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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(54)【発明の名称】一体型エネルギー吸収鋳造物
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20230825BHJP
   B60R 19/34 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B62D25/08
B60R19/34
B62D25/08 E
B62D25/08 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507669
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 US2021044780
(87)【国際公開番号】W WO2022031991
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/062,728
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライ,アディプ
(72)【発明者】
【氏名】サワント,サチン シュリマント
(72)【発明者】
【氏名】ウィンバーグ,ペッター
(72)【発明者】
【氏名】バーゲス,マルコム
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー,トム
(72)【発明者】
【氏名】コーンマイヤー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】パティンソン,グラント
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ポール ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リナルディ,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ライクハー,アレクサンドレ
(72)【発明者】
【氏名】クーマン,チャーリー
(72)【発明者】
【氏名】モール,ダニエル
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB15
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB23
3D203BB24
3D203BB25
3D203BC08
3D203CA03
3D203CA04
3D203CA05
3D203CA23
3D203CA26
3D203CA33
3D203CA37
3D203CA75
3D203CB17
3D203DA22
(57)【要約】
前方一体型エネルギー吸収鋳造物および後方一体型エネルギー吸収鋳造物を有する車両の一体型エネルギー吸収システム。前方鋳造物および後方鋳造物の各々は、一体型エネルギー吸収システムを構成する単一の一体化された鋳造物である。「I」字形セクションおよび「C」字形セクションなどのリブ付きセクションは、鋳造物を構成し、切り欠き、波形プロファイル、テーパ、フレアおよび/またはリブ間隔などの様々な異なる技術および/または形成から形成される。閉断面セクション鋳造物などの追加のセクションも、一体型エネルギー吸収システムに一体化されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向支持体によって接続された左ホイールウェルおよび右ホイールウェルと、
車両キャビンフレームへの少なくとも1つの接続部と、
車体パネルまたはバンパへの第2の接続部と、
前記左ホイールウェルに隣接する第1のクランプルゾーンおよび前記右ホイールウェルに隣接する第2のクランプルゾーンと、を備える、一体型鋳造金属部品から形成された車両用の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項2】
前記一体型エネルギー吸収システムが、前記車両の前方に配置されている、請求項1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項3】
前記車両キャビンフレームへの前記少なくとも1つの接続部が、前記一体型鋳造金属部品の後方にある、請求項2に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項4】
前記第2の接続部が、前部バンパに取り付けられている、請求項2に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項5】
前記第1のクランプルゾーンおよび前記第2のクランプルゾーンが、複数の個々のセルから形成されたマイクロセル構造を有する、請求項2に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項6】
前記一体型エネルギー吸収システムが、前記車両の後方に配置されている、請求項1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項7】
前記車両キャビンフレームへの前記少なくとも1つの接続部が、前記一体型鋳造金属部品の前方にある、請求項6に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項8】
前記第2の接続部が、後部車体パネルまたはバンパに取り付けられている、請求項6に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項9】
前記第1のクランプルゾーンおよび前記第2のクランプルゾーンが、複数の個々のセルから形成されたマイクロセル構造を有する、請求項2または6に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項10】
前記第1のクランプルゾーンまたは前記第2のクランプルゾーンがリブ付き「C」字形セクションを備える、請求項1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項11】
前記リブ付き「C」字形セクションが、前記「C」字形セクションを形成する上部ウェブと、下部ウェブと、垂直ウェブとを備える、請求項10に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項12】
前記リブ付き「C」字形セクションが、エネルギー吸収を増加させるための中間ウェブをさらに備える、請求項11に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項13】
前記リブ付き「C」字形セクションが、漸進的圧潰を促進するための複数のスカラップ状リブをさらに備える、請求項10に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項14】
前記第1のクランプルゾーンおよび前記第2のクランプルゾーンが、リブ付き「I」字形セクションを備える、請求項1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項15】
前記一体型エネルギー吸収システムが、前記車両の後部に配置され、前記第1のクランプルゾーンおよび前記第2のクランプルゾーンが、波形プロファイルを備える、請求項1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項16】
前記波形プロファイルが、リブ付きセクションの上部ウェブおよび下部ウェブ上にある、請求項15に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項17】
前記波形プロファイルが、リブ付きセクションのリブ間にある、請求項15に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項18】
前記波形プロファイルが、リブ付きセクションの中間ウェブ上にある、請求項15に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項19】
前記鋳造物がアルミニウム金属を備える、請求項1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項20】
前記鋳造物が、アルミニウムおよびマグネシウム合金、またはアルミニウムおよびケイ素合金を含む、請求項19に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【請求項21】
横方向支持体によって接続される左ホイールウェルおよび右ホイールウェルを備え、前記左ホイールウェルおよび前記右ホイールウェルが、前記左ホイールウェルおよび前ホイールウェルに隣接するクランプルゾーンを有する、一体型金属部品を鋳造することを含む、車両用の一体型エネルギー吸収システムを製造する方法。
【請求項22】
前記一体型金属部品を鋳造することが、前記一体型金属部品を鋳造するために圧力下で溶融金属を成形金型に配置することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記溶融金属を前記成形金型に配置することが、前記溶融金属を、55,000~61,000キロニュートン(5,600~6,200tf)のクランプ型締め力を有するダイカスト機に配置することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記溶融金属を前記成形金型に配置することが、前記溶融金属を毎秒約6メートルの速度でダイカスト機に配置することを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
出願本出願は、2020年8月7日に出願された米国仮特許出願第63/062,728号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示の主題は、一般に、車両で使用するための一体型エネルギー吸収鋳造物を作製するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本主題は、一体型単一部品として鋳造され、車両の衝撃からのエネルギー吸収衝突保護を提供する車体構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
車両用の従来の衝突衝撃エネルギー吸収システムは、複数の多部品構成要素を含む。例えば、衝突衝撃エネルギー吸収システムは、衝撃力に応じて圧縮または圧潰するように設計された複数の段に構成された車両の前端部および後端部に複数の接続部品を有してもよい。これらの複数の段は、衝撃力に応じて皺ができる金属スタンピングまたは押出構成要素を含んでもよい。
【0004】
車両に取り付けられた従来の衝突衝撃エネルギー吸収システムは、それらの複数の部品および段階的な従来の設計のために、効率的な製造および設計のスケーラビリティに対する増加した要求をサポートすることができない。さらに、衝撃エネルギー吸収システムを構成する構成要素の数が増加するにつれて、これらの従来の衝撃エネルギー吸収システムの製造、設置、および点検修理に関連付けられた複雑さおよびコストが過剰になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要約する目的で、特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書に記載されている。そのような利点のすべてが、いずれか1つの特定の実施形態に従って達成されるわけではないことを理解されたい。したがって、本開示の主題は、本明細書で教示または示唆される可能性があるすべての利点を達成することなく、1つの利点または利点の群を達成または最適化する方法で具体化または実行される可能性がある。
【0006】
本明細書に記載の主題の1つ以上の変形の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書に記載の主題の他の特徴および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の主題は、開示された任意の特定の実施形態に限定されない。
【0007】
一実施形態は、一体型鋳造金属部品から形成された車両用の一体型エネルギー吸収システムである。システムは、横方向支持体によって接続された左ホイールウェルおよび右ホイールウェルと、キャビンフレームへの第1の接続部と、車体パネルまたはバンパへの第2の接続部と、左ホイールウェルに隣接する第1のクランプルゾーンおよび右ホイールウェルに隣接する第2のクランプルゾーンとを含んでもよい。
【0008】
別の実施形態は、車両用の一体型エネルギー吸収システムを製造する方法である。本方法は、横方向支持体によって接続される左ホイールウェルおよび右ホイールウェルを備え、左ホイールウェルおよび右ホイールウェルが、左ホイールウェルおよび前ホイールウェルに隣接するクランプルゾーンを有する、一体型金属部品を鋳造することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書に開示された主題の特定の態様を示し、説明とともに、以下に提供される本開示の実装形態に関連付けられた原理のいくつかを説明するのに役立つ。
【0010】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、車両フレームに設置された前方一体型エネルギー吸収鋳造物および後方一体型エネルギー吸収鋳造物の斜視図である。
【0011】
図2】本開示のいくつかの実施形態による、車両フレームに設置された前方一体型エネルギー吸収鋳造物および後方一体型エネルギー吸収鋳造物の側面図である。
【0012】
図3】本開示のいくつかの実施形態による、前方一体型エネルギー吸収鋳造物の斜視図である。
【0013】
図4】本開示のいくつかの実施形態による、後方一体型エネルギー吸収鋳造物の斜視図である。
【0014】
図5】本開示のいくつかの実施形態による、切り欠き、波形プロファイル、テーパ、フレア、および間隔を示す、後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションの例示的な上方斜視図である。
【0015】
図6】後方一体型エネルギー吸収鋳造物の後部のリブ付きセクションの内部構造の一実施形態を示す部分断面図の斜視図である。
【0016】
図7】本開示のいくつかの実施形態による、リブ付き「C」字形セクション鋳造物の一例である。
【0017】
図8】本開示のいくつかの実施形態による、後方一体型エネルギー吸収鋳造物の代替の実施形態波形設計をさらに示すリブ付きセクションの例示的な断面図である。
【0018】
図9】本開示のいくつかの実施形態による、リブ付きセクション鋳造物のリブ間の例示的な波形プロファイルである。
【0019】
図10】本開示のいくつかの代替の実施形態による、リブ付きセクション鋳造物のテーパまたはフレアの一例である。
【0020】
図11】本開示のいくつかの代替の実施形態による、例示的なリブ付き「I」字形セクション鋳造物である。
【0021】
図12】本開示のいくつかの実施形態による、漸進的な壁厚を示す、例示的なリブ付き「I」字形セクション鋳造物である。
【0022】
図13】本開示のいくつかの実施形態による、リブ付き「I」字形セクション鋳造物の例示的な漸進的圧潰である。
【0023】
図14】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な閉断面セクション鋳造物である。
【0024】
図15】本開示のいくつかの実施形態による、閉断面セクション鋳造物の例示的な漸進的圧潰である。
【0025】
図は、絶対的または比較的に縮尺通りでなくてもよく、例示的であることが意図されている。特徴および要素の相対的な配置は、例示を明確にする目的のために修正されている可能性がある。実際には、同一または同様の参照番号は、1つ以上の実施形態による、同一または同様もしくは同等の構造、特徴、態様、または要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、様々な実施形態の完全な説明を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。特定の実施形態は、これらの特定の詳細なしで、または詳細にいくつかの変形を用いて実施してもよい。場合によっては、他の態様を不明瞭にしないように、特定の特徴はあまり詳細に記載されない。要素または特徴の各々に関連付けられた詳細レベルは、1つの特徴の新規性または重要性を他の特徴よりも限定すると解釈されるべきではない。
概要
【0027】
エネルギー吸収システムは、自動車用衝突構造に広く使用されている。そのようなシステムの例には、動的圧潰、座屈、曲げなどによる金属の塑性変形を通じて主にエネルギー吸収を達成するマルチセル押出および多部品スタンピングが含まれる。
【0028】
本開示の技術は、フレームと一体化できるか、またはより大きなモノリシック鋳造物の一部とすることができる、車両の前方および後方のための鋳造エネルギー吸収システムに関する。従来のエネルギー吸収システムは、スポット溶接、シーム溶接、リベット締め、ボルト締め、接着接合などを含む様々な製造プロセスによって車両構造(例えば、バックアップ構造)に接続される。本開示の技術は、単一の鋳造プロセスによってエネルギー吸収システムをバックアップ構造の一部または全部と一体化することによって、これらのプロセスの必要性を排除することを可能にする。したがって、車両の前端部用の一体化された単一の前方一体型エネルギー吸収鋳造物と、車両の後端部用の一体化された単一の後方一体型エネルギー吸収鋳造物とが、車両全体の一体型エネルギー吸収鋳造システムを構成してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態による鋳造金属部品を作製するために、鋳造金型を使用して各エネルギー吸収部品またはシステムを鋳造する。典型的には、金型キャビティは、2つの表面、すなわち第1の表面および第2の表面を有し、これらは互いにプレスされて最終的な鋳造金型を形成する。鋳造金型は、鋳造金型内に形成された溶融金属合金の流路を含み、溶融金属合金を金型の各中空セクションに運び、最終的な鋳造形態を作製する。鋳造手順中に、溶融合金が金型キャビティ内に急速に注入され、その後金型キャビティが冷却されて、溶融合金金属から鋳造固体金属製品が製造される。いくつかの実施形態では、このプロセスは高圧ダイカスト(HPDC)を使用し、溶融合金金属は圧力下で密封金型に供給される。
【0030】
本明細書で使用される「金属」という用語は、ダイカストすることができ、車体部品に有用な任意の金属または金属合金を含むことを意味する。当業者は、作製される鋳造金属または鋳造金属合金に基づいて金属または金属合金を選択することができる。一実施形態では、金属は金属合金である。さらなる実施形態では、金属または金属合金は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、銅、鉛、またはスズを含む。別の実施形態では、金属または金属合金はアルミニウムを含む。本明細書に記載の修正されたダイカスト法を使用すると、得られたダイカスト金属は負の影響を受けず、すなわち、その所望の多孔性延性、強度、例えば優れた強度対重量比、重量(ダイカストされる金属の種類によって決定されるように軽質または重質のいずれか)、耐食性機械的特性、例えば良好な熱伝導率、高温耐性、硬度、耐摩耗性、耐久性、および寸法安定性などを保持する。
【0031】
鋳造プロセスは、ダイカスト機器、すなわちダイカスト機を使用する。そのような機械は、本明細書に記載されているような一体型大規模鋳造物を管理するために目的に応じてまたは特注で作製されてもよい。本明細書で使用される場合、「一体型」という用語は、単一部品を意味し、別個の部品を一緒に取り付けることによって形成されない。したがって、鋳造金型に金属を注入すると、車両前端部または車両後端部などの金属の1つの一体型部品が作製される。これは、別個の前端部品または後端部品を形成し、その後それらのいくつかの金属片をねじ、ボルト、タックまたは溶接部で一緒に取り付けることとは対照的である。一実施形態では、プレスダイカスト機は、55,000~61,000キロニュートン(5,600~6,200tf)のクランプ締め力を有してもよい。このシステムを使用して、重量70、80、90,100キログラム、またはそれ以上の溶融合金を毎秒約6メートルの速度で鋳造金型に注入してもよいが、毎秒5~10メートルの速度は本発明の実施形態の範囲内である。各サイクル時間は、完了するまでに60~120秒かかる場合があり、その結果、1時間当たり30~60回の完成した鋳造物の出力速度となる。
【0032】
簡単に言えば、ダイカストは、ダイカスト機器、すなわち金型および油圧機器を使用して行われる。金属ダイカストに利用される油圧機器は、様々な目的を果たし、当業者によって容易に選択することができる。一実施形態では、油圧機器は、注入および排出の目的で利用され、水不溶性油圧流体を使用して操作される。
【0033】
一般に、鋳造前に、当技術分野で公知の技術を使用して水溶性金型離型剤を金型に塗布する。一実施形態において、離型剤は金型に噴霧される。その後、前述の油圧機器を使用して、溶融金属を金型に注入し、溶融金属を金型に注入する。注入後、溶融金属は鋳造され、典型的には数秒、または鋳造される金属によって必要とされる時間を要する。鋳造期間の後、鋳造金属は、当技術分野で公知の技術を使用して排出および収集される。一実施形態では、鋳造金属は、油圧機器またはロボット機器を使用して排出される。
【0034】
押出およびスタンピングとは異なり、本開示の鋳造エネルギー吸収鋳造物は、最初に外側から開始し、その後衝突事象中に内側方向に伝播する漸進的な変形および破砕を鋳造物に発生させることによってエネルギー吸収を達成する。漸進的圧潰は、ロバストで繰り返し可能な衝突性能を保証する。本開示の技術はまた、鋳造部品における漸進的かつ繰り返し可能な変形および破砕挙動を達成するために、様々な幾何学的設計および技術を包含および/または使用する。
【0035】
一般に、鋳造合金(例えば、本開示の技術で使用される合金)は、鍛造合金よりも低い延性を有する傾向があり、鍛造合金は従来、衝突衝撃エネルギーシステムで使用される。本開示の技術は、破砕伝播を限定し、エネルギー吸収負荷ケース中の漸進的な変形を促進する幾何学的特徴を実装する。本開示の技術の設計は、大量の延性を有する合金においてエネルギーを吸収するのに最も効果的であるが、特に、延性が限定された鋳造材料から作製されるためにより柔軟である。鋳造物の形状は、所望のエネルギー吸収速度を達成するために、所与の設計(例えば、本明細書に記載の本開示の技術の設計)に使用される材料の延性および強度のレベルに特に調整される。
【0036】
破砕前に顕著な変形を示す(例えば、延性破壊)任意の合金および製造プロセスは、本開示の技術での使用に適する場合がある。したがって、本開示の技術は、構造的(例えば、高真空)高圧ダイカストアルミニウム、および/またはマグネシウム合金を使用してもよい。
【0037】
本開示の技術の適切な合金のいくつかの例は、AlSi7、AlSi10Mn、AlSi10Mg、AlSi7Mg、AlSi9MgMnSr、AlMg5Si2Mnなどの低Fe含有量を有するMgおよび/またはSi基系を有するアルミニウムと、AlMg4Fe2などの高Feおよび低Si合金を有するアルミニウムと、AZ91DまたはAE44などのマグネシウムHPDCとを含んでもよい。
【0038】
より具体的には、本開示の技術の鋳造アルミニウム合金は、6~12%のSiを含有してもよく、脆性破砕モードを促進する微細構造的特徴を特に限定するように調整された組成を有してもよい。組成は、シャープなアスペクト比を有するAlFeSi金属間化合物、丸みを帯びた(改質された)ケイ素共晶相、および/または合金材料の強化のために追加された他の元素を最小限に抑える可能性がある。
【0039】
鋳造合金(例えば、本明細書に記載の合金)およびその製造プロセスは、個別に、部分的に、または車両の一体型エネルギー吸収システム全体と組み合わせて使用してもよい。一実施形態では、車両フレームは、前方一体型鋳造エネルギー吸収部品、後方一体型鋳造エネルギー吸収部品、ならびに前方部品および後方部品に取り付けられる中央キャブフレームの3つの主要構成要素のみから作製される。
【0040】
鋳造エネルギー吸収構造を作製するために、少なくとも以下の3つの設計基礎を個別に、部分的に、または互いに組み合わせて使用してもよい。1つの設計基礎は、リブ付き「C」字形セクション鋳造物の使用であり、特定の衝撃吸収セクションは、部品を支持するが、各鋳造物内に配置された「C」字形セクションのサイズおよび数に応じて所定の破砕プロファイルを可能にする「C」字形のリブを含む。別の設計では、各鋳造部品は、鋳造部品内に「I」字形の中央リブを使用して、衝撃事象中に構造的支持および所望の破砕プロファイルを提供する。第3の設計は、閉断面セクション鋳造設計であってもよく、各部分は、所望の構造的支持を提供するためにテーパ状になってもよく、または異なる数の内部構造を含んでもよく、衝撃事象中に所望の破砕プロファイルも提供する閉断面部分を有する。これらおよび他の実装形態は、添付の図面を参照して以下でより完全に説明される。
例示的な一体型エネルギー吸収鋳造システム
【0041】
図1は、中央キャブフレーム105、前方一体型エネルギー吸収鋳造物110、および後方一体型エネルギー吸収鋳造物115を有する車両100の斜視図である。前方鋳造物110は、前部バンパまたは前向きグリルパネルを車両に取り付けるための前部右側接続部および前部左側接続部を形成する右側面120Aおよび左側面120Bを含む。右側面120Aはまた、車両100の右前ホイールを取り囲むホイールウェル130Aを含む。左側面120Bは、車両100の左前ホイールを取り囲む左ホイールウェル130Bを含む。横方向支持体135は、右側面120Aを左側面120Bに接続して、前方一体型エネルギー吸収鋳造物110を形成する。
【0042】
右側面120Aは、鋳造物100に形成されたマルチセル構造を作製するために、一連の繰り返しセルによって形成された複数の鋳造クランプルゾーン140Aを有する。複数の鋳造クランプルゾーン140Aは、右ホイールウェル130Aに隣接して配置されてもよい。各セルは、中央および端部によって画定され、マルチセル構造を形成するために複数の隣接するセルに集まる正方形、長方形、または他の幾何学的形状として形成されてもよい。図2および図3を参照してより詳細に示すように、クランプルゾーンは、衝撃中に大きな力で当たったときに皺ができる、または圧潰して、衝撃エネルギーの一部を吸収するように設計されている。左側面120Bは、複数の鋳造クランプルゾーン140Bを有し、これらはまた、車両100の前方への衝撃によって衝撃を受け場合に圧潰する、または皺ができるように設計されている。鋳造クランプルゾーン140Bは、左ホイールウェル130Bに隣接して配置されてもよい。
【0043】
鋳造物110は、単一の金属合金部品を1つの一体型構造を鋳造することによって形成されることを理解されたい。これは、すべて一緒に取り付けられて車両フレームを形成する様々な部品から構成される従来の自動車用クランプルゾーンとは対照的である。鋳造形態は、より低い部品コストのために、はるかに容易でより柔軟な車両の製造プロセスを可能にし、また、鋳造物110の各部分またはセクションは、追加の取り付けブラケット、ボルト、溶接部、および車両に個別に設置されるときに異なる性能を有する可能性がある他の特徴を含む必要性に依存することなく、最大性能を有するように設計することができるので、クランプルゾーンのより複雑な形状を作製する能力を可能にする。
【0044】
図1はまた、車両の最後部に右側面150Aおよび左側面150Bを含む後方一体型エネルギー吸収鋳造物115の詳細を示す。右側面150Aおよび左側面150Bは、車両100の最後部を覆う後部バンパまたは他の後部車体パネルを取り付けるための取り付け具を含んでもよい。鋳造物115の右側面150Aはまた、右ホイールウェル155Aと、右ホイールウェルに隣接する右後クランプルゾーン160Aとを含む。鋳造物115の左側面150Bは、左ホイールウェル155Bと、左ホイールウェルに隣接する左後クランプルゾーン160Bとを含む。横方向支持ストラット165および後部下部キャリッジ170は、右側面150Aおよび左側面150Bを互いに接続して、一体型鋳造後方一体型エネルギー吸収鋳造物115を形成する。横方向支持ストラット165は、後方一体型エネルギー吸収鋳造物115を車両キャビンフレームの後部に取り付けることを可能にする接続部として使用することができ、もしくは構成要素または特徴を含むことができる。後方一体型エネルギー吸収鋳造物115の他の部分はまた、後方一体型エネルギー吸収鋳造物115を車両キャビンフレームに接続するための接続部を含んでもよい。
【0045】
図2は、前方一体型エネルギー吸収鋳造物110および後方一体型エネルギー吸収鋳造物115の側面斜視図を示す。前方鋳造物110の鋳造クランプルゾーン140Bは、ホイールウェル130Bの下部領域の一部として示されている。クランプルゾーン140Bは、鋳造金属の一部として形成され、前方の衝撃および破砕を吸収してそのような衝撃のエネルギーを吸収するように構成された複数の個々のセルで構成されたマルチセル構造を含む。前方クランプルゾーン205Bもまた、マルチセル構造を含み、衝撃を吸収し、車両の前部バンパまたは車体パネルに取り付けるように構成される。これは、図3を参照してより詳細に示される。
【0046】
図2はまた、マルチセル構造を含む後方一体型エネルギー吸収鋳造物115及び鋳造左後クランプルゾーン160Bの側面図を示す。左後クランプルゾーン160Bから後方には、後部バンパまたは車体パネルと嵌合するように構成された左後端クランプルゾーン210Bがある。これは、図4を参照してより詳細に示される。
【0047】
ここで図3を参照すると、前方一体型エネルギー吸収鋳造物110の斜視拡大図が示されている。前方鋳造物110は、前部バンパまたは前向きグリルパネルを車両に取り付けるための前部右側接続部および前部左側接続部を形成する、右側面120Aと、左側面120Bとを含む。右側面120Aはまた、車両100の右前ホイールを取り囲むホイールウェル130Aを含む。左側面120Bは、車両100の左前ホイールを取り囲む左ホイールウェル130Bを含む。横方向支持体135は、右側面120Aを左側面120Bに接続して、前方一体型エネルギー吸収鋳造物110を形成する。左側面120Bは後フレーム接続部325Bを含み、右側面120Aは後フレーム接続部325Aを含む。後フレーム接続部325A/Bは、前方一体型エネルギー吸収鋳造物110を車両キャビンフレームに取り付けるために使用される。
【0048】
図3により詳細に示すように、クランプルゾーン140Bは、下部クランプル領域335Bと、中央クランプル領域338Bと、上部クランプル領域340とを含む。これらの領域の各々は、前方の衝撃によって衝撃を受けたときにクランプルゾーン140B全体の後方への圧潰を可能にする垂直支持体のセットを有して設計されている。加えて、クランプルゾーン140Bとフレーム接続部325Bとの間には、追加のマルチセル領域350があり、これは、前方の衝撃に続いて崩壊または破砕するが、車両の乗員を保護するためにより多くの衝撃力を付与するように構成される。前方一体型エネルギー吸収鋳造物110を単一部品として鋳造する能力は、それが特定のマルチセル設計および他の支持機構を用いて設計されることを可能にし、それにより鋳造物が様々なレベルの耐衝撃性を提供する特定のクランプルゾーンを有して設計されることを可能にする。したがって、最も前方のゾーンは、衝撃に最も容易に追従して皺ができる可能性があるが、キャビンにより近いゾーンは、衝撃が車両のキャビン領域内に侵入するのを防止するために追加の支持体を有して設計してもよい。
【0049】
図4は、車両の最後部に右側面150Aおよび左側面150Bを含む後方一体型エネルギー吸収鋳造物115の側面斜視図である。右側面150Aおよび左側面150Bは、車両100の最後部を覆う後部バンパまたは他の後部車体パネルを取り付けるための取り付け具を含んでもよい。鋳造物115の右側面150Aはまた、右ホイールウェル155Aと、右後クランプルゾーン160Aとを含む。鋳造物115の左側面150Bは、左ホイールウェル155Bと、左後クランプルゾーン160Bとを含む。横方向支持ストラット165および後部下部キャリッジ170は、右側面150Aおよび左側面150Bを互いに接続して、一体型鋳造後方一体型エネルギー吸収鋳造物115を形成する。
【0050】
右側面150Aは、後方から衝撃を受けたときに破砕し、皺ができるように構成された右クランプル領域405Aを介して鋳造物115に接続する。クランプル領域405Aは、領域安定性を与えるが、後方衝撃からのエネルギーを吸収することを可能にする内部垂直支持体またはマルチセル構造を有する中空であってもよい。同様に、左側面150Bは、後方から衝撃を受けたときに破砕し、皺ができるように構成された左リブ付き領域405Bを介して鋳造物115に接続する。左リブ付き領域405Bは、領域安定性を与えるが、後方衝撃からのエネルギーを吸収することを可能にする内部垂直支持体またはマルチセル構造を有する中空であってもよい。
【0051】
左後クランプルゾーン160Bは、左ホイールウェルを良好に支持し、衝撃が後部キャビンセクションに向かって移動するときに後方衝撃力が吸収されることを可能にするために使用される「X」字形の支持構造体410を示す。当然ながら、支持構造体の特定の形状は、本開示の趣旨から逸脱することなく、異なる圧縮可能または破砕可能な構成に修正することができる。
【0052】
図5は、左側面150Bおよび左リブ付き領域405Bの拡大図を示す。図6は、後方一体型エネルギー吸収鋳造物の波形プラットフォームをさらに示すリブ付きセクション405Bの例示的な断面図である。図示のように、リブ付き領域405Bは、各リブの間に配置された波状機構505Bを含むリブ510Bのセットを示す。切り欠き1e、波形プロファイル1d、テーパ1a、テーパ1c、フレア1a、フレア1c、および各リブ510B間の間隔1bも示されている。
【0053】
図7は、本開示の実施形態内のリブの構成として使用することができるリブ付き「C」字形セクションを示す、前方一体型エネルギー吸収鋳造物の側面図である。図示のように、リブ付き「C」字形セクション鋳造物は、「C」字形セクションを形成する上部ウェブ、垂直ウェブ、および下部ウェブからなる。さらに、漸進的圧潰を促進するためにエネルギー吸収およびスカラップ状リブを増加させることができる中間ウェブまたは支持体がある。スカラップ機構はまた、鋳造物内の各リブに質量効率を付加する可能性がある。図7の図示の「C」字形セクションは、その一次延伸方向が圧潰軸に直交する鋳造設計を有する。しかしながら、「C」字形セクション設計は、鋳造のための一次延伸方向が垂直ウェブと平行または略平行であり、リブおよび中間ウェブ機構がスライドによって鋳造される場合に使用してもよい。
【0054】
リブ付き「I」字形セクション鋳造物および後方一体型エネルギー吸収鋳造物について説明した技術はまた、個別に、部分的に、または前方一体型エネルギー吸収鋳造物の「C」字形セクション設計と組み合わせて使用してもよい。
【0055】
図8は、後方一体型エネルギー吸収鋳造物の波形プラットフォームをさらに示すリブ付きセクション鋳造物の例示的な断面図である。波形プロファイルは、セクションの所望のエネルギー吸収プロファイルを提供するために、上部セクションおよび下部セクション、または上部セクションのみ、または下部セクションのみに提供されてもよい。加えて、鋳造物内に配置されたCセクションの数およびサイズを変化させて、鋳造部の圧潰強度を増加または減少させてもよい。
【0056】
図9は、リブ付きセクション鋳造物のリブ間に配置された例示的な波形プロファイルである。いくつかの実施形態では、リブ間の破砕を開始するために、波形プロファイルを中間ウェブおよび/または上部ウェブおよび下部ウェブに追加することができる。
【0057】
図10は、リブ付きセクション鋳造物のテーパまたはフレアの一例である。中間ウェブまたは上部テーパ状および下部ウェブは、漸進的圧潰を促進するためにテーパ状にされてもよい。テーパまたはフレア技法は、好ましくないオフセットおよびテーパを補償するために使用されてもよく、そうでなければ、パッケージングおよびプロセスの制約のために設計が有してもよい。
【0058】
本開示の図11は、リブ付き「I」字形セクション鋳造物の実施形態を示す。図示のように、上部ウェブ、下部ウェブ、および中間ウェブがあり、これらは鋳造物を通して「I」形状のスカラップ状リブのセットを形成する。図12は、リブ付き「I」字形セクション鋳造物の例であり、鋳造部品の側方寸法に沿って鋳造内の各「I」字形セクションの厚さが大きい漸進的な壁厚を示す。図13は、リブ付き「I」字形セクション鋳造物の試験的漸進的圧潰の実際の例を示し、鋳造物が部品の横方向の長さに沿って予想通りに破砕したことを示す。「I」字形セクション設計の重要な機構は、破砕量を最大にし、エネルギー吸収を増加させる離間リブである。質量効率のために、スカラップ機構が各リブに追加される。リブは、変形および破砕が圧潰を不安定にする向きに伝播するのを限定する局所的な補強を提供する。図13は、「I」字形セクション設計の漸進的な破砕挙動を示す。
【0059】
加えて、以下の補足設計技術は、本明細書に記載の例示的な一体型エネルギー吸収鋳造システムの記載された構造のいずれかの漸進的圧潰および質量効率を促進するために、独立して、部分的に、または組み合わせて使用してもよい。これらの技術は、特定の衝突性能要件および鋳造プロセスの制約に対応するために採用される。本技術は、1.漸進的に増加する壁厚と、2.リブ間隔と、3.軸方向のテーパまたはフレアプロファイルと、4.ウェブ間の波形プロファイルと、5.上部ウェブと下部ウェブのリブ間の切り欠きとを含む。
【0060】
加えて、鋳造壁厚は、圧潰方向に漸進的に増加させてもよい。増加する漸進的な壁厚は、独立して、部分的に、または組み合わせて、中間ウェブ、上部ウェブおよび下部ウェブ、および/またはリブに適用することができる。また、リブ間で確実に破砕が発生し、リブに鉛直な破砕伝播を最小限に抑えるために、リブ間隔を変化してもよい。好ましいリブ間隔は、ウェブの厚さおよびプロセスの制約を含む様々な要因によって影響を受ける。
【0061】
図14は、閉断面セクション鋳造物の実施形態を示し、図15は、閉断面セクション鋳造物の例示的な漸進的圧潰である。図14に示すような閉断面セクション鋳造設計は、鋳造プロセスによって必要とされる抜き勾配に対応するようにテーパ状にされた正方形または長方形のセクションを備えてもよい。代替的に、テーパによるセクションの減少を補うために、フィンを設計に追加してもよい。開いた正方形セクションは、それ自体が軸方向の圧潰に役立ち、フィンは、安定性およびエネルギー吸収を促進する。
【0062】
閉断面セクション鋳造物の後部は、より大きな鋳造物と一体化される。正方形セクションまたは長方形セクションは、圧潰方向に平行または略平行なスライドを使用して作製してもよい。
例示的な実装形態
【0063】
上記の実施形態に対して多くの変形および修正を行ってもよく、その要素は他の許容可能な例の中にあると理解されるべきである。そのような修正および変形はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。上記の説明は、特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上記の内容がいかに詳細に記載されていても、システムおよび方法は多くの方法で実施することができることが理解されよう。また上述したように、システムおよび方法の特定の特徴または態様を説明するときの特定の用語の使用は、その用語が関連付けられているシステムおよび方法の特徴または態様の任意の特定の特性を含むことに限定されるように用語が本明細書で再定義されていることを意味すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0064】
本明細書に記載のシステム、方法、および装置は各々、いくつかの態様を有し、そのうちの1つだけがその望ましい属性を単独で担うものではない。本開示の範囲を限定することなく、いくつかの非限定的な特徴をここで簡単に説明する。以下の段落は、本明細書に記載の装置、システム、および方法の様々な例示的な実装形態を記載する。
【0065】
例1:前方一体型エネルギー吸収鋳造物と、後方一体型エネルギー吸収鋳造物とを備える、車両の一体型エネルギー吸収システム。
【0066】
例2:前方一体型エネルギー吸収鋳造物が車両の前方に配置されている、例1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0067】
例3:前方一体型エネルギー吸収鋳造物が車両の後方に配置されている、例1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0068】
例4:前方一体型エネルギー吸収鋳造物がリブ付き「C」字形セクションを備える、例1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0069】
例5:リブ付き「C」字形セクションが、「C」字形セクションを形成する上部ウェブと、下部ウェブと、垂直ウェブとを備える、例4に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0070】
例6:リブ付き「C」字形セクションが、エネルギー吸収を増加させるための中間ウェブをさらに備える、例4に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0071】
例7:リブ付き「C」字形セクションが、漸進的圧潰を促進するための複数のスカラップ状リブをさらに備える、例4に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0072】
例8:スカラップ状リブのスカラップが各リブに質量効率を付加する、例7に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0073】
例9:後方一体型エネルギー吸収鋳造物がリブ付きセクションを備える、例1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0074】
例10:リブ付きセクションが、リブ付き「I」字形セクション又はリブ付き「C」字形セクションのいずれかである、例9に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0075】
例11:後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションが波形プラットフォームを備える、例9に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0076】
例12:後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションが、漸進的圧潰を促進するための切り欠きを備える、例9に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0077】
例13:後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションが波形プロファイルを備える、例9に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0078】
例14:波形プロファイルがリブ付きセクションの上部ウェブおよび下部ウェブ上にある、例13に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0079】
例15:波形プロファイルがリブ付きセクションのリブ間にある、例13に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0080】
例16:波形プロファイルがリブ付きセクションの中間ウェブ上にある、例13に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0081】
例17:後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションがテーパを備える、例13の一体型エネルギー吸収システム。
【0082】
例18:後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションがフレアを備える、例13に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0083】
例19:後方一体型エネルギー吸収鋳造物のリブ付きセクションが、各リブ間の間隔を備える、例13に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0084】
例20:一体型エネルギー吸収システムが、閉断面セクション鋳造物をさらに備える、例1に記載の一体型エネルギー吸収システム。
【0085】
上述したように、上述した例の実装形態は、ハードウェアおよび/または方法もしくはプロセスを含んでもよい。
追加の実装上の考慮事項
【0086】
特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素の「上」にあると言及される場合、それは他の特徴または要素の直接上にあってもよく、または介在する特徴および/または要素も存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「直接上」にあると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しなくてもよい。特徴または要素が別の特徴または要素に「接続」、「取り付け」または「結合」されていると言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続、取り付けまたは結合されてもよく、または介在する特徴または要素が存在してもよいことも理解されよう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続」、「直接取り付け」、または「直接結合」されていると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しなくてもよい。
【0087】
一実施形態に関して説明または図示されているが、そのように説明または図示された特徴および要素は、他の実施形態にも適用されてもよい。別の特徴に「隣接」して配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴に重なるまたは下にある部分を有する場合があることも当業者には理解されよう。
【0088】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態および実装形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される可能性がある。「備える」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、ステップ、動作、プロセス、機能、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、プロセス、機能、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられた列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」と省略される場合がある。
【0089】
上記の説明および特許請求の範囲において、「少なくとも1つ」または「1つ以上」などの語句が出現し、その後に連言的な要素または特徴のリストが続く場合がある。「および/または」という用語はまた、2つ以上の要素または特徴のリストに出現する場合がある。使用された文脈によって暗黙的または明示的に矛盾しない限り、そのような語句は、列挙された要素または特徴のいずれかを個別に、または列挙された要素または特徴のいずれかを他の列挙された要素または特徴のいずれかと組み合わせて意味することを意図している。例えば、語句「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つ以上」、および「Aおよび/またはB」は、各々「A単独、B単独、またはAとBとを一緒に」を意味することを意図している。3つ以上の項目を含むリストについても同様の解釈が意図される。例えば、語句「A、B、およびCの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、および「A、B、および/またはC」は、各々「A単独、B単独、C単独、AとB、AとC、BとC、またはAとBとC」を意味することが意図されている。上記および特許請求の範囲における「に基づいて」という用語の使用は、列挙されていない特徴または要素も許容されるように、「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図している。
【0090】
「前方」、「後方」、「下方」、「下」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されていることが理解されよう。例えば、図中の装置が反転されている場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」にあると記載された要素は、反転状態のために他の要素または特徴の「上方」に向けられる。したがって、「下方」という用語は、基準点または向きに応じて、上方および下方の両方の向きを包含する可能性がある。装置は、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。同様に、「上方に」、「下方に」、「垂直に」、「水平に」などの用語は、特に明記しない限り、本明細書では説明の目的でのみ使用される可能性がある。
【0091】
「第1の」および「第2の」という用語は、本明細書では様々な(ステップまたはプロセスを含む)特徴/要素を説明するために使用される場合があるが、これらの特徴/要素は、文脈がそうでないことを示さない限り、特徴/要素の順序または一方が他方よりも主要であるかどうかの指示としてこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用される場合がある。したがって、説明する第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に説明する第2の特徴/要素は、本明細書で提供される教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0092】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、例で使用される場合を含み、特に明示的に指定されない限り、用語が明示的に出現しない場合でも、すべての数字は「約」または「およそ」という語で始められているかのように読んでもよい。「約」または「およそ」という語句は、記載された値および/または位置が値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示すために、大きさおよび/または位置を記載するときに使用される場合がある。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有する場合がある。本明細書に示される任意の数値はまた、文脈がそうでないことを示さない限り、約、または、およその値を含むと理解されるべきである。
【0093】
例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されている。当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示されている場合、その値「以下」、「その値以上」および値の間の可能な範囲も開示されていることも理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下」および「X以上」(例えば、ここで、Xは数値である)も開示されている。また、本出願全体を通して、データはいくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータは、終点または始点、およびデータ点の任意の組み合わせの範囲を表す場合があることも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される可能性がある場合、10および15より大きい、それ以上、それ未満、それ以下、およびそれに等しいこと、ならびに10から15の間が開示されていると見なされてもよいことが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットも開示される場合があることも理解される。例えば、10および15が開示される可能性がある場合、11、12、13、および14も開示される可能性がある。
【0094】
様々な例示的な実施形態が開示されているが、本明細書の教示から逸脱することなく、様々な実施形態に対していくつかの変更のいずれかを行ってもよい。例えば、様々な記載された方法ステップが行われる順序は、異なる実施形態、または代替の実施形態では変更または再構成してもよく、他の実施形態では、1つ以上の方法ステップを完全にスキップしてもよい。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の、または望ましい特徴は、いくつかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態には含まれなくてもよい。したがって、上記の説明は、主に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲および特定の実施形態または開示された特定の詳細もしくは特徴の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0095】
本明細書に含まれる例および例示は、限定ではなく例示として、本開示の主題を実施してもよい特定の実施形態を示す。上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更を行ってもよいように、他の実施形態を利用および導出してもよい。本開示の主題のそのような実施形態は、2つ以上が実際に開示されている場合、単に便宜上、および本出願の範囲を任意の単一の発明、または発明概念に自発的に限定することを意図せずに、「発明」という用語によって個別にまたは集合的に本明細書で言及される場合がある。したがって、本明細書では特定の実施形態が例示および説明されているが、明示的に述べられているか暗示されているかにかかわらず、意図された、実用的な、または開示された目的を達成するために計算された任意の構成が、示された特定の実施形態を置換してもよい。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる応用または変形を網羅することを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。
【0096】
本開示の主題は、1つ以上の特徴または実施形態を参照して本明細書で提供されている。当業者は、本明細書で提供される例示的な実施形態の詳細な性質にもかかわらず、一般に意図される範囲を限定または逸脱することなく、変更および修正が当該実施形態に適用される可能性があることを認識および理解するであろう。本明細書で提供される実施形態のこれらおよび様々な他の応用および組み合わせは、開示された要素および特徴ならびにそれらの均等物の完全なセットによって定義される本開示の主題の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】