(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(54)【発明の名称】移動型伸縮式液圧クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/687 20060101AFI20230825BHJP
B66C 23/26 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B66C23/687
B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524949
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 SI2021000005
(87)【国際公開番号】W WO2021251909
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522168475
【氏名又は名称】タイファン リヴィ、プロイズボーニャー イン ラズボー ディー. オー. オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】グリル ブランコ
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205CA03
3F205CB02
(57)【要約】
移動型伸縮式液圧クレーンに関し、クレーンは、伸縮式第二セクション(4)の領域、すなわちその自由末端部分(42)で、可撓性液圧パイプ(43)を接続するために少なくとも1つの液圧コネクタ(431)を配置した領域内の外管状セクション(44)の末端部分(442)から適度な距離をおいた所に、少なくとも1つの作業用開口部(48、48’)を有し、一方、可撓性液圧パイプは、内管状ベアリングセクション(45)の自由末端部分(452)で液圧コネクタ(432)と接続可能であり、前記少なくとも1つの作業用開口部(48、48’)は、適切な形状および寸法で使用可能であり、形状および寸法は、適切な手工具によって各伸縮式セクション(4)の外側からのアクセスを可能にし、手工具は、前記伸縮アーム(4)内の各可撓性液圧パイプ(43)とそれぞれの所属する液圧コネクタ(431)との間の液圧シール接続を確立するか切断するのに必要である。このような措置により、クレーンの運搬能力および到達距離が著しく低下することなく伸縮式第二アーム(4)内の各液圧パイプ(43)を迅速かつ簡単に交換することが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動型伸縮式液圧クレーンであって、
運搬プラットフォームであって、前記運搬プラットフォームは、各自動車両に前記クレーンを取り付けるのに適し、任意選択で少なくとも一対の伸縮式支持脚(11)を備え、前記伸縮式支持脚は、各脚を操作することによって前記クレーンを地面で支持するのに適し、かつそれによって前記クレーンの必要な運搬能力および安定性を確保するのに適している、運搬プラットフォーム(1)を有し、
さらに、支柱であって、その第1の末端部分(21)の領域にカンチレバーとして前記プラットフォーム(1)に装着されて垂直軸周りに回転できるようになっていて、前記支柱(2)の第2の自由末端部分(22)には、前記クレーンの第一ベアリングアーム(3)がその第1の末端部分(31)の領域に装着されて水平軸周りに回動できるようになっている、支柱(2)を有し、
前記第一アーム(3)は、前記支柱(2)で支持され、液圧シリンダ(21)によって前記水平幾何学軸周りに回動でき、前記液圧シリンダは、一方では前記支柱(2)に回動式に装着され、他方では前記第一アーム(3)に装着され、前記第一アーム(3)の前記第2の末端部分(32)には、伸縮式に考案された第二ベアリングアーム(4)がその第1の末端部分(41)に装着されて水平幾何学軸周りに回動できるようになっていて、前記第二ベアリングアーム(4)は、その第2の末端部分(42)に、各荷を操作する把持具(6)または別の適切な組立体を取り付けるための装着点(5)を有し、前記伸縮式第二アーム(4)は、前記第一アーム(3)で支持され、液圧シリンダ(34)によって前記水平幾何学軸周りに回動でき、前記液圧シリンダは、一方では適切な伝達機構を介して直接または間接的に前記第一アーム(3)に回動式に接続され、他方では同じく直接または間接的に適切な伝達機構を介して前記第二アーム(4)に接続され、前記第二アーム(4)は、少なくとも2つの管状ベアリングセクション(44、45)を有し、両管状ベアリングセクションは、互いに挿入し合い、それにより、前記管状ベアリングセクション(44、45)は、適切な駆動手段によって軸方向に互いに対して移動可能であり、それによって前記外管状ベアリングセクション(41)は、前記第一アーム(3)との接続および液圧シリンダ(34)への装着を確立するように意図され、前記外管状ベアリングセクション(41)の中にある前記内管状ベアリングセクション(45)は、その自由末端部分(452)に、把持具(6)を取り付けるための前記装着点(5)を有し、一方では、前記伸縮式第二アーム(4)の前記外管状ベアリングセクション(44)の前記自由末端部分(442)には、少なくとも1つの液圧コネクタ(431)が想定され、前記液圧コネクタは、液圧媒体が各々の利用可能な液圧集成装置から流れるようにでき、他方では、前記伸縮式第二アーム(4)の前記内管状ベアリングセクション(45)の前記自由末端部分(452)にも少なくとも1つの液圧コネクタ(432)が想定され、前記液圧コネクタは、前記液圧媒体が前記把持具(6)および/または対応する液圧回転ユニット(61)に向かって流れるようにでき、前記液圧コネクタ(431、432)は、可撓性液圧パイプ(43)を介して互いに接続可能であり、前記可撓性液圧パイプは、液圧でシールする方法で、ただし取り外しも可能な方法で、かつ切断と再接続の能力を維持して、必要なときに各々の前記液圧コネクタ(431、432)に接続され、前記可撓性液圧パイプ(43)は、前記伸縮式第二アーム(4)の内部、すなわち前記外管状ベアリングセクション(44)の前記自由末端部分(441)にある前記液圧コネクタ(431)と前記内管状ベアリングセクション(45)の前記自由末端部分(452)にある前記液圧コネクタ(432)との間に沿って延在し、前記外管状ベアリングセクション(44)から前記内管状ベアリングセクション(45)への移行領域で比較的急峻に屈曲し、案内リール(455)を介して案内され、
移動型伸縮式液圧クレーンにおいて、
少なくとも1つの作業用開口部(48、48’)は、前記伸縮式に考案された第二アーム(4)の領域、すなわちその自由末端部分(42)で、前記可撓性液圧パイプ(43)を接続するために前記少なくとも1つの液圧コネクタ(431)を配置した領域内の前記外管状ベアリングセクション(44)の前記自由末端部分(442)から適度な距離をおいた所に設けられ、一方、前記可撓性液圧パイプは、前記内管状ベアリングセクション(45)の前記自由末端部分(452)に属する液圧コネクタ(432)と接続可能であり、前記作業用開口部(48、48’)は、適切な形状および寸法であり、前記形状および寸法は、前記伸縮式アーム(4)の外側からそれぞれの適切な手工具へアクセスできるように調整され、かつ十分に広範囲にわたり、前記手工具は、前記伸縮式アーム(4)内の前記可撓性液圧パイプ(43)とそれぞれの対応する液圧コネクタ(431)との間の前記液圧シール接続を確立するか切断するのに必要である
ことを特徴とする移動型伸縮式液圧クレーン。
【請求項2】
前記少なくとも1つの作業用開口部(48)は、角および縁がやや丸まっている切り欠きとして使用可能である
請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記少なくとも1つの作業用開口部(48)は、使用中の最大到達距離領域での前記クレーンの位置を考慮することにより、前記外管状ベアリングセクション(44)内の前記少なくとも1つの液圧コネクタ(431)の領域、および少なくとも概ね前記伸縮式に考案された第二アーム(4)の各外管状ベアリングセクション(44)の上面(440)の領域に位置し、地面から離れる向きである
請求項1または2に記載のクレーン。
【請求項4】
特にさらに多くの液圧コネクタ(431)、2つの作業用開口部(48、48’)があることが想定される場合、前記2つの作業用開口部は、互いに前記伸縮式アーム(4)の横断方向に離れていて、前記前記伸縮式アーム(4)の前記第1の末端部分(41)から少なくとも概ね等しく離れ、前記作業用開口部(48、48’)は、使用中の最大到達距離領域での前記クレーンの前記位置を考慮することにより、実質的に前記外管状ベアリングセクション(44)内の前記少なくとも1つの液圧コネクタ(431)の領域に位置し、それと同時に、前記伸縮式第二アーム(4)の各外管状ベアリングセクション(44)の前記上面(440)の領域に少なくとも部分的に位置し、地面から離れる向きである
請求項1または2に記載のクレーン。
【請求項5】
前記少なくとも1つの作業用開口部(48、48’)は、取り外し可能なカバー(49)で少なくとも部分的に覆うことができる
請求項1ないし4のいずれかに記載のクレーン。
【請求項6】
前記少なくとも1つの作業用開口部(48、48’)は、取り外し可能なカバー(49)で完全に覆うことができる
請求項1ないし4のいずれかに記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型伸縮式液圧クレーンに関する。すなわち伸縮式第二アームが管状ベアリングセクションを有し、管状ベアリングセクションが互いに中に挿入されているクレーンであり、それによってクレーンの前記第二アームは、伸縮して伸長可能であると同時に、可撓性液圧パイプを受け入れるようにも適応し、液圧パイプは、クレーンを貫通し、液圧集成装置と液圧駆動手段との間にある適切な液圧回路の一部であり、各々の前記液圧パイプは、前記伸縮式アームの対応する管状ベアリングセクションの内側に配置されている案内リールを介して延在する。国際特許分類によれば、そのような発明は、クラスB66C23/70に属する。
【0002】
本発明は、一つひとつの特定の液圧パイプをそのような伸縮式第二アームの中に取り付ける際にいかにして迅速かつ簡易に交換するかという課題に基づいているが、これは簡易かつ安価な手段を用いることで達成できるはずであり、特に、クレーン自体のそれぞれの運搬能力および到達範囲に関して本質的な悪影響を及ぼすこともない。
【背景技術】
【0003】
先行技術では移動型伸縮式液圧クレーンが知られており、その多くは、特許文献、例えば欧州特許第2789566A1号(特許文献1)、欧州特許第2683645A1号(特許文献2)、国際特許公報第98/17576A1号(特許文献3)、およびその他の多くの出典でも開示されている。移動型伸縮式液圧クレーンは通常、運搬プラットフォームを有する。運搬プラットフォームは、各車両に取り付けることが可能で、一般には使用中にクレーンを支持するのに適している少なくとも2つの伸縮式に考案された支持脚が取り付けられる。この支持脚によって、クレーンおよび/または車両の傾斜および転倒に対してそれぞれが必要とする安定性が確保され、とりわけ荷を運搬している間に確保される。前記プラットフォームには支柱が装着され、プラットフォームが適切な駆動手段によって垂直幾何学軸周りに回転できるようになっている。前記支柱の末端部分には、クレーンの第一アームが装着され、第一アームの第1の末端部分は、水平幾何学軸周りに回動できるようになっていると同時に、前記支柱に回動式に装着されている液圧シリンダによって支持されている。第一アームの反対側の第2の自由末端部分には、伸縮式に考案された第二アームが装着され、第二アームも水平幾何学軸周りに回動可能である。前記第二アームは、液圧シリンダによって前記水平幾何学軸周りに、かつ前記第一アームに対して回動する。液圧シリンダは、一方の側で第一アームと回動式に接続され、もう一方の側で適切な連結機構を介して直接または間接的に第二アームに接続されている。前記伸縮式に考案された第二アームは、互いに中に挿入し合う少なくとも2つの管状ベアリングセクションで構成される。それぞれの内セクションは、それぞれの外ベアリングセクションの内部に軸方向に引っ込むことができるか、または任意選択で外ベアリングセクションからある程度引き出すこともでき、これは通常ローラチェーンによって行われる。それぞれに必要なこのような組立体の曲げ強度およびそれに伴いそれぞれに必要なクレーンの運搬能力を確保するために、両セクションの間には十分に重なる領域が維持される必要がある。内セクションの自由末端部分には装着点があり、この装着点に適切な液圧回転ユニットによって直接または間接的に把持具が装着され、把持具は、各荷を操作するのに適していて、通常は液圧駆動手段によって駆動される。このようなクレーンでは、前記伸縮式第二アームの内ベアリングセクションの自由末端部分で前記駆動手段への動力供給および制御を可能にするために、前記駆動手段と液圧集成装置との間に液圧による適切な相互接続を確立する必要があり、この液圧集成装置は、一般には最初に述べたプラットフォームの領域に位置し、回転支柱および前記回動アームがそれぞれ作動する領域の実質的に外側にある。そのために、適切な液圧パイプが想定され、この液圧パイプは、伸縮式第二アームの内ベアリングセクションの前記自由末端部分にある所属する液圧コネクタから、伸縮式第二アームの外ベアリングセクションにある所属するコネクタの方へ延在し、そこからさらに第一アームへ、続いて前記第一アームから支柱へ、そして最後に液圧集成装置の方へ延在するものとする。前記液圧コネクタは、液圧導管の適切なセクションを介して互いに接続し、液圧導管は、特定の領域では剛性で金属パイプとして使用可能だが、特定の領域では前記導管は、可撓性で、それぞれが必要なアームおよび支柱の動きに追従可能である必要があり、したがって、十分に可撓性である材料、特に強化ゴムまたはポリマー系のその他の可撓性強化材料で構成される必要がある。いくつかの実施形態では、前記液圧導管は、伸縮式アームを含むアームの外面に設置されるが、他の実施形態では、導管は、管状の支柱、管状の第一アームの内部および伸縮式に考案された第二アームの内側にも設置され、これは遥かに複雑ではあるが、このような手法は、クレーン操作の信頼性の向上につながる可能性がある。なぜなら、このように統合された液圧パイプは、大気の影響を受けず、例えばクレーンの操作中に近くにある他の物体と衝突したりその他の相互作用が起こったりすることによって生じ得る物理的損傷も受けないからである。
【0004】
前記可撓性液圧パイプが伸縮式第二アームの内部に設置される場合は常に、各パイプが外管状ベアリングセクションにある液圧コネクタから伸縮式第二アームの内セクションの自由末端領域の方へ通り、第二アームはそこから外向きに突き出ている。可撓性パイプは、前記ベアリングセクションが互いに対してそれぞれが必要な動きを可能にし、かつ第1の末端位置からその動きに追従する必要がある。第1の末端位置では、内セクションは外セクションの内部の第2の末端位置まで引っ込み、第2の末端位置では、内セクションは、外セクションからほぼ完全に引き出され、この逆も同様である。その結果、各液圧パイプは、伸縮式アームの外ベアリングセクションから内ベアリングセクションへの比較的強く曲がっている移行領域にあり、さらに案内リールを介して案内され、その際に、内ベアリングセクションの内部に沿って内ベアリングセクションの自由末端部分にある液圧コネクタに向かって通っている。したがって、伸縮動作の間、液圧パイプは、常に連続的に曲がり、案内リールを介して案内されるが、これは避けられない摩耗も引き起こし、それによって長期間にわたるクレーンの使用で液圧パイプの壁厚も減少する。そのため、このようなクレーンでは、前記液圧パイプの交換によりとりわけクレーンを時々整備する必要があることを考慮する必要があるが、何らかの別の理由でパイプの漏れが起こることもある。いずれの場合でも、液圧パイプが交換可能であることを確認する必要がある。液圧コネクタは通常、管状ベアリングセクションの内部に位置しており、自動車両でクレーンを使用する間および輸送する間に外部衝撃に曝露されることからよりよく保護される。したがって、そのような公知のクレーンにある各液圧パイプの各々の交換は、把持具を分解した後に、伸縮式に考案された第二アームが実際に完全に取り外して分解するという方法でのみ可能であり、内ベアリングセクションは、外ベアリングセクションから引き出され、その際に、そのような欠陥があるか摩耗した液圧パイプの両末端部分が液圧コネクタから取り除かれ、別の液圧パイプと交換される。その際、伸縮式アームを再度組み立てることができ、把持具も再度装着してよい。このような操作には、多大な労力と時間を要し、このような操作を専門の作業場で実行できずにクレーンを使用する目的で輸送した現場で行う場合は特に問題となる。
【0005】
クレーンの2部構成の伸縮式アームが欧州特許第2135836号(特許文献4)で知られており、伸縮式アームの中にはいくつかの可撓性液圧パイプが埋め込まれている。このような伸縮式アームは、所定の長さの外管状ベアリングセクションを有し、外管状ベアリングセクションは、一方の末端部分では適切な継手を介してクレーンの第一アームに回動式に接続され、残りの末端部分には内管状ベアリングセクションが中に挿入され、外末端部分には取付点があり、取付点は、各々の操作用組立体、例えば把持具を装着するために利用できる。伸縮式アームの前記ベアリングセクションの互いに対するそれぞれの動きは、ローラチェーンを使用して行われる。ローラチェーンは、ブロックに装着され、ブロックは、伸縮式アームの外管状ベアリングセクションに設置されている。前記ブロックは、伸縮式アームの内部に沿って延在している各液圧パイプを接続するのに適している液圧コネクタを受け入れるように適応している。すなわち液圧コネクタは、クレーンの使用中に損傷する危険性があるため、伸縮式アームの領域から突き出てはならない。そのため、前記液圧コネクタは、伸縮式アームの内側に配置され、よってアームの最も端からずれたところに位置している。ただし、液圧コネクタは、損傷したり摩耗したりした場合に液圧パイプを撤去できるように、引き続きアクセス可能である必要がある。そのために、伸縮式アームの外セクションは、斜めに切り取られ、切り取られた部分は、カバーに置き換えられ、カバーは、液圧コネクタが適切に保護されるように、切り取られた領域の上に取り外し可能なように設置されるが、引き続き必要に応じてアクセス可能である。残念ながら、伸縮式アームの外管状ベアリングセクションの外側を切り取るこのような対策では、クレーンの動作領域が大幅に縮小されてしまうことになる。すなわちこの領域では、伸縮式アームが完全に延びている場合であっても、それぞれが必要なクレーンの曲げ強度および運搬能力を確保するために内ベアリングセクションと外ベアリングセクションの両方が引き続き互いに十分重なり合ったままであり、これはつまり、外ベアリングセクションの前記斜めに切り取られた部分は、実際にはクレーンの運搬能力の低下か到達距離の縮小のいずれかにつながるということである。すなわち、移動型クレーンの伸縮式アームの長さは、一般にクレーンが設置されている車両の幅によって制限される。これは、移動型クレーンが施行されている道路交通規制に準拠する必要がある場合に考慮しなければならない。したがって、伸縮式アームの内外管状ベアリングセクションと外管状ベアリングセクションとが互いに重なる領域内を一切変更せずに前記液圧コネクタにアクセスできることが極めて合理的であり、変更することは、運搬能力の低下または伸縮式アームの短縮につながるおそれがあり、その結果、クレーンの到達距離の短縮につながるおそれがある。
【0006】
本発明は、移動型伸縮式液圧クレーン、すなわち運搬プラットフォームを有するクレーンに関し、運搬プラットフォームは、各自動車両にクレーンを取り付けるのに適し、任意選択で少なくとも一対の伸縮式支持脚を備え、伸縮式支持脚は、各脚を操作することによってクレーンを地面で支持するのに適し、かつそれによって前記クレーンの必要な運搬能力および安定性を確保するのに適している。このようなクレーンはさらに、支柱を有し、支柱は、その第1の末端部分の領域にカンチレバーとして前記プラットフォームに装着されて垂直軸周りに回転できるようになっていて、前記支柱の第2の自由末端部分には、クレーンの第一ベアリングアームがその第1の末端部分の領域に装着されて水平軸周りに回動できるようになっていて、前記第一アームは、前記支柱で支持され、液圧シリンダによって前記水平幾何学軸周りに回動でき、液圧シリンダは、一方では前記支柱に回動式に装着され、他方では前記第一アームに装着される。前記第一アームの第2の末端部分には、伸縮式に考案された第二ベアリングアームがその第1の末端部分に装着されて水平幾何学軸周りに回動できるようになっていて、前記第二ベアリングアームは、その第2の末端部分に、各荷を操作する把持具または別の適切な組立体を取り付けるための装着点を有する。前記伸縮式第二アームは、第一アームで支持され、液圧シリンダによって前記水平幾何学軸周りに回動でき、液圧シリンダは、一方では適切な伝達機構を介して直接または間接的に第一アームに回動式に接続され、他方では同じく直接または間接的に適切な伝達機構を介して第二アームに接続される。前記第二アームは、少なくとも2つの管状ベアリングセクションを有し、両管状ベアリングセクションは、互いに中に挿入し合い、それにより、前記管状ベアリングセクションは、適切な駆動手段によって軸方向に互いに対して移動可能であり、それによって外管状ベアリングセクションは、第一アームとの接続および液圧シリンダへの装着を確立するように意図され、外管状ベアリングセクションの中にある内管状ベアリングセクションは、その自由末端部分に、把持具を取り付けるための前記装着点を有する。伸縮式第二アームの外管状ベアリングセクションの自由末端部分には、少なくとも1つの液圧コネクタが想定され、この液圧コネクタは、液圧媒体が各々の利用可能な液圧集成装置から流れるようにでき、その一方で、伸縮式第二アームの内管状ベアリングセクションの自由末端部分にも少なくとも1つの液圧コネクタが想定され、この液圧コネクタは、液圧媒体が前記把持具および/または対応する液圧回転ユニットに向かって流れるようにでき、前記液圧コネクタは、可撓性液圧パイプを介して互いに接続可能であり、可撓性液圧パイプは、液圧でシールする方法で、ただし取り外しも可能な方法で、かつ切断と再接続の能力を維持して、必要なときに各々の前記液圧コネクタに接続される。前記可撓性液圧パイプは、前記伸縮式第二アームの内部、すなわち外管状ベアリングセクションの自由末端部分にある液圧コネクタと内管状ベアリングセクションの自由末端部分にある液圧コネクタとの間に沿って延在し、外管状ベアリングセクションから内管状ベアリングセクションへの移行領域で比較的急峻に屈曲し、案内リールを介して案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2789566A1号
【特許文献2】欧州特許第2683645A1号
【特許文献3】国際特許公報第98/17576A1号
【特許文献4】欧州特許第2135836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、少なくとも1つの作業用開口部を提案し、この開口部は、前記伸縮式に考案された第二アームの領域、すなわちその自由末端部分で、各可撓性液圧パイプを接続するために前記少なくとも1つの液圧コネクタを配置した領域内の前記外管状ベアリングセクションの自由末端部分から適度な距離をおいた所に設けられ、一方、可撓性液圧パイプは、内管状ベアリングセクションの自由末端部分で、所属する液圧コネクタと接続可能である。前記作業用開口部は、適切な形状および寸法であり、形状および寸法は、伸縮アームの外側からそれぞれの適切な手工具へアクセスできるように調整され、かつ十分に広範囲にわたる。手工具は、前記伸縮アーム内の前記可撓性液圧パイプとそれぞれの対応する液圧コネクタとの間の前記液圧シール接続を確立するか切断するのに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好適な実施形態では、前記少なくとも1つの作業用開口部は、角および縁がやや丸まっている切り欠きとして使用可能である。作業用開口部は、使用中の最大到達距離領域でのクレーンの位置を考慮することにより、外管状ベアリングセクション内の前記少なくとも1つの液圧コネクタの領域、および少なくとも概ね前記伸縮式に考案された第二アームの各外管状ベアリングセクションの上面の領域に位置し、地面から離れる向きである。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態では、特にさらに多くの液圧コネクタが想定され、かつ2つの作業用開口部が想定されれば好ましいことがあり、2つの作業用開口部は、互いに伸縮式アームの横断方向に離れていて、前記伸縮式アームの第1の末端部分から少なくとも概ね等しく離れ、前記作業用開口部は、同じく使用中の最大到達距離領域でのクレーンの位置を考慮することにより、実質的に外管状ベアリングセクション内の前記少なくとも1つの液圧コネクタの領域に位置し、それと同時に、伸縮式第二アームの各外管状ベアリングセクションの上面の領域に少なくとも部分的に位置し、地面から離れる向きである。
【0011】
またさらに、前記少なくとも1つの作業用開口部は、少なくとも部分的または完全に、取り外し可能なカバーで覆うことができる。
【0012】
本発明を添付の図面に示した実施形態を用いてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1のクレーンの伸縮式第二アームの末端領域の図であり、同じく等角図である。
【
図3】
図1のクレーンの伸縮式第二アームが初期位置にあり、完全に引っ込んだ状態で、管状ベアリングセクションが互いに重なって互いの中に位置している図であり、同じく等角図である。
【
図4】
図3に準拠し、
図1のクレーンに属する伸縮式第二アームの長手断面図である。
【
図5】
図1のクレーンの伸縮式第二アームが完全に引き出された状態、すなわちベアリングセクションがあり、引き続き互いの中に挿入されているが一部のみが重なっている図であり、同じく等角図である。
【
図6】
図5に準拠し、
図1のクレーンに属する伸縮式第二アームであり、中心の垂直平面の長手断面図である。
【
図7】
図2に拡大して示している
図1のクレーンの伸縮式第二アームの末端領域の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による移動型伸縮式液圧クレーンを
図1に示している。移動型伸縮式液圧クレーンは、運搬プラットフォーム1を備え、運搬プラットフォームは、各自動車両にクレーンを取り付けるのに適しており、任意選択で少なくとも一対の伸縮式支持脚11を備えている。伸縮式支持脚は、運搬される各荷が動かされるときに各々の地面でクレーンを支持することを目的とし、したがって、前記クレーンのそれぞれの必要な運搬能力および安定性を確保することを目的としている。図示していないが、任意選択で液圧集成装置を適切な貯蔵器およびポンプと一緒に前記プラットフォーム1の領域に取り付けることができる。その場合、液圧集成装置は、前記クレーンで利用可能なそれぞれの液圧駆動手段を供給し、任意選択でそれを制御するために、それぞれの液圧媒体を圧縮する役割を果たす。
【0015】
支柱2は、その第1の末端部分21がブラケットの意味で前記プラットフォーム1に装着されて垂直軸周りに回転できるようになっていて、前記支柱2の残りの自由末端部分22には、クレーンの第一ベアリングアーム3が装着されて第1の端部セクション31で水平軸周りに回動できるようになっている。前記第一アーム3は、前記支柱2に支持され、液圧シリンダ21によって前記水平幾何学軸周りに回転でき、液圧シリンダは、一方の側では前記支柱2に回動式に装着され、他方の側では前記第一アーム3に装着されている。前記第一アーム3の自由端部分32には、伸縮式に考案された支持用の第二ベアリングアーム4が第1の末端部分41の領域に装着されて水平幾何学軸周りに回動できるようになっていて、前記第二アーム4は、残りの末端部分42に装着点5を有し、装着点は、各荷を操作する把持具6または任意のその他の適切な器具を取り付けるように適応し、前記伸縮式第二アーム4は、第一アーム3に支持され、液圧シリンダ34によって前記水平幾何学軸周りに回動でき、一方では適切な伝達機構を介して直接または間接的に第一アーム3に回動式に接続され、他方では同じく直接または間接的に適切な伝達機構を介して第二アーム4に接続される。
【0016】
前記第二アーム4は、伸縮式に考案され、少なくとも2つの管状ベアリングセクション44、45を含み、両管状ベアリングセクションは、互いに中に挿入し合い、それにより、前記管状ベアリングセクション44、45は、適切な駆動手段を用いることによって軸方向に互いに対して移動可能である。その結果、外管状ベアリングセクション41は、第一アーム3との必要な接続および液圧シリンダ34への装着を確実にできるように意図され、外管状ベアリングセクション41の中にある内管状ベアリングセクション45は、その自由末端部分452に、把持具6または各荷を操作する同様の手段を取り付けるための前記装着点5を有する。
【0017】
前記伸縮式に考案された第二アーム4は、
図2~
図7に分けて示されている。第二アームは、一般に、互いに中に挿入し合う2つの管状ベアリングセクション44、45のみで構成されていてよいが、
図3~
図7による実施形態は、3つのセクションを有する。これはつまり、「内」ベアリングセクション45という表現は、残りのすべての管状ベアリングセクションよりも実際に内側のベアリングセクションであるセクション、すなわち最も内側のベアリングセクションを論理的に表しているという意味に本発明自体を解釈すべきであることを意味する。
【0018】
伸縮式第二アーム4の外管状ベアリングセクション44の自由末端部分442には、少なくとも1つの液圧コネクタ431が想定され、この液圧コネクタは、液圧媒体が各々の利用可能な液圧集成装置から流れるようにでき、その一方で、前記伸縮式第二アーム4の内管状ベアリングセクション45の自由末端部分452にも少なくとも1つの液圧コネクタ432があり、この液圧コネクタは、液圧媒体が前記把持具6および/または対応する液圧回転ユニット61に向かって流れるようにできる。両側にある2つの対応する液圧コネクタ431、432は、可撓性液圧パイプ43を介して互いに接続可能であり、可撓性液圧パイプは、液圧でシールする方法で、ただし取り外し可能な方法で、かつ切断と再接続の能力を維持して、必要なときに各々の前記液圧コネクタ431、432に接続される。前記液圧パイプ43は、すなわち強化可撓性パイプであり、それ自体が両端にコネクタを備えていて、前記液圧コネクタ431、432に接続可能であり、前記接続は、一般に使用される手工具、例えばナットなどを締め付けるレンチを用いて確立できる。
【0019】
図3~
図6から明らかなように、前記可撓性液圧パイプ43は、前記伸縮式第二アーム4の中、すなわち外管状ベアリングセクション44の自由末端部分441にある第1の液圧コネクタ431から内管状ベアリングセクション45の中の自由末端部分452内の第2の液圧コネクタ432に向かって延在し、外管状ベアリングセクション44から内管状ベアリングセクション45の中への移行領域で比較的急峻に屈曲し、案内リール455によって案内もされている。本発明によるクレーンでは、前記伸縮式に考案された第二アーム4の領域に少なくとも1つの作業用開口部48、48’が想定される。作業用開口部は、前記伸縮式アーム4自由末端部分42に、かつ特に前記外管状ベアリングセクション44の自由末端部分442から適切な距離を置いた所、すなわち前記液圧パイプ43を接続するための前記少なくとも1つの液圧コネクタ431を配置する領域に設けられ、液圧パイプは、他方の側では内管状ベアリングセクション45の自由末端部分452で液圧コネクタ432と接続可能である。
【0020】
各作業用開口部48は、各可撓性液圧パイプ43と伸縮式アーム4の中にあるそれぞれの対応する液圧コネクタ431との間の前記液圧シールした接続部を確立するか分解するために、それぞれが必要な手工具が各伸縮式アーム4の内部にアクセスするために伸縮式アーム4の外側から通れるような形状およびサイズで使用可能である。各作業用開口部48、48’の形状および寸法は、各ユーザが液圧コネクタ431のナットにレンチを配置できるように実質的に決定され、それによってナットは、少なくともおよそ30°回転できる。これは、少なくとも時々修理することでナットを徐々に締めたり緩めたりするのに概ね十分な程度である。本発明によれば、それぞれの場合で想定されることは、各作業用開口部48、48’のサイズおよび形状は、そのような操作を可能にするようになっているが、それによって各伸縮式アーム4の外部運搬セクション44の運搬能力はまったく低下しないということである。これはつまり、伸縮式アーム4が完全に伸長しているにもかかわらず十分な運搬能力が保持されているということであり、言い換えれば、前記クレーンの所定の運搬能力でクレーンの最大有効到達距離も維持できるということである。
【0021】
それぞれが必要な曲げ強度を確保する観点から、また伸縮式アーム4内の動的応力も考慮することによって、前記少なくとも1つの作業用開口部48は、角および縁がやや丸まっている切り欠きとして使用可能であることが好ましい。毎回の修理での効率およびアクセス可能性の観点から、前記少なくとも1つの作業用開口部48、48’は、使用中の最大到達距離領域でのクレーンの位置に関して、当然ながら外管状ベアリングセクション44内の前記少なくとも1つの液圧コネクタ431の領域に位置しているだけでなく、それに加えて、少なくとも概ね前記伸縮式に考案された第二アーム4の外管状ベアリングセクション44の上面440の領域にも位置していると非常に合理的で、地面から離れる向きである。
【0022】
図3~
図6による実施形態、すなわちクレーンに把持具6および回転ユニット61が備わっている場合、伸縮式アーム4上でいくつかの液圧コネクタ431を使用できる。それによって2つの作業用開口部48、48’が互いに伸縮式アーム4の横断方向に離れていて、前記伸縮式アーム4の第1の末端部分41から少なくとも概ね等しく離れていることが想定される。この場合、前記作業用開口部48、48’は、同じく使用中の最大到達距離領域でのクレーンの位置に関して、実質的に外管状ベアリングセクション44内の前記少なくとも1つの液圧コネクタ431の領域に位置しているだけでなく、それと同時に、伸縮式に考案された第二アーム4の各外管状ベアリングセクション44の上面440の領域にも少なくとも部分的に位置していて、地面から離れる向きである。
【0023】
図1に示したように、各作業用開口部48、48’は、クレーンの使用中に、任意選択で少なくとも部分的または完全に、取り外し可能なカバー49で覆うことができる。
【0024】
作業用開口部48、48’の存在はこのように、損傷した各々の液圧パイプ43を伸縮式アーム4の中で簡易かつ迅速に交換することを可能にし、これは数分で毎回その場で行うことができる。なぜなら、前記伸縮式アーム4を取り除き、かつ/または分解することなく実行できるからである。
【0025】
そのために、前記最終的に使用されたカバー49は、各作業用開口部48、48’から取り除かれる必要があり、その際に適切な手工具を使用することによって、損傷したパイプ43と対応する液圧コネクタ432、432との間のそれぞれの接続を切り離すことができる。その後、交換用の各液圧パイプ43を欠陥のある液圧パイプ43と暫定的に接続し、その際に欠陥のある液圧パイプ43は、伸縮式アーム4の内部から抜き出される。欠陥のある液圧パイプ43をこのように取り除く間、交換用の液圧パイプ43は同時に伸縮式アーム4の内部の方へ挿入される。欠陥のある液圧パイプ43を取り除くと、交換用の液圧パイプはすでに正しい位置にあり、液圧回路に統合される準備ができている。そのためには液圧パイプを欠陥のあるパイプから切り離し、その際に液圧コネクタ431、432に接続する必要があるだけである。液圧回路をこのように再構築した後、場合によって必要な空気解放を行い、そして液圧パイプ43の前記交換の後に、クレーンは再び使用できる状態になる。
【国際調査報告】