(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】EMM-58ゼオライト組成物、合成及び使用
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
C01B39/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508108
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020045379
(87)【国際公開番号】W WO2022031294
(87)【国際公開日】2022-02-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル・テクノロジー・アンド・エンジニアリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バートン,アレン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブローマン,ヒルダ ビー
(72)【発明者】
【氏名】ファルコフスキー,ジョセフ エム
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BA81
4G073BB03
4G073BB13
4G073BB44
4G073BB48
4G073BD21
4G073CZ41
4G073FB12
4G073FB25
4G073FB26
4G073FC12
4G073FC19
4G073FC30
4G073GA03
4G073GA08
4G073GB02
4G073UA03
(57)【要約】
アルミノシリケートゼオライトは、約3対約10のSi対Alのモル比、13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔並びにa軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有し得る。前記アルミノシリケートゼオライトは、炭化水素変換プロセス、NOxの選択的触媒還元、CO2及び/又はN2吸着、カルボニル化反応並びにモノアルキルアミン及びジアルキルアミン合成に有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する、約3対約10のSi対Alのモル比を有するアルミノシリケートゼオライトを含む組成物。
【請求項2】
合成時の形態において、以下のd-間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を含むX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【表1】
【請求項3】
焼成形態において、以下のd間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を含むX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【表2】
【請求項4】
モルデナイト、DON型ゼオライト、アナルサイム、石英及びクリストバライトからなる群から選択される1つ又は複数をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルミノシリケートゼオライトは、水素化金属をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の存在下で炭化水素変換プロセスを実行することを含む方法であって、前記炭化水素変換プロセスは、クラッキング、ハイドロクラッキング、不均化、アルキル化及び異性化からなる群から選択される、方法。
【請求項7】
T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有するアルミノシリケートゼオライト。
【請求項8】
ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源並びにN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造指示剤を含む水性反応混合物を約135℃~約180℃の温度に維持して、(i)約3対約10のSi対Alのモル比と、(ii)(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する構造とを有するアルミノシリケートゼオライトをもたらすことを含む方法。
【請求項9】
前記水性反応混合物は、約2対約50のSi対Alのモル比を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水性反応混合物は、約0.1対約1のSi対前記構造指示剤のモル比を有する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記水性反応混合物は、約20対約100の水対Siのモル比を有する、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素原子供給源は、シリカのコロイド懸濁液、沈殿シリカアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、異なるSi含有ゼオライト及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルミニウム原子供給源は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミナ三水和物、粘土、別のAl含有ゼオライト及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記温度は、約150℃~約170℃である、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水性反応混合物を約135℃~約180℃に約20日間~約36日間にわたって維持することをさらに含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記水性反応混合物は、前記アルミノシリケートゼオライトの構造を有するシードをさらに含む、請求項8~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記水性混合物を維持することは、モルデナイト、DON型ゼオライト、アナルサイム、石英及びクリストバライトからなる群から選択される1つ又は複数をさらにもたらす、請求項8~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
合成時の形態において、前記アルミノシリケートゼオライトのX線回折パターンは、以下のd間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を有する、請求項8~17のいずれか一項に記載の方法。
【表3】
【請求項19】
前記アルミノシリケートゼオライトを酸又は水蒸気、その後、酸で処理することをさらに含む、請求項8~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記アルミノシリケートゼオライトを500℃~900℃で焼成して、焼成アルミノシリケートゼオライトを製造することをさらに含む、請求項8~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記焼成アルミノシリケートゼオライトのX線回折パターンは、以下のd間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を有する、請求項20に記載の方法。
【表4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルミノシリケートゼオライト組成物、合成及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、その中に画定される設定サイズの複数の細孔又はチャネルを有する規則的な無機骨格構造を有する多孔質材料の系統群である。細孔又はチャネルのサイズは、異なるゼオライトに対して異なり、特定のゼオライトの内部に入ることができる分子の幅を決定する。ゼオライトは、画定されたサイズのそれらの微細多孔性及びそれから得られる分子特異性のため、吸着、イオン交換、ガス分離及び触媒用途に特に有用性が見られることが多い。国際ゼオライト協会(International Zeolite Association)の構造委員会(Structure Commission)によって認識された様々なゼオライト骨格構造は、http://www.iza-structure.org/databasesでアクセス可能な構造データベースに維持されている。
【0003】
ゼオライトの理想化された無機骨格構造は、全ての四面体原子が、4つの次に最も近い四面体原子及び酸素原子によって連結されている骨格シリケートである。本明細書で使用される「シリケート」という用語は、互いに交互に結合している(すなわち-O-Si-O-Si-)少なくともケイ素原子及び酸素原子を含み、任意選択的にホウ素、アルミニウム又は他の金属(例えば、チタン、バナジウム若しくは亜鉛などの遷移金属)などの原子を含む無機骨格構造内の他の原子を含む物質を意味する。骨格シリケート中のケイ素及び酸素以外の原子は、「全シリカ」骨格シリケート中のケイ素原子によって他に占有される格子部位の一部を占有する。したがって、本明細書で使用される「骨格シリケート」という用語は、シリケート、ボロシリケート、ガロシリケート、フェリシリケート、アルミノシリケート、チタノシリケート、ジンコシリケート、バナドシリケートなどを含むいずれの原子格子も意味する。
【0004】
所与のゼオライト内の骨格シリケートの構造は、そこに存在する細孔又はチャネルのサイズを決定する。細孔又はチャネルのサイズは、所与のゼオライトが適用可能であるプロセスの種類を決定し得る。現在、200超のユニークなゼオライト骨格シリケート構造が知られており、国際ゼオライト協会の構造委員会によって認識されており、それにより細孔の幾何学的形状及び配向の範囲が定義されている。
【0005】
ゼオライトの骨格シリケートは、一般に、その環のサイズの観点から特徴付けられる。ここで、環のサイズは、ゼオライトの内部の細孔又はチャネルを画定するループ内の酸素原子及び四面体配位するケイ素原子(又は上記で挙げたものなどの別の原子)の数を意味する。例えば、「8環」ゼオライトは、ループ内の8つの交互に配置された四面体原子及び8つの酸素原子によって画定される細孔又はチャネルを有するゼオライトを指す。所与のゼオライト内に画定される細孔又はチャネルは、特定の骨格シリケート内に存在する様々な構造的制約次第で対称的又は非対称的であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、アルミノシリケートゼオライト組成物、合成及び使用に関する。
【0007】
本開示は、(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する、約3対約10のSi対Alのモル比を有するアルミノシリケートゼオライトを含む組成物を含む。
【0008】
本開示は、T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有するアルミノシリケートゼオライトを含む。
【0009】
本開示は、ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源並びにN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造指示剤を含む水性反応混合物を約135℃~約180℃の温度に維持して、(i)約3対約10のSi対Alのモル比と、(ii)(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する構造とを有するアルミノシリケートゼオライトをもたらすことを含む方法を含む。
【0010】
本開示は、ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源並びにN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造指示剤を含む水性反応混合物を約135℃~約180℃の温度に維持して、T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有するアルミノシリケートゼオライトをもたらすことを含む方法を含む。
【0011】
前述のアルミノシリケートゼオライト及び前述の方法によって製造されたアルミノシリケートゼオライトは、有機化合物変換プロセス(例えば、炭化水素変換プロセス)、NOxの選択的触媒還元、CO2及び/又はN2吸着、カルボニル化反応並びにモノアルキルアミン及びジアルキルアミンの製造の1つ又は複数に適用され得る。例えば、方法は、前記アルミノシリケートゼオライトの存在下において、クラッキング、ハイドロクラッキング、不均化、アルキル化及び異性化からなる群から選択される炭化水素変換プロセスを実行することを含み得る。
【0012】
以下の図は、本開示の特定の態様を説明するために含まれるものであり、排他的な構成と見なされるべきではない。開示される主題は、当業者及び本開示の利益を有する者が想到するような、形態及び機能におけるかなりの修正形態、変更形態、組み合わせ及び均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】試料5の(走査型電子顕微鏡)SEM画像である。
【
図3】試料6の製造時(下)及び焼成後(上)のXRDパターンを含むプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、アルミノシリケートゼオライト組成物、合成及び使用に関する。前記アルミノシリケートゼオライト(本明細書ではEMM-58ゼオライトと記載される)は、モルデナイトに類似しているが、より小さい8環孔を有する独特の構造を有する。有利には、EMM-58ゼオライトのより小さい8環孔は、小分子の吸着及び/又は変換に有利な部位を提供し得る。
【0015】
本明細書に記載のEMM-58ゼオライトは、T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有する。
【0016】
(製造時、(例えば、酸又は酸及び水蒸気による)処理後及び/又は焼成後の)本開示のEMM-58ゼオライトは、(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する構造を有する。
【0017】
本明細書に記載されるEMM-58ゼオライトは、構造指示剤(SDA)としてN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム(化合物1、式中、X
-対イオンは、OH
-、F
-、Cl
-、Br
-、I
-であり得る)、N,N’、2-ジメチルベンズイミダゾリウム(化合物2、式中、X
-対イオンは、OH
-、F
-、Cl
-、Br
-、I
-であり得る)又は化合物1及び2の混合物を用いて調製される。
【化1】
【0018】
本明細書に記載されるEMM-58ゼオライトは、ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源及びSDA(例えば、N,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’、2-ジメチルベンズイミダゾリウム又はそれらの混合物)を含む水性反応混合物を約135℃~約180℃(又は145℃~約175℃、若しくは約150℃~約170℃、若しくは約155℃~約165℃)の温度まで加熱して、約3対約10(又は約3対約7若しくは約5対約10)のSi対Alのモル比を有する本明細書に記載のEMM-58ゼオライトを得ることによって合成されるアルミノシリケートゼオライトである。水性反応混合物は、約135℃~約180℃(又は145℃~約175℃、若しくは約150℃~約170℃、若しくは約155℃~約165℃)に約20日間~約36日間(又は約25日間~約30日間)維持することができる。
【0019】
ケイ素原子供給源の例としては、シリカのコロイド懸濁液、沈殿シリカアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、異なるSi含有ゼオライト等、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
アルミニウム原子供給源の例としては、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミナ三水和物、粘土(例えば、カオリン及びメタカオリン)、他のAl含有ゼオライト(例えば、ゼオライトYのようなFAU型ゼオライト)等、及びその任意の組み合わせがあるが、これらに限定されない。
【0021】
水性反応混合物中のSi対Alのモル比は、約2対約50(又は約2対約25、若しくは約15対約40、若しくは約25対約50)であり得る。
【0022】
水性反応混合物中のSi対SDA(例えば、N,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム又はそれらの組み合わせ)のモル比は、約0.1対約1(又は約0.1対約0.5、若しくは約0.2対約0.7、若しくは約0.5対約1)であり得る。
【0023】
水性反応混合物中の水対Siのモル比は、約20対約100(又は約20対約50、若しくは約40対約70、若しくは約50対約75、若しくは約70対約90、若しくは約80対約100)であり得る。
【0024】
OH-の所望の濃度を達成するために、水性反応混合物に酸及び塩基を添加し得る。理論によって限定されるものではないが、アルミナに対するOH-濃度が高いほど、シリカが可溶性となるため、Siに対するOH-のモル比が高いと、EMM-58ゼオライト中のAlに対するSiのモル比が減少すると考えられる。水性反応混合物中のOH-対Siのモル比は、約0.3対約1(又は約0.3対約0.6若しくは約0.5対約1)であり得る。
【0025】
任意選択的に、水性反応混合物中にシードが含まれ得る。反応混合物中のシードの量は、反応混合物中のケイ素原子供給源の重量を基準にして約0.1重量%~約10重量%(又は約0.5重量%~約7重量%若しくは約1重量%~約5重量%)であり得る。
【0026】
いくつかの例において、EMM-58ゼオライト中のアルミニウムの少なくとも一部を構造から放出又は除去して、EMM-58ゼオライト中のAlに対するSiの比率をさらに増加させることができる。これは、EMM-58ゼオライトを、酸又は水蒸気に続いて酸によって処理することによって達成され得る。例えば、EMM-58ゼオライトを、約25℃~約80℃(又は25℃~約50℃若しくは45℃~約80℃)で約2時間~約36時間(又は約2時間~約12時間、若しくは約8時間~約24時間、若しくは約12時間~約36時間)、酸に曝露し得る。別の例では、EMM-58ゼオライトを水蒸気に曝露し、その後、約25℃~約80℃(又は25℃~約50℃若しくは45℃~約80℃)で約2時間~約36時間(又は約2時間~約12時間、若しくは約8時間~約24時間、若しくは約12時間~約36時間)、酸に曝露し得、且つ約2時間~約36時間(又は約2時間~約12時間、若しくは約8時間~約24時間、若しくは約12時間~約36時間)、酸に曝露し得る。これらの2つの例において、得られるEMM-58ゼオライトは、約3対約10(又は約3対約8若しくは約4対約6)のSi対Alのモル比を有し得る。
【0027】
EMM-58ゼオライトを処理するために適切な酸の例には、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
(製造時又は酸若しくは蒸気/酸による処理後の)本開示のEMM-58ゼオライトは、約500℃~約900℃(又は550℃~約850℃若しくは約600℃~約800℃)の温度で(例えば、空気又は別の酸素含有気体中で)焼成することができる。焼成は、約10分~約8時間(又は約30分~約5時間若しくは約1時間~約3時間)であり得る。
【0029】
本開示のEMM-58ゼオライトは、約0.1ミクロン~約25ミクロン(又は約1ミクロン~約15ミクロン若しくは約3ミクロン~約10ミクロン)の平均直径を有することができる。粒子径は、結晶を走査型電子顕微鏡で撮像し、少なくとも100個の結晶の直径を平均化することによって決定することができる。結晶は、ファセット形状を有する。したがって、直径は、結晶の中心を通る一辺から他辺への最大距離として定義される。
【0030】
本開示のEMM-58ゼオライトは、約350m2/g~約700m2/g(又は約350m2/g~約550m2/g若しくは約500m2/g~約700m2/g)の表面積を有し得る。表面積は、窒素吸着によるブルナウアー、エメット及びテラー(BET)分析(ASTMD4365-13)を用いて決定される。
【0031】
本開示のEMM-58ゼオライトは、約0.15cm3/g~約0.30cm3/g(約0.15cm3/g~約0.25cm3/g若しくは約0.20cm3/g~約0.30cm3/g)の微細孔体積を有し得る。微細孔体積は、ASTM D4365-13による窒素吸着によって決定される。
【0032】
本開示のEMM-58ゼオライトは、特徴的なX線回折(XRD)パターンを有することができ、その必須(最も強い)反射線は、表1(合成形態)及び表2(焼成形態)に表すことができる。前記表において、dは、ピーク強度が特定される範囲である。特定されると、相対ピーク面積が測定され、最大ピーク面積を100として正規化される。すなわち、提供される範囲は、必ずしも相対パーセント面積を測定するために使用される範囲ではない。
【0033】
【0034】
【0035】
応用
本開示のEMM-58ゼオライトは、現在の商業的/産業的重要性の多くを含む1つ又は複数の有機化合物変換プロセスを促進する触媒として使用することができる。有機化合物変換プロセス(例えば、炭化水素変換プロセス)の例としては、クラッキング、ハイドロクラッキング、不均化、トランスアルキル化、アルキル化及び異性化などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような触媒は、(a)EMM-58ゼオライト、並びに(b)希土類金属及び/又は元素周期表の第2族~第15族の金属を含み得る。本明細書で使用する場合、周期表族の番号付けは、Chemical and Engineering News,63(5),27(1985)に開示されている通りである。
【0036】
EMM-58ゼオライト及び金属は、共結晶化、EMM-58ゼオライト構造への交換、EMM-58ゼオライト構造への含浸、密接物理的混和等、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない公知の方法によって触媒に形成され得る。
【0037】
有機化合物(炭化水素)変換プロセスで使用される多くの触媒の場合と同様に、有機変換プロセスで利用される温度及び他の条件に耐性のある別の材料にEMM-58ゼオライトを組み入れることが望ましい場合がある。そのような材料には、活性及び不活性材料、並びに合成又は天然由来ゼオライト、並びに粘土、シリカ及び/又はアルミナなどの金属酸化物などの無機材料が含まれ得る。後者は、天然由来のもの又はシリカと金属酸化物との混合物を含むゼラチン状沈殿物若しくはゲルの形態のものであり得る。EMM-58ゼオライトと一緒に材料を使用すると、特定の有機変換プロセスにおける触媒の変換及び/又は選択性が変化する傾向がある。不活性材料は、反応速度を制御するための他の(より高価な)手段を利用することなく、経済的で秩序立った様式で生成物を得ることができるように、所与のプロセスにおける変換量を制御する希釈剤として好適に使用することができる。これらの材料は、商業的な操作条件下での触媒の破砕強度を改善するために、天然由来の粘土(例えば、ベントナイト及びカオリン)に組み込まれ得る。前記材料(すなわち粘土、酸化物等)は、触媒のバインダーとして機能することができる。商業的使用において、触媒が粉末状材料に分解されること(摩滅)を防ぐことが望ましくなる可能性があるため、良好な破砕強度を有する触媒を提供することが望ましくなる可能性がある。これらの粘土及び/又は酸化物バインダーは、通常、触媒の破砕強度を向上させる目的のためにのみ利用される。
【0038】
EMM-58ゼオライトと複合化することができる天然由来の粘土としては、限定されないが、モンモリロナイト及びカオリン族を挙げることができ、この族には、サブベントナイト並びにディキシー(Dixie)、マクナミー(McNamee)、ジョージア(Georgia)及びフロリダ(Florida)粘土として一般に知られているカオリン又は主要鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト若しくはアナウキサイトである他のものが含まれる。そのような粘土は、採掘されたままの原料の状態又は焼成、酸処理若しくは化学変性を最初に実施した状態で使用することができる。EMM-58ゼオライトと複合化するのに有用なバインダーは、追加的に又は代わりに、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ベリリア、アルミナ及びそれらの混合物などの無機酸化物を含むことができる。
【0039】
前述の材料の代わりに又はそれに加えて、EMM-58ゼオライトは、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニアなどの多孔質マトリックス材料及び/又はシリカ-アルミ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-マグネシア-ジルコニアなどの1つ又は複数の三元組成物と複合化され得る。
【0040】
EMM-58ゼオライト及び無機酸化物マトリックスの相対的割合は、広く変動し得、EMM-58ゼオライト含有量は、約1重量%~約90重量%、より通常には特に複合体がビーズの形態で調製される場合、複合体の約2重量%~約80重量%の範囲である。例示的なマトリックス含有量の範囲は、約10重量%~約50重量%を含むことができる。
【0041】
別の例では、(a)EMM-58ゼオライト、並びに(b)希土類金属及び/又は元素周期表第2族~第15族の金属(好ましくはコバルト、タングステン、バナジウム又はそれらの組み合わせ)を含む触媒は、選択的触媒還元に有用であり得る。窒素酸化物(NOx)は、例えば、高温高圧条件下の燃焼チャンバーで窒素が酸素と反応することによって生成される。NOxは、例えば、FCC供給物、加熱油及び/又は燃料油からの窒素の燃焼により、流動接触変換器(FCC)及び炉でも生成可能である。そのような窒素酸化物は、一酸化窒素及び二酸化窒素のいずれか1つ又は組み合わせを含むことができる。NOx排出を削減するために、様々な選択的触媒還元法が開発されている。一般に、選択的触媒還元は、NOxを二原子窒素及び水に還元することができるプロセスである。非限定的な例として、アンモニア(NH3)を触媒反応器内の排気流に混合し、還元剤(reducing agent)(一般に「還元剤(reductant)」としても知られている)として作用させることができる。NOxは、触媒の存在下でアンモニアと反応し、二原子窒素及び水を生成することができる。NOxの還元効率は、温度、排気流の流速、還元剤対NOxの比率、排気流中の他の化学物質の存在など、様々なパラメータによって変動する可能性がある。還元効率に影響を与える要因の1つは、選択される触媒である。
【0042】
したがって、NOxの選択的触媒還元のための本開示の方法は、燃焼操作からのNOxの量を含む排気流を提供することを含む。排気流の少なくとも一部及びアンモニアを含む還元剤流を、少なくとも1つのゼオライト触媒((a)EMM-58ゼオライト、並びに(b)希土類金属及び/又は元素周期表第2~15族の金属(好ましくはコバルト、タングステン、バナジウム又はそれらの組み合わせ)を含む)を含む触媒反応器に導入して、排気流中のNOxの量を低減させる。また、NOxが低減した排気流は、触媒反応器から導出される。さらに、NOxの選択的触媒還元のためのシステムは、燃焼操作からのNOxを含む排気流の供給源及びアンモニアを含む還元剤流の供給源と流体連通している導管を含む。このシステムは、導管及び還元剤流の供給源と流体連通している触媒反応器を含む。触媒反応器は、少なくとも1つのゼオライト触媒((a)EMM-58ゼオライト、並びに(b)希土類金属及び/又は元素周期表第2族~第15族の金属(好ましくはコバルト、タングステン、バナジウム又はそれらの組み合わせ)を含む)を含む。触媒反応器は、排気流及び還元剤流の少なくとも一部を適切な運転条件で受け取り、流体中のNOxの量を減少させるように構成される。システムは、触媒反応器と流体連通し、NOxが低減された排気流を触媒反応器から導くための出口も含む。
【0043】
CO2及び/又はN2吸着は、本明細書に記載のEMM-58ゼオライトの別の適用例である。EMM-58ゼオライトの細孔は、CO2及び/又はN2の吸着に好適な大きさであり得る。
【0044】
本明細書に記載されるEMM-58ゼオライトは、カルボニル化反応でも有用であり得る。カルボニル化反応とは、一般に、COが基質に取り込まれる反応をいう。ここで、EMM-58ゼオライトは、酸形態、イオン交換形態又は遷移金属(例えば、銅、銀、金、ニッケルイリジウム、ロジウム、白金、パラジウム、コバルト又はそれらの組み合わせ)と組み合わせて使用され得る。例えば、EMM-58ゼオライトの存在下で一酸化炭素と反応させたジメチルエーテル、炭酸ジメチル又はメタノールは、エタノール、酢酸及び酢酸メチルの少なくとも1の製造に有用となり得る。
【0045】
本明細書に記載のEMM-58ゼオライトは、モノアルキルアミン及びジアルキルアミン、特にメチルアミン及びジメチルアミンを製造するための有機オキシゲナートとアンモニアとの反応でも有用である。この反応に使用するのに適した有機オキシゲナート化合物の例としては、1~3つの炭素原子を有するアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノール並びにメチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエーテルを含むそれらのエーテル対応物が挙げられる。反応は、好ましくは、排他的ではないが、ガス状固定床又は流動床の流動系で行われ、オキシゲナートに対するアンモニアのモル比は、一般に、約0.5~約20、例えば約1~約5である。反応条件は、典型的には、約200℃~約400℃(又は約250℃~約360℃)の温度、約0.1MPa~約10MPa(又は約0.5MPa~約2MPa)の圧力及び約100時間-1~約10,000時間-1のガス時空間速度(GHSV)を含む。
【0046】
例示的な実施形態
本開示の第1の非限定的な例示的実施形態は、(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する、約3対約10のSi対Alのモル比を有するアルミノシリケートゼオライトを含む組成物である。第1の非限定的な例示的実施形態は、要素1:合成時の形態における、表1によるd-間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を含むX線回折パターンを有する組成物;要素2:焼成形態における、表2によるd間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を含むX線回折パターンを有する組成物;要素3.モルデナイト、DON型ゼオライト、アナルサイム、石英及びクリストバライトからなる群から選択される1つ又は複数をさらに含む組成物;要素4:アルミノシリケートゼオライトが水素化金属である組成物の1つ又は複数を含み得る。組み合わせの例としては、要素1と要素3、要素4又は要素3及び4との組み合わせ;要素2と要素3、要素4又は要素3及び4との組み合わせ;並びに要素3及び4との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
要素4(及び任意選択的に要素1~3の1つ又は複数)と組み合わせた第1の非限定的な例示的実施形態の組成物は、前記組成物の存在下において、クラッキング、ハイドロクラッキング、不均化、アルキル化及び異性化からなる群から選択される炭化水素変換プロセスを実行することを含む方法において有用であり得る。
【0048】
本開示の第2の非限定的な例示的実施形態は、T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有するアルミノシリケートゼオライトである。第2の非限定的な例示的実施形態は、要素1;要素2;要素3;要素4;要素5:約3対約10のSi対Alのモル比を有するアルミノシリケートゼオライト;並びに要素6:アルミノシリケートゼオライトが、(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有するものの1つ又は複数を含み得る。組み合わせの例としては、要素1と要素3~6の1つ又は複数との組み合わせ;要素2と要素3~6の1つ又は複数との組み合わせ;及び要素3~6の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
要素4(及び任意選択的に要素1~3及び5~6の1つ又は複数)と組み合わせた第2の非限定的例示的実施形態の組成物は、前記組成物の存在下において、クラッキング、ハイドロクラッキング、不均化、アルキル化及び異性化からなる群から選択される炭化水素変換プロセスを実行することを含む方法において有用であり得る。
【0050】
本開示の第3の非限定的な例示的実施形態は、ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源並びにN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造指示剤を含む水性反応混合物を約135℃~約180℃の温度に維持して、(i)約3対約10のSi対Alのモル比と、(ii)(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する構造とを有するアルミノシリケートゼオライトをもたらすことを含む方法である。
【0051】
本開示の第4の非限定的な例示的実施形態は、ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源並びにN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造指示剤を含む水性反応混合物を約135℃~約180℃の温度に維持して、T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有するアルミノシリケートゼオライトをもたらすことを含む方法である。
【0052】
第3又は第4の非限定的な例示的実施形態は、要素7:水性反応混合物が約2対約50のSi対Alのモル比を有するもの;要素8:水性反応混合物が約0.1対約1のSi対構造指示剤のモル比を有するもの;要素9:水性反応混合物が約20対約100の水対Siのモル比を有するもの;要素10:ケイ素原子供給源が、シリカのコロイド懸濁液、沈殿シリカアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、異なるSi含有ゼオライト及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるもの;要素11:アルミニウム原子供給源が、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミナ三水和物、粘土、別のAl含有ゼオライト及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるもの;要素12:温度が約150℃~約170℃であるもの;要素13:方法が、水性反応混合物を約135℃~約180℃に約20日間~約36日間にわたって維持することをさらに含むもの;要素14:水性反応混合物が、アルミノシリケートゼオライトの構造を有するシードをさらに含むもの;要素15:水性混合物を維持することが、モルデナイト、DON型ゼオライト、アナルサイム、石英及びクリストバライトからなる群から選択される1つ又は複数をさらにもたらすもの;要素16:合成時の形態において、アルミノシリケートゼオライトのX線回折パターンが表1によるd空間及びピーク相対パーセント面積を有するもの;要素17:方法が、アルミノシリケートゼオライトを酸又は蒸気、その後、酸で処理することをさらに含むもの;要素18:方法が、アルミノシリケートゼオライトを500℃~900℃で焼成して、焼成アルミノシリケートゼオライトを生成することを含むもの;要素19:要素18及び焼成アルミノシリケートゼオライトのX線回折パターンが表2によるd-空間及びピーク相対パーセント面積を有するものの1つ又は複数をさらに含み得る。組み合わせの例としては、要素7~9の2つ以上の組み合わせ;要素7~9の1つ又は複数と要素10~13の1つ又は複数との組み合わせ;要素14と要素7~13の1つ又は複数との組み合わせ;要素15と要素7~14の1つ又は複数との組み合わせ;要素16と要素7~15の1つ又は複数との組み合わせ;要素17と要素7~16の1つ又は複数との組み合わせ;並びに要素18(及び任意選択的に要素19)と要素7~17の1つ又は複数との組み合わせ挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される数値範囲は、その範囲に記載された数字を含む。例えば、数値範囲「1重量%~10重量%」は、言及された範囲内の1重量%及び10重量%を含む。
【0054】
他に示されない限り、本明細書及び関連する請求項で使用される成分の量、分子量のような特性、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されると理解される。したがって、反対に示されない限り、以下の本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る概算値である。少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきものである。
【0055】
本明細書に開示される本発明の実施形態を組み込む1つ又は複数の例示的な実施形態を本明細書で提示する。明確化のために、物理的な実施の全ての特徴が本願で説明されるか又は示されているわけではない。本発明の実施形態を組み込んだ物理的実施形態の発展形態において、システム関連、ビジネス関連、政府関連及び他の制約に準拠するなど、開発者の目標を達成するために、多数の実施形態に固有の決定を行わなければならないことが理解され、それは、実施により且つ随時変化する。開発者の努力は、時間のかかるものであり得るが、そのような努力は、それにもかかわらず、当業者及び本開示の利益を有する者にとって日常的な作業であろう。
【0056】
本明細書において、組成物及び方法は、様々な成分又はステップを「含む」という用語で説明されているが、組成物及び方法は、様々な成分及びステップから「から本質的になる」又は「からなる」ことも可能である。
【0057】
本発明の実施形態のより良好な理解を促進するために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の例を挙げる。以下の実施例は、本発明の範囲を限定又は定義するために読まれるべきではない。
【実施例】
【0058】
実施例1.シリカ原子供給源、アルミニウム原子供給源、水酸化ナトリウム、N,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム(SDA)及び任意選択的にEMM-58ゼオライトシードを表3に従って組み合わせた。試料2及び5について、0.25のHCl:Siのモル比でHClを添加して、正味のOH-:Siモル比を減少させた。試料3について、正味のOH-:Siモル比は、0.31であった。
【0059】
【0060】
試料1は、主に本開示のEMM-58ゼオライトを生じ、わずかなモルデナイトの汚染があった。試料2は、主に本開示のEMM-58ゼオライトを生じ、わずかな石英の汚染があった。試料3は、モルデナイトと石英との混合物を生じた。試料4は、アナサイムゼオライトを生じた。試料5は、本開示のほぼ純粋なEMM-58ゼオライトを生じた。試料6は、本開示のほぼ純粋なEMM-58ゼオライトを生じた。試料7は、4のSi対Alのモル比を有するEMM-58ゼオライトを生じた。
【0061】
図1は、EMM-58ゼオライト及び微量層状相不純物を示す試料5のSEM画像である。
図2A及び2Bは、本質的に純粋なEMM-58ゼオライトを示す試料6のSEM画像である。
図3は、試料6の製造時(下)及び空気中540℃で1時間焼成後(上)のXRDパターンを含むプロットである。
【0062】
表4に従って3つの追加の試料を調製した。
【0063】
【0064】
したがって、本発明は、言及された目的及び利点並びにそれに内在するものを達成するために十分に適合される。本発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者に明らかである、異なるが、均等な様式で修正及び実施され得るため、上記に開示した特定の実施形態は、例示に過ぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載される以外に、本明細書に示される構造又は設計の詳細についていかなる限定も意図されない。したがって、上記で開示された特定の例示的な実施形態は、変更されるか、組み合わされるか又は修正され得、全てのそのような変形形態は、本発明の範囲及び趣旨内にあると考えられることは、明らかである。本明細書に例示的に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素及び/又は本明細書に開示された任意選択的要素の不在下で好適に実施され得る。組成物及び方法は、様々な成分又はステップを「含む」、「含有する」又は「包含する」という用語で説明されるが、組成物及び方法は、様々な成分及びステップから「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。上記に開示された全ての数値及び範囲は、いくらかの量で変動する可能性がある。下限値及び上限値を有する数値範囲が開示される場合には常に、その範囲内に入る任意の数値及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、(「約aから約bまで」、又は均等に「約aからbまで」、又は均等に「約a~b」の形式における)本明細書に開示されるあらゆる数値範囲は、より広い数値範囲内に包含されるあらゆる数値及び範囲を規定するものと理解される。また、特許請求の範囲に記載された用語は、特許権者によって明示的に明確に定義されない限り、その平易で通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、それが導入する要素の1つ又は複数を意味するように本明細書で定義される。
【0065】
全ての優先権文献は、そのような組み込みが許可される全ての法域に関して、参照により本明細書に完全に組み込まれる。さらに、試験手順を含む、本明細書で引用される全ての文献は、そのような組み込みが許可される全ての法域に関して、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)13.6Å+/-5%のa、21.7Å+/-5%のb、6.7Å+/-5%のc及び93°+/-3°のβのユニットセル寸法を有する単斜晶空間群C2/m、(b)c軸に沿って7Å+/-5%×6Å+/-5%の寸法を有する12環孔、並びに(c)a軸に沿って3Å+/-5%×3Å+/-5%の寸法を有する8環孔を有する、
3対10のSi対Alのモル比を有するアルミノシリケートゼオライトを含む組成物。
【請求項2】
合成時の形態において、以下のd-間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を含むX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【表1】
【請求項3】
焼成形態において、以下のd間隔(d(Å))及びピーク相対パーセント面積を含むX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【表2】
【請求項4】
モルデナイト、DON型ゼオライト、アナルサイム、石英及びクリストバライトからなる群から選択される1つ又は複数をさらに含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルミノシリケートゼオライトは、水素化金属をさらに含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の存在下で炭化水素変換プロセスを実行することを含む方法であって、前記炭化水素変換プロセスは、クラッキング、ハイドロクラッキング、不均化、アルキル化及び異性化からなる群から選択される、方法。
【請求項7】
T1 4 10 19 32 48 69 98 126 154 192;T2 4 11 17 30 48 72 100 125 150 186;T3 4 10 20 32 47 69 96 126 159 191;及びT4 4 10 19 31 48 71 97 125 156 189のT原子の配位系列を有するアルミノシリケートゼオライト。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、ケイ素原子供給源、アルミニウム原子供給源並びにN,N’,2-トリメチルベンズイミダゾリウム、N,N’,2-ジメチルベンズイミダゾリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造指示剤を含む水性反応混合物を
135℃~180℃の温度に維持
することを含む方法。
【請求項9】
前記水性反応混合物は、
2対50のSi対Al、
0.1対1の構造指示剤対Si、
20対100の水対Si
のモル比を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ケイ素原子供給源は、シリカのコロイド懸濁液、沈殿シリカアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、異なるSi含有ゼオライト及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミニウム原子供給源は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミナ三水和物、粘土、別のAl含有ゼオライト及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記温度は、
150℃~170℃である、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記水性反応混合物を
135℃~180℃に
20日間~36日間にわたって維持することをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミノシリケートゼオライトを酸又は水蒸気、その後、酸で処理することをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記アルミノシリケートゼオライトを500℃~900℃で焼成して、焼成アルミノシリケートゼオライトを製造することをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【国際調査報告】