(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】自動車用の駆動装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
F16H 61/00 20060101AFI20230828BHJP
F16H 61/22 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
F16H61/00
F16H61/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507513
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2021069399
(87)【国際公開番号】W WO2022033786
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102020004976.1
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・バラガ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク・カルクジンスキー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ブランデンブルク
(72)【発明者】
【氏名】ニコ・クロニムス
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA01
3J552NA08
3J552NB05
3J552QA13A
3J552QA30A
3J552QA45A
3J552QB07
3J552SA60
(57)【要約】
本発明は、自動車用の駆動装置(10)に関し、少なくとも1つの電気機械(12)を備え、変速機(14)を備え、変速機(14)を介して、電気機械(12)を使用して自動車を電気的に駆動可能であり、少なくとも1つの切替要素(16)を備え、少なくとも1つの切替要素(16)を使用して、切替要素(16)の作動によって変速機(14)の少なくとも1つのギヤを切り替え可能であり、少なくとも1つの循環回路(20)を備え、少なくとも1つの循環回路(20)は、媒体が貫流可能であり、電気機械(12)及び/又は変速機(14)の冷却及び/又は潤滑のために媒体が貫流可能である第1の分岐(22)と、切替要素(16)の作動のために媒体が貫流可能である第2の分岐(34)とを有しており、及び、少なくとも1つの電動ポンプ(36)を備え、少なくとも1つの電動ポンプ(36)は、循環回路(20)を通して媒体を搬送するためのものである、駆動装置(10)において、パーキングロック(42)を含み、パーキングロック(42)の作動のために、循環回路は、媒体が貫流可能である第3の分岐(44)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の駆動装置(10)であって、少なくとも1つの電気機械(12)を備え、変速機(14)を備え、前記変速機(14)を介して、前記電気機械(12)を使用して前記自動車を電気的に駆動可能であり、少なくとも1つの切替要素(16)を備え、前記少なくとも1つの切替要素(16)を使用して、前記切替要素(16)の作動によって前記変速機(14)の少なくとも1つのギヤを切り替え可能であり、第1の循環回路(20)を備え、前記第1の循環回路(20)は、媒体が貫流可能であり、前記電気機械(12)及び/又は前記変速機(14)の冷却及び/又は潤滑のために前記媒体が貫流可能である第1の分岐(22)と、前記切替要素(16)の前記作動のために前記媒体が貫流可能である第2の分岐(34)とを有しており、及び、少なくとも1つの電動ポンプ(36)を備え、前記少なくとも1つの電動ポンプ(36)は、前記第1の循環回路(20)を通して前記媒体を搬送するためのものである、前記駆動装置(10)において、
パーキングロック(42)により特徴付けられるものであって、前記パーキングロック(42)の作動のために、前記第1の循環回路は、前記媒体が貫流可能である第3の分岐(44)を有する、前記駆動装置(10)。
【請求項2】
バルブ要素(46)により特徴付けられるものであって、前記バルブ要素(46)を介して、前記第1の分岐(22)及び前記第2の分岐(34)に、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能であり、前記バルブ要素(46)は、
冷却状態であって、前記冷却状態において、前記第1の分岐(22)は、前記バルブ要素(46)を介して前記ポンプ(36)と流体接続されており、これにより、前記バルブ要素(46)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能とされ、一方、前記第2の分岐(34)は、前記バルブ要素(46)を使用して前記ポンプ(36)から流体分離されている、前記冷却状態と、
作動状態であって、前記作動状態において、前記第2の分岐(34)は、前記バルブ要素(46)を介して前記ポンプ(36)と流体接続されており、これにより、前記バルブ要素(46)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能とされ、一方、前記第1の分岐(22)は、前記バルブ要素(46)を使用して前記ポンプ(36)から流体分離されている、前記作動状態と、
の間で切替可能である、請求項1に記載の駆動装置(10)。
【請求項3】
前記パーキングロック(42)の作動のために、前記バルブ要素(46)は、前記作動状態に切り替えられることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置(10)。
【請求項4】
前記第2の分岐(34)内に配置された、第2のバルブ要素(48)により特徴付けられるものであって、前記第2のバルブ要素(48)は、
係合状態であって、前記係合状態において、前記切替要素(16)は、前記第2のバルブ要素(48)を介して前記第1のバルブ要素(46)に流体接続され、これにより、前記切替要素(16)に、前記バルブ要素(46、48)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能であり、それにより、前記ギヤを係合するために、前記切替要素(16)は、作動可能である、前記係合状態と、
係合解除状態であって、前記係合解除状態において、前記切替要素(16)は、前記第2のバルブ要素(48)を介して前記第1のバルブ要素(46)に流体接続されており、これにより、前記切替要素(16)に、前記バルブ要素(46、48)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能であり、それにより、前記ギヤを係合解除するために、前記切替要素(16)は、作動可能である、前記係合解除状態と、
の間で切替可能である、請求項2又は3に記載の駆動装置(10)。
【請求項5】
前記切替要素(16)は、形状接続式の切替要素であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置(10)。
【請求項6】
前記ポンプ(36)は、
前記媒体を前記ポンプ(36)から各前記分岐(22、34、44)に搬送するために、前記ポンプ(36)が、順方向モードにおいて駆動可能であり、前記順方向モードにおいて、前記ポンプ(36)を使用して前記順方向モードにおいて搬送される前記媒体は、前記ポンプ(36)の第1の接続部(A1)から前記ポンプ(36)の第2の接続部(A2)に流れること、及び
前記ポンプ(36)が、逆方向モードにおいて駆動可能であり、前記逆方向モードにおいて、前記ポンプ(36)を使用して前記逆方向モードにおいて搬送される前記媒体は、前記第2の接続部(A2)から前記第1の接続部(A1)に流れ、それにより、前記媒体は、少なくとも前記第3の分岐(44)の一部から流出可能であること、
を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動装置(10)。
【請求項7】
前記変速機(14)は、前記切替要素(16)に加えて設けられている、少なくとも1つの第2の切替要素(18)を有すること、
前記駆動装置(10)は、前記第2の切替要素(18)の作動のために前記媒体が貫流可能である第2の循環回路(68)を有すること、及び
前記駆動装置(10)は、前記第2の循環回路(68)を通して前記媒体を搬送するために第2の電動ポンプ(70)を有することと、
を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動装置(10)。
【請求項8】
前記第2の切替要素(18)は、摩擦接続式の切替要素であることを特徴とする、請求項7に記載の駆動装置(10)。
【請求項9】
前記ポンプ(36、70)及び前記循環回路(20、68)に共通の油溜め(122)により特徴付けられるものであって、前記油溜め(122)から、前記媒体は、前記ポンプ(36、70)を使用して前記循環回路(20、68)を貫流して搬送可能である、請求項7又は8に記載の駆動装置(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動装置(10)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の自動車用の、特に原動機付車両用の、駆動装置に関する。更に、本発明は、自動車、特に原動機付車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、変速機のハウジング内に配置された少なくとも1つの切替要素のアセンブリが公知であると理解され、その切替要素は、変速機の少なくとも1つの構成部品を連結するためだけでなく連結解除するためにも、圧力手段供給装置の圧力手段に油圧の印加が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 10 2009 026 709 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、駆動装置の特に有利な作動が実現可能になるように、自動車用の駆動装置、及びこのような駆動装置を備えた自動車を作製することである。
【0005】
本課題は、請求項1の特徴を有する駆動装置及び請求項10の特徴を有する自動車によって解決される。本発明の目的に応じた発展形態を含む有利な実施形態は、その他の請求項に記載されている。
【0006】
本発明の第1の態様は、好適には、原動機付車両、特に乗用車として形成された自動車用の駆動装置に関する。これは、自動車が、その完成品状態で駆動装置を含み、駆動装置を使用して、特に電気的に、かつ全く特に純粋に電気的に駆動可能であることを意味する。換言すれば、好適には、駆動装置は、電動駆動トレインであることが企図されており、電動駆動トレインを使用して、自動車は、特に純粋に電気的に駆動され得る。したがって、好適には、自動車は、電気自動車として、特に、バッテリ電気自動車(BEV)として形成されていることが企図されている。駆動装置は、少なくとも1つの電気機械及び1つの変速機を含み、この変速機を介して、自動車は、電気機械を使用して電気的に、特に、純粋に電気的に、駆動され得る。自動車の特に純粋な電気的駆動のために、特に大きな電気出力を実現するため、好適には、電気機械は、高電圧部品として形成されていることが企図されており、その高電圧部品の電圧、特に電気的作動電圧又は定格電圧、好適には、少なくとも48V、特に少なくとも50V、また全く特に少なくとも60Vである。好適には、電気機械の電圧、特に電気的作動電圧又は定格電圧は、数百ボルトである。電気機械を使用して自動車を電気的に駆動するために、電気機械は、例えば、モータモードにおいて動作される、したがって電気モータとして動作される。このために、電気機械には、電気エネルギー又は電流が供給され、その電気エネルギー又は電流は、例えば、バッテリとして、また極めて特に高電圧バッテリ(HVバッテリ)として形成された自動車のエネルギー貯蔵装置によって提供される。これは、ギヤを係合し、かつ係合解除することができることを意味する。ギヤが係合されている場合、自動車は、変速機を介して、その場合、係合されているギヤを介して電気機械を使用して駆動可能である。ギヤが係合解除されている場合、自動車は、ギヤを介さずに電気機械によって駆動することができる。駆動装置は、特に変速機、この場合、少なくとも1つの切替要素を有しており、その切替要素を使用して、変速機のギヤの切替要素を作動させることによって切り替える必要がある。これは、切替要素を作動させることによって、ギヤを係合することができる、及び/又は係合解除することができることを意味する。切替要素を作動させるために、以下でより詳細に説明するように、切替要素に、好適には流体媒体が供給される又は圧力を印加する。
【0007】
駆動装置は、更に、媒体が貫流可能である少なくとも1つの循環回路を有する。媒体は、好適には、流体、特に油であるため、媒体は、油圧媒体とも称される。したがって、循環回路は、油圧回路又は油圧循環回路とも称され得る。循環回路は、第1の分岐及び第2の分岐を有し、第2の分岐は、好適には少なくとも部分的に第1の分岐から、特に、空間的及び/又は流体的に分離されている。電気機械及び/又は変速機の冷却及び/又は潤滑のために、第1の分岐を媒体が貫流可能である。換言すれば、特に、変速機及び/又は電気機械の少なくとも一部に第1の分岐を介して媒体が供給される又は供給可能であることにより、電気機械及び/又は変速機は、媒体及び第1の分岐を使用して冷却され得る、及び/又は潤滑され得る。したがって、電気機械及び/又は変速機の冷却及び/又は潤滑に関して、媒体は、特に、電気機械又は変速機に第1の分岐を介して媒体が供給可能である又は供給されるように、冷却媒体及び/又は潤滑媒体として使用され、これにより、電気機械又は変速機は、媒体を使用して冷却される、及び/又は潤滑される。切替要素を作動させるために、第2の分岐を媒体が貫流可能である。これは、媒体が第2の分岐及び切替要素に関して作動媒体として使用されるため、作動媒体を使用して切替要素が作動され、その結果、ギヤが切り替わることを意味する。このために、切替要素に、第2の分岐を介して媒体が供給可能である又は供給される。特に、切替要素は、その切替要素に第2の分岐を介して媒体が供給され、これにより、特に媒体で圧力を印加するように、媒体を使用して作動され得る。切替要素に媒体で圧力を印加することによって、例えば、切替要素の切替部品は、特に、変速機のハウジングに対して併進移動及び/又は相対移動することができ、これにより、ギヤを切り替える、又はギヤシフトを引き起こすことができる。
【0008】
駆動装置は、更に、循環回路を通して媒体を搬送するための少なくとも1つの電動ポンプを含む。換言すれば、電動ポンプは、電気的に駆動可能である。ポンプを電気的に駆動することにより、そのポンプを使用して、媒体が搬送され、ポンプを使用して、その媒体は、循環回路を貫流して、ひいては分岐を貫流して搬送され得る。電動ポンプは、例えば、搬送要素を含み、搬送要素は、特に、ポンプハウジング内に収容されて、ポンプハウジングに対して相対移動可能である、特に、回転可能である。更に、電動ポンプは、例えば、電気エネルギー又は電流を使用して駆動可能である電気モータを含む。電気機械を駆動することによって、電気モータは、搬送要素を駆動することができ、これにより、ポンプハウジングに対して相対移動し、それにより、搬送要素を使用して媒体が搬送される又は搬送され得る。
【0009】
このとき、駆動装置の特に有利な作動を実現するために、駆動装置は、特に切替要素に加えて設けられているパーキングロックを有する。パーキングロックは、パーキングロックを使用して自動車が特に、その自動車が傾斜地に又は傾斜地上に駐車されている場合、所望しない自然発車が起きないように固定することができる、このような十分に公知の機能を有する。自動車は、例えば、車両車輪とも称される少なくとも2つの車輪を有し、車輪は、電気機械の変速機を介して電気的に駆動することができ、これにより、自動車を電気的に駆動することができる。その場合、車両車輪は、路面上で自動車を車両鉛直下向きに支持可能である又は支持している路面接地要素である。自動車が路面に沿って走行する場合、自動車が路面上で路面接地要素を介して車両鉛直下向きに支持される一方、車両車輪は、路面上を転がる。その場合、例えば、変速機は、変速機出力シャフトを有し、変速機出力シャフトを介して、変速機は、駆動トルクを提供することができる。駆動トルクは、例えば、自動車を駆動するために電気機械によって提供されるトルクから生じる。このとき、パーキングロックを、例えば、ロック状態と解放状態との間で切り替えることができる。ロック状態において、変速機出力シャフトは、パーキングロックを使用して、変速機のハウジングに対して生じる相対回転に対抗して固定されており、それにより、特に常時トルク伝達のために変速機出力シャフトに接続された車両車輪も、変速機ハウジングに対して生じる相対回転に対抗して固定されている。その結果、自動車は、所望しない自然発車が起きないように固定することができる。解放状態において、パーキングロックは、変速機出力シャフト及び車輪を、変速機ハウジングに対して生じるそれぞれの相対回転について解放するので、解放状態において、変速機出力シャフト、ひいては自動車は、電気機械によって駆動され得る。これにより、変速機出力シャフトは、ハウジングに対して回転する。特に、ロック状態において、変速機出力シャフトは、パーキングロックを使用して、ハウジングに対して生じる相対回転に対抗して形状接続式に固定されている。
【0010】
更に、循環回路は、パーキングロックを作動させるために媒体が貫流可能である第3の分岐を有する。これは、その媒体がポンプを使用して循環回路を、ひいては、第3の分岐をも貫流して搬送され得ることを意味する。第3の分岐を通して媒体が搬送されることによって、パーキングロックに媒体が供給され、これにより、媒体を使用してパーキングロックが作動され、パーキングロックを作動させることによって、パーキングロックは、ロック状態から解放状態へと切替可能である、及び/又は解放状態からロック状態へと切替可能である。したがって、本発明によれば、1つのポンプ及び1つの循環回路を使用して少なくとも3つの機能を実現することが企図されている。第1の機能は、ポンプを使用して第1の分岐に媒体を供給することによる又はポンプを使用して媒体を第1の分岐を貫流して搬送することによる、第1の分岐を介した電気機械及び/又は変速機の冷却及び/又は潤滑である。第2の機能は、ポンプを使用して第2の分岐に媒体を供給することによって又はポンプを使用して媒体を第2の分岐を貫流して搬送することによって、切替要素を作動させることである。第3の機能は、ポンプを使用して第3の分岐に媒体を供給することによって又はポンプを使用して媒体を第3の分岐を貫流して搬送することによって、パーキングロックを作動させることである。
【0011】
切替要素は、例えば、連結状態と連結解除状態との間で切替可能である。例えば、切替要素の切替部品は、特に切替要素を作動させることによって、連結状態を引き起こす連結位置と連結解除状態を引き起こす連結解除位置との間で、特に、ハウジングに対して併進移動及び/又は相対移動可能である。連結状態において、例えば、変速機の少なくとも2つの構成部品は、切替要素を使用して、特に形状接続式に、相対回転不能に相互接続されているので、特に、変速機が電気機械を使用して駆動される場合、切替要素を使用して相対回転不能に相互接続された構成部品は、一緒に又は同時に、かつ同一の角速度で共通の回転軸周りにハウジングに対して相対回転する。連結解除状態において、切替要素は、回転軸周りに相互に生じる相対回転について構成部品を解放するので、連結解除状態において、構成部品は、特に変速機が駆動される場合には、相互に相対回転する又は回転することができる。好適には、切替要素は、連結解除状態及び/又は連結状態において、自立的に又は自動的に自己を保持する自己保持型切替要素として形成されている。更に、好適には、パーキングロックは、自立的に又は自動的にロック状態及び/又は解放状態において自己を保持する自己保持型パーキングロックとして形成されていることが企図されている。本発明は、特に、切替要素を作動させるため、パーキングロックを作動させるため、また電気機械及び/又は変速機の冷却及び/又は潤滑のために、媒体の搬送を顧慮すれば、類似又は同一の要件が存在するという理解に基づいているので、これらの要件は、同じポンプを使用して充足することができる。電気機械及び/又は変速機の冷却及び/又は潤滑を顧慮すれば、ポンプは、媒体を搬送し、したがって、媒体の体積流量又は質量流量を生じさせ、体積流量又は質量流量は、電気機械及び変速機の冷却及び/又は潤滑のために利用される。したがって、体積流量又は質量流量は、冷却体積流量及び/若しくは潤滑体積流量とも、又は冷却質量流量及び/若しくは潤滑質量流量とも称される。その場合、切替要素を作動させるため、パーキングロックを作動させるため、また変速機及び/又は電気機械の冷却及び/又は潤滑のために、例えば、5barの比較的低い圧力レベルで、高い体積流量が有利である。比較的低い圧力レベルでこのように高い体積流量を、ポンプは提供することができる、又はポンプを使用してもたらされ得る。換言すれば、ポンプは、媒体の高い体積流量を低い圧力レベルで提供し、分岐を貫流して搬送することができるので、電気機械及び/又は変速機の冷却及び/又は潤滑、切替要素の作動、並びにパーキングロックの作動は、特に少ない部品数で、ひいては、省設置スペース、軽量、かつ安価で実現され得る。更に、シーリング面の実施形態を顧慮すれば、例えば、ハウジング内のポンプの取付けを顧慮すれば、低いシーリング要件しか充足されないので、前述の3つの機能は、特に単純かつ安価な方法で実施され得る。更に、従来型の解決策と比較して、圧力の制御又は調整のための追加の別体型圧力制御仕切りバルブを、油圧回路とも称される循環回路内で省略してもよいため、部品数、ひいては、重量、費用及び必要設置スペースを特に少なく抑えることができる。そのうえ、駆動装置の技術的複雑性を低く抑えることができ、特に高い堅牢性及び特にエネルギー効率的な作動を示すことができる。
【0012】
本発明の特に有利な実施形態では、駆動装置は、バルブ要素を含み、バルブ要素を介して、特に選択的に、第1の分岐及び第2の分岐にポンプを使用して搬送される媒体を供給可能である。バルブ要素は、冷却状態と作動状態との間で切替可能である。冷却状態は、第1の切替状態である、すなわちバルブ要素の第1の切替状態とも称され、作動状態は、第2の切替状態である、すなわちバルブ要素の第2の切替状態とも称される。好適には、バルブ要素は、電気的に切替可能なバルブ要素として形成されているので、バルブ要素は、好適には、バルブ要素に電気エネルギー又は電流が供給されることによって、少なくとも一方の切替状態から他方の切替状態へと、及び/又は他方の切替状態から一方の切替状態へと切替可能である。冷却状態において、第1の分岐は、バルブ要素を介してポンプに流体接続され、これにより、第1の分岐に、バルブ要素を介して、ポンプを使用して搬送される媒体を供給可能であり、一方、第2の分岐は、バルブ要素を使用してポンプから流体分離されている。したがって、例えば、バルブ要素が冷却状態にある一方、ポンプを使用して媒体が搬送される場合、媒体は、バルブ要素を介して第1の分岐内に、かつ第1の分岐を貫流して搬送されるので、冷却状態において、電気機械及び/又は変速機に媒体が供給され、これにより、媒体を使用して冷却される、及び/又は潤滑される。しかし、その場合、第2の分岐、ひいては、切替要素への、ポンプを使用して搬送される媒体の供給は行われないので、特に、切替要素の作動は行われない。しかし、作動状態において、第2の分岐は、バルブ要素を介してポンプに流体接続され、これにより、第2の分岐、ひいては、切替要素に、バルブ要素を介して、ポンプを使用して搬送される媒体を供給可能であり、一方、第1の分岐は、バルブ要素を使用してポンプから流体分離されている。したがって、例えば、切替要素を切り替えるために、バルブ要素は、作動状態に切り替えられる。次いで、ポンプを使用して媒体が搬送される場合、媒体は、ポンプを使用してバルブ要素を介して第2の分岐に、ひいては、特に切替要素に搬送され、それにより、切替要素は作動される。しかし、その場合、ポンプを使用してもたらされる媒体の搬送は、第1の分岐を貫流しては行われない。これにより、特に単純な方法で、切替要素(第2の分岐)及び第1の分岐の必要に応じた媒体の供給を実現することができる。したがって、バルブ要素は、好適には電動油圧式バルブ要素である。
【0013】
パーキングロックを特に単純かつ特にエネルギー効率的に作動させることができるように、本発明の更なる実施形態では、パーキングロックを作動させるためにバルブ要素が作動状態に切り替えられていることが企図されている。この実施形態は、特に、パーキングロックが媒体を使用して作動されている又は作動することができる間の時間中、冷却又は潤滑、すなわち、ポンプによってもたらされる第1の分岐を貫流する媒体の搬送は、不都合なく単純に非作動にされる又は行われないようにすることができるという知見に基づいている。これにより、特に単純かつエネルギー効率的な方法で、パーキングロックは作動され得る。
【0014】
本発明の更なる実施形態は、第2の分岐内に、特に、バルブ要素に加えて設けられている第2のバルブ要素が配置されていることを特徴とする。したがって、第2のバルブ要素は、第1のバルブ要素から切替要素に流れる媒体の流れの方向に向かって、第1のバルブ要素の下流側及び特に切替要素の上流側に配置されている。第2のバルブ要素は、係合状態と係合解除状態との間で切替可能である。係合状態は、第1の状態とも称される、詳しく言えば、係合状態は、第2のバルブ要素の第1の状態であり、係合解除状態は、第2の状態である、詳しく言えば、第2のバルブ要素の第2の状態とも称される。好適には、第2のバルブ要素は、電動バルブ要素、詳しく言えば、電気的に切替可能なバルブ要素として形成されており、そのバルブ要素は、第2のバルブ要素に電気エネルギー又は電流を供給可能である又は供給されることによって、一方の状態から他方の状態へと、及び/又は他方の状態から一方の状態へと切替可能である。したがって、好適には、第2のバルブ要素は、電動油圧式バルブ要素であり得る。係合状態において、切替要素は、第2のバルブ要素を介して第1のバルブ要素に流体接続されており、それにより、特に、第1のバルブ要素が作動状態にある間、切替要素に、バルブ要素を介して、ポンプを使用して搬送される媒体を供給可能であり、それにより、ギヤを係合するために、切替要素は、作動可能である。換言すれば、ギヤを係合するため、かつ特に切替部品を第1の方向に、かつその場合、連結解除位置から連結位置へと移動させるために、第2のバルブ要素は、係合状態に、かつ第1のバルブ要素は、作動状態に切り替えられる又は切り替えられている。
【0015】
係合解除状態において、切替要素は、第2のバルブ要素を介して第1のバルブ要素に流体接続されており、それにより、特に、第1のバルブ要素が作動状態にある間、切替要素に、バルブ要素を介して、ポンプを使用して搬送される媒体を供給可能であり、それにより、ギヤを係合解除するために、切替要素は、作動可能である。換言すれば、ギヤを係合解除するため、したがって、特に切替部品を第1の方向と反対の第2の方向に移動させるために、第2のバルブ要素は、係合解除状態に、かつ第1のバルブ要素は、作動状態に切り替えられている又は切り替えられる。一方では、これにより、特に単純、省スペース、軽量かつ安価な設置方法で切替要素を必要に応じて作動させ、これにより、必要に応じてギヤを切り替え、続いて係合すること及び係合解除することができる。他方では、第3の分岐のバルブ要素を単純に切り替えることによって、ポンプを使用して搬送される媒体を必要に応じて供給することができる。換言すれば、バルブ要素を単純に切り替えることによって、パーキングロックを必要に応じて作動させることができる。例えば、第1のバルブ要素に、配管要素を介して、ポンプを使用して搬送される媒体を供給可能である。このために、例えば、配管要素自体は、一方で、特に一方の端部をポンプに流体接続されており、他方で、特に他方の端部を第1のバルブ要素に流体接続されている。その場合、好適には、第2の配管要素は、特にポンプの下流側に、かつ第1のバルブ要素の上流側に配置された分岐箇所で第1の配管要素から分岐し、パーキングロックには、第2の配管要素を介してポンプを使用して搬送される媒体を供給可能であることが企図されている。特に、第2の配管要素が第3の分岐の構成要素である、又は第3の分岐を構成するので、例えば、第3の分岐は、分岐箇所で第1の配管要素から分岐することが考えられ得る。
【0016】
したがって、例えば、第1のバルブ要素が作動状態にある一方で、第2のバルブ要素は、状態のうちの1つにあることによって、パーキングロックに、特に単純な方法で、ポンプを使用して搬送される媒体が供給され得、第2のバルブ要素がある状態において、ポンプを使用してもたらされる媒体が搬送されるにもかかわらず、切替要素の作動、すなわち、切替部品の移動が行われない。結果的に、第1の分岐は、ポンプから流体分離されており、かつ切替要素は、第2のバルブ要素の状態によってもたらされ得る状態又は位置に既にあるので、切替要素は、ポンプを使用して媒体が搬送されるにも関わらず、作動されない又は移動されないため、ポンプを使用して搬送される媒体は、第3の分岐へ、かつ第3の分岐内に、ひいては、第3の分岐を介してパーキングロックへ流入し、それにより、パーキングロックが作動される。再度換言すれば、ポンプに流体接続された、第3の分岐及び第2の分岐である分岐内に、パーキングロックに印加することができる、システム圧力とも称される十分な圧力が形成可能とされ、パーキングロックは、作動される又は移動される。この場合、例えば、爪又は爪クラッチとして形成された切替要素が連結状態にあるか又は連結解除状態にあるか、続いて係合されているか又は係合解除されているかは、軽微な問題であり得、換言すれば、自動車が停止していて、パーキングロックがロック状態にあるとき、変速機のギヤが係合されているか又は係合解除されているかは、軽微な問題であり得る。有利には、この場合、しかし、パーキングロックの作動中に第2のバルブ要素が変わらず、その設定状態にあり続けるとき、第2のバルブ要素は、パーキングロックの作動前又はパーキングロックの作動要求前にその設定状態にあったので、切替要素がバルブ要素を介してポンプに流体接続されていて、ポンプを使用して媒体が搬送されても、例えば、ピストンとして形成された切替要素の切替部品は、移動しない。これにより、パーキングロックを作動させるための十分な体積流量及び十分な圧力がポンプを使用して形成され得、媒体の圧力は、切替部品で支持され、かつとりわけ、切替部品の移動が行われないことによって特に迅速に形成され得る。この実施形態の背景はまた、切替要素及びパーキングロックの切替工程が通常の方法では同時には起こらないので、これら両方の機能は、決して同時には、例えば、油として形成された媒体が供給される必要がないことである。これは特に、3つの機能の全てに適用される。この実施形態はまた、第1のバルブ要素の第3のロック状態なしで3つの機能を実現することを可能にし、このような第3の切替状態の実現は、技術的に高価となろう。これにより、駆動装置を、特に単純かつ安価な方法で必要に応じて、かつエネルギー効率的に動作することができる。
【0017】
更なる実施形態は、切替要素が形状接続式の切替要素、特に爪又は爪クラッチであることを特徴とする。特に形状接続式の切替要素の作動は、特にパーキングロックの作動と冷却及び/又は潤滑と良好に組み合わされることが見出された。なぜならば、これらの3つの機能は、ポンプを使用してもたらされ得る媒体の搬送を顧慮すると、類似の又は少なくとも実質的に同一の要件を有するからである。
【0018】
駆動装置を、特に単純かつ安価な方法で必要に応じて動作することができるために、本発明の更なる実施形態では、ポンプが順方向モード及び逆方向モードで駆動可能であることが企図されている。順方向モードとは、特に、バルブ要素内で搬送要素が電気モータを使用して、搬送要素がポンプハウジングに対して第1の移動方向に相対移動されるように駆動されることと理解され得る。逆方向モードとは、特に、逆方向モードにおいて搬送要素が電気モータを使用して、搬送要素がポンプハウジングに対して第1の移動方向と反対の第2の移動方向に相対移動されるように駆動されることと理解され得る。順方向モードは、媒体をポンプからそれぞれの分岐に搬送するように企図されている。したがって、例えば、ポンプは、順方向モードにおいて動作されて、ポンプを使用して媒体をポンプからそれぞれの分岐に搬送する。順方向モードにおいて、ポンプを使用して順方向モードにおいて搬送される媒体は、ポンプの第1の接続部からポンプの第2の接続部に流れる。例えば、前述した第1の配管要素は、第2の接続部に流体接続される。
【0019】
逆方向モードは、ポンプを使用して媒体を第3の分岐の少なくとも一部から、特に第2の配管要素の少なくとも一部から搬出するように企図されている。逆方向モードにおいて、ポンプを使用して逆方向モードにおいて、特に第3の分岐から、かつ全く特に第2の配管要素から搬送される媒体は、ポンプの第2の接続部から第1の接続部に流れ、それにより、媒体は、第3の分岐の少なくとも一部から搬出可能である又は搬出される。特に、例えば、逆方向モードによって、パーキングロックを特に有利に作動させることができる、特に係合解除することができる。パーキングロックの係合解除とは、パーキングロックがロック状態から解放状態へと切り替えられることと理解され得る。パーキングロックを解放状態からロック状態へと切り替えることは、パーキングロックの係合とも称される。
【0020】
特に単純かつエネルギー効率的な方法で、駆動装置の特に有利な作動を実現するために、本発明の更なる実施形態では、変速機が、切替要素に加えて設けられている少なくとも1つの第2の切替要素を有することが企図されている。更に、変速機が、ギヤに加えて設けられている第2のギヤを有することが考えられ得る。第2のギヤは、好適には切替可能である、すなわち、係合可能かつ係合解除可能である。例えば、第2のギヤは、第2の切替要素の作動によって切替可能である。したがって、例えば、第2の切替要素の作動によって第2のギヤを係合することができる、及び/又は係合解除することができる。
【0021】
更に、駆動装置は、好適には、第2の切替要素を作動させるために媒体が貫流可能である第2の循環回路を有する。換言すれば、第2の切替要素を作動させるために、媒体は、第2の循環回路を貫流して搬送される。このために、駆動装置は、第2の電動ポンプを含み、第2の電動ポンプを使用して、媒体を第2の循環回路を貫流して搬送することができる。第1のポンプに関する上記及び下記の構成は、そのまま第2のポンプにも転用可能とされ、逆もまた同様である。
【0022】
その場合、第2の切替要素が摩擦接続式の切替要素、特にブレーキである場合、特に有利であることが明らかである。例えば、第2の切替要素は、多板クラッチ又は多板ブレーキであり得る。
【0023】
この実施形態は、媒体を使用して摩擦接続式の切替要素を切り替えるため、特に、締結する、及び/又は締結されたままにするために、摩擦接続式の切替要素は、形状接続式の切替要素と比較して媒体のより高い圧力とより低い体積流量とを必要とするという知見に基づいている。駆動装置が、好適には第1の循環回路及び第2の循環回路を有することにより、2つの作動機能を各循環回路に分割することができる。第1の作動機能は、第1の切替要素を作動させることと、パーキングロックを作動させることと、第1の分岐に媒体を供給することと、を含み、これにより、電気機械及び/又は変速機が潤滑される、及び/又は冷却される。第2の作動機能は、第2の切替要素を作動させることを含む。第1のポンプを使用して、媒体の高い第1の体積流量が低い第1の圧力により提供される又は生成されることによって、第1の作動機能が実現され得る。第2のポンプを使用して、第1の体積流量と比較してより低い媒体の第2の体積流量が、第1の圧力と比較してより高い第2の圧力により実現される又は提供されることによって、第2の作動機能が実現され得る。更に、第2の切替要素が切り替えられたままである又は係合されたままである若しくは締結されたままである場合に限り、第2のポンプが動作されることによって、又は第2のポンプを使用して媒体が第2の循環回路を貫流して搬送されることによって、実現される。これにより、特にエネルギー効率的な作動が保証される。
【0024】
最終的に、費用、必要設置スペース及び重量を特に低く抑え、ひいては、駆動装置の特に有利な作動を実現することができるためには、本発明の更なる実施形態では、駆動装置がポンプ及び循環回路に共通の油溜めを有し、油溜めからポンプを使用して媒体が循環回路を貫流可能であることが企図されている。したがって、例えば、油溜めは、媒体によって形成されているか、又は媒体を油溜め内に蓄えることができる。
【0025】
本発明の第2の態様は、好適には、原動機付車両として、特に乗用車として形成されている自動車に関し、自動車は、本発明の第1の態様による駆動装置を含む。
【0026】
本発明の他の利点、特徴、及び詳細は、好ましい実施例の以下の説明及び図面から明らかになる。これまで記載した特徴、及び図面の説明で以下に記載し、及び/又は図面にのみで示される特徴及び特徴の組み合わせは、そのつど示される組み合わせだけではなく、本発明の範囲を逸脱することなく別の組み合わせ又は単独で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】自動車用の本発明による駆動装置の概略図である。
【0028】
図において、同一又は機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付与されている。
【0029】
図1は、概略図で部分的に、自動車の駆動装置10を示しており、自動車は、好適には原動機付車両として、特に乗用車として形成されている。これは、自動車がその完成品状態で駆動装置10を有し、駆動装置10を使用して特に純粋に電気的に駆動され得ることを意味する。駆動装置10は、
図1で特に概略的に図示された電気機械12と、
図1で特に概略的に図示された変速機14と、を有し、変速機14を介して、自動車は、電気機械を使用して特に純粋に電気的に駆動可能である。変速機は、少なくとも又は正確に2つの切替可能なギヤ、すなわち、係合可能なギヤ及び係合解除可能なギヤを有し、ギヤは、切替段とも称され、例えば、電気機械12が自動車を駆動することができるギヤの変速比に関して相互に区別される。変速機14、ひいては、駆動装置10は、第1の切替要素16及びこれに加えて設けられている第2の切替要素18を有する。切替要素16を使用して、切替要素16を作動させることにより、第1のギヤを係合することができる、かつ係合解除することができる。切替要素18を使用して、切替要素18を作動させることにより、第2のギヤを係合することができる、かつ係合解除することができる。好適には、第1のギヤが係合されているときには、第2のギヤが係合解除されていることが企図されている。好適には、第2のギヤが係合されているときには、第1のギヤが係合解除されていることが企図されている。したがって、切替要素16を使用して第1のギヤを切り替えることができ、切替要素18を使用して第2のギヤを切り替えることができる。
【0030】
駆動装置10は、第1の循環回路20を含み、第1の循環回路20は、好適には流体の、例えば、油として形成された媒体が貫流可能である。第1の循環回路20は、第1の分岐22を含み、第1の分岐22は、電気機械12及び変速機14の冷却及び/又は潤滑のために貫流可能である。このために、分岐22は、例えば、媒体が貫流可能な第1の副分岐24を含み、第1の副分岐24を介して電気機械12に媒体が供給可能であり、これにより、電気機械12は、媒体を使用して冷却される、及び/又は潤滑される。
図1から、副分岐24が更に分岐し、したがって、媒体が貫流可能である枝管26a、bを有することが理解され得る。したがって、例えば、枝管26a、bを介して、電気機械12の異なる部分領域に媒体が供給され、これにより、媒体を使用して潤滑され得る、及び/又は冷却され得る。更に、分岐22は、変速機14に媒体を供給可能な第2の副分岐28を含み、これにより、変速機14は、媒体を使用して副分岐28を介して冷却される、及び/又は潤滑される。副分岐28及び副分岐24は、相互に並列接続されていることが理解され得る。その場合、本明細書では、副分岐24内に媒体を冷却するためのラジエータ30が配置されている。ラジエータ30には、2つの接続箇所で副分岐24に接続されている迂回管32が配置されている。第1の接続箇所は、ラジエータ30の上流側の副分岐24内に配置されており、第2の接続箇所は、ラジエータ30の下流側及び電気機械12の上流側の副分岐24内に配置されている。これにより、第1の接続箇所で副分岐24を貫流する媒体の少なくとも一部を迂回管32を使用して副分岐24から分岐し、迂回管32に導入することができる。迂回管32に導入された媒体は、迂回管32を貫流し、その場合、ラジエータ30を迂回し、したがって、ラジエータ30を使用しては冷却されない。その場合、好適には副分岐24内に、サーモスタットバルブとして形成されたバルブ要素35が配置されており、バルブ要素35を使用して、迂回管32を貫流する、したがって、ラジエータ30を迂回する媒体の量を、特に媒体の温度に応じて調整可能である。
【0031】
更に、循環回路20は、第2の分岐34を含み、第2の分岐34は、切替要素16を作動させるために媒体が貫流可能である。これは、切替要素16に、第2の分岐34を介して媒体を供給することができ、これにより、切替要素16は、第2の分岐34を貫流する媒体を使用して作動され得ることを意味する。駆動装置10は、更に、循環回路20に割り当てられた電動ポンプ36を有し、電動ポンプ36を使用して、ポンプ36の動作、特に電気的動作によって循環回路20を貫流して媒体を搬送することができる。これは、分岐22及び34に、ポンプ36を使用して媒体を供給可能であることを意味する。ポンプ36は、この場合、例えば、ポンプ36のポンプハウジング内に配置されている電気モータ38及び搬送要素40を含む。電気モータ38に電気エネルギー又は電流を供給することによって、電気モータ38は動作され、それにより、電気モータ38は搬送要素40を駆動し、これにより、ポンプハウジングに対して相対移動される、特に相対回転される。
【0032】
このとき、特に軽量、安価及び省スペースな取付方法で、駆動装置10の特に有利な、とりわけ、特にエネルギー効率的な作動を実現するために、駆動装置10、特に変速機14は、パーキングロック42を含む。この場合、循環回路20は、第3の分岐44を有し、第3の分岐44は、少なくとも部分的に分岐22及び/又は分岐34から空間的に又は流体的に分離されていてもよい。この場合、パーキングロック42を作動させるために、分岐44は、媒体が貫流可能である。換言すれば、パーキングロック42を作動させて、これにより係合するため、及び/又は係合解除するために、パーキングロック42に、分岐44を介してポンプ36を使用して搬送される媒体が供給される。パーキングロック42は、係合状態と係合解除状態との間で調整可能又は切替可能である。係合状態は、ロック状態とも称され、係合解除状態は、解放状態とも称される。
【0033】
電気機械12は、そのモータモードにおいて動作することができ、したがって電気モータとして動作することができる。したがって、電気機械12は、モータモードにおいて駆動モータであり、駆動モータは、その出力シャフトを介して自動車を駆動するためのトルクを提供することができる。駆動モータによって提供されるトルクは、例えば、変速機14内に、変速機の入力シャフトの、図示されていない第1のシャフト形状を介して導入することができ、入力シャフトは、変速機入力シャフトとも称される。変速機14は、例えば、図示されていない第2のシャフトを有し、第2のシャフトは、変速機出力シャフトとも称される、変速機の出力シャフトである。駆動モータによってその出力シャフトを介して提供される各トルクから、結果として、変速機14からその出力シャフトを介して提供される駆動トルクが生じ得る。その場合、例えば、駆動モータによって提供される各トルクは、係合された変速機14のギヤを使用して、係合されたギヤの変速比に応じて変換され、これにより、駆動トルクに移行される又は変換される。係合状態において、パーキングロック42は、変速機14の出力シャフトを、完全回転に対抗して変速機ハウジングとも称される変速機14のハウジングに相対して形状接続式に固定するので、例えば、自動車を、傾斜地に駐車されている場合、所望しない自然発車が起きないように固定することができる。しかし、係合解除状態において、パーキングロック42は、特に自由な回転のために出力シャフトを変速機ハウジングに対して相対的に解放しているため、係合解除状態において、出力シャフトは、自由に又は多くの場合完全に変速機ハウジングに対して相対回転することができる。したがって、電気機械を使用して自動車を駆動するため、パーキングロック42は、その係合解除状態にある。
【0034】
駆動装置10は、例えば、循環回路20内に配置されている第1のバルブ要素46を含む。バルブ要素46を介して、分岐22及び34に、ポンプ36を使用して搬送される媒体を供給可能である。その場合、バルブ要素は、冷却状態と作動状態との間で切替可能である。連結状態において、第1の分岐22は、バルブ要素46を介してポンプ36に流体接続されており、それにより、第1の分岐に、バルブ要素46を介してポンプ36を使用して搬送される媒体を供給可能であるが、しかし一方、第2の分岐34は、バルブ要素46を使用してポンプ36から流体分離されている。したがって、ポンプ36を使用して媒体を、分岐22を貫流して搬送するために、バルブ要素46が冷却状態に切り替えられる。その場合、切替要素16への、ポンプ36を使用して搬送される媒体の供給は行われない。作動状態において、第2の分岐34は、バルブ要素46を介してポンプ36に流体接続されており、それにより、作動状態において、第2の分岐34に、バルブ要素46を介してポンプ36を使用して搬送される媒体を供給可能であるが、しかし一方、第1の分岐22は、バルブ要素46を使用してポンプ36から流体分離されている。したがって、切替要素16を作動させるため、かつ第1のギヤを切り替えるために、バルブ要素46は、作動状態に切り替えられる。その場合、ポンプ36を使用してもたらされる媒体の搬送は、分岐22を貫流しては行われない。パーキングロック42を作動させるために、バルブ要素46は、作動状態にある。
【0035】
駆動装置10は、更に、第2の分岐34内に配置された第2のバルブ要素48を有し、第2のバルブ要素48は、係合状態と係合解除状態との間で切替可能である。係合状態において、切替要素16は、第2のバルブ要素48を介して第1のバルブ要素46に流体接続されるので、係合状態において、切替要素16に、バルブ要素46が作動状態にあるとき、バルブ要素46及び48を介して、ポンプ36によって搬送可能な媒体を供給可能である一方、それにより、切替要素16は、第1のギヤが係合されるように作動可能である又は作動される。係合解除状態において、切替要素16は、第2のバルブ要素48を介して第1のバルブ要素46に流体接続されるので、係合解除状態において、切替要素16は、第1のバルブ要素が作動状態にあり、一方、バルブ要素46及び48を介して、ポンプ36を使用して搬送される媒体は、切替要素16が第1のギヤが係合解除されるように作動可能である又は作動されるように、供給可能である又は供給される。
【0036】
図1からは、切替要素16は、例えば、シリンダとして形成されたハウジング50と、ハウジング50内に配置され、かつハウジング50に対して相対併進移動可能なピストン52と、ピストン52に接続され、これにより、ピストン52と共にハウジング50に対して相対併進移動可能であるピストンロッド54と、を有することが理解され得る。ピストン52及びハウジング50は、切替要素16の第1のワーキングチャンバ56及び第2のワーキングチャンバ58を画定する。ピストン52及びピストンロッド54は、
図1内で矢印60によって具体的に示された移動方向に沿って、ハウジング50に対して相対併進移動可能であり、ワーキングチャンバ56及び58は、移動方向に沿って対向する。例えば、係合状態において、ワーキングチャンバ58は、バルブ要素48を介してバルブ要素48に流体接続されており、一方、ワーキングチャンバ56は、バルブ要素48を使用してバルブ要素46から分離されている。係合解除状態において、例えば、ワーキングチャンバ56は、バルブ要素48を介してバルブ要素46に流体接続されており、一方、ワーキングチャンバ58は、バルブ要素48を使用してバルブ要素46から流体分離されている。したがって、バルブ要素46が作動状態にあり、かつバルブ要素48が係合状態にあり、かつポンプ36を使用して媒体が搬送されるとき、媒体は、バルブ要素46及び48を介してワーキングチャンバ58内に搬入される。これにより、ピストン52は、移動方向に対して平行に延びる、
図1で矢印62によって具体的に示された第1の方向に、ハウジング50に対して相対移動、特に併進移動され、それにより、第1のギヤが係合される。第1のギヤを係合解除するために、ポンプ36を使用して媒体が搬送される間、バルブ要素48がその係合解除状態にあり、かつバルブ要素46が作動状態にあることが企図されている。これにより、媒体は、ポンプ36を使用してバルブ要素46及び48を介して、ワーキングチャンバ56内に搬入される。その結果、ピストン52は、移動方向に対して平行に延びる、第1の方向と反対の、
図1で矢印64によって具体的に示された第2の方向に、ハウジング50に対して相対移動、特に併進移動される。これにより、第1のギヤは、係合解除される。ピストン52は、切替要素16の切替部品であり、切替部品は、必要に応じて第1の方向及び第2の方向に移動することができ、これにより、第1のギヤは、必要に応じて係合される、かつ係合解除されることが理解され得る。
【0037】
切替要素16は、好適には、形状接続式の切替要素であり、特に爪クラッチとも称される爪である。切替要素16を作動させることによって、切替要素16は、例えば、連結状態と連結解除状態との間で切替可能である。例えば、ピストン52が第1の方向に移動されることによって、切替要素を連結解除状態から連結状態に切り替えることができる。ピストンを第2の方向に移動させることによって、例えば、切替要素は、連結状態から連結解除状態に切り替えられる。バルブ要素46及び48は、好適には、電動油圧式バルブ要素であり、したがって、作動状態と冷却状態との間又は係合状態と係合解除状態との間で電気的に切替可能である。
【0038】
ポンプ36を使用して媒体を、分岐22を貫流して搬送するために、例えば、第1のバルブ要素46は、冷却状態に切り替えられる。ポンプ36を使用して切替要素16を作動させるために、バルブ要素46は、作動状態に切り替えられる。バルブ要素48の係合状態及び係合解除状態は、併せて、バルブ要素48の状態とも称される。例えば、パーキングロック42を、特に短時間作動させ、ひいては、例えば、係合状態から係合解除状態に、及び/又は係合解除状態から係合状態に切り替えることができるためには、例えば、バルブ要素46が作動状態へと切り替えられ、バルブ要素46が作動状態にあるとき、かつポンプ36を使用して媒体が搬送されるとき、その結果生じるピストン52の移動又はその結果生じる切替要素16の作動は行われないことをもたらすその状態にバルブ要素48が切り替えられる。したがって、例えば、パーキングロック42の作動が行われるべきときに、第1のギヤが係合解除されている場合、バルブ要素48は、その係合解除状態へと切り替えられる。しかし、例えば、パーキングロック42の作動が行われるべきときに、第1のギヤが係合されている場合、バルブ要素48は、その係合状態へと切り替えられる。次いで、ポンプ36を使用して媒体が搬送されるとき、短時間、媒体の高い圧力が形成され、その圧力は、例えば、バルブ要素46及び48を介して、ピストン52で支持され得るので、最初にピストン52が過度な経路を介して、その場合、特にその終端位置に移動される必要なく、圧力を使用してパーキングロック42は作動され得る。分岐44内では、シフトバルブとも称される第3のバルブ要素66が配置されていることが理解され得て、その機能は、以下でより詳細に説明される。特に、シフトバルブは、分岐44を貫流する媒体の流れの方向に、ポンプ36の下流側及びパーキングロック42の上流側に配置されている。
【0039】
変速機14、ひいては、駆動装置10は、更に、切替要素18を含み、切替要素18は、本明細書では、好適には、摩擦接続式の切替要素として、その場合、特に多板クラッチとして形成されている。その場合、駆動装置10は、更に、好適には、少なくとも部分的に流体的に、及び/又は位置的に循環回路20から分離されている第2の循環回路68を有する。その場合、切替要素18を作動させるために、循環回路68は、媒体が貫流可能であり、切替要素18を作動させることによって、第2のギヤは、係合可能である、及び/又は係合解除可能である。更に、駆動装置10は、ポンプ36に加えて設けられている第2の電動ポンプ70を含み、電動ポンプ70を使用して、媒体は、循環回路68を貫流して搬送することができる。ポンプ70は、第2の電気モータ72及び第2の搬送要素74を含み、第2の搬送要素74は、ポンプ70の第2のポンプハウジング内に配置されていて、第2のポンプハウジングに対して相対移動可能である、特に回転可能である。第2のポンプハウジングに対して搬送要素74が相対移動することによって、搬送要素74を使用して媒体が搬送される。電気モータ72に電気エネルギー又は電流を供給することによって、電気モータ72が動作される。電気モータ72を動作することによって、電気モータ72は、搬送要素74を駆動し、それにより、搬送要素74は、第2のポンプハウジングに対して相対移動する、特に回転する。循環回路68内には、例えば、制御式の圧力制限バルブとして形成された第4のバルブ要素76が配置されており、第4のバルブ要素76を介して、切替要素18に、ポンプ70を使用して搬送される媒体を供給可能である。
【0040】
図1からは、切替要素18は、例えば、シリンダとして形成されたハウジング78と、特に併進移動可能にハウジング78内に収容されているピストン80と、を有することが理解され得る。ピストン80は、
図1で両矢印82によって具体的に示されたピストン移動方向にハウジング78に対して相対移動され得る、特に併進移動され得る。更に、切替要素18は、ピストンロッド84を有し、ピストンロッド84は、ピストン80に接続され、ひいては、ピストン80と共にハウジング78に対して相対移動可能である。バルブ要素76を介して、ポンプ70を使用して、媒体は、切替要素18のワーキングチャンバ86内へと搬送され、ワーキングチャンバ86は、ピストン80及びハウジング78によって画定されている。ワーキングチャンバ86内に媒体を搬送することによって、ピストン80は、ピストン移動方向に対して平行に延びる、図で矢印88によって具体的に示された第1の作動方向に、ハウジング78に対して相対移動される。これにより、例えば、切替要素又は多板クラッチは、締結される。ハウジング78に対して生じるピストン80の第1の作動方向への相対移動によって、切替要素18のばね要素90に張力が印加される。例えば、ばね要素90は、ピストン移動方向に沿って、一方ではピストン80で、他方ではハウジング78で、支持可能である又は支持されている。ばね要素90に張力を印加することによって、ばね要素90にばね力が提供される。このばね力を使用して、ピストン80は、
図1で矢印92によって具体的に示された、ピストン移動方向に対して平行に延びる、第1の作動方向と反対の第2の作動方向に、ハウジング78に対して相対移動され得る。これにより、例えば、多板クラッチは、締結解除される。多板クラッチを締結することによって、例えば、第2のギヤが係合される。例えば、多板クラッチを締結解除することによって、第2のギヤが係合解除される。
【0041】
パーキングロック42を特に油圧式に作動させるために、パーキングロック42は、油圧シリンダ94を含み、油圧シリンダ94は、ハウジング96と、ロックピストンとも称されるピストン98と、を含む。ロックピストンは、ハウジング96内で少なくとも部分的に併進移動可能に配置され、かつハウジング96に対して相対併進移動可能である。ピストン98及びハウジング96は、作動室100を画定し、作動室100内で、例えば、ポンプ36を使用して分岐44を介して媒体を搬入することができ、それにより、ロックピストンは、ハウジング96に対して
図1で矢印102によって具体的に示されたパーキングロック方向に相対併進移動される。これにより、パーキングロック42は、油圧的に作動し、これによって、例えば、係合解除される。
【0042】
更に、油圧シリンダ94は、本明細書では機械式ばね要素104を含み、機械式ばね要素104は、一方ではロックピストンに、他方では少なくとも間接的にハウジング96及び/又は変速機ハウジングに連結されている。ピストンが第1のパーキングロック方向に移動することによって、ばね要素104に張力が印加される。それによって、ばね要素104は、ばね力を提供し、ばね力は、第1のパーキングロック方向と反対の、
図1では矢印106によって具体的に示された第2の方向に作用する。ばね要素104によって提供されるばね力を使用して、ロックピストンは、第1のパーキングロック方向と反対の第2のパーキングロック方向にハウジング96に対して相対併進移動することができ、それにより、パーキングロックは、ばね作動式に又はばね力作動式に係合される。
【0043】
この場合、パーキングロック42は、更に、係止要素108を含み、係止要素108は、ハウジング96に対して係止位置と係止解除位置との間で相対移動可能である。特に、係止要素108は、変速機ハウジング又はハウジング96に対して係止位置と係止解除位置との間で旋回軸周りに相対旋回可能である。パーキングロック42が係合されている一方、係止要素108が係止位置にある場合、係止要素108は、ロックピストンの第1の凹部110に係合し、それにより、係止要素108は、ロックピストンと形状接続式に協働する。これにより、ロックピストンは、係止要素108を使用して形状接続式に、パーキングロック42の係合状態をもたらす、ロックピストンの係合位置から、パーキングロック42の係合解除状態をもたらす、ロックピストンの係合解除位置への移動に対抗して固定されているので、パーキングロック42は、確実に係合され続ける。その場合、ロックピストンは、ハウジング96に対して係合位置と係合解除位置との間で相対併進移動可能である。ロックピストンが、例えば、係合解除位置にある、すなわち、パーキングロック42が係合解除されている一方、係止要素108が係止位置にある場合、係止要素108は、ロックピストンの第2の凹部112に係合し、それにより、係止要素108は、ロックピストンと形状接続式に協働する。これにより、ロックピストンは、係止要素108を使用して、特にばね要素104によって提供されるばね力に対抗して係合解除位置に保持され、したがって、係合解除位置から係合位置への移動に対抗して形状接続式に固定される。
【0044】
ロックピストンを係合位置から係合解除位置へと、又は逆に係合解除位置から係合位置へと移動することができるようにするため、したがって、パーキングロック42を係合状態から係合解除状態へと、又は逆に係合解除状態から係合状態へと調整することができるようにするために、係止要素108を係止位置から係止解除位置へと移動する、特に旋回する。これにより、係止要素108がロックピストンと形状接続式に協働するので、ロックピストンを係合位置から係合解除位置へと、又は係合解除位置から係合位置へと移動することができる、特に変位することができる。係止要素108が係止位置から係止解除位置へと移動すること、特に旋回することによって、好適には、パーキングロック42の機械式ばね要素114に張力が印加される、特に圧縮されるので、少なくとも係止解除位置において、ばね要素114は、ばね力を提供する。ばね要素114によって提供されるばね力を使用して、係止要素108は、特にロックピストンが係合位置又は係合解除位置にある場合、係止解除位置から係止位置へと移動し、それによって、各凹部110又は112と係合する。
【0045】
ここで係止要素108を、特にばね要素114によって提供されるばね力に対抗して、必要に応じて係止位置から係止解除位置へと移動することができるように、パーキングロック42は、好適には、電気的に及び/又は油圧的に駆動可能であるアクチュエータ116を含む。
図1に示した実施例では、アクチュエータ116は、ソレノイドとして形成されている。ソレノイドは、ハウジング及びロータを有し、ロータは、ソレノイドに電気エネルギーが供給されることによって、少なくとも部分的にソレノイドのハウジングから繰り出される。これにより、係止要素108は、ロータを使用して係止位置から係止解除位置へと移動する、特に旋回する。代替的に又は付加的に、パーキングロック42は、更なる油圧シリンダ118を有してもよく、油圧シリンダ118を使用して、係止要素108を油圧式に係止位置から係止解除位置へと移動することができる。
【0046】
図2からは、特に良く、切替要素18への媒体の供給及び特に媒体のワーキングチャンバ86内への搬送が理解され得る。このために、搬送要素74は、電気モータ72を使用してポンプ70のポンプハウジングに対して、矢印120によって具体的に示された第1のポンプ方向に相対移動される、特に相対回転される。更に、
図1及び
図2からは、駆動装置10は、媒体が収容可能である、又は収容されている、ポンプ36及び70、ひいては、循環回路20及び68に共通の油溜め122を有することが理解され得る。更に、駆動装置10は、ポンプ36及び70、ひいては、循環回路20及び68に共通のフィルタ124を有し、フィルタ124は、油溜め122から各ポンプ36又は70に流れる媒体の流れの方向に、油溜め122の下流側及び各ポンプ36又は70の上流側に配置されている。フィルタ124を使用して、油溜め122から各ポンプ36又は70に流れる媒体が濾過される。その場合、フィルタ124は、二重フィルタとも称される。フィルタ124は、しかし、ポンプ36又は70ごとに少なくとも又は正確に1つの吸気口を有し、吸気口は、相互に分離されている。したがって、例えば、ポンプ70は、吸気口に関しては、最終的に第1の吸気口を介して、媒体を油溜め122から吸入し、それ自体に搬送することができる。したがって、更に、ポンプ36は、吸気口に関しては、最終的に第1の吸気口から分離された第2の吸気口を介して、媒体を油溜め122から吸入し、それ自体に搬送することができる。循環回路68の機能は、特に、例えば、ブレーキとして、特に多板ブレーキ又は摩擦ブレーキとして形成された切替要素18に媒体をできるだけ少ない余剰媒体と共に供給することを含む。例えば、ポンプ70を使用してバルブ要素76に、バルブ要素76を介して切替要素18に搬送される媒体は、バルブ要素76のタンク縁部で停滞し、それにより、媒体の所望の圧力が、特に循環回路68全体で調整される、特に制御される。ブレーキが切り替えられている又は係合されている場合、例えば、ポンプ70は、特に係合されたブレーキによってもたらされる圧力に常時対抗するように作動する。ポンプ70は、例えば、媒体の余剰量を生成する最小回転数を有する。この余剰量は、例えば、ブレーキの多板を冷却するために使用され得る漏れ流量を調整する。余剰量の更なる部分は、存在する場合、タンク125内に排出され得る。更に、
図2では、126で示されるダンパ用リザーブが理解され得る。
【0047】
図3では、特に良く、切替要素18への媒体の供給が理解され得る。更に、
図3からは、ポンプ36は、電気機械12及び変速機14の冷却及び/又は潤滑のために、切替要素18だけでなく分岐22にも媒体を供給することが理解され得る。このために、ポンプ36は、順方向モードにおいて動作され、順方向モードにおいて、電気モータ38は、搬送要素40を、搬送要素40がポンプ36のポンプハウジングに対して
図3で矢印127によって具体的に示された第1の搬送要素方向に相対的に作動される、特に相対回転されるように駆動する。切替要素18が制御されると、次いで作動されて、切替要素18が作動される間の時間、分岐22へのポンプ36を使用して搬送される媒体の供給が中断される。以下では、作動原理が具体的に示される。バルブ要素48は、第1のギヤを係合すべきか又は係合解除すべきかに応じて、係合状態又は係合解除状態に切り替えられる。バルブ要素48は、最初にその冷却状態に切り替えられる。ポンプ36、特に、搬送要素40は、例えば、ポンプ36又は搬送要素40の最大回転数になる。バルブ要素46によって、特にバルブ要素46を冷却状態から作動状態へと突然切り替えることによって、ポンプ36を使用してもたらされる又は実現される又は搬送される媒体の体積流量は、突然、分岐22から分岐34に、かつ分岐34へと、ひいては、切替要素18に迂回誘導され、それにより、切替要素18は、特に迅速に作動され得る又は切り替えられ得る。
【0048】
図4により、以下では、パーキングロック42の係合解除が具体的に示される。パーキングロック42を係合解除するために、ポンプ36がその順方向モードにおいて動作され、続いて搬送要素40が電気モータ38を使用して第1の搬送要素方向に移動される、特に、回転される(矢印127)。前述したように、バルブ要素48は、ポンプ36が媒体を搬送し、かつバルブ要素46が作動状態にあるとき、その結果生じるピストン52の移動が行われないことをもたらす状態に切り替えられる。したがって、パーキングロック42を係合解除するために、バルブ要素46が作動状態に切り替えられる。例えば、ソレノイドが通電され、それにより、ロックピストンが係合解除される。ポンプ36は、好適には、油として形成された媒体を、例えば、最初に切替要素18の方向に、かつシフトバルブに搬送する。ピストン52が移動されない、したがって、切替要素18が媒体をポンプ36から取り除かないため、シフトバルブを特にシフトバルブの初期位置からシフトバルブの切替位置へと移動する圧力が形成される。これにより、特に分岐44の配管128は、シフトバルブを介して作動室100に流体接続され、それにより、ロックピストンは、ばね要素104によって提供されるばね力に対抗して、係合解除位置へと移動される。次いで、ソレノイドへの通電が停止又は終了され、それによって、ロックピストンがロックされる。ポンプ36、特に、そのポンプハウジングは、第1の接続部A1及び第2の接続部A2を有することが理解され得る。接続部A1を介して、ポンプ36は、例えば、油溜め122に流体接続されている又は接続可能であるので、ポンプ36は、その接続部A1を介して、媒体を油溜め122から吸引することができる。接続部A2を介して、バルブ要素46に、ポンプ36を使用して搬送される媒体を供給可能であるので、例えば、接続部A2は、バルブ要素46に流体接続されている又は流体接続可能である。このために、例えば、一方で、特に、一方の端部が接続部A2に流体接続され、かつ他方で、又は他方の端部がバルブ要素46に流体接続されている第1の配管要素130が企図されている。その場合、配管128は、分岐箇所Aで第1の配管要素130に流体接続されている第2の配管要素である。配管要素130を貫流し、その場合、接続部A2からバルブ要素46に流れる媒体の流れの方向に、分岐箇所Aは、接続部A2の下流側に、したがって、ポンプ36の下流側及びバルブ要素46の上流側に配置されている。配管128は、分岐箇所Aで配管要素130から分岐されることが理解され得る。更に、パーキングロック42又は作動室100に、配管128を介して、ポンプ36を使用して搬送される媒体を供給可能であり、特に、これによりパーキングロック42が係合解除されることが理解され得る。
【0049】
最後に、
図5により、パーキングロック42の係合が具体的に示される。バルブ要素46は、例えば、冷却状態に切り替えられる。ポンプ36は、その逆方向モードにおいて動作される。これにより、電気モータ38は、搬送要素40が、
図5で矢印132によって具体的に示された、第1の搬送要素方向と反対の第2の搬送要素方向に、ポンプ36のポンプハウジングに対して相対移動される、特に回転されるように、搬送要素40を駆動すると理解される。順方向モードにおいて、ポンプ36を使用して、順方向モードにおいて搬送される媒体が接続部A1から接続部A2に流れる一方、逆方向モードにおいて、ポンプ36を使用して、逆方向モードにおいて搬送される媒体が接続部A2から接続部A1に流れる。逆方向モードによって、ポンプ36を使用して媒体がパーキングロック42から、特に作動室100から搬出される又は吸い出される若しくは吸引される。パーキングロック42を係合解除する際にシフトバルブを初期位置から切替位置へと移動させるためにもたらされた、シフトバルブに印加されている切替圧力が低下し、それにより、単純にスライダとも称されるシフトバルブは、特にばね要素134によって提供されるばね力を使用して、基本位置とも称されるその初期位置へと移動される。シフトバルブが初期位置から切替位置へと移動することによって、特に機械式ばね要素134に、例えば、張力が印加され、それにより、ばね要素134は、ばね力を提供し、そのばね力を使用してシフトバルブを切替位置から初期位置へと移動して戻す。初期位置において、ピストン室とも称される作動室100のシフトバルブを介してタンク136に流体接続されるので、最初に作動室100内に収容される媒体は、シフトバルブを介してタンク136内に流入し、ひいては、作動室100から流出することができる。その結果、ロックピストンは、特に機械式ばね要素104を使用して係合解除位置から係合位置へと移動され、特に変位され、それにより、パーキングロック42が係合される。もちろん、ソレノイドが最初に通電又は制御され、これにより、ばね要素104のばね力を使用してもたらされる又はもたらされ得るロックピストンの係合解除位置から係合位置への移動が可能になる。ロックピストンがその係合位置に到達した場合、ソレノイドへの通電が終了又は停止され、それにより、ロックピストンは、再度ロックされる。パーキングロック42のこの係合が、好適には冗長であるのは、係止要素108が、アクチュエータ116を使用して、したがって電気的にも、油圧シリンダ118を使用して、したがって油圧的にも作用され得るためである。
【符号の説明】
【0050】
10 駆動装置
12 電気機械
14 変速機
16 切替要素
18 切替要素
20 循環回路
22 分岐
24 副分岐
26a、b 枝管
28 副分岐
30 ラジエータ
32 迂回管
34 分岐
35 バルブ要素
36 ポンプ
38 電動機
40 搬送要素
42 パーキングロック
44 分岐
46 バルブ要素
48 バルブ要素
50 ハウジング
52 ピストン
54 ピストンロッド
56 ワーキングチャンバ
58 ワーキングチャンバ
60 両矢印
62 矢印
64 矢印
66 バルブ要素
68 循環回路
70 ポンプ
72 電動機
74 搬送要素
76 バルブ要素
78 ハウジング
80 ピストン
82 両矢印
84 ピストンロッド
86 ワーキングチャンバ
88 矢印
90 ばね要素
92 矢印
94 油圧シリンダ
96 ハウジング
98 ピストン
100 作動室
102 矢印
104 ばね要素
106 矢印
108 係止要素
110 凹部
112 凹部
114 ばね要素
116 アクチュエータ
118 油圧シリンダ
120 矢印
122 油溜め
124 フィルタ
125 タンク
126 リザーブ
127 矢印
128 配管
130 配管要素
132 矢印
134 ばね要素
136 タンク
A 分岐箇所
A1、A2 接続部
【手続補正書】
【提出日】2023-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の駆動装置(10)であって、少なくとも1つの電気機械(12)を備え、変速機(14)を備え、前記変速機(14)を介して、前記電気機械(12)を使用して前記自動車を電気的に駆動可能であり、少なくとも1つの切替要素(16)を備え、前記少なくとも1つの切替要素(16)を使用して、前記切替要素(16)の作動によって前記変速機(14)の少なくとも1つのギヤを切り替え可能であり、第1の循環回路(20)を備え、前記第1の循環回路(20)は、媒体が貫流可能であり、前記電気機械(12)及び/又は前記変速機(14)の冷却及び/又は潤滑のために前記媒体が貫流可能である第1の分岐(22)と、前記切替要素(16)の前記作動のために前記媒体が貫流可能である第2の分岐(34)とを有しており、及び、少なくとも1つの電動ポンプ(36)を備え、前記少なくとも1つの電動ポンプ(36)は、前記第1の循環回路(20)を通して前記媒体を搬送するためのものである、前記駆動装置(10)において、
パーキングロック(42)により特徴付けられるものであって、前記パーキングロック(42)の作動のために、前記第1の循環回路は、前記媒体が貫流可能である第3の分岐(44)を有
し、
前記ポンプ(36)は、
前記媒体を前記ポンプ(36)から各前記分岐(22、34、44)に搬送するために、前記ポンプ(36)が、順方向モードにおいて駆動可能であり、前記順方向モードにおいて、前記ポンプ(36)を使用して前記順方向モードにおいて搬送される前記媒体は、前記ポンプ(36)の第1の接続部(A1)から前記ポンプ(36)の第2の接続部(A2)に流れ、及び
前記ポンプ(36)が、逆方向モードにおいて駆動可能であり、前記逆方向モードにおいて、前記ポンプ(36)を使用して前記逆方向モードにおいて搬送される前記媒体は、前記第2の接続部(A2)から前記第1の接続部(A1)に流れ、それにより、前記媒体は、少なくとも前記第3の分岐(44)の一部から流出可能である、前記駆動装置(10)。
【請求項2】
バルブ要素(46)により特徴付けられるものであって、前記バルブ要素(46)を介して、前記第1の分岐(22)及び前記第2の分岐(34)に、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能であり、前記バルブ要素(46)は、
冷却状態であって、前記冷却状態において、前記第1の分岐(22)は、前記バルブ要素(46)を介して前記ポンプ(36)と流体接続されており、これにより、前記バルブ要素(46)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能とされ、一方、前記第2の分岐(34)は、前記バルブ要素(46)を使用して前記ポンプ(36)から流体分離されている、前記冷却状態と、
作動状態であって、前記作動状態において、前記第2の分岐(34)は、前記バルブ要素(46)を介して前記ポンプ(36)と流体接続されており、これにより、前記バルブ要素(46)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能とされ、一方、前記第1の分岐(22)は、前記バルブ要素(46)を使用して前記ポンプ(36)から流体分離されている、前記作動状態と、
の間で切替可能である、請求項1に記載の駆動装置(10)。
【請求項3】
前記パーキングロック(42)の作動のために、前記バルブ要素(46)は、前記作動状態に切り替えられることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置(10)。
【請求項4】
前記第2の分岐(34)内に配置された、第2のバルブ要素(48)により特徴付けられるものであって、前記第2のバルブ要素(48)は、
係合状態であって、前記係合状態において、前記切替要素(16)は、前記第2のバルブ要素(48)を介して前記第1のバルブ要素(46)に流体接続され、これにより、前記切替要素(16)に、前記バルブ要素(46、48)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能であり、それにより、前記ギヤを係合するために、前記切替要素(16)は、作動可能である、前記係合状態と、
係合解除状態であって、前記係合解除状態において、前記切替要素(16)は、前記第2のバルブ要素(48)を介して前記第1のバルブ要素(46)に流体接続されており、これにより、前記切替要素(16)に、前記バルブ要素(46、48)を介して、前記ポンプ(36)を使用して搬送される前記媒体を供給可能であり、それにより、前記ギヤを係合解除するために、前記切替要素(16)は、作動可能である、前記係合解除状態と、
の間で切替可能である、請求項2又は3に記載の駆動装置(10)。
【請求項5】
前記切替要素(16)は、形状接続式の切替要素であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置(10)。
【請求項6】
前記変速機(14)は、前記切替要素(16)に加えて設けられている、少なくとも1つの第2の切替要素(18)を有すること、
前記駆動装置(10)は、前記第2の切替要素(18)の作動のために前記媒体が貫流可能である第2の循環回路(68)を有すること、及び
前記駆動装置(10)は、前記第2の循環回路(68)を通して前記媒体を搬送するために第2の電動ポンプ(70)を有することと、
を特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の駆動装置(10)。
【請求項7】
前記第2の切替要素(18)は、摩擦接続式の切替要素であることを特徴とする、請求項
6に記載の駆動装置(10)。
【請求項8】
前記ポンプ(36、70)及び前記循環回路(20、68)に共通の油溜め(122)により特徴付けられるものであって、前記油溜め(122)から、前記媒体は、前記ポンプ(36、70)を使用して前記循環回路(20、68)を貫流して搬送可能である、請求項
6又は
7に記載の駆動装置(10)。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の駆動装置(10)を備える自動車。
【国際調査報告】