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特表2023-537399時間依存走査パターンおよびエネルギー入力を用いた金属ピン対のレーザ溶接
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】時間依存走査パターンおよびエネルギー入力を用いた金属ピン対のレーザ溶接
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20230824BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230824BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20230824BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B23K26/21 L
B23K26/00 N
B23K26/082
B23K26/00 Z
H02K15/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509693
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021072180
(87)【国際公開番号】W WO2022034033
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】16/994,439
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508175020
【氏名又は名称】コアレイズ オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カラゲ, ぺーター
(72)【発明者】
【氏名】フォースター, オリバー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス, オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲル, ファルク
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, シュテファン
【テーマコード(参考)】
4E168
5H615
【Fターム(参考)】
4E168BA28
4E168BA72
4E168BA73
4E168BA74
4E168BA87
4E168CB03
4E168DA42
4E168DA43
4E168KA04
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP14
5H615QQ03
5H615SS17
(57)【要約】
一対の金属ピンを(182、200)レーザ溶接するための方法は、金属ピンの個別の一対の表面が相互に隣接し、同一方向に面している、一対の金属ピンの作業側(220)にレーザビーム(112)を送達する。レーザビームは、最初に、作業側上の第1の経路(230、630)をトレースし、キーホール溶接によって溶融プール(850)を形成する。第1の経路は、金属ピン間の界面(210)を交差する。第1の経路をトレースした後、レーザレーザビームは、第1の経路のために使用されたもの未満の単位経路長あたりのエネルギーの送達率でレーザレーザビームを使用して、作業側上の第2の経路(240、640)をトレースするように切り替えられる。第2の経路は、界面を交差し、かつ第1の経路内にある。本方法は、ヘアピンおよびIピン固定子の溶接に非常に好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の金属ピンをレーザ溶接するための方法であって、
前記金属ピンの個別の対の表面が相互に隣接し、同一方向に面している、前記金属ピンの対の作業側にレーザビームを送達するステップと、
キーホール溶接によって溶融プールを形成するために、単位経路長あたりのエネルギーの第1の送達率で前記レーザビームを用いて前記作業側上の第1の経路をトレースするステップと、
前記第1の経路をトレースするステップの後、単位経路長あたりのエネルギーの前記第1の送達率の最大で2/3である、単位経路長あたりのエネルギーの第2の送達率で前記レーザビームを用いて前記作業側上の第2の経路をトレースするステップであって、前記第2の経路は、界面を交差し、かつ前記第1の経路内にある、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記キーホール溶接のキーホールの深さ対幅のアスペクト比が3の値に達する前に、前記第1の経路をトレースするステップから前記第2の経路をトレースするステップに切り替えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の経路をトレースするステップと、前記第2の経路をトレースするステップとを通して、前記深さ対幅のアスペクト比を3未満に維持することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の経路をトレースするステップと、前記第2の経路をトレースするステップとを通して、深さ対幅のアスペクト比を2未満に維持することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶融プールは、前記第1の経路をトレースするステップから前記第2の経路をトレースするステップに切り替える前に、前記界面に交差して及ぶ、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記キーホールが前記溶融プールによって占有される前記第1の経路上の位置に到達する前に、前記第1の経路をトレースするステップから前記第2の経路をトレースするステップに切り替えることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の経路をトレースするステップは、前記界面における前記溶融プールの深さを増加させるステップを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記一対の金属ピンは、固定子のヘアピンまたはIピンである、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記一対の金属ピンは、銅から作製される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の経路をトレースするステップにおいて、前記レーザビームは、第1の速度でおよび第1のパワーを用いて前記第1の経路をトレースし、
前記第2の経路をトレースするステップにおいて、前記レーザビームは、第2の速度でおよび前記第1のパワーを用いて前記第2の経路をトレースし、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第2の速度は、前記第1の速度の少なくとも1.5倍であり、前記レーザビームは、前記第1の経路をトレースするステップと、前記第2の経路をトレースするステップとにおいて、同一パワーを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の速度は、最大で前記第1の速度の5倍である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の経路をトレースするステップにおいて、前記レーザビームは、第1のパワーを有し、
前記第2の経路をトレースするステップにおいて、前記レーザビームは、前記第1のパワーよりも低い第2のパワーを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記レーザビームは、前記第1および第2の経路を同一速度でトレースする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の経路をトレースするステップにおいて、前記レーザビームは、第1のパワーを有し、第1の速度で前記第1の経路をトレースし、
前記第2の経路をトレースするステップにおいて、前記レーザビームは、前記第1のパワーよりも低い第2のパワーを有し、前記第1の速度よりも速い第2の速度で前記第2の経路をトレースする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第2の経路の前記作業側の横寸法は、前記第1の経路の前記作業側の対応する横寸法の20%~80%である、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第2の経路をトレースするステップの持続時間は、前記第1の経路をトレースするステップの持続時間を超える、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第1の経路は、閉経路である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記溶融プールが成長し、閉経路内およびそれによって画定された領域の少なくとも半分を占有するようになった後、前記切り替えるステップを実行することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および第2の経路のそれぞれは、楕円である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の経路は、前記第1の経路から始まる内向きの螺旋である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の経路は、開経路である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、一般に、金属ピン対、より具体的には、平角線固定子のヘアピンおよびIピンのレーザ溶接に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術の議論)
レーザ溶接は、連続またはパルスレーザビームを集中熱源として使用して、典型的には、金属から作製される、2つの部品を局所的に溶融して継合する。レーザビームは、比較的小さなスポットに集束され得、その結果、パワー密度が高くなり、熱影響ゾーンが小さくなる。レーザ溶接は、したがって、正確度および高度な制御が必要なときに魅力的な技術である。さらに、レーザ溶接は、それ自体が自動化に適している。
【0003】
レーザ溶接では、集束レーザビームが、付随的な加熱を最小限にしながら、各溶接点または線を精密に位置決めする。2つの主なレーザ溶接方式を区別することが、有用である。伝導溶接は、より低いレーザパワーおよびより低いレーザパワー密度で発生する。吸収されたレーザパワーが、照射された材料を加熱し、それによって、継合されるべき各部分の材料が溶融し、これは、流動、混合、次いで、固化する。キーホール溶接は、照射された材料の一部を蒸発させるために十分である、より高いレーザパワーおよびより高いレーザパワー密度で行われる。蒸発された材料が周囲の溶融材料にかかる圧力が、溶融材料を通してチャネルを開く。当技術分野でキーホールとして公知の本チャネルは、特徴的な狭くて深いプロファイルを有し、これは、レーザビームの深い透過を可能にする。完成したキーホール溶接は、概して、伝導溶接よりも狭く、深く、かつ強度がある。
【0004】
レーザビーム溶接が、ヘアピン固定子の溶接に使用されてきた。概して、「固定子」は、磁気回転子とエネルギーを交換する一連の電気巻線を有する。固定子および回転子が、一緒になって、電気モータおよび発電機の基礎を形成する。電気モータでは、電流が、固定子の巻線と通して通過され、磁気回転子を駆動する、回転磁場を生成する。発電機では、固定子が、磁気回転子の回転磁場を電流に変換する。ヘアピン固定子は、その巻線のために太い平角棒線を使用する。角形棒線は、従来の巻回された丸線よりも高い充填率で固定子内に充塞されることができる。角形棒線を伴う固定子が、したがって、比較的コンパクトなパッケージ内で高いトルクおよび出力密度を要求するモータにとって好ましい解決策である。加えて、角形棒線は、液体冷却に非常に好適である。しかしながら、太い角形棒線は、従来の丸線のように連続して巻回されることはできない。代わりに、角形棒線の多くのヘアピン形状の区画が片側から固定子リングのスロットに挿入され、ヘアピンの端が固定子リングの反対側から延在する。隣接する端部が、次いで、ともに溶接されて、個々の区画から連続した巻線が形成される。いくつかの事例では、いわゆるIピンが、ヘアピンの代わりに使用される。本質的に、各ヘアピンは、2つのIピンによって置換され、露出端の溶接が、固定子リングの両側で必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要約)
本明細書に開示されるものは、金属ピン対のレーザ溶接のための方法である。本方法は、本方法が、(a)溶接プロセスの間、スパッタを最小限にする、またはさらに排除し、(b)溶接ナゲット内のボイドの形成を防止または低減させ、(c)2つの金属ピン間の界面に沿った溶接ナゲットの深さおよび面積を最大限化するため、固定子のヘアピンまたはIピンの溶接のために特に非常に好適である。スパッタは、金属蒸発が十分に激しく、溶接プロセスの間、金属滴が放出されるキーホール溶接では望ましくない影響である。本溶滴の放出は、溶接ナゲットの体積を、不規則かつ不十分に制御された方法で低減させる。スパッタは、したがって、溶接部を通した導電率に悪影響を及ぼし、したがって、固定子に角形棒線を使用する利点を少なくとも部分的に損なうことになる。ボイドの形成は、溶融金属が固化する前に、金属ガスの泡が表面に逃散することができないキーホール溶接における別の望ましくない影響である。ボイドは、溶接ナゲットの導電性を妨げる。金属ピンの1つから別のピンに電流を流す能力は、溶接ナゲットの幾何学的側面の影響も受ける。例えば、2つの金属ピン間の界面における溶接ナゲットの断面積が大きいほど、2つの金属ピン間の全体的な導電性が向上する。本方法は、これらの問題を解決するために、時間依存レーザ走査パターンおよびエネルギー入力を適用する。
【0006】
一側面では、一対の金属ピンをレーザ溶接する方法は、(a)金属ピンの個別の対の表面が相互に隣接し、同一方向に面している、金属ピンの対の作業側にレーザビームを送達するステップと、(b)キーホール溶接によって溶融プールを形成するために、単位経路長あたりのエネルギーの第1の送達率でレーザビームを用いて作業側上の第1の経路をトレースするステップであって、第1の経路は、金属ピン間の界面を交差する、ステップと、(c)第1の経路をトレースするステップの後、単位経路長あたりのエネルギーの第1の送達率の最大で2/3である、単位経路長あたりのエネルギーの第2の送達率でレーザビームを用いて作業側上の第2の経路をトレースするステップであって、第2の経路は、界面を交差し、かつ第1の経路内にある、ステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する、添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を図式的に示し、上記の一般的な説明および以下の好ましい実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明することに役立つ。
【0008】
図1図1は、一実施形態による、金属ピン対を溶接するための1つのレーザ溶接装置を示す。
【0009】
図2図2A-Cは、一実施形態による、一対の金属ピンと、一対の金属ピンのレーザ溶接の間にレーザビームによってトレースされる楕円経路とを示す。
【0010】
図3図3は、一実施形態による、一対の金属ピンを溶接するための方法のためのフローチャートである。
【0011】
図4図4は、図3の方法に従ってレーザ溶接された金属ピン対の実施例を示す。
【0012】
図5図5は、従来のレーザ溶接プロセスに従ってレーザ溶接された金属ピン対の実施例を示す。
【0013】
図6図6は、図2Bの楕円経路に代わる閉経路の実施例を示す。
【0014】
図7図7は、図2Bの楕円経路に代わるハイブリッド閉開経路の実施例を示す。
【0015】
図8図8A-Eは、図3の方法による金属ピン対のレーザ溶接の一実施例を示す一連の図である。
【0016】
図9図9Aおよび9Bは、図3の方法の1つのステップの間の溶融プールの成長を示す。
【0017】
図10図10は、深さ対幅のキーホールアスペクト比の図である。
【0018】
図11図11は、一実施形態による、これらの個別の端面が反対方向に面するように継合された一対の金属ピンを示す。
【0019】
図12図12は、図3の方法によるレーザ溶接のために非平面作業側に継合された金属ピン対の一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
ここで図面を参照すると、同様の構成要素は、同様の数字で示され、図1は、金属ピン対を溶接するための1つのレーザ溶接装置100を示す。図1に描写される使用シナリオの実施例において、レーザ溶接装置100は、固定子180の金属ピン182(1)および182(2)の溶接対である。各金属ピン182は、ヘアピンまたはIピンであってもよい。ヘアピン対182(1、2)のいくつかのより詳細な図は、固定子180の一部の拡大図190において提供される。レーザ溶接装置100は、レーザ源110と、固定具120とを含む。レーザ源110は、レーザビーム112を発生させる。一実施形態では、レーザビーム112は、パルス波または連続波のいずれかであり、レーザ源110は、少なくとも1キロワットの平均パワーを送達することができる。レーザビーム112は、近赤外または可視(例えば、緑色)であってもよい。レーザ溶接装置100は、固定子180に対してレーザビーム112を移動させ、金属ピン182(1、2)の各対を順次溶接するように構成され、レーザビーム112は、金属ピン182(1、2)の各対の作業側で時間依存走査パターンをトレースする。一実施形態では、固定具120は、固定子180を段階的に回転させ、金属ピン対182(1、2)をレーザビーム120の焦点に1つずつ配置し、レーザ源110は、ビームスキャナを使用して、各金属ピン対182(1、2)の作業側で時間依存走査パターンをトレースする。別の実施形態では、全ての移動は、レーザ源110によって行われる。例えば、レーザ源110のビームスキャナの場所は、偏位され、各金属ピン対182(1、2)に順次向けられてもよく、ビームスキャナは、次いで、操作され、各金属ピン対182(1、2)の作業側で時間依存走査パターンをトレースする。
【0021】
図2A-Cは、1対の金属ピン200(1)および200(2)を示す。金属ピン対200(1、2)は、例えば、固定子180の金属ピン対182(1、2)等の固定子のヘアピンまたはIピンである。最も一般的には、固定子は、銅ピンを使用する。したがって、金属ピン200(1)および200(2)は、銅から作製されてもよい。代替として、金属ピン200(1)および200(2)は、アルミニウムまたは別の金属から作製されてもよい。図2Aは、金属ピン対200(1、2)を斜視図で示す。図2Bは、金属ピン200(1)および200(2)の端面によって形成される作業側220の上部平面図である。図2Cは、図2Aの線2C-2Cによって示されるように得られる、金属ピン対200(1、2)の側断面図である。デカルト座標系290は、図2A-2Cのそれぞれにおける金属ピン対182(1、2)の配向を示す。作業側220は、正のz軸方向に面している。各金属ピン200は、図2Aおよび2Cに示されるものを越えて負のz軸方向に延在してもよく、その結果、図2Aおよび2Cは、各金属ピン200の端部部分のみを示す。さらに、図2A-Cの図の外側では、各金属ピン200の非端部部分は、例えば、ヘアピンおよびIピンに慣用されているように屈曲されてもよい。
【0022】
金属ピン200(1)および200(2)は、相互に隣接して位置付けられ、その間に界面210を形成する。界面210は、yz平面に平行である。金属ピン200(1)および200(2)は、界面210で相互に直接接触してもよい。本明細書の範囲から逸脱することなく、金属ピン200(1)および200(2)の間の間隙は、界面210の全部または一部に存在してもよい。図2Bに示されるように、作業側220は、それぞれ、金属ピン200(1)および200(2)の端面204(1)および204(2)によって形成される。図2A-Cは、各端面204が平面であるものとして示し、端面204(1)および204(2)が相互に共面であるものとして示す。例えば、ヘアピンおよびIピンは、典型的には、角形棒線の長いロッドから切断され、切断プロセスは、各ピンの端部に隆起を残し、かつ他の非平面性を生産してもよい。さらに、ヘアピンおよびIピンの位置付けは、製造公差の影響を受けてもよい。
【0023】
各金属ピン200は、x軸に沿って幅202Wと、y軸に沿って長さ202Lとを有する。一実施例では、幅202Wは、1~3ミリメートル(mm)の範囲であり、長さ202Lは、3~10mmの範囲である。各端面204は、図2A-Cに示されるように、丸みを帯びた角形形状、真の角形形状、または非角形台形形状を有してもよい。
【0024】
図3は、一対の金属ピンを溶接するための1つの方法300のためのフローチャートである。方法300は、金属ピン対200(1、2)を溶接するために使用されてもよく、レーザ溶接装置100によって実行されてもよい。方法300は、時間依存走査パターンで、かつ時間依存エネルギー送達率で、金属ピン対の作業側上でレーザビームを移動させる。時間依存走査パターンおよびエネルギー送達率は、スパッタを最小化または排除し、溶接界面の面積を最大限化することに役立つ。
【0025】
図4および5は、それぞれ、方法300および従来のレーザ溶接方法に従って溶接された金属ピン対200(1、2)を示す。図4は、図2Cにおいて使用されるものと同一断面図において、方法300に従ってレーザ溶接された金属ピン対200(1、2)を示す。方法300は、界面210を交差し、界面210に沿って(z軸に沿って)深さ474を有する、溶接ナゲット470を形成する。図5は、図2Cで使用されるものと同一断面図であり、従来のレーザ溶接プロセスに従ってレーザ溶接された金属ピン対200(1、2)を示す。従来のレーザ溶接プロセスは、界面210を交差し、界面210に沿って深さ574を有する、溶接ナゲット570を形成する。
【0026】
溶接ナゲット570は、従来のレーザ溶接プロセスの間に溶融金属内に取り込まれた金属気泡によって引き起こされる、いくつかのボイド572を有する。溶接ナゲット470の場合、方法300は、ボイドの存在を排除する、または少なくとも最小限にする。界面210での溶融を最適化し、スパッタに起因する溶接ナゲット材料の損失を低減または排除することによって、方法300はさらに、溶接ナゲット470の深さ474が溶接ナゲット570の深さ574を超えるように溶接ナゲット470の深さ474を最大限化する。溶接ナゲット570のボイド572は、導電性を有せず、したがって、従来の溶接された金属ピン200(1)と200(2)との間の電流590の流れを妨げる。溶接ナゲット570のより浅い深さ574は、電流590の流れをさらに妨げる場合がある。対照的に、溶接ナゲット470を通る電流490は、ボイドによって妨げられず(または少なくとも最小限の妨げとなるだけである)、深さ474は、電流490の流れに垂直な各金属ピン200の断面積と関連付けられるインピーダンスを超えて電流490を妨げないために十分であってもよい。
【0027】
再び図3を参照すると、方法300は、ステップ310、320、および330を含む。ステップ310は、金属ピン対の表面の個別の対が相互に隣接し、同一方向に面している、金属ピン対の作業側にレーザビームを送達する。ステップ310の一例では、レーザ源110は、レーザビーム112を金属ピン対200(1、2)の作業側220に送達する。
【0028】
ステップ320は、キーホール溶接によって溶融プールを形成するために、作業側上の第1の経路をトレースする。第1の経路は、金属ピン間の界面と交差する。ステップ320において、レーザビームパワーおよびレーザビームが第1の経路に沿って移動する速度は、第1の経路の単位長あたりのエネルギーの第1の送達率に相当する。ここで、エネルギーの送達率は、レーザ放射が吸収または反射されるかどうかにかかわらず、金属部品に入射するレーザ放射のエネルギーを指す。ステップ320の一実施例において、レーザビーム112は、金属ピン対200(1、2)の作業側220上の経路230(図2Bに示される)をトレースする。レーザビーム112は、経路230に沿って作業側220上で1周、数周、または部分周回を行ってもよい。ステップ320をある持続時間にわたって実施した後、方法300は、ステップ330に切り替わる。
【0029】
ステップ330は、作業側上の第2の経路をトレースする。第2の経路は、金属ピン間の界面を交差し、第1の経路内にある。ここで、用語「第1の経路内」は、第1の経路が作業側220上で完全な360度の周回を完了しないシナリオを包含する。そのようなシナリオにおいて、第2の経路は、第1の経路の外挿内にあり、360度の完全な周回である。ステップ330において、レーザビームパワーおよびレーザビームが第2の経路に沿って移動する速度は、第2の経路の単位長あたりのエネルギーの第2の送達率に相当する。エネルギーの第2の送達率は、ステップ320のエネルギーの第1の送達率よりも低い。ステップ330の一実施例において、レーザ源110は、金属ピン対200(1、2)の作業面220上の経路240(図2Bに示される)をトレースする。レーザビーム112は、典型的には、経路240に沿って作業側220上でいくつかの周回を行う。経路230は、経路240よりも周辺にあり、経路240は、経路230内にある。経路230および240の形状は、図2Bに示される楕円とは異なっていてもよい。経路230および240のそれぞれは、閉経路(例えば、楕円、円、または長方形)または開経路(例えば、螺旋)であってもよい。経路が楕円であるとき、楕円経路の長軸は、金属ピン間の界面と整列される、または作業側のより長い寸法と整列されてもよい。
【0030】
図6は、図2Bの楕円経路に代わる閉経路の1つを示す。ここで、第1の経路630は、その長軸が界面210に沿って整合されている、丸みを帯びた長方形であり、第2の経路640は、界面210を中心とする円である。
【0031】
図7は、図2Bの楕円経路に代わる1つのハイブリッド閉開経路を示す。ここで、楕円の第2の経路240は、第1の経路230から内向きに螺旋状に延びる、螺旋状の第2の経路740に置換される。
【0032】
多くの他の走査パターンが可能である。例えば、第1および第2の経路は、(a)同一内向き螺旋の連続部分、(b)同心円、または(c)同心長方形または丸みを帯びた長方形であってもよい。
【0033】
図8A-Eは、方法300に従って金属ピン対200(1、2)のレーザ溶接の一例を図示する、一連の図である。本実施例は、楕円経路230および240を使用するが、図6および7を参照して上記で議論されたもの等、第1および第2の経路の他の形状にも適用可能である。図8A-Eのそれぞれは、方法300の個別の段階における金属ピン対200(1、2)の作業側220の上部平面図である。ステップ320において、レーザビーム112は、経路230をトレースする(図8A参照)。経路230に沿ったレーザビーム112によるキーホール溶接は、溶融プール850の形成をもたらし、最初は、レーザビーム112が経路230に沿って移動するにつれて、それを追跡する。ステップ320の間、溶融プール850は、成長し(図8Bを参照)、しばらくすると、局所尾部追跡レーザビーム112にはもはや似ておらず、むしろ、経路230内および経路230によって画定される領域の実質的部分を被覆する、共通溶融プールを形成する(図8C参照)。方法300は、次に、ステップ330に切り替わる。
【0034】
ステップ320からステップ330への切替は、2つの変更を伴い、すなわち、(a)単位経路長あたりのエネルギーの送達率を減少させ、(b)レーザビーム112によるエネルギー送達を作業側220のより中央の領域に移動させる(図8D参照)ことである。単位経路長あたりのエネルギーの送達率の減少は、少なくとも部分的に、金属ピン対200(1、2)からの材料の損失を防止または最小化するために、スパッタを回避または減少することに役立つ。ステップ330の間、レーザビーム112は、金属ピン対200(1、2)を溶融し続けて、溶融プール850を成長させる(図8Eを参照)。ステップ330における単位経路長あたりのエネルギーの送達率は、キーホール溶接のためには十分であるが、しかしながら、スパッタを回避または最小化するレベルである。ステップ320からステップ330に切り替わるときの、単位経路長あたりのエネルギーの送達率の低減は、レーザビームが作業面に交差して移動する速度を増加させ、および/またはレーザビームのパワーを低減させることにより達成されてもよい。したがって、ステップ330は、(i)ステップ320で第1の経路のために使用された速度よりも高速で第2の経路をトレースするステップ334、および(ii)ステップ320よりも低いレーザビームパワーを使用するステップ336の一方または両方を含んでもよい。実践的単純さおよびより容易に制御されたプロセスのために、速度の増加は、レーザビームパワーの低減よりも好ましい場合がある。したがって、一実施形態では、方法330は、ステップ334を含み、ステップ336を省略して、ステップ320および330でレーザビームパワーが同一になるようにする。
【0035】
より中央の面積へのレーザビーム112の移動は、界面210で溶融プール850の断面積を優先的に成長させる役割を果たす一方、少なくともしばらくの間、金属ピン対200(1、2)のより未溶融の周辺部分による溶融プール850の閉じ込めから恩恵を受ける。
【0036】
図9Aおよび9Bは、ステップ330の間の溶融プール850の成長を図示する。図9Aおよび9Bは、それぞれ、図2Cで使用されたものと同様の金属ピン対200(1、2)の断面図である。図9Aに示されるように、レーザビーム112が経路240に沿って移動し、したがって、溶融プール850を比較的中心の位置から加熱する間、金属ピン200(1)および200(2)の未溶融の周辺部分956は、少なくともしばらくの間、溶融プール850が、作業側220の縁から溢流しないように防止することに役立つ障壁を形成する。最終的に、溶融プール850の成長は、周辺部分956を含んでもよく、溶融プールは、図9Bに示されるように、作業側220の全体を被覆する最終サイズまで成長してもよい。ステップ330におけるレーザビーム112の比較的中心の位置は、最終溶融プール850の深さ374を最大限化し、したがって、溶接ナゲット470を最大限化する(かつ界面210に沿って溶接ナゲット470の一般的な断面積を最大限化する)。代わりに、レーザビーム112が、経路230に沿って進み、単位経路長あたりのエネルギーの送達率が減少した場合、作業側220の周辺近くの溶融材料が失われて周辺に飛び散る、または溢流する場合があり、その結果、溶融プール850は、界面210に沿って同一最終深さ474が得られない。
【0037】
銅から作製される金属ピンのサンプル対に適用される方法300の用途において、作業側に沿った第2の経路の横方向の寸法が、作業側に沿った第1の経路の対応する横方向の寸法の20%~80%にあるとき、最良の結果が得られることが見出されている。図2Bを参照すると、方法300の一実施例では、経路230は、x次元で幅232Wおよびy次元で長さ232Lを有し、経路240は、対応する幅242Wおよび長さ242Lを有し、ここで、(a)長さ232Lは、各金属ピン200の長さ202Lの60%~90%であり、幅232Wは、各金属ピン200の幅202Wの値の2倍の50%~90%であり、(b)長さ242Lおよび幅242Wのそれぞれは、それぞれ、長さ232Lおよび幅232Wの20%~80%である。
【0038】
再び図3を参照すると、ステップ320と330との間の単位経路長あたりのエネルギーの送達率での減少は、キーホール深さを限定することによって、ボイド形成を減少または排除するのにさらに役立ち得る。金属気泡は、表面から離れて形成されるとき、より取り込まれやすくなる。したがって、より浅いキーホールは、ボイド形成のリスクを減少させる。より浅いキーホールはまた、スパッタのリスクを減少させる。したがって、ステップ320および330は、深さ対幅のキーホールアスペクト比を閾値未満に維持するステップ322および332をそれぞれ含んでもよい。
【0039】
図10は、深さ対幅キーホールアスペクト比を示す、図である。レーザビーム112は、金属ピン200(1)および200(2)上の作業側220に入射し、矢印1090によって示されるように、作業側220に沿って移動する。レーザビーム112は、溶融プール850内にキーホール1060を形成し、溶融プール850の体積の大部分がキーホール1060の後に続く。キーホール1060は、作業側220の表面から負のz軸方向に深さ1062Dを有する。深さ対幅キーホールアスペクト比は、深さ1062Dを幅1062Wで除算したものである。幅1062Wは、z軸に沿って変化してもよいが、幅1062Wは、概して、作業側220に入射するレーザビーム112のビームサイズに相関する。したがって、最も実践的目的のために、深さ対幅キーホールアスペクト比は、ほぼ深さ1062Dをレーザビーム112の直径(例えば、作業側220に焦点を合わせたときのレーザビーム112のウエスト直径)で除算したものである。
【0040】
深さ対幅キーホールアスペクト比が3.0を超えると、スパッタおよび/またはボイド形成が発生しやすいことが見出されている。本発見は、スパッタ挙動のリアルタイムイメージング、キーホール深さを評価するためのリアルタイム光コヒーレンストモグラフィ、および溶接後の断面を組み合わせて使用した、銅から作製されるいくつかの金属ピン対200(1、2)の調査に基づいていた。したがって、一実施形態では、ステップ322および332の閾値は、3.0である。スパッタのリスクをさらに減少させる別の実施形態では、ステップ322および332の閾値は、3.0未満である。本実施形態では、閾値は、2.5、2.0、または1.5としてもよい。本閾値およびスパッタの許容範囲に応じて、深さ対幅キーホールアスペクト比は、方法300を通して3.0未満、2.5未満、2.0未満、または1.5未満の値に維持される。
【0041】
ステップ322および332は、同一目的を有しているが、概して、作業側および溶融プールの状態が、ステップ320と330との間で異なるため、異なる要件と関連付けられる。一実施形態では、ステップ322は、単位長あたりのエネルギーの第1の送達率を第1の最大値またはそれを下回って維持することを含み、ステップ332は、単位長あたりのエネルギーの第2の送達率を、ステップ322における単位長あたりのエネルギーの第1の送達率のための第1の最大値のある割合にすぎない、第2の最大値またはそれを下回って維持することを含む。少なくとも、ステップ322および332を含み、銅から作製される一対の金属ピンに適用される方法300の実施形態における特定の状況下では、ステップ332における第2の最大値は、ステップ322における第1の最大値の約2/3であることが見出されている。対応する実施形態では、ステップ330における単位長あたりのエネルギーの第2の送達率は、ステップ320における単位長あたりのエネルギーの第1の送達率の最大で2/3である。本実施形態の一実施例では、ステップ330は、ステップ334を実施するが、ステップ336は実施せず、単位長あたりのエネルギーの送達率の所望の減少を達成し、その結果、レーザビームは、ステップ320で第1の経路のために使用された速度の少なくとも1.5倍の速度で第2の経路をトレースする。
【0042】
さらに、ステップ322および332を含み、銅から作製される一対の金属ピンに適用される、方法300の実施形態における少なくとも特定の状況下は、ステップ330における単位長あたりのエネルギーの第2の送達率を、ステップ320における単位長あたりのエネルギーの第1の送達率の少なくとも1/5に設定することが好ましいことが見出されている。したがって、方法300の一実施形態では、ステップ330における単位長あたりのエネルギーの第2の送達率は、ステップ320における単位長あたりのエネルギーの第1の送達率の1/5~2/3である。本実施形態の一実施例では、ステップ330は、ステップ334を実施するが、ステップ336は実施せず、単位長あたりのエネルギーの送達率の所望の減少を達成する。本実施例では、レーザビームは、ステップ330において、ステップ320で第1の経路のために使用された速度の1.5倍~5倍の速度で第2の経路をトレースする。ステップ320において第1の経路のために使用された適切な速度は、他のパラメータ、特に、レーザビームパワーに依存する。一実施例では、ステップ320で第1の経路のために使用された速度は、毎秒100~600ミリメートルの範囲であり、レーザビームパワーは、1~10キロワットである。
【0043】
方法300は、ステップ320からステップ330に切り替えるべきときについて、1つ以上の基準を利用してもよい。一実施形態では、方法300は、深さ対幅キーホールアスペクト比が、所定の閾値に達する前に、ステップ330に切り替える基準390を実施する。方法300の本実施形態は、ステップ322および332を含んでもよく、基準390は、ステップ322および332で使用されたのと同一閾値に基づいてもよい。
【0044】
基準390の代替として、または基準390と併せて、方法300は、キーホールが、溶融プールによって既に占有されている、第1の経路上の位置に達する前に、ステップ320からステップ330に切り替える基準392を実施してもよい。キーホール(例えば、キーホール1060)が、溶融プールが、キーホールが溶融プールの既存の部分に追いつくようなサイズに成長するために十分な長さで、第1の経路を移動できる場合、キーホール深さは、本質的に、スパッタおよび/またはボイド形成が発生する限界を瞬時に超えることが見出されている。したがって、図8Cにおける実施例によって示され、交差890によって示されるように、基準392は、レーザビーム112が、溶融プール850の以前に形成された部分によって既に占有されている経路230上の位置に達する前に、ステップ330への切替を課す。いくつかのシナリオでは、基準392に従ってステップ320からステップ330に切り替えることは、基準390が満たされることも保証する。図3には示されていないが、方法300は、基準392に従って、ステップ320からステップ330に切り替える必要があるべきときを特定するために、作業側をリアルタイムで画像化するステップを含んでもよい。方法300は、基準390および392の両方を実施してもよい。
【0045】
基準390および392は、その両方とも、ステップ320の継続時間に上限を課す。方法300は、溶融プールが第1の経路内およびそれによって画定される面積のある閾値割合を占有するように成長した後にのみ、ステップ330に切り替えることによって、ステップ320の継続時間に下限を課す、基準394をさらに実施してもよい。一実施例では、閾値部分は、50%である。別の実施例では、閾値割合は、60%~80%の範囲等、50%よりも大きい。図3には示されていないが、方法300は、基準394に従って、ステップ320からステップ330に切り替えることが許容されるときを識別するために、作業側をリアルタイムで画像化するステップを含んでもよい。
【0046】
基準390、392、および394のうちの1つ以上に従って、ステップ320からステップ330に切り替えるべきときを評価するためのリアルタイム画像化能力がない場合、そのような検査が、基準390、392、および394の1つ以上に従って、切替を確実にする機械パラメータを判定するために、1つ以上のサンプルに対して実行されてもよい。例えば、そのような検査は、(i)第1の経路上の持続時間、および(ii)第1の経路に沿った単位長あたりのエネルギーの送達率の一方または両方の適切な値を判定してもよい。これらの検査はまた、ステップ322に加えて要求される機械パラメータの適切な値、例えば、(i)第1の経路のサイズ、(ii)第2の経路に沿った単位長あたりのエネルギーの送達率、および(iii)第2の経路のサイズを判定してもよい。したがって、方法300は、基準390、392、および394のうちの1つ以上に従って、ステップ320および330を実行し、それらの間を切り替えるために、事前定義された機械パラメータを実施してもよい。
【0047】
ある実施形態では、ステップ330の持続期間は、ステップ330における溶融プールの実質的成長を可能にしながら、ステップ320におけるスパッタを防止するために、ステップ320の持続期間を超える。ステップ320および330を含む、総溶接時間は、200ミリ秒未満または100ミリ秒未満であってもよい。
【0048】
方法300は、金属ピン対200(1、2)と同一幾何学形状を有する、金属ピン対に限定されない。むしろ、方法300は、概して、金属部品の縁溶接に適用可能であり、特に、角形棒線の溶接のために非常に好適である。角形棒線対またはピン対は、2つの金属部品の2つの個別の表面が、相互に隣接し、溶接のための作業側を形成する限り、金属ピン対200(1、2)のものと異なる幾何学形状と継合されてもよい。
【0049】
図11は、それらの個別の端面1104(1)および1104(2)が反対方向に面するように継合される、一対の金属ピン1100(1)および1100(2)を図示する。金属ピン1100(1)および1100(2)は、図11に描写されるように、個別のヘアピンまたはIピンの端部であってもよい。金属ピン対1100(1、2)は、金属ピン対200(1、2)のものと異なる、ピン対幾何学形状の一実施例を表す。作業側1102が、方法300に従って溶接するために、それぞれ、金属ピン1100(1)および1100(2)の2つの隣接する側面表面1108(1)および1108(2)によって提供される。方法300のある実施例では、金属ピン対1100(1、2)に適用されるように、レーザビーム112は、最初に、ステップ320において、より大きい経路1130をトレースし、続いて、ステップ330において、より小さい経路1140をトレースする。
【0050】
図12は、図2Cで使用されたものに類似する側断面図において、方法300に従ってレーザ溶接するための非平面作業側と継合される、金属ピン対の一実施例を図示する。本実施例では、2つの金属ピン1200(1)および1200(2)は、個別の隆起1206(1)および1206(2)において終端し、V形状作業側1220をもたらす。金属ピン1200(1)および1200(2)によって形成される、作業側1220の個別の部分は、依然として、両方の部分が、概して、図12において上向きに面するという意味で、同一方向に面していると見なされる。
【0051】
本発明は、上記において、好ましい実施形態および他の実施形態の観点から説明されている。しかしながら、本発明は、本明細書に説明および描写される実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、本明細書に添付の請求項によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8A-8E】
図9A
図9B
図10
図11
図12
【国際調査報告】