(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】二液型マスターバッチ、包装物品、及び方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/22 20060101AFI20230829BHJP
C08G 63/16 20060101ALI20230829BHJP
B65D 65/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C08J3/22 CER
C08J3/22 CEZ
C08G63/16
B65D65/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503466
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 US2021043222
(87)【国際公開番号】W WO2022026412
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518155030
【氏名又は名称】エスダブリューアイエムシー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス、ロブ
(72)【発明者】
【氏名】マルティノーニ、ラファエレ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F070
4J029
【Fターム(参考)】
3E086AA21
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3E086DA08
4F070AA06
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4J029CB06A
4J029JB131
4J029JE022
4J029JF321
(57)【要約】
二液型マスターバッチであって、不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分であって、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)が、少なくとも10のヨウ素価を有する、第1の部分と、酸素消去触媒を含む第2の部分と、を含む、二液型マスターバッチ、包装物品(例えば、プリフォーム及びプラスチック容器)、並びに方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液型マスターバッチであって、
不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分であって、前記第1の部分が、少なくとも10のヨウ素価を有する、第1の部分と、
酸素消去触媒を含む第2の部分と、を含み、
前記第1の部分及び前記第2の部分が各々、別個の固体粒子の形態であるか、又は前記第1の部分が、固体粒子の形態であり、前記第2の部分が、液体の形態であり、かつ前記第1の部分及び前記第2の部分が、包装物品を形成するためのマスターバッチにおいて組み合わされる、二液型マスターバッチ。
【請求項2】
前記第1の部分が、コバルト非含有エステル化触媒を更に含む、請求項1に記載のマスターバッチ。
【請求項3】
前記不飽和熱可塑性ポリマーが、不飽和単位を含むポリエステルコポリマーを含む、請求項1又は2に記載のマスターバッチ。
【請求項4】
前記第1の部分が、前記第1の部分の重量に基づいて、少なくとも25重量%の量で前記不飽和熱可塑性ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項5】
前記不飽和熱可塑性ポリマーが、ブタジエン、ポリブタジエン、及びそれらの混合物から選択されるオレフィン又はポリオレフィンから誘導されるオレフィン構造単位を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項6】
前記第1の部分の前記不飽和熱可塑性ポリマーが、前記第1の部分の重量に基づいて、少なくとも0.5重量%~最大25重量%の量でオレフィン又はポリオレフィンから誘導される、請求項1~5のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項7】
前記酸素消去触媒が、金属、金属の錯体、又は金属の塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項8】
前記酸素消去触媒が、遷移金属含有触媒を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項9】
前記酸素消去触媒が、前記第1の部分及び第2の部分の総重量に基づいて、少なくとも20ppm~最大2000ppm(金属のみ)の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項10】
前記第2の部分が、ポリエステル希釈剤を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項11】
前記第1の部分が、重縮合物分岐剤を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項12】
前記第1の部分が、任意選択的にオレフィンホモ重合防止剤としても機能する酸化防止剤を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項13】
前記第1の部分が、存在する場合、50ppm未満のコバルトを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項14】
存在する場合、5重量%未満のナイロン-MXD6を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の二液型マスターバッチから形成された、プリフォーム。
【請求項16】
請求項15に記載のプリフォームから形成された、プラスチック容器。
【請求項17】
プラスチックボトルである、請求項16に記載のプラスチック容器。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載の二液型マスターバッチを作製する方法であって、
不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分を提供することであって、前記第1の部分が、少なくとも10のヨウ素価を有する、提供することと、
前記第1の部分から固体粒子を形成することと、
酸素消去触媒を含む第2の部分を提供することと、
前記第2の部分から固体粒子又は液体を形成することと、
前記第1の部分と前記第2の部分とを組み合わせて、包装物品を形成するためのマスターバッチを形成することと、を含む、方法。
【請求項19】
包装物品を作製させる方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の二液型マスターバッチを提供することと、
前記マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合させて、混合物を形成することと、
前記マスターバッチとポリエステル希釈剤との前記混合物を250℃~290℃の温度に加熱させることと、
前記加熱された混合物にプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成させることと、
前記プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸させて、包装物品を形成することと、を含む、方法。
【請求項20】
包装物品を作製する方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の二液型マスターバッチを提供することと、
前記マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合して、混合物を形成することと、
前記マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱することと、
前記加熱された混合物からプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成することと、
前記プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸して、包装物品を形成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年7月27日に出願された米国仮特許出願第63/056,963号、2020年8月21日に出願された米国仮特許出願第63/068,964号、及び2020年10月30日に出願された米国仮特許出願第63/107,808号の利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの包装された製品、特に食品及び飲料製品は、パッケージの壁を通しての酸素及び/若しくは水分の吸収又は損失による劣化に影響を受けやすい。したがって、容器は、剛性、半剛性、可撓性、蓋付き、折り畳み可能、又はそれらの組み合わせのいずれであっても、製品のパッケージとして役立つだけでなく、環境からの望ましくない物質の進入を防止するのにも役立つ。
【0003】
大気酸素は、容器中に包装された製品と最も反応性の高い物質の1つである。分子酸素(O2)は、1~4個の電子の付加によって、様々な高反応性中間体種に還元される。実質的に全ての食品及び飲料中に存在する炭素-炭素二重結合は、これらの反応性中間体種との反応に特に影響を受けやすい。得られた酸化生成物は、製品の性能、臭気、及び/又は風味に悪影響を及ぼす。
【0004】
食品、飲料、及び医薬品を含む「酸素感受性」材料は、パッケージ内への外部酸素の侵入を防止すること、及び/又はパッケージ内部(例えば、ヘッドスペース内)に存在する酸素を消去することを含む、特別な包装要件を有する。いくつかの場合、特にオレンジジュース及び醸造産業において、酸素は、真空、不活性ガススパージング、又はその両方によって製品から除去される。しかしながら、これらの方法によって最後の微量の酸素を除去することは困難であり、かつ費用がかかる。
【0005】
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)は、ガラス容器の使用を犠牲にして、瓶詰め及び包装用途に大きく進出しているが、これは主に、バリア特性の必要性が中程度である用途においてである。重要な例は、ソフトドリンクボトルへのPETの使用である。しかしながら、PETバリア特性は、フルーツジュース及びビールなどの酸素感受性ドリンクの包装におけるその使用を限定してきた。
【0006】
ボトルの壁への活性酸素消去剤の組み込みは、パッケージの空洞に到達する酸素の量の排除又は少なくとも制御のための非常に有効な手段を提供する。ボトルの活性酸素消去壁に課されるいくつかの厳しい要求が存在する。1つの考慮事項は、ボトルの比較的薄い壁が、充填、輸送、及び消費者による使用の厳しさに耐えるのに十分な強度並びに剛性であるべきであるということである。ボトル壁の酸素消去能力は、適切な貯蔵寿命及び通常の製品ターンオーバー間隔を可能にするのに十分な能力であるべきである。貯蔵寿命及びターンオーバー間隔は、酸素消去が長期間にわたって起こることを必要とする。ほとんどの包装された製品は、これらの温度での酸素消去活性の必要性が要求される室温で又は冷蔵下で貯蔵かつ輸送される。透明性を必要とする用途では、包装物品は、PETの光学特性に近い光学特性を有するべきである。最後に、好ましい薄肉ボトルは、他のポリエステルボトルとともにリサイクルするのに好適であるべきである。意味のあるものであるためには、リサイクルは、特別な物理的又は化学的処理の必要性なしに行われなければならない。これらの要求の全てではないが多くを満たすように、包装物品(例えば、プラスチックボトルなどのプラスチック容器)において使用するための酸素消去組成物が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、包装物品、並びに包装物品(例えば、プラスチックボトル又はプラスチックトレイなどのプラスチック容器、それらのプリフォーム、並びにプラスチックラップ及びプラスチックフィルム(容器カバーフィルムなど))を作製するための二液型マスターバッチ、並びに方法を提供する。包装物品の製造及びリサイクルを容易にするために、マスターバッチは熱可塑性ポリマーを含む。
【0008】
一実施形態では、二液型マスターバッチであって、不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分であって、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)が、少なくとも10(又は少なくとも15、又は少なくとも20)のヨウ素価を有する、第1の部分と、酸素消去触媒を含む第2の部分と、を含み、第1の部分及び第2の部分が各々、別個の固体粒子の形態であるか、又は第1の部分が、固体粒子の形態であり、第2の部分が、液体の形態であり、かつ第1の部分及び第2の部分が、包装物品を形成するためのマスターバッチにおいて組み合わされる、二液型マスターバッチを提供する。
【0009】
別の実施形態では、二液型マスターバッチから形成されたプリフォームが提供される。別の実施形態では、プリフォームから形成されたプラスチック容器が提供される。
【0010】
方法もまた提供される。
【0011】
一方法では、本明細書に記載の二液型マスターバッチを作製する方法であって、不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分を提供することであって、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)が、少なくとも10のヨウ素価を有する、提供することと、第1の部分から固体粒子(例えば、ペレット)を形成することと、酸素消去触媒を含む第2の部分を提供することと、第2の部分から固体粒子(例えば、ペレット)又は液体を形成することと、第1の部分と第2の部分とを組み合わせて、包装物品を形成するためのマスターバッチを形成することと、を含む、方法が提供される。
【0012】
別の方法では、包装物品を作製させる方法であって、本明細書に記載の二液型マスターバッチを提供することと、マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合させて、混合物を形成することと、マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱させることと、加熱された混合物にプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成させることと、プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸させて、包装物品を形成することと、を含む、方法が提供される。
【0013】
更に別の方法では、包装物品を作製する方法が提供され、本明細書に記載の二液型マスターバッチを提供することと、マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合して、混合物を形成することと、マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱することと、加熱された混合物からプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成することと、プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸して、包装物品を形成することと、を含む、方法が提供される。
【0014】
「ポリマー」及び「ポリマー材料」という用語は、有機ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーなど)、ターポリマーなど、並びにそれらのブレンド及び修飾物を含むが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成は、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称を含むが、これらに限定されない。
【0015】
「熱可塑性」ポリマーという用語は、十分に加熱されると溶融して形状を変化させ、かつ十分に冷却されると硬化する材料を指す。そのような材料は、典型的には、感知できるほどの化学変化を呈することなく、繰り返される溶融及び硬化を受けることができる。対照的に、「熱硬化性」ポリマーは、架橋され、「溶融」しない材料を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、「包装物品」という用語は、それらの最終商業形態並びに中間段階の包装物品の両方を含む。プラスチック容器及び他の包装物品のためにしばしば形成されるプリフォームは、そのような中間段階の一例である。この用語は、少なくとも自立フィルム、ラップ、ボトル、トレイ、容器、クロージャ、クロージャライナなどを含む。
【0017】
本明細書では、「含む(comprise)」という用語及びその変形形態は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に現れる場合には、限定的な意味を有するものではない。そのような用語は、述べられた工程若しくは要素又は工程若しくは要素の群を含むことを意味するが、任意の他の工程若しくは要素又は工程若しくは要素の群を除外することを意味しないことが理解されるであろう。「からなる(consisting of)」とは、「からなる」という語句に続くものを含み、かつそれに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在しなくてもよいことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、この語句の後に列挙された任意の要素を含み、列挙された要素について本開示で特定された活性若しくは作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素が任意選択的であり、それらが列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに応じて存在してもしなくてもよいことを示す。本明細書においてオープンエンド言語(例えば、含む及びその派生語)で列挙される要素又は要素の組み合わせのいずれも、クローズドエンド言語(例えば、からなる及びその派生語)及び部分的クローズドエンド言語(例えば、から本質的になる及びその派生語)で追加的に列挙されると考えられる。
【0018】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利益をもたらし得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、同じか又は他の状況下では、他の実施形態が好ましい場合もあり得る。更に、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の特許請求の範囲が有用でないことを暗示するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0019】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために特定の例が使用され得る一般的なクラスを含む。「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換的に使用される。一覧が続く「のうちの少なくとも1つ」及び「のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、一覧内の項目のうちのいずれか1つ、及び一覧内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、概して、内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含むその通常の意味で使用される。
【0021】
「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0022】
また、本明細書では、全ての数は、「約」という用語によって、特定の実施形態では、好ましくは、「正確に」という用語によって修飾されると想定される。測定された量と併せて本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定を行い、かつ測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想されるような、測定された量の変動を指す。本明細書では、「最大」の数(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0023】
また、本明細書では、数の範囲を端点によって指定する場合には、その範囲内に包含される全ての数、並びに端点(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)及び任意の部分範囲(例えば、1~5は、1~4、1~3、2~4などを含む)を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、20℃~25℃の温度を指す。
【0025】
「範囲内(in the range)」又は「範囲内(within a range)」という用語(及び同様の記述)は、述べられた範囲の終点を含む。
【0026】
本明細書を通して、「一実施形態」、「ある実施形態」、「ある特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへのこの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特性、構成、組成、又は特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場所でそのような語句が出現しても、必ずしも本開示の同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特性、構成、組成、又は特徴は、1つ以上の実施形態では任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0027】
本開示の上記の「開示の概要」は、本開示の各開示された実施形態又は全実装形態を記載することを意図するものではない。以下の記載は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願全体にわたるいくつかの箇所では、実施例の一覧を通してガイダンスが提供され、これらの実施例は、様々な組み合わせで使用され得る。いずれの場合にも、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ働き、排他的な一覧として解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、本明細書で説明される特定の例示的な構造に限定されるべきではなく、むしろ、少なくとも、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びそれらの構造の均等物に及ぶ。本明細書において代替物として明確に記載されている要素のいずれも、必要に応じて任意の組み合わせで、特許請求の範囲に明示的に含まれてもよく、又は特許請求の範囲から除外されてもよい。本明細書では様々な理論及び可能な機構について考察してきたが、そのような考察が特許請求可能な主題を限定する役割を果たすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本開示によるプラスチック容器の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、二液型マスターバッチ、マスターバッチから作製される包装物品(例えば、プラスチックボトル又はプラスチックトレイなどのプラスチック容器、それらのプリフォーム、並びにプラスチックラップ及びプラスチックフィルム(容器カバーフィルムなど))、並びに方法を提供する。このような包装物品は、典型的には、酸素感受性製品を包装するために使用される。好ましい包装物品としては、プラスチックボトル及びそのプレフォームなどのプラスチック容器が挙げられる。マスターバッチは、不飽和ポリマーを含む第1の部分と、酸素消去触媒を含む第2の部分と、を含む。
【0030】
より具体的には、二液型マスターバッチは、少なくとも2つの別個の部分を含む。第1の部分は、不飽和熱可塑性ポリマーを含み、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)は、少なくとも10のヨウ素価を有し、第2の部分は、酸素消去触媒を含む。これらの部分を組み合わせて、マスターバッチを形成し、次いでこれを使用して、包装物品を形成する。例示的な一実施形態では、第1の部分及び第2の部分は各々、別個の固体粒子の形態であり、別の例示的な実施形態では、第1の部分は、固体粒子の形態であり、第2の部分は、液体の形態である。2つの部分は、別々に包装されて、例えば、キットで提供されてもよく、又は2つの部分は、一緒に包装されて、例えば、物理的混合物として提供されてもよい。マスターバッチは、包装物品を形成するのに有効な条件下で、典型的にはポリエステル希釈剤などの他の材料とともに(例えば、射出成形によって)加工される。
【0031】
本明細書では、「二液型」マスターバッチは、典型的には、不飽和ポリマーを含むものと酸素消去触媒を含むものとの2つの部分を含むが、例えば、任意選択的な添加剤を含む1つ以上の他の部分が存在し得る。例えば、両方ともペレットの形態である第1の部分及び第2の部分の両方の外部にある帯電防止剤を使用して、2組のペレットのブレンドを補助し得る。
【0032】
第1の部分は、固体粒子(例えば、ペレット又は顆粒)の形態である。
【0033】
第2の部分は、固体粒子の形態であり得るか、又は液体の形態であり得る。第2の部分の液体形態は、酸素消去触媒を、例えば、鉱油、トリグリセリド油、又は低分子量エステル中に溶解/分散させることによって得ることができる。第2の部分の固体形態は、ポリエステル(例えば、PET)とブレンドされた酸素消去触媒を有する固体粒子の形態であり得る。
【0034】
本明細書では、固体粒子は、例えば、ペレット又は顆粒の形態であり得る。このような粒子は、種々のサイズであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、粒径(すなわち、粒子の最長寸法)は、約3mmの長さであり得る。
【0035】
特定の実施形態では、第1の部分及び第2の部分は各々、別個の固体粒子の形態である。この文脈では、「別個の固体粒子」とは、第1の部分の成分が一組の固体粒子を形成し、第2の部分の成分が別個の組の固体粒子を形成することを意味し、これらの粒子は、所望であれば物理的に一緒にブレンドされ得る。しかしながら、2つの部分の成分は、包装物品(例えば、プラスチック容器プリフォーム)を形成する前に互いに反応するように、互いに緊密に混合されない。(少なくとも)2つの部分の各々の物理的混合物は、「塩コショウ」マスターバッチとみなすことができる。
【0036】
ある特定の実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、多くの場合、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、又は40:60~60:40の重量比で組み合わされる。
【0037】
ある特定の実施形態では、マスターバッチは、周囲条件下で(例えば、50%の相対湿度で周囲25℃の大気の存在下で貯蔵した場合に)貯蔵安定性である。すなわち、特定の実施形態は、窒素下で貯蔵する必要なく貯蔵安定性である。これは、両部分のペレット又は顆粒のブレンドを含む「塩コショウ」マスターバッチに特に当てはまる(かつ有利である)。
【0038】
ある特定の実施形態では、マスターバッチは、存在する場合、5重量%未満(又は1重量%未満、0.5重量%未満、若しくは0.1重量%未満)のナイロン-MXD6(又は一般に任意のタイプのナイロン)を含む。少量のナイロン-MXD6は、プラスチック容器に受動的バリア特性を提供することができるが、MXD6を排除することは、得られたプラスチック容器のリサイクル特性を高める。ナイロン-MXD6は、Mitsubishi Gas Chemical Co.,Ind.によってm-キシレンジアミン(m-xylenediamine、MXDA)から生成される広範囲のポリアミドに与えられる一般名である。それは、MXDAとアジピン酸との重縮合によって生成される結晶性ポリアミドである。Nylon-MXD6は、Nylon 6及びNylon 66とは異なり、主鎖に芳香環を含有する脂肪族ポリアミドである。以下に示す化学配置を参照されたい。
【0039】
【0040】
不飽和ポリマー(第1の部分)
第1の部分は、不飽和ポリマーを含む。第1の部分における不飽和(例えば、二重結合、三重結合)は、酸素と反応し、酸素消去剤として作用する。したがって、不飽和ポリマーは、酸素消去ポリマーと称され得る。
【0041】
第1の部分、典型的には第1の部分中の不飽和ポリマーは、少なくとも10、少なくとも15、又は少なくとも20のヨウ素価を有する。この文脈では、「ヨウ素価」は、1グラムの樹脂当たりのヨウ素のセンチグラムで表され、「Standard Method for Determination of Iodine Values of Tall Oil Fatty Acids」と題されたASTM D 5758-02(2006年再承認)を使用して決定される。特定のヨウ素価を有する第1の部分の文脈では、これは、1グラムの第1の部分の材料当たりのヨウ素のセンチグラムを指す。ヨウ素価は、材料中に存在する二重結合の平均数を特徴付けるための有用な尺度である。
【0042】
本開示の不飽和ポリマーは、任意の好適なサイズであり得る。好ましい実施形態では、不飽和ポリマーは、少なくとも1,000、より好ましくは少なくとも2,000、更により好ましくは少なくとも5,000、及び更により好ましくは少なくとも25,000の数平均分子量(Mn)を有する。好ましくは、不飽和ポリマーは、100,000未満、より好ましくは50,000未満、更により好ましくは35,000未満のMnを有する。
【0043】
不飽和ポリマーは、例えば、射出成形、押出、プレス、鋳造、圧延、又は成形などのプロセスによって(例えば、三次元物品又は自立フィルムに)形成又は成形することができる熱可塑性ポリマーである。
【0044】
ある特定の実施形態では、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー(少なくとも10のヨウ素価を有する)は、不飽和単位を含むポリエステルコポリマーである。この文脈で、不飽和単位は、脂肪族不飽和化合物から誘導される構造単位を指す。この文脈では、テレフタル酸、イソフタル酸などから誘導される構造単位は、不飽和単位ではない(芳香族二重結合は、ヨウ素価試験において記録されない)。
【0045】
不飽和単位は、米国特許第5,399,289号(Speerら)に記載されているようなエチレン性不飽和炭化水素から誘導することができる。不飽和環式又は多環式化合物(例えば、シクロヘキセン又はノルボルネン)も、コポリマーの不飽和単位を形成することができる。ノルボルネン基に関しては、それらは、例えば、ナジック酸又は無水物を使用して、又は無水マレイン酸若しくは別の不飽和モノマー(ポリエステルに組み込むことができる)、次いで、DCPD(dicyclopentadiene:ジシクロペンタジエン)を使用して、ディールス-アルダー反応を行い、その場でノルボルネン基を形成することによって、ポリマーに導入することができる。ノルボルネン基を含有する好適な酸素消去ポリマーは、例えば、米国特許第8,758,644号(Shareら)に記載されている。
【0046】
不飽和は、典型的には、二重結合の形態である。好適な二重結合の例としては、炭素-炭素、炭素-酸素、炭素-窒素、窒素-窒素、又は窒素-酸素が挙げられ、C=C結合が好ましい。
【0047】
好ましくは、不飽和ポリエステルコポリマーは、不飽和オレフィン構造単位(典型的には、骨格セグメント)を含む。
【0048】
ある特定の実施形態では、不飽和オレフィン構造単位を含むポリエステルコポリマーは、ポリエステル及びオレフィン又はポリオレフィンを化合又はブレンドすることによって作製され得る。このような実施形態では、第1の部分は、コポリマー並びにポリエステル及びポリオレフィンを含み得る。典型的には、コポリマーは、溶融相においてポリマー(すなわち、ポリエステル及びポリオレフィン)を緊密に混合するのを助ける相溶化剤として機能する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、エステル交換触媒の存在下でポリエステル及びポリオレフィンを一緒に溶融ブレンドすることを介して形成され、それは、好ましくは、貯蔵安定性及び酸素消去能力を保持するために、酸化触媒として感知できるほどに機能しないエステル交換触媒である。
【0049】
ある特定の実施形態では、不飽和オレフィン構造単位を含むポリエステルコポリマーは、不飽和オレフィン構造単位をポリエステル鎖上にグラフトすることによって作製され得る。
【0050】
不飽和単位を含むポリエステルコポリマーを作製するのに好適なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリエチレンテレフタレートイソフタル酸コポリマー(「PET-I」)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、「PBT」)、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、「PEN」)、ポリブチレンナフタレート(polybutylene naphthalate、「PBN」)、シクロヘキサンジメタノール/ポリエチレンテレフタレートコポリマー(「PET-G」)、又はそれらのコポリマー若しくは混合物が挙げられる。ある特定の実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はそれらのコポリマー若しくは混合物である。特定の好ましい実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート又はそのコポリマーである。
【0051】
不飽和単位を含むポリエステルコポリマーを作製するのに好適な他のポリエステルとしては、米国特許第8,192,676号(Shareら)、国際公開第98/12244号(Amoco Corp.)、及び米国特許第8,476,400号(Joslinら)に記載されているものが挙げられる。
【0052】
ある特定の実施形態では、ポリエステルコポリマーは、エステル化及び/又は縮合中に添加されるオレフィン又はポリオレフィン(例えば、ヒドロキシル末端ポリブタジエン(hydroxyl-terminated polybutadiene、「HTPB」))とともに、イソフタル酸(isophthalic acid、IPA)、テレフタル酸(terephthalic acid、TPA)、エチレングリコール、1-ブタンジオールなどの様々な二官能性成分から形成され得る。市販のポリブタジエンは容易に入手可能であり、例えば、Cray Valleyによって商品名KRASOLで入手可能である。
【0053】
特定の実施形態では、不飽和オレフィン構造単位を含むポリエステルコポリマーは、ブタジエン、ポリブタジエン、及びそれらの混合物から選択されるオレフィン又はポリオレフィンから誘導され得る。特定の実施形態では、オレフィン構造単位は、ポリブタジエンから誘導される。例示的なポリオレフィン、特にポリブタジエンは、国際公開第98/12244号(Amoco Corp.)に記載されている。好ましいポリオレフィン出発物質は、ジヒドロキシ末端ポリブタジエン(HTPB)であるが、無水物末端も好適であり得る。ある特定の実施形態では、ポリオレフィンは、100ダルトン~10,000ダルトンの分子量を有する。
【0054】
ある特定の実施形態では、第1の部分の不飽和ポリマーは、第1の部分の重量に基づいて、少なくとも0.5重量%(少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%)の量でオレフィン又はポリオレフィンから誘導される。ある特定の実施形態では、第1の部分の不飽和ポリマーは、第1の部分の重量に基づいて、最大25重量%(又は最大12重量%、又は最大8重量%)の量でオレフィン又はポリオレフィンから誘導される。
【0055】
ある特定の実施形態では、第1の部分の不飽和ポリマーは、第1の部分の重量に基づいて、少なくとも75重量%(又は少なくとも88重量%、又は少なくとも92重量%)の量でポリエステルから誘導される。ある特定の実施形態では、第1の部分の不飽和ポリマーは、第1の部分の重量に基づいて、最大99.5重量%(又は最大98重量%、又は最大95重量%)の量でポリエステルから誘導される。
【0056】
ある特定の実施形態では、第1の部分は、コバルト非含有エステル化触媒を更に含む。第1の部分で使用されるエステル化触媒は、第1の部分の形成中に使用される典型的なプロセス条件下では酸素消去剤ではない。コバルト非含有エステル化触媒の例としては、チタン、アンチモン、スズ、鉱酸、それらの塩(例えば、有機金属塩)、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
ある特定の実施形態では、不飽和ポリマーは、第1の部分の重量に基づいて、少なくとも25重量%(又は少なくとも30重量%)の量で第1の部分中に存在する。ある特定の実施形態では、不飽和ポリマーは、第1の部分の重量に基づいて、最大100重量%(又は最大75重量%、又は最大70重量%)の量で存在する。第1の部分が100%の不飽和ポリマーを含む場合、第1の部分のペレットは未希釈である。
【0058】
第1の部分は、未希釈の不飽和熱可塑性ポリマー(100重量%)を含み得、これは、次いで、第2の部分と組み合わされて、単層又は多層包装物品の酸素消去層を形成する。あるいは、代替的に、包装物品の酸素消去層の形成前に、それは、例えば、輸送及び貯蔵コストを低減し、かつ/又は第1の部分の不飽和ポリマーの酸素消去能力を保存するのに役立ち得る、1つ以上の追加のポリマー又は添加剤とブレンドすることができる。そのような追加のポリマー又は添加剤は、好ましくは、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマーと相溶性である。例えば、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマーと併せて、同様の物理的特性、例えば、粘度及びガラス転移温度(「Tg」)を有するポリマーが使用され得る。
【0059】
酸素消去触媒(第2の部分)
「酸素消去剤」又は「酸素消去」触媒は、第1の部分の不飽和ポリマーの酸素消去特性を高めることができる化合物である。理論に束縛されるものではないが、触媒は、不飽和ポリマーの不飽和(例えば、二重結合)を活性化して、酸素との相互作用を促進するのを助けると考えられる。例えば、閉鎖したパッケージの内部から酸素を除去する酸素消去反応を触媒し得るか、あるいは閉じ込められた酸素と反応するか又は組み合わせることによって、あるいは無害な生成物を生じる酸化反応を促進することによって、酸素がパッケージの内部に入るのを防ぐ。この消去効果は、包装物品に高い酸素バリア特性を付与する。
【0060】
ある特定の実施形態では、酸素消去触媒は、金属、金属の錯体(例えば、遷移金属を含む有機金属触媒)、又は金属の塩を含む。遷移金属含有触媒が好ましく、コバルト含有触媒が特に好ましい。
【0061】
金属の例としては、鉄、コバルト、銅、マンガン、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられる。他の好適な酸素消去触媒としては、アルミニウム粉末、炭化アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルト粉末、酸化コバルト、塩化コバルト、アンチモン粉末、酸化アンチモン、三酢酸アンチモン、塩化アンチモンIII、塩化アンチモンV、鉄、電解鉄、酸化鉄、プラチナ、アルミナ上プラチナ、パラジウム、アルミナ上パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銅、酸化銅、ニッケル、及び混合金属ナノ粒子(例えば、コバルト酸化鉄ナノ粒子)が挙げられる。コバルト、鉄、ニッケル、銅、又はマンガン化合物が好ましい酸素消去触媒である。
【0062】
コバルト化合物が最も好ましい。典型的には、酸素消去触媒は、金属の塩又は錯体として存在する。塩のアニオンは、無機又は有機であり得る。アニオンの例としては、ハロゲン化物、特に塩化物、アセテート、ステアレート、オクトエートが挙げられる。他の酸素消去剤としては、臭化コバルト(II)及びカルボン酸コバルトが挙げられる。コバルトカルボキシレートはコバルトSICCATOL(Akzo Chemie Nederland B.V.、Amersford、Netherlandsの登録商標)として入手可能である。コバルトカルボキシレートは、C8~C10コバルトカルボキシレートの溶液であり、コバルト(金属として)の濃度は、溶液に対して約10重量%である。
【0063】
ある特定の実施形態では、本開示のマスターバッチは、第1の部分及び第2の部分の総重量に基づいて、少なくとも20ppm(金属のみ)の量で1つ以上の酸素消去触媒を含む。ある特定の実施形態では、本開示のマスターバッチは、第1の部分及び第2の部分の総重量に基づいて、最大2000ppm(金属のみ)の量で1つ以上の酸素消去触媒を含む。上記において、「金属のみ」という語句は、アニオンなどの触媒中の他の材料の存在を排除するものではなく、むしろ、示された濃度が触媒中に存在する金属の量のみに基づくことを示すために使用される。
【0064】
コバルトは第2の部分の好ましい成分であるが、好ましくは、第1の部分中にはコバルトがほとんど又は全く存在しない。ある特定の実施形態では、第1の部分は、存在する場合、50ppm未満(又は30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、1ppm未満、若しくは0.1ppm未満)のコバルトを含む(すなわち、第1の部分に意図的に何も添加されない)。従来のプロセスは、エステル化触媒としてコバルトカルボン酸を(第1の部分において)使用していた。しかしながら、これは、フリーラジカル重合の加速によりオレフィンのホモ重合を増加させる可能性があり、得られたプラスチック容器のヘイズ/濁度を増加させる可能性があり、ホモ重合したオレフィンがプラスチック容器の酸素消去能力を低下させる可能性があるため、望ましくない。また、第1段階におけるコバルトの使用を回避することは、使用中の窒素パージの必要性を低減する。
【0065】
任意選択的な添加剤
二液型マスターバッチは、マスターバッチ又はそれから形成される包装物品(例えば、プリフォーム又はプラスチック容器)に悪影響を及ぼさない1つ以上の任意選択的な添加剤を含み得る。
【0066】
例えば、マスターバッチは、ポリエステル希釈剤と組み合わされ得る。あるいは、二液型マスターバッチの第2の部分は、第2の部分中の酸素消去触媒を希釈するためのポリエステル(例えば、PET)希釈剤を、当業者によって所望される量で更に含み得る。
【0067】
第2の部分はまた、酸素消去触媒を溶解/分散させるための溶媒又は分散剤を含み得る。例としては、鉱油、トリグリセリド油、又は低分子量エステルが挙げられ、これらは、様々な組み合わせで使用され得る。
【0068】
二液型マスターバッチの第1の部分は、必要に応じて、酸素消去性の樹枝状ポリマー又は超分岐ポリマーを含んでもよい(ただし、上述のような触媒は含まない)。例示的なこのようなポリマーは、米国特許第8,476,400号(Joslinら)に記載されている。この酸素消去樹枝状又は超分岐ポリマーは、第1の部分中に存在し得るが、典型的には第2の部分中には存在し得ない。
【0069】
二液型マスターバッチの第1の部分は、重縮合物分岐剤を更に含み得る。例示的な重縮合物分岐剤としては、無水トリメリット酸、脂肪族二無水物、芳香族二無水物、又はそれらの混合物が挙げられる。ピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)は、重縮合物と迅速かつ完全に反応し、また、容易に市販されているので、特に好ましい分岐剤である。使用される場合、これらの分岐剤は、通常、共重縮合物の所望の固有粘度を得るのに十分な量で、典型的には、最大5,000ppm(0.5%)の量で、好ましくは、0~3,000ppmの範囲で、押出機中で使用される。
【0070】
第1の部分はまた、任意選択的に(かつ好ましくは)オレフィンホモ重合防止剤としても機能する酸化防止剤を更に含み得る。このような化合物の例としては、次亜リン酸、リン酸、又はそれらの塩が挙げられる。次亜リン酸、すなわちホスフィン酸が好ましい。それは、リンオキシ酸であり、分子式H3PO2を有する強力な還元剤である。それは、無色の低融点化合物であり、水、ジオキサン、及びアルコールに可溶である。これは、ポリオレフィン(例えば、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、「HTPB」)をポリエステル(例えば、PET)ポリマー骨格上にグラフトするのを補助する。このような酸化防止剤(及び好ましくはオレフィンホモ重合防止剤)は、第1の部分の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で含まれ得る。使用される場合、酸化防止剤は、典型的には、第1の部分の総重量に基づいて、1重量%未満の量で含まれることになる。
【0071】
二液型マスターバッチの第1の部分のための別の任意選択的な添加剤は、乳化剤であり得る。例としては、カルシウム及びマグネシウム塩などのアルカリ金属カルボキシレートが挙げられる。
【0072】
特定の実施形態では、マスターバッチは、帯電防止剤(例えば、エトキシル化トリグリセリド油)、安定剤、押出助剤、乾燥剤、充填剤、目詰まり防止剤、結晶化助剤、耐衝撃性改質剤、ダイ、顔料、及びそれらの混合物から選択される添加剤を(第1の部分若しくは第2の部分のいずれかに、又は1つ以上の他の部分に)更に含み得る。添加剤の他の例、及び好適な量は、米国特許第8,476,400号(Joslinら)に記載されている。
【0073】
包装物品
二液型マスターバッチは、酸素感受性製品を包装するために典型的に使用される包装物品を形成する際に使用するために設計される。
【0074】
好ましい実施形態では、二液型マスターバッチは、プリフォーム(すなわち、プラスチック容器プリフォーム)を形成するために使用される。特定の実施形態では、二液型マスターバッチは、1重量%~6重量%のプリフォーム重量の量で使用される。プリフォームの残りは、典型的には、ポリエステル(例えば、PET)であり、これはリサイクルポリエステル又はヴァージンポリエステルであり得る。
【0075】
このようなプレフォームは、例えば、プラスチックボトル又は食品トレイであり得るプラスチック容器を形成するために使用され得る。プラスチック容器は、単層であっても多層であってもよい。例えば、一実施形態では、プラスチック容器は、単層プラスチック容器(例えば、透明単層飲料容器)であり、別の実施形態では、プラスチック容器は、多層プラスチック容器(例えば、透明単層飲料容器)である。
【0076】
好ましくは、本開示のマスターバッチを使用して作製されたプラスチック容器は、望ましい透明度及び低いヘイズを有する。例えば、本開示のプラスチック容器は、マスターバッチを含まず、ヴァージンPETのみを用いて同じ方式で作製された透明なプラスチック飲料ボトル(例えば、透明なスクリュートップ16.9又は24オンスサイズの飲料ボトル)と同様の透明度(すなわち、透明度の90%以内、多くの場合、ヘイズが少ない)を有する。
【0077】
図1は、外側ねじ山72及び円筒形フランジ73を含むネックフィニッシュを備えた開放上端71を有する例示的なプリフォーム70を示す。ネックフランジの下には、実質的に円筒形の本体部分74が存在し、閉鎖した半球状の底端部75で終端している。側壁は、外側層76、コア層77、及び内側層78を含む3層側壁構造である。例として、内側及び外側(外部)層(78及び76)は、ヴァージンボトルグレードPETであり得、一方、コア層77は、ブレンド(例えば、本明細書に記載される二液型マスターバッチから形成される材料)を含む。プリフォームの下部ベース形成部分では、ブレンド組成物の射出ノズルを清澄にする(したがって、次のプリフォームの調製のためにPETで充填される)ヴァージンPETの最後のショットによって、5層構造が任意選択的に形成され得る。ヴァージンPETの最後のショット79は、ゲートの周りに5層構造を形成し、この場合、ヴァージンPETは、ゲート領域においてプリフォームの外部まで延在する。
図1に示されるプリフォームの寸法及び壁厚は、縮尺どおりではない。任意の数の異なるプリフォーム構造が使用され得る。
【0078】
図2は、
図1に示されるものと同様のプリフォームから吹込み成形され得る代表的なプラスチック容器を示す。容器110は、開放上端111と、実質的に円筒形の側壁112と、閉鎖下端113と、を含む。容器は、プリフォームの同じネックフィニッシュ114及びフランジ115を含み、これらは吹込み成形中に拡張しない。側壁は、複数の垂直方向に細長い対称的に配置された真空パネル118を含む円筒形パネル部分117まで直径が増大する拡張肩部分116を含む。真空パネルは、密封容器内での製品冷却中に形成される真空を緩和するために内側に移動するように設計されている。この場合も、この容器構造は単なる例であり、本発明はいずれの特定のパッケージ構造にも限定されない。
【0079】
方法
本開示のマスターバッチを作製する方法、包装物品(例えば、プラスチック容器)を作製する方法、及び包装物品(例えば、プラスチック容器)を作製させる方法が提供される。
【0080】
一方法では、本明細書に記載の二液型マスターバッチを作製する方法であって、不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分を提供することであって、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)が、少なくとも10のヨウ素価を有する、提供することと、第1の部分から固体粒子(例えば、ペレット)を形成することと、酸素消去触媒を含む第2の部分を提供することと、第2の部分から固体粒子(例えば、ペレット)又は液体を形成することと、第1の部分と第2の部分とを組み合わせて、包装物品を形成するためのマスターバッチを形成することと、を含む、方法が提供される。マスターバッチは、一緒に包装され得る2つの部分の物理的混合物の形態(例えば、ペレット又は顆粒の形態)であり得るか、又はキット中の別々に包装された部分の形態(例えば、ペレット又は顆粒及び液体の形態)であり得る。第1の部分及び第2の部分は、包装物品を形成するのに有効な条件下で組み合わされ、加工される(例えば、射出成形によって)。
【0081】
別の方法では、包装物品を作製させる方法であって、本明細書に記載の二液型マスターバッチを提供することと、マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合させて、混合物を形成することと、マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱させることと、加熱された混合物にプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成させることと、プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸させて、包装物品を形成することと、を含む、方法が提供される。
【0082】
更に別の方法では、包装物品を作製する方法が提供され、本明細書に記載の二液型マスターバッチを提供することと、マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合して、混合物を形成することと、マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱することと、加熱された混合物からプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成することと、プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸して、包装物品を形成することと、を含む、方法が提供される。
【0083】
例示的な実施形態
実施形態1は、二液型マスターバッチであって、不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分であって、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)が、少なくとも10(又は少なくとも15、又は少なくとも20)のヨウ素価を有する、第1の部分と、酸素消去触媒を含む第2の部分と、を含み、第1の部分及び第2の部分が各々、別個の固体粒子の形態であるか、又は第1の部分が、固体粒子の形態であり、第2の部分が、液体の形態であり、かつ第1の部分及び第2の部分が、包装物品を形成するためのマスターバッチにおいて組み合わされる、二液型マスターバッチである。
【0084】
実施形態2は、周囲条件下で(例えば、50%の相対湿度で周囲25℃の大気の存在下で貯蔵した場合に)貯蔵安定性である、実施形態1に記載のマスターバッチである。実施形態3は、第1の部分の不飽和ポリマーが、不飽和単位を含むポリエステルコポリマーを含む、実施形態1又は2に記載のマスターバッチである。実施形態4は、第1の部分の不飽和ポリマーが、不飽和オレフィン構造単位(典型的には、骨格セグメント)を含むポリエステルコポリマーを含む、実施形態3に記載のマスターバッチである。実施形態5は、第1の部分が、ポリエステル及びポリオレフィンを更に含む、実施形態4に記載のマスターバッチである。実施形態6は、第1の部分が、ポリエステル鎖上にグラフトされた不飽和オレフィン構造単位を含む、実施形態4に記載のマスターバッチである。
【0085】
実施形態7は、第1の部分が、エステル化及び/又は縮合中に添加されるポリオレフィン(例えば、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、「HTPB」)とともに、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール、1-ブタンジオールなどの様々な二官能性成分から形成されるポリエステルコポリマーを含む、実施形態3~6のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0086】
実施形態8は、第1の部分が、コバルト非含有エステル化触媒を更に含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態9は、コバルト非含有エステル化触媒としては、チタン、アンチモン、スズ、鉱酸、それらの塩(例えば、有機金属塩)、又はそれらの混合物が挙げられる、実施形態8に記載のマスターバッチである。
【0087】
実施形態10は、不飽和オレフィン単位を含むポリエステルコポリマーが、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリエチレンテレフタレートイソフタル酸コポリマー(「PET-I」)、ポリブチレンテレフタレート(「PBT」)、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(「PEN」)、ポリブチレンナフタレート(「PBN」)、シクロヘキサンジメタノール/ポリエチレンテレフタレートコポリマー(「PET-G」)、又はそれらのコポリマー若しくは混合物から選択されるポリエステルを含む、実施形態3~9のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態11は、ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はそれらのコポリマー若しくは混合物から選択される、実施形態10に記載のマスターバッチである。実施形態12は、ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート又はそのコポリマーから選択される、実施形態11に記載のマスターバッチである。
【0088】
実施形態13は、第1の部分が、第1の部分の重量に基づいて、少なくとも25重量%(又は少なくとも30重量%)の量で不飽和ポリマーを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態14は、第1の部分が、第1の部分の重量に基づいて、最大100重量%(又は最大75重量%、又は最大70重量%)の量で不飽和ポリマーを含む、実施形態13に記載のマスターバッチである。
【0089】
実施形態15は、不飽和ポリマーが、ブタジエン、ポリブタジエン、及びそれらの混合物から選択されるオレフィン又はポリオレフィンから誘導されるオレフィン構造単位を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態16は、オレフィン構造単位が、ポリブタジエンから誘導される、実施形態15に記載のマスターバッチである。実施形態17は、ポリオレフィンが、100ダルトン~10,000ダルトンの分子量を有する、実施形態15又は16に記載のマスターバッチである。
【0090】
実施形態18は、第1の部分の不飽和ポリマーが、第1の部分の重量に基づいて、少なくとも0.5重量%(少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%)の量でオレフィン又はポリオレフィンから誘導される、実施形態1~17のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態19は、第1の部分の不飽和ポリマーが、第1の部分の重量に基づいて、最大25重量%(又は最大12重量%、又は最大8重量%)の量でオレフィン又はポリオレフィンから誘導される、実施形態1~18のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態20は、第1の部分の不飽和ポリマーが、第1の部分の重量に基づいて、少なくとも75重量%(又は少なくとも88重量%、又は少なくとも92重量%)の量でポリエステルから誘導される、実施形態1~19のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態21は、第1の部分の不飽和ポリマーが、第1の部分の重量に基づいて、最大99.5重量%(又は最大98重量%、又は最大95重量%)の量でポリエステルから誘導される、実施形態20に記載のマスターバッチである。
【0091】
実施形態22は、酸素消去触媒が、金属、金属の錯体(例えば、遷移金属を含む有機金属触媒)、又は金属の塩を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態23は、酸素消去触媒が、遷移金属含有触媒を含み、コバルト含有触媒が好ましい、実施形態1~22のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態24は、酸素消去触媒が、第1の部分及び第2の部分の総重量に基づいて、少なくとも20ppm(金属のみ)の量で存在する、実施形態1~23のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態25は、酸素消去触媒が、第1の部分及び第2の部分の総重量に基づいて、最大2000ppm(金属のみ)の量で存在する、実施形態1~24のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0092】
実施形態26は、第2の部分が、ポリエステル(例えば、PET)を更に含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0093】
実施形態27は、第1の部分が、酸素消去樹枝状又は超分岐ポリマーを更に含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0094】
実施形態28は、第1の部分が、重縮合物分岐剤を更に含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態29は、重縮合物分岐剤が、無水トリメリット酸、脂肪族二無水物、芳香族二無水物、又はそれらの混合物を含む、実施形態28に記載のマスターバッチである。
【0095】
実施形態30は、第1の部分が、任意選択的に(かつ好ましくは)オレフィンホモ重合防止剤としても機能する酸化防止剤を更に含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態31は、酸化防止剤が、次亜リン酸又はその塩を含む、実施形態30に記載のマスターバッチである。実施形態32は、第1の部分が、第1の部分の総重量に基づいて、0.1重量%~1重量%の量で酸化防止剤を含む、実施形態30又は31に記載のマスターバッチである。
【0096】
実施形態33は、第1の部分が、乳化剤を更に含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0097】
実施形態34は、帯電防止剤、安定剤、押出助剤、乾燥剤、充填剤、目詰まり防止剤、結晶化助剤、耐衝撃性改質剤、ダイ、顔料、及びそれらの混合物から選択される添加剤を更に含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0098】
実施形態35は、第1の部分が、存在する場合(すなわち、何も意図的に添加されない場合)、50ppm未満(又は30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、1ppm未満、若しくは0.1ppm未満)のコバルトを含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0099】
実施形態36は、存在する場合、5重量%未満(又は1重量%未満、0.5重量%未満、若しくは0.1重量%未満)のナイロン-MXD6を含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態37は、存在する場合、5重量%未満(又は1重量%未満、又は0.5重量%未満)のナイロンを含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0100】
実施形態38は、第1の部分及び第2の部分が各々、別個の固体粒子の形態であり、マスターバッチが、各々の物理的混合物を形成する(それによって、「塩コショウ」マスターバッチを形成する)、実施形態1~37のいずれか1つに記載のマスターバッチである。実施形態39は、第1の部分及び第2の部分を1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、又は40:60~60:40の重量比で含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載のマスターバッチである。
【0101】
実施形態40は、実施形態1~39のいずれか1つに記載の二液型マスターバッチから形成されたプリフォームである。実施形態41は、二液型マスターバッチが、1重量%~6重量%のプリフォーム重量を含む、実施形態40に記載のプリフォームである。
【0102】
実施形態42は、実施形態40又は41のプリフォームから形成されたプラスチック容器である。実施形態43は、プラスチックボトル又は食品トレイである、実施形態42に記載のプラスチック容器である。実施形態44は、単層プラスチック容器(例えば、透明単層飲料容器)である、実施形態42又は43に記載のプラスチック容器である。実施形態45は、多層プラスチック容器(例えば、透明単層飲料容器)である、実施形態42又は43に記載のプラスチック容器である。実施形態46は、マスターバッチを含まず、ヴァージンPETのみを用いて同じ方式で作製された透明なプラスチック飲料ボトル(例えば、透明なスクリュートップ16.9又は24オンスサイズの飲料ボトル)と同様の透明度(すなわち、透明度の90%以内、多くの場合、ヘイズが少ない)を有する、実施形態42~45のいずれか1つに記載のプラスチック容器である。
【0103】
実施形態47は、実施形態1~39のいずれか1つに記載の二液型マスターバッチを作製する方法であって、不飽和熱可塑性ポリマーを含む第1の部分を提供することであって、第1の部分(典型的には、第1の部分の不飽和熱可塑性ポリマー)が、少なくとも10(又は少なくとも15、又は少なくとも20)のヨウ素価を有する、提供することと、第1の部分から固体粒子(例えば、ペレット)を形成することと、酸素消去触媒を含む第2の部分を提供することと、第2の部分から固体粒子(例えば、ペレット)又は液体を形成することと、第1の部分と第2の部分とを組み合わせて、包装物品を形成するためのマスターバッチを形成することと、を含む、方法である。
【0104】
実施形態48は、包装物品を作製させる方法であって、実施形態1~39のいずれか1つに記載の二液型マスターバッチを提供することと、マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合させて、混合物を形成することと、マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱させることと、加熱された混合物にプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成させることと、プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸させて、包装物品を形成することと、を含む、方法である。
【0105】
実施形態49は、包装物品を作製する方法であって、実施形態1~39のいずれか1つに記載の二液型マスターバッチを提供することと、マスターバッチをポリエステル希釈剤と混合して、混合物を形成することと、マスターバッチとポリエステル希釈剤との混合物を250℃~290℃の温度に加熱することと、加熱された混合物からプリフォーム、自立フィルム、又はシートを形成することと、プリフォーム、フィルム、若しくはシートを吹込み及び/又は延伸して、包装物品を形成することと、を含む、方法である。
【0106】
実施形態50は、包装物品が、プラスチックボトルの最終重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の量で二液型マスターバッチを含むプラスチックボトルである、実施形態48又は49に記載の方法である。
【実施例】
【0107】
これらの実施例は単に説明を目的とするものであり、添付の特許請求の範囲を過度に限定することを意味するものではない。本開示の広い範囲を定める数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において定められる数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含む。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0108】
特に明記しない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、百分率、比などは重量によるものであり、実施例において使用される全ての試薬は、例えば、Sigma-Aldrich Company(Saint Louis、Missouri)などの一般的な化学薬品供給業者から入手したか、又は入手可能であるか、あるいは従来の方法によって合成され得る。以下の略語が以下の実施例において使用され得る:ppm=100万分の1、phr=100部のゴム当たりの部、mL=ミリリットル、L=リットル、m=メートル、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、kg=キログラム、g=グラム、min=分、s=秒、hrs=時間、℃=摂氏温度、°F=華氏温度、MPa=メガパスカル、及びN-m=ニュートン-メートル、Mn=数平均分子重量、cP=センチポアズ。
【0109】
例示的なポリエステルの一般的な生成方法
ポリエステルの製造には2つの主な経路が存在する:1)エステル化/縮合経路、及び2)エステル交換経路。両方とも、等量式又は最終生成物を作製するために使用することができる。
【0110】
エステル化/縮合経路
オプション1
a)ポリオール及びヒドロキシル末端ポリブタジエン「HTPB」を反応器に充填し、混合を開始する。次いで、二酸、並びに任意の触媒及び阻害剤を充填する。窒素パージを適用して、反応器中のO2濃度を低下させる。
b)加熱還流(約200~260℃)し、分留塔を介して反応水を除去する。この反応は、大気圧で及び/又はいくらかの分圧下で起こり、グリコール損失を補助し得る。反応水は除去されるが、分離されたあらゆるグリコールは反応器に戻される。
c)バルクグリコールがポリマー鎖上にグラフトされるまで、上記の反応及び分留を継続する。次いで、分留塔から標準凝縮器に切り替えて、反応水を除去する。適切な特性(例えば、分子量、融点)が得られるまで真空を適用する。反応温度は260~280℃に上昇し得る。得られたポリマーを反応器から排出して、ペレットを形成する。
【0111】
オプション2
a)ポリオール及び二酸を触媒及び阻害剤と一緒に反応器に充填する。窒素を適用し、内容物を混合する。加熱還流する(約200~260℃)。分留塔を介して反応水を除去する。この反応は、大気圧で及び/又はいくらかの分圧下で起こり、グリコール損失を補助し得る。反応水は除去されるが、分離されたあらゆるグリコールは反応器に戻される。
b)バルクグリコールがポリマー鎖上にグラフトされるまで、上記の反応及び分留を継続する。次いで、分留塔から標準凝縮器に切り替えて、反応水を除去する。HTPB並びに場合によってはいくつかの触媒及び阻害剤を充填する。適切な特性(例えば、分子量、融点)が得られるまで真空を適用する。反応温度は260~280℃に上昇し得る。得られたポリマーを反応器から排出して、ペレットを形成する。
【0112】
注
a)上記2つの経路のいずれかにおいて。第2段階の縮合反応器は、反応水の除去を補助し、また重要なことにHTPBの共重合を抑制するのを補助するために、共沸溶媒を使用して共沸蒸留下で実施することもできる。
b)二酸及びポリオールのプレポリマーを使用して、HTPBの反応を補助することができる。
c)HTPB又はプレポリマーの酸末端バージョンを使用して、ポリブタジエンの反応を補助し、任意の共重合を最小限に抑え、酸素バリアとしての分散及び性能を補助し得る。
d)IPA及びTPAのメチル化エステルをポリオール及びHTPBと反応させるエステル交換経路も使用することができる。
【0113】
試験方法
ガラス転移(Tg)は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)(例えば、Perkin Elmer、Mettler Toledo Equipment)などの機器を使用することによって決定される。
【0114】
相対粘度又は固有粘度は、以下を使用して決定することができる。
塩化ビニルポリマーの希薄溶液粘度のためのASTM D 1243試験方法、
ポリマーの希釈溶液粘度の標準実施のためのASTM D 2857試験方法、又は
ガラス毛細管粘度計によるポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の固有粘度を決定するためのASTM D 4603試験方法。
【0115】
色は、色彩計(Xrite又はMettler型色彩計など)、及びASTM D2244によるASTM E1347などの色分析試験方法を使用して、決定することができる。
【0116】
(実施例)
以下の実施例は、エステル化及び/又は縮合中に添加されるポリオレフィン(例えば、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、「HTPB」)とともに、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(ethylene glycol、EG)、1-ブタンジオール(BDO)などの様々な二官能性成分から形成されるポリエステルコポリマーと、エステル化及び/又は縮合中に添加されたポリオレフィン(例えば、ヒドロキシル末端ポリブタジエン「HTPB」)とを含むマスターバッチの第1の部分を対象とする。以下の実施例の各々は、エステル化触媒チタン酸テトラブチル(0.03% TnBT)を使用して、エステル化/縮合経路、オプション1(反応時間=4~12時間)を使用して作製した。
【0117】
実施例1:60モル%のTPA、40モル%のIPA、11.965モル%のEG、0.375モル%のHTPB
Tg(DSC)=65.1℃
相対粘度(ASTM D 4603試験方法)=1.048
色b値(ASTM D2244によるASTM E1347)=7.42
実施例2:40モル%のTPA、60モル%のIPA、119.625モル%のEG、0.375モル%のHTPB
Tg(DSC)=66.4℃
相対粘度(ASTM D 4603試験方法)=1.135
色b値(ASTM D2244によるASTM E1347)=12.25
実施例3:50モル%のTPA、50モル%のIPA、117モル%のBDO、2.5モル%のHTPB
Tg(DSC)=24.6℃
相対粘度(ASTM D 4603試験方法)=1.214
【0118】
本明細書で引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、各々が個々に組み込まれたかのように、それらの全体が参照により組み込まれる。記載される本明細書と、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書における開示との間にいずれかの矛盾又は不一致が存在する限り、記載された本明細書が優先することになる。本開示に対する様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかになるであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、そのような実施例及び実施形態は、以下のように本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本開示の範囲とともに、単なる例として提示されることを理解されたい。
【国際調査報告】