(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】過電圧保護付き電圧変換器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H02M3/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501556
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2021069783
(87)【国際公開番号】W WO2022013367
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518184708
【氏名又は名称】ベーウントエル・インダストリアル・オートメイション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ブルーメ・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シーマー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フーバー・ティム
(72)【発明者】
【氏名】ヴコヴィッチ・ジョルジェ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS13
5H730BB11
5H730BB57
5H730CC01
5H730DD00
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD03
5H730FF09
5H730XX12
5H730XX23
5H730XX32
5H730XX40
5H730XX42
(57)【要約】
入力電圧ue,Ueを出力直流電圧Uaに変換する電圧変換器2のための改善された過電圧保護を提示するために、出力直流電圧Uaが第一の電圧閾値Ux1に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaを低減するために、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第一の遮断ユニット11を配備する。更に、出力直流電圧の平均値が平均値閾値Uxmに到達するか、或いはそれを上回るのかを検査して、この平均値閾値Uxmに到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaを低減するために、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第二の遮断ユニット12を配備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧(ue,Ue)を出力直流電圧(Ua)に変換する電圧変換器(2)であって、出力直流電圧(Ua)が第一の電圧閾値(Ux1)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第一の遮断ユニット(11)を有する電圧変換器において、
出力直流電圧の平均値、有利には、平方自乗平均値が、平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査して、この平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第二の遮断ユニット(12)が配備されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)が電圧変換器(2)、有利には、第一の遮断ユニット(11)の一体的な構成部分であることを特徴とする電圧変換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)は、出力直流電圧(Ua)が第一の電圧閾値(Ux1)よりも低い第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る第一の時点(t0)を検出して、第一の時点(t0)から所与の時間間隔(T1)の経過後の第二の時点(t1)で出力直流電圧(Ua)が第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回ることを検査して、第一の時点(t0)と第二の時点(t1)の両方で第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)の平均値が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回ると推定するように構成されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)が、出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)を継続的に計算して、平均値閾値(Uxm)と比較するように構成されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
前記の第一の遮断ユニット(11)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V1)が、この電圧変換器(2)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V0)から独立して実現されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V2)が、この電圧変換器(2)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V0)から独立して実現されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
この電圧変換器(2)が、入力交流電圧(ue)を出力直流電圧(Ua)に変換する整流器であることを特徴とする電圧変換器。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
この電圧変換器(2)が、入力直流電圧(Ue)を出力直流電圧(Ua)に変換する直流電圧変換器であることを特徴とする電圧変換器。
【請求項9】
一定数のアクチュエータと、この一定数のアクチュエータに出力直流電圧(Ua)により電圧を供給する請求項1から8までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)とを備えた長固定子リニアモーター。
【請求項10】
一定数のアクチュエータと、この一定数のアクチュエータに出力直流電圧(Ua)により電圧を供給する請求項1から8までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)とを備えた平面モーター。
【請求項11】
電圧変換器(2)の出力直流電圧(Ua)を監視する方法であって、
第一の電圧閾値(Ux1)が規定され、
出力直流電圧(Ua)が、この第一の電圧閾値(Ux1)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断が行われる、
方法において、
出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)、有利には、平方自乗平均値(Uam)が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査することと、
この平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断が行われることと、
を特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
出力直流電圧(Ua)が第一の電圧閾値(Ux1)に到達するか、或いはそれを上回る場合及び/又は前記の平均値(Uam)が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、この電圧変換器(2)の電力スイッチが非活動化されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法において、
第一の電圧閾値(Ux1)よりも低い第二の電圧閾値(Ux2)が規定されることと、
出力直流電圧(Ua)が、この第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る第一の時点(t0)を検出することと、
第一の時点(t0)から時間間隔(T1)の経過後の第二の時点(t1)で出力直流電圧(Ua)が第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回ると推定することと、
を特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記の第二の電圧閾値(Ux2)が平均値閾値(Uxm)に等しいことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11から14までのいずれか一つに記載の方法において、
出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)を継続的に計算することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補償直流電圧が第一の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧を低減するために、電圧変換器の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第一の遮断ユニットを有する、入力電圧を出力直流電圧に変換する電圧変換器に関する。更に、本発明は、電圧変換器の出力直流電圧を監視する方法であって、第一の電圧閾値が規定され、出力直流電圧がこの第一の電圧閾値を上回るか、或いはそれに到達する場合に、出力直流電圧を低減するために、電圧変換器の少なくとも一部の遮断が行われる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、長固定子リニアモーター又は平面モーターなどの電気システムでは、アクチュエータは、電圧変換器によって出力直流電圧を供給される。そのために、出力直流電圧は、それに対応する電圧変換器を用いて、(通常は、より高い)入力電圧から変換される。入力直流電圧を出力直流電圧に変換する場合、直流電圧変換器が電圧変換器として配備される。入力交流電圧を出力直流電圧に変換する場合、整流器が電圧変換器として配備される。整流器は、先ずは電力網の交流電圧を低圧直流電圧に変換し、更に、整流器の変換器段又は別個に実現された直流電圧変換器によって、超低圧直流電圧への低圧直流電圧の変換が行われると規定することもできる。
【0003】
出力直流電圧は、所定の電圧範囲内、例えば、超低圧電圧範囲内及び/又は低電圧範囲内にある。それぞれの電圧範囲は、出力直流電圧が上回ることを許されない上限電圧を有する。出力直流電圧を提供する電圧変換器の効率を高めるために、電力熱損失を最小化することができる。それは、出力直流電圧がそれが属する電圧範囲の上限電圧に出来る限り近くにあることによって実現することができる。それでも、出力直流電圧が限界電圧を上回らないことを保証するためには、出力直流電圧を高い精度で監視することが必要である。そのために、電圧閾値を監視する保護回路を配備することができ、その電圧閾値は、電圧範囲の限界電圧の領域内にある。
【0004】
電圧閾値を上回った場合には、出力直流電圧を低減して、それにより電圧閾値の上回りを出来る限り短くするために、電圧変換器の少なくとも一部を遮断することが保証されている。しかし、それにより、負荷がダイナミックに変化する場合に起こるような短時間の上回りでも(そのような短時間の上回りが重大であるとランク付けされないにも関わらず)、遮断が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、電圧変換器の改善された過電圧保護を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査して、この平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧を低減するために、電圧変換器の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第二の遮断ユニットを配備することによって解決される。
【0007】
更に、この課題は、出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査して、この平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧を低減するために、電圧変換器の少なくとも一部の遮断を実行する方法によって解決される。
【0008】
有利には、(RMS平均値とも呼ばれる)平方自乗平均値が平均値と見做される。例えば、算術平均値も平均値と見做すことができる。
【0009】
出力直流電圧の平均値の追加的な監視によって、第一の電圧閾値を上限電圧以内の出来る限りぎりぎりに規定することができ、それにより、電圧変換器の電力熱損失が最小化されて、電圧変換器の効率が高められる。出力直流電圧の短い飛躍が発生した時に、出力直流電圧の平均値は、ほんの僅かしか上昇せず、平均値閾値を上回らない。それにより、出力直流電圧の短い飛躍が発生した時に、第一の電圧閾値を上回らない限り、遮断は行われない。そのため、ダイナミックな負荷にも出力直流電圧を供給することができる。この平均値閾値は、有利には、第一の電圧閾値よりも低い。
【0010】
第一の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合及び/又は平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、例えば、電力スイッチのゲート駆動部に直に介入することによって、電圧変換器の電力スイッチを非活動化するのが極めて特に有利である。電圧変換器の別の部分又は電圧変換器全体を遮断することもでき、この遮断によって、出力直流電圧が低下することが重要である。
【0011】
この第二の遮断ユニットは、電圧変換器の一体的な構成部分、有利には、第一の遮断ユニットの一体的な構成部分であるとすることができる。
【0012】
第一の電圧閾値は、有利には、第一の限界電圧を下回る。電圧変換器の少なくとも一部の遮断後に、出力直流電圧を1マイクロ秒以内に、或いはそれよりも速く低減すると規定される。第一の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回った後、遮断信号が発出され、それにより、電圧変換器の少なくとも一部が遮断される。しかし、この信号の発出と実際の遮断の間に、遮断遅延が発生する可能性がある。この遮断遅延によって、出力直流電圧が遮断信号の発出後でも或る程度電圧閾値以上に上昇した後、最終的に低下する状況が起こる可能性がある。従って、第一の電圧閾値を限界電圧以内に定めることによって、遮断遅延が発生した場合でも、第一の限界電圧自体をも上回らないことを保証できる。70.2Vの第一の限界電圧では、例えば、60~70V、有利には、60~65Vの範囲内の第一の電圧閾値を規定することもできる。
【0013】
この平均値閾値は、有利には、限界平均値を下回る(この限界平均値は、第一の限界電圧を下回る)。出力直流電圧の平均値がこの限界平均値に到達しないか、或いは上回らないことを保証しなければならない。60Vの限界平均値では、例えば、59.25Vの平均値閾値を規定することができる。
【0014】
第一の限界電圧及び/又は平均値閾値を定める場合に、構成部分の公差、測定誤差などを考慮することもできる。
【0015】
出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、電圧変換器の少なくとも一部の遮断が行われる。
【0016】
第一の電圧閾値よりも低い第二の電圧閾値を規定することができる。第一の時点で出力直流電圧が第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることが検出された場合、第一の時点から一定の時間間隔の経過後の第二の時点で出力直流電圧が第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る時に、出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ると推定される。
【0017】
第二の遮断ユニットは、出力直流電圧が第一の電圧閾値よりも低い第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る第一の時点を検出して、第一の時点から所定の時間間隔の経過後の第二の時点で、出力直流電圧が第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることを検査し、第一時点と第二の時点の両方で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ると推定するように構成することができる。
【0018】
この場合、第一及び第二の時点として、それぞれ離散的なサンプリング時点を使用することができ、これらの時点に、出力直流電圧が、例えば、電圧変換器の中又は所に配備された電圧測定ユニットによって時間に関して離散的にサンプリングされて、時間に関して離散的に測定される。しかし、この目的のために、事前に与えられたサンプリング時点から離れた独自の時点を使用することも可能であり、その時点に、特に第二の電圧閾値との比較のために、出力直流電圧が測定される。
【0019】
第一及び第二の時点として出力直流電圧の離散的なサンプリング時点を使用することは、何れにせよ、例えば、上記の電圧測定ユニットによる測定に基づき、出力直流電圧が事前に基本サンプリング速度で時間に関して離散的にサンプリングされている場合に特に有利である。この出力直流電圧を基本的に測定する基本サンプリング速度は、例えば、100kHzの範囲内又はMHzの範囲内にあり、第一及び第二のサンプリング時点は、有利には、基本サンプリング速度により決まる隣り合う基本サンプリング時点ではなく、例えば、0.01~100ms互いに離れているか、有利には、0.1~100ms互いに離れているか、特に有利には、1~100ms互いに離れている。この場合、有利には、第一のサンプリング時点と第二のサンプリング時点の間の間隔は固定的に予め与えられる。
【0020】
有り得るサンプリングと関係無く、第一及び第二の時点が0.01~100ms互いに離れるか、有利には、0.1~100ms互いに離れるか、特に有利には、1~100ms互いに離れているとすることもできる。有利には、第一の時点と第二の時点の間の間隔は固定的に予め与えられる。
【0021】
この趣旨において、第二の遮断ユニットは、出力直流電圧の平均値、有利には、平方自乗平均値が平均値閾値(この平均値閾値は第一の電圧閾値よりも低い)に到達するか、或いはそれを上回ることを推定して、この平均値閾値に到達したと推定した場合、或いはそれを上回ったと推定した場合に、出力直流電圧を低減するために、電圧変換器の少なくとも一部の遮断を実行するように構成することができる。
【0022】
第一の時点と第二の時点の両方で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることから平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ると推定することは、実際には十分な近似である。多くの実際のケースでは、第一の時点と第二の時点で出力直流電圧を第二の電圧閾値と比較することは、何れにせよ、平均値閾値との平均値の想定される比較よりも用心深い遮断基準である。このケースは、特に、第一の時点と第二の時点が、例えば、100msよりも遠く互いに離れていない場合である。
【0023】
第一の時点と第二の時点で出力直流電圧を第二の電圧閾値と比較することによる遮断に関する安全で用心深い基準の実現に寄与できる別の観点は、第二の電圧閾値を高くすることである。第二の電圧閾値が平均値閾値よりも十分に低く設定されている場合、第一の時点と第二の時点の間の間隔を好適に選定した時に、実際には、第一の時点と第二の時点の両方で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることから平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ると推定することが誤った非遮断を引き起こさないことを出発点とすることができる。それに対して、平均値が実際に平均値閾値に到達しないか、或いはそれを上回らない場合にも、部分的に遮断される。
【0024】
第二の電圧閾値を十分に低く選定する例は、60Vの平均値閾値の場合に、第二の電圧閾値に関して59.25Vを選定することであるが、この場合、有利には、第二の電圧閾値に関して、58Vも、極めて有利には、57Vも選定することができる。基本的に、安全技術分野の当業者は、所定の状況における電圧閾値及びこれを出力直流電圧と比較する時点の最も良い選定手法を知っている。
【0025】
この時間間隔は、第一の時点で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る時に始まり、第二の時点で終わる。これは、出力直流電圧の平均値を監視する特に安価な手法である。第一の時点で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回った後、第二の時点で再度第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回るのかが検査されて、再度到達するか、或いは上回る場合にのみ遮断が行われるので、例えば、ダイナミックな負荷変化のために、第一の時点で第二の電圧閾値に短時間到達するか、或いはそれを上回ることが、直ちに遮断を引き起こさないことを保証できる。この時間間隔の経過後に(即ち、第二の時点で)第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることも起こった場合に漸く遮断が行われる。しかし、任意の時点で第一の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることが起こった場合には、常に遮断が行われる。
【0026】
先ずは第一の時点で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回るとともに、所与の時間間隔の経過後の第二の時点で第二の電圧閾値と異なる別の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることを検査することもできる。しかし、有利には、この時間間隔の始まり(即ち、第一の時点)とこの時間間隔の終わり(即ち、第二の時点)の両方で、第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることが検査される。
【0027】
この所与の時間間隔の経過後に、第二の電圧閾値と異なる別の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることを検査する場合、第二の遮断ユニットは、出力直流電圧が第一の電圧閾値よりも低い第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る第一の時点を検出して、第一の時点から所与の時間間隔の経過後の第二の時点で、出力直流電圧が第二の電圧閾値よりも低い第三の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることを検査し、第一の時点と第二の時点の両方で第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ると推定するように構成することができる。
【0028】
60Vの平均値閾値では、第二の電圧閾値を59.25Vに選定して、第三の電圧閾値を58.25Vに選定するか、第二の電圧閾値を58Vに選定して、第三の電圧閾値を57Vに選定するか、或いは第二の電圧閾値を57Vに選定して、第三の電圧閾値を55Vに選定することができる。しかし、基本的に、安全技術分野の当業者は、所定の状況における電圧閾値及び出力直流電圧と比較する時点の最も良い選定手法を知っている。
【0029】
当然のことながら、一つの時間間隔の終了後に、第一の時点及び第二の時点に対する別の時間間隔を規定することができ、同じく、出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ることを推定するために、第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることの検査を行うことができる。
【0030】
有利には、出力直流電圧の平均値が継続的に計算される。それに対応して、第二の遮断ユニットは、継続的に出力直流電圧の平均値を演算して、出力直流電圧の平均値が所与の平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査するように構成することができる。この継続的な計算は、第一及び第二の時点での第二の電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることの検査に追加して、或いはその代わりに行うことができる。有利には、平均値は、所与の平均値時間間隔に渡って継続的に計算される。
【0031】
電圧変換器の電圧測定ユニットが出力直流電圧に関して誤った電圧値、例えば、0Vの電圧測定値を出力した場合、このことは、出力直流電圧を上昇させ(その際、更に、誤った電圧測定値、例えば、0Vが提示され)、次に、それによって、出力直流電圧が第一の出力閾値に到達するか、或いはそれを上回ること及び/又は出力直流電圧の平均値が平均値閾値に到達するか、或いはそれを上回ることを引き起こす。しかし、第一及び/又は第二の遮断ユニットが、出力直流電圧及び/又は出力直流電圧の平均値を決定するために電圧変換器に属する電圧測定ユニットの(誤った)電圧測定値を同様に利用した場合、その到達又はその上回りは、第一及び/又は第二の遮断ユニットによって検知されない。しかし、妥当でない電圧値は、出力直流電圧の得られた電圧測定値の妥当性検査によって検知することができる。しかし、例えば、抵抗の部分的な破壊などの電圧変換器の電圧測定ユニットにおける障害のために、確かに誤っているが、妥当な出力直流電圧(即ち、基本的に起こり得る出力直流電圧)が生じてしまうように、電圧測定値が誤ってしまった場合、当然のことながら、この誤った電圧測定値は妥当性検査によって検知できない。
【0032】
従って、有利には、第一の遮断ユニットに属する、出力直流電圧を特定するための第一の電圧測定ユニットが、電圧変換器に属する、出力直流電圧を特定するための電圧測定ユニットから独立して実現されるか、第二の遮断ユニットに属する、出力直流電圧を特定するための第二の電圧測定ユニットが、電圧変換器に属する、出力直流電圧を特定するための電圧測定ユニットから独立して実現されるか、或いはその両方である。それによって、電圧変換器の電圧測定ユニットで単一誤りが発生した場合に、第一及び/又は第二の電圧測定ユニットに関しても、出力直流電圧の許容できない電圧測定値が生成されてしまうことが防止される。当然のことながら、第一及び第二の遮断ユニットが電圧変換器から独立して実現されるだけでなく、互いに独立して実現されるのが、例えば、それぞれ独立した電圧測定ユニットを備えるのが特に有利である。第一及び/又は第二の遮断ユニット全体を電圧変換器から独立して実現することもでき、この「独立して」とは、当然のことながら、電圧閾値に到達するか、或いはそれを上回ることの検査に関連し、電圧変換器の少なくとも一部を遮断する場合、当然のことながら、出力直流電圧を低減するために、好適な手法で電圧変換器の機能に介入しなければならない。
【0033】
有利には、第一及び/又は第二の遮断ユニットは、それぞれ二つの誤りに対して安全であるように構成される。そのように、それぞれ第一の切換部分と、第一の切換部分から独立して実現された別の切換部分とを配備することができる。それにより、これらの切換部分が単一の誤りによって同時に影響を受けることを排除することができる。例えば、第一の切換部分と別の切換部分を冗長的に実現することができる。
【0034】
有利には、この電圧変換器は、出力直流電圧として、60Vの限界電圧までの超低圧電圧を出力するように設計される。
【0035】
有利には、この電圧変換器は、入力交流電圧を出力直流電圧に変換する整流器又は入力直流電圧を出力直流電圧に変換する直流電圧変換器である。
【0036】
更に、一定数のアクチュエータと、この一定数のアクチュエータに出力直流電圧により電圧を供給する本発明による電圧変換器とを備えた長固定子リニアモーター又は平面モーターを規定することができる。
【0037】
以下において、本発明の有利な実施形態の例を模式的に図示する、本発明を限定するものではない
図1~4を参照して本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】第一と第二の遮断ユニットを備えた電圧変換器の模式図
【
図2】第一と第二の遮断ユニットの独立した電圧測定ユニットの模式図
【
図3a】第一の時点で第二の電圧閾値を上回ることを図示したグラフ図
【
図3b】第一と第二の時点で第二の電圧閾値を上回ることを図示したグラフ図
【
図4】出力直流電圧の平均値が平均値閾値を上回ることを図示したグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1aは、出力端に出力直流電圧Uaを出力する電圧変換器2を図示している。更に、電圧変換器2の出力端での出力直流電圧Uaを特定する電圧測定ユニットV0が配備されている。この電圧変換器2は、出力直流電圧Uaを所与の目標電圧Usollに応じて制御する電圧コントローラ21を有する。そのために、この電圧コントローラは、電圧変換器2の電圧測定ユニットV0から出力直流電圧Uaの電圧値を供給される。この出力直流電圧Uaの電圧値は、時間に関して継続的に記録するか、或いは時間に関して離散的にサンプリングすることができる。この電圧コントローラ21は、出力直流電圧Uaを所与の目標電圧Usollに応じて制御するために、電圧変換器2の電力ユニット20に与えられる制御信号Sを生成する。入力端に加わる入力交流電圧ueを出力直流電圧Uaに変換する整流器又は入力端に加わる入力直流電圧Ueを出力直流電圧Uaに変換する直流電圧変換器を電圧変換器2として規定することができる。この電圧変換器2では、先ずは中間直流電圧への入力交流電圧ueの変換を行うこともでき、この中間直流電圧は、電圧変換器2の別の段によって、さもなければ別個に実現された直流電圧変換器によって出力直流電圧Uaに変換される。
【0040】
この電圧測定ユニットV0は、出力直流電圧Uaを決定するために、出力直流電圧Uaを基本サンプリング速度により基本サンプリング時点で時間に関して離散的にサンプリングすることができ、この基本サンプリング速度は、有利には、100kHzの範囲内にあるとすることができる。
【0041】
この電力ユニット20は、通常制御信号Sに応じて駆動される一定数の電力スイッチを有する。電圧変換器2の動作形態は基本的に既知であるので、ここでは、そのことに詳しく立ち入らない。
【0042】
一定数のアクチュエータを電圧変換器2の出力端と接続することができ、この一定数のアクチュエータは、出力直流電圧Uaを供給される。この電圧変換器2は、例えば、長固定子リニアモーター又は平面モーターのアクチュエータに出力直流電圧を供給することができる。
【0043】
この電圧変換器2は、出力直流電圧Uaが第一の電圧閾値Ux1に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaを低減するために、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第一の遮断ユニット11を有する。そのため、出力直流電圧Uaが第一の電圧閾値Ux1に到達しないか、短時間しか到達しないか、それを上回らないか、或いは短時間しか上回らないことが保証される。
【0044】
更に、この電圧変換器2は、出力直流電圧Uaの平均値Uamが平均値閾値Uxmに到達するか、或いはそれを上回るのかを検査して、この平均値閾値Uxmに到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaを低減するために、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第二の遮断ユニット12を有する。ここでは、第二の遮断ユニット12が電圧変換器2の一体的な構成部分として図示されているが、別個に実現することもできる。
【0045】
この第一及び/又は第二の遮断ユニット11,12は、各機能を実行する相応のソフトウェアが実装されたマイクロプロセッサベースのハードウェア、例えば、コンピュータ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を備えることができる。この第一及び/又は第二の遮断ユニット11,12は、マイクロプロセッサも有する集積回路、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールド・プログラマブル・ゲートアレー(FPGA)を備えることもできる。この第一及び/又は第二の遮断ユニット11,12は、さもなければ、アナログ回路又はアナログコンピュータを備えることができる。混合形態も考えられる。同様に、同じハードウェアに異なる機能を実装することが可能である。
【0046】
この電圧変換器2の少なくとも一部の起こり得る遮断は、電力ユニット20に作用する遮断信号A1,A2により第一の遮断ユニット11によっても、第二の遮断ユニット12によっても行われる。例えば、相応の遮断信号A1,A2によって、電力ユニット20の電力スイッチを非活動化することができる。
【0047】
有利には、電圧変換器2に属する電圧測定ユニットV0から独立して実現された、第一の遮断ユニット11に属する第一の電圧測定ユニットV1が配備される。それにより、電圧変換器2に属する電圧測定ユニットV0が出力直流電圧Uaの誤った値を特定した場合でも、第一の遮断ユニット11のために、出力直流電圧Uaの値を特定することが可能である。
【0048】
有利には、電圧変換器2に属する電圧測定ユニットV0から独立して実現された、第二の遮断ユニット12に属する第二の電圧測定ユニットV2が配備される。それにより、電圧変換器2に属する電圧測定ユニットV0が出力直流電圧Uaの誤った値を特定した場合でも、第二の遮断ユニット12のために、出力直流電圧Uaの値を特定することが可能である。
【0049】
電圧変換器2に属する電圧測定ユニットV0から独立して実現された第一及び第二の電圧測定ユニットV1,V2を配備する場合、
図2に図示されている通り、第一及び第二の電圧測定ユニットV1,V2も互いに独立して実現するのが特に有利である。それに代わって、第一の電圧測定ユニットV1だけを配備して、このユニットが、第一の遮断ユニット11と第二の遮断ユニット12の両方に出力直流電圧Uaの値を提供することもできる。
【0050】
有利には、第一の時点t0で出力直流電圧Uaが、第一の電圧閾値Ux1よりも低い第二の電圧閾値Ux2に到達するか、或いはそれを上回ることが検出されるのかを検査する。
図1bに模式的に示されている通り、第一の時点t0から所与の時間間隔T1の経過後の第二の時点t1でも出力直流電圧Uaが第二の電圧閾値Ux2に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaが平均値Uamを上回ると推定される。有利には、第二の電圧閾値Ux2は平均値閾値Uxmに等しい。
【0051】
それにより、第一の時点t0(時間間隔T1の始め)で(ダイナミックな負荷変化やそれに対応した出力直流電圧Uaの短時間の上昇のために)第二の電圧閾値Ux2を短時間上回る場合、第一の電圧閾値Ux1を上回らない限り、遮断は行われない。
【0052】
図3aには、出力直流電圧Uaが確かに第一の時点t0で第二の電圧閾値Ux2に到達して、それを上回るが、時間間隔T1の経過後の第二の時点t1では(最早)第二の電圧閾値Ux2に到達しないか、或いはそれを上回らない、出力直流電圧Uaの例が図示されている。そのため、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断は行われない。この出力直流電圧Uaは、ここでは第一の電圧閾値Ux1に一度も到達しないか、或いはそれを上回らず、それにより、そのことに関しても遮断は行われない。
【0053】
時間間隔T1の経過後の第二の時点t1で出力直流電圧Uaが第二の電圧閾値Ux2よりも高いか、或いはそれに等しい場合、この理由から、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断が行われる。そのような出力直流電圧Uaの推移の例が
図3bに図示されている。
【0054】
第一の時点t0と第二の時点t1を選定するために、有利な手法では、サンプリング時点を使用することができ、その時点に、例えば、電圧測定ユニットV0によって、出力直流電圧が時間に関して離散的にサンプリングされて、時間に関して離散的に測定される。これらのサンプリング時点を選定するために、更に電圧測定ユニットV0の基本サンプリング速度によって決まる基本サンプリング時点を用いることができる。この場合、第一の時点t0と第二の時点t1は、時間的な間隔によって分離され、この時間的な間隔は、例えば、0.01~100msの長さ、有利には、0.1~100msの長さ、特に有利には、1~100msの長さである。この場合、有利には、第一の時点t0と第二の時点t1の間の間隔は固定的に予め与えられる。
【0055】
図3aと
図3bでは、第一の時点t0と第二の時点t1において、それぞれ同じ第二の閾値Ux2を使用することが示されているが、それに代わって、第一の時点t0で第二の閾値Ux2を使用して、時点t1で、第二の閾値Ux2の代わりに第三の閾値Ux3を用いることができる(図示されていない)。この場合、有利な手法では、第三の閾値Ux3は第二の閾値Ux2を下回る。しかし、第二の閾値Ux2を上回る第三の閾値Ux3を選定することが同様に考えられる。
【0056】
有利には、第二の遮断ユニットの一体的な構成部分である計算ユニットにおいて、出力直流電圧Uaの平均値を計算して、平均値閾値Uxmに到達するか、或いはそれを上回ることを検査できる。そのような平均値Uamの推移が
図4に図示されており、同じく出力直流電圧Uaが点線で表示されている。平均値Uamが、xで示された位置で平均値閾値Uxmに到達して、それにより、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断が行われ、このことは、それに対応して低下する曲線から明らかな通り、出力直流電圧Uaの低下を引き起こす。特定された平均値Uamが平均値閾値Uxmよりも低い場合、(出力直流電圧Uaが第一の電圧閾値Ux1に到達するか、或いはそれを上回る場合を除いて)電圧変換器2の少なくとも一部は遮断されない。
【0057】
以下において、第一の限界電圧と限界平均値の考え得る決定例を説明する。
【0058】
この電圧変換器2では、出力直流電圧Uaが超低圧電圧(extra low voltage)の範囲内にあり、更に、過電圧保護部を有すると規定される場合、この電圧変換器2は、PELV(protective extra low voltage)システムと呼ばれる。PELVシステムは、DIN標準EN61800-5-1のVDE0160-105-1:2018-09及びDIN標準EN60204-1のVDE0113-1:2019-06を満たさなければならない。この標準EN61800-5-1は、3.21項において、以下の特性の電気回路を要求する。
- 電圧が、単一の誤り条件と標準条件の両方において、継続的にELVに到達しないか、或いはそれを上回らないこと
- PELV又はSELVと別の回路からの分離保護
- PELV回路、それと接触可能な導電性部分又はその両方のための接地機器
【0059】
4.3.1.1章「該当電圧クラス(DVC)の使用」では、電気的な衝撃に対する保護措置が、回路内の動作電圧の限界値をDVCと関連付ける表3の該当電圧に基づく回路のクラス分けに依存し、それにより、DVCが回路に関して必要な最小保護段階を提示することが詳述されている。
【0060】
この付属する表3は、それに続く4.3.1.2章「DVCの限界値」に記載されており、DVC電圧クラスAに関して、平均値が最大60Vの出力直流電圧を表している。
【0061】
4.3.1.4.3章には、表3を参照して、出力直流電圧の算術平均値が最大で60Vの平均値上限であっても良く、周期的な波高値が最大で平均値上限の1.17倍、即ち、60V*1.17=70.2Vであっても良いとの条件が定義されている。
【0062】
電圧変換器2の最大効率を達成するためには、出力直流電圧Uaを出来る限り高く維持することが望ましい。そのため、過渡的な最大値である周期的な波高値が第一の限界電圧として、即ち、70.2Vに選定される。第一の電圧閾値Ux1が定められて、その値は、有利には、第一の限界電圧以内に、例えば、63Vに定められる。出力直流電圧Uaがこの第一の電圧閾値Ux1に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaを低減するために、電圧変換器2の少なくとも一部の遮断が直ちに行われる。
【0063】
超低圧電圧システム(DVCA)としての分類のために、出力直流電圧Uaに関して、同じく60Vの最大平均値(RMS)が提示されるので、出力直流電圧Uaの第二の限界電圧は、この最大平均値に応じて選定される、即ち、60Vに選定される。平均値閾値Uam及び/又は第二の電圧閾値Ux2の値は、有利には、この第二の限界電圧以内に、例えば、59.25Vに定められる。しかし、第二の電圧閾値Ux2は、第二の限界電圧に等しいとすることもできる。
【0064】
所与の平均値時間間隔tmに渡って、出力直流電圧Uamの平均値Uamが演算されて、この平均値Uamが平均値閾値Uxmを上回るのかが検査される。そうである場合、追加条件Zが満たされて、遮断が行われる。
【0065】
出力直流電圧Uaが第一の電圧閾値Ux1に到達しないか、或いはそれを上回らず、かつ出力直流電圧Uaの平均値が平均値閾値Ux2に到達しないか、或いはそれを上回らない場合、電圧変換器2はDVCAクラスに該当する。
【0066】
この平均値Uamは、上述した通り、継続的に計算して、平均値閾値Uxmと比較するか、出力直流電圧Uaが第一の時点t0と時間間隔T1後の第二の時点t1において(有利には、平均値閾値Uxmに等しい)第二の電圧閾値Ua2に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧Uaが平均値Uamに到達するか、或いはそれを上回ると推定するか、或いはその両方であるとすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧(ue,Ue)を
電圧変換器(2)の出力端に出力される出力直流電圧(Ua)に変換する電圧変換器(2)であって、出力直流電圧(Ua)が第一の電圧閾値(Ux1)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第一の遮断ユニット(11)を有する電圧変換器において、
この電圧変換器(2)の出力端に出力される出力直流電圧
(Ua)の平均値
(Uam)、有利には、平方自乗平均値
(Uam)を継続的に演算して、この出力直流電圧(Ua)の平均値が、平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査して、この平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断を実行するように構成された第二の遮断ユニット(12)が配備されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)が電圧変換器(2)、有利には、第一の遮断ユニット(11)の一体的な構成部分であることを特徴とする電圧変換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)は、出力直流電圧(Ua)が第一の電圧閾値(Ux1)よりも低い第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る第一の時点(t0)を検出して、第一の時点(t0)から所与の時間間隔(T1)の経過後の第二の時点(t1)で出力直流電圧(Ua)が第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回ることを検査して、第一の時点(t0)と第二の時点(t1)の両方で第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)の平均値が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回ると推定するように構成されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)が、出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)を継続的に計算して、平均値閾値(Uxm)と比較するように構成されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
前記の第一の遮断ユニット(11)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V1)が、この電圧変換器(2)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V0)から独立して実現されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
前記の第二の遮断ユニット(12)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V2)が、この電圧変換器(2)に属する、出力直流電圧(Ua)を特定する電圧測定ユニット(V0)から独立して実現されていることを特徴とする電圧変換器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
この電圧変換器(2)が、入力交流電圧(ue)を出力直流電圧(Ua)に変換する整流器であることを特徴とする電圧変換器。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)において、
この電圧変換器(2)が、入力直流電圧(Ue)を出力直流電圧(Ua)に変換する直流電圧変換器であることを特徴とする電圧変換器。
【請求項9】
一定数のアクチュエータと、この一定数のアクチュエータに出力直流電圧(Ua)により電圧を供給する請求項1から8までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)とを備えた長固定子リニアモーター。
【請求項10】
一定数のアクチュエータと、この一定数のアクチュエータに出力直流電圧(Ua)により電圧を供給する請求項1から8までのいずれか一つに記載の電圧変換器(2)とを備えた平面モーター。
【請求項11】
電圧変換器(2)の
出力端に出力される出力直流電圧(Ua)を監視する方法であって、
この電圧変換器(2)は、入力電圧(ue,Ue)を電圧変換器(2)の出力端に出力される出力直流電圧(Ua)に変換し、
第一の遮断ユニット(11)では、第一の電圧閾値(Ux1)が規定され、
出力直流電圧(Ua)が、この第一の電圧閾値(Ux1)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断が行われる、
方法において、
第二の遮断ユニット(12)では、この電圧変換器(2)の出力端に出力される出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)、有利には、平方自乗平均値(Uam)
を継続的に演算して、この出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回るのかを検査することと、
この平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)を低減するために、電圧変換器(2)の少なくとも一部の遮断が行われることと、
を特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
出力直流電圧(Ua)が第一の電圧閾値(Ux1)に到達するか、或いはそれを上回る場合及び/又は前記の平均値(Uam)が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、この電圧変換器(2)の電力スイッチが非活動化されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法において、
第一の電圧閾値(Ux1)よりも低い第二の電圧閾値(Ux2)が規定されることと、
出力直流電圧(Ua)が、この第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る第一の時点(t0)を検出することと、
第一の時点(t0)から時間間隔(T1)の経過後の第二の時点(t1)で出力直流電圧(Ua)が第二の電圧閾値(Ux2)に到達するか、或いはそれを上回る場合に、出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)が平均値閾値(Uxm)に到達するか、或いはそれを上回ると推定することと、
を特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記の第二の電圧閾値(Ux2)が平均値閾値(Uxm)に等しいことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11から14までのいずれか一つに記載の方法において、
出力直流電圧(Ua)の平均値(Uam)を継続的に計算することを特徴とする方法。
【国際調査報告】