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特表2023-537657レーザパルス整形装置及び方法、パルス整形器、光学システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】レーザパルス整形装置及び方法、パルス整形器、光学システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20230829BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230829BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G02F1/01 D
G02F1/13 505
G02F1/1335
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574291
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2021117245
(87)【国際公開番号】W WO2022057710
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202010977383.3
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520097319
【氏名又は名称】フェムトセカンド リサーチ センター カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FEMTOSECOND RESEARCH CENTER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】XU, Bingwei Unit 616-618, Zone A, Guangzhou High-TechInnovation Center, No. 80 Lanyue Road, Huangpu District Guangzhou, Guangdong 510000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 炳蔚
(72)【発明者】
【氏名】朱 欣
【テーマコード(参考)】
2H088
2H291
2K102
【Fターム(参考)】
2H088EA37
2H088EA45
2H088EA47
2H088HA10
2H088HA24
2H088HA28
2H088MA20
2H291FA48X
2H291FA48Z
2H291FA56X
2H291FA56Z
2H291FA86X
2H291FA86Z
2H291MA20
2K102AA21
2K102BA05
2K102BA08
2K102BA21
2K102BB03
2K102BB04
2K102BC04
2K102DC09
2K102DD02
2K102EA25
2K102EB02
2K102EB08
2K102EB10
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
本願はレーザパルス整形装置及びその方法、パルス整形器、光学システムに関する。光パルス整形装置は、レーザ光源に接続された装置光路に設けられるパルス整形器と、レーザパルス作用対象の実際の位置に設けられるレーザ検出装置と、光学パラメータに基づいて、位相補償パラメータを算出し、位相補償パラメータに基づいてパルス整形器が装置光路を通過したレーザパルスの位相を補償するように制御し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする制御装置と、を含み、レーザ光源は、レーザパルスを発生させ、前記装置光路を介して伝送した後に前記作用対象に放射するために用いられ、前記レーザ検出装置は、作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータを測定して前記制御装置に送信するために用いられる。該解決手段により、測定の複雑度を低下させ、閉ループテストを実現することができ、パルス整形器によってパルス圧縮補償の精度を向上させ、レーザパルスの使用効果を向上させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザパルス整形装置であって、
順次接続されたパルス整形器、制御装置及びレーザ検出装置を含み、
前記パルス整形器はレーザ光源に接続された装置光路に設けられ、前記レーザ検出装置はレーザパルス作用対象の実際の位置に設けられ、
前記レーザ光源は、レーザパルスを発生させ、前記装置光路を介して伝送した後に前記作用対象に放射するために用いられ、
前記レーザ検出装置は、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定して前記制御装置に送信するために用いられ、
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記パルス整形器が装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償するように制御し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする、レーザパルス整形装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、装置光路全体に蓄積された前記レーザパルスのスペクトル位相分散の位相関数及びそれに対応する負関数を計算し、前記負関数を前記パルス整形器に送信するために用いられ、
前記パルス整形器は、前記負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺するために用いられる、請求項1に記載のレーザパルス整形装置。
【請求項3】
パルス整形器であって、
格子、シリンドリカルレンズ、二次元液晶空間光変調器を含み、
前記格子は入射されたレーザパルスを空間に散乱し、前記レーザパルスは前記シリンドリカルレンズを通過した後に均一に分布している異なる波長に対応する複数本の線状光となり、
前記線状光は前記二次元液晶空間光変調器を介して位相変調及びスペクトル強度制御を行い、
位相変調及びスペクトル強度制御を行った前記線状光は、前記シリンドリカルレンズ及び格子を介してレーザパルスに回復されて出力される、パルス整形器。
【請求項4】
前記二次元液晶空間光変調器は複数の液晶で構成される画素アレイを含み、
前記線状光はX軸方向に集束し、Y軸方向に変化せず、各波長に対応する線状光はX軸方向に沿って均一に分布しており、
前記画素アレイのY軸方向の画素は同一の波長を変調する線状光に対応し、前記画素アレイのX軸方向の画素はそれぞれ、異なる波長の線状光に対応する、請求項3に記載のパルス整形器。
【請求項5】
前記二次元液晶空間光変調器の画素アレイは、異なる線状光の波長のY軸方向における全列画素毎に、角度、強度及び周波数が波長に伴って変化する1つのほぼ格子状の鋸歯面を対応して形成し、
前記鋸歯面の周波数と強度を制御することにより、線状光中の所定割合の光線を有効伝送方向に屈折させることにより、前記線状光のスペクトル強度を制御するとともに、この全列画素の屈折率を制御することにより、対応する波長の線状光のスペクトル位相を制御する、請求項4に記載のパルス整形器。
【請求項6】
レーザパルス整形方法であって、
レーザ光源によって発生させたレーザパルスを受信し、レーザ光源に接続された装置光路を介して伝送した後にレーザパルス作用対象に放射するステップと、
レーザパルス作用対象の実際の位置において、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定するステップと、
前記光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにするステップと、を含むレーザパルス整形方法。
【請求項7】
前記光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出する前記ステップは、
非線形光学信号強度である前記光学パラメータに基づいて、前記レーザパルスが作用対象に到達するまでに装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散の位相関数を計算し、前記位相関数の負関数を取得するステップを含む請求項6に記載のレーザパルス整形方法。
【請求項8】
前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償する前記ステップは、
前記負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺するステップを含む請求項7に記載のレーザパルス整形方法。
【請求項9】
前記目標値は、作用対象におけるレーザパルスがフーリエ変換限界に達するパルス幅である、請求項6に記載のレーザパルス整形方法。
【請求項10】
光学システムであって、
レーザ光源、装置光路、及びレーザパルス整形装置を含み、
前記レーザパルス整形装置は、順次接続されたパルス整形器、制御装置、及びレーザ検出装置を含み、
前記パルス整形器はレーザ光源に接続された装置光路に設けられ、前記レーザ検出装置はレーザパルス作用対象の実際の位置に設けられ、
前記レーザ光源は、レーザパルスを発生させ、前記装置光路を介して伝送した後に前記作用対象に放射するために用いられ、
前記レーザ検出装置は、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定して前記制御装置に送信するために用いられ、
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記パルス整形器が装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償するように制御し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする、光学システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、装置光路全体に蓄積された前記レーザパルスのスペクトル位相分散の位相関数及びそれに対応する負関数を計算し、前記負関数を前記パルス整形器に送信するために用いられ、
前記パルス整形器は、前記負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺するために用いられる、請求項10に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、レーザの技術分野に関し、特にレーザパルス整形装置及び方法、パルス整形器、光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らは、光学システムのレーザパルスの伝送では、光路における分散、特に二次以上の高次分散の存在により、レーザパルスが装置光路を通過する時に「時間領域拡張」効果が生じ、レーザパルス特にフェムト秒レーザパルスの時間軸における幅が、光路内の伝播に伴って増大し、フェムト秒レーザパルスが光路を通過した後、時間軸における幅はフェムト秒レベルからピコ秒レベルに変化し、その結果、フェムト秒レーザパルスのピーク電力が大幅に低下し、フェムト秒レーザパルスの特性が失われてしまう。
【0003】
現在、フェムト秒レーザパルス(特に100フェムト秒未満のレーザパルス)を用いた光学システムでは、レーザパルスの状態を最適化するために、装置光路においてレーザパルスを位相補償することが一般的である。そのアーキテクチャは一般的に図1に示す通りであり、図1は従来のレーザ位相補償装置の構造概略図である。レーザ光源はレーザパルスを発生させ、レーザパルスは1区間の光路装置によって伝送された後に作用対象に照射され、レーザ光源よりも後の装置光路に受動位相補償装置を設けることにより、装置光路のある箇所からレーザが導出され、外付けのパルス測定装置に入り、パルス測定装置はレーザパルス形状又は位相を検査し、パルス測定装置の測定結果に基づいて受動位相補償装置の最適化パルスを調整し、その後、再び測定し、測定装置によって測定されたパルスが最短に達するまでこのように繰り返す。その後、パルス測定装置を撤去し、受動位相補償装置の状態を保持/保存し、光学システムのレーザパルスが比較的最適化状態に達するようにする。
【0004】
上記技術的解決手段では、レーザパルスを測定した後、受動位相補償装置は特定の状態で固定され、装置光路又はレーザが変化すると、レーザパルスが変化して、元の受動補償設定がレーザパルスの時間領域における広がりを完全に補償することができず、このとき、テストや調整を再び行うしかないため、操作が複雑で、正確性が悪い。また、パルス測定装置によって測定されるレーザパルスは、通常、レーザパルス作用対象の実際の位置ではなく測定点のパルス状態であるため、テストや位相補償調整を行っても、レーザパルス作用対象の実際の位置において最適な状態が得られず、レーザパルスの使用効果に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、上記技術的欠陥の1つを解決し、特に装置光路が変化する場合にテストや調整を再び行うしかないため、操作が複雑で、正確性が悪いという欠陥を解決し、レーザパルス整形装置及び方法、パルス整形器、光学システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
レーザパルス整形装置であって、
順次接続されたパルス整形器、制御装置及びレーザ検出装置を含み、
前記パルス整形器はレーザ光源に接続された装置光路に設けられ、前記レーザ検出装置はレーザパルス作用対象の実際の位置に設けられ、
前記レーザ光源は、レーザパルスを発生させ、前記装置光路を介して伝送した後に前記作用対象に放射するために用いられ、
前記レーザ検出装置は作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定して前記制御装置に送信するために用いられ、
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記パルス整形器が装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償するように制御し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする。
【0007】
パルス整形器であって、
格子、シリンドリカルレンズ、二次元液晶空間光変調器を含み、
前記格子は入射されたレーザパルスを空間に散乱し、前記レーザパルスは前記シリンドリカルレンズを通過した後に均一に分布している異なる波長に対応する複数本の線状光となり、
前記線状光は前記二次元液晶空間光変調器を介して位相変調及びスペクトル強度制御を行い、
位相変調及びスペクトル強度制御を行った前記線状光は、前記シリンドリカルレンズ及び格子を介してレーザパルスに回復されて出力される。
【0008】
レーザパルス整形方法であって、
レーザ光源によって発生させたレーザパルスを受信し、レーザ光源に接続された装置光路を介して伝送した後にレーザパルス作用対象に放射するステップと、
レーザパルス作用対象の実際の位置において、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定するステップと、
前記光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにするステップと、を含む。
【0009】
光学システムであって、
レーザ光源、装置光路、及びレーザパルス整形装置を含み、
前記レーザパルス整形装置は、順次接続されたパルス整形器、制御装置、及びレーザ検出装置を含み、
前記パルス整形器はレーザ光源に接続された装置光路に設けられ、前記レーザ検出装置はレーザパルス作用対象の実際の位置に設けられ、
前記レーザ光源は、レーザパルスを発生させ、前記装置光路を介して伝送した後に前記作用対象に放射するために用いられ、
前記レーザ検出装置は、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定して前記制御装置に送信するために用いられ、
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記パルス整形器が装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償するように制御し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする。
【0010】
上記レーザパルス整形装置、方法、及び光学システムでは、レーザパルスの放射口の後にある、レーザパルスと作用対象とが相互作用する実際の位置において、レーザパルスによる非線形光学現象の強度又はスペクトルの変化を測定することにより、レーザパルスが作用対象に到達するまでに装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散を取得し、位相補償パラメータを算出し、続いて制御装置によってパルス整形器が位相補償パラメータに基づいて装置光路のレーザパルスの位相を補償するよう制御し、作用対象に放射されたレーザパルスのスペクトル位相が目標値に達するようにする。該解決手段により、測定の複雑度を低下させ、閉ループテストを実現することができ、パルス整形器によってパルス圧縮補償の精度を向上させ、レーザパルスの使用効果を向上させることができる。
【0011】
また、装置光路全体に蓄積されたレーザパルスのスペクトル位相分散の位相関数を計算し、位相関数の負関数を取得して装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺することにより、レーザパルスがフーリエ変換限界のパルス幅、すなわち最短パルス幅の値に達し、レーザパルスのピーク電力を効果的に保証し、レーザパルスのフェムト秒パルスの特性を維持することができる。
【0012】
パルス整形器であって、
格子、シリンドリカルレンズ、二次元液晶空間光変調器を含み、
前記格子は入射されたレーザパルスを空間に散乱し、前記レーザパルスは前記シリンドリカルレンズを通過した後に均一に分布している異なる波長に対応する複数本の線状光となり、
前記線状光は前記二次元液晶空間光変調器を介して位相変調及びスペクトル強度制御を行い、
位相変調及びスペクトル強度制御を行った前記線状光は、前記シリンドリカルレンズ及び格子を介してレーザパルスに回復されて出力される。
【0013】
一実施例では、前記二次元液晶空間光変調器は複数の液晶で構成される画素アレイを含み、
前記線状光はX軸方向に集束し、Y軸方向に変化せず、各波長に対応する線状光はX軸方向に沿って均一に分布しており、
前記画素アレイのY軸方向の画素は変調する同一の波長の線状光に対応し、前記画素アレイのX軸方向の画素はそれぞれ、異なる波長の線状光に対応する。
【0014】
一実施例では、前記二次元液晶空間光変調器の画素アレイは異なる線状光のそれぞれの波長のY軸方向における全列画素毎に、角度、強度及び周波数が波長に伴って変化する1つの略格子の鋸歯面を対応して形成し、
前記鋸歯面の周波数と強度を制御することにより、線状光中の所定割合の光線を有効伝送方向に屈折させ、前記線状光のスペクトル強度を制御するとともに、この全列画素の屈折率を制御することにより、対応する波長の線状光のスペクトル位相を制御する。
【0015】
上記パルス整形器は、格子によって空間に散乱された光線をシリンドリカルレンズで集束し、連続的に分布している異なる波長を含む線状光にし、続いて二次元液晶空間光変調器を利用して、各波長に対応する線状光のそれぞれの電力制御と位相調整を同時に行い、これにより、フーリエ平面において1つの位相調整用の液晶空間光変調器によってレーザパルスのスペクトル強度制御及び位相調整の機能を同時に実現し、これにより、装置コストを低減させ、スペクトル強度制御の精度を向上させる。
【0016】
また、二次元液晶空間光変調器の同一列の液晶画素により同一の波長の線状光を制御し、該列の画素における画素ユニットの制御パラメータを調整することにより、光線を制御して有効な1次方向又は元の経路に反射される0次方向に屈折させ、これにより、該波長の光線のスペクトル強度制御を実現し、また、同一列の画素に対して同じ屈折率パラメータを導入することで、該波長の光線に対する位相調整の機能を実現し、該パルス整形器は装置光路を介して伝送されたいずれのレーザパルスを整形することもでき、能動的なパルス整形によって装置光路による任意の分散を補償し、しかも、液晶画素を利用してほぼ格子状を構成して光線電力の強度を制御するため、光線電力強度制御の誤差精度を大幅に向上させることができる。
【0017】
さらに、装置光路に蓄積されたパルスのスペクトル位相分散を計算し、制御装置によってパルス整形器が計算された位相関数の負関数を光路に導入するように制御することにより、分散を相殺し、理論的には、サンプル/レーザ作用対象位置でのレーザパルスのパルス幅を最短にすることができる。
【0018】
本願の付加的な態様及び利点は以下の説明において部分的に与えられ、これらは以下の説明から明らかになり、又は本願の実践によって了解される。
【0019】
本願の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例に対する説明から明らかになり、理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来のレーザ位相補償装置の構造概略図である。
図2】本願の一実施例に係るレーザパルス整形装置の構造概略図である。
図3】本願の一実施例に係るレーザパルス整形方法のフローチャートである。
図4】従来のパルス整形器の構造概略図である。
図5】本願の一実施例に係るパルス整形器の構造概略図である。
図6】本願の一実施例に係るレーザパルスの散乱の概略図である。
図7】本願の一実施例に係る二次元液晶空間光変調器の画素アレイの概略図である。
図8】本願の一実施例に係るパルス整形器によるスペクトル強度制御の概略図である。
図9】本願の一実施例に係る各列の画素のほぼ格子状の鋸歯面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、記載する実施例を図面に例示し、図面において、同一又は類似の符号は同一又は類似の素子又は同一又は類似の機能を有する素子を示す。以下で図面を参照して説明される実施例は例示的なものであり、本願を説明するためのものにすぎず、本願を限定するものと解釈すべきではない。
【0022】
当業者であれば理解されるように、特に断らない限り、ここで使用される単数形「一」、「1つ」、「前記」及び「該」は複数形を含むこともできる。さらに、理解されるように、本願の明細書で使用される用語「含む」は、前記特徴、整数、ステップ、操作が存在することを意味するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作が存在することを排除するものではない。
【0023】
図2は本願のレーザパルス整形装置の構造概略図である。図2に示すように、該整形装置は、レーザパルスを整形するために、レーザパルスを用いた様々な光学システムに用いられてもよく、該装置は主に、順次接続されたパルス整形器、制御装置及びレーザ検出装置を含む。パルス整形器はレーザ光源に接続された装置光路に設けられ、実際の応用では、パルス整形器の位置は必要に応じて設定されてもよく、パルス整形器と装置光路は限定される相対位置を持たない。図2には、一例として、レーザ検出装置はレーザパルス作用対象の実際の位置に設けられる。
【0024】
図2に示すように、レーザパルスは、レーザ光源から導出された後、1区間の装置光路を介して伝送された後に作用対象(例えば検出対象のサンプル)に放射され、レーザパルスが作用対象に到達するまでに装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散の状況を把握するために、レーザパルスと作用対象が相互作用する実際の位置にレーザ検出装置が設けられ、レーザパルスによる非線形光学現象の強度又はスペクトルの変化を測定するために用いられ、レーザ検出装置としては、分光計や他の光電変換装置が使用されて、光信号を電気信号に変換して制御装置に送信してもよい。続いて、レーザ検出装置は、測定結果を制御装置(実際の応用では、パーソナルコンピュータPCによって制御装置の機能を実現することができる)に送信し、制御装置は光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出し、位相補償パラメータに基づいてパルス整形器が装置光路を通過したレーザパルスの位相を補償するように制御し、作用対象に照射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする。
【0025】
上記実施例のレーザパルス整形装置では、レーザパルスの放射口の後にあるレーザパルスと作用対象が相互作用する実際の位置において、レーザパルスによる非線形光学現象の強度又はスペクトルの変化を測定することにより、レーザパルスの伝送中の装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散を取得し、位相補償パラメータを算出し、続いて制御装置によってパルス整形器が位相補償パラメータに基づいて装置光路のレーザパルスの位相を補償するように制御し、作用対象に放射されたレーザパルスのスペクトル位相を目標値に達するようにする、該解決手段により、測定の複雑度を低下させ、閉ループテストを実現することができ、パルス整形器によって整形の精度を向上させ、レーザパルスの使用効果を向上させることができる。
【0026】
一実施例では、制御装置はさらに、光学パラメータに基づいて、レーザパルスが作用対象に到達するまでに装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散の位相関数及びそれに対応する負関数を計算し、負関数を前記パルス整形器に送信するために用いられ、パルス整形器は負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺する。
【0027】
上記実施例の解決手段では、レーザパルスの装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散の位相関数を計算し、位相関数の負関数を取得して装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺することにより、レーザパルスが作用対象で最短パルス幅に達し、レーザパルスのピーク電力を効果的に保証し、レーザパルスのフェムト秒の特性を維持することができる。
【0028】
以下、レーザパルス整形方法の実施例について説明する。
【0029】
図3はレーザパルス整形方法のフローチャートである。図3に示すように、該方法は主にS10~S30を含む。
【0030】
S10、レーザ光源によって発生させたレーザパルスを受信し、レーザ光源に接続された装置光路を介して伝送した後にレーザパルス作用対象に放射し、ここでは、作用対象は、生体組織などの検出対象サンプルであってもよい。
【0031】
S20、レーザパルス作用対象の実際の位置において、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータを測定し、具体的には、該光学パラメータは、パルス非線形作用による信号強度、スペクトル又はパルスのスペクトル位相、レーザパルスの強度などの情報を指してもよい。
【0032】
実施例として、2次高調波、3次高調波、多光子蛍光強度などの非線形現象の強度を測定してもよく、2次高調波、3次高調波、多光子蛍光を測定して電気信号に変換することにより、非線形信号作用の強度を得る。
【0033】
S30、前記光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにし、例えば、レーザパルスはフーリエ変換限界のパルス幅に達する。
【0034】
実施例として、ステップS30において位相補償パラメータを算出する方法は、
前記光学パラメータに基づいて装置光路全体に蓄積された前記レーザパルスのスペクトル位相分散の位相関数を計算し、前記位相関数の負関数を取得するステップを含んでもよい。
【0035】
さらに、ステップS30において前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償する方法は、前記負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺するステップを含んでもよい。
【0036】
好ましくは、ステップS30の補足として、目標値は、作用対象におけるレーザパルスがフーリエ変換限界のパルス幅、すなわち最短パルス幅に達するものであってよい。
【0037】
上記各実施例の技術的解決手段では、レーザパルスが装置光路全体に到達するまで蓄積されたスペクトル位相分散の位相関数を計算し、位相関数の負関数を取得して装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺することにより、最短パルス幅を得て、レーザパルスのピーク電力を効果的に保証し、レーザパルスのフェムト秒パルスの特性を維持することができる。
【0038】
以下、パルス整形器の実施例について説明する。
【0039】
本願に係るパルス整形器は、従来のパルス整形器の構造に対して改良を行い、装置のコストや複雑性を低減させ、スペクトル強度制御の誤差を減少させる。本願のパルス整形器は、本願に係るレーザパルス整形装置の代わりとして使用されたり、他の任意の光学システムの装置光路に用いられたりして、装置光路を通過したレーザパルスを整形してもよい。
【0040】
図4は従来のパルス整形器の構造概略図である。図4に示すように、従来のパルス整形器は、第1格子G1によって散乱され、凸レンズK1によって一次元液晶空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)にフォーカスされ、異なる波長に対応する点状光を形成し、続いてSLMの液晶画素によって各波長に対応する点状光を変調し、続いて第2格子G2によって回復させて、変調されたレーザパルスを出力する。図に示す透過型の液晶SLMについては、図における破線「0-0」の両側が互いに鏡像関係にある。
【0041】
図5は本願のパルス整形器の構造概略図である。図5に示すように、該パルス整形器は主に、格子G、第1シリンドリカルレンズL、二次元液晶空間光変調器(本明細書では2D-SLMと略称する)を含む。具体的には、本願では、シリンドリカルレンズLを用いて格子Gによって散乱されたレーザスペクトルに対してフォーカスを行い、時間領域から周波数領域への変換を実現し、続いて2D-SLMによって変調する。
【0042】
実際の動作において、図5に示すように、格子Gは入射されたレーザパルスを空間に散乱し、上記レーザパルスはシリンドリカルレンズLを通過した後に均一に分布している異なる波長に対応する複数本の線状光となり、線状光は2D-SLMによって位相変調及びスペクトル強度制御を行い、位相変調及びスペクトル強度制御を行った線状光は屈折され、対応する屈折光はシリンドリカルレンズL及び格子Gを介してレーザパルスに回復する。
【0043】
図6はレーザパルスの散乱の概略図である。レーザパルスが格子Gによって散乱された後、シリンドリカルレンズLを通過してなる光路については、図6に示すように、ここでは、上の図はシリンドリカルレンズLを通過した後の光路であり、異なる波長の光線は図6の上の図の線状光のような線状光を形成する。一方、凸レンズの技術的解決手段を採用する場合、凸レンズK1によって形成されたのは図6の下の図に対応するドットのような点状光である。このことから、本願はシリンドリカルレンズLが1つのシリンダ方向で光線を屈折させないという原理を用いて、点状光を広げて線状光にし、これにより、Y軸方向でレーザパルスの強度を調整することができる。
【0044】
本実施例では、2D-SLMの変調方式については、図7を参照し説明する。図7は2D-SLMの画素アレイの概略図であり、また、Z軸の正方向からX-Y平面を観察した概略図である。図7に示すように、2D-SLMは複数の液晶で構成される画素アレイを含み、各本の線状光はX軸方向に集束し、Y軸方向に変化せず、各波長に対応する線状光はX軸方向に沿って均一に分布しており、画素アレイのY軸方向における画素は変調する同一の波長の線状光に対応し、画素アレイのX軸方向における画素はそれぞれ、異なる波長の線状光に対応する。
【0045】
図7では、X軸方向において、5本の線状光(1)~(5)のそれぞれを制御する5列の画素を有し、Y軸方向において、該列全体の画素の屈折率を制御することにより、対応する波長の線状光のスペクトル位相を制御し、各列の画素内において、異なる周波数及び強度を用いることで、2D-SLMの画素の液晶形状を制御し、光線の屈折方向を制御することができる。
【0046】
ここでは、2D-SLMの画素アレイは異なる線状光のそれぞれの波長のY軸方向における全列画素であり、図8を参照し説明する。図8はパルス整形器によるスペクトル強度制御の概略図であり、また、X軸の正方向に沿ってY-Z平面を観察した概略図である。図8に示すように、2D-SLMは液晶層及び反射面を介して、入射された光線に対して変調及び反射を行い、有効な光線に対して1次に屈折し、不要な光又は画素キャップにおいて変調されない光線を0次に沿って反射させる(元の経路に沿って戻す)。プログラムによって任意の列の画素点のいくつかの割合の光線を0次又は1次に屈折させるように制御することができる。例えば、図7に示すように、線状光(1)の1列の7つの画素のうち、3つの画素を0次に屈折させ、4つの画素を1次に屈折させるようにしてもよい。
【0047】
本願の設計解決手段では、スペクトル強度制御は、光が1次と0次の2つの異なる屈折方向にあるように制御し、スペクトル強度制御の誤差がより小さくなり、実測の誤差データが0.1%よりも小さく、これにより、スペクトル強度制御の精度を大幅に向上させることができる。一方、従来技術では、スペクトル強度に対する制御は、偏光板に依存するとともに、画素キャップにおいて正確な強度制御を行わないスペクトルは効果的に分離できず、スペクトル強度制御の誤差は1~5%である。
【0048】
一方、従来の方式では、画素キャップを通過して変調されていない光と、変調された光とを効果的に分離することができないため、画素の大きさとキャップとの割合を最大限に高める必要があり、割合が大きいほど、空隙が小さく、変調されていない光の割合が低く、誤差が低くなり、このため、SLMの製造について要件が高くなり、コストが大幅に増加し、歩留まりが低下する。本願に係る解決手段では、画素キャップにおいて変調されない光は0次に沿って反射され、変調されて1次に入って屈折される光とは空間的に完全に分離される。そのため、画素とキャップとの割合は変調の精度、すなわちスペクトル強度とスペクトル位相に対する制御精度に影響を与えず、それにより、SLMの製造プロセスの要件を効果的に低減させることができ、コストを低減させる。
【0049】
2D-SLMの制御原理は、2D-SLMに、角度、強度及び周波数が波長に伴って変化するほぼ格子状の鋸歯面を形成することで、仮想格子の作用を実現し、光線を屈折することである。この鋸歯面形状については図9を参照し説明する。図9は各列の画素の略格子の鋸歯面の概略図であり、また、X軸の正方向に沿ってY-Z平面を観察した概略図である。図9に示すように、角度、強度及び周波数が波長に伴って変化することなどの制御を変更することにより、2D-SLMの略格子の屈折率を変更し、これにより光線を0次又は1次方向に屈折させる。
【0050】
上記実施例のパルス整形器は、いずれかの装置光路を介して伝送されたレーザパルスを整形し、位相補償を能動的に行うために用いられてもよく、また、1つの二次元液晶空間光変調器によってレーザパルスのスペクトル位相及びスペクトル強度を同時に制御することを実現し、これによって、装置コストを低減させ、スペクトル強度制御の精度を大幅に向上させ、誤差を低減させる。
【0051】
次に、光学システムの実施例について説明する。
【0052】
図2に示すように、本願に係る光学システムは、レーザ光源、装置光路、及びレーザパルス整形装置を含む。
【0053】
当業者であれば理解されるように、ここで使用される全ての用語(技術用語と科学用語を含む)は、特に定義しない限り、本願の属する分野における一般的な技術者の理解と同じ意味を有する。また、一般的な辞書に定義されているような用語は、従来技術による文脈と同じ意味を持つものとして理解されるべきであり、このように特に定義されていない限り、理想的な意味や本格的な意味で解釈されることはない。
【0054】
なお、以上は本願の一部の実施形態に過ぎず、本技術分野の当業者にとって、本願の原理から逸脱せず、いくつかの改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本願の特許範囲と見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス整形器であって、
格子、シリンドリカルレンズ、二次元液晶空間光変調器を含み、
前記格子は入射されたレーザパルスを空間に散乱し、前記レーザパルスは前記シリンドリカルレンズを通過した後に均一に分布している異なる波長に対応する複数本の線状光となり、
前記線状光は前記二次元液晶空間光変調器を介して位相変調及びスペクトル強度制御を行い、前記二次元液晶空間光変調器は複数の液晶で構成される画素アレイを含み、前記画素アレイのY軸方向の画素は同一の波長を変調する線状光に対応し、前記画素アレイのX軸方向の画素はそれぞれ、異なる波長の線状光に対応し、前記二次元液晶空間光変調器の画素アレイが各々の異なる線状光の波長のY軸方向における全列画素を制御し、線状光中の所定割合の光線を有効伝送方向に屈折させることにより、前記線状光のスペクトル強度を制御し、
位相変調及びスペクトル強度制御を行った前記線状光は、前記シリンドリカルレンズ及び格子を介してレーザパルスに回復されて出力される、ことを特徴とするパルス整形器。
【請求項2】
前記線状光はX軸方向に集束し、Y軸方向に変化せず、各波長に対応する線状光はX軸方向に沿って均一に分布する、ことを特徴とする請求項に記載のパルス整形器。
【請求項3】
前記二次元液晶空間光変調器の画素アレイは、異なる線状光の波長のY軸方向における全列画素毎に、角度、強度及び周波数が波長に伴って変化する1つのほぼ格子状の鋸歯面を対応して形成し、
前記鋸歯面の周波数と強度を制御することにより、線状光中の所定割合の光線を有効伝送方向に屈折させることにより、前記線状光のスペクトル強度を制御するとともに、この全列画素の屈折率を制御することにより、対応する波長の線状光のスペクトル位相を制御する、ことを特徴とする請求項に記載のパルス整形器。
【請求項4】
レーザパルス整形装置であって、
順次接続されたパルス整形器、制御装置及びレーザ検出装置を含み、
前記パルス整形器は、請求項1~3のいずれか一項に記載のパルス整形器であり、
レーザ光源に接続された装置光路に設けられ、前記レーザ検出装置はレーザパルス作用対象の実際の位置に設けられ、
前記レーザ光源は、レーザパルスを発生させ、前記装置光路を介して伝送した後に前記作用対象に放射するために用いられ、
前記レーザ検出装置は、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定して前記制御装置に送信するために用いられ、
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記パルス整形器が装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償するように制御し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにする、ことを特徴とするレーザパルス整形装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記光学パラメータに基づいて、装置光路全体に蓄積された前記レーザパルスのスペクトル位相分散の位相関数及びそれに対応する負関数を計算し、前記負関数を前記パルス整形器に送信するために用いられ、
前記パルス整形器は、前記負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺するために用いられる、ことを特徴とする請求項に記載のレーザパルス整形装置。
【請求項6】
レーザパルス整形方法であって、請求項4または5に記載のレーザパルス整形装置に応用し、
レーザ光源によって発生させたレーザパルスを受信し、レーザ光源に接続された装置光路を介して伝送した後にレーザパルス作用対象に放射するステップと、
レーザパルス作用対象の実際の位置において、作用対象に放射された前記レーザパルスの光学パラメータを測定するステップと、
前記光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出し、前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償し、前記作用対象に放射されたレーザパルスの光学パラメータが目標値に達するようにするステップと、を含む、ことを特徴とするレーザパルス整形方法。
【請求項7】
前記光学パラメータに基づいて位相補償パラメータを算出する前記ステップは、
非線形光学信号強度である前記光学パラメータに基づいて、前記レーザパルスが作用対象に到達するまでに装置光路全体に蓄積されたスペクトル位相分散の位相関数を計算し、前記位相関数の負関数を取得するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載のレーザパルス整形方法。
【請求項8】
前記位相補償パラメータに基づいて前記装置光路を通過した前記レーザパルスの位相を補償する前記ステップは、
前記負関数を装置光路に導入し、通過したレーザパルスに作用してレーザパルスのスペクトル位相分散を相殺するステップを含む、ことを特徴とする請求項7に記載のレーザパルス整形方法。
【請求項9】
前記目標値は、作用対象におけるレーザパルスがフーリエ変換限界に達するパルス幅である、ことを特徴とする請求項6に記載のレーザパルス整形方法。
【請求項10】
光学システムであって、
レーザ光源、装置光路、及び請求項4または5に記載のレーザパルス整形装置を含ことを特徴とする光学システム。
【国際調査報告】