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特表2023-537621採血デバイスおよび関連するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】採血デバイスおよび関連するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20230828BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
A61B5/154
A61M39/10 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511546
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021045870
(87)【国際公開番号】W WO2022036173
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,785
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーピン マー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C066
【Fターム(参考)】
4C038TA01
4C038UA10
4C066JJ03
4C066JJ05
(57)【要約】
末梢静脈内カテーテルシステムにおける溶血を低減するための採血デバイスは、遠位端を含み得る。採血デバイスの遠位端は、遠位開口部を含み得る雄型ルアーアダプタを含み得る。採血デバイスは、雄型ルアーアダプタと流体連通するカニューレを含み得る。カニューレは、遠位端および鋭い近位先端を含み得る。採血デバイスは、雄型ルアーアダプタと鋭い近位先端との間に配置された細長いネックを含み得る。採血デバイスは、遠位開口部から鋭い近位先端を通って延びる流体経路を含み得る。流体経路の直径は一定であり得る。流体経路の全長はLで表され、流体経路の直径はDで表され、D4/Lは、所定の値以下であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶血のリスクを低減するための末梢静脈内カテーテルシステムであって、
末梢静脈内カテーテルと、
前記末梢静脈内カテーテルに結合された雌型ルアーアダプタと、
採血デバイスであって、
前記雌型ルアーアダプタに結合された雄型ルアーアダプタを含む遠位端であって、前記雄型ルアーアダプタが遠位開口部を備える遠位端と、
前記雄型ルアーアダプタと流体連通するカニューレであって、前記カニューレが遠位端および鋭い近位先端を備えるカニューレと、
前記雄型ルアーアダプタと前記鋭い近位先端との間に配置された細長いネックと、
前記遠位開口部から前記鋭い近位先端を通って延在する流体経路と、
を含む、採血デバイスと、
を備える、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記末梢静脈内カテーテルが22G~18Gであり、前記流体経路の全長が2インチである、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記末梢静脈内カテーテルが24Gであり、前記流体経路の全長が5.4インチである、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記流体経路の直径が一定であり、前記流体経路の直径が前記末梢静脈内カテーテルの最小内径よりも大きく、前記末梢静脈内カテーテルのゲージが24Gであり、前記流体経路の全長がLで表され、前記流体経路の直径がDで表され、D4/Lが5.8E-08立方インチ以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記流体経路の直径が一定であり、前記流体経路の直径が前記末梢静脈内カテーテルの最小内径よりも大きく、前記末梢静脈内カテーテルのゲージが22Gであり、前記流体経路の全長がLで表され、前記流体経路の直径がDで表され、D4/Lが1.6E-07立方インチ以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記流体経路の直径が一定であり、前記流体経路の直径が前記末梢静脈内カテーテルの最小内径よりも大きく、前記末梢静脈内カテーテルのゲージが20Gであり、前記流体経路の全長がLで表され、前記流体経路の直径がDで表され、D4/Lが3.1E-07立方インチ以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記流体経路の直径が一定であり、前記流体経路の直径が前記末梢静脈内カテーテルの最小内径よりも大きく、前記末梢静脈内カテーテルのゲージが18Gであり、前記流体経路の全長がLで表され、前記流体経路の直径がDで表され、D4/Lが5.8E-08立方インチ以下である、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記雄型ルアーアダプタは、カラーを含み、前記カラーの外径は、前記細長いネックの外径よりも大きい、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記採血デバイスは、採血チューブを受け入れるように構成されたホルダをさらに備え、前記ホルダは、円筒形の本体を備え、前記鋭い近位先端は、前記円筒形の本体の中心に配置される、請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記ホルダの外径が、前記細長いネックの外径よりも大きく、前記細長いネックが、前記ホルダと前記カラーとの間に配置される、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記カニューレの前記遠位端が、前記細長いネックの中に統合される、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記採血デバイスは、前記細長いネックの近位端に配置された別の雌型ルアーアダプタをさらに備え、前記ホルダの前記遠位端は、別の雄型ルアーアダプタを備え、前記別の雌型ルアーアダプタは、前記別の雄型ルアーアダプタに結合される、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
末梢静脈内カテーテルシステムにおける溶血のリスクを低減するための採血デバイスであって、
雄型ルアーアダプタを備える遠位端であって、前記雄型ルアーアダプタが遠位開口部を備える遠位端と、
前記雄型ルアーアダプタと流体連通するカニューレであって、前記カニューレが遠位端および鋭い近位先端を備えるカニューレと、
前記雄型ルアーアダプタと前記鋭い近位先端との間に配置された細長いネックと、
前記遠位開口部から前記鋭い近位先端を通って延在する流体経路であって、前記流体経路の直径が一定である流体経路と、
を備える、採血デバイス。
【請求項14】
前記流体経路の全長が、2インチから5.4インチの間にある、請求項13に記載の採血デバイス。
【請求項15】
前記流体経路の全長がLで表され、前記流体経路の直径がDで表され、D4/Lが所定の値以下である、請求項13に記載の採血デバイス。
【請求項16】
前記採血デバイスは、ゲージ固有であるか、またはカテーテルの特定のゲージと共に使用するように構成され、Dは、前記カテーテルの内径以上である、請求項15に記載の採血デバイス。
【請求項17】
前記採血デバイスは、採血チューブを受け入れるように構成されたホルダをさらに備え、前記ホルダは、円筒形の本体を備え、前記鋭い近位先端は、前記円筒形の本体の中心に配置される、請求項16に記載の採血デバイス。
【請求項18】
前記ホルダの外径が、前記細長いネックの外径よりも大きく、前記細長いネックが、前記ホルダと前記カラーとの間に配置される、請求項17に記載の採血デバイス。
【請求項19】
前記カニューレの前記遠位端が、前記細長いネックの中に統合される、請求項17に記載の採血デバイス。
【請求項20】
前記採血デバイスは、前記細長いネックの近位端に配置された別の雌型ルアーアダプタをさらに備え、前記ホルダの前記遠位端は、別の雄型ルアーアダプタを備え、前記別の雌型ルアーアダプタは、前記別の雄型ルアーアダプタに結合される、請求項13に記載の採血デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルシステムおよび採血デバイスに関する。
【0002】
本出願は、2020年8月14日に出願された「採血デバイスおよび関連システムおよび方法」と題された米国仮出願第63/065,785号の優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、患者の血管系に流体を注入するために一般的に使用される。例えば、カテーテルは、生理食塩水、種々の薬剤、または全非経口栄養を注入するために使用され得る。カテーテルはまた、患者から血液を引き出すために使用されてもよい。
【0004】
カテーテルは、オーバーザニードル末梢静脈内(「IV」)カテーテルを含み得る。この場合、カテーテルは、鋭い遠位先端を有する導入針の上に取り付けられ得る。カテーテルおよび導入針は、導入針の遠位先端が、カテーテルの遠位先端を越えて延伸し、針の斜角(bevel)を患者の皮膚から離れる方向に向くように組み立てられ得る。カテーテルと導入針は、通常、皮膚から浅い角度で患者の血管系に挿入される。
【0005】
血管内の導入針および/またはカテーテルの適切な配置を検証すべく、臨床医は、一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバー内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の配置が一度確認されると、臨床医は、針を取り外し、カテーテルを将来の採決や輸血のためにそのままにしておくことができる。
【0006】
患者からの採血または採血サンプルの採取のために、採血容器が使用され得る。採血容器は、注射器や一端にゴム栓を有する試験管を含み得る。また、採血容器は、採血容器内の圧力が周囲圧力よりも低いように、試験管内の空気の全部または一部を除去し得る。このような採血容器は、内部真空または真空チューブと呼ばれることが多い。一般的に使用される採血容器は、ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton Dickinson&Companyから入手可能なBD VACUTAINER(登録商標)チューブである。
【0007】
採血容器は、カテーテルに結合され得る。採血容器がカテーテルに結合されるとき、静脈内の圧力は、採血容器内の圧力よりも高く、採血容器内に血液を押し込むため、採血容器を血液で満たす。採血容器内の真空度は、採血容器内の圧力が静脈内の圧力と等しくなり、血液の流れが停止するまで、採血容器が満たされるにつれて減少する。
【0008】
残念ながら、血液が採血容器に引き込まれると、赤血球は高いせん断応力状態にあり、静脈と採血容器との間の高い初期圧力差により溶血しやすい。溶血は、血液サンプルの拒絶および廃棄をもたらし得る。高い初期圧力差はまた、カテーテル先端の崩壊、静脈の崩壊などの合併症が起こり、血液を採血容器の充填を防止または制限することがある。
【0009】
本明細書で請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施例を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、一般に、採血デバイスおよび関連するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステムは、患者の血管系からの採血中の機械的溶血のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステムは、末梢静脈内カテーテルと、末梢静脈内カテーテルに結合された雌型ルアーアダプタとを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステムは、遠位端を含み得る採血デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスの遠位端は、雄型ルアーアダプタに結合され得る雄型ルアーアダプタを含み得、この雄型ルアーアダプタは雌型ルアーアダプタに結合され得る。いくつかの実施形態では、雄型ルアーアダプタは、遠位開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、雄型ルアーアダプタと流体連通するカニューレを含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、遠位端および鋭い近位先端を含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、雄型ルアーアダプタと鋭い近位先端との間に配置された細長いネックを含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、遠位開口部から鋭い近位先端を通って延びる流体経路を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルは、22G~18G(含む)であり、流体経路の全長は、2インチである。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルは24Gであり、流体経路の全長は5.4インチである。いくつかの実施形態では、流体経路の全長は、2インチから5.4インチの間である。
【0013】
いくつかの実施形態では、流体経路の直径は一定であり、流体経路の全長はLで表され、流体経路の直径はDで表される。いくつかの実施形態では、流体経路の直径は、末梢静脈内カテーテルの最小内径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、D4/Lは、末梢静脈内カテーテルのゲージに基づき得る所定の値以下である。
【0014】
いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは24Gであり、D4/Lは5.8E-08立方インチ以下である。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは22Gであり、D4/Lは1.6E-07立方インチ以下である。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは20Gであり、D4/Lは3.1E-07立方インチ以下である。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは18Gであり、D4/Lは5.8E-08立方インチ以下である。
【0015】
いくつかの実施形態では、採血デバイスの雄型ルアーアダプタは、カラー(collar)を含み得る。いくつかの実施形態では、カラーの外径は、細長いネックの外径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、採血チューブを受け入れるように構成されたホルダを含み得る。いくつかの実施形態では、ホルダは、円筒形の本体を含み得る。いくつかの実施形態では、鋭い近位先端は、円筒形本体の中心に配置される。いくつかの実施形態では、ホルダの外径は、細長いネックの外径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、細長いネックは、ホルダとカラーとの間に配置され得る。いくつかの実施形態では、カニューレの遠位端は、細長いネックの中に統合され得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、カテーテルの特定のゲージと共に使用するために、ゲージ固有のもの、または構成されてもよい。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、カテーテルの単一のゲージと共に、またはカテーテルの複数のゲージと共に使用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、Dは、カテーテルの内径以上であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、採血デバイスは、細長いネックの近位端に配置された別の雌型ルアーアダプタを含み得る。いくつかの実施形態では、ホルダの遠位端は、別の雄型ルアーアダプタを含み得る。いくつかの実施形態では、他の雌型ルアーアダプタは、他の雄型ルアーアダプタに結合され得る。
【0017】
上述の概略の説明および以下の詳細な説明は、例示であり、および説明のためのものであり、本開示を限定するものではないことが理解されるべきである。様々な実施形態は、図面に示された構成(arrangements)および手段(instrumentality)に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、または、他の実施形態が用いられてよいこと、および、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
図1A図1Aは、先行技術の採血デバイスの上方斜視図である。
図1B図1Bは、先行技術の採血デバイスの断面図である。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、例示的な採血デバイスの上方斜視図である。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、血液採取デバイスの断面図である。
図2C図2Cは、いくつかの実施形態による、例示的な採血デバイスの部分の上方斜視図である。
図2D図2Dは、いくつかの実施形態による、採血デバイスの残りの部分に結合された部分の断面図である。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態による、例示的な末梢静脈内カテーテルシステムの上面斜視図である。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による、取り外された例示的な針アセンブリを示す、末梢静脈内カテーテルシステムの断面図である。
図4A図4Aは、いくつかの実施形態による、クラス最高の先行技術の採血デバイスと比較した例示的な採血デバイスの最大せん断比の平均および採血速度比率(rate ratio)の平均を示す棒グラフであり、採血デバイスの各々は、Lによって表される全長を有する流体経路を含む。
図4B図4Bは、いくつかの実施形態による、クラス最高の先行技術の採血デバイスと比較した例示的な採血デバイスの最大せん断比の合計および採血速度比率(rate ratio)の合計を示す棒グラフであり、採血デバイスの各々は、Lによって表される全長を有する流体経路を含む。
図4C図4Cは、いくつかの実施形態による、クラス最高の先行技術の採血デバイスと比較した例示的な採血デバイスの最大せん断比の平均および採血速度比率(rate ratio)の平均を示す棒グラフであり、採血デバイスの各々は、Lによって表される全長を有する流体経路を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで図1A~1Bを参照すると、先行技術の採血デバイス10が示されている。先行技術の採血デバイス10は、ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton Dickinson&Companyから入手可能なBD Vacutainer(登録商標) LUER-LOK(登録商標)アクセスデバイスに対応し得る。先行技術の採血デバイス10は、典型的には、患者の血管系に挿入されたカテーテルアセンブリの延長セットを介して採血中に使用される。先行技術の採血デバイス10は、BD Vacutainer(登録商標)チューブなどの採血容器を受容するように構成される。先行技術の採血デバイス10は、BD Vacutainer(登録商標)チューブが先行技術の採血デバイス10に挿入されることに応答して、BD Vacutainer(登録商標)チューブのゴムストッパーを点滅させるように構成されるカニューレ12を含む。
【0020】
ここで図2A~2Bを参照すると、いくつかの実施形態による、採血デバイス20が示されている。いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、遠位端22および近位端24を含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイス20の遠位端22は、遠位開口部28を含み得る雄型ルアーアダプタ26を含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、雄型ルアーアダプタ26と流体連通するカニューレ30を含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレ30は、遠位端32および鋭い近位先端34を含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレ30は、採血チューブなどの採血容器のシールを穿孔する(punctuate)ように構成された金属または別の適切な材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、エラストマーシース31、および採血デバイス20に挿入される採血容器の挿入に応答して、鋭い近位先端34は、採血容器によって遠位方向に圧縮され得るエラストマーシース31を穿刺し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、雄型ルアーアダプタ26と鋭い近位先端34との間に配置された細長いネック35を含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、遠位開口部28から鋭い近位先端34を通って延びる流体経路36を含み得る。いくつかの実施形態では、流体経路36の直径37は一定である。いくつかの実施形態では、流体経路36の全長38は、Lによって表され、流体経路36の直径37は、後でさらに詳細に言及されるように、Dによって表される。
【0022】
いくつかの実施形態では、採血デバイス20の雄型ルアーアダプタ26は、雄型ルアーアダプタ26の突起40の周りに延在し得るカラー39を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位開口部28は、突起40の最遠位部分内に配置され得る。いくつかの実施形態では、カラー39の内面は、対応する雌型ルアーアダプタとルアーロックフィットを形成するようにねじ込まれ得る。他の実施形態では、カラー39の内面は、対応する雌型ルアーアダプタとスリップフィットを形成するために滑らかであり得る。いくつかの実施形態では、流体経路36は、カラー39を通って延在し得、突起40および遠位開口部28を形成し得るカニューレ30によって完全に形成され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、カラー39の外径は、細長いネック35の外径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、採血チューブなどの採血容器を受け入れるように構成されたホルダ41を含み得る。いくつかの実施形態では、ホルダ41は、円筒形の本体42を含み得る。いくつかの実施形態では、鋭い近位先端34は、円筒形本体42の近位開口部44内の採血容器の挿入に応答して、採血容器のシールの穿刺を容易にするために、円筒形本体42の中心に配置され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、円筒形本体42の外径は、細長いネック35の外径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、細長いネック35は、ホルダ41とカラー39との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、カニューレ30の遠位端32は、細長いネック35の中に統合されて固定され得る。いくつかの実施形態では、エラストマーシース21は、ホルダ41の内面に結合され得る。
【0025】
ここで図2C~2Dを参照すると、いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、細長いネック35の近位端に配置された雌型ルアーアダプタ46を含み得る。いくつかの実施形態では、ホルダ41の遠位端は、別の雄型ルアーアダプタ48を含み得る。いくつかの実施形態では、雌型ルアーアダプタ46は、雄型ルアーアダプタ48に結合され得る。したがって、いくつかの実施形態では、採血デバイス20は、延長部50を含み得、これは、ユーザがホルダ41に結合して、細長いネック35および増加したLを提供し得、これは、溶血のリスクを減少させ得る。これらおよび他の実施形態では、Dは、カニューレ30の内径に対応し得る。いくつかの実施形態では、細長いネック35の内径は、細長いネック35の全部または一部に沿ってDと等しくてもよい。いくつかの実施形態では、雄型ルアーアダプタ48は、1つまたは複数の特徴および/または動作に関して、雄型ルアーアダプタ26と類似または同一であってもよい。
【0026】
ここで図3A~3Bを参照すると、いくつかの実施形態による、末梢静脈内カテーテルシステム52が示されている。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステム52は、末梢静脈内カテーテル54と、末梢静脈内カテーテル54に結合された雌型ルアーアダプタ56とを含み得る。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステム52は、溶血のリスクを低減し得る採血デバイス20を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、末梢静脈カテーテルシステム52は、カテーテルアダプタ58を含んでもよく、カテーテルアダプタは、遠位端60、近位端62、およびカテーテルアダプタ58の遠位端60およびカテーテルアダプタ58の近位端62を通って延びる内腔(lumen)64を含んでもよい。いくつかの実施形態において、末梢静脈内カテーテル54は、カテーテルアダプタ58の遠位端60から遠位に延びてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、採血デバイス20の雄型ルアーアダプタ26は、雌型ルアーアダプタ56に結合され得る。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステム52および/または雌型ルアーアダプタ56の位置は変化し得る。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステム52は、延長チューブ66を含み得、これは、カテーテルアダプタ58のサイドポート68と統合された遠位端と、雌型ルアーアダプタ56と統合された近位端とを含み得る。いくつかの実施形態では、サイドポート68は、カテーテルアダプタ58の遠位端60と近位端62との間に配置され、内腔64と流体連通してもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ58の近位端62は、雌型ルアーアダプタ56を含み得、採血デバイス20は、カテーテルアダプタ58の近位端62に結合され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、隔壁70は、カテーテルアダプタ58の内腔64内に配置され得る。いくつかの実施形態では、針アセンブリ74の導入針72は、末梢静脈内カテーテルシステム52が患者の血管系に挿入されるときに、隔壁(septum)70および末梢静脈内カテーテル54を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、針アセンブリ74は、末梢静脈内カテーテル54が血管系に挿入されることに応答して、末梢静脈内カテーテルシステム52から取り外され得る。いくつかの実施形態では、導入針72は、鋭い遠位先端76を含み得、針アセンブリ74の針ハブ78から延在し得、これは、カテーテルアダプタ58の近位端62に結合され得る。
【0030】
典型的には、末梢静脈内カテーテル54を介した採血中の最大せん断応力は、別のタイプのカテーテルを使用した採血中の最大せん断応力よりもはるかに高い。いくつかの実施形態では、流体経路36の全長は、2インチから5.4インチの間であり、これは、採血中の最大せん断応力を低減し得る。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテル54のゲージは、22Gと18Gとの間にあり、流体経路36の全長は、約2インチであり得る。いくつかの実施形態では、流体経路36の全長を1インチ(図1A~1Bの先行技術の採血デバイス10のように)から、22G~18G(を含む)である末梢静脈内カテーテル54の約2インチに増加させることにより、採血中の最大せん断応力が予想外の量に減少した。
【0031】
いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは24Gであり、流体経路36の全長は約5.4インチであり得る。いくつかの実施形態では、流体経路36の全長を1インチ(図1A~1Bの先行技術の採血デバイス10のように)から24Gである末梢静脈内カテーテル54の約5.4インチに増加させると、採血中の最大せん断応力が予想外の量に減少した。
【0032】
いくつかの実施形態では、流体経路36の直径は、末梢静脈内カテーテル54の最小内径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、D4/Lは、末梢静脈内カテーテル54のゲージに基づき得る所定の値以下である。いくつかの実施形態では、所定の値は、溶血のリスクが低いと判定される値に対応し得る。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは24Gであり、D4/Lは5.8E-08立方インチ以下である。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは22Gであり、D4/Lは1.6E-07立方インチ以下である。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは20Gであり、D4/Lは3.1E-07立方インチ以下である。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは18Gであり、D4/Lは5.8E-08立方インチ以下である。
【0033】
ここで図4Aを参照すると、棒グラフは、クラス最高の先行技術の採血デバイス、すなわち21G BD Vacutainer(登録商標) ULTRATOUCH(商標)プッシュボタン採血セット(「21G UT w BCセット」または「UT」と称される)と比較した、採血デバイス20の最大せん断比および採血速度比率(rate ratio)を示す。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルのゲージは24Gであり、流体経路36の全長は約5.4インチであり得る。いくつかの実施形態では、流体経路36の全長を1インチ(図1A~1Bの先行技術の採血デバイス10のように)から24Gである末梢静脈内カテーテル54のための約5.4インチに増加させると、採血中の最大せん断応力比が予想外の量に減少した。いくつかの実施形態では、18G~22Gの末梢静脈内カテーテル54(図3参照)で流体経路36(図2参照)の全長を1インチ(図1A~1Bの先行技術の採血デバイス10のように)から約2インチに増加させると、採血時のUTに対する最大せん断応力比が予想以上に減少した。
【0034】
いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテル54が18Gまたは20Gである場合、最大せん断応力が一致すると、採血率はUTと同じになる。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテル54が22Gである場合、採血速度はUTよりもわずかに遅くなることがあり、24Gである末梢静脈内カテーテル54では、最大せん断を一致させると、採血速度はUTよりも著しく低くなる。ここで図4Aを参照すると、棒グラフは、クラス最高の先行技術の採血デバイスの、すなわち21G BD Vacutainer(登録商標) ULTRATOUCH(商標)プッシュボタン採血セット(「21G UT w BCセット」または「UT」と称される)と比較した採血デバイス20の最大せん断比および採血速度比率(rate ratio)を示す。0.024インチおよび0.017インチに等しいDを有する採血デバイス20の結果を例示する。1インチ、1.6インチ、および1.44インチに等しいLを有する採血デバイス20の結果を例示する。
【0035】
いくつかの実施形態では、24Gである末梢静脈内カテーテル54を用いて、流体経路36のDが0.017インチに減少する場合、流体経路36のLを1.44インチに有意に減少させることができ、これは、末梢静脈内カテーテル54の先端の最小内径よりもちょうど大きい場合がある。いくつかの実施形態では、Dが先端の最小内径よりも大きく、かつD4/Lが5.8E-8立方インチに維持される限り、24Gである末梢静脈内カテーテル54による採血における最大せん断応力は、UTのものと一致する。同様に、いくつかの実施形態では、22G~18G(含む)である末梢静脈内カテーテル54を用いて、UTの最大せん断応力に一致するように、流体経路36のLを1.6インチに有意に低減することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、採血速度(draw rate)は、図4Bに示されるように、UTのわずか3分の1である。
【0036】
ここで図4Aを参照すると、棒グラフは、クラス最高の先行技術の採血デバイスの、すなわち21G BD Vacutainer(登録商標) ULTRATOUCH(商標)プッシュボタン採血セット(「21G UT w BCセット」または「UT」と称される)と比較した採血デバイス20の最大せん断比および採血速度比率(rate ratio)を示す。0.024インチ、0.017インチ、0.036インチ、0.029インチ、および0.023インチに等しいDを有する採血デバイス20の結果を例示する。1インチ、1.44インチ、2.92インチ、2.25インチ、および1.73インチに等しいLを有する採血デバイス20の結果を例示する。いくつかの実施形態では、血液収集デバイス20の異なるジオメトリは、異なるカテーテルゲージに使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、最大せん断応力をUTにマッチングするときの採血率の制限因子は、末梢静脈内カテーテルシステム内の最小内径であり、これは、末梢静脈内カテーテル54の先端の最小内径であり得る。20Gまたは18Gである末梢静脈内カテーテル54については、流体経路36のDを増加させることによって採血率を増加させることができる。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステムの最小内径よりも大きいDを増加させることによって採血率を増加させることができる。いくつかの実施形態では、D4/Lを所定の値または臨界値未満に維持しながら、Lを増加させることによって、最大せん断応力をUTと一致させるか、またはUT未満であるように低下させることができる。いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテル54が22Gである場合、Dを先端の最小内径よりもちょうど大きいように減少させることによって、UTの最大せん断に一致させるとき、Lを2インチから1.73インチに減少させることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、末梢静脈内カテーテルシステムを製造する方法は、UTのものなどの目標最大せん断応力を選択することを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、D4/Lを所定の値以下に維持しながら、Lを増加させることによって末梢静脈内カテーテルシステムの現在の最大せん断応力を低減することを含み得る。
【0039】
本明細書に記載されるすべての例および条件付き文言は、本技術を促進するために本発明者によって提供される本開示および概念を読み手が理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、およびそのような具体的に列挙されている例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、さまざまな変更、置換、および改変がなされ得ることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】