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特表2023-537389電気ヒータのための可変ランプアップ制御を行なうための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】電気ヒータのための可変ランプアップ制御を行なうための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20230824BHJP
   H05B 3/22 20060101ALI20230824BHJP
   G05D 23/00 20060101ALI20230824BHJP
   G05D 23/19 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
H05B3/22
G05D23/00 F
G05D23/19 E
H05B3/00 310D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509496
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021045732
(87)【国際公開番号】W WO2022036088
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/064,523
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、ブリタニー
(72)【発明者】
【氏名】ブライトロウ、スタントン、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】プタシエンスキ、ケビン
【テーマコード(参考)】
3K034
3K058
5H323
【Fターム(参考)】
3K034JA10
3K058AA02
3K058AA04
3K058BA19
3K058CA04
3K058CA23
3K058CB09
3K058CB10
3K058CB24
3K058CE05
3K058CE19
3K058CE23
5H323AA29
5H323BB02
5H323CB02
5H323DA03
5H323FF02
5H323JJ04
5H323KK05
5H323LL22
5H323LL24
5H323LL29
(57)【要約】
1つの形態において、本開示は、抵抗加熱素子を含むヒータの温度を制御するための方法に関する。方法は、ヒータの温度を所望の温度設定点まで上昇させるために、可変ランプ速度でヒータの抵抗加熱素子に電力を印加するステップを含む。可変ランプ速度は、所望のランプ速度に設定される。方法は、ヒータの抵抗加熱素子を通じて流れる電流を監視するステップと、電流が電流限界帯域の下限よりも大きいことに応じて、可変ランプ速度を所望のランプ速度から許容ランプ速度まで低下させるステップとを更に含む。電流限界帯域の上限は、システム電流限界として与えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗加熱素子を含むヒータの温度を制御する方法であって、
前記ヒータの温度を所望の温度設定点まで上昇させるために、可変ランプ速度で前記ヒータの前記抵抗加熱素子に電力を印加するステップであって、前記可変ランプ速度が所望のランプ速度に設定される、ステップと、
前記ヒータの前記抵抗加熱素子を通じて流れる電流を監視するステップと、
前記電流が電流限界帯域の下限を上回ることに応じて、前記可変ランプ速度を前記所望のランプ速度から許容ランプ速度まで低下させるステップであって、前記電流限界帯域の上限がシステム電流限界として与えられる、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記可変ランプ速度を低下させる前記ステップは、
可変減少係数に基づいて前記所望のランプ速度の減少量を決定するステップであって、前記抵抗加熱素子の前記電流が前記システム電流限界に近づくにつれて前記可変減少係数が増大する、ステップと、
前記可変ランプ速度を前記許容ランプ速度まで前記減少量だけ減少させるステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可変減少係数は、前記システム電流限界に対する前記電流の近接度に基づいて前記可変ランプ速度のスケーリングされた減少をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記減少量は、
RedAmt=(DesiredRate*%Reduction*RedFactor)
式2.....%Reduction=1.0-((ZoneCurLim-MeasuredCurrent)/CurrentBand)
に基づいて決定され、
式中、
「RedAmt」は、前記減少量であり、
「DesiredRate」は、前記所望のランプ速度であり、
「RedFactor」は、前記電流が前記システム電流限界に等しいときに可変ランプ速度が低下される量であり、
「ZoneCurLim」は、前記抵抗加熱素子における最大電流限界であり、
「MeasuredCurrent」は、測定される前記電流であり、
「CurrentBand」は、前記電流限界帯域である、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒータは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、前記複数のゾーンのそれぞれが規定の可変ランプ速度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のゾーンのそれぞれにおける前記電流が監視され、
前記可変ランプ速度は、前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが前記電流限界帯域の前記下限よりも大きい電流を有することに応じて、前記所望のランプ速度から前記許容ランプ速度に低下される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電流限界帯域の下限よりも大きい前記電流を有する前記少なくとも1つのゾーンにおける減少量を可変減少係数に基づいて決定するステップであって、前記電流が前記システム電流限界に近づくにつれて前記可変減少係数が増大する、ステップと、
前記複数のゾーンのそれぞれについて前記許容ランプ速度を得るために前記減少量に基づいて前記複数のゾーンのそれぞれについて前記可変ランプ速度を減少させるステップと、
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のゾーンのそれぞれについてゾーン温度を監視するステップと、
前記複数のゾーンのうちの第1のゾーンの第1のゾーン温度と前記複数のゾーンのうちの第2のゾーンの第2のゾーン温度との間の差が偏差閾値よりも大きいかどうかを決定するステップと、
前記差が前記偏差閾値よりも大きいことに応じて、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又は、それらの組み合わせについて前記可変ランプ速度を調整するステップであって、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンのうちのゾーン温度がより高いゾーンがホットゾーンとして与えられ、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンのうちの他方がクールゾーンである、ステップと、
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記可変ランプ速度を調整するために、前記方法は、
前記ホットゾーンにおける前記可変ランプ速度を低下させるステップ、
前記クールゾーンの可変ランプ速度を増大させるステップ、又は、
それらの組み合わせ、
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記可変ランプ速度を調整するために、前記方法は、
前記差が前記偏差閾値以下になるまで前記ホットゾーンの前記ゾーン温度を保持するために前記ホットゾーンの前記可変ランプ速度をゼロまで低下させるステップと、
前記差が前記偏差閾値未満であることに応じて前記ホットゾーンの前記可変ランプ速度を増大させるステップと、
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記可変ランプ速度をグライド制御速度に設定するステップであって、前記グライド制御速度が前記所望のランプ速度のものよりも小さい、ステップ、及び、
グライド条件が満たされることに応じて前記可変ランプ速度を前記所望のランプ速度まで増大させるステップであって、前記グライド条件が所定の時間経過を含み、前記ヒータの前記温度が前記所望の温度設定点よりも低いグライド温度設定点に等しいステップ、又はそれらの組み合わせ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒータの前記温度が温度接近閾値にあるかどうかを決定するステップであって、前記温度接近閾値が前記所望の温度設定点未満である、ステップと、
前記ヒータの前記温度が前記温度接近閾値にあることに応じて、前記可変ランプ速度を接近ランプ速度まで低下させるステップであって、前記接近ランプ速度が前記所望のランプ速度未満である、ステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
抵抗加熱素子を含むヒータへの電力を制御するための制御システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、
前記命令は、
前記ヒータの温度を所望の温度設定点まで上昇させるために可変ランプ速度に基づいて前記ヒータの前記抵抗加熱素子に供給されるべき電力量を決定するステップであって、前記可変ランプ速度が所望のランプ速度に設定される、ステップと、
前記ヒータの前記抵抗加熱素子を通じて流れる電流を監視するステップと、
前記電流が電流限界帯域の下限を上回ることに応じて、前記可変ランプ速度を前記所望のランプ速度から許容ランプ速度まで低下させるステップであって、前記電流限界帯域の上限がシステム電流限界として与えられる、ステップと、
を含む、
制御システム。
【請求項14】
前記命令は、
可変減少係数に基づいて前記所望のランプ速度の減少量を決定するステップであって、前記抵抗加熱素子の前記電流が前記システム電流限界に近づくにつれて前記可変減少係数が増大する、ステップと、
前記許容ランプ速度を得るために前記可変ランプ速度を前記減少量だけ減少させるステップと、
を更に含む、請求項13に記載の制御システム。
【請求項15】
前記可変減少係数は、前記システム電流限界に対する前記電流の近接度に基づいて前記可変ランプ速度のスケーリングされた減少をもたらす、請求項14に記載の制御システム。
【請求項16】
前記ヒータは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、前記複数のゾーンのそれぞれが規定の可変ランプ速度を有する、請求項13に記載の制御システム。
【請求項17】
前記複数のゾーンのそれぞれにおける前記電流が監視され、前記可変ランプ速度は、前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが前記電流限界帯域の前記下限よりも大きい電流を有することに応じて、前記所望のランプ速度から前記許容ランプ速度に低下される、
請求項16に記載の制御システム。
【請求項18】
前記命令は、
前記電流限界帯域の下限よりも大きい前記電流を有する前記少なくとも1つのゾーンにおける減少量を可変減少係数に基づいて決定するステップであって、前記電流が前記システム電流限界に近づくにつれて前記可変減少係数が増大する、ステップと、
前記複数のゾーンのそれぞれについて前記許容ランプ速度を得るために前記減少量に基づいて前記複数のゾーンのそれぞれについて前記可変ランプ速度を減少させるステップと、
を更に含む、請求項17に記載の制御システム。
【請求項19】
前記命令は、
前記複数のゾーンのそれぞれについてゾーン温度を監視するステップと、
前記複数のゾーンのうちの第1のゾーンの第1のゾーン温度と前記複数のゾーンのうちの第2のゾーンの第2のゾーン温度との間の差が偏差閾値よりも大きいかどうかを決定するステップと、
前記差が前記偏差閾値よりも大きいことに応じて、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又は、それらの組み合わせについて前記可変ランプ速度を調整するステップであって、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンのうちのゾーン温度がより高いゾーンがホットゾーンとして与えられ、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンのうちの他方がクールゾーンである、ステップと、
を更に含む、請求項17に記載の制御システム。
【請求項20】
前記可変ランプ速度を調整するために、前記命令は、
前記ホットゾーンにおける前記可変ランプ速度を低下させるステップ、
前記クールゾーンの可変ランプ速度を増大させるステップ、又は、
それらの組み合わせ、
を更に含む、請求項19に記載の制御システム。
【請求項21】
前記命令は、
前記差が前記偏差閾値以下になるまで前記ホットゾーンの前記ゾーン温度を保持するために前記ホットゾーンの前記可変ランプ速度をゼロまで低下させるステップと、
前記差が前記偏差閾値未満であることに応じて前記可変ランプ速度を増大させるステップと、
を更に含む、請求項19に記載の制御システム。
【請求項22】
前記命令は、
前記可変ランプ速度をグライド制御速度に設定するステップであって、前記グライド制御速度が前記所望のランプ速度のものよりも小さい、ステップ、及び、
グライド条件が満たされることに応じて前記可変ランプ速度を前記所望のランプ速度まで増大させるステップであって、前記グライド条件が所定の時間経過を含み、前記ヒータの前記温度が前記所望の温度設定点よりも低いグライド温度設定点に等しいステップ、又はそれらの組み合わせ、
を更に含む、請求項13に記載の制御システム。
【請求項23】
前記命令は、
前記ヒータの前記温度が温度接近閾値にあるかどうかを決定するステップであって、前記温度接近閾値が前記所望の温度設定点未満である、ステップと、
前記ヒータの前記温度が前記温度接近閾値にあることに応じて、前記可変ランプ速度を接近ランプ速度まで低下させるステップであって、前記接近ランプ速度が前記所望のランプ速度未満である、ステップと、
を更に含む、請求項13に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2020年8月12日に出願された米国仮出願第63/064,523号の優先権及び利益を主張する。上記出願の開示内容は、参照により本願に組み入れられる。
【0002】
本開示は、ヒータの温度制御に関する。
【背景技術】
【0003】
この節の記述は、本開示に関連する背景情報を提供するにすぎず、先行技術を構成するものではない場合がある。
【0004】
熱システムは、一般に、抵抗加熱素子を有するヒータと、温度設定点で熱を発生させるようにヒータへの電力を制御するための制御システムとを含む。用途の一例において、半導体プロセスシステムは、セラミック基板を伴う加熱プレートと、1つ以上の加熱ゾーンを画定する1つ以上の抵抗加熱素子とを含むペデスタルヒータを有する熱システムを含む。ペデスタルヒータは、幾つもある工程の中で特に、半導体ウェハの加熱、洗浄サイクルなどの様々なプロセスを実行するために異なる温度設定点に加熱され得る。
【0005】
温度設定点に達するために、制御システムは、一般に、標準ランプ速度(例えば、とりわけ、5℃/分、10℃/分)で温度を上昇させる。温度設定値の変更に費やされる時間は、一般に、ヒータを有する半導体チャンバをアイドリングさせるが、このアイドリングは、損失時間又は非生産的な製造時間である。ヒータの温度調整に関するこれら及び他の問題は、本開示によって対処される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この節は、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲又はその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一形態において、本開示は、抵抗加熱素子を含むヒータの温度を制御する方法に関し、方法は、ヒータの温度を所望の温度設定点まで上昇させるために可変ランプ速度でヒータの抵抗加熱素子に電力を印加するステップを含み、可変ランプ速度は所望のランプ速度に設定される。方法は、ヒータの抵抗加熱素子を通じて流れる電流を監視するステップと、電流が電流限界帯域の下限よりも大きいことに応じて、可変ランプ速度を所望のランプ速度から許容ランプ速度まで低下させるステップとを更に含み、電流限界帯域の上限がシステム電流限界として与えられる。
【0008】
1つの変形において、可変ランプ速度を低下させるステップは、可変減少係数に基づいて所望のランプ速度の減少量を決定するステップであって、抵抗加熱素子の電流がシステム電流限界に近づくにつれて可変減少係数が増大する、ステップと、可変ランプ速度を許容ランプ速度まで減少量だけ減少させるステップとを更に含む。
【0009】
他の変形において、可変減少係数は、システム電流限界に対する電流の近接度に基づいて可変ランプ速度のスケーリングされた減少をもたらす。
【0010】
更なる他の変形において、減少量は、RedAmt=(DesiredRate*%Reduction*RedFactor)に基づいて決定され、ここで、Reduction=1.0-((ZoneCurLim-MeasuredCurrent)/CurrentBand)であり、式中、「RedAmt」は、前記減少量であり、「DesiredRate」は、前記所望のランプ速度であり、「RedFactor」は、前記電流が前記システム電流限界に等しいときに可変ランプ速度が低下される量であり、「ZoneCurLim」は、前記抵抗加熱素子における最大電流限界であり、「MeasuredCurrent」は、測定される前記電流であり、「CurrentBand」は、前記電流限界帯域である。
【0011】
1つの変形において、ヒータは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、複数のゾーンのそれぞれが規定の可変ランプ速度を有する。
【0012】
他の変形では、複数のゾーンのそれぞれにおける電流が監視され、可変ランプ速度は、複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが電流限界帯域の下限よりも大きい電流を有することに応じて、所望のランプ速度から許容ランプ速度に低下される。
【0013】
更なる他の変形において、方法は、電流限界帯域の下限よりも大きい電流を有する少なくとも1つのゾーンにおける減少量を可変減少係数に基づいて決定するステップであって、電流がシステム電流限界に近づくにつれて可変減少係数が増大する、ステップと、複数のゾーンのそれぞれについて許容ランプ速度を得るために減少量に基づいて複数のゾーンのそれぞれについて可変ランプ速度を減少させるステップとを更に含む。
【0014】
1つの変形において、方法は、複数のゾーンのそれぞれについてゾーン温度を監視するステップと、複数のゾーンのうちの第1のゾーンの第1のゾーン温度と複数のゾーンのうちの第2のゾーンの第2のゾーン温度との間の差が偏差閾値よりも大きいかどうかを決定するステップと、差が偏差閾値よりも大きいことに応じて、第1のゾーン、第2のゾーン、又は、それらの組み合わせについて可変ランプ速度を調整するステップであって、第1のゾーン及び第2のゾーンのうちのゾーン温度がより高いゾーンがホットゾーンとして与えられ、第1のゾーン及び第2のゾーンのうちの他方がクールゾーンである、ステップとを更に含む。
【0015】
他の変形例では、可変ランプ速度を調整するために、ホットゾーンにおける可変ランプ速度が減少され、クールゾーンの可変ランプ速度が増大され、又はそれらの組み合わせが行なわれる。
【0016】
更なる他の変形では、可変ランプ速度を調整するために、方法は、差が偏差閾値以下になるまでホットゾーンのゾーン温度を保持するためにホットゾーンの可変ランプ速度をゼロまで低下させるステップと、差が偏差閾値未満であることに応じてホットゾーンの可変ランプ速度を増大させるステップとを更に含む。
【0017】
1つの変形において、方法は、可変ランプ速度をグライド制御速度に設定するステップであって、グライド制御速度が所望のランプ速度のものよりも小さい、ステップ、及び、グライド条件が満たされることに応じて可変ランプ速度を所望のランプ速度まで増大させるステップであって、グライド条件が所定の時間経過を含み、ヒータの温度が所望の温度設定点よりも低いグライド温度設定点に等しいステップ、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0018】
他の変形において、方法は、ヒータの温度が温度接近閾値にあるかどうかを決定するステップであって、温度接近閾値が所望の温度設定点未満である、ステップと、ヒータの温度が温度接近閾値にあることに応じて、可変ランプ速度を接近ランプ速度まで低下させるステップであって、接近ランプ速度が所望のランプ速度未満である、ステップとを更に含む。
【0019】
一形態において、本開示は、抵抗加熱素子を含むヒータへの電力を制御するための制御システムに関し、制御システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体とを含み、命令は、ヒータの温度を所望の温度設定点まで上昇させるために可変ランプ速度に基づいてヒータの抵抗加熱素子に供給されるべき電力量を決定することを含み、可変ランプ速度は所望のランプ速度に設定される。命令は、ヒータの抵抗加熱素子を通じて流れる電流を監視するステップと、電流が電流限界帯域の下限よりも大きいことに応じて、可変ランプ速度を所望のランプ速度から許容ランプ速度まで低下させるステップとを更に含み、電流限界帯域の上限がシステム電流限界として与えられる。
【0020】
1つの変形において、命令は、可変減少係数に基づいて所望のランプ速度の減少量を決定するステップであって、抵抗加熱素子の電流がシステム電流限界に近づくにつれて可変減少係数が増大する、ステップと、許容ランプ速度を得るために可変ランプ速度を減少量だけ減少させるステップとを更に含む。
【0021】
他の変形において、可変減少係数は、システム電流限界に対する電流の近接度に基づいて可変ランプ速度のスケーリングされた減少をもたらす。
【0022】
更なる他の変形において、ヒータは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、複数のゾーンのそれぞれが規定の可変ランプ速度を有する。
【0023】
1つの変形において、複数のゾーンのそれぞれにおける前記電流が監視され、可変ランプ速度は、複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが電流限界帯域の下限よりも大きい電流を有することに応じて、所望のランプ速度から許容ランプ速度に低下される。
【0024】
他の変形において、命令は、電流限界帯域の下限よりも大きい電流を有する少なくとも1つのゾーンにおける減少量を可変減少係数に基づいて決定するステップであって、電流がシステム電流限界に近づくにつれて可変減少係数が増大する、ステップと、複数のゾーンのそれぞれについて許容ランプ速度を得るために減少量に基づいて複数のゾーンのそれぞれについて可変ランプ速度を減少させるステップとを更に含む。
【0025】
更なる他の変形において、命令は、複数のゾーンのそれぞれについてゾーン温度を監視するステップと、複数のゾーンのうちの第1のゾーンの第1のゾーン温度と複数のゾーンのうちの第2のゾーンの第2のゾーン温度との間の差が偏差閾値よりも大きいかどうかを決定するステップと、差が偏差閾値よりも大きいことに応じて、第1のゾーン、第2のゾーン、又は、それらの組み合わせについて可変ランプ速度を調整するステップであって、第1のゾーン及び第2のゾーンのうちのゾーン温度がより高いゾーンがホットゾーンとして与えられ、第1のゾーン及び第2のゾーンのうちの他方がクールゾーンである、ステップとを更に含む。
【0026】
1つの変形では、可変ランプ速度を調整するために、命令は、ホットゾーンにおける可変ランプ速度を低下させるステップ、クールゾーンの可変ランプ速度を増大させるステップ、又は、それらの組み合わせを更に含む。
【0027】
他の変形において、命令は、差が前記偏差閾値以下になるまでホットゾーンのゾーン温度を保持するためにホットゾーンの可変ランプ速度をゼロまで低下させるステップと、差が偏差閾値未満であることに応じて可変ランプ速度を増大させるステップとを更に含む。
【0028】
更なる他の変形において、命令は、可変ランプ速度をグライド制御速度に設定するステップであって、グライド制御速度が所望のランプ速度のものよりも小さい、ステップ、及び、グライド条件が満たされることに応じて可変ランプ速度を所望のランプ速度まで増大させるステップであって、グライド条件が所定の時間経過を含み、ヒータの温度が所望の温度設定点よりも低いグライド温度設定点に等しいステップ、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0029】
1つの変形において、命令は、ヒータの温度が温度接近閾値にあるかどうかを決定するステップであって、温度接近閾値が所望の温度設定点未満である、ステップと、ヒータの温度が温度接近閾値にあることに応じて、可変ランプ速度を接近ランプ速度まで低下させるステップであって、接近ランプ速度が所望のランプ速度未満である、ステップとを更に含む。
【0030】
更なる適用分野は、本明細書で提供される説明から明らかになり得る。説明及び特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定しようとするものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで、本開示が十分に理解され得るように、添付図面を参照して、一例として与えられる本開示の様々な形態について説明する。
【0032】
図1】本開示に係る可変ランプ速度温度制御を伴うヒータ及び制御システムを有する熱システムを示す。
【0033】
図2】本開示に係る典型的な可変ランプ速度温度制御のフローチャートである。
【0034】
図3図2の可変ランプアップ制御の一例のフローチャートである。
【0035】
図4図2の可変ランプダウン制御の一例のフローチャートである。
【0036】
図5A】本開示に係る一定ランプアップ制御のグラフである。
【0037】
図5B】本開示に係る可変ランプアップ制御のグラフである。
【0038】
図6】本開示に係る可変ランプアップ制御のグラフである。
【0039】
図7A】本開示に係る可変ランプダウン制御のグラフである。
【0040】
図7B】本開示に係る可変ランプダウン制御のグラフである。
【0041】
図8】本開示に係るゾーンドリフト状態を抑制するための可変ランプダウン制御のグラフである。
【0042】
図9】本開示に係る暴走状態を緩和するための可変ランプダウン制御のグラフである。
【0043】
本明細書に記載の図面は、例示のみを目的としており、決して本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途、又は使用を限定しようとするものではない。図面を通して、対応する参照番号は、同様の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解すべきである。
【0045】
図1を参照すると、熱システム100は、ペデスタルヒータ102と、コントローラ106及び電力変換器システム108を有する制御システム104とを含む。一形態において、ヒータ102は、加熱プレート110と、加熱プレート110の底面に配置される支持シャフト112とを含む。加熱プレート110は、基板111と、基板111の表面に埋め込まれる又は表面に沿って配置される複数の抵抗加熱素子(図示せず)とを含む(すなわち、「複数」は2つ以上を意味する)。一形態において、基板111は、セラミック又はアルミニウムで作られてもよい。抵抗加熱素子は、制御システム104によって独立して制御され、図1の一点鎖線で示すように、複数の加熱ゾーン114を画定する。加熱ゾーン114は、本開示の範囲内に留まりながら、異なる構成をとることができることが容易に理解される。加えて、ペデスタルヒータ102は、1つ以上のゾーンを含んでもよく、マルチゾーンヒータに限定されるべきではない。
【0046】
一形態において、ヒータ102は、抵抗加熱素子がヒータとして及び加熱素子に動作可能に接続された4つではなく2つのリード線のみを伴う温度センサとして機能する「2線式」ヒータである。そのような2線機能は、例えば、本出願と共通に譲渡されてその全体が参照により本願に組み込まれる米国特許第7,196,295号に開示される。一般に、2線式システムにおいて、抵抗加熱素子は、抵抗加熱素子の平均温度が抵抗加熱素子の抵抗の変化に基づいて決定されるように、温度の変化に伴って抵抗が変化する材料によって規定される。一形態において、抵抗加熱素子の抵抗は、最初に加熱素子の両端の電圧及び加熱素子を通る電流を測定することによって計算され、次いでオームの法則を使用して抵抗が決定される。抵抗-温度変換データ(例えば、とりわけ、表、アルゴリズム)を使用して、抵抗加熱素子の温度、したがってゾーン114が決定される(すなわち、ゾーン温度)。抵抗加熱素子は、比較的高い抵抗温度係数(TCR)材料、負のTCR材料、又は言い換えれば、非線形TCRを有する材料によって規定されてもよい。
【0047】
制御システム104は、ヒータ102の動作を制御し、より詳細には、ゾーン114のそれぞれへの電力を独立して制御するように構成される。一形態では、制御システム104が端子115を介してゾーン114に電気的に結合され、それにより、各ゾーン114が電力及び検知温度を与える2つの端子に結合される。
【0048】
一形態において、制御システム104は、とりわけ、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、タッチスクリーンなどの1つ以上のユーザインタフェースを有するコンピューティングデバイス117に対して通信(例えば、無線及び/又は有線通信)可能に結合される。コンピューティングデバイス117を使用して、ユーザは、温度設定点、電力設定点、及び/又は制御システム104によって記憶された試験又はプロセスを実行するためのコマンドなどの入力又はコマンドを与えることができる。
【0049】
制御システム104は、インターロック120を介して電力変換器システム108に入力電圧(例えば、240V、208V)を供給する電源118に電気的に結合される。インターロック120は、電源118と電力変換器システム108との間で流れる電力を制御し、電源118からの電力を遮断するための安全機構としてコントローラ106によって動作可能である。図1に示されるように、制御システム104はインターロック120を備えていなくてもよい。
【0050】
電力変換器システム108は、入力電圧を調整し、出力電圧(VOUT)をヒータ102に印加するように動作可能である。一形態において、電力変換器システム108は、ゾーン114の抵抗加熱素子に調整可能な電力を印加するように動作可能な複数の電力変換器(図示せず)を含む。そのような電力変換器システムの一例は、本出願と共通に所有されてその内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、「POWER CONVERTER FOR A THERMAL SYSTEM(熱システム用の電力変換器)」と題する米国特許第10,690,705号明細書に記載される。この例において、各電力変換器は、所与のゾーン114の1つ以上の加熱素子のための入力電圧以下の所望の出力電圧を生成するようにコントローラ106によって動作可能なバックコンバータを含む。したがって、電力変換器システム108は、カスタマイズ可能な電力量(すなわち、所望の電力)をヒータ102の各ゾーン114に供給するように動作可能である。ヒータ102に調整可能な電力を供給するように構成される他の電力変換器システムも、使用することができ、本明細書で提供される例に限定されるべきではない。例えば、電力変換器システムは、絶縁された電力出力をヒータに供給するための絶縁型電力変換器システムであってもよい。そのような電力変換器システムの一例は、本出願と共通に所有されてその内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、「ISOLATED POWER CONVERTER FOR A THERMAL SYSTEM(熱システム用の絶縁型電力変換器)」と題する米国特許第11,038,431号明細書に記載されている。
【0051】
2線式ヒータの使用に伴って、制御システム104は、抵抗加熱素子の電気的特性(すなわち、電圧及び/又は電流)を測定するためのセンサ回路124を含み、これは、その後、抵抗、温度、電流、電圧、電力、及び他の適切な情報などのゾーン114の性能特性を決定するために使用される。一形態において、所与のセンサ回路124は、所与のゾーン114を通じて流れる電流及び所与のゾーン114内の加熱素子に印加される電圧をそれぞれ測定するための電流計126及び電圧計128を含む。他の形態において、電圧及び/又は電流の測定値は、米国特許第7,196,295号明細書に記載されているように、ゼロ交差で取得される。
【0052】
「2線式ヒータ」の代わりに又はそれに加えて、熱システム100は、ヒータ102の特性(例えば、電圧、電流、及び/又は温度)を測定するための個別のセンサを含み、それぞれのデータをコントローラ106に供給することができる。例えば、一形態では、ゾーン114の電気的特性(例えば、電圧及び電流)を測定するために少なくとも1つの電圧計及び電流計を設けることができ、また、ヒータの温度及び/又は各ゾーン114の温度を測定するために少なくとも1つの温度センサを設けることができる。
【0053】
一形態において、コントローラ106は、1つ以上のマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサによって実行されるコンピュータ可読命令を記憶するためのメモリとを含む。一形態では、コントローラ106が1つ以上の制御プロセスを実行するように構成され、該制御プロセスにおいて、コントローラ106は、入力電圧の100%、入力電圧の90%など、ゾーン114に印加されるべき所望の電力を決定する。制御プロセスの例は、米国特許第10,690,705号明細書(上記参照)、及び「SYSTEM AND METHOD FOR CONTROLLING POWER TO A HEATER(ヒータへの電力を制御するためのシステム及び方法)」と題する米国特許第10,908,195号明細書に記載されており、これらの特許は、本出願と共通に所有され、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。一形態において、コントローラ106は、ヒータの温度が温度設定点に制御される閉ループ温度制御を実行する。例えば、抵抗加熱素子の抵抗及び較正された抵抗-温度モデルを使用して、コントローラ106は、ゾーン114の温度を決定し、次いで、ゾーン114の温度を温度設定点に近づけるようにゾーン114への電力を調整する。
【0054】
また、一形態において、制御プロセスは、ヒータ102が最初に可変温度ランプ速度を受けて温度設定点に達する可変ランプ速度温度(VRRT)制御130も含む。温度設定点になると、コントローラは、ヒータ102の温度を温度設定点に維持するために定常状態閉ループ制御を行なう。特定の用途において、ヒータ102は、産業プロセスのための異なる温度設定点に制御されてもよく、時には、温度が、変動して、第1の温度から第1の温度よりもはるかに低い第2の温度になる場合がある。
【0055】
一形態において、VRRT制御130は、ヒータ102の温度を上昇させる可変ランプアップ制御と、ヒータ102の温度を低下させる可変ランプダウン制御とを行なうように構成される。VRRT制御130は両方を有するように行なわれるが、VRRT制御130は、可変ランプアップ制御及び可変ランプダウン制御の一方を含むことができ、両方を有する必要はない。
【0056】
可変ランプアップ制御は、ヒータ102の温度を温度設定点まで上昇させるために、可変ランプアップ速度でヒータ102の抵抗加熱素子に電力を供給するように構成される。可変ランプアップ速度は、ヒータ102に供給される電流に基づいて、また、マルチゾーンヒータに関してはゾーン114の温度に基づいて規定される。より詳細には、とりわけ、電力スイッチ、電力変換器、配線、及び/又はヒューズなどの熱システム100の構成要素への損傷を抑制するために、ヒータ102に印加される電流は、ゾーン電流限界及び/又はヒータ電流限界であってもよいシステム電流限界未満に制御される。例えば、ゾーン114に関して、各ゾーン114への電流は、それぞれのゾーン114ごとに、監視されてシステム電流限界としてのゾーン電流限界未満に制御される。1つの形態では、マルチゾーンヒータに関して、1つのゾーンにおける電流は、他のゾーンにおける電流に影響を及ぼし得る。すなわち、コヒーレントランピングを提供するために、単一のゾーンがシステム電流限界に近づくと、可変ランプアップ制御は、同じ減少率によって全てのゾーンに関して可変ランプアップ速度を調整(例えば、減少)する。温度設定点に関して、可変ランプアップ制御は、システム電流限界(すなわち、ヒータ及び/又はゾーンにおける最大許容電流)及び可変ランプアップ速度における最大の所望のランプ速度である所望のランプ速度を規定する。
【0057】
マルチゾーンヒータのコヒーレント温度プロファイルを提供するために、可変ランプアップ制御は、任意の2つのゾーン114(例えば、第1のゾーン及び第2のゾーン)間の温度差が偏差閾値(ゾーン間ドリフト/偏差)未満になるようにゾーン114の温度を監視及び制御する。より詳細には、ランピングは、速度設定点(RateSP、すなわち、可変ランプ速度)で移動する移動設定点(すなわち、温度ランプ設定点(TempRampSP))によって管理される。すなわち、一形態において、速度設定点は、℃/分であり、TempRampSPが変化する速度である。TempRampSPは、コントローラ106が例えば比例・積分・微分(PID)制御を使用して移動するときに測定温度を保持する絶対温度である。測定温度はプロセス値(PV)と呼ばれることがある。TempRampSPは、温度設定点に達するまで絶えず移動しているので、プロセス値も移動するはずである。一形態において、PIDにおける積分時定数は、速度設定値に一致するように電力を構築することに応答する。一形態では、いずれか1つのゾーンのプロセス変数が他のゾーン114のプロセス変数から逸脱する場合、可変ランプアップ制御は、ヒータ102のコヒーレント温度制御を行なうために、1つ以上のゾーンのRateSPを調整する。一形態において、可変ランプアップ制御は、コヒーレントな温度プロファイルを提供するために、他のゾーンから逸脱するゾーンのRateSPを減少させることができる。他の形態において、可変ランプアップ制御は、ゾーン114への電流を監視しながら、それらのゾーン114の性能を高めるために、他のゾーンのRateSPを増大させることができる。
【0058】
可変ランプアップ制御に関して、表1は、電流及び温度に基づいてランプ速度を制御するために使用される制御変数を与える。
【0059】
【表1】
【0060】
一形態では、電流に基づいてランプ速度を制御するために、可変ランプアップ制御は、ゾーンにおける測定電流及びヒータへの総電流に基づいてゾーンのための可変ランプ速度を設定する。特に、可変ランプ速度は、システム電流限界(例えば、ゾーン電流限界及び/又はゾーン電流限界)下に留まるのに十分なだけ高く設定される。可変ランプ速度は所望のランプ速度に最初に設定され、ゾーン電流限界が電流限界帯域内にある場合、可変ランプ速度は、計算された減少量に基づいて所望のランプ速度から許容ランプ速度に減少される。ゾーン電流限界に近づくゾーンに加えて、他のゾーンの可変ランプ速度は、コヒーレント電流制御を行なうために同じ減少量だけ減少される。減少量は、測定電流とシステム電流限界との差が小さいほど減少量が大きくなるように、測定電流がシステム電流限界にどれだけ近いかに依存する。
【0061】
より詳細には、可変ランプアップ制御は、減少係数のパーセンテージと、測定電流とゾーン電流限界などのシステム電流限界との間の差とに基づく電流限界帯域におけるスケーリングされた減少量を規定する。すなわち、適用例では、スケーリングされた減少は、電流のシステム電流限界への近接度に基づく。例えば、減少量は、ゾーンにおける抵抗加熱素子の測定電流がゾーン電流限界に近づくにつれて増大する可変減少係数として「%Reduction」が与えられる式1及び式2を使用して決定される。
【0062】
式1.....RedAmt=(DesiredRate*%Reduction*RedFactor)
式2.....%Reduction=1.0-((ZoneCurLim-MeasuredCurrent)/CurrentBand)
【0063】
式2で与えられるように、可変減少係数は、測定電流が電流限界帯域を下回る場合に減少パラメータが0%、測定電流が電流帯域内にある場合に0~100%、測定電流がシステム電流限界に等しい場合に100%、測定電流がシステム電流限界を超える場合に100%より大きくなるようにスケーリングされた減少をもたらして減少係数よりも更に大きい減少をもたらすように構成される。1つの形態では、測定電流がゾーン電流限界を上回る場合、可変ランプ速度は、1℃/分又はストールアウトを防止するのに適した他の値などの公称速度まで減少し続ける。
【0064】
一形態では、温度に基づいてランプ速度を制御するために、可変ランプアップ制御は、各ゾーンの温度を測定するとともに、温度のジャンプを抑制するべくゾーンの温度ランプ設定点をそれぞれの測定温度値に最初に設定する。この時点から、温度は温度設定点に向かって上昇し始める。ゾーンの温度は日常的に測定され、また、ゾーンの温度が他のゾーンから逸脱し始める場合(すなわち、高すぎる又は低すぎる)、可変ランプアップ速度はコヒーレント温度を与えるように調整される。一形態において、可変ランプアップ制御は、温度設定点(すなわち、ホットゾーン)に最も近いゾーンのランプ速度を低下させて、他のゾーン(すなわち、クールゾーン)がホットゾーンの温度ランプ設定点に追いつくことができるようにする。減少量は、応答的な減少を行なうように選択されるが、加熱動作を減少させるように過度に積極的ではない。例えば、ランプ速度は、偏差の程度ごとに5~15%減少され得る。他の形態では、ヒータ及びゾーンへの電流を監視しながら、可変ランプアップ制御は、クールゾーンがホットゾーンの温度ランプ設定点に追いつくことができるようにクールゾーンのランプ速度を増大させる。例えば、クールゾーンにおけるランプ速度は、設定された増分量(例えば、1℃/分、2℃/分、0.5℃/分の増大)で増大させることができる。このブースト方法において、可変ランプアップ制御は、他のゾーンがホットゾーンの測定温度又はそれに近い温度になるまで、ホットゾーンのランプ速度を低下させる又はホットゾーンの温度を現在の温度ランプ設定点に保持することもできる。
【0065】
一形態では、制御の開始時に、可変ランプアップ制御は、ランプ速度がどれだけ速く変化するかを制御するためのグライド制御と、温度のスパイクを低減又は抑制するために温度設定点に近づいているときの接近制御とを行なうことができる。より詳細には、ランプ速度は、所望のランプ速度(例えば、グライド制御速度=1.0℃/分)よりも著しく低いランプ速度であるグライド制御速度に設定される。一形態において、ランプ速度は、グライド条件が満たされるまでグライド制御速度に維持され、グライド条件は、例えば、所定の時間及び/又は所望の温度ランプ設定点(すなわち、グライド温度設定点)に達することを含むことができる。その後、可変ランプ速度は所望のランプ速度まで増大される。一形態において、グライド制御速度は、ランプ速度の加速度を管理するためにランプ速度が変化するときはいつでも適用される。
【0066】
接近制御は、測定温度が最終温度設定点から規定の距離/範囲(すなわち、温度接近閾値)である場合に、ランプ速度を接近ランプ速度に低下させるように構成される。温度設定点を超えることなくヒータが温度設定点に到達できるようにするために、ランプ速度が低下される。1つの形態では、(例えば、ランプアップ中又はランプダウン中に)温度設定点に近づくときに接近制御を適用して、温度設定点に適した値へと曲がりくねるべく積分時間を与える。例えば、係数が1.0である場合、低下は、温度設定点から何度か離れた速度で始まる。したがって、10℃/分の低下は、温度設定点から10℃離れて低下し始める。
【0067】
可変ランプダウン制御は、測定温度よりも低い温度設定点へのヒータのコヒーレント冷却を行なうように構成される。半導体プロセスの場合、ヒータが冷却する速度はチャンバの関数であってもよく、温度が低下するにつれて及び/又はチャンバの壁が加熱されるときに速度が低下し得る。マルチゾーンヒータの場合、電力が除去される又は大幅に低減されると、ヒータの異なるゾーンが異なる速度で冷え得る。ゾーン間の温度差を低減するために、可変ランプダウン制御は、可変ランプ速度を自然降下速度以上に維持するように構成される(すなわち、電力を伴わない減少率)。
【0068】
1つの形態において、可変ランプダウン制御は、温度設定点が規定の速度で連続的に低下するように、冷却可変ランプ速度でゾーンの温度を低下させる。例えば、一形態において、冷却可変ランプ速度は、最初に10℃/分などの所望の冷却ランプ速度に設定され、冷却中にヒータのコヒーレントな熱プロファイルを維持するためにゾーンの温度が監視される。
【0069】
コヒーレント熱プロファイルを与えるために、可変ランプダウン制御は、以下の暴走状態、すなわち、ゾーン間ドリフト、ランプ設定点偏差、及び/又はゾーン浮動状態のうちの1つ以上が存在するかどうかを決定する。暴走状態が検出される場合、可変ランプダウン制御は是正措置を実行する。
【0070】
ゾーン間ドリフトに関して、可変ランプダウン制御は、ゾーンが他のゾーンよりも速く冷えているか又は遅く冷えているかを決定する。具体的には、一形態において、可変ランプダウン制御は、対象ゾーンの温度が他のゾーンからのゾーン偏差閾値内にあるかどうかを決定する。偏差を低減してコヒーレントなランプダウンをもたらすために、対象ゾーンが1つ以上の他のゾーンから逸脱している場合、全てのゾーンの可変ランプ速度が修正措置として調整される。
【0071】
ランプ設定点偏差に関して、可変ランプダウン制御は、ランプダウン中にゾーンが温度ランプ設定点から離れすぎて立ち遅れているかどうかを決定する。具体的には、ランプダウン中、温度ランプ設定点は、可変ランプ速度に従って連続的に減少している。対象ゾーンの温度が後れを取っている場合(すなわち、十分に速く冷えない)、対象ゾーンが温度ランプ設定点に追いつくことができるようにしながら対象ゾーンの温度が低下し続けるように、ランプ速度が調整される。形式的には、ランプ設定点偏差を検出するために、可変ランプダウン制御は、対象ゾーンの温度が温度ランプ設定値から設定値偏差閾値(すなわち、偏差閾値)以上の値だけそれているかどうかを決定する。それている場合、ランプ設定点偏差状態が検出される。
【0072】
ゾーン間ドリフト及び/又はランプ設定点偏差を緩和するために、可変ランプダウン制御は、補正措置として、可変ランプ速度を所望のランプ速度(例えば、10℃/分~5℃/分)の値よりも小さい値まで低下させる。一形態において、可変ランプダウン制御は、ゾーンの温度と他のゾーン及び/又は温度ランプ設定点との間の偏差量に基づいて減少量(すなわち、ランプ冷却減少量(RCoolRedAmt))を決定する。例えば、1つの形態において、減少量は、式3~5を使用して決定され、式中、PVHは、ホットゾーンの測定温度であり、PVLは、クールゾーンの測定温度であり、WeightPara1は、デルタ測定温度における重み付きパラメータであり、偏差度当たりの減少量(例えば、10%/℃)として与えられ、及び、WeightPara2は、クールゾーンと温度ランプ設定点との間の差における重み付きパラメータであり、偏差度当たりの減少量(例えば、5%/℃)として与えられる。一旦決定されると、ランプ冷却減少量は、ゾナーの各ゾーンに適用される。
【0073】
式3.....RCoolRedAmt=ゾーン偏差減少+設定点偏差減少
式4....ゾーン偏差減少=|(PVH-PVL)|*WeightPara1
式5.....設定点偏差減少=|(PVL-TempRampSP)|*WeightPara2
【0074】
一変形例において、ランプ冷却減少量は、ゾーン偏差減少又は設定点偏差減少(すなわち、設定点偏差量)の一方に基づく。例えば、ゾーン間ドリフトのみが存在する場合、設定点偏差低減が必要ではない場合がある。或いは、両方の偏差状態が存在する場合、可変ランプダウン制御は、ゾーン偏差減少に基づいて、ゾーン間の偏差が閾値内に入るまで、ゾーン間ドリフトの偏差を最初に減少させることができる。その後、ランプ冷却減少量は、式3で与えられるようにゾーン偏差減少及び設定点偏差減少の両方を使用して決定される。本明細書で与えられる数値は説明のためのものにすぎず、任意の適切な値とすることができることを容易に理解すべきである。
【0075】
他の形態では、少なくとも1つのゾーンの温度が他のゾーンから逸脱し始める場合、クールゾーンの温度ランプ設定点は、ホットゾーンの測定温度に設定される。すなわち、可変ランプダウン制御は、より低い温度を伴うゾーンへの電力を増大させて、ゾーンの温度をより高い温度を伴うゾーンの温度まで上昇させる。したがって、可変ランプダウン制御は、ゾーンが温度設定点に近づく前にゾーンの温度を一緒に保つ又は温度ランプ設定点曲線を平坦化し得る偏差閾値(例えば、±5℃)内に保つ。
【0076】
ゾーン浮動状態において、可変ランプダウン制御は、ゾーンが浮動しているか迷走しているかを決定する。より詳細には、電力がゾーンまで減少すると、プロセス値(例えば、温度)を正確に測定することが困難になる可能性があり、幾つかの状況では、電力が低すぎてゾーンが制御不能になる可能性がある(例えば、電力は0ボルトを超える最小電力レベル/出力であるが、ゾーンを制御するには不十分である)。すなわち、ゾーンの温度は温度ランプ設定点から逸脱し始める場合があり、複数のゾーンがある場合、ゾーンの温度は他のゾーンから逸脱し始める可能性がある。ゾーン浮動状態中のランプダウンを制御するために、可変ランプダウン制御は、ゾーンの温度を依然として低下させながらゾーンの制御を得るために、浮動状態を受けているゾーンへの電力を最小電力レベル(すなわち、最小電力出力)よりも大きい公称電力出力(例えば、2%の電力、5%の電力)まで増大させるように構成される。1つの形態では、電力が公称電力出力において再び印加されるまで、可変ランプ設定点を減少させることによって電力が増大される。ゾーン浮動状態を抑制するためにゾーンに印加される公称電力出力は、試験に基づいて規定することができ、最小電力レベル(例えば、公称電力出力は5Vを超える)をすぐ上回ることができる。
【0077】
複数の暴走状態が検出される場合、減少量は、検出された偏差状態における減少量の重み付けされた組み合わせである。1つの形態において、それぞれの偏差状態ごとに割り当てられる重みは、冷却プロセスにおいてヒータがどの段階にあるかに基づくことができる。すなわち、一般に、ランプ設定点偏差は、ヒータがより低温になるにつれて発生し得るゾーン間ドリフトよりもヒータの冷却の早期に発生する。したがって、ランプ設定点偏差に関連する減少量には、ヒータが最初に冷却し始めるときのゾーン間ドリフトに関連する減少量よりも高い重みが割り当てられる。幾らかの時間の後、及び/又は、ヒータの温度が所望の温度設定点よりも高い選択された温度設定点に到達した後、可変ランプダウン制御は、ランプ設定点偏差よりもゾーン間ドリフトに関連する減少量に対してより高い重みを割り当てることができる。より低温では、ヒータへの電力はもはや必要とされない場合があるため、ゾーン間ドリフト及びランプ設定点偏差に優先し得るゾーン浮動状態を阻止するために最小量の電力が印加され得る。したがって、冷却中のヒータの段階及びヒータ自体(すなわち、ヒータの応答性)に基づいて、重み付け係数を割り当てることができる。
【0078】
可変ランプダウン制御は、1つ以上の暴走状態を監視するように構成することができ、全てを監視する必要はないことを容易に理解すべきである。例えば、単一ゾーンヒータの場合、ゾーン間ドリフトは必要とされない。
【0079】
図2を参照すると、VRRT制御ルーチン200の一例が提供され、この制御ルーチンは、制御システムによって実行されて、ヒータの温度を1つ以上の温度設定点に制御する。202において、制御システムは、例えば、ヒータの温度設定点及び持続時間を与える規定の状態モードからヒータにおける温度設定点を取得する。204において、温度設定点がヒータの現在の温度未満であるかどうかを決定する。温度設定点がより高い場合、制御システムは、206において可変ランプアップ制御を実行する。一方、温度が低い場合、制御システムは、208において可変ランプダウン制御を実行する。温度設定点に達すると、制御システムは、ルーチン200に戻り、210において、温度制御モデル(例えば、PID制御)を使用して温度を温度設定点に維持し、212において、新しい温度設定点があるかどうかを決定する。新しい温度設定点がある場合、制御システムは202に戻る。一形態において、温度設定点は、ヒータがオフにされるときの公称設定点を含むことができる。
【0080】
図3を参照すると、可変ランプアップ制御300の一例が提供される。302において、制御システムは、可変ランプ速度を、温度設定点及び/又はシステム電流限界に基づいて規定される所望のランプ速度に設定し、所望のランプ速度を達成するためにヒータに電力を供給する。304において、制御システムは、ゾーンの抵抗加熱素子を通じて流れる電流及び各ゾーンの温度を監視する。306において、制御システムは、各ゾーンにおける測定電流が電流限界帯域未満であるかどうかを決定する。そうである場合、制御システムは310に進む。そうでない場合、制御システムは、308において、減少係数を決定し、減少係数に基づいて各ゾーンにおける可変ランプ速度を低下させる。特に、前述した方法論を使用して、制御システムは、測定電流がシステム電流限界にどれだけ近いかに相関する減少係数を決定し、各ゾーンにおける可変ランプ速度として、許容ランプ速度を得るために減少量だけ可変ランプ速度を低下させる。310において、制御システムは、ヒータのコヒーレント温度プロファイルを維持するために、隣り合うゾーンの温度が偏差閾値内にあるかどうかを決定する。温度が偏差閾値内にある場合、制御システムは314に進む。少なくとも1つのゾーンが逸脱している場合、制御システムは、312において、上記のように、より高い温度を有するゾーンの可変ランプ速度を低下させる。或いは、制御システムは、ゾーンの電流を監視しながら他のゾーンへの電力を高めるように構成されてもよい。314において、制御システムは、ゾーンが温度設定点にあるかどうかを決定する。そうでない場合、制御システムは304に戻る。ゾーンが温度設定点にある場合、制御システムは図2のルーチン200に戻る。
【0081】
図4を参照すると、可変ランプダウン制御400の一例が提供される。402において、制御システムは、可変ランプ速度を冷却ランプ速度(例えば、第2の可変ランプ速度)に設定し、冷却ランプ速度に基づいてゾーンを制御する。404において、制御システムは各ゾーンの温度を監視し、406において、制御システムは、ゾーン間の温度差が偏差閾値内にあるかどうかを決定して、ヒータが温度設定点まで冷えるにつれてコヒーレントな温度プロファイルを提供する。例えば、制御システムは、隣り合うゾーン間の温度差が偏差閾値よりも大きいかどうかを決定する。温度差が偏差閾値内にある場合、制御システムは410に進む。少なくとも1つのゾーンが逸脱している場合、制御システムは、408において、より低い温度を有するゾーン(すなわち、クールゾーン)の温度ランプ設定点を、より高い温度を有するゾーン(ホットゾーン)の測定温度に設定し、したがって、クールゾーンへの電力を増大させて、新しい温度ランプ設定点を達成する。410において、制御システムは、ゾーンが温度設定点にあるかどうかを決定する。そうでない場合、制御システムは404に戻る。ヒータが温度設定点にある場合、制御システムは図2のルーチン200に戻る。
【0082】
ルーチン200、300、及び400は、様々な適切な方法で構成することができ、本明細書に記載のステップに限定されるべきではないことを容易に理解すべきである。例えば、ヒータが単一ゾーンヒータである場合、制御システムは、ルーチン300においてコヒーレント温度プロファイルを提供することに関連するステップをスキップすることができ、可変ランプダウンルーチンを省略することができる。他の例において、VRRT制御は、それぞれ所望のランプ速度及び温度設定点への滑らかな移行をもたらすためのグライド速度制御及び/又は接近制御も含む。更に他の例において、可変ランプダウン制御の場合、冷却ランプ速度を設定する代わりに、制御は、ヒータへの電力をオフにし、ゾーンの温度を監視して、起こり得る温度の逸脱を軽減する。
【0083】
図5A図9は、本開示のVRRT制御の特性を示す。具体的には、図5Aは、ランプ速度が一定(例えば、20℃/分)であるランプアップ動作を示し、図5Bは、本開示のVRRT制御を用いたランプアップ動作を示す。どちらも電流は30A以下に維持されるが、図5Aの一定ランプアップ速度が図5BのVRRT制御よりも600℃に達するまでに時間がかかる。VRRT制御の場合、ランプ速度は28℃/分で始まり、電流が30Aに近づくにつれて減少する。すなわち、測定電流が電流限界帯域(例えば、25~30A)内に入ると、ランプ速度は減少し、ヒータを温度設定点に到達させながらヒータに印加される電流を制御する。
【0084】
図6は、ランプ速度がグライド速度から所望のランプ速度に制御され、次いで測定温度が温度設定点に近づくときに接近制御速度に制御されるランプアップ制御を示すグラフである。
【0085】
図7A及び図7Bは、それぞれ可変ランプダウン制御を伴わない及び可変ランプダウン制御を伴う2ゾーンヒータの冷却を示すグラフである。図7Aに示すように、ゾーン温度は互いに逸脱し始め、これは熱応力を引き起こす可能性があるが、図7Bでは、ヒータは逸脱した温度に対処することによってコヒーレントな温度プロファイルを有する。
【0086】
図8は、ゾーン浮遊状態を抑制するために最小量(例えば、5%の電力が供給される)を僅かに上回るレベルでヒータに電力が供給されるVRRT制御の可変ランプダウン制御を示す。ヒータに少量の電力を供給することによって、ヒータの温度は継続的に監視され、依然として温度設定点まで低下する。
【0087】
図9は、前述したように、ランプ速度及び/又は出力を制御することによって暴走状態を低減又は抑制する可変ランプダウン制御を示す。図では、ヒータ温度を表すフィラメント温度、及び温度ランプ設定点(すなわち、図9のランプ設定点(SP))は、ランプダウン中に実質的に同じである。図において、最適なランピングプロセス変動(PV)低減は、異なるゾーンが過度に逸脱することによる減少量であり、最適なランプボトム減少は、電力が低くなりすぎる(浮動)ことによる減少量であり、最適ランプ正味ランプ設定点(SP)利得は、3つの補正措置の加重和であり(例えば、正味利得は、ランプ速度を低下させるために所望のランプSPに対して0.0から1.0の乗数であり、1.0は低下せず、0.5は50%の低下である)、最適ランプ設定点(SP)減少は、ゾーンがランプSPから逸脱する可能性があるため、最初に急増する可能性がある。
【0088】
本明細書で使用される場合、偏差閾値という用語は、一般に、測定値(例えば、ゾーン温度、ヒータ温度)と別の値(例えば、温度設定点、別のゾーンの温度など)との間の差を比較するために定義された様々な想定し得る閾値を捕捉する。一形態において、可変ランプアップ制御及び可変ランプダウン制御におけるゾーン間ドリフト/偏差を監視するために使用される偏差閾値は、同じ又は異なる閾値であってもよい。一形態では、可変ランプダウン制御の場合、ゾーン間ドリフト及びランプ設定点偏差の偏差閾値は、同じであっても異なっていてもよい。また、偏差閾値は、単数の絶対値(例えば、5℃)として与えられてもよく、範囲(例えば、±5℃)として与えられてもよい。偏差閾値の実際の値は、特定の用途に基づいており、したがって、本明細書で提供される特定の数値に限定されない。
【0089】
本明細書で特に明示的に示されない限り、機械的/熱的特性、組成百分率、寸法及び/又は公差、又は他の特性を示す全ての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約」又は「およそ」という語によって修飾されると理解されるべきである。この変更は、工業的実施、材料、製造、及び組み立ての公差、並びに試験能力を含む様々な理由で望まれる。
【0090】
本明細書で使用される場合、A、B、及びCのうちの少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを使用して論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、及びCの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0091】
本出願では、「コントローラ」という用語は「回路」という用語に置き換えられ得る。「コントローラ」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、又はアナログ/デジタル混合ディスクリート回路;デジタル、アナログ、又はアナログ/デジタル混合集積回路;組み合わせ論理回路;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA);コードを実行するプロセッサ回路(共有、専用、又はグループ);プロセッサ回路によって実行されるコードを記憶するメモリ回路(共有、専用、又はグループ)と、;記載された機能を与える他の適切なハードウェア構成要素;又は上記の一部又は全部の組み合わせ、例えばシステムオンチップの一部を指す或いはこれらを含むことができる。
【0092】
コードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はマイクロコードを含むことができ、プログラム、ルーチン、関数、クラス、データ構造、及び/又はオブジェクトを指すことができる。メモリ回路という用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体という用語は、媒体を通って(搬送波上などで)伝播する一時的な電気信号又は電磁信号を包含せず、したがって、コンピュータ可読媒体という用語は、有形かつ非一時的であると考えることができる。
【0093】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の内容から逸脱しない変形例は、本開示の範囲内であることが意図される。そのような変形は、本開示の思想及び範囲からの逸脱と見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
【国際調査報告】