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特表2023-537712胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス
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  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図1
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図2
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図3
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図4
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図5
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図6
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図7
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図8
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図9
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20230829BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A61M25/09 512
A61M25/09 530
A61M25/09 516
A61B17/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507588
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 US2021044502
(87)【国際公開番号】W WO2022031818
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,509
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デイトン、ピーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】ゲスラー、ザ サード レイモンド ディ.
(72)【発明者】
【氏名】コマンドゥリ、スリナド
(72)【発明者】
【氏名】マッテソン、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン、マーク ピー.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C267AA29
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB32
4C267BB38
4C267BB40
4C267BB53
4C267CC22
4C267HH03
4C267HH08
(57)【要約】
例えば、胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するための医療デバイスおよびシステム10が開示される。例示的なシステムは、遠位端部を有し、内腔を画定するガイドワイヤ12を含み得る。補強ロッド14は、内腔内に摺動可能に配設され得る。補強ロッドは、遠位端部と、遠位端部に隣接して配設された遠位端部領域とを有し得る。補強ロッドは、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の近位に配設される第1の位置と、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の遠位に配設される第2の位置との間でシフトするように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭窄を処置するためのシステムであって、
遠位端部を有し、内腔を画定するガイドワイヤと、
前記内腔内に摺動可能に配設される補強ロッドであって、遠位端部、および前記遠位端部に隣接して配設された遠位端部領域を有する、補強ロッドと
を備え、
前記補強ロッドは、前記補強ロッドの前記遠位端部が前記ガイドワイヤの前記遠位端部の近位に配設される第1の位置と、前記補強ロッドの前記遠位端部が前記ガイドワイヤの前記遠位端部の遠位に配設される第2の位置との間でシフトするように構成される、システム。
【請求項2】
前記ガイドワイヤは、先端部領域を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記先端部領域は、コイルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コイルは、前記補強ロッドを受け入れるように構成された通路を画定する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記通路は、テーパ領域を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記テーパ領域は、前記通路を通る前記補強ロッドの遠位への並進を限定する停止部を画定する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記補強ロッドは、前記通路の前記テーパ領域と係合するように構成されたショルダー領域を含む、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記補強ロッドが前記第1の位置にある場合、前記遠位端部領域の近位端部は、前記ガイドワイヤの前記遠位端部に隣接して配設される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
胆道および/または膵道に沿った狭窄と交差するための方法であって、
前記胆道および/または膵道に沿った狭窄の方へガイドワイヤ・システムを前進させる工程であって、前記ガイドワイヤ・システムは、
遠位端部を有し、内腔を画定するガイドワイヤ、および
前記内腔内に摺動可能に配設される補強ロッドを備え、前記補強ロッドは、遠位端部、および前記遠位端部に隣接して配設された遠位端部領域を有する、前進させる工程と、
前記補強ロッドの前記遠位端部が前記ガイドワイヤの前記遠位端部の近位に配設される第1の位置から、前記補強ロッドの前記遠位端部が前記ガイドワイヤの前記遠位端部の遠位に配設される第2の位置へ、前記補強ロッドをシフトさせる工程と、
前記ガイドワイヤ・システムを前記狭窄を越えて前進させる工程と
を備える、方法。
【請求項10】
前記ガイドワイヤは、前記補強ロッドを受け入れるように構成された通路を画定する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記通路は、前記通路を通る前記補強ロッドの遠位への並進を限定する停止部を画定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガイドワイヤ・システムを前記狭窄を越えて前進させる工程は、前記補強ロッドの少なくとも一部を前記狭窄を越えて前進させる工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医療デバイスを前記狭窄の方へ逆行する方向に前進させる工程、および前記狭窄を越えた前記補強ロッドの一部を前記医療デバイスに係合させる工程をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記医療デバイスを後退させる工程をさらに備え、前記医療デバイスを後退させる工程は、前記補強ロッドを順行する方向に前進させる工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記補強ロッドを順行する方向に前進させる工程は、前記ガイドワイヤを前記狭窄を越えて前進させる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスと、医療デバイスを製造するための方法とに関する。より詳細には、本開示は、胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な医療デバイスが、医療用途のために開発されてきた。これらのデバイスのいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル等を含む。これらのデバイスは、多様な異なる製造方法のうちのいずれか1つによって製造され、多様な方法のうちのいずれか1つに従って使用され得る。知られている医療デバイスおよび方法の各々が、一定の利点および欠点を有する。代替的な医療デバイスと、医療デバイスを製造し、使用するための代替的な方法とを提供する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、医療デバイスに対する設計、材料、製造方法、および用途代替案を提供する。狭窄を処置するためのシステムが開示される。システムは、遠位端部を有し、内腔を画定するガイドワイヤと、内腔内に摺動可能に配設される補強ロッドであって、遠位端部、および遠位端部に隣接して配設された遠位端部領域を有する、補強ロッドとを備え、補強ロッドは、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の近位に配設される第1の位置と、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の遠位に配設される第2の位置との間でシフトするように構成される。
【0004】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、ガイドワイヤは、先端部領域を備える。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、先端部領域は、コイルを含む。
【0005】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、コイルは、補強ロッドを受け入れるように構成された通路を画定する。通路は、テーパ領域を含む。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、テーパ領域は、通路を通る補強ロッドの遠位への並進を限定する停止部を画定する。
【0006】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、補強ロッドは、通路のテーパ領域と係合するように構成されたショルダー領域を含む。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、補強ロッドが第1の位置にある場合、遠位端部領域の近位端部は、ガイドワイヤの遠位端部に隣接して配設される。
【0007】
胆道および/または膵道に沿った狭窄と交差するための方法が開示される。方法は、胆道および/または膵道に沿った狭窄の方へガイドワイヤ・システムを前進させる工程であって、ガイドワイヤ・システムは、遠位端部を有し、内腔を画定するガイドワイヤ、および内腔内に摺動可能に配設される補強ロッドを備え、補強ロッドは、遠位端部、および遠位端部に隣接して配設された遠位端部領域を有する、前進させる工程と、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の近位に配設される第1の位置から、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の遠位に配設される第2の位置へ、補強ロッドをシフトさせる工程と、ガイドワイヤ・システムを狭窄を越えて前進させる工程とを備える。
【0008】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、ガイドワイヤは、補強ロッドを受け入れるように構成された通路を画定する。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、通路は、通路を通る補強ロッドの遠位への並進を限定する停止部を画定する。
【0009】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、ガイドワイヤ・システムを狭窄を越えて前進させる工程は、補強ロッドの少なくとも一部を狭窄を越えて前進させる工程を含む。
【0010】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、医療デバイスを狭窄の方へ逆行する方向に前進させる工程をさらに備える。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、狭窄を越えた補強ロッドの一部を医療デバイスに係合させる工程をさらに備える。
【0011】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、医療デバイスを後退させる工程をさらに備え、医療デバイスを後退させる工程は、補強ロッドを順行する方向に前進させる工程を含む。
【0012】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、補強ロッドを順行する方向に前進させる工程は、ガイドワイヤを狭窄を越えて前進させる。
狭窄を処置するためのシステムが開示される。システムは、開口遠位端部を有し、内腔を画定するガイドワイヤと、内腔内に摺動可能に配設される補強ロッドであって、遠位端部、および遠位端部に隣接して配設された遠位端部領域を有する、補強ロッドとを備え、補強ロッドは、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部に隣接して配設される第1の位置と、補強ロッドの遠位端部が開口遠位端部を通って延在し、ガイドワイヤの遠位端部の遠位に配設される第2の位置との間でシフトするように構成される。
【0013】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、補強ロッドは、補強ロッドの遠位端部がガイドワイヤの遠位端部の遠位に配設され、遠位端部領域の近位端部がガイドワイヤの遠位端部に隣接して配設される第3の位置にシフトするように構成される。
【0014】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、内腔は、補強ロッドの遠位への並進を限定する停止部を画定するテーパ領域を含む。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、補強ロッドは、テーパ領域と係合するように構成されたショルダー領域を含む。
【0015】
いくつかの実施形態の上記概要は、本開示の開示されている各実施形態またはあらゆる実装を説明するようには意図されていない。以下に続く図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0016】
本開示は、添付の図面に関連して、以下の詳細な説明を考慮すれば、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図2】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図3】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図4】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図5】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図6】本開示による医療デバイス・システムを使用するための例示的な方法を示す図。
図7】本開示による医療デバイス・システムを使用するための例示的な方法を示す図。
図8】本開示による医療デバイス・システムを使用するための例示的な方法を示す図。
図9】本開示による医療デバイス・システムを使用するための例示的な方法を示す図。
図10】本開示による医療デバイス・システムを使用するための例示的な方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、様々な変形例および代替的形態に適しているが、その詳細は、図面において例として図示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、意図は、本発明を説明される特定の実施形態に限定することではないことが理解されるべきである。それどころか、意図は、本開示の趣旨および範囲内に収まる、あらゆる変形例、均等物、および代替案を網羅することである。
【0019】
以下の定義された用語については、特許請求の範囲または本明細書内の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
あらゆる数値は、明示的に示されるか否かに関わらず、「約」という用語によって修正されることが本明細書において想定されている。「約」という用語は、一般に、記載された値と等価である(例えば、同じ機能または結果を有する)と当業者が考慮するであろう数字の範囲を指す。多くの場合において、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数字を含み得る。
【0020】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内のあらゆる数字を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a(ある)」、「an(1つ)」、および「the(その)」は、本内容が他の意味を明確に指示しない限り、複数の参照物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、一般に、本内容が他の意味を明確に指示しない限り、「および/または」を含むその意味において採用される。
【0021】
本明細書における、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への参照は、説明される実施形態が、1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことが留意される。しかしながら、そのような記載は、必ずしも全ての実施形態がその特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを意味するとは限らない。また、特定の特徴、構造、および/または特性が、1つの実施形態に関連して説明される場合、特に明確に断りがない限り、明示的に説明されるか否かに関わらず、そのような特徴、構造、および/または特性が他の実施形態にも関連して使用され得ることが理解されるべきである。
【0022】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同じ番号が振られている図面を参照して読まれるべきである。必ずしも縮尺通りとは限らない図面は、例示的な実施形態を描いており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0023】
内視鏡検査においては、関連付けられた黄疸を伴う、または伴わない腹痛を患者が呈する頻繁な病状が生じる。病因は、通常、胆道樹における何らかのタイプの障害物であり、この障害物が、近位の樹から十二指腸内へ胆汁が自然に流れることを妨げる。その遮断は、管の内腔にできた胆石、または管の壁内にある、もしくは隣接する組織から壁に衝突する腫瘍の結果であり得る。そのような狭窄が発生した場合、狭窄に対して近位の管は拡大し、狭窄に対して遠位の管は、低減された胆汁の流れを受け取る。患者の症状を和らげるために、消化器病専門医は、近位の拡大した管から十二指腸内への胆汁の流れを再開するための方法を見つけ出そうと努める。症状を和らげるために予期されるいくつかの介入は、狭窄にステントを設置して、近位の管をドレーンすること、石を除去すること、および/または同様のことを含み得る。
【0024】
狭窄にステントを設置する最も一般的な方法は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)を行うことであり、ERCPにおいては、側視型内視鏡が、十二指腸内の胆道乳頭部のロケーションに設置され、ガイドワイヤが、乳頭部を通って胆管まで狭窄にわたって逆行的に設置される。そのような手術は、困難なことがある。例えば、狭窄のロケーション、形状、および機構に依存して、近位の管への深部挿管は、不可能ではなくても、困難であり得る。さらに、医師が胆管に対してアクセスしようと試みる場合、医師は膵管にカニューレを不注意に挿入する可能性がある。膵管への不注意な挿管は、膵炎などの合併症につながり得る。これらの問題および他の問題に、例えば、順行性の(例えば、非乳頭状)狭窄交差を利用することによって対処するデバイスおよび方法が、本明細書において開示される。
【0025】
図1は、例示的な医療デバイス・システム10を概略的に描く。システム10は、ガイドワイヤ12と、ガイドワイヤ12内に形成された内腔16内に摺動可能に配設される補強ロッド14とを含み得る。一般に、補強ロッド14は、ガイドワイヤ12に付加的な支持(例えば、補強支持)を提供するように構成される。付加的な支持は、一般に柔軟であり得るガイドワイヤ12が、胆道および/または膵道に沿った狭窄などの狭窄を、より簡単に通過することを可能にし得る。システム10は、一般に、胆道および/または膵道に沿った狭窄を順行的に交差するように設計される。
【0026】
ガイドワイヤ12の構造および形態は、変更してもよい。例えば、ガイドワイヤ12は、ポリマー先端部、ばね先端部、および/または他の構成を含んでもよい。いくつかの場合、例えば、ガイドワイヤ12が、ばね先端部またはコイル先端部を含む場合などにおいて、ガイドワイヤ12は、コイル22を含んでもよく、コイル22は、先端部または先端部領域の一部を画定し得る。いくつかの場合において、コイル22は、ガイドワイヤ12の近位端部の遠位に配設される近位端部を有し得る。他の場合において、コイル22は、ガイドワイヤ12の実質的に全長に延在し得る。コイル22は、補強ロッド14が通過し得る通路としての役割を果たし得る内腔16の一部も画定し得る。ガイドワイヤ12は、その内部に形成された開口部20を有する遠位先端部18も含み得る。開口20は、補強ロッド14の一部がガイドワイヤ12から遠位に外へ前進することができるように、補強ロッド14が開口20を通過させられることを可能にし得る。
【0027】
補強ロッド14の形態は変更し得る。いくつかの場合において、補強ロッド14は、ステンレス鋼などの適切な材料および/または本明細書において開示されている材料などの他の材料から、金属ロッド形態の形態を取り得る。これらの場合のいくつかおよび他の場合において、補強ロッド14は、近位端部領域24と遠位端部領域26とを含み得る。遠位端部領域26は、一般に非外傷性先端部を含んでよく、近位端部領域24よりも低い剛性を有し得る。例えば、遠位端部領域26は、比較的柔軟な材料を含み得る。いくつかの場合において、遠位端部領域26は、その内部に形成された複数のスリットを有するシャフトを含んでもよく、複数のスリットは、近位端部領域24に対する遠位端部領域26の柔軟性を増加させる。代替的に、近位端部領域24よりも高い剛性を有してもよい。例えば、遠位端部領域26は、近位端部領域24に対して固定され得る比較的硬い材料を含み得る。他の場合において、近位端部領域24は、その内部に形成された複数のスリットを有するシャフトを含んでもよく、複数のスリットは、遠位端部領域26に対する近位端部領域24の柔軟性を増加させる(例えば、遠位端部領域26にはスリットがなくてもよい)。
【0028】
本明細書において示されるように、補強ロッド14は、複数の異なる位置間でガイドワイヤ12の内腔16内で摺動するように構成され得る。例えば、図1において、補強ロッド14の遠位端部28は、ガイドワイヤ12の遠位端部30の近位に配設されている。図2は、遠位端部28がガイドワイヤ12の遠位端部の遠位に配設される別の位置における補強ロッド14を示す。この例において、遠位端部領域26の近位端部32は、ガイドワイヤ12の遠位端部30に隣接して配設される。図3は、遠位端部28がガイドワイヤ12の遠位端部の遠位に配設される別の位置における補強ロッド14を示す。この例においては、遠位端部領域26の近位端部32も、ガイドワイヤ12の遠位端部30の遠位に配設される。
【0029】
図4は、本明細書において開示されている他のシステムと形態および機能において同様であり得る、別の例示的なシステム110を示す。システム110は、ガイドワイヤ112と補強ロッド114とを含み得る。補強ロッド114は、遠位端部領域126を含み得る。この例において、補強ロッド114は、テーパ領域またはショルダー134を含み得る。ショルダー134は、補強ロッド114の直径を、先端部118における開口120よりも大きい(および/またはコイル122内に形成された通路よりも大きい)直径へ移行させ得る。そのため、ショルダー134は、ガイドワイヤ112を通る補強ロッド114のさらなる遠位への並進を限定するように、開口120(および/またはコイル122)に係合し得る。
【0030】
図5は、本明細書において開示されている他のシステムと形態および機能において同様であり得る、別の例示的なシステム210を示す。システム210は、ガイドワイヤ212と補強ロッド214とを含み得る。補強ロッド214は、遠位端部領域226を含み得る。補強ロッド214は、テーパ領域またはショルダー234を含み得る。ガイドワイヤ212は、内腔216に沿った停止部236を含み得る。この例において、停止部236は、ガイドワイヤ212に沿ったテーパ領域の形態を取る。ショルダー234は、ガイドワイヤ112を通る補強ロッド114のさらなる遠位への並進を限定するように、停止部236に係合し得る。
【0031】
図6は、胆管系または胆道樹の概観を示す。十二指腸74の一部が示されている。ファータ(Vater)76の乳頭部(例えば、ファータの膨大部または単に乳頭部としても知られている)は、十二指腸74の示された部分に位置する。乳頭部76は、一般に、開口を形成し、この開口において、膵管78および総胆管80は、十二指腸74へと流れ込むことができる。参照符号82によって表される肝管は、肝臓84に対して接続され、胆管80へと流れ込む。同様に、胆嚢88に対して接続されている胆嚢管86も、胆管80へと流れ込む。一般に、内視鏡手術または胆道手術は、医療デバイスを胆道樹に沿った適切なロケーションへ前進させ、次いで、適当な介入を行うことを含み得る。
【0032】
いくつかの場合において、ガイドワイヤ12および/または補強ロッド14を、膵道および/または胆道に沿った狭窄94を過ぎて案内することが望ましいことがある。例えば、図7は、十二指腸74内へ延在する内視鏡90を描く。いくつかの場合において、カテーテルまたはイントロデューサ・シース40は、内視鏡90を通って(例えば、内視鏡90内に形成されたチャネルを通って)前進させられ得る。イントロデューサ・シース40は、内視鏡90のエレベータ92により、十二指腸74の壁の方へ向けられ得る。いくつかの場合において、ニードル/シャープ91は、イントロデューサ・シース40内に配設され得る。ニードル/シャープ91は、十二指腸74の壁を通って、組織を通って、狭窄94に隣接する膵道および/または胆道に沿った位置へと穿孔するのに役立ち得る。この例において、狭窄94は、胆管80に沿って配設されている。
【0033】
狭窄94に交差するために、ガイドワイヤ12は、図8に描かれるように、狭窄94の方へ案内され得る。そうする際に、補強ロッド14は、補強ロッド14の一部がガイドワイヤ12の遠位端部を越えて遠位に延在する位置/構成において配設され得る。いくつかの場合において、補強ロッド14は、図9に描かれるように、狭窄を越えてさらに前進させられ得る。ガイドワイヤ112、212および/または補強ロッド114、214の場合などのように、ガイドワイヤ12および/または補強ロッド14が、停止部/ショルダー/テーパを含む場合において、別の医療デバイスは、逆行する(十二指腸/乳頭部)側から補強ロッド14に対して接近し、補強ロッド14に係合することができ得る。付加的な医療デバイスが、補強ロッド14を引き寄せるために使用されてもよい。そうする際に、補強ロッド14(例えば、補強ロッド114、214)のショルダー/テーパ(例えば、ショルダー134、234)は、ガイドワイヤ12(例えば、ガイドワイヤ112、212)の先端部118、コイル122、および/または停止部236に係合して、ガイドワイヤ12を通る補強ロッド14のさらなる並進を限定し得る。付加的な医療デバイスがさらに引っ張られるにつれて、補強ロッド14(例えば、補強ロッド114、214)のショルダー/テーパ(例えば、ショルダー134、234)と、ガイドワイヤ12(例えば、ガイドワイヤ112、212)の先端部118、コイル122、および/または停止部236との間の係合は、図10に描かれるように、ガイドワイヤ12が狭窄94を越えて/にわたって引っ張られることを可能にし得る。これは、補強ロッド14、ガイドワイヤ12、または両方を、乳頭部76を通って十二指腸74内へ引っ張ることを含み得る。補強ロッド14、ガイドワイヤ12、または両方が十二指腸74内にある状態で、石把持器、ステント送達システム、または同様のものなどの別の処置デバイスが、狭窄94の方へ/にわたってガイドワイヤ12上を逆行するように前進させられ得る。
【0034】
本明細書において開示されているデバイスの様々な構成要素に対して使用され得る材料は、医療デバイスに一般に関連付けられる材料を含み得る。簡単にする目的のために、以下の考察は、ガイドワイヤ12を参照する。しかしながら、これは、本明細書において開示される他の同様の管状部材および/もしくは管状部材の構成要素またはデバイスに対して当該考察が適用され得るので、本明細書において説明されるデバイスおよび方法に限定するようには意図されていない。
【0035】
ガイドワイヤ12および/または補強ロッド14は、金属、金属合金、ポリマー(このいくつかの例は、以下に開示される)、金属ポリマー複合体、セラミックス、これらの組み合わせ、および同様のもの、または他の適切な材料から作成され、またはさもなければ上記を含み得る。適切なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフロオルエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテル・ブロック・エステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルもしくはエステル系共重合体(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレン・エーテル)フタレートおよび/もしくはDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステル・エラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)もしくはElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマー・ポリアミド、ブロック・ポリアミド/エーテル、ポリエーテル・ブロック・アミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)の下で入手可能)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレン・スルフィド(PPS)、ポリフェニレン・オキシド(PPO)、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピル・ビニル・エーテル)(PFA)、エチレン・ビニル・アルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/もしくはSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、または、これらの混合物、組み合わせ、共重合体、ポリマー/金属複合体、ならびに同様のものを含み得る。いくつかの実施形態において、シースには、液晶ポリマー(LCP)が配合されてもよい。例えば、混合物は、最大で約6パーセントのLCPを含有することができる。
【0036】
適切な金属および金属合金のいくつかの例は、304Vステンレス鋼、304Lステンレス鋼、および316LVステンレス鋼などのステンレス鋼、軟鋼、線形弾性および/もしくは超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金、および同様のもの)などの他のニッケル合金、ニッケル銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400、および同様のものなどのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)および同様のものなどのUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル鉄合金、他のニッケル銅合金、他のニッケル-タングステンもしくはタングステン合金、および同様のもの、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)、および同様のものなどのUNS:R30003)、プラチナ富化ステンレス鋼、チタン、これらの組み合わせ、ならびに同様のもの、または任意の他の適切な材料を含む。
【0037】
本開示は、多くの点において、例示に過ぎないことが理解されるべきである。詳細において、特に、形状、サイズ、工程の配置に関して、本開示の範囲を逸脱することなく、変更が行われ得る。これは、適当な範囲内で、1つの例示的な実施形態の特徴のうちのいずれかが他の実施形態において使用されることを含み得る。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現されている文言において定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】