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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】動的デジタルPing強度
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20230828BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20230828BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20230828BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/90
H02J50/12
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511551
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021045814
(87)【国際公開番号】W WO2022040019
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/066,219
(32)【優先日】2020-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/400,063
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック,ハインデル
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503GB08
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。ワイヤレス充電装置において実行される1つの方法は、前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信するステップと、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルを有するpingを送信するまで、前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されているかどうかを判定するステップと、応答が受信されない場合に前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信するステップとを含む。この方法は、応答が受信された場合に、充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するステップを含み得る。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電装置において実行される方法であって、
前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信するステップと、
充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルを有するpingを送信するまで、
前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されているかどうかを判定するステップと、
応答が受信されない場合に前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信するステップと、
応答が受信された場合に前記充電式デバイスに電力伝送を行う充電設定を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記応答において提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記応答において提供される要求された充電電流を特定する情報から、充電設定を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電力伝送コイルで測定された電圧は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて変調される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定するステップと、
前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記第1のpingを送信するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記充電面上またはその近くの充電式デバイスの存在は、パッシブping手順を使用して判定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ワイヤレス充電装置であって、
前記ワイヤレス充電装置の充電面上に設けられた1以上の充電セルと、
コントローラであって、
前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信し、
充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのpingが送信されるまで、
前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されるかどうかを判定し、
応答が受信されない場合に、前記ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信し、
応答が受信された場合に前記充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するように構成されたコントローラとを具えることを特徴とする充電装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記応答で提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するように構成される、請求項7に記載の充電装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から、前記充電設定を決定するように構成される、請求項7に記載の充電装置。
【請求項10】
前記電力伝送コイルで測定された電圧は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて変調される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記コントローラは、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定し、
前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記第1のPingを送信するように構成される、請求項7に記載の充電装置。
【請求項12】
前記充電面上またはその近くの充電式デバイスの存在は、パッシブping手順を使用して判定される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
命令が記憶されたプロセッサ可読記憶媒体であって、前記命令は処理回路の少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記処理回路に、
ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信するステップと、
充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのpingが送信されるまで、
前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されるかを判定するステップと、
応答が受信されない場合に、前記ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信するステップと、
応答が受信された場合に前記充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するステップとを実行させることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップを実行させる、請求項13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から前記充電設定を決定するステップを実行させる、請求項13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記電力伝送コイルで測定された電圧は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて変調される、請求項13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記命令はさらに、前記処理回路に、
前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定するステップと、
前記充電面上またはその近くの充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記第1のpingを送信するステップとを実行させる、請求項13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記充電面上またはその近くの前記充電式デバイスの存在は、パッシブping手順を用いて判定される、請求項17に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2021年8月11日に米国特許庁に出願された非仮特許出願第17/400,063 号および2020年8月15日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/066,219号の優先権と利益を主張するものであり、この出願の内容全体は以下に完全に記載されているかのようにその全体およびすべての適用目的のために参照により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にモバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、充電されるデバイスを検出し通信する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、特定のタイプのデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするために開発されてきた。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル機器および/または通信機器などがある。ワイヤレスパワーコンソーシアムが定めるQi規格などの標準規格では、第1のサプライヤが製造した機器を、第2のサプライヤが製造した充電器でワイヤレス充電することが可能である。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
従来のワイヤレス充電システムは、ワイヤレス充電用ベースステーションの伝送コイル上またはその近くに受電デバイスが存在するかどうかを判断するために、典型的には「デジタルPing」を用いる。伝送コイルはインダクタンス(L)を有し、伝送コイルに結合して共振LC回路を得るための静電容量(C)を持つ共振コンデンサを有する。
【0005】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタを識別しサポートするために必要である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本明細書に開示される特定の態様に従って充電面を提供するために採用され得る充電セルの一例を示す図である。
図2図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セルの配列の一例を示す図である。
図3図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電面のセグメント内に複数の層が重ねられる場合の充電セルの配置の一例を示す図である。
図4図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面によって提供される電力伝達領域の配置を示す図である。
図5図5は、本明細書に開示される特定の態様による、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタを示す図である。
図6図6は、本明細書に開示される特定の態様に従ってASK復調をサポートするマイクロコントローラを示す図である。
図7図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って、電力レシーバと電力トランスミッタと間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキームの例を示す。
図8図8は、ワイヤレス充電装置の充電面の一例を示す図である。
図9図9は、本明細書に開示される特定の態様に従って多周波ASK変調をサポートするように構成され得るワイヤレス充電装置における通信インターフェースの一例を示す図である。
図10図10は、本書に開示された特定の態様によるデジタルPing手順の実施例を示す図である。
図11図11は、本開示の特定の態様に従って実行されるデジタルPing手順における動的電力管理方法の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用する装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0008】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0009】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離ワイヤレス通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0010】
概要
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。充電セルは1以上の誘導コイルを有して構成され、1以上のデバイスをワイヤレスで充電することができる充電面を提供し得る。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプのセンシングを使用して実装することができる。
【0011】
本開示の一態様では、装置は、バッテリ充電電源と、ワイヤレス充電装置の充電面に設けられた1つまたは複数の充電セルと、コントローラとを具える。コントローラは、ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信し、その後任意に、電力伝送コイルで測定された電圧が応答で変調されるかどうかを判定し、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのpingが送信されるまで応答が受信されない場合に、ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルの次のping送信を繰り返すように構成され得る。コントローラは、応答が受信されたときに、充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するように構成され得る。
【0012】
充電セル
本明細書に開示される特定の態様によれば、充電面に隣接配備された充電セルを用いて充電面が提供される。一例では、充電セルはハニカムパッケージ構成に従って配備される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用して実装することができる。本明細書において、充電セルとは、各コイルが充電セル内の他のコイルによって生成される場に対して加算的であって共通の軸に沿うか近接して配向される電磁場を生成するように構成された1以上のコイルを有する構成要素いう。いくつかの例では、充電セル内のコイルはプリント回路基板上のトレースを使用して形成される。いくつかの例では、充電セルのコイルは、ワイヤを螺旋状に巻いて、平面的なコイルまたは略円筒形の外形を持つコイルを得ることによって形成される。一例として、リッツワイヤを用いて平面状またはほぼ平坦な巻線を形成し、中央に電力伝送領域を持つコイルを提供することができる。
【0013】
いくつかの実装例では、充電セルは、共通の軸に沿って積層され、および/または、充電面に実質的に直交する誘導磁界に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの実施態様において、充電セルは、充電面の規定された部分内に配置され、充電セルに関連する充電面の実質的に直交する部分内の誘導磁界に寄与するコイルを含む。いくつかの実装では、充電セルは、動的に定義された充電セルに含まれるコイルにアクティブ化電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、充電装置は、充電面にわたって配備された複数のコイルのスタックを含むことができ、この充電装置は、充電対象デバイスの位置を検出し、充電対象デバイスに隣接する充電セルを提供するためにコイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択し得る。ある実施例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層コイルおよび/または複数の隣接するコイルもしくはコイルの積層を含むことができることを理解されたい。
【0014】
図1は、充電装置の充電面を提供するために配備され、および/または構成され得る充電セル100の一例を示す。本明細書で説明するように、充電面は、1以上の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むことができる。1以上の基板106上に、1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品からなる回路を設けることができる。この回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用するコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含み得る。この回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成され得る1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路として構成することができる。いくつかの実施例では、処理回路の一部または全部を充電装置の外部に設けてもよい。いくつかの実施例では、電源を充電装置に結合することができる。
【0015】
充電セル100は、充電装置の外表面領域の近くに設けることができ、その上に充電のために1つまたは複数のデバイスを配置することができる。充電装置は、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一例では、充電セル100は、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、配線または回路基板トレースを用いて構築することができる1以上のコイル102を囲む、実質的に六角形の形状を有している。様々な実施態様において、いくつかのコイル102は、図1に例示される六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有してもよい。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、少なくとも部分的に、製造技術の能力または制限によって、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するために決定することができる。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通軸108に中心を持つように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にわたることができる。
【0016】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電装置の充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セル202の配列200の一例を示す図である。充電セル202は、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。本実施例では、充電セル202は、重なり合うことなく端と端を合わせて配置されている。この配置は、スルーホールやワイヤ配線なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なり合う配置など、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルでなるワイヤをある程度インターリーブすることができる。
【0017】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電面のセグメント内に複数の層が重ねられる場合の、2つの視点300、310(例えば、上面図と側面図)からの充電セルの配置の一例を示す図である。充電セル302、304、306、308の層が、充電面の1セグメント内に設けられている。各層の充電セル302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。一実施例では、充電セル302、304、306、308の層は、4層以上のプリント回路基板上に形成され得る。充電セル100の配置は、図示されたセグメントに隣接する割り当てられた充電領域を完全にカバーするように選択することができる。充電セルは、図3に例示した302、304、306、308が、多角形の伝送コイルが提供する電力伝送領域に対応することができる。他の実装例では、充電コイルは、ワイヤから構成された螺旋状に巻かれた平面コイルを具え、それぞれが略円形の電力伝送領域を提供するように巻かれてもよい。後者の例では、複数の螺旋状に巻かれた平面コイルが、ワイヤレス充電装置の充電面の下に積層して配備され得る。
【0018】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面400に提供される電力伝送領域の配置を示す図である。図示された充電面は、4層の充電セル402、404、406、408から構成されており、これらは図3の充電セルの層302、304、306、308に対応しうるものである。図4において、第1層の充電セル402の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L1」と記され、第2層の充電セル404の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L2」と記され、第3層の充電セル406の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L3」と記され、第4層の充電セル408の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L4」と記されている。
【0019】
図5は、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタ500を示す図である。コントローラ502は、調整回路508でフィルタリングされるか、他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、コンデンサ512およびインダクタ514を含む共振回路506に交流を供給するドライバ回路504の動作を制御し得る。共振回路506のLCノード510で測定された電圧516である。共振回路506は、本明細書において、タンク回路、LCタンク回路、および/またはLCタンクとも呼ばれる。
【0020】
電力トランスミッタと電力レシーバをワイヤレスで相互接続するためのプロトコルとして、最も一般的に採用されているのがQiプロトコルである。Qiプロトコルにより、電力レシーバが電力トランスミッタをワイヤレスで制御することが可能になる。電力レシーバから電力トランスミッタへのメッセージ交換は、通常、振幅シフトキーイング(ASK)プロトコルによって行われる。誘導型電力伝送装置のタンク回路の電圧または電流からASK信号を復号するために、デジタル信号プロセッサ(DSP)が採用され得る。ASK信号のレベル変化間のタイミングを測定するために、割り込み(interrupts)を使用することができる。一例として、外部復調回路が、マイクロコントローラが提供するタイマと協働して、信号のエッジまたは遷移間の経過時間を算出するために使用される割り込みを生成することができる。ASK変調信号は、エッジまたは遷移間に測定される一連の時間間隔に基づいて復号化することができる。別の例では、DSPまたは別のタイプのプロセッサを使用して、デジタル信号処理方法を使用してASK変調された信号を復調することができる。これらの例や他の例では、比較的単純な復号化システムを得るために高価な資源が消費され得る。
【0021】
図6は、ASK変調信号を受信して復号するように構成され得る処理回路600の一例を示す図である。処理回路600は、ASK変調信号612を使用して送信されるメッセージおよび/または受信したASK変調信号612から復号されたメッセージを格納することができるメモリデバイス604および/またはレジスタに結合され得るプロセッサ602を含む。処理回路600は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの何らかの組合せを用いて実装され得るASKデコーダ606を含む。ASKデコーダ606は、クロック生成または回復回路から受信したクロック信号を使用して、送信ASK変調信号612のタイミングを制御し、受信ASK変調信号612のサンプリングおよび復号を制御することができる。
【0022】
図7は、電力レシーバと電力トランスミッタの間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキーム700、720の例を示す。第1の例では、差動バイフェーズ符号化スキーム700は、データ信号704の位相でバイナリビットを符号化する。図示の例では、データバイト706の各ビットは、エンコーダクロック信号702の対応するサイクル708で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル708中のデータ信号704に遷移710の有無を識別することによって検出可能な位相変化で符号化される。
【0023】
第2の例では、電源724は、電源信号振幅符号化スキーム720を用いて符号化される。図示の例では、データバイト726のバイナリビットは、電源724のレベルで符号化される。データバイト726の各ビットは、エンコーダクロック信号722の対応するサイクル728で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル708の間の電源724の公称100%電圧レベル730に対する電源724の電圧レベルで符号化される。
【0024】
パッシブPing
本明細書に開示された特定の態様に従って、物体または他の充電式デバイスの位置が、充電セル内のコイルを形成する導電体の何らかの特性の変化に基づいて検出され得る。導電体の特性の測定可能な差は、物体が1以上のコイルに近接して置かれたときの静電容量、抵抗、インダクタンスおよび/または温度の変化を含み得る。いくつかの例では、充電面へ物体を配置すると、配置点の近くに位置するコイルの測定可能な抵抗、静電容量、インダクタンスに影響を与え得る。いくつかの実装例では、配置点の近傍に位置する1以上のコイルの抵抗、静電容量、および/またはインダクタンスの変化を測定する回路が提供され得る。いくつかの実装例では、充電面におけるタッチ、圧力、荷重、および/またはひずみの変化を検出することによって、位置検出を可能にするセンサを提供することができる。現在のワイヤレス充電アプリケーションで使用されている機器検出のための従来の技術は、伝送コイルを駆動し、かなりの電力(例えば、100~200mW)を消費する「Ping」方式を採用する。伝送コイルで発生した電界が受電デバイスの検出に使用される。
【0025】
ワイヤレス充電装置は、本明細書に開示される特定の態様に従って、従来のPing送信に代替および/または補足することができる低電力発見技術をサポートするように適合され得る。従来のPingは、ベースステーションの伝送コイルを含む共振LC回路を駆動することで生成される。その後、ベースステーションは受電デバイスからのASK変調応答を待つ。低電力発見技術は、パッシブPingを用いて高速および/または低電力の発見を提供することができる。特定の態様によれば、パッシブPingは、共振LC回路を含むネットワークを少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成することができる。高速パルスは共振LC回路を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消滅するまで、その固有の共振周波数でネットワークを発振させる。一例では、高速パルスは、ネットワークおよび/または共振LC回路の共振周波数の半周期に相当する持続時間を有し得る。ベースステーションが周波数範囲100kHz~200kHzで電力をワイヤレス伝送するように構成されている場合、高速パルスの持続時間は2.5μs未満であり得る。
【0026】
パッシブPingは、共振LC回路を含むネットワークが鳴動する固有周波数、およびネットワーク内のエネルギーの減衰率に基づいて特徴付けおよび/または構成され得る。ネットワークおよび/または共振LC回路のリンギング周波数は、次のように定義することができる。
【0027】
減衰率は、以下に定義される発振器ネットワークの品質係数(Qファクタ)によって制御される。
【0028】
式1および式2は、共振周波数がLおよびCによって影響を受け、QファクタがL、CおよびRによって影響されることを示している。本明細書に開示される態様に従って提供されるベースステーションにおいて、ワイヤレスドライバは、共振コンデンサの選択によって定まるCの固定値を有する。LとRの値は、ワイヤレス伝送コイルと、このワイヤレス伝送コイルに隣接配置された物体やデバイスによって定まる。
【0029】
ワイヤレス伝送コイルは、伝送コイルに近接配置されたデバイスの受電コイルと磁気的に結合し、そのエネルギーの一部を近くの充電式デバイスにカップリングするように構成される。伝送回路のLとRの値は、充電式デバイスの特性や伝送コイルの近くにある他の物体の影響を受け得る。例えば、透磁率の高い鉄材を伝送コイルの近くに置くと、式1のように伝送コイルの総インダクタンス(L)が大きくなり、結果として共振周波数が低くなり得る。渦電流誘導による材料の加熱でエネルギーが失われることがあり、この損失は式2のようにRの値が増加し、それによってQファクタを下げるという特徴がある。
【0030】
伝送コイルの近くにワイヤレス受電デバイスを置いても、Qファクタや共振周波数に影響を与えることがある。レシーバは高いQファクタを有する同調LCネットワークを含み、それによって伝送コイルのQファクタが低くなり得る。伝送コイルの共振周波数は、レシーバに磁性体を追加することによって低下する場合があり、これが全体の磁気システムの一部となる。表1は、伝送コイルに近接する物体の種類による影響を示したもので、伝送コイルに近接する物体の種類によって、その効果が異なる。
【0031】
デジタルPingのための動的電力管理
共振LC回路に一定期間電力を供給することでデジタルPingが生成され、その間トランスミッタは受電デバイスからの応答を待つ。一例では、電力は、デジタルPingに際して公称90msの間適用される。応答は、ASK変調を用いて符号化された信号で提供され得る。一例では、典型的な送信ベースステーションは、毎秒80mJの電力レベルで毎秒12.5回(周期=1/80ms)の頻度でpingを行い、このようなデジタルping発見手順は1Wを消費する。本明細書に開示された特定の態様によれば、1つまたは複数の充電セルのコイルを選択的に励起して、異なる受信感度を有する充電式デバイスに対応する最適なデジタルPingを提供することができる。
【0032】
本開示の特定の態様は、異なるタイプの充電式デバイスの検出、充電設定の選択、および充電に関する。充電設定は、充電面上の充電ゾーン、充電セルのセット、または充電式デバイスに電力をワイヤレス伝送するために使用される1以上の伝送コイルを定義することができる。充電設定は、充電式デバイスを充電するために使用される1以上の伝送コイルに供給される電流の周波数、位相または振幅を定義することができる。
【0033】
図8は、3つの充電セル802、804、806が画定されたワイヤレス充電装置の充電面800を示す図である。図示の例では、充電セル802、804、806の各々を用い、独立して充電式デバイスに電力をワイヤレス伝送することができる。ワイヤレス充電装置のコントローラは、アクティブな各充電セル802、804、806の充電設定を定義することができる。図示の例では、アクティブな充電式デバイスの受電コイル808、810、812は、関連する充電セル802、804、806の中央付近に配置されている。動作時、受電コイル808、810、812は、充電面800の1以上の伝送コイル(LP-1~LP-18と表示)と電磁気的に結合させることができる。図示の例では、ワイヤレス充電装置は、充電セル内の伝送コイルに充電電流を供給するように構成可能な複数のドライバを含み得る。ワイヤレス充電装置は、さらに、受電コイル808、810、812を具える充電式デバイスを通じて、受電コイル808、810、812の同時デバイス発見および/または同時制御が可能であり得る。
【0034】
図9は、多周波ASK変調をサポートするワイヤレス充電装置における通信インターフェース900の一例を示す図である。特定のワイヤレス充電プロトコルは、電力伝送のために電力トランスミッタに供給する充電電流の公称周波数と電力レベルを定義する。動作周波数は、ASK変調のキャリア周波数としても機能する。ワイヤレス充電装置は、1つまたは複数の受電デバイス908、910、912から受信したASK変調信号924を復号することによって、能力および構成情報を特定することができる。ワイヤレス充電装置は、受信した能力および構成情報に基づいて、受電デバイス908、910、912の充電設定を定義することができる。受電デバイス908、910、912は、異なる電力要件を有してもよく、受電デバイス908、910、912のいくつかは、異なる感度を有するか、異なる最大および最小受信電力レベルに定格され得る受電回路を有し得る。
【0035】
図示された通信インターフェース900において、マルチデバイスワイヤレス充電器は、プロセッサ、シーケンサ、ステートマシンまたは他のコントローラ902によって制御される1つまたは複数のマルチコイル電力伝送回路906を具える。コントローラ902は、電力伝送回路906のアクティブな各充電コイルに充電電流を供給するために、ドライバのセット904を構成し得る。一例では、アクティブな各充電コイルは、異なる受電デバイス908、910、912に結合される。いくつかの実施例では、充電電流は、単一の受電デバイス内の1以上の受電コイルに電磁気的に結合された複数のコイルに供給され得る。コントローラ902は、異なる電力レベルで充電電流を提供するように、ドライバのセット904を構成することができる。
【0036】
電力伝送回路906から抽出されたASK変調信号926は、コントローラ902から供給されるバンドセレクト信号930によって構成されるバンドパスフィルタ914に供給され得る。バンドセレクト信号930は、ASK符号化に供されるチャネルに関連しない周波数成分をブロックするようにバンドパスフィルタ914を構成することができる。充電電流は、例えば、公称値ではない結合によって生じる共振の変化に対応するために、異なる周波数で提供されてもよい。いくつかの実装例では、バンドセレクト信号930は、バンドパスフィルタ914の中心周波数および帯域幅を定義する。ASK変調信号926のフィルタリングされたバージョンが、ピーク検出器916に提供され、これが検出器918に供給する。検出器918はまた、ASK変調信号926に搬送される情報928の復号化を可能にするために、搬送波信号922の表現が供給されるコヒーレント復調器920の出力も受信する。
【0037】
電力伝送回路906は、1以上のデジタルPingから特定される受信した能力および構成情報に基づいて、充電のための動作周波数および電力レベルを構成することができる。ワイヤレス充電器は、ワイヤレス充電器の表面に対する受電デバイス908、910、912の正確な位置または距離が分からず、通常はさらに、受電デバイス908、910、912における受電回路の能力および感度をさらに認識していない。したがって、ワイヤレス充電器は、公称電力レベルでデジタルPingを送信する。
【0038】
多くのアプリケーションでは、ワイヤレス充電器は、同じデジタルPingの振幅に対して非常に異なる応答を有し得る、大きな範囲のデバイスタイプおよびサイズに遭遇し得る。あるデバイスでは低いとされるPing振幅が、より高感度のデバイスの最大限界に近い場合がある。その結果、デジタルpingの送信電力は、充電装置の充電面に置かれ得る最も感度の高い充電式デバイスに対応するようにスケーリングされ得る。従来の多くのシステムでは、低感度デバイスを検出できないことと、高感度デバイスの回路を保護することの間でトレードオフが生じ得る。
【0039】
通信インターフェース900は、本開示の特定の態様に従って、増加する電力レベルで送信される動的デジタルPingを提供するように適合され得る。図10はデジタルPing手順1000の一例を示す図であり、ここでは充電装置の充電面上に置かれる可能性のあるすべてのタイプの充電式デバイスで安全に受信できる最低振幅デジタルPing1002から始まり、連続するデジタルPing1002、1004、1006が増加する電力レベルで送信される。後続のデジタルPing1004、1006は。応答が受信されるまで、またはデジタルPing1006が最大電力レベルで送信されるまで、振幅を増加させて送信される。
【0040】
図11は、本開示の特定の態様に従って実行されるデジタルPing手順における動的電力管理方法の一例を示すフローチャート1100である。この方法は、マルチデバイスワイヤレス充電器のコントローラによって実行することができる。ブロック1102において、コントローラは、デジタルPingが必要または要求されていることを判定することができる。一例として、コントローラは、設定された反復レートで、各伝送コイルを介してデジタルPing手順を実行することができる。別の例では、コントローラは、物体が充電器の表面に置かれたと判断し、物体のタイプ、特性、または充電能力を確認するためにデジタルPingが必要であると判断することができる。ブロック1102でデジタルPingが必要または要求されているとコントローラが判断した場合、コントローラは、デジタルPingの初期の安全な振幅を設定し、ブロック1104に進み、ここでコントローラはデジタルPingを送信することができる。ブロック1106において、コントローラは、デジタルPingに対する応答が受信されたか否かを判断することができる。デジタルPingに対する応答が受信された場合、コントローラは、ブロック1110でPing手順を終了し、応答で受信された情報に基づいて充電設定の定義に進むことができる。応答が受信されなかった場合、ブロック1108において、コントローラはデジタルPingのすべての振幅が試行されたかどうかを判定することができる。デジタルPingのすべての振幅が試行された場合、コントローラは、充電式デバイスが存在しないと判断し、手順を終了してブロック1102に戻ることができる。デジタルPingのすべての振幅が試行されていない場合、コントローラは、ブロック1112でデジタルPingの振幅を増大させ、ブロック1104で次のデジタルPingを送信して続行することができる。
【0041】
処理回路の例
図12は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にする充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1200のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1200が、本明細書に開示の1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1202を用いて実装することができる。処理回路1202は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1以上のプロセッサ1204を含むことができる。プロセッサ1204の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1以上のプロセッサ1204は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1216の1つによって構成、増強または制御され得る。1以上のプロセッサ1204は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1216の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1以上のソフトウェアモジュール1216をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0042】
図示の例では、処理回路1202が、概してバス1210で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1210は、処理回路1202の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1210は、1以上のプロセッサ1204およびストレージ1206を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1206は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1206は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0043】
バス1210は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1208は、バス1210と1以上のトランシーバ1212との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1200が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1212を設けることができる。また、装置1200の性質に応じて、ユーザインターフェース1218(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1210に直接またはバスインターフェース1208を介して通信可能に結合することができる。
【0044】
プロセッサ1204は、バス1210の管理と、ストレージ1206を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1204を含む処理回路1202は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1206は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1204によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0045】
処理回路1202の1以上のプロセッサ1204は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1206に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1206は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1206は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1206は、処理回路1202に存在していても、プロセッサ1204に存在していても、処理回路1202の外部にあっても、処理回路1202を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1206は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0046】
ストレージ1206は、本明細書でソフトウェアモジュール1216とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1216の各々は、処理回路1202にインストールまたはロードされて、1以上のプロセッサ1204によって実行されると、1以上のプロセッサ1204の動作を制御するランタイムイメージ1214に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1202に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0047】
ソフトウェアモジュール1216のいくつかは、処理回路1202の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1216は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1202を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1216は、プロセッサ1204の内部デバイスおよび/または論理回路1222を構成することができ、トランシーバ1212、バスインターフェース1208、ユーザインターフェース1218、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1216は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1202が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1212へのアクセス、ユーザインターフェース1218などを含むことができる。
【0048】
処理回路1202の1以上のプロセッサ1204は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1216のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1以上のプロセッサ1204は、例えばユーザインターフェース1218、トランシーバ1212およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ1204は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1以上のプロセッサ1204によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1204の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1220を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して、1以上のプロセッサ1204の制御をタイムシェアリングプログラム1220に戻す。タスクが1以上のプロセッサ1204の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1220は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ1204の制御を割り当てる機能、および/または、1以上のプロセッサ1204の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0049】
一例では、装置1200は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1以上のプロセッサ1204に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはそのように動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成され得る。少なくとも1つのコイルは、各充電セルの電荷伝送領域を通して電磁場を導くように構成され得る。
【0050】
コントローラは、ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して、第1の電力レベルで第1のpingを送信するように構成され得る。コントローラは、電力レベルを上げて追加のPingを送信することができる。最初のPingとそれ以降のPingはデジタルPingであり得る。例えば、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのPingを送信するまで、コントローラは、電力伝送コイルで測定された電圧が応答で変調されているかどうかを判断し、応答が受信されない場合にはワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルの次のPingを送信する。コントローラはさらに、応答が受信されたときに、充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するように構成され得る。
【0051】
命令はさらに、処理回路に、応答において提供される充電式デバイスの能力または構成を識別する情報に基づいて、充電設定を決定させることができる。命令はさらに、処理回路に、応答において提供される、要求された充電電流を識別する充電設定を決定させることができる。電力伝送コイルで測定された電圧は、ASKを用いて変調することができる。命令はさらに、処理回路に、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在するかを判定させ、充電面上またはその近くに充電式デバイスがあると判断された存在に基づいて、第1のPingを送信させることができる。充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するか否かは、パッシブPing手順で判定される。
【0052】
別の例では、ストレージ1206は命令および情報を保持し、命令は、1または複数のプロセッサ1204に、ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信させるように構成される。コントローラは、電力レベルを上げて追加のPingを送信することができる。最初のPingとそれ以降のPingはデジタルPingであり得る。例えば、命令は1以上のプロセッサ1204に、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのPingを送信するまで、電力伝送コイルで測定された電圧が応答で変調されているかどうかを判断させ、応答が受信されない場合にはワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルの次のPingを送信させる。命令はさらに、1以上のプロセッサ1204に、応答が受信されたときに、充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定させることができる。
【0053】
命令はさらに、1以上のプロセッサ1204に、応答において提供される充電式デバイスの能力または構成を識別する情報に基づいて、充電設定を決定させるように構成され得る。命令はさらに、1以上のプロセッサ1204に、応答で提供される要求された充電電流を識別する充電設定情報を決定させるように構成され得る。電力伝送コイルで測定された電圧はASK変調で変調される。命令はさらに、1以上のプロセッサ1204に、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在するかを判定させ、充電面上またはその近くに充電式デバイスがあると判断された存在に基づいて、第1のPingを送信させるように構成され得る。充電面上またはその近くに充電式デバイスが存在するか否かは、パッシブPing手順で判定される。
【0054】
いくつかの実施例を以下の番号の項目に記載する。
1. ワイヤレス充電装置において実行される方法であって、前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信するステップと、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルを有するpingを送信するまで、前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されているかどうかを判定するステップと、応答が受信されない場合に前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信するステップと、応答が受信された場合に前記充電式デバイスに電力伝送を行う充電設定を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【0055】
2. 前記応答において提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
【0056】
3. 前記応答において提供される要求された充電電流を特定する情報から、充電設定を決定するステップをさらに含む、項目1または項目2に記載の方法。
【0057】
4. 前記電力伝送コイルで測定された電圧は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて変調される、項目1乃至3のいずれかに記載の方法。
【0058】
5. さらに、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定するステップと、前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記第1のpingを送信するステップとをさらに含む、項目1乃至4のいずれかに記載の方法。
【0059】
6. 前記充電面上またはその近くの充電式デバイスの存在は、パッシブping手順を使用して判定される、項目5に記載の方法。
【0060】
7. ワイヤレス充電装置であって、前記ワイヤレス充電装置の充電面上に設けられた1以上の充電セルと、コントローラであって、前記ワイヤレス充電装置内の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信し、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのpingが送信されるまで、前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されるかどうかを判定し、応答が受信されない場合に、前記ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信し、応答が受信された場合に前記充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するように構成されたコントローラとを具えることを特徴とする充電装置。
【0061】
8. 前記コントローラは、前記応答で提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するように構成される、項目7に記載の充電装置。
【0062】
9. 前記コントローラは、前記応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から、前記充電設定を決定するように構成される、項目7または項目8に記載の充電装置。
【0063】
10. 前記電力伝送コイルで測定される電圧は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて変調される、項目7乃至9のいずれかに記載の充電装置。
【0064】
11. 前記コントローラは、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定し、前記充電面上またはその近くに前記充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記第1のPingを送信するように構成される、項目7乃至10のいずれかに記載の充電装置。
【0065】
12. 前記充電面上またはその近くの充電式デバイスの存在は、パッシブPing手順を用いて判定される、項目7乃至11のいずれかに記載の充電装置。
【0066】
13. 命令が記憶されたプロセッサ可読記憶媒体であって、前記命令は処理回路の少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記処理回路に、ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して第1の電力レベルで第1のpingを送信するステップと、充電式デバイスから応答を受信するまで、または最大電力レベルのpingが送信されるまで、前記電力伝送コイルで測定される電圧が応答で変調されるかを判定するステップと、応答が受信されない場合に、前記ワイヤレス充電装置の電力伝送コイルを介して増加した電力レベルで次のpingを送信するステップと、応答が受信された場合に前記充電式デバイスに電力を伝送するための充電設定を決定するステップとを実行させることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【0067】
14. 前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される前記充電式デバイスの能力または構成を特定する情報に基づいて、前記充電設定を決定するステップを実行させる、項目13に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【0068】
15. 前記命令はさらに、前記処理回路に、前記応答で提供される要求された充電電流を特定する情報から前記充電設定を決定するステップを実行させる、項目13または14に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【0069】
16. 前記電力伝送コイルで測定された電圧は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて変調される、項目13乃至15のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【0070】
17. 前記命令はさらに、前記処理回路に、前記充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の充電面上またはその近くに存在することを判定するステップと、前記充電面上またはその近くの充電式デバイスが存在するとの判定に基づいて前記第1のpingを送信するステップとを実行させる、項目13乃至16のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【0071】
18. 前記充電面上またはその近くの前記充電式デバイスの存在は、パッシブping手順を用いて判定される、項目13乃至17のいずれかに記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【0072】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1以上」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1以上を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレームの要素は、その要素が「means for」という語句で明示的に記載されているか、方法クレームの場合には「step for」という語句で記載されていなければ、35U.S.C.§112、第6章の規定に基づいて解釈されるべきではない。
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【国際調査報告】