(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(54)【発明の名称】電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気設備
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20230825BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/52 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/50 20100101ALI20230825BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230825BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20230825BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M4/52
H01M4/50
H01M10/052
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/485
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552905
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2021107669
(87)【国際公開番号】W WO2023000214
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉則利
(72)【発明者】
【氏名】韓昌隆
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ07
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029EJ03
5H029EJ11
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ07
5H029HJ10
5H050AA10
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB12
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA07
5H050HA10
(57)【要約】
本出願は、電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気設備を提供する。前記電解液は、電解質、溶剤および添加剤を含み、前記添加剤が亜ジチオン酸ナトリウムを含む。本出願により、二次電池の例えば初期DCR、貯蔵でのガス発生およびレート性能などの総合性能がさらに向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質、溶剤および添加剤を含み、前記添加剤が亜ジチオン酸ナトリウムを含むことを特徴とする電解液。
【請求項2】
電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが、0よりも大きく且つ0.5%以下であり、
任意で、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが、0.2%~0.4%であり、
さらに任意で、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが、0.25%~0.35%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
前記添加剤は、さらに、1,3-プロパンスルトン、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルフェートのうちの一種または複数種の組合せを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電解液。
【請求項4】
電解液に対する前記添加剤の総質量の質量パーセントが、0よりも大きく且つ5%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項5】
前記電解液において、前記電解質のモル濃度が0.8~1.2mol/Lであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項6】
前記溶剤は、鎖状エステル、環状エステルのうちの一種または複数種の組合せを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項7】
前記鎖状エステルは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸プロピルのうちの一種または複数種の組合せを含み、
および/または、前記環状エステルは、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフランのうちの一種または複数種の組合せを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の電解液。
【請求項8】
正極板、負極板、セパレータおよび請求項1~7のいずれか1項に記載の電解液を含み、前記セパレータが正極板と負極板との間に配置されていることを特徴とする二次電池。
【請求項9】
前記正極板は、正極材料を含み、前記正極材料がハイニッケル三元正極活物質を含むことを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記ハイニッケル三元正極活物質において、Ni元素の質量パーセントが80%以上であることを特徴とする請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記ハイニッケル三元正極活物質の化学組成式(1)が
Li
1+yNi
aCo
bMe
1-a-bO
2-zA
z 式(1)であり、
そのうち、-0.1≦y≦0.2、0.5<a<0.9、0<b<0.5、0.5<a+b<1、0≦z<0.2、
前記Meが、Mn、Fe、Cr、Ti、Zn、V、Al、Zr、Ceから選択された一種または複数種であり、
前記Aが、S、N、F、Cl、Br、Iから選択された一種または複数種である
ことを特徴とする請求項9または10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記正極材料の比表面積BETの範囲が0.15~0.75m
2/gであることを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項13】
前記負極板は、負極材料を含み、前記負極材料が天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン酸化物、ケイ素-炭素複合材、Li-Sn合金、Li-Sn-O合金、Sn、SnO、SnO
2、スピネル構造のリチウム化合物、Li-Al合金のうちの一種または複数種の組合せを含むことを特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項14】
前記負極材料の比表面積BETの範囲が0.8~1.5m
2/gであることを特徴とする請求項13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記二次電池の使用上限電圧が4.15V以上であることを特徴とする請求項8~14のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項16】
請求項8~15のいずれか1項に記載の二次電池を含むことを特徴とする電池モジュール。
【請求項17】
請求項16に記載の電池モジュールを含むことを特徴とする電池パック。
【請求項18】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電解液、請求項8~15のいずれか1項に記載の二次電池、請求項16に記載の電池モジュール、または請求項17に記載の電池パックを含むことを特徴とする電気設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウム電池の技術分野に属し、特に、電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池用途の多様化に伴い、二次電池は、水力、火力、風力、太陽光発電所などのエネルギー貯蔵電力システムや、電動工具、電動自転車、電動バイク、電気自動車、軍事用機器、航空、宇宙などのさまざまな分野で広く応用されている。二次電池が大きな発展を遂げたので、初期DCR、貯蔵でのガス発生およびレート性能などに対してもより高く要求されている。
【0003】
しかしながら、既存の二次電池正極材料(特に三元材料)は、高温または高電圧での安定性が劣り、酸素放出などの副反応を起こすことがあるので、リチウム電池の寿命に深刻な影響を与える。したがって、正極をより確実に保護し、電池の初期DCR、高温貯蔵でのガス発生およびレート性能をさらに改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、二次電池の総合性能(例えば、初期DCR、貯蔵でのガス発生の低減、レート性能の向上など)がさらに向上する電解液を提供することを目的とする。
【0005】
上記の目的を達成するために、本出願は、電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気設備を提供する。
【0006】
本出願の第1局面は、電解質、溶剤および添加剤を含み、前記添加剤がジチオン酸ナトリウムを含む電解液を提供する。
【0007】
したがって、本出願では、亜ジチオン酸ナトリウムを添加剤とする。亜ジチオン酸ナトリウムは、前記リチウム二次電池の充放電過程において正極および負極の表面で界面膜が形成され、形成された界面膜がインピーダンスを低減する技術的効果を奏するので、電池の初期DCR、貯蔵でのガス発生を低減でき、レート性能を向上させることができる。
【0008】
任意の実施形態において、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが、0よりも大きく且つ0.5%以下であり、任意で、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが0.2%~0.4%であり、さらに任意で、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが0.25%~0.35%である。したがって、添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムの使用量を上記の範囲内に抑えることで、二次電池は、初期DCR、高温貯蔵でのガス発生が低減され、放電レート性能が優れるようになる。
【0009】
任意の実施形態において、前記添加剤は、さらに、1,3-プロパンスルトン、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルフェートのうちの一種または複数種の組合せを含む。したがって、亜ジチオン酸ナトリウムと、1,3-プロパンスルトン、フルオロエチレンカーボネートのうちの一種または複数種との相乗効果により、二次電池の各性能がさらに改善された。
【0010】
任意の実施形態において、電解液に対する前記添加剤の総質量の質量パーセントが0よりも大きく且つ5%以下である。したがって、各添加剤の総質量を上記の範囲内に抑えることで、亜ジチオン酸ナトリウムとその他の添加剤との相乗効果をよりよく奏することができる。
【0011】
任意の実施形態において、前記電解液において、前記電解質のモル濃度が0.8~1.2mol/Lである。したがって、電解液モルの濃度を上記の範囲内に抑えることで、電解液が良好な導電率および粘度性能を有するとともに、この電解液を使用する二次電池の初期DCR値も優れるようになる。
【0012】
任意の実施形態において、前記溶剤は、鎖状エステル、環状エステルのうちの一種または複数種の組合せを含む。したがって、鎖状エステルと環状エステルとの組合せにより、電解液が低粘度、高導電率の特徴を有するようになる。
【0013】
任意の実施形態において、前記鎖状エステルは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸プロピルのうちの一種または複数種の組合せを含み、および/または、前記環状エステルは、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフランのうちの一種または複数種の組合せを含む。したがって、非プロトン性溶剤として上記の鎖状エステルおよび/または環状エステルを選択することにより、二次電池の総合性能をより効果的に発揮することができる。
【0014】
本出願の第2局面は、正極板、負極板、セパレータおよび本発明の第1局面に記載の電解液を含み、前記セパレータが正極板と負極板との間に配置されている二次電池を提供する。
【0015】
亜ジチオン酸ナトリウムを含む電解液を使用することで、二次電池の性能を効果的に改善できる。そのメカニズムが明らかでないが、亜ジチオン酸ナトリウムが鎖状エステル、環状エステルなど溶剤より先に正極の表面で酸化され、負極の表面で還元されて、先に低インピーダンスの界面膜が形成されるので、二次電池の性能を改善できるからと推測された。
【0016】
任意の実施形態において、前記正極板は、正極材料を含み、前記正極材料がハイニッケル三元正極活物質を含む。したがって、ハイニッケル三元正極活物質におけるNiの含有量が高くなり、電池エネルギー密度を高め、コバルトの使用を低減させる。しかしながら、Niの含有量の増加に伴い、電解液の溶剤に対する酸化分解能力も強くなる。
【0017】
任意の実施形態において、前記ハイニッケル三元正極活物質において、Ni元素の質量パーセントが80%以上である。正極材料のNiの含有量が80%以上に限定すると、材料の活性を向上させ、エネルギー密度を高めることができるが、電解液の溶剤に対する酸化分解能力も強くなる。この場合、亜ジチオン酸ナトリウムを添加剤として使用することで、鎖状エステル、環状エステルなどの溶剤より先に正極の表面で酸化され、先に低インピーダンスの界面膜が形成されるので、電池性能を改善することができる。
【0018】
任意の実施形態において、前記ハイニッケル三元正極活物質の化学組成式(1)がLi1+yNiaCobMe1-a-bO2-zAz 式(1)であり、そのうち、-0.1≦y≦0.2、0.5<a<0.9、0<b<0.5、0.5<a+b<1、0≦z<0.2、前記Meが、Mn、Fe、Cr、Ti、Zn、V、Al、Zr、Ceから選択された一種または複数種であり、前記Aが、S、N、F、Cl、Br、Iから選択された一種または複数種である。上記の化学組成式(1)のハイニッケル三元正極活物質を使用することで、材料の活性を向上させ、エネルギー密度を高めることができるが、電解液の溶剤に対する酸化分解能力も強くなる。亜ジチオン酸ナトリウムを添加剤として使用することで、鎖状エステル、環状エステルなどの溶剤より先に正極の表面で酸化され、先に低インピーダンスの界面膜が形成されるので、電池性能を改善することができる。
【0019】
任意の実施形態において、前記正極材料の比表面積BETの範囲が0.15~0.75m2/gである。したがって、正極材料の比表面積BETをこの範囲内に抑えることで、二次電池が良好な動力学性能および寿命を有するようになる。
【0020】
任意の実施形態において、前記負極板は、負極材料を含み、前記負極材料が天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン酸化物、ケイ素-炭素複合材、Li-Sn合金、Li-Sn-O合金、Sn、SnO、SnO2、スピネル構造のリチウム化合物、Li-Al合金のうちの一種または複数種の組合せを含む。したがって、上記の負極材料の活性が高くなる。しかしながら、電解液の溶剤に対する還元分解能力も強くなる。
【0021】
任意の実施形態において、前記負極材料の比表面積BETの範囲が0.8m2/g~1.5m2/gである。負極材料の比表面積BETが上記の数値範囲内にあるとき、活性が強くなるが、電解液の溶剤に対する還元分解能力も強くなる。この場合、亜ジチオン酸ナトリウムを添加剤として使用することで、鎖状エステル、環状エステルなどの溶剤より先に負極の表面で還元され、先に低インピーダンスの界面膜が形成されるので、電池性能を改善することができる。
【0022】
任意の実施形態において、前記二次電池の使用上限電圧が4.15V以上である。電圧上限がこの範囲以上の二次電池は、高容量、強酸化性の特徴を有する。亜ジチオン酸ナトリウムと本出願の正極材料との組合せにより、このような三元正極材料の効力を発揮することができ、つまり、高温貯蔵性能、ハイレート放電能力を高めることができるとともに、初期DCRを低減することができる。
【0023】
本出願の第3局面は、本出願の第2局面の二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0024】
本出願の第4局面は、本出願の第3局面の電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0025】
本出願の第5局面は、本出願の第2局面の二次電池、本出願の第3局面の電池モジュールまたは本出願の第4局面の電池パックから選択された少なくとも一種を含む電気設備を提供する。
【0026】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0027】
本発明の電解液は、亜ジチオン酸ナトリウムを二次電池の電解液の添加剤として使用することで、電池の初期DCRや、貯蔵でのガス発生を低減でき、レート性能を向上させることができる。未だにそのメカニズムが明らかでないが、亜ジチオン酸ナトリウムのうちのS元素が中間価数である+3価のものであり、この価数のS元素が比較的に強い活性を有するからと推測された。したがって、亜ジチオン酸ナトリウムが一番早く負極表面で還元され、還元されてなる界面膜が低インピーダンス効果を果たし、同様に正極表面で一番早く酸化され、形成された界面膜も低インピーダンス効果を果たすので、二次電池の総合性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本出願の一実施形態による二次電池の模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す本出願の一実施形態による二次電池の分解図である。
【
図3】
図3は、本出願の一実施形態による電池モジュールの模式図である。
【
図4】
図4は、本出願の一実施形態による電池パックの模式図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す本出願の一実施形態による電池パックの分解図である。
【
図6】
図6は、本出願の一実施形態による二次電池を電源として使用する電気設備の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本出願の電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気装置の実施形態を具体的に説明する。なお、不要な部分の説明が省略される。例えば、周知技術に対する詳細な説明や、同一構造に対する説明が省略される場合がある。これは、説明が簡潔ではないことを避け、当業者によく理解させるためのである。また、図面および以下の説明は、当業者に本出願をよく理解させるためのものに過ぎず、特許請求の範囲に記載のものを限定するものではない。
【0030】
本発明に開示された「範囲」は、下限値および上限値により定義される。所定範囲は、下限値および上限値を選択することにより定義される。選択された下限値および上限値は、特定範囲の限界を定義する。このように定義された範囲は、限界値を含む場合があるし、限界値を含まない場合があり、任意に組み合わせてなるものである。すなわち、任意の下限と任意の上限との組み合わせで範囲を定義することが可能である。例えば、特定パラメータについて、60~120および80~110の範囲が挙げられた場合、60~110および80~120の範囲も予測可能なものであると理解されるべきである。また、下限値が1および2が挙げられ、上限値が3、4、および5が挙げられた場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5のいずれの範囲が予測可能なものであると理解される。本出願では、別段の明記がない限り、数値範囲「a~b」は、実数aと実数bの間の実数の任意の組み合わせの省略表現である。たとえば、数値範囲「0~5」は、明細書に記載の「0~5」の間のすべて実数を含み、「0~5」がこれらの数値の組み合わせの省略表現だけである。また、パラメータは、2以上の整数で表される場合、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などの整数であることを意味する。
【0031】
別段の明記がない限り、本出願のすべての実施形態および選択可能な実施形態を組み合わせて新たな技術案とすることが可能である。
【0032】
別段の明記がない限り、本出願のすべての技術的特徴および選択可能な技術的特徴を組み合わせて新たな技術案とすることが可能である。
【0033】
別段の明記がない限り、本出願のすべてのステップは、順に実行されてもよいし、ランダムに実行されてもよい。順に実施されることが好ましい。例えば、方法がステップ(a)とステップ(b)とを含む場合、該方法は、ステップ(a)とステップ(b)の順に実行されたり、ステップ(b)とステップ(a)の順に実行されたりすることを含む。例えば、上記方法は、さらにステップ(c)を含み得る。この場合、ステップ(c)を任意に上記方法に加えることが可能であり、ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c)の順に実行されたり、ステップ(a)、ステップ(c)、ステップ(b)の順に実行されたり、ステップ(c)、ステップ(a)、ステップ(b)の順に実行されたりすることを含む。
【0034】
別段の明記がない限り、本出願の「含む」および「含有」の使用は、オープンエンド形式と解釈されることが可能であるし、クローズエンド形式と解釈されることも可能である。例えば、「含む」および「包含」は、列挙されていない他の組成を含むまたは含有すると解釈されることが可能であるし、列挙された組成のみを含むまたは含有すると解釈されることも可能である。
【0035】
別段の明記がない限り、本出願において用語「または」の使用は、広義的な意味を有する。例えば、フレーズ「AまたはB」は、「A、B、またはAとB」を意味する。より具体的に、Aが成立(または存在)、Bが不成立(または非存在)である場合、Aが不成立(または非存在)、Bが成立(または存在)である場合、または、AとBがいずれも成立(または存在)である場合は、いずれも、「AまたはB」という条件を満たす。
【0036】
電解液
本出願の一実施形態において、本出願は、電解液を提供する。電解液は、正極板と負極板との間でイオンを透過させるためのものである。電解液は、電解質、溶剤および添加剤を含み、前記添加剤が亜ジチオン酸ナトリウムを含む。
【0037】
従来、主に、亜ジチオン酸ナトリウムの酸素吸収の化学的性質を利用し、亜ジチオン酸ナトリウムが正極スラリーの添加剤として使用されている。本出願の出願前に、亜ジチオン酸ナトリウムが良好な電気化学特性を有することが見出されなかった。本出願は、亜ジチオン酸ナトリウムを含む添加剤、電解質および溶剤を混合して電解液を調製することにより、電池の初期DCRや、貯蔵でのガス発生を低減でき、レート性能を向上させることができる。未だにそのメカニズムが明らかでないが、亜ジチオン酸ナトリウムのうちのS元素が中間価数である+3価のものであり、この価数のS元素が比較的に強い活性を有するからと推測された。したがって、亜ジチオン酸ナトリウムが一番早く負極表面で還元され、還元されてなる界面膜が低インピーダンス効果を果たし、同様に正極表面で一番早く酸化され、形成された界面膜も低インピーダンス効果を果たすので、二次電池の総合性能を向上させることができる。
【0038】
[添加剤]
いくつかの実施形態において、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントは、例えば、0よりも大きく且つ0.5%以下である。例えば、0.001%~0.1%、0.1%~0.2%、0.2%~0.4%、0.4%~0.5%、0.001%~0.15%、0.015%~0.25%、0.25%~0.35%、または0.35%~0.5%などである。任意で、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが0.2%~0.4%である。さらに任意で、電解液に対する前記亜ジチオン酸ナトリウムの質量パーセントが0.25%~0.35%である。添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムの使用量を上記範囲内に抑えることにより、亜ジチオン酸ナトリウムの過度の添に起因した二次電池電解液の粘度の悪化や、亜ジチオン酸ナトリウムが正負極の表面での成膜に過剰に関与することに起因した初期DCRの悪化を防ぐことができる。添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムの使用量を上記範囲内に抑えることにより、二次電池は、初期DCRが低く、高温貯蔵でのガス発生が少なく、放電レート性能が優れるようになる。
【0039】
いくつかの実施形態において、通常、亜ジチオン酸ナトリウム以外の添加剤も含み得る。前記添加剤は、例えば、1,3-プロパンスルトン、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルフェートなどのうちの一種または複数種の組合せを含む。亜ジチオン酸ナトリウムと、1,3-プロパンスルトン、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルフェートなどのうちの一種または複数種との相乗効果により、二次電池の貯蔵でのガス発生や、レート性能などの性能をよりよく改善できる。
【0040】
いくつかの実施形態において、電解液に対する前記添加剤の総質量の質量パーセントは、例えば、0よりも大きく且つ5%以下で有り得る。例えば、0.001%~1%、1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、0.001%~2%、または2%~5%などである。各添加剤の総質量を上記の範囲内に抑えることにより、前記亜ジチオン酸ナトリウムとその他の添加剤との相乗効果をよりよく発揮させることができ、二次電池の各性能を向上させる。特に、添加剤が正負極の表面での成膜に過剰に関与することに起因した初期DCRの悪化を防ぐことができる。
【0041】
[電解質]
いくつかの実施形態において、前記電解質のモル濃度は、0.8mol/L~1.2mol/L、0.8mol/L~1.0mol/L、1.0mol/L~1.2mol/L、0.8mol/L~0.9mol/L、0.9mol/L~1.0mol/L、1.0mol/L~1.1mol/L、または1.1mol/L~1.2mol/Lなどである。電解液のモル濃度を上記の範囲内に抑えることにより、二次電池の電解液が良好な導電率および粘度を有するようになり、また、この電解液を使用する二次電池の初期DCR値も適切である。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記電解質は、リチウム塩を含む。具体的に、前記電解質は、LiPF6、LiBF4、LiBOB、LiDFOB、LiSO3CF3、LiClO4、LiAsF6、Li(FSO2)2N、Li(CF3SO2)2NおよびLiC(CF3SO2)3などのうちの一種または複数種の組合せを含む。任意で、前記リチウム塩がLiPF6およびLi(FSO2)2Nである。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記リチウム塩の濃度は、0.8mol/L~1.2mol/L、0.8mol/L~1.0mol/L、1.0mol/L~1.2mol/L、0.8mol/L~0.9mol/L、0.9mol/L~1.0mol/L、1.0mol/L~1.1mol/Lまたは1.1mol/L~1.2mol/Lなどである。リチウム塩の濃度をこの範囲内に抑えることにより、濃度が低すぎるリチウム塩で、溶液により提供されるリチウムイオンの数が少なくなり、リチウムイオンの拡散に不利であり、電解液の導電率が低くなることや、濃度が高過ぎるリチウム塩で、溶液の粘度が高くなり、リチウムイオンの輸送に不利であり、導電率が低くなることを防止できる。したがって、電解液の導電率および粘度を改善することができる。
【0044】
[溶剤]
いくつかの実施形態において、前記溶剤は、特に限定されず、必要に応じて選択可能である。前記溶剤は、例えば、有機溶剤を含み得る。また、溶剤は、鎖状エステル、環状エステルのうちの一種または複数種の組合せを含み得る。環状エステルは、誘電率が大きく、電解質であるリチウム塩をよく解離させることができるが、環状エステル溶剤の粘度が比較的に大きい。一方、鎖状エステルの粘度が比較的に低い。したがって、環状エステルと鎖状エステルの組合せにより、電解液が、低粘度、高導電率の性質を有するようになる。
【0045】
いくつかの実施形態において、二次電池の溶剤との適性を考えると、前記鎖状エステルは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸プロピルのうちの一種または複数種の組合せを含み、および/または、前記環状エステルは、炭酸エチレン(1,3-ジオキソラン-2-オン、1,3-ジオキソシクロペンタノン、Ethylene carbonate)CAS番号96-49-1、炭酸プロピレン(プロピレングリコールカーボネート、1,2-プロピレングリコールカーボネート、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、Propylene carbonate)CAS番号108-32-7、炭酸ブチレン(2,3-ブチレンカーボネート、2,3-Butylene carbonate)CAS番号4437-85-8、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフランのうちの一種または複数種の組合せを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明の第1局面で提供された電解液は、当分野の公知方法で調製可能であり、電解質、溶剤および添加剤を所定の比で均一に混合すればよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、本出願は、本発明の第1局面に記載の電解液の二次電池の製造での使用を提供する。
【0048】
以下、図面を参照しながら本出願の二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気設備を説明する。
【0049】
二次電池
本出願の一実施形態は、二次電池を提供する。
二次電池は、正極板と、負極板と、セパレータと、本発明の第1局面に記載の電解質と、を含む。電池の充放電過程において、活性イオンが正極板と負極板との間で挿入および脱離を繰り返す。電解質は、正極板と負極板との間でイオンを伝導するためのものである。セパレータは、正極板と負極板との間に配置され、主に、正極と負極の短絡を防止するとともに、イオンを透過させるものである
【0050】
[正極板]
正極板は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも1つの表面に設置され且つ正極活性材料を含む正極膜層と、を含む。
【0051】
例として、正極集電体は、その自身の厚さ方向で対向する2つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する2つの表面のうちのいずれか1つまたは両方に積層設置されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記正極集電体は、金属箔または複合集電体を使用することができる。例えば、金属箔は、アルミニウム箔を使用することができる。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも1つの表面に形成された金属層と、を含み得る。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀および銀合金など)を高分子基材(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することにより作製可能である。
【0053】
いくつかの実施形態において、正極活性材料は、当分野周知の電池用正極活性材料を使用することができる。例として、正極活性材料は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物およびそれぞれの改質化合物のうちの少なくとも1つを含み得る。なお、本出願は、これらの材料に限定されず、電池の正極活性材料として使用可能な他の従来の材料を使用してもよい。これらの正極活性材料は、単独で使用されてもよく、2つ以上使用されてもよい。そのうち、リチウム遷移金属酸化物の例として、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO2、LiMn2O4)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(単にNCM333と称する場合がある)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(単にNCM523と称する場合がある)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(単にNCM211と称する場合がある)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(単にNCM622と称する場合がある)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(単にNCM811と称する場合がある))、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えばLiNi0.85Co0.15Al0.05O2)およびその改質化合物などのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例として、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO4(単にLFPと称する場合がある))、リン酸鉄リチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO4)、リン酸マンガンリチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素の複合材料のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。任意で、前記正極材料は、ハイニッケル三元正極活物質を含む。ハイニッケル三元正極活物質におけるNiの含有量が高いので、材料の活性を高めることができ、エネルギー密度を増加できるが、電解液の溶剤に対する酸化分解能力も高くなってしまう。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記ハイニッケル三元正極活物質において、Ni元素の質量パーセントが80%以上であり、例えば、80%~85%、85%~90%、または90%~95%などである。正極材料におけるNiの含有量を80%以上に限定すると、電解液の溶剤の酸化分解能力が高くなってしまうが、添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムの使用により、溶剤より先に正極の表面で酸化され、低インピーダンスの界面膜が形成されるので、電池の総合性能を改善することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記ハイニッケル三元正極活物質の化学組成式(1)は、Li1+yNiaCobMe1-a-bO2-zAz 式(1)である。そのうち、yが、一般的に、-0.1≦y≦0.2、-0.1≦y≦0、0≦y≦0.1、0.1≦y≦0.2、-0.1≦y≦-0.05、-0.05≦y≦0、0≦y≦0.05、0.05≦y≦0.1、0.1≦y≦0.15、または0.15≦y≦0.2などを満たす。aが、一般的に、0.5<a<0.9、0.5<a<0.7、0.7<a<0.9、0.5<a<0.6、0.6<a<0.7、0.7<a<0.8、または0.8<a<0.9などを満たす。bが、一般的に、0<b<0.5、0<b<0.1、0.1<b<0.2、0.2<b<0.3、0.3<b<0.4、0.4<b<0.5、0<b<0.3、または0.3<b<0.5などを満たす。a+bが、一般的に、0.5<a+b<1、0.5<a+b<0.8、0.8<a+b<1、0.5<a+b<0.6、0.6<a+b<0.7、0.7<a+b<0.8、0.8<a+b<0.9、または0.9<a+b<1などを満たす。zが、一般的に、0≦z<0.2、0≦z<0.1、0.1≦z<0.2、0≦z<0.05、0.05≦z<0.1、0.1≦z<0.15、または0.15≦z<0.2などを満たす。前記Meが、Mn、Fe、Cr、Ti、Zn、V、Al、Zr、Ceから選択された一種または複数種である。任意で、MeがMnまたはAlである。前記Aが、S、N、F、Cl、Br、Iから選択された一種または複数種である。任意で、前記AがS、N、Fである。上記の化学組成式(1)のハイニッケル三元正極活物質を使用し、電解液の溶剤の酸化分解能力が高くなってしまうが、添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムの使用により、鎖状エステル、環状エステルなどの溶剤より先に正極の表面で酸化され、先に低インピーダンスの界面膜が形成されるので、電池の総合性能を改善することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、正極材料の比表面積BETが、一定の範囲内にある。前記正極材料の比表面積BETの範囲は、例えば、0.15m2/g~0.75m2/g、0.15m2/g~0.45m2/g、0.45m2/g~0.75m2/g、0.15m2/g~0.25m2/g、0.25m2/g~0.35m2/g、0.35m2/g~0.45m2/g、0.45m2/g~0.55m2/g、0.55m2/g~0.65m2/g、または0.65m2/g~0.75m2/gなどである。正極材料の比表面積BETをこの範囲内に抑えることで、二次電池が良好な動力学性能およびサイクル寿命を有するようになる。
【0057】
いくつかの実施形態において、正極膜層は、接着剤をさらに含み得る。例として、前記接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレンの三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレンの三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペンの共重合体およびフッ素含有アクリル樹脂のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、任意で、正極膜層は、導電剤をさらに含み得る。例として、前記導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、以下のように、正極板を製造する。上記の正極板製造用の成分、例えば正極活性材料、導電剤、接着剤と任意のその他の成分を溶媒(例えばN-メチルピロリドン)で分散させ、正極スラリーを得、さらに正極スラリーを正極集電体に塗布して、乾燥、冷間プレスなどの工程を経て、正極板を得る。
【0060】
[負極板]
負極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも1つの表面に設置され且つ負極活性材料を含む負極膜層と、を含む。
【0061】
例として、負極集電体は、その自身の厚さ方向で対向する2つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する2つの表面のうちのいずれか1つまたは両者に積層設置されている。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記負極集電体は、金属箔または複合集電体を使用することができる。例えば、金属箔は、銅箔を使用することができる。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも1つの表面に形成された金属層と、を含み得る。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀および銀合金など)を高分子基材(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することにより製造可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、負極活性材料は、当分野周知の電池用負極活性材料を使用することができる。例として、負極材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン酸化物、ケイ素-炭素複合材、Li-Sn合金、Li-Sn-O合金、Sn、SnO、SnO2、スピネル構造のリチウム化合物、Li-Al合金のうちの一種または複数種の組合せを含む。なお、シリコン酸化物の組成式が、SiOxであり、xが0.5~2である。スピネル構造のリチウム化合物が、例えばTiO2-Li4Ti5O12である。上記の負極材料の活性が高いので、電解液の溶剤の還元分解能力が強くなり、二次電池の技術的効果がより優れる。これらの負極活性材料は、単独で使用されてもよく、2つ以上使用されてもよい。任意で、負極材料は、人造黒鉛または天然黒鉛のうちの一種および二種の組合せである。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記負極材料の比表面積BETの範囲は、0.8m2/g~1.5m2/g、0.8m2/g~1.0m2/g、1.0m2/g~1.2m2/g、1.2m2/g~1.5m2/g、0.8m2/g~0.9m2/g、0.9m2/g~1.0m2/g、1.0m2/g~1.1m2/g、1.1m2/g~1.2m2/g、1.2m2/g~1.3m2/g、1.3m2/g~1.4m2/g、または1.4m2/g~1.5m2/gなどである。負極材料の比表面積BETを上記の数値範囲内に抑えることで、材料の活性を高められるが、負極材料の活性の増強に伴い、電解液に溶剤に対する還元分解能力も強くなる。この場合、添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムの使用により、鎖状エステル、環状エステルなどの溶剤より先に負極の表面で還元され、先に低インピーダンスの界面膜が形成されるので、電池の総合性能を改善することができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、負極膜層は、接着剤をさらに含み得る。前記接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)およびカルボキシメチルキトサン(CMCS)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)のうちの少なくとも1つから選択可能である。
【0066】
いくつかの実施形態において、任意で、負極膜層は、導電剤をさらに含み得る。導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1つから選択可能である。
【0067】
いくつかの実施形態において、任意で、負極膜層は、例えば増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などの他の助剤を含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、以下のように、負極板を製造する。上記の負極板製造用の成分、例えば負極活性材料、導電剤、接着剤と任意のその他の成分を溶媒(例えば脱イオン水)で分散させ、負極スラリーを得、さらに負極スラリーを負極集電体に塗布して、乾燥、冷間プレスなどの工程を経て、負極板を得る。
【0069】
[セパレータ]
いくつかの実施形態において、二次電池は、さらにセパレータを含む。本出願において、セパレータの種類を限定せず、当分野周知の良好な化学的安定性および機械的安定性を有する多孔質構造のセパレータを選択すればよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つから選択することができる。セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよい。ここで限定されない。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同じであってもよく異なってもよい。ここで限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態において、二次電池の使用を制限する。例えば、前記二次電池の使用上限電圧が4.15V以上である。上限電圧の最大値について限定されない。いくつかの具体的な実施形態において、前記二次電池の使用上限電圧が、例えば4.15V~5V、4.15V~4.5V、または4.5V~5Vなどである。電圧上限を上記の範囲に抑える二次電池は、通常、高容量、強酸化性の特徴を有する。亜ジチオン酸ナトリウムと本出願の正極材料との組合せにより、このような三元正極材料の効力を発揮することができ、つまり、高温貯蔵性能、ハイレート放電能力を高めることができるとともに、初期DCRを低減することができる。前記二次電池の使用上限電圧が4.15V以上である場合、添加剤の作用をよく発揮することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、正極板、負極板とセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスにより、電極ユニットに製造される。
【0073】
いくつかの実施形態において、二次電池は、外装を含み得る。この外装は、上記電極ユニットおよび電解質を密封することに用いられる。
【0074】
いくつかの実施形態において、二次電池の外装は、例えば、硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼ケースなどの硬質ケースであってもよい。リチウムイオン電池の外装は、例えば袋状ソフトパックのようなソフトパックであってもよい。ソフトパックの材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートおよびポリブチレンサクシネートなどのプラスチックであってもよい。
【0075】
本出願は、二次電池の形状を特に限定せず、円柱状、四角形または他の任意の形状であってもよい。例えば、
図1には、一例としての四角形構造の二次電池5が示されている。
【0076】
いくつかの実施形態において、
図2に示すように、外装は、ハウジング51とカバープレート53を含む。ここで、ハウジング51は、底板と底板に接続される側板とを含み、底板と側板とは、収納室を囲むように構成される。ハウジング51は、収納室と連通する開口を有し、カバープレート53は、前記開口をカバーすることで、前記収納室を密封する。正極板、負極板およびセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスにより電極ユニット52を形成することができる。電極ユニット52は、前記収納室に封入される。電解液は、電極ユニット52内に浸潤する。リチウムイオン電池5に含まれる電極ユニット52の個数は、1つまたは複数であってもよく、当業者であれば、実際の必要に応じて選択することができる。
【0077】
電池モジュール
いくつかの実施形態において、二次電池を利用して電池モジュールを構成してもよい。電池モジュールが含む二次電池の個数は、1つまたは複数であってもよく、当業者であれば電池モジュールの使用および容量に基づいて選択可能である。
【0078】
図3は、例としての電池モジュール4を示す。
図3に示すように、電池モジュール4において、複数の二次電池5が電池モジュール4の長手方向に沿って順に配置されている。なお、その他の任意の形態で配置されてもよい。また、締結部材でこの複数の二次電池5を固定してもよい。
【0079】
任意で、電池モジュール4は、さらに収容空間を有するケースを備え、複数の二次電池5がこの収容空間に収容される。
【0080】
電池パック
いくつかの実施形態において、上記電池モジュールを使用して電池パックを構成してもよい。電池パックが含む電池モジュールの個数は、1つまたは複数であってもよく、当業者であれば電池パックの使用および容量に基づいて選択可能である。
【0081】
図4および
図5は、例としての電池パック1を示す。
図4および
図5に示すように、電池パック1は、電池ボックスおよび電池ボックスに配置される複数の電池モジュール4を備える。電池ボックスは、上筐体2および下筐体3を備え、上筐体2が下筐体3にカバーされ、電池モジュール4を収容する密閉空間が形成される。複数電池モジュール4が、任意の方式で電池ボックスに配置可能である。
【0082】
電気設備
また、本出願は、電気設備を提供する。前記電気設備は、本出願の二次電池、電池モジュール、または電池パックのうちの少なくとも1つを含む。前記二次電池、電池モジュール、または電池パックは、前記電気設備の電源として利用可能であり、前記電気設備のエネルギー貯蔵ユニットとしても利用可能である。前記電気設備は、携帯型設備(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電気車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電気自転車、電気バイク、電気ゴルフカー、電気トラックなど)、電気列車、船、衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含むが、これらに限定されない。
【0083】
前記電気設備は、必要に応じて二次電池、電池モジュールまたは電池パックを選択することができる。
【0084】
図6は、例としての電気設備を示す。この電気設備は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、またはプラグインハイブリッド電気自動車などである。これらの電気設備について、高パワーおよび高エネルギー密度の二次電池が求められるので、電池パックまたは電池モジュールを使用することができる。
【0085】
また、他の例として、装置が、携帯電話、タブレット、ノートパソコンなどである。これらの装置について、薄型化が求められるので、電源として二次電池を利用可能である。
【0086】
実施例
【0087】
以下、本出願の実施例を説明する。説明する以下の実施例は、例示的なものであり、本出願を説明するものにすぎず、本出願を限定するものではないと理解されるべきである。実施例において、具体的な条件を明記しないことについて、当分野の文献に記載の技術、条件または製品の説明書に基づいて行うことができる。使用する試剤又は器械の、製造メーカーが明記されていないものが、当分野でよく使われる市販の従来品を使用することが可能である。
【0088】
実施例1
(1)正極板の製造
正極活性材料としての三元材料(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)、接着剤としてのポリフッ化ビニリデン、導電剤としてのアセチレンブラック、N-メチルピロリドン(NMP)を、98:1:1:100の質量比で混合し、真空攪拌機により透明状態になるまで均一に攪拌して、正極スラリーを得た。正極スラリーを、0.3g/1540.25mm2の片面塗布量で、12μmの厚さのアルミニウム箔に均一に塗布し、塗布されたアルミニウム箔を、室温で乾燥させたあと、120℃のオーブンに移して1時間乾燥させ、その後、冷間プレス、切断を経て、正極板を得た。
【0089】
(2)負極板の製造
人造黒鉛、導電剤としてのカーボンブラック、接着剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム、脱イオン水を、92:2:6:100の質量比で混合し、真空攪拌機の攪拌により負極スラリーを得た。負極スラリーを、0.17g/1540.25mm2の片面塗布量で、8μmの厚さの負極集流体銅箔に均一に塗布し、銅箔を室温で乾燥させたあと、120℃のオーブンに移して1時間乾燥させ、その後、冷間プレス、切断を経て、負極板を得た。
【0090】
(3)セパレータ
Cellgard(会社)のcellgard2400(規格)
【0091】
(4)電解液の調製
非水系有機溶剤が、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)および炭酸ジエチル(DEC)を含む混合液であり、そのうち、EC、PCおよびDECの体積比が1:1:1である。含水量が10ppm未満のアルゴンガス雰囲気のグローブボックスで、上記の混合された溶剤に溶質としてのLiPF6を加え1mol/LのLiPF6を含む母液を得、上記の母液に含有量が0.1%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加える。表1において、添加剤の含有量は、電解液の総質量に対する質量パーセントである。
【0092】
(5)リチウムイオン二次電池の製造
セパレータが正極板と負極板との間に介在して隔離の役割を果たすように、正極板、セパレータ、負極板を順に積層し、巻回してベアセルとする。さらに、容量が4.3Ahであるベアセルを外装箔に置き、電池を得て、上記の調製された8.6gの電解液を、乾燥された上記の製造後の電池に注入し、真空パッケージング、放置、フォーメーション、成形などの工程を経て、リチウムイオン二次電池を得た。
【0093】
実施例2
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.2%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0094】
実施例3
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.3%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0095】
実施例4
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.4%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0096】
実施例5
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.5%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0097】
実施例6
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例3を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、さらにその他の添加剤を含み、前記その他の添加剤が、0.3%のDTD(エチレンサルフェート)、0.3%の1,3-PS(1,3-プロパンスルトン)および1%のFEC(フルオロエチレンカーボネート)を含む。
【0098】
実施例7
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、正極板の製造ステップにおいて、正極活性材料としての三元材料がLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2である。
【0099】
実施例8
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例3を参照できる。相違点として、正極板の製造ステップにおいて、正極活性材料としての三元材料がLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2である。
【0100】
実施例9
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例5を参照できる。相違点として、正極板の製造ステップにおいて、正極活性材料としての三元材料がLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2である。
【0101】
実施例10
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例7を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、さらにその他の添加剤を含み、前記その他の添加剤が、0.3%のDTD(エチレンサルフェート)、0.3%の1,3-PS(1,3-プロパンスルトン)および1%のFEC(フルオロエチレンカーボネート)を含む。
【0102】
実施例11
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.6%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0103】
実施例12
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.7%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0104】
実施例13
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例7を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、含有量が0.6%の添加剤としての亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。
【0105】
比較例1
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例1を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、亜ジチオン酸ナトリウムを加えなかった。
【0106】
比較例2
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例3を参照できる。相違点として、正極板の製造プロセスにおいて正極板の総質量に対する0.3%の亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。電解液の調製ステップにおいて、亜ジチオン酸ナトリウムを加えなかった。
【0107】
比較例3
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例3を参照できる。相違点として、負極板の製造プロセスにおいて、負極板の総質量に対する0.3%の亜ジチオン酸ナトリウムを加えた。電解液の調製ステップにおいて、亜ジチオン酸ナトリウムを加えなかった。
【0108】
比較例4
リチウムイオン二次電池の製造プロセスは、全体として実施例7を参照できる。相違点として、電解液の調製ステップにおいて、亜ジチオン酸ナトリウムを加えなかった。
【0109】
上記の実施例1~13、比較例1~4のパラメータが以下の表1に示されている。
【0110】
電池性能の測定
(1)リチウムイオン二次電池の60℃下の貯蔵性能の測定
60℃下で、リチウムイオン二次電池を0.5Cの定電流で4.35Vまで充電し、さらに、定電圧で電流が0.05Cとなるまで充電し、この際に、リチウムイオン二次電池の厚さを測定して、h0とする。その後、リチウムイオン二次電池を60℃のインキュベータに置き、30日間収納して取り出し、さらにこのときのリチウムイオン二次電池の厚さを測定して、h1とする。リチウムイオン二次電池の30日間収納したあとの厚さ膨張率=[(h1-h0)/h0]×100%である。
【0111】
(2)リチウムイオン二次電池の初期DCR性能の測定
製造直後のセルを1Cで4.35Vまで充電し、その後、定電圧で0.05Cとなるまで充電してから、1Cで30分間放電し、この際の電圧をV1とする。その後、4C(I)で30秒間放電し、30秒間の放電過程において、0.1秒間隔で電圧値を記録し、放電末期電圧をV2として記録し、セルの50%SOCでの放電DCR即ち(V1-V2)/Iを得た。
【0112】
(3)リチウムイオン二次電池の4Cでの放電容量の保持率
25℃下で、リチウムイオン二次電池を1Cの定電流で4.35Vまで充電し、その後、定電圧で電流が0.05Cとなるまで充電し、さらに1Cの定電流で2.8Vまで放電し、この際の放電容量を1Cでの公称容量とし、さらに100%とする。
【0113】
その後、1Cの定電流で4.35Vまで充電し、そして、定電圧で電流が0.05Cとなるまで充電し、さらに4Cの定電流で2.8Vまで放電し、この際の放電容量を4Cでの放電容量とする。
4Cでの放電容量の保持率=放電容量/公称容量×100%
【0114】
各実施例、比較例の測定結果
上記実施例1~13、比較例1~4の測定結果は、以下の表2に示されている。
【0115】
表2から分かるように、実施例1~13では、電解液に亜ジチオン酸ナトリウムが加えられ、比較例1~4と比べて、リチウムイオン二次電池の60℃下貯蔵の体積膨張率、初期DCR、4Cでの放電容量の保持率がいずれも顕著に改善され、良好な効果を奏した。
【0116】
また、実施例1と比較例1との、実施例7と比較例4との測定結果から見れば、相違点が亜ジチオン酸ナトリウムの添加であり、実施例の電池性能が明らかに比較例よりも優れる。
【0117】
実施例6と実施例3との比較から見れば、その他の添加剤が加えられ、それらと亜ジチオン酸ナトリウムとの相乗効果により、60℃下貯蔵の体積膨張率および初期DCRが下降し、4Cでの放電容量の保持率を適切に向上させることができる。
【0118】
実施例8と実施例3との測定結果から見れば、正極活性材料としての三元材料がLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2である場合、60℃下貯蔵の体積膨張率、初期DCR、4Cでの放電容量の保持率がいずれもLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2よりも優れる。
【0119】
実施例3と比較例2、比較例3との測定結果から見れば、電解液に亜ジチオン酸ナトリウムが加えられ、正極または負極に亜ジチオン酸ナトリウムを加える場合より、電池性能が明らかに優れる。
【0120】
なお、本出願は、上記の実施形態に限定されない。上記の実施形態は、例示的なものに過ぎず、本願の技術的思想と実質的に同一の構成や、同じ作用、効果を果たす実施形態がいずれも本出願の技術的範囲内に含まれる。また、本出願の主旨を逸脱しない限り、実施形態に対して当業者が想到できる各種の変化や、実施形態における一部の構成要素を組合せてなる他の方式も本出願の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1…電池パック
2…上筐体
3…下筐体
4…電池モジュール
5…二次電池
51…ハウジング
52…電極ユニット
53…トップカバーアッセンブリ
【国際調査報告】