過程で、家庭用食器洗浄機は、一般に、予備洗浄、主洗浄、中間すすぎサイクル、最終すすぎサイクル、次いで乾燥サイクルなどの1つ以上のサイクルを実行してプログラムを終了する。それぞれのサイクルの間、洗浄液は、回転噴霧アーム、固定噴霧ノズル、例えばトップ噴霧ヘッド、可動噴霧ノズル、例えばトップスピニングユニット、及び/又は他の何らかの液体分配装置によって、食器洗浄機キャビティの処理チャンバ内に分配され、特に噴霧され、ここで洗浄液は、少なくとも1つの装填ユニット、例えば好ましくは取り外し又は引き出し可能な引出しラック又は刃物引出しに支持される食器及び/又は刃物などの洗浄される品目に塗布される。この目的のために、食器洗浄機には、好ましくは、作動循環ポンプによって少なくとも1つの供給ラインを介して洗浄液が供給され、当該洗浄液は、食器洗浄機キャビティの底部、好ましくは凹部、特に汚水だめ内に収集される。それぞれの液体誘導洗浄サブサイクル中に洗浄液が加熱されなければならない場合、洗浄液は、加熱設備によって加熱される。これは、循環ポンプの一部とすることができる。それぞれの液体誘導洗浄サブサイクルの終わりに、各事例における食器洗浄機キャビティの処理チャンバ内に存在する洗浄液の一部又は全部が、排水ポンプによって汲み出される。
【0025】
第1の組成物は、好ましくはアルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムを含む。第1の組成物が洗浄水に添加されて、第1の洗浄液を形成する。第1の洗浄液は、11を超える、好ましくは11.5を超える、より好ましくは約12以上のpHを有する。pHを一定に維持するために、追加のアルカリ金属水酸化物が第1の洗浄液に添加されることが好ましい。好ましくは、pHは少なくとも2分間、より好ましくは少なくとも3分間一定に維持される。
【0026】
本発明の組成物のpHは、20℃の蒸留水中の1%重量/体積水溶液中で測定されることができる。
【0027】
好ましい実施形態では、第2の組成物は、酵素を含み、漂白剤、漂白触媒及び漂白活性化剤を含まない。驚くべきことに、漂白剤を使用しなくても、本発明の方法は、茶の染みの良好な除去を提供することが見出された。
【0028】
別の好ましい実施形態では、第1の組成物は、アルカノールアミン、グリコールエーテル及び錯化剤を含む混合物を含み、好ましくは、混合物は、トリエタノールアミン、ジプロピレングリコールブチルエーテル及びメチルグリシン二酢酸の塩を含む。この実施形態は、調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの良好な除去を提供する。ショートプログラムであってもそうである。
【0029】
別の好ましい実施形態では、第2の組成物は、アルカノールアミン、グリコールエーテル及び錯化剤を含む混合物を含み、好ましくは、混合物は、トリエタノールアミン、ジプロピレングリコールブチルエーテル及びメチルグリシン二酢酸の塩を含む。この実施形態は、特にロングプログラムにおいて、調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れの良好な除去を提供する。
【0030】
別の好ましい実施形態では、第1の組成物は、アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤を含む。アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤中のカルボキシレート基は、2~4個の炭素原子を含み、アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤中のアルキル基は、6~24個の炭素原子を含む。好ましくは、アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤は、ココアンホ酢酸ナトリウムを含む。好ましくは、第1の洗浄液の温度は30℃以上、より好ましくは40℃超である。驚くべきことに、アルキルアンホカルボキシレートが第2の組成物ではなく第1の組成物の一部である場合、より良好に調理済み汚れ、焼き付け汚れ、及び焦げ汚れが除去されることが見出された。この利点は、ショートプログラムであっても得られる。
【0031】
本発明のパック
本発明のパックは、本発明の方法の第1及び第2の組成物を含む。組成物は、少なくとも2つの別々の区画に提供される。パックは、3つ以上の区画、例えば、アルカリ金属水酸化物を含む第1の区画と、混合物を含む異なる区画とを有することができ、混合物は、アルカノールアミン、グリコールエーテル及び錯化剤及び/又はアルキルアンホカルボキシレート界面活性剤を含む。第2の区画は、酵素を含むことができ、異なる区画は、ビルダー及び/又は分散剤ポリマーを含んでもよい。パックは、そのまま食器洗浄機に挿入されることができ、又はその内容物が使用されて、食器洗浄機の既存の貯蔵リザーバを充填することができる。
【0032】
本発明の方法の組成物を含むパック又はリザーバは、食器洗浄機の内側又は外側に配置されることができる。食器洗浄機の内部に配置される場合、パック又は貯蔵リザーバは、自動食器洗浄機に一体化されることができ(すなわち、自動食器洗浄機に恒久的に固定された(内蔵された)貯蔵リザーバ)、自立型(すなわち、自動食器洗浄機の内部に挿入することができる独立した貯蔵リザーバ)とすることもできる。
【0033】
一体型貯蔵リザーバの例は、自動食器洗浄機のドアに組み込まれ、供給ラインによって食器洗浄機の内部に接続されたレセプタクルである。
【0034】
パックは、取り外し可能な投与装置として使用されることができる。投与装置は、例えば、パックと、制御された量の異なる組成物を異なる時間に、例えば予備洗浄及び主洗浄に放出することができる分配ユニットとを備える自動化ユニットとすることができる。異なる種類のハードウェアは、洗浄組成物の分配を制御するため、又はデータ処理ユニット、食器洗浄機、又はユーザが操作することができるモバイル装置若しくはサーバなどの外部装置と通信するための投与装置の一部とすることができる。
【0035】
パックは、特にそれが食器洗浄機の内部に配置される場合、非常に良好な熱安定性を有する。
【0036】
好ましくは、1~15、より好ましくは2~8グラムの第1の組成物が最初に供給され、続いて1~25、より好ましくは2~20グラムの第2の組成物がその後に供給される。第1及び第2の組成物が同じサイクルに供給される場合、1~5グラムの中和剤、好ましくは有機酸、より好ましくはクエン酸を添加することが好ましい。
【0037】
本発明にかかる好ましい方法は、組成物が食器洗浄機の内部に計量供給される前に、少なくとも2回、好ましくは少なくとも4回、特に好ましくは少なくとも8回、特に少なくとも12回の別々の食器洗浄プログラムの間、食器洗浄機の外側(例えば、国際公開第2019/81910号パンフレット)又は内側に位置する貯蔵リザーバ内に留まるようなものである。
【0038】
投与システムは、センサの入力に基づいて、必要な組成物の量を決定することができるセンサにリンクされることができる。使用されてもよいセンサは、pH、濁度、温度、湿度、導電率などを含む。食器洗浄機は、これを達成するためにデータ処理能力を必要としてもよい。食器洗浄は、他の装置への接続性を有することが好ましい。これは、wi-fi、モバイルデータ、ブルートゥース(登録商標)などの形態をとってもよい。これは、食器洗浄機が遠隔で監視及び/又は制御されることを可能にしてもよい。好ましくは、これはまた、機械がインターネットと接続することを可能にする。
【0039】
1つ以上のチャンバを含む好ましい貯蔵リザーバの容積は、10~1000mL、好ましくは20~800mL、特に50~500mLである。
【0040】
あるいは、第1の組成物は、食器が食器洗浄機に入れられる前に、噴霧の形態で食器に供給されることができる。噴霧された組成物は、洗浄水と接触すると第1の洗浄液を生じる。
【0041】
第1の組成物は、アルカリ源、好ましくはアルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムを含む。
【0042】
第1の組成物はまた、アルカノールアミン、グリコールエーテル及び錯化剤を含む混合物を含んでもよい。アルカノールアミンの典型的な例は、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどを含む。好ましくは、アルカノールアミンは、トリエタノールアミンを含む。好ましくは、アルカノールアミン及びグリコールエーテルは、3:1~1:3の重量比で混合物中に存在する。好ましくは、アルカノールアミンは、トリエタノールアミンを含む。グリコールエーテルは、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル及びそれらの混合物から選択される。本明細書において使用するための好ましいグリコールエーテルは、ジプロピレングリコールブチルエーテルである。好ましくは、アルカノールアミン及びグリコールエーテルは、3:1~1:3の重量比で混合物中に存在する。
【0043】
本明細書において使用するための好ましい錯化剤は、メチルグリシン二酢酸である。混合物は、好ましくは、トリエタノールアミン、ジプロピレングリコールブチルエーテル及びメチルグリシン二酢酸を含む。あるいは、混合物は、第2の組成物に使用されることができる。
【0044】
好ましくは、第1の組成物は、酵素を含まない。「含まない」とは、本明細書において、組成物が組成物の0.1重量%未満の酵素を含むことを意味する。
【0045】
アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤
第1の組成物は、アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤を含んでもよい。アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤は、任意の両性カルボキシレート界面活性剤を含む。両性界面活性剤は、塩基性官能基及び酸性官能基の双方を特徴的に含有する。界面活性剤内で、塩基性中心は、分子がモノカルボキシレートであるかジカルボキシレートであるかに応じて、第二級アミン基又は第三級アミン基のいずれかである。酸特性は、1つ以上のカルボキシレート基によって提供される。酸性溶液では、界面活性剤は、カチオン性アミン塩である。アルカリ溶液では、アニオン性カルボキシレート塩である。
【0046】
本発明の界面活性剤中のカルボキシレート基は、好ましくは2~4個の炭素原子を含み、より好ましくはカルボキシレート基は、酢酸塩、プロピオン酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の界面活性剤のアルキル基は、好ましくは6~24個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を含み、アルキル基は、好ましくはカプリル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸から生じる。好ましくは、アルキル基は、ヤシ油から生じる。
【0047】
好ましくは、アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤は、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジプロピオネート及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ココアンホ酢酸ナトリウム、ナトリウムラウロアンホアセテート、ジナトリウムココアンホジアセテート、ナトリウムカプリロアンホプロピオネート、ジナトリウムカプリロアンホジプロピオネート及びそれらの混合物からなる群から選択される。ココアンホ酢酸ナトリウムは、本明細書において使用するための好ましいアルキルアンホカルボキシレート界面活性剤である。
【0048】
本発明に従って使用されてもよい市販のアルキルアンホカルボキシレート界面活性剤は、Stepan Companyによって販売されているAMPHOSOL(登録商標)1C、Solveyによって販売されているMACKAM(登録商標)HPC 32L及びMACKAM(登録商標)2CY-75及びMIRANOL(登録商標)Ultraを含む。
【0049】
アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤は、好ましくは、第1の組成物の0.5~10重量%、より好ましくは0.5~2重量%の範囲の量で存在する。
【0050】
第2の組成物
第2の組成物は、好ましくは酵素、及び任意であるが好ましくは錯化剤、ポリマー、無機ビルダー(好ましくは炭酸塩及びケイ酸塩)非イオン性界面活性剤などを含む。いくつかの実施形態では、第2の組成物は、漂白剤、漂白触媒及び漂白活性化剤を含まない。
【0051】
錯化剤
錯化剤は、硬質イオン、特にカルシウム及び/又はマグネシウムを隔離することができる物質である。
【0052】
第2の組成物は、メチルグリシン-N,N-二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、クエン酸、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、その塩及びそれらの混合物からなる群から選択される錯化剤の組成物の15重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~35重量%を含んでもよい。本明細書での使用にとりわけ好ましい錯化剤は、MGDAの塩、特にMGDAの三ナトリウム塩である。クエン酸塩とMGDAの三ナトリウム塩との混合物も、本明細書における使用に好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の15重量%~40重量%のMGDAの三ナトリウム塩を含む。
【0053】
無機ビルダー
第2の組成物は、好ましくは無機ビルダーを含む。好適な無機ビルダーは、炭酸塩、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムが本明細書での使用に特に好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の5~50重量%、より好ましくは10~40重量%、特に15~30重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0054】
ポリマー
ポリマーは、存在する場合、第2の組成物の約0.1重量%~約30重量%、好ましくは0.5重量%~約20重量%、より好ましくは1重量%~15重量%の任意の好適な量で使用される。スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、第2の組成物に特に適している。
【0055】
本明細書に記載される好適なスルホン化/カルボキシル化ポリマーは、約100,000Da以下、又は約75,000Da以下、又は約50,000Da以下、又は約3,000Da~約50,000Da、好ましくは約5,000Da~約45,000Daの重量平均分子量を有し得る。
【0056】
好ましいスルホン化モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピル、3-スルホ-プロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及び上述の酸又はこれらの水溶性塩の混合物のうちの1つ以上を含む。
【0057】
好ましくは、このポリマーは、以下の濃度の各種モノマー、すなわち、ポリマーの約40~約90重量%、好ましくは約60~約90重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、ポリマーの約5~約50重量%、好ましくは約10~約40重量%の1種以上のスルホン酸モノマー、及び任意にポリマーの約1重量%~約30重量%、好ましくは約2~約20重量%の1種以上の非イオン性モノマーを含む。特に好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%~約80重量%の少なくとも1種のカルボン酸モノマー及びポリマーの約20重量%~約30重量%の少なくとも1種のスルホン酸モノマーを含む。
【0058】
ポリマー中、カルボン酸基又はスルホン酸基の全て又はいくつかが中和形態で存在していてよく、すなわちいくつか又は全ての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子が、金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンと置き換えられ得る。
【0059】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0060】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalによって供給されるAlcosperse240、Aquatreat AR540、及びAquatreat MPS、Rohm & Haasによって供給されるAcumer3100、Acumer2000、Acusol587G及びAcusol588G、BF Goodrichによって供給されるGoodrich K-798、K-775及びK-797、並びにISP technologies Inc.によって供給されるACP1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm&Haasによって供給されるAcusol587G及びAcusol588Gである。
【0061】
適切なポリマーは、低分子量のアニオン性カルボン酸ポリマーを含む。それらは、約200,000g/モル以下、又は約75,000g/モル以下、又は約50,000g/モル以下、又は約3,000g/モル~約50,000g/モル、好ましくは約5,000g/モル~約45,000g/モルの重量平均分子量を有するホモポリマー又はコポリマーであり得る。分散剤ポリマーは、1,000~20,000、特に2,000~10,000、及び特に好ましくは3,000~5,000の平均分子量を有するポリアクリレートの低分子量ホモポリマーであってもよい。
【0062】
ポリマーは、70,000未満の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸とフマル酸のコポリマーであってもよい。それらの分子量は、2,000~80,000g/モル、より好ましくは20,000~50,000g/モル、特に30,000~40,000g/モルの範囲であり、(メタ)アクリレートとマレエート又はフマレートセグメントとの比は30:1~1:2である。
【0063】
ポリマーは、3,000~100,000、あるいは4,000~20,000の分子量を有するアクリルアミドとアクリレートとのコポリマーであってもよく、分散剤ポリマーの50重量%未満、あるいは20重量%未満のアクリルアミド含有量も使用されることができる。あるいは、そのようなポリマーは、4,000~20,000の分子量、及びポリマーの0重量%~15%のアクリルアミド含有量を有してもよい。
【0064】
本明細書において好適なポリマーは、イタコン酸ホモポリマー及びコポリマーも含む。
【0065】
あるいは、ポリマーは、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、アルコキシル化ポリカルボキシレート、ポリエチレングリコール、スチレンコポリマー、セルロースサルフェートエステル、カルボキシル化多糖、両親媒性グラフトコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0066】
更なる界面活性剤
本明細書における使用に適した界面活性剤は、アルキルアンホカルボキシレート界面活性剤に加えて、非イオン性界面活性剤を含み、好ましくは組成物は任意の他の界面活性剤を含まない。従来的には、非イオン性界面活性剤は、表面修飾目的、特に膜形成及び斑点形成を回避し、光沢を改善するためのシート化を目的として、自動食器洗浄において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再堆積の防止にも寄与することができることが判明している。
【0067】
好ましくは、第2の組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中1%の濃度で測定した場合、40~70℃の間、好ましくは45~65℃の間の転相温度を有する。「非イオン性界面活性剤系」とは、本明細書において、2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。非イオン性界面活性剤系が、本明細書での使用に好適である。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で、改善された洗浄及び仕上がり特性並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0068】
転相温度とは、それよりも低い温度では界面活性剤又はその混合物が油膨張ミセルとして水性相中に優先的に分配され、それよりも高い温度では水膨張逆ミセルとして油性相に優先的に分配される温度である。転相温度は、混濁が生じる温度を識別することによって視覚的に判断することができる。
【0069】
非イオン性界面活性剤又は系の転相温度は、以下のように判断することができる。蒸留水中、溶液の1重量%の対応する界面活性剤又は混合物を含有する溶液を調製する。溶液を軽く撹拌した後、転相温度を分析して、プロセスが化学平衡で生じることを確実にする。転相温度は、75mm密封ガラス試験管中に溶液を浸漬することによって熱安定性の浴槽内で測定する。漏れがないことを確実にするために、転相温度の測定の前後に試験管を秤量しておく。温度が事前予測した転相温度より数度下に達するまで、温度を1℃/分未満の速度で徐々に増加させる。転相温度は、濁りの最初の兆候があった時点で視覚的に判断される。
【0070】
好適な非イオン性界面活性剤としては、i)6~20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノール(alkyphenol)と、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり、好ましくは少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、更により好ましくは少なくとも20モルのエチレンオキシドとの反応によって調製される、エトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)6~20個の炭素原子及び少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤、が挙げられる。界面活性剤i)とii)との混合物が、本明細書での使用に好ましい。
【0071】
別の好適な非イオン性界面活性剤は、次式で表されるエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールであり、
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4~18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であり、R2は、2~26個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であり、xは、0.5~1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0072】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明によれば、式Iの好適な界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる1994年10月13日に公開された国際公開第94/22800号に記載の、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤である。
【0073】
アミンオキシド界面活性剤は、本発明の組成物における使用に有用である。C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド、及びC10~18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0074】
更なる界面活性剤は、組成物の0.1~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%、特に0.3~3重量%のレベルで存在していてもよい。
【0075】
酵素
第2の組成物は、好ましくは酵素を含む。より好ましくは、アミラーゼ及びプロテアーゼである。
【0076】
本明細書の酵素変異体を説明する際、参照しやすいように以下の命名法が用いられる:元のアミノ酸:位置:置換アミノ酸。標準的な酵素IUPACのアミノ酸の1文字コードを使用する。
【0077】
プロテアーゼ
第2の組成物における使用に適したプロテアーゼは、サブチリシン(EC 3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含むメタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下のものが挙げられる。(a)サブチリシン(EC 3.4.21.62)、特に国際公開第2004067737号、同第2015091989号、同第2015091990号、同第2015024739号、同第2015143360号、米国特許第6,312,936号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、独国特許公開第102006022216(A1)号、同第102006022224(A1)号、国際公開第2015089447号、同第2015089441号、同第2016066756号、同第2016066757号、同第2016069557号、同第2016069563号、同第2016069569号に記載されている、バチルス種(Bacillus sp.)、B.レンタス(B. lentus)、B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)、B.ズブチリス(B. subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B.プミルス(B. pumilus)、B.ギブソニイ(B. gibsonii)及びB.アキバイ(B. akibaii)などのバチルス由来のもの。
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム属プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び同第05/052146号に記載されているセルロモナス属に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含むトリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、特に国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のもの。国際公開第2014194032号、同第2014194054号及び同第2014194117号に記載されるバチルス(Bacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、サーモアクチノミセス(Thermoactinomyces)、ゲオバチルス(Geobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、リシニバシラス(Lysinibacillus)又はスプレプトミセスspp(Streptomyces spp.)、国際公開第2015193488号に記載されているクリベラ・アルミノサ(Kribella alluminosa)由来のもの、並びに国際公開第2016075078号に記載されているストレプトミセス(Streptomyces)及びリソバクター(Lysobacter)由来のもの。
(d)国際公開第92/17577号(Novozymes A/S)に記載されているバチルス種TY145、NCIMB 40339由来のサブチラーゼに対して少なくとも90%の同一性を有するプロテアーゼ、例えば、国際公開第2015024739号及び同第2016066757号に記載されているこのバチルス種TY145サブチラーゼの変異体を含むプロテアーゼなど。
(e)国際公開第2016/205755号及び同第2018/118950号に見られる変異体を含み、1、4、9、21、24、27、36、37、39、42、43、44、47、54、55、56、74、80、85、87、99、102、114、117、119、121、126、127、128、131、143、144、158、159、160、169、182、188、190、197、198、212、224、231、232、237、242、245、246、254、255、256、及び257からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号85の番号付けを使用)を含み、国際公開第2016/205755号からの配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%の同一性を有するプロテアーゼ。
(f)米国特許第10,655,090(B2)号からの配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも98%の同一性を有するプロテアーゼ。好ましいプロテアーゼは、米国特許第10,655,090(B2)号の配列番号1と100%の同一性を有する。別の好ましいプロテアーゼは、米国特許第10,655,090(B2)号の配列番号1に関して1~4個の修飾を有する。
【0078】
第2の組成物に使用するのに特に好ましいプロテアーゼは、以下の通りである:
(a)参照により本明細書に組み込まれる国際公開第00/37627号パンフレットに示されるBPN’ナンバリングシステム及びアミノ酸略語を使用して、以下の位置の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上に突然変異を含む、バチルス・レンタス由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を示すポリペプチド;V68A、N76D、N87S、S99D、S99AD、S99A、S101G、S101M、S103A、V104N/I、G118V、G118R、S128L、P129Q、S130A、Y167A、R170S、A194P、V205I、Q206L/D/E、Y209W及び/又はM222S、並びに/又は、
(b)国際公開第2016/205755号からの配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有するプロテアーゼであり、以下を含む群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号85の番号付けを用いて)を含む:
P54E/G/I/L/Q/S/T/V;S99A/E/H/I/K/M/N/Q/R/T/V;S126A/D/E/F/G/H/I/L/M/N/Q/R/T/V/Y;D127A/E/F/G/H/I/L/M/N/P/Q/S/T/V/W/Y;F128A/C/D/E/G/H/I/K/L/M/N/P/Q/R/S/T/W、A37T、S39E、A47V、T56Y、I80V、N85S、E87D、T114Q、N242D;
最も好ましくは、追加のプロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はサブチリシン309野生型(N87Sの自然変異を含む以外はPB92主鎖による配列)のいずれかに対して以下の変異(BPN番号方式)を含むプロテアーゼの群から選択される。
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)S101M+G118V+S128L+P129Q+S130A
(iii)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R
(iv)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R
(v)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A
(vi)V68A+N87S+S101G+V104N
(vii)S99AD
又は国際公開第2018/118950号の配列番号1に対して、1つ以上、好ましくは2つ以上、好ましくは3つ以上、好ましくは4つ以上の、以下の変異を含むプロテアーゼの群から選択される:
P54T、S99M、S126A/G、D127E、F128C/D/E/G、A37T、S39E、A47V、T56Y、I80V、N85S、E87D、T114Q、及びN242D。
【0079】
本明細書における使用に最も好ましいのはプロテアーゼであり、プロテアーゼは、国際公開第2019/125894(A1)号パンフレットの配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有し、以下からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号1の番号付けを使用)を含む変異体である:X54T;X126A、D、G、V、E、K、I;X127E、S、T、A、P、G、C;及びX128E、C、T、D、P、G、L、Y、N及びX211L。好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する変異体であって、当該変異体が、P54T、S126A、D127E、F128G及びM211Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号1の番号付けを使用)を含む、変異体である。
【0080】
本明細書において使用するための他の好ましいプロテアーゼは、プロテアーゼを含み、プロテアーゼは、国際公開第2019/245839(A1)号パンフレットの配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する変異体であり、変異体は、以下から選択される配列番号1の位置に対応する1つ以上の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む:
1C/D/E/M/N、21L、37A、54A、73V、76D/H/N/T、83G、84D/E/F、85I/M、86I/S/T/V、87T、88M/V、89F/W、91I、95A/N/S、96M/Q、97E、98M、99A/F/H/I/K/L/Q/T/W/Y、102L、104E、105L、106I/V、108A、109I、112C、114M/N、115A/E/H/Q、116A/E/G/H/Q、118A/D/N、122C、124E/Q、126I/Q/V、128H/I/L/M/N/Q/S/T/V/Y、129D/H、130N、131D/E/N/P/Q、135A/D/H/K/L/M/N/Q/T/V/W/Y、138D/E、139E/L、141A/E/F/H/Y、142A/D/E、143E/H/K/M/S/V、156E、157C/D/E
変異体のアミノ酸位置が、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる、自動食器洗浄組成物。
【0081】
好適な市販の追加のプロテアーゼ酵素としては、商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)及びEsperase(登録商標)としてNovozymes A/S(Denmark)によって販売されているもの;商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Extremase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)としてDupontによって販売されているもの;商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)としてSolvay Enzymesによって販売されているもの;並びにHenkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP(配列は米国特許第5,352,604号の
図29に示され、S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sの突然変異を有する、本明細書において以降BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP);並びに花王製のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィラスのサブチリシン)が挙げられる。
【0082】
本明細書で使用するのに特に好ましいのは、Properase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Extremase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Excellase(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、BLAP及びBLAP変異体からなる群から選択される市販のプロテアーゼである。
【0083】
本発明の製品中のプロテアーゼの好ましい濃度は、組成物1g当たり約0.05~約20mg、より好ましくは約0.5~約15mg、特に約2~約12mgの活性プロテアーゼを含む。
【0084】
アミラーゼ
第2の組成物は、アミラーゼを含むことができる。好適なα-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体(バリアント)が含まれる。好ましいアルカリ性α-アミラーゼは、バチルスの菌種、例えば、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ステロサーモフィラス、バチルス・ズブチリス又は他のバチルス種、例えば、バチルス種NCBI12289、NCBI12512、NCBI12513、DSM9375(米国特許第7,153,818号)、DSM12368、DSMZ番号12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
(a)国際公開第96/23873号、同第00/60060号、同第06/002643号及び同第2017/192657号に記載されている変異体、特に、国際公開第06/002643号の配列番号12に対して以下の位置に1つ以上の置換を有する変異体:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、202、214、231、246、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484、好ましくは、D183*及びG184*の欠失も含む変異体。
(b)国際公開第06/002643号の配列番号4、バチルス種722由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を示す変異体、特に183及び184位に欠失を有する変異体、並びに参照により本明細書に組み込まれる国際公開第00/60060号、同第2011/100410号、及び同第2013/003659号に記載されている変異体。
(c)バチルス種707(米国特許第6,093,562号の配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を示す変異体、特に以下の位置に1つ以上の変異を含むもの:M202、M208、S255、R172及び/又はM261。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。M202L又はM202T変異を含むものが、特に好ましい。
(d)国際公開第09/149130号に記載されている変異体、好ましくは同第09/149130号の配列番号1又は配列番号2、ゲオバチルス・ステロファーモフィラス(Geobacillus Stearophermophilus)由来の野生型酵素又はその切断版と少なくとも90%の同一性を示すもの。
(e)国際公開第2016091688号の配列番号1と少なくとも89%の同一性を示す変異体、特にH183+G184位での欠失並びに405、421、422及び/又は428位に1つ以上の突然変異を含むもの。
(f)パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)YK9由来の「PcuAmyl α-アミラーゼ」(国際公開第2014099523号の配列番号3)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(g)サイトファーガ種(Cytophaga sp.)由来の「CspAmy2アミラーゼ」(国際公開第2014164777号の配列番号1)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(h)バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)由来のAmyE(国際公開第2009149271号の配列番号1)と少なくとも85%の同一性を示す変異体。
(i)受託番号AB051102を有するバチルス種KSM-K38由来の野生型アミラーゼと少なくとも90%の同一性を示す変異体。
(j)バチルス種由来のAAI10の成熟アミノ酸配列(国際公開第2016180748号パンフレットの配列番号7)と少なくとも80%の同一性を示す変異体であり、好ましくは、1、54、56、72、109、113、116、134、140、159、167、169、172、173、174、181、182、183、184、189、194、195、206、255、260、262、265、284、289、304、305、347、391、395、439、469、444、473、476、又は477の1つ以上の位置における以下の位置修飾の1つ以上における変異を含むもの。
(k)融合ペプチドの成熟アミノ酸配列(米国特許出願公開第2019/0169546号の配列番号14)と少なくとも80%の同一性を示す変異体であり、好ましくは、変異H1*、N54S+V56T、A60V、G109A、R116Q/H+W167F、L173V、A174S、Q172N、G182*、D183*、N195F、V206L/Y、V208L、K391A、K393A、I405L、A421H、A422P、A428T、G476K及び/又はG478Kのうちの1つ以上を含むもの。好ましいアミラーゼは、欠失G182*及びG183*の両方と、任意に以下の一連の変異のうちの1つ以上を含む:
1.Hl*+G109A+N195F+V206Y+K391A;
2.H1*+N54S+V56T+G109A+A1745+N195F+V206L+K391A+G476K)
3.H1*+N54S+V56T+A60V+G109A+R116Q+W167F+Q172N+L173V+A1745+N195F+V206L+I405L+A421H+A422P+A428T
4.H1*+N545+V56T+G109A+R116Q+A1745+N195F+V206L+I405L+A421H+A422P+A428T;
5.H1*+N545+V56T+G109A+R116H+A1745+N195F+V208L+K393A+G478K;
(l)アリシクロバチルス属アミラーゼ(国際公開第2016/180748号パンフレットの配列番号8)の成熟アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示す変異体。
【0085】
アミラーゼは、遺伝子操作を受けた酵素とすることができ、漂白酸化を起こしやすいアミノ酸のうちの1つ以上が、酸化を起こしにくいアミノ酸で置換されている。特に、メチオニン残基は、任意の他のアミノ酸で置換されることが好ましい。特に、最も酸化しやすいメチオニンが置換されることが好ましい。好ましくは、配列番号2における202に相当する位置のメチオニンが置換される。好ましくは、この位置のメチオニンは、スレオニン又はロイシン、好ましくはロイシンで置換される。
【0086】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、ATLANTIC(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH(Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria))、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PREFERENZ S(登録商標)シリーズ(PREFERENZ S1000(登録商標)及びPREFERENZ S2000(登録商標)を含む、並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont.(Palo Alto,California))並びにKAM(登録商標)(花王(14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan))が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、ATLANTIC(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、POWERASE(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、ACHIEVE ALPHA(登録商標)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0087】
好ましくは、本発明の製品は、組成物1g当たり少なくとも0.01mg、好ましくは約0.05~約10mg、より好ましくは約0.1~約6mg、特に約0.2~約5mgの活性アミラーゼを含む。
【0088】
好ましくは、第2の組成物のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒状体の形態であり、この粒状体は、粒状体の29重量%超の硫酸ナトリウムを含み、並びに/又は硫酸ナトリウム及び活性酵素(プロテアーゼ及び/若しくはアミラーゼ)は、3:1~100:1、又は好ましくは4:1~30:1、又はより好ましくは5:1~20:1の重量比である。
【0089】
結晶成長抑制剤
結晶成長抑制剤は、炭酸カルシウム結晶に結合して、アラゴナイト及び方解石などの種の更なる成長を防止することができる材料である。
【0090】
本明細書における使用にとりわけ好ましい結晶成長抑制剤は、HEDP(1-ヒドロキシエチリデン1,1-ジホスホン酸)である。本発明の組成物は、好ましくは第2の組成物の0.01~5重量%、より好ましくは0.05~3重量%、特に0.5~2重量%の結晶成長抑制剤、好ましくはHEDPを含む。
【0091】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、並びに銀及び銅などの非鉄金属を含む金属の曇り、腐食又は酸化を、防止又は低減することができる。好ましくは、第2の組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、とりわけ0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、金属ケア剤はベンゾトリアゾール(BTA)である。
【0092】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗浄プロセス中にガラス製品の外観を保護する。好ましくは、第2の組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、とりわけ0.3~3重量%のガラスケア剤を含み、好ましくは、ガラスケア剤は亜鉛塩である。
【0093】
漂白剤
いくつかの実施形態では、組成物は、好ましくは、組成物の約8~約30重量%、より好ましくは約9~約25重量%、更により好ましくは約9~約20重量%の漂白剤を含んでもよい。
【0094】
無機及び有機漂白剤が、本明細書における使用に好適である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。あるいは、塩はコーティングされていてもよい。好適なコーティングには、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。当該コーティングは、表面に塗布される混合物として塗布されるか、又は順次積層して塗布され得る。
【0095】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。
【0096】
過酸化モノ過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和塩である。
【0097】
典型的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、特にドデカンジペルオキシ酸、テトラデカンジペルオキシ酸及びヘキサデカンジペルオキシ酸である。モノ及びジペルアゼライン酸、モノ及びジペルブラシル酸も、本明細書において好適である。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明の関連において使用可能な他の有機過酸化物である。
【0098】
更なる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換の誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸の他、ペルオキシ-α-ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸及びN-ノネニルアミドペルスクシネート、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0099】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度での洗浄の過程で漂白作用を強化する有機過酸前駆体である。いくつかの実施形態に好適な漂白活性化剤は、過加水分解条件下で、好ましくは1~12個の炭素原子、特に2~10個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸(peroxoycarboxylic acid)、及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物を含む。好適な物質は、炭素原子の数が指定されているO-アシル基及び/若しくはN-アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、並びにクエン酸トリエチルアセチル(TEAC)も好まれる。存在する場合、第2の組成物は、組成物の0.01~5、好ましくは0.2~2重量%の漂白活性化剤、好ましくはTAEDを含む。
【0100】
漂白触媒
いくつかの実施形態では、第2の組成物は、漂白触媒、好ましくは金属含有漂白触媒を含有してもよい。より好ましくは、金属含有漂白触媒は、遷移金属含有漂白触媒、特にマンガン又はコバルト含有漂白触媒である。
【0101】
本明細書での使用に好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン並びに関連する錯体;並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体が挙げられる。
【0102】
第2の組成物は、組成物の重量基準で0.001~0.5、より好ましくは0.002~0.05%の漂白触媒を含んでもよい。好ましくは、漂白触媒は、マンガン漂白触媒であり、より好ましくはマンガン1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアゾシクロノナンである。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
以下に詳述するように、2つの自動食器洗浄組成物を作製した。
【0104】
I.試験組成物の調製
以下の洗剤組成物を用いて試験を実施した:
【0105】
【0106】
II.試験染色-ティーカップ
以下の手順(IKW作業グループの自動食器洗浄洗剤からの食器洗浄機洗剤の洗浄性能の品質評価のための勧告(パートB、更新2015年)から採用)を使用して調製したブラックアッサム茶によってティーカップ(シェーンワルド、厚さ6~8mm)を汚した。
1. 3mmolのCa及びMg(16.8°d)水を調製し、HCl又はNaOHを使用してpH7.5に調整する。
2. 脱塩水1リットルにFe2(SO4)3+1ml HCl(37%)を5g添加して、硫酸鉄溶液を調製する。
3. 0.2mlの硫酸第二鉄を4リットルの3mmolの水に添加し、沸騰させる。
4. 30gのトワイニングのアッサムルースリーブチームを各々含む2袋のティーバッグを準備する。
5. 水が沸騰したら、ティーバッグを加え、5分間淹出する。
6. 5分後、ティーカップに約93℃にすべき100mLの茶を充填する。
7. ティーカップが空になるまで、5分毎に20mLの茶を取り出す。
8. この工程をもう一度繰り返して、新たに紅茶を煎じる。
9. 汚れたティーカップは、性能試験において使用する前に室温及び湿度で少なくとも3日間貯蔵される。
【0107】
III.追加のバラスト汚れ1
試験に追加の汚れストレスを加えるために、以下に記載される手順によって調製されるように、汚れの混合物を食器洗浄機に加える。
【0108】
【0109】
汚れ調製
1.植物油と全卵を合わせ、よく混ぜる(約30分)。
2.ケチャップ及びマスタードを加え、なおも激しく撹拌する。
3.脂肪を融解させ、約40℃に冷却し、次いで混合物に添加し、十分に混合する。
4.クリーム及び乳を加えて撹拌する。
5.粉末固体成分を添加し、全てを滑らかなペーストに混合する。
6.汚れ混合物50gをプラスチックポットに入れ、凍結させる。
【0110】
IV.試験洗浄の手順
【0111】
【0112】
(実施例1)
1用量の洗剤及びNaOH溶液の別個の添加物を、以下に示すように自動食器洗浄機に添加した。予備洗浄(t=3~12)全体を通してpH12に到達して維持するために、NaOH溶液を洗浄液のpHメーター読み取り値に従って投入した。4回の実行にわたる平均NaOH添加を以下の表に列挙する。
【0113】
【0114】
食器洗浄機に上記の品目を入れ、これを処方A及びBを使用して4回洗浄し、各試験レグに8連のティーカップを得た(1回の洗浄につき2連)。次いで、ティーカップを1~10の視覚的尺度で等級付けし、1は除去せず、10は茶汚れの完全な除去である。平均ティーカップスコアを計算し、以下に示す。
【0115】
【0116】
NaOHを使用して予備洗浄のpHをpH11超に上昇させると分かるように、漂白剤の非存在下での茶洗浄が改善される。
【0117】
(実施例2~4)
以下に詳述するように、2つの自動食器洗浄組成物を作製した。
【0118】
I.試験組成物の調製
以下の洗剤組成物を使用して試験を実施した:
【0119】
【0120】
III.試験染み
a.BoBoタイル
使用した焼き付け汚れ、焦げ(BoBO)汚れは、以下の方法を使用して調製した、ステンレス鋼タイル上のマカロニ及びチーズを焼いたものであった:
1. 708mLの水を料理用レンジ最上部の上のパンで煮沸し、82.5gのKraftマカロニ及びチーズディナー(登録商標)ドライパスタを沸騰水に加えた。
2. パスタを7分間ゆでた。
3. 別の容器に、118mLの全脂乳及び10gのマーガリンを混合し、高出力で1.3分間マイクロ波をかけて、マーガリンを溶融させた。
4. パスタが調理されたら、水を排出し、パスタをミルク及び乾燥チーズと共にフードプロセッサに添加し、2分間混合し、混合物が均一になるようにした。
5. 次いで、ステンレスタイルが、厚さ1mmであり、直径7mmで穿孔された8つの孔を有する標準金属テンプレート上に混合物の均一な層を塗装することによって調製された。
6. 直径7mmのマカロニチーズスポットを80個残してテンプレートを除去した。
7. 次いで、汚れたタイルを204℃のオーブンに7分間入れた。
【0121】
III.追加のバラスト汚れ1
試験に追加の汚れストレスを加えるために、以下に記載される手順によって調製されるように、汚れの混合物を食器洗浄機に加える。
【0122】
【0123】
汚れ調製
7. 植物油と全卵を合わせ、よく混ぜる(約30分)。
8. ケチャップ及びマスタードを加え、なおも激しく撹拌する。
9. 脂肪を融解させ、約40℃に冷却し、次いで混合物に添加し、十分に混合する。
10. クリーム及び乳を加えて撹拌する。
11. 粉末固体成分を添加し、全てを滑らかなペーストに混合する。
12. 汚れ混合物50gをプラスチックポットに入れ、凍結させる。
【0124】
IV.試験洗浄の手順
【0125】
【0126】
(実施例2)
各BoBoタイルは、各々フルスケールADW機の噴霧動作を模倣した4つの区画を含むベンチトップリグに配置される。8gpg、50℃の5Lの水中でベンチトップリグにおいてタイルを10分間洗浄し、9.5mLの50%NaOH溶液を使用してpH12に調整する。次いで、試験レグA~CをBeko自動食器洗浄機に置く。次いで、実験を繰り返す。
【0127】
【0128】
汚れ添加前、汚れ添加後及び洗浄後にタイルを秤量して、除去された汚れの%を計算する。
【0129】
【0130】
見て分かるように、ベンチトップリグにMiranol Ultra(登録商標)L-32 Eを添加し、続いてBeko自動食器洗浄機内で35℃で洗浄すると、Bobo除去の洗浄が改善される。
【0131】
(実施例3)
各BoBoタイルは、各々フルスケールADW機の噴霧動作を模倣した4つの区画を含むベンチトップリグに配置される。8gpg、30℃の5Lの水中でベンチトップリグにおいてタイルを10分間洗浄し、9.5mLの50%NaOH溶液を使用してpH12に調整する。次いで、試験レグA~CをMiele自動食器洗浄機に置き、試験レグD及びEをBeko自動食器洗浄機に置く。次いで、実験を繰り返す。
【0132】
【0133】
汚れ添加前、汚れ添加後及び洗浄後にタイルを秤量して、除去された汚れの%を計算する。
【0134】
【0135】
図から分かるように、トリエタノールアミン、DOWANOL(商標)DPnB及びTrilon(登録商標)Ultimate 1Gの添加は、Bobo除去を改善する。
【0136】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【国際調査報告】