(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】脂質ナノ粒子を凍結乾燥する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20230828BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230828BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230828BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K31/7088
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510389
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021045866
(87)【国際公開番号】W WO2022036170
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513269893
【氏名又は名称】アークトゥラス・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Arcturus Therapeutics,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】サギ,アミット
(72)【発明者】
【氏名】バオ,ヤンジエ
(72)【発明者】
【氏名】カルマリ,プリヤ プラカシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA93
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC29
4C076DD09
4C076DD23
4C076DD24
4C076DD41
4C076DD50
4C076DD52
4C076DD67
4C076EE06
4C076EE23
4C076EE49
4C076FF04
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF63
4C076GG06
4C076GG47
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA44
4C086MA56
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA03
(57)【要約】
凍結乾燥した脂質ナノ粒子-核酸組成物を調製する方法が提供される。方法は、単糖ならびにチオスルフェート、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される1つ以上の賦形剤を用いて脂質ナノ粒子の懸濁液を調製することを含む。凍結乾燥した脂質ナノ粒子-核酸組成物及びそれを再構成し、投与する方法がさらに提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNAを封入する脂質ナノ粒子を含む組成物を凍結乾燥する方法であって、前記方法は、
a.液体媒体中の前記脂質ナノ粒子の懸濁液を提供する工程であって、前記液体媒体は、約4%w/v~約22%w/vのサッカリドを含む、前記提供する工程;及び
b.前記液体媒体を調整し、それによりソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される少なくとも1つの賦形剤を含む事前処理された懸濁液を形成する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
工程(c):
c.前記事前処理された懸濁液を、
i.-48±8℃の温度及び大気圧で行われる初期凍結工程;
ii.-20±2℃~-48±2℃の範囲の温度及び約25mTorr~約100mTorrの範囲の圧力で行われる一次乾燥工程;及び
iii.5±2℃~30±2℃の範囲の温度及び約30mTorr~約300mTorrの範囲の圧力で行われる二次乾燥工程
を含む凍結解凍プロセスに供すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c):
c.前記事前処理された懸濁液を、
i.-48±8℃の温度及び大気圧で行われる初期凍結工程;
ii.約0.03~約0.08mbarの圧力で行われ、温度-48±8℃で開始し、約40~約75時間の範囲の期間にわたって0±2℃の温度に傾斜させる一次乾燥工程;及び
iii.約0.03~約0.08mbarの圧力で行われ、温度0±2℃で開始し、約30~約50時間の範囲の期間にわたって約25±3℃の温度に傾斜させる二次乾燥工程
を含む凍結解凍プロセスに供すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体媒体は、水性媒体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記懸濁液における前記RNAは、約0.05mg/mL~約2.0mg/mLの範囲の濃度を有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記懸濁液における前記RNAは、約0.075mg/mL~約0.3mg/mLの範囲の濃度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記懸濁液における前記RNAは、約0.1mg/mL~約1.5mg/mLの範囲の濃度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁液における前記RNAは、約0.1mg/mL~約1.0mg/mLの範囲の濃度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記懸濁液における前記RNAは、約0.1mg/mL~約0.5mg/mLの範囲の濃度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約50:1~約10:1である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記懸濁液における前記総脂質対RNAの重量比は、約40:1~約20:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記懸濁液における前記総脂質対RNAの重量比は、約35:1~約25:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記事前処理された懸濁液は、チオスルフェートを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートまたはカリウムチオスルフェートである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記チオスルフェートは、約0.025%w/v~約1.0%w/vの濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記チオスルフェートは、約0.025%w/v~約0.75%w/vの濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記チオスルフェートは、約0.025%w/v~約0.5%w/vの濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記チオスルフェートは、約0.05%w/v~約0.3%w/vの濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記チオスルフェートは、約0.05%w/v~約0.25%w/vの濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記事前処理された懸濁液は、ソルビン酸カリウムを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.01M~約0.5Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.02M~約0.4Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.025M~約0.3Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.03M~約0.2Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.035M~約0.1Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.04M~約0.08Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.01M~約0.05Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記ソルビン酸カリウムは、約0.02M~約0.04Mの濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記事前処理された懸濁液は、イオジキサノールを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記イオジキサノールは、約5%w/v~約15%w/vの濃度を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記イオジキサノールは、約6%w/v~約13%w/vの濃度を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記イオジキサノールは、約7%w/v~約11%w/vの濃度を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記イオジキサノールは、約8%w/v~約10%w/vの濃度を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記事前処理された懸濁液は、安息香酸ナトリウムを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記安息香酸ナトリウムは、約0.01M~約0.6Mの濃度を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記安息香酸ナトリウムは、約0.02M~約0.5Mの濃度を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記安息香酸ナトリウムは、約0.03M~約0.4Mの濃度を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記安息香酸ナトリウムは、約0.04M~約0.3Mの濃度を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記安息香酸ナトリウムは、約0.05M~約0.2Mの濃度を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記事前処理された懸濁液は、ポリビニルアルコール(PVA)をさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記PVAは、約0.01%w/v~約0.75%w/vの濃度を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記事前処理された懸濁液は、NaClをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記NaClは、約0.005M~約0.5Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記NaClは、約0.01M~約0.4Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記NaClは、約0.015M~約0.3Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記NaClは、約0.015M~約0.2Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記NaClは、約0.015M~約0.1Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記NaClは、約0.02M~約0.05Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記NaClは、約.03M~約0.07Mの濃度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記サッカリドは、スクロースである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記スクロースは、約8%w/v~約20%w/vの濃度を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記スクロースは、約7%w/v~約11%w/vの濃度を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記スクロースは、約8%w/v~約10%w/vの濃度を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記スクロースは、約16%w/v~約20%w/vの濃度を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記液体媒体または事前処理された懸濁液は、緩衝液を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記緩衝液は、MOPS、HEPES、トリス、MES、クエン酸塩、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記緩衝液は、トリスである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記緩衝液は、約10mM~約100mMの濃度である、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記緩衝液は、約15mM~約75mMの濃度である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記緩衝液は、約10mM~約40mMの濃度である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記液体媒体または前記事前処理された懸濁液は、約7.0~約8.5のpHを有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
工程(b)の後に、既定の凍結乾燥体積の前記事前処理された懸濁液を個々の容器に分けることをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記既定の凍結乾燥体積は、約0.5mL~約10.0mLの範囲である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記既定の凍結乾燥体積は、約1.0mL~約3.0mLの範囲である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記事前処理された懸濁液は、ポロキサマーをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記ポロキサマーは、ポロキサマー188である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記ポロキサマーは、約0.01%w/v~約0.10%w/vの濃度である、請求項65または請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記ポロキサマーは、約0.02%w/v~約0.8%w/vの濃度である、請求項65または請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記ポロキサマーは、約0.03%w/v~約0.7%w/vの濃度である、請求項65または請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記ポロキサマーは、約0.04%w/v~約0.06%w/vの濃度である、請求項65または請求項66に記載の方法。
【請求項71】
請求項1~70のいずれか1項に記載のプロセスによって調製された生成物。
【請求項72】
核酸を封入する脂質ナノ粒子、単糖、ならびにソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される1つ以上の賦形剤を含む凍結乾燥した組成物。
【請求項73】
前記核酸は、RNAである、請求項72に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項74】
前記RNAは、自己複製RNAである、請求項73に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項75】
前記RNAは、mRNAである、請求項73に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項76】
前記核酸は、長さが約20ヌクレオチド~約13000ヌクレオチドである、請求項73~75のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項77】
前記凍結乾燥した組成物における総脂質対核酸の重量比は、約50:1~約10:1である、請求項72~76のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項78】
前記凍結乾燥した組成物における前記総脂質対RNAの重量比は、約40:1~約20:1である、請求項77に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項79】
前記凍結乾燥した組成物における前記総脂質対RNAの重量比は、約35:1~約25:1である、請求項77に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項80】
前記凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約30:1~約250:1のソルビン酸カリウムのRNAに対する重量比で含む、請求項72~79のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項81】
前記凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約40:1~約200:1のソルビン酸カリウムのRNAに対する重量比で含む、請求項72~79のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項82】
前記凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約50:1~約175:1のソルビン酸カリウムのRNAに対する重量比で含む、請求項72~79のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項83】
前記凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約0.25:1~約40:1のナトリウムチオスルフェートのRNAに対する重量比で含む、請求項72~82のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項84】
前記凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約2:1~約10:1のナトリウムチオスルフェートのRNAに対する重量比で含む、請求項72~82のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項85】
前記凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約3:1~約8:1のナトリウムチオスルフェートのRNAに対する重量比で含む、請求項72~82のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項86】
前記凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約1:1~約12:1の安息香酸ナトリウムのRNAに対する重量比で含む、請求項72~85のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項87】
前記凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約2:1~約10:1の安息香酸ナトリウムのRNAに対する重量比で含む、請求項72~85のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項88】
前記凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約3:1~約9:1の安息香酸ナトリウムのRNAに対する重量比で含む、請求項72~85のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項89】
前記凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約100:1~約800:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む、請求項72~88のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項90】
前記凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約150:1~約750:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む、請求項72~88のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項91】
前記凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約200:1~約700:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む、請求項72~88のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項92】
前記凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約250:1~約650:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む、請求項72~88のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項93】
前記凍結乾燥した組成物は、ポリビニルアルコール(PVA)を、約1:1~約12:1のPVAのRNAに対する重量比でさらに含む、請求項72~92のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項94】
前記サッカリドは、約100:1~約800:1のスクロースのRNAに対する重量比のスクロースである、請求項72~93のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項95】
前記凍結乾燥した組成物は、HEPES、MOPS、トリス、MERS、クエン酸塩、及びリン酸塩から選択される緩衝液を、約3:1~約150:1の緩衝液のRNAに対する重量比でさらに含む、請求項72~94のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項96】
RNAを封入する脂質ナノ粒子、ポロキサマー、ソルビン酸カリウム、及び糖を含む凍結乾燥した組成物。
【請求項97】
前記ポロキサマーは、ポロキサマー188である、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.001~約1.0%w/wの前記RNAを含む、請求項96または請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.005~約0.8%w/wの前記RNAを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.01~約0.5%w/wの前記RNAを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項101】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.4%w/wの前記RNAを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項102】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.3%w/wの前記RNAを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項103】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.2%w/wの前記RNAを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項104】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.5~約5.0%w/wの脂質を含む、請求項96~103のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項105】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.0~約4.0%w/wの脂質を含む、請求項104に記載の組成物。
【請求項106】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.25~約3.0%w/wの脂質を含む、請求項104に記載の組成物。
【請求項107】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.5~約2.5%w/wのトリス緩衝液を含む、請求項96~106のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項108】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.75~約2.25%w/wのトリス緩衝液を含む、請求項107に記載の組成物。
【請求項109】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.0~約2.0%w/wのトリス緩衝液を含む、請求項107に記載の組成物。
【請求項110】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.75~約2.75%w/wのNaClを含む、請求項96~109のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項111】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.0~約2.5%w/wのNaClを含む、請求項110に記載の組成物。
【請求項112】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.25~約1.80%w/wのNaClを含む、請求項110に記載の組成物。
【請求項113】
前記凍結乾燥した組成物は、約85~約96%w/wの前記糖を含む、請求項96~112のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項114】
前記凍結乾燥した組成物は、約88~約95%w/wの前記糖を含む、請求項113に記載の組成物。
【請求項115】
前記凍結乾燥した組成物は、約90~約95%w/wの前記糖を含む、請求項113に記載の組成物。
【請求項116】
前記糖は、スクロースである、請求項96~115のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項117】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.01~約1.0%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項96~116のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項118】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.8%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項119】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.7%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項120】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.6%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項121】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.05~約0.5%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項122】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.06~約0.4%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項123】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.07~約0.3%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項124】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.09~約0.2%w/wの前記ポロキサマーを含む、請求項117に記載の組成物。
【請求項125】
前記ポロキサマーは、ポロキサマー188である、請求項96~124のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項126】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.5~約5.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む、請求項96~125のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項127】
前記凍結乾燥した組成物は、約0.75~約4.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む、請求項126に記載の組成物。
【請求項128】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.0~約3.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む、請求項126に記載の組成物。
【請求項129】
前記凍結乾燥した組成物は、約1.25~約2.75%w/wのソルビン酸カリウムを含む、請求項126に記載の組成物。
【請求項130】
請求項72~129のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物を保管する方法であって、前記凍結乾燥した生成物を約2℃~約8℃の温度で保存することを含む、前記方法。
【請求項131】
請求項72~129のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物を保管する方法であって、前記凍結乾燥した生成物を約-20℃の温度で保存することを含む、前記方法。
【請求項132】
請求項72~129のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物を再構成する方法であって、液体媒体を前記凍結乾燥した組成物に添加することを含む、前記方法。
【請求項133】
前記液体媒体は、水性媒体である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記液体媒体は、ポロキサマーを含む、請求項132または請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記ポロキサマーは、P-188である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記液体媒体は、約7.0~約8.5のpHを有する緩衝液をさらに含む、請求項132~135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
対象における疾患または障害を治療する方法であって、液体媒体中で再構成された請求項72~129のいずれか1項に記載の凍結乾燥した組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項138】
前記再構成された凍結乾燥した組成物は、静脈内に投与される、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記再構成された凍結乾燥した組成物は、筋肉内に投与される、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
前記再構成された凍結乾燥した組成物は、吸入を介して投与される、請求項137に記載の方法。
【請求項141】
前記再構成された凍結乾燥した組成物は、粘膜に投与される、請求項137に記載の方法。
【請求項142】
前記再構成された凍結乾燥した組成物は、皮下に投与される、請求項137に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬学的製造及び生成物の分野に関する。より具体的には、本開示は、脂質ナノ粒子封入核酸組成物及び凍結乾燥した脂質ナノ粒子核酸生成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標的細胞への核酸の細胞内送達に基づく治療法は、細胞外障壁及び細胞内障壁の両方に向かう。実際に、それらの毒性、血清中の安定性の低さ、急速な腎クリアランス、標的細胞による取り込みの低減、食細胞による取り込み及び免疫応答を引き起こすそれらの傾向、それらの臨床開発を妨げるすべての特徴のため、むき出しの核酸物質を全身に投与することは困難である。外因性核酸物質が、ヒトの生体系に入る時、細網内皮系(RES)に外来病原体として認識され、血管系内外で標的細胞に遭遇する機会がある前に、血液循環からクリアランスされる。血流中のむき出しの核酸の半減期は、約数分であることが報告されている(Kawabata K,Takakura Y,Hashida MPharm Res.1995 Jun;12(6):825-30)。化学修飾及び適切な送達方法は、RESによる取り込みを低減し、遍在するヌクレアーゼによる分解から核酸を保護し得、これにより、核酸ベースの治療の安定性及び有効性が向上する。さらに、RNAまたはDNAは、細胞による取り込みには、好ましくないアニオン性親水性ポリマーであり、これは、表面でもアニオン性である。それ故、核酸ベースの治療法の成功は、遺伝物質を効率的かつ効果的に標的細胞に送達し、最小限の毒性で、インビボでの十分な発現レベルを得ることができる、ビヒクルまたはベクターの開発に大幅に左右される。
【0003】
いくつかの遺伝子治療は、ウイルス送達ベクター(例えば、AAV)をうまく利用することが可能であったが、脂質ベースの製剤は、生体適合性及び大規模生産の容易さのために、RNA及び他の核酸化合物に対する最も有望な送達システムのうちの1つとして、ますます認識されている。脂質ベースの核酸療法における最も重要な進歩の1つは、2018年8月に起こった。その時、Patisiran(ALN-TTR02)が、食品医薬品局(FDA)及び欧州委員会(EC)に承認された最初のsiRNA治療薬であった。ALN-TTR02は、いわゆる安定核酸脂質粒子(SNALP)トランスフェクション技術に基づくsiRNA製剤である。Patisiranの成功にもかかわらず、脂質ナノ粒子による核酸治療薬の送達は、依然として、開発継続中である。
【0004】
核酸治療薬用のいくつかの当該技術分野で認められた脂質製剤化送達ビヒクルは、ポリマーベースの担体、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、脂質ナノ粒子及びリポソーム、ナノリポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、多胞リポソーム、プロテオリポソーム、天然及び合成由来の両方のエクソソーム、天然、合成、及び半合成のラメラ体、ナノ粒子、ミセル、及びエマルションを含む。これらの中で、脂質ナノ粒子は、RNA治療薬のための潜在的送達ビヒクルとして高い有望性を示してきたが、脂質ナノ粒子送達技術の使用は、その安定性の問題に直面し、いくつかの場合では、脂質ナノ粒子の懸濁液が、約-70℃の非実際的な低温で保存され、意図される投与の直前にのみ解凍されなければならないことを必要とする。そのような要件は、患者によって彼ら自身の自宅において、ならびに世界の離れた地域及び低開発地域(そのすべてが、脂質ナノ粒子懸濁液の保存のための適切な装置を欠く)における脂質ナノ粒子治療薬の輸送及び保存において使用され得る医薬の開発を制限し得る。
【0005】
脂質ナノ粒子製剤の保存可能性を改善するための1つの解決策は、後に投与前に再構成され得る凍結乾燥した生成物として脂質ナノ粒子製剤を製造することである。凍結乾燥した脂質ナノ粒子組成物は、より実際的な温度で保存され得、分布及び投与のより好都合な態様を可能にする。
【0006】
凍結乾燥技術は数十年間存在するが、これらの技術の適用は、脂質ナノ粒子製剤に十分に転用されておらず、従来の凍結乾燥技術後に再構成した場合に低い多分散性、小さな粒径、高い封入割合、及びin vivo有効性を含むそれらの所望の特性の一部を欠く。よって、再構成した場合に維持された全体性及び有効性を示す凍結乾燥した脂質ナノ粒子組成物を提供するための新たな解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、脂質ナノ粒子全体性の保存、封入された核酸の全体性、許容可能な程度の事前凍結乾燥した粒径内の脂質ナノ粒子の粒径、及びナノ粒子の良好な多分散性をもたらす凍結乾燥方法を提供する。その方法は、ナノ粒子の事前処理された懸濁液を凍結乾燥プロセスに供する前に懸濁液に特殊な賦形剤が添加され得るという発見に由来する。また、高い品質の凍結乾燥した脂質ナノ粒子生成物を達成するためにこれらの賦形剤と組み合わせて凍結乾燥パラメータが用いられる。凍結乾燥した生成物は、容易に再構成され、薬学的調製物として容易に投与される。
【0008】
いくつかの実施形態では、RNAを封入する脂質ナノ粒子を含む組成物を凍結乾燥する方法であって、液体媒体中の脂質ナノ粒子の懸濁液を提供する工程、液体媒体を調整し、それによりソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される少なくとも1つの賦形剤を含む事前処理された懸濁液を形成する工程;及び事前処理された懸濁液を凍結乾燥プロセスに供する工程を含む、方法が提供される。
【0009】
別の実施形態では、核酸を封入する脂質ナノ粒子ならびにソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される1つ以上の賦形剤を含む凍結乾燥した組成物が提供される。
【0010】
別の実施形態では、本開示の凍結乾燥した組成物を保管する方法であって、凍結乾燥した生成物を約-20℃~約8℃の温度で保存することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、本開示の凍結乾燥した組成物を保管する方法であって、凍結乾燥した生成物を約-20℃~約25℃の温度で保存することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した生成物は、約-20℃で保存される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した生成物は、約2℃~約8℃で保存される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した生成物は、約20℃~約25℃で保存される。
【0011】
別の実施形態では、本開示の凍結乾燥した組成物を再構成する方法であって、液体媒体を凍結乾燥した組成物に添加することを含む、方法が提供される。
【0012】
別の実施形態では、対象における疾患または障害を治療する方法であって、液体媒体中で再構成された本開示の凍結乾燥した組成物を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0013】
主題技術のさらなる特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになり、または主題技術の実施によって習得され得る。主題技術の利点は、記載された説明及びその実施形態によって実現及び達成されるであろう。
【0014】
前述の一般的な説明と以下に述べる詳細な説明とは、共に例示的なものであり、主題技術にさらなる説明を加えることを意図していると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】1mgRNA/mLの濃度で調製された製剤についての実施例3に記載の実験に従って調製された再構成された脂質ナノ粒子の特性評価(粒径、(PS)多分散性(PDI)、及び封入率(Encap(%))を示している。
【
図2A】実施例3に記載されるように凍結乾燥前の懸濁液に添加されたP188ポロキサマーを使用して調製された製剤についての粒径測定結果(棒チャート)及び封入率(丸)を示している。
【
図2B】実施例3に記載されるように凍結乾燥後の製剤に添加されたP188ポロキサマーを使用して調製された製剤についての粒径測定結果(棒チャート)及び封入率(丸)を示している。
【
図3】実施例3に記載されるようにP188の異なる濃度で凍結乾燥後に処理されたP188製剤についての粒径(棒チャート)及び封入率(丸)についての脂質ナノ粒子濃度(0.25、0.5、及び1.0mgRNA/mL)についての濃度依存性を示している。
【
図4】実施例12に記載されるように凍結解凍対照及びPBS陰性対照と比較した選択された再構成された製剤についてのヒトエリスロポエチン(hEPO)発現レベルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
主題技術の様々な構成が、本開示から当業者には速やかに明らかとなるものと理解され、主題技術の様々な構成は、実例として図示及び説明されている。理解されるように、主題技術は、他の及び異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべてが主題技術の範囲から逸脱することなく、種々の他の点において変更が可能である。したがって、要約、図面、及び詳細な説明は、本質的に実例と見なされるべきであり、限定として見なされるべきではない。
【0017】
以下に説明する詳細の説明は、主題技術のさまざまな構成の説明として意図され、主題技術が実践され得る構成のみを示すことを意図するものではない。詳細の説明は、主題技術の完全な理解をもたらすための、具体的な詳細を含む。しかし、主題技術を、これらの具体的な詳細を伴わずに実践可能であることが、当業者には明らかとなろう。
【0018】
いくつかの実施形態では、RNAを封入する脂質ナノ粒子を含む組成物を凍結乾燥する方法であって、方法は、a.)液体媒体中の脂質ナノ粒子の懸濁液を提供する工程であって、液体媒体は、約4%w/v~約22%w/vのサッカリドを含む、提供する工程;及びb.)液体媒体を調整し、それによりソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される少なくとも1つの賦形剤を含む事前処理された懸濁液を形成する工程を含む、方法が提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、工程(c):事前処理された懸濁液を、i.)-48±8℃の温度及び大気圧で行われる初期凍結工程;ii.)-20±2℃~-48±2℃の範囲の温度及び約25mTorr~約100mTorrの範囲の圧力で行われる一次乾燥工程;及びiii.)5±2℃~30±2℃の範囲の温度及び約30mTorr~約300mTorrの範囲の圧力で行われる二次乾燥工程を含む凍結乾燥プロセスに供することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、工程(c):事前処理された懸濁液を、i.)-48±8℃の温度及び大気圧で行われる初期凍結工程;ii.)約0.03~約0.08mbarの圧力で行われ、温度-48±8℃で開始し、約40~約75時間の範囲の期間にわたって0±2℃の温度に傾斜させる一次乾燥工程;及びiii.)約0.03~約0.08mbarの圧力で行われ、温度0±2℃で開始し、約30~約50時間の範囲の期間にわたって約25±3℃の温度に傾斜させる二次乾燥工程を含む凍結乾燥プロセスに供することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、液体媒体は、水性媒体である。
【0022】
いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.05mg/mL~約2.0mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.075mg/mL~約0.3mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約1.5mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約1.0mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約0.5mg/mLの範囲の濃度を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約50:1~約10:1である。いくつかの実施形態では、懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約40:1~約20:1である。いくつかの実施形態では、懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約35:1~約25:1である。
【0024】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、チオスルフェートを含む。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートまたはカリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、約0.025%w/v~約1.0%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、約0.025%w/v~約0.75%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、約0.025%w/v~約0.5%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、約0.05%w/v~約0.3%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、約0.05%w/v~約0.25%w/vの濃度を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、ソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.01M~約0.5Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.02M~約0.4Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.025M~約0.3Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.03M~約0.2Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.035M~約0.1Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.04M~約0.08Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.01M~約0.05Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.02M~約0.04Mの濃度を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、イオジキサノールを含む。いくつかの実施形態では、イオジキサノールは、約5%w/v~約15%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、イオジキサノールは、約6%w/v~約13%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、イオジキサノールは、約7%w/v~約11%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、イオジキサノールは、約8%w/v~約10%w/vの濃度を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、安息香酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、安息香酸ナトリウムは、約0.01M~約0.6Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、安息香酸ナトリウムは、約0.02M~約0.5Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、安息香酸ナトリウムは、約0.03M~約0.4Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、安息香酸ナトリウムは、約0.04M~約0.3Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、安息香酸ナトリウムは、約0.05M~約0.2Mの濃度を有する。
【0028】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、事前処理された懸濁液は、ポリビニルアルコール(PVA)をさらに含む。いくつかの実施形態では、PVAは、約0.01%w/v~約0.75%w/vの濃度を有する。
【0029】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、事前処理された懸濁液は、NaClをさらに含む。いくつかの実施形態では、NaClは、約0.005M~約0.5Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、NaClは、約0.01M~約0.4Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、NaClは、約0.015M~約0.3Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、NaClは、約0.015M~約0.2Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、NaClは、約0.015M~約0.1Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、NaClは、約0.02M~約0.05Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、NaClは、約.03M~約0.07Mの濃度を有する。
【0030】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、サッカリドは、スクロースである。いくつかの実施形態では、サッカリドは、約8%w/v~約20%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、サッカリドは、約7%w/v~約11%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、サッカリドは、約8%w/v~約10%w/vの濃度を有する。いくつかの実施形態では、サッカリドは、約16%w/v~約20%w/vの濃度を有する。
【0031】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、液体媒体または事前処理された懸濁液は、緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MOPS、HEPES、トリス、MES、クエン酸塩、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から選択される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約10mM~約100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約15mM~約75mMの濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約10mM~約40mMの濃度である。
【0032】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、液体媒体または事前処理された懸濁液は、約7.0~約8.5のpHを有する。
【0033】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、方法は、工程(b)の後に、既定の凍結乾燥体積の事前処理された懸濁液を個々の容器に分けることをさらに含む。いくつかの実施形態では、既定の凍結乾燥体積は、約0.5mL~約10.0mLの範囲である。いくつかの実施形態では、既定の凍結乾燥体積は、約1.0mL~約3.0mLの範囲である。
【0034】
上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、事前処理された懸濁液は、ポロキサマーをさらに含む。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.01%w/v~約0.10%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.02%w/v~約0.8%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.03%w/v~約0.7%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.04%w/v~約0.06%w/vの濃度である。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって調製された生成物が提供される。
【0036】
いくつかの実施形態では、核酸を封入する脂質ナノ粒子、単糖、ならびにソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される1つ以上の賦形剤を含む凍結乾燥した組成物が提供される。
【0037】
いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、自己複製RNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、長さが約20ヌクレオチド~約13000ヌクレオチドである。
【0038】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物における総脂質対核酸の重量比は、約50:1~約10:1である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物における総脂質対RNAの重量比は、約40:1~約20:1である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物における総脂質対RNAの重量比は、約35:1~約25:1である。
【0039】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約30:1~約250:1のソルビン酸カリウムのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約40:1~約200:1のソルビン酸カリウムのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約50:1~約175:1のソルビン酸カリウムのRNAに対する重量比で含む。
【0040】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約0.25:1~約40:1のナトリウムチオスルフェートのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約2:1~約10:1のナトリウムチオスルフェートのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約3:1~約8:1のナトリウムチオスルフェートのRNAに対する重量比で含む。
【0041】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約1:1~約12:1の安息香酸ナトリウムのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約2:1~約10:1の安息香酸ナトリウムのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約3:1~約9:1の安息香酸ナトリウムのRNAに対する重量比で含む。
【0042】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約100:1~約800:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約150:1~約750:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約200:1~約700:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約250:1~約650:1のイオジキサノールのRNAに対する重量比で含む。
【0043】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、凍結乾燥した組成物は、ポリビニルアルコール(PVA)を、約1:1~約12:1のPVAのRNAに対する重量比でさらに含む。
【0044】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、サッカリドは、スクロースを、約100:1~約800:1のスクロースのRNAに対する重量比でさらに含む。
【0045】
凍結乾燥した組成物の上記実施形態のいずれかのいくつかの態様では、凍結乾燥した組成物は、HEPES、MOPS、トリス、MERS、クエン酸塩、及びリン酸塩から選択される緩衝液を、約3:1~約150:1の緩衝液のRNAに対する重量比でさらに含む。
【0046】
別の実施形態では、RNAを封入する脂質ナノ粒子、ポロキサマー、ソルビン酸カリウム、及び糖を含む凍結乾燥した組成物が提供される。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.001~約1.0%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、自己複製RNAである。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.005~約0.8%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.01~約0.5%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.4%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.3%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.2%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5~約5.0%w/wの脂質を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約4.0%w/wの脂質を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.25~約3.0%w/wの脂質を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5~約2.5%w/wのトリス緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75~約2.25%w/wのトリス緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約2.0%w/wのトリス緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75~約2.75%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約2.5%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.25~約1.80%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約85~約96%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約88~約95%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約90~約95%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.01~約1.0%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.8%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.7%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.6%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.05~約0.5%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.06~約0.4%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.07~約0.3%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.09~約0.2%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5~約5.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75~約4.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約3.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.25~約2.75%w/wのソルビン酸カリウムを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物を保管する方法であって、本明細書に記載の凍結乾燥した生成物を約2℃~約8℃の温度で保存することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、凍結乾燥した生成物を約-20℃の温度で保存することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物を再構成する方法であって、液体媒体を本明細書に記載の凍結乾燥した組成物に添加することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、液体媒体は、水性媒体である。いくつかの実施形態では、液体媒体は、ポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、P-188である。いくつかの実施形態では、液体媒体は、約7.0~約8.5のpHを有する緩衝液をさらに含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、対象における疾患または障害を治療する方法であって、液体媒体中で再構成された本明細書に記載の凍結乾燥した組成物を対象に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、吸入を介して投与される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、粘膜に投与される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、皮下に投与される。
【0050】
凍結乾燥
凍結乾燥(freeze-drying)または凍結乾燥(cryodesiccation)とも称される凍結乾燥(lyophilization)の技術は、固体物質が気体状態に直接的に移行するプロセスである昇華の物理的原理に基づく。よって、凍結乾燥及びそれが機能する昇華の原理は、液体物質から気体へ移行する直接蒸発のより一般的な乾燥技術とは全く対照的である。凍結乾燥において用いられる基礎的な工程及び技術は、当該技術分野でよく理解されている。(Rey,Louis,ed.Freeze-drying/lyophilization of pharmaceutical and biological products.CRC Press,2016;及びNireesha,G.R.,et al.Int.j.novel trends in pharm.sci.3.4(2013):87-98を参照されたい)。簡潔な概要が以下に提供される。
【0051】
凍結乾燥は、各工程が重要な多段階オペレーションである。このプロセスのアウトカムに影響を及ぼす主要なパラメータは、凍結乾燥されている物質のタイプに非常に特異的であり得、よって、上質な生成物を得るために厳格なコントロールを必要とし得る。考慮されなければならないパラメータの一部には、物質、例えば、その所望の特性及び活性を維持しなければならない凍結乾燥されている物質;周囲媒体及びその成分、例えば、増量剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、抗凍結剤、凍結乾燥保護剤、及び水分緩衝剤;使用されている装置、処理下で異なる生成物の特定の要件及び低温挙動に従って適応されなければならないプロセス;及び凍結乾燥サイクルが含まれる。
【0052】
凍結乾燥サイクル
凍結乾燥サイクルに関して、凍結乾燥オペレーションには、i)物質の調製;ii)凍結工程;iii)昇華段階または一次乾燥工程;及びiv)脱離段階または二次乾燥工程が含まれることがよく確立されている。これらの工程の後、凍結乾燥した生成物は、典型的には、保存の準備をするためのさらなる処理を受ける。
【0053】
物質の調製/事前処理
処理される物質(固体、液体、ペースト、エマルション)の調製には、物質の基礎的な特性を損なわないことを確保しながら必要に応じて、それが、例えば、溶液または懸濁液と遭遇したマトリックス、それが存在する液体媒体、pH、張力、他の賦形剤の添加を調整することが含まれる。事前処理された物質は次いで、最適化された凍結乾燥のための既定の体積に分けられる。アリコートは、バイアルなどの個々の容器に分配され得る。
【0054】
本明細書で提供される凍結乾燥方法のいくつかの実施形態では、方法は、工程(c)の前に、既定の凍結乾燥体積の事前処理された懸濁液を個々の容器に分けることをさらに含む。いくつかの実施形態では、個々の容器は、バイアルである。いくつかの実施形態では、既定の凍結乾燥体積は、約0.5mL~約5.0mLの範囲である。いくつかの実施形態では、既定の凍結乾燥体積は、約1.0mL~約4.0mLの範囲である。
【0055】
凍結工程
凍結工程において、物質は、それを低温に供することによって硬化される。この極めて重要な期間中に、存在するすべての流体は、結晶、非晶質、またはガラスのいずれかの固形物となる。水の場合、これは、典型的には、複雑な氷のネットワークを生じさせるが、それはまた、ガラス状構造に埋め込まれ、または格子間構造内に多かれ少なかれ堅く結合したままとなる可能性がある。他の液体及び溶媒は、特定の凍結特性を有する。溶質は濃縮し、結晶化することさえあり得る。同時に、水が凍結するにつれて系の体積膨張は、格子間流体の濃度を増加させることによって得られる浸透圧ショックと組み合わさる強力な機械的ストレスを誘導する可能性がある。
【0056】
昇華段階/一次乾燥
次に、真空下に置かれた凍結した物質が、氷が昇華するのに十分なエネルギーを送達するために徐々に加熱された場合に昇華段階または一次乾燥が行われる。この重要な期間に、融解戻り、膨化、または崩壊等の凍結した物質における有害な反応を誘導することなく乾燥が進行し得るように、熱入力(熱伝達)と水昇華(物質移動)との間で正確なバランスが調整されなければならない。次いで、熱入力を凍結した物質の蒸発可能性に連動させるために稼働圧力の連続的で正確な調整が必要である。
【0057】
脱離段階/二次乾燥
脱離段階または二次乾燥は、氷が蒸留除去されたときに開始し、より高い真空は、零度超で結合水の進行的抽出を可能にする。これは、過剰乾燥が乾燥不足と同様に悪く、望ましくない乾燥構造、変性、または再構成に適さない生成物をもたらす可能性があるので行わなければならない。各生成物について、所与の温度及び圧力下で適切な残留水分に達しなければならない。
【0058】
脂質ナノ粒子製剤の凍結乾燥
いくつかの実施形態では、RNAを封入する脂質ナノ粒子を含む組成物を凍結乾燥する方法であって、方法は、a.)液体媒体中の脂質ナノ粒子の懸濁液を提供する工程;及びb.)液体媒体を調整し、それによりソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される少なくとも1つの賦形剤を含む事前処理された懸濁液を形成する工程を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、工程c.)事前処理された懸濁液を、i.)-52±6℃の温度及び大気圧で行われる初期凍結工程;ii.)-25±2℃~-48±2℃の範囲の温度及び約25mTorr~約75mTorrの範囲の圧力で行われる一次乾燥工程;及びiii.)5±2℃~10±2℃の範囲の温度及び約85mTorr~約200mTorrの範囲の圧力で行われる二次乾燥工程を含む凍結乾燥プロセスに供することをさらに含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法は、工程c.)事前処理された懸濁液を、i.)-48±8℃の温度及び大気圧で行われる初期凍結工程;ii.)約0.03~約0.08mbarの圧力で行われ、温度-48±8℃で開始し、約40~約75時間の範囲の期間にわたって0±2℃の温度に傾斜させる一次乾燥工程;及びiii.)約0.03~約0.08mbarの圧力で行われ、温度0±2℃で開始し、約30~約50時間の範囲の期間にわたって約25±3℃の温度に傾斜させる二次乾燥工程を含む凍結乾燥プロセスに供することをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、以下に示される凍結乾燥サイクルに従う:
【表1】
【0061】
脂質ナノ粒子
いくつかの脂質製剤化送達ビヒクルは、リポソーム、カチオン性リポソーム、及び脂質ナノ粒子を含む核酸医薬を送達する技術分野において使用される。従来のリポソームは、少なくとも1つの二重層及び内部水性区画で構成される小胞である。リポソームの二重層膜は、通常、両親媒性分子、例えば、空間的に分離された親水性及び疎水性ドメインを含む合成または天然起源の脂質、で形成される(Lasic,Trends Biotechnol.,16:307-321,1998)。リポソームの二重層膜は、両親媒性ポリマー及び界面活性剤(例えば、ポリマーソーム、ニオソームなど)で形成することもできる。それらは、一般に、球状小胞として存在し、サイズは20nm~数ミクロンの範囲であり得る。
【0062】
リポソームは、カチオン性、アニオン性、及び/または中性脂質で構成することができる。リポソームの重要なサブクラスとして、カチオン性リポソームは、正荷電脂質、または、より具体的には、カチオン性基及び親油性部分の両方を含む脂質から全体または一部が作製されるリポソームである。上に概略を記載されたリポソームの一般的な特性に加えて、カチオン性リポソームで使用されるカチオン性脂質の正荷電部分は、いくつかの利点及びいくつかの独自の構造的特徴を提供する。例えば、カチオン性脂質の親油性部分は、疎水性であり、従って、それ自体をリポソームの水性内部から離れるように移動させ、他の非極性及び疎水性種と会合するであろう。逆に、カチオン性部分は、水性媒体と、さらに重要なことには、極性分子及び種と会合し、これと共に、カチオン性リポソームの水性内部で複合体化することができる。これらの理由により、カチオン性リポソームは、静電相互作用を介して負荷電核酸に好都合であるので、遺伝子治療の際の使用のために、ますます調査され、これにより、生体適合性、低毒性、及びin vivo臨床用途に必要とされる大規模生産の可能性を提供する複合体がもたらされる。カチオン性リポソームで使用するのに適当なカチオン性脂質を、本明細書で以下に列挙する。
【0063】
リポソーム及びカチオン性リポソームとは対照的に、脂質ナノ粒子(LNP)は、固相に化合物を封入する脂質の単一の単層または二重層を含む構造を有する。従って、リポソームとは異なり、脂質ナノ粒子は、内部に水相または他の液相を有さず、むしろ、二重層または単層シェルの脂質が、内部化合物と直接複合化し、それにより、固体コアに封入される。脂質ナノ粒子は、通常、形状及びサイズが比較的均一の分散を有する球状小胞である。脂質粒子がナノ粒子であると見なされるサイズに応じて供給源が変わるが、脂質ナノ粒子が10nm~1000nmの範囲の直径を有し得るという点で一致するいくつかの重複がある。しかし、より一般には、それらは、120nmまたはさらに100nmよりも小さいと見なされる。
【0064】
脂質ナノ粒子核酸送達システムの場合、脂質シェルは、核酸コアの負荷電主鎖と複合化及び会合し得るイオン化可能なカチオン性脂質を含むように製剤化され得る。見かけのpKa値が約7を下回る、イオン化可能なカチオン性脂質は、カチオン性脂質の、核酸の負荷電主鎖との複合体化をもたらし、正に荷電した場合に、イオン化可能な脂質のpKaを下回るpH値にて、脂質ナノ粒子にロードするという利点を有する。次に、生理的pH値では、脂質ナノ粒子は、i.v.投与後の粒子の循環半減期を大幅に増加させることができる比較的中性の外形を採用し得る。核酸送達との関連で、脂質ナノ粒子は、高い核酸封入効率、強力なトランスフェクション、治療薬を送達する組織への浸透の改善、ならびに低レベルの細胞傷害性及び免疫原性を含む他の脂質ベースの核酸送達システムよりも多くの利点を提供する。
【0065】
好適な脂質成分及び脂質ナノ粒子を製造する方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば、PCT/US2020/023442、米国8,058,069、米国8,822,668、米国9,738,593、米国9,139,554、PCT/US2014/066242、PCT/US2015/030218、PCT/2017/015886、及びPCT/US2017/067756に記載されており、その内容は、参照により組み込まれる。
【0066】
カチオン性脂質
脂質ナノ粒子は、カチオン性リポソームまたは脂質ナノ粒子を形成するのに適当なカチオン性脂質を含むのが好ましい。カチオン性脂質は、負に荷電した膜に結合して、取り込みを誘発することができるため、核酸送達用に広く研究されている。一般に、カチオン性脂質は、正の親水性頭部基、2つ(またはそれ以上)の親油性尾部、またはステロイド部分、及びこれらの2つのドメイン間の連結子を含有する両親媒性物質である。好ましくは、カチオン性脂質は、およそ生理学的pHで正味の正電荷を担持する。カチオン性リポソームは、伝統的には、オリゴヌクレオチドのための最も一般的に使用される非ウイルス送達系であり、例えば、プラスミドDNA、アンチセンスオリゴ、及びsiRNA/小ヘアピンRNA-shRNAが挙げられる。カチオン性脂質、例えば、DOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン)及びDOTMA(N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチル-アンモニウムメチルスルフェート)は、静電相互作用によって、負に荷電した核酸との複合体またはリポプレックスを形成し、高いインビトロトランスフェクション効率を提供することができる。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、2つ以上のカチオン性脂質の組み合わせを含む。脂質ナノ粒子は、リピドイド及び/またはポリマー性成分をさらに含み得る。
【0067】
本開示の脂質ナノ粒子において、カチオン性脂質は、例えば、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、1,2-ジオレオイルメチルアンモニウムプロパンクロリド(DOTAP)(N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド及びl,2-ジオレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩としても知られている)、N-(l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、l,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、l,2-ジ-y-リノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(γ-DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、l,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、l,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、l,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、l,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、l-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、l,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、l,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、l,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、または3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-l,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-l,2-プロパンジオール(DOAP)、l,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)またはそのアナログ、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][l,3]ジオキソール-5-アミン、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、l,l’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-l-イル)エチルアザネジイル)ジドデカン-2-オール(C12-200)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[l,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-M-C3-DMA)、3-((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-l-アミン(MC3エーテル)、4-((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イルオキシ)-N,N-ジメチルブタン-1-アミン(MC4エーテル)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。他のカチオン性脂質には、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、3P-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Choi)、N-(l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)、l,2-ジレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及び2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[l,3]-ジオキソラン(XTC)が含まれるがこれらに限定されない。さらに、例えば、LIPOFECTIN(DOTMA及びDOPEを含む、GIBCO/BRLから入手可能)ならびに、Lipofectamine(DOSPA及びDOPEを含む、GIBCO/BRLから入手可能)などのカチオン性脂質の市販調製物を使用することができる。
【0068】
他の適当なカチオン性脂質は、国際公開第WO09/086558号、同第WO09/127060号、同第WO10/048536号、同第WO10/054406号、同第WO10/088537号、同第WO10/129709号、及び同第WO2011/153493号;米国特許公開第2011/0256175号、同第2012/0128760号、及び同第2012/0027803号;米国特許第8,158,601号;及びLove et al.,PNAS,107(5)、1864-69,2010に開示されており、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
他の好適なカチオン性脂質としては、アルキル置換基が異なるもの(例えば、N-エチル-N-メチルアミノ-及びN-プロピル-N-エチルアミノ-)を含む、代替脂肪酸基及び他のジアルキルアミノ基を有するものが挙げられる。これらの脂質は、アミノ脂質と呼ばれるカチオン性脂質のサブカテゴリーの一部である。本明細書に記載の脂質ナノ粒子のいくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、アミノ脂質である。一般に、飽和アシル鎖が少ないアミノ脂質は、特に、複合体が、濾過滅菌の目的で、約0.3ミクロン未満にサイズ設定されなければならない場合、より容易にサイズ設定される。C14~C22の範囲の炭素鎖長を有する不飽和脂肪酸を含有するアミノ脂質が使用されてもよい。アミノ基及びアミノ脂質の脂肪酸または脂肪族アルキル部分を分離するために、他の足場を使用することもできる。
【0070】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、特許出願PCT/EP2017/064066による式Iのカチオン性脂質を含む。これに関連して、PCT/EP2017/064066の開示も参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示のアミノ脂質またはカチオン性脂質は、イオン化可能であり、脂質が生理的pH(例えば、pH7.4)以下のpHで正荷電し、第2のpH、好ましくは、生理学的pH以上で中性であるように、少なくとも1つのプロトン化可能または脱プロトン化可能基を有する。当然、pHの機能としてのプロトンの付加または除去は平衡プロセスであり、荷電または中性脂質への言及は、優勢な種の性質を指し、脂質の全てが荷電または中性形態で存在することを必要としないことが理解されるであろう。複数のプロトン化可能もしくは脱プロトン化可能な基を有する脂質、または双極性イオンである脂質は、本開示での使用から除外されない。特定の実施形態では、プロトン化可能な脂質は、約4~約11の範囲のプロトン化可能な基のpKaを有する。いくつかの実施形態では、イオン化可能なカチオン性脂質は、約5~約7のpKaを有する。いくつかの実施形態では、イオン化可能なカチオン性脂質のpKaは、約6~約7である。
【0072】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、式Iのイオン化可能なカチオン性脂質を含む:
【化1】
または、その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含み、式中、R
5及びR
6は各々独立して、直鎖または分枝C
1-C
31アルキル、C
2-C
31アルケニル、またはC
2-C
31アルキニル及びコレステリルからなる群から選択され;L
5及びL
6は各々独立して、直鎖C
1-C
20アルキル及びC
2-C
20アルケニルからなる群から選択され;X
5は-C(O)O-であり、これにより-C(O)O-R
6が形成されるか、または、-OC(O)-であり、これにより-OC(O)-R
6が形成され;X
6は-C(O)O-であり、これにより-C(O)O-R
5が形成されるか、または、-OC(O)-であり、これにより-OC(O)-R
5が形成され;X
7はSまたはOであり;L
7は存在しないか低級アルキルであり;R
4は直鎖または分枝C
1-C
6アルキルであり;R
7及びR
8は各々独立して、水素及び直鎖または分枝C
1-C
6アルキルからなる群から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、X7は、Sである。
【0074】
いくつかの実施形態では、X5は、-C(O)O-であり、これにより-C(O)O-R6が形成され、X6は、-C(O)O-であり、これにより-C(O)O-R5が形成される。
【0075】
いくつかの実施形態では、R7及びR8は各々独立して、メチル、エチル、及びイソプロピルからなる群から選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、L5及びL6は各々独立して、C1-C10アルキルである。いくつかの実施形態では、L5は、C1-C3アルキルであり、L6は、C1-C5アルキルである。いくつかの実施形態では、L6は、C1-C2アルキルである。いくつかの実施形態では、L5及びL6は各々、直鎖C7アルキルである。いくつかの実施形態では、L5及びL6は各々、直鎖C9アルキルである。
【0077】
いくつかの実施形態では、R5及びR6は各々独立して、アルケニルである。いくつかの実施形態では、R6は、アルケニルである。いくつかの実施形態では、R6は、C2-C9アルケニルである。いくつかの実施形態では、アルケニルは、単一の二重結合を含む。いくつかの実施形態では、R5及びR6は各々、アルキルである。いくつかの実施形態では、R5は、分枝アルキルである。いくつかの実施形態では、R5及びR6は各々独立して、C9アルキル、C9アルケニル、及びC9アルキニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5及びR6は各々独立して、C11アルキル、C11アルケニル、及びC11アルキニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5及びR6は各々独立して、C7アルキル、C7アルケニル、及びC7アルキニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5は、-CH((CH2)pCH3)2または-CH((CH2)pCH3)((CH2)p-1CH3)[式中、pは4~8である。]である。いくつかの実施形態では、pは、5であり、L5は、C1-C3アルキルである。いくつかの実施形態では、pは、6であり、L5は、C3である。いくつかの実施形態では、pは、7である。いくつかの実施形態では、pは、8であり、L5はC1-C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R5は、-CH((CH2)pCH3)((CH2)p-1CH3)[式中、pは7または8である。]である。
【0078】
いくつかの実施形態では、R4は、エチレンまたはプロピレンである。いくつかの実施形態では、R4は、n-プロピレンまたはイソブチレンである。
【0079】
いくつかの実施形態では、L7は、不在であり、R4は、エチレンであり、X7は、Sであり、R7及びR8は各々、メチルである。いくつかの実施形態では、L7は、不在であり、R4は、n-プロピレンであり、X7は、Sであり、R7及びR8は各々、メチルである。いくつかの実施形態では、L7は、不在であり、R4は、エチレンであり、X7は、Sであり、R7及びR8は各々、エチルである。
【0080】
いくつかの実施形態では、X7は、Sであり、X5は、-C(O)O-であり、これにより-C(O)O-R6が形成され、X6は、-C(O)O-であり、これにより-C(O)O-R5が形成され、L5及びL6は各々独立して、直鎖C3-C7アルキルであり、L7は、不在であり、R5は、-CH((CH2)pCH3)2であり、R6は、C7-C12アルケニルである。いくつかのさらなる実施形態では、pは、6であり、R6は、C9アルケニルである。
【0081】
ヘルパー脂質及びステロール
本開示のRNA脂質ナノ粒子は、ヘルパー脂質を含み得、これは、中性ヘルパー脂質、非カチオン性脂質、非カチオン性ヘルパー脂質、アニオン性脂質、アニオン性ヘルパー脂質、または中性脂質と呼ぶことができる。脂質製剤、特に、カチオン性リポソーム及び脂質ナノ粒子は、ヘルパー脂質が製剤中に存在する場合、細胞への取り込みが増加していることが判明している。(Curr.Drug Metab.2014;15(9):882-92)。例えば、いくつかの研究は、中性及び双性イオン性脂質、例えば、1,2-ジオレオイルsn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DOPC)、ジ-オレオイル-ホスファチジル-エタノールアラミン(DOPE)、及び1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)は、カチオン性脂質よりも融合性(すなわち、融合の促進)であるが、脂質-核酸複合体の多形性に影響を及ぼし得ることを示しており、これは、ラメラ相からヘキサゴナル相への移行を促進し、それにより、細胞膜の融合及び破壊を誘導する。(Nanomedicine(Lond).2014 Jan;9(1):105-20)。さらに、ヘルパー脂質の使用は、多くの一般的なカチオン性脂質を使用することによるあらゆる潜在的な有害な影響、例えば、毒性及び免疫原性、を低減させるのに役立ち得る。
【0082】
本開示の脂質ナノ粒子に適する非カチオン性脂質の非限定例としては、リン脂質、例えば、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスファート、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(DOPE-mal)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、及びそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用することができる。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24の炭素鎖を有する脂肪酸由来のアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレオイルである。
【0083】
非カチオン性脂質のさらなる例としては、コレステロールなどのステロール、及びその誘導体が挙げられる。ある研究では、ヘルパー脂質として、コレステロールは、核酸と相互作用する脂質層の荷電の間隔を広げ、電荷分布が、核酸の電荷分布とより密接に一致するようにすると結論づけられている。(J.R.Soc.Interface.2012 Mar 7;9(68):548-561)。コレステロール誘導体の非限定的な例としては、5α-コレスタノール、5α-コプロスタノール、コレステリル-(2’-ヒドロキシ)-エチルエーテル、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテル、及び6-ケトコレスタノールなどの極性アナログ;5α-コレスタン、コレステノン、5α-コレスタノン、5α-コレスタノン、及びコレステリルデカノエートなどの非極性アナログ;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、コレステロール誘導体は、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテルなどの極性アナログである。
【0084】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子に存在するヘルパー脂質は、1つ以上のリン脂質と、コレステロールまたはその誘導体との混合物を含むか、またはこれからなる。他の実施形態では、脂質ナノ粒子に存在する中性脂質は、1つ以上のリン脂質、例えば、コレステロール非含有脂質ナノ粒子を含むか、またはこれからなる。さらに他の実施形態では、脂質ナノ粒子に存在する中性脂質は、コレステロールまたはその誘導体、例えば、リン脂質非含有脂質ナノ粒子を含むか、またはこれからなる。
【0085】
ヘルパー脂質の他の例としては、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、アセチルパルミテート、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリル系ポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリール硫酸ポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、セラミド、及びスフィンゴミエリンなどの脂質を含有する無リンが挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ヘルパー脂質は、脂質ナノ粒子に存在する全脂質の、約2mol%~約20mol%、約3mol%~約18mol%、約4mol%~約16mol%、約5mol%~約14mol%、約6mol%~約12mol%、約5mol%~約10mol%、約5mol%~約9mol%、または、約2mol%、約3mol%、約4mol%、約5mol%、約6mol%、約7mol%、約8mol%、約9mol%、約10mol%、約11mol%、もしくは約12mol%(またはこれらの任意の端数もしくはこれらの中の範囲)を占める。
【0087】
脂質ナノ粒子中のコレステロールまたはコレステロール誘導体は、脂質ナノ粒子に存在する総脂質の最大約40mol%、約45mol%、約50mol%、約55mol%、または約60mol%を占めてもよい。いくつかの実施形態では、コレステロールまたはコレステロール誘導体は、脂質ナノ粒子に存在する全脂質の、約15mol%~約45mol%、約20mol%~約40mol%、約25mol%~約35mol%、もしくは約28mol%~約35mol%、または、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約36mol%、もしくは約37mol%を占める。
【0088】
いくつかの実施形態では、混合物中のリン脂質成分は、脂質ナノ粒子に存在する全脂質の、約2mol%~約20mol%、約3mol%~約18mol%、約4mol%~約16mol%、約5mol%~約14mol%、約6mol%~約12mol%、約5mol%~約10mol%、約5mol%~約9mol%、または、約2mol%、約3mol%、約4mol%、約5mol%、約6mol%、約7mol%、約8mol%、約9mol%、約10mol%、約11mol%、もしくは約12mol%(またはこれらの任意の端数もしくはこれらの中の範囲)を占め得る。
【0089】
脂質ナノ粒子に存在するヘルパー脂質の割合(%)は、目標量であり、製剤に存在するヘルパー脂質の実際の量は、例えば、±5mol%変動してもよい。
【0090】
カチオン性脂質化合物またはイオン化可能なカチオン性脂質化合物(または2つのカチオン性脂質の組み合わせ)を含有する脂質ナノ粒子は、モル基準で、約30~70%のカチオン性脂質化合物(複数可)、約25~40%のコレステロール、約2~15%のヘルパー脂質、及び、約0.5~5%のポリエチレングリコール(PEG)脂質であり得、割合は、製剤に存在する全脂質に対するものである。いくつかの実施形態では、組成物は、約40~65%のカチオン性脂質化合物、約25~35%のコレステロール、約3~9%のヘルパー脂質、及び、約0.5~3%のPEG脂質で構成され、割合は、製剤に存在する全脂質に対するものである。
【0091】
製剤は、例えば、8~30%の核酸、5~30%のヘルパー脂質、及び0~20%のコレステロール;4~25%のカチオン性脂質、4~25%のヘルパー脂質、2~25%のコレステロール、10~35%のコレステロール-PEG、及び5%のコレステロール-アミン;または2~30%のカチオン性脂質、2~30%のヘルパー脂質、1~15%のコレステロール、2~35%のコレステロール-PEG、及び1~20%のコレステロール-アミン;または最大90%のカチオン性脂質及び2~10%のヘルパー脂質、またはさらには100%のカチオン性脂質を含有する脂質粒子製剤であり得る。
【0092】
脂質コンジュゲート
本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、脂質コンジュゲートをさらに含み得る。コンジュゲート脂質は、粒子の凝集を防ぐという点で有用である。好適なコンジュゲート脂質としては、PEG-脂質コンジュゲート、カチオン性ポリマー-脂質コンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、脂質送達ビヒクルを、リガンド(例えば、抗体、ペプチド、及び炭水化物)を、その表面、または、結合したPEG鎖の末端に結合させることによる特異的標的化に使用することができる(Front Pharmacol.2015 Dec 1;6:286)。
【0093】
好ましい実施形態では、脂質コンジュゲートは、PEG脂質である。コーティングまたは表面リガンドとして脂質ナノ粒子にポリエチレングリコール(PEG)が含まれると、PEG化と呼ばれる手法が、免疫系からナノ粒子を保護し、RESの取り込みを回避するのに役立つ(Nanomedicine(Lond).2011 Jun;6(4):715-28)。PEG化は、物理的、化学的、及び生物学的機序を通じて脂質ナノ粒子及びそのペイロードを安定させるために広く使用されている。界面活性剤様PEG脂質(例えば、PEG-DSPE)は、表面に水和層及び立体バリアを形成するために、脂質ナノ粒子に侵入し得る。PEG化の程度に基づいて、表面層は、一般に、2つのタイプ、ブラシ状及びキノコ状層に分けることができる。PEG-DSPEで安定化された製剤の場合、PEGは、低程度のPEG化(通常、5mol%未満)でマッシュルーム構造をとり、PEG-DSPEの含有量がある特定のレベルを超えて増加するので、ブラシ構造にシフトするであろう(Journal of Nanomaterials.2011;2011:12)。増加したPEG化により、脂質ナノ粒子の循環半減期が大幅に増加することが示されている(Annu.Rev.Biome Eng.2011 Aug 15;13():507-30;J.Control Release.2010 Aug 3;145(3):178-81)。
【0094】
PEG脂質の適当な例としては、ジアルキルオキシプロピルに結合したPEG(PEG-DAA)、ジアシルグリセロールに結合したPEG(PEG-DAG)、ホスファチジルエタノールアミンなどリン脂質に結合したPEG(PEG-PE)、セラミドに複合されたPEG、コレステロールに複合されたPEG、またはその誘導体、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンPEG反復単位の直鎖水溶性ポリマーである。PEGは、それらの分子量によって分類され、以下を含む:モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG-OH)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシネート(MePEG-S)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシンイミジルスクシネート(MePEG-S-NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール-アミン(MePEG-NH2)、モノメトキシポリエチレングリコール-トレシレート(MePEG-TRES)、モノメトキシポリエチレングリコール-イミダゾリル-カルボニル(MePEG-IM)、ならびに末端メトキシ基の代わりに末端ヒドロキシル基を含有する化合物(例えば、HO-PEG-S、HO-PEG-S-NHS、HO-PEG-NH2)。
【0096】
本明細書に記載のPEG-脂質コンジュゲートのPEG部分は、約550ダルトン~約10,000ダルトンの範囲の平均分子量を含んでもよい。特定の場合には、PEG部分は、約750ダルトン~約5,000ダルトン(例えば約1,000ダルトン~約5,000ダルトン、約1,500ダルトン~約3,000ダルトン、約750ダルトン~約3,000ダルトン、約750ダルトン~約2,000ダルトン)の平均分子量を有する。好ましい実施形態では、PEG部分は約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。平均分子量は、端点を含む、列挙した範囲内の任意の値または部分値であってよい。
【0097】
特定の場合では、PEGは、所望により、アルキル、アルコキシ、アシル、またはアリール基によって置換され得る。PEGは、脂質に直接複合され得るか、またはリンカー部分を介して脂質に連結され得る。例えば、非エステル含有リンカー部分及びエステル含有リンカー部分を含む、PEGを脂質に結合するのに好適な任意のリンカー部分を使用することができる。好ましい実施形態では、リンカー部分は、非エステル含有リンカー部分である。好適な非エステル含有リンカー部分としては、アミド(-C(O)NH-)、アミノ(-NR-)、カルボニル(-C(O)-)、カルバメート(-NHC(O)O-)、尿素(-NHC(O)NH-)、ジスルフィド(-S-S-)、エーテル(-O-)、スクシニル(-(O)CCH2CH2C(O)-)、スクシンアミジル(-NHC(O)CH2CH2C(O)NH-)、エーテル、ならびにこれらの組み合わせ(カルバメートリンカー部分及びアミドリンカー部分の両方を含有するリンカーなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、カルバメートリンカーを使用してPEGを脂質に結合する。
【0098】
他の実施形態では、エステル含有リンカー部分は、PEGを脂質に結合するために使用される。好適なエステル含有リンカー部分としては、例えば、カーボネート(-OC(O)O-)、スクシノイル、リン酸エステル(-O-(O)POH-O-)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
様々な鎖長及び飽和度の様々なアシル鎖基を有するホスファチジルエタノールアミンをPEGに複合させて、脂質複合体を形成することができる。そのようなホスファチジルエタノールアミンは、市販されており、または当業者に知られている従来の技術を使用して単離または合成され得る。C10~C20の範囲の炭素鎖長を有するホスファチジルエタノールアミン含有飽和または不飽和脂肪酸が好ましい。モノまたはジ不飽和脂肪酸、ならびに、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物を含むホスファチジルエタノールアミンを使用することもできる。好適なホスファチジルエタノールアミンとしては、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、及びジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態では、PEG-DAA複合体は、PEG-ジデシルオキシプロピル(C10)複合体、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)複合体、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(C14)複合体、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)複合体、またはPEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)複合体である。これらの実施形態では、PEGは、好ましくは、750または2,000ダルトンの平均分子量を有する。特定の実施形態では、PEGの末端ヒドロキシル基は、メチル基で置換される。
【0101】
前述に加えて、PEGの代わりに他の親水性ポリマーを使用することができる。PEGの代わりに使用することができる好適なポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピル、メタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、及びポリジメチルアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびにヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどの誘導体化セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
いくつかの実施形態では、脂質複合体(例えば、PEG脂質)は、脂質ナノ粒子に存在する全脂質の、約0.1mol%~約2mol%、約0.5mol%~約2mol%、約1mol%~約2mol%、約0.6mol%~約1.9mol%、約0.7mol%~約1.8mol%、約0.8mol%~約1.7mol%、約0.9mol%~約1.6mol%、約0.9mol%~約1.8mol%、約1mol%~約1.8mol%、約1mol%~約1.7mol%、約1.2mol%~約1.8mol%、約1.2mol%~約1.7mol%、約1.3mol%~約1.6mol%、または約1.4mol%~約1.6mol%(またはこれらの任意の端数もしくはこれらの中の範囲)を占める。他の実施形態では、脂質コンジュゲート(例えば、PEG-脂質)は、脂質ナノ粒子に存在する総脂質の約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、もしくは5%(またはその任意の割合または範囲)を占める。量は、端点を含む、列挙した範囲内の任意の値または部分値であってよい。
【0103】
本開示の脂質ナノ粒子に存在する脂質コンジュゲート(例えば、PEG-脂質)の割合は標的量であり、製剤に存在する脂質コンジュゲートの実際の量は、例えば、±0.5mol%変動し得る。脂質コンジュゲートの濃度が、用いられる脂質コンジュゲート及び脂質ナノ粒子が融合性になる速度に応じて変化し得ることを、当業者は理解するであろう。
【0104】
脂質ナノ粒子-核酸製剤
本開示との関連で、脂質ナノ粒子送達ビヒクルは、典型的には、核酸(例えば、RNA)を標的細胞または組織に輸送するのに役立つ。例示的な核酸には、DNA及びRNAの両方が含まれる。好ましい実施形態では、脂質ナノ粒子は、RNA、カチオン性脂質(例えば、1つ以上のカチオン性脂質またはその塩)、リン脂質、及び粒子の凝集を阻害するコンジュゲートされた脂質(例えば、1つ以上のPEG-脂質コンジュゲート)を含む。脂質ナノ粒子にはまた、コレステロールが含まれ得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、RNAは、RNAが水溶液中でヌクレアーゼ分解に耐性を有するように、脂質ナノ粒子の脂質部分内に完全に封入されている。
【0106】
用語「RNA」とは、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を意味する。「リボヌクレオチド」とは、β-D-リボ-フラノース部分の2’位でヒドロキシル基を有するヌクレオチドを意味する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分的に精製されたRNAなどの単離RNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組み換えにより作製されたRNA、加えて、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換、及び/または変化により、自然に生じるRNAとは異なる、変化RNAを含む。このような変化としては、干渉RNAの末端(複数可)などへの、または内部、例えば、RNAの1つ以上のヌクレオチドにおける、非ヌクレオチド物質の付加を挙げることができる。本開示のRNA分子中のヌクレオチドは、天然に生じないヌクレオチド、または、化学合成したヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドといった、非標準的なヌクレオチドもまた含むことができる。これらの変化RNAは、アナログ、または、天然に生じるRNAのアナログと呼ぶことができる。本明細書で使用する場合、用語「リボ核酸」及び「RNA」とは、siRNA、アンチセンスRNA、一本鎖RNA、マイクロRNA、mRNA、非コードRNA、及び多価RNAを含む、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含有する分子を意味する。
【0107】
いくつかの実施形態ではRNAは、自己複製RNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、siRNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、長さが約1000ヌクレオチド~約13000ヌクレオチドである。
【0108】
本開示の脂質ナノ粒子はまた、典型的には、約1:1~約100:1、約1:1~約50:1、約2:1~約45:1、約3:1~約40:1、約5:1~約38:1、または約6:1~約40:1、または約7:1~約35:1、または約8:1~約30:1;または約10:1~約25:1;または約8:1~約12:1;または約13:1~約17:1;または約18:1~約24:1;または約20:1~約30:1の総脂質:RNA比(質量/質量比)を有する。いくつかの好ましい実施形態では、総脂質:RNA比(質量/質量比)は、約10:1~約25:1である。いくつかの実施形態では、懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約50:1~約10:1である。いくつかの実施形態では、懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約40:1~約20:1である。いくつかの実施形態では、懸濁液における総脂質対RNAの重量比は、約35:1~約25:1である。比は、端点を含む、記述された範囲内の任意の値または副次的値であり得る。
【0109】
本開示の脂質ナノ粒子は、通常、約30nm~約150nm、約40nm~約150nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、または約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95nm、約100nm、約105nm、約110nm、約115nm、約120nm、約125nm、約130nm、約135nm、約140nm、約145nm、もしくは約150nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。直径は、端点を含む列挙された範囲内の任意の値または部分値であってよい。
【0110】
核酸との関連で、完全な封入は、膜不透過性蛍光色素排除アッセイを実施することにより判定されてもよく、これは、核酸と会合した場合、蛍光を増強させている色素を使用する。封入は、色素を脂質ナノ粒子に添加し、得られた蛍光を測定し、少量の非イオン性界面活性剤の添加時に観察される蛍光と比較することにより決定される。界面活性剤媒介性の脂質層の破壊により、封入核酸が放出されて、膜不透過性色素と相互作用できるようになる。核酸封入は、E=(I0-I)/I0として計算されてもよく、式中、I及びI0は、界面活性剤の添加前後の蛍光強度を指す。
【0111】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、粒子の約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約90%~約100%、約30%~約95%、約40%~約95%、約50%~約95%、約60%~約95%、約70%~約95%、約80%~約95%、約85%~約95%、約90%~約95%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、または少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%(またはその任意の部分またはその範囲)が、中にRNAが封入されるように、製剤の脂質部分内に完全に封入されるRNAを含む。量は、端点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分値であってよい。
【0112】
懸濁液及び液体媒体
懸濁液は、溶質粒子が溶解しないが溶媒のバルク全体にわたって懸濁され、媒体中を自由に漂ったままとなる異種混合物である。内部相(固体)は、外部相(流体)全体にわたって分散され、これは、特定の賦形剤または懸濁剤の使用によって容易化され得る。脂質ナノ粒子を懸濁させるために使用される液体媒体は、当該技術分野で知られている任意の好適な液体媒体を含み得る。薬学的懸濁液において使用される好適な液体には、アルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが含まれる。これらの液体が浸潤を提供するメカニズムは、それらが水と混和性であり、液体空気界面張力を減少させることである。液体は、個々の粒子に浸透し、浸潤を容易化する。いくつかの実施形態では、液体媒体は、水性媒体である。
【0113】
本開示では、懸濁液における脂質ナノ粒子の濃度は、懸濁液1mL当たりの封入されたRNAの濃度として開示される。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約2.0mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約1.5mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約1.0mg/mLの範囲の濃度を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液におけるRNAは、約0.1mg/mL~約0.5mg/mLの範囲の濃度を有する。
【0114】
賦形剤、凍結乾燥保護剤、抗凍結剤、及び緩衝液
脂質ナノ粒子-RNA製剤は、凍結乾燥及び再構成を容易化するために事前処理され得る。典型的には、脂質ナノ粒子-RNA製剤の緩衝懸濁液は、特別な賦形剤と組み合わされ、その一部は、凍結乾燥保護剤及び/または抗凍結剤として機能する。本明細書で使用される場合、用語「凍結乾燥保護剤」は、凍結乾燥の乾燥段階中に活性成分を保護するために、凍結乾燥した生成物を保管または安定化することを補助するために、及び/または凍結乾燥した生成物をより容易に再構成することを補助するために組成物に添加される物質、化合物、または賦形剤である。凍結乾燥保護剤はまた、増量剤として使用され得る。本明細書で使用される場合、「抗凍結剤」は、凍結損傷から保護するために生物学的または薬学的組成物に添加される物質、化合物、または賦形剤を指す。
【0115】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、凍結乾燥保護剤を含む。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、抗凍結剤を含む。
【0116】
凍結乾燥保護剤または抗凍結剤のいずれかとして凍結乾燥プロセスにおいて使用される賦形剤の好適な例には、サッカリド化合物(例えば、単糖、二糖など)が含まれる。保護剤糖化合物の例には、単糖、例えば、C5-6アルドース及びケトース、ならびに二糖、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、コージビオース、サケビオース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、イソマルツロース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、及びキシロビオースが含まれる。
【0117】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、チオスルフェートを含む。チオスルフェートは、in vivo投与のための任意の好適なチオスルフェート塩であり得る。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートまたはカリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.025%w/v~約1.0%w/vのチオスルフェート濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.025%w/v~約0.75%w/vのチオスルフェート濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.025%w/v~約0.5%w/vのチオスルフェート濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.05%w/v~約0.3%w/vのチオスルフェート濃度を有する。いくつかの実施形態では、チオスルフェートは、ナトリウムチオスルフェートである。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.05%w/v~約0.25%w/vのチオスルフェート濃度を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、ソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.01M~約0.5Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.02M~約0.4Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.025M~約0.3Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.03M~約0.2Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.035M~約0.1Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.04M~約0.08Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.015M~約0.06Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.02M~約0.04Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015、0.016、0.017、0.018、0.019、0.020、0.021、0.022、0.023、0.024、0.025、0.026、0.027、0.028、0.029、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.070、0.080、0.090、または0.10Mのソルビン酸カリウム濃度を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、イオジキサノールを含む。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約5%w/v~約15%w/vのイオジキサノール濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約6%w/v~約13%w/vのイオジキサノール濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約7%w/v~約11%w/vのイオジキサノール濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約8%w/v~約10%w/vのイオジキサノール濃度を有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、安息香酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.01M~約0.6Mの安息香酸ナトリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.02M~約0.5Mの安息香酸ナトリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.03M~約0.4Mの安息香酸ナトリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.04M~約0.3Mの安息香酸ナトリウム濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.05M~約0.2Mの安息香酸ナトリウム濃度を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、チオスルフェート、ソルビン酸カリウム、イオジキサノール、及び安息香酸ナトリウムから選択される賦形剤の組み合わせを本明細書に記載の濃度で含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、チオスルフェート、ソルビン酸カリウム、イオジキサノール、及び/または安息香酸ナトリウムを含む事前処理された溶液は、ポリビニルアルコール(PVA)をさらに含む。PVAは、水溶性合成ポリマーであり、理想式[CH2CH(OH)]nを有する。任意の好適なPVAが本開示の事前処理された懸濁液において使用され得る。PVAのタイプは当該技術分野で知られており、いくつかの供給源(Sigma-Aldrich、TCI、Alfa Aesar、VWR)から市販されている。いくつかの実施形態では、PVAは、約9kDa~約186kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、PVAは、約27kDaの分子量を有する本明細書に記載されるPVA3である。いくつかの実施形態では、PVAは、約13kDA~約23kDaの分子量を有する本明細書に記載されるPVA10である。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.01%w/v~約0.75%w/vのPVA濃度を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、チオスルフェート、ソルビン酸カリウム、イオジキサノール、及び/または安息香酸ナトリウムを含む事前処理された懸濁液は、NaClをさらに含む。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.005M~約0.5MのNaCl濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.01M~約0.4MのNaCl濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.015M~約0.3MのNaCl濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.015M~約0.2MのNaCl濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.015M~約0.1MのNaCl濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約0.02M~約0.05MのNaCl濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約1mM~約500mM、約2mM~約475mM、約3mM~約450mM、約4mM~約425mM、約5mM~約400mM、約6mM~約375mM、約7mM~約350mM、約8mM~約325mM、約9mM~約300mM、約10mM~約275mM、約15mM~約250mM、約20mM~約200mM、約25mM~約150mM、約30mM~約100mM、約35mM~約75mM、約40mM~約60mM、約45mM~約55mM、または約25mM~約75mMのNaCl濃度を有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、チオスルフェート、ソルビン酸カリウム、イオジキサノール、及び/または安息香酸ナトリウムを含む事前処理された懸濁液は、スクロースをさらに含む。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約5%w/v~約15%w/vのスクロース濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約7%w/v~約11%w/vのスクロース濃度を有する。いくつかの実施形態では、事前処理された懸濁液は、約8%w/v~約10%w/vのスクロース濃度を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、チオスルフェート、ソルビン酸カリウム、イオジキサノール、及び/または安息香酸ナトリウムを含む液体媒体または事前処理された懸濁液は、緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MOPS、HEPES、トリス、MES、クエン酸塩、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から選択される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約7mg/mL~約15mg/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、液体媒体または事前処理された懸濁液は、約7.4のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体媒体または事前処理された懸濁液は、約7.0~約8.0のpHを有する。
【0126】
一実施形態では、約0.005mg/mL~約2.0mg/mLの濃度の封入されたRNA、約0.005M~約0.5Mの濃度のソルビン酸カリウム、約0.005~約0.5%w/vの濃度のポロキサマー、約4%~約22%w/vの濃度の糖、約5mM~約500mMの濃度のNaCl、及び約1mM~約300mMの濃度の約7.4~約8.0のpHを有する緩衝液を含む液体媒体が提供される。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188(別名P188)である。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。いくつかの実施形態では、RNAは、約0.010~約1.5mg/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、RNAは、約0.050~約0.8mg/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約0.010M~約0.3Mの濃度である。いくつかの実施形態ではソルビン酸カリウムは、約0.015M~約0.1Mの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.10~約0.40%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.015~約0.30%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.020~約0.20%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約0.030~約0.10%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、糖は、約8~約20%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、糖は、約12~約20%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、糖は、約16~約20%w/vの濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約2mM~約250mMの濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約3mM~約200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約4mM~約150mMの濃度である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約5mM~約100mMの濃度である。いくつかの実施形態では緩衝液は、約8mM~約50mMの濃度である。いくつかの実施形態では緩衝液は、約10mM~約40mMの濃度である。いくつかの実施形態では緩衝液は、約12mM~約30mMの濃度である。いくつかの実施形態では緩衝液は、約15mM~約25mMの濃度である。
【0127】
凍結乾燥した組成物
別の態様では、核酸を封入する脂質ナノ粒子ならびにソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及びイオジキサノールから選択される1つ以上の賦形剤を含む凍結乾燥した組成物が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、siRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、自己複製RNAである。
【0128】
いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及び/またはイオジキサノールを含む凍結乾燥した組成物は、約50:1~約10:1の凍結乾燥した組成物における総脂質対核酸の重量比を有する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約40:1~約20:1の凍結乾燥した組成物における総脂質対核酸の重量比を有する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約35:1~約25:1の凍結乾燥した組成物における総脂質対核酸の重量比を有する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約45:1~約30:1の凍結乾燥した組成物における総脂質対核酸の重量比を有する。
【0129】
ソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及び/またはイオジキサノールは、本明細書で以下に記載される選択された賦形剤の核酸(例えば、RNA)に対する重量比で存在し得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約30:1~約250:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約40:1~約200:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約50:1~約175:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約5:1~約150:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約10:1~約125:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約15:1~約100:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約20:1~約80:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約25:1~約60:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ソルビン酸カリウムを、約30:1~約50:1のソルビン酸カリウムの核酸に対する重量比で含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約1:1~約12:1のナトリウムチオスルフェートの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約2:1~約10:1のナトリウムチオスルフェートの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、ナトリウムチオスルフェートを、約3:1~約8:1のナトリウムチオスルフェートの核酸に対する重量比で含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約1:1~約12:1の安息香酸ナトリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約2:1~約10:1の安息香酸ナトリウムの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、安息香酸ナトリウムを、約3:1~約9:1の安息香酸ナトリウムの核酸に対する重量比で含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約100:1~約800:1のイオジキサノールの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約150:1~約750:1のイオジキサノールの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約200:1~約700:1のイオジキサノールの核酸に対する重量比で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、イオジキサノールを、約250:1~約650:1のイオジキサノールの核酸に対する重量比で含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及び/またはイオジキサノールを含む凍結乾燥した組成物は、ポリビニルアルコール(PVA)を、約1:1~約12:1のPVAの核酸に対する重量比でさらに含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及び/またはイオジキサノールを含む凍結乾燥した組成物は、スクロースを、約100:1~約800:1のスクロースの核酸に対する重量比でさらに含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及び/またはイオジキサノールを含む凍結乾燥した組成物は、HEPES、MOPS、トリス、MERS、クエン酸塩、及びリン酸塩から選択される緩衝液を、約3:1~約150:1の緩衝液に対する核酸の重量比でさらに含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスである。
【0137】
いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウム、チオスルフェート、安息香酸ナトリウム、及び/またはイオジキサノールを含む凍結乾燥した組成物は、NaClをさらに含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5%w/w~約5.0%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.6%w/w~約4.5%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.7%w/w~約4.0%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.8%w/w~約3.5%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.9%w/w~約3.0%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0%w/w~約2.5%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.1%w/w~約2.4%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.2%w/w~約2.3%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.3%w/w~約2.1%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.4%w/w~約2.0%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.4%w/w~約1.6%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75%w/w~約2.25%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0%w/w~約2.0%w/wのNaClを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約85~約96%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約88~約95%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約90~約95%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%w/wの糖を含む。前述の糖のパーセンテージについて、用語「約」は、±0.5%を意味するものとする。
【0139】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.01~約1.0%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.8%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.7%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.6%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.05~約0.5%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.06~約0.4%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.07~約0.3%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.09~約0.2%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。
【0140】
一実施形態では、RNAを封入する脂質ナノ粒子、ポロキサマー、ソルビン酸カリウム、及び糖を含む凍結乾燥した組成物が提供される。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.001~約1.0%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.005~約0.8%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.01~約0.5%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.4%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.3%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.2%w/wのRNAを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5~約5.0%w/wの脂質を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約4.0%w/wの脂質を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.25~約3.0%w/wの脂質を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5~約2.5%w/wのトリス緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75~約2.25%w/wのトリス緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約2.0%w/wのトリス緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75~約2.75%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約2.5%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.25~約1.80%w/wのNaClを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約85~約96%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約88~約95%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約90~約95%w/wの糖を含む。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.01~約1.0%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.02~約0.8%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.03~約0.7%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.04~約0.6%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.05~約0.5%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.06~約0.4%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.07~約0.3%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.09~約0.2%w/wのポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.5~約5.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約0.75~約4.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.0~約3.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物は、約1.25~約2.75%w/wのソルビン酸カリウムを含む。
【0141】
凍結乾燥した組成物の保管、再構成、及び投与
本明細書に記載のプロセスによって調製された凍結乾燥した組成物または本明細書に記載の凍結乾燥した組成物は、脂質ナノ粒子懸濁液よりも高い温度で安定に保存され得る。典型的には、脂質ナノ粒子懸濁液は-70℃で保存され、これは、この温度を達成及び維持することが可能な装置を欠く設備のための輸送及び保存のための好適な温度ではない。凍結乾燥した組成物は、70℃を超える温度で安定に保存され得る。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した組成物を保管する方法であって、本開示の凍結乾燥した生成物を約-20℃~約8℃の温度で保存することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、方法は、本開示の凍結乾燥した生成物を約-20、-19、-18、-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、または8℃の温度で保存することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本開示の凍結乾燥した生成物を約-20℃~約8℃の温度で保存することを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、本開示の凍結乾燥した組成物を再構成する方法であって、液体媒体を凍結乾燥した組成物に添加することを含む、方法が提供される。
【0143】
いくつかの実施形態では、対象における疾患または障害を治療する方法であって、液体媒体中で再構成された本開示の凍結乾燥した組成物を対象に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、再構成された凍結乾燥した組成物は、吸入を介して投与される。静脈内、筋肉内、及び吸入投与のための方法は、当該技術分野で知られており、本明細書に記載の再構成された製剤に容易に適応される。
【0144】
定義
本明細書の様々な箇所において、本開示の化合物の置換基を、群または範囲で開示する。本開示が、このような群及び範囲のメンバーのそれぞれ1つ1つの個別の部分的組み合わせを含むことが具体的に意図される。例えば、用語「C1-6アルキル」とは具体的に、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、及びC6アルキルを個別に開示することを意図している。
【0145】
用語「アニオン性脂質」とは、生理的pHにて負に荷電した脂質を意味する。これらの脂質としては、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、及び中性脂質と結合した他のアニオン性修飾基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
一続きの項目に先行する語句「のうちの少なくとも1つ」は、当該項目のいずれかに分離するための用語「及び」または「または」と共に、一覧を各要素(即ち、各項目)ではなく、一覧を全体として修飾する。語句「のうちの少なくとも1つ」は、列挙された各項目のうちの少なくとも1つの選択を必要としない。むしろ、この語句により、項目のいずれか1つのうちの少なくとも1つ、及び/または、項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/または、項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味が可能となる。例として、語句「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、または「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、またはCのみ;A、B、及びCの任意の組み合わせ;及び/または、A、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
【0147】
用語「を含む(include)」、「を有する」などは、明細書または特許請求の範囲で使用され、このような用語は、用語「を含む(comprise)」が、特許請求の範囲の移行句で用いられる場合に解釈されるのと同様の様式で、包括的であることを意図する。
【0148】
用語「カチオン性脂質」とは、正の親水性先端基;1、2、3個、またはそれ以上の疎水性脂肪酸または脂肪族アルキル鎖;及び、これらの2つのドメイン間に接続子を有する両親媒性脂質及びその塩を意味する。イオン化可能な、またはプロトン化可能なカチオン性脂質は通常、そのpKaを下回るpHでプロトン化され(即ち、正電荷を帯び)、pKaを上回るpHでは実質的に中性である。好ましいイオン化可能なカチオン性脂質は、通常は薬7.4である生理的pHを下回るpKaを有するものである。本開示のカチオン性脂質はまた、滴定可能なカチオン性脂質と称される場合もある。カチオン性脂質は、プロトン化可能な3級アミン(例えば、pH滴定可能な)頭基を有する「アミノ脂質」であることができる。いくつかのアミノ例示的なアミノ脂質は、C18アルキル鎖を含むことが可能であり、各アルキル鎖は独立して、0~3(例えば、0、1、2、または3)個の二重結合;及び、先端基とアルキル鎖との間に、エーテル、エステル、またはケタール結合を有する。そのようなカチオン性脂質としては、DSDMA、DODMA、DLinDMA、DLenDMA、γ-DLenDMA、DLin-K-DMA、DLin-K-C2-DMA(DLin-C2K-DMA、XTC2、及びC2Kとしても知られている)、DLin-K-C3-DM A、DLin-K-C4-DMA、DLen-C2K-DMA、y-DLen-C2K-DMA、DLin-M-C2-DMA(MC2としても知られている)、DLin-M-C3-DMA(MC3としても知られている)、ならびに、(DLin-MP-DMA)(1-Bl 1としても知られている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
用語「を含む」は、オープンであることが意図され、追加の要素または工程の包含を可能にするが、当該包含を必要としない。用語「を含む」を本明細書で使用する場合、用語「からなる」は故に包含されており、開示される。
【0150】
用語「組成物」は、特定量の特定成分を含む生成物、及び特定量の特定成分の組み合わせから直接的または間接的に得られる任意の生成物を意味する。
【0151】
用語「市販されている化学物質」、及び、本明細書で説明される実施例で用いられる化学物質は、標準的な民間の供給元から入手することができ、そのような供給元としては、例えば、Acros Organics(Pittsburgh,Pa.)、Sigma-Adrich Chemical(Milwaukee,Wis.)、Avocado Research(Lancashire,U.K.)、Bionet(Cornwall,U.K.)、Boron Molecular(Research Triangle Park,N.C.)、Combi-Blocks(San Diego,Calif.)、Eastman Organic Chemicals,Eastman Kodak Company(Rochester,N.Y.)、Fisher Scientific Co.(Pittsburgh,Pa.)、Frontier Scientific(Logan,Utah)、ICN Biomedicals,Inc.(Costa Mesa,Calif.)、Lancaster Synthesis(Windham,N.H.)、Maybridge Chemical Co.(Cornwall,U.K.)、Pierce Chemical Co.(Rockford,Ill.)、Riedel de Haen(Hannover,Germany)、Spectrum Quality Product,Inc.(New Brunswick,N.J.)、TCI America(Portland,Oreg.)、及びWako Chemicals USA,Inc.(Richmond,Va.)が挙げられる。
【0152】
語句「化学文献に記載されている化合物」は、当業者に既知のように、化学化合物及び化学反応に関する参照図書及びデータベースを通して識別することができる。本明細書で開示する化合物の調製において有用な反応物質の合成を詳述する、または、本明細書で開示する化合物の調製について設営する記事を参照する、好適な参照図書及び論文としては、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”,John Wiley and Sons,Inc.New York;S.R.Sandler et al,“Organic Functional Group Preparations,” 2nd Ed.,Academic Press,New York,1983;H.O.House,“Modern Synthetic Reactions,” 2nd Ed.,W.A.Benjamin,Inc.Menlo Park,Calif.,1972;T.L.Glichrist,“Heterocyclic Chemistry,” 2nd Ed.John Wiley and Sons,New York,1992;J.March,“Advanced Organic Chemistry:reactions,Mechanisms and Structure,” 5th Ed.,Wiley Interscience,New York,2001が挙げられ、好適及び類似の反応物質は、大部分の公的な、及び大学の図書館で入手可能なChemical Abstract Service of the American Chemical Society、加えて、オンラインデータベースにより調製される既知の化学物質のインデックスによってもまた、識別することができる(さらなる詳細に関しては、American Chemical Society,Washington,D.Cに連絡を取ることができる)。既知ではあるが、カタログで市販されていない化学物質は、カスタム化学合成会社により調製することができ、標準的な化学物質供給会社(上述したものなど)の多くは、カスタム合成サービスを提供している。
【0153】
本明細書で使用する場合、薬剤の「有効量」、という用語は、有益な、または所望の結果、例えば臨床的結果をもたらすのに十分な量であり、それ故、「有効量」は、この用語が適用される文脈によって左右される。例えば、がんを治療する剤を投与する文脈において、有効量の薬剤とは、例えば、当該薬剤の投与を伴わずに得られる応答と比較して、がんの、本明細書で定義する治療を実現するのに十分な量である。
【0154】
用語「完全に封入されている」とは、遊離RNAを著しく分解する血清またはヌクレアーゼアッセイに曝露した後、核酸-脂質粒子内の核酸(例えば、mRNA)が著しく分解されないことを意味する。完全に封入された場合、通常は遊離核酸の100%を分解する処理において、粒子内の核酸の好ましくは25%未満が分解され、より好ましくは粒子内の核酸の10%未満、及び最も好ましくは5%未満が分解される。「完全に封入された」とは、核酸-脂質粒子が、インビボ投与の際に、その構成成分部分に速やかに分解しないことも意味する。
【0155】
用語「核酸」とは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、及び、一本鎖または二本鎖形態の、これらのポリマーを意味する。この用語には、既知のヌクレオチドアナログまたは修飾された骨格残基もしくは連結を含む核酸であって、合成、天然、及び非天然のものであり、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される核酸が包含される。そのようなアナログの例としては、限定するものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2’-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)が挙げられる。
【0156】
用語「化合物」とは、記載する構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、及び同位体を含むことを意味する。
【0157】
用語「送達」とは、化合物、物質、要素、部分、カーゴ、またはペイロードを送達する行為または様式を意味する。
【0158】
用語「送達剤」または「送達ビヒクル」とは、少なくとも部分的には、ポリヌクレオチドの、標的化細胞へのインビボ送達を容易にする、任意の物質を意味する。
【0159】
核酸配列の「発現」とは、以下の事象の1つ以上を意味する:(1)(例えば、転写による)DNA配列からのRNA鋳型の作製、(2)(例えば、スプライシング、エディティング、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる)RNA転写産物のプロセシング、(3)RNAの、ポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、ならびに(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後改変。
【0160】
「特徴」とは、性能、性質、または固有の要素を意味する。
【0161】
用語「疎水性脂質」は非限定的に、飽和及び不飽和の脂肪族炭化水素基を含むが、これらに限定されない無極性基を有する化合物を意味し、そのような基は、1つ以上の芳香族、脂環式、または複素環式基(複数可)により置換されていてもよい。好適な例としては、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N-N-ジアルキルアミノ、1,2-ジアシルオキシ-3-アミノプロパン、及び、1,2-ジアルキル-3-アミノプロパンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
用語「脂質」とは、脂肪酸のエステルを含む有機化合物を意味し、水には不溶性であるが、多くの有機溶媒には可溶性であることを特徴とする。脂質は通常、以下の少なくとも3つのクラスに分類される:(1)脂肪、油及びロウが含まれる「単純脂質」;(2)リン脂質及び糖脂質が含まれる「複合脂質」;ならびに(3)ステロイドなどの「誘導脂質」。
【0163】
用語「脂質送達ビヒクル」とは、治療用核酸(例えば、mRNA)を目的の標的部位(例えば細胞、組織、臓器など)に送達するために使用可能な脂質製剤を意味する。脂質送達ビヒクルは核酸-脂質粒子であることができ、これは、カチオン性脂質、非カチオン性脂質(例えば、リン脂質)、粒子の凝集を防ぐ複合脂質(例えば、PEG脂質)、及び場合によりコレステロールから形成することができる。通常、治療用核酸(例えば、mRNA)は粒子の脂質部分に封入することで、酵素分解から保護することができる。
【0164】
用語「脂質封入された」とは、脂質製剤に完全に封入された、部分的に封入された、またはこの両方である、mRNAなどの核酸を意味する。好ましい実施形態では核酸(例えば、mRNA)は、脂質粒子に完全に封入されている。
【0165】
用語「脂質複合体」は、脂質粒子の凝集を阻害する複合脂質を意味する。このような脂質複合体としては、例えば、ジアルキルオキシプロピルに結合したPEG(例えば、PEG-DAA複合体)、ジアシルグリセロールに結合したPEG(例えば、PEG-DAG複合体)、コレステロールに結合したPEG、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG、及び、セラミド、カチオン性PEG脂質、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質複合体、ポリアミドオリゴマーと複合したPEGなどのPEG-脂質複合体、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。PEGまたはPOZは、脂質に直接複合しても、またはリンカー部位を介して脂質に連結してもよい。例えばエステル非含有リンカー部分及びエステル含有リンカー部分を含有する、PEGまたはPOZを脂質に結合させるのに適した任意のリンカー部分を使用することができる。特定の好ましい実施形態では、アミドまたはカルバメートなどの非エステル含有リンカー部分を使用する。
【0166】
用語「両親媒性脂質(amphipathic lipid)」または「両親媒性脂質(amphiphilic lipid)」とは、脂質物質の疎水性部分が疎水性相を向いている一方で、親水性部分が水相を向いている物質を意味する。親水性の特徴は、炭水化物、リン酸、カルボキシル、スルファト、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシル及び他の同等の基などの極性基または荷電基の存在に由来する。疎水性は、長鎖の飽和及び不飽和脂肪族炭化水素基、ならびに1つ以上の芳香族、脂環式、または複素環式基(複数可)により置換された、そのような基を含むがこれらに限定されない、無極性基を包含することにより付与することができる。両親媒性化合物の例としては、リン脂質、アミノ脂質、及びスフィンゴ脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
用語「メッセンジャーRNA」(mRNA)とは、目的のタンパク質またはポリペプチドをコードし、翻訳されて、インビトロ、インビボ、in situ、またはエクスビボで、コードされた目的のタンパク質またはポリペプチドを産生可能な任意のポリヌクレオチドを意味する。
【0168】
用語「ヌクレオチド」とは、当該技術分野において周知な、天然塩基(標準)、または修飾塩基を有するヌクレオチドを含むことを意味する。そのような塩基は通常、ヌクレオチド糖部分の1’位に位置する。ヌクレオチドは通常、塩基、糖、及びリン酸基を含む。ヌクレオチドは未修飾であるか、または、糖、リン酸、及び/または塩基部分で修飾されることができる(ヌクレオチドアナログ、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチド、及び他のものにも同じように言及される;例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Usman and McSwiggen(上述);Eckstein,et al.国際PCT公開第WO92/07065号;Usman,et al.国際PCT公開第WO 93/15187号;Uhlman & Peyman(上述)を参照されたい)。Limbach,et al,Nucleic Acids Res.22:2183,1994にまとめられているように、当該技術分野において既知の修飾核酸塩基のいくつかの例が存在する。核酸分子に組み込み可能な塩基修飾の非限定例のいくつかとしては、イノシン、プリン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、または、6-アザピリミジンもしくは6-アルキルピリミジン(例えば、6-メチルウリジン)、プロピン、及び他のもの(Burgin,et al.,Biochemistry 35:14090,1996;Uhlman & Peyman,上述)が挙げられる。本態様において、「修飾塩基」とは、1’位における、アデニン、グアニン、シトシン、及びウラシル以外のヌクレオチド塩基、またはこれらの等価物を意味する。
【0169】
用語「患者」とは、治療を求めている可能性がある、もしくは治療を必要とし得る、治療を必要としている、治療を受けている、治療を受けるであろう対象、または、特定の疾患もしくは病状に関して訓練を受けた専門家によりケアを受けている対象を意味する。
【0170】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしにヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合った化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指すために用いられる。
【0171】
本明細書で使用する場合、語句「薬学的に許容される賦形剤」とは、本明細書に記載する化合物(例えば、活性化合物を懸濁または溶解することが可能なビヒクル)以外の、患者には実質的に無毒かつ非炎症性の性質を有する、任意成分を意味する。賦形剤としては、例えば、抗接着剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤またはコーティング剤、香味料、香料、滑剤(流動向上剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷用インク、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、及び水和水を挙げることができる。例示的な賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、セラック、二酸化ケイ素、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クエン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
語句「薬学的に許容される塩」とは、親化合物が、既存の酸または塩基部位をその塩形態に転換すること(例えば、遊離塩基基を好適な有機酸と反応させること)により改変されている、開示した化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、塩基性残基のミネラルまたは有機酸塩(例えばアミン)、酸性残基のアルカリまたは有機塩(例えばカルボン酸)などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、加えて、無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されない)が挙げられる。本開示の薬学的に許容される塩としては、例えば、無毒性無機または有機酸から形成される、親化合物の従来の無毒性塩が挙げられる。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。通常、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基の形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で反応させることによって調製され得る;通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。好適な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley-VCH,2008、及び、Berge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1-19(1977)に見出され、これらそれぞれの全体が、本明細書に参照により組み込まれている。
【0173】
用語「精製する」、「精製された」、「精製」とは、不必要な成分、物質の汚れ、混合物または不完全さを実質的に純粋に、またはきれいにすることを意味する。
【0174】
用語「著しい」、または「著しく」とは、用語「実質的に」と同じ意味で用いられる。
【0175】
用語「安定した」とは、反応混合物からの、有用な純度への単離に生残するのに十分に堅強であり、好ましくは、有効な治療薬への製剤化が可能である化合物を意味する。
【0176】
用語「安定させる」、「安定した」、「安定領域」とは、安定させること、または安定することを意味する。
【0177】
用語「実質的に」とは、対象の特徴または性質を完全またはほぼ完全に示す、定性的な状態を意味する。生物学分野における当業者は、生物学現象及び化学現象は、たとえあったとしても、完結する、及び/または完結に向かう、または絶対的な結果を達成または回避することは滅多にないことを理解するであろう。それ故、本明細書で使用する用語「実質的に」とは、多くの生物学現象及び化学現象において特有の、完全性を潜在的に欠いていることを表現する。
【0178】
用語「治療すること」とは、特定の感染症、疾患、障害、及び/または病状の1つ以上の症状または特徴を、部分的または完全に緩和する、軽減する、改善する、治癒する、開始を遅延させる、進行を阻害する、深刻度を低下させる、及び/または発生を低下させることを意味する。例えば、がんを「治療すること」とは、腫瘍の生残、増殖、及び/または拡大の阻害を意味することができる。疾患、障害及び/または病状と関連付けられる病態を発症するリスクを低下させるために、疾患、障害及び/または病状の徴候を示さない対象に対して、及び/または疾患、障害及び/または病状の初期の徴候のみを示す対象に対して、治療が施されてもよい。
【0179】
用語「インビトロ」は、生命体(例えば、動物、植物、または微生物)の中ではなく、人工環境において、例えば、試験管または反応容器中、細胞培養中、ペトリ皿中などで起こる事象を指す。
【0180】
用語「インビボ」とは、生命体(例えば、動物、植物、もしくは微生物、またはこれらの細胞もしくは組織)内で生じる事象を意味する。
【0181】
用語「中性脂質」とは、選択されたpHにおいて非荷電の、または中性の双性イオン形態のいずれかで存在する脂質種を意味する。生理的pHにおいて、そのような脂質としては例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、及びジアシルグリセロールが挙げられる。
【0182】
用語「非カチオン性脂質」とは、本明細書に記載する両親媒性脂質、中性脂質、またはアニオン性脂質を意味する。
【0183】
用語「オリゴマー」とは、「ポリヌクレオチド」と同じ意味で用いることができ、少なくとも2種類のモノマーを含む分子を意味し、DNA及びRNAなどのオリゴヌクレオチドを含む。RNAモノマー、及び/またはアンロック核酸(UNA)モノマーを含有するオリゴマーの場合、本開示のオリゴマーは、コード配列(CDS)に加えて配列を含有することができる。これらの追加の配列は、未翻訳配列、即ち、宿主細胞によりタンパク質に転換されていない配列であることができる。これらの未翻訳配列は、5’キャップ、5’非翻訳領域(5’UTR)、3’非翻訳領域(3’UTR)、及びテール領域、例えば、ポリAテール領域を含むことができる。本明細書でさらに詳細に説明するように、これらの未翻訳配列のいずれかは、1つ以上のUNAモノマーを含有することができる-これらのUNAモノマーは、宿主細胞の機構により翻訳されることができない。本開示の文脈において、「mRNA配列」、「mRNA配列」、「翻訳可能なポリヌクレオチド」、または「翻訳可能な化合物」とは、領域、例えば、タンパク質またはそのフラグメント、例えば、ヒトCFTRタンパク質またはそのフラグメントに転換可能な、RNAのコード領域(例えば、ヒトCFTRのコード配列、またはそのコドン最適化版)を含む配列を意味する。
【0184】
用語「対象」とは、本開示に従った組成物を、例えば、実験、診断、予防、及び/または治療目的のために投与可能な、任意の生命体を意味する。典型的な対象としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳類)、及び/または植物が挙げられる。
【実施例】
【0185】
本開示の追加の実施形態は以下の実施例にてさらに詳細に説明されており、これらは、特許請求の範囲をいかなる方法によっても限定することを意図するものではない。
【0186】
実施例1:一般的物質及び方法
本明細書に記載の実施例で実施された実験は、周知のプロセス、例えば、米国特許出願第16/823,212号に記載されたものに従って製造された脂質ナノ粒子組成物を使用して実施され、この内容は、脂質ナノ粒子製造プロセスを教示する特定の目的のために参照により組み込まれる。脂質ナノ粒子組成物及び凍結乾燥した生成物が、いくつかの特性について特性評価された。これらの特性評価プロセスのための物質及び方法、ならびに凍結乾燥実験に使用された脂質ナノ粒子組成物を製造する一般的な方法が本実施例で提供される。
【0187】
脂質ナノ粒子の製造
本実施例で使用される脂質ナノ粒子製剤は、エタノール中で脂質(カチオン性脂質:ヘルパー脂質:コレステロール:PEG-脂質)をクエン酸緩衝液に溶解したRNAと混合することにより製造された。混合物質を、リン酸緩衝液で瞬時に希釈した。エタノールは、再生セルロース膜(100kDのMWCO)を使用したリン酸緩衝液に対する透析、または修飾ポリエーテルスルホン(mPES)中空糸膜(100kDのMWCO)を使用したタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により除去された。エタノールが、完全に除去されると、緩衝液を、10~300(例えば、40~60)mMのNaCl及び5~15%のスクロース、pH7.3を含有するHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)緩衝液と交換した。製剤を濃縮し、次に、PESフィルターを使用して0.2μmの濾過を行った。次に、製剤中のRNA濃度を、Ribogreen蛍光アッセイで測定し、10~100(例えば、40~60)mMのNaCl、グリセロールを含有する0~15%のスクロースを含有するHEPES緩衝液(pH7.2~8.5)で希釈することにより、濃度を所望の最終濃度に調整した。次に、さらなる研究にすぐに使用しない場合、最終製剤を0.2μmのフィルターで濾過し、ガラスバイアルに充填し、栓をし、蓋をし、-70±5℃に静置した。脂質ナノ粒子製剤を、pH及び浸透圧について特性評価した。脂質含有量及びRNA含有量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、mRNAの完全性を、フラグメントアナライザーで測定した。
【0188】
動的光散乱法(DLS)
実施例で使用される脂質ナノ粒子製剤の平均粒径(z)及び多分散指数(PDI)を、Malvern Zetasizer Nano ZS(英国)の動的光散乱で測定した。
【0189】
RiboGreenアッセイ
RiboGreen蛍光アッセイを使用して、脂質ナノ粒子製剤の封入効率を特性評価した。RiboGreenは、RNA及びDNAの両方を含む核酸の検出及び定量化に使用される独自の蛍光色素(Molecular Probes/Invitrogen(Life Technologiesの一部門)、現在Thermo Fisher Scientific(米国オレゴン州ユージーン)の一部)である。遊離形態では、RiboGreenは、ほとんど蛍光を示さず、ごくわずかな吸収特性を有する。核酸に結合すると、色素は、非結合型よりも数桁大きい強度で蛍光を発する。次に、蛍光をセンサー(蛍光光度計)で検出し得、核酸を定量することができる。
【0190】
ウェスタンブロット
ウェスタンブロットアッセイを使用して適用可能なタンパク質発現またはノックダウン活性を測定することによって脂質ナノ粒子製剤のin vivo有効性を試験した。アッセイでは、96ウェルコラーゲンプレートを使用して、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/ウシ胎児血清(FBS)培地にて、適切な密度で適用可能な脂質ナノ粒子製剤によってトランスフェクションされた細胞を播種した。最適なコンフルエンスにて、細胞に脂質ナノ粒子製剤をトランスフェクションし、トランスフェクション試薬ミックス(MessengerMax及びOpti-MEM)に希釈した。次いで細胞をCO2インキュベーターに配置し、増殖させた。所望の時点で、培地を除去し、細胞を4%の新鮮なパラホルムアルデヒド(PFA)中で20分間固定した。その後、固定物を除去し、細胞をTWEENを有するトリス緩衝生理食塩水(TBST)中で各回5分間で数回易透化した。易透化洗浄が完了したら、細胞をブロッキング緩衝液(ODYSSEY(登録商標)ブロッキング緩衝液(PBS)(Li-Cor,Lincoln,NE))で45分間インキュベートした。次に、一次抗体を添加して1時間室温でインキュベートした。次に、細胞をTBST中で数回洗浄し、ブロッキング緩衝液に希釈し、CellTag700株を含有する二次抗体と1時間インキュベートした。最後に、細胞をTBST中で数回洗浄した後、トリス緩衝生理食塩水(TBS)中で最後の洗浄を行った。プレートを、Licor(Lincoln,Nebraska USA)検出システムを使用してイメージングし、CellTag700により標識した細胞の総数に対して、データを正規化した。
【0191】
実施例2:事前処理懸濁液における様々な賦形剤(凍結乾燥保護剤)の評価
実施例1に記載されるように調製された脂質ナノ粒子製剤についての凍結乾燥した生成物の品質に対する様々な賦形剤の効果を評価するために実験を行った。凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤の品質を、凍結乾燥後に製剤を分析し、これを凍結乾燥前及び従来の凍結/解凍サイクル(すなわち、約-70℃で凍結し、次いで室温で解凍する)後の脂質ナノ粒子製剤と比較することによって評価した。
【0192】
脂質ナノ粒子製剤の分析は、粒径及び多分散性(PDI)及び封入効率(%Encap)の分析を含んでいた。凍結乾燥後の粒径を、凍結乾燥前の粒径と比較し、差異を、デルタ(δ)として報告する。最小限の粒径の増加(δ<10nm)、PDI(<0.2)の維持、及び高い封入効率(>85%)の維持を含む、特性の閾値を満たすかどうかに関して、試験された様々な組成物をスクリーニングした。
【0193】
凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤を、列挙した濃度を達成するために以下に特定される賦形剤を添加することによって濾過後の実施例1に従って調製された脂質ナノ粒子製剤の懸濁液をまず事前処理することによって調製した。-20℃で行われる一次乾燥を伴うゆっくりとした凍結勾配と、それに続く25℃での二次乾燥の凍結乾燥サイクルを適用した。0.25mgRNA/mLの脂質ナノ粒子濃度を有する懸濁液の2.0mLのアリコートを使用して、Millrock Revo Freeze Dryer(モデル番号RV85S4)で凍結乾燥サイクルを行った。凍結乾燥後、凍結乾燥した生成物を2.0mLの水中で再構成し、上述したように分析した。
【0194】
本開示の研究で調査された賦形剤が以下の表1に列挙されている。
【表2】
【0195】
上記賦形剤のうちの2つ、すなわち、ヒトアルブミン(HA)及びポリビニルアルコール1(PVA1)を、以下の表2に列挙されるパラメータ及び結果を用いた初期評価のために使用した。賦形剤がないまたはグリセロールを有する比較用製剤も研究した。
【表3】
【0196】
表2で分かるように、試験された凍結乾燥サイクル及び賦形剤は、適切な特性を有する脂質ナノ粒子製剤を生成しなかった。HAについては1.0%w/vの濃度及び0.05%w/vのPVA1が最も良好な結果を提供した。
【0197】
実施例3:脂質ナノ粒子濃度の効果の評価
凍結乾燥した生成物の質及び特性に対する脂質ナノ粒子濃度(懸濁液におけるRNAの濃度として測定される)、緩衝液濃度、塩濃度、抗凍結剤濃度及び凍結乾燥保護剤濃度(ポロキサマー)の効果を研究するために追加の実験を行った。
【0198】
そのパラメータを以下の表3に概説される9つの異なる凍結乾燥実験において研究した。凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤を、表3に列挙される賦形剤及び条件を含むように濾過後の実施例1に従って調製された約21ヌクレオチドのsiRNAを含む脂質ナノ粒子製剤の懸濁液をまず事前処理することによって調製した。事前処理後、事前処理された製剤を、実施例2に記載されているものと同様の条件下で凍結乾燥した。表3で列挙している実験1~9の各々は、0.25mg/mL、0.5mg/mL、1.0mg/mL、及び2.0mg/mLの脂質ナノ粒子濃度で行った。次いで得られた凍結乾燥した組成物を再構成し、それらの粒径、封入率、及びPDIについて特性評価した。
【表4】
【0199】
1mg脂質ナノ粒子/mLの研究の結果が
図1に示されている。粒径パラメータについては、A3、B2、C1/C3、及びD2が最小の粒径を示し、A3が全体で最も良好な粒径を示したことが分かる。封入率については、パラメータA3、B2、C1、及びD1が、それらのそれぞれの賦形群について最も良好な結果を示し、D1が全体で最も良好な封入率を示した。最後に、多分散性(PDI)については、パラメータA3、B2、C3、及びD1が、それらのそれぞれの賦形剤群について最も良好なPDIを示し、C3が全体で最も良好なPDIを示した。よって、これらの実験は、所与の賦形剤についてA3(15%のグリセロール)、B2(10mMの緩衝液)、C1(0mMの塩)、及びD1/D2(0%~0.1%のポロキサマー)を含む組成物が最も良好な結果を提供するであろうことを決定した。この同じ分析をまた、試験された脂質ナノ粒子の濃度について行い、各濃度について見出された最適な条件が表4に示されている。
【表5】
【0200】
条件1~4について0.1%及び0.2%のP188の濃度で凍結乾燥前対凍結乾燥後のポロキサマー(凍結乾燥保護剤)を添加する効果を決定するためにさらなる研究を行った。
図2Aは、凍結乾燥前実験についての結果を示しており、
図2Bは、凍結乾燥後実験についての結果を示している。(再構成の一部として)凍結乾燥後にポロキサマーを添加することは、封入率(チャートにおいて丸として示されている)を維持するのに最も良好であることが見出されたことが分かる。
【0201】
最後に、
図3は、異なる濃度の脂質ナノ粒子下で凍結乾燥後にポロキサマーで処理した脂質ナノ粒子製剤を特性評価するための結果を示している。約0.25mg/mLの濃度で、約85nmの粒径が観察されたのに対し、より高い濃度でより大きな粒径が観察されたことが分かる。封入率は、この図において棒曲線として示されており、製剤の各々について良好な封入を示している。
【0202】
実施例4:2つの追加のPVA賦形剤の評価
結果を実施例2及び3から得た後、凍結乾燥した生成物に対する他のPVA賦形剤の効果を比較するためにさらなる研究を行った。2つのPVA賦形剤は、上の表1に記載されるPVA2及びPVA3であった。実験の条件及び結果が以下の表5に提供される。これらの実験において、実施例2の凍結乾燥サイクルを、一次乾燥温度を-25℃に変化させたこと以外は繰り返した。
【表6】
【0203】
概して、製剤のいずれも、δ及び封入率の両方について許容可能な値を示さなかったが、群13及び15は、δについて優れた値を示した。異なる凍結乾燥サイクルでさらなる研究し、また、スクロースを添加する効果を評価することが決定された。
【0204】
実施例5:異なる凍結乾燥サイクルを使用したPVA賦形剤に関するさらなる研究
実施例4の実験を拡張して、凍結乾燥サイクルの効果及びさらにスクロースを添加する効果を研究した。この研究において、実施例2及び4の凍結乾燥サイクルを、バイアルに懸濁液を搭載し、かつ-48℃、-35℃の一次乾燥温度、10℃の二次乾燥工程で凍結するように変更し、凍結乾燥した懸濁液の体積を1.5mLに減少させた。
この研究の条件及び結果が以下の表6に提供される。
【表7】
【0205】
このさらなる研究において、より低い乾燥温度は、脂質ナノ粒子製剤においてより高い質をもたらし、これは1.0%HAを有する製剤(群4)と比較した際に最も容易に観察される。高スクロースは、粒径を改善するが、封入率を低下させることも分かる。
【0206】
実施例6:様々なPVA賦形剤の評価
異なるPVA賦形剤の効果を様々な濃度で比較するためにさらなる研究を設計及び実行した。この研究において使用されたPVA賦形剤は、PVA1、PVA2、PVA3、PVA4、PVA5、PVA6、及びPVA7であった。凍結乾燥実験の条件及び結果が以下の表7に提供される。実施例5の凍結乾燥サイクルをこの実験において使用した。
【表8】
【0207】
封入率及びPDIについての許容可能な値と組み合わせて最も低いδ値がPVA3製剤で観察された。群14の結果はまた、ヒトアルブミン(HA)と組み合わせたPVA3は、PVA3のみを使用した場合(群9~12)よりも良好な効果を有することを示唆している。
【0208】
実施例7:PVA賦形剤の評価の追加ラウンド
実施例6の知見を用いて、それらを他のPVA賦形剤、特に、PVA8、PVA9、及びPVA10と比較するためにさらなる研究を行った。脂質ナノ粒子製剤を先行実施例に記載されるように調製し、これらの実験において、-25℃の一次乾燥温度を適用したこと以外は実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。特定の条件及び結果が表8に示されている。
【表9-1】
【表9-2】
【0209】
結果は、PVA10が群48、49、及び51で優れた結果を示し、良好な封入及びデルタ値を示すことを示唆している。PVA3の群12~13及び16~19もまた、優れた値を示した。
【0210】
実施例8:PVA3及びPVA10の直接比較研究
実施例7の研究の知見をもとに、PVA3またはPVA10を使用した製剤を直接的に比較するためにさらなる実験を設計した。この実験において、脂質ナノ粒子製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。これらの実験についての条件及び結果が表9に提供される。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【0211】
これらの研究からのデルタ値は、いくつかの群について大きく、5未満のデルタ値を示した群は、低い封入効率を有していた。逆に、他の群は、90%を超える良好な封入効率値を示したが、より高いデルタ値を示した。PVA3及びPVA10は、試験された条件で同等であり、この実験からの最適な条件は、群33及び群63のものであるようである。
【0212】
実施例9:ソルビン酸カリウムを使用した研究
次に、PVAを含み得る凍結乾燥した脂質ナノ粒子に対するソルビン酸カリウム(KS)の効果を評価するために実験を設計した。脂質ナノ粒子製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。特定の条件及び結果が表10に示されている。
【表11】
【0213】
ヒトアルブミン及びPVAが組み合わされた群は、許容可能な結果を示さなかった。群12及び13は、良好なデルタ値及び良好な封入効率を示した。これらの群の条件をさらなる研究のために選択した。
【0214】
実施例10:ソルビン酸カリウム及び安息香酸ナトリウムに対するさらなる研究
この研究において、実施例9の実験の条件を、1.0mg/mLでのRNAの濃度についてさらに研究した。PVA11及びポリソルベート20(PS20)を含む研究も実施した。脂質ナノ粒子製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥を適用した。条件及び結果が以下の表11に提供される(備考:F/Tは、-70℃で凍結し、次いで解凍してから特性評価した凍結解凍製剤を示す)。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【0215】
結果は、実施例9(0.05%PVA+0.05M NaCl+0.1M KS)からの選択された製剤は、再現性があり、より高いRNA濃度であっても粒径保存(デルタ)、PDI、及び封入率に関して良好な結果を提供することを示している(群41、42、及び43を参照されたい)。いくつかの条件下で、安息香酸ナトリウム(NaB)もまた、良好な結果を示した(群44及び55)。ポリソルベート20はまた、凍結乾燥保護剤としてではないが、0.05%w/v(群36)であっても脂質粒子の全体性を維持する良好な抗凍結剤であることが示された。試験された他の塩及び賦形剤は、ソルビン酸カリウムと同等の有効性を示さなかった。
【0216】
実施例11:PVAを含まない製剤に関する研究
この実験では、PVAを使用することなく、代わりに疎水性塩をヒトアルブミンと組み合わせて使用して脂質ナノ粒子が凍結乾燥され得るかどうかを確認するために先行の知見を適用した。製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。特定の条件及び結果が以下の表12に提供される。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【0217】
結果は、PVAをヒトアルブミン(HA)と組み合わせた疎水性塩で置き換えると、適切な凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤を生成しないことを示している。
【0218】
実施例12:代替的賦形剤に関する研究
この研究は、ソルビン酸カリウムが他の賦形剤によって置き換えられ得るかどうかを試験するために設計された。研究はまた、これらの賦形剤が減少したRNAの濃度でどのように機能するかを評価し、0.25mgRNA/mLの濃度で実施した。試験された賦形剤は、イオジキサノール及びL-プロリン(Pro)を含んでいた。脂質ナノ粒子製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。凍結解凍製剤と比較した事前処理された懸濁液のための特定の条件及び対応する結果が表13に提供される。
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【0219】
この研究の結果は、賦形剤のRNAに対する同じ比が使用される限り、事前処理された製剤において使用される賦形剤の濃度を減少させ得ることを示している(群1~3を参照されたい)。安息香酸ナトリウム(NaB)は、0.25mgRNA/mLでソルビン酸カリウム(KS)と同じレベルで結果を示した。L-プロリンでの実験は、それがソルビン酸カリウムの有効な代替手段ではなかったことを示した。対照的に、イオジキサノールは、強力な凍結乾燥保護剤であることが示され、PVA及びプロリンを有していた製剤(群22~26)をさらに改善したが、PVAを含まない製剤(群47及び48)においても使用され得る。
【0220】
実施例12:再構成された製剤のin vivo試験
先行実施例の研究からの選択された製剤をin vivo有効性について試験した。ヒトEPOタンパク質(hEPO)をコードする0.25mg/mLのmRNAを含む脂質ナノ粒子、試料を成功裏にトランスフェクションし、in vivoでのmRNAの翻訳の効率を測定する能力についての一般的試験。製剤を3.0mLの最終体積を達成するように計算された量で実施例5の凍結乾燥サイクルを使用して凍結乾燥した。実験はまた、5%グリセロール中の対照凍結解凍製剤及び陰性PBS対照の測定を含んでいた。製剤の条件が表14に提供されており、これはまた、in vivo研究の前のこれらの製剤の特性評価を示している。
【表15】
【0221】
研究の結果が
図4に示されている。すべての再構成された製剤は、良好なhEPO発現を示し、組成物3及び4は、凍結解凍対照と近い発現を示した。
【0222】
実施例13:大きなmRNAを有する異なる製剤の試験
先行実施例において開発された凍結乾燥組成物を、mRNAが大きなサイズを有するmRNA脂質ナノ粒子製剤に適用され得るかどうかを確認するために試験した。2つのmRNAを試験し、mRNA1は、約1332ヌクレオチドのサイズを有し、mRNA2は、約4868ヌクレオチドのサイズを有していた。製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。凍結乾燥研究のための条件及び結果が表15に提供される。
【表16-1】
【表16-2】
【0223】
結果は、凍結乾燥製剤が、サイズが大きなmRNAコンストラクトについて機能することを示している。特に、群25、26、及び27の製剤は、再構成すると優れた結果を示した。
【0224】
実施例14:追加の製剤
この実験は、mRNA2を使用した凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤に対するP188及び他の組み合わせの効果を試験した。脂質ナノ粒子製剤を実施例1に記載されるように調製し、実施例5の凍結乾燥サイクルを適用した。製剤の特定の条件ならびに凍結乾燥後及び再構成された製剤についての結果が表16に提供される。
【表17】
【0225】
結果は、試験された群のすべてが99%を上回る封入効率を示したので、イオジキサノールを含むもの以外の製剤が使用され得ることを示している。また、群及び7は、イオジキサノールを使用した群17のものと近いδ値を示した。
【0226】
実施例15:自己複製RNAの凍結乾燥
自己複製RNA(別称レプリコンRNA)は、通常、平均的なmRNAよりも大きく、自己複製RNA脂質ナノ粒子製剤が効率よく凍結乾燥することができるかを判断するために試験を設計した。
【0227】
0.10~2.0mg/mLの範囲の自己複製RNA濃度を用いて、実施例1に記載されるように製剤を調製した。以下の凍結乾燥サイクルを使用した:
初期凍結(棚温度):-52℃、30分
追加の5分間凍結、真空設定点300mTorr
一次乾燥:
1.-48℃、30分維持、真空設定点50mTorr
2.15~60分間-40℃、真空設定点50mTorr
3.-40℃で維持、真空設定点50mTorr、4mTorrの圧力差に達するまで。(圧力差は、凍結乾燥チャンバーにおける相対湿度の変化を示す)。
5℃で二次乾燥、真空設定点100mTorr、1200分間。
【0228】
表17に示される以下の製剤条件の各々を試験した:
【表18】
【0229】
上記条件についての結果は、再構成した場合に適切なサイズ、多分散性、及びデルタ値を有する凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤を生成することが見出された。
【0230】
実施例15:自己複製RNA脂質ナノ粒子製剤の凍結乾燥
本実施例で実施されたプロセスは、周知のプロセス、例えば、米国特許出願第16/823,212号に記載されたものに従って製造された脂質ナノ粒子組成物を使用して実施され、この内容は、脂質ナノ粒子製造プロセスを教示する特定の目的のために参照により組み込まれる。脂質ナノ粒子組成物及び凍結乾燥した生成物が、いくつかの特性について特性評価された。これらの特性評価プロセスのための物質及び方法、ならびに凍結乾燥実験に使用された脂質ナノ粒子組成物を製造する一般的な方法が本実施例で提供される。
【0231】
脂質ナノ粒子製造
本実施例で使用される脂質ナノ粒子製剤は、エタノール中で脂質(イオン化可能なカチオン性脂質(ATX-126):ヘルパー脂質:コレステロール:PEG-脂質)をクエン酸緩衝液に溶解したRNAと混合することにより製造された。混合物質を、リン酸緩衝液で瞬時に希釈した。エタノールは、再生セルロース膜(100kDのMWCO)を使用したリン酸緩衝液に対する透析、または修飾ポリエーテルスルホン(mPES)中空糸膜(100kDのMWCO)を使用したタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により除去された。エタノールが、完全に除去されると、緩衝液を、10~300(例えば、40~60)mMのNaCl及び5~15%のスクロース、pH7.3を含有するHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)緩衝液と交換した。製剤を濃縮し、次に、PESフィルターを使用して0.2μmの濾過を行った。次に、製剤中のRNA濃度を、RiboGreen蛍光アッセイで測定し、10~100(例えば、40~60)mMのNaCl、グリセロールを含有する0~15%のスクロースを含有するHEPES緩衝液(pH7.2~8.5)で希釈することにより、濃度を所望の最終濃度に調整した。次に、さらなる研究にすぐに使用しない場合、最終製剤を0.2μmのフィルターで濾過し、ガラスバイアルに充填し、栓をし、蓋をし、-70±5℃に静置した。脂質ナノ粒子製剤を、pH及び浸透圧について特性評価した。脂質含有量及びRNA含有量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、mRNAの完全性を、フラグメントアナライザーで測定した。
【0232】
凍結乾燥プロセス
自己複製RNA(別称レプリコンRNA)は、通常、平均的なmRNAよりも大きく、自己複製RNA脂質ナノ粒子製剤が効率よく凍結乾燥することができるかを判断するために試験を設計した。凍結乾燥後の製剤を分析し且つこれを凍結乾燥前及び従来の凍結/解凍サイクル後の脂質ナノ粒子製剤と比較することにより、凍結乾燥脂質ナノ粒子製剤の品質をアッセイした(すなわち、約-70℃で凍結し、次に、室温で解凍させた)。
【0233】
脂質ナノ粒子製剤の分析は、粒径及び多分散性(PDI)及び封入効率(%Encap)の分析を含んでいた。凍結乾燥後の粒径を、凍結乾燥前の粒径と比較し、差異を、デルタ(δ)として報告することができる。最小限の粒径の増加(δ<10nm)、PDI(<0.2)の維持、及び高い封入効率(>85%)の維持を含む、特性の閾値を満たすかどうかに関して、試験された様々な組成物をスクリーニングした。
【0234】
長さが11,000ヌクレオチドを超える自己複製RNAを用いて、脂質ナノ粒子製剤を上述したように調製した。次に、得られた脂質ナノ粒子製剤を緩衝液交換で処理して、濃度0.05~2.0mg/mLの自己複製RNA、0.01~0.05Mのソルビン酸カリウム、0.01~0.10%w/vのポロキサマー188(Kolliphor(登録商標)、14~18%w/vのスクロース、25~75mMのNaCl、及び15~25mMのpH8.0トリス緩衝液を有する凍結乾燥前懸濁液で処理した。次に、2.0mLの懸濁液のアリコート及び以下の表18に提供される凍結乾燥サイクルを使用して、凍結乾燥前製剤を、Millrock Revo Freeze Dryer(モデル番号RV85S4)で凍結乾燥した。
【表19】
【0235】
上記の方法に従って調製された凍結乾燥粒子を2mLの水で再構成し、DLS及びRiboGreenを使用して特性評価した。以下の表19に提供される結果は、凍結乾燥した組成物が、再構成すると適切なサイズ、多分散性、及びデルタ値(約5.3nm)を有する凍結乾燥した脂質ナノ粒子製剤を生成することが見出されたことを示している。
【表20】
【0236】
さらなる考察
前述の説明が提供されることで、本明細書に記載する様々な構成を当業者が実施することが可能となる。対象技術が特に様々な図及び構成を参照して説明されているが、これらは、例示の目的のためのものにすぎず、対象技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0237】
主題技術を実装する他の多くの方法が存在し得る。本明細書に記載する様々な機能及び要素は、主題技術の範囲から逸脱することなく、これら示されるものとは異なって分けることができる。これらの構成に対する様々な変更は、当業者に速やかに明らかとなり、本明細書で定義する一般的な定義は、他の構成に適用可能である。したがって、主題技術の範囲を逸脱することなく、当業者によって、多くの変化及び変更を主題技術に加えることができる。
【0238】
開示されるプロセスにおける工程の特定の順序または序列は、例示的なアプローチの説明であることが理解される。設計の優先事項に基づいて、プロセスにおける工程の特定の順序または序列が再配列され得ることが理解される。工程の一部は、同時に実施され得る。添付の方法の請求項は、様々な工程の要素を見本の順序で提示し、提示された特定の順序または序列に限定されることを意味しない。
【0239】
本明細書で使用される場合、一続きの項目に先行する語句「のうちの少なくとも1つ」は、当該項目のいずれかに分離するための用語「及び」または「または」と共に、一覧を各要素(即ち、各項目)ではなく、一覧を全体として修飾する。語句「のうちの少なくとも1つ」は、列挙された各項目のうちの少なくとも1つの選択を必要としない。むしろ、この語句により、項目のいずれか1つのうちの少なくとも1つ、及び/または、項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/または、項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味が可能となる。例として、語句「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、または「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、またはCのみ;A、B、及びCの任意の組み合わせ;及び/または、A、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
【0240】
さらに、用語「を含む(include)」、「を有する」などが明細書または特許請求の範囲で使用される範囲で、このような用語は、用語「を含む(comprise)」が、特許請求の範囲の移行句で用いられる場合に解釈されるのと同様の様式で、包括的であることを意図する。
【0241】
1つ以上の態様では、用語「約」、「実質的に」、及び「およそ」は、それらの対応する用語についての工業的に許容される許容及び/または項目間の相対性、例えば、1パーセント未満~5パーセントを提供し得る。
【0242】
単数形での要素への言及は、特に明記されない限り、「1つ、そして唯一」を意味するものとは意図されず、「1つ以上」を意味するものと意図される。男性形(例えば、「彼の」)という代名詞は、女性形及び中性形の性別(例えば、「彼女の」、及び「その」)を含み、逆もまた同様である。用語「いくつかの」は、1つ以上を指す。下線を付した、及び/または、イタリック体表記の見出し及び副見出しは便宜のためだけに用いられており、主題技術を限定するものではなく、主題技術の記載の解釈と関連して参照されるものではない。既知の、または、当業者に今後知られることになる本開示を通して記載した様々な構成の要素の、あらゆる構造的及び機能的等価物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれており、主題技術により包含されることを意図する。さらに、本明細書で開示するものは、そのような開示が、上記記載にて明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公に示されることを意図するものではない。
【0243】
詳細の説明は多くの具体例を含有するものの、これらは、主題技術の範囲を限定するものとして解釈されてはならず、主題技術の異なる実施例及び態様を単に示すものとして解釈されなければならない。主題技術の範囲は、上で詳しく論じていない他の実施形態を含むことが理解されなければならない。本開示の範囲を逸脱することなく、様々な他の変更、変化、及び変動を、本明細書で開示する主題技術の方法及び装置の配置、操作、及び詳細においてなすことができる。別途表されない限り、単数形での要素への言及は、明示的に記述されない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することは意図されず、むしろ「1つ以上」を意味することを意味する。加えて、装置または方法は、本開示の範囲に包含されるために、本開示の異なる実施形態により解決可能な(または、実現可能な全ての利点を有する)全ての課題を解決する必要はない。本明細書において「することができる(can)」、及びその派生形は、断定的な可能性とは反対で、「場合により」、または「任意に」という意味で理解されなければならない。
【国際調査報告】