IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナントセル,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2023-537475IL-15スーパーアゴニストに対する薬物に特異的な薬物動態アッセイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(54)【発明の名称】IL-15スーパーアゴニストに対する薬物に特異的な薬物動態アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/24 20060101AFI20230825BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20230825BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230825BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230825BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
C07K16/24
C07K14/54 ZNA
C07K16/28
C07K19/00
G01N33/53 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507250
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2021042531
(87)【国際公開番号】W WO2022031440
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/060,256
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518419057
【氏名又は名称】ナントセル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 志保
(72)【発明者】
【氏名】ニアジ,ケイバン
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA60
4H045DA02
4H045DA51
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA81
(57)【要約】
生体サンプル中のヘテロマータンパク質複合体を検出するための方法及び組成物が本明細書に提供される。その方法及び組成物は、実質的に同じ抗体を有するタンパク質複合体を捕捉及び検出する一方で、天然タンパク質の検出を回避することを可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1のインターロイキン15受容体アルファスシドメイン(IL-15RαSu);
b)第2のIL-15RαSuドメインであって、前記第1及び第2のIL-15RαSuドメインはジスルフィド結合によって共有結合される、第2のIL-15RαSuドメイン;
c)静電相互作用によって前記第1のIL-15RαSuドメインに結合され、第1のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第1のIL-15ドメイン;
d)静電相互作用によって前記第2のIL-15RαSuドメインに結合され、第2のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第2のIL-15ドメイン;
e)前記第1のIL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに結合された第1のモノクローナル抗体(mAb);及び
f)前記第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の前記同一エピトープに結合された第2のmAbであって、前記第1のmAbと前記第2のmAbの両方は前記エピトープに同じ親和性で結合する、第2のmAb
を含む、組成物。
【請求項2】
前記IL-15ドメインの少なくとも1つが、アミノ酸位置72でアスパラギンからアスパラギン酸への突然変異(N72D)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記IL-15RαSuドメインのそれぞれが、免疫グロブリン結晶化可能断片(Fc)ドメインをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1のmAbが、高分子表面にコンジュゲートされる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2のmAbが、検出手段を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記検出手段が、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記IL-15ドメインが、一本鎖可変断片(scFv)ドメインをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記IL-15RαSuドメインが、scFvドメインをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
生体サンプル中のヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体を検出するための方法であって、
a)前記タンパク質複合体を含む前記生体サンプルを第1のmAbと接触させることであって、前記mAbは高分子表面にコンジュゲートされ、前記ヘテロ四量体複合体は、2つのIL-15ドメイン及び2つのIL-15RαSuを含み、各IL-15ドメインは、IL-15RαSuドメインに静電気的に結合され、前記2つのIL-15RαSuドメインは、互いにジスルフィド結合によって共有結合され、前記mAbのFab部分は、前記IL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに500nM~1fMの間の親和性で結合する、ことと;
b)前記生体サンプルを、第2のmAbと、前記第2の抗体が前記第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の前記同一エピトープに前記同じ親和性で結合するような条件下で接触させることと;
c)未結合の複合体を前記高分子表面から洗浄することと;及び
前記第2のmAbの結合を検出することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記IL-15ドメインの少なくとも1つが、N72D突然変異を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記IL-15RαSuドメインのそれぞれが、Fcドメインをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のmAbが検出手段を含む.請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記検出手段が、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記高分子表面が、ポリプロピレン又はポリスチレン表面である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のmAb及び前記第2のmAbが、実質的に同じアミノ酸配列を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記IL-15ドメインのそれぞれが、scFvドメインをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、35U.S.C.119(e)の下で2020年8月3日に出願された米国仮特許出願第63/060,256号に対する優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第63/060,256号の全開示は、以下によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本願は、EFS-Webによってテキストファイルとして電子的に提出された配列表を含む。「054692-645P01US_SEQUENCE_LISTING.TXT」という名称のテキストファイルは、1000バイトのバイトサイズを有し、2020年7月8日に記録された。テキストファイルに含まれる情報は、37CFR§1.52(e)(5)に従って、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-15(IL-15)スーパーアゴニストN-803を含む、治療用ヘテロマータンパク質複合体は、様々ながんの治療において免疫応答を調節することが見出されている。N-803は、IL-15受容体αに結合され、次に免疫グロブリンG1(IgG1)結晶化可能断片(Fc)に結合される、IL-15突然変異体を含む多量体タンパク質複合体である。N-803は、天然の非複合型IL-15と比較して、改善された薬物動態特性、リンパ組織内でのより長い持続性及び増強された抗腫瘍活性を呈することが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
N-803などの治療用ヘテロマータンパク質複合体の薬物動態特性の継続的評価は、臨床的有効性を評価するのに重大である。現在利用可能な薬物動態アッセイは、N-803と天然IL-15との間を識別せず、潜在的に、患者血清中のIL-15レベルを標的N-803に加えて測定することができる。したがって、治療用ヘテロマータンパク質複合体に特異的な検出のための方法が必要とされる。特に、これらや当該技術分野での他の問題に対する解決策が本明細書に提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、(a)第1のインターロイキン15受容体アルファスシドメイン(IL-15RαSu);(b)第2のIL-15RαSuドメインであって、第1及び第2のIL-15RαSuドメインはジスルフィド結合によって共有結合される、第2のIL-15RαSuドメイン;(c)静電相互作用によって第1のIL-15RαSuドメインに結合され、第1のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第1のIL-15ドメイン;(d)静電相互作用によって第2のIL-15RαSuドメインに結合され、第2のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第2のIL-15ドメイン;(e)第1のIL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに結合された第1のモノクローナル抗体(mAb);及び(f)第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の同一エピトープに結合された第2のmAbであって、第1のmAbと第2のmAbの両方はエピトープに同じ親和性で結合する、第2のmAbを含む、組成物に関する。
【0006】
別の実施形態は、提供される生体サンプル中のヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体を検出するための方法であって、a)タンパク質複合体を含む生体サンプルを第1のmAbと接触させることであって、mAbは高分子表面にコンジュゲートされ、ヘテロ四量体複合体は、2つのIL-15ドメイン及び2つのIL-15RαSuを含み、各IL-15ドメインは、IL-15RαSuドメインに静電気的に結合され、2つのIL-15RαSuドメインは、互いにジスルフィド結合によって共有結合され、mAbのFab部分は、IL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに500nM~1fMの間の親和性で結合する、ことと;b)生体サンプルを、第2のmAbと、第2の抗体が第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の同一エピトープに同じ親和性で結合するような条件下で接触させることと;c)未結合の複合体を高分子表面から洗浄することと;及び第2のmAbの結合を検出することと、を含む、方法に関する。
【0007】
実施形態のいずれかの一態様では、IL-15ドメインの少なくとも1つは、アミノ酸位置72でアスパラギンからアスパラギン酸への突然変異(N72D)を含む。
【0008】
実施形態のいずれかの一態様では、IL-15RαSuドメインのそれぞれは、免疫グロブリン結晶化可能断片(Fc)ドメインをさらに含む。別の態様では、IL-15RαSuドメインは、scFvドメインをさらに含む。
【0009】
実施形態のいずれかの一態様では、第1のmAbは、高分子表面にコンジュゲートされる。
【0010】
実施形態のいずれかの一態様では、第2のmAbは、検出手段を含む。一態様では、検出手段は、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される。
【0011】
実施形態のいずれかの一態様では、IL-15ドメインは、一本鎖可変断片(scFv)ドメインをさらに含む。
【0012】
実施形態のいずれかの一態様では、高分子表面は、ポリプロピレン又はポリスチレン表面である。
【0013】
実施形態のいずれかの一態様では、第1のmAb及び第2のmAbは、実質的に同じアミノ酸配列を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】2つの異なる抗体が使用され、一方は捕捉用であり、一方は検出用である場合のヘテロマータンパク質複合体を検出するための薬物動態アッセイの模式図である。
図1B-1】IL15Rα及びIL-15を含む治療用タンパク質複合体を検出するための3つの手法を図示する模式図である。模式図は、抗IL-15抗体がタンパク質複合体を捕捉するために使用される場合のアッセイ設計を示す。複合体の検出においては、抗ヒトIgG Fc検出抗体(左パネル)、捕捉抗体に実質的に類似する抗IL-15抗体(中央パネル)、又は抗IL15Rα抗体(右パネル)が使用された。
図1B-2】図1B-1の続きである。
図1B-3】図1B-2の続きである。
図2】捕捉及び検出の両方に使用される実質的に同一なモノクローナル抗IL-15抗体がヘテロマータンパク質複合体を特異的に検出することを示すグラフである。
図3A】検出アッセイにおいて使用される様々なブロッキング緩衝液の有効性を比較するグラフである。
図3B】ヘテロマータンパク質複合体を検出するための、5%又は10%マウス血清のいずれかを含むブロッキング緩衝液の有効性を比較するグラフである。
図4】異なる濃度の捕捉及び検出抗体を使用する、タンパク質複合体の検出を示すグラフである。
図5】アッセイのマトリックス耐性を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この説明を通読後、本開示を様々な代替的な実施形態及び代替的な応用においていかに実施するかが当業者にとって明白となるであろう。しかし、本発明の全ての様々な実施形態は、本明細書中で説明されることはない。本明細書で提示される実施形態が、あくまで例示によって提示され、限定することがないことは理解されるであろう。そのようなものとして、様々な代替的な実施形態のこの詳細な説明は、本明細書で記載される本開示の範囲又は幅を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0016】
本技術が開示及び説明される前に、下記の態様が、特定の組成物、そのような組成物を調製する方法、又はその使用に、当然ながら変動し得ることから、限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書で用いられる用語法が、あくまで特定の態様を説明することを目的とし、限定することが意図されないことは理解されるべきである。
【0017】
詳細な説明は、あくまで読者の利便性のため、様々なセクションに分割され、任意のセクション中に見出される開示は、別のセクション中の開示と組み合わされてもよい。読者の利便性のため、タイトル又はサブタイトルが本明細書中で用いられてもよく、それらは本開示の範囲に影響を及ぼすことは意図されない。
【0018】
定義
特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本開示が属する当業者によって共通に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書中及び以下の特許請求の範囲中では、以下の意味を有するように定義されるものとするいくつかの用語に対して、参照がなされることになる:
【0019】
本明細書で用いられる用語法は、あくまで特定の実施形態を説明することを目的とし、限定することが意図されない。本明細書で用いられるとき、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別の意味を示していない限り、同様に複数形を含むことが意図される。
【0020】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が生じることも生じないこともあり得ることと、その記載が事象又は状況が生じる場合とそれが生じない場合とを含むことを意味する。
【0021】
「約」という用語は、数値指定、例えば、温度、時間、量、濃度、及び他のそのようなものであって、範囲を含むものに先行して使用されるとき、(+)又は(-)10%、5%、1%、又はそれらの間の任意の部分範囲若しくは部分値だけ変化し得る近似値を示す。好ましくは、「約」という用語は、量に関連して使用されるとき、量が+/-10%だけ変化し得ることを意味する。
【0022】
「含む(Comprising)」又は「含む(Comprises)」は、組成物及び方法が列挙される要素を含んでも、それ以外を除外しないことを意味することが意図される。「~から本質的になる」は、組成物及び方法を定義するために使用されるとき、提示された目的のための組み合わせに対して何らかの本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義されるような要素から本質的になる組成物であれば、特許請求された発明の基本的且つ新規な特徴に実質的に影響しない他の材料又はステップを除外しないことになる。「~からなる」は、他の成分の微量を上回る要素及び実質的な方法ステップを除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0023】
「抗体」は、抗原に特異的に結合し、それを認識する免疫グロブリン遺伝子又はその断片からのフレームワーク領域を含むポリペプチドを指す。認識される免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミュー定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、それらは順に、免疫グロブリンクラスのIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのそれぞれを定義する。典型的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性及び親和性の決定において有意な役割を果たす。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体の断片は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ラクダなどを含む異なる生物に由来してもよい。本発明の抗体は、抗体の所望の機能(例えば、グリコシル化、発現、抗原認識、エフェクター機能、抗原結合、特異性など)を改善又は調節するため、1つ又は複数のアミノ酸位置で修飾又は突然変異を受けている抗体を含んでもよい。
【0024】
抗体は、複雑な内部構造を有する大きい複雑な分子(約150,000の分子量又は約1320アミノ酸)である。自然抗体分子は、ポリペプチド鎖の2つの同一ペアを含み、各ペアは1つの軽鎖と1つの重鎖を有する。各軽鎖及び各重鎖は、順に、2つの領域:標的抗原への結合に関与する可変(「V」)領域、及び免疫系の他の成分と相互作用する定常(「C」)領域からなる。軽鎖及び重鎖可変領域は、抗原に結合する可変領域(例えば、細胞の表面上の受容体)を形成するような三次元空間内で共存する。軽鎖又は重鎖可変領域それぞれの内部に、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる(平均で10アミノ酸長の)3つの短いセグメントが存在する。抗体可変ドメイン内の6つのCDR(軽鎖から3つと重鎖から3つ)は、三次元空間内で一緒に折り畳み、標的抗原上にドッキングする実際の抗体結合部位を形成する。CDRの位置及び長さは、Kabat,E.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1983,1987によって正確に定義されている。CDR内に含まれない可変領域の部分は、フレームワーク(「FR」)と呼ばれ、CDRのための環境を形成する。
【0025】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一ペアで構成され、各ペアは、1つの「軽」鎖(約25kD)と1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)という用語は、これらの軽鎖及び重鎖のそれぞれを指す。
【0026】
本明細書で用いられるとき、「Fcドメイン」又は「結晶化可能ドメイン断片」という用語は、それらの単純な通常の意味に応じて使用され、抗体の「ベース」又はテール末端領域(C末端)の組換え又は天然に存在する形態のいずれかを指す。Fcドメインは、典型的に、抗体のクラスに応じた、2つ又は3つの定常ドメインに寄与する2つの重鎖で構成される。Fc領域は、IgG抗体、IgA抗体、及びIgD抗体における2つの重鎖定常Igドメイン、並びにIgE抗体及びIgM抗体における3つの重鎖定常Igドメインで構成される。
【0027】
「Fc」という用語は、抗体の非抗原結合断片を指す。そのような「Fc」は、単量体又は多量体形態であり得る。天然Fcの元の免疫グロブリン源は、好ましくは、ヒト起源であり、免疫グロブリンのいずれであってもよい。複数の実施形態では、Fcは、IgG1又はIgG2 Fcである。天然Fcの場合は、共有結合(即ち、ジスルフィド結合)及び非共有結合による会合によって二量体又は多量体形態に連結されてもよい、単量体ポリペプチドで形成される。天然Fc分子の単量体サブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、IgE)又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)に応じて、1~4の範囲である。天然Fcの一例が、IgGのパパイン消化から得られるジスルフィド結合二量体である(Ellison et al.(1982),Nucleic Acids Res.10:4071-9を参照されたい)。「Fc」という用語は、本明細書で用いられるとき、単量体、二量体、及び多量体形態に一般的である。
【0028】
複数の実施形態では、「Fc」という用語は、天然Fcから修飾されても、やはり受容体に対する結合部位を含む分子又は配列を指す。修飾Fc及び天然Fcの場合同様、「Fcドメイン」という用語は、全抗体から消化されるか、又は組換え遺伝子発現若しくは他の手段によって産生されるかにかかわらず、単量体又は多量体形態の分子を含む。
【0029】
複数の実施形態では、Fcは、IL-15Rα又はIL-15ドメインに直接的又は間接的に結合される。複数の実施形態では、Fcは、IL-15Rα又はIL-15ドメインと共有結合的に且つ/又は遺伝的に融合される。
【0030】
抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化によって産生された、いくつかの十分に特徴づけられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域内のジスルフィド結合に満たない抗体を消化し、自身がジスルフィド結合によってVH-CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)’2を生成する。F(ab)’2は、ヒンジ領域内のジスルフィド結合を破壊し、それによりF(ab)’2二量体をFab’単量体に変換するような緩やかな条件下で減少し得る。Fab’単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を有する抗原結合部分である(Fundamental Immunology(Paul ed.,3d ed.1993)を参照されたい。様々な抗体断片がインタクトな抗体の消化の観点で定義される一方で、当業者は、そのような断片が、化学的に又は組換えDNA法を用いることによって新規に合成され得ることを理解するであろう。したがって、抗体という用語は、本明細書で用いられるとき、全抗体の修飾によって産生される抗体断片、又は組換えDNA法によって新規に合成されるもの(例えば、一本鎖Fv)又はファージディスプレイライブラリーを用いて同定されるものも含む(例えば、McCaffertyetal.,Nature 348:552-554(1990)を参照されたい)。
【0031】
一本鎖可変断片(scFv)は、典型的に、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドと連結された、免疫グロブリンの重鎖の可変領域(VH)及び軽鎖の可変領域(VL)の融合タンパク質である。リンカーは、通常、柔軟性のためにグリシン、並びに溶解度のためにセリン又はトレオニンが豊富に存在し得る。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端と連結する、又はその逆のいずれかが可能である。
【0032】
mAbのエピトープは、mAbが結合するその抗原の領域である。2つの抗体は、それぞれが他方の抗原への結合を競合的に阻害する(ブロックする)場合、同じ又は重複するエピトープに結合する。即ち、競合結合アッセイにおける測定として、1倍、5倍、10倍、20倍又は100倍過剰な一方の抗体は、他方の結合を、少なくとも30%であるが、好ましくは50%、75%、90%又はさらに99%阻害する(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990を参照されたい)。或いは、2つの抗体は、一方の抗体の結合を低減又は除去する抗原中の本質的に全てのアミノ酸突然変異が他方の結合を低減又は除去する場合、同じエピトープを有する。2つの抗体は、一方の抗体の結合を低減又は除去するいくつかのアミノ酸突然変異が他方の結合を低減又は除去する場合、重複するエピトープを有する。
【0033】
抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」又は抗体「と特異的に(又は選択的に)免疫反応性である」という語句は、タンパク質又はペプチドを参照するとき、多くはタンパク質及び他の生物製剤の異種集団内で、タンパク質の存在が決定的である結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、特定のタンパク質に、バックグラウンドの少なくとも2倍、及びより典型的に、バックグラウンドの10倍~100倍を超えて結合する。そのような条件下での抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体が必要とされる。例えば、ポリクローナル抗体を選択し、選択された抗原と特異的免疫反応性であり、他のタンパク質と特異的免疫反応性でない抗体のサブセットのみを得ることができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成することができる。種々のイムノアッセイフォーマットを用いて、特定のタンパク質と特異的免疫反応性である抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイをルーチン的に用いて、あるタンパク質と特異的免疫反応性である抗体を選択する(例えば、特異的免疫反応性を測定するために使用可能であるイムノアッセイフォーマット及び条件の説明については、Harlow & Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照されたい)。
【0034】
「キメラ抗体」は、(a)定常領域、若しくはその一部が、抗原結合部位(可変領域)が、異なる若しくは改変されたクラス、エフェクター機能及び/若しくは種の定常領域、又はキメラ抗体に新しい特性を与える全体的に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結されるように、改変、置換又は交換される場合;或いは(b)可変領域、若しくはその一部が、異なる若しくは改変された抗原特異性を有する可変領域で改変、置換又は交換される場合の抗体分子である。
【0035】
「タンパク質複合体」又は「複合体」は、本明細書で用いられるとき、同時に会合する2つ以上のポリペプチドを指す。複合体は、タンパク質間結合及び/又は受容体とリガンドとの間の結合を介して構築されてもよい。タンパク質は、非共有結合的なタンパク質-タンパク質相互作用を介して会合されてもよいが、さらに複合体中の特定のポリペプチドが、直接的に、又は例えば、化学的リンカー、結合又は別のタンパク質を介して間接的に、共有結合されてもよい。例えば、ヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体は、2つのIL-15RαSuドメインに非共有結合された2つのIL-15ドメインを含み、ここで2つのIL-15RαSuドメインは、ジスルフィド結合によって共有結合される。
【0036】
「検出可能な手段」又は「検出可能な部分」は、分光、光化学、生化学、免疫化学、化学、磁気共鳴イメージング、又は他の物理的手段などの適切な手段によって検出可能である、組成物、物質、配列、若しくは化合物;又はそれらの部分である。
【0037】
例えば、検出可能な手段は、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、77As、86Y、90Y.89Sr、89Zr、94Tc、94Tc、99mTc、99Mo、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-1581Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、Cr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、32P、フルオロフォア(例えば、蛍光色素)、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般に使用されるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、常磁性分子、常磁性ナノ粒子、極小超常磁性酸化鉄(「USPIO」)ナノ粒子、USPIOナノ粒子凝集体、超常磁性酸化鉄(「SPIO」)ナノ粒子、SPIOナノ粒子凝集体、単結晶(monochrystalline)酸化鉄ナノ粒子、単結晶酸化鉄、ナノ粒子造影剤、ガドリニウムキレート(「Gd-キレート」)分子を含むリポソーム若しくは他の送達媒体、ガドリニウム、放射性同位元素、放射性核種(例えば、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、ルビジウム-82)、フルオロデオキシグルコース(例えば、標識されたフッ素-18)、あらゆるガンマ線を発する放射性核種、ポジトロンを放出する放射性核種、放射性標識グルコース、放射性標識水、放射性標識アンモニア、生体コロイド、マイクロバブル(例えば、アルブミン、ガラクトース、脂質、及び/又はポリマーを含むマイクロバブルシェル;空気、重質ガス、パーフルオロカーボン、窒素、オクタフルオロプロパン、ペルフレキサン脂質マイクロスフェア、パーフルトレンなどを含むマイクロバブルガスコアを含む)、ヨウ素化造影剤(例えば、イオヘキソール、イオジキサノール、イオベルソール、イオパミドール、イオキシラン、イオプロミド、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、イオキサグル酸)、硫酸バリウム、二酸化トリウム、金、金ナノ粒子、金ナノ粒子凝集体、フルオロフォア、2光子フルオロフォア、又はハプテン及びタンパク質若しくは他の実体であって、例えば、放射性標識を標的ペプチドと特異的に反応性のペプチド又は抗体に組み込むことによって検出可能にされ得るものを含む。検出可能手段は、一価の検出可能な作用剤又は別の組成物との結合を形成し得る検出可能な作用剤であってもよい。
【0038】
本明細書で用いられるとき、「コンジュゲートする」という用語は、原子間又は分子間の会合を指す。会合は、直接的又は間接的であり得る。例えば、抗原結合ドメインとペプチド化合物との間のコンジュゲートは、例えば、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)によって直接的であり得、又は、例えば、非共有結合(例えば、静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子-双極子、双極子誘導双極子、ロンドン分散)、環スタッキング(pi効果)、疎水性相互作用など)によって間接的であり得る。複数の実施形態では、コンジュゲートは、限定はされないが、求核置換(例えば、アミン及びアルコールとハロゲン化アシル、活性化エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、並びに炭素-炭素及び炭素-ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス・アルダー付加)を含む、コンジュゲート化学を用いて形成される。これらや他の有用な反応は、例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,1985;Hermanson,BIOCONJUGATE TECHNIQUES,Academic Press,San Diego,1996;及びFeeney et al.,MODIFICATION OF PROTEINS;Advances in Chemistry Series,Vol.198,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982で論じられている。
【0039】
「接触する」は、その単純な通常の意味に応じて使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子又は細胞を含む化合物)が、反応し、相互作用し、又は物理的に接触するのに十分に近位になることを可能にするプロセスを指す。しかし、得られる反応生成物が、添加試薬間の反応から、又は反応混合物中で生成され得る添加試薬の1つ若しくは複数からの中間体から直接的に生成され得ることは理解されるべきである。
【0040】
「接触する」という用語は、2つの種が反応し、相互作用し、又は物理的に接触することを可能にすることを含んでもよく、ここで2つの種は、本明細書に記載のように、抗体及び融合タンパク質、生体サンプルなどであってもよい。
【0041】
「対照」サンプル又は値は、試験サンプルとの比較において、参照、通常は既知の参照として役立つサンプルを指す。例えば、試験サンプルは、試験条件から(例えば、試験化合物の存在下で)採取し、既知の条件から(例えば、試験化合物の不在下で(陰性対照)、又は既知の化合物の存在下で(陽性対照))サンプルと比較することができる。対照は、いくつかの試験又は結果から集められた平均値も表し得る。当業者は、対照が任意の数のパラメータを評価するために設計され得ることを理解するであろう。例えば、対照は、シグナルのバックグラウンドレベル(陰性対照)又はシグナルの予想されたレベル(例えば、検量線又は陽性対照)を決定するように工夫することができる。当業者は、いずれの対照が所与の状況下で有用であるかを理解し、対照値との比較に基づいて、データを分析することができるであろう。また、対照は、データの有意性を判定するのに有用である。例えば、所与のパラメータの値が対照において大幅に変動する場合、試験サンプルにおける変動は、有意とみなされないことになる。
【0042】
「生体サンプル」又は「サンプル」は、対象又は患者から入手されるか又はそれに由来する材料を指す。生体サンプルは、生検及び剖検サンプルなどの組織の切片、並びに組織学的目的で採取された凍結切片を含む。そのようなサンプルは、血液及び血液画分又は製剤(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球など)、痰、組織、培養細胞(例えば、一次培養物、外植片、及び形質転換細胞)、便、尿、滑液、関節組織、滑膜組織、滑膜細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ様滑膜細胞、免疫細胞、造血細胞、線維芽細胞、マクロファージ、T細胞などの体液を含む。生体サンプルは、典型的に、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、チンパンジー若しくはヒト;雌ウシ;イヌ;ネコ;齧歯類、例えば、モルモット、ラット、マウス;ウサギ;又は鳥類;爬虫類;又は魚類などの真核生物から入手される。
【0043】
「高分子」という用語は、反復サブユニットを含む分子(例えば、重合単量体)を指す。例えば、高分子分子は、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ[アミノ(1-オキソ-1,6-ヘキサンジイル)]、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイルオキシカルボニル-1,4-フェニレンカルボニル)、テトラエチレングリコール(TEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(キシレン)、又はポリ(p-キシリレン)をベースとしてもよい。例えば、“Chemistry of Protein Conjugation and Cross-Linking”Shan S.Wong CRC Press,Boca Raton,Fla.,USA,1993;“BioConjugate Techniques”Greg T.Hermanson Academic Press,San Diego,Calif.,USA,1996;“Catalog of Polyethylene Glycol and Derivatives for Advanced PEGylation,2004”Nektar Therapeutics Inc,Huntsville,Ala.,USA(それら全体があらゆる目的で参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0044】
「インターロイキン-15タンパク質」又は「IL-15」は、本明細書で参照されるとき、IL-15タンパク質活性(例えば、IL-15タンパク質と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するインターロイキン-15(IL-15)タンパク質又はその変異体若しくは相同体の組換え又は天然に存在する形態のいずれかを含む。複数の実施形態では、変異体又は相同体は、全配列又はその配列の一部(例えば、50、100、150又は200の連続アミノ酸部分)を通じて、天然に存在するIL-15タンパク質と比較して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、IL-15タンパク質は、UniProt参照番号P40933によって識別されたタンパク質又はそれと実質的同一性を有する変異体若しくは相同体と実質的に同一である。
【0045】
「インターロイキン-15受容体サブユニットアルファタンパク質」又は「IL-15Rα」は、本明細書で参照されるとき、IL-15Rαタンパク質活性(例えば、IL-15Rαタンパク質と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するインターロイキン-15受容体サブユニットアルファ(IL-15Rα)タンパク質又はその変異体若しくは相同体の組換え又は天然に存在する形態のいずれかを含む。複数の実施形態では、変異体又は相同体は、全配列又はその配列の一部(例えば、50、100、150又は200の連続アミノ酸部分)を通じて、天然に存在するIL-15Rαタンパク質と比較して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、IL-15Rαタンパク質は、UniProt参照番号Q13261によって識別されたタンパク質又はそれと実質的同一性を有する変異体若しくは相同体と実質的に同一である。
【0046】
本明細書で用いられるとき、「ドメイン」は、タンパク質配列の残りと独立して機能し、存在するタンパク質の保存された部分を指す。ドメインは、残りのタンパク質と独立した機能単位として存在する、安定な三次元構造を形成し得る。例えば、IL-15RαSuドメインは、IL-15結合活性を保持するIL-15Rαの一部である。
【0047】
本明細書で用いられるとき、「IL-15ドメイン」は、IL-15タンパク質の配列の少なくとも一部を含むポリペプチドを指す。複数の実施形態では、IL-15ドメインは、IL-15タンパク質の配列の少なくとも一部を含み、IL-15タンパク質のアミノ酸配列内に1つ又は複数のアミノ酸置換又は欠失を含む。複数の実施形態では、IL-15ドメインは、IL-15タンパク質と比較して異なるアミノ酸配列を含むIL-15変異体である。複数の実施形態では、IL-15ドメインは、IL-15Rαタンパク質又はその断片に結合する。複数の実施形態では、IL-15ドメインは、IL-15Rαタンパク質又はその断片に結合される。複数の実施形態では、IL-15ドメインの配列は、IL-15タンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸変化、例えば、置換又は欠失を有する。複数の実施形態では、アミノ酸置換/欠失は、IL-15Rβ及び/又はγCと相互作用するIL-15の部分内に存在する。複数の実施形態では、アミノ酸置換/欠失は、IL-15Rαポリペプチドへの結合又はIL-15ドメインを産生する能力に影響しない。複数の実施形態では、アミノ酸置換は、IL-15タンパク質と比較して、保存的又は非保存的変化、及びさらなるアミノ酸の挿入であり得る。複数の実施形態では、IL-15ドメインは、IL-15タンパク質配列の6位、8位、10位、61位、65位、72位、92位、101位、104位、105位、108位、109位、111位、又は112位に、1つ又は2つ以上のアミノ酸置換/欠失を含む。複数の実施形態では、IL-15ドメインは、IL-15タンパク質配列のN72D置換を含む。
【0048】
「スシドメイン」という用語は、本明細書で用いられるとき、βサンドイッチ配列を含むタンパク質中の共通モチーフを指す。スシドメインは、タンパク質-タンパク質相互作用において共通であり、典型的に、2つのジスルフィド結合を1~3及び2~4パターンで形成する4つのシステインを含む。例えば、IL-15に結合するIL-15Rαの領域は、スシドメインを含む。
【0049】
複数の実施形態では、IL-15Rαスシドメインは、配列番号1の配列を含むアミノ酸配列を含む。複数の実施形態では、変異体又は相同体は、全配列又はその配列の一部(例えば、50、100、150又は200の連続アミノ酸部分)を通じて、配列番号1の配列と比較して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、IL-15Rαスシドメインは、IL-15タンパク質と会合する。複数の実施形態では、IL-15Rαスシドメインは、IL-15ドメインと会合する。
【0050】
組成物及び方法
ある態様では、(a)第1のインターロイキン15受容体アルファスシドメイン(IL-15RαSu);(b)第2のIL-15RαSuドメインであって、第1及び第2のIL-15RαSuドメインはジスルフィド結合によって共有結合される、第2のIL-15RαSuドメイン;(c)静電相互作用によって第1のIL-15RαSuドメインに結合され、第1のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第1のIL-15ドメイン;(d)静電相互作用によって第2のIL-15RαSuドメインに結合され、第2のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第2のIL-15ドメイン;(e)第1のIL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに結合された第1のモノクローナル抗体(mAb);及び(f)第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の同一エピトープに結合された第2のmAbであって、第1のmAbと第2のmAbの両方はエピトープに同じ親和性で結合する第2のmAbを含む、組成物が提供される。
【0051】
複数の実施形態では、IL-15ドメインの少なくとも1つは、アミノ酸位置72にアスパラギンからアスパラギン酸への突然変異(N72D)を含む。複数の実施形態では、IL-15RαSuドメインのそれぞれは、免疫グロブリン結晶化可能断片(Fc)ドメインをさらに含む。複数の実施形態では、第1のmAbは、高分子表面にコンジュゲートされる。
【0052】
複数の実施形態では、第2のmAbは、検出手段を含む。複数の実施形態では、検出手段は、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される。複数の実施形態では、検出手段は、フルオロフォアである。複数の実施形態では、検出手段は、放射性同位元素である。複数の実施形態では、検出手段は、酵素である。
【0053】
複数の実施形態では、IL-15ドメインは、一本鎖可変断片(scFv)ドメインをさらに含む。
【0054】
ある態様では、生体サンプル中のヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体を検出するための方法であって、a)タンパク質複合体を含む生体サンプルを第1のmAbと接触させることであって、mAbは高分子表面にコンジュゲートされ、ヘテロ四量体複合体は、2つのIL-15ドメイン及び2つのIL-15RαSuを含み、各IL-15ドメインは、IL-15RαSuドメインに静電気的に結合され、2つのIL-15RαSuドメインは、互いにジスルフィド結合によって共有結合され、mAbのFab部分は、IL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに500nM~1fMの間の親和性で結合する、ことと;b)生体サンプルを、第2のmAbと、第2の抗体が第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の同一エピトープに同じ親和性で結合するような条件下で接触させることと;c)未結合の複合体を高分子表面から洗浄することと;d)第2のmAbの結合を検出することと、を含む、方法が提供される。
【0055】
複数の実施形態では、IL-15ドメインの少なくとも1つは、N72D突然変異を含む。複数の実施形態では、両方のIL-15ドメインは、N72D突然変異を含む。複数の実施形態では、IL-15RαSuドメインのそれぞれは、Fcドメインをさらに含む。
【0056】
複数の実施形態では、第2のmAbは、検出手段を含む。複数の実施形態では、検出手段は、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される。複数の実施形態では、検出手段は、フルオロフォアである。複数の実施形態では、検出手段は、放射性同位元素である。複数の実施形態では、検出手段は、酵素である。
【0057】
複数の実施形態では、高分子表面は、ポリプロピレン又はポリスチレン表面である。複数の実施形態では、高分子表面は、ポリプロピレン表面である。複数の実施形態では、高分子表面は、ポリスチレン表面である。
【0058】
複数の実施形態では、第1のmAb及び第2のmAbは、実質的に同じアミノ酸配列を有する。
【0059】
複数の実施形態では、IL-15ドメインのそれぞれは、scFvドメインをさらに含む。複数の実施形態では、IL-15RαSuドメインのそれぞれは、scFvドメインをさらに含む。
【0060】
複数の実施形態では、ヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体は、国際公開第2008/143794号パンフレット、国際公開第2012/040323号パンフレット、国際公開第2016/004060号パンフレット、及び国際公開第2017/053649号パンフレット(それぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のような融合タンパク質である。複数の実施形態では、ヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体は、N-803(ALT-803又はNANT-803とも称される)である。複数の実施形態では、複合体は、TxMである。複数の実施形態では、複合体は、N-820である。
【0061】
本明細書に記載の実施例及び実施形態があくまで例示を目的とし、それらの観点からの様々な修飾又は変更が当業者に提案されることになり、本願の精神及び範囲内、並びに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることは理解される。本明細書に引用される全ての出版物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的で、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0062】
当業者であれば、本明細書に記載の粒子を作製し、使用することの記載が、あくまで例示を目的とし、本開示がこの例示によって限定されないことを理解するであろう。
【0063】
実施例1.薬物動態アッセイの開発
本明細書に記載の組成物及び方法は、その実施形態を含むが、スーパーアゴニスト複合体N-803、TxM、及びN-820を含む、治療用ヘテロマータンパク質複合体の特異的検出を可能にする。
【0064】
現在利用可能なアッセイは、IL-15を含む治療用タンパク質複合体を特異的に検出する能力がなく、それ故、前臨床及び臨床試験における治療薬の薬物動態特性を評価するために適さない。図1Aに示す通り、IL-15の異なるエピトープを認識する捕捉及び検出抗体を利用する既存の検出システムは、内因性IL-15及びN-803の両方に非特異的に結合する。これは、N-803濃度のより高い測定誤差をもたらす。したがって、図1Bの模式図に図示されるように、様々な他の手法を、様々なヘテロマータンパク質複合体の特異的な定量及び検出について試験した。
【0065】
第1に、N-803ヘテロマータンパク質の捕捉及び検出のため、異なる抗体が使用される場合のアッセイで試験した。抗IL-15抗体は、捕捉のために使用し、抗ヒトIgG Fc抗体は、検出のために使用した(図1B、左パネル)。しかし、血清抗体は、N-803 Fcドメインの検出に干渉したことで、それによりこの方法は成功しなかった。抗IL-15抗体及び抗IL-15Rα抗体が捕捉及び検出のために使用されるような別の方法について試験した(図1B、右パネル)。しかし、結果は、この方法が、サンプル中の全ての天然IL-15がIL-15Rαと結合せず、複合体を形成しない場合に限り正確であることを示したが、タンパク質複合体の非特異的な検出をもたらしたと考えられる。
【0066】
同じモノクローナル抗IL-15抗体が捕捉及び検出の両方のために使用される場合の手法について試験した(図1B、中パネル)。一旦モノクローナル抗IL-15抗体がIL-15分子に結合したことで、同じIL-15分子は、エピトープが既に結合されるため、二次抗体、例えば捕捉抗体によって認識できなかった。N-803が2つのIL-15分子を含むことから、第2の抗IL-15抗体は、N-803ヘテロマータンパク質複合体の第2のIL-15に結合できなかった。図2に図示される通り、これは、捕捉及び検出抗体の両方の単一のN-803タンパク質複合体への結合を可能にし、天然IL-15の非特異的検出を生じない。
【0067】
アッセイを最適化するため、様々な組成物のブロッキング緩衝液を試験した。N-820は、これらの実験用のモデルとして使用した。図3Aに示される通り、5%BSAブロッキング溶液で最初に認められた高いバックグラウンドシグナルは、ブロッキング溶液を、5%脱脂乳又は10%マウス血清を含む溶液と交換することによって改善された。10%マウス血清ブロッキングを含むブロッキング溶液を用いるアッセイは、約10倍の、シグナル範囲の改善及び検出下限(LLOD)の改善をもたらした。次に、様々な濃度のマウス血清を有するブロッキング緩衝液について試験した。図3Bに図示する結果は、5%又は10%マウス血清のいずれかを含む緩衝液が、同様のブロッキング能力を示したことを示す。
【0068】
ビオチン修飾抗IL15捕捉抗体及びSULFO修飾抗IL15検出抗体の濃度を最適化し、次に改良した。ヘテロマーN-820タンパク質複合体を、これらの実験の例示的モデルとして使用した。結果を表1及び図4に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表2に列記の通り、マトリックス耐性を、様々な濃度の血清を用いて試験した。最高のシグナル対ノイズ比が、50%血清中のサンプルを用いて観察された。結果は、タンパク質複合体標準を50%血清で調製可能であり、薬物動態解析用の患者サンプルをアッセイ希釈液で少なくとも2倍希釈可能であることを示した。
【0071】
【表2】
【0072】
実施例2:材料及び方法
薬物動態アッセイの抗IL-15抗体架橋実験:
100%血清中の400ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803を含む溶液200μLを調製した。100%及び25%血清での4倍段階希釈のそれぞれを、以下のように完了した:
【0073】
100ng/mLのL-15、N-820、又はN-803溶液の場合、400ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803の50μLを150μLの血清に加えた。25ng/mLの溶液の場合、100ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803の50μLを150μLの血清に加えた。6.25ng/mLの溶液の場合、25ng/mLの400ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803の50μLを150μLの血清に加えた。1.563ng/mLの溶液の場合、6.25ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803の50μLを150μLの血清に加えた。0.390ng/mLの溶液の場合、1.563ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803の50μLを150μLの血清に加えた。0.098ng/mLの溶液の場合、0.390ng/mLのIL-15、N-820、又はN-803の50μLを150μLの血清に加えた。0ng/mLの場合、150μLの血清を使用した。
【0074】
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の5%(w/v)MSD Blocker Aで構成された。溶液の調製においては、2.5gのBlocker Aを50mLのPBSに溶解した。溶液を、4℃で最大14日間貯蔵した。使用前に、ブロッキング溶液を周囲温度に平衡化させておいた。
【0075】
アッセイ希釈液は、PBS中の1%(w/v)Blocker Aで構成された。溶液を、10mLのブロッキング溶液を40mLのPBSに加えることによって調製した。溶液を4℃で貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0076】
Read Bufferは、10mLのHOで希釈した10mLの2×Read Buffer Tで構成された。溶液を反転によって混合し、ボルテックスを回避した。Read Bufferを、十分に密封したボトル内で、周囲温度で最大30日間貯蔵した。
【0077】
ビオチン化及びSULFO-TAG抗体マスターミックスの調製
ビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗IL15抗体を、1μg/mLの最終濃度で、アッセイ緩衝液で調製した。
【0078】
最初に、アッセイ緩衝液中の、2.0μg/mLのビオチン-抗IL15(R&D Systems,MAB247)の溶液3.0mL、2.0μg/mLのSULFO-TAGコンジュゲート抗IL15(Thermo)の溶液1.5mL及び2.0ug/mLのSULFO-TAGコンジュゲート抗IL15(R&D Systems MAB247)の溶液1.5mLを調製した。続いて、2.0μg/mLのビオチン-抗IL15の1.5mLと2.0μg/mLのSULFO-TAGコンジュゲート抗IL15の1.5mLとを混合し、3.0mLの溶液を作製した。
【0079】
プロトコル
最初に、100μlのマスターミックス(ビオチン化及びSULFO-TAG標識抗体混合物を含む)及び50μlのN-820又はN-803のいずれかを、丸底96ウェルポリプロピレン(PP)プレートのウェルの他の全てのカラムに加えた。プレートを、密封し、適度に振盪しながら室温で1~2時間又は4℃で一晩インキュベートした。
【0080】
マスターミックスのインキュベーション中、1ウェルあたり150μlのブロッキング緩衝液(PBS中の5%Blocker A)を、ストレプトアビジン金(SA)プレートに加えた。プレートを、密封し、振盪しながら、室温でサンプルのインキュベーションが完了するまで(最低30分)インキュベートした。次に、ブロッキング緩衝液を、SAプレートから除去した。プレートを、洗浄緩衝液で1回洗浄した(150μL/ウェル)。PPプレートの各ウェルから50μlを、SAプレートに移した。SAプレートを、密封し、約700rpmで振盪しながら、室温で最低1時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tで1回洗浄し(任意選択的)、軽くたたいて乾燥させた。1ウェルあたり150μLの2×Read Buffer Tを加えた。次に、プレートを読み取った。この実験の結果を図2に示す。
【0081】
薬物動態アッセイのブロッキング条件の実験:
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の5%(w/v)BSA、PBS中の5%脱脂乳、又はPBS中の10%マウス血清のいずれかで構成された。
【0082】
この実験で使用した血清は、Millipore SI-100ML(MPBromedical #152282 ロット#S1449)であった。
【0083】
アッセイ希釈液は、PBS又はPBS-Tで構成され、各ブロッキング溶液を、PBS又はPBS-Tで5倍希釈した。
【0084】
Read Bufferは、10mLの4×Read Buffer T+10mLのHOで構成された。混合を反転によって完了させ、溶液を、十分に密封したボトル内で、周囲温度で30日以内貯蔵した。
【0085】
ビオチンコンジュゲート抗lL-15のストック濃度は、0.25mg/mLであった(濃度は、Bradfordアッセイによって再測定し、確認した)。SULFOコンジュゲート抗IL-15抗体(25倍過剰)の新しい溶液のストック濃度は、0.30mg/mLであった(濃度は、Bradfordアッセイによって再測定し、確認した)。
【0086】
100ng/mLのN-820 100%血清の溶液500μLを調製した。
【0087】
100%血清又はアッセイ希釈液中のN-820溶液の4倍段階希釈のそれぞれを、以下のように実施した:20ng/mLの溶液の場合、100ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清又はアッセイ希釈液に加えた。4.0ng/mLの溶液の場合、16.7ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清又はアッセイ希釈液に加えた。0.8ng/mLの溶液の場合、2.78ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清又はアッセイ希釈液に加えた。0.16ng/mLの溶液の場合、0.463ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清又はアッセイ希釈液に加えた。0.032ng/mLの溶液の場合、0.077ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清又はアッセイ希釈液に加えた。0.0064ng/mLの溶液の場合、0.013ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清又はアッセイ希釈液に加えた。0ng/mLの溶液の場合、100%血清400μLを使用した。
【0088】
ビオチン化及びSULFO-TAG抗体マスターミックスの調製
等モル比のビオチン化及びSULFO-TAG抗IL15を、0.125μg/mLの各抗体の濃度で、この実験において使用した。ビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗IL15(新規)を、0.125μg/mLの最終濃度で、アッセイ緩衝液で調製した。全体で7.4mLの0.125μg/mLのビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗体を調製した。
【0089】
プロトコル:
100μlのマスターミックス(ビオチン化及びSULFO-TAG標識抗体混合物を含有する)及び50μlのN-820溶液を、丸底96ウェルポリプロピレン(PP)プレートのウェルの他の全てのカラムに加えた。プレートを、密封し、適度に振盪しながら、4℃で一晩インキュベートした。
【0090】
マスターミックスのインキュベーション中、1ウェルあたり150μlのブロッキング緩衝液(PBS中の5%BSA)を、小さいスポットのストレプトアビジン(SSA)プレートに加えた。プレートを、密封し、振盪しながら、室温でサンプルのインキュベーションが完了するまで(最低30分)インキュベートした。
【0091】
ブロッキング緩衝液をSSAプレートから除去し、プレートを軽くたたいて乾燥させた。PPプレートから、各ウェルからの50μlをSSAプレートに移した。SSAプレートを、密封し、振盪しながら(700rpm)、室温で最低1時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tで3回洗浄し、続いて軽くたたいて乾燥させた。150μLの2×Read Buffer Tを各ウェルに加え、プレートを読み取った。
【0092】
この実験では、プレートをブロッキング後に洗浄せず、洗浄はRead-T緩衝液を加える前に3回行った。後続実験は、ブロッキング後の単回洗浄及びRead-T緩衝液を加える前の単回洗浄を含む。
【0093】
この実験の結果を図3Aに示し、LLODが10%マウス血清を用いて10倍改善されたことを図示する。
【0094】
様々な濃度の抗体を等モル比で試験する薬物動態アッセイ:
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の10%(v/v)マウス血清を含んだ。溶液を、1mLのマウス血清を9mLのPBSで希釈することによって調製した。溶液を、4℃で最大14日間貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0095】
アッセイ希釈液は、PBS中の2%(v/v)マウス血清で構成された。溶液を、2mLのブロッキング溶液を8mLのPBSで希釈することによって調製した。アッセイ希釈液を、4℃で貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0096】
Read Bufferを、2倍濃度のRead Buffer Tで使用した。プレートあたり10mLの4×Read Buffer Tを、10mLのHOで希釈した。溶液を反転によって混合し、ボルテックスを回避した。溶液を、十分に密封したボトル内で、周囲温度で最大30日間貯蔵した。
【0097】
正常血清を、100%及び10%の濃度で使用した。血清を、アッセイ希釈液で希釈した。
【0098】
以下のプロトコルは、100%及び10%血清のそれぞれに3.5mLを必要とした。
【0099】
100%又は10%血清いずれかの中の100ng/mLのN-820の溶液500μlを調製し、次のように、希釈剤として100%及び10%血清を用いて、希釈系列でさらに希釈した。
【0100】
100%及び10%血清での5倍段階希釈のそれぞれを、以下のように完了した:20ng/mLの溶液の場合、100ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清に加えた。4ng/mLの溶液の場合、10ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清に加えた。0.8ng/mLの溶液の場合、2.5ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清に加えた。0.16ng/mLの溶液の場合、0.625ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清に加えた。0.032ng/mLの溶液の場合、0.156ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清に加えた。0.0006ng/mLの溶液の場合、0.039ng/mLのN-820の100μLを、400μLの血清に加えた。0ng/mLの溶液の場合、100%又は10%血清のいずれかを使用した。
【0101】
ビオチン化及びSULFO-TAGマスターミックスの調製:
等モル比のビオチン化及びSULFO-TAG抗を、この実験において使用した。ビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗IL15の2倍段階希釈物を、0.5、0.25、及び0.125μg/mLの最終濃度で、アッセイ緩衝液で調製した。
【0102】
アッセイ緩衝液中のビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗体の1.0μg/mLの溶液を調製した。プロトコルは、アッセイ緩衝液中の1.0μg/mLのビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗体のそれぞれに1.8mLを必要とした。
【0103】
抗体溶液は、1.0μg/mLのビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗体のそれぞれ1.8mLを混合することによって調製した。得られた溶液は、0.5μg/mLのビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗体を有した(最終濃度)。
【0104】
上の溶液から、1.5mLを採取し、1.5mLのアッセイ希釈液で希釈し、0.25μg/mLの溶液を作製した。0.25μg/mLの溶液から、1.0mLを採取し、1.0mLのアッセイ希釈液で希釈し、0.125μg/mLの溶液を作製した。
【0105】
結果は、ヘテロマータンパク質複合体が、等モル濃度の捕捉及び検出抗体を用いて、100%血清サンプル中で検出可能であることを示す。
【0106】
様々な抗体比を試験する薬物動態アッセイ:
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の5%(v/v)マウス血清を含んだ。溶液を、1mLのマウス血清を19mLのPBSで希釈することによって調製した。溶液を、4℃で最大14日間貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0107】
アッセイ希釈液は、PBS中の1%(v/v)マウス血清、2mLのブロッキング溶液、及び8mLのPBSで構成された。溶液を4℃で貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化した。
【0108】
Read Bufferは、2×Read Buffer Tで構成された。各プレートにおいては、10mLの4×Read Buffer Tを10mLのHOに加えた。溶液を反転によって混合し、ボルテックスを回避した。溶液を、密封ボトル内で、RTで最大30日間貯蔵した。
【0109】
正常な血清を、1.4mLの総体積において25%まで希釈し、25%血清中、10ng/mLのN-820の1.4mLを調製した。
【0110】
ビオチン化及びSULFO-TAG抗体マスターミックスの調製
アッセイ緩衝液中のビオチン及びSULFO-TAGコンジュゲート抗体の2倍段階希釈物を、別々に調製した。
【0111】
2μg/mLのビオチンコンジュゲート抗体及び4.0μg/mLのSULFO-TAGコンジュゲート抗体を調製した。試験では、アッセイ緩衝液中の2.0μg/mLのビオチン及び4.0μg/mLのSULFO-TAGコンジュゲート抗体のそれぞれを1.0mL必要であった。
【0112】
ビオチンコンジュゲート抗体の2倍段階希釈は、以下のように完了した:1.0μg/mLの溶液の場合、2.0μg/mLの溶液0.5mL(上記)を、アッセイ緩衝液0.5mLに加えた。0.5μg/mLの溶液の場合、1.0μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0.25μg/mLの溶液の場合、0.5μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0.125μg/mLの溶液の場合、0.25μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0μg/mLの場合、アッセイ緩衝液のみを使用した。
【0113】
SULFO-TAGコンジュゲート抗体の2倍段階希釈は、以下のように完了した:4.0μg/mLの場合、上記溶液1.0mLを使用した。2.0μg/mLの溶液の場合、4.0μg/ml溶液0.5mL(上記)を、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。1.0μg/mLの溶液の場合、2.0μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0.5μg/mLの溶液の場合、1.0μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0.25μg/mLの溶液の場合、0.5μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0.125μg/mLの溶液の場合、0.25μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液に加えた。0μg/mLの場合、アッセイ緩衝液のみを使用した。
【0114】
プロトコル
平底96ウェルポリプロピレンプレートの各ウェルに、25μlのビオチン化抗体及び25μlのSULFO-TAG標識抗体(全体で50μl/ウェルのマスターミックス)と25μlのN-820を加えた。プレートを、密封し、適度に振盪しながら(500rpm)、4℃で一晩インキュベートした。
【0115】
マスターミックスのインキュベーション中、150μl/ウェルのブロッキング緩衝液(PBS中の5%マウス血清)を、小さいスポットのストレプトアビジン金(SSA)プレートに加えた。プレートを、密封し、振盪しながら、室温でサンプルのインキュベーションが完了するまで(最低30分)インキュベートした。
【0116】
ブロッキング緩衝液を、SAプレートから除去した。プレートを、洗浄緩衝液で1回洗浄した(150μL/ウェル)。PPプレートの各ウェルから、50μlの溶液をSSAプレートに移した。SSAプレートを、密封し、振盪しながら(700rpm)、室温で最低1時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tで1回洗浄し、軽くたたいて乾燥させた。1ウェルあたり150μlの2×Read Buffer Tを加え、プレートを読み取った。結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
マウス血清ブロッキング溶液を試験する薬物動態アッセイ:
2つの異なるベンダー(SigmaとMP Biomedicals)からの10%及び5%マウス血清の効果を、以下の試験において比較した。
【0119】
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の10%(v/v)マウス血清又は5%(v/v)マウス血清のいずれかで構成された。溶液を、1mLのマウス血清を9mLのPBSで希釈することによって作製し、4℃で最大4日間貯蔵した。溶液を、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0120】
アッセイ希釈液は、PBS中の2%(v/v)マウス血清で構成された。アッセイ希釈液を、2mLのブロッキング溶液を8mLのPBSに加えることによって調製した。溶液を、4℃で貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0121】
Read Bufferは、2×Read Buffer Tで構成された。各プレートにおいては、10mLの4×Read Buffer Tを10mLのHOと混合した。緩衝液を反転によって混合し、ボルテックスを回避した。溶液を、十分に密封したボトル内で、周囲温度で最大30日間貯蔵した。
【0122】
N-820サンプルの調製
N-820を、100ng/mLの濃度、500μLの体積で調製した。N-820サンプルを、100%及び10%血清で調製した。
【0123】
100%及び10%血清での5倍段階希釈を、以下のように調製した:20ng/mLのN-820の場合、100μLの100ng/mLを、400μLの血清に加えた。4ng/mLのN-820の場合、100μLの10ng/mLを、400μLの血清に加えた。0.8ng/mLのN-820の場合、100μLの2.5ng/mLを、400μLの血清に加えた。0.16ng/mLのN-820の場合、100μLの0.625ng/mLを、400μLの血清に加えた。0.032ng/mLのN-820の場合、100μLの0.156ng/mLを、400μLの血清に加えた。0.006ng/mLのN-820の場合、100μLの0.039ng/mLを、400μLの血清に加えた。0ng/mLのN-820の場合、100uLの希釈剤を、100%又は10%血清400μLに加えた。
【0124】
ビオチン化及びSULFO-TAG抗体マスターミックスの調製
0.125μg/mLのビオチン-及びSULFO-抗IL15の2mLを、PBS中の2%MS、PBS中の1%MS(Sigma)、及びPBS中の1%MS(MB bioscience)のいずれかで調製した。
【0125】
プロトコル
100μlのマスターミックス(ビオチン化及びSULFO-TAG標識抗体混合物を含有する)及び50μlのN-820溶液を、平底96ウェルポリプロピレンプレートの他の全てのカラムに加えた。プレートを、密封し、適度に振盪しながら(500rpm)、4℃で一晩インキュベートした。翌日、150μl/ウェルのブロッキング緩衝液(PBS中の10%マウス血清)を、小さいスポットのストレプトアビジン金(SSA)プレートに加えた。プレートを、密封し、振盪しながら室温で最低30分間インキュベートした。
【0126】
ブロッキング緩衝液を、SSAプレートから除去した。プレートを、洗浄緩衝液で1回洗浄した(150μL/ウェル)。PPプレートの各ウェルから、50μlをSSAプレートに移した。SSAプレートを、密封し、振盪しながら(700rpm)、室温で最低1時間インキュベートした。
【0127】
ブロッキング緩衝液を、SSAプレートから除去した。プレートを、洗浄緩衝液で1回洗浄した(150μL/ウェル)。次に、PPプレートの各ウェルから、50μlをSSAプレートに移した。SSAプレートを、密封し、振盪しながら(700rpm)、室温で最低1時間インキュベートした。マウス血清の供給源は、アッセイ結果に影響しなかった。
【0128】
抗体比を最適化する薬物動態アッセイ:
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の5%(v/v)マウス血清を含んだ。溶液を、1mLのマウス血清を9mLのPBSに加えることによって調製した。溶液を、4℃で最大14日間貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0129】
アッセイ希釈液は、PBS中の1%(v/v)マウス血清を含んだ。溶液を、2mLのブロッキング溶液を8mLのPBSに加えることによって調製した。溶液を、4℃で貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0130】
Read Bufferは、2×Read Buffer Tで構成された。各プレートにおいては、10mLの4×Read Buffer Tを10mLのHOに加えた。溶液を反転によって混合し、ボルテックスを回避した。溶液を、密封したボトル内で、周囲温度で最大30日間貯蔵した。
【0131】
N-820サンプルの調製:
最初に、100ng/mLのN-820の600μLを100%血清で調製した。
【0132】
100%血清での4倍段階希釈を、以下のように調製した:25ng/mLの溶液の場合、100ng/mLのN-820の150μLを、450μLの血清に加えた。6.25ng/mLの溶液の場合、25ng/mLのN-820の150μLを、450μLの血清に加えた。1.563ng/mLの溶液の場合、6.25ng/mLのN-820の150μLを、450μLの血清に加えた。0.391ng/mLの溶液の場合、1.563ng/mLのN-820の150μLを、450μLの血清に加えた。0.098ng/mLの溶液の場合、0.391ng/mLのN-820の150μLを、450μLの血清に加えた。0.024ng/mLの溶液の場合、0.098ng/mLのN-820の150μLを、450μLの血清に加えた。0ng/mLの場合、100%血清を使用した。
【0133】
ビオチン化及びSULFO-TAG抗体マスターミックスの調製
各濃度において1.5mLの体積で、各抗体(ビオチンコンジュゲート抗体)の2倍段階希釈物を調製した。
【0134】
最初に、0.25μg/mLの抗体2.3mLを調製した。0.125μg/mLの溶液の場合、0.25μg/mLの溶液0.75mLを、0.75mLのアッセイ緩衝液に加えた。
【0135】
各濃度において1mLの体積で、各抗体(SULFO-TAGコンジュゲート抗体)の2倍段階希釈を調製した。
【0136】
最初に、0.5μg/mLの抗体2.0mLを調製した。0.25μg/mLの場合、0.5μg/mLの溶液0.8mLを、0.8mLのアッセイ緩衝液と混合した。0.125μg/mLの場合、0.25μg/mLの溶液0.5mLを、0.5mLのアッセイ緩衝液と混合した。
【0137】
平底96ウェルポリプロピレンプレートの他の全てのカラムに、50μlのビオチン化抗体及び50μlのSULFO-TAG標識抗体(全体で100μl/ウェルのマスターミックス)及び50μlのN-820溶液を加えた。プレートを、密封し、適度に振盪しながら(500rpm)、4℃で一晩インキュベートした。翌日、150μlのブロッキング緩衝液(PBS中の5%マウス血清)を、小さいスポットのストレプトアビジン金(SSA)プレートの各ウェルに加えた。プレートを、密封し、振盪しながら、室温で最低30分間インキュベートした。ブロッキング緩衝液をSSAプレートから除去した。プレートを、洗浄緩衝液で1回洗浄した(150μL/ウェル)。続いて、50μlを、PPプレートの各ウェルからSSAプレートに移した。SSAプレートを、密封し、振盪しながら(700rpm)、室温で最低1時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tで1回洗浄し、軽くたたいて乾燥させた。1ウェルあたり150μLの2×Read Buffer Tを加え、プレートを読み取った。
【0138】
結果を図4に図示する。
【0139】
薬物動態アッセイマトリックスの耐性実験:
溶液
ブロッキング溶液は、PBS中の5%(v/v)マウス血清を含んだ。溶液を、1mLのマウス血清を9mLのPBSに加えることによって調製した。溶液を、4℃で最大14日間貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0140】
アッセイ希釈液は、PBS中の1%(v/v)マウス血清を含んだ。溶液を、2mLのブロッキング溶液と8mLのPBSを混合することによって調製した。溶液を、4℃で貯蔵し、使用前に周囲温度に平衡化させておいた。
【0141】
Read Bufferは、2×Read Buffer Tで構成された。各プレートにおいては、10mLの4×Read Buffer Tを、10mLのHOに加えた。溶液を反転によって混合し、ボルテックスを回避した。溶液を、密封ボトル内で、周囲温度で最大30日間貯蔵した。
【0142】
N-820サンプルの調製
溶液を以下のように調製した:100%血清の場合、4mLの100%血清を使用した。0%血清の場合、100%血清2mL(上記)を、アッセイ希釈液2mLに加えた。25%血清の場合、50%血清2mLを、アッセイ希釈液2mLに加えた。12.5%血清の場合、25%血清2mLを、アッセイ希釈液2mLに加えた。6.25%血清の場合、12.5%血清2mLを、アッセイ希釈液2mLに加えた。3.12%血清の場合、6.25%血清2mL+アッセイ希釈液2mLを作製した。
【0143】
次に、100%血清中の100ng/mLのN-820の2mLを調製し、アッセイ希釈液中の100ng/mLのN-820の5.5mLを調製した。
【0144】
混合物を以下のように調製した:100%血清(100ng/mLのN-820)サンプルの場合、100ng/mLのN-820の2mLを、100%血清で調製した。50%血清(100ng/mLのN-820)サンプルの場合、100%血清中の100ng/mLのN-820の1mLを、アッセイ希釈液中の100ng/mLのN-820の1mLに加えた。25%血清(100ng/mLのN-820)サンプルの場合、50%血清中の100ng/mLのN-820の1mLを、アッセイ希釈液中の100ng/mLのN-820の1mLに加えた。12.5%血清(100ng/mLのN-820)サンプルの場合、25%血清中の100ng/mLのN-820の1mLを、アッセイ希釈液中の100ng/mLのN-820の1mLに加えた。6.25%血清(100ng/mLのN-820)サンプルの場合、12.5%血清中の100ng/mLのN-820の1mLを、アッセイ希釈液中の100ng/mLのN-820の1mLに加えた。3.12%血清(100ng/mLのN-820)サンプルの場合、6.25%血清中の100ng/mLのN-820の1mLを、アッセイ希釈液中の100ng/mLのN-820の1mLに加えた。
【0145】
100%血清を試験するため、サンプルを、上のサンプルに対して100%血清で4倍段階希釈を実施することによって調製した。
【0146】
100ng/mLのN-820の場合、100%血清(100ng/mLのN-820)0.5mLを使用した。20ng/mLのN-820の場合、100ng/mLのN-820の0.05mLと100%血清0.15mLとを混合した。4ng/mLのN-820の場合、20ng/mLの溶液0.05mLと100%血清0.15mLとを混合した。0.8ng/mLのN-820の場合、4ng/mLの溶液0.05mLと100%血清0.15mLとを混合した。0.16ng/mLのN-820の場合、0.8ng/mLの溶液0.05mLと100%血清0.15mLとを混合した。0.032ng/mLのN-820の場合、0.16ng/mLのN-820溶液0.05mLと100%血清0.15mLとを混合した。0.006ng/mLのN-820の場合、0.032ng/mLの溶液0.05mLと100%血清0.15mLとを混合した。0μg/mLのN-820の場合、100%血清0.15mLを使用した。
【0147】
50%血清を試験するため、サンプルを、上のサンプルに対して50%血清で4倍段階希釈を実施することによって調製した。
【0148】
100ng/mLのN-820の場合、50%血清(100ng/mLのN-820)1.0mLを使用した。20ng/mLのN-820の場合、100ng/mLのN-820の0.05mLと50%血清0.15mLとを混合した。4ng/mLのN-820の場合、20ng/mLの溶液0.05mLと50%血清0.15mLとを混合した。0.8ng/mLのN-820の場合、4ng/mLの溶液0.05mLと50%血清0.15mLとを混合した。0.16ng/mLのN-820の場合、0.8ng/mLの溶液0.05mLと50%血清0.15mLとを混合した。0.032ng/mLのN-820の場合、0.16ng/mLの溶液0.05mLと50%血清0.15mLとを混合した。0.006ng/mLのN-820の場合、0.032ng/mlの溶液0.05mLと50%血清0.15mLとを混合した。0μg/mLのN-820の場合、50%血清0.15mLを使用した。
【0149】
希釈は、25%、12.5%、6.25%及び3.12%血清サンプルに適するように反復した。
【0150】
ビオチン化及びSULFO-TAG抗体マスターミックスの調製
濃度が0.125ug/mLのビオチン-抗IL15及びSULFO-抗IL15を、5.5mlの最終体積のアッセイ希釈液で調製した。溶液を組み合わせ、十分に混合した。
【0151】
プロトコル
平底96ウェルポリプロピレンプレートの他の全てのウェルに、100μlのマスターミックス(ビオチン化及びSULFO-TAG標識抗体混合物を含有する)及び50μlのN-820溶液を加えた。プレートを、密封し、適度に振盪しながら(500rpm)、4℃で一晩インキュベートした。
【0152】
マスターミックスのインキュベーション中、1ウェルあたり150μlのブロッキング緩衝液(PBS中の5%マウス血清)を、小さいスポットのストレプトアビジン金(SSA)プレートに加えた。プレートを、密封し、振盪しながら、室温でサンプルのインキュベーションが完了するまで(最低30分)インキュベートした。
【0153】
ブロッキング緩衝液をSSAプレートから除去した。プレートを、150μL/ウェルの洗浄緩衝液で1回洗浄した。PPプレートから、各ウェルからの50μlをSSAプレートに移した。SSAプレートを、密封し、振盪しながら(700rpm)、室温で2時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tで1回洗浄し、軽くたたいて乾燥させた。各ウェルに、150μLの2×Read Buffer Tを加え、プレートを読み取った。
【0154】
結果を図5に示し、標準が50%血清で調製可能であり、患者サンプルが少なくとも2倍希釈可能であることを図示する。
図1A
図1B-1】
図1B-2】
図1B-3】
図2
図3A
図3B
図4
図5
【配列表】
2023537475000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-11-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1のインターロイキン15受容体アルファスシドメイン(IL-15RαSu);
b)第2のIL-15RαSuドメインであって、前記第1及び第2のIL-15RαSuドメインはジスルフィド結合によって共有結合される、第2のIL-15RαSuドメイン;
c)静電相互作用によって前記第1のIL-15RαSuドメインに結合され、第1のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第1のIL-15ドメイン;
d)静電相互作用によって前記第2のIL-15RαSuドメインに結合され、第2のIL-15/IL-15RαSu複合体を形成する、第2のIL-15ドメイン;
e)前記第1のIL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに結合された第1のモノクローナル抗体(mAb);及び
f)前記第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の前記同一エピトープに結合された第2のmAbであって、前記第2のmAbは、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される検出手段を含み、前記第1のmAbと前記第2のmAbの両方は前記エピトープに同じ親和性で結合する、第2のmAb
を含む、組成物。
【請求項2】
前記IL-15ドメインの少なくとも1つが、アミノ酸位置72でアスパラギンからアスパラギン酸への突然変異(N72D)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記IL-15RαSuドメインのそれぞれが、免疫グロブリン結晶化可能断片(Fc)ドメインをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1のmAbが、高分子表面にコンジュゲートされる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記IL-15ドメインが、一本鎖可変断片(scFv)ドメインをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記IL-15RαSuドメインが、scFvドメインをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
生体サンプル中のヘテロ四量体IL-15/IL-15RαSu複合体を検出するための方法であって、
a)前記タンパク質複合体を含む前記生体サンプルを第1のmAbと接触させることであって、前記mAbは高分子表面にコンジュゲートされ、前記ヘテロ四量体複合体は、2つのIL-15ドメイン及び2つのIL-15RαSuを含み、各IL-15ドメインは、IL-15RαSuドメインに静電気的に結合され、前記2つのIL-15RαSuドメインは、互いにジスルフィド結合によって共有結合され、前記mAbのFab部分は、前記IL-15/IL-15RαSu複合体上のエピトープに500nM~1fMの間の親和性で結合する、ことと;
b)前記生体サンプルを、第2のmAbと、前記第2の抗体が前記第2のIL-15/IL-15RαSu複合体上の前記同一エピトープに前記同じ親和性で結合するような条件下で接触させることであって、前記第2のmAbは、フルオロフォア、放射性同位元素、及び酵素からなる群から選択される検出手段を含む、ことと;
c)前記高分子表面から未結合の複合体を洗浄することと;及び
前記第2のmAbの結合を検出することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記IL-15ドメインの少なくとも1つが、N72D突然変異を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記IL-15RαSuドメインのそれぞれが、Fcドメインをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記高分子表面が、ポリプロピレン又はポリスチレン表面である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のmAb及び前記第2のmAbが、実質的に同じアミノ酸配列を有する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記IL-15ドメインのそれぞれが、scFvドメインをさらに含む、請求項に記載の方法。
【国際調査報告】