IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベットの特許一覧

特表2023-537380再生可能な供給物からガソリンを製造するための方法およびプラント
<>
  • 特表-再生可能な供給物からガソリンを製造するための方法およびプラント 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】再生可能な供給物からガソリンを製造するための方法およびプラント
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20230824BHJP
   C10G 35/04 20060101ALI20230824BHJP
   C10G 45/02 20060101ALI20230824BHJP
   C10L 1/06 20060101ALI20230824BHJP
   C10L 3/12 20060101ALI20230824BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20230824BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20230824BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20230824BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20230824BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C10G3/00
C10G35/04
C10G45/02
C10L1/06
C10L3/12
B01J29/40 Z
B01J23/755 M
B01J23/46 301M
B01J23/46 311M
B01J23/46 M
C01B3/38
C01B3/56 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509371
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2021072527
(87)【国際公開番号】W WO2022034184
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】20190951.2
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ベク-ピーダスン・イーレク
(72)【発明者】
【氏名】イーネヴォルスン・セーアン・セレ
【テーマコード(参考)】
4G140
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB01
4G140EB32
4G140EB35
4G140EB37
4G140EC02
4G140EC03
4G140FA02
4G140FC03
4G140FE01
4G169BA01
4G169BA07A
4G169BB06
4G169BC68
4G169BC70
4G169BC71
4G169ZA11A
4G169ZA40A
4G169ZA46A
4H129AA01
4H129BA03
4H129BA04
4H129BA11
4H129BB05
4H129BC15
4H129BC16
4H129BC35
4H129BC36
4H129BC37
4H129CA04
4H129CA05
4H129CA06
4H129CA09
4H129CA20
4H129DA15
4H129DA17
4H129DA20
4H129KA08
4H129KA11
4H129KA12
4H129KC03Y
4H129KC04Y
4H129KC05Y
4H129KC16Y
4H129KD15Y
4H129KD16Y
4H129KD22Y
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD25Y
4H129KD26Y
4H129KD30X
4H129KD37X
4H129NA04
4H129NA22
4H129NA27
4H129NA45
4H129NA46
(57)【要約】
本発明は、再生可能な資源に由来する供給原料からガソリン沸点範囲において沸騰する炭化水素生成物を製造するための方法およびプラントに関し、この方法およびプラントは、再生可能ディーゼルおよび再生可能なナフサを製造するための水素化処理、およびその後の再生可能なナフサの芳香族化も含む水素化処理を備え、それによって液化石油ガス(LPG)などの軽質炭化水素ガス流を製造し、そこから水素流が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリン沸点範囲で沸騰する炭化水素生成物を製造するための方法であって、
i)再生可能な資源に由来する供給原料を、1つ以上の水素化処理段階によって、再生可能なナフサ流を含む30℃超で沸騰する炭化水素生成物に変換するステップ;ここで、1つ以上の水素化処理段階は以下を含む:水素化脱酸素化(HDO)、任意に水素化脱ワックス化(HDW)、および任意に水素化分解(HCR);
ii)再生可能なナフサ流を、触媒、好ましくはアルミノシリケートゼオライトを含む触媒と接触させることを含む芳香族化段階を通過させることによって、前記再生可能なナフサ流をアップグレードし、それによってガソリン沸点範囲内で沸騰する前記炭化水素生成物および別の軽質炭化水素ガス流、例えば、液化石油ガス(LPG)流を製造するステップ;
iii)前記軽質炭化水素ガス流の少なくとも一部を、水素流を製造するための水素製造ユニットに通すステップ;
を含み、
ガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物は、C5+中の少なくとも20質量%の芳香族類と、少なくとも85のオクタン価(RON)とを有する、前記方法。
【請求項2】
iv)水素流の少なくとも一部を、ステップi)の水素化処理段階のいずれかおよび/またはステップii)の芳香族化段階に通過させるステップ、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(ii)において、触媒がアルミノシリケートゼオライトに組み込まれ、例えば、触媒がMFI-構造を有するゼオライト、特にZSM-5、好ましくはZn-ZSM-5、ZnP-ZSM-5、Ni-ZSM-5、またはそれらの組み合わせに組み込まれ;温度が300~500℃の範囲であり、圧力が1~30barであり、任意に水素の添加がある、請求項1~2のいずれか一つに記載の方法。
【請求項4】
ステップii)が、前記芳香族化段階の後に異性化段階を提供することを含み、前記芳香族化段階が粗製アップグレード化ナフサ流を製造し、これを前記異性化段階に通過させ、それによってガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物を形成する、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
軽質炭化水素ガス流の一部または前記再生可能なナフサ流の一部を、前記粗製アップグレード化再生可能ナフサ流を冷却するための熱交換媒体として使用することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水素製造ユニットが、炭化水素供給原料、例えば、天然ガスを供給することを含む、請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記水素製造ユニットが、前記軽質炭化水素ガス流および前記炭化水素供給原料を、洗浄ユニットにおける洗浄(ここで前記洗浄ユニットは好ましくは硫黄-塩素-金属吸収または触媒ユニットである);任意に予備改質ユニットにおける予備改質;水蒸気改質ユニットにおける触媒水蒸気メタン改質;水性ガスシフトユニットにおける水性ガスシフト;任意にCO-分離器ユニットにおける二酸化炭素除去、および任意に水素精製ユニットにおける水素精製に供することを含む、請求項1~6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記水素精製ユニットが圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)であり、前記PSAユニットはオフガス流を製造し、当該オフガス流は、水素製造ユニットの水蒸気改質ユニットにおける燃料として、および/またはステップi)の水素化処理段階のいずれかおよび/またはステップii)の芳香族化段階での直火式加熱器における燃料として、および/または水蒸気製造のための燃料として使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水蒸気改質ユニ
ットが、対流式改質装置、管状改質装置、自熱式改質装置(ATR)、電気加熱式水蒸気メタン改質装置(e-SMR)、またはそれらの組み合わせである、請求項1~8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
水素流をステップi)の水素化処理段階のいずれかおよび/またはステップii)の芳香族化段階に通過させる前に、水素流をメイクアップ圧縮機と任意にリサイクル圧縮機を含む圧縮機セクションに通過させ、メイクアップ圧縮機が、水素製造ユニットにおよび/または水素製造ユニットの洗浄ユニットに加えられる水素リサイクル流も製造する、請求項1~9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
ステップi)において、再生可能な資源が、再生可能な起源の原料、例えば、植物、藻類、動物、魚、植物油精製物、家庭廃棄物、タイヤ、プラスチックに富む廃棄物、産業有機廃棄物、例えば、トール油もしくは黒液に由来する原料であるか、または、トリグリセリド、脂肪酸、樹脂酸、ケトン、アルデヒドまたはアルコールからなる群から選択される1つ以上の含酸素化合物に由来する供給原料であり、ここで前記含酸素化合物は、生物学的資源、ガス化プロセス、熱分解プロセス、水熱液化またはその他の液化プロセス、フィッシャー-トロプシュ合成もしくはメタノールベースの合成の1つ以上に由来する、請求項1~10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
ステップi)が、化石燃料資源、例えば、ディーゼル、灯油、ナフサ、および減圧軽油(VGO)に由来する供給原料を添加すること、および/または炭化水素生成物をリサイクルすることも含む、請求項1~11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
-再生可能な資源に由来する供給原料が供給されるように、任意におよび圧縮水素流が供給されるようにも配置された、再生可能なナフサ生成物を製造するための水素化処理セクション;前記水素化処理セクションは、水素化脱酸素化(HDO)ユニット、任意に水素化脱ワックス化(HDW)ユニットおよび任意に水素化分解(HCR)ユニットを備え;
-触媒、好ましくはアルミノシリケートゼオライトを含む触媒を含む反応器を含み、および前記再生可能なナフサ生成物が供給されるように配置される、ガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物および軽質炭化水素ガス流、例えば、液化石油ガス(LPG)流を製造するための芳香族化セクション;
-前記軽質炭化水素ガス流が供給されるように、任意におよび別の炭化水素供給原料流、例えば、天然ガス流が供給されるようにも配置された、水素流を製造するための水素製造ユニット(HPU);
を含む、ガソリン沸点範囲で沸騰する炭化水素生成物を製造するためのプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、再生可能な資源に由来する供給原料から高品質のガソリンを製造するための方法およびプラントに関し、この方法およびプラントは、再生可能なディーゼルおよび再生可能なナフサを製造するための水素化脱酸素化、およびその後の再生可能なナフサの芳香族化、それによってまた液化石油ガス(LPG)などの軽質炭化水素ガスを製造し、そこから水素流が製造され、当該方法において使用され得る1つ以上の水素処理段階を含む。
【背景技術】
【0002】
背景
ガソリン(C5+炭化水素)の品質は、そのガソリンで作動するエンジンにおける燃料の圧縮点火によるエンジンノッキングに対する抵抗力に大きく依存する。この品質は、いわゆるオクタン価で測定され、その由来は、理想的なガソリン炭化水素とされるイソオクタンにある。従って、純粋なイソオクタンはオクタン価100、純粋なn-ヘプタンはオクタン価0と定義され、少なくとも85、例えば90以上のリサーチオクタン価(RON)を有するガソリンを製造することが望ましいとされている。
【0003】
実際には、ガソリンは複雑な炭化水素混合物であり、例えば芳香族化合物はより高いノック抵抗性に寄与し、一方、飽和アルカンは、特に直鎖構造を有する場合、より高いノッキング傾向を有する。したがって、ナフサ炭化水素混合物は、芳香族含有量が非常に低い場合、あまり価値がない。
【0004】
オクタン価が不十分なナフサは、触媒改質プロセスにより、オクタン価を高めることができるが、その際、一般的に芳香族をアルキル化し、オクタン価を上昇させる。
【0005】
また、石油化学分野においても、通常、パラフィン系ナフサを供給原料として、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類や、主に、ベンゼン、トルエンなどの芳香族の製造において使用される。これらのオレフィンは、プラスチック、すなわち、ポリエチレンおよびポリプロピレンの製造に使用される。
【0006】
特に、再生可能な資源からのパラフィン系ナフサ、すなわち、植物油などの再生可能な供給原料の水素化処理から製造されるナフサは、ガソリンへの混合成分として使用するには量が少なく、オクタン価も低いため、廃棄物とみなされてきた。
【0007】
出願人のUS9752080は、下流のフィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)(FT)プロセスからのLPGを、FT-プロセスで必要な合成ガスを製造するための水蒸気改質プロセスへの供給物として使用することを開示している。
【0008】
WO2015/075315A1は、再生可能な供給原料から炭化水素を製造するための方法に統合された水素製造プラントにおけるLPGまたはナフサの使用を開示する。
【0009】
US3871993は、金属で修飾されていてもよいZSM-5などのゼオライトの使用を介してナフサの芳香族含有量を増加させることにより、水素消費なしにバージンナフサを高オクタン液体ガソリン生成物およびLPGに変換する方法を記述している。
【0010】
US2012/151828A1は、再生可能な材料から炭化水素生成物を製造するための方法を開示している。生成物回収ゾーンでは、フラクションの1つとしてガソリンが分離され、工程で使用するために水素に変換される軽質フラクションが分離される。上流の水素化処理においては、供給物中の酸素含有環状化合物を脱酸素化することで、芳香族が得られるとされている。従って、専用の芳香族化段階で芳香族をさらに生成することはない。
【0011】
出願人の共同係属中のEP20162995.3は、炭化水素供給原料の一部としてそのような再生可能なナフサを使用し得る水素製造ユニットにおける水素の製造を含む方法における再生可能なナフサなどの再生可能な炭化水素生成物の製造を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US9752080
【特許文献2】WO2015/075315A1
【特許文献3】US3871993
【特許文献4】US2012/151828A1
【特許文献5】EP20162995.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
先行技術においては、再生可能な資源に由来する供給原料を、脱酸素化とそれに続く専用の芳香族化を行うことによって、ガソリン沸点範囲において沸騰する炭化水素生成物に変換し、同時に、方法またはプラントで使用されることができる水素製造のためにLPGなどの軽質炭化水素ガスを製造する方法またはプラントについては述べられていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
本発明の第1の態様においては、ガソリン沸点範囲で沸騰する炭化水素生成物を製造するための方法が提供され、前記方法は以下のステップを含む;
i)再生可能な資源に由来する供給原料を、1つ以上の水素化処理段階によって、再生可能なナフサ流を含む30℃超で沸騰する炭化水素生成物に変換するステップ;ここで、1つ以上の水素化処理段階は以下を含む:水素化脱酸素化(HDO)、任意に水素化脱ワックス化(HDW)、および任意に水素化分解(HCR);
ii)再生可能なナフサ流を、触媒、好ましくはアルミノシリケートゼオライトを含む触媒と接触させることを含む芳香族化段階を通過させることによって、前記再生可能なナフサ流をアップグレードし、それによってガソリン沸点範囲内で沸騰する前記炭化水素生成物および別の軽質炭化水素ガス流、例えば、液化石油ガス(LPG)流を製造するステップ;
iii)前記軽質炭化水素ガス流の少なくとも一部を、水素流を製造するための水素製造ユニットに通すステップ;
かつ、ガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物は、C5+中の少なくとも20質量%の芳香族類と、少なくとも85のオクタン価(RON)とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の態様による実施形態においては、30℃超で沸騰する炭化水素生成物は、前記再生可能なナフサ、再生可能なディーゼル、および潤滑油ベースストック(潤滑油用基油)を含む。
【0016】
用語「段階」および「ステップ」は、互換的に使用され得ることが理解される。
【0017】
本明細書で使用される用語「ガソリン沸点範囲で沸騰する炭化水素生成物」は、30~210℃の範囲で沸騰することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「再生可能なナフサ」または「ナフサ」は、30~160℃の範囲で沸騰する炭化水素生成物を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「再生可能なディーゼル」または「ディーゼル」は、120~360℃の範囲、例えば160~360℃の範囲で沸騰する炭化水素生成物を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「潤滑油ベースストック」は、390℃以上で沸騰する炭化水素生成物を意味する。
【0021】
本明細書で使用される、所定の範囲で沸騰する、ということは、少なくとも80質量%が記載の範囲で沸騰する炭化水素混合物と理解されるものとする。
【0022】
本明細書で使用される「軽質炭化水素ガス」は、C1-C4ガス、特にメタン、エタン、プロパン、ブタンを含むガス混合物を意味し、軽質炭化水素ガスは、i-C3、i-C4および不飽和C3-C4オレフィンも含むことができる。特定の軽質炭化水素ガスは、以下に定義されるようにLPGである。
【0023】
本明細書で使用される「LPG」は、液体/液化石油ガスを意味し、これは主にプロパンおよびブタン、すなわちC3-C4からなるガス混合物であり、LPGは、i-C3、i-C4およびC4-オレフィンなどの不飽和C3-C4を含むことができる。
【0024】
本発明の第1の態様による実施形態においては、ガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物は、C5+中の少なくとも20質量%の芳香族、例えばC5+中の芳香族が20~50質量%、および少なくとも85、例えば、少なくとも90または少なくとも95のオクタン価(リサーチオクタン価、RON)を有している。本明細書で使用される場合、用語「高品質ガソリン」は、これらの仕様に従った炭化水素生成物である。
【0025】
好ましくは、RONは、ASTM D-2699に規定によって測定される。
【0026】
再生可能な供給原料を処理することにより、中間生成物として得られる再生可能なナフサ流は、高パラフィン性である。例えば、再生可能なナフサ流は、好ましくはASTM D-6729によって測定され、少なくとも80質量%以上のn+iパラフィン、例えば90質量%以上のn+iパラフィン、例えば95質量%のn+iパラフィン、例えば少なくとも60質量%のn-パラフィンおよび少なくとも30質量%または少なくとも35質量%のi-パラフィンを含み;好ましくは5質量%未満の芳香族、例えば2質量%未満の芳香族;好ましくは5質量%未満のナフテン、例えば3質量%未満のナフテン;および好ましくは1質量%未満のオレフィン、例えば0.5質量%未満のオレフィンを含むか、または実質的にオレフィンを含まない。再生可能なナフサ流のその後の芳香族化段階は、単に水素製造ユニットにおいて水素源として直接使用する代わりに、またはエチレンおよびプロピレンの製造において供給原料として直接使用する代わりに、先行技術の上記の説明に関連して説明したように、大量の芳香族をもたらし、それによって再生可能なナフサにおける50~60という低さから少なくとも85、特に90またはそれ以上にオクタン価(RON)が増加し、同時にかなりの量の軽質炭化水素ガス、特にLPG、例えば、30~50質量%のLPGも生成する。ガソリン収率(C5+収率)も所望のレベル、例えば40~60質量%で得ることができる。
【0027】
この方法における水素の必要性は、通常、外部の資源によって満たされる。さらに、上述したように、これまで再生可能な資源からのパラフィン系ナフサ、すなわち再生可能なナフサは廃棄物とみなされてきたが、この価値の低い再生可能なナフサを芳香族化することにより、低水素の高オクタン芳香族ナフサ(高品質のガソリン)と水素密度が高い、すなわちH:C比の高いLPGに分離される。その後、LPGを水素製造に利用することで、水素化処理プロセスのカーボンバランスにおいて価値のある、あるいは市場においてプレミアム価値のある再生可能な起源の水素を製造することが可能になる。これにより、方法およびプラントにおける高いエネルギー効率が得られる。当該方法において製造されたディーゼル、すなわち再生可能なディーゼルは、通常は所望の炭化水素生成物であるディーゼルも、炭化水素生成物プールの一部として使用することができる。
【0028】
したがって、本発明によって、再生可能な供給原料に基づいて価値ある生成物を創出するための簡便で優れた解決策が、特に、再生可能なナフサのオクタン価(RON)の著しい改善、すなわち予想以上の増加を可能にすることによって、達成される。したがって、再生可能なナフサ中の芳香族含有量を例えば2質量%未満~20質量%以上、例えば高品質ガソリン中のC5+中で20~50質量%、25~45質量%、または35~45質量%まで増加させることが可能である。芳香族を20~45質量%以上含有するガソリンのオクタン価(RON)は、85かそれを超え、例えば、90、95である。ガソリンの芳香族含有量が高いほど、C5+収率は低くなるが、本発明により、C5+収率をあまり低下させることなく、オクタン価が大幅に増加するバランスを取ることができる。同時に、芳香族が生成される際に起こる脱水素のために、追加の有価物としてかなりの量のLPGが生成され、これは水素製造ユニットにおける水蒸気改質プロセスで水素に変換される。したがって、市場で高価となる再生可能な起源由来の水素を製造することも可能である。
【0029】
供給原料が再生可能であるため、得られる生成物、すなわちガソリンおよびディーゼルを代表とする生成物は、温室効果ガスの排出を大幅に削減しながら得ることができる。
【0030】
さらに、本発明は、芳香族化段階をより穏やかな条件で、より安価な触媒およびより安価なプロセス装置(加工装置)で実施することができるので、例えば、再生可能なナフサの触媒改質よりもより簡便なアプローチを可能にする。より具体的には、触媒上に貴金属または希土類金属を使用する必要がなく、塩素がなく、触媒反応器を固定床反応器の操作として操作することができ、したがって、従来の触媒改質装置よりもはるかに簡便な解決策を提示する。
【0031】
本発明の第1の態様による実施形態では、本方法はさらに以下を含む:
iv)水素流の少なくとも一部を、ステップi)の水素化処理段階のいずれか、および/またはステップii)の芳香族化段階に通過させるステップ。
【0032】
したがって、製造された水素流は、エンドユーザーのための再生可能な起源の水素生成物として使用されるだけでなく、高品質ガソリンの製造中に水素を供給するためのメイクアップ水素としても使用され、それによって方法およびプラント全体のエネルギー効率が改善され得る。本明細書で使用される場合、用語「方法およびプラント全体」は、再生可能な資源からの供給原料の起源を、上記ステップi)~iv)に従ってガソリン沸点範囲内で沸騰する炭化水素生成物に変換するために使用される方法およびプラントを意味する。これは、以下の実施形態のいずれかをも包含することが理解される。
【0033】
ステップi)における1つ以上の水素化処理段階は、例えば第1の触媒的水素化処理における水酸化脱酸素化化(HDO);任意に第2の触媒的水素化処理における水素化脱ワックス化(HDW);および任意に第3の触媒的水素化処理などの追加の触媒的水素化処理における水素化分解(HCR)などから構成される。HDO、HDWおよびHCRは、以下でさらに詳しく定義される。
【0034】
高品質のガソリンを製造するために、再生可能なナフサの芳香族化に続く1つまたは複数の水素化処理段階においてHDOを使用する効果は、非常に予想外のものである。ガソリンの製造は、通常120~360℃の範囲で沸騰する炭化水素生成物であるディーゼルのために実際に消耗される炭化水素生成物であるディーゼルの製造と比較して、すなわち収量損失を伴うが、これはHDOの生成物と沸点が密接に一致する。当該方法で使用される供給原料が再生可能な資源であることから、このような供給原料は通常トリグリセリドを含み、HDOから主にC16-C18化合物が生成し、ディーゼル(C10-C20)に密接に一致することになる。依然としてディーゼルを製造できるが、ディーゼルの製造と比較して、付随する収量損失にもかかわらず、本発明に従って高品質のガソリンを意図的に製造することは、特に直観に反している。
【0035】
HDO(本明細書では、水素化処理、HDTという用語と互換性がある)において触媒的に活性な材料は、典型的には、活性金属(硫化卑金属、例えば、ニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデン、および/または、場合によっては、元素状貴金属、例えば、白金および/またパラジウム)および耐熱性支持体(例えば、アルミナ、シリカまたはチタニア、またはそれらの組み合わせ)を典型的に含む。
【0036】
HDT条件は、250~400℃の範囲の温度、30~150バールの範囲の圧力、および0.1~2の範囲の液空間速度(LHSV)を含み、任意に冷水素、供給物または生成物によるクエンチ(冷却)による中間冷却を含む。
【0037】
HDWにおいて触媒的に活性な材料は、典型的には、活性金属(元素貴金属、例えば、白金および/またはパラジウム、あるいは硫化卑金属、例えば、ニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデン)、酸性支持体(典型的には、高い形状選択性を示しトポロジーを有する分子ふるい、例えば、MOR、FER、MRE、MWW、AEL、TONおよびMTT)および耐熱性支持体(アルミナ、シリカまたはチタニアなどまたはこれらの組み合わせ)を含む。
【0038】
異性化条件は、250~400℃の範囲の温度、20~100バールの範囲の圧力、0.5~8の範囲の液空間速度(LHSV)である。
【0039】
HCRにおいて触媒的に活性な材料は、異性化において触媒的に活性な材料と類似の性質を有し、典型的には、活性金属(元素貴金属、例えば、白金および/またはパラジウム、あるいは硫化卑金属、例えば、ニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデン)、酸性支持体(典型的には高いクラッキング活性を示し、トポロジーを有する分子ふるい、例えば、MFI、BEAおよびFAU)および耐熱性支持体(例えば、アルミナ、シリカまたはチタニアまたはそれらの組み合わせ)を典型的に含む。触媒的に活性な異性化との違いは、典型的には酸性支持体の性質であり、これは異なる構造(非晶質シリカ-アルミナでもよい)であるか、またはシリカ:アルミナ比などに起因する異なる酸性度を有することがある。
【0040】
HCR条件は、250~400℃の範囲の温度、30~150バールの範囲の圧力、および0.5~8の範囲の液空間速度(LHSV)を含み、任意に、冷たい水素、供給物または生成物によるクエンチ(冷却)による中間冷却と一緒に行われる。
【0041】
本発明の第1の態様による実施形態では、ステップ(ii)において、触媒は、触媒がアルミノシリケートゼオライトに組み込まれ、すなわち、支持され、例えば、MFI構造を有するゼオライト、特にZSM-5、好ましくはZn-ZSM-5、ZnP-ZSM-5、Ni-ZSM-5、またはそれらの組み合わせに組み込まれた触媒に支持され;温度は300~500℃の範囲、例えば300~460℃または300~420℃の範囲にあり、圧力は1~30bar例えば、2~30barまたは10~30barであり、任意で水素が加えられ、つまり任意で水素存在下に芳香族化が実施される。特定の実施形態において、液空間速度(LHSV)は、1~3の範囲、例えば1.5~2である。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「MFI構造」は、国際ゼオライト協会構造委員会が「Atlas of Zeolite Framework Types」で割り当て、維持する構造を意味し、http://www.iza-structure.org/databases/または、例えば、Ch. Baerlocher, L.B. McCusker and D.H. Olson, Sixth Revised Edition 2007による「Atlas of Zeolite Framework Types」にも定義されているとおりである。
【0043】
本明細書で使用される「Zn-ZSM-5」は、ゼオライトZSM-5中に組み込まれたZnを意味し、ZSM-5に支持されたZnを含む。ZnP、またはNiを使用する場合も同様である。
【0044】
本発明の第1の態様による実施形態において、ステップii)は、前記芳香族化段階の後に異性化段階を提供することを含み、前記芳香族化段階が粗製アップグレード化ナフサ流を製造し、前記異性化段階に通過させ、それによってガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物を形成する。この異性化において、上記に示された異性化条件が使用されてもよい。
【0045】
特定の実施形態において、当該方法は、軽質炭化水素ガス流、例えばLPG流、特にステップii)において得られた軽質炭化水素ガス流の一部、または再生可能なナフサ流の一部を、前記粗製アップグレード化された再生可能なナフサ流をクエンチする(冷やす)ための熱交換媒体として用いることを更に含む。
【0046】
それによって、異性化段階への供給物の段階的な供給が達成され、異性化が改善され、ひいては芳香族化の増加することになる。例えば、異性化反応器を下流に設置し、芳香族化反応器を設置する。異性化反応は、芳香族化より低い温度で行われることが好ましい。さらに、異性化、すなわちヒドロ異性化(HDI)において、メイクアップ水素、例えば水素製造ユニットで製造された水素を添加してもよい。芳香族化段階の生成物は、それによって、そうでなければ可能である、すなわち異性化なしの場合よりもさらに高いオクタン価を得ることができる。
【0047】
本発明の第1の態様による実施形態では、水素製造ユニットは、炭化水素供給原料、例えば、天然ガスを供給することを含む。したがって、水素製造ユニットは、供給原料として軽質炭化水素ガス、特にLPGを使用するのとは別に、別の炭化水素供給原料、例えば、天然ガスを使用することも可能である。
【0048】
任意に、ステップi)において、水素製造ユニットにおいて炭化水素供給原料として使用される別のLPG流も形成される。好ましくは、ステップi)における再生可能なナフサ流およびLPG流は、分離ユニット、例えば蒸留ユニットのような同じ装置から取り出される。
【0049】
本発明の第1の態様による実施形態では、水素製造ユニットは、前記軽質炭化水素ガス流および前記炭化水素供給原料を:洗浄ユニットにおける洗浄、ここで前記洗浄ユニットは好ましくは硫黄-塩素-金属吸収または触媒装置であり;任意に予備改質ユニットにおける予備改質;水蒸気改質ユニットにおける触媒水蒸気メタン改質;水性ガスシフトユニットにおける水性ガスシフト;任意にCO-分離ユニットにおける二酸化炭素除去、および任意に水素精製ユニットにおける水素精製に供することを含む。前記別のすなわち別個の炭化水素供給原料、例えば、天然ガスの提供は任意であることが理解される。
【0050】
特定の実施形態において、前記水素精製ユニットが圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)であり、前記PSAユニットはオフガス流を製造し、当該オフガス流は、水素製造ユニットの水蒸気改質ユニットにおける燃料として、および/またはステップi)の水素化処理段階のいずれか、および/またはステップii)の芳香族化段階の直火式加熱器における燃料として、および/または水蒸気製造のための燃料として使用される。これにより、炭化水素の消費量をさらに削減することができ、それによって、さもなければ焼却(フレア)される必要があるPSAオフガスが本方法で適切に使用されるので、エネルギー消費の数値が向上し、すなわちエネルギー効率が高くなる。
【0051】
本発明の第1の態様による実施形態において、水蒸気改質ユニットは:好ましくは、改質のための熱が放射と共に対流によって伝達される、HTCR改質装置すなわちTopsoeバヨネット改質装置などの1つまたは複数のバヨネット改質管を含む対流改質装置であり;管状改質装置、すなわち。従来の水蒸気メタン改質装置(SMR)であり、改質のための熱が主に放射器での放射によって伝達される;自熱式改質装置(ATR)であり、炭化水素供給物を酸素と水蒸気で部分酸化した後に触媒改質する;電気加熱式水蒸気メタン改質装置(e-SMR)であり、電気抵抗を触媒改質の熱生成に使用する;またはそれらの組合せである。特に、e-SMRでは、風力発電、水力発電、太陽光発電などのグリーン電力を利用することで、二酸化炭素フットプリント(排出量)をさらに抑制することが可能である。
【0052】
これらの改質装置の詳細については、出願人の特許および/または文献を直接参照することにより、本明細書において提供される。例えば、管状改質および自己温度改質については、「Tubular reforming and autothermal reforming of natural gas - an overview of available processes」、Ib Dybkjaer、Fuel Processing Technology 42 (1995) 85-107に概要が示され、HTCRの記述についてはEP 0535505に示されている。大規模水素製造のためのATRおよび/またはSMRの説明については、例えば、論文「Large-scale Hydrogen Production」、Jens R. Rostrup-Nielsen and Thomas Rostrup-Nielsen”, CATTECH 6, 150-159 (2002)を参照されたい。
【0053】
より最近の技術であるe-SMRの説明については、特にWO2019/228797A1が参照される。
【0054】
実施形態において、水蒸気改質ユニットにおける触媒は、改質触媒、例えば、ニッケルベースの触媒である。実施形態において、水性ガスシフト反応における触媒は、水性ガスシフト反応に活性な任意の触媒である。前記2つの触媒は、同一であっても異なっていてもよい。改質触媒の例としては、Ni/MgAl2O4、Ni/Al2O3、Ni/CaAl2O4、Ru/MgAl2O4、Rh/MgAl2O4、Ir/MgAl2O4、Mo2C、Wo2C、CeO2、Ni/ZrO2、Ni/MgAl2O3、Ni/CaAl2O3、Ru/MgAl2O3、またはRh/MgAl2O3、またはAl2O3キャリア状の貴金属であるが、その他の触媒で改質に適したものも考えうる。触媒活性材料はNi、Ru、Rh、Ir、またはそれらの組み合わせであってもよく、セラミックコーティングはAl2O3、ZrO2、MgAl2O3、CaAl2O3、またはその組み合わせであって、潜在的にY、Ti、La、またはCeの酸化物と混合されていてもよい。反応器の最高温度は、850~1300℃の間であってもよい。供給ガスの圧力は、15~180バール、好ましくは約25バールであってもよい。水蒸気改質触媒は、水蒸気メタン改質触媒またはメタン改質触媒とも表記される。
【0055】
本発明の第1の態様による実施形態では、水素流をステップi)の水素化処理段階のいずれか、および/またはステップii)の芳香族化段階の前に、メイクアップ水素流は、任意にリサイクル圧縮機も含む圧縮機セクションに通過させ、メイクアップ圧縮機は、水素生成ユニット、および/または水素生成ユニットの洗浄ユニットに加えられる水素リサイクル流も製造する。
【0056】
これにより、例えば洗浄ユニットにおける硫黄の水素化のために水素製造ユニット内で水素をリサイクルするための別個のまたは専用の圧縮機が必要ないので、水素製造プラントとガソリン沸点範囲で沸騰する再生可能な炭化水素生成物を製造するためのプラントとを統合することができる。
【0057】
第1の態様による実施形態では、ステップi)において、再生可能な資源が、再生可能な起源の原料、例えば、植物、藻類、動物、魚、植物油精製物、家庭廃棄物、タイヤ、プラスチックに富む廃棄物、産業有機廃棄物、例えば、トール油もしくは黒液に由来する原料であるか、または、トリグリセリド、脂肪酸、樹脂酸、ケトン、アルデヒドまたはアルコールからなる群から選択される1つ以上の含酸素化合物に由来する供給原料であり、ここで前記含酸素化合物は、生物学的資源、ガス化プロセス、熱分解プロセス、水熱液化またはその他の液化プロセス、フィッシャー-トロプシュ合成もしくはメタノールベースの合成の1つ以上に由来する。また、含酸素化合物は、さらなる合成プロセスに由来するものであってもよい。これらの供給原料の中には、芳香族、特に熱分解プロセスからの生成物や、フライ油などの廃棄物を含むものもある。上記の供給原料の任意の組み合わせも想定される。
【0058】
第1の態様による実施形態では、ステップi)は、ステップi)が、化石燃料資源、例えば、ディーゼル、灯油、ナフサ、および減圧軽油(VGO)に由来する供給原料を添加すること、および/または炭化水素生成物をリサイクルすることも含む。この追加の供給原料は、炭化水素の希釈剤として作用し、それによって、水素化処理段階の触媒的水素化処理ユニット(複数可)における発熱反応からの熱の吸収を可能にする。
【0059】
第2の態様において、本発明は、ガソリン沸点領域範囲で沸騰する炭化水素生成物を製造するためのプラント、すなわち、加工プラントであって、以下を含む。
- 再生可能な資源に由来する供給原料が供給されるように、任意におよび圧縮水素流が供給されるようにも配置された、再生可能なナフサ生成物を製造するための水素化処理セクション;前記水素化処理セクションは、水素化脱酸素化(HDO)ユニット、任意に水素化脱ワックス化(HDW)ユニットおよび任意に水素化分解(HCR)ユニットを備え;
-触媒、好ましくはアルミノシリケートゼオライトを含む触媒を含む反応器を含み、および前記再生可能なナフサ生成物が供給されるように配置される、ガソリン沸点範囲で沸騰する前記炭化水素生成物および軽質炭化水素ガス流、例えば、液化石油ガス(LPG)流を製造するための芳香族化セクション;
-前記軽質炭化水素ガス流が供給されるように、任意におよび別の炭化水素供給原料流、例えば、天然ガス流が供給されるようにも配置された、水素流を製造するための水素製造ユニット(HPU)。
【0060】
本発明の第1の態様の上記実施形態および関連する利点のいずれも、本発明の第2の態様と共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図面の簡単な説明
単独図は、本発明の実施形態による方法/プラント全体の概略フロー図である。
【0062】
詳細説明
図を参照すると、全体の方法/プラント10のブロックフロー図が示されており、再生可能な資源12からの供給原料は、水素化処理段階110に供給される。この段階またはセクションは、HDO、任意のHDWおよびHCRユニットを含む供給セクションおよび反応器セクション110’と、中間生成物としての再生可能なナフサ14、再生可能ディーゼル16およびボトム生成物、例えば、潤滑油ベースストック(潤滑油用基油)18の形態の炭化水素生成物を生成する分離段階110’’とを含む。さらに、LPG流20も製造される。ディーゼルが通常HDOからの中間生成物と沸点が一致することを考慮すると、通常の選択は、再生可能なディーゼル16の製造に焦点を当てることであろう。しかし、本発明においては、収率損失にもかかわらず、その代わりに、再生可能なナフサからガソリンを製造することに重点をおく。
【0063】
再生可能なナフサ14は、水素製造のための炭化水素源として使用される代わりに、次に、アルミノシリケートゼオライトを含む触媒を有する反応器を含む芳香族化段階120に通され、それによって、85以上、例えば90以上のオクタン価(RON)を有する高品質ガソリン生成物22を形成することによって、ナフサの芳香族含有量を増加させ、オクタン価を著しく増加させる。芳香族化段階120は、異性化段階(図示せず)を含むこともできる。この芳香族化段階120から軽質炭化水素ガス流、特にLPG流24が生成され、これは、水素生成ユニット130における水蒸気改質のためのメイクアップガスとして用いられる天然ガスなどの任意選択の別の炭化水素供給原料流26とともに、水素生成ユニット130の供給物として使用される。分離部110’’からのLPG流20も、図に示すように、添加されてもよい。LPG流(複数可)は、混合された後、天然ガス流26と共供給されて水素生成ユニット130に供給されることができる。
【0064】
水素製造ユニット130は、水素製造の技術分野において周知であるように、洗浄ユニット、例えば、硫黄-塩素-金属吸収または触媒ユニット1つまたは複数の予備改質ユニット、蒸気改質装置好ましくは対流式改質装置(例えばHTCR)、および水性ガスシフトユニット(複数可)を含む第1セクション130’を含み;これらのユニットのいずれもここでは示されていない。水素精製ユニット、例えば、PSAユニット130’’は、ガスをさらに濃縮し、水素流28を生成するために任意に提供される。PSAユニットからのオフガス30(PSAオフガス)は、水素生成ユニットにおいて、特にHTCRユニット、より詳細にはHTCRユニットのバーナーの燃料として、また水素化処理段階110において使用される。
【0065】
水素流28は、再生可能な起源の水素生成物として取り出されてもよく、および/または本方法においてメイクアップ水素として使用されてもよい。したがって、本方法において使用される場合、水素流28は、メイクアップガス圧縮機と、任意選択的に図示しないリサイクル圧縮機も含む圧縮機セクション140に通過する。次いで、水素化処理段階110で生成された可能性のある任意選択の水素リッチ流(図示せず)およびメイクアップ水素流28が、それぞれリサイクル圧縮機およびメイクアップ圧縮機によって圧縮されて、メイクアップ水素流30として、水素化処理段階110において、および、任意選択的に(図示せず)芳香族化段階120に、水素を添加するために使用される。メイクアップ圧縮機から、水素流32は、水素製造ユニット130にリサイクルされる。
図1
【国際調査報告】