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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】キメラTIM受容体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230829BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230829BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230829BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230829BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230829BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230829BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K16/00 ZNA
C07K19/00
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N5/0783
C12N5/10
A61K35/17
A61P35/02
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/454
A61K31/519
C12N15/12
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510470
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021046014
(87)【国際公開番号】W WO2022036265
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/066,085
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,643
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519106736
【氏名又は名称】セロ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CERO Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】コリー,ダニエル マーク
(72)【発明者】
【氏名】キプニス,ネイサン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AA92Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC12
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086CB06
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、キメラTim受容体、キメラTim受容体分子を含むように改変された宿主細胞、ならびにそのような受容体分子および改変細胞を製造および使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン;または
(ii)Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン
を含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;
(b)一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;
(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインと
を含む単鎖キメラタンパク質を含む、キメラT細胞免疫グロブリンおよびムチン(Tim)受容体。
【請求項2】
結合ドメインが、Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む、請求項1に記載のキメラTim受容体。
【請求項3】
Tim4 IgVドメインが配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim1ムチンドメインが配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むか、またはその両方である、請求項1または2に記載のキメラTim受容体。
【請求項4】
結合ドメインが、Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む、請求項1に記載のキメラTim受容体。
【請求項5】
Tim1 IgVドメインが配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4ムチンドメインが配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むか、またはその両方である、請求項4に記載のキメラTim受容体。
【請求項6】
Tim1 IgVドメインが、配列番号38においてR66G置換を含む改変Tim1 IgVドメインである、請求項1、4または5に記載のキメラTim受容体。
【請求項7】
改変Tim1 IgVドメインが、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載のキメラTim受容体。
【請求項8】
細胞外スペーサードメインをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項9】
細胞外スペーサードメインが、IgG4ヒンジ領域またはCD28ヒンジ領域を含む、請求項8に記載のキメラTim受容体。
【請求項10】
IgG4ヒンジ領域が配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28ヒンジ領域が配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のキメラTim受容体。
【請求項11】
膜貫通ドメインが、Tim1膜貫通ドメイン、Tim4膜貫通ドメイン、またはCD28膜貫通ドメインを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項12】
Tim1膜貫通ドメインが配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4膜貫通ドメインが配列番号6、23もしくは121に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のキメラTim受容体。
【請求項13】
一次細胞内シグナル伝達ドメインが、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項14】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むか、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122に示されるアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載のキメラTim受容体。
【請求項15】
二次細胞内シグナル伝達ドメインが、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項16】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むか、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122に示されるアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のキメラTim受容体。
【請求項17】
(i)結合ドメインがTim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインがTLR8シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(ii)結合ドメインがTim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインがCD28シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがDAP12シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;または
(iii)結合ドメインがTim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインがCD28シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがDAP12シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがCD28膜貫通ドメインを含む、
請求項1に記載のキメラTim受容体。
【請求項18】
(i)Tim4 IgVドメインが配列番号34のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、TLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み;かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(ii)Tim4 IgVドメインが配列番号34のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含み、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9のアミノ酸配列を含み;かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;または
(iii)Tim4 IgVドメインが配列番号34のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含み、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9のアミノ酸配列を含み;かつCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、
請求項17に記載のキメラTim受容体。
【請求項19】
(i)単鎖キメラタンパク質が配列番号67のアミノ酸25~628を含むか;
(ii)単鎖キメラタンパク質が配列番号68のアミノ酸25~416を含むか;または
(iii)単鎖キメラタンパク質が配列番号69のアミノ酸25~422を含む、
請求項17または18に記載のキメラTim受容体。
【請求項20】
(i)単鎖キメラタンパク質が配列番号67のアミノ酸配列を含むか;
(ii)単鎖キメラタンパク質が配列番号68のアミノ酸配列を含むか;または
(iii)単鎖キメラタンパク質が配列番号69のアミノ酸配列を含む、
請求項17~19のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項21】
(a)Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;
(b)一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;
(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインと
を含む単鎖キメラタンパク質を含む、キメラT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン(Tim)受容体。
【請求項22】
Tim1 IgVドメインが配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim1ムチンドメインが配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むか、またはその両方である、請求項21に記載のキメラTim受容体。
【請求項23】
Tim1 IgVドメインが、配列番号38においてR66G置換を含む改変Tim1 IgVドメインである、請求項21または22に記載のキメラTim受容体。
【請求項24】
改変Tim1 IgVドメインが、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載のキメラTim受容体。
【請求項25】
細胞外スペーサードメインをさらに含む、請求項21~24のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項26】
細胞外スペーサードメインが、IgG4ヒンジ領域またはCD28ヒンジ領域を含む、請求項25に記載のキメラTim受容体。
【請求項27】
IgG4ヒンジ領域が配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28ヒンジ領域が配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む、請求項26に記載のキメラTim受容体。
【請求項28】
膜貫通ドメインが、Tim1膜貫通ドメイン、Tim4膜貫通ドメイン、またはCD28膜貫通ドメインを含む、請求項21~27のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項29】
Tim1膜貫通ドメインが配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4膜貫通ドメインが配列番号6もしくは23に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載のキメラTim受容体。
【請求項30】
一次細胞内シグナル伝達ドメインが、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む、請求項21~29のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項31】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むか、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122に示されるアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項30に記載のキメラTim受容体。
【請求項32】
二次細胞内シグナル伝達ドメインが、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む、請求項21~31のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項33】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むか、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122に示されるアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項32に記載のキメラTim受容体。
【請求項34】
(i)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim1シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(ii)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim4シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み;かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(iii)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがCD28シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがCD28膜貫通ドメインを含むか;
(iv)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTRAF6シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(v)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTRAF6シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがCD28膜貫通ドメインを含むか;
(vi)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTRAF2シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(vii)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTRAF2シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがCD28膜貫通ドメインを含むか;
(viii)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTLR8シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(ix)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがCD28シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがDAP12シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがCD28膜貫通ドメインを含むか;または
(x)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがCD28シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがDAP12シグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含む、
請求項21に記載のキメラTim受容体。
【請求項35】
(i)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含み、かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(ii)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み;かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(iii)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含み、かつCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むか;
(iv)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46のアミノ酸配列を含み、かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(v)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46のアミノ酸配列を含み、かつCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むか;
(vi)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48のアミノ酸配列を含み、かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(vii)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48のアミノ酸配列を含み、かつCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むか;
(viii)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、TLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み、かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(ix)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含み、DAP12シグナル伝達ドメイン9、かつCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むか;または
(x)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4のアミノ酸配列を含み、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9のアミノ酸配列を含み、かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、
請求項34に記載のキメラTim受容体。
【請求項36】
(i)単鎖キメラタンパク質が配列番号49のアミノ酸21~456を含むか;
(ii)単鎖キメラタンパク質が配列番号50のアミノ酸21~471を含むか;
(iii)単鎖キメラタンパク質が配列番号51のアミノ酸21~363を含むか;
(iv)単鎖キメラタンパク質が配列番号52のアミノ酸21~590を含むか;
(v)単鎖キメラタンパク質が配列番号53のアミノ酸21~596を含むか;
(vi)単鎖キメラタンパク質が配列番号54のアミノ酸21~619を含むか;
(vii)単鎖キメラタンパク質が配列番号55のアミノ酸21~625を含むか;
(viii)単鎖キメラタンパク質が配列番号56のアミノ酸21~621を含むか;
(ix)単鎖キメラタンパク質が配列番号57のアミノ酸21~415を含むか;または
(x)単鎖キメラタンパク質が配列番号58のアミノ酸21~409を含む、
請求項34または35に記載のキメラTim受容体。
【請求項37】
(i)単鎖キメラタンパク質が配列番号49のアミノ酸配列を含むか;
(ii)単鎖キメラタンパク質が配列番号50のアミノ酸配列を含むか;
(iii)単鎖キメラタンパク質が配列番号51のアミノ酸配列を含むか;
(iv)単鎖キメラタンパク質が配列番号52のアミノ酸配列を含むか;
(v)単鎖キメラタンパク質が配列番号53のアミノ酸配列を含むか;
(vi)単鎖キメラタンパク質が配列番号54のアミノ酸配列を含むか;
(vii)単鎖キメラタンパク質が配列番号55のアミノ酸配列を含むか;
(viii)単鎖キメラタンパク質が配列番号56のアミノ酸配列を含むか;
(ix)単鎖キメラタンパク質が配列番号57のアミノ酸配列を含むか;または
(x)単鎖キメラタンパク質が配列番号58のアミノ酸配列を含む、
請求項34~36のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項38】
(a)(i)Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン;
(ii)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン;
(iii)Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン;または
(iv)Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン
を含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;
(b)Tim1シグナル伝達ドメインまたはTim4シグナル伝達ドメインから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;
(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインと
を含む単鎖キメラタンパク質を含む、キメラT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン(Tim)受容体。
【請求項39】
(a)Tim1 IgVドメインが配列番号38に示されるアミノ酸配列を含み、かつTim1ムチンドメインが配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むか;
(b)Tim4 IgVドメインが配列番号34に示されるアミノ酸配列を含み、かつTim4ムチンドメインが配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むか;
(c)Tim1 IgVドメインが配列番号38に示されるアミノ酸配列を含み、かつTim4ムチンドメインが配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むか;または
(d)Tim4 IgVドメインが配列番号34に示されるアミノ酸配列を含み、かつTim1ムチンドメインが配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項38に記載のキメラTim受容体。
【請求項40】
Tim1 IgVドメインが、配列番号38においてR66G置換を含む改変Tim1 IgVドメインである、請求項38または39に記載のキメラTim受容体。
【請求項41】
改変Tim1 IgVドメインが、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む、請求項40に記載のキメラTim受容体。
【請求項42】
細胞外スペーサードメインをさらに含む、請求項38~41のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項43】
細胞外スペーサードメインが、IgG4ヒンジ領域またはCD28ヒンジ領域を含む、請求項42に記載のキメラTim受容体。
【請求項44】
IgG4ヒンジ領域が配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28ヒンジ領域が配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載のキメラTim受容体。
【請求項45】
膜貫通ドメインが、Tim1膜貫通ドメイン、Tim4膜貫通ドメイン、またはCD28膜貫通ドメインを含む、請求項38~44のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項46】
Tim1膜貫通ドメインが配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4膜貫通ドメインが配列番号6もしくは23に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項45に記載のキメラTim受容体。
【請求項47】
一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim1シグナル伝達ドメインを含む、請求項38~46のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項48】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含む、請求項47に記載のキメラTim受容体。
【請求項49】
一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim4シグナル伝達ドメインを含む、請求項38~46のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項50】
Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124または125に示されるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載のキメラTim受容体。
【請求項51】
二次細胞内シグナル伝達ドメインが、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む、請求項38~50のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項52】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むか、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは26に示されるアミノ酸配列を含むか、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122のアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項51に記載のキメラTim受容体。
【請求項53】
(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;
(b)CD28シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、および4-1BBシグナル伝達ドメインから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにTLR2シグナル伝達ドメインまたはTLR8シグナル伝達ドメインから選択される二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;
(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインと
を含む単鎖キメラタンパク質を含む、キメラT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン(Tim)受容体。
【請求項54】
Tim4 IgVドメインが配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4ムチンドメインが配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むか、またはその両方である、請求項53に記載のキメラTim受容体。
【請求項55】
結合ドメインが配列番号2または42のアミノ酸配列を含む、請求項54に記載のキメラTim受容体。
【請求項56】
細胞外スペーサードメインをさらに含む、請求項53~55のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項57】
細胞外スペーサードメインが、IgG4ヒンジ領域またはCD28ヒンジ領域を含む、請求項56に記載のキメラTim受容体。
【請求項58】
IgG4ヒンジ領域が配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28ヒンジ領域が配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む、請求項57に記載のキメラTim受容体。
【請求項59】
膜貫通ドメインが、Tim1膜貫通ドメイン、Tim4膜貫通ドメイン、またはCD28膜貫通ドメインを含む、請求項53~58のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項60】
Tim1膜貫通ドメインが配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4膜貫通ドメインが配列番号6もしくは23に示されるアミノ酸配列を含むか、またはCD28膜貫通ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項59に記載のキメラTim受容体。
【請求項61】
CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、または4-1BBシグナル伝達ドメインが配列番号100に示されるアミノ酸配列を含む、請求項53~60のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項62】
TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122に示されるアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項53~61のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項63】
三次細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項1~62のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項64】
三次細胞内シグナル伝達ドメインが、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む、請求項63に記載のキメラTim受容体。
【請求項65】
Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF2シグナル伝達ドメインが配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むか、TRAF6シグナル伝達ドメインが配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むか、CD28シグナル伝達ドメインが配列番号4もしくは26に示されるアミノ酸配列を含むか、DAP12シグナル伝達ドメインが配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むか、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むか、TLR2シグナル伝達ドメインが配列番号122のアミノ酸配列を含むか、またはTLR8シグナル伝達ドメインが配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む、請求項64に記載のキメラTim受容体。
【請求項66】
(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;
(b)免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)含有シグナル伝達ドメインを含む一次細胞内シグナル伝達ドメイン;共刺激性シグナル伝達ドメイン、Tim1シグナル伝達ドメイン、またはTim4シグナル伝達ドメインを含む二次細胞内シグナル伝達ドメイン;およびTLRシグナル伝達ドメインを含む三次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;
(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインと
を含む単鎖キメラタンパク質を含む、キメラT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン(Tim)受容体。
【請求項67】
ITAM含有シグナル伝達ドメインが、CD3ζシグナル伝達ドメインまたはDAP12シグナル伝達ドメインである、請求項66に記載のキメラTim受容体。
【請求項68】
共刺激性シグナル伝達ドメインが、4-1BBシグナル伝達ドメインまたはCD28シグナル伝達ドメインである、請求項66または67に記載のキメラTim受容体。
【請求項69】
TLRシグナル伝達ドメインが、TLR2シグナル伝達ドメインまたはTLR8シグナル伝達ドメインである、請求項66~68のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項70】
(i)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim1シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み、かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(ii)結合ドメインがTim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim4シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み;かつ膜貫通ドメインがTim1膜貫通ドメインを含むか;
(iii)結合ドメインがTim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim4シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み;かつ膜貫通ドメインがTim4膜貫通ドメインを含むか;または
(iv)結合ドメインがTim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含み;一次細胞内シグナル伝達ドメインがTim1シグナル伝達ドメインを含み、二次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζシグナル伝達ドメインを含み;かつ膜貫通ドメインがTim4膜貫通ドメインを含む、
請求項38に記載のキメラTim受容体。
【請求項71】
(i)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み;かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(ii)Tim1 IgVドメインが配列番号38のアミノ酸配列を含み、Tim1ムチンドメインが配列番号39のアミノ酸配列を含み、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み;かつTim1膜貫通ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含むか;
(iii)Tim4 IgVドメインが配列番号34のアミノ酸配列を含み、Tim4ムチンドメインが配列番号35のアミノ酸配列を含み、Tim4シグナル伝達ドメインが配列番号45、124もしくは125のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み;かつTim4膜貫通ドメインが配列番号6のアミノ酸配列を含むか;または
(iv)Tim4 IgVドメインが配列番号34のアミノ酸配列を含み、Tim4ムチンドメインが配列番号35のアミノ酸配列を含み、Tim1シグナル伝達ドメインが配列番号44のアミノ酸配列を含み、CD3ζシグナル伝達ドメインが配列番号5もしくは配列番号27のアミノ酸配列を含み;かつTim4膜貫通ドメインが配列番号6のアミノ酸配列を含む、
請求項70に記載のキメラTim受容体。
【請求項72】
(i)単鎖キメラタンパク質が配列番号49のアミノ酸21~456を含むか;
(ii)単鎖キメラタンパク質が配列番号50のアミノ酸21~471を含むか;
(iii)単鎖キメラタンパク質が配列番号59のアミノ酸25~490を含むか;または
(iv)単鎖キメラタンパク質が配列番号60のアミノ酸25~495を含む、
請求項70または71に記載のキメラTim受容体。
【請求項73】
(i)単鎖キメラタンパク質が配列番号49のアミノ酸配列を含むか;
(ii)単鎖キメラタンパク質が配列番号50のアミノ酸配列を含むか;
(iii)単鎖キメラタンパク質が配列番号59のアミノ酸配列を含むか;または
(iv)単鎖キメラタンパク質が配列番号60のアミノ酸配列を含む、
請求項70~72のいずれか一項に記載のキメラTim受容体。
【請求項74】
表2~8のいずれか1つのキメラT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン(Tim)受容体。
【請求項75】
表4の1つまたは複数のコンストラクトでない、請求項74に記載のキメラTim受容体。
【請求項76】
表5の1つまたは複数のコンストラクトでない、請求項74または75に記載のキメラTim受容体。
【請求項77】
請求項1~76のいずれか一項に記載のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項78】
請求項77に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項79】
請求項1~76のいずれか一項に記載のキメラTim受容体、請求項77に記載のポリヌクレオチド、または請求項78に記載のベクターを含む、操作された細胞。
【請求項80】
免疫細胞である、請求項79に記載の操作された細胞。
【請求項81】
T細胞である、請求項80に記載の操作された細胞。
【請求項82】
CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはCD4+/CD8+ T細胞である、請求項81に記載の操作された細胞。
【請求項83】
ヒト細胞である、請求項79~82のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項84】
請求項1~76のいずれか一項に記載のキメラTim受容体、請求項77に記載のポリヌクレオチド、請求項78に記載のベクター、または請求項79~83のいずれか一項に記載の操作された細胞を含む組成物。
【請求項85】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
請求項1~76のいずれか一項に記載のキメラTim受容体、請求項77に記載のポリヌクレオチド、請求項78に記載のベクター、または請求項79~83のいずれか一項に記載の操作された細胞、または請求項84もしくは85に記載の組成物を投与することを含む、対象において疾患を治療する方法。
【請求項87】
疾患ががんである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
がんが、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、腎がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、もしくは肺がん;乳房、前立腺および結腸の腺癌;全ての形態の気管支原性肺癌;骨髄性白血病;黒色腫;肝細胞腫;神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患;ならびに癌腫(例えば、ウォーカー癌腫、基底細胞癌、基底扁平細胞癌、ブラウン・ピアース癌、腺管癌、エールリッヒ癌、クレブス2癌、メルケル細胞癌、粘液性癌、非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、乳頭癌、硬性癌、細気管支癌、気管支原性肺癌、扁平上皮癌および移行上皮癌);組織球性障害;悪性組織球症;白血病;ホジキン病;免疫増殖性小;非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;多発性骨髄腫;慢性骨髄性白血病(CML);形質細胞腫;細網内皮症;黒色腫;軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;脊索腫;頭蓋咽頭腫;未分化胚細胞腫;過誤腫;間葉腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛性腫瘍、腺腫;胆管腫;真珠腫;円柱腫(cyclindroma);嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;男性胚腫;肝細胞腫;汗腺腫;膵島腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫;莢膜細胞腫;平滑筋腫(leimyoma);平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫(myomma);筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節腫;神経膠腫;髄芽腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クローム親和性傍神経節腫;被角血管腫;好酸球増加症を伴う血管リンパ様過形成;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;葉状嚢胞肉腫;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症(nerofibromatosis);子宮頸部異形成、および腹膜がん;B細胞リンパ腫[例として様々な形態のホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)または中枢神経系リンパ腫]を含むB細胞がん、白血病[例として急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病のB細胞芽細胞化]および骨髄腫(例として多発性骨髄腫);小リンパ球性リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、悪性化の可能性をもつB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症、および移植後リンパ増殖性障害である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
追加の治療剤の投与をさらに含む、請求項86~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
追加の治療剤が、放射線照射、細胞免疫療法、抗体、免疫チェックポイント分子阻害剤、化学療法、ホルモン療法、ペプチド、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗炎症剤、UV光療法、電気パルス療法、高密度焦点式超音波療法、腫瘍溶解性ウイルス療法、小分子療法、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
細胞免疫療法がキメラ抗原受容体である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
追加の治療剤が、血管新生阻害剤(例えばVEGF経路阻害剤)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えばEGF経路阻害剤)、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、増殖因子阻害剤、GTPアーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、転写因子阻害剤、B-Raf阻害剤、RAF阻害剤、MEK阻害剤、mTOR阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、BCL-2阻害剤、PI3K阻害剤、VEGFR阻害剤、BCR-ABL阻害剤、MET阻害剤、MYC阻害剤、ABL阻害剤、HER2阻害剤、BTK阻害剤、H-RAS阻害剤、K-RAS阻害剤、PDGFR阻害剤、TRK阻害剤、c-KIT阻害剤、c-MET阻害剤、CDK4/6阻害剤、FAK阻害剤、FGFR阻害剤、FLT3阻害剤、IDH1阻害剤、IDH2阻害剤、PDGFRA阻害剤、またはRET阻害剤を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
BTK阻害剤が、イブルチニブ、ピルトブルチニブ(Loxo-305)、チラブルチニブ、トレブルチニブ、エボブルチニブ、フェネブルチニブ(GDC-0853)、アカラブルチニブ、ONO-4059、スペブルチニブ、ザヌブルチニブ(BGB-3111)、HM71224またはM7583である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
請求項1~76のいずれか一項に記載のキメラTim受容体、請求項77に記載のポリヌクレオチド、請求項78に記載のベクター、または請求項79~83のいずれか一項に記載の操作された細胞、または請求項84もしくは85に記載の組成物を投与することを含む、対象においてエフェクター応答または抗腫瘍効力を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列リストについての申告
本出願に伴う配列リストを、用紙複写物の代わりにテキスト形式において提供し、これによって参照により本明細書に組み込む。配列リストを含有するテキストファイルの名称は、200265_414WO_ST25.txtである。テキストファイルは416KBであり、2021年8月13日に創出され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0002】
抗原への曝露に際して、ナイーブ抗原特異的T細胞は、それらのクローン拡大増殖、分化、および同族抗原を発現する細胞(例えば腫瘍細胞)を死滅させることができる機能的エフェクターT細胞への発達を促進する活性化を受ける。抗原クリアランス後、エフェクターT細胞のうちの大部分がアポトーシスを受け、生存するエフェクターT細胞のサブセットが、抗原再曝露に対する長期的保護を与え得るメモリーT細胞へと分化する。しかしながら、延長された抗原曝露は、T細胞疲弊を引き起こし、腫瘍細胞の持続性を可能にし得る。T細胞疲弊とは、免疫チェックポイント分子(例えばPD-1、CTLA-4、Tim-3)のアップレギュレートされた発現、エフェクター機能の低下、乏しい増殖、および代謝障害によって特徴付けられる持続的TCR刺激を受けるT細胞により獲得される機能不全状態を意味する。キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作されたT細胞もまた、疲弊を発達させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1図1A図1C:T細胞抗原提示機能を評価するためのインビトロ(in vitro)共培養系は、CD3ζシグナル伝達ドメイン(および適宜のCD28シグナル伝達ドメイン)に付加されたTLR細胞内シグナル伝達ドメインを有するキメラTim4受容体を含有するT細胞の添加が、抗原提示細胞(APC)として機能する向上した能力を示すことを示す。図1A:pCTX247およびpCTX1107キメラTim4受容体ならびにE7ペプチドによってパルスされたpCTX1107 T細胞およびそれらの抗原提示能力を評価するためのE7特異的T細胞との共培養の模式図。図1B:E7特異的増殖応答を、E7ペプチドによってパルスされた自家CER-T(TLR含有または非含有CER)の存在下での6日間後に、CT Violet色素希釈物により測定した。図1C:TLR-2 ICD(pCTX1107)の添加は、E7特異的TCRの増殖応答を誘発したが、非TLR含有CERは、比較的刺激性が低かった。全てのデータは、FACSにより収集した。細胞トレーシングは、抗マウスTCRbを用いてE7 TCR-T細胞を示す。E7 TCR-T細胞を、共培養の時点でCT Violetにより標識した。
図2図2:CD3ζシグナル伝達ドメイン(および適宜のCD28シグナル伝達ドメイン)に付加されたTLR細胞内シグナル伝達ドメインを有するキメラTim4受容体を含有するT細胞は、自家E7特異的T細胞応答の強力な刺激因子である。CER-T細胞を、E7ペプチドによってパルスし、自家E7特異的T細胞応答を誘発するそれらの能力について試験した。T細胞活性化マーカーであるCD25を、CER-T細胞がE7ペプチドによってパルスされた24時間後に、E7 TCR-T細胞に対して評価した。CER-T pCTX1107はTLR-2 ICDを含有し、かつE7特異的活性化の強力な刺激因子である。
図3図3:CD3ζシグナル伝達ドメイン(および適宜のCD28シグナル伝達ドメイン)に付加されたTLR細胞内シグナル伝達ドメインを有するキメラTim4受容体を含有するT細胞は、自家E7特異的T細胞応答の強力な刺激因子である。CER-T細胞を、E7ペプチドによってパルスし、自家E7特異的T細胞応答を誘発するそれらの能力について試験した。T細胞活性化の早期マーカーであるCD69を、CER-T細胞がE7ペプチドによってパルスされた24時間後に、E7 TCR-T細胞に対して評価した。CER-T pCTX1107はTLR-2 ICDを含有し、かつE7特異的活性化の強力な刺激因子である。
図4図4:堅牢な細胞表面キメラTim4受容体発現および抗Tim4抗体を用いる検出。キメラTim4受容体細胞表面染色を、形質導入後5日目に抗Tim4抗体(9F4)を用いて評価した。pCTX1107は、TLR-2細胞内配列を含む。レンチウイルスカセットは、p2A断片およびそれに続く切断型EGFRtポリペプチドを含む。
図5図5A図5C:pCTX131 CER-T細胞は、CD1928z CAR-T細胞の効力を向上させる。図5A:CD1928z CAR-T細胞に応答したJeKo-1 MCL細胞に対するPtd-Ser誘導の動態。JeKo-1 MCL細胞を、漸増エフェクター:標的比において共培養し、経時的にPtd-Ser誘導について評価した。動態曲線は、Ptd-Ser結合タンパク質であるrTim-4に結合する生存JeKo-1標的のパーセンテージを表す。図5B上側:JeKo-1細胞を、1:1のT細胞:JeKo-1比において、48時間、pCTX184(1928z)+pCTX131、pCTX184+CTX156対照T細胞またはpCTX184細胞単独と共培養した。CTX184+CER131によって処理された試料は、CTX184単独、またはCTX184+CTX156対照T細胞によって処理された試料と比較した場合、約2日後の培養において実質的に少ない腫瘍細胞を示した。全てのデータを、FACSを介して収集した。図5B下側:48時間の共培養後の残留JeKo-1細胞の列挙のための代表的なフロープロット。図5B上側:残留JeKo-1細胞の棒グラフを計算するために用いた図5B下側からの生フローデータ。図5C:JeKo-1細胞を、0.5:1のT細胞:JeKo-1比において、48時間、pCTX184(1928z)+pCTX131、pCTX184+CTX156対照T細胞またはpCTX184細胞単独と共培養した。CTX184+CER131によって処理された試料は、CTX184単独、またはCTX184+CTX156対照T細胞によって処理された試料と比較して、増大したIFN-γ分泌を示した。
図6図6A図6B:pCTX131キメラTim4受容体-T細胞は、CD1928z CAR-T細胞の効力を向上させる。CD1928z CAR-T(pCTX184、CAR184とも呼ばれる)+pCTX131キメラTim4受容体-T細胞の混合物を評価する細胞傷害応答。図6A:pCTX131キメラTim4受容体-T細胞を、様々な比においてCD1928z CAR-T細胞(pCTX184)と組み合わせ、JekO-1細胞カウントを経時的に定量化した。図6B:カスパーゼ3/7応答。全てのデータは、incucyteを介して収集した。
図7図7A図7B:pCTX133、キメラTim4受容体を含有するTLR-2が、卵巣がんモデルにおいてニラパリブの効力を向上させる。図7A:表面PtdSerのフローサイトメトリー測定。Kuramochi細胞を、1.56もしくは25μMニラパリブを用いて、または同等の容量のDMSO(対照)を用いて処理した。48時間後の試料をトリプシン処理し、Tim4-Fcおよびそれに続くTim4-Fcに対する蛍光標識二次抗体を用いて染色した。図7B:1.56μMニラパリブを用いて約20時間にわたって前処理されたKuramochi細胞を、2:1のT細胞:Kuramochi比および1.56μMの最終ニラパリブ濃度において、pCTX133およびドナー32由来の未形質導入CD4 T細胞と共に共培養した。ニラパリブ+pCTX133を用いて処理された試料は、ニラパリブ単独、またはニラパリブ+未形質導入T細胞を用いて処理した試料と比較したとき、約3日後の培養において、相当少ない腫瘍細胞を示した。全てのデータは、IncuCyteを介して収集した。
図8図8A図8B:血液系腫瘍に対するキメラTim4受容体-T細胞+BTK阻害剤(イブルチニブ)の組合せ。図8A:イブルチニブは、標的細胞上でのホスファチジルセリンの発現を誘導する。図8B:BTK阻害剤小分子と組み合わせた相乗的キメラTim4受容体-T細胞媒介細胞死滅。イブルチニブの存在下で3:1、2:1および1:1のE:Tにおいて共培養されたCTX136(Tim4-CD28-CD3z)T細胞は、空ベクター形質導入細胞またはイブルチニブ処理単独と比較して、死滅の実質的な増大を示した。
図9図9A図9Bは、様々なキメラTim4受容体コンストラクト、pCTX1183、pCTX1161、pCTX1189、pCTX1184、pCTX1163、pCTX1162、pCTX1190、pCTX1186、pCTX1187、pCTX1164、pCTX1185、およびpCTX1165によるJurkat細胞のトランスフェクションを示す。図9Bは、未トランスフェクション細胞に対して標準化されている。
図10図10は、キメラTim4-T細胞による抗原提示によって媒介されるHPV E7 TCR T細胞の活性化が、抗HLA-I抗体により遮断されることを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
一態様においては、本開示は、キメラ貪食受容体(CER)とも称されるキメラT細胞免疫グロブリンムチンタンパク質(Tim)受容体を提供する。本開示のキメラTim受容体は、キメラTim受容体改変宿主細胞(例えばT細胞)に貪食および/または細胞傷害活性を与え、細胞傷害活性は、その標的抗原であるホスファチジルセリンに対するキメラTim受容体の結合に際して誘導される。一部の実施形態においては、キメラTim受容体は、改変宿主細胞(例えばT細胞)に、貪食、細胞傷害性、ならびに向上された抗原捕捉、抗原プロセシング、および抗原提示活性を与える。
【0005】
一部の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体は、(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン;または(ii)Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む、単鎖キメラタンパク質を含む。
【0006】
一部の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体は、(a)Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む、単鎖キメラタンパク質を含む。
【0007】
一部の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体は、(a)(i)Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン;(ii)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン;(iii)Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン;または(iv)Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)Tim1シグナル伝達ドメインまたはTim4シグナル伝達ドメインから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む、単鎖キメラタンパク質を含む。
【0008】
一部の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体は、(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)CD28シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、および4-1BBシグナル伝達ドメインから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにTLRシグナル伝達ドメインから選択される二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む、単鎖キメラタンパク質を含む。
【0009】
一部の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体は、(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)含有シグナル伝達ドメインを含む一次細胞内シグナル伝達ドメイン;共刺激性シグナル伝達ドメイン、Tim1シグナル伝達ドメイン、またはTim4シグナル伝達ドメインを含む二次細胞内シグナル伝達ドメイン;およびTLRシグナル伝達ドメインを含む三次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、単鎖キメラタンパク質を含む。
【0010】
一部の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体の細胞外ドメインは、結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する細胞外スペーサードメインを含んでもよい。
【0011】
一部の実施形態においては、キメラTim受容体はまた、「古典的」T細胞共刺激経路(例えばCD28)とは異なるシグナル伝達経路を介して、T細胞を共刺激することもできる場合がある。例えば、ホスファチジルセリンに結合することに加えて、Tim4はまた、活性化T細胞の表面上に発現するTim1に対するリガンドでもある。Tim1もまた、ホスファチジルセリンに結合することができる。Tim4により誘導されるTim1のシグナル伝達が、T細胞増殖および生存を共刺激することが見出されている(Hartt Meyers et al., 2005, Nat. Immunol. 6:455)。したがって、ある特定の実施形態においては、細胞傷害性キメラTim受容体は、少なくとも1つのシグナル伝達経路を介して共刺激性シグナルを提供することにより、T細胞疲弊を低減もしくは阻害するか、または疲弊したT細胞を回復させることができる。ある特定の実施形態においては、細胞傷害性キメラTim受容体は、少なくとも2つの異なるシグナル伝達経路を介して(例えば細胞傷害性キメラTim受容体における選択された共刺激性シグナル伝達ドメインおよびTim1を介して)、共刺激性シグナルを提供する。
【0012】
一部の実施形態においては、宿主細胞において発現される場合、本開示のキメラTim受容体はまた、宿主細胞に対して貪食活性も与える。例えば、ある特定のそのような実施形態においては、ホスファチジルセリン標的に対する宿主細胞において発現されるキメラTim受容体の結合は、宿主細胞による細胞溶解応答および貪食応答の両方を誘導することができる。本明細書において説明する改変宿主細胞の特定の実施形態においては、キメラTim受容体を用いる改変前に、宿主細胞は、天然には貪食表現型を示さない。
【0013】
別の態様においては、本開示のキメラTim受容体を用いて改変された宿主細胞の投与は、例えばがんの治療のために、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する標的細胞を除去するための方法において用いることができる。正常な健康細胞において、ホスファチジルセリンは、形質膜の内側リーフレット中に位置する。しかしながら、損傷、アポトーシス、壊死、およびストレスなどのある特定の細胞イベントは、細胞表面上にホスファチジルセリンを迅速に曝露させる「スクランブラーゼ」を活性化し、スクランブラーゼは、Tim4またはTim1などの受容体に結合することができる。内因性腫瘍特異的Tエフェクター細胞は、細胞溶解中にターゲティングされる腫瘍細胞の外膜上でのホスファチジルセリンの曝露を誘導することができる。さらに、ある特定のがん療法(例えば化学療法、放射線療法、CAR-T細胞など)は、アポトーシス、細胞ストレス、細胞損傷などを誘導することにより、ターゲティングされた腫瘍細胞または腫瘍微小環境中の細胞上でのホスファチジルセリンの曝露を誘導することができる。本開示のキメラTim受容体を発現する操作された宿主細胞は、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導することにより、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する、損傷腫瘍細胞、ストレスを受けた腫瘍細胞、アポトーシス腫瘍細胞、または壊死腫瘍細胞を一掃することができる。ある特定の実施形態においては、本明細書において開示されるキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、アポトーシスを誘導することにより、および貪食により、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する損傷腫瘍細胞、ストレスを受けた腫瘍細胞、アポトーシス腫瘍細胞、または壊死腫瘍細胞を一掃する。本説明に記載のキメラTim受容体を含む操作された宿主細胞は、単独で、または例えばCAR-T細胞、TCR、抗体、放射線療法、化学療法、小分子、腫瘍溶解性ウイルス、電気パルス療法等を含む1つもしくは複数の追加の治療剤と組み合わせて、対象に投与され得る。
【0014】
別の態様においては、本開示のキメラTim受容体により改変した宿主細胞は、エフェクター応答(例えば腫瘍特異的免疫応答)を向上させるための方法において使用され得る。実施形態においては、本開示のキメラTim受容体により改変した宿主細胞は、抗腫瘍有効性(例えば腫瘍輸送、拡大増殖および持続性)を向上させるための方法において使用され得る。本開示のキメラTim受容体の実施形態は、ホスファチジルセリンの結合に際して、少なくとも1つの共刺激性シグナル伝達経路を介して、T細胞を共刺激することができる。ある特定の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体は、少なくとも2つの異なるシグナル伝達経路を介して、共刺激性シグナルを提供する。ある特定の実施形態においては、向上したエフェクター応答は、向上したT細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害活性、持続性またはそれらの任意の組合せである。本説明に記載のキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、単独で、または例えばCAR-T細胞、TCR、抗体、放射線療法、化学療法、小分子、腫瘍溶解性ウイルス、電気パルス療法等を含む1つもしくは複数の追加の治療剤と組み合わせて、対象に投与され得る。
【0015】
別の態様においては、本開示のキメラTim受容体により改変した宿主細胞は、免疫細胞疲弊を阻害または低減するための方法において使用され得る。ある特定の実施形態においては、免疫細胞疲弊は、T細胞疲弊、NK細胞疲弊、またはその両方を指す。腫瘍細胞は、多くの場合、免疫細胞疲弊(例えば低減した増殖能力、低減したエフェクター機能および免疫抑制性分子のアップレギュレーション)を生じ得る共刺激性リガンドの非存在下において、免疫細胞に対して連続的な抗原刺激を提供し得る。また、がん療法、例として化学療法、放射線療法、CAR-T細胞療法等は、共刺激性シグナルの非存在下において、または共刺激性シグナルの強度もしくは持続期間が制限される場合に、抗原刺激延長を提供し得る。本開示のキメラTim受容体は、ホスファチジルセリンの結合に際して、少なくとも1つの共刺激性シグナル伝達ドメインを介して、免疫細胞を共刺激することができる。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体は、少なくとも2つの異なるシグナル伝達経路を介して、共刺激性シグナルを提供する。キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、単独で、または例えばCAR-T細胞、TCR、抗体、放射線療法、化学療法、小分子、腫瘍溶解性ウイルス、電気パルス療法等を含む1つもしくは複数の追加の治療剤と組み合わせて、対象に投与され得る。
【0016】
一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体により改変した宿主細胞(例えばT細胞)は、向上した抗原捕捉、抗原プロセシングおよび抗原提示活性を示す。キメラTim受容体の食作用受容体部分へのリガンド結合は、T細胞活性化、シグナル伝達、細胞溶解機能、サイトカインおよびケモカインの産生、標的細胞の部分的貪食、および標的細胞抗原の提示をもたらす下流転写プログラムを含む事象のカスケードを媒介する。非食作用性または弱食作用性免疫細胞、例として成熟ポリクローナルT細胞におけるキメラTim受容体の発現は、標的細胞断片の貪食を通した抗原特異的捕捉を可能にし、かつこれを向上させ得る。一部の実施形態においては、キメラTim受容体媒介抗原捕捉の追加される機能性は、プライミングされた腫瘍細胞標的に対する直接的な細胞溶解活性を誘発しながら、非ターゲティング抗原の向上された提示を支持する。
【0017】
本説明に記載のキメラTim受容体と細胞免疫療法、例えばCARまたはTCRとを含む組合せ療法組成物および方法のために、キメラTim受容体および細胞免疫療法剤(例えばCARまたはTCR)は、二重特異性多機能性操作細胞を生成するために、別々の操作細胞上に発現されるか、または同じ操作細胞上に発現され得る。同じ操作細胞上に発現されるキメラTim受容体および細胞免疫療法剤は、別々のベクターから、またはマルチシストロン性コンストラクトと同じベクター上で発現され得る。
【0018】
別の態様においては、本開示のキメラTim受容体により改変した宿主細胞は、細胞ストレス、損傷、壊死またはアポトーシスを誘導する治療剤の効果を向上させるために使用され得る。例えば、ある特定の治療剤、例として化学療法、がんと関連付けられるドライバー変異の特異的阻害剤(ターゲティング療法、例としてBRAF阻害剤、EGRF阻害剤、ALK/ROS1キナーゼ阻害剤、BTK阻害剤)、放射線療法、UV光療法、電気パルス療法、養子細胞免疫療法(例えば、CAR-T細胞、TCR)および腫瘍溶解性ウイルス療法は、腫瘍細胞または疾患細胞において細胞損傷または細胞死を誘導し得る。本明細書において説明するキメラTim受容体を発現する細胞は、そのような治療剤のうちの任意の1つまたは複数から生じる損傷細胞または死滅過程の細胞の外側リーフレット上に曝露されるホスファチジルセリン部分に結合し、かつターゲティングされた細胞の細胞溶解または細胞溶解と貪食との両方を誘導することができる。
【0019】
本開示をより詳細に示す前に、本明細書において使用されるある特定の用語の定義を提供することは本開示の理解に役立ち得る。
【0020】
本説明において、任意の濃度範囲、割合範囲、比の範囲または整数範囲は、別に示されない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値、および適切な場合、その分数(例として整数の10分の1および100分の1)を含むと理解されるべきである。また、任意の物理的特色、例としてポリマーサブユニット、サイズまたは厚さに関する本明細書において列挙される任意の数値範囲は、別に示されない限り、列挙される範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書において使用されるとき、「約」という用語は、別に示されない限り、示される範囲、値または構造の±20%を意味する。「a」および「an」という用語は、本明細書において使用されるとき、列挙される成分のうちの「1つまたは複数」を指すことが理解されるべきである。選択肢[例えば「または(or)」]の使用は、選択肢のいずれか1つ、両方またはその任意の組合せを意味すると理解されるべきである。本明細書において使用されるとき、「~を含む(include)」、「~を有する(have)」および「~を含む(comprise)」という用語は、同義的に使用され、その用語およびその変形は、非限定的であると解釈されることが意図される。
【0021】
抗体技術の分野における当業者によって理解される用語は各々、本明細書において明確に異なって定義されない限り、当該技術分野において得られる意味を与えられる。「抗体」という用語は、最も広範な意味において使用され、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。「抗体」とは、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)を含むインタクトな抗体、および標的分子を結合する能力を有するか、または保持するインタクトな抗体の抗原結合性部分(または抗原結合性ドメイン)を指し得る。抗体は、免疫グロブリンの天然、組換え産生、遺伝子操作または改変形態、例えばイントラボディ、ペプチボディ(peptibody)、ナノボディ、単一ドメイン抗体、SMIP、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、タンデムジ-scFv、タンデムトリ-scFv、ADAPTIR)であり得る。モノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、非ヒト、キメラ、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分、好ましくはヒト化またはヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であり得る。免疫グロブリン構造および機能は、例えばHarlow et al., Eds., Antibodies: A Laboratory Manual, Chapter 14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, 1988)において概略されている。インタクトな抗体の「抗原結合性部分」または「抗原結合性ドメイン」は、「抗体断片」を包含することを意味し、これは、インタクトな抗体の一部を示し、インタクトな抗体の抗原性決定可変領域または相補性決定領域を指す。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片、Fab’-SH、F(ab’)、ディアボディ、線形抗体、scFv抗体、VHならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。「Fab(fragment antigen binding)」は、抗原に結合する抗体の一部であり、可変性領域と鎖間ジスルフィド結合を介して軽鎖に連結された重鎖のCH1とを含む。抗体は、IgGおよびそのサブクラス(IgG、IgG、IgG、IgG)、IgM、IgE、IgAならびにIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体であり得る。
【0022】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は一般的に、同様の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR:framework region)および3つのCDRを含む[例えばKindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照のこと]。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を与えるために十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使用して単離され、それぞれ、相補的VLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングしてもよい。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0023】
「超可変領域」または「HVR」と同義である「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、抗原特異性および/または結合親和性を与える、抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことが当該技術分野において公知である。一般的に、各重鎖可変領域における3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)および各軽鎖可変領域における3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)が存在する。
【0024】
本明細書において使用されるとき、「結合ドメイン」、「結合領域」および「結合部分」という用語は、標的分子(例えばホスファチジルセリン)と特異的かつ非共有結合的に結合、会合、合体、認識または合同する能力を有する分子、例としてペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。結合ドメインは、目的の生体分子または他の標的についての任意の天然、合成、半合成または組換え産生結合パートナーを含む。一部の実施形態においては、結合ドメインは、抗原結合性ドメイン、例として抗体またはその機能的結合ドメインもしくは抗原結合性部分である。例示的な結合ドメインには、単鎖抗体可変領域(例えばドメイン抗体、sFv、scFv、Fab)、受容体外部ドメイン(例えばTim4)、リガンド(例えばサイトカイン、ケモカイン)または生体分子に結合する特異的能力について選択される合成ポリペプチドが含まれる。
【0025】
「T細胞受容体」(TCR:T cell receptor)とは、一般的に主要組織適合抗原複合体(MHC:major histocompatibility complex)分子に結合した抗原を認識することの原因である、T細胞(Tリンパ球とも呼ばれる)の表面上に見られる分子を指す。TCRは一般的に、ほとんどのT細胞において高度に可変性のαおよびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても公知)のジスルフィド結合ヘテロ二量体からなる。T細胞の小サブセットにおいては、TCRは、γおよびδ鎖(それぞれ、TCRγおよびTCRδとしても公知)のヘテロ二量体からなる。TCRの各鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーの一員であり、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域およびC末端の短い細胞質尾部を有する(Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照のこと)。本開示のTCRは、ヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヤギ、ウマまたは他の哺乳動物を含む様々な動物種からのTCRであり得る。TCRは、細胞結合性(すなわち、膜貫通領域またはドメインを有する)であっても、可溶性形態であってもよい。TCRには、例えばscTCR、可溶性TCR、TCR融合コンストラクト[TRuC(商標);米国特許出願公開第2017/0166622号を参照のこと]を含むTCRの組換え産生、遺伝子操作、融合または改変形態が含まれる。
【0026】
TCR α鎖(Vα)およびβ鎖(Vβ)、またはγδTCRのVγおよびVδの「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、TCRの抗原への結合に関与する。ネイティブTCRのVαおよびVβは一般的に、同様の構造を有し、各可変ドメインは4つの保存されたFRおよび3つのCDRを含む。Vαドメインは、2つの別々のDNAセグメントである、可変遺伝子セグメント(V遺伝子)および接合遺伝子セグメント(J遺伝子)によってコードされ;Vβドメインは、3つの別々のDNAセグメントである、可変遺伝子セグメント(V遺伝子)、多様性遺伝子セグメント(D遺伝子)および接合遺伝子セグメント(J遺伝子)によってコードされる。単一のVαまたはVβドメインは、抗原結合特異性を与えるために十分であり得る。「主要組織適合抗原複合体分子(MHC分子)」とは、ペプチド抗原を細胞表面へデリバリーする糖タンパク質を指す。MHCクラスI分子は、膜貫通α鎖(3つのαドメインを有する)および非共有結合的に会合したβ2ミクログロブリンからなるヘテロ二量体である。MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβからなり、その両方は膜を貫通している。各鎖は、2つのドメインを有する。MHCクラスI分子は、細胞質ゾルに起源を有するペプチドを細胞表面へデリバリーし、細胞表面においてペプチド:MHC複合体は、CD8T細胞によって認識される。MHCクラスII分子は、小胞系に起源を有するペプチドを細胞表面へデリバリーし、細胞表面においてそれらは、CD4T細胞によって認識される。MHC分子は、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物を含む様々な動物種からのMHC分子であり得る。
【0027】
「キメラ抗原受容体」(CAR)とは、2つまたはそれよりも多い別個のドメインを含むキメラタンパク質を指し、細胞表面上に発現した場合、受容体として機能し得る。CARは一般的に、標的抗原に結合する結合ドメインを含む細胞外ドメイン、適宜の細胞外スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメイン[例えば免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM:immunoreceptor tyrosine-based activation motif)含有T細胞活性化モチーフ、および適宜、細胞内共刺激性ドメイン]からなる。ある特定の実施形態においては、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAM含有T細胞活性化ドメイン(例えばCD3ζ)および細胞内共刺激性ドメイン(例えばCD28)を有する。ある特定の実施形態においては、CARは、単一のポリペプチド鎖として合成されるか、または単鎖ポリペプチドとして核酸分子によってコードされる。
【0028】
特定の標的に特異的に結合する本開示の結合ドメインを特定するため、および結合ドメイン親和性を決定するための様々なアッセイ、例としてウェスタンブロット、ELISA、およびBIACORE(登録商標)分析が公知である(また、例えばScatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660, 1949;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号またはその均等物を参照のこと)。本明細書において使用されるとき、「特異的に結合する」とは、結合ドメインまたはその融合タンパク質の、標的分子への、10-1に等しいか、またはそれよりも大きい親和性またはK(すなわち、1/Mの単位による特定の結合相互作用の平衡会合定数)による会合または合体であって、一方で、試料中の他の任意の分子または成分とは顕著に会合または合体しないことを指す。
【0029】
「抗原」および「Ag」という用語は、免疫応答を誘導することができる分子を指す。誘導される免疫応答は、抗体産生、特異的免疫学的コンピテント細胞の活性化またはこの両方を含み得る。タンパク質、糖タンパク質および糖脂質を含む高分子は、抗原として働き得る。抗原は、組換えまたはゲノムDNAに由来し得る。本明細書において企図されるとき、抗原は、(i)遺伝子の全長ヌクレオチド配列によって単独で、または(ii)「遺伝子」によって、コードされる必要は全くない。抗原は生成されても、合成されてもよく、または抗原は生体試料に由来してもよい。そのような生体試料は、組織試料、腫瘍試料、細胞または生体体液を含み得るが、これらに限定されない。
【0030】
「エピトープ」または「抗原性エピトープ」という用語には、同族免疫結合分子、例として抗体もしくはその断片(例えばscFv)、T細胞受容体(TCR)、キメラTim受容体または他の結合分子、ドメインもしくはタンパク質が特異的に結合する任意の分子、構造、アミノ酸配列または抗原内のタンパク質決定基が含まれる。エピトープ決定基は一般的に、分子の化学的活性表面群、例としてアミノ酸または糖側鎖を含有し、特異的三次元構造特徴および特異的電荷特徴を有し得る。エピトープは、線形エピトープまたはコンフォメーションエピトープであり得る。
【0031】
本明細書において使用されるとき、「TimD4」としても知られる「Tim4」(T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質4)という用語は、マクロファージおよび樹状細胞などの抗原提示細胞上に典型的に発現されるホスファチジルセリン受容体を指す。Tim4は、細胞膜の外表面(外側)リーフレット上にホスファチジルセリン(PtdSer)を提示する、アポトーシス細胞、壊死細胞、損傷細胞、傷害細胞、またはストレスを受けた細胞の食作用を媒介する。Tim4はまた、T細胞の表面上に発現するTim1に結合し、かつ増殖および生存を誘導することもできる。ある特定の実施形態においては、Tim4とは、ヒトTim4を指す。例示的なヒトTim4タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0032】
本明細書において使用されるとき、「Tim4結合ドメイン」という用語は、PtdSerに選択的に結合する金属イオン依存的ポケットを保有する、Tim4のN末端免疫グロブリンフォールドドメインを指す。例示的なヒトTim4結合ドメインは配列番号2のアミノ酸配列を含み、かつ例示的なマウスTim4結合ドメインは配列番号24のアミノ酸配列を含む。
【0033】
Tim4結合ドメインは、可変免疫グロブリン(IgV)様ドメイン(「IgVドメイン」と本明細書において呼ばれる)およびムチン様ドメイン(「ムチンドメイン」と本明細書において呼ばれる)を含む。例示的なヒトTim4 IgVドメインは配列番号34のアミノ酸配列を含み、かつ例示的なヒトTim4ムチンドメインは配列番号35のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態においては、Tim4結合ドメインは、シグナルペプチドを含まない。例示的なヒトTim4シグナルペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列を有する。例示的なマウスTim4シグナルペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を有する。
【0034】
本明細書において使用されるとき、「Tim1」(T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質1)という用語は、T細胞の表面上に発現するホスファチジルセリン受容体を指す。上記に記載される通りのTim1はまた、抗原提示細胞の表面上に発現するTim4に結合することができる。ある特定の実施形態においては、Tim1とは、ヒトTim1を指す。例示的なヒトTim1タンパク質は、配列番号36のアミノ酸配列を含む。
【0035】
本明細書において使用されるとき、「Tim1結合ドメイン」という用語は、PtdSerに選択的に結合するTim1のN末端免疫グロブリンフォールドドメインを指す。例示的なヒトTim1結合ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含む。
【0036】
Tim1結合ドメインは、IgVドメインおよびムチンドメインを含む。例示的なヒトTim1 IgVドメインは配列番号38のアミノ酸配列を含み、かつ例示的なヒトTim1ムチンドメインは配列番号39のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態においては、Tim1結合ドメインは、シグナルペプチドを含まない。例示的なヒトTim1シグナルペプチドは、配列番号40のアミノ酸配列を有する。
【0037】
本明細書において使用されるとき、「エフェクタードメイン」は、適切なシグナルを受容した場合エフェクタードメインを発現する細胞内の生物応答または生理応答を直接的または間接的に促進し得る融合タンパク質または受容体の細胞内部分である。ある特定の実施形態においては、エフェクタードメインは、結合した場合シグナルを受容するタンパク質またはタンパク質複合体の部分であるか、またはエフェクタードメインからのシグナルを誘発する標的分子に直接的に結合する。エフェクタードメインは、それが免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)などの1つまたは複数のシグナル伝達ドメインまたはモチーフを含有する場合、細胞応答を直接的に促進し得る。他の実施形態においては、エフェクタードメインは、細胞応答を直接的に促進する1つまたは複数の他のタンパク質と会合することによって細胞応答を間接的に促進する。
【0038】
本明細書において使用されるとき、「共刺激性シグナル伝達ドメイン」とは、主要な、または古典的な(例えばITAM駆動)活性化シグナル(例えば、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインにより提供される)と共に活性化された場合、T細胞応答、例としてT細胞活性化、サイトカイン産生、増殖、分化、生存、エフェクター機能、またはそれらの組合せを促進する、または向上させる、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはその機能的部分を指す。共刺激性シグナル伝達ドメインには、例えばCD27、CD28、CD40L、GITR、NKG2C、CARD1、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD226、CD270(HVEM)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、LFA-1、LIGHT、NKG2C、SLP76、TRIM、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0039】
本明細書において使用されるとき、「免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)活性化ドメイン」とは、免疫細胞受容体もしくは細胞表面マーカー上に天然または内因的に存在し、かつ少なくとも1つの免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメイン、またはその機能的部分を指す。ITAMとは、YXXL/I-X6-8-YXXL/Iの保存されたモチーフを指す。ある特定の実施形態においては、ITAMシグナル伝達ドメインは、1、2、3、4つまたはそれよりも多いITAMを含有する。ITAMシグナル伝達ドメインは、抗原結合またはリガンドエンゲージメント後、T細胞活性化シグナル伝達を開始し得る。ITAMシグナル伝達ドメインには、例えばCD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD79a、およびCD66dの細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。
【0040】
「接合部アミノ酸」または「接合部アミノ酸残基」とは、ポリペプチドの2つの隣接モチーフ、領域またはドメイン間の1つまたは複数の(例えば約2~20個の)アミノ酸残基を指す。接合部アミノ酸は、キメラタンパク質のコンストラクト設計から生じ得る(例えばキメラタンパク質をコードする核酸分子の構築中の制限酵素部位の使用から生じるアミノ酸残基)。
【0041】
「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」は、RNA、またはcDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを含むDNAの形態であり得る。核酸分子は、天然ヌクレオチド(例としてデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチド)、天然ヌクレオチドのアナログ(例えば天然ヌクレオチドのα-エナンチオマー形態)またはその両方の組合せからなり得る。修飾ヌクレオチドは、糖部分、またはピリミジンもしくはプリン塩基部分における修飾またはこれらの部分の置換を有し得る。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはそのような結合のアナログによって連結され得る。ホスホジエステル結合のアナログには、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート(phosphoroselenoate)、ホスホロジセレノエート(phosphorodiselenoate)、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホラニリデート(phosphoranilidate)、ホスホラミデート(phosphoramidate)等が含まれる。核酸分子は、二本鎖であっても、一本鎖であってもよく、一本鎖の場合、コード鎖であっても、非コード(アンチセンス鎖)であってもよい。コード分子は、当該技術分野において公知のコード配列と同一のコード配列を有してもよく、または遺伝子コードの重複または縮重の結果として、またはスプライシングによって、同じポリペプチドをコードし得る異なるコード配列を有してもよい。
【0042】
「コードする」とは、特定のポリヌクレオチド配列、例としてDNA、cDNAおよびmRNA配列の、生物学的プロセスにおいて規定のヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または規定のアミノ酸配列のいずれかを有する他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として働く固有の特性、およびそれから生じる生物学的特性を指す。したがって、ポリヌクレオチドは、細胞または他の生体系においてそのポリヌクレオチドに対応するmRNAの転写および翻訳がタンパク質を産生する場合、タンパク質をコードする。コード鎖および非コード鎖の両方は、タンパク質またはポリヌクレオチドの他の生成物をコードすると言及され得る。別に指定しない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いの縮重型であり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列が含まれる。
【0043】
本明細書において使用されるとき、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質の配列またはペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数について限定はない。ポリペプチドには、ペプチド結合によって互いに接合された2つまたはそれよりも多いアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書において使用されるとき、この用語は、当該技術分野において例えばペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも通常呼ばれる短鎖、および一般的に当該技術分野においてタンパク質と呼ばれ、多くの種類がある長鎖の両方を指す。「ポリペプチド」には、中でも、例えば生物活性断片、実質的同種ポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異型、改変ポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチドまたはそれらの組合せが含まれる。
【0044】
本明細書において使用されるとき、「成熟ポリペプチド」または「成熟タンパク質」という用語は、分泌されるか、または細胞膜に、またはある特定の細胞小器官(例えば小胞体、ゴルジ体またはエンドソーム)内に局在化し、かつN末端シグナルペプチドを含まないタンパク質またはポリペプチドを指す。
【0045】
「シグナルペプチド」は、「シグナル配列」、「リーダー配列」、「リーダーペプチド」、「局在化シグナル」または「局在化配列」とも呼ばれ、分泌経路に運命付けられた新規合成タンパク質のN末端に存在する短いペプチド(長さが通常15~30個のアミノ酸)である。シグナルペプチドは典型的に、N末端における短い範囲の親水性正電荷アミノ酸、5~15個の残基の中心疎水性ドメインおよびシグナルペプチダーゼのための切断部位を有するC末端領域を含む。真核生物においては、シグナルペプチドは、新規合成タンパク質の小胞体への移行を誘発し、小胞体においてそれはシグナルペプチダーゼによって切断され、成熟タンパク質を創出し、その後成熟タンパク質はその適切な目的地へ進行する。
【0046】
「キメラ」という用語は、内因性ではなく、かつ天然においては通常、互いに接合または連結されたかたちでは見られない、互いに接合または連結された配列を含む、任意の核酸分子またはタンパク質を指す。例えば、キメラ核酸分子は、異なる供給源に由来する調節配列およびコード配列、または同じ供給源に由来するが、天然に見られる様式とは異なる様式において配置されている調節配列およびコード配列を含み得る。
【0047】
本明細書において使用されるとき、「内因性」または「ネイティブ」という用語は、遺伝子、タンパク質、化合物、分子または活性の天然変異型を含む、宿主または宿主細胞に通常存在する遺伝子、タンパク質、化合物、分子または活性を指す。
【0048】
本明細書において使用されるとき、「同種の」または「ホモログ」とは、宿主細胞からの、例えば同じ宿主細胞からの、異なる宿主細胞からの、異なる生物からの、異なる系統からの、異なる種からの、第2の遺伝子または活性に祖先によって関連する分子または活性を指す。例えば、異種の分子、または分子をコードする異種の遺伝子は、それぞれ、ネイティブ宿主細胞分子または分子をコードする遺伝子と同種である場合があり、変更された構造、配列、発現レベルまたはその任意の組合せを有してもよい。
【0049】
本明細書において使用されるとき、「異種の」核酸分子、コンストラクトまたは配列とは、宿主細胞にとってネイティブではないが、宿主細胞からの核酸分子または核酸分子の部分にとって同種であり得る核酸分子または核酸分子の部分を指す。異種の核酸分子、コンストラクトまたは配列の供給源は、異なる属または種からの供給源であり得る。一部の実施形態においては、異種の核酸分子は、天然ではない。ある特定の実施形態においては、異種の核酸分子は、例えばコンジュゲーション、形質転換、トランスフェクション、形質導入、エレクトロポレーションその他によって、宿主細胞または宿主ゲノムに添加され(すなわち、内因性またはネイティブではなく)、添加された分子は、宿主細胞ゲノムに統合されても、染色体外遺伝子材料として(例えばプラスミドまたは自己複製ベクターの他の形態として)存在してもよく、多数のコピーにおいて存在してもよい。加えて、「異種の」とは、宿主細胞が同種のタンパク質または活性をコードするとしても、宿主細胞に導入された非内因性核酸分子によってコードされる非ネイティブ酵素、タンパク質または他の活性を指す。
【0050】
本明細書において使用されるとき、「操作した」、「組換え」、「改変」または「非天然」という用語は、異種の核酸分子の導入によって改変された生物、微生物、細胞、核酸分子またはベクターを指すか、あるいはヒトの介入によって遺伝子操作された、すなわち、異種の核酸分子の導入によって改変された細胞または微生物を指すか、あるいは内因性核酸分子または遺伝子の発現が制御されるか、調節解除されるか、もしくは構成的であるように変更され、そのような変更または改変が遺伝子操作によって導入され得る細胞または微生物を指す。ヒトが生成した遺伝子変更は、例えば、1つまたは複数のタンパク質、キメラ受容体または酵素をコードする核酸分子(プロモーター等の発現制御エレメントを含み得る)を導入する改変;または他の核酸分子の付加、欠失、置換;または細胞の遺伝子材料の他の機能的破壊もしくは細胞の遺伝子材料への付加を含み得る。例示的な改変は、コード領域またはその機能的断片における改変、参照分子または親分子とは異種の、または同種のポリペプチドを含む。追加の例示的な改変には、例えば、改変が遺伝子またはオペロンの発現を変更する、非コード調節領域における改変が含まれる。
【0051】
本明細書において使用されるとき、「導入遺伝子」という用語は、発現が宿主細胞において所望され、遺伝子操作技術によって細胞に移行された、目的のタンパク質(例えばキメラTim受容体)をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドを指す。導入遺伝子は、治療目的のタンパク質、およびレポーター、タグ、マーカー、自殺タンパク質等であるタンパク質をコードし得る。導入遺伝子は、天然供給源からの導入遺伝子、天然遺伝子の改変であってもよく、組換えまたは合成分子であってもよい。ある特定の実施形態においては、導入遺伝子は、ベクターの成分である。
【0052】
「過剰発現した」抗原または抗原の「過剰発現」という用語は、細胞における異常に高レベルの抗原を指す。過剰発現した抗原または抗原の過剰発現は多くの場合、血液系腫瘍、および対象の特定の組織または器官内の固形腫瘍を形成する細胞における疾患状態等の、疾患状態と関連付けられる。腫瘍抗原の過剰発現によって特徴付けられる固形腫瘍または血液系腫瘍は、当該技術分野において公知の標準のアッセイによって決定することができる。
【0053】
2つまたはそれよりも多い核酸またはアミノ酸配列間の「同一性パーセント」は、2つまたはそれよりも多い配列の整列を最適化するために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、それらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数x100)。2つまたはそれよりも多い配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、BLASTおよびGapped BLASTプログラム等の数学的アルゴリズムをそれらのデフォルトパラメータを用いて使用して達成することができる(例えばAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403, 1990;また、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTのBLASTNを参照のこと)。
【0054】
「保存的置換」は、当該技術分野において、1つのアミノ酸の、同様の特性を有する別のアミノ酸への置換として認識されている。例示的な保存的置換は、当該技術分野において周知である[例えば1997年3月13日公開のWO97/09433、10ページ;Lehninger, Biochemistry, Second Edition; Worth Publishers, Inc. NY:NY (1975), pp.71-77;Lewin, Genes IV, Oxford University Press, NY and Cell Press, Cambridge, MA (1990), p. 8を参照のこと]。
【0055】
「プロモーター」という用語は、本明細書において使用されるとき、細胞の合成機構によって認識されるか、または合成機構に導入される、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始するために必要とされるDNA配列として定義される。
【0056】
本明細書において使用されるとき、「プロモーター/調節配列」という用語は、プロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要とされる核酸配列を意味する。一部の場合、この配列は、コアプロモーター配列であってもよく、他の場合、また、この配列は、エンハンサー配列、および遺伝子産物の発現に必要とされる他の調節エレメントを含んでもよい。プロモーター/調節配列は、例えば、組織特異的様式において遺伝子産物を発現するプロモーター/調節配列であってもよい。
【0057】
「構成的」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか、または特定するポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合、細胞のほとんどまたは全ての生理学的条件下において遺伝子産物が細胞内で産生されることをもたらすヌクレオチド配列である。
【0058】
「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか、または特定するポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合、実質的にプロモーターに対応するインデューサーが細胞内に存在する場合のみ、遺伝子産物が細胞内で産生されることをもたらすヌクレオチド配列である。
【0059】
「組織特異的」プロモーターは、遺伝子をコードするか、または遺伝子によって特定されるポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合、実質的に細胞がプロモーターに対応する組織タイプの細胞である場合のみ、遺伝子産物が細胞内で産生されることをもたらすヌクレオチド配列である。
【0060】
「転写制御下」または「作動可能に連結された」という句は、本明細書において使用されるとき、プロモーターが、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチドの発現を制御するためにポリヌクレオチドに関して正しい場所および方向において存在することを意味する。
【0061】
「ベクター」は、別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えばプラスミド、コスミド、ウイルスまたはファージであり得る。また、この用語は、核酸の細胞への移行を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物を含むと解釈されるべきである。「発現ベクター」は、ベクターが適切な環境に存在する場合、ベクターが有する1つまたは複数の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を方向付けることができるベクターである。
【0062】
ある特定の実施形態においては、ベクターは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。「レトロウイルス」は、RNAゲノムを有するウイルスである。「ガンマレトロウイルス」とは、レトロウイルス科ファミリーの属を指す。ガンマレトロウイルスの例には、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルスおよび鳥類細網内皮症ウイルスが含まれる。「レンチウイルス」とは、分裂細胞および非分裂細胞に感染することができるレトロウイルスの属を指す。レンチウイルスの例には、HIV(human immunodeficiency virus)(HIV1型およびHIV2型を含むヒト免疫不全ウイルス)、ウマ伝染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV:feline immunodeficiency virus)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV:bovine immune deficiency virus)およびサル免疫不全ウイルス(SIV:simian immunodeficiency virus)が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
他の実施形態においては、ベクターは、非ウイルスベクターである。非ウイルスベクターの例には、脂質ベースのDNAベクター、修飾mRNA(modRNA)、自己増幅mRNA、閉鎖末端直鎖状二本鎖(CELiD:closed-ended linear duplex)DNAおよびトランスポゾン媒介遺伝子移行(PiggyBac、Sleeping Beauty)が含まれる。非ウイルスデリバリー系が使用される場合、デリバリー媒体は、リポソームであり得る。脂質製剤は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで核酸を宿主細胞に導入するために使用され得る。核酸は、リポソームの内部に封入されていてもよく、リポソームの脂質二重層内に散在していてもよく、リポソームおよび核酸の両方と会合する連結分子を介してリポソームに結合していてもよく、ミセルに含有されるか、もしくはミセルと複合体形成していてもよく、別の方法で脂質と会合していてもよい。
【0064】
本明細書において使用されるとき、「貪食」という用語は、直径が100nmを超える内因性または外因性細胞または粒子が、本開示の食細胞または宿主細胞によって内部移行される、受容体媒介プロセスを指す。貪食は典型的に、多ステップ:(1)貪食受容体の、標的細胞または粒子上のプロ貪食マーカーまたは抗原性マーカーへの直接的または間接的(架橋分子を介する)結合を介する標的細胞または粒子の繋留;および(2)標的細胞全体もしくは粒子全体またはそれらの部分の内部移行または貪食からなる。ある特定の実施形態においては、内部移行は、食細胞または宿主細胞の細胞骨格再配置を介して起こり、内部移行された標的を含有する膜結合区画であるファゴソームを形成し得る。貪食は、ファゴソームがますます酸性になり、リソソームと融合する(ファゴリソソームを形成する)ファゴソームの成熟をさらに含む場合があり、これに際して、貪食された標的は分解される(例えば「食作用」)。あるいは、ファゴソーム-リソソーム融合は、貪食において観察されない場合がある。また別の実施形態においては、ファゴソームは、その内容物を、完全な分解前に細胞外環境へ吐き戻すか、または排出し得る。一部の実施形態においては、貪食とは、食作用を指す。一部の実施形態においては、貪食は、本開示の宿主細胞の食細胞による標的細胞または粒子の繋留を含むが、内部移行は含まない。一部の実施形態においては、貪食は、本開示の宿主細胞の食細胞による標的細胞または粒子の繋留、および標的細胞または粒子の部分の内部移行を含む。
【0065】
本明細書において使用されるとき、「食作用」という用語は、標的細胞または粒子の繋留、標的細胞または粒子の貪食および内部移行された標的細胞または粒子の分解が起こる、細胞または大粒子(0.5μm以上)の貪食プロセスを指す。ある特定の実施形態においては、食作用は、内部移行された標的細胞または粒子を包含するファゴソームの形成、および中の内容物が分解されるファゴリソソームを形成するリソソームとのファゴソーム融合を含む。ある特定の実施形態においては、食作用中に、標的細胞または粒子によって発現されるホスファチジルセリンへの本開示の宿主細胞上に発現するキメラTim受容体の結合後、食作用シナプスが形成され;食作用シナプスにおいてアクチンリッチ食作用カップが生成し;細胞骨格再配置を通して食作用アームが標的細胞または粒子の周囲に伸長し;最終的に、モータータンパク質によって生成した力を通して標的細胞または粒子が食細胞または宿主細胞に引き込まれる。本明細書において使用されるとき、「食作用」には、非炎症様式におけるアポトーシス細胞または壊死細胞の食作用を特に指す「エフェロサイトーシス」のプロセスが含まれる。
【0066】
「免疫系細胞」または「免疫細胞」という用語は、骨髄の造血幹細胞に由来する免疫系の任意の細胞を意味する。造血幹細胞は、2つの主要な系統:骨髄系前駆細胞(骨髄細胞、例として単球、マクロファージ、樹状細胞、巨核球および顆粒球を生じる)およびリンパ球前駆細胞[リンパ球細胞、例としてT細胞、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を生じる]を生じる。例示的な免疫系細胞には、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-二種陰性T細胞、γδT細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラー細胞および樹状細胞が含まれる。マクロファージおよび樹状細胞は、「抗原提示細胞」または「APC(antigen presenting cell)」とも呼ばれる場合があり、これらは、ペプチドと複合体形成したAPCの表面上の主要組織適合抗原複合体(MHC)受容体が、T細胞の表面上のTCRと相互作用するとき、T細胞を活性化し得る特殊化細胞である。
【0067】
「T細胞」という用語は、T細胞系統の細胞を指す。「T細胞系統の細胞」とは、細胞を他のリンパ球および赤血球系統または骨髄系統の細胞から区別する、T細胞またはその前駆体もしくは前駆細胞の少なくとも1つの表現型特徴を示す細胞を指す。そのような表現型特徴は、T細胞に特異的な1つまたは複数のタンパク質(例えばCD3、CD4、CD8)の発現、またはT細胞に特異的な生理学的、形態学的、機能的または免疫学的特色を含み得る。例えば、T細胞系統の細胞は、T細胞系統にコミットされた前駆細胞もしくは前駆体細胞;CD25未成熟かつ不活性化T細胞;CD4またはCD8系統コミットメントを受けた細胞;CD4CD8二種陽性である胸腺前駆細胞;単一陽性CD4もしくはCD8;TCRαβもしくはTCRγδ;または成熟かつ機能的もしくは活性化T細胞であり得る。「T細胞」という用語は、ナイーブT細胞(CD45 RA+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD45RO-)、セントラルメモリーT細胞(CD45RO、CD62L、CD8)、エフェクターメモリーT細胞(CD45RA+、CD45RO-、CCR7-、CD62L-、CD27-)、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、Treg、ナチュラルキラーT細胞および組織レジデントT細胞を包含する。
【0068】
「B細胞」という用語は、B細胞系統の細胞を指す。「B細胞系統の細胞」とは、細胞を他のリンパ球および赤血球系統または骨髄系統の細胞から区別する、B細胞またはその前駆体もしくは前駆細胞の少なくとも1つの表現型特徴を示す細胞を指す。そのような表現型特徴は、B細胞に特異的な1つまたは複数のタンパク質(例えばCD19、CD72+、CD24+、CD20)の発現、またはB細胞に特異的な生理学的、形態学的、機能的または免疫学的特色を含み得る。例えば、B細胞系統の細胞は、B細胞系統にコミットされた前駆細胞もしくは前駆体細胞(例えばプレプロB細胞、プロB細胞およびプレB細胞);未成熟かつ不活性化B細胞;または成熟かつ機能的もしくは活性化B細胞であり得る。したがって、「B細胞」は、ナイーブB細胞、形質細胞、制御性B細胞、辺縁帯B細胞、濾胞性B細胞、リンパ形質細胞性細胞、形質芽細胞およびメモリーB細胞(例えばCD27、IgD)を包含する。
【0069】
表面上に免疫受容体(例えばTCR)または本開示に記載されるキメラTim受容体を発現する細胞(例えばT細胞またはNK細胞)についての「細胞傷害活性」という用語は、「細胞溶解活性」とも呼ばれ、細胞が、抗原特異的シグナル伝達に際して(例えばTCR、キメラTim受容体を介して)、標的細胞がアポトーシスを受けるように誘導することを意味する。一部の実施形態においては、細胞傷害性細胞は、顆粒からの細胞毒、例としてパーフォリン、グランザイムおよびグラニュライシンの放出を介して標的細胞においてアポトーシスを誘導し得る。パーフォリンは、標的細胞膜に挿入し、水および塩が標的細胞に迅速に入ることを可能にする孔を形成する。グランザイムは、標的細胞においてアポトーシスを誘導するセリンプロテアーゼである。また、グラニュライシンは、標的細胞膜において孔を形成することができ、炎症促進性分子である。一部の実施形態においては、細胞傷害性細胞は、抗原特異的シグナル伝達後にT細胞上でアップレギュレートされるFasリガンドと、標的細胞上に発現されるFas分子との相互作用を介して、標的細胞においてアポトーシスを誘導し得る。Fasは、いくつかの異なる細胞の表面上のアポトーシスシグナル伝達受容体分子である。
【0070】
免疫細胞についての「疲弊」という用語は、乏しいエフェクター機能(例えば低減したサイトカイン産生、低減した細胞傷害活性)、低減した増殖能力、免疫チェックポイント分子の増大した発現、および機能的なエフェクター細胞またはメモリー細胞のものとは異なる転写状態により定義される免疫細胞機能不全の状態を指す。ある特定の実施形態においては、疲弊した免疫細胞は、その標的抗原の存在に対して非応答性となる。免疫細胞疲弊は、標的抗原への慢性的曝露から(例えば慢性感染から生じ得る通り)、またはそれが免疫抑制性環境(例えば腫瘍微小環境)に侵入した場合に、生じ得る。ある特定の実施形態においては、免疫細胞疲弊とは、T細胞疲弊、NK細胞疲弊、またはその両方を指す。ある特定の実施形態においては、疲弊したT細胞は、(a)PD-1、TIGIT、LAG3、TIM3、もしくはそれらの任意の組合せの増大した発現;(b)IFN-γ、IL-2、TNF-α、もしくはそれらの任意の組合せの減少した産生;または(a)と(b)との両方を示す。ある特定の実施形態においては、疲弊したNK細胞は、(a)PD-1、NKG2A、TIM3、もしくはそれらの任意の組合せの増大した発現;(b)IFN-γ、TNF-α、もしくはその両方の減少した産生;または(a)と(b)との両方を示す。
【0071】
「疾患」は、対象が恒常性を維持することができない、かつ疾患が改善しない場合その後、対象の健康が悪化し続ける、対象の健康状態である。対照的に、対象における「障害」または「望ましくない状態」は、対象が恒常性を維持することができるが、対象の健康状態が、それが障害または望ましくない状態の非存在下にある場合よりも好ましくない、健康状態である。処置されないままの場合、障害または望ましくない状態は、対象の健康状態のさらなる減少を必ずしももたらさない。
【0072】
「がん」という用語は、本明細書において使用されるとき、異常な細胞の迅速かつ制御されていない増殖によって特徴付けられる疾患として定義される。異常な細胞は、固形腫瘍を形成するか、または血液系腫瘍を構成し得る。がん細胞は、局所的に、または血流およびリンパ系を通して身体の他の部分に広がり得る。様々ながんの例には、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵がん、結腸直腸がん、腎がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、肺がん等が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
「対象」、「患者」および「個体」という用語は、本明細書において互換的に使用され、免疫応答が誘発され得る生存生物(例えば哺乳動物)を含むと意図される。対象の例には、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタおよびそのトランスジェニック種が含まれる。
【0074】
「養子細胞免疫療法」または「養子免疫療法」は、天然の、または遺伝子操作した、疾患抗原特異的免疫細胞(例えばT細胞)の投与を指す。養子細胞免疫療法は、自家(免疫細胞が受容者からの細胞である)、同種異系(免疫細胞が同じ種のドナーからの細胞である)または同系(免疫細胞が受容者と遺伝的に同一のドナーからの細胞である)であり得る。
【0075】
「自家」とは、材料が後に再導入される同じ対象に由来する任意の材料(例えば器官、組織、細胞のグラフト)を指す。
【0076】
「同種異系」とは、同じ種の異なる対象に由来するグラフトを指す。
【0077】
本開示のキメラタンパク質またはキメラタンパク質を発現する細胞(例えばキメラTim受容体またはキメラTim受容体を発現する細胞)の「治療有効量」または「有効量」とは、治療される疾患、障害または望ましくない状態の1つまたは複数の症状の改善をもたらすために十分なタンパク質または細胞の量を指す。単独で投与される、個々の活性成分、または単一の活性成分を発現する細胞について言及する場合、治療有効用量とは、その成分またはその成分を発現する細胞の単独の効果を指す。組合せについて言及する場合、治療有効用量とは、連続投与されるか、同時投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす、活性成分または組み合わせた付属の活性成分の、活性成分を発現する細胞と組み合わせた量を指す。
【0078】
「治療する」または「治療」または「改善する」とは、対象の疾患、障害または望ましくない状態の医療管理を指す。一般的に、本開示のキメラタンパク質を発現する宿主細胞を含む適切な用量または治療レジメンは、治療利益または予防利益を誘発するために十分な量において投与される。治療利益または予防/防止利益には、臨床アウトカムの改善;疾患、障害または望ましくない状態と関連付けられる症状の減少または軽減;症状の発生の減少;クオリティ・オブ・ライフの改善;より長い無疾患状態;疾患、障害または望ましくない状態の程度の縮減;疾患状態の安定化;疾患進行の遅延;寛解;生存;生存延長;またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0079】
「抗腫瘍効果」という用語は、腫瘍容量における減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、平均余命の増加またはがん性状態と関連付けられる様々な生理学的症状の改善によって証明され得る生物学的効果を指す。また、「抗腫瘍効果」は、血液系腫瘍または腫瘍形成の予防によって証明され得る。
【0080】
「自己免疫疾患」とは、自己免疫応答から生じる障害を指す。自己免疫疾患は、自己抗原に対する不適切に過剰な応答の結果である。自己免疫応答は、自己抗体、自己反応性T細胞、またはその両方を生成する自己反応性B細胞を含み得る。本明細書において使用されるとき、「自己抗体」は、これもまた対象により生成される自己抗原に結合する、対象によって生成される抗体である。
【0081】
追加の定義は、本開示全体を通して提供される。
【0082】
キメラTim受容体
一部の実施形態においては、本開示は、(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン;または(ii)Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む単鎖キメラタンパク質を含むキメラTim受容体を提供する。
【0083】
一部の実施形態においては、本開示は、(a)Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む単鎖キメラタンパク質を含むキメラTim受容体を提供する。
【0084】
一部の実施形態においては、本開示は、(a)(i)Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメイン;(ii)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン;(iii)Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメイン;または(iv)Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)Tim1シグナル伝達ドメインまたはTim4シグナル伝達ドメインから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む単鎖キメラタンパク質を含むキメラTim受容体を提供する。
【0085】
一部の実施形態においては、本開示は、(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)CD28シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、および4-1BBシグナル伝達ドメインから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにTLRシグナル伝達ドメインから選択される二次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと;(c)細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインとを含む単鎖キメラタンパク質を含むキメラTim受容体を提供する。
【0086】
一部の実施形態においては、本開示は、(a)(i)Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む結合ドメインを含む細胞外ドメインと;(b)免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)含有シグナル伝達ドメインを含む一次細胞内シグナル伝達ドメイン;共刺激性シグナル伝達ドメイン、Tim1シグナル伝達ドメイン、またはTim4シグナル伝達ドメインを含む二次細胞内シグナル伝達ドメイン;およびTLRシグナル伝達ドメインを含む三次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む単鎖キメラタンパク質を含むキメラTim受容体を提供する。
【0087】
追加のキメラTim受容体が、本開示において提供される。
【0088】
ある特定の実施形態においては、本明細書において説明するキメラTim受容体の細胞外ドメインは、結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する細胞外スペーサードメインを含んでもよい。
【0089】
宿主細胞において発現される場合、本開示のキメラTim受容体は、改変された宿主細胞に対して、ホスファチジルセリン特異的細胞傷害表現型を与え得る(例えば、宿主細胞が、その表面上にホスファチジルセリンを発現するストレスを受けた細胞、損傷細胞、傷害細胞、アポトーシス細胞、または壊死細胞に対して細胞傷害性になる)。一部の実施形態においては、キメラTim受容体は、グランザイム、パーフォリン、グラニュライシンまたはそれらの任意の組合せの放出を介してターゲティング細胞においてアポトーシスを誘導する。一部の実施形態においては、本説明に記載のキメラTim受容体を発現する細胞は、ホスファチジルセリン提示細胞に対して特異的な貪食表現型を示す。一部の実施形態においては、本開示に記載のキメラTim受容体を発現する細胞、例えばT細胞は、向上した抗原提示活性を示す。
【0090】
細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラTim受容体の細胞外ドメインのホスファチジルセリンへの結合に応答して、機能的シグナルを細胞に伝達することができる、1つまたは複数のエフェクタードメインを含み得る。細胞内シグナル伝達ドメインによるシグナル伝達は、ホスファチジルセリンへの細胞外ドメインの結合により誘発される。細胞内シグナル伝達ドメインによって伝達されるシグナルは、キメラTim受容体含有細胞のエフェクター機能を促進する。エフェクター機能の例には、細胞傷害活性、サイトカインの分泌、増殖、抗アポトーシスシグナル伝達、持続性、拡大増殖、その表面上にホスファチジルセリンを発現する標的細胞もしくは粒子の貪食、抗原提示、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0091】
ある特定の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、第1の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、第1の細胞内シグナル伝達ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、第1の細胞内シグナル伝達ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインと、第3の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。本開示に記載のキメラTim受容体は、細胞免疫応答を向上させるか、免疫細胞疲弊を低減させるか、またはその両方を行う共刺激を提供しながら、アポトーシス細胞、壊死細胞、損傷細胞、またはストレスを受けた細胞のクリアランスが有益である、様々な治療方法において用いることができる。
【0092】
本開示の融合タンパク質の成分部分は、本明細書において詳細にさらに説明される。
【0093】
細胞外ドメイン
本明細書において説明する通り、キメラTim受容体は、Tim結合ドメインを含む細胞外ドメインを含む。Tim結合ドメインは、負に荷電した頭部基を有するリン脂質であり、かつ細胞膜の成分であるホスファチジルセリン(PtdSer)に対する特異性を与える。健康な細胞においては、ホスファチジルセリンは、細胞膜の内側リーフレットにおいて優勢的に見出される。しかしながら、細胞がストレスを受けるか、損傷するかまたはアポトーシスもしくは壊死を受けたとき、ホスファチジルセリンは細胞膜の外側リーフレット上に曝露される。したがって、ホスファチジルセリンは、ストレスを受けた細胞、損傷細胞、アポトーシス細胞、壊死細胞、ピロトーシス細胞、または腫張細胞を区別するためのマーカーとして用いることができる。Tim結合ドメインによるホスファチジルセリンの結合は、ホスファチジルセリンと別の分子との間の相互作用を遮断し、かつ例えば、ホスファチジルセリンのある特定の機能(例えばシグナル伝達)を妨害、低減または除去し得る。一部の実施形態においては、ホスファチジルセリンの結合は、除去のために、ある特定の生物学的経路を誘導するか、またはホスファチジルセリン分子またはホスファチジルセリンを発現する細胞を特定し得る。
【0094】
本開示のキメラTim受容体における使用のために好適なTim結合ドメインは、ホスファチジルセリンに特異的に結合するTim1および/またはTim4分子に由来する任意のポリペプチドまたはペプチドであり得る。実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim1またはTim4に由来するIgVドメイン、およびTim1またはTim4に由来するムチンドメインを含む。例えば、Tim結合ドメインは、Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み得る。別の例においては、Tim結合ドメインは、Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含み得る。別の例においては、Tim結合ドメインは、Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含み得る。別の例においては、Tim結合ドメインは、Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含み得る。
【0095】
ホスファチジルセリン結合は一般的に、IgVドメインによって調節される。コアホスファチジルセリン結合ドメインは、IgVドメインにおける4つのアミノ酸配列(例えば配列番号34のアミノ酸95~98または配列番号38のアミノ酸92~95)である。Tim4結合ドメインは、低ホスファチジルセリン密度を有する細胞に最小限に結合する。Tim1結合ドメインは、より低いホスファチジルセリン密度に対して、より強く結合し、応答に対するより低い閾値を生じる。ホスファチジルセリンに対するTim1およびTim4結合の概要は、表1において提供される。Tim1 IgVドメインとTim4ムチンドメイン、またはTim4 IgVドメインとTim1ムチンドメインとを組み合わせることにより、ホスファチジルセリンに対する結合ドメインの結合親和性を変調させることができる。さらに、Tim結合ドメインにおけるそのような組合せはまた、Tim4のホスファチジルセリンに対する感受性とTim1のタンパク質発現における安定性との組合せも提供する。
【0096】
表1.
【表1】

【0097】
加えて、IgVドメイン中のRGDドメイン(例えば配列番号34のアミノ酸68~70)は、貪食に関する共受容体として、インテグリン結合を調節し得る。
【0098】
一部の実施形態においては、Tim結合ドメインは、ヒトTim1および/もしくはTim4から取得されるかまたはこれに由来する。例示的なヒトTim1分子は、Uniprot.Ref.Q96D42(配列番号36)において提供される。例示的なヒトTim1結合ドメインは、配列番号37または配列番号43のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1結合ドメインは、配列番号37または配列番号43について少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim1結合ドメインは、配列番号37または配列番号43のアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0099】
例示的なヒトTim4分子は、Uniprot.Ref.Q96H15(配列番号1)において提供される。例示的なヒトTim4結合ドメインは、配列番号2、配列番号42、または配列番号119のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なマウスTim4結合ドメインは、配列番号24または配列番号24のアミノ酸23~279のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim4結合ドメインは、配列番号2、配列番号42、配列番号119または配列番号24もしくは配列番号24のアミノ酸23~279について少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim4結合ドメインは、配列番号2、配列番号42、配列番号119または配列番号24もしくは配列番号24のアミノ酸23~279のアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0100】
実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim1由来のIgVドメインを含む。例示的なヒトTim1 IgVドメインは、配列番号38において提供される。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは、配列番号38においてR66G置換を含む改変Tim1 IgVドメインである。R66G置換(例えば配列番号34のアミノ酸68~70)は、貪食に関する共受容体としてインテグリン結合を調節し得る、Tim1 IgVドメインにおけるRGDドメインを与える。特定の実施形態においては、改変Tim1 IgVドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、この改変Tim1ドメインは、Tim1感受性を保存しながら、食作用活性を増大させ得る。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは、配列番号38、R66G置換を有する配列番号38、または配列番号41について少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim1 IgVは、配列番号38、R66G置換を有する配列番号38、または配列番号41のアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0101】
一部の実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim4由来のIgVドメインを含む。例示的なヒトTim4 IgVドメインは、配列番号34において提供される。一部の実施形態においては、Tim4 IgVドメインは、配列番号34について少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim4 IgVドメインは、配列番号34のアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0102】
実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim1由来のムチンドメインを含む。例示的なヒトTim1ムチンドメインは、配列番号39において提供される。ある特定の実施形態においては、Tim1ムチンドメインは、配列番号39について少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim1ムチンドメインは、配列番号39のアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0103】
他の実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim4由来のムチンドメインを含む。例示的なヒトTim4ムチンドメインは、配列番号35において提供される。ある特定の実施形態においては、Tim4ムチンドメインは、配列番号35について少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、Tim4ムチンドメインは、配列番号35のアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0104】
一部の実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim1 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、Tim1ムチンドメインは配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインはR66G置換を有する配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim1ムチンドメインは配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim1ムチンドメインは配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインとTim1ムチンドメインとが共に、配列番号37または配列番号43に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。
【0105】
一部の実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim4 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む。一部の実施形態においては、Tim4 IgVドメインは配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim4ムチンドメインは配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim4 IgVドメインとTim4ムチンドメインとが共に、配列番号2または配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。
【0106】
一部の実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim1 IgVドメインおよびTim4ムチンドメインを含む。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim4ムチンドメインは配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインはR66G置換を有する配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim4ムチンドメインは配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim4ムチンドメインは配列番号35に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim1 IgVドメインは、配列番号40のTim1シグナル配列をさらに含む。
【0107】
一部の実施形態においては、Tim結合ドメインは、Tim4 IgVドメインおよびTim1ムチンドメインを含む。一部の実施形態においては、Tim4 IgVドメインは配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなり、かつTim1ムチンドメインは配列番号39に示されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、Tim4 IgVドメインは、配列番号11のTim4シグナル配列をさらに含む。
【0108】
一部の実施形態においては、細胞外ドメインは、細胞外非シグナル伝達スペーサーまたはリンカードメインを含んでもよい。含まれる場合、そのようなスペーサーまたはリンカードメインは、結合ドメインを宿主細胞表面から離れるように位置させて、適切な細胞/細胞接触、結合および活性化をさらに可能にし得る。本明細書において説明するキメラ受容体に含まれる場合、細胞外スペーサードメインは一般的に、キメラTim受容体の細胞外結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する。細胞外スペーサーの長さは、選択された標的分子、選択された結合エピトープ、結合ドメインサイズおよび親和性に基づいて、標的分子結合を最適化するために変動し得る(例えばGuest et al., J. Immunother. 28:203-11, 2005;PCT公開公報WO2014/031687号を参照のこと)。一部の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、免疫グロブリンヒンジ領域(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD)である。免疫グロブリンヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンヒンジ領域、または変更された野生型免疫グロブリンヒンジ領域であり得る。変更されたIgGヒンジ領域は、PCT公開公報WO2014/031687号において説明されており、当該ヒンジ領域は、その全体を参照により本明細書に組み込む。一部の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、ESKYGPPCPPCP(配列番号3)のアミノ酸配列を有する改変IgGヒンジ領域を含む。本明細書において説明するキメラTim受容体において使用され得るヒンジ領域の他の例には、野生型またはその変異型であり得る1型膜タンパク質、例としてCD8a、CD4、CD28およびCD7の細胞外領域からのヒンジ領域が含まれる。一部の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、配列番号32のアミノ酸配列を有するCD28ヒンジ領域を含む。一部の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはそれらの組合せから選択される免疫グロブリンFcドメインの全てまたは一部を含む(例えばPCT公開公報WO2014/031687号を参照されたく、当該スペーサーは、その全体を参照により本明細書に組み込む)。一部の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、II型Cレクチンの柄領域(C型レクチンドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する細胞外ドメイン)を含み得る。II型Cレクチンには、CD23、CD69、CD72、CD94、NKG2AおよびNKG2Dが含まれる。
【0109】
一部の実施形態においては、細胞外ドメインは、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、それらのトランスジェニック種またはそれらの任意の組合せを含む任意の哺乳動物種に由来するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態においては、細胞外ドメインは、マウス、ヒトまたはキメラである。
【0110】
細胞内シグナル伝達ドメイン
本明細書において説明するキメラTim受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内エフェクタードメインであり、キメラTim受容体の細胞外ドメインのホスファチジルセリンへの結合に応答して、機能的シグナルを細胞に伝達することができる。細胞内シグナル伝達ドメインによって伝達されるシグナルは、キメラTim受容体含有細胞のエフェクター機能を促進する。エフェクター機能の例には、細胞傷害活性、サイトカインの分泌、増殖、抗アポトーシスシグナル伝達、持続性、拡大増殖、その表面上にホスファチジルセリンを発現する標的細胞もしくは粒子の貪食、抗原捕捉、抗原プロセシング、抗原提示、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0111】
細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインと、二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインと、二次細胞内シグナル伝達ドメインと、三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一次、二次、および/または三次細胞内シグナル伝達ドメインは独立して、十分なシグナル伝達活性を保持するシグナル伝達分子の任意の部分であり得る。一部の実施形態においては、全長シグナル伝達分子またはシグナル伝達分子の全長細胞内成分が使用される。一部の実施形態においては、シグナル伝達分子またはシグナル伝達分子の細胞内成分の切断部分が使用され、但し、その切断部分は十分なシグナル伝達活性を保持する。一部の実施形態においては、シグナル伝達ドメインは、シグナル伝達分子の全部分または切断部分の変異型であり、但し、その変異型は十分なシグナル伝達活性を保持する(すなわち、機能的変異型である)。
【0112】
一部の実施形態においては、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む。
【0113】
一部の実施形態においては、二次細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン、またはTLR8シグナル伝達ドメインを含む。
【0114】
一部の実施形態においては、三次細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim1シグナル伝達ドメイン、Tim4シグナル伝達ドメイン、TRAF2シグナル伝達ドメイン、TRAF6シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、DAP12シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメインまたはTLR8シグナル伝達ドメインを含む。
【0115】
一部の実施形態においては、一次細胞内シグナル伝達ドメインは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)含有シグナル伝達ドメインを含み;二次細胞内シグナル伝達ドメインは共刺激性シグナル伝達ドメイン、Tim1シグナル伝達ドメイン、またはTim4シグナル伝達ドメインを含み;かつ三次細胞内シグナル伝達ドメインはTLRシグナル伝達ドメインを含む。ITAM含有シグナル伝達ドメインは一般的に、YXXL/I-X6-8-YXXL/Iの保存されたモチーフを指す、少なくとも1つ(1、2、3、4つまたはそれよりも多い)のITAMを含有する。ITAM含有シグナル伝達ドメインは、抗原結合またはリガンドエンゲージメント後、T細胞活性化シグナル伝達を開始し得る。ITAMシグナル伝達ドメインには、例えばCD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD5、CD22、CD79a、CD278(ICOS)、DAP12、FcRγ、およびCD66dの細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。共刺激性シグナル伝達ドメインは、主要な、または古典的な(例えばITAM駆動)活性化シグナルと共に活性化された場合、T細胞応答、例としてT細胞活性化、サイトカイン産生、増殖、分化、生存、エフェクター機能またはそれらの組合せを促進する、または向上させる。キメラTim受容体における使用のための共刺激性シグナル伝達ドメインには、例えばCD27、CD28、CD40L、GITR、NKG2C、CARD1、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD226、CD270(HVEM)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、LFA-1、LIGHT、NKG2C、SLP76、TRIM、ZAP70またはそれらの任意の組合せが含まれる。一部の実施形態においては、共刺激性シグナル伝達ドメインは、OX40、CD2、CD27、CD28、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、または4-1BB(CD137)シグナル伝達ドメインを含む。TLRシグナル伝達ドメインは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、またはTLR9シグナル伝達ドメインであり得る。一部の実施形態においては、TLRシグナル伝達ドメインは、TLR2シグナル伝達ドメインまたはTLR8シグナル伝達ドメインである。
【0116】
本明細書において使用されるとき、一次、二次、および三次細胞内シグナル伝達ドメインの指定には、キメラTim受容体の細胞内部分のN末端における一次細胞内シグナル伝達ドメイン、中央における二次細胞内シグナル伝達ドメイン、およびC末端における三次細胞内シグナル伝達ドメインの配置が含まれるが、これらに限定されない。したがって、一次細胞内シグナル伝達ドメインの指定は、キメラTim受容体の細胞内部分のN末端における選択された細胞内シグナル伝達ドメインの使用を限定しない。二次細胞内シグナル伝達ドメインの指定は、キメラTim受容体の細胞内部分の中央における(または2つの細胞内シグナル伝達ドメインのみを有するそれらのキメラTim受容体に関してC末端における)選択された細胞内シグナル伝達ドメインの使用を限定しない。三次細胞内シグナル伝達ドメインの指定は、キメラTim受容体の細胞内部分のC末端における選択された細胞内シグナル伝達ドメインの使用を限定しない。したがって、キメラTim受容体の細胞内部分内の一次、二次、および/または三次細胞内シグナル伝達ドメインの異なる配置が企図される。
【0117】
例示的なTim1シグナル伝達ドメインは、配列番号44のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なTim4シグナル伝達ドメインは、配列番号45、配列番号124、または配列番号125のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なTRAF2シグナル伝達ドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なTRAF6シグナル伝達ドメインは、配列番号46のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なCD28シグナル伝達ドメインは、配列番号4または26のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なDAP12シグナル伝達ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なCD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号27または5のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的な4-1BBシグナル伝達ドメインは、配列番号100のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なTLR2シグナル伝達ドメインは、配列番号122のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なTLR8シグナル伝達ドメインは、配列番号47のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。
【0118】
一部の実施形態においては、Tim1シグナル伝達ドメインは、配列番号44に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、Tim4シグナル伝達ドメインは、配列番号45、配列番号124、または配列番号125に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、TRAF2シグナル伝達ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、TRAF6シグナル伝達ドメインは、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、CD28シグナル伝達ドメインは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、CD28シグナル伝達ドメインは、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、DAP12シグナル伝達ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、CD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、CD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、4-1BBシグナル伝達ドメインは、配列番号100のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、TLR2シグナル伝達ドメインは、配列番号122のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、TLR8シグナル伝達ドメインは、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む。
【0119】
一部の実施形態においては、一次、および/または二次シグナル伝達ドメインは、配列番号4、5、9、26、27、44~48、100、122、124、および125のうちのいずれか1つについて少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、一次、および/または二次シグナル伝達ドメインは、配列番号4、5、9、26、27、44~48、100、122、124、および125のうちのいずれか1つのアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、一次シグナル伝達ドメインおよび二次シグナル伝達ドメインは、同じかまたは異なる。
【0120】
一部の実施形態においては、一次、二次、および/または三次細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号4、5、7、9、26、27、44~48、122、および124のうちのいずれか1つについて少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。一部の実施形態においては、一次、二次、および/または三次細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号4、5、9、26、27、44~48、100、122、124、および125のうちのいずれか1つのアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、一次、二次、および三次細胞内シグナル伝達ドメインは、同じである。一部の実施形態においては、一次、二次、および三次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの2つまたは3つは、異なる。
【0121】
一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim1細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim4細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TRAF6細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TRAF2細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR2細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR8細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0122】
一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim1一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim4一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR8一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、DAP12二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2二次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8二次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR2一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR8一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TRAF6一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TRAF6二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2二次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8二次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR2一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TLR8一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TRAF6二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TRAF6一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim4一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2二次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim4一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR2三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim4一次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8二次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、Tim4一次細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインと、TLR8三次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。
【0123】
一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号44のアミノ酸配列を含むTim1一次細胞内シグナル伝達ドメインと、配列番号27または5のアミノ酸配列を含むCD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号45、124、または125のアミノ酸配列を含むTim4一次細胞内シグナル伝達ドメインと、配列番号27または5のアミノ酸配列を含むCD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号47のアミノ酸配列を含むTLR8一次細胞内シグナル伝達ドメインと、配列番号27または5のアミノ酸配列を含むCD3ζ二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号4または26のアミノ酸配列を含むCD28一次細胞内シグナル伝達ドメインと、配列番号9のアミノ酸配列を含むDAP12二次細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、表8に示される一次、二次、および適宜の三次細胞内シグナル伝達ドメインの組合せを含む。
【0124】
細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタおよびそれらのトランスジェニック種を含む哺乳動物種に由来し得る。
【0125】
膜貫通ドメイン
キメラTim受容体の膜貫通ドメインは、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを接続し、かつこれらの間に位置する。膜貫通ドメインは、宿主細胞膜を横断する疎水性アルファヘリックスである。膜貫通ドメインは、結合ドメインに、または存在する場合細胞外スペーサードメインに直接的に融合され得る。ある特定の実施形態においては、膜貫通ドメインは、膜内在性タンパク質[例えば受容体、表面抗原分類(CD)分子、酵素、トランスポーター、細胞接着分子その他]に由来する。一実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインが由来する分子と同じ分子から選択される。別の実施形態においては、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインが由来する分子と同じ分子から選択される。例えば、キメラTim受容体は、Tim4結合ドメインおよびTim4膜貫通ドメインを含み得る。別の例においては、キメラTim受容体は、CD28膜貫通ドメインおよびCD28共刺激性シグナル伝達ドメインを含み得る。ある特定の実施形態においては、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインが異なる分子に由来するか;膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインが異なる分子に由来するか;または膜貫通ドメイン、細胞外ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインの全部が異なる分子に由来する。本開示のキメラTim受容体において使用され得る膜貫通ドメインの例には、Tim1、Tim4、およびCD28に由来する膜貫通ドメインが含まれる。例示的なTim1膜貫通ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なTim4膜貫通ドメインは、配列番号6、配列番号23または配列番号121のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。例示的なCD28膜貫通ドメインは、配列番号7または配列番号120のアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、膜貫通ドメインは、配列番号6~8、23、120、および121のうちのいずれか1つについて少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態においては、膜貫通ドメインは、配列番号6~8、23、120、および121のうちのいずれか1つのアミノ酸配列について少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10箇所のアミノ酸改変(例えば欠失、付加、置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0126】
膜貫通ドメインは、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、およびそれらのトランスジェニック種を含む任意の哺乳動物種に由来し得る。
【0127】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体は、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、それらのトランスジェニック種、またはそれらの任意の組合せを含む任意の哺乳動物種に由来するポリヌクレオチド配列によりコードされる。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体は、マウス、キメラ、ヒトまたはヒト化である。
【0128】
本明細書において説明するキメラTim受容体の1つのドメインの別のドメインへの直接的融合は、介在性接合部アミノ酸の存在を排除しないと理解される。接合部アミノ酸は、天然または非天然(例えばキメラタンパク質のコンストラクト設計から生じる)であり得る。例えば、接合部アミノ酸は、1つのドメインの別のドメインへの接合またはベクターへのキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドのクローニングのために用いられる制限酵素部位から生じ得る。
【0129】
例示的キメラTim受容体
本明細書において開示されるキメラTim受容体の成分部分は、宿主細胞に対する所望の特異性およびエフェクター表現型を提供するために、様々な組合せにおいて選択および配置され得る。
【0130】
本開示の例示的なキメラTim受容体が、表2において説明される。
【0131】
表2.
【表2】

【0132】
さらなる例示的なキメラTim受容体が、表3において説明される。
【0133】
表3.
【表3】

【0134】
一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表2のコンストラクトを含む。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表3のコンストラクトを含む。
【0135】
一部の実施形態においては、コンストラクト1またはコンストラクト1’のキメラTim受容体は、配列番号49のアミノ酸21~456を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト1またはコンストラクト1’のキメラTim受容体は、配列番号49のアミノ酸配列を含む。
【0136】
一部の実施形態においては、コンストラクト2またはコンストラクト2’のキメラTim受容体は、配列番号50のアミノ酸21~471を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト2またはコンストラクト2’のキメラTim受容体は、配列番号50のアミノ酸配列を含む。
【0137】
一部の実施形態においては、コンストラクト3またはコンストラクト3’のキメラTim受容体は、配列番号51のアミノ酸21~363を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト3またはコンストラクト3’のキメラTim受容体は、配列番号51のアミノ酸配列を含む。
【0138】
一部の実施形態においては、コンストラクト4またはコンストラクト4’のキメラTim受容体は、配列番号52のアミノ酸21~590を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト4またはコンストラクト4’のキメラTim受容体は、配列番号52のアミノ酸配列を含む。
【0139】
一部の実施形態においては、コンストラクト5またはコンストラクト5’のキメラTim受容体は、配列番号53のアミノ酸21~596を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト5またはコンストラクト5’のキメラTim受容体は、配列番号53のアミノ酸配列を含む。
【0140】
一部の実施形態においては、コンストラクト6またはコンストラクト6’のキメラTim受容体は、配列番号54のアミノ酸21~619を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト6またはコンストラクト6’のキメラTim受容体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む。
【0141】
一部の実施形態においては、コンストラクト7またはコンストラクト7’のキメラTim受容体は、配列番号55のアミノ酸21~625を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト7またはコンストラクト7’のキメラTim受容体は、配列番号55のアミノ酸配列を含む。
【0142】
一部の実施形態においては、コンストラクト8またはコンストラクト8’のキメラTim受容体は、配列番号56のアミノ酸21~621を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト8またはコンストラクト8’のキメラTim受容体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む。
【0143】
一部の実施形態においては、コンストラクト9またはコンストラクト9’のキメラTim受容体は、配列番号57のアミノ酸21~415を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト9またはコンストラクト9’のキメラTim受容体は、配列番号57のアミノ酸配列を含む。
【0144】
一部の実施形態においては、コンストラクト10またはコンストラクト10’のキメラTim受容体は、配列番号58のアミノ酸21~409を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト10またはコンストラクト10’のキメラTim受容体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む。
【0145】
本開示のさらなる例示的なキメラTim受容体が、表4において説明される。
【0146】
表4.
【表4】

【0147】
さらなる例示的なキメラTim受容体が、表5において説明される。
【0148】
表5.
【表5】

【0149】
一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表4のコンストラクトを含む。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表5のコンストラクトを含む。
【0150】
一部の実施形態においては、コンストラクト11またはコンストラクト11’のキメラTim受容体は、配列番号59のアミノ酸25~490を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト11またはコンストラクト11’のキメラTim受容体は、配列番号59のアミノ酸配列を含む。
【0151】
一部の実施形態においては、コンストラクト12またはコンストラクト12’のキメラTim受容体は、配列番号60のアミノ酸25~495を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト12またはコンストラクト12’のキメラTim受容体は、配列番号60のアミノ酸配列を含む。
【0152】
一部の実施形態においては、コンストラクト13またはコンストラクト13’のキメラTim受容体は、配列番号61のアミノ酸25~382を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト13またはコンストラクト13’のキメラTim受容体は、配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0153】
一部の実施形態においては、コンストラクト14またはコンストラクト14’のキメラTim受容体は、配列番号62のアミノ酸25~609を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト14またはコンストラクト14’のキメラTim受容体は、配列番号62のアミノ酸配列を含む。
【0154】
一部の実施形態においては、コンストラクト15またはコンストラクト15’のキメラTim受容体は、配列番号63のアミノ酸25~615を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト15またはコンストラクト15’のキメラTim受容体は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。
【0155】
一部の実施形態においては、コンストラクト16またはコンストラクト16’のキメラTim受容体は、配列番号64のアミノ酸25~638を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト16またはコンストラクト16’のキメラTim受容体は、配列番号64のアミノ酸配列を含む。
【0156】
一部の実施形態においては、コンストラクト17またはコンストラクト17’のキメラTim受容体は、配列番号65のアミノ酸25~644を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト17またはコンストラクト17’のキメラTim受容体は、配列番号65のアミノ酸配列を含む。
【0157】
一部の実施形態においては、コンストラクト18またはコンストラクト18’のキメラTim受容体は、配列番号66のアミノ酸25~640を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト18またはコンストラクト18’のキメラTim受容体は、配列番号66のアミノ酸配列を含む。
【0158】
一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表4のコンストラクトでない。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表5のコンストラクトでない。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、コンストラクト13、14、15、16、および17、またはそれらの任意の組合せのいずれか1つの構成を有しない。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、配列番号61、62、63、64、および65、またはそれらの任意の組合せのいずれか1つのアミノ酸配列を有しない。
【0159】
本開示のさらなる例示的なキメラTim受容体が、表6において説明される。
【0160】
表6.
【表6】


【0161】
さらなる例示的なキメラTim受容体が、表7において説明される。
【0162】
表7.
【表7】

【0163】
一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表6のコンストラクトを含む。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表7のコンストラクトを含む。
【0164】
一部の実施形態においては、コンストラクト19またはコンストラクト19’のキメラTim受容体は、配列番号67のアミノ酸25~628を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト19またはコンストラクト19’のキメラTim受容体は、配列番号67のアミノ酸配列を含む。
【0165】
一部の実施形態においては、コンストラクト20またはコンストラクト20’のキメラTim受容体は、配列番号68のアミノ酸25~416を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト20またはコンストラクト20’のキメラTim受容体は、配列番号68のアミノ酸配列を含む。
【0166】
一部の実施形態においては、コンストラクト21またはコンストラクト21’のキメラTim受容体は、配列番号69のアミノ酸25~422を含む。特定の実施形態においては、コンストラクト21またはコンストラクト21’のキメラTim受容体は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。
【0167】
さらなる例示的なキメラTim受容体が、表8において説明される。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、表8のコンストラクトを含む。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、配列番号127、138、149、157、または158のアミノ酸配列を有するキメラTim受容体を含まない。一部の実施形態においては、本開示のキメラTim受容体は、配列番号127、138、149、157、または158のコンストラクトについて説明される成分の組合せを有するキメラTim受容体を含まない。
【0168】
一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号127のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号127のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号128のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号128のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号129のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号129のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号130のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号130のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号131のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号131のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号132のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号132のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号133のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号133のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号134のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号134のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号135のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号135のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号136のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号136のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号137のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号137のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号138のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号138のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号139のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号139のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号140のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号140のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号141のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号141のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号142のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号142のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号143のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号143のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号144のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号144のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号145のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号145のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号146のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号146のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号147のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号147のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号148のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号148のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号149のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号149のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号150のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号150のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号151のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号151のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号152のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号152のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号153のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号153のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号154のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号154のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、キメラTim4受容体は、配列番号155のアミノ酸配列またはシグナル配列(アミノ酸1~24)を欠く配列番号155のアミノ酸配列を含む。
【0169】
表8
【表8-1】

【表8-2】

【表8-3】
【0170】
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
本開示は、本明細書において説明するキメラTim受容体のうちの任意の1つまたは複数をコードする核酸分子を提供する。核酸とは、一本鎖または二本鎖DNA、cDNAまたはRNAを指す場合があり、アンチセンスDNA、cDNAおよびRNAを含む互いに相補する核酸の正の鎖および負の鎖を含み得る。核酸は、DNAまたはRNAの天然形態または合成形態であり得る。所望のキメラTim受容体をコードする核酸配列は、例えばSambrook et al. (1989 and 2001 editions; Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY)およびAusubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, 2003)において説明される通り、標準技術を使用する当該技術分野において公知の組換え法を使用して、例として所望の配列またはその一部を発現する細胞からのライブラリーをスクリーニングすることによって、所望の配列またはその一部を含むことが公知のベクターからの配列を派生させることによって、または所望の配列またはその一部を含有する細胞または組織から直接的に配列またはその一部を単離することによって、取得または産生することができる。あるいは、目的の配列は、クローニングするのではなく、合成産生することができる。
【0171】
本明細書において提供されるキメラTim受容体組成をコードするポリヌクレオチドは、任意の動物、例としてヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタまたはそれらの組合せに由来し得る。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが挿入される宿主細胞と同じ動物種からのポリヌクレオチドである。
【0172】
本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドは、発現制御配列に作動可能に連結することができる。発現制御配列には、適切な転写開始、終止、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例としてスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を向上させる配列;および場合によって、タンパク質分泌を向上させる配列が含まれ得る。
【0173】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドは、前駆体タンパク質の分泌経路へのターゲティングのための5’末端におけるシグナルペプチド(リーダーペプチドまたはシグナル配列とも呼ばれる)をコードする配列を含む。シグナルペプチドは、細胞プロセシングおよびキメラTim受容体の宿主細胞膜への局在化中に細胞外ドメインのN末端から切断されてもよい。シグナルペプチド配列が切断または除去されたポリペプチドは、成熟ポリペプチドとも呼ばれ得る。本開示のキメラTim受容体において使用され得るシグナルペプチドの例には、例えばGM-CSF(配列番号10のアミノ酸配列)、Tim1(配列番号40のアミノ酸配列)またはTim4(配列番号11、25、または118のアミノ酸配列)を含む、内因性分泌タンパク質由来のシグナルペプチドが含まれる。ある特定の実施形態においては、ポリヌクレオチド配列が成熟キメラTim受容体ポリペプチドをコードするか、またはポリペプチド配列が成熟キメラTim受容体ポリペプチドを含む。シグナルペプチド配列を含む本明細書において開示される配列について、シグナルペプチド配列は、コードされるタンパク質を細胞外膜へ輸送することができる別のシグナルペプチドで置き換えてもよいことが当業者によって理解される。
【0174】
ある特定の実施形態においては、本開示のポリヌクレオチドをコードするキメラTim受容体は、ポリヌクレオチドを含む標的宿主細胞における効率的な発現のためにコドン最適化される[例えばScholten et al., Clin. Immunol. 119:135-145 (2006)を参照のこと]。本明細書において使用されるとき、「コドン最適化した」ポリヌクレオチドは、目的の宿主細胞におけるtRNAの存在量に対応するサイレント変異により改変したコドンを有する異種のポリヌクレオチドを含む。
【0175】
単一のポリヌクレオチド分子が、本明細書において開示される実施形態のうちのいずれかに記載の1つ、2つ、またはそれよりも多いキメラTim受容体をコードし得る。2つ以上の導入遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、マルチシストロン性発現のために各遺伝子間に配置される配列(例えばIRES、ウイルス2Aペプチド)を含み得る。
【0176】
本開示において提供される少なくとも2つの導入遺伝子(例えばキメラTim受容体およびCAR)をコードするポリヌクレオチドは、タンデム発現カセットを構成するために使用され得る。タンデム発現カセットとは、少なくとも2つの導入遺伝子のタンデム発現または共発現のための、同じ組の調節配列の制御下の、または同じ組の調節配列に作動可能に連結された少なくとも2つの導入遺伝子を含むベクター核酸の成分を指す。本開示のタンデム発現カセットにおいて使用され得る調節配列には、適切な転写開始、終止、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例としてスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を向上させる配列;タンパク質分泌を向上させる配列;またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0177】
一態様においては、本開示は、本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドと、細胞免疫療法剤(例えばCAR、TCR等)をコードするポリヌクレオチドとを含むタンデム発現カセットを提供する。
【0178】
ある特定の実施形態においては、タンデム発現カセットは、空間的制御および時間的制御を最適化するように構築され得る。例えば、タンデム発現カセットは、空間的制御および時間的制御を最適化するプロモーターエレメントを含み得る。一部の実施形態においては、タンデム発現カセットは、タンデム発現カセットの器官、細胞種(例えば免疫細胞)または病理学的微小環境、例として腫瘍または感染組織への特異的誘導を可能にする組織特異的プロモーターまたはエンハンサーを含む。「エンハンサー」は、協同的に、または独立して機能して転写を活性化し得る追加のプロモーターエレメントである。ある特定の実施形態においては、タンデム発現カセットは、構成的プロモーターを含む。本開示のタンデム発現カセットにおける使用のための例示的な構成的プロモーターは、EF-1αプロモーターである。ある特定の実施形態においては、タンデム発現カセットは、誘導性プロモーターを含む。ある特定の実施形態においては、タンデム発現カセットは、組織特異的プロモーターを含む。
【0179】
タンデム発現カセット内に含有される少なくとも2つの導入遺伝子は、任意の順序で存在し得る。例えば、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドとCARをコードするポリヌクレオチドとを含むタンデム発現カセットは、5’~3’へ:キメラTim受容体-CARまたはCAR-キメラTim受容体のように配置され得る。
【0180】
ある特定の実施形態においては、会合して多量体または複合体を形成する2つまたはそれよりも多いポリペプチド鎖を含む受容体は、タンデム発現コンストラクト内の2つまたはそれよりも多いポリヌクレオチド分子によってコードされ得る。本開示のタンデム発現コンストラクトにおいて発現のために企図される例示的な多量体受容体には、多重鎖CAR、TCR、TCR-CARおよびTRuC(商標)コンストラクトが含まれる。したがって、キメラTim受容体およびTCRをコードする例示的なタンデム発現カセット実施形態は、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、TCRα鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびTCRβ鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み得る。
【0181】
ある特定の実施形態においては、本開示のタンデム発現カセットは、単一のmRNAからの多数のタンパク質の共発現を可能にするために、タンデム発現カセット内に含有される各ポリヌクレオチド間に配置される配列内リボソーム進入部位(IRES)またはペプチド切断部位、例としてフューリン切断部位またはウイルス2Aペプチドを含み得る。例えば、IRES、フューリン切断部位またはウイルス2Aペプチドは、タンデム発現カセット内のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドとCARをコードするポリヌクレオチドとの間に配置され得る。別の例においては、IRES、フューリン切断部位またはウイルス2Aペプチドは、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、TCRα鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびTCRβ鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの各々の間に配置され得る。ある特定の実施形態においては、ウイルス2Aペプチドは、ブタテッショウウイルス-1(P2A)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)、口蹄疫ウイルス(F2A)またはそれらの変異型である。例示的なT2Aペプチドは、配列番号12、28、29または30のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。例示的なP2Aペプチドは、配列番号13または31のアミノ酸配列を含む。例示的なE2Aペプチド配列は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。例示的なF2Aペプチド配列は、配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0182】
本開示のタンデム発現カセットのある特定の実施形態は、標的抗原(例えば腫瘍抗原)に対して特異的なCAR/またはTCRをコードするポリヌクレオチドと、本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドとを含む。CAR/またはTCRによる標的抗原を発現する標的細胞の結合に際して、そのようなタンデム発現カセットを発現するように改変した細胞は、標的細胞のアポトーシスを誘導する。アポトーシスは、標的細胞上のプロ貪食マーカー、例としてホスファチジルセリンの曝露を誘導し、その後、ホスファチジルセリンは、損傷細胞またはアポトーシス細胞をキメラTim受容体による貪食にターゲティングし得る。
【0183】
所望のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドは、目的の宿主細胞(例えば免疫細胞)への導入のために、適切なベクター、例えばウイルスベクター、非ウイルスプラスミドベクターおよび非ウイルスベクター、例として脂質ベースのDNAベクター、修飾mRNA(modRNA)、自己増幅mRNA、CELiDおよびトランスポゾン媒介遺伝子移行(PiggyBac、Sleeping Beauty)に挿入され得る。本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドは、任意の好適なベクター、例として発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクターまたはシークエンシングベクターにクローニングされ得る。ある特定の実施形態においては、細胞外ドメインをコードするポリヌクレオチド、膜貫通ドメインをコードするポリヌクレオチド、および細胞内シグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチドは、互いに接合されて単一のポリヌクレオチドになり、その後、ベクターに挿入される。他の実施形態においては、細胞外ドメインをコードするポリヌクレオチド、膜貫通ドメインをコードするポリヌクレオチド、および細胞内シグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチドは、発現されるアミノ酸配列が機能的キメラTim受容体を産生するように、ベクターに別々に挿入され得る。キメラTim受容体をコードするベクターは、「キメラTim受容体ベクター」と本明細書において呼ばれる。
【0184】
ある特定の実施形態においては、ベクターは、1つのキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態においては、ベクターは、2つまたはそれよりも多いキメラTim受容体をコードする1つのポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態においては、2つまたはそれよりも多いキメラTim受容体をコードする単一のポリヌクレオチドがクローニング部位にクローニングされ、かつ単一のプロモーターから発現され、各キメラTim受容体配列は、単一のオープンリーディングフレームからの複数遺伝子の共発現を可能にするために(例えばマルチシストロン性ベクター)、配列内リボソーム進入部位(IRES)、フューリン切断部位またはウイルス2Aペプチドによって互いに分離されている。ある特定の実施形態においては、ウイルス2Aペプチドは、ブタテッショウウイルス-1(P2A)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)、口蹄疫ウイルス(F2A)またはそれらの変異型である。例示的なT2Aペプチドは、配列番号12、28、29または30のアミノ酸配列を含む。例示的なP2Aペプチドは、配列番号13または31のアミノ酸配列を含む。例示的なE2Aペプチド配列は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。例示的なF2Aペプチド配列は、配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0185】
ある特定の実施形態においては、ベクターは、各ポリヌクレオチドがキメラTim受容体をコードする、2つまたはそれよりも多いポリヌクレオチドを含む。キメラTim受容体をコードする2つまたはそれよりも多いポリヌクレオチドは、異なるクローニング部位においてベクターへと連続的にクローニングすることができ、各キメラTim受容体は、異なるプロモーターの調節下で発現される。ある特定の実施形態においては、導入遺伝子の長期統合および娘細胞への伝播を可能にするベクターが利用される。例には、ウイルスベクター、例として、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ポックスウイルスまたはレトロウイルス、例としてレンチウイルスベクターが含まれる。レンチウイルスに由来するベクターは、長期遺伝子移行を達成するために使用され、非増殖細胞、例として肝細胞に形質導入する能力、および低免疫原性を含む、ベクターに優る付加利益を有し得る。
【0186】
ある特定の実施形態においては、ベクターは、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドおよび細胞免疫療法剤(例えばキメラ抗原受容体、組換えTCR等)をコードするポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体および細胞免疫療法剤(例えばCAR)をコードする単一のポリヌクレオチドが、クローニング部位にクローニングされ、かつ単一のプロモーターから発現され、キメラTim受容体配列と細胞免疫療法剤(例えばCAR)配列とは、単一のオープンリーディングフレームからの複数遺伝子の共発現を可能にするために(例えばマルチシストロン性ベクター)、配列内リボソーム進入部位(IRES)、フューリン切断部位またはウイルス2Aペプチドによって互いに分離されている。ある特定の実施形態においては、ウイルス2Aペプチドは、ブタテッショウウイルス-1(P2A)、トセア・アシグナウイルス(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)、口蹄疫ウイルス(F2A)またはそれらの変異型である。例示的なT2Aペプチドは、配列番号12、28、29または30のアミノ酸配列を含む。例示的なP2Aペプチドは、配列番号13または31のアミノ酸配列を含む。例示的なE2Aペプチド配列は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。例示的なF2Aペプチド配列は、配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0187】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドおよび細胞免疫療法剤(例えばCAR)結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、互いに接合されて単一のポリヌクレオチドになり、その後、ベクターに挿入される。他の実施形態においては、CERをコードするポリヌクレオチドおよびCARまたはTCR結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、発現されるアミノ酸配列が機能的CERおよびCAR/またはTCRを産生するように、同じかまたは異なるクローニング部位においてベクターに別々に挿入され得る。タンデム発現カセットをコードするベクターは、「タンデム発現ベクター」と本明細書において呼ばれる。
【0188】
ある特定の実施形態においては、ベクターは、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドおよび細胞免疫療法剤(例えばCAR)をコードするポリヌクレオチドを含む。キメラTim受容体および細胞免疫療法剤(例えばCAR)をコードするポリヌクレオチドは、異なるクローニング部位においてベクターに連続的にクローニングすることができ、キメラTim受容体および細胞免疫療法剤(例えばCAR)は、異なるプロモーターの調節下で発現される。
【0189】
コアウイルスをコードするベクターは、「ウイルスベクター」と本明細書において呼ばれる。ヒト遺伝子療法適用のために特定されたウイルスベクターを含む、本開示の組成物との使用のために好適な多数の使用可能なウイルスベクターがある(Pfeifer and Verme, Ann. Rev. Genomics Hum. Genet. 2:177, 2001を参照のこと)。好適なウイルスベクターには、RNAウイルスに基づくベクター、例としてレトロウイルス由来ベクター、例えばマロニーマウス白血病ウイルス(MLV:Maloney murine leukemia virus)由来ベクターが含まれ、より複雑なレトロウイルス由来ベクター、例えばレンチウイルス由来ベクターが含まれる。HIV-1由来ベクターは、このカテゴリーに属する。他の例には、HIV-2、FIV、ウマ伝染性貧血ウイルス、SIVおよびマエディビスナウイルス(ヒツジレンチウイルス)に由来するレンチウイルスベクターが含まれる。レトロウイルス性およびレンチウイルス性ウイルスベクターを使用する方法、および哺乳動物宿主細胞にキメラ受容体導入遺伝子を含有するウイルス粒子を形質導入するための細胞をパッケージングする方法は、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第8,119,772号;Walchli et al., PLoS One 6:327930, 2011;Zhao et al., J. Immunol. 174:4415, 2005;Engels et al., Hum. Gene Ther. 14:1155, 2003;Frecha et al., Mol. Ther. 18:1748, 2010;Verhoeyen et al., Methods Mol. Biol. 506:97, 2009において以前に説明されている。また、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターのコンストラクトおよび発現系は、市販されている。
【0190】
ある特定の実施形態においては、ウイルスベクターは、キメラTim受容体をコードする非内因性ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するために使用される。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターであり得る。また、ウイルスベクターは、形質導入についてのマーカーをコードする核酸配列を含み得る。ウイルスベクターのための形質導入マーカーは、当該技術分野において公知であり、薬物抵抗性を与え得る選択マーカー、または検出可能なマーカー、例として蛍光マーカー、もしくはフローサイトメトリー等の方法によって検出され得る細胞表面タンパク質を含む。特定の実施形態においては、ウイルスベクターは、蛍光タンパク質(例えば緑色、黄色)を含む形質導入についての遺伝子マーカー、ヒトCD2の細胞外ドメインまたは切断型ヒトEGFR(EGFRtまたはtEGFR;Wang et al., Blood 118:1255, 2011を参照のこと)をさらに含む。例示的なtEGFRは、配列番号16のアミノ酸配列を含む。ウイルスベクターゲノムが単一の転写産物からの別個のタンパク質として宿主細胞において発現される複数の遺伝子を含む場合、ウイルスベクターはまた、マルチシストロン性発現を可能にする2つの(またはそれよりも多い)遺伝子間に追加の配列も含み得る。ウイルスベクターにおいて用いられるそのような配列の例には、配列内リボソーム進入部位(IRES)、フューリン切断部位、ウイルス2Aペプチド(例えばT2A、P2A、E2A、F2A)、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0191】
また、ポリヌクレオチドデリバリーのために、例えばアデノウイルスベースのベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV:adeno-associated virus)ベースのベクター;アンプリコンベクター、複製欠損HSVおよび弱毒化HSVを含む単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)由来のベクターを含むDNAウイルスベクターを含む他のウイルスベクターを使用することができる(Krisky et al., Gene Ther. 5: 1517, 1998)。
【0192】
また、遺伝子療法のために最近開発された他のウイルスベクターは、本開示の組成物および方法と共に使用することができる。そのようなベクターには、バキュロウイルスおよびα-ウイルス由来のベクター(Jolly, D J. 1999. Emerging Viral Vectors. pp 209-40, Friedmann T. ed. The Development of Human Gene Therapy. New York: Cold Spring Harbor Lab)またはプラスミドベクター(例としてsleeping beautyまたは他のトランスポゾンベクター)が含まれる。
【0193】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、空間的制御および時間的制御を最適化するように構築され得る。例えば、キメラTim受容体ベクターは、空間的制御および時間的制御を最適化するプロモーターエレメントを含み得る。一部の実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、キメラTim受容体の器官、細胞種(例えば免疫細胞)または病理学的微小環境、例として腫瘍または感染組織への特異的誘導を可能にする組織特異的プロモーターまたはエンハンサーを含む。「エンハンサー」は、協同的に、または独立して機能して転写を活性化し得る追加のプロモーターエレメントである。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、構成的プロモーターを含む。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、誘導性プロモーターを含む。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、組織特異的プロモーターを含む。
【0194】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、インビボにおけるホーミングおよび抗腫瘍活性を改善するために、ホーミング受容体、例としてCCR4またはCXCR4をコードする遺伝子を含み得る。
【0195】
時間的な制御が所望される場合、キメラTim受容体ベクターは、形質導入された細胞の誘導性枯渇を可能にするエレメントを含み得る。例えば、そのようなベクターは、誘導性自殺遺伝子を含み得る。自殺遺伝子は、アポトーシス遺伝子または剤(例えば薬物)への感受性を与える遺伝子であり得る。例示的な自殺遺伝子には、化学誘導性カスパーゼ9(iCASP9)(米国特許公開公報第2013/0071414号)、化学誘導性Fas、またはガンシクロビルへの感受性を与える単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)が含まれる。さらなる実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、関連抗体の注入に際して、形質導入された細胞の枯渇を可能にする公知の細胞表面抗原を発現するように設計され得る。形質導入された細胞の枯渇のために使用され得る細胞表面抗原およびそれらの関連抗体の例には、CD20およびリツキシマブ、RQR8(CD34選択および抗CD20枯渇を可能にする混合CD34およびCD20エピトープ)およびリツキシマブ、ならびにEGFRおよびセツキシマブが含まれる。
【0196】
また、誘導性ベクター系、例として、ドキシサイクリンにより導入遺伝子発現を活性化するテトラサイクリン(Tet)-Onベクター系(Heinz et al., Hum. Gene Ther. 2011, 22:166-76)は、誘導性のキメラTim受容体発現のために使用され得る。また、誘導性のキメラTim受容体発現は、キメラTim受容体構造に導入したフックおよびストレプトアビジン結合タンパク質を通して小胞体膜に固定したストレプトアビジンに基づく選択フック(RUSH)系を使用する保持を介して達成することができ、ここでは、ビオチンの系への添加は、小胞体からのキメラTim受容体の放出をもたらす[Agaugue et al., 2015, Mol. Ther. 23(Suppl. 1):S88]。
【0197】
ある特定の実施形態においては、また、キメラTim受容体改変宿主細胞は、1つまたは複数の小GTPアーゼを共発現するように改変され得る。Rho GTPアーゼ、小(約21kDa)シグナル伝達Gタンパク質のファミリーおよびまた、Rasスーパーファミリーのサブファミリーは、様々な細胞種におけるアクチン細胞骨格組織化を調節し、食作用中の偽足伸長およびファゴソーム閉鎖を促進する(例えばCastellano et al., 2000, J. Cell Sci. 113:2955-2961を参照のこと)。貪食は、繋ぎ止められた細胞または粒子の下のF-アクチン動員、および細胞または粒子内部移行をもたらす膜伸長を可能にするF-アクチン再配置を必要とする。Rho GTPアーゼには、RhoA、Rac1、Rac2、RhoGおよびCDC42が含まれる。他の小GTPアーゼ、例としてRap1は、補体媒介食作用の調節に関与する。小GTPアーゼとキメラTim受容体との共発現は、宿主細胞による標的細胞または粒子内部移行および/またはファゴソーム形成を促進し得る。一部の実施形態においては、GTPアーゼをコードする組換え核酸分子は、キメラTim受容体含有ベクターとは別々のベクターにコードされる。他の実施形態においては、GTPアーゼをコードする組換え核酸分子は、キメラTim受容体と同じベクターにコードされる。GTPアーゼおよびキメラTim受容体は、同じベクターの異なるプロモーターの調節下で(例えば異なるマルチクローニング部位において)発現され得る。あるいは、キメラTim受容体およびGTPアーゼは、マルチシストロン性ベクターにおいて1つのプロモーターの調節下で発現され得る。キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド配列および小GTPアーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、マルチシストロン性ベクターにおいてIRESまたはウイルス2Aペプチドにより互いに分離され得る。例示的な2Aペプチドには、T2A(配列番号12)、P2A(配列番号13)、E2A(配列番号14)、F2A(配列番号15)が含まれる。キメラTim受容体と共に共発現され得るGTPアーゼの例には、Rac1、Rac2、Rab5(Rab5aとも呼ばれる)、Rab7、Rap1、RhoA、RhoG、CDC42またはそれらの任意の組合せが含まれる。特定の実施形態においては、GTPアーゼは、配列番号17のRac1アミノ酸配列、配列番号18のRab5アミノ酸配列、配列番号19のRab7アミノ酸配列、配列番号20のRap1アミノ酸配列、配列番号21のRhoAアミノ酸配列、配列番号22のCDC42アミノ酸配列またはそれらの任意の組合せと少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または100%同一である配列を含むか、またはその配列である。
【0198】
ある特定の実施形態においては、対象から得られた免疫細胞等の細胞は、本明細書において説明するキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドを導入することによって、非天然または組換え細胞(例えば非天然または組換え免疫細胞)へと操作される場合があり、それによって、細胞は、細胞表面局在化キメラTim受容体を発現する。ある特定の実施形態においては、宿主細胞は、免疫細胞、例として骨髄系前駆細胞またはリンパ球前駆細胞である。キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドまたはキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含むように改変され得る例示的な免疫細胞には、T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、リンパ球前駆体細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、骨髄系前駆体細胞、成熟骨髄細胞、単球またはマクロファージが含まれる。
【0199】
ある特定の実施形態においては、B細胞は、1つまたは複数のキメラTim受容体を発現するように遺伝子改変される。B細胞は、炎症部位への輸送、抗原を内部移行および提示することができること、T細胞を共刺激することができること、高増殖性および自己再生性(生涯持続する)を含む宿主細胞として有益であり得るある特定の特性を有する。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変B細胞は、貪食された標的細胞または貪食された標的粒子をより小さいペプチドに消化し、それらを、MHC分子を介してT細胞に提示することができる。キメラTim受容体改変B細胞による抗原提示は、免疫応答の非ターゲティング抗原への抗原拡張に寄与し得る。B細胞は、B細胞系統にコミットされた前駆細胞もしくは前駆体細胞(例えばプレプロB細胞、プロB細胞およびプレB細胞);未成熟かつ不活性化B細胞;または成熟かつ機能的もしくは活性化B細胞を含む。ある特定の実施形態においては、B細胞は、ナイーブB細胞、形質細胞、制御性B細胞、辺縁帯B細胞、濾胞性B細胞、リンパ形質細胞性細胞、形質芽細胞、メモリーB細胞またはそれらの任意の組合せであり得る。メモリーB細胞は、ナイーブB細胞においては非存在であるCD27の発現によってナイーブB細胞から区別され得る。ある特定の実施形態においては、B細胞は、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物由来の初代細胞または細胞系であり得る。B細胞系は、当該技術分野において周知である。哺乳動物から得られる場合、B細胞は、血液、骨髄、脾臓、リンパ節または他の組織もしくは体液を含む多くの供給源から得ることができる。B細胞組成物は、富化または精製され得る。
【0200】
ある特定の実施形態においては、T細胞は、1つまたは複数のキメラTim受容体を発現するように遺伝子改変される。例示的なT細胞には、CD4ヘルパー、CD8エフェクター(細胞傷害性)、ナイーブ(CD45 RA+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD45RO-)、セントラルメモリー(CD45RO、CD62L、CD8)、エフェクターメモリー(CD45RA+、CD45RO-、CCR7-、CD62L-、CD27-)、Tメモリー幹、制御性、粘膜関連インバリアント(MAIT)、γδ(gd)、組織レジデントT細胞、ナチュラルキラーT細胞またはそれらの任意の組合せが含まれる。ある特定の実施形態においては、T細胞は、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物由来の初代細胞または細胞系であり得る。哺乳動物から得られる場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺または他の組織もしくは体液を含む多くの供給源から得ることができる。T細胞組成物は、富化または精製され得る。T細胞系は、当該技術分野において周知であり、それらのうちの一部は、Sandberg et al., Leukemia 21:230, 2000において説明されている。ある特定の実施形態においては、T細胞は、TCRα遺伝子、TCRβ遺伝子またはそれらの両方の内因性発現を欠く。そのようなT細胞は、TCRαおよびβ鎖の内因性発現を天然に欠いていてもよく、発現を遮断するように(例えば、TCRαおよびβ鎖を発現しないトランスジェニックマウスからのT細胞、またはTCRαおよびβ鎖の発現を阻害するように操作された細胞)、またはTCRα鎖、TCRβ鎖またはそれらの両方の遺伝子をノックアウトするように改変されていてもよい。
【0201】
ある特定の実施形態においては、細胞表面上に本開示のキメラTimタンパク質を発現する宿主細胞は、T細胞またはT細胞系統の細胞ではないが、細胞表面抗CD3を発現するように改変された前駆細胞、幹細胞または細胞である、細胞である。
【0202】
ある特定の実施形態においては、また、キメラTim受容体改変宿主細胞は、細胞免疫療法剤(例えばCAR、TCR等)を共発現するように改変され得る。一部の実施形態においては、細胞免疫療法剤は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。CARは、一般的に:標的抗原に結合する結合ドメインを含む細胞外ドメイン;細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、ITAM含有細胞内シグナル伝達ドメインおよび適宜の細胞内共刺激性ドメインを含む)、および細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に位置し、かつこれらを接続する膜貫通ドメインを含む組換え受容体である。
【0203】
本開示のCARにおける使用のために好適な結合ドメインには、任意の抗原結合性ポリペプチドが含まれる。結合ドメインは、例えば全長重鎖、Fab断片、Fab’、F(ab’)、sFv、VHドメイン、VLドメイン、dAb、VHH、CDRおよびscFvを含む抗体またはその抗原結合性断片を含み得る。ある特定の実施形態においては、CAR結合ドメインは、マウス、キメラ、ヒトまたはヒト化CAR結合ドメインである。
【0204】
ある特定の実施形態においては、CARの結合ドメインは、がんまたは腫瘍抗原をターゲティングする。CARがターゲティングし得る例示的な抗原には、CD138、CD38、CD33、CD123、CD72、CD79a、CD79b、メソテリン、PSMA、BCMA、ROR1、MUC-16、L1CAM、CD22、CD19、CD20、CD23、CD24、CD37、CD30、CA125、CD56、c-Met、EGFR、GD-3、HPV E6、HPV E7、MUC-1、HER2、葉酸受容体α、CD97、CD171、CD179a、CD44v6、WT1、VEGF-α、VEGFR1、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-11Rα、PSA、FcRH5、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、TAG-72、CEA、エフリンA2、エフリンB2、ルイス式A抗原、ルイス式Y抗原、MAGE、MAGE-A1、RAGE-1、葉酸受容体β、EGFRviii、VEGFR-2、LGR5、SSX2、AKAP-4、FLT3、フコシルGM1、GM3、o-アセチル-GD2およびGD2が含まれる。
【0205】
ある特定の実施形態においては、本開示において提供されるCARの細胞外ドメインは、細胞外非シグナル伝達スペーサーまたはリンカードメインを含んでもよい。含まれる場合、そのようなスペーサーまたはリンカードメインは、結合ドメインを、宿主細胞表面から離れるように位置させて、適切な細胞-細胞接触、結合および活性化をさらに可能にし得る。細胞外スペーサードメインは一般的に、CARの細胞外結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する。細胞外スペーサーの長さは、選択された標的分子、選択された結合エピトープ、結合ドメインサイズおよび親和性に基づいて、標的分子結合を最適化するために変動し得る(例えばGuest et al., J. Immunother. 28:203-11, 2005;PCT公開公報WO2014/031687号を参照のこと)。ある特定の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、免疫グロブリンヒンジ領域(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD)である。免疫グロブリンヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンヒンジ領域または変更された野生型免疫グロブリンヒンジ領域であり得る。変更されたIgGヒンジ領域は、PCT公開公報WO2014/031687号において説明されており、当該ヒンジ領域は、その全体を参照により本明細書に組み込む。特定の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、配列番号3のアミノ酸配列を有する改変IgGヒンジ領域を含む。
【0206】
本明細書において説明するCARにおいて使用され得るヒンジ領域の他の例には、野生型またはその変異型であり得る1型膜タンパク質、例としてCD8a、CD4、CD28およびCD7の細胞外領域からのヒンジ領域が含まれる。特定の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、配列番号70のアミノ酸配列を有するCD8aヒンジ領域を含む。別の特定の実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、配列番号32のアミノ酸配列を有するCD28ヒンジ領域を含む。さらなる実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはそれらの組合せから選択される免疫グロブリンFcドメインの全てまたは一部を含む(例えばPCT公開公報WO2014/031687号を参照されたく、当該スペーサーは、その全体を参照により本明細書に組み込む)。またさらなる実施形態においては、細胞外スペーサードメインは、II型Cレクチンの柄領域(C型レクチンドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する細胞外ドメイン)を含み得る。II型Cレクチンには、CD23、CD69、CD72、CD94、NKG2AおよびNKG2Dが含まれる。
【0207】
本開示のCARは、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを接続し、かつこれらの間に位置する膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、約15アミノ酸~約30アミノ酸の長さの範囲である。膜貫通ドメインは、宿主細胞膜を横断し、かつ宿主細胞膜においてCARを固定する疎水性アルファヘリックスである。膜貫通ドメインは、結合ドメインに、または存在する場合細胞外スペーサードメインに直接的に融合され得る。ある特定の実施形態においては、膜貫通ドメインは、膜内在性タンパク質[例えば受容体、表面抗原分類(CD:cluster of differentiation)分子、酵素、トランスポーター、細胞接着分子その他]に由来する。膜貫通ドメインは、細胞外ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインと同じ分子から選択され得る(例えば、CARはCD28共刺激性シグナル伝達ドメインおよびCD28膜貫通ドメインを含む)。ある特定の実施形態においては、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインは各々、異なる分子から選択される。他の実施形態においては、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインは各々、異なる分子から選択される。また他の実施形態においては、膜貫通ドメイン、細胞外ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインは各々、異なる分子から選択される。
【0208】
本開示のCARにおける使用のための例示的な膜貫通ドメインには、CD28、CD2、CD4、CD8a、CD5、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD9、CD16、CD22、CD25、CD27、CD33、CD37、CD40、CD45、CD64、CD79A、CD79B、CD80、CD86、CD95(Fas)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD154(CD40L)、CD200R、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD272(BTLA)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、CD279(PD-1)、CD300、CD357(GITR)、A2aR、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、GAL9、KIR、Lck、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、PTCH2、ROR2、Ryk、Slp76、SIRPα、pTα、TCRα、TCRβ、TIM3、TRIM、LPA5およびZap70膜貫通ドメインが含まれる。例示的なCD28膜貫通ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態においては、膜貫通ドメインは、配列番号33のアミノ酸配列を有するCD8a膜貫通ドメインを含む。
【0209】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内エフェクタードメインであり、CARの細胞外ドメインの標的分子(例えばがん抗原)への結合に応答して、機能的シグナルを細胞に伝達し、かつCARを発現するように操作された免疫細胞、例えばT細胞の通常のエフェクター機能または応答のうちの少なくとも1つを活性化することができる。一部の実施形態においては、CARは、T細胞の機能、例として、細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例として、サイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。細胞内シグナル伝達ドメインは、十分なシグナル伝達活性を保持する細胞内シグナル伝達分子の任意の部分であり得る。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、抗原受容体成分(例えばTCR)または共刺激性分子から得られる。一部の実施形態においては、抗原受容体または共刺激性分子の全長細胞内シグナル伝達ドメインが使用される。一部の実施形態においては、抗原受容体または共刺激性分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用され、但し、その切断部分は十分なシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、抗原受容体共刺激性分子の細胞内シグナル伝達ドメインの全長または切断部分の変異型であり、但し、その変異型は十分なシグナル伝達活性を保持する(すなわち、機能的変異型である)。
【0210】
一部の実施形態においては、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)含有シグナル伝達ドメインを含む。ITAM含有シグナル伝達ドメインは一般的に、少なくとも1つの(1、2、3、4つまたはそれよりも多い)ITAMを含有し、これは、YXXL/I-X6-8-YXXL/Iの保存されたモチーフを指す。ITAM含有シグナル伝達ドメインは、抗原結合またはリガンドエンゲージメント後、T細胞活性化シグナル伝達を開始し得る。ITAMシグナル伝達ドメインには、例えばCD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD5、CD22、CD79a、CD278(ICOS)、DAP12、FcRγおよびCD66dの細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。本開示のCARにおいて使用され得る例示的なCD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号27または配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0211】
CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、主要な、または古典的な(例えばITAM駆動)活性化シグナルと共に活性化された場合、T細胞応答、例としてT細胞活性化、サイトカイン産生、増殖、分化、生存、エフェクター機能またはそれらの組合せを促進する、または向上させる共刺激性シグナル伝達ドメインを含んでもよい。CARにおける使用のための共刺激性シグナル伝達ドメインには、例えばCD27、CD28、CD40L、GITR、NKG2C、CARD1、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD226、CD270(HVEM)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、LFA-1、LIGHT、NKG2C、SLP76、TRIM、ZAP70またはそれらの任意の組合せが含まれる。一部の実施形態においては、共刺激性シグナル伝達ドメインは、OX40、CD2、CD27、CD28、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、または4-1BB(CD137)シグナル伝達ドメインを含む。本開示のCARにおいて使用され得る例示的なCD28共刺激性シグナル伝達ドメインは、配列番号26または4のアミノ酸配列を含む。例示的な4-1BB共刺激性シグナル伝達ドメインは、配列番号100のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態においては、CARは、1、2つまたはそれよりも多い共刺激性シグナル伝達ドメインを含む。
【0212】
一部の実施形態においては、CARは、抗体に由来するscFv結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインからなる組換え受容体である。一部の実施形態においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、TCRに由来する。
【0213】
ある特定の実施形態においては、キメラ抗原受容体は、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、それらのトランスジェニック種またはそれらの任意の組合せを含む任意の哺乳動物種に由来するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態においては、キメラ抗原受容体は、マウス、キメラ、ヒトまたはヒト化である。
【0214】
ある特定の実施形態においては、CARは、第1世代CAR、第2世代CARまたは第3世代CARである。第1世代CARは一般的に、CD3ζ、FcγRIの細胞内シグナル伝達ドメインまたは他のITAM含有活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを有して、T細胞活性化シグナルを提供する。第2世代CARは、共刺激性シグナル伝達ドメイン(例えば内因性T細胞共刺激性受容体、例としてCD28、4-1BBまたはICOSからの共刺激性シグナル伝達ドメイン)をさらに含む。第3世代CARは、ITAM含有活性化ドメイン、第1の共刺激性シグナル伝達ドメインおよび第2の共刺激性シグナル伝達ドメインを含む。
【0215】
一部の実施形態においては、細胞外ドメイン、結合ドメイン、リンカー、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、または共刺激性ドメインのうちの1つまたは複数は、接合部アミノ酸を含む。「接合部アミノ酸」または「接合部アミノ酸残基」とは、タンパク質の2つの隣接ドメイン、モチーフ、領域、モジュールまたは断片間、例として結合ドメインと隣接リンカーとの間、膜貫通ドメインと隣接細胞外もしくは細胞内ドメインとの間、あるいは2つのドメイン、モチーフ、領域、モジュールもしくは断片を連結するリンカーの一方または両方の末端(例えばリンカーと隣接結合ドメインとの間またはリンカーと隣接ヒンジとの間)の1つまたは複数の(例えば約2~20個の)アミノ酸残基を指す。接合部アミノ酸は、融合タンパク質のコンストラクト設計から生じ得る(例えば融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの構築中の制限酵素部位または自己切断ペプチド配列の使用から生じるアミノ酸残基)。例えば、融合タンパク質の膜貫通ドメインは、アミノ末端、カルボキシ末端、またはその両方において、1つまたは複数の接合部アミノ酸を有し得る。
【0216】
ある特定の実施形態においては、操作された宿主細胞は、キメラTim受容体および抗CD72 CARを共発現する。
【0217】
一部の実施形態においては、抗CD72 CARの結合ドメインは、(i)配列番号71に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR-1);配列番号72に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR-2);および配列番号73に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR-3)を含む重鎖可変(VH)領域;ならびに(ii)配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR-1);配列番号75に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR-2);および配列番号76に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR-3)を含む軽鎖可変(VL)領域;または(iii)配列番号77に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR-1);配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(HCDR-2);および配列番号79に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR-3)を含む重鎖可変(VH)領域;ならびに(iv)(ii)配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR-1);配列番号81に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR-2);および配列番号82に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR-3)を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0218】
一部の実施形態においては、CARの結合ドメインは、(i)配列番号83に示されるアミノ酸配列または配列番号83について少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むVH領域、および配列番号84に示されるアミノ酸配列または配列番号84について少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むVL領域;あるいは(ii)配列番号85に示されるアミノ酸配列または配列番号85について少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むVH領域、および配列番号86に示されるアミノ酸配列または配列番号86について少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むVL領域を含む。
【0219】
本開示の抗CD72 CARにおける使用のための例示的な結合ドメイン、細胞外スペーサードメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン配列ならびに例示的な抗CD72 CAR配列は、表9に示され、かつその全体を参照により本明細書に組み込む2020年8月14日出願の表題「Anti-CD72 Chimeric Receptors and Uses Thereof」の米国仮特許出願において説明される。
【0220】
表9.
【表9-1】


【表9-2】


【表9-3】


【表9-4】


【表9-5】


【表9-6】


【表9-7】


【表9-8】


【表9-9】

【表9-10】



【表9-11】

【表9-12】



【表9-13】

【0221】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変宿主細胞は、組換えTCRを共発現する。組換えTCRタンパク質には、α鎖ポリペプチドとβ鎖ポリペプチドとのヘテロ二量体またはγ鎖ポリペプチドとδ鎖ポリペプチドとのヘテロ二量体からなる「伝統的な」TCR、例えば単鎖TCR、単一ドメインTCR、可溶性TCR融合TCRタンパク質およびTCR融合コンストラクト[TRuC(商標)]を含む、その結合性断片および融合タンパク質が含まれる。ある特定の実施形態においては、タンデム発現カセットは、TCRベータ可変領域およびTCRベータ定常領域を含む組換えTCRベータ鎖をコードするポリヌクレオチドと、TCRアルファ可変領域およびTCRアルファ定常領域を含む組換えTCRアルファ鎖をコードするポリヌクレオチドとを含む。ある特定の実施形態においては、組換えTCRは、高親和性TCRである。一実施形態においては、組換えTCRは、高親和性TCRである。
【0222】
ある特定の実施形態においては、組換えTCR結合タンパク質は、フレキシブルリンカーによってVβに接合されたVαを含む単鎖TCR(scTCR:single chain TCR)である。一部の実施形態においては、scTCRは、Vα-リンカー-Vβポリペプチドを含む。他の実施形態においては、scTCRは、Vβ-リンカー-Vαポリペプチドを含む。
【0223】
ある特定の実施形態においては、また、キメラTim受容体改変宿主細胞は、単鎖TCR(scTCR)融合タンパク質を共発現するように改変され得る。scTCR融合タンパク質は、scTCRを含む結合ドメイン(TCR Vβドメインに連結したTCR Vαドメイン)と、適宜の細胞外スペーサーと、膜貫通ドメインと、T細胞活性化シグナル(例えばCD3ζ ITAM含有活性化ドメイン)および適宜の共刺激性シグナル伝達ドメインを提供する単一の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内成分とを含む(Aggen et al., 2012, Gene Ther. 19:365-374;Stone et al., Cancer Immunol. Immunother. 2014, 63:1163-76を参照のこと)。
【0224】
ある特定の実施形態においては、また、キメラTim受容体改変宿主細胞は、T細胞受容体ベースのキメラ抗原受容体(TCR-CAR)を共発現するように改変され得る。TCR-CARは、可溶性TCRを一般的に含むヘテロ二量体融合タンパク質であり(VαドメインおよびCαドメインを含むポリペプチド鎖、およびVβドメインおよびCβドメインを含むポリペプチド鎖)、VβCβポリペプチド鎖は、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達成分(例えばITAM含有活性化ドメインおよび適宜、共刺激性シグナル伝達ドメイン)に連結されている(例えばWalseng et al., 2017 Scientific Reports 7:10713を参照のこと)。
【0225】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体と細胞免疫療法剤(例えばCAR、TCR等)とを共発現する操作された宿主細胞は、キメラTim受容体をコードする組換え核酸および細胞免疫療法剤をコードする組換え核酸分子を、操作された宿主細胞内で別々のベクター上に含む。
【0226】
一部の実施形態においては、キメラTim受容体と細胞免疫療法剤(例えばCAR、TCR等)とを共発現する操作された宿主細胞は、キメラTim受容体をコードする組換え核酸および細胞免疫療法剤をコードする組換え核酸分子を、操作された宿主細胞内でキメラTim受容体と同じベクター上に含む。キメラTim受容体および細胞免疫療法剤は、同じベクターの異なるプロモーターの調節下で(例えば異なるマルチクローニング部位において)発現され得る。あるいは、キメラTim受容体および細胞免疫療法剤は、マルチシストロン性ベクター(例えばタンデム発現ベクター)において1つのプロモーターの調節下で発現され得る。キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド配列および細胞免疫療法剤をコードするポリヌクレオチド配列は、マルチシストロン性ベクターにおいてIRESまたはウイルス2Aペプチドにより分離され得る。
【0227】
タンデム発現カセット、タンデム発現ベクター、およびそれを含む操作された宿主細胞は、その全体を参照により本明細書に組み込む、国際出願公開公報WO2019/191339号において説明されている。
【0228】
ある特定の実施形態においては、宿主細胞ゲノムを本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドを含むように改変するために、遺伝子編集法が使用される。遺伝子編集またはゲノム編集は、遺伝子操作エンドヌクレアーゼを使用してDNAが挿入されるか、置き換えられるか、または宿主細胞のゲノムから除去される遺伝子操作法である。ヌクレアーゼは、ゲノムにおけるターゲティングされた遺伝子座において特異的二本鎖切断を創出する。その後、宿主細胞の内因性DNA修復経路は、例えば非相同末端結合(NHEJ:non-homologous ending joining)および相同組換えによって、誘導された切断(複数可)を修復する。遺伝子編集に有用な例示的なエンドヌクレアーゼには、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN:zinc finger nuclease)、転写アクチベーター様エフェクター(TALE:transcription activator-like effector)ヌクレアーゼ、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats:クラスター化規則的配置短回文反復配列)/Casヌクレアーゼ系(例えばCRISPR-Cas9)、メガヌクレアーゼまたはそれらの組合せが含まれる。遺伝子編集エンドヌクレアーゼを使用して、B細胞およびT細胞を含む免疫細胞において遺伝子または遺伝子発現を破壊またはノックアウトする方法は、当該技術分野において公知であり、例えば国際出願公開公報WO2015/066262号;WO2013/074916号;WO2014/059173号;Cheong et al., Nat. Comm. 2016 7:10934;Chu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2016 113:12514-12519において説明されており、そのうちの各々からの方法は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0229】
ある特定の実施形態においては、宿主細胞の内因性遺伝子の発現は、阻害、ノックダウンまたはノックアウトされる。B細胞において阻害、ノックダウンまたはノックアウトされ得る内因性遺伝子の例には、IGH、IGκ、IGλまたはそれらの任意の組合せが含まれる。T細胞において阻害、ノックダウンまたはノックアウトされ得る内因性遺伝子の例には、TCR遺伝子(TRAまたはTRB)、HLA遺伝子(HLAクラスI遺伝子またはHLAクラスII遺伝子)、免疫チェックポイント分子(PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、B7-H3、B7-H4、HVEM、アデノシン、GAL9、VISTA、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、PVRL2、PD-1、CTLA-4、BTLA、KIR、LAG3、TIM3、A2aR、CD244/2B4、CD160、TIGIT、LAIR-1またはPVRIG/CD112R)またはそれらの任意の組合せが含まれる。内因性遺伝子の発現は、遺伝子レベル、転写レベル、翻訳レベルまたはそれらの組合せにおいて阻害、ノックダウンまたはノックアウトされ得る。内因性遺伝子を阻害、ノックダウンまたはノックアウトする方法は、例えばRNA干渉剤(例えばsiRNA、shRNA、miRNA等)もしくは操作されたエンドヌクレアーゼ[例えばCRISPR/Casヌクレアーゼ系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ]またはそれらの任意の組合せによって達成され得る。ある特定の実施形態においては、内因性B細胞遺伝子(例えばIGH、IGκまたはIGλ)は、操作されたエンドヌクレアーゼを介する等の、本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドの内因性B細胞遺伝子の遺伝子座への挿入によってノックアウトされる。ある特定の実施形態においては、内因性T細胞遺伝子(例えばTCR遺伝子、HLA遺伝子または免疫チェックポイント分子遺伝子)は、操作されたエンドヌクレアーゼを介する等の、本開示のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドの内因性T細胞遺伝子の遺伝子座への挿入によってノックアウトされる。
【0230】
ある特定の実施形態においては、宿主細胞は、1種類のキメラTim受容体を発現するように遺伝子改変することができる。他の実施形態においては、宿主細胞は、少なくとも2つまたはそれよりも多い異なるキメラTim受容体を発現し得る。
【0231】
また、本開示は、キメラTim受容体改変宿主細胞の集団を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変宿主細胞の集団は、B細胞集団、T細胞集団、ナチュラルキラー細胞集団、リンパ球前駆体細胞集団、抗原提示細胞集団、樹状細胞集団、ランゲルハンス細胞集団、骨髄前駆体細胞集団、成熟骨髄細胞集団またはそれらの任意の組合せであり得る。さらに、特定の細胞種のキメラTim受容体改変宿主細胞の集団は、1つまたは複数のサブタイプからなり得る。例えば、B細胞集団は、キメラTim受容体改変ナイーブB細胞、形質細胞、制御性B細胞、辺縁帯B細胞、濾胞性B細胞、リンパ形質細胞性細胞、形質芽細胞、メモリーB細胞またはそれらの任意の組合せからなり得る。別の例においては、T細胞集団は、キメラTim受容体改変CD4ヘルパーT細胞、CD8エフェクター(細胞傷害性)T細胞、ナイーブ(CD45 RA+、CCR7+、CD62L+、CD27+、CD45RO-)T細胞、セントラルメモリー(CD45RO、CD62L、CD8)T細胞、エフェクターメモリー(CD45RA+、CD45RO-、CCR7-、CD62L-、CD27-)T細胞、Tメモリー幹細胞、制御性T細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT)、γδ(gd)細胞、組織レジデントT細胞、ナチュラルキラーT細胞またはそれらの任意の組合せからなり得る。
【0232】
ある特定の実施形態においては、宿主細胞集団は、各々が同じキメラTim受容体を発現する細胞からなる。他の実施形態においては、宿主細胞集団は、宿主細胞の2つまたはそれよりも多いサブ集団の混合物からなり、各サブ集団は、異なるキメラTim受容体またはキメラTim受容体のセットを発現する。
【0233】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変宿主細胞、例えばB細胞またはT細胞を調製する場合、宿主細胞、例えばB細胞またはT細胞の増殖を促進する1つまたは複数の増殖因子サイトカインが、細胞培養物に添加され得る。サイトカインは、ヒトまたは非ヒトサイトカインであり得る。T細胞増殖を促進するために使用され得る例示的な増殖因子サイトカインには、IL-2、IL-15その他が含まれる。B細胞増殖を促進するために使用され得る例示的な増殖因子サイトカインには、CD40L、IL-2、IL-4、IL-15、IL-21、BAFFその他が含まれる。
【0234】
宿主細胞のキメラTim受容体ベクターによる遺伝子改変の前に、宿主細胞(例えばT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞等)の供給源は、対象から得られ(例えば全血、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織)、これらから宿主細胞が、当該技術分野において公知の方法を使用して単離される。特定の宿主細胞サブセットは、抗体への親和性結合、フローサイトメトリーおよび/または免疫磁気選択等の公知の技術に従って収集され、公知の技術によって富化または枯渇され得る。富化および/または枯渇工程ならびにキメラTim受容体の導入後、公知の技術または当業者に明らかであるその変形に従って、所望の改変宿主細胞のインビトロ拡大増殖を行ってもよい。
【0235】
本開示のキメラTim受容体は、ホスファチジルセリンに特異的なキメラTim受容体を発現する宿主細胞に対して、細胞傷害活性を与える。したがって、標的細胞の表面上に曝露されたホスファチジルセリンへの結合に際して、キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、標的細胞のアポトーシスを誘導することができる。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、グランザイム、パーフォリン、グラニュライシンまたはそれらの任意の組合せの放出;Fasリガンド-Fas相互作用;またはその両方を介して、標的細胞のアポトーシスを誘導する。さらなる実施形態においては、キメラTim受容体は、キメラTim受容体を発現する宿主細胞に対して、ホスファチジルセリン特異的貪食活性をさらに与える。またさらなる実施形態においては、宿主細胞は、キメラTim受容体による改変前に、天然に貪食表現型を示さない。
【0236】
本開示のキメラTim受容体はまた、少なくとも1つのシグナル伝達経路を介してT細胞を共刺激することもできる場合がある。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体は、少なくとも2つの異なるシグナル伝達経路を介して(例えばキメラTim受容体中の選択された共刺激性シグナル伝達ドメインを介して)、T細胞に共刺激性シグナルを提供する。例えば、CD28共刺激性シグナル伝達ドメインを含むキメラTim受容体は、CD28およびTim1を介して共刺激性シグナルを提供することができる場合がある。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体を発現する宿主免疫細胞は、免疫細胞疲弊の低減または阻害を示す。ある特定の実施形態においては、宿主免疫細胞は、T細胞またはNK細胞である。ある特定の実施形態においては、疲弊したT細胞は、(a)PD-1、TIGIT、LAG3、TIM3、もしくはそれらの任意の組合せの増大した発現;(b)IFN-γ、IL-2、TNF-α、もしくはそれらの任意の組合せの減少した産生;または(a)と(b)との両方を示す。ある特定の実施形態においては、疲弊したNK細胞は、(a)PD-1、NKG2A、TIM3、もしくはそれらの任意の組合せの増大した発現;(b)IFN-γ、TNF-α、もしくはその両方の減少した産生;または(a)と(b)との両方を示す。
【0237】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、向上されたエフェクター応答(例えば腫瘍特異的)を示す。ある特定の実施形態においては、エフェクター応答は、向上されたT細胞増殖、サイトカイン産生(例えばIFN-γ、IL-2、TNF-α)、細胞傷害活性、持続性、またはそれらの任意の組合せである。キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、単独で、または例えばCAR-T細胞、TCR、抗体、放射線療法、化学療法、小分子、腫瘍溶解性ウイルス、電気パルス療法等を含む他の治療剤と組み合わせて、対象に投与され得る。
【0238】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、ホスファチジルセリンに対する低減した免疫抑制性応答を示す。ホスファチジルセリンは、食細胞に対して「食せよ」というシグナルを送る、主要なアポトーシス性細胞リガンドのうちの1つである。食細胞によるアポトーシス細胞の除去は一般的に、抗炎症性サイトカインIL-10およびTGF-βの分泌、ならびに炎症性サイトカインTNF-α、IL-1β、およびIL-12の分泌の減少を介する炎症性応答を低減させるかまたは妨げる。したがって、ホスファチジルセリンは、アポトーシス細胞のクリアランス中に免疫抑制性シグナルとして作用し得る。ある特定の実施形態においては、ホスファチジルセリンへの結合時に、キメラTim受容体改変宿主細胞は、増大した抗原特異的サイトカイン産生(例えばIFN-γ、IL-2、TNF-α)を示し、それによって、ホスファチジルセリンに対する免疫抑制性応答を低減させる。
【0239】
一部の実施形態においては、キメラTim受容体を発現するT細胞は、増大した抗原捕捉、抗原プロセシングおよび/もしくは抗原提示活性を示すか、または抗原捕捉、抗原プロセシングおよび/もしくは抗原提示活性を向上させる。標的ペプチド抗原を提示しかつ標的ペプチド特異的T細胞に対して標的ペプチド特異的活性化を誘導するキメラTim受容体T細胞の能力を測定する方法は、実施例2において説明されている。
【0240】
宿主細胞上でのキメラTim受容体の発現は、T細胞結合、活性化または誘導の決定を含む、およびまた、抗原特異的であるT細胞応答の決定を含む、宿主細胞(例えばT細胞)活性をアッセイするための多数の当該技術分野において許容される方法のいずれかに従って機能的に特徴付けてもよい。例は、T細胞増殖、T細胞サイトカイン放出、抗原特異的T細胞刺激、CTL活性(例えば、事前にロードした標的細胞からの51Crまたはユーロピウム放出を検出することによって)、T細胞表現型マーカー発現の変化およびT細胞機能の他の測定値の決定を含む。これらおよび同様のアッセイを行うための手技は、例えばLefkovits (Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, 1998)において見出すことができる。また、Current Protocols in Immunology; Weir, Handbook of Experimental Immunology, Blackwell Scientific, Boston, MA (1986);Mishell and Shigii (eds.) Selected Methods in Cellular Immunology, Freeman Publishing, San Francisco, CA (1979);Green and Reed, Science 281:1309 (1998)およびそれらの中で引用される参考文献を参照されたい。サイトカインレベルは、例えばELISA、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色、フローサイトメトリーおよびそれらの任意の組合せ(例えば細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリー)を含む当該技術分野において公知の方法に従って決定され得る。免疫応答の抗原特異的誘発または刺激から生ずる免疫細胞増殖およびクローン拡大増殖は、末梢血細胞またはリンパ節からの細胞の試料中の循環リンパ球等のリンパ球を単離し、細胞を抗原により刺激し、トリチウム化チミジンの組込みまたはMTTアッセイ等の非放射性アッセイ等による等、サイトカイン産生、細胞増殖および/または細胞生存率を測定することによって決定され得る。
【0241】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変宿主細胞は、標的細胞について約20~約1,500の食作用指数を有する。「食作用指数」は、培地中の標的細胞または粒子とキメラTim受容体改変宿主細胞との懸濁液のインキュベーションの設定期間中の、キメラTim受容体改変宿主細胞当たりの摂取された標的細胞または粒子の数をカウントすることによって決定される、形質導入された宿主細胞の食作用活性の測定値である。食作用指数は、[貪食された標的細胞の総数/カウントされたキメラTim受容体改変細胞の総数(例えば食作用頻度)]x[キメラTim受容体宿主細胞当たりの標的細胞または粒子染色の平均面積x100(例えばハイブリッドキャプチャー)]または[貪食された粒子の総数/カウントされたキメラTim受容体改変宿主細胞の総数]x[貪食された粒子を含有するキメラTim受容体改変宿主細胞数/カウントされたキメラTim受容体細胞の総数]x100を掛けることによって計算され得る。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞は、約30~約1,500;約40~約1,500;約50~約1,500;約75~約1,500;約100~約1,500;約200~約1,500;約300~約1,500;約400~約1,500;約500~約1,500;約20~約1,400;約30~約1,400;約40~約1,400;約50~約1,400;約100~約1,400;約200~約1,400;約300~約1,400;約400~約1,400;約500~約1,400;約20~約1,300;約30~約1,300;約40~約1,300;約50~約1,300;約100~約1,300;約200~約1,300;約300~約1,300;約400~約1,300;約500~約1,300;約20~約1,200;約30~約1,200;約40~約1,200;約50~約1,200;約100~約1,200;約200~約1,200;約300~約1,200;約400~約1,200;約500~約1,200;約20~約1,100;約30~約1,100;約40~約1,100;約50~約1,100;約100~約1,100;約200~約1,100;約300~約1,100;約400~約1,100;または約500~約1,100;約20~約1,000;約30~約1,000;約40~約1,000;約50~約1,000;約100~約1,000;約200~約1,000;約300~約1,000;約400~約1,000;または約500~約1,000;約20~約750;約30~約750;約40~約750;約50~約750;約100~約750;約200~約750;約300~約750;約400~約750;または約500~約750;約20~約500;約30~約500;約40~約500;約50~約500;約100~約500;約200~約500;または約300~約500の食作用指数を有する。さらなる実施形態においては、インキュベーション時間は、約2時間~約4時間、約2時間、約3時間または約4時間である。またさらなる実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞は、切断型EGFR対照を形質導入した細胞よりも統計的に有意に高い食作用指数を示す。食作用指数は、フローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡による定量を含む、当該技術分野において公知の、かつ実施例およびPCT出願PCT/US2017/053553号(その全体を参照により本明細書に組み込む)においてさらに説明される方法を使用して計算され得る。
【0242】
宿主細胞は、動物、例としてヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタまたはそれらの組合せからの宿主細胞であり得る。好ましい実施形態においては、動物は、ヒトである。宿主細胞は、健康な対象、または抗原の発現または過剰発現と関連付けられる疾患を有する対象から得てもよい。
【0243】
使用方法
一態様においては、本開示は、本明細書において説明する実施形態のうちのいずれかに記載の少なくとも1つのキメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターを宿主細胞に導入することと;宿主細胞において少なくとも1つのキメラTim受容体を発現させることとを含む、細胞のホスファチジルセリン特異的細胞傷害活性を与えるかまたは向上させるための方法を提供し、少なくとも1つのキメラTim受容体は、キメラTim受容体を発現するための改変前の宿主細胞と比較して、宿主細胞のホスファチジルセリン特異的細胞傷害活性を向上させる。ある特定の実施形態においては、宿主細胞の細胞傷害活性は、キメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターによる改変前の宿主細胞と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれよりも多く増大する。一部の実施形態においては、宿主細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態においては、宿主細胞は、T細胞またはNK細胞である。宿主細胞、特にT細胞およびNK細胞等の免疫細胞の細胞傷害活性を測定する方法には、標的細胞死およびエフェクター細胞活性を媒介する、クロミウム(51Cr)放出アッセイ、β-galまたはホタルルシフェラーゼ放出アッセイ、フローサイトメトリー法が含まれる(例えばExpert Rev. Vaccines, 2010, 9:601-616を参照のこと)。
【0244】
ある特定の実施形態においては、細胞のホスファチジルセリン特異的細胞傷害活性を与えるかまたは向上させるための方法は、少なくとも1つのキメラTim受容体を発現する宿主細胞のホスファチジルセリン特異的貪食活性を与えるかまたは向上させることをさらに含む。ある特定のそのような実施形態においては、宿主細胞は、キメラTim受容体による改変前に、天然には貪食表現型を示さない。例えば、ある特定のそのような実施形態においては、宿主細胞の貪食活性は、キメラTim受容体ベクターを発現するための改変前の宿主細胞と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれよりも多く増大する。ある特定の実施形態においては、宿主細胞は、天然には貪食活性を有しない。一部の実施形態においては、宿主細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態においては、宿主細胞は、T細胞またはNK細胞である。宿主細胞の貪食活性を測定する方法は、国際出願公開公報WO2018/064076(その全体を参照により本明細書に組み込む)に説明される方法を含む。
【0245】
別の態様においては、本明細書において提供される実施形態のいずれかに記載のキメラTim受容体、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、キメラTim受容体ベクター、またはキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、宿主細胞のエフェクター機能を向上させる方法において使用され得る。ある特定の実施形態においては、向上されたエフェクター機能は、増大した細胞傷害活性、増大した抗原特異的サイトカイン産生(例えばIFN-γ、IL-2、TNF-αまたはそれらの任意の組合せである)、増大した抗アポトーシスシグナル伝達、増大した持続性、増大した拡大増殖、増大した増殖、またはそれらの任意の組合せを含む。ある特定の実施形態においては、宿主細胞のエフェクター機能は、キメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターにより改変されていない宿主細胞と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれよりも多く向上される。一部の実施形態においては、宿主細胞は、免疫細胞である。ある特定の実施形態においては、宿主細胞は、T細胞またはNK細胞である。
【0246】
別の態様においては、本開示のキメラTim受容体により改変した宿主細胞は、免疫細胞疲弊を阻害または低減するための方法において使用され得る。一部の実施形態においては、免疫細胞は、T細胞またはNK細胞である。ある特定の実施形態においては、T細胞における低減した疲弊は、(a)T細胞におけるPD-1、TIGIT、LAG3、TIM3、もしくはそれらの任意の組合せの減少した発現;(b)T細胞におけるIFN-γ、IL-2、TNF-α、もしくはそれらの任意の組合せの増大した産生;または(a)と(b)との両方を含む。ある特定の実施形態においては、NK細胞における低減した疲弊は、(a)NK細胞におけるPD-1、NKG2A、TIM3、もしくはそれらの任意の組合せの減少した発現;(b)NK細胞におけるIFN-γ、TNF-α、もしくはその両方の増大した産生;または(a)と(b)との両方を含む。ある特定の実施形態においては、免疫チェックポイント分子の発現は、キメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターにより改変されていない宿主免疫細胞と比較して、キメラTim受容体を発現する宿主免疫細胞において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%減少する。ある特定の実施形態においては、サイトカインの発現は、キメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターにより改変されていない宿主免疫細胞と比較して、キメラTim受容体を発現する宿主免疫細胞において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれよりも多く増大する。
【0247】
別の態様においては、本明細書において提供される実施形態のいずれかに記載のキメラTim受容体、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、キメラTim受容体ベクター、またはキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、宿主細胞においてホスファチジルセリンに対する免疫抑制性応答を低減させる方法において使用され得る。ある特定の実施形態においては、免疫抑制性応答は、抗炎症性サイトカイン(例えばIL-10、TGF-β、またはその両方)の分泌、炎症性サイトカイン(例えばTNF-α、IL-1β、およびIL-12)の分泌の減少、またはその両方を含む。ある特定の実施形態においては、ホスファチジルセリンに対する宿主細胞の免疫抑制性応答は、キメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターにより改変されていない宿主細胞と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%減少する。一部の実施形態においては、宿主細胞は、免疫細胞である。ある特定の実施形態においては、宿主細胞は、T細胞またはNK細胞である。
【0248】
また別の態様においては、本明細書において提供される実施形態のいずれかに記載のキメラTim受容体、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、キメラTim受容体ベクター、またはキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する標的細胞を除去するための、例えば、表面提示されたホスファチジルセリンを保持するがん細胞を除去するための方法において使用され得る。ある特定の実施形態においては、標的細胞は、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する損傷細胞、ストレスを受けた細胞、アポトーシス細胞、壊死細胞(例えば腫瘍細胞)である。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、アポトーシスを誘導すること、またはアポトーシスおよび貪食の両方を誘導することを介して、表面曝露されたホスファチジルセリンを保持する損傷標的細胞、ストレスを受けた標的細胞、アポトーシス標的細胞、または壊死標的細胞を一掃する。キメラTim受容体を発現する宿主細胞は、単独で、または例えばCAR-T細胞、TCR、抗体、放射線療法、化学療法、小分子、腫瘍溶解性ウイルス、電気パルス療法等を含む他の治療剤と組み合わせて、対象に投与され得る。
【0249】
別の態様においては、本明細書において提供される実施形態のいずれかに記載のキメラTim受容体、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、キメラTim受容体ベクター、またはキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、細胞ストレス、損傷、壊死、またはアポトーシスを誘導する治療剤の効果を向上させるための方法において使用され得る。ある特定の療法、例として化学療法、放射線療法、UV光療法、電気パルス療法、養子細胞免疫療法(例えばCAR-T細胞、TCR)および腫瘍溶解性ウイルス療法は、腫瘍細胞、疾患細胞、およびそれらの周囲環境における細胞に対して、細胞損傷または細胞死を誘導し得る。キメラTim受容体を発現する細胞は、ターゲティング細胞の外側リーフレット上に曝露されたホスファチジルセリン部分に結合する細胞損傷性/細胞傷害性療法と組み合わせて投与され、かつストレスを受けた細胞、損傷細胞、疾患細胞、アポトーシス細胞、壊死細胞を一掃することができる。
【0250】
別の態様においては、本開示は、本明細書において説明する実施形態のうちのいずれかに記載の少なくとも1つのキメラTim受容体をコードする核酸分子またはキメラTim受容体ベクターを宿主細胞に導入することと;宿主細胞において少なくとも1つのキメラTim受容体を発現させることとを含む、細胞の抗原捕捉、抗原プロセシング、および/もしくは抗原提示活性を与えるかまたは向上させるための方法を提供し、少なくとも1つのキメラTim受容体は、キメラTim受容体を発現するための改変前の宿主細胞と比較して、宿主細胞の抗原捕捉、抗原プロセシング、および/または抗原提示活性を向上させる。一部の実施形態においては、キメラTim受容体は、ITAM含有細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または共刺激性ドメインと;TLR2またはTLR8細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態においては、伝統的なT細胞シグナル伝達(例えばCD28および/またはCD3ζ)を有するキメラTim受容体設計へのTLRシグナル伝達ドメイン、例えばTLR2細胞内シグナル伝達ドメインまたはTLR8細胞内シグナル伝達ドメインの付加は、T細胞による抗原捕捉、抗原プロセシング、および/または抗原提示を向上させる。
【0251】
別の態様においては、本明細書において提供される実施形態のいずれかに記載の、キメラTim受容体、キメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、キメラTim受容体ベクター、またはキメラTim受容体を発現する宿主細胞は、疾患、障害または望ましくない状態を患う対象を治療する方法において使用され得る。これらの方法の実施形態は、治療有効量の、本説明に記載の1つもしくは複数のキメラTim受容体、1つもしくは複数のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチド、1つもしくは複数のキメラTim受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターまたは1つもしくは複数のキメラTim受容体を発現するように遺伝子改変された宿主細胞集団を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0252】
本開示において説明するキメラTim受容体を発現する細胞により治療され得る疾患は、がんおよび感染性疾患(ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原生動物感染)を含む。養子免疫療法および遺伝子療法は、様々な種類のがん(Morgan et al., Science 314:126, 2006;Schmitt et al., Hum. Gene Ther. 20:1240, 2009;June, J. Clin. Invest. 117:1466, 2007)および感染性疾患(Kitchen et al., PLoS One 4:38208, 2009;Rossi et al., Nat. Biotechnol. 25:1444, 2007;Zhang et al., PLoS Pathog. 6:e1001018, 2010;Luo et al., J. Mol. Med. 89:903, 2011)のための有望な治療である。
【0253】
固形腫瘍および白血病を含む多種多様ながんは、本明細書において開示される組成物および方法に適している。本明細書において説明する受容体、改変宿主細胞および組成物を使用して治療され得る例示的ながんには、乳房、前立腺および結腸の腺癌;全ての形態の気管支原性肺癌;骨髄性白血病;黒色腫;肝細胞腫;神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患;ならびに癌腫(例えば、ウォーカー癌腫、基底細胞癌、基底扁平細胞癌、ブラウン・ピアース癌、腺管癌、エールリッヒ癌、クレブス2癌、メルケル細胞癌、粘液性癌、非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、乳頭癌、硬性癌、細気管支癌、気管支原性肺癌、扁平上皮癌および移行上皮癌)が含まれる。本明細書において説明する受容体、改変宿主細胞および組成物を使用して治療され得る追加のがんの種類は、組織球性障害;悪性組織球症;白血病;ホジキン病;免疫増殖性小(immunoproliferative small);非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;多発性骨髄腫;慢性骨髄性白血病(CML);急性骨髄性白血病(AML);形質細胞腫;細網内皮症;黒色腫;軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;脊索腫;頭蓋咽頭腫;未分化胚細胞腫;過誤腫;間葉腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛性腫瘍を含む。さらに、また、以下の種類のがん:腺腫;胆管腫;真珠腫;円柱腫(cyclindroma);嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;男性胚腫;肝細胞腫;汗腺腫;膵島腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫;莢膜細胞腫;平滑筋腫(leimyoma);平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫(myomma);筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節腫;神経膠腫;髄芽腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クローム親和性傍神経節腫は、本明細書において説明する受容体、改変宿主細胞および組成物を使用する治療に適することが企図される。また、治療され得るがんの種類は、被角血管腫;好酸球増加症を伴う血管リンパ様過形成;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;葉状嚢胞肉腫;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症(nerofibromatosis);子宮頸部異形成、および腹膜がんを含む。
【0254】
本明細書において説明する受容体、改変宿主細胞および組成物を使用する治療に適する高増殖性障害の例には、B細胞リンパ腫[例として様々な形態のホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)または中枢神経系リンパ腫]を含むB細胞がん(B細胞腫瘍)、白血病[例として急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病のB細胞芽細胞化、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病]および骨髄腫(例として多発性骨髄腫)が含まれる。本明細書において説明する受容体、改変宿主細胞および組成物を使用して治療され得る追加のB細胞がんには、小リンパ球性リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、悪性化の可能性をもつB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症および移植後リンパ増殖性障害が含まれる。
【0255】
感染性疾患は、感染病原体と関連付けられる感染性疾患を含み、様々な細菌[例えば病原性大腸菌(E.coli)、ネズミチフス菌(S.typhimurium)、緑膿菌(P.aeruginosa)、炭疽菌(B.anthracis)、ボツリヌス菌(C.botulinum)、ディフィシル菌(C.difficile)、ウェルシュ菌(C.perfringens)、ピロリ菌(H.pylori)、コレラ菌(V.cholerae)、リステリア属種(Listeria spp.)、リケッチア属種(Rickettsia spp.)、クラミジア属種(Chlamydia spp.)等]、マイコバクテリアおよび寄生生物(原生動物の公知の任意の寄生性メンバーを含む)のいずれかを含む。感染性ウイルスには、真核細胞ウイルス、例としてアデノウイルス、ブニヤウイルス、ヘルペスウイルス、パポーバウイルス、パピローマウイルス(例えばHPV)、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、ラブドウイルス(例えば狂犬病)、オルトミクソウイルス(例えばインフルエンザ)、ポックスウイルス(例えばワクシニア)、レオウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス(例えばHIV)、フラビウイルス(例えばHCV、HBV)その他が含まれる。ある特定の実施形態においては、本開示に記載のキメラTim受容体を含む組成物は、対象において持続的感染を確立することができる微生物による感染を治療するために使用される。
【0256】
本開示のキメラTim受容体は、細胞結合形態(例えば標的細胞集団の遺伝子療法)において対象に投与され得る。したがって、例えば、本開示のキメラTim受容体は、それらのサブセットを含むT細胞、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、リンパ球前駆体細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、骨髄系前駆体細胞、成熟骨髄細胞、またはそれらの任意の組合せの表面上に発現されて、対象に投与され得る。ある特定の実施形態においては、対象を治療する方法は、有効量のキメラTim受容体改変細胞(すなわち、1つまたは複数のキメラTim受容体を発現する組換え細胞)を投与することを含む。キメラTim受容体改変細胞は、対象にとって異種、同系、同種異系または自家であり得る。
【0257】
キメラTim受容体改変細胞を含む医薬組成物は、医療分野の熟練者によって決定される通り、治療(または予防)されるべき疾患または状態に適切な様式において投与され得る。組成物の適切な用量、好適な持続期間および投与頻度は、患者の状態、サイズ、体重、体表面積、年齢、性別、疾患の種類および重症度、投与される特定の治療、活性成分の特定の形態、投与時間および方法ならびに同時に投与される他の薬物等の因子によって決定される。本開示は、キメラTim受容体改変細胞および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。好適な賦形剤には、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールその他およびそれらの組合せが含まれる。他の好適な点滴媒体は、生理食塩水、Normosol R(Abbott)、Plasma-Lyte A(Baxter)、水中の5%デキストロースまたは乳酸リンゲル液を含む任意の等張媒体製剤であり得る。
【0258】
医薬組成物中の治療有効量の細胞は、少なくとも1つの細胞(例えば1つのキメラTim受容体改変T細胞)であるか、またはより典型的には10個の細胞よりも多く、例えば最高で10個、最高で10個、最高で10個の細胞、最高で10個の細胞、最高で1010個の細胞もしくは最高で1011個の細胞またはそれよりも多い。ある特定の実施形態においては、細胞は、約10個~約1010個の細胞/mの範囲内、好ましくは約10個~約10個の細胞/mの範囲内で投与される。細胞数は、組成物に含まれる細胞種はもちろん、組成物が意図される最終使用に依存する。例えば、キメラTim受容体を含有するように改変された細胞を含む組成物は、約5%~約95%またはそれよりも多くのそのような細胞を含有する細胞集団を含む。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞を含む組成物は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれよりも多くのそのような細胞を含む細胞集団を含む。本明細書において提供される使用のために、細胞は一般的に、1リットルもしくはそれ未満、500mlもしくはそれ未満、250mlもしくはそれ未満、または100mlもしくはそれ未満の容量において存在する。それゆえ、所望の細胞の密度は典型的に、10個の細胞/mlよりも高く、一般的には10個の細胞/mlよりも高く、一般的に10個の細胞/mlまたはそれよりも高い。細胞は、1回の点滴として、またはある時間範囲にわたる多数回の点滴において投与され得る。キメラTim受容体改変細胞の反復点滴は、日、週、月またはさらには疾患または疾患活性の再発が存在する場合には年単位で分離され得る。臨床関連免疫細胞数は、累積的に10、10、10、10、1010または1011個の細胞に等しいか、またはこれを超える多数回点滴に配分され得る。本明細書において説明する組換え発現ベクターを含む宿主細胞の投与のために好ましい用量は、約10個の細胞/m、約5x10個の細胞/m、約10個の細胞/m、約5x10個の細胞/m、約10個の細胞/m、約5x10個の細胞/m、約1010個の細胞/m、約5x1010個の細胞/mまたは約1011個の細胞/mである。
【0259】
本明細書において説明するキメラTim受容体組成物は、静脈内に、腹腔内に、鼻内に、腫瘍内に、骨髄中に、リンパ節中に、および/または脳脊髄液中に投与され得る。
【0260】
キメラTim受容体組成物は、1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて、対象に投与され得る。本説明に記載のキメラTim組成物と組み合わせて投与され得る治療剤の例には、放射線療法、養子細胞免疫療法剤(例えば組換えTCR、高親和性TCR、CAR、TCR-CAR、scTCR融合タンパク質、樹状細胞ワクチン)、抗体療法、免疫チェックポイント分子阻害剤療法、UV光療法、電気パルス療法、高密度焦点式超音波療法、腫瘍溶解性ウイルス療法または医薬療法、例として化学療法剤、治療用ペプチド、ホルモン、アプタマー、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗炎症剤、小分子療法、またはそれらの任意の組合せが含まれる。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変宿主細胞は、1つまたは複数の追加の治療剤により誘導される表面ホスファチジルセリンを提示する、ストレスを受けた細胞、損傷細胞、アポトーシス細胞、壊死細胞、感染細胞、死亡細胞を一掃し得る。
【0261】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体および養子細胞免疫療法剤(例えば、上記に説明するCAR、TCR-CAR、TCR等)は、同じ宿主細胞または異なる宿主細胞において対象に投与される。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体および養子細胞免疫療法剤は、同じベクターからまたは別々のベクターから、同じ宿主細胞において発現される。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体および養子細胞免疫療法剤は、マルチシストロン性ベクターから、同じ宿主細胞において発現される。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体は、養子細胞免疫療法剤と同じ宿主細胞種において発現される(例えば、キメラTim受容体がCD4 T細胞において発現され、かつCAR/またはTCRがCD4 T細胞において発現されるか、またはキメラTim受容体がCD8 T細胞において発現され、かつCAR/またはTCRがCD8 T細胞において発現される)。他の実施形態においては、キメラTim受容体は、養子免疫療法剤とは異なる宿主細胞種において発現される(例えば、キメラTim受容体がCD4 T細胞において発現され、かつCAR/またはTCRがCD8 T細胞において発現される)。キメラTim受容体により操作された免疫細胞または細胞サブセットと細胞免疫療法剤(例えばCAR、TCR等)との組合せを含む細胞免疫療法組成物、製造方法、および使用方法は、その全体を参照により本明細書に組み込む、PCT国際公開公報WO2019/191340号において説明されている。
【0262】
組換えTCR、高親和性TCR、CAR、TCR-CAR、またはscTCR融合タンパク質がターゲティングし得る例示的な抗原には、WT-1、メソテリン、MART-1、NY-ESO-1、MAGE-A3、HPV E7、サバイビン、α-フェトプロテインおよび腫瘍特異的新生抗原が含まれる。
【0263】
本開示のCARは、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原、腫瘍抗原、自己免疫疾患抗原を含む様々な抗原をターゲティングし得る。CARがターゲティングし得る例示的な抗原には、CD138、CD38、CD33、CD123、CD72、CD79a、CD79b、メソテリン、PSMA、BCMA、ROR1、MUC-16、L1CAM、CD22、CD19、CD20、CD23、CD24、CD37、CD30、CA125、CD56、c-Met、EGFR、GD-3、HPV E6、HPV E7、MUC-1、HER2、葉酸受容体α、CD97、CD171、CD179a、CD44v6、WT1、VEGF-α、VEGFR1、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-11Rα、PSA、FcRH5、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、TAG-72、CEA、エフリンA2、エフリンB2、ルイス式A抗原、ルイス式Y抗原、MAGE、MAGE-A1、RAGE-1、葉酸受容体β、EGFRviii、VEGFR-2、LGR5、SSX2、AKAP-4、FLT3、フコシルGM1、GM3、o-アセチル-GD2およびGD2が含まれる。
【0264】
放射線療法には、体外照射療法(例えば従来型体外照射療法、定位放射線、3次元原体照射療法、強度変調放射線療法、強度変調振子照射療法、粒子線療法、陽子線療法およびオーガー療法)、近接照射療法、体系的放射性同位体療法、手術中の放射線療法またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0265】
本明細書において説明するキメラTim組成物と組み合わせた使用のための例示的な抗体には、リツキシマブ(rituxmab)、ペルツズマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、ベバシズマブ、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレファセプト、バシリキシマブ(basilizimab)、ベリムマブ、ベズロトクスマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ゴリムマブ、オララツマブ、パリビズマブ、パニツムマブおよびトシリズマブが含まれる。
【0266】
本明細書において説明するキメラTim組成物と組み合わせた使用のためであり得る例示的な免疫チェックポイント分子の阻害剤には、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、B7-H3、B7-H4、HVEM、アデノシン、GAL9、VISTA、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、PVRL2、PD-1、CTLA-4、BTLA、KIR、LAG3、TIM3、A2aR、CD244/2B4、CD160、TIGIT、LAIR-1、PVRIG/CD112Rまたはそれらの任意の組合せをターゲティングするチェックポイント阻害剤が含まれる。ある特定の実施形態においては、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、ペプチド、RNAi剤または小分子であり得る。CTLA-4に特異的な抗体は、イピリムマブまたはトレメリムマブであり得る。PD-1に特異的な抗体は、ピディリズマブ、ニボルマブまたはペンブロリズマブであり得る。PD-L1に特異的な抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブまたはアベルマブであり得る。
【0267】
本明細書において説明するキメラTim組成物と組み合わせた使用のための例示的な化学療法剤は、アルキル化剤、プラチナベースの剤、細胞傷害剤、クロマチン機能の阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害薬、DNA損傷剤、代謝拮抗薬(例として葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよび糖修飾アナログ)、DNA合成阻害剤、DNA相互作用剤(例として挿入剤)およびDNA修復阻害剤を含み得る。
【0268】
化学療法剤には、有糸分裂または細胞分裂を阻害する非特異的細胞傷害剤、および腫瘍増殖、進行および転移に関与する特定の分子(例えば癌遺伝子)をターゲティングすることによってがん細胞の増殖および広がりを遮断する分子ターゲティング療法が含まれる。本明細書において説明する発現カセット組成物と組み合わせた使用のための例示的な非特異的化学療法剤は、アルキル化剤、プラチナベースの剤、細胞傷害剤、クロマチン機能の阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害薬、DNA損傷剤、代謝拮抗薬(例として葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよび糖修飾アナログ)、DNA合成阻害剤、DNA相互作用剤(例として挿入剤)、低メチル化剤およびDNA修復阻害剤を含み得る。
【0269】
本明細書において企図される組合せ療法における使用のために考えられる化学療法剤の例には、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、コビメチニブ、アナストロゾール[アリミデックス(登録商標)]、ビカルタミド[カソデックス(登録商標)]、硫酸ブレオマイシン[ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標)]、ブスルファン[ミレラン(登録商標)]、ブスルファン注射[ブスルフェクス(登録商標)]、カペシタビン[ゼローダ(登録商標)]、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン[パラプラチン(登録商標)]、カルムスチン[BiCNU(登録商標)]、クロラムブシル[ロイケラン(登録商標)]、シスプラチン[プラチノール(登録商標)]、クラドリビン[ロイスタチン(登録商標)]、シクロホスファミド[シトキサン(登録商標)またはネオサル(Neosar)(登録商標)]、シタラビン、シトシンアラビノシド[シトサル(Cytosar)-U(登録商標)]、シタラビンリポソーム注射[デポサイト(登録商標)]、ダカルバジン[DTIC-Dome(登録商標)]、ダクチノマイシン[アクチノマイシンD、コスメゲン(Cosmegan)]、ダウノルビシン塩酸塩[セルビジン(登録商標)]、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射[ダウノゾーム(DaunoXome)(登録商標)]、デキサメタゾン、ドセタキセル[タキソテール(登録商標)]、ドキソルビシン塩酸塩[アドリアマイシン(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標)]、エトポシド[ベプシド(登録商標)]、リン酸フルダラビン[フルダラ(登録商標)]、5-フルオロウラシル[アドルシル(Adrucil)(登録商標)、エフデックス(Efudex)(登録商標)]、フルタミド[ユーレキシン(Eulexin)(登録商標)]、テザシチビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素[ハイドレア(登録商標)]、イダルビシン[イダマイシン(登録商標)]、イホスファミド[IFEX(登録商標)]、イリノテカン[カンプト(Camptosar)(登録商標)]、L-アスパラギナーゼ[ELSPAR(登録商標)]、ロイコボリンカルシウム、メルファラン[アルケラン(登録商標)]、6-メルカプトプリン[ピュリネソール(登録商標)]、メトトレキセート[フォレックス(Folex)(登録商標)]、ミトキサントロン[ノバントロン(登録商標)]、マイロターグ、パクリタキセル[タキソール(登録商標)]、フェニックス(イットリウム90/MX-DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロザン20カルムスチンインプラント[ギリアデル(登録商標)]、fdabraクエン酸タモキシフェン[ノルバデックス(登録商標)]、テニポシド[ブモン(Vumon)(登録商標)]、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン[チラゾン(Tirazone)(登録商標)]、トポテカン塩酸塩注射[ハイカムチン(Hycamptin)(登録商標)]、ビンブラスチン[ベルバン(登録商標)]、ビンクリスチン[オンコビン(登録商標)]、イブルチニブ、ベネトクラクス、クリゾチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、セリチニブおよびビノレルビン[ナベルビン(登録商標)]が含まれる。
【0270】
本明細書において企図される組合せ療法における使用のための例示的なアルキル化剤には、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素およびトリアゼン:ウラシルマスタード[アミノウラシルマスタード(登録商標)、クロレタミナシル(Chlorethaminacil)(登録商標)、デメチルドパン(Demethyldopan)(登録商標)、デスメチルドパン(Desmethyldopan)(登録商標)、ヘマンタミン(Haemanthamine)(登録商標)、ノルドパン(Nordopan)(登録商標)、ウラシルナイトロジェンマスタード(登録商標)、ウラシロスト(Uracillost)(登録商標)、ウラシルモスタザ(Uracilmostaza)(登録商標)、ウラムスチン(Uramustin)(登録商標)、ウラムスチン(Uramustine)(登録商標)]、クロルメチン[マスタージェン(Mustargen)(登録商標)]、シクロホスファミド[シトキサン(登録商標)、ネオサル(登録商標)、クラフェン(Clafen)(登録商標)、エンドキサン(登録商標)、プロサイトクス(Procytox)(登録商標)、レビミューン(Revimmune)(商標)]、イホスファミド[ミトキサナ(Mitoxana)(登録商標)]、メルファラン[アルケラン(登録商標)]、クロラムブシル[ロイケラン(登録商標)]、ピポブロマン[アメデール(登録商標)、バーサイト(Vercyte)(登録商標)]、トリエチレンメラミン[ヘメル(登録商標)、ヘキサレン(Hexalen)(登録商標)、ヘキサスタット(Hexastat)(登録商標)]、トリエチレンチオホスホラミン、テモゾロミド[テモダール(登録商標)]、チオテパ[チオプレックス(Thioplex)(登録商標)]、ブスルファン[ブシルベックス(Busilvex)(登録商標)、ミレラン(登録商標)]、カルムスチン[BiCNU(登録商標)]、ロムスチン[CeeNU(登録商標)]、ストレプトゾシン[ザノサー(Zanosar)(登録商標)]およびダカルバジン[DTIC-Dome(登録商標)]が含まれる。本明細書において企図される組合せ療法における使用のための追加の例示的なアルキル化剤には、オキサリプラチン[エロキサチン(登録商標)];テモゾロミド[テモダール(Temodar)(登録商標)およびテモダール(Temodal)(登録商標)];ダクチノマイシン[アクチノマイシン-Dとしても公知、コスメゲン(登録商標)];メルファラン[L-PAM、L-サルコリシンおよびフェニルアラニンマスタードとしても公知、アルケラン(登録商標)];アルトレタミン[ヘキサメチルメラミン(HMM:hexamethylmelamine)としても公知、ヘキサレン(登録商標)];カルムスチン[BiCNU(登録商標)];ベンダムスチン[トレアンダ(登録商標)];ブスルファン[ブスルフェクス(登録商標)およびミレラン(登録商標)];カルボプラチン[パラプラチン(登録商標)];ロムスチン[CCNUとしても公知、CeeNU(登録商標)];シスプラチン[CDDPとしても公知、プラチノール(登録商標)およびプラチノール(登録商標)-AQ];クロラムブシル[ロイケラン(登録商標)];シクロホスファミド[シトキサン(登録商標)およびネオサル(登録商標)];ダカルバジン[DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミドとしても公知、DTIC-Dome(登録商標)];アルトレタミン[ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、ヘキサレン(登録商標)];イホスファミド[イフェクス(Ifex)(登録商標)];プレドニムスチン(Prednumustine);プロカルバジン[マチュレーン(Matulane)(登録商標)];メクロレタミン[ナイトロジェンマスタード、ムスチンおよびメクロレタミン塩酸塩としても公知、マスタージェン(登録商標)];ストレプトゾシン[ザノサー(登録商標)];チオテパ[チオホスホアミド(thiophosphoamide)、TESPAおよびTSPAとしても公知、チオプレックス(Thioplex)(登録商標)];シクロホスファミド[エンドキサン(登録商標)、シトキサン(登録商標)、ネオサル(登録商標)、プロシトクス(登録商標)、レビミューン(登録商標)];およびベンダムスチンHCl[トレアンダ(登録商標)]が含まれるが、これらに限定されない。
【0271】
本明細書において企図される組合せ療法における使用のための例示的なプラチナベースの剤には、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、フェナントリプラチン(phenanthriplatin)およびトリプラチン四硝酸塩(triplatin tetranitrate)が含まれる。
【0272】
組合せ療法における使用のための例示的な低メチル化剤には、アザシチジンおよびデシタビンが含まれる。
【0273】
本明細書において説明するキメラTim受容体組成物と組み合わせた使用のための例示的な分子ターゲティング阻害剤には、例えば受容体チロシンキナーゼ阻害剤、RAF阻害剤、BCL-2阻害剤、ABL阻害剤、TRK阻害剤、c-KIT阻害剤、c-MET阻害剤、CDK4/6阻害剤、FAK阻害剤、FGFR阻害剤、FLT3阻害剤、IDH1阻害剤、IDH2阻害剤、PDGFRA阻害剤およびRET阻害剤を含むがん細胞増殖および生存に関与する分子をターゲティングする小分子が含まれる。
【0274】
例示的な分子ターゲティング療法には、ホルモンアンタゴニスト、シグナル伝達阻害剤、遺伝子発現阻害剤(例えば翻訳阻害剤)、アポトーシスインデューサー、血管新生阻害剤(例えばVEGF経路阻害剤)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えばEGF/EGFR経路阻害剤)、増殖因子阻害剤、GTPアーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、転写因子阻害剤、がんと関連付けられるドライバー変異の阻害剤、B-Raf阻害剤、RAF阻害剤、MEK阻害剤、mTOR阻害剤、アデノシン経路阻害剤、EGFR阻害剤、PI3K阻害剤、BCL2阻害剤、VEGFR阻害剤、MET阻害剤、MYC阻害剤、BCR-ABL阻害剤、ABL阻害剤、HER2阻害剤、H-RAS阻害剤、K-RAS阻害剤、PDGFR阻害剤、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、BTK阻害剤、TRK阻害剤、c-KIT阻害剤、c-MET阻害剤、CDK4/6阻害剤、FAK阻害剤、FGFR阻害剤、FLT3阻害剤、IDH1阻害剤、IDH2阻害剤、PARP阻害剤、PDGFRA阻害剤およびRET阻害剤が含まれる。ある特定の実施形態においては、分子ターゲティング療法の使用は、分子標的に特異的な分子ターゲティング療法を、分子標的(例えばドライバー癌遺伝子)を有する腫瘍を有すると特定された対象に投与することを含む。ある特定の実施形態においては、分子標的は、活性化変異を有する。ある特定の実施形態においては、分子ターゲティング阻害剤と組み合わせたキメラTim受容体改変細胞の使用は、抗腫瘍応答の大きさ、抗腫瘍応答の持続力またはこれらの両方を増大する。ある特定の実施形態においては、典型的な用量よりも低い分子ターゲティング療法が、キメラTim受容体改変細胞と組み合わせて使用される。
【0275】
例示的な血管新生阻害剤は、A6(Angstrom Pharmaceuticals)、ABT-510(Abbott Laboratories)、ABT-627(アトラセンタン)(Abbott Laboratories/Xinlay)、ABT-869(Abbott Laboratories)、アクチミド(Actimid)(CC4047、ポマリドマイド)(Celgene Corporation)、AdGVPEDF.11D(GenVec)、ADH-1[エキセリン(Exherin)](Adherex Technologies)、AEE788(Novartis)、AG-013736(アキシチニブ)(Pfizer)、AG3340(プリノマスタット)(Agouron Pharmaceuticals)、AGX1053(AngioGenex)、AGX51(AngioGenex)、ALN-VSP(ALN-VSP O2)(Alnylam Pharmaceuticals)、AMG386(Amgen)、AMG706(Amgen)、アパチニブ(Apatinib)(YN968D1)(Jiangsu Hengrui Medicine)、AP23573(リダフォロリムス/MK8669)(Ariad Pharmaceuticals)、AQ4N(Novavea)、ARQ197(ArQule)、ASA404(Novartis/Antisoma)、アチプリモド(Callisto Pharmaceuticals)、ATN-161(Attenuon)、AV-412(Aveo Pharmaceuticals)、AV-951(Aveo Pharmaceuticals)、アバスチン(ベバシズマブ)(Genentech)、AZD2171[セディラニブ/レセンチン(Recentin)](AstraZeneca)、BAY 57-9352[テラチニブ(Telatinib)](Bayer)、BEZ235(Novartis)、BIBF1120(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)、BIBW2992(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)、BMS-275291(Bristol-Myers Squibb)、BMS-582664(ブリバニブ)(Bristol-Myers Squibb)、BMS-690514(Bristol-Myers Squibb)、カルシトリオール、CCI-779(トーリセル)(Wyeth)、CDP-791(ImClone Systems)、セフラトニン(Ceflatonin)(ホモハリントニン/HHT)(ChemGenex Therapeutics)、セレブレックス(セレコキシブ)(Pfizer)、CEP-7055(Cephalon/Sanofi)、CHIR-265(Chiron Corporation)、NGR-TNF、COL-3[メタスタット(Metastat)](Collagenex Pharmaceuticals)、コンブレタスタチン(Oxigene)、CP-751,871(フィギツムマブ)(Pfizer)、CP-547,632(Pfizer)、CS-7017(第一三共)、CT-322[アンジオセプト(Angiocept)](Adnexus)、クルクミン、ダルテパリン(フラグミン)(Pfizer)、ジスルフィラム(Antabuse)、E7820(エーザイ株式会社)、E7080(エーザイ株式会社)、EMD 121974(シレンジタイド)(EMD Pharmaceuticals)、ENMD-1198(EntreMed)、ENMD-2076(EntreMed)、エンドスター(Endostar)(Simcere)、アービタックス(ImClone/Bristol-Myers Squibb)、EZN-2208(Enzon Pharmaceuticals)、EZN-2968(Enzon Pharmaceuticals)、GC1008(Genzyme)、ゲニステイン、GSK1363089[フォレチニブ(Foretinib)](GlaxoSmithKline)、GW786034(パゾパニブ)(GlaxoSmithKline)、GT-111(Vascular Biogenics Ltd.)、IMC-1121B(ラムシルマブ)(ImClone Systems)、IMC-18F1(ImClone Systems)、IMC-3G3(ImClone LLC)、INCB007839(Incyte Corporation)、INGN 241(Introgen Therapeutics)、イレッサ(ZD1839/ゲフィチニブ)、LBH589[ファリダク(Faridak)/パノビノスタット(Panobinostst)](Novartis)、ルセンティス(ラニビズマブ)(Genentech/Novartis)、LY317615(エンザスタウリン)(Eli Lilly and Company)、マクジェン(ペガプタニブ)(Pfizer)、MEDI522[アベグリン(Abegrin)](MedImmune)、MLN518(タンデュチニブ)(Millennium)、ネオバスタット(Neovastat)(AE941/ベネフィン)(Aeterna Zentaris)、ネクサバール(Bayer/Onyx)、NM-3(Genzyme Corporation)、ノスカピン(Cougar Biotechnology)、NPI-2358(Nereus Pharmaceuticals)、OSI-930(OSI)、パロミド(Palomid)529(Paloma Pharmaceuticals,Inc.)、パンゼム(Panzem)カプセル(2ME2)(EntreMed)、パンゼムNCD(2ME2)(EntreMed)、PF-02341066(Pfizer)、PF-04554878(Pfizer)、PI-88(Progen Industries/Medigen Biotechnology)、PKC412(Novartis)、ポリフェノンE(緑茶抽出物)(Polypheno E International,Inc)、PPI-2458(Praecis Pharmaceuticals)、PTC299(PTC Therapeutics)、PTK787(バタラニブ)(Novartis)、PXD101(ベリノスタット)(CuraGen Corporation)、RAD001(エベロリムス)(Novartis)、RAF265(Novartis)、レゴラフェニブ(BAY73-4506)(Bayer)、レブリミド(Celgene)、レタアネ(Retaane)(Alcon Research)、SN38(リポソーム製剤)(Neopharm)、SNS-032(BMS-387032)(Sunesis)、SOM230(パシレオチド)(Novartis)、スクアラミン(Genaera)、スラミン、スーテント(Pfizer)、タルセバ(Genentech)、TB-403(Thrombogenics)、テムポスタチン(Tempostatin)(Collard Biopharmaceuticals)、テトラチオモリブデート(Sigma-Aldrich)、TG100801(TargeGen)、サリドマイド(Celgene Corporation)、チンザパリンナトリウム、TKI258(Novartis)、TRC093(Tracon Pharmaceuticals Inc.)、VEGF Trap(アフリバーセプト)(Regeneron Pharmaceuticals)、VEGF Trap-Eye(Regeneron Pharmaceuticals)、ベグリン(Veglin)(VasGene Therapeutics)、ボルテゾミブ(Millennium)、XL184(Exelixis)、XL647(Exelixis)、XL784(Exelixis)、XL820(Exelixis)、XL999(Exelixis)、ZD6474(AstraZeneca)、ボリノスタット(Merck)およびZSTK474を含むが、これらに限定されない。
【0276】
例示的なB-Raf阻害剤には、ベムラフェニブ、ダブラフェニブおよびエンコラフェニブが含まれる。
【0277】
例示的なMEK阻害剤には、ビニメチニブ、コビメチニブ、レファメチニブ、セルメチニブおよびトラメチニブが含まれる。
【0278】
例示的なBTK阻害剤には、イブルチニブ、ピルトブルチニブ(Loxo-305)、チラブルチニブ、トレブルチニブ、エボブルチニブ、フェネブルチニブ(GDC-0853)、アカラブルチニブ、ベカブルチニブ(SNS-062)、ONO-4059、スペブルチニブ、ザヌブルチニブ(BGB-3111)、HM71224およびM7583が含まれる。
【0279】
例示的なTRK阻害剤には、エヌトレクチニブ、ラロトレクチニブ、CH7057288、ONO-7579、LOXO-101、レスタウルチニブおよびLOXO-195が含まれる。
【0280】
例示的なc-KIT阻害剤には、イマチニブ(imatinb)、スニチニブ(sunitinb)およびポナチニブが含まれる。
【0281】
例示的なc-MET阻害剤には、カプマチニブ、クリゾチニブ、チバンチニブ、オナルツズマブ、INCB28060、AMG-458、サボリチニブおよびテポチニブが含まれる。
【0282】
例示的なCDK4/6阻害剤には、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブおよびトリラシクリブが含まれる。
【0283】
例示的なFAK阻害剤には、デファクチニブ、GSK2256098、BI853520およびPF-00562271が含まれる。
【0284】
例示的なFGFR阻害剤には、エルダフィチニブ、ペミガチニブ、インフィグラチニブ、ロガラチニブ、AZD4547、BGJ398、FP-1039およびARQ 087が含まれる。
【0285】
例示的なFLT-3阻害剤には、キザルチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、ミドスタウリンおよびレスタウルチニブが含まれる。
【0286】
例示的なIDH1阻害剤には、イボシデニブ、BAY-1436032およびAGI-5198が含まれる。
【0287】
例示的なIDH2阻害剤には、エナシデニブが含まれる。
【0288】
例示的なPARP阻害剤には、タラゾパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、オラパリブ、ベリパリブ、CEP9722およびE7016が含まれる。
【0289】
例示的なPDGFRA阻害剤には、イマチニブ、レゴラフェニブ、クレノラニブおよびオララツマブが含まれる。
【0290】
例示的な汎RAF阻害剤には、ベルバラフェニブ(belvarafenib)、LXH254、LY3009120、INU-152およびHM95573が含まれる。
【0291】
例示的なRET阻害剤には、レンバチニブ、アレクチニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、BLU-667およびLOXO-292が含まれる。
【0292】
例示的なROS1阻害剤には、セリチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、クリゾチニブ、TPX-0005およびDS-6051bが含まれる。
【0293】
例示的な血管内皮増殖因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor)受容体阻害剤は、ベバシズマブ[アバスチン(登録商標)]、アキシチニブ[インライタ(登録商標)];ブリバニブアラニネート[BMS-582664、(S)-((R)-1-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イルオキシ)プロパン-2-イル)2-アミノプロパノエート];ソラフェニブ[ネクサバール(登録商標)];パゾパニブ[ヴォトリエント(登録商標)];リンゴ酸スニチニブ[スーテント(登録商標)];セディラニブ(AZD2171、CAS 288383-20-1);バラガテフ(Vargatef)(BIBF1120、CAS 928326-83-4);フォレチニブ(GSK1363089);テラチニブ(BAY57-9352、CAS 332012-40-5);アパチニブ(YN968D1、CAS 811803-05-1);イマチニブ[グリベック(登録商標)];ポナチニブ(AP24534、CAS 943319-70-8);チボザニブ(AV951、CAS 475108-18-0);レゴラフェニブ(BAY73-4506、CAS 755037-03-7);バタラニブ二塩酸塩(PTK787、CAS 212141-51-0);ブリバニブ(BMS-540215、CAS 649735-46-6);バンデタニブ[カプレルサ(登録商標)またはAZD6474];モテサニブ二リン酸塩[AMG706、CAS 857876-30-3、PCT公開公報WO02/066470号において説明されているN-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド];ドビチニブ二乳酸(Dovitinib dilactic acid)(TKI258、CAS 852433-84-2);リンファニブ(Linfanib)(ABT869、CAS 796967-16-3);カボザンチニブ(XL184、CAS 849217-68-1);レスタウルチニブ(CAS 111358-88-4);N-[5-[[[5-(1,1-ジメチルエチル)-2-オキサゾリル]メチル]チオ]-2-チアゾリル]-4-ピペリジンカルボキサミド(BMS38703、CAS 345627-80-7);(3R,4R)-4-アミノ-1-((4-((3-メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)メチル)ピペリジン-3-オール(BMS690514);N-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニル)-6-メトキシ-7-[[(3aα,5β,6aα)-オクタヒドロ-2-メチルシクロペンタ[c]ピロール-5-イル]メトキシ]-4-キナゾリンアミン(XL647、CAS 781613-23-8);4-メチル-3-[[1-メチル-6-(3-ピリジニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ]-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-ベンザミド(BHG712、CAS 940310-85-0);およびアフリバーセプト[アイリーア(登録商標)]を含むが、これらに限定されない。
【0294】
例示的なEGF経路阻害剤は、チルホスチン46、EKB-569、エルロチニブ[タルセバ(登録商標)]、ゲフィチニブ[イレッサ(登録商標)]、アービタックス、ニモツズマブ、ラパチニブ[タイケルブ(登録商標)]、セツキシマブ(抗EGFR mAb)、188Re-標識ニモツズマブ(抗EGFR mAb)およびWO97/02266、EP0564409、WO99/03854、EP0520722、EP0566226、EP0787722、EP0837063、米国特許第5,747,498号、WO98/10767、WO97/30034、WO97/49688、WO97/38983およびWO96/33980において一般的かつ特異的に開示されている化合物を含むが、これらに限定されない。例示的なEGFR抗体には、セツキシマブ[アービタックス(登録商標)];パニツムマブ[ベクチビックス(登録商標)];マツズマブ(EMD-72000);トラスツズマブ[ハーセプチン(登録商標)];ニモツズマブ(hR3);ザルツムマブ;TheraCIM h-R3;MDX0447(CAS 339151-96-1);およびch806(mAb-806、CAS 946414-09-1)が含まれるが、これらに限定されない。例示的な上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤には、エルロチニブ塩酸塩[タルセバ(登録商標)]、セリチニブ、ブリグチニブ、オシメルチニブ(osimeritinib)、イコチニブ、ゲフィチニブ[イレッサ(登録商標)];N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[[(3’’S’’)-テトラヒドロ-3-フラニル]オキシ]-6-キナゾリニル]-4(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド、トボック(Tovok)(登録商標);バンデタニブ[カプレルサ(登録商標)];ラパチニブ[タイケルブ(登録商標)];(3R,4R)-4-アミノ-1-((4-((3-メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)メチル)ピペリジン-3-オール(BMS690514);カネルチニブ二塩酸塩(CI-1033);6-[4-[(4-エチル-1-ピペラジニル)メチル]フェニル]-N-[(1R)-1-フェニルエチル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(AEE788、CAS 497839-62-0);ムブリチニブ(TAK165);ペリチニブ(Pelitinib)(EKB569);アファチニブ(BIBW2992);ネラチニブ(HKI-272);N-[4-[[1-[(3-フルオロフェニル)メチル]-1H-インダゾール-5-イル]アミノ]-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-カルバミン酸、(3S)-3-モルホリニルメチルエステル(BMS599626);N-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニル)-6-メトキシ-7-[[(3aα,5β,6aα)-オクタヒドロ-2-メチルシクロペンタ[c]ピロール-5-イル]メトキシ]-4-キナゾリンアミン(XL647、CAS 781613-23-8);4-[4-[[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール(PKI166、CAS 187724-61-4);ロシレチニブ(rocelitinib)が含まれるが、これらに限定されない。
【0295】
例示的なmTOR阻害剤は、ラパマイシン[ラパミューン(登録商標)]ならびにそのアナログおよび誘導体;SDZ-RAD;テムシロリムス[トーリセル(登録商標);CCI-779としても公知];リダフォロリムス[デフォロリムス(deferolimus)として以前に公知、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573およびMK8669としても公知であり、PCT公開公報WO03/064383号において説明されている];エベロリムス[アフィニトール(登録商標)またはRAD001];ラパマイシン[AY22989、シロリムス(登録商標)];シマピモド(Simapimod)(CAS 164301-51-3);(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS 1013101-36-4);およびN-[1,4-ジオキソ-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチルL-セリン-,分子内塩(SF1126、CAS 936487-67-1)を含むが、これらに限定されない。
【0296】
例示的なホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害剤は、デュベリシブ、イデラリシブ、4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても公知であり、PCT公開公報WO09/036082号およびWO09/055730号において説明されている);2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル(BEZ 235またはNVP-BEZ 235としても公知であり、PCT公開公報WO06/122806号において説明されている);4-(トリフルオロメチル)-5-(2,6-ジモルホリノピリミジン-4-イル)ピリジン-2-アミン(BKM120またはNVP-BKM120としても公知であり、PCT公開公報WO2007/084786号において説明されている);トザセルチブ(Tozasertib)(VX680またはMK-0457、CAS 639089-54-6);(5Z)-5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン(GSK1059615、CAS 958852-01-2);(1E,4S,4aR,5R,6aS,9aR)-5-(アセチルオキシ)-1-[(ジ-2-プロペニルアミノ)メチレン]-4,4a,5,6,6a,8,9,9a-オクタヒドロ-11-ヒドロキシ-4-(メトキシメチル)-4a,6a-ジメチル-シクロペンタ[5,6]ナフト[1,2-c]ピラン-2,7,10(1H)-トリオン(PX866、CAS 502632-66-8);および8-フェニル-2-(モルホリン-4-イル)-クロメン-4-オン(LY294002、CAS 154447-36-6)を含むが、これらに限定されない。例示的なタンパク質キナーゼB(PKB:Protein Kinase B)またはAKT阻害剤には、8-[4-(1-アミノシクロブチル)フェニル]-9-フェニル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-f][1,6]ナフチリジン-3(2H)-オン(MK-2206、CAS 1032349-93-1);ペリホシン(KRX0401);4-ドデシル-N-1,3,4-チアジアゾール-2-イル-ベンゼンスルホンアミド(PHT-427、CAS 1191951-57-1);4-[2-(4-アミノ-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル)-1-エチル-7-[(3S)-3-ピペリジニルメトキシ]-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-イル]-2-メチル-3-ブチン-2-オール(GSK690693、CAS 937174-76-0);8-(1-ヒドロキシエチル)-2-メトキシ-3-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]-6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-6-オン(パロミド529、P529またはSG-00529);トリシルビン(Tricirbine)(6-アミノ-4-メチル-8-(β-D-リボフラノシル)-4H,8H-ピロロ[4,3,2-デ]ピリミド[4,5-c]ピリダジン);(αS)-α-[[[5-(3-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-3-ピリジニル]オキシ]メチル]-ベンゼンエタンアミン(A674563、CAS 552325-73-2);4-[(4-クロロフェニル)メチル]-1-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-4-ピペリジンアミン(CCT128930、CAS 885499-61-6);4-(4-クロロフェニル)-4-[4-(1Hピラゾール-4-イル)フェニル]-ピペリジン(AT7867、CAS 857531-00-1);およびアルケキシン(Archexin)(RX-0201、CAS 663232-27-7)が含まれるが、これらに限定されない。
【0297】
ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞と組み合わせて使用されるチロシンキナーゼ阻害剤は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK:anaplastic lymphoma kinase)阻害剤である。例示的なALK阻害剤には、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ダランテルセプト(dalantercept)、エントレクチニブ(entrectinib)およびロルラチニブが含まれる。
【0298】
キメラTim受容体改変細胞が1つまたは複数の追加の療法と組み合わせて投与されるある特定の実施形態においては、1つまたは複数の追加の療法は、別の方法で単独療法として投与された場合に治療量未満であると考えられ得る用量において投与され得る。そのような実施形態においては、1つまたは複数の追加の療法がより低い用量において投与され得るように、キメラTim受容体組成物は、相加的または相乗的効果を提供し得る。組合せ療法は、追加の療法の前(例えば追加の療法の1日~30日前またはそれよりも前)の、追加の療法と同時(同日)の、または追加の療法の後(例えば追加の療法の1日~30日後またはそれよりも後)の本明細書において説明するキメラTim受容体組成物の投与を含む。ある特定の実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞は、1つまたは複数の追加の療法の投与後に投与される。さらなる実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞は、1つまたは複数の追加の療法の投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30日後に投与される。またさらなる実施形態においては、キメラTim受容体改変細胞は、1つまたは複数の追加の療法の投与後4週間以内、3週間以内、2週間以内または1週間以内に投与される。1つまたは複数の追加の療法が多数の用量を含む場合、キメラTim受容体改変細胞は、1つまたは複数の追加の療法の初回用量後に、1つまたは複数の追加の療法の最終用量後に、または1つまたは複数の追加の療法の多数の用量間において投与され得る。
【0299】
ある特定の実施形態においては、本開示の方法は、枯渇工程を含む。キメラTim受容体を対象から除去するための枯渇工程は、対象への毒性を軽減するために、治療利益に十分な時間後に行い得る。そのような実施形態においては、キメラTim受容体ベクターは、誘導性自殺遺伝子、例としてiCASP9、誘導性FasまたはHSV-TKを含み得る。同様に、キメラTim受容体ベクターは、関連付けられるモノクローナル抗体(mAb)、例えばCD20についてのリツキシマブまたはEGFRについてのセツキシマブの点滴を通して、形質導入された細胞の枯渇を促進する公知の細胞表面抗原、例としてCD20または切断型EGFR(配列番号16)の発現のために設計され得る。また、成熟リンパ球の表面上に存在するCD52をターゲティングするアレムツズマブは、形質導入されたB細胞、T細胞またはナチュラルキラー細胞を枯渇するために使用され得る。
【0300】
本開示の組成物および方法によって治療され得る対象には、動物、例としてヒト、霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットまたはブタが含まれる。対象は、男性であっても、女性であってもよく、幼児、若年、青年、成人および老年の対象を含む任意の好適な年齢であり得る。
【実施例
【0301】
[実施例1]
CER-T細胞はプライミングされたPTD-SER+腫瘍細胞に対して細胞傷害効果を誘発する
TLR含有キメラTim4受容体T細胞は、上昇したレベルの細胞膜ストレスシグナル、ホスファチジルセリン(Ptd-Ser)を提示する細胞をターゲティングするように操作される。Ptd-Serは、形質細胞膜の内側リーフレット上に通常見出されるリン脂質である。ある特定の下流シグナルの活性化(例えばカスパーゼ3/7活性化)に際して、Ptd-Serは外側細胞膜へと外面化される。プロフェッショナル食細胞/抗原提示細胞(APC)上のPtd-Ser特異的受容体によるそのエンゲージメントは、多成分シグナル伝達複合体を誘発し、これは最終的にアクチン細胞骨格の再構成につながる。Tim-4(T細胞免疫グロブリンムチン-4)は、Ptd-Serに特異的に結合する数種類の受容体のうちの1つである。常在および腹腔マクロファージにおけるその発現は、正常組織ホメオスタシス中にアポトーシス細胞のクリアランスに関係している。樹状細胞(DC)においては、Tim-4-Ptd-Ser相互作用は、T細胞の交差プライミングのための抗原の捕捉および貪食を媒介する。
【0302】
様々な腫瘍細胞株上でPtd-Serを効率よく誘導またはプライミングするために、数種類の戦略を開発した。このプライミング工程は、細胞ストレスおよび/またはアポトーシスを誘導するために、ケア治療剤の標準、例としてターゲティングされた小分子阻害剤を用いる。誘導されたら、Ptd-Serは、キメラTim4受容体-T細胞エンゲージメント、活性化および細胞溶解機能に対する標的として働く。この二工程「プライミング-死滅」戦略は、様々な小分子阻害剤-キメラTim4受容体-T細胞生成物の組合せ、ならびに操作されたCAR TおよびTCR生成物との組合せを用いて示される。
【0303】
卵巣腫瘍においては、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、例としてニラパリブは、DNA損傷応答経路をターゲティングする、臨床的に承認された薬物である。奏効は稀にしか完全奏効でなく、かつ治療後の再発が一般的である。Ptd-Ser曝露を誘導するために、BRCA-2変異Kuramochi細胞株を、治療用量のPARP阻害剤ニラパリブを用いて処理した。ニラパリブへの簡潔な曝露は、用量依存的様式で膜リン脂質対称性における変化を誘発し、Kuramochi細胞の増殖の阻害において有効である(図7A)。低いエフェクター:標的比(1:1)におけるキメラTim4受容体pCTX133(Tim4結合ドメイン-TLR2シグナル伝達ドメイン-CD3zシグナル伝達ドメイン)の添加は、形質導入対照と比較して、インビトロでニラパリブの効力を向上させ、このことは、標的細胞に対して直接的な細胞傷害効果を誘発するpCTX133の能力を実証した(図7B)。
【0304】
マントル細胞リンパ腫においては、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、例としてイブルチニブは、プロサバイバルキナーゼをターゲティングする、臨床的に承認された薬物である。奏効は稀にしか完全奏効でなく、かつ治療後の再発が一般的である。イブルチニブを用いるJeKo-1 MCLの処理は、組換えマウスTim4タンパク質を用いる免疫組織化学により決定される場合に、Ptd-Serを曝露する(図8A)。JeKo-1マントル細胞リンパ腫細胞株を、25μMイブルチニブによって24時間処理し、続いて、薬物を洗い流し、3:1、2:1または1:1のE:T比において、キメラTim4受容体pCTX136(Tim4結合ドメイン-CD28シグナル伝達ドメイン-CD3zシグナル伝達ドメイン)または対照細胞と共に、0.5μMイブルチニブを用いて共培養した。キメラTim4受容体細胞との共培養は、イブルチニブ処理または対照T細胞を用いる処理と比較して、JeKo-1標的細胞の除去を概ね誘導した(図8B)。
【0305】
TLR2細胞内シグナル伝達ドメインまたはTLR8細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD28細胞内シグナル伝達ドメインまたはCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有するキメラTim-4受容体を、腫瘍細胞獲得を促進し、かつ細胞傷害機能およびAPC様機能を誘発するそれらの能力について試験した。抗原獲得を評価するために、標的細胞を、キメラTim-4受容体T細胞と共に共培養し、透過型電子顕微鏡観察(TEM)またはフローサイトメトリーにより評価した。標的細胞を、Ptd-Ser外面化を誘導するために小分子阻害剤を用いて処理し、かつpH指示色素(pHrodo Red)を用いてリソソーム取り込みについて評価した。
【0306】
代替的なプライミング-死滅治療剤戦略は、TLR含有キメラTim4受容体-T細胞とキメラ抗原受容体-T(CAR)-T細胞とを組み合わせる。この組合せアプローチは、腫瘍細胞を特異的にターゲティングするためにCARを利用し、これはPtd-Serのアップレギュレーションをもたらす。CD19 CAR-T細胞生成物(抗CD19 scFv- -CD28共刺激性シグナル伝達ドメイン-CD3ζシグナル伝達ドメイン;「1928z CAR」)は、用量依存的様式において、CD19+マントル細胞リンパ腫(MCL)細胞上で迅速にPtd-Serを誘導する(図5A)。共培養研究においては、incucyteおよびFACSにより測定される場合、1928z CAR-T細胞(pCTX184)とpCTX131(Tim4-TLR8-CD3z)との組合せは、高い効力を示した。1928z CAR T細胞を、pCTX131(Tim4-TLR8-CD3z)細胞を用いて、複数のCAR:CER比において、低いエフェクター:標的比で組み合わせた(図5B図6A)。pCTX156は、切断型EGFR(EGFRt)対照である。炎症性サイトカイン、例としてIFN-γの増加が、観察された細胞溶解機能の増大と並行して、上清から観察された(図5C)。加えて、共培養研究においては、incucyteにより測定される場合、1928z CAR-T細胞とpCTX131(Tim4-TLR8-CD3z)との組合せは、標的細胞において切断型カスパーゼの向上した誘導を示した。1928z CAR T細胞を、pCTX131(Tim4-TLR8-CD3z)細胞を用いて、複数のCAR:CER比において、低いエフェクター:標的比で組み合わせた(図6B)。
【0307】
したがって、この実施例は、pCTX133およびpCTX131(TLR2およびTLR8)含有キメラTim4受容体-T細胞が、細胞表面Ptd-Serを発現するプライミングされた固形腫瘍および血液系標的細胞株に向かう細胞溶解活性を誘発し、かつ小分子およびCARベース治療剤アプローチを強化し得る。
[実施例2]
【0308】
キメラTim4受容体-T細胞は抗原捕捉および提示を媒介する
活性化されたT細胞は、クラスII分子を発現し、細胞表面上に抗原を提示し、かつ他のT細胞へと共刺激性シグナルを送達し得るので10、Agプロセシングおよび提示が可能であることが示されている。しかしながら、プロフェッショナルAPCとは異なり、T細胞は、可溶性抗原のそれらの非効率な捕捉により制限される。対照的に、APCは、その後の分解およびMHCロードのために抗原を捕捉および貪食するために、構成的に発現されたAg取り込み受容体を利用する1213。可溶性抗原の捕捉は、高親和性を有するAgに結合する表面受容体の存在下では、10倍まで、より効率的であり得る14
【0309】
樹状細胞(DC)においては、Tim-4-Ptd-Ser相互作用は、抗原の捕捉、貪食および濃縮を媒介し、DCが高い効率を伴ってT細胞へと抗原を提示することを可能にする。実際には、前臨床的NSCLCモデルにおけるTim-4受容体遮断は、腫瘍特異的CD8+ T細胞の活性化を傷害し、かつ腫瘍進行を促進する12。さらに、遺伝子発現プロファイリングは、進行腫瘍細胞におけるTim-4発現のダウンレギュレーションを示し、低下した抗原取り込み、提示およびT細胞活性化と合致する。
【0310】
本明細書において提示される実験結果は、T細胞が、それらの抗原取り込み、捕捉および共刺激能力を向上させることにより、免疫療法のための抗原提示T細胞として再方向付けされ得ることを示す。抗原取り込みならびに抗原プロセシングおよび提示を駆動する細胞内シグナル伝達配列へのヒトTim4食作用取り込み受容体の融合は、向上されたAPC能力をT細胞に加える。キメラTim受容体のモジュール設計は、多成分シグナル伝達複合体、例としてCD3ζ、CD28、4-1BB、ITAMおよびTLRシグナル伝達を駆動して、細胞活性化、細胞溶解機能、サイトカインおよびケモカインの分泌、接着および共刺激性分子のアップレギュレーション、ならびに効率的なT細胞活性化を媒介するために必要とされる抗原分解プロセスを誘導する細胞内ドメインを組み込む15
【0311】
キメラTim4受容体-T細胞を、可溶性抗原を捕捉および提示し、かつ共培養系において組換えE7制限T細胞クローンの活性化および増殖を誘発することができるか否かを決定するために試験した。最初に、Tim4の発現を、フローサイトメトリーによって、形質導入CER T細胞上で確認した。Tim4結合ドメイン-CD28膜貫通-CD28シグナル伝達ドメイン-CD3zシグナル伝達ドメイン(CTX247)およびTim4結合ドメイン-CD28シグナル伝達ドメイン-CD3zシグナル伝達ドメイン-TLR2シグナル伝達ドメイン(CTX1107)を、Tim4および各ベクター上にコードされる形質導入マーカーであるEGFRについて染色した。Tim4発現は、CTX247またはCTX1107形質導入細胞上で観察されたが、モック形質導入対照では観察されなかった(図4)。E7制限TCRは、HPV16由来E7タンパク質をターゲティングし、かつ配列番号156において提供されるTCRα鎖およびTCRβ鎖配列を有する。E7 TCRは、MHCクラスIを通して、E7ペプチドを用いてパルスされたAPCに応答して増殖する。自家APCに関して、異なるTim-4キメラ受容体によって形質導入されたCD4+およびCD8+キメラTim4受容体T細胞生成物を、HPV16由来E7タンパク質に由来する11mer重複部を含む15merペプチドのプールまたは媒体を用いてパルスした。キメラTim4受容体T細胞を、E7ペプチドを用いて37℃で4時間パルスし、E7特異的活性化および増殖を誘発するそれらの能力について試験した。E7-TCR細胞表面活性化マーカー応答を、キメラTim4受容体-T細胞生成物との共培養の24時間後に、フローサイトメトリーにより評価した。さらなる5日間の共培養後、増殖応答を、Cell Trace(CT)Violet希釈物により評価した。
【0312】
図1B図1Cは、pCTX1107(Tim4結合ドメイン-CD28細胞内シグナル伝達ドメイン-CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン-TLR2細胞内シグナル伝達ドメイン)CER T細胞が、E7特異的T細胞に対して実際に刺激性であったが、pCTX247(Tim4結合ドメイン-CD28細胞内シグナル伝達ドメイン-CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン)または未形質導入T細胞は、高濃度のE7ペプチドによってパルスした場合でさえ、刺激性でなかったことを示す。これらの実験においては、pCTX247とpCTX1107との間のコンストラクト設計における唯一の差異は、TLR-2細胞内配列の付加であり(図1A)、このことは、可溶性抗原のT細胞提示の増幅、およびE7 TCRの誘発におけるTLRシグナル伝達を暗示した。
【0313】
pCTX1107がE7特異的活性化について強く刺激性である証拠はまた、フローサイトメトリーにより測定されるCD25およびCD69アップレギュレーションにおいても見られた(図2)。より高い頻度のE7-TCR含有T細胞が、共培養の24時間後に、両方の活性化マーカーを発現した(図2)。E7 TCR-T細胞表面活性化マーカーCD25およびCD69は、キメラTim4受容体-Tとの共培養の24時間後に、対照と比較して41.2%および23.1%アップレギュレートされ、6日間までの分裂E7-TCR-T細胞のパーセンテージは、TIM4/CD28/CD3z/TLR2キメラTim4受容体T細胞に関して44%であり、対照に関して8%であった。
【0314】
Cell Trace Violet標識E7特異的TCR T細胞を、HPV16 E7タンパク質由来の11aa重複部を含む15merペプチドのプール(100ng各ペプチド)の存在下で、1:2:2比において、未形質導入T細胞(UT)、Tim4-CD28-CD3zコンストラクト(CTX247)またはTim4-CD28-CD3z-TLR2コンストラクト(CTX1107)によって形質導入したT細胞およびJeKo-1細胞と共に、4日間培養した。二重反復培養物を、培養の持続期間にわたって、HLA A、B、C遮断抗体(クローンW6/32)またはマッチしたマウスIgG2a抗体と共にインキュベートした。図10は、マウスTCRb+細胞の染色に基づくフローサイトメトリーによって決定される場合、生存細胞のうちの培養中のE7 TCR細胞のパーセントを示す。キメラTim4受容体抗原提示により媒介されるE7特異的TCR T細胞の活性化は、抗HLA-I抗体により遮断される。
[実施例3]
【0315】
キメラTim4受容体を用いるT細胞のトランスフェクション
キメラTim4受容体pCTX1183、pCTX1161、pCTX1189、pCTX1184、pCTX1163、pCTX1162、pCTX1190、pCTX1186、pCTX1187、pCTX1164、pCTX1185、およびpCTX1165(表8を参照のこと)を、Jurkat Tリンパ球細胞株へとトランスフェクトした(図9A図9B)。
【0316】
参考文献
【0317】
上記に説明する様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。非限定的に2020年8月14日出願の米国仮特許出願第63/066,085号、および2021年7月28日出願の米国仮特許出願第63/226,643号を含む、本明細書において参照および/または出願データシートに列挙される全ての米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、その全体を参照により本明細書に組み込む。実施形態の態様は、様々な特許、出願および刊行物の概念を用いて、またさらなる実施形態を提供するために必要な場合、改変され得る。
【0318】
これらおよび他の変化は、上記に詳述される説明に照らして実施形態についてなされ得る。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書および特許請求の範囲において開示されている特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではないが、そのような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲に沿った全ての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
【配列表】
2023537763000001.app
【国際調査報告】