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特表2023-537591複数の自動試験装置チャネルを較正するための回路および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】複数の自動試験装置チャネルを較正するための回路および方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20230828BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230828BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
G01R31/28 M
G01R31/26 Z
H01L21/66 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508588
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2021061207
(87)【国際公開番号】W WO2022228672
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ロイアー、ゲオルク・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】エスケルドソン、ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AB02
2G003AH06
2G132AD01
2G132AE08
2G132AL15
4M106AA02
4M106AA07
4M106BA14
4M106CA04
4M106DJ18
4M106DJ19
(57)【要約】
【解決手段】複数の自動試験装置チャネルを較正するための回路は、ATEチャネルの1つに電流を供給し、および/またはATEチャネルの1つからの電流を測定するように構成された共通測定ユニットを備える。共通測定ユニットは、共通測定ポートを有し、この共通測定ポートは、共通測定ユニットの共通測定ポートとATEチャネルのそれぞれのDUTポートとの間に回路接続されたそれぞれのダイオードを介して、複数のATEチャネルと結合される。方法もまた開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記ATEチャネルの1つに電流を供給し、および/または前記ATEチャネルの1つからの電流を測定するように構成された共通測定ユニットを備え、
前記共通測定ユニットは、共通測定ポートを有し、
前記共通測定ポートは、前記共通測定ユニットの前記共通測定ポートと前記ATEチャネルの各DUTポートとの間で回路接続された各ダイオードを用いて、前記複数のATEチャネルと結合される、
回路。
【請求項2】
請求項1に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記ATEチャネルは、電流を供給および/または測定する機能を有する、
回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記ATEチャネルの1つ以上は、能動負荷を有し、前記能動負荷は、電流フォース能力を提供するように構成され、および/または
前記ATEチャネルの1つ以上は、パラメトリック測定ユニットを有し、前記パラメトリック測定ユニットは、電流フォース能力および/または電流測定能力を提供するように構成されている、
回路。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、第1の電流方向への電流を可能にするように適合されたそれぞれのダイオードを介して、または第2の電流方向への電流を可能にするように適合されたそれぞれのダイオードを介して、中央測定ユニットを各DUTポートに選択的に連結するように構成されている、
回路。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、第1の電流方向への電流の流れを可能にするように適合された各ダイオードを用いる前記ATEチャネルの各DUTポートに結合した第1の接続ネットワークを備え、
前記回路は、第2の電流方向に電流への流れを可能にするように適合された各ダイオードを用いる前記ATEチャネルの各DUTポートと結合した第2の接続ネットワークを備え、
前記第2の電流方向は、前記第1の電流方向と反対である、
回路。
【請求項6】
請求項5に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、前記第1の接続ネットワークおよび前記第2の接続ネットワークを交互に前記共通測定ユニットに結合するスイッチを備える、
回路。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、第1の電流方向への電流の流れを可能とするように適合された各ダイオードを介して、または第2の電流方向への電流の流れを可能とするように適合された各ダイオードを介して、共通接続ネットワークを各DUTポートに選択的に結合させるように構成された各スイッチを備える、
回路。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、前記共通測定ユニットの前記共通測定ポートと前記ATEチャネルの前記各DUTポートとの間に回路接続された前記ダイオードのうちの1つのみが、ATEチャネルの較正中に順バイアスされるように、較正モードにおいて前記ATEチャネルを動作させるように構成されている、
回路。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
さらなるダイオードが、正の供給電圧ポートと前記共通測定ポートとの間で結合され、および/または
さらなるダイオードが、負の供給電圧ポートと前記共通測定ポートとの間で結合されている、
回路。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記ATEチャネルは、前記DUTポートからの過電圧を分流させるための、前記各DUTポートとそれぞれの正の供給レールとの間にある2つ以上のダイオードの、それぞれの第1の直列回路を有し、
前記共通測定ポートは、第1の直列接続の前記ダイオードの間のタップに結合されており、および/または
前記ATEチャネルは、前記DUTポートから不足電圧を分流させるための、前記各DUTポートとそれぞれの負の供給レールとの間にある2つ以上のダイオードの、それぞれの第2の直列回路を有し、
前記共通測定ポートは、第2の直列接続の前記ダイオードの間のタップに結合されている、
回路。
【請求項11】
請求項10に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記ATEチャネルは、前記第1の直列接続のタップと前記正の供給レールとの間にある前記第1の直列接続の1つ以上のダイオードを選択的に短絡するように構成された、それぞれのスイッチを有し、および/または
前記ATEチャネルは、前記第2の直列接続のタップと前記負の供給レールとの間にある前記第2の直列接続の1つ以上のダイオードを選択的に短絡するように構成された、それぞれのスイッチを有する、
回路。
【請求項12】
請求項11に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、動作の通常モードにおいて、前記それぞれのスイッチを選択的に閉じ、前記第1の直列接続のタップと前記正の供給レールとの間にある前記第1の直列接続の1つ以上のダイオードを短絡するように構成されており、および/または
前記回路は、動作の通常モードにおいて、前記それぞれのスイッチを選択的に閉じ、前記第2の直列接続のタップと前記負の供給レールとの間にある前記第2の直列接続の1つ以上のダイオードを短絡するように構成されている、
回路。
【請求項13】
請求項11または12に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
前記回路は、前記第1の直列接続のタップと前記正の供給レールとの間にある前記第1の直列接続の1つ以上のダイオードを選択的に短絡するように構成された前記それぞれのスイッチ、および/または、前記第2の直列接続のタップと前記負の供給レールとの間にある、前記第2の直列接続の1つ以上のダイオードを選択的に短絡するように構成された前記それぞれのスイッチを較正中に開くように構成されている、
回路。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の複数のATEチャネルを較正するための回路であって、
中央測定ユニットは、デジタル/アナログ変換器DACを介して、フローティング終端を実装するように構成される、
回路。
【請求項15】
複数のATEチャネルを較正するための方法であって、
前記方法は、前記ATEチャネルの1つに電流を供給すること、
および/または、前記ATEチャネルの1つからの電流を測定することを含み、
共通測定ポートは、前記較正を実行するために、前記共通測定ポートと前記ATEチャネルの各DUTポートとの間で回路接続された各ダイオードを用いて、前記複数のATEチャネルと結合される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、複数の自動試験装置チャネルを較正するための回路に関するものである。
【0002】
さらなる実施形態は、複数の自動試験装置チャネルを較正するための方法に関するものである。
【0003】
一般に、本発明に係る実施形態は、自動試験装置(ATE)チャネルのための改良された電流較正に関連するものである。
【背景技術】
【0004】
過去数十年にわたり、集積回路はますます複雑になっている。また、集積回路のピン数は著しく増加している。
【0005】
これは、自動試験装置における集積回路の試験に大きな要求を課している。特に、集積回路の複雑化に伴い、試験のコストを合理的に抑えるという観点から、今日では、ウエハレベルおよびパッケージング後の集積回路を試験するために、自動試験装置を使用することが一般的となっている。さらに、組み立てられたプリント基板も自動試験装置で試験されることがある。
【0006】
自動試験装置は、通常、被試験デバイス(たとえば、集積回路や組み立てられたプリント基板)にあらかじめ定義された刺激信号を与え、与えられた信号に対する被試験デバイスの応答を評価するものである。
【0007】
今日では、デジタル試験(たとえばパターン試験など)と、被試験デバイスの入力および/または出力の電圧-電流特性の測定などのアナログ試験の両方を実行することも一般的になっている。たとえば、アナログ測定は、構成された回路の入力回路および出力回路の整合性、保護ダイオードの適切な機能などを確認するために使用されることがある。
【0008】
その結果、自動試験装置に、電気的によく定義された刺激信号を提供する機能、および/またはDUTの入力および/またはDUTからの信号を正確に特性評価する機能を備えることが望まれる。したがって、自動試験装置チャネルのピンエレクトロニクスは、しばしば、十分に定義された電流および/または十分に定義された電圧を提供する回路を備える。さらに、自動試験装置チャネルのピンエレクトロニクスは、しばしば、電流および/または電圧を正確に測定する回路を含む。
【0009】
良好な精度を有するために、ピンエレクトロニクスを較正することがしばしば望ましい、または必要でさえある。図6に、従来の較正回路の概略図を示す。
【0010】
しかし、ピンエレクトロニクスの較正は、しばしば、時間の点でも、必要な装置および/または必要な回路の点でも、高い労力をもたらすことが判明している。このような状況に鑑み、複数の自動試験装置チャネルを較正する際に、精度、所要時間、および所要回路の労力の間のより良いトレードオフを可能にする概念を創出することが望まれている。
【発明の概要】
【0011】
本発明に係る一実施形態は、複数の自動試験装置(ATE)チャネル(たとえば、ATEピンエレクトロニクス(ATE PE)を有する)を較正するための回路を作成する。この回路は、ATEチャネルの1つに(たとえば、選択されたATEチャネルに、たとえば、1つ以上の他のATEチャネルが停止している間に作動されるATEチャネルに)電流を提供し、および/またはATEチャネルの1つからの(たとえば、選択されたATEチャネルから、たとえば、1つ以上の他のATEチャネルが停止している間に作動されるATEチャネルから提供または実施された)電流を測定するように構成される共通測定ユニット(たとえばCMUで指定)を含む。さらに、共通測定ユニットは、共通測定ポートを有し、この共通測定ポートは、共通測定ポートと共通測定ユニット(これは、たとえば、共通測定ユニット(CMU)に直接またはリレーを介して結合された垂直線を用いて図示されている。)との間に回路接続された(または配置された)それぞれのダイオード(たとえば、ノードDUT1~DUTnに接続された「上」ダイオード)およびそれぞれのDUTポート(たとえば、DUT1~DUTnが接続されるATE PEとも呼ばれる自動試験装置ピンエレクトロニクスのポート)を用いて(たとえば介して)、複数のATEチャネルと結合される。
【0012】
本発明に係るこの実施形態は、たとえば、複数のATEチャネルの較正を効率的に行うことができる。たとえば、較正は、共通測定ユニットからそれぞれのダイオードを介してATEチャネルの1つに明確に定義された電流を供給することと、考慮されたATEチャネルの測定ユニットによって供給された電流を測定することとを含んでよい。共通測定ユニットからそれぞれのダイオードを介して選択されたチャネルに提供された電流を、選択されたATEチャネルの測定ユニットの測定結果と比較することによって、たとえば、ATEチャネルの測定ユニットの不正確さを補償するための補正係数(または、一般的には、1または複数の補正値)が決定され得る。多くの場合、1つの補正値では十分でないことに留意すべきである。たとえば、線形である場合(たとえば、線形補正が行われる場合)、たとえば、オフセット値およびゲイン値が必要とされる場合がある。別の例として、非線形であれば(たとえば非線形補正を行う場合)、ルックアップテーブル(たとえば複数のパラメータまたはエントリを有する)または数式(たとえば複数のパラメータからなる)を使用することができる。たとえば、共通測定ユニットによって提供される電流の高い精度は、(たとえば、集中化された)共通測定ユニットにおいて高品質の電流基準を使用することによって達成され得るが、一方、個々のATEチャネルの測定ユニットは、一般的に、その特性においてより精度が低く、それほどよく制御されない。
【0013】
あるいは、ATEチャネルの1つは、指定された電流を供給するように構成(たとえば、プログラム)され、この電流はそれぞれのダイオードを介して共通測定ユニットに送られてよい。共通測定ユニットは、選択されたATE電流がダイオードを介して提供する電流を正確に測定してよく、共通測定ユニットによって測定された電流値と指示された電流との比較に基づいて、適切な補正係数または較正係数(または、一般に、1つ以上の補正値)が決定されてよい。
【0014】
本発明に係るこの実施形態は、共通測定ユニットと複数のATEチャネルとをそれぞれのダイオードを介して結合することにより、共通測定ユニットとATEチャネルとの間に多数の広くて高価で時には信頼性の低いリレーを備える必要がなくなる、または別のさらに高価な較正機構を使用する必要がなくなるという考えに基づいている。特に、適切なバイアスを適用することで、どのATEチャネルを共通測定ユニットと効果的に結合させるか、すなわち、特定の較正ステップ中にどのダイオードを導通させるかを決定できることが判明している。さらに、現在導通しているダイオードの電圧降下は、多くの較正手順(たとえば、電流較正)において許容されることが分かっている。さらに、ダイオードは、たとえばスイッチングトランジスタがDUTポートに結合されている場合と比較すると、寄生容量を適度に小さく保つのに役立つことが分かっている。ダイオードが逆バイアスされている場合(たとえば、通常動作時)、DUTポートの容量負荷は小さくなる。
【0015】
結論として、共通測定ユニットの共通測定ポートとATEチャネルとの間に回路接続されたダイオードを使用することで、正確な較正を行いながら、労力を大幅に削減できることが判明した。
【0016】
一態様によれば、複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路において、ATEチャネルは、電流を供給および/または測定するための機能を有する。たとえば、ATEチャネルの1つ以上は、ドライバおよび/またはコンパレータおよび/または能動負荷および/またはパラメトリック測定ユニット(たとえば、PPMUまたはPMUと指定される)を含んでよい。
【0017】
共通測定ユニットの共通測定ポートとATEチャネルとの間にダイオードを有するという概念は、そのような場合、ダイオード間の電圧降下が典型的には較正結果を低下させない(または著しく低下させない)ため、ATEチャネルの電流提供機能の較正および/またはATEチャネルの電流測定機能の較正に特によく適していることが判明している。したがって、ATEチャネルの電流提供機能は、たとえば、共通測定ユニットの正確な電流測定機能を使用して較正されてよく、ダイオードの適切なバイアスは、たとえば、他のATEチャネルに関連するダイオードが遮断または逆バイアスされている間に、較正対象のATEチャネルによって提供される電流(および較正対象のATEチャネルによって提供される電流のみ)が共通測定ユニットに送られることが保証されうる。同様に、ATEチャネルの電流測定機能は、共通測定ユニットによって提供される電流を較正されるべき単一のATEチャネルに選択的に送ることによって較正でき、これは、今度は、共通測定ユニットの共通測定ポートとATEチャネルとの間に結合されるダイオードの適切なバイアスによって達成できる。通常、ダイオード間の電圧降下は較正精度を著しく低下させず、現在較正されていないチャネルに関連するダイオードの遮断効果は、通常、十分に良好である。
【0018】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、ATEチャネルの1つ以上は、能動負荷を含み(たとえば、ATE PEの一部として)、能動負荷は、電流フォース能力を提供するよう構成される。代替的にまたは追加的に、ATEチャネルの1つ以上は、パラメトリック測定ユニット(たとえば、ATE PEの一部として)を有し、パラメトリック測定ユニット(たとえば、PMUまたはPPMU)は、電流フォース能力および/または電流測定能力を提供するように構成される。この問題に関して、能動負荷を有し、パラメトリック測定ユニット(PMUまたはPPMU)を有しないATEチャネル、または能動負荷を有さず、電流フォースのみまたは電流測定能力のみを有するPMUを有することが可能であることに留意されたい。
【0019】
電流フォース機能および/または電流メジャー機能を備えることにより、半導体デバイスの特性、または半導体製造プロセスの特性を決定できる。しかし、CMUの共通測定ポートに接続されたダイオードは、CMUとのダイオード接続により、精度を落とすことなく効率的に能動負荷を較正できるため、特に電流フォース機能を持つ能動負荷を持つATEチャネルの較正に有用であることが分かっている。たとえば、CMUの電流測定能力は、ATEチャネルの能動負荷を較正するために使用でき、またはCMUの電流フォース能力は、それぞれのダイオード間の電圧降下が問題ないATEチャネルの電流測定能力を較正するために使用できる。
【0020】
追加の意見として、能動負荷およびPMUを持たないATEチャネル、または能動負荷および電流フォースのみまたは電流測定能力のみを持つPMUが存在してよいことに留意されたい。言い換えれば、ATEチャネルが能動負荷およびPMUの両方を有することは必須ではない。むしろ、場合によっては、たとえば、ATEチャネルが能動負荷またはPMUのいずれか一方のみを有することで十分である場合もある。
【0021】
好ましい一実施形態では、複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路は、選択的に結合するように構成される(たとえば、外部(たとえば、オンチップではない)、または追加の、リレーを使用する場合、第1の接続ネットワークおよび第2の接続ネットワークを介して、または共通接続ネットワークおよび任意に、ATEチャネル内に配置された内部スイッチ(たとえば、オンチップスイッチ)を介して)中央測定ユニットを、第1の電流方向(たとえば、DUTポート)に電流が流れるように適合されたそれぞれのダイオードを介して、または(その代わりに)第2の電流方向(たとえば、それぞれのDUTポートからCMUへ)に電流が流れるように適合されたそれぞれのダイオードを介して、それぞれのDUTポートに選択的に結合するように構成されている。
【0022】
第1の電流方向への電流の流れを可能にする、または第2の方向への電流の流れを可能にするそれぞれのダイオードを有することにより、たとえば、非選択のATEチャネルに関連するダイオードを非導通状態にバイアスすることによって、単一のATEチャネルのみがCMUに有効に結合されることを達成できる。
【0023】
したがって、異なるATEチャネルに関連する個別のリレーを使用せずに、単一の選択されたATEチャネルの較正を実行できる。
【0024】
好ましい一実施形態では、複数のATEチャネル(ATE PE)を較正するための回路は、それぞれのダイオードを用いてATEチャネルのそれぞれのDUTポートと結合された第1の接続ネットワーク(たとえば、ATEチャネルに関連する分岐を有する共通線)を備え、これらは、第1の電流方向へ(たとえば、それぞれのDUTポートから第1の接続ネットワークへ)の電流の流れを可能にするよう適合されている。さらに、回路は、第2の電流方向(たとえば、第1の電流方向と反対であってもよい。)の電流の流れ(たとえば、それぞれの接続ネットワークからそれぞれのDUTポートへ)を可能にするように適合されているそれぞれのダイオードを用いてATEチャネルのそれぞれのDUTポートに結合された第2の接続ネットワーク(たとえば、ATEチャネルに関連するブランチを有する共通線)を含む。たとえば、第2の電流方向は、第1の電流方向と反対である。
【0025】
第1の接続ネットワークおよび第2の接続ネットワークを使用することによって、電流が共通測定ユニット(CMU)から選択されたATEチャネルに流れるべきか、または選択されたATEチャネルから共通測定ユニットに流れるべきかを決定することが可能である。たとえば、ダイオードは、第1の接続ネットワークとATEチャネルとの間に結合される単一のダイオード、たとえば選択されたATEチャネルに関連するダイオードのみが(たとえばある時間に)順バイアスされ、第2の接続ネットワークとATEチャネルとの間に結合されるすべてのダイオードが(ある時間に)逆バイアスされるような方法でバイアスされてよい。したがって、選択された1つのATEチャネルは、この状況において、第1の電流方向の電流の流れのみを用いて較正できる。一方、第2の電流方向で較正を行うべき場合、第1の接続ネットワークに結合されたすべてのダイオードは逆バイアスされ、第2の接続ネットワークに結合された単一のダイオード(たとえば、第2の接続ネットワークと較正されるべき選択されたDUTチャネルとの間に結合されたダイオード)は順バイアスされ得る。
【0026】
しかしながら、第1の接続ネットワークに結合されたダイオードと第2の接続ネットワークに結合されたダイオードとで、異なるバイアス条件が必要とされる場合があることに留意されたい。したがって、2つの別々の接続ネットワークを有することによって、ダイオードのバイアスを十分に制御された方法で調整することが可能であり、接続ネットワークの1つと較正される選択されたATEチャネルとの間にある単一の「結合ダイオード」を導通するように選択できる一方で、ATEチャネルを接続ネットワークと結合する他のすべてのダイオードは逆バイアス(または非導通)である。その結果、この構造では、個別に選択可能なATEチャネルを、所望の(選択可能な)電流方向で較正できる。
【0027】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、回路は、共通測定ユニットを第1の接続ネットワークおよび第2の接続ネットワークと交互に結合するスイッチ(たとえば、リレーまたはFET、または任意の他のタイプのスイッチ)を備える(たとえば、較正中の電流フローの方向に依存する)。
【0028】
単一のリレーの使用は、接続ネットワークを共通測定ユニットに結合するのに効率的であることが判明している。特に、リレー結合は、所望の電流方向に関して全く影響を受けず、単一の中央リレー(チャネル個別のリレーではなく)のみが必要であるため、リレーを使用するための労力は十分に許容可能である。
【0029】
複数のATEチャネル(ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、回路は、共通接続ネットワークを備える。回路(たとえば、ATEチャネル)は、共通接続ネットワークを、それぞれのダイオードを介してそれぞれのDUTポートに選択的に結合するように構成されたそれぞれのスイッチを備える。これらのダイオードは、たとえば電流が第1の電流方向に(たとえば、それぞれのDUTポートから第1の接続ネットワークへ)流れる較正が行われる場合、第1の電流方向に電流が流れることを可能にするように適合されており、電流が第2の電流方向に(たとえば、それぞれの接続ネットワークからそれぞれのDUTへ)流れる較正が行われる場合、第2の電流方向に電流が流れることを可能にするように適合されている。
【0030】
オンチップスイッチであってよいスイッチを使用して、異なるダイオード(たとえば、第1の電流方向用および第2の電流方向用)を介して、それぞれのDUTポートに共通接続ネットワークを結合することにより、本発明の概念を効率的に実施できることが判明している。特に、たとえば共通接続ネットワークとDUTポートとの間に直列に結合されるスイッチとダイオードとの組み合わせにより、選択されたDUTポートと共通測定ユニットとの間に電流経路を良好に制御して確立できることが判明した。たとえば、スイッチは必ずしも個々に切替可能である必要はない。むしろ、たとえば、第1の方向(たとえば、DUTポートから共通接続ネットワークへの電流の流れ方向)を有するダイオードに結合されたスイッチが共同で作動することで十分であり、また、反対の電流の流れ方向に関連する他のスイッチ(たとえば、他のダイオードと直列である)が共同で作動することで十分である。しかし、共通接続ネットワークを使用することにより、配線の手間が省け、たとえば、それぞれのダイオードと直列になっているスイッチを、1つ以上のATEチャネルを実装するチップ上に設けることができれば、特に効率的である。さらに、ダイオードは、DUTポートとスイッチとの間にあってもよく、スイッチは、その間のダイオードによってDUTポートから「絶縁」または「分離」され、これは、容量性負荷を低減するのに役立つ場合がある。さらに、回路は、たとえば、開いたスイッチに関連するダイオードが逆バイアスになるように適合させることができる。
【0031】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、回路は、共通測定ユニットの共通測定ポート(たとえば、共通測定ユニットに直接またはリレーを介して結合された垂直線によって図示される。)とそれぞれのDUTポート(たとえば、DUT1~DUTnが接続されるATE PEのポート)との間に回路接続されたダイオード(たとえば、ノードDUT1~DUTnに接続された「上」のダイオード)の1つのみが、(たとえば選択された)ATEチャネルの較正中に(たとえば、現在較正されていない1つまたは複数のATEチャネルを高インピーダンス状態に設定することによって、および/または現在較正されていない1つまたは複数のATEチャネルをそれぞれのダイオードが逆バイアスになる状態に設定することによって)順方向バイアスされるように、較正モード中にATEチャネルを作動させるように構成されている。
【0032】
ある時点で単一のダイオードのみを順方向バイアスすることにより、単一のATEチャネルを中央測定ユニットに選択的に結合することができ、これにより選択されたチャネルの較正が可能になる。たとえば、ダイオードの適切なバイアスは、異なるATEチャネルによって提供される電圧の適切な設定によって得ることができる。さらに、共通測定ポートとATEチャネルとを接続する1つ以上の接続ネットワークは、単一のATEチャネルのみが中央測定ユニットと効果的に結合されるように、単一のダイオードの順方向バイアス(または「作動」)をもたらす適切なバイアス電圧に設定することも可能である。さらに、ATEチャネルは通常、非常に効率的かつ高速な方法で出力電圧の広い範囲内でプログラム可能であるため、ATEチャネルの適切な設定は、通常、非常に簡単な方法で達成できることに留意されたい。
【0033】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、正の供給電圧ポート(たとえば、VCC)、および/または負の供給電圧ポート(たとえば、VCC)と共通測定ポートとの間に、さらなるダイオードが結合される。
【0034】
このようなダイオードを追加することにより、ATEチャネルの過電圧保護(または低電圧保護)を、較正中も含め、いかなる状況下でも維持できる。
【0035】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、ATEチャネルは、それぞれのDUTポートとそれぞれの正の供給レール(たとえば、VCC)との間に2つ以上のダイオードのそれぞれの第1の直列回路を有し、DUTポートからの過電圧を分流させる。この場合、共通測定ポートは、第1の直列接続のダイオード間のタップに結合される。代替的にまたは追加的に、ATEチャネルは、それぞれのDUTポートとそれぞれの負の供給レール(たとえば、VEE)との間に2つ以上のダイオードのそれぞれの第2の直列回路を有し、DUTポートからの不足電圧を分流するようにしたものである。この場合、共通測定ポートは、第2の直列接続のダイオード間のタップに結合される。
【0036】
しかしながら、第1の直列接続のダイオード間のタップおよび/または第2の直列接続のダイオード間のタップの使用により、ATEチャネルの較正のために(たとえば、第1の直列接続の)過電圧保護ダイオードおよび/または(たとえば、第2の直列接続の)低電圧保護ダイオードを二重に使用できることに注意する必要がある。したがって、第1の直列接続のダイオードは、DUTポートにおける許容「過電圧」を調整するのに適しており、同時に、中央測定ユニットからATEチャネルに供給される電流を効率的に注入する(または中央測定ユニットに対してチャネルを排出する)ことを可能できる。
【0037】
複数のATEチャネルを較正するための回路の好ましい一実施形態では、ATEチャネルは、第1の直列接続のタップと正の供給レールとの間にある第1の直列接続の1つ以上のダイオードを選択的に短絡させるように構成されたそれぞれのスイッチを有する。代替または追加で、ATEチャネルは、第2の直列接続のタップと負の供給レールとの間にある第2の直列接続の1つまたは複数のダイオードを選択的に短絡するように構成された各スイッチを有する。
【0038】
このような構造を用いると、ATEチャネルの過電圧耐性および/またはATEチャネルの低電圧耐性を調整できる。言い換えれば、DUTポートの電圧が正の供給電圧(たとえば、VCC)よりどれだけ大きいか、および/またはDUTポートの電圧が負の供給電圧(たとえば、VEE)よりどれだけ小さいかによって調整できる。さらに、このような構成にすることで、較正中も過電圧保護や低電圧保護が可能であり、高い信頼性を確保できる。
【0039】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、回路は、通常動作モード(較正が行われない)において、たとえば較正モードにおいてスイッチを開いたままにしながら、第1の直列接続のタップと正の供給レールとの間にある第1の直列接続の1つ以上のダイオードを短絡させるために、それぞれのスイッチを選択的に閉じるように構成されている。代替的にまたは追加的に、回路は、それぞれのスイッチを選択的に閉じて、通常動作モード(較正が実行されない)において、たとえば較正モードにおいてスイッチを開いたままにしながら、第2の直列接続のタップと負の供給レールとの間にある第2の直列接続の1つまたは複数のダイオードを短絡させるように構成されている。
【0040】
このような概念を用いることで、DUTポートの容量性負荷を低減できる。さらに、このような概念を(たとえば、通常動作時に)用いて、1つ以上の接続ネットワークを所定の電位に(たとえば、VCCまたはVEEに)効率的に結びつけることができ、これにより、通常動作条件下での異なるDUTポート間の望ましくないクロスクロッピングを非常に効率的に回避できる。さらに、信頼性の高い過電圧保護が同時に提供される。このように、この概念は、数多くの利点からなる、特に効率的な実装をもたらす。
【0041】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、較正中に、第1の直列接続のタップと正の供給レールとの間にある第1の直列接続の1つまたは複数のダイオードを選択的に短絡するように構成されたそれぞれのスイッチ、および/または第2の直列接続のタップと負の供給レールとの間にある第2の直列接続の1つまたは複数のダイオードを選択的に短絡するように構成されたそれぞれのスイッチを開くよう構成されている。通常動作状態で第1の直列接続の1つ以上のダイオードおよび/または第2の直列接続の1つ以上のダイオードを短絡できるそれぞれのスイッチを、較正モードで動作するときに選択的に開くことによって、1つ以上の接続ネットワークが正の供給電位および/または負の供給電位から分離され、妥当な較正動作が可能となるようにする。また、過電圧保護機能および/または低電圧保護機能は、同時に、較正モードではもはや短絡されていないダイオードによって提供される。
【0042】
複数のATEチャネル(たとえば、ATE PE)を較正するための回路の好ましい一実施形態では、CMUは、デジタル/アナログ変換器を介して(たとえば、精密抵抗の)フローティング終端を実装するように構成されている。
【0043】
このようなフローティング終端を使用すると、接続ネットワークの電位は、たとえば、デジタル/アナログ変換器の出力電圧を適切に設定することによって、所望のように調整できる。したがって、上記ダイオードの適切なバイアス(たとえば、ATEチャネルの出力電圧の適切な設定との組み合わせ)を達成できる。また、デジタル/アナログ変換器の出力電圧を変化させることにより、異なる電圧に対してATEチャネルが所望の電流を供給するかどうかを検証したり、ATEチャネルの電流-電圧特性を決定したりできる。同様に、ATEチャネルの電流シンク機能が異なる電圧で機能するかどうかも確認できる。
【0044】
本発明に係る別の一実施形態は、複数のATEチャネルを較正するための方法に関するものである。この方法は、ATEチャネルの1つに(たとえば、選択されたATEチャネルに、たとえば、1つ以上の他のATEチャネルが停止している間に作動されるATEチャネルに)電流を供給することを含む。代替的にまたは追加的に、本方法は、ATEチャネルのうちの1つ(たとえば、選択されたATEチャネル、たとえば、1つまたは複数の他のATEチャネルが停止している間に作動されるATEチャネル)から(たとえば、それによって提供または実施される)電流を測定することを含む。この方法では、共通測定ポート(たとえば、CMUに直接またはリレーを介して結合された垂直線で示される)とATEチャネルのそれぞれのDUTポート(たとえば、DUT1~DUTnが接続されたATE PEのポート)との間に回路接続された(たとえば、配置された)それぞれのダイオード(たとえば、ノードDUT1~DUTnに接続された上部ダイオード)を用いて、複数のATEチャネルに共通測定ポートが結合されて、較正が実施される。
【0045】
この方法は、上述した回路と同様の考察に基づいている。さらに、本方法は、本明細書に開示された特徴、機能、および詳細のいずれかによって、個々に、および組み合わせて取られ、任意に補足され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明に係る実施形態は、続いて、添付図を参照して説明される。
図1図1は、本発明の一実施形態に係る、複数のATEチャネルを較正するための回路のブロック概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る、複数のATEチャネルを較正するための回路の回路図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る、複数のATEチャネルを較正するための回路の概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る、複数のATEチャネルを較正するための回路の概略図である。
図5図5は、複数のDUTチャネルを較正するための回路における使用のためのフローティング終端を示す概略図である。
図6図6は、従来の回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
1.図1に係る回路
図1は、本発明の一実施形態に係る、複数のATEチャネルを較正するための回路のブロック概略図である。
【0048】
図1に係る回路は、第1のATEチャネル110および第2のATEチャネル120を備える。この回路は、ATEチャネルの1つに(たとえば、選択されたATEチャネルに、たとえば、1つ以上の他のATEチャネルが停止している間に作動されるATEチャネルに)電流を供給するように構成された共通測定ユニット130を更に備える。代替的にまたは追加的に、共通測定ユニットは、ATEチャネルのうちの1つ(たとえば、選択されたATEチャネル、たとえば、1つまたは複数の他のATEチャネルが停止している間に作動されるATEチャネル)からの(たとえば、それによって提供または実施される)電流を測定するよう構成される。さらに、共通測定ユニットは、共通測定ポート132を有し、この共通測定ポートは、共通測定ユニットの共通測定ポート132とATEチャネル110、120のそれぞれのDUTポート111、121との間に回路接続されている(たとえば、配置されている)それぞれのダイオード112、122を用いて、複数のATEチャネル110、120に結合される。
【0049】
図1から分かるように、たとえば、第1のATEチャネル110のDUTポート111と共通測定ポート132との間には、第1のダイオード112が回路接続されている。さらに、第2のATEチャネル120のDUTポート121と共通測定ポートの間には、たとえば、第2のダイオード122が回路接続されている。たとえば、第1のダイオード112と第2のダイオード122は、同じ向きで構成されてよい。
【0050】
以下では、回路100の機能例について説明する。
【0051】
たとえば、較正モードにおいて、共通測定ユニット130は、その共通測定ポート130において所定の(たとえば、正確に調整可能な)電流を提供するように構成されてよい。この目的のために、共通測定ユニット130は、たとえば、正確に調整可能な電流源を有してよい。さらに、ATEチャネル110、120の電圧レベルは、ダイオード112が導電性である一方、ダイオード122が非導電性(たとえば、ブロックまたは逆バイアス)であるように調整されてよい。したがって、第2のダイオード122を適切にバイアスすることによって、第2のダイオード122を介して電流が流れない(または有意でない)ことが保証され得る。その結果、共通測定ユニット130から供給される電流は、ダイオード112を介して第1のATEチャネル110に流入し、第1のATEチャネル110は、たとえば、その電流を測定できる。当該測定器に基づいて、第1のATEチャネル110の較正が行われてよい。
【0052】
さらなる較正ステップにおいて、たとえば、第1のダイオード112が非導通である間に第2のダイオード122が導通するように、バイアス条件を交換してよい(たとえば、ブロックバイアスまたは逆バイアスされる)。したがって、測定ユニット130によって提供される電流は、次に、この第2の状態において第2のATEチャネル120によって測定されてよく、これにより、第2のATEチャネルの較正が可能になる。
【0053】
したがって、ダイオード112、122のバイアス条件を調整することによって、ATEチャネル110、120のいずれが共通測定ユニット130に有効に結合されるかを決定できることが明らかである。その結果、ATEチャネル110、120の個々のものを較正できる。
【0054】
一方、ATEチャネルによる所定の電流の供給と、共通測定ユニットによる当該電流の測定も可能である。たとえば、第1のATEチャネル110は電流を提供するように構成され、第2のATEチャネル120は、第2のダイオード120が非導通(たとえば、ブロッキングまたは逆バイアス)状態にあるように構成(たとえば、プログラム)されてよい。したがって、第1のATEチャネル110によって提供される電流は、第1のダイオード112および共通測定ポート132を介して共通測定ユニット130に流れてよく、共通測定ユニット130によって測定されてもよい。したがって、電流の測定に基づいて、較正が行われてもよい。第2のダイオード122を適切にバイアスすることにより、第1のATEチャネル110および第2のATEチャネル120が共にダイオードを介して共通測定ポートに結合されても、第1のATEチャネルから供給される電流を共通測定ユニットで個別に測定できることを保証できる。
【0055】
結論として、ATEチャネル110、120と共通測定ポートとの間に回路接続されるダイオード112、122の適切なバイアスによって、上記(選択された)チャネルの較正を行うために、個々のATEチャネル110、120を共通測定ユニットに効果的に結合できることが明らかとなる。
【0056】
さらに、図1に記載されたような概念は、より多数のATEチャネルに任意に拡張され得ることに留意されたい。さらに、ATEチャネル110、120は、たとえば、自動試験装置の一部であってよいことに留意されたい。ATEチャネルは、たとえば、試験プログラム実行装置によって実行され得る試験プログラムの制御下で、調整可能またはプログラム可能であってもよい。さらに、ATEチャネル110、120は、たとえば、複数のATEチャネルを有するモジュールであるチャネルモジュールの一部であってよい。しかしながら、自動試験装置は、非常に多数のATEチャネル、たとえば、数百または数千のオーダーのATEチャネルを有してよい。ATEチャネル110、120は、異なる機能性を有してよい。たとえば、ATEチャネルは、プログラマブル電流源またはプログラマブル能動負荷を有してよい。代替的にまたは追加的に、ATEチャネルは、たとえば電流測定を実行できる測定ユニットを含んでよい。たとえば、測定ユニットは、被試験デバイスDUTの入力および/または出力(たとえば、一般的にはピン)の特性を測定できる「パラメトリック測定ユニット」の一部であってもよい。特に、DUTポート111、121は、典型的には、被試験デバイスに結合されるように、または被試験デバイスに接触するためのDUTソケットを有する負荷ボードに結合されるように適合されていることに留意されたい。
【0057】
結論として、複数のATEチャネルを較正するための回路100は、自動試験装置における使用に適しており、個々のATEチャネルに関連するリレーを使用せずに、複数のATEチャネルの較正を可能にする。
【0058】
さらに、回路100は、本明細書に開示された特徴、機能性および詳細のいずれかによって、個別におよび組み合わせて、任意に補足され得る。また、回路100に関して説明された特徴、機能性、および詳細のいずれかが、個々に、および組み合わせて取られた両方で、本明細書に開示された他の任意の実施形態に任意に導入されてよい。
【0059】
2.図2に係る回路
図2は、複数のATEチャネルを較正するための回路200のブロック概略図である。回路200は、複数のATEチャネル220、230、240、250と、中央測定ユニット260とを備える。たとえば、ATEチャネル220、230、240、250は、ATEチャネル110、210に対応してよく、中央測定ユニット260は、たとえば、共通測定ユニット130に対応してよい。
【0060】
また、回路200は、第1の接続ネットワーク270および第2の接続ネットワーク280を備える。
【0061】
第1のATEチャネル220は、たとえば、DUTポート221を備え、このDUTポートは、被試験デバイスのピンに結合されるように適合されている。さらに、第1のATEチャネル220は、第1の較正接続224および第2の較正接続226を備える。第1の較正接続224は、第1の接続ネットワークに接続され、第2の較正接続は、第2の接続ネットワーク280に結合される。さらに、第1の接続ネットワーク270および第2の接続ネットワーク280は、リレー290を介して中央測定ユニット260の共通測定ポート262に結合される。たとえば、リレー290は、共通測定ポート262を第1の接続ネットワーク270と第2の接続ネットワーク280とに選択的に結合してよい。
【0062】
以下では、第1のATEチャネル220に関する詳細について説明する。しかしながら、他のATEチャネル230、240、250は、たとえば、第1のATEチャネル220と同一であってもよいことに留意されたい。
【0063】
第1のATEチャネル220は、ATEピンエレクトロニクス(ATE PE)224を有し、そのDUT接続224aは、DUTポート221に結合される。さらに、ATEピンエレクトロニクスの正電源接続224bは、正の供給電圧VCCに結合されてよく、ATEピンエレクトロニクス224の負の供給電圧接続224cは、負の供給電圧VEE(たとえば、第1の供給電圧VCCと比較して負であってもよい)に結合されることができる。ATEチャネル220はまた、2つのダイオード228a、228bの第1の直列接続を有し、第1のダイオード228aのアノードがDUT接続224aに結合され、第1のダイオード228aのカソードが第2のダイオード228bのアノードに結合され、第2のダイオード228bのカソードが正の供給電圧VCCに結合されてよい。第1のダイオード228aのカソードと第2のダイオード228bのアノードとに結合されるノードは、たとえば、第1の接続ネットワーク270にも結合されてよい。同様に、第1のATEチャネル220は、第3のダイオード228cおよび第4のダイオード228dを有する第2の直列接続を含む。第3のダイオード228cのアノードは、負の供給電圧VEEに結合され、第3のダイオード228cのカソードは、第4のダイオード228dのアノードに結合される。したがって、第1の接続ネットワークはダイオード228a、228bの第1の直列接続のタップに結合され、第2の接続ネットワーク280はダイオード228c、228dの第2の直列接続のタップに結合されていると言える。
【0064】
第2のATEチャネル230、第3のATEチャネル240および第4のATEチャネル250は、第1のATEチャネル220のような類似の構造を有してよいことに留意されたい。特に、第2のATEチャネルも第1の較正接続234および第2の較正接続236を有し、第3のATEチャネルも第1の較正接続244および第2の較正接続246を有することに留意されたい。第4のATEチャネル250は、第1の較正接続254および第2の較正接続256を有する。ATEチャネル220、230、240、250の第1の較正接続224、234、244、254は、すべて第1の接続ネットワーク270に接続されていることに留意されたい。たとえば、第1の較正接続224、234、244、254はすべて、第1の接続ネットワーク270を形成する同じ導電性トレースに(たとえば、その間に追加のスイッチなしで)直接結合されてもよい。同様に、異なるATEチャネルの第2の較正接続226、236、246、256は、すべて第2の接続ネットワーク280を形成する同じ導電性構造に結合されてよい。たとえば、第2の較正接続226、236、246、256はすべて、第2の接続ネットワーク280を形成する導電性構造または導電性ストリップに直接結合されてもよい(たとえば、その間にいかなるスイッチも設けずに結合されてもよい)。
【0065】
以下では、回路200の動作の一例について説明する。
【0066】
第1の場合(または設定)において、ATEチャネルのうちの選択された1つ、たとえば、第1のATEチャネル220によって提供される電流は、中央測定ユニットによって測定される。この目的のために、リレー290は、中央測定ユニット260の共通測定ポート262を第1の接続ネットワーク270と接続するように構成される。選択されたATEチャネル、この場合、第1のATEチャネル220は、所望の電流を供給するように構成されている(たとえば、所望の設定値に設定されている)。この目的のために、第1のATEチャネル220の出力電圧は、第1のダイオード228aが導通状態になるように調整されてよい。この目的のために、中央測定ユニット260の共通測定ポート262に存在する電位も、ダイオード228aが順方向にバイアスされるような電位に調整される。同時に、ダイオード228bは逆バイアスされることが望ましい。さらに、他の、選択されていないATEチャネルのDUTポートの電圧は、たとえば、それぞれのダイオード238a、248a、258aが逆バイアスされるような電圧に調整される。したがって、他の、選択されていないATEチャネル230、240、250からの第1の接続ネットワーク270への電流の流れはない。むしろ、電位の適切な調整によって、ダイオード228aのみが順方向バイアスされ、第1のATEチャネル220のみが第1の接続ネットワーク270に電流を提供することが確保され得る。次いで、第1のATEチャネル220によって第1の接続ネットワーク270に提供される電流は、中央測定ユニット260の測定ユニットによって測定される。
【0067】
したがって、ダイオード228a、238a、248a、258a、および他のダイオードの適切なバイアスによって、中央測定ユニット260(上記の例では、第1のATEチャネル220)に結合された単一のATEチャネルのみを効果的に有することができることが明らかである。したがって、選択されたATEチャネル(たとえば、第1のATEチャネル220)により提供される電流の測定が可能であり、これにより、当該ATEチャネルの較正が可能となる。
【0068】
当然、バイアス条件を変更する(たとえば、第1のATEチャネル220の第1のダイオード228aがブロックされ、他のATEチャネルの1つの第1のダイオード238a,248a,258aが順方向にバイアスされるように)ことによって、すべてのATEチャネルをその後較正することが可能である。
【0069】
別の場合(または設定)には、中央測定ユニット260は、たとえば、精密で好ましくは調整可能な電流源を用いて、電流を供給する。この場合、中央測定ユニット260の共通測定ポート262は、たとえば、第2の接続ネットワーク280に結合されることができる。さらに、ATEチャネル220,230,240,250のATEピンエレクトロニクス224,234,244,254は、ATEチャネルのうちの選択された1つについてだけ、第2の接続ネットワークとDUTポートとの間のダイオード228d,238d,248d,258dが導通(たとえば順バイアス)するように設定されてよい。たとえば、第1のATEチャネル220が選択された場合、第1のATEチャネル220のピンエレクトロニクス224は、ダイオード228dが導通するように構成される(または、プログラムされる)。この目的のために、中央測定ユニット260の共通測定ポート262における電位も適切な値に設定され、これにより、ダイオード228dのそのようなバイアスが可能である。対照的に、他のATEチャネルの(すなわち、非選択のATEチャネルの)ピンエレクトロニクス234、244、254は、第2の接続ネットワーク280と他のATEチャネル230、240、250のDUTポート231、241、251との間のダイオード238d、248d、258dが非導通(たとえば、ブロックまたはリバースバイアス)するように設定されている。したがって、中央測定ユニット260によって提供される典型的に明確に定義された電流は、たとえば、リレーおよび第2の接続ネットワーク280によって、第2の接続ネットワークと選択されたATEチャネル220のDUTポート221との間に結合される(その後順バイアスされた)ダイオード228dを介して、単一の選択されたATEチャネルにのみ転送される。対照的に、第2の接続ネットワークから他のATEチャネルのDUT接続231、241、251に向かう電流の流れは、(その時)逆バイアスダイオード238d、248d、258dによって防止される。したがって、中央測定ユニット260によって提供される電流は、単一の選択されたATEチャネルに転送でき、これによって、選択されたATEチャネルの較正が可能になる。
【0070】
当然ながら、すべてのATEチャネルを引き続いて較正するように、バイアス条件を変更することが可能である(たとえば、第1のATEチャネル220の第4のダイオード228dが遮断され、他のATEチャネルの1つの第4のダイオード238d,248d,258dの1つが順バイアスされる)。
【0071】
追加の意見として、ダイオード228b,238b,248b,258bは、典型的には、較正中に非導通であるが、過電圧保護を可能にすることに留意されたい。
【0072】
同様に、通常動作中、ダイオード228a、228bの第1の直列接続は、DUT接続221における過電圧保護を提供する(過電圧は、ダイオード228a、228bの順方向電圧の合計に制限されるため)。
【0073】
同じことが、それぞれのDUTポートとそれぞれの負の供給電圧との間に結合されたダイオードにも当てはまる。たとえば、ダイオード228c、238c、248c、258cは、通常、較正中は非導通であるが、低電圧保護を提供する。
【0074】
通常動作中、ダイオード228c、228dの第2の直列接続は、DUT接続221における電圧は通常、ダイオード228c、228dの順方向電圧の合計よりも大きくはない負の供給電圧VEEを下回るように制限されるため、DUT接続221における不足電圧保護を提供するものでもある。
【0075】
結論として、回路200は、個々のATEチャネルに関するスイッチまたはリレーを有することなく、個々の選択されたATEチャネルの較正を可能にする。むしろ、中央測定ユニットの共通測定ポート262を第1の接続ネットワーク270と、または第2の接続ネットワーク280と選択的に接続するスイッチまたはリレー290が1つだけ存在する。較正のための個々のATEチャネルの選択は、たとえば、中央測定ユニット260に結合されているすべてのATEチャネルの動作状態を適切に調整することによって行われる。たとえば、中央測定ユニット260の共通測定ポート262およびDUT接続221、231、241、251における電位は、ATEチャネルのうちの1つのみが中央測定ユニットに有効に結合されるように設定され、それによって、選択されたATEチャネルの選択的な較正が可能である。
【0076】
しかしながら、回路200は、他の実施形態に関しても、本明細書に開示された特徴、機能性、および詳細のいずれによっても、個別に、および組み合わせて取られることによって、任意に補完され得ることに留意されたい。さらに、回路200の特徴、機能性、および詳細のいずれかが、本明細書に開示された他の実施形態のいずれにおいても、個々に、および組み合わせて取られた両方で、任意に導入されてもよいことに留意されたい。
【0077】
3.図3に係る回路
図3は、複数のATEチャネルを較正するための回路300の概略図である。
【0078】
回路300は、図2に係る回路200と非常に類似していることに留意されたい。回路300は、第1のATEチャネル220に対応する第1のATEチャネル320、ATEチャネル230に対応する第2のATEチャネル330、ATEチャネル240に対応する第3のATEチャネル340、およびATEチャネル250に対応する第4のATEチャネル350を備える。さらに、回路300は、中央測定ユニット260に対応する中央測定ユニット360と、第1の接続ネットワーク270に対応する第1の接続ネットワーク370と、第2の接続ネットワーク280に対応する第2の接続ネットワーク380とを備える。さらに、回路300はまた、リレー290に対応するリレー390を備える。
【0079】
さらに、ATEチャネル320、330、340、350は、ATEチャネル220、230、240、250と非常に類似していることに留意されたい。たとえば、第1のATEチャネル320は、第1のダイオード328aおよび第2のダイオード328bの第1の直列回路を有する。第1のダイオード328aと第2のダイオード328bとの間のタップは、第1の接続ネットワーク370と(たとえば、直接、たとえば、間にスイッチを介さずに)結合される。さらに、第1のATEチャネル320は、第3のダイオード328cおよび第4のダイオード328dを含む第2の直列接続を有する。第3のダイオード328cと第4のダイオード328dとの間のタップは、第2の接続ネットワーク380と(たとえば、直接、たとえば、間にスイッチを介することなく)結合される。
【0080】
この限りにおいて、第1のATEチャネル320は、上記の議論も適用されるように、第1のATEチャネル220と同様である。
【0081】
しかしながら、ATEチャネル220の回路に加えて、ATEチャネル320は、第2のダイオード328bと並列に回路接続される第1のスイッチ229aをさらに備え、これにより第2のダイオード328bを短絡できることに留意されたい。さらに、ATEチャネル320は、(ATEチャネル220の特徴に加えて)第3のダイオード328cに並列に回路接続され、第3のダイオード328cを短絡できる第2のスイッチ329bも含む。
【0082】
同様に、他のATEチャネルは、スイッチ339a、339b、349a、349b、359a、359bを有する。較正中、スイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bは、通常開状態(たとえば、非導通)であることに留意されたい。したがって、スイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bは、ATEチャネルの較正に影響を与えない。たとえば、現在使用されている(たとえば、接続ネットワーク370、380のうちの)接続ネットワークと結合されたスイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bの少なくともそれらは、較正が行われるときに開状態(非導通)である。したがって、それぞれの(ダイオード328b、338b、348b、358b、328c、338c、348c、358cのうちの)非短絡ダイオードは、過電圧保護または不足電圧保護として機能する。
【0083】
たとえば、スイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bのうち、(第1の接続ネットワーク370および第2の接続ネットワーク380のうち)現在使用されていない接続ネットワークに結合されるものは、現在使用されていない接続ネットワークを明確に定義された電位に結びつけるために任意に閉じてよい(たとえば、導通させることができる)。しかしながら、この機能は、オプションとして考慮されてよい。
【0084】
したがって、スイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bは、較正に悪影響を及ぼさず、オプションとして、接続ネットワーク370、380のうちの非使用の接続ネットワークを所定の電位に結びつけるのに役立つことさえあり、これは、クロストークを低減するために役立つことがある。
【0085】
さらに、自動試験装置が較正モードにないとき、スイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bは、たとえば、閉じ(たとえば、導通して)、それによってそれぞれのダイオードを短絡させてもよい。この場合、接続ネットワーク370、380は、明確に定義された電位に結び付けられ、これは、クロストークを回避するのに役立ち得る。さらに、それぞれのDUT接続と、正の供給電圧(たとえば、VCC)および負の供給電圧(たとえば、VEE)を提供する供給レールとの間に、(2つのダイオードの直列接続ではなく)1つのダイオードのみが存在するので、DUT接続321、331、341、351に対する改良型過電圧保護または不足電圧保護が提供され得る。
【0086】
結論として、回路300は、ATEチャネルの効率的な較正を実行することを可能にする。較正のために、図2に関して上述した手順と同じ手順を用いることができ、較正中、すべてのスイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359b、または少なくとも現在用いられている接続ネットワーク380または390に結合されているそれらのスイッチは開状態とされる。通常動作時、すなわち、自動試験装置が被試験デバイスを試験しており、そのピンがDUT接続321、331、341、351に結合されているとき、スイッチは、たとえば、閉じていてよく、それによって、異なるATEチャネル間のクロストークを小さく保ちながら、改善された過電圧保護および低電圧保護を提供できる。
【0087】
しかしながら、図3に係る回路300は、他の実施形態に関しても、本明細書に開示された特徴、機能性、および詳細のいずれかによって、個別におよび組み合わせて取られた両方で任意に補完され得ることに留意されたい。さらに、回路300に関して開示された特徴、機能性、および詳細のいずれかが、本明細書に開示された他の実施形態のいずれにおいても、個別に、および組み合わせて、任意に導入され得ることに留意されたい。
【0088】
4.図4に係る回路
図4は、複数のATEチャネルを較正するための別の回路400の概略図である。
【0089】
回路400は、回路200および300と比較した場合、いくつかの類似点を有する。回路400は、第1のATEチャネル420、第2のATEチャネル430、第3のATEチャネル440および第4のATEチャネル450を備える。さらに、回路400は、中央測定ユニット460を備える。しかしながら、回路400は、2つの接続ネットワーク370、380を有するのではなく、中央測定ユニット460の共通測定ポート462とATEチャネルとの間に結合される単一の接続ネットワーク475のみを備える。
【0090】
第1のATEチャネル420は、第1のATEチャネル220とも、第1のATEチャネル320とも幾分異なる。特に、第1のATEチャネル420は、第1のダイオード428aおよび第2のダイオード428bの直列接続を有する。この直列接続は、ダイオード328aおよび328bの直列接続と同様であり、また、ダイオード228aおよび228bの直列接続と同様である。さらに、任意に、第2のダイオード428bと並列に回路接続され、第2のダイオード428bを短絡させることができるスイッチ429a(第1のスイッチ)が存在する。さらに、第3のダイオード428cおよび第4のダイオード428dの第2の直列接続も存在する。
【0091】
ダイオード428a、428bの第1の直列接続は、DUT接続421と正の供給電圧(または正の供給電圧レール)(たとえば、正の供給電圧VCC)との間で回路接続される。ダイオード428c、428dの第2の直列接続は、負の供給電圧または負の供給電圧レールとDUT接続421との間で回路接続される。ダイオードの向きは、たとえば、図4で見ることができる。さらに、任意選択で、第3のダイオード428cを選択的に短絡するように構成された第2のスイッチ429bも存在する。ダイオード428a、428bの直列接続は、ダイオード228a、228bの直列接続に対応し、ダイオード428c、428dの直列接続はダイオード228c、228dの直列接続に対応することは注目されるべきである。同様に、ダイオード428a、428bの直列接続は、ダイオード328a、328bの直列接続に対応し、ダイオード428c、428dの直列接続は、ダイオード328c、328dの直列接続に対応する。さらに、スイッチ429a,429bは、スイッチ329a,329bに対応することに留意すべきである。したがって、直列接続の機能性に関して、およびスイッチ329a、329bの機能性に関して、回路400にも適用される上記の説明を参照されたい。
【0092】
しかしながら、共通接続ネットワーク475は、ダイオードの直列接続内のタップに直接接続されていない。むしろ、共通接続ネットワーク475は、第1の結合スイッチ427aを介して、第1の直列接続のタップ、たとえば、ダイオード428aおよび428bの間に結合される。さらに、共通接続ネットワークは、第2の結合スイッチ427bを介して、第2の直列接続のタップ、(たとえば、第3のダイオード428cおよび第4のダイオード428dの間)に結合される。したがって、共通接続ネットワーク475は、ダイオードの第1の直列接続のタップに、またはダイオードの第2の直列接続のタップに選択的に結合されることができる。
【0093】
さらに、他のATEチャネル430、440、450の構造は、第1のATEチャネル420の構造と同じであってよい。たとえば、ダイオード438a、438b、438c、438dは、ダイオード428a、428b、428c、428dに対応してよい。同様に、ダイオード448a、448b、448c、448dは、ダイオード428a、428b、428c、428dに対応してもよい。さらに、ダイオード458a、458b、458c、458dは、ダイオード428a、428b、428c、428dに対応してもよい。さらに、スイッチ439a、439bは、スイッチ429a、429bに対応し、スイッチ449a、449bは、スイッチ429a、429bに対応し、スイッチ459a、459bは、スイッチ429a、429bに対応する。また、スイッチ437a、437bは、スイッチ427a、427bに対応する。さらに、スイッチ447a、447bは、スイッチ427a、427bに対応する。さらに、スイッチ457a、457bは、スイッチ427a、427bに対応する。
【0094】
たとえば、スイッチ427a、427b、437a、437b、447a、447b、457a、457bは、それぞれのATEチャネル、420、430、440、450の一部であってもよい。たとえば、スイッチ427a、427b、437a、437b、447a、447b、457a、457bは、ATEチャネル420、430、440、450の一部である1以上のチップに統合されたチップスイッチであってよく、上記スイッチは、たとえば、電界効果トランジスタのようなトランジスタを用いて実装されてよい。
【0095】
さらに、スイッチは、たとえば、ATEチャネルのうちのどのチャネルが中央測定ユニット460に結合されているかを決定してよいことに留意されたい。
【0096】
一実施例では、スイッチ427a、437a、447a、457aは、たとえば、単一の共通の制御信号に基づいて一緒に切り替えられてよい。たとえば、スイッチ427a、437a、447a、457aが作動されると(たとえば、導通状態)、これにより、ATEチャネル420、430、440、450のうちの1つから中央測定ユニット460に電流が流れるようにしてよい。この場合、「他の」スイッチ427b、437b、447b、457bは、停止されることが望ましい。
【0097】
一方、スイッチ427b、437b、447b、457bが作動している場合、これにより、中央測定ユニット460から選択されたATEチャネル(たとえば、ATEチャネル420、430、440、450の1つ)に電流を流すことができる。この場合、「他の」スイッチ427a、437a、447a、457aは、停止されるべきである。
【0098】
また、たとえば、ダイオードのバイアス条件に基づいて、どのATEチャネルが選択されたATEチャネルであるかを決定してもよい。較正されるべき選択されたATEチャネルとして単一のATEチャネルを選択するためには、ダイオードのうちの単一のもの(たとえば、ダイオード428a、438a、448a、458aのうちの単一のもの)を導電状態にし、当該ダイオードのうちの他のものを非導電状態にするように、ATEチャネルのバイアス条件および共通接続ネットワーク475に設けられたバイアス条件も調整されるべきである。あるいは、ダイオード428d、438d、448d、458dのうちの単一のものを導電状態にし、他のダイオードを非導電状態にするように、バイアスを調整することが望ましい。バイアスの調整については、たとえば、図2および図3の回路に関する上記の説明を参照されたい。
【0099】
あるいは、結合スイッチ427a、427b、437a、437b、447a、447b、457a、457bの設定も、ATEチャネルのうちのどのチャネルを較正用に選択するかを決めるために使用され得る。たとえば、1つのATEチャネルの内部の結合スイッチのうちの単一の一方または両方のみを作動させ、それによって、ATEチャネルのうちのどれが較正のために選択されるかを一意に決定してよい。
【0100】
結論として、図4に係る回路400は、ATEチャネル420、430、440、450のうちの1つを較正のために選択するための異なる可能性を提供する。結合スイッチ427a、427b、437a、437b、447a、447b、457a、457bおよびダイオード428a、428d、438a、438d、448a、458dの両方は、ATEチャネルのうちのどの1つを較正すべきか、たとえば、ATEチャネルのうちのどの1つを中央測定ユニット460の共通測定ポート462に有効に結合させるべきかの選択に使用できる。
【0101】
さらに、図4に係る回路400は、本明細書に記載された特徴、機能性、および詳細のいずれかによって、個別に、および組み合わせて取られた両方で、任意に補完され得ることに留意されたい。さらに、回路400の特徴、機能性、および詳細のいずれかが、個々に、および組み合わせてとられた両方で、本明細書に開示された他の回路のいずれかに任意に導入されてもよいことに留意されたい。
【0102】
5.図5に係る回路
図5は、本明細書に開示される中央測定ユニット130、260、360、460で使用できる電流測定回路の概略図である。
【0103】
電流測定回路500は、たとえば、本明細書に記載の共通測定ポート130、262、362、462に結合され得る電流入力510を有する。しかしながら、電流測定回路はまた、デジタル/アナログ変換器520を有し、その出力電圧は、デジタル入力情報に基づいてプログラム可能であってよい。デジタル/アナログ変換器520は、(任意に)関連する出力バッファ522を含んでよく、これは、デジタル/アナログ変換器520によって提供される出力電圧を安定化するように構成されてよい。バッファ522の出力は、たとえば、スイッチ524に結合されてよく、このスイッチは、バッファ522の出力を複数の電流測定抵抗(たとえば、シャント抵抗)526a、526b、526c、526dに結合するよう構成されてよい。たとえば、スイッチは、バッファ522の出力を第1の電流測定抵抗器526aの第1の端子または第2の電流測定抵抗器526bの第1の端子に選択的に(または選択的に)結合するように構成されてよい。しかしながら、追加の電流測定抵抗器があってよく、スイッチはまた、バッファ522の出力を上記さらなる電流測定抵抗器526c、526dの第1の端子に選択的に結合するように構成されてよい。電流測定抵抗器526a、526b、526c、526dの第2の端子は、たとえば、接続されてもよく、電流入力510に結合されてもよい。したがって、バッファ522の出力は、電流測定抵抗器526a、526b、526c、526dのうちの1つを介して電流入力510に選択的に(または選択的に)結合されてよい。さらに、電流測定回路500は、アナログ/デジタル変換器530を備え、この変換器は、たとえばスイッチ524によって選択される、現在選択されている電流測定抵抗器にわたる電圧降下を測定するように構成されている。この目的のために、電流測定回路500は、選択された電流測定抵抗器にわたる電圧降下を決定するように構成されてよい。たとえば、差動増幅器540の第1の入力(たとえば非反転入力)が電流入力510に結合されてもよく、差動増幅器の第2の入力(たとえば反転入力)が選択された電流測定抵抗器の第1の端子に選択的に結合されるようにしてよい。たとえば、スイッチ544を使用して、差動増幅器540の反転入力を選択された電流測定抵抗器(たとえば、電流測定抵抗器526a~526dのうち)の第1の端子に選択的に結合させてよい。したがって、差動増幅器540の反転入力は、たとえば、スイッチ524を介してバッファ522の出力に現在結合されているものと同じ電流測定抵抗器の第1の端子に結合されてもよい。スイッチ524および544は、たとえば、調整されてもよい。さらに、差動増幅器540によって提供される出力電圧は、たとえば、アナログ/デジタル変換器530に入力されてもよく、したがって、アナログ/デジタル変換器530は、現在選択されている電流測定抵抗器にわたる電圧降下に関する情報を得てもよい。
【0104】
結論として、電流測定回路500は、たとえば、電流入力510における電位を調整してよい。たとえば、電流入力510における電位は、バッファ522の出力における電位と実質的に同一であってよく、ここで、それぞれの(現在選択されている)電流測定抵抗器526a、526b、526c、526dにわたる電圧低下が比較的小さいと仮定できる(電流測定抵抗器は、たとえば、それらにわたる十分に小さい電圧低下を有するように選択されるので)。しかしながら、いくつかの実施形態において、電流測定抵抗器にわたる電圧は、通常、小さな電圧は大きなノイズをもたらすので、非常に小さくすべきではないことに留意されたい。通常の電圧降下は、実際のアプリケーションに大きく依存する。このATE較正の場合、たとえば、より大きな電圧(たとえば、0.5V-1V)を許容できる。
【0105】
その結果、デジタル/アナログ変換器520に適切なデジタル入力情報を提供することによって、電流入力510における電位(または電圧)を良好な精度で調整することが可能である。さらに、電流入力510を通る電流の流れは、現在選択されている電流測定抵抗器にわたる電圧を生成し、その電圧降下は、電流に実質的に比例する。したがって、電流入力を流れる電流を正確に測定しながら、電流入力における電位(または電圧)を調整することが可能である。したがって、電流測定回路500は、1つ以上の接続ネットワーク上(たとえば、第1の接続ネットワーク上および第2の接続ネットワーク上、または共通接続ネットワーク上)の電位(または電圧)を上述したように調整することができる。その結果、電流測定回路は、適切なバイアスを印加することを可能にし、その結果、ダイオードの1つを順方向バイアスにする(ATEチャネルのDUT接続に設けられる電位の適切な設定と組み合わせて使用される場合)。
【0106】
結論として、電流測定回路500は、本発明に係る実施形態において十分に使用可能である。
【0107】
6.結論とさらなる実施形態
結論として、本発明に係る実施形態は、ATEチャネルのための改善された電流較正を提供する。ATE PEとも指定されるチャネル・ピン・エレクトロニクス(PE)は、通常、ドライバ、コンパレータ、能動負荷、およびパラメトリック測定ユニット(PMUユニットまたはPMユニット)で構成される。後者の2つ、たとえば能動負荷およびパラメトリック測定ユニットは、電流フォース能力を持ち、パラメトリック測定ユニット(PMUユニットまたはPMユニット)は、電流測定能力も持つ。
【0108】
しかしながら、ATEチャネルが上述の機能性をすべて備えている必要はないことに留意すべきである。たとえば、ATEチャネルは、コンパレータおよびパラメトリック測定ユニットを有していれば十分であろう。また、他の実施形態では、ATEチャネルがドライバおよびパラメトリック測定ユニットを有していれば十分である場合もある。他の実施形態では、ATEチャネルが能動負荷およびパラメトリック測定ユニットを有することも十分であり得る。いくつかの具体的なサンプルでは、ATEチャネルが上述の構成要素(ドライバ、コンパレータ、能動負荷、パラメトリック測定ユニット)のうちの1つを有することで十分でさえあり得る。
【0109】
力および/または測定された電流(たとえば、ドライバによっておよび/または能動負荷によっておよび/またはパラメトリック測定ユニットによって強制された電流および/またはパラメトリック測定ユニットによって測定された電流)を較正できるようにするために、精密電流測定能力(および/または電流供給能力および/または電流吸収能力)を有する中央測定ユニット(CMU)はチャネルにアクセスする。たとえば、従来の解決策では、このアクセスは通常、チャネルごとに個別のリレーを介して行われる。しかし、これらのリレーは貴重な基板スペースを消費するため、所与の領域におけるチャネル数が制限されることが判明している。また、リレー(開状態時)には大きな静電容量があり、ピンエレクトロニクスと被試験デバイスとの間の信号の周波数を劇的に制限することが分かっている。
【0110】
本発明に係る実施形態は、電流較正のために個々のリレーを避けることができる、改良されたアーキテクチャを示すものである。
【0111】
本発明に係るいくつかの実施形態では、1つのリレーおよび中央測定ユニット(CMU)だけが使用される(または必要とされる)。
【0112】
本発明の一態様によれば、通常利用可能なESD(静電気放電)ダイオード回路が拡張され、オプションとして、単純なオンチップスイッチが追加される。
【0113】
本発明の一態様によれば、いくつかの実装において、チップあたり2つの追加パッドが必要とされる。たとえば、ATEチャネル220、230、240、250の各々が個々のチップに実装される場合、たとえば、第1の接続ネットワークおよび第2の接続ネットワークに接続するために、チップごとに2つの追加のピンまたはパッドが必要とされる。
【0114】
通常動作では、スイッチ(たとえば、スイッチ329a、329b、339a、339b、349a、349b、359a、359bまたはスイッチ429a、429b、439a、439b、449a、449b、459a、459b)は閉状態である。たとえば、通常動作では、スイッチは閉じているので、ダイオード328a,b...は、ESDダイオードとして機能し、ESD保護として328a+b,329a+bの直列組合せよりも優れている。
【0115】
較正モードでは、(少なくとも)較正すべきチャネルのスイッチ(たとえば、較正すべき第1のATEチャネル320の場合、スイッチ329a,329bの少なくとも1つ)が開かれる。
【0116】
いくつかの実施形態では、中央測定ユニット(CMU)のリレー(たとえば、リレー290またはリレー390)は、較正すべき電流の符号(または電流方向)に応じて、いずれか一方または他方の回線(たとえば、第1の接続ネットワーク270または第2の接続ネットワーク280のいずれか)を選択する。
【0117】
いくつかの実施形態において、マイナーな欠点は、ダイオードの順方向電圧のために、電流を較正できる電圧が、従来の解決策よりも小さい(または電流の方向に応じて大きい)という事実である。しかし、ほとんどの場合、これは深刻な問題ではないことが分かっている。
【0118】
本発明に係る別の実施形態(たとえば図4に示すように)は、チップ上に追加のスイッチ(たとえばスイッチ427a、427b、437a、437b、447a、447b、457a、457b)を追加し、チップごとに1つのパッド(またはピン)だけが必要となるようにし、中央測定ユニット(たとえば中央測定ユニット460)でのリレーも避けることができるようにしたものである。
【0119】
好ましくは、追加のオンチップスイッチ(たとえば、スイッチ427a、427b、437a、437b、447a、447b、457a、457b)は、最大電流を運ぶことができるようにすることができる。
【0120】
一態様によれば、「dc-calバスに座っている」ダイオードの数が非常に限られているため、ここでは漏れ電流が最小化されてよい(ここで、このcalバスは、たとえば、事実上、ノード475である)。
【0121】
精密抵抗器(たとえば、様々な電流範囲のために切り替えられた倍数)のフローティング終端を有する適切なCMU電流測定実装もまた示される(たとえば、図5において)。アナログ/デジタル変換器(たとえば、アナログ/デジタル変換器530)を用いて電圧依存のATE-PE電流を正しく較正するために、デジタル/アナログ変換器を介した(たとえば、デジタル/アナログ変換器520を介した)フローティング終端が用いられる(または場合によっては必要とさえされる)。
【0122】
追加の意見として、たとえば図2図3図4に示すような3つのオプションがあることに留意されたい。内部スイッチのないオプション(たとえば図2に示すようなもの)でも仕事ができることが分かっている。これは、ESD保護用として2つのダイオードを直列に効果的に使用できる場合である。3つのオプションはすべて、本発明の一部である。
【0123】
7.結論
結論として、本発明に係る実施形態は、自動試験装置で使用できる改善された電流較正のための概念を創出する。たとえば、本明細書に開示された概念を用いて、LTEのコストを削減し、LTEのピン数を増加させることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】