(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】少なくとも1つの監視領域を監視するための非接触型検出装置を操作するための方法、検出装置、および少なくとも1つの検出装置を有する車両
(51)【国際特許分類】
G01S 13/931 20200101AFI20230824BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G01S13/931
G01S13/87
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509713
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021071521
(87)【国際公開番号】W WO2022033907
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102020121318.2
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、バナエフ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AE01
5J070AE09
5J070AE10
5J070AE13
5J070AE20
5J070AF03
5J070AH35
5J070AK22
5J070BA01
5J070BD01
(57)【要約】
少なくとも1つの監視エリアを監視するための非接触で動作する検出装置を操作するための方法、非接触で動作する検出装置、および少なくとも1つの非接触で動作する検出装置を有する車両が記載される。本方法において、複数の送信信号を少なくとも1つの監視エリアに連続的に送信する。少なくとも1つの前記監視エリアにおいて反射した送信信号を前記検出装置を使用して受信し、必要な場合、評価装置を使用して処理可能な形態にし、そして受信信号(26a)として処理する。前記信号(26a)の少なくとも一部を、少なくとも1つの信号ブロック(32a、32b、32c)に割り当てる。少なくとも1つの前記監視エリアに関する情報を、前記受信信号(26a)の少なくとも一部から確認する。時間において互いに続く前記受信信号(26a)の少なくとも一部を、少なくとも1つの受信信号ブロック(32a、32b、32c)に、前記検出装置の前記受信エンドにおいて割り当てる。前記割り当ては、前記検出装置の前記送信エンドにおける送信信号のあらゆる割り当てから独立している。前記受信信号ブロック(32a、32b、32c)の少なくとも一部の前記受信信号(26a)の少なくとも一部に、ブロック内で信号処理を施す。これにより、少なくとも1つの前記監視エリアに関する情報が判定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの監視エリア(18a;18b)を監視するための非接触で動作する検出装置(12;14)を操作するための方法であって、
複数の送信信号(24a;24b)を少なくとも1つの監視エリア(18a;18b)に連続的に送信し、
少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)において反射した送信信号(24a;24b)を前記検出装置(12;14)を使用して受信し、必要な場合には評価装置(30a;30b)を使用して処理可能な形態にして、受信信号(26a;26b)として処理し、
前記信号(26a;26b)の少なくとも一部を、少なくとも1つの信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に割り当て、少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)に関する情報を、前記受信信号(26a;26b)の少なくとも一部から確認する方法において、
少なくともいくつかの時間的に連続する受信信号(26a;26b)を、少なくとも1つの受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に、前記検出装置(12;14)の前記受信エンドにおいて割り当て、前記割り当ては、前記検出装置(12;14)の前記送信エンドにおける送信信号(24a;24b)のあらゆる割り当てから独立しており、
前記受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)の少なくとも一部の前記受信信号(26a;26b)の少なくとも一部に、ブロック毎に、少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)に関する情報を確認するために使用される信号処理を施す、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記受信信号(26a;26b)の少なくとも1つを、少なくとも2つの時間的に重なる受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に割り当てる、および/または、少なくとも1つの受信信号(26a)を、少なくとも2つの時間的に連続する受信信号ブロック(32a)間の時間ギャップ(36a)に割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に、同数の受信信号(26a;26b)を割り当てる、
および/または、少なくとも2つの受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に、同一の時間長さ(34a、34b、34c;34d)を割り当てる、
および/または、少なくとも2つの受信信号ブロックに、異なる数の受信信号を割り当てる、
および/または、少なくとも2つの受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に、異なる時間長さ(34a、34b、34c;34d)を割り当てる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの受信信号ブロック(32b、32c)に、少なくとも1つの最初に記載の前記受信信号ブロック(32b、32c)の前記長さ(34b、34c)よりも短い時間長さ(34a、34b)を有する少なくとも1つの他の受信信号ブロック(32a、32b)に同様に割り当てられた前記受信信号(26a)の少なくとも一部を割り当てる、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの受信信号ブロック(32a:32d)の時間ウィンドウにあるすべての受信信号(26a;26b)を、少なくとも1つの当該受信信号ブロック(32a;32d)に完全に割り当てる、および/または、少なくとも1つの受信信号ブロック(32b、32c)の時間ウィンドウにある前記受信信号(26a;26b)の少なくとも一部を、少なくとも1つの当該受信信号ブロック(32b;32c)への割り当て時に除外する、
ことを特徴とする請求項1~4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記送信信号(24a;24b)の少なくとも一部を、電磁信号の形態において送信する、
ことを特徴とする請求項1~5の一項に記載の方法。
【請求項7】
同一の送信信号(24a;24b)を時間とともに規則的に送信する、および/または、同一の送信信号を時間とともに不規則的に送信する、および/または、非同一の送信信号を時間とともに規則的に送信する、および/または、非同一の送信信号を時間とともに不規則的に送信する、
ことを特徴とする請求項1~6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記受信信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に対応する前記受信信号(26a;26b)の少なくとも一部に、ブロック毎に、少なくとも1つのフーリエ変換を施す、
ことを特徴とする請求項1~7の一項に記載の方法。
【請求項9】
前記検出装置(12)は、車両(10)の車室(18a)を監視するために使用される、および/または、前記検出装置(14)は、車両(10)の周囲(18b)を検出するために使用される、
ことを特徴とする請求項1~8の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記監視エリア(18a;18b)に関する確認された前記情報の少なくとも一部を、車両(10)の制御装置(16)であって、前記検出装置(12;14)が関連付けられた制御装置(16)に転送する、
ことを特徴とする請求項1~9の一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの監視エリア(18a;18b)を監視するための非接触で動作する検出装置(12;14)であって、
前記検出装置(12;14)は、
複数の送信信号(24a;24b)を少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)に連続的に送信するための少なくとも1つの送信装置(22a;22b)と、
少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)において反射した送信信号(24a;24b)を受信するとともに、受信した前記送信信号(24a;24b)を電気評価装置(30a;30b)を使用して処理可能な受信信号(26a;26b)に変換するための、少なくとも1つの受信装置(28a;28b)と、
前記信号(26a;26b)の少なくとも一部を少なくとも1つの信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に割り当てるとともに、少なくとも1つの前記監視エリア(18a:18b)に関する情報を前記受信信号(26a;26b)の少なくとも一部から確認するための、少なくとも1つの電子評価装置(30a;30b)と、
を有する検出装置(12;14)において、
前記検出装置(12、14)は、請求項1~10の一項に記載の方法を実施するための手段を備える、
ことを特徴とする検出装置。
【請求項12】
前記検出装置(12;14)は、電磁送信信号(24a;24b)を送信するために使用され得る少なくとも1つの送信装置(22a;22b)と、反射した電磁送信信号(24a;24b)を受信するとともに選択的にこれを変換するために使用され得る少なくとも1つの受信装置(28a;28b)と、を備える、
ことを特徴とする請求項11に記載の検出装置。
【請求項13】
物体(20a;20b)に関して監視エリア(18a;18b)を監視するための少なくとも1つの非接触で動作する検出装置(12;14)を有する車両(10)であって、
少なくとも1つの前記検出装置(12;14)は、
複数の送信信号(24a;24b)を少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)に連続的に送信するための少なくとも1つの送信装置(22a;22b)と、
少なくとも1つの前記監視エリア(18a;18b)において反射した送信信号(24a;24b)を受信するとともに、受信した前記送信信号(24a;24b)を電気評価装置(30a;30b)を使用して処理可能な受信信号(26a;26b)に変換するための、少なくとも1つの受信装置(28a;28b)と、
前記信号(26a;26b)の少なくとも一部を少なくとも1つの信号ブロック(32a、32b、32c;32d)に割り当てるとともに、少なくとも1つの前記監視エリア(18a:18b)に関する情報を前記受信信号(26a;26b)の少なくとも一部から確認するための、少なくとも1つの電子評価装置(30a;30b)と、
を備える、車両において、
前記車両は、請求項11または12に記載の少なくとも1つの検出装置(12;14)を備える、
ことを特徴とする車両。
【請求項14】
少なくとも1つの検出装置(14)は、周囲検出装置である、および/または、少なくとも1つの検出装置(12)は、車室監視装置である、
ことを特徴とする請求項13に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの監視エリアを監視するための非接触で動作する検出装置を操作するための方法であって、
複数の送信信号を少なくとも1つの監視エリアに連続的に送信し、
少なくとも1つの前記監視エリアにおいて反射した送信信号を前記検出装置を使用して受信し、必要な場合には評価装置を使用して処理可能な形態にして、受信信号として処理し、
前記信号の少なくとも一部を、少なくとも1つの信号ブロックに割り当て、少なくとも1つの前記監視エリアに関する情報を、前記受信信号の少なくとも一部から確認する方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも1つの監視エリアを監視するための非接触で動作する検出装置であって、
複数の送信信号を少なくとも1つの前記監視エリアに連続的に送信するための少なくとも1つの送信装置と、
少なくとも1つの前記監視エリアにおいて反射した送信信号を受信するとともに、受信した前記送信信号を電気評価装置を使用して処理可能な受信信号に変換するための、少なくとも1つの受信装置と、
前記信号の少なくとも一部を少なくとも1つの信号ブロックに割り当てるとともに、少なくとも1つの前記監視エリアに関する情報を前記受信信号の少なくとも一部から確認するための、少なくとも1つの電子評価装置と、
を有する検出装置に関する。
【0003】
また、本発明は、物体に関して監視エリアを監視するための少なくとも1つの非接触で動作する検出装置を有する車両であって、
少なくとも1つの前記検出装置は、
複数の送信信号を少なくとも1つの前記監視エリアに連続的に送信するための少なくとも1つの送信装置と、
少なくとも1つの前記監視エリアにおいて反射した送信信号を受信するとともに、受信した前記送信信号を電気評価装置を使用して処理可能な受信信号に変換するための、少なくとも1つの受信装置と、
前記信号の少なくとも一部を少なくとも1つの信号ブロックに割り当てるとともに、少なくとも1つの前記監視エリアに関する情報を前記受信信号の少なくとも一部から確認するための、少なくとも1つの電子評価装置と、を備える
車両に関する。
【背景技術】
【0004】
US 2016/0327633 A1は、FMCW(周波数変調連続波)レーダーシステムを開示している。FMCWレーダーシステムは、チャープブロックの各チャープに関するチャーププロファイルを記憶するように構成されたチャーププロファイル記憶部材と、チャープブロックの送信中に送信順に各チャーププロファイルを受信するようにチャーププロファイル記憶部材に連結されたタイミングエンジンであって、各チャーププロファイルを使用して適用可能なチャープを構成するタイミングエンジンと、を含む。
【0005】
本発明は、少なくとも1つの監視エリアの監視を向上させ得る、特に、受信信号の信号処理を向上させ得る、上述のタイプの方法、非接触型検出装置、および車両を設計するという目的に基づく。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、この目的を、
少なくともいくつかの時間的に連続する受信信号を、少なくとも1つの受信信号ブロックに、前記検出装置の前記受信エンドにおいて割り当て、前記割り当ては、前記検出装置の前記送信エンドにおける送信信号のあらゆる割り当てから独立しており、
前記受信信号ブロックの少なくとも一部の前記受信信号の少なくとも一部に、ブロック毎に、少なくとも1つの前記監視エリアに関する情報を確認するために使用される信号処理を施す方法で達成する。
【0007】
本発明によれば、受信信号を、該当する受信信号ブロックに受信エンドにおいて割り当てる。受信信号は、ブロック毎に、すなわち、受信信号ブロックの各々について、または少なくとも一部について、信号処理を受ける。したがって、信号処理は、受信信号ブロックから受信信号ブロックへと実施される。受信信号を、送信エンドにおけるあらゆる割り当てにおいて受信エンドにおける該当する受信信号ブロックに最初に割り当てるため、受信信号ブロックをより柔軟に構成することができる。受信信号ブロックを、送信エンドにおけるあらゆる割り当てに適合させる必要はない。特に、送信信号を、連続的に同一態様において単純に送信できる。有利には、送信エンドにおいて、送信信号の信号ブロックへの割り当てを実施しない。全体として、このようにして信号処理をより柔軟に実施することができる。信号処理を、反射した送信信号の受信、および必要であれば好適な信号形態への変換と、並行して実施することができる。受信信号ブロックが固定のサイズ、特に固定した時間長さを有する時間ウィンドウを有する必要はない。受信信号を、特定の規定された送信速度で連続的に送信することができるとともに、受信信号ブロックに割り当てることができる。受信信号ブロックを、受信エンドにおいて必要に応じて規定することができる。
【0008】
必要な場合、反射した送信信号を評価装置を使用して処理可能な形態にするために、検出装置を使用することができる。反射した送信信号が評価装置を使用して処理可能な形態を既に有している場合、反射して受信した送信信号を、受信信号として直接的にさらに処理することができる。そうでない場合、反射した送信信号を、評価装置を使用して処理可能な形態に変換する。
【0009】
反射した受信信号を、有利には、該当する電気評価装置を使用して処理可能である電気受信信号に変換することができる。このようにして、送信信号を、電気的に直接処理できない形態においても使用することができる。電磁信号、特にレーダー信号または光信号、または音信号等を、有利には、送信信号として使用し、受信エンドにおいて電気受信信号に変換するこができる。
【0010】
有利には、検出装置に対する物体の距離および/または速度および/または方向を確認するために、検出装置を使用することができる。受信信号ブロックを、受信エンドで非常に柔軟に適合させることができる。
【0011】
本方法の有利な一構成において、前記受信信号の少なくとも1つを、少なくとも2つの時間的に重なる受信信号ブロックに割り当てることができる、および/または、少なくとも1つの受信信号を、少なくとも2つの時間的に連続する受信信号ブロック間の時間ギャップに割り当てることができる。
【0012】
受信信号の少なくとも1つを少なくとも2つの時間的に重なる受信信号ブロックに同等に割り当てることにより、検出時の更新レートが向上する。これにより、より長い測定時間、およびより高い分解能、特に速度分解能、とりわけドップラー分解能が促進され得る。検出時のより高い更新レートにより、対象物体の追跡がより良好かつより確実になり得る。
【0013】
重なる受信信号ブロックを、特に車両のドライバー支援システムと併せて使用される検出装置において、使用することができる。これにより、特に車両の周囲の監視エリアにおいて、周囲の検出が向上する。
【0014】
少なくとも1つの受信信号を少なくとも2つの時間的に連続する受信信号ブロック間の時間ギャップに割り当てることにより、時間ギャップの時間を信号処理に使用することができる。さらに、信号処理中の記憶領域を節約することができる。
【0015】
本方法のさらに有利な構成において、
少なくとも2つの受信信号ブロックに、同数の受信信号を割り当てることができる、
および/または、少なくとも2つの受信信号ブロックに、同一の時間長さを割り当てることができる、
および/または、少なくとも2つの受信信号ブロックに、異なる数の受信信号を割り当てることができる、
および/または、少なくとも2つの受信信号ブロックに、異なる時間長さを割り当てることができる。
【0016】
同数の受信信号を受信信号ブロックに割り当てることにより、受信信号ブロックを全体として均一化することができる。
【0017】
受信信号ブロックは、有利には、同一の時間長さを有し得る。このようにして、受信信号ブロックの時間特性を、より容易に比較することができる。受信信号が同一の時間長さを有する場合、受信信号ブロックが同一の長さを有することで、各受信信号ブロックに同数の受信信号が割り当てられるという結果が得られる。
【0018】
異なる数の受信信号を少なくとも2つの受信信号ブロックに割り当てることにより、受信信号ブロックをより柔軟なものにすることができる。少なくとも2つの受信信号ブロックに、有利には、異なる時間長さが割り当てられ得る。このようにして、必要に応じて、より長い測定またはより短い測定を実施することができる。
【0019】
本方法のさらなる有利な構成において、少なくとも1つの受信信号ブロックに、少なくとも1つの最初に記載の前記受信信号ブロックの前記長さよりも短い時間長さを有する少なくとも1つの他の受信信号ブロックに同様に割り当てられた前記受信信号の少なくとも一部を割り当てることができる。少なくとも1つの受信信号ブロックに、有利には、少なくとも1つの最初に記載の前記受信信号ブロックの前記長さよりも短い時間長さを有する少なくとも2つの他の受信信号ブロックに同様に割り当てられた前記受信信号の少なくとも一部を割り当てることができる。このようにして、時間的により長い受信信号ブロックは、少なくとも1つの、特に少なくとも2つの、時間的により短い受信信号ブロックに重なり得る。これにより、異なる時間長さの受信信号ブロックを使用して、これに応じて割り当てられた受信信号を処理する際の異なる分解能が達成され得る。
【0020】
受信信号ブロックの時間長さが長いほど、これに応じて割り当てられた受信信号を処理する際の分解能は高くなる。時間的に短い受信信号ブロックと時間的に長い受信信号ブロックとを適切に重ねることにより、時間的により短い受信信号ブロックに割り当てられた受信信号を使用してより短い測定を実施することができると同時に、時間的により長い受信信号ブロックに割り当てられた受信信号を使用してより高い分解能を達成することができる。
【0021】
本方法のさらに有利な構成において、少なくとも1つの受信信号ブロックの時間ウィンドウにあるすべての受信信号を、少なくとも1つの当該受信信号ブロックに完全に割り当てることができる、および/または、-少なくとも1つの受信信号ブロックの時間ウィンドウにある前記受信信号の少なくとも一部を、少なくとも1つの当該受信信号ブロックへの割り当て時に除外することができる。
【0022】
該当する時間ウィンドウにあるすべての受信信号を完全に割り当てるとは、少なくとも1つの監視エリアに関する情報を確認する際に、より高い精度が達成され得ることを意味する。受信信号の一部を少なくとも1つの当該受信信号ブロックへの割り当て時に除外することにより、信号処理中の記憶領域を節約することができる。
【0023】
受信信号を少なくとも1つの受信信号ブロックに割り当てる際、少なくとも1つの受信信号ブロックの時間ウィンドウにある受信信号の少なくとも一部を、有利には、規則的または不規則的に除外することができる。このようにして、受信信号を、該当する受信信号ブロックにさらに柔軟に割り当てることができる。
【0024】
本方法のさらに有利な構成において、前記送信信号の少なくとも一部を、電磁信号の形態において送信することができる。電磁信号は、監視エリアを非接触で監視するために使用され得る。
【0025】
送信信号の少なくとも一部を、有利には、レーダー信号の形態において送信することができる。本例におけるレーダー信号は、いわゆるチャープの形態において送信され得る。既知のように、チャープとは、周波数が時間とともに変化する信号を指す。チャープの周波数応答は、周波数ランプとして表され得る。
【0026】
有利には、検出装置は、周波数変調連続波(FMCW)レーダーであり得る。このようにして、監視エリアを連続的に監視することができる。
【0027】
また、本発明は、レーダーシステムと併せることに代えて、他の種類の非接触型検出装置とともに使用することができる。本発明は、有利には、他のタイプの電磁検出装置、特に光学検出装置または超音波検出装置等において使用され得る。送信信号および対応する受信信号は、適切な信号シーケンス、パルス等として実現され得る。
【0028】
本方法のさらに有利な構成において、同一の送信信号を時間とともに規則的に送信することができる、および/または、同一の送信信号を時間とともに不規則的に送信することができる、および/または、非同一の送信信号を時間とともに規則的に送信することができる、および/または、非同一の送信信号を時間とともに不規則的に送信することができる。
【0029】
このようにして、送信信号の形態および送信パターンを柔軟に生成することができる。特に、送信信号を符号化することも可能である。このように、単数または複数の送信装置を使用して、異なる送信信号を同時に送信することができる。これらの信号は、単数または複数の受信装置を使用して、受信エンドにおいて受信時に互いに区別され得る。このように、本発明は、いわゆるMIMOレーダーシステムにおいても使用可能である。
【0030】
本方法のさらに有利な構成において、前記受信信号ブロックに対応する前記受信信号の少なくとも一部に、ブロック毎に、少なくとも1つのフーリエ変換を施すことができる。
【0031】
受信信号に、有利には、受信信号ブロック毎に、少なくとも1つの離散フーリエ変換を施すことができる。
【0032】
受信信号ブロックに関する最初の離散フーリエ変換の結果に、有利には、さらなる離散フーリエ変換を施すことができる。このようにして、受信信号に、全体として二次元離散フーリエ変換を施すことができる。
【0033】
検出装置に対する物体対象の距離、速度、および/または方向が、監視エリアに関する情報として、少なくとも1つの二次元離散フーリエ変換の結果から確認され得る。
【0034】
少なくとも1つの離散フーリエ変換は、有利には、高速フーリエ変換として実施され得る。このようにして、少なくとも1つのフーリエ変換は、より効率的に計算され得る。
【0035】
本方法のさらに有利な構成において、前記検出装置は、車両の車室を監視するために使用され得る、および/または、前記検出装置は、車両の周囲を検出するために使用され得る。
【0036】
検出装置は、有利には、車両の車室監視用に設計され得る。代替的または追加的に、検出装置は、車両の周囲検出用に設計され得る。
【0037】
検出装置は、静止または移動物体対象、特に、車両、人、動物、障害物、道路の凹凸、特に穴または石、道路の境界、空地、特に駐車スペース、降雨等の物体対象を検出するために使用され得る。本例において、物体対象は、送信信号が反射され得る物体の一部、特に人の体の一部であり得る。
【0038】
車室の監視は、乗員検出、動作検出、特に呼吸数検出および/または呼吸プロファイル検出等の実施を伴い得る。車室の監視は、特に、人、特にドライバーの動きを検出することを伴い得る。このため、特に呼吸に関連する胸の動き、腕、頭等の動きを監視することができる。検出装置、特に受信信号ブロックの割り当てを、要件に合わせて柔軟に適合させることができる。特に呼吸に関連する胸の動きは、腕の動きと比較して遅いため、更新レートについてより高い分解能が必要とされる。ゆっくりとした胸の動きおよび速い腕の動きの両方を検出装置を使用して検出可能とすべく、受信信号を異なる時間長さを有する異なる受信信号ブロックに割り当てることができる。また、本発明は、安全ベルトの着用を促す手段と併せて使用することもできる。
【0039】
本発明は、車両、特に自動車において使用され得る。本発明は、有利には、特に自動車、トラック、バス、オートバイ等の陸上車両、航空機および/または船舶で使用することができる。また、本発明は、自律的または少なくとも半自律的に操作可能な車両で使用することができる。
【0040】
代替的に、本発明は、定置運転における検出装置と併せて使用することができる。
【0041】
本方法のさらに有利な構成において、前記監視エリアに関する確認された前記情報の少なくとも一部を、車両の制御装置であって、前記検出装置が関連付けられた制御装置に転送することができる。このようにして、確認した情報を車両の操作に使用することができる。
【0042】
検出装置は、有利には、車両の少なくとも1つの電子制御装置、特にドライバー支援システム、および/または車体制御システム、および/または、ドライバー情報装置、および/または、駐車支援システム、および/または、ジェスチャー認識システム等に接続し得る、またはその一部であり得る。このようにして、車両の少なくとも半自律的な操作が、容易になり得る。
【0043】
さらに、本発明は、この目的を、前記検出装置が本発明による方法を実施するための手段を備える点で達成する。このようにして、少なくとも1つの監視エリアの監視が向上し得る。
【0044】
本発明による方法を実施するための検出装置の手段の少なくとも一部は、有利には、ソフトウェアおよび/またはハードウェアにおいて実現され得る。このようにして、手段を、要件に合わせて適切に適合させることができる。
【0045】
本発明による方法を実施するための検出装置の手段の少なくとも一部は、有利には、少なくとも1つの評価装置を使用して実現され得る。
【0046】
1つの有利な実施形態において、前記検出装置は、電磁送信信号を送信するために使用され得る少なくとも1つの送信装置と、反射した電磁送信信号を受信するとともに選択的にこれを変換するために使用され得る少なくとも1つの受信装置と、を備え得る。電磁送信信号は、監視エリアを非接触で監視するために使用され得る。
【0047】
検出装置は、有利には、レーダーシステムであり得る。レーダーシステムは、特に車両において使用され得る。代替的に、検出装置は、光学検出装置、超音波検出装置等であり得る。
【0048】
また、本発明は、この目的を、前記車両が本発明による少なくとも1つの検出装置を備える点において達成する。
【0049】
車両は、有利には、異なる動作をするものを含む非接触で動作する複数の検出装置を備え得る。このようにして、車両の外部および/または内部の様々な監視エリアを監視することができる。
【0050】
1つの有利な実施形態において、少なくとも1つの検出装置は、周囲検出装置であり得る、および/または、少なくとも1つの検出装置は、車室監視装置であり得る。周囲検出装置は、車両の周囲を監視するために使用され得る。車室監視装置は、車両の車室を監視するために使用され得る。
【0051】
さらに、本発明による方法、本発明による検出装置、本発明による車両、およびそれらそれぞれの有利な構成に関して示した特徴および利点は、相互に対応する態様で適用され、その逆もまた同様である。当然ながら、個々の特徴および利点を互いに組み合わせることができる。この場合、個々の効果の総和を超えるさらなる有利な効果が出現し得る。
【0052】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、本発明の例示的実施形態が図面を参照して詳細に説明される以下の説明から明らかになるであろう。当業者は、便宜的に、図面、詳細な説明および特許請求の範囲において組み合わせて開示された特徴を個別に検討し、これらを組み合わせて有意義なさらなる組み合わせを形成するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、周囲検出レーダーシステム、車室監視レーダーシステム、およびドライバー支援システムを備える自動車を示す。
【
図2】
図2は、周波数-時間グラフを使用して、車室監視レーダーシステムを使用して
図1の自動車の車室に送信される車室送信信号を示す。
【
図3】
図3は、周波数-時間グラフを使用して、
図1の自動車の車室にいる人により反射した
図2の車室送信信号に由来する車室受信信号を示し、車室受信信号は、受信信号ブロックに割り当てられている。
【
図4】
図4は、周波数-時間グラフを使用して、
図1の自動車の周囲にある物体により反射した周囲送信信号に由来する周囲受信信号を示し、周囲受信信号は、受信信号ブロックに割り当てられている。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面において、同一の構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0055】
図1は、自動車の形態にある車両10の側面図を概略的に示す。車両10は、一例として、レーダーシステムの形態にある非接触的に動作する2つの検出装置、すなわち車室監視レーダーシステム12と周囲検出レーダーシステム14とを含んでいる。また、車両10は、ドライバー支援システム16も含んでいる。
【0056】
車室監視レーダーシステム12は、車両10の車室における車室監視エリア18aに向けられている。車室監視レーダーシステム12は、車室監視エリア18aを監視するために使用され得る。車室監視レーダーシステム12は、車両10に乗っている人(乗員)を検出するために使用され得る。一例として、車室監視エリア18aにいる人20aの動き、例えば呼吸に関連する胸の動き、あるいは、頭または腕の動きを検出することができる。胸の動きの検出は、例えば、呼吸数の検出を実施するように使用され得る。図示の車室監視レーダーシステム12に加えて、またはこれに代えて、異なる配向とされるものを含む他の車室監視レーダーシステムを設けることができる。
【0057】
周囲検出レーダーシステム14は、車両10の進行方向において車両10の前方の周囲監視エリア18bに向けられている。周囲検出レーダーシステム14は、物体20bに関して周囲監視エリア18bを監視するために使用され得る。
【0058】
周囲監視レーダーシステム14は、静止したまたは移動している物体18b、特に、車両、人、動物、障害物、道路の凹凸、特に穴または石、道路の境界、空地、特に駐車スペース、降雨等を検出するために使用され得る。
【0059】
一例として、車室監視レーダーシステム12および周囲検出レーダーシステム14は、ドライバー支援システム16に各々接続している。ドライバー支援システム16は、車両10を自律的または半自律的に操作するために使用され得る。さらに、ドライバー支援システム16は、車両10の種々の機能を発揮させるように使用され得る。例えば、ドライバー支援システム16は、車室監視エリア18aに関する情報に基づいて乗員検出をしたり呼吸数検出をしたりするための手段も備え得る。ドライバー支援システム16に接続することに代えて、車室監視レーダーシステム12は、乗員検出および呼吸数検出のための手段を備え得る別の制御装置に接続し得る。
【0060】
車室監視レーダーシステム12および周囲検出レーダーシステム14は、周波数変調連続波レーダーとして各々設計されている。周波数変調連続波レーダーは、専門家の間ではFMCWレーダーとも称される。
【0061】
一例として、車室監視レーダーシステム12は、車室送信装置22aを備えている。車室送信装置22aは、いわゆるチャープの形態にある車室送信信号22aを、車室監視エリア18aに送信するために使用される。一例として、車室送信信号22aは同一であり、定期的に送信される。
【0062】
一例として、
図2は、車室監視レーダーシステム12の車室送信装置22aを使用して送信された車室送信信号24aの周波数-時間グラフを示す。車室送信信号24aは、周波数ランプ(傾斜)として示されている。
【0063】
一例として、車室監視レーダーシステム12は、車室受信装置28aも有している。車室受信装置28aは、車室監視エリア18aにおいて、例えば人20aで反射した車室送信信号24aを受信し、前記信号を電気的な車室受信信号26aに変換するように使用される。電気的な車室受信信号26aは、車室監視レーダーシステム12の電子的な車室制御評価装置30aに転送される。
【0064】
車室制御評価装置30aは、車室受信信号26aに対して信号処理を実施するように使用される。この目的のために、車室制御評価装置30aは、ソフトウェアおよびハードウェアの形態にある手段を備えている。車室制御評価装置30aは、車室監視エリア18aに関する車室情報を、受信信号26aから確認するように使用される。例えば、車両10の車室にいる人20aを、このようにして検出することができる。さらに、確認される車室情報は、例えば、人20aの胸の動き、およびそれから判定される呼吸数であり得る。
【0065】
車室監視エリア18aに関する車室情報は、ドライバー支援システム16に転送される。ドライバー支援システム16は、車室情報に基づいて、車両10の該当する機能、例えば運転機能、警告等を発揮させるように使用される。
【0066】
一例として、周囲検出レーダーシステム14は、周囲送信装置22bを備えている。周囲送信装置22bは、レーダー信号、例えばチャープの形態にある周囲送信信号24bを周囲監視エリア18bに送信するように使用される。一例として、周囲送信信号24bは、車室送信信号24aと同一の形態および構成を有する。代替的に、周囲検出レーダーシステム14および車室監視レーダーシステム12は、異なる送信信号を使用することも可能である。
【0067】
さらに、一例として、周囲検出レーダーシステム14は、周囲受信装置28bを有している。周囲受信装置28bは、周囲監視エリア18bにおいて、例えば物体20bで反射した周囲送信信号24bを受信し、前記信号を電気的な周囲受信信号26bに変換するように使用される。電気的な周囲受信信号26bは、周囲検出レーダーシステム14の周囲制御評価装置30bに転送される。
【0068】
周囲制御評価装置30bは、周囲受信信号26bに対して信号処理を実施するように使用される。この目的のために、周囲制御評価装置30bは、ソフトウェアおよびハードウェアの形態にある手段を備えている。周囲監視エリア18bに関する周囲情報は、周囲受信信号26bから確認され、ドライバー支援システム16に転送される。周囲情報は、一例として、物体20bに関する物体情報、例えば、周囲検出レーダーシステム14に対する物体20bの距離、速度、および/または方向である。
【0069】
ドライバー支援システム16は、周囲情報に基づいて、車両10の該当する機能、例えば運転機能、警告等を発揮させるように使用され得る。
【0070】
車室制御評価装置30aを使用して電気的な車室受信信号26aを処理するために、車室受信信号26aは、一例として3種類の受信信号ブロック、すなわち、
図3に示すように、第1受信信号ブロック32a、第2受信信号ブロック32b、および第3受信信号ブロック32cに割り当てられる。
【0071】
第1受信信号ブロック32aは、同一の時間長さを有する時間ウィンドウ34aを各々含んでいる。該当する第1受信信号ブロック32aの時間ウィンドウ34aにある各車室受信信号26aは、この第1受信信号ブロック32aに割り当てられる。第1受信信号ブロック32aの時間ウィンドウ34aは、一例として、車室受信信号26aのうちの3つを各々含む。
【0072】
任意のギャップ36aが、第1受信信号ブロック32aの各々の間に維持されている。一例として、ギャップ36aの時間長さは、車室受信信号26aの時間長さに相当し得る。2つの時間的に連続する第1受信信号ブロック32a間のギャップ36aにある車室受信信号26aは、例えば、2つの前記受信信号ブロック32aのいずれかに割り当てることはできない。
【0073】
第2受信信号ブロック32bの時間長さは、時間ウィンドウ34bに相当する。第2時間ウィンドウ34bの時間長さは、一例として、第1受信信号ブロック32aのうちの2つの合計時間長さ、すなわち、2つの第1時間ウィンドウ34aの時間長さと、その間のギャップ36aとを足したものに相当する。一例として、第2受信信号ブロック32bの時間ウィンドウ34bは、車室受信信号26aのうちの7つを各々含む。
【0074】
第2受信信号ブロック32bの各々は、第1受信信号ブロック32aのうちの2つと時間的に重なる。さらに、2つの時間的に直接連続する第2受信信号ブロック32b同士は、第1受信信号ブロック32aの時間ウィンドウ34aの時間長さに相当する時間帯において重なる。
【0075】
第2受信信号ブロック32bのうちの1つの第2時間ウィンドウ34b内にある車室受信信号26aのうちの2つにつき1つが、この第2受信信号ブロック32bに割り当てられる。本例において、第2受信信号ブロック32bには、重なっている第1受信信号ブロック32aに同様に割り当てられた車室受信信号26a、およびギャップ36aにある車室受信信号26aが割り当てられる。
【0076】
第2受信信号ブロック32b同士の重なりにより、検出時の更新レートが向上する。車室受信信号26aのうちの2つにつき1つしかそれぞれの第2受信信号ブロック32bに割り当てられないため、車室制御評価装置30aを使用した信号処理時の必要メモリが少なくなる。
【0077】
第3受信信号ブロック32cは、第3時間ウィンドウ34cの時間長さを各々有している。一例として、第3受信信号ブロック32cは、第2受信信号ブロック32bのうちの1つの開始時に開始し、後続の第2受信信号ブロック32bの終了時に終了する。このようにして、第3受信信号ブロック32cの各々は、第2受信信号ブロック32bのうちの2つと重なっている。
【0078】
第3受信信号ブロック32cの各々には、該当する第3受信信号ブロック32cと重なる2つの第2受信信号ブロック32bに同様に割り当てられた車室受信信号26aのうちの4つにつき1つが割り当てられる。第3受信信号ブロック32c各々には、車室受信信号26aのうちの4つにつき1つしか割り当てられないため、信号処理時の必要メモリが少なくなる。第3受信信号ブロック32c同士の該当する重なりにより、検出時の更新レートが向上する。
【0079】
結果として、第1受信信号ブロック32a、第2受信信号ブロック32b、および第3受信信号ブロック32cには、略同数の受信信号26aが割り当てられるが、受信信号ブロック32a、32b、32cは、異なる長さの時間ウィンドウ34a、34b、34cに亘っている。
【0080】
異なる長さの時間ウィンドウ34a、34b、34cにより、異なる分解能が達成される。このようにして、本発明による方法は、速い動きと遅い動きの両方を並行して確認するために使用され得る。最も高い分解能は、第3受信信号ブロック32cの長い時間ウィンドウ34cで達成される。この分解能は、遅い動きを検出するために使用され得る。例えば、人20aの胸の動きを、呼吸数測定を目的としてこのように検出することができる。より短い第1受信信号ブロック32aは、速い動き、例えば人22aの速い腕の動きを検出するために使用され得る。
【0081】
車室監視レーダーシステム12の場合、適切に長い時間ウィンドウ32cを有する受信信号ブロック32aが、適切に高い分解能を必要とする人20aの呼吸数を監視するために時々作動する。これと並行して、より短い時間ウィンドウ34bを有する短く且つ重なった受信信号ブロック32bは、例えば乗員検出を目的として車両10の車室を監視するために連続的に使用される。
【0082】
車室受信信号26aは、すべての第1受信信号ブロック32a、すべての第2受信信号ブロック32b、およびすべての第3受信信号ブロック32cについて、ブロック毎に高速フーリエ変換を各々施される。第1受信信号ブロック32aについての高速フーリエ変換の結果には、次いでさらなる高速フーリエ変換を施される。さらに、第2受信信号ブロック32bについての高速フーリエ変換の結果には、対応するさらなる高速フーリエ変換を施される。同様に、第3受信信号ブロック32cについての高速フーリエ変換の結果には、対応するさらなる高速フーリエ変換を施される。
【0083】
第2高速フーリエ変換の結果は、車室監視エリア18aに関する車室情報を確認する、または人20aの動きを確認するために使用される。
【0084】
周囲制御評価装置30bを使用して周囲受信信号26bを処理するために、周囲受信信号26bは、
図4に示すように受信信号ブロック32dに各々割り当てられる。周囲検出レーダーシステム14で使用される受信信号ブロック32dは、時間ウィンドウ34を各々含んでいる。受信信号ブロック32dの時間ウィンドウ34dは、同一の時間長さを有している。
【0085】
一例として、時間的に連続する受信信号ブロック32dは、それらそれぞれの時間長さの一部に亘って重なっている。さらに、一例として、各受信信号ブロック32dは、先行する最後のそれぞれの受信信号ブロック32dと重なっている。また一例として、各受信信号ブロック32dは、先行する最後の受信信号ブロック32dに先行するそれぞれの受信信号ブロック32dと重なっている。したがって、受信信号ブロック32dの図示の構造において、4つのそれぞれ時間的に連続する受信信号ブロック32dが重なっている。
【0086】
受信信号ブロック32dのうちの1つの時間ウィンドウ34dにある各受信信号26bは、この受信信号ブロック32dに割り当てられる。このようにして、受信信号26bの一部が、一例として、最大4つの受信信号ブロック32dに割り当てられる。
【0087】
受信信号36bは、ブロック毎に、受信信号ブロック32dから受信信号ブロック32dへと高速フーリエ変換を各々施される。
【0088】
受信信号ブロック32dの高速フーリエ変換の結果には、次いでさらなる高速フーリエ変換を施される。
【0089】
周囲監視エリア18bに関する周囲情報、例えば物体20bに関する周囲情報は、二次元高速フーリエ変換の結果から確認される。一例として、確認される物体情報は、車両10に対する検出された物体20bの距離、速度、および方向であり得る。相対速度は、周囲受信信号26bのドップラーシフトから確認され得る。
【0090】
周囲検出レーダーシステム14の受信信号ブロック32dが複数重なる結果、検出時の更新レートの大幅な向上が達成される。このため、ドップラーシフトの分解能が向上し得るとともに、車両10に対する物体20bの速度がより正確に確認され得る。検出時の更新レートの向上により、物体の追跡性が向上し得る。また、受信信号ブロック32dの時間長さは、これに対応して長い測定時間が達成されることを意味する。受信信号ブロック32が長いほど、すなわち時間ウィンドウ34dが長いほど、ドップラーシフトの分解能は大きくなる。
【0091】
車室監視レーダーシステム12および周囲検出レーダーシステム14の場合、異なる長さ、異なる重なりおよび/または距離を有する上述した以外の受信信号ブロック32でも、信号処理のために指定することができる。送信信号24は送信エンドで連続的に送信され、受信信号ブロック32への割り当ては受信エンドのみで実施されるため、受信信号ブロック32を必要に応じて適合させることができる。このため、長い時間ウィンドウ34を有する受信信号ブロック32が、ドップラーシフトに関して対応して良好な分解能を得るように使用することができる。また、受信信号26は、単数または複数の他の受信信号ブロック32において並行して処理され得る。
【0092】
該当するレーターシステム12、14は、例えば検出した物体をより詳細に精査するために、比較的長い受信信号ブロック32を使用して受信信号26を評価することができる。これと並行して、受信信号26は、より短い時間ウィンドウ34を有する他の受信信号ブロック32を使用して処理され得る。より短い受信信号ブロック32を、時間を失うことなく、より低い分解能で受信信号26を並行して処理するように使用することができる。より長い受信信号ブロック32を、必要に応じて作動させるとともに、例えば高い分解能が必要でない場合に停止させることができる。
【国際調査報告】