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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】併用治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20230828BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230828BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230828BHJP
   A61K 31/4166 20060101ALI20230828BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20230828BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230828BHJP
   A61K 38/04 20060101ALI20230828BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230828BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230828BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230828BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K45/00
A61K31/58
A61K31/4166
A61K31/4164
A61K31/4439
A61K38/04
A61P35/04
A61P13/08
A61P35/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509470
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 IB2021057379
(87)【国際公開番号】W WO2022034504
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,160
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(71)【出願人】
【識別番号】000006677
【氏名又は名称】アステラス製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ラース アンダース
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー ヒュンジュン キム
(72)【発明者】
【氏名】ダナン リー
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス アン マクミラン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アンドリュー ロリンズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン エアーズ ヴィーネマン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084AA23
4C084BA01
4C084BA17
4C084BA23
4C084CA59
4C084DB10
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC042
4C084ZC102
4C084ZC202
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086BC39
4C086BC42
4C086DA12
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、式(I)のサイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、任意選択で追加の抗がん薬とのさらなる組合せで含む併用治療、ならびにその関連する処置方法、医薬組成物、および使用に関する。
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)ある量の抗アンドロゲンと;
を投与することを含み、(a)および(b)の前記量が一緒に、がんの処置において有効である方法。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗アンドロゲンが、エンザルタミド、N-デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド、アパルタミド、およびアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗アンドロゲンが、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記がんが、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、子宮頸癌、子宮癌、膵臓癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、頭頚部癌、睾丸癌、副腎癌、皮膚癌、脳癌、肉腫、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが前立腺癌である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記前立腺癌が転移性前立腺癌(mPC)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前立腺癌が非転移性前立腺癌(nmPC)である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記前立腺癌がエンザルタミドまたはアビラテロンに対して抵抗性である、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象に:(c)ある量の追加の抗がん薬を投与することをさらに含み;(a)、(b)および(c)の前記量が一緒に、がんの処置において有効である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記追加の抗がん薬が、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、抗増殖薬、およびアンドロゲン除去治療(ADT)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記追加の抗がん薬がADTである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ADTが、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ADTが、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記がんが、アンドロゲン依存性またはアンドロゲン受容体(AR)陽性である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(a)式(I)の化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと
を含む、がんの処置において使用するための組合せ。
【請求項17】
前記式(I)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトールまたはその薬学的に許容できる塩であり、前記抗アンドロゲンが、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である、請求項16に記載の組合せ。
【請求項18】
前記がんが前立腺癌である、請求項16または17に記載の組合せ。
【請求項19】
前記前立腺癌がmPCまたはnmPCである、請求項18に記載の組合せ。
【請求項20】
前記前立腺癌がエンザルタミドまたはアビラテロンに対して抵抗性である、請求項18または19に記載の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんを処置するために有用な併用治療に関する。特に、本発明は、式(I)のサイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、任意選択で追加の抗がん薬とのさらなる組合せで含む併用治療に関する。本発明は、関連する処置方法、医薬組成物、および薬学的使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
アンドロゲン受容体(AR)は、アンドロゲン刺激転写因子であり、他のがんの中でも前立腺癌、ある特定の乳癌、ある特定の肺癌、肝細胞癌、および唾液腺腫瘍の発生および進行を含む、ある特定のがんの促進において役割を果たすことが公知である。アンドロゲンとして総じて公知のテストステロンおよび他の男性ホルモンは、アンドロゲン受容体への結合およびその活性化により、前立腺癌細胞の増殖を激化させ得る。進行前立腺癌の初期処置は、身体により、主には睾丸で産生されるアンドロゲンの量を減少させることを伴い得る。これは、両精巣の除去(両側精巣摘除)により外科的に、またはテストステロンの天然産生を減少させる黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストもしくはアンタゴニスト薬などのホルモン除去治療(ときに、「化学的去勢」と呼ばれる)の使用により達成することができる。しかしながら、これらのホルモン除去治療に対して、経時的に抵抗性が発生して、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、またはホルモン不応性前立腺癌として公知の前立腺癌の攻撃的形態につながることが公知である。この抵抗性は、アンドロゲン受容体の増幅および/または過剰発現に関連すると考えられる。いったんこの状態になると、テストステロン産生が非常に低い(すなわち去勢後)レベルまで減少しているにも関わらず、前立腺癌は一般に成長し続ける。去勢抵抗性前立腺癌への進行は、前立腺特異的抗原(PSA)のレベルの上昇か、または画像検査もしくは臨床症状により証拠付けられるとおりの記録された疾患進行のいずれかに基づき決定することができる。
【0003】
抗アンドロゲンは、いくつかの異なる機構によりアンドロゲン活性を抑制すると考えられる。去勢抵抗性前立腺癌を処置するために承認された抗アンドロゲンの一例は、アビラテロン酢酸エステル(Zytiga(商標)として販売)、ステロイド性CY17A1阻害薬である。抗アンドロゲンの具体的なクラスの1つが、アンドロゲン受容体アンタゴニストとしても公知のアンドロゲン受容体阻害薬であり、これは、アンドロゲン受容体について内在性リガンド、アンドロゲンと競合すると考えられる。アンタゴニストがアンドロゲン受容体に結合すると、これは、重要なアンドロゲン調節される遺伝子の転写を妨害する受容体自体の立体構造変化を誘導し、したがって、テストステロンおよびジヒドロテストステロンなどのアンドロゲン自体の生物学的作用を阻害すると考えられる。エンザルタミド(XTANDI(登録商標)として販売)は、転移性去勢抵抗性前立腺癌を処置するために承認された非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬である。しかしながら、抗アンドロゲンでの処置に関わらず、一部の対象では、がんが再発することになるか、または対象が治療抵抗性を発生し得る。そのような抵抗性の根本にある機構は今のところ、まだ完全には理解されていない。
【0004】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および関連セリン/トレオニンプロテインキナーゼは、細胞分裂および増殖の調節において必須の機能を実行する重要な細胞酵素である。CDK1~4、6、10、11は、細胞周期進行において直接的な役割を果たすと報告されている一方で、CDK3、5および7~9は、(例えば、他のCDKの活性化、転写またはニューロン機能の調節を介した)間接的な役割を果たし得る。CDK触媒ユニットは、サイクリンとして公知の調節サブユニットへの結合により活性化され、続いて、リン酸化される。サイクリンは、4つの一般的なクラス(G、G/S、SおよびMサイクリン)に分類することができ、それらの発現レベルは、細胞周期における種々のポイントで変動する。サイクリンB/CDK1、サイクリンA/CDK2、サイクリンE/CDK2、サイクリンD/CDK4、サイクリンD/CDK6、およびおそらく他のヘテロダインが細胞周期進行の重要な調節因子である。
【0005】
併用標的治療が、単一薬剤抗腫瘍活性を増強して、獲得制癌薬抵抗性を押しとどめるための有望な戦略として出現している(Al-Lazikaniら、Combinatorial drug therapy for cancer in the post-genomic era、Nat.Biotechnol.(2012)、30:679~92)。診療所におけるCDK阻害薬の単一薬剤活性はおおむね、失望させるものである。したがって、広く通用している証拠が、標的治療の抗腫瘍有効性を最大化するためにCDK阻害薬が別の抗がん薬と組み合わされる臨床アプローチを支持する(DicksonおよびSchwartz、Development of cell-cycle inhibitors for cancer therapy、Curr.Oncol.(2009)、16:36~43)。
【0006】
パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブを含むCDK4/6阻害薬は、内分泌治療単独で処置される患者と比較した場合のPFSの延長における有効性の増強に基づき、内分泌治療との組合せで、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性(HR+/HER2-)進行性または転移性乳癌を処置するために承認されている(Serraら、Palbociclib in metastatic breast cancer:current evidence and real-life data,Drugs Context.(2019)、8:212579)。CDK4/6阻害およびエストロゲン受容体(ER)遮断は、in vitroでHR+/HER2-乳癌細胞に対する相加性抗増殖作用を誘発することが示された(Finnら、PD 0332991,a selective cyclin D kinase 4/6 inhibitor,preferentially inhibits proliferation of luminal estrogen receptor-positive human breast cancer cell lines in vitro,Breast Cancer Res.(2009)、11:R77)。
【0007】
エストロゲン受容体(ER)は、サイクリンD1、CDK4の活性化サブユニットの発現を正に調節し、それにより、細胞周期エントリーを駆動する(Foster & Wimalasena、Estrogen regulates activity of cyclin-dependent kinases and retinoblastoma protein phosphorylation in breast cancer cells, Mol. Endocrinol.(1996)、10:488~98)。このことに基づき、広く通用している見解は、併用の利益が少なくとも一部では、乳癌細胞におけるサイクリンD-CDK4/6複合体に対するCDK4/6およびER阻害薬の集中的な阻害作用に帰せられ得るというものである(VanArsdaleら、Molecular Pathways:Targeting the Cyclin D-CDK4/6 Axis for Cancer Treatment,Clin.Cancer Res.(2015)、21:2905-10)。他のキナーゼを標的とする薬物と同様に、CDK4/6阻害薬はHR陽性、HER2陰性進行性または転移性乳癌において有意な臨床有効性を示しているが、それらの効果は、一次または獲得抵抗性の発生により経時的に限定され得る。
【0008】
(ERに加えて)多数の発癌遺伝子が細胞状況に応じて、サイクリンD1の発現を激化させ、CDK4を活性化させ得る(Choi & Anders、Signaling through cyclin D-dependent kinases、Oncogene(2013)、33:1890-903)。顕著な一例が、前立腺癌細胞におけるアンドロゲン受容体(AR)である。アンドロゲン受容体(AR)陽性前立腺癌では、AR活性化は、翻訳後機構を介してサイクリンDタンパク質のレベルの上昇をもたらす(Xuら、Androgens induce prostate cancer cell proliferation through mammalian target of rapamycin activation and post-transcriptional increases in cyclin D proteins、Cancer Res.(2006)、66:7783~92。
【0009】
化合物1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)は、CDK4の強力、かつ選択的阻害薬であり、構造:
【0010】
【化1】
を有する。
【0011】
コンパウンドAを含む式(I)の化合物、およびその薬学的に許容できる塩は、その内容が全体で参照により本明細書に援用される国際公開WO2019/207463および米国特許出願公開第2019/0330196号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
がんを処置するための改善された治療が依然として必要とされている。本発明の組合せ、方法および使用は、いずれかの治療薬単独での処置よりも高い有効性;薬物-薬物相互作用を減らす可能性;投与スケジュールの改善を可能にする可能性;副作用を減少させる可能性;抵抗性機序および同様のものを克服する可能性などの1つまたは複数の利点を有すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、式(I)のCDK4阻害薬またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、任意選択で追加の抗がん薬とのさらなる組合せで含む、異常な細胞増殖、特に、がんを処置するための方法、組合せ、使用、医薬組成物およびキットに関する。
【0014】
本発明は、式(I)の化合物:
【0015】
【化2】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]
を含む、方法、組合せ、使用、医薬組成物およびキットを提供する。
【0016】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象において、がんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0017】
【化3】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)ある量の抗アンドロゲンと;
を投与することを含み、(a)および(b)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0018】
この態様の一部の実施形態では、本発明は、前記対象に:(c)ある量の追加の抗がん薬を投与することをさらに含み;(a)、(b)および(c)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0020】
【化4】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せががんの処置において有効である組合せを提供する。
【0021】
この態様の一部の実施形態では、前記組合せは、(c)追加の抗がん薬をさらに含み;(a)、(b)および(c)の組合せはがんの処置において有効である。
【0022】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0023】
【化5】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0024】
この態様の一部の実施形態では、使用のための組合せは、(c)追加の抗がん薬をさらに含む。
【0025】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0026】
【化6】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せの使用であって、がんの処置において有効である組合せの使用を提供する。
【0027】
この態様の一部の実施形態では、前記組合せは、(c)追加の抗がん薬をさらに含み、(a)、(b)および(c)の組合せの使用はがんの処置において有効である。
【0028】
本明細書に記載の組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、(a)および(b)の組合せは相乗的であり、本発明は、記載のとおりの相乗的組合せ、または相乗的組合せの使用を提供する。本明細書に記載の組合せおよび使用の一部の実施形態では、(a)、(b)および(c)の組合せは相乗的であり、本発明は、記載のとおりの相乗的組合せ、または相乗的組合せの使用を提供する。
【0029】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0030】
【化7】
を有する1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0031】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)である。
【0032】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、エンザルタミド、N-デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド、アパルタミド、およびアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0033】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0034】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩であり、抗アンドロゲンは、エンザルタミド、N-デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド;アパルタミド、およびアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0035】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩であり、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0036】
本発明の方法、組合せおよび使用の実施形態を含む、本明細書に記載の態様のそれぞれの実施形態を、組み合わせる実施形態と矛盾のない本明細書に記載の本発明の1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】LNCaPヒト前立腺癌スフェロイドにおける、単一薬剤としてのコンパウンドAによる用量依存的成長阻害(A)、およびいずれかの薬剤単独を上回るコンパウンドAおよびエンザルタミドの組合せによる成長阻害の増強(B)が、示されている濃度での平均直径(μm)として示されている。
図2】用量応答マトリクス(A)、Loewe超過マトリクス(Loewe excess matrix)(B)、およびアイソボログラム(C)がC4-3細胞の増殖に対するコンパウンドAおよびエンザルタミドの組合せの効果を実証することが示されている。
図3】用量応答マトリクス(A)、Loewe超過マトリクス(B)、およびアイソボログラム(C)がVCaP細胞の増殖に対するコンパウンドAおよびエンザルタミドの組合せの効果を実証することが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、次の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解され得る。本明細書において使用される専門用語は、具体的な実施形態を記載することを目的としているに過ぎず、限定することを意図していないことは理解されるべきである。さらに、本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語には、関連分野において公知のとおりの従来の意味が与えられていることは理解されるべきである。
【0039】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。例えば、「a」置換基には、1個または複数の置換基が含まれる。
【0040】
本明細書に記載の発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの要素の非存在下でも適切に実行することができる。したがって、例えば、本明細書のそれぞれの事例において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれとも交換することができる。
【0041】
「異常な細胞増殖」は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、正常な制御機構(例えば、接触阻害の喪失)とは独立している細胞増殖を指す。異常な細胞増殖は、良性(非癌性)であっても、または悪性(癌性)であってもよい。
【0042】
数値で定義されるパラメーターを修飾するために使用される「約」という用語は、パラメーターが、そのパラメーターについての規定の数値を10%上回る、または下回るほど変動し得ることを意味する。例えば、約5mg/kgの用量は、その用量が4.5mg/kgおよび5.5mg/kgの間で変動し得ることを意味すると理解すべきである。
【0043】
「投与」および「処置」という用語は、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生体液に適用される場合、外来の医薬品、治療薬、診断薬、または医薬組成物を、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生体液に接触させることを指す。細胞の処置は、試薬と細胞との接触、さらには試薬と流体との接触を包含し、流体が細胞と接触している。「投与」および「処置」はまた、試薬、診断薬、結合化合物による、または別の細胞による、例えば細胞のin vitroおよびex vivo処置を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「抗アンドロゲン」および「抗アンドロゲン」という用語は、アンドロゲン、例えば、テストステロンおよびジヒドロテストステロン(DHT)および同様のものが、それらの生物学的作用を体内で媒介することを妨げる化合物を指す。抗アンドロゲンは、次のホルモン作用機序、例えば、アンドロゲン受容体(AR)の遮断および/または阻害および/または調節;アンドロゲン産生の阻害;アンドロゲン産生の抑制;ARの分解;核移行の阻害;ARと核DNAとの結合の阻害;および同様のもののうちの1つまたは複数により作用し得る。抗アンドロゲンには、これに限定されないが、ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬(例えば、酢酸シプロテロン、スピロノラクトン、酢酸メゲストロール、クロルマジノン酢酸エステル、オキセンドロン、およびオサテロン酢酸エステル)、非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬(例えば、エンザルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、トピルタミド)、アンドロゲン合成阻害薬、アンドロゲン受容体分解薬および同様のものが含まれる。
【0045】
本明細書で使用される場合の「血管新生」は血管形成を指す。腫瘍血管新生は、腫瘍が成長のために必要とする新たな血管の成長である。このプロセスは、腫瘍による、および腫瘍近傍の宿主細胞による化学物質の放出が原因である。
【0046】
本明細書で使用される場合の「アポトーシス」は、生体の成長または発生の正常で、かつ制御された一部として起こる細胞死を指す。アポトーシスは、細胞における一連の分子ステップが細胞死をもたらす、細胞死の1種である。アポトーシスは、不必要か、または異常な細胞を取り除くために身体が使用する一方法である。がん細胞では、アポトーシスのプロセスが遮断されていることがある。
【0047】
「がん」、「がん性」、または「悪性」という用語は、典型的には未制御の細胞増殖により特徴づけられる哺乳類における生理学的状態を指すか、またはそれを説明する。本明細書で使用される場合、「がん」は、異常な細胞増殖に起因する任意の悪性および/または侵襲性増殖または腫瘍を指す。本明細書で使用される場合、「がん」は、それらを形成する細胞の種類で名付けられる固形腫瘍、さらに、血液、骨髄、またはリンパ系のがんを指す。固形腫瘍の例には、これに限定されないが、肉腫および癌腫が含まれる。血液のがんの例には、これに限定されないが、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれる。「がん」という用語は、これに限定されないが、身体の特異的な部位に由来する原発性がん、始まった場所から身体の他の部分へと転移している転移性癌、寛解後の元の原発性がんからの再発、および後のものとは異なる種類の先行がんの履歴を有する人における新たな原発性がんである二次原発性がんを含む。
【0048】
「患者」または「対象」という用語は、ヒトおよび哺乳類獣医学上の患者、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコを含む、治療が望ましいか、または治験、疫学的研究に参加しているか、または対照として使用されている任意の単一の対象を指す。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0049】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、患者または対象は(1)前立腺の組織学的または細胞学的に確認された腺癌を有してよい;(2)無症候性または弱症候性転移性去勢抵抗性前立腺癌を有してよい;(3)スクリーニング時に血清テストステロン≦50ng/dL(≦1.73nmol/L)で、外科的にまたは医学的に去勢されていてよい;(4)両側精巣摘除を施されていない患者では、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストまたはアンタゴニストでの継続中のアンドロゲン除去治療(ADT)を受けていてよい;(5)骨スキャンで記録された骨に、またはCT/MRIスキャンで記録された軟部組織に、転移性疾患を有してよい;(6)次の3つの基準:(i)評価の間に少なくとも7日間の間隔を置いた3回の評価のうち、少なくとも2回のPSA値の上昇により定義される前立腺特異的抗原(PSA)の進行;(ii)RECIST 1.1により定義されるとおりの軟部組織疾患の進行;および(iii)全身放射性核種骨スキャンにおいて2つ以上の新たな転移性骨病変を伴う、Prostate Working Group 3(PCWG3)により定義される骨疾患進行のうちの1つまたは複数により定義されるとおり、医学的または外科的去勢の状況で、研究エントリー時に進行性疾患を有してよい;ならびに(7)試験責任者が評価した場合に、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス≦1、平均余命≧12カ月を有してよい。
【0050】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、患者または対象は成人である。一部の実施形態では、対象は、何らかの閉経状態の女性または男性である。一部の実施形態では、対象は、閉経後の女性または男性である。一部の実施形態では、対象は、閉経後の女性である。一部の実施形態では、対象は、閉経前または閉経周辺期の女性である。一部の実施形態では、対象は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストで処置されている閉経前または閉経周辺期の女性である。一部のそのような実施形態では、対象は男性である。一部の実施形態では、対象は、GnRHアゴニストで処置されている男性である。
【0051】
本明細書で使用される場合の、がんを「処置する」または「処置すること」またはその「処置」という用語は、本発明による併用治療を、がんを有するか、またはがんと診断されている対象に投与して、例えば、がん細胞の数の減少、腫瘍サイズの縮小、周辺器官へのがん細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の低下、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の進行の逆転、緩和、阻害、もしくはその予防などの少なくとも1つのプラスの治療効果を達成することを意味する。「処置すること」をすぐ上で定義したとおり、本明細書で使用される場合の「処置」という用語は、別段に示されていない限り、処置する行動を指す。「処置すること」という用語にはまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置が含まれる。
【0052】
本発明の目的では、有利な、または所望の臨床結果には、これに限定されないが、次のうちの1つまたは複数が含まれる:新生またはがん性細胞の増殖の減少(またはその破壊);転移性または新生細胞の阻害;腫瘍のサイズの縮小または減少;がんの寛解;がんから生じる症状の軽減;がんに罹患しているものの生活の質の向上;がんを処置するために必要とされる他の薬物の用量の減少;がんの進行の遅延;がんの治癒;がんの1つまたは複数の抵抗性機序の克服;および/またはがんを有する患者の生存の延長。がんにおけるプラスの治療効果はいくつかの方法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50 Suppl.1:1S~10S(2009)を参照されたい。例えば、腫瘍成長阻害(T/C)に関しては、米国国立癌研究所(NCI)標準によると、42%以下のT/Cが、抗腫瘍活性の最低レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと判断され、T/C(%)=処置済みの中央腫瘍体積/対照の中央腫瘍体積×100である。
【0053】
一部の実施形態では、本発明の組合せにより達成される処置は、部分応答(PR)、完全応答(CR)、全体応答(OR)、客観的応答率(ORR)、無増悪生存(PFS)、画像学的PFS、無転移生存(MFS)、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)のいずれかである。
【0054】
本明細書で使用される場合、「完全応答」または「CR」という用語は、処置に応じたがんのすべての徴候の消失(例えば、すべての標的病変の消失)を意味する。これは、がんが治癒していることを常に意味するものではない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「無病生存期間」(DFS)という用語は、がんのいずれの徴候または症状を伴わずに患者が生存している、がんについての一次処置が終わった後の時間の長さを意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「応答期間」(DoR)という用語は、がんの成長または転移を伴わずに、腫瘍が処置に応答し続けている時間の長さを意味する。DoRの改善を実証する処置は、疾患進行において永続的で有意味な遅延をもたらし得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「客観的応答」および「全体応答」という用語は、完全応答(CR)または部分応答(PR)を含む測定可能な応答を指す。「全体応答率」(ORR)という用語は、完全応答(CR)率および部分応答(PR)率の合計を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「全生存期間」(OS)という用語は、がんなどの疾患についての診断日または処置開始のいずれかから、疾患を有すると診断された患者がまだ生存している時間の長さを意味する。OSは典型的には、対照群の(すなわち、別の薬物またはプラセボを摂取している)患者と比較した場合の、ある特定の処置を受けている患者における平均余命の延長として測定される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「部分応答」または「PR」という用語は、処置に応答しての1つもしくは複数の腫瘍もしくは病変のサイズ、または身体におけるがんの規模の縮小を指す。例えば、一部の実施形態では、PRは、基線SLDを基準として、標的病変の最長直径(SLD)の合計の少なくとも30%の減少を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存」または「PFS」という用語は、処置されている疾患(例えば、がん)が憎悪していない間の、処置中およびその後の時間の長さを指す。「腫瘍進行までの時間」とも称されるPFSは、患者がCRまたはPRを経験している時間の量、さらには患者がSDを経験している時間の量を含み得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」または「PD」という用語は、成長している、転移している、または増悪しているがんを指す。一部の実施形態では、PRは、処置が開始されて以降に記録された最小SLDを基準として、標的病変のSLDの少なくとも20%の上昇、または1つもしくは複数の新たな病変の存在を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「安定な疾患」(SD)という用語は、規模または重症度のいずれかにおいて低下も上昇もしていないがんを指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「持続応答」という用語は、処置の休止後に腫瘍成長を減少させることに対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、医薬品投与相の開始時のサイズと比較して、同じか、または小さいサイズであり得る。一部の実施形態では、持続応答は、処置期間と少なくとも同じ期間、処置期間の少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、もしくは3倍の長さを有するか、またはそれよりも長い。
【0064】
「客観的応答」、「完全応答」、「部分応答」、「進行性疾患」、「安定な疾患」、「無増悪生存」、「応答期間」を含むがんを処置する方法の抗がん効果は、本明細書で使用される場合、試験責任者により、RECIST v1.1を使用して定義および評定され得る(Eisenhauerら、New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、Eur J of Cancer、2009;45(2):228~47)。
【0065】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンとの組合せで、かつ任意選択で追加の抗がん薬とのさらなる組合せで式(I)の化合物、例えば、コンパウンドAにより達成される治療効果は、完全応答(CR)、無病生存期間(DFS)、応答期間(DoR)、全体応答率(ORR)、全生存期間(OS)、部分応答(PR)、または無増悪生存(PFS)のうちのいずれかを基準として定義される。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する応答は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)1.1応答基準を使用して評定されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのうちのいずれかである。
【0066】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本発明は、ネオアジュバント治療、アジュバント治療、第一選択治療、第二選択治療、第二選択またはさらに後の選択治療、もしくは第三選択またはさらに後の選択治療に関する。本明細書にさらに記載のとおりの各症例では、がんは、限局性、進行性または転移性であってよく、介入は、疾患の連続に沿った時点で(すなわち、がんの任意のステージで)行われ得る。
【0067】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本発明の組合せにより達成される処置は、PSA進行までの時間、細胞傷害性化学治療の開始までの時間、または50%以上のPSA応答を有する患者の割合により測定される。
【0068】
対象においてがんを処置するために有効である本発明の方法、組合せまたは使用のための処置レジメンは、対象の病態、年齢、および体重、ならびに対象において抗がん応答を誘発する治療の能力などの因子により変動し得る。本発明のいずれかの態様の一実施形態は、プラスの治療効果の達成においてあらゆる対象で有効であり得るということはなく、これに限定されないが、Cox対数順位検定、Cochran-Mantel-Haenszel対数順位検定、スチューデントt検定、chi2検定、MannおよびWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstrat検定およびWilcon on検定などの当技術分野で公知の任意の統計検定により決定されるとおりの統計学的に有意な数の対象で有効であり得るはずである。
【0069】
「処置レジメン」、「投薬プロトコル」および「投薬レジメン」という用語は、本発明の組合せにおける各治療薬の用量および投与時期を指すために互換的に使用され得る。
【0070】
「寛解すること」は、本明細書に記載の組合せで処置した際の、その組合せを投与していない場合と比較しての1つまたは複数の症状のある程度の軽減または改善を意味する。「寛解すること」はまた、症状の持続期間の短縮または減少、すなわち、ある程度の軽減、好ましくは除去を含む。
【0071】
本明細書で使用される場合、化合物または医薬組成物の「有効投薬量」、「有効量」または「治療有効量」は、指示されたとおりに使用された場合に(単一薬剤として使用される場合には単独でもよいし、または組合せで使用される場合には他の薬剤と一緒でもよい)、疾患の発生中に疾患、その合併症および中間病的表現型が提示する生化学的、組織学的および/または行動症状の予防、寛解または処置を含めて、1つまたは複数の有利なまたは所望の転帰に影響を及ぼすために十分な量である。予防用途では、有利な、または所望の転帰には、リスクの除去もしくは軽減、重症度の低下、または疾患の発症の遅延が含まれ得る。治療用途では、有利な、または所望の転帰には、疾患の1つもしくは複数の症状の発病率の低下もしくは寛解、疾患を処置するために使用される別の薬物の用量の減少、疾患を処置するために使用される別の薬物の有効性もしくは安全性の上昇、または疾患進行までの時間の遅延が含まれ得る。
【0072】
がんの処置に関しては、本発明により提供される有利な、または所望の転帰には、(1)腫瘍のサイズを縮小する、(2)腫瘍転位を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍成長または腫瘍侵襲性をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候または症状の発生率を減少する、または改善する(すなわち、ある程度減少させる、好ましくは、除去する)、(5)がんを処置するために必要とされる別の薬物の投薬量を減少させる、(6)がんを処置するために使用される別の薬物の有効性または安全性を強化する、および/または(7)がんの進行までの時間を遅延させることが含まれ得る。
【0073】
有効な投薬量を、1回または複数の投与で投与することができる。併用治療は、併用治療における構成成分の薬物のそれぞれを、組合せで処置される障害の、基線の臨床的に観察可能な徴候および症状を上回る観察可能な改善を得るために十分な量で投与することを伴う。併用治療の一部として使用される場合の化合物または医薬組成物の有効量は、同じ障害を処置するために単一の薬剤として使用される場合の化合物または医薬組成物の量よりも少ないことがある。
【0074】
「非標準投薬レジメン」は、臨床または治療状況において、その物質、薬剤、化合物または医薬組成物について典型的に使用される量、用量またはスケジュールとは異なる物質、薬剤、化合物または医薬組成物の量を投与するためのレジメンを指す。「非標準投薬レジメン」は、「非標準用量」または「非標準投与スケジュール」を含む。
【0075】
「低用量レジメン」は、レジメンにおける物質、薬剤、化合物または医薬組成物の1つまたは複数の量が、例えば、その薬剤が単一薬剤治療として投与される場合に、その薬剤について臨床または治療状況において典型的に使用されるよりも少ない量または用量で投与される投薬レジメンを指す。
【0076】
網膜芽細胞腫感受性遺伝子(RB1)は、分子的に定義された最初の腫瘍抑制遺伝子であった。網膜芽細胞腫遺伝子産物、RBは往々にして、網膜芽細胞腫および骨肉腫では変異しているか、または欠失しており、かつ前立腺癌(神経内分泌前立腺癌腫を含む)、乳癌(三重陰性乳癌、TNBCを含む)、肺癌(小細胞肺癌、SCLC、および非小細胞肺癌、NSCLCを含む)、肝臓癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、胃癌、食道癌、頭頚部癌、神経膠芽腫、およびリンパ腫などの他の腫瘍型では、様々な頻度で変異しているか、または欠失している。ヒトがんでは、RBの機能は、タンパク質結合による中和(例えば、子宮頸癌ではヒトパピローマウイルス-E7タンパク質;Ishiji,T、2000、J Dermatol.、27:73~86)またはそのリン酸化を最終的に担う経路の調節解除を介して破壊され得る。
【0077】
「RB経路」とは、網膜芽細胞腫タンパク質(RB)、ならびにこれに限定されないが、CDK、E2f、非定型プロテインキナーゼC、およびSkp2を含む経路内の他のタンパク質/タンパク質ファミリーを含む分子シグナル伝達の経路全体を意味する。RB経路の不活性化は多くの場合に、p16INK4a、サイクリンD1、およびCDK4の混乱から生じる。
【0078】
「RB+」、「RBプラス」、「RBプロフィシエント(proficient)」または「RB陽性」という用語は、検出可能量の機能性RBタンパク質を発現する細胞を説明するために使用され得る。RB陽性には、野生型および非変異型RBタンパク質が含まれる。野生型RB(RB-WT)は、対応する集団では正常に存在し、かつこのタンパク質に現在割り当てられている機能を有するRBタンパク質の形態を意味すると一般に理解される。RB陽性は、機能性RB遺伝子を含む細胞であり得る。RB陽性である細胞は、検出可能なRBタンパク質機能をコードし得る細胞でもあり得る。
【0079】
「RB-」、「RBマイナス」、「RB欠失」または「RB陰性」という用語は、検出可能な量の機能性RBタンパク質を産生しない細胞を含む、RBの機能が破壊されているいくつかの種類の細胞を説明している。RB陰性である細胞は、機能性RB遺伝子を含まない細胞であり得る。RB陰性である細胞は、RBタンパク質をコードし得るが、そのタンパク質が適正に機能しない細胞でもあり得る。
【0080】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、網膜芽細胞腫野生型(RB WT)として特徴づけられる。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、RB陽性またはRBプロフィシエントとして特徴づけられる。そのようなRB陽性またはRBプロフィシエントがんは、少なくとも一部の機能性網膜芽細胞腫遺伝子を含む。一部の実施形態では、そのようなRB-WT、RB陽性またはRBプロフィシエントがんは、RB1-WT、RB1陽性またはRB1プロフィシエントがんとして特徴づけられる。
【0081】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、RB陰性またはRB欠失として特徴づけられる。そのようなRB陰性またはRB欠失がんは、ミスセンス変異(すなわち、間違ったアミノ酸をコードする)またはノンセンス変異(すなわち、停止コドンをコードする)をコードし得る機能欠損変異により特徴づけられ得る。別法では、そのようなRB陰性がんは、網膜芽細胞腫遺伝子の全部または一部の欠失により特徴づけられ得る。一部の実施形態では、そのようなRB陰性またはRB欠失がんは、RB1陰性またはRB1欠失として特徴づけられる。
【0082】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの他の実施形態では、がんは、RB陽性、RBプロフィシエントまたはRB-WTとして特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、がんは、AR陽性としてさらに特徴づけられる。
【0083】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部のそのような実施形態では、がんは、RB1陽性、RB1プロフィシエントまたはRB1-WTとして特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、がんは、AR陽性としてさらに特徴づけられる。
【0084】
がんを有すると診断されているか、または有することが疑われる対象に適用される場合の「腫瘍」は、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織腫瘤を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体領域を含有しない組織の異常な成長または腫瘤である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は一般に、固形腫瘍を形成しない(米国国立癌研究所、Dictionary of Cancer Terms)。
【0085】
「腫瘍量」または「腫瘍細胞量」は、全身に分布している腫瘍物質の全量を指す。腫瘍量は、リンパ節および骨髄を含む全身のがん細胞の総数または腫瘍の全体サイズを指す。腫瘍量は、例えば、キャリパーを使用する、または体内にある間に撮像技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影法(CT)、もしくは磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを使用するなどの当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0086】
「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定され得る腫瘍の全サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば、対象から除去した際に腫瘍の寸法を、例えば、キャリパーを使用して測定する、または体内にある間に、撮像技術、例えば、骨スキャン、超音波、CRまたはMRIスキャンを使用するなどの当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0087】
「相加的」という用語は、2種の化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの結果が個別での各化合物、構成成分または標的薬剤のそれぞれの合計を上回らないことを意味するために使用される。
【0088】
「相乗作用」または「相乗的」という用語は、2種の化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの結果が個別での各化合物、構成成分または標的薬剤のそれぞれの合計を上回ることを意味するために使用される。処置されている疾患、状態または障害におけるこの改善は「相乗」作用であり、相乗作用をもたらす組合せは相乗的組合せと称され得る。「相乗的量」は、「相乗的」が本明細書において定義されるとおりの、相乗作用をもたらす2種の化合物、構成成分または標的薬剤の組合せの量である。
【0089】
1または2種の構成成分との間での相乗的相互作用の決定では、その作用に最適な範囲および作用のための各構成成分の絶対用量範囲は、種々の用量範囲、または用量比にわたって構成成分を、処置を必要とする患者に投与することにより最終的に測定することができる。相乗作用を測定するために、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察で、ヒトおよび他の種における作用を予測することができる。そのような研究の結果を使用して、薬物動態または薬力学的方法の適用などにより、ヒトおよび他の種において必要とされる有効な用量および血漿中濃度比範囲ならびに絶対用量および血漿中濃度を予測することもできる。
【0090】
相乗作用は、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford,N.H.G.およびScheiner,L.B.、Clin.Pharmacokinet.6:429~453(1981))、Loewe相加性の式(Loewe,S.およびMuischnek,H.、Arch.Exp.Pathol.Pharmacol.114:313~326(1926))およびmedian-effect式(Chou,T.C.およびTalalay,P.、Adv.Enzyme Regul.22:27~55(1984))などの適切な方法を使用して計算することができる。上で言及した各式を実験データに適用して、薬物組合せの効果の評定を援助する対応グラフを生成することができる。上で言及した式と関連する対応グラフは、それぞれ濃度-効果曲線、アイソボログラム曲線および併用指数曲線である。Ma & Motsinger-Reif、Current Method for Quantifying Drug Synergism,Proteom.Bioinform(2019)1(2):43~48;Tangら、What is Synergy? The Saariselka Agreement Revisited、Front Pharmacol.(2015)Article 181、6:1~5。
【0091】
CDK4阻害薬
本発明は、CDK4阻害薬を含む方法、組合せおよび使用に関し、CDK4阻害薬は、式(I)の化合物:
【0092】
【化8】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]
である。
【0093】
一部の実施形態では、本発明は、式(I)のCDK4阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
【0094】
本明細書に記載の方法、組合せ、および使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0095】
【化9】
を有する1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0096】
コンパウンドAは、その内容が全体で参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2019/0330196号の実施例A94に記載のとおりに調製された。
【0097】
本明細書に記載の方法、組合せ、および使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、コンパウンドA、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0098】
コンパウンドAを含む式(I)の化合物の調製は、その内容が全体で参照により本明細書に援用される、2019年10月31日にWO2019/207463として公開された国際出願PCT/IB2019/053314、および2019年10月31日に米国特許出願公開第2019/0330196号として公開された米国出願番号第16/391,836号に記載されている。
【0099】
抗アンドロゲン
本発明は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む方法、組合せ、および使用に関する。一部の実施形態では、本発明は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0100】
一部のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体を分解する化合物である。他のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲンの産生を阻害または抑制する化合物である。
【0101】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、その内容が参照により本明細書に援用される1997年2月18日に公開された米国特許第5,604,213号に開示されているステロイド性CY17A1阻害薬であるアビラテロン酢酸エステル(Zytiga(商標)として販売)などのアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0102】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの他の実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。一部のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0103】
本発明のために有用なアンドロゲン受容体阻害薬には、これに限定されないが、非ステロイド性低分子アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。アンドロゲン受容体阻害薬は当業者に公知の方法により、例えば、Tranら、Development of a second-generation antiandrogen for treatment of advanced prostate cancer、Science、(2009)、324:787~790に開示されているものなどのin vitroアッセイ、細胞リガンド結合アッセイ、または遺伝子発現アッセイを使用して同定することができる。
【0104】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0105】
【化10】
を有するエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0106】
一部のそのような実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩である。一部のそのような実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬はエンザルタミドである。エンザルタミドは、RD162’;4-[3-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソ-1-イミダゾリジニル]-2-フルオロ-N-メチル-ベンズアミド;または4-{3-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)-フェニル]-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-スルファニリデンイミダゾリジン-1-イル}-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドとしても公知であり;これは、その内容が参照により本明細書に含まれる2006年11月23日にWO2006/124118として公開されたPCT/US2006/011417に開示されている。
【0107】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0108】
【化11】
を有するN-デスメチルエンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0109】
N-デスメチルエンザルタミドは、4-[3-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル]-2-フルオロベンズアミド;またはMIIとしても公知であり;これは、その内容が参照により本明細書に含まれる2010年9月2日にWO2010/099238として公開されたPCT/US2010/025283に開示されている。
【0110】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0111】
【化12】
を有するアパルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0112】
アパルタミドは、ARN-509;または4-{7-[6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3,4]オクタン-5イル}-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドとしても公知であり;これは、その内容が参照により本明細書に含まれる2007年11月8日にWO2007/126765として公開されたPCT/US2007/007485に開示されている。一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、アパルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の薬理学的に活性な代謝産物である。
【0113】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0114】
【化13】
を有するHC-1119、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0115】
HC-1119は、それぞれの内容が参照により本明細書に含まれるWO2013/087004、およびUS9,346,764として2013年6月20日に公開されたPCT/CN2012/086573に開示されている。
【0116】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0117】
【化14】
を有するONO1-0013Bまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0118】
ONO1-0013Bは、それぞれの内容が参照により本明細書に含まれるWO2012/011840、およびRU2434851として2012年1月26日に公開されたPCT/RU2011/000476に開示されている。
【0119】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0120】
【化15】
を有するダロルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0121】
ダロルタミドは、その内容が参照により本明細書に含まれるWO2011/051540として2011年5月5日に公開されたPCT/FI2010/000065に開示されているN-[(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル]-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミドとしても公知である。
【0122】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0123】
【化16】
を有するビカルタミド、またはその薬学的に許容できる塩または溶媒和物である。
【0124】
ビカルタミドはCasodex(商標)として販売されており、その内容が参照により本明細書に含まれる1987年1月13日公開の米国特許第4,636,505号において開示されている。
【0125】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0126】
【化17】
を有するニルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0127】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、構造:
【0128】
【化18】
を有するフルタミド、または薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
【0129】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、エンザルタミド、N-デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド、アパルタミド、およびアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0130】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体阻害薬であり、アンドロゲン受容体阻害薬は、エンザルタミド、N-デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド、アパルタミド、およびアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0131】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンを、アンドロゲン除去治療(ADT)とのさらなる組合せで投与する。一部のそのような実施形態では、ADTは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびGnRHアンタゴニストからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、ADTは、ロイプロリド(ロイプロレリンとしても公知、例えば、LupronまたはEligardor Viadurおよび同様のもの);ブセレリン(例えば、Suprefact);ゴナドレリン;ゴセレリン(例えば、Zoladex);ヒストレリン(例えば、Vantas);ナファレリン;トリプトレリン(例えば、Trelstar);デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス(例えば、Plenaxis);セトロレリクス;デガレリクス(例えば、Firmagon);ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス(例えば、Orilissa);レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。
【0132】
一部のそのような実施形態では、ADTはロイプロリドである。一部のそのような実施形態では、ADTはゴセレリンである。他のそのような実施形態では、ADTはデガレリクスである。
【0133】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるエンザルタミドであり、ADTは、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるエンザルタミドであり、ADTは、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0134】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるN-デスメチルエンザルタミドであり、ADTは、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるN-デスメチルエンザルタミドであり、ADTは、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0135】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるアパルタミドであり、ADTは、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるアパルタミドであり、ADTは、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0136】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるアビラテロン、好ましくはアビラテロン酢酸エステルであり、ADTは、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、抗アンドロゲンは、ADTとのさらなる組合せで投与されるアビラテロン、好ましくはアビラテロン酢酸エステルであり、ADTは、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0137】
薬学的に許容できる塩
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる塩」という用語は、親化合物の生物学的有効性および特性を保持しているそれらの塩を指す。「薬学的に許容できる塩」という語句は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、本明細書に開示の式の化合物中に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。例えば、もともと塩基性である本発明の化合物は、様々な無機および有機酸と共に広範囲の様々な塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含有する塩を形成するものである。一および二酸付加塩に適したアニオンの例には、これに限定されないが、酢酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、デカン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edislyate)、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオドード(triethiodode)、および吉草酸塩が含まれる。別法では、もともと酸性である化合物は、非毒性塩基塩を形成する様々な薬理学的に許容できるカチオンと共に塩基塩を形成し得る。そのような非毒性塩基塩には、これに限定されないが、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)などのそのような薬理学的に許容できるカチオンに由来するもの、N-メチルグルカミン-(メグルミン)などのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、ならびに薬学的に許容できる有機アミンの低級アルカノールアンモニウムおよび他の塩基塩が含まれる。そのような塩に適したカチオンの例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、マグネシウム、ヒスチジン、リチウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トリエチルアミンおよび亜鉛を含むアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩および他のカチオンが含まれる。塩は、従来の技術により調製することができる。酸および塩基の半塩、例えば、半硫酸塩および半カルシウム塩も形成することができる。適切な塩についての概説については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。薬学的に許容できる塩を作製するための方法は、当業者に知られている。
【0138】
別段に示されていない限り、CDK4阻害薬、式(I)の化合物、および抗アンドロゲンについての本明細書におけるすべての言及には、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物および複合体、ならびにその薬学的に許容できる塩の溶媒和物、水和物および複合体についての言及が含まれ、それらには、その非結晶性および多形形態、立体異性体、および同位体標識バージョンが含まれる。
【0139】
治療方法、組合せ、使用
本発明は、がんを処置するための方法、組合せおよび使用を提供する。本明細書において提供される一部の実施形態は、次の作用のうちの1つまたは複数をもたらす:(1)がん細胞増殖の阻害;(2)がん細胞侵襲性の阻害;(3)がん細胞のアポトーシスの誘導;(4)がん細胞転移の阻害;(5)血管新生の阻害;または(6)がん処置に関する1つまたは複数の抵抗性機序の克服。
【0140】
本発明は、式(I)の化合物:
【0141】
【化19】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]
を含む方法、組合せおよび使用を提供する。
【0142】
本明細書において列挙される各例では、「式(I)の化合物」についての言及は、「式(I)のCDK4阻害薬」により置き換えられ得る。
【0143】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0144】
【化20】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)ある量の抗アンドロゲンと;
を投与することを含み、
(a)および(b)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0145】
この態様の一部の実施形態では、本発明は、前記対象に:(c)ある量の追加の抗がん薬を投与することをさらに含み;(a)、(b)および(c)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0146】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0147】
【化21】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せががんの処置において有効である組合せを提供する。
【0148】
この態様の一部の実施形態では、前記組合せは、(c)追加の抗がん薬をさらに含み;(a)、(b)および(c)の組合せはがんの処置において有効である。
【0149】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0150】
【化22】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0151】
この態様の一部の実施形態では、使用するための組合せは、(c)追加の抗がん薬をさらに含む。
【0152】
別の態様では、本発明は、
(a)式(I)の化合物:
【0153】
【化23】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用ががんの処置において有効である使用を提供する。
【0154】
この態様の一部の実施形態では、前記組合せは、(c)追加の抗がん薬をさらに含み、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんの処置において有効である。
【0155】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0156】
【化24】
を有する1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0157】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0158】
【化25】
を有する1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)である。
【0159】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)ある量の抗アンドロゲンと;
を投与することを含み、(a)および(b)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0160】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)ある量の抗アンドロゲンと;
(c)ある量の追加の抗がん薬と;
を投与することを含み、(a)、(b)および(c)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0161】
好ましい態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)ある量のエンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
を投与することを含み;
(a)および(b)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0162】
別の好ましい態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に:
(a)ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)ある量のエンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
(c)ある量の追加の抗がん薬と;
を投与することを含み、(a)、(b)および(c)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法を提供する。
【0163】
別の態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0164】
別の態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)抗アンドロゲンと;
(c)追加の抗がん薬と;
を含む組合せであって、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0165】
好ましい態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0166】
別の好ましい態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
(c)追加の抗がん薬と
を含む組合せであって、(a)、(b)および(c)の組合せが、がんの処置において有効である組合せを提供する。
【0167】
別の態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)抗アンドロゲンと
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0168】
別の態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)抗アンドロゲンと;
(c)追加の抗がん薬と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0169】
好ましい一態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0170】
別の好ましい態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
(c)追加の抗がん薬と
を含む、がんの処置において使用するための組合せを提供する。
【0171】
別の態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)抗アンドロゲンと
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用ががんの処置において有効である組合せの使用を提供する。
【0172】
別の態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)抗アンドロゲンと;
(c)追加の抗がん薬と;
を含む組合せの使用であって、(a)、(b)および(c)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0173】
好ましい一態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
を含む組合せの使用であって、(a)および(b)の組合せの使用が、がんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0174】
別の好ましい態様では、本発明は、
(a)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩と;
(b)エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と;
(c)追加の抗がん薬と
を含む組合せの使用であって、(a)、(b)および(c)の組合せの使用ががんの処置において有効である、組合せの使用を提供する。
【0175】
本明細書における組合せのそれぞれの一部の実施形態では、(a)および(b)の組合せは相乗的であり、本発明は、相乗的組合せを提供する。本明細書における組合せの一部の実施形態では、(a)、(b)および(c)の組合せは相乗的であり、本発明は相乗的組合せを提供する。
【0176】
本明細書における使用のための組合せのそれぞれの一部の実施形態では、(a)および(b)の組合せは相乗的であり、本発明は、記載のとおりのがんの処置において使用するための相乗的組合せを提供する。本明細書における使用のための組合せの一部の実施形態では、(a)、(b)および(c)の組合せは相乗的であり、本発明は、記載のとおりのがんの処置において使用するための相乗的組合せを提供する。
【0177】
本明細書に記載の使用のそれぞれの一部の実施形態では、(a)および(b)の組合せは相乗的であり、本発明は、記載のとおりの相乗的組合せの使用を提供する。本明細書に記載の使用の一部の実施形態では、(a)、(b)および(c)の組合せは相乗的であり、本発明は、記載のとおりの相乗的組合せの使用を提供する。
【0178】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0179】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、追加の抗がん薬とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0180】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0181】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、追加の抗がん薬とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0182】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0183】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、追加の抗がん薬とを連続して、同期で、または同時に投与する。
【0184】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、追加の抗がん薬はADTであり、ADTは、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0185】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、がんは、前立腺癌、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌、NSCLC、および小細胞肺癌、SCLCを含む)、肝臓癌(肝細胞癌、HCCを含む)、腎臓癌(腎細胞癌、RCCを含む)、膀胱癌(尿路上皮癌、例えば、上部尿路尿路上皮癌、UUTUCを含む)、卵巣癌(上皮卵巣癌、EOCを含む)、腹膜癌(原発性腹膜癌、PPCを含む)、ファロピウス管癌、子宮頸癌、子宮癌(子宮内膜癌を含む)、膵臓癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、頭頚部癌(頭頚部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)、甲状腺癌、および唾液腺癌を含む)、睾丸癌、副腎癌、皮膚癌(基底細胞癌および黒色腫を含む)、脳癌(神経膠星状細胞腫、髄膜腫、および神経膠芽腫を含む)、肉腫(骨肉腫および脂肪肉腫を含む)、およびリンパ腫(マントル細胞リンパ腫、MCLを含む)からなる群から選択される。
【0186】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんはアンドロゲン依存性である。
【0187】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんはアンドロゲン受容体を発現し、ときに、アンドロゲン受容体(AR)陽性またはAR+がんと称されることもある。
【0188】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、がんは進行性または転移性がんである。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、がんは早期または非転移性がんである。
【0189】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、がんは、乳癌感受性遺伝子1(BRCA1)または乳癌感受性遺伝子2(BRCA2)における有害な生殖細胞系の変異により特徴づけられる(すなわち、生殖細胞系BRCA1またはBRCA2変異している)。一部のそのような実施形態では、BRCA1またはBRCA2変異がんは、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、または膵臓癌である。
【0190】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、がんは、CDK4、CDK6またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、がんは、RB陽性またはRBプロフィシエントである。
【0191】
本明細書に記載の方法、組合せ、使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、治療薬または薬剤の群、例えば、特定のがんのための標準治療薬または群に対して抵抗性である。本明細書に記載の方法、組合せ、使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、治療薬または薬剤群に対する生得または獲得抵抗性により特徴づけられる。一部のそのような実施形態では、がんは、抗アンドロゲン、タキサン、白金製剤、アロマターゼ阻害薬、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)、選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、またはCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。
【0192】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、抗アンドロゲンでの処置に対して抵抗性である。がんが、抗アンドロゲンでの処置に対して抵抗性である一部の実施形態では、根底にあるがんの抵抗機構は、AR活性化変異;抗アンドロゲン治療に対して抵抗性ではないスプライシング変異型;および他のバイパス機構からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、がんは、エンザルタミドもしくはアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物での処置に対して抵抗性である。他の実施形態では、がんは、アンドロゲン受容体阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、がんは、エンザルタミド、デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド、およびアパルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択されるアンドロゲン受容体阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、がんは、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物での処置に対して抵抗性である。
【0193】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、タキサンでの処置に対して抵抗性である(すなわち、がんがタキサン抵抗性がんである)。
【0194】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、白金製剤での処置に対して抵抗性である(すなわち、がんは白金抵抗性がんである)。
【0195】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMでの処置に対して抵抗性である。
【0196】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、CDK4阻害薬またはCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、がんは、パルボシクリブ、リボシクリブもしくはアベマシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択されるCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、がんは、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩での処置に対して抵抗性である。
【0197】
本明細書に記載の方法、組合せ、および使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは難治性であり、すなわち、がんは、治療薬または群(特定のがんのための標準治療薬または群を含む)での処置に対して全く応答しないか、または当初は応答するが、非常に短期間で再び成長を開始する。
【0198】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは前立腺癌である。一部のそのような実施形態では、前立腺癌がアンドロゲン依存性である。一部のそのような実施形態では、前立腺癌はAR+前立腺癌である。
【0199】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、前立腺癌は進行性または転移性前立腺癌である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、前立腺癌は早期または非転移性前立腺癌である。
【0200】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、前立腺癌は、BRCA1またはBRCA2変異前立腺癌である。
【0201】
一部の実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌である。他の実施形態では、前立腺癌は去勢感受性前立腺癌である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、前立腺癌は転移性前立腺癌(mPC)である。一部のそのような実施形態では、mPCは、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である。他のそのような実施形態では、mPCは転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、前立腺癌は非転移性前立腺癌(nmPC)である。一部のそのような実施形態では、nmPCは非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)である。一部のそのような実施形態では、nmPCは非転移性去勢感受性前立腺癌(nmCSPC)である。
【0202】
上述のそれぞれの一部の実施形態では、がんは前立腺癌であり、本発明の組合せにより達成される処置は、PSA進行までの時間、細胞傷害性化学治療の開始までの時間、または50%以上のPSA応答を有する患者の割合により測定される。
【0203】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、または1種または複数の標準治療薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。一部のそのような実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、または抗アンドロゲン治療での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。他の実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、またはタキサン、白金製剤、アンスラサイクリンまたは代謝拮抗薬などの抗新生物化学治療薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。
【0204】
一部のそのような実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、または抗アンドロゲンでの処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、またはエンザルタミドもしくはアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物での処置に対して抵抗性である。上述のそれぞれの一部の実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、またはアンドロゲン受容体阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、前立腺癌は難治性であるか、またはエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物での処置に対して抵抗性である。
【0205】
一部のそのような実施形態では、前立腺癌は、抗アンドロゲンでの処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、前立腺癌は、エンザルタミドもしくはアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物での処置に対して抵抗性である。上述のそれぞれの一部の実施形態では、前立腺癌は、アンドロゲン受容体阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、前立腺癌は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物での処置に対して抵抗性である。
【0206】
がんが前立腺癌である一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用は追加の抗がん薬をさらに含む。一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬はアンドロゲン除去治療(ADT)である。一部の実施形態では、がんは前立腺癌であり、対象をアンドロゲン除去治療(ADT)または両側精巣摘除でさらに治療する。一部のそのような実施形態では、ADTはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、ADTは、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0207】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは乳癌である。一部のそのような実施形態では、乳癌はアンドロゲン依存性乳癌である。一部の実施形態では、乳癌はAR+乳癌である。
【0208】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、乳癌は進行性または転移性乳癌である。本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、乳癌は早期または非転移性乳癌である。
【0209】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、乳癌は、CDK4、CDK6またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、乳癌は、RB陽性、RBプロフィシエント、またはRB野生型として特徴づけられる。
【0210】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、乳癌はBRCA1またはBRCA2変異乳癌である。
【0211】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、乳癌はPIK3CA変異がん乳癌である。
【0212】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、乳癌は難治性であるか、または1種または複数の標準治療薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。一部のそのような実施形態では、乳癌は難治性であるか、またはアロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの抗エストロゲンでの処置に対して抵抗性であるか、または進行している。一部のそのような実施形態では、乳癌は難治性であるか、またはパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。他の実施形態では、乳癌は難治性であるか、またはタキサン、白金製剤、アンスラサイクリンまたは代謝拮抗薬などの抗新生物化学治療薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。
【0213】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、乳癌は、ホルモン受容体(HR)陽性(HR+)乳癌であり、すなわち、乳癌は、エストロゲン受容体(ER)陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体(PR)陽性(PR+)である。
【0214】
一部の実施形態では、乳癌はホルモン受容体(HR)陰性(HR-)であり、すなわち、乳癌は、エストロゲン受容体(ER)陰性(ER-)およびプロゲステロン受容体(PR)陰性(PR-)である。
【0215】
一部の実施形態では、乳癌はヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性(HER2+)である。
【0216】
一部の実施形態では、乳癌はヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性(HER2-)である。一部のそのような実施形態では、乳癌はエストロゲン受容体アルファ(ERα)陰性である。
【0217】
一部の実施形態では、乳癌は三重陰性乳癌(TNBC)であり、すなわち、乳癌はER-、PR-およびHER2-である。
【0218】
一部の実施形態では、乳癌は、HR+/HER2-乳癌、HR+/HER2+乳癌、HR-/HER2+乳癌、および三重陰性乳癌(TNBC)からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、乳癌はアンドロゲン依存性またはAR+乳癌である。一部のそのような実施形態では、乳癌はBRCA1またはBRCA2変異乳癌である。
【0219】
一部の実施形態では、乳癌はHR+/HER2-乳癌である。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は進行性または転移性HR+/HER2-乳癌である。一部の実施形態では、HR+/HER2-乳癌は早期または非転移性HR+/HER2-乳癌である。
【0220】
一部の実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、CDK4、CDK6またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、RB陽性、RBプロフィシエント、またはRB野生型として特徴づけられる。
【0221】
一部の実施形態では、HR+/HER2-乳癌はBRCA1またはBRCA2変異乳癌である。
【0222】
一部の実施形態では、HR+/HER2-乳癌はPIK3CA変異がん乳癌である。
【0223】
一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、難治性であるか、または標準治療薬、例えば、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの抗エストロゲンでの処置に対して抵抗性であるか、または進行している。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は難治性であるか、またはパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。
【0224】
一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は難治性であるか、またはアロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの抗エストロゲンでの処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は難治性であるか、またはパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、難治性であるか、または抗エストロゲン、例えば、レトロゾールまたはフルベストラントとのさらなる組合せでの、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。
【0225】
一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの抗エストロゲンでの処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳癌は、抗エストロゲン、例えば、レトロゾールまたはフルベストラントとのさらなる組合せでの、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬での処置に対して抵抗性である。
【0226】
一部の実施形態では、乳癌はHR+/HER2+乳癌である。一部の実施形態では、乳癌はHR-/HER2+乳癌である。
【0227】
乳癌がHR+である一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用は追加の抗がん薬をさらに含む。一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの抗エストロゲンである。一部のそのような実施形態では、抗エストロゲンは、レトロゾールまたはフルベストラントである。一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬である。一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬は、抗エストロゲン、例えば、レトロゾールまたはフルベストラントとのさらなる組合せでの、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩などのCDK4/6阻害薬である。一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬は、PI3K阻害薬、例えば、アルペリシブである。
【0228】
乳癌がHER2+である一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、組合せおよび使用は追加の抗がん薬をさらに含む。一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬は、HER2標的化薬、例えば、トラスツズマブエムタンシン、fam-トラスツズマブデルクステカン、ペルツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブまたはツカチニブ、またはPI3K/AKT/mTOR分子経路を標的とする薬剤、例えば、イパタセルチブである。
【0229】
一部の実施形態では、乳癌は三重陰性乳癌(TNBC)である。一部の実施形態では、TNBCは、アンドロゲン依存性またはAR+TNBCである。一部のそのような実施形態では、TNBCは、RN+またはRBプロフィシエントである。一部のそのような実施形態では、TNBCは、AR+、RB+またはAR+、RBプロフィシエントTNBCである。
【0230】
一部のそのような実施形態では、TNBCは、局所再発性/進行性または転移性TNBCである。一部のそのような実施形態では、TNBCは、進行性または転移性TNBCである。一部のそのような実施形態では、TNBCは、早期または非転移性TNBCである。
【0231】
一部の実施形態では、TNBCは、CDK4、CDK6またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる。
【0232】
一部の実施形態では、TNBCは、BRCA1またはBRCA2変異TNBCである。
【0233】
一部の実施形態では、TNBCは、難治性であるか、または標準治療薬、例えば、タキサン、白金製剤、アンスラサイクリンまたは代謝拮抗薬などの抗新生物化学治療薬での処置に対して抵抗性であるか、または進行している。
【0234】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは肺癌である。一部の実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。一部の実施形態では、肺癌は小細胞肺癌(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、肺癌は、進行性または転移性肺癌である。
【0235】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは肝臓癌である。一部のそのような実施形態では、肝臓癌は肝細胞癌(HCC)である。一部のそのような実施形態では、肝臓癌は進行性または転移性肝臓癌である。
【0236】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは腎臓癌である。一部のそのような実施形態では、腎臓癌は腎細胞癌(RCC)である。一部のそのような実施形態では、腎臓癌は、進行性または転移性腎臓癌である。
【0237】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは膀胱癌である。一部のそのような実施形態では、膀胱癌は、上部尿路尿路上皮癌(UUTUC)を含む尿路上皮癌である。一部のそのような実施形態では、膀胱癌は進行性または転移性膀胱癌である。
【0238】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、上皮性卵巣癌(EOC)を含む卵巣癌である。一部のそのような実施形態では、卵巣癌は、進行性または転移性卵巣癌である。
【0239】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、原発性腹膜癌(PPC)を含む腹膜癌である。一部のそのような実施形態では、腹膜癌は、進行性または転移性腹膜癌である。
【0240】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんはファロピウス管癌である。一部のそのような実施形態では、ファロピウス管癌は、進行性または転移性ファロピウス管癌である。
【0241】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは子宮頸癌である。一部のそのような実施形態では、子宮頸癌は、進行性または転移性子宮頸癌である。
【0242】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、子宮内膜癌を含む子宮癌である。一部のそのような実施形態では、子宮癌は、進行性または転移性子宮癌である。
【0243】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは膵臓癌である。一部のそのような実施形態では、膵臓癌は、進行性または転移性膵臓癌である。一部のそのような実施形態では、膵臓癌は、タキサン、白金製剤、アンスラサイクリンまたは代謝拮抗薬などの抗新生物化学治療薬に対して抵抗性である。一部のそのような実施形態では、膵臓癌は、ゲムシタビンまたはnab-パクリタキセルに対して抵抗性である。
【0244】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは胃癌である。一部のそのような実施形態では、胃癌は進行性または転移性胃癌である。
【0245】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは結腸直腸癌である。一部のそのような実施形態では、結腸直腸癌は、進行性または転移性結腸直腸癌である。
【0246】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは食道癌である。一部のそのような実施形態では、食道癌は、進行性または転移性食道癌である。
【0247】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは頭頚部癌である。一部のそのような実施形態では、頭頚部癌は、進行性または転移性頭頚部癌である。一部のそのような実施形態では、頭頚部癌は、頭頚部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)、甲状腺癌、または唾液腺癌である。一部のそのような実施形態では、頭頚部癌は唾液腺癌である。
【0248】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは睾丸癌である。一部のそのような実施形態では、睾丸癌は、進行性または転移性睾丸癌である。
【0249】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは副腎癌である。一部のそのような実施形態では、副腎癌は、進行性または転移性副腎癌である。
【0250】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは皮膚癌である。一部のそのような実施形態では、皮膚癌は、基底細胞癌または黒色腫である。一部のそのような実施形態では、皮膚癌は、進行性または転移性皮膚癌である。
【0251】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは脳癌である。一部のそのような実施形態では、脳癌は、神経膠星状細胞腫、髄膜腫、または神経膠芽腫である。一部のそのような実施形態では、脳癌は、進行性または転移性脳癌である。
【0252】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは肉腫である。一部のそのような実施形態では、肉腫は、骨肉腫または脂肪肉腫である。
【0253】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんはリンパ腫である。一部のそのような実施形態では、リンパ腫はマントル細胞リンパ腫(MCL)である。
【0254】
医薬組成物、医薬品およびキット
一実施形態では、本発明は、コンパウンドA、またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0255】
一実施形態では、本発明は、コンパウンドA、またはその薬学的に許容できる塩と、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0256】
本発明はさらに、構造:
【0257】
【化26】
を有する式(I)の化合物、
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]を含む医薬組成物、医薬品およびキットを提供する。
【0258】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む医薬組成物を提供する。この態様の一部の実施形態では、医薬組成物は追加の抗がん薬(例えば、ADT)をさらに含む。
【0259】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む第1の医薬組成物、および抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む第2の医薬組成物を提供し、第1および第2の医薬組成物を連続して、同期で、または同時に投与する。この態様の一部の実施形態は、追加の抗がん薬(例えば、ADT)と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む第3の医薬組成物をさらに含み、第1、第2および第3の医薬組成物を連続して、同期で、または同時に投与する。
【0260】
別の態様では、本発明は、対象においてがんを処置するための医薬品の製造において使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩とを含む組合せを提供する。別の態様では、本発明は、対象においてがんを処置するための医薬品の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩とを含む組合せの使用を提供する。これらの態様の一部の実施形態では、前記組合せは、医薬品の製造において使用するための、追加の抗がん薬(例えば、ADT)をさらに含む。
【0261】
別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供し、医薬品を、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用するために適応させる。別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供し、医薬品を、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩、および追加の抗がん薬(例えば、ADT)と組み合わせて使用するために適応させる。別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供し、医薬品を、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用するために適応させる。別の態様では、本発明は、がんを処置するための医薬品の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供し、医薬品を、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩、および追加の抗がん薬(例えば、ADT)と組み合わせて使用するために適応させる。
【0262】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬品の一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩である。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)である。
【0263】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬品の一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0264】
本明細書に記載の医薬組成物および医薬品のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩であり、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩である。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、(1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)であり、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0265】
別の態様では、本発明は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含むキットを提供し、第1の容器は、本明細書にさらに記載のとおりの式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;第2の容器は、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;添付文書は、医薬品を使用する対象においてがんを処置するための指示書を含む。別の態様では、本発明は、第1の容器、第2の容器、第3の容器、および添付文書を含むキットを提供し、第1の容器は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;第2の容器は、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;第3の容器は、追加の抗がん薬(例えば、ADT)の少なくとも1つの用量を含み;添付文書は、医薬品を使用する対象においてがんを処置するための指示書を含む。
【0266】
本明細書のキットの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩である。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)である。一部の実施形態では、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0267】
本明細書のキットの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩であり、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩である。この態様の一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)であり、抗アンドロゲンは、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0268】
追加の抗がん薬を含む医薬組成物、医薬品、およびキットの一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびGnRHアンタゴニストからなる群から選択されるアンドロゲン除去治療(ADT)である。一部のそのような実施形態では、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0269】
追加の抗がん薬を含む医薬組成物、医薬品、およびキットの一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMなどの内分泌治療薬である。一部のそのような実施形態では、抗エストロゲンは、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0270】
本明細書に記載の医薬組成物、医薬品およびキットは、本発明の方法、組合せおよび使用に関して上記されたがんを処置するために有用であり得る。
【0271】
剤形およびレジメン
本発明の方法および併用治療の各治療薬は、単独か、または治療薬と、薬務により1種または複数の薬学的に許容できる担体、添加剤、または希釈剤とを含む医薬品(本明細書では医薬組成物とも称される)においてかのいずれかで投与することができる。
【0272】
本明細書で使用される場合、「組合せ」または「併用治療」という用語は、単独か、または医薬組成物もしくは医薬品の形態においてかのいずれかでの、連続的か、同時か、または同期のいずれかでの本発明の併用治療の2種以上の治療薬の投与を指す。
【0273】
本明細書で使用される場合、「連続的な」または「連続的に」という用語は、本発明の併用治療の各治療薬の単独か、または医薬品においてかのいずれかでの順々の投与を指し、各治療薬を任意の順序で投与することができる。併用治療における治療薬が異なる剤形である、例えば、一方の薬剤が錠剤であり、他方の薬剤が滅菌液体である、および/または薬剤が異なる投与スケジュールで投与される、例えば、一方の薬剤が毎日投与され、第2の薬剤が毎週などのより低い頻度で投与される場合に、連続的な投与は特に有用であり得る。
【0274】
本明細書で使用される場合、「同時に」という用語は、本発明の併用治療における各治療薬の単独か、または別々の医薬品においてかのいずれかでの投与を指し、第2の治療薬は、第1の治療薬の直後に投与されるが、治療薬は任意の順序で投与され得る。好ましい一実施形態では、治療薬は同時に投与される。
【0275】
本明細書で使用される場合、「同期の」という用語は、本発明の併用治療の各治療薬の同じ医薬品での、例えば、2種以上の薬物を単一の剤形に含む固定用量組合せとしての投与を指す。
【0276】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与の前に投与する。
【0277】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を、アンドロゲン受容体阻害薬またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与の前に投与する。
【0278】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与の前に投与する。
【0279】
本発明の一実施形態では、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩の投与の前に投与する。
【0280】
本発明の一実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩の投与の前に投与する。
【0281】
本発明の一実施形態では、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩の投与の前に投与する。
【0282】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と同時に投与する。
【0283】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩をアンドロゲン受容体阻害薬またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と同時に投与する。
【0284】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩をエンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と同時に投与する。
【0285】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と同期で投与する。
【0286】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩をアンドロゲン受容体阻害薬またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と同期で投与する。
【0287】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩をエンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と同期で投与する。
【0288】
当業者には理解されるであろうとおり、併用治療は、対象に、それらの処置の種々の段階で有用に投与することができる。
【0289】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、併用治療を、以前に処置されていない対象、すなわち、処置ナイーブである対象に投与する。
【0290】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、併用治療を、生物学的治療薬または化学治療薬での先行する治療後に持続応答を達成することができていない対象、すなわち、処置を経験している対象に投与する。
【0291】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、LHRHアゴニストまたはLHRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を以前に投与されている対象に投与する。
【0292】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストまたはLHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストまたはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を以前に投与されている対象に投与する。一部の実施形態では、GnRHアゴニストは、ロイプロリド、ブセレリン、ナファレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、またはデスロレリンからなる群から選択される。
【0293】
一部のそのような実施形態では、併用治療を、アンドロゲン除去治療を以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、LHRHアゴニストまたはLHRHアンタゴニストを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、GnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0294】
本発明の一実施形態では、併用治療を、両側精巣摘除を以前に受けている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、両側精巣摘除を以前に受けているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0295】
本発明の一実施形態では、併用治療を、抗アンドロゲンまたはタキサンを以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、抗アンドロゲンまたはタキサンを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0296】
本発明の一実施形態では、併用治療を、抗アンドロゲンを以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、抗アンドロゲンを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0297】
本発明の一実施形態では、併用治療を、アンドロゲン受容体阻害薬を以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、アンドロゲン受容体阻害薬を以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0298】
本発明の一実施形態では、併用治療を、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0299】
本発明の一実施形態では、併用治療を、アビラテロン酢酸エステルを以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、アビラテロンを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0300】
本発明の一実施形態では、併用治療を、CDK4またはCDK4/6阻害薬を以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、CDK4またはCDK4/6阻害薬を以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0301】
本発明の一実施形態では、併用治療を、抗エストロゲンを以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、抗エストロゲンを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0302】
本発明の一実施形態では、併用治療を、タキサンを以前に投与されている対象に投与する。一部のそのような実施形態では、併用治療を、タキサンを以前に投与されているが、そのがんが以降も進行している対象に投与する。
【0303】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺癌と診断された対象に投与し、対象は、腫瘍関連であると医学的に決定される前立腺特異的抗原(PSA)レベルを有する。
【0304】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺癌と診断された対象に投与し、対象は、少なくとも2.0ng/mLの前立腺特異的抗原(PSA)レベルを有する。
【0305】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺癌と診断された対象に投与し、対象は、少なくとも2.0ng/mLの前立腺特異的抗原(PSA)レベルを有し、前立腺特異的抗原(PSA)レベルが、少なくとも1週間空けて少なくとも2回連続して上昇している。
【0306】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺癌と診断された対象に投与し、対象は、≦10か月で2倍になっている前立腺特異的抗原(PSA)レベルを有する。
【0307】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、抗アンドロゲンでの処置に対する抵抗性を発生させている。
【0308】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、抗アンドロゲンまたはタキサンでの処置に対する抵抗性を発生させている。
【0309】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、アンドロゲン受容体阻害薬での処置に対する抵抗性を発生させている。
【0310】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、抗アンドロゲンでの処置に対する抵抗性を発生させており、がんの根底にある抵抗性機序は、これに限定されないが、AR F876変異などのAR活性化変異;これに限定されないがN-MYC上方制御、AURKAの上方制御、またはp53/RBの欠失などの、これに限定されないが、何らかの神経内分泌(NE)シフトと関連するものなどの抗アンドロゲン治療に抵抗性のないスプライシング変異型;これに限定されないが、グルココルチコイド受容体(GR)上方制御などの他のバイパス機構からなる群から選択される。
【0311】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、そのがんは、アンドロゲン受容体阻害薬での処置に対する抵抗性を発生させており、がんの根底にある抵抗性機序は、これに限定されないが、AR F876変異などのAR活性化変異;これに限定されないがN-MYC上方制御、AURKAの上方制御、またはp53/RBの欠失などの、これに限定されないが、何らかの神経内分泌(NE)シフトと関連するものなどの抗アンドロゲン治療に抵抗性のないスプライシング変異型;これに限定されないが、グルココルチコイド受容体(GR)上方制御などの他のバイパス機構からなる群から選択される。
【0312】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、CDK4またはCDK4/6阻害薬での処置に対する抵抗性を発生させている。
【0313】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、抗エストロゲンでの処置に対する抵抗性を発生させている。本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断された対象に投与し、がんは、抗エストロゲンでの処置に対する抵抗性を発生させており、抗エストロゲンは、アロマターゼ阻害薬、SERDまたはSERMである。
【0314】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、併用治療は、腫瘍を除去するための外科手術の前に、またはその後に投与することができ、および/または放射線治療の前に、その間に、またはその後に使用することができ、および/または化学治療の前に、その間に、またはその後に使用することができる。
【0315】
本明細書に記載の方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本発明は、本明細書にさらに記載するとおりのがんを処置するためのそれぞれの場合における、ネオアジュバント治療、アジュバント治療、第一選択治療、第二選択治療、第二選択またはその後の治療、または第三選択またはその後の治療に関する。上述の実施形態のそれぞれで、がんは、限局性、進行性または転移性であり得、介入を疾患の連続に沿った時点で(すなわち、がんの任意のステージで)行うことができる。
【0316】
ある特定の腫瘍における本明細書に記載の組合せの有効性を、他の承認されているか、または実験的ながん治療、例えば、放射線、外科手術、化学治療薬、標的治療、腫瘍において調節不全となっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、ならびにPD-1またはPD-L1アンタゴニストなどの他の免疫強化薬および同様のものと組み合わせることにより強化することができる。本発明の方法、組合せおよび使用はさらに、1種または複数の追加の抗がん薬を含んでもよい。
【0317】
本発明の組合せの投与は、作用部位への上記化合物の送達を可能にする任意の方法により影響を受け得る。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸液を含む)、局所、および直腸投与が含まれる。
【0318】
投与レジメンを、最適な所望の応答が得られるように調節することができる。例えば、本発明の併用治療の治療薬を、単一のボーラス剤として、経時的に投与される複数回に分割された用量として投与することができるか、または上記用量を、治療状況の急迫により示されるとおりに比例して減少させる、または増加させることができる。投与の容易さ、および投薬量の均一性のために、治療薬を投薬単位形態で製剤化することが特に有利であり得る。投薬単位形態は、本明細書で使用される場合、処置される哺乳類対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果が生じるように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)化学治療薬および達成される特定の治療または予防効果の特有の特徴、ならびに(b)そのような活性化合物を配合して個体の感受性を処置する分野に固有の制約により決定され、それらに直接依存し得る。
【0319】
したがって、当業者は、本明細書において提供される本開示に基づき、用量および投薬レジメンが治療分野で周知の方法に従って調節されることを認めるであろう。すなわち、最大許容用量を容易に確立することができ、各薬剤を投与して上記対象に検出可能な治療効果を与えるための一時的な要求であり得るように、対象に検出可能な治療効果を与える有効量を決定することもできる。したがって、ある特定の用量および投与レジメンを本明細書において例示するが、これらの例は、本発明を実施する際に対象に提供され得る用量および投与レジメンを何ら限定するものではない。
【0320】
緩和される状態の種類および重症度と共に投薬量の値は変動し得て、単回または複数の用量を含み得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象について、具体的な投与レジメンを、個々の必要性、および化合物または医薬組成物を投与するか、または投与を管理する人の専門的判断に従って、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質および処方医の裁量などの因子を考慮して、経時的に調節すべきであることは理解されるべきである。本明細書に記載の投薬量範囲は、例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の化合物または医薬組成物の範囲および実行を制限することを意図したものではない。例えば、用量を、毒性作用および/または臨床検査値などの臨床作用を含み得る薬物動態または薬力学的パラメーターに基づき調節することができる。したがって、本発明は、当業者により決定されるとおりの患者内用量漸増を包含する。化学治療薬を投与するための適切な投薬量およびレジメンの決定は、関連分野において周知であり、本明細書に開示の教示をいったん提供されれば、当業者により包含されることが理解されるであろう。
【0321】
一部の実施形態では、併用治療における治療薬の少なくとも1種を、その薬剤が単独治療として同じがんを処置するために使用される場合に典型的に使用されるのと同じ投与レジメン(用量、頻度、および処置期間)を使用して投与する。他の実施形態では、対象は、併用治療における治療薬の少なくとも1種を、同じ薬剤が単独治療として使用される場合よりも少ない全量で、例えば、少ない用量の治療薬、少ない頻度の投与および/または短い投与期間で投与される。
【0322】
低分子治療薬、例えば、式(I)の化合物、抗アンドロゲン、またはアンドロゲン受容体阻害薬の投薬量は典型的には、単回または分割用量で、1日あたり体重1kgあたり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.01~約7g/日、好ましくは約0.02~約2.5g/日になるであろう。一部の事例では、上記範囲の下限未満の投薬レベルでも十分すぎることがある一方で、他の症例では、いずれの有害な副作用も惹起することなく、さらに多い用量を使用することができるが、ただし、そのような多い用量は最初は、1日を通じて投与するように複数の小さな用量に分割することを条件とする。投薬量を、単回用量(QD)として投与することができるか、または任意選択で、BID(1日2回)、TID(1日3回)またはQID(1日4回)投与に適したより小さな用量に細分することができる。投与レジメンを、最適な治療反応が得られるように調節することができる。例えば、用量を、副作用を改善するか、または予防することが必要とされる場合の一時的または永続的な用量減少を含めて、治療状況の急迫により示されるとおりに比例して減少させる、または増加させることができる。
【0323】
本明細書の一部の実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬は、承認されたラベルに従って1日1回160mgの1日用量で投与されるエンザルタミドである。エンザルタミドを強力なCYP2C8阻害薬に付随して投与する場合などには、当業者であればエンザルタミドの投薬量調節を完全な処方情報に従って容易に決定することができ、次いで、エンザルタミドの用量を、完全な処方情報に従って1日1回80mgまでなどに減少させるべきであるか;または別法では、エンザルタミドをCYP3A4誘導因子と付随して投与する場合には、当業者であれば決定できるとおり、エンザルタミドの用量を完全な処方情報に従って毎日240mgまでなどに増加させるべきである。
【0324】
本明細書の一部の実施形態では、抗アンドロゲンはアビラテロン酢酸エステルであり、そのアビラテロン酢酸エステルを、承認されたラベルに従って1日1回1000mgの1日用量で、プレドニゾン1日2回5mgと組み合わせて投与する。アビラテロン酢酸エステルを強力なCYP3A4誘導因子に付随して投与する場合などには、当業者であればアビラテロン酢酸エステルの投薬量調節を完全な処方情報に従って容易に決定することができ、次いで、アビラテロン酢酸エステルの投薬量を、例えば、1日当たり2回1000mgまで増加させることが必要なこともあり;アビラテロン酢酸エステルをCYP2D6基質と随伴して投与する場合には、アビラテロン酢酸エステルの投薬量を減少させる必要があることもあり;アビラテロン酢酸エステルを、対象または基線で中程度肝機能障害を有する対象に投与すべき場合には、用量を1日1回250mgまでなどに減少させる必要があることもあり;アビラテロン酢酸エステルを、対象または肝毒性を発生させている対象に投与すべき場合には、用量を1日1回750mgまたは500mgまでなどに減少させる必要があることもある。
【0325】
投与もしくは投薬レジメンの繰返し、または投与もしくは投薬レジメンの調節を、所望の処置を達成する必要に応じて行うことができる。「連続投与スケジュール」は、本明細書で使用される場合、投与の中断を含まない、例えば、無処置日を含まない投与または投薬レジメンである。処置サイクル間に投与の中断を含まない21または28日間の処置サイクルの繰り返しが、連続投与スケジュールの一例である。一実施形態では、本発明の組合せの化合物は、連続投与スケジュールで投与することができる。
【0326】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲン、またはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、がんの処置において一緒に有効である量で投与する。
【0327】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、アンドロゲン受容体阻害薬またはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、がんの処置において一緒に有効である量で投与する。
【0328】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、がんの処置において一緒に有効である量で投与する。
【0329】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、一緒に相乗的である量で投与する。
【0330】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、アンドロゲン受容体阻害薬またはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、一緒に相乗的である量で投与する。
【0331】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、一緒に相乗的である量で投与する。
【0332】
本発明の一実施形態では、コンパウンドA、またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、非標準投薬レジメンで投与する。
【0333】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、アンドロゲン受容体阻害薬またはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、非標準投薬レジメンで投与する。
【0334】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、非標準投薬レジメンで投与する。
【0335】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、低用量レジメンで投与する。
【0336】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、アンドロゲン受容体阻害薬またはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、低用量レジメンで投与する。
【0337】
本発明の一実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその溶媒和物の薬学的に許容できる塩とを、低用量レジメンで投与する。
【0338】
一部の実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の対応する量を1日あたり約1mg~約1000mgの1日投薬量で投与する。一部の実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の対応する量を1日あたり約10mg~約500mgの1日投薬量で投与し、一部の実施形態では、1日あたり約25mg~約300mgの投薬量で投与する。一部の実施形態では、約1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、260、270、275、280、290、300、325、350、375、400、425、450、475または500mgの投薬量で、QD、BID、TIDまたはQIDスケジュールで投与する。
【0339】
一部の実施形態では、コンパウンドA、またはその薬学的に許容できる塩の対応する量を1日あたり約1mg~約1000mgの1日投薬量で投与する。一部の実施形態では、コンパウンドA、またはその薬学的に許容できる塩の対応する量を1日あたり約10mg~約500mgの1日投薬量で投与し、一部の実施形態では、1日あたり約25mg~約300mgの投薬量で投与する。一部の実施形態では、約1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、260、270、275、280、290、300、325、350、375、400、425、450、475または500mgの投薬量で、QD、BID、TIDまたはQIDスケジュールで投与する。
【0340】
投与もしくは投薬レジメンの繰り返し、または投与もしくは投薬レジメンの調節を、所望の処置を達成するために必要であれば行うことができる。「断続的投与スケジュール」は、本明細書で使用される場合、投与中断期間、例えば、無処置日を含む投与または投薬レジメンを指す。処置サイクル間に7日間の処置中断を伴う14または21日間の処置サイクルの繰り返しは、断続的投与スケジュールの一例である。2または3週間の処置および1週間の無処置を含むそのようなスケジュールは時には、2/1週または3/1週処置サイクルとそれぞれ称される。別法では、断続的投与は、5日間の処置および2日間の無処置を含む7日間の処置サイクルを含み得る。
【0341】
「連続的投与スケジュール」は、本明細書で使用される場合、投与の中断を含まない、例えば、無処置日を含まない投与または投薬レジメンである。処置サイクル間に投与の中断を含まない21または28日間の処置サイクルの繰り返しが、連続投与スケジュールの一例である。
【0342】
一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、断続的投与スケジュールでそれぞれ投与する。他の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンを連続的投与スケジュールでそれぞれ投与する。
【0343】
一部のそのような実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩とを断続的投与スケジュールでそれぞれ投与する。他の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩とを連続的投与スケジュールでそれぞれ投与する。
【0344】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物のうちの一種またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを断続的投与スケジュール(例えば、2/1週または3/1週スケジュール)で投与し、他方を連続的投与スケジュールで投与する。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を断続的投与スケジュールで投与し、抗アンドロゲンを連続的投与スケジュールで投与する。他のそのような実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を連続的投与スケジュールで投与し、抗アンドロゲンを断続的投与スケジュールで投与する。
【0345】
一部のそのような実施形態では、コンパウンドAのうちの一種またはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩とを断続的投与スケジュール(例えば、2/1週または3/1週スケジュール)で投与し、他方を連続的投与スケジュールで投与する。一部のそのような実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を断続的投与スケジュールで投与し、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩を連続的投与スケジュールで投与する。他のそのような実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩を連続的投与スケジュールで投与し、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩を断続的投与スケジュールで投与する。
【0346】
本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、がんの処置において一緒に有効である量で投与する。一部のそのような実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩とを、がんの処置において一緒に有効である量で投与する。
【0347】
本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、一緒に相乗的である量で投与する。
【0348】
本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、一緒に相加的である量で投与する。
【0349】
本発明の一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、一緒に相乗的である量で投与する。本発明の一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩とを、一緒に相加的である量で投与する。
【0350】
本発明の一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンとを、一緒に相乗的である量で投与する。本発明の一部の実施形態では、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩とを、一緒に相加的である量で投与する。
【0351】
医薬組成物および投与経路
「医薬組成物」は、活性成分としての本明細書に記載の治療薬、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1種または複数と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または添加剤との混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または添加剤を含む。
【0352】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」は、生体に対して有意な刺激をもたらさず、かつ活性化合物または治療薬の生物学的活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
【0353】
薬学的に許容できる担体は、任意の従来の薬学的担体または添加剤を含み得る。担体および/または添加剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する添加剤の作用、ならびに剤形の性質などの因子に大きく依存することとなる。
【0354】
一実施形態では、本発明は、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0355】
一実施形態では、本発明は、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、アンドロゲン受容体阻害薬またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0356】
一実施形態では、本発明は、コンパウンドAまたはその薬学的に許容できる塩と、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0357】
適切な薬学的担体には、不活性な希釈剤または増量剤、水、および様々な有機溶媒(水和物および溶媒和物など)が含まれる。医薬組成物は、所望の場合には、香味剤、結合剤、添加剤および同様のものなどの追加の成分を含有し得る。したがって、経口投与では、クエン酸などの様々な添加剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸およびある特定の複雑ケイ酸塩などの様々な崩壊剤と、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの結合剤と一緒に使用することができる。限定ではないが、添加剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン種、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤が多くの場合に、製錠の目的のために有用である。同様の種類の固体医薬組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において使用することもできる。したがって、物質の非限定的例には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が望ましい場合、その中の活性化合物を、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または色素および、所望の場合には、乳化剤または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組合せなどの希釈剤と一緒に合わせることができる。
【0358】
医薬組成物は、例えば、経口投与では錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤もしくは懸濁剤として、非経口注射では滅菌溶液、懸濁剤もしくは乳剤として、局所投与では軟膏剤もしくはクリーム剤として、または直腸投与では坐剤として適した形態であり得る。
【0359】
例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。そのような剤形は、所望の場合には、適切に緩衝されていてよい。
【0360】
医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位剤形であってよい。
【0361】
本発明の併用治療の治療薬を送達するために適した医薬組成物、およびそれらを調製する方法は、当業者には容易に分かるであろう。そのような医薬組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、その開示が全体で、参照により本明細書に援用される「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見い出すことができる。
【0362】
本発明の併用治療の治療薬は、経口投与することができる。経口投与は、治療薬が消化管に入るような嚥下を伴ってもよいし、または治療薬が口から直接、血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用してもよい。
【0363】
経口投与に適している製剤には、錠剤などの固体製剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、チューイング剤、マルチ微粒子およびナノ微粒子、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤(粘膜粘着剤を含む)、卵形剤、噴霧剤ならびに液体製剤が含まれる。
【0364】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質カプセル剤または硬質カプセル剤中の充填剤として使用することもでき、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切なオイル、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体の再構成により、例えばサシェから調製することもできる。
【0365】
本発明の併用治療の治療薬はまた、その開示がその全体で参照により本明細書に援用されるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986、LiangおよびChen(2001)に記載されているものなどの急速溶解、急速分解剤形で使用することができる。
【0366】
錠剤剤形では、治療薬は、剤形の1重量%~80重量%、より典型的には剤形の5重量%~60重量%を構成していてよい。活性薬剤に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが包含される。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%~25重量%、好ましくは5重量%~20重量%を構成し得る。
【0367】
結合剤を一般に使用して、錠剤製剤に粘着性を付与する。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有してよい。
【0368】
錠剤はまた任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでよい。存在する場合には、界面活性剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~5重量%の量であり、流動促進剤は、典型的には、錠剤の0.2重量%~1重量%である。
【0369】
錠剤はまた一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤を含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で存在する。
【0370】
他の従来の成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤、および矯味剤が含まれる。
【0371】
例示的な錠剤は、活性薬剤約1重量%~約80%、結合剤約10重量%~約90重量%、希釈剤約0重量%~約85重量%、崩壊剤約2重量%~約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%~約10重量%を含有し得る。
【0372】
錠剤ブレンドを、直接か、ローラーにより圧縮して、錠剤を形成することができる。別法では、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿式、乾式、もしくは溶融造粒するか、溶融凝固させるか、または押し出し、その後に錠剤化することができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていてもよいし、もしくはコーティングされていなくてもよく;またはカプセル封入されていてもよい。
【0373】
錠剤の製剤化は、その開示がその全体で参照により本明細書に援用される「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、H.LiebermanおよびL.Lachman、Marcel Dekker,N.Y.、N.Y.1980(ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられている。
【0374】
吸入器または注入器で使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジを、治療薬、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水であってもよいし、または一水和物の形態であってもよいが、後者が好ましい。他の適切な添加剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0375】
経口投与するための固体製剤を、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0376】
適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液および浸透性コーティングされた粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Current Status of Drug Delivery Technologies and Future Directions、Pharmaceutical Technology On-line、(2001)25:1~14において見出すことができる。制御放出を達成するためにチューインガムを使用することは、WO00/35298に記載されている。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に援用される。
【0377】
本発明の併用治療の治療薬を、血流、筋肉、または内臓に直接投与してもよい。非経口投与のための適切な手段には、静脈内、動脈内、血管周囲、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与のための適切なデバイスには、針(微細針を包含する)注射器、無針注射器、および点滴技術が含まれる。
【0378】
非経口製剤は典型的には、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくは、pH3~9)などの添加剤を含有し得る水溶液であるが、一部の用途では、それらは、滅菌非水性溶液として、または滅菌、発熱物質不含の水などの適切なビヒクルと併せて用いられるべき乾燥形態としてより適切に製剤化され得る。
【0379】
例えば、凍結乾燥による滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技法を使用して容易に達成することができる。
【0380】
非経口液剤を調製する際に使用される治療薬の溶解度を、溶解度増強剤の導入などの適切な製剤技法の使用により、潜在的に上昇させることができる。
【0381】
非経口投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。したがって本発明の併用治療の治療薬を、活性化合物の調節放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、またはチキソトロピー液として製剤化する可能性がある。そのような製剤の例には、薬物コーティングされたステントおよびPGLA微小球が含まれる。
【0382】
本発明の併用治療の治療薬を、医薬組成物の同時投与に適したキットの形態で好都合に組み合わせることができる。そのようなキットは、活性薬剤の一方または両方を医薬組成物の形態で含んでよく、その医薬組成物は、活性薬剤、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容できる担体とを含む。キットは、前記医薬組成物を別々に保持するための容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの手段を含んでよい。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤および同様のものの包装のために使用される熟知されているブリスターパックである。
【0383】
本明細書のキットは、異なる剤形、例えば、経口および非経口で投与するために、異なる投薬間隔で別々の医薬組成物を投与するために、または別々の医薬組成物を相互に用量決定するために特に適し得る。服薬遵守を助けるために、キットは典型的には、投与指示書を含み、メモリーエイドを装備していてよい。キットはさらに、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジ、ならびに同様のものなどの医薬品の投与において有用であり得る他の材料を含んでよい。
【0384】
追加の抗がん薬
本発明の方法、組合せおよび使用はさらに、下記の抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬または抗新生物薬などの1種または複数の追加の抗がん薬を含んでもよく、その量が一緒に、がんの処置において有効である。本発明の方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、緩和ケア薬を含み得る。追加の抗がん薬には、低分子治療薬およびその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物、治療用抗体、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、標的タンパク質分解誘導キメラ分子(PROTAC)、またはアンチセンス分子が含まれ得る。
【0385】
一部のそのような実施形態では、追加の抗がん薬は、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、および抗増殖薬からなる群から選択される。一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、有糸分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、成長因子阻害薬、放射線、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生体応答修飾物質、抗体、細胞傷害薬、および内分泌治療薬、例えば、抗アンドロゲン、アンドロゲン除去治療(ADT)、および抗エストロゲンからなる群から選択される。
【0386】
一部の実施形態では、追加の抗がん薬はアンドロゲン除去治療(ADT)である。一部のそのような実施形態では、ADTは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびGnRHアンタゴニストからなる群から選択される。一実施形態では、ADTはLHRHアゴニストである。一実施形態では、ADTはLHRHアンタゴニストである。一実施形態では、ADTはGnRHアゴニストである。一実施形態では、ADTはGnRHアンタゴニストである。
【0387】
一部の実施形態では、ADTは、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクス、およびリンザゴリクスからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、ADTは、ロイプロリド、ゴセレリンおよびデガレリクスからなる群から選択される。
【0388】
一実施形態では、ADTはロイプロリドである。一部の実施形態では、ロイプロリドを毎月約7.5mg、または3か月ごとに約22.5mg、または4か月ごとに約30mgの用量で筋肉内投与する。一部の実施形態では、ロイプロリドを毎月約7.5mg、または3か月ごとに約22.5mg、または4か月ごとに約30mg、または6か月ごとに約45mg、または12カ月ごとに約65mgの用量で皮下投与する。
【0389】
一実施形態では、ADTはゴセレリンである。一部の実施形態では、ゴセレリンを毎月約3.6mg、または3か月ごとに約10.8mgの用量で皮下投与する。
【0390】
一実施形態では、ADTはデガレリクスである。一部の実施形態では、デガレリクスを約240mgの当初用量で筋肉内投与し、その当初用量を複数の小さな用量に、例えば、約120mgの2つの用量に分割してもよく、毎月約80mgの維持用量を続ける。
【0391】
一部の実施形態では、追加の抗がん薬は抗エストロゲンであり、抗エストロゲンは、アロマターゼ阻害薬、SERD、またはSERMである。一部の実施形態では、抗エストロゲンはアロマターゼ阻害薬である。一部のそのような実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、アロマターゼ阻害薬はレトロゾールである。一部の実施形態では、抗エストロゲンはSERDである。一部のそのような実施形態では、SERDは、フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)、およびSHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)からなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、SERDはフルベストラントである。一部の実施形態では、抗エストロゲンはSERMである。一部のそのような実施形態では、SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェンおよびアフィモキシフェンからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、SERMは、タモキシフェンまたはラロキシフェンである。
【0392】
一部の実施形態では、本発明の方法、組合せおよび使用は、以下から選択される1種または複数の追加の抗がん薬をさらに含む:
抗血管新生薬には、例えば、VEGF阻害薬、VEGFR阻害薬、TIE-2阻害薬、PDGFR阻害薬、アンギオポエチン阻害薬、PKCβ阻害薬、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害薬、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリクス-メタロプロテイナーゼ2)阻害薬、およびMMP-9(マトリクス-メタロプロテイナーゼ9)阻害薬が含まれる。
【0393】
シグナル伝達阻害薬には、例えば、キナーゼ阻害薬(例えば、チロシンキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼまたはサイクリン依存性キナーゼの阻害薬)、プロテアソーム阻害薬、PI3K/AKT/mTOR経路阻害薬、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1および2(IDH1およびIDH2)阻害薬、B細胞リンパ腫2(BCL2)阻害薬、ニューロトロフィン受容体キナーゼ(NTRK)阻害薬、トランスフェクション中再構成(RET)阻害薬、Notch阻害薬、PARP阻害薬、ヘッジホッグ経路阻害薬、および核外輸送の選択的阻害薬(SINE)が含まれる。
【0394】
シグナル伝達阻害薬の例には、これに限定されないが:アカラブルチニブ、アファチニブ、アレクチニブ、アルペリシブ、アキシチニブ、ビニメチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、カルフィルゾミブ、セリチニブ、コビメチニブ、コパンリシブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、デュベリシブ、エナシデニブ、エンコラフェニブ、エントレクチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、グラスデギブ、イブルチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、イパタセルチブ、イボシデニブ、イキサゾミブ、ラパチニブ、ラロトレクチニブ、レンバチニブ、ロルラチニブ、ミドスタウリン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニラパリブ、オラパリブ、オシメルチニブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルカパリブ、ルクソリチニブ、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タラゾパリブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラックス、およびビスモデギブ、またはそれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。
【0395】
抗新生物薬には、例えば、アルキル化薬、白金配位複合体、細胞傷害性抗生物質、代謝拮抗薬、生物応答調節薬、ヒストン脱アセチル化(HDAC)阻害薬、ホルモン薬、モノクローナル抗体、成長因子阻害薬、タキサン、トポイソメラーゼ阻害薬、ビンカアルカロイドおよび多種の薬剤が含まれる。
【0396】
アルキル化薬には、アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロフォスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、チオテパ、およびトラベクテジンが含まれる。
【0397】
白金配位複合体(本明細書では「白金製剤」とも称される)には、カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンが含まれる。
【0398】
細胞傷害性抗生物質には、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、およびバルルビシンが含まれる。
【0399】
代謝拮抗薬には、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキサート、およびトリメトレキサートなどの抗葉酸薬;アザチオプリン、クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリン、およびチオグアニンなどのプリン類似体;ならびにアザシチジン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、およびトリフルリジン/チプラシルなどのピリミジン類似体が含まれる。
【0400】
生物応答調節薬には、アルデスロイキン(IL-2)、デニロイキン-ディフティトックス、およびインターフェロンガンマが含まれる。
【0401】
ヒストンデアセチラーゼ阻害薬には、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、およびボリノスタットが含まれる。
【0402】
ホルモン薬には、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体およびペプチドホルモンが含まれる。抗エストロゲンの例には、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害薬;フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)、SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)などのSERD;ならびにタモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、アフィモキシフェンなどのSERMが含まれる。GnRH類似体の例には、デガレリクス、ゴセレリン、ヒストレリン、ロイプロリド、およびトリプトレリンが含まれる。ペプチドホルモンの例には、ランレオチド、オクトレオチド、およびパシレオチドが含まれる。抗アンドロゲンの例には、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、シプロテロン、エンザルタミド、フルタミド、およびニルタミド、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物が含まれる。
【0403】
モノクローナル抗体には、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、セミプリマブ、セツキシマブ、ダラツムマブ、ジヌツキシマブ、デュルバルマブ、エロツズマブ、ゲムツズマブ、イノツズマブ オゾガマイシン、イピリムマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ パスドトックス、ネシツムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、およびトラスツズマブが含まれる。
【0404】
タキサンには、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセルおよびパクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤(Nab-パクリタキセル)が含まれる。
【0405】
トポイソメラーゼ阻害薬には、エトポシド、イリノテカン、テニポシド、およびトポテカンが含まれる。
【0406】
ビンカアルカロイドには、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、およびその薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0407】
多種の抗新生物薬には、アスパラギナーゼ(ペガスパルガーゼ)、ベキサロテン、エリブリン、エベロリムス、ヒドロキシ尿素、イキサベピロン、レナリドマイド、ミトタン、オマセタキシン、ポマリドミド、タグラクソフスプ、テロトリスタット、テムシロリムス、サリドマイド、およびベネトクラックスが含まれる。
【0408】
一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、アビラテロン酢酸エステル;アカラブルチニブ;アド-トラスツズマブエムタンシン;アファチニブ二マレイン酸塩;アフィモキシフェン;アルデスロイキン;アレクチニブ;アレムツズマブ;アルペリシブ;アミホスチン;アナストロゾール;アパルタミド;アプレピタント;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ エルウィニア クリサンテミ;アテゾリズマブ;アバプリチニブ;アベルマブ;アキシカブタゲン シロルユーセル;アキシチニブ;アザシチジン;AZD9833(AstraZeneca);AZD9496(AstraZeneca);バゼドキシフェン;ベリノスタット;ベンダムスチン塩酸塩;ベバシズマブ;ベキサロテン;ビカルタミド;ビニメチニブ;ブレオマイシン硫酸塩;ブリナツモマブ;ボルテゾミブ;ボスチニブ;ブレンツキシマブ ベドチン;ブリガチニブ;カバジタキセル;カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩;カラスパルガーゼペゴル-mknl;カペシタビン;カプラシズマブ-yhdp;カプマチニブ塩酸塩;カルボプラチン;カルフィルゾミブ;カルムスチン;セミプリマブ-rwlc;セリチニブ;セツキシマブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;コビメチニブ;コパンリシブ塩酸塩;クリゾチニブ;シクロフォスファミド;シタラビン;D-0502(Inventisbio);ダブラフェニブメシル酸塩;ダカルバジン;ダコミチニブ;ダクチノマイシン;ダラツムマブ;ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ-fihj;ダルベポエチン-アルファ;ダロルタミド;ダサチニブ;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デフィブロチドナトリウム;デガレリクス;デニロイキン ディフティトックス;デノスマブ;デキサメタゾン;デクスラゾキサン塩酸塩;ジヌツキシマブ;ドセタキセル;ドキソルビシン塩酸塩;デュルバルマブ;デュベリシブ;エラセストラント;エロツズマブ;エルトロンボパグ-オラミン;エマパルマブ-lzsg;エナシデニブメシル酸塩;エンコラフェニブ;エンホルツマブ-ベドチン-ejfv;エントレクチニブ;エンザルタミド;エピルビシン塩酸塩;エポエチンアルファ;エルダフィチニブ;エリブリンメシル酸塩;エルロチニブ塩酸塩;エトポシド;エトポシドリン酸塩;エベロリムス;エキセメスタン;fam-トラスツズマブ-デルクステカン-nxki;フェドラチニブ塩酸塩;フィルグラスチム;フルダラビンリン酸塩;フルオロウラシル;フルタミド;ホスタマチニブ二ナトリウム;フルベストラント;ゲフィチニブ;ゲムシタビン塩酸塩;ゲムツズマブ-オゾガマイシン;ギルテリチニブフマル酸塩;グラスデギブマレイン酸塩;グルカルピダーゼ;ゴセレリン酢酸塩;グラニセトロン;グラニセトロン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブ-チウキセタン;イブルチニブ;イダルビシン塩酸塩;イデラリシブ;イホスファミド;イマチニブメシル酸塩;イミキモド;イノツズマブ-オゾガマイシン;組換え型インターフェロンアルファ-2b;ヨーベングアンI-131;イパタセルチブ;イピリムマブ;イリノテカン塩酸塩;イサツキシマブ-irfc;イボシデニブ;イキサベピロン;イキサゾミブクエン酸塩;ランレオチド酢酸塩;ラパチニブ二トシル酸塩;ラロトレクチニブ硫酸塩;ラソフォキシフェン;レナリドマイド;レンバチニブメシル酸塩;レトロゾール;ロイコボリンカルシウム;ロイプロリド酢酸塩;ロムスチン;ロルラチニブ;LSZ102(Novartis);ルルビネクテジン;LY3484356(Lilly);メゲストロール酢酸塩;メルファラン;メルファラン塩酸塩;メルカプトプリン;メトトレキサート;ミドスタウリン;マイトマイシン;ミトキサントロン塩酸塩;モガムリズマブ-kpkc;モキセツモマブ パスドトックス-tdfk;ネシツムマブ;ネララビン;ネラチニブマレイン酸塩;ニロチニブ;ニルタミド;ニラパリブトシル酸塩一水和物;ニボルマブ;オビヌツズマブ;オファツムマブ;オラパリブ;オマセタキシンメペコハク酸塩;オンダンセトロン塩酸塩;オシメルチニブメシル酸塩;オキサリプラチン;パクリタキセル;パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤;パリフェルミン;パロノセトロン塩酸塩;パミドロネート二ナトリウム;パニツムマブ;パノビノスタット;パゾパニブ塩酸塩;ペグアスパラガーゼ;ペグフィルグラスチム;ペグインターフェロンアルファ-2b;ペムブロリズマブ;ペメトレキセド二ナトリウム;ペミガチニブ;ペルツズマブ;ペキシダルチニブ塩酸塩;プレリキサフォル;ポラツズマブ-ベドチン-piiq;ポマリドミド;ポナチニブ塩酸塩;プララトレキサート;プレドニゾン;プロカルバジン塩酸塩;プロプラノロール塩酸塩;二塩化ラジウム223;ラロキシフェン塩酸塩;ラムシルマブ;ラスブリカーゼ;ラブリズマブ-cwvz;組換え型インターフェロンアルファ-2b;レゴラフェニブ;RG6171(Roche);リントデストラント;リプレチニブ;リツキシマブ;ロラピタント塩酸塩;ロミデプシン;ロミプロスチム;ルカパリブカンシル酸塩;ルクソリチニブリン酸塩;サシツズマブ ゴビテカン-hziy;SAR439859(Sanofi);セリネクソル;セルパーカチニブ;セルメチニブ硫酸塩;SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine);シルツキシマブ;シプリューセル-t;ソニデジブ;ソラフェニブトシル酸塩;タグラクソフスプ-erzs;タラゾパリブトシル酸塩;タリモジン ラヘルパレプベク;タモキシフェンクエン酸塩;タゼメトスタット臭化水素酸塩;テモゾロミド;テムシロリムス;サリドマイド;チオグアニン;チオテパ;チサゲンレクロイセル;トシリズマブ;トポテカン塩酸塩;トレミフェン;トラベクテジン;トラメチニブ;トラスツズマブ;トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk;トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩;ツカチニブ;ウリジン三酢酸塩;バルルビシン;バンデタニブ;ベムラフェニブ;ベネトクラックス;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビノレルビン酒石酸塩;ビスモデギブ;ボリノスタット;ザヌブルチニブ;ziv-アフリベルセプト;ZN-c5(Zentalis);およびゾレドロン酸;または上述のものの遊離塩基、薬学的に許容できる塩(上で名前を挙げた塩の代替の塩形態を含む)、もしくは溶媒和物形態;またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0409】
がん細胞スフェロイドは、ヒトin vivo腫瘍の特徴および細胞挙動を、従来のin vitro 2D単層細胞培養よりも良好に再現すると報告されている。細胞-細胞および細胞-ECM相互作用の増大、局所低酸素領域、栄養素およびpHの勾配、増殖中および静止状態の細胞の共存、細胞圧縮による細胞形態の変更および薬物浸透の変更、ならびに細胞代謝プロファイルの変化が多細胞腫瘍スフェロイド(MCTS)において、2D単層細胞培養と比較して記録されている(Zanoniら、Anticancer drug discovery using multicellular tumor spheroid models,Expert Opin.Drug Discov.(2019)14:289~301;Hamilton&Rath、Applicability of tumor spheroids for in vitro chemosensitivity assays,Expert Opin.Drug Metab.Toxicol.(2019)15:15~23.;SantおよびJohnston、The production of 3D tumor spheroids for cancer drug discovery,Drug Discov.Today Technol.(2017)23:27~36)。
【0410】
MCTSアッセイの期間にわたって、細胞密度に変化はなく;これにより、アッセイ性能を損なって、経時的に細胞生理に影響を及ぼし得る細胞脱離および細胞再接種手順を必要とせずに、長期処置研究(1か月以上)が可能である。3D 対 2D細胞培養環境において異なる活性を誘発する制癌薬の多数の例が記載されている(Karlssonら、Loss of cancer drug activity in colon cancer HCT-116 cells during spheroid formation in a new 3-D spheroid cell culture system,Exp.Cell Res.(2012)、318:1577~85;Ekertら、Three-dimensional lung tumor microenvironment modulates therapeutic compound responsiveness in vitro--implication for drug development,PLoS One (2014)、9:e92248;Wenzelら、3D high-content screening for the identification of compounds that target cells in dormant tumor spheroid regions,Exp.Cell Res.(2014)、323:131~43。まとめると、in vitroでの3D/腫瘍細胞スフェロイドにおける相加的または相乗的抗腫瘍細胞増殖阻害の観察は、観察された組合せ利益を臨床設定に置き換える際の信頼度の上昇をもたらす。
【0411】
一部の好ましい実施形態では、本発明は次を提供する:
【0412】
E1. それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に:
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0413】
【化27】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)ある量の抗アンドロゲンと;
を投与することを含み、(a)および(b)の量が一緒に、がんの処置において有効である方法。
【0414】
E2. 式(I)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容できる塩である、実施形態E1に記載の方法。
【0415】
E3. 前記抗アンドロゲンが、エンザルタミド、N-デスメチルエンザルタミド、ダロルタミド、アパルタミド、およびアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される、実施形態E1またはE2に記載の方法。
【0416】
E4. 前記抗アンドロゲンが、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である、実施形態E3に記載の方法。
【0417】
E5. 前記がんが、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、卵巣癌、腹膜癌、ファロピウス管癌、子宮頸癌、子宮癌、膵臓癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、頭頚部癌、睾丸癌、副腎癌、皮膚癌、脳癌、肉腫、およびリンパ腫からなる群から選択される、実施形態E1からE4のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
E6. 前記がんが前立腺癌である、実施形態E5に記載の方法。
【0419】
E7. 前記前立腺癌が転移性前立腺癌(mPC)である、実施形態E5またはE6に記載の方法。
【0420】
E8. 前記mPCが転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である、実施形態E7に記載の方法。
【0421】
E9. 前記mPCが転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)である、実施形態E7に記載の方法。
【0422】
E10. 前記前立腺癌が非転移性前立腺癌(nmPC)である、実施形態E5またはE6に記載の方法。
【0423】
E11. 前記nmPCが非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)である、実施形態E10に記載の方法。
【0424】
E12. 前記nmPCが非転移性去勢感受性前立腺癌(nmCSPC)である、実施形態E10に記載の方法。
【0425】
E13. 前記前立腺癌がエンザルタミドまたはアビラテロンに対して抵抗性である、実施形態E5からE12のいずれか1つに記載の方法。
【0426】
E14. 前記がんが乳癌である、実施形態E5に記載の方法。
【0427】
E15. 前記乳癌がホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性乳癌である、実施形態E14に記載の方法。
【0428】
E16. 前記乳癌がヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳癌である、実施形態E14に記載の方法。
【0429】
E17. 前記乳癌が三重陰性乳癌(TNBC)である、実施形態E14に記載の方法。
【0430】
E18. 前記乳癌がBRCA1またはBRCA2変異乳癌である、実施形態E14からE17のいずれかに記載の方法。
【0431】
E19. 前記がんが肝臓癌である、実施形態E5に記載の方法。
【0432】
E20. 前記肝臓癌が肝細胞癌(HCC)である、実施形態E19に記載の方法。
【0433】
E21. 式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物とを連続して、同期で、または同時に投与する、実施形態E1からE20のいずれか1つに記載の方法。
【0434】
E22. 前記対象に:(c)ある量の追加の抗がん薬を投与することをさらに含み;(a)、(b)および(c)の量が一緒に、がんの処置において有効である、実施形態E1からE21のいずれか1つに記載の方法。
【0435】
E23. 前記追加の抗がん薬が、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、抗増殖薬、およびアンドロゲン除去治療(ADT)からなる群から選択される、実施形態E22に記載の方法。
【0436】
E24. 前記追加の抗がん薬がADTである、実施形態E23に記載の方法。
【0437】
E25. 前記ADTが、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストからなる群から選択される、実施形態E24に記載の方法。
【0438】
E26. 前記ADTが、ロイプロリド、ブセレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ナファレリン、トリプトレリン、デスロレリン、フェルチレリン、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、オザレリクス、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される、実施形態E24に記載の方法。
【0439】
E27. 前記がんが、アンドロゲン依存性またはアンドロゲン受容体(AR)陽性である、実施形態E1からE26のいずれか1つに記載の方法。
【0440】
E28. 前記がんが、CDK4、CDK6またはサイクリンD1(CCND1)の増幅または過剰発現により特徴づけられる、実施形態E1からE27のいずれか1つに記載の方法。
【0441】
E29. 前記がんが、進行性または転移性がんである、実施形態E1からE28のいずれか1つに記載の方法。
【0442】
E30. 前記対象がヒトである、実施形態E1からE29のいずれか1つに記載の方法。
【0443】
E31.
(a)式(I)の化合物:
【0444】
【化28】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せであって、(a)および(b)の組合せががんの処置において有効である組合せ。
【0445】
E32. 式(I)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(コンパウンドA)またはその薬学的に許容できる塩であり、前記抗アンドロゲンが、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である、実施形態E31に記載の組合せ。
【0446】
E33.
(a)式(I)の化合物:
【0447】
【化29】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと
を含む、がんの処置において使用するための組合せ。
【0448】
E34. 式(I)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトールまたはその薬学的に許容できる塩であり、前記抗アンドロゲンが、エンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である、実施形態E33に記載の組合せ。
【0449】
E35.
(a)式(I)の化合物:
【0450】
【化30】
またはその薬学的に許容できる塩
[式中、
は、H、FまたはClであり、
は、C~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはC~Cアルキルであり、前記C~Cアルキルは、Rにより置換されていてもよく、
は、HまたはFであり、
各RおよびRは独立に、OH、FまたはC~Cアルコキシである]と;
(b)抗アンドロゲンと;
を含む組合せの使用であって、がんの処置において有効である組合せの使用。
【0451】
E36. 式(I)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトールまたはその薬学的に許容できる塩であり、前記抗アンドロゲンがエンザルタミドまたはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である、実施形態E35に記載の使用。
【0452】
下に列挙される例示的な具体的な実施形態を含む、本発明のこれらおよび他の態様は、本明細書に含まれる教示から明らかであろう。
【実施例
【0453】
(実施例1)
ヒトAR+前立腺癌細胞(LNCaP)における多細胞腫瘍スフェロイド成長アッセイ
LNCaP前立腺癌細胞をATCCから入手し、ATCC指針に従って10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたRPMI 1640培地中で維持した。細胞を加湿インキュベーター内で37℃、5%COで維持した。
【0454】
スフェロイドアッセイをNexcelom & Thermo Fisher Scientific製の96ウェル超低付着性プレート(ULA-96U)内で行った。各超低付着性プレートの1ウェルあたり120のLNCaP細胞を完全成長培地200μL中に分配して(処理群あたりn=10~12ウェル)、処理の開始前に1ウェルあたり200から250μmの間の直径を有する1つのスフェロイドの形成を可能にした(細胞播種数を予め最適化したので、形成されたスフェロイドはこの所望の寸法を有した)。スフェロイド形成を補助するために、分配された細胞を220×gで6分間、超低付着性プレート内で遠心分離し、処置の開始前に4日間、ち密なスフェロイドを形成させた。スフェロイドが形成した後に、スフェロイドを撹乱することなく、培地150μLを各ウェルから吸引し、単一の薬剤化合物(パルボシクリブ、コンパウンドA、またはエンザルタミド)、または選択されたその組合せを含有する同体積の新鮮なRPMI培地を添加した。ウェル内の各化合物の最終濃度はパルボシクリブでは30または100nM;コンパウンドAでは100、300または1000nM;およびエンザルタミドでは1000nMであった。DMSO(0.01%)をビヒクル対照として使用した。DMSOおよびすべての化合物を細胞培地中で希釈した。培地および化合物を3および4日間隔で週2回補給した。スフェロイドを撹乱することなく、1ウェルあたり培地150μLを吸引し、次いで、同体積の事前混合された培地/化合物溶液をスフェロイドに添加することにより、補給を実行した。場合によっては、処置の延長相に、化合物を添加することなく培地を補給する「回復」相を続けた。アッセイ期間を通じて、週2回の各培地交換の直後に(3日目または4日目ごとに)スフェロイド直径を定量化した。
【0455】
これらのMCTSの成長を経時的にモニターして、処置中の(i)応答(SGI)の振幅ならびに(ii)単一薬剤および組合せ処置に対する応答期間を評価した。
【0456】
データ分析:
腫瘍スフェロイドの平均直径をGraphPad Prism 8でプロットし、曲線下面積(AUC)を計算した。ビヒクル(DMSO)対象における0日目の平均腫瘍スフェロイド直径により、AUC基線を決定した。すべての処置アームでのスフェロイド成長阻害、SGIは、ビヒクル(DMSO)処置スフェロイドがそれらの最大直径に達した時点で得た(通常は1mmに近いが、これは細胞系間で異なり得る);これは、ビヒクル(DMSO)処置スフェロイドで取られた最終時点に対応する。SEMを1試験群あたりn=10~12ウェルに基づき計算した。スフェロイド成長阻害パーセント、またはSGI%を次のとおりに計算した:SGI%=(1-AUC処置/AUC DMSO)×100%。
【0457】
スフェロイドを上昇濃度の100、300、または1000nMコンパウンドAで処置し、100nMの濃度のパルボシクリブと比較した(図1A)。コンパウンドAは、AR+LNCaP前立腺癌スフェロイド成長の用量依存阻害を示した(図1A)。AR阻害薬エンザルタミドへのコンパウンドAの追加は、LNCaPスフェロイド成長のさらなる阻害をもたらした(1000nMエンザルタミドのみでの46%に対して、1000nMエンザルタミドを300nMコンパウンドAと組み合わせた場合には70%)(図1B)。対照的に、1000nMエンザルタミドを30nMパルボシクリブと組み合わせた場合、相加利益はなかった(46% 対 47%スフェロイド成長阻害)(図1B)。エラーバーは、測定値の標準誤差、SEM(試験群あたりn=10~12ウェル)を表している。
【0458】
スフェロイド成長阻害のパーセント(SGI%)を下の表1に示す。
【0459】
【表1】
【0460】
(実施例2)
C4-2ヒト前立腺癌細胞におけるin vitroスクリーニング
C4-2ヒト前立腺癌細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手し、10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地中で維持した。すべての細胞を加湿インキュベーター内で37℃、5%COで維持した。1ウェルあたり1000細胞を96ウェルプレートに播種し、終夜インキュベートした。
【0461】
試験化合物を、マトリクス形式で添加したが、コンパウンドAを5μMから出発して2.3nMまでの8ポイント、3倍希釈でプレートに添加し、エンザルタミドを全プレートに、20μMから9.1nMまでの8ポイント、3倍希釈用量曲線で添加した。細胞を12日間、37℃で5%COでインキュベートした。CyQuant Direct Proliferation試薬(Invitrogen)を製造者指示に従って添加し、蛍光をCeligo細胞カウンターで読み取った。データをChalice Bioinformatics Software v1.6で分析すると、「Synergy Score」計算値が生じ、S=fcov ln fX ln fY Σ max(0,Idata)max(0,Idata-ILoewe)であり、これはLoewe相加性を上回る陽性ゲートされ、阻害重み付けされた体積である。fX,Yは、各単一薬剤のために使用された希釈係数であり、包含計数fcovは欠測データを説明し、全組合せ用量/試験された組合せ用量マトリクスポイントの比によりスコアアップをスケーリングする(https://horizondiscovery.com/-/media/Files/Horizon/resources/Technical-manuals/hd-technical-manual-chalice-analyzer-viewer.pdf)。
【0462】
図2は、用量応答マトリクス(A)、Loewe超過マトリクス(Loewe excess matrix)(B)、およびアイソボログラム(C)を示しており、12日間にわたるC4-3細胞の増殖に対するコンパウンドAおよびエンザルタミドの組合せの効果を実証している。図2Aは、全用量応答マトリクスを、化合物活性を示すヒートマップとして提示しており、暗色および低い数値(左下)は活性がないか、限られていることを示しており、淡色および高い数値(右上)は強い活性を示している;6.75の相乗作用スコアが計算された。図2BはLoewe超過マトリクスを提示し、コンパウンドAとエンザルタミドとの間の相乗作用を実証しており;8.47の体積が計算された。図2Cは、実験阻害(曲線)が相加性(斜線)を超えた用量組合せを表すアイソボログラムを提示している。
【0463】
(実施例3)
VCaPヒト前立腺癌細胞におけるin vitroスクリーニング
VCaPヒト前立腺癌細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手し、Hyclone 10%ウシ胎児血清(Non-HI)、1×Glutamax、およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)培地中で維持した。すべての細胞を加湿インキュベーター内で、37℃、5%COで維持した。1ウェルあたり5000細胞を96ウェルプレートに播種し、終夜インキュベートした。
【0464】
試験化合物を、マトリクス形式で添加したが、コンパウンドAを5μMから出発して2.3nMまでの8ポイント、3倍希釈でプレートに添加し、エンザルタミドを全プレートに、20μMから9.1nMまでの8ポイント、3倍希釈用量曲線で添加した。細胞を15日間、37℃で5%COでインキュベートした。CyQuant Direct Proliferation試薬(Invitrogen)を製造者指示に従って添加し、蛍光をTecan M1000プレートリーダーで読み取った。データをChalice Bioinformatics Software v1.6で分析すると「Synergy Score」計算値が生じ、S=fcov ln fX ln fY Σ max(0,Idata)max(0,Idata-ILoewe)であり、これはLoewe相加性を上回る陽性ゲートされ、阻害重み付けされた体積である。fX,Yは、各単一薬剤のために使用された希釈計数であり、包含計数fcovは欠測データを説明し、全組合せ用量/試験された組合せ用量マトリクスポイントの比によりスコアアップをスケーリングする(https://horizondiscovery.com/-/media/Files/Horizon/resources/Technical-manuals/hd-technical-manual-chalice-analyzer-viewer.pdf)。
【0465】
図3は、用量応答マトリクス(A)、Loewe超過マトリクス(B)、およびアイソボログラム(C)を示しており、15日間にわたるVCaP細胞の増殖に対するコンパウンドAおよびエンザルタミドの組合せの効果を実証している。図3Aは、全用量応答マトリクスを、化合物活性を示すヒートマップとして提示しており、暗色および低い数値(左下)は活性がないか、限られていることを示しており、淡色および高い数値(右上)は強い活性を示している;6.55の相乗作用スコアが計算された。図3BはLoewe超過マトリクスを提示し、コンパウンドAとエンザルタミドとの間の相乗作用を実証しており;8.77の体積が計算された。図3Cは、実験阻害(曲線)が相加性(斜線)を超えた用量組合せを表すアイソボログラムを提示している。
【0466】
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。上述の発明を多少詳細に、実例および実施例で記載してきたが、本発明の教示を考慮することで、添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、それらに対して一定の変化および変更を行うことができることは当技術分野において通常の技能を有する者には容易に分かるであろう。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
【国際調査報告】