(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】連続ポリエステル重合プロセスにおいて廃ポリエステルを利用するプロセス及びシステム
(51)【国際特許分類】
C08G 63/78 20060101AFI20230829BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20230829BHJP
B29B 7/38 20060101ALI20230829BHJP
B29B 7/60 20060101ALI20230829BHJP
B29B 7/72 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C08G63/78
C08J11/06 ZAB
B29B7/38
B29B7/60
B29B7/72
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512039
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021046703
(87)【国際公開番号】W WO2022040434
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517280834
【氏名又は名称】オーリガ ポリマーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】アワスティ ヤシュワント
(72)【発明者】
【氏名】クシュワハ ダーゲシュ チャンド
(72)【発明者】
【氏名】オソーニオ ミゲル エンジェル
(72)【発明者】
【氏名】コワルスケ マイケル
【テーマコード(参考)】
4F201
4F401
4J029
【Fターム(参考)】
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4J029LB10
(57)【要約】
廃ポリエステルを含有するポリエステルポリマーを連続重合ユニットにおいて製造する方法であって、a)上記連続重合ユニットから中間体プレポリマー流を提供し、この中間体ポリマー流の一部分を遠心ミキサに分流する工程と、b)廃ポリエステルを上記遠心ミキサに添加して、均質な溶融物流を得る工程と、c)上記均質な溶融物流を上記中間体ポリマー流の残りの部分と合わせて、出口流を形成する工程とを含み、工程b)における廃ポリエステルは加熱も溶融もされないことを特徴とする方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ポリエステルを含有するポリエステルポリマーを連続重合ユニットにおいて製造する方法であって、
a)前記連続重合ユニットから中間体プレポリマー流を提供し、前記中間体プレポリマー流の一部分を遠心ミキサに分流する工程と、
b)廃ポリエステルを前記遠心ミキサに添加して、均質な溶融物流を得る工程と、
c)前記均質な溶融物流を前記中間体ポリマー流の残りの部分と合わせて、出口流を形成する工程と
を含み、工程b)における前記廃ポリエステルは加熱も溶融もされないことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記廃ポリエステルがPCRフレーク又は産業廃棄物PETである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出口流が75%までの廃ポリエステルを含有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記均質な溶融物流と前記中間体ポリマー流の前記残りの部分との固有粘度の差が、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した場合に約±0.10dl/gの範囲にある請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記均質な溶融物流と前記中間体ポリマー流の前記残りの部分との固有粘度の差が、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した場合に約±0.05dl/gの範囲にある請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記遠心ミキサにおける前記廃ポリエステルの滞留時間が約3分未満である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記遠心ミキサで使用されるエネルギーが約0.69MJ/kg~約1.21MJ/kgである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エチレングリコール、着色剤、トナー、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、鎖延長剤、耐衝撃性改良剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、前記遠心ミキサに入る追加の供給流をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記遠心ミキサに添加する前に前記ポリエステル廃棄物を乾燥装置内で乾燥する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記出口流中の前記中間体ポリマー流の前記残りの部分に対する前記均質な溶融物流の比が約1:5~約2:1である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記遠心ミキサに分流される前記中間体流の量が、前記連続重合ユニットのフィニッシャーセクションへの前記出口流の一定流量を維持しながら、前記出口流中の廃ポリエステルの所望の量に基づいて変化してもよい請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記均質な溶融物流を濾過する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1の濾過装置及び第2の濾過装置を通して前記均質な溶融物流を濾過する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記均質な溶融物流を、前記均質な溶融物中のいずれかの揮発性生成物を除去するための脱気装置に導入する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記出口流を前記連続重合ユニットの次のセクションに移す前に、前記出口流をスタティックミキサに導入する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記出口流を前記連続重合ユニットのフィニッシャーセクションに移す前に、前記出口流をスタティックミキサに導入する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法によって製造された、連続重合ユニットのフィニッシャーにおける重合のためのポリエステルポリマー。
【請求項18】
廃ポリエステルを含有するポリエステルポリマーを製造するためのシステムであって、
少なくとも第1の入口、第2の入口、及び出口を有する遠心ミキサと、
ポリエステル廃棄物を前記遠心ミキサの前記第1の入口に導入するように構成されている第1のパイプと、
プレポリマー流の一部分を前記遠心ミキサの前記第2の入口に分流するように構成されているプレポリマー流ラインであって、均質な溶融物流が前記遠心ミキサの前記出口を出るプレポリマー流ラインと、
前記均質な溶融物流を中間体ポリマー流の残りの部分と合わせて、出口流を形成するように構成されている混合装置と
を含み、前記廃ポリエステルは、前記遠心ミキサに入る前に加熱も溶融もされないシステム。
【請求項19】
前記廃ポリエステルがPCRフレーク又は産業廃棄物PETである請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記出口流が75%までの廃ポリエステルを含有する請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記均質な溶融物流と前記中間体ポリマー流の前記残りの部分との固有粘度の差が、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した場合に約±0.10dl/gの範囲にある請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記均質な溶融物流と前記中間体ポリマー流の前記残りの部分との固有粘度の差が、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した場合に約±0.05dl/gの範囲にある請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記遠心ミキサにおける前記廃ポリエステルの滞留時間が約3分未満である請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記遠心ミキサで使用されるエネルギーが約0.69MJ/kg~約1.21MJ/kgである請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
エチレングリコール、着色剤、トナー、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、鎖延長剤、耐衝撃性改良剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する追加の供給流を前記遠心ミキサに導入するように構成されている追加の供給流パイプをさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記遠心ミキサに添加する前に前記ポリエステル廃棄物を乾燥するための乾燥装置をさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
前記出口流中の前記中間体ポリマー流の前記残りの部分に対する前記均質な溶融物流の比が約1:5~約2:1である請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記遠心ミキサに分流される前記中間体流の量が、連続重合ユニットのフィニッシャーセクションへの前記出口流の一定流量を維持しながら、前記出口流中の廃ポリエステルの所望の量に基づいて変化してもよい請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記均質な溶融物流を濾過するための濾過装置をさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項30】
前記均質な溶融物流を濾過するための第1の濾過装置及び第2の濾過装置をさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項31】
前記均質な溶融物中のいずれかの揮発性生成物を除去するための脱気装置をさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項32】
前記出口流を連続重合ユニットの次のセクションに移す前に前記出口流を混合するためのスタティックミキサをさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項33】
前記出口流を連続重合ユニットのフィニッシャーセクションに移す前に前記出口流を混合するためのスタティックミキサをさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項34】
請求項18に記載のシステムにおいて製造された、連続重合ユニットのフィニッシャーにおける重合のためのポリエステルポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル連続重合プロセスにおいてポリエステル廃棄物を利用するエネルギー効率のよい方法及びシステムに関する。特に、廃棄物は、遠心ミキサ中でプレポリマーの側流と混合され、重合を完了するためにユニットに戻される。
【背景技術】
【0002】
プラスチックが再使用されリサイクルされる循環型経済の世界的な必要性を満たすために、これらのプラスチックを元のバージンプラスチックと同じ状態にリサイクルして戻す低コストプロセスが必要とされている。ポリ(エチレンテレフタレート)、PET、は、水、炭酸ソフトドリンク用のボトル、及び他の包装用物品に使用するのに最適なプラスチックである。これらのボトル及び他の容器は、選別、造粒、洗浄、及び透明なポリエステル顆粒又はフレーク(PCR)の流れへのさらなる分類によって、消費者リサイクル廃棄物から容易に回収される。食品接触用途のためのポリエステルの使用に関する規制を満たすために、PCRのさらなる精製が、吸収された混入物質があればそれを除去し、PCRを再利用することができるように分子量を標準的なボトル樹脂の分子量に増加させるために必要とされる。炭酸ソフトドリンク及びボトル水の主要なブランド所有者は、それらが購入するPET樹脂中のPCR含有量を2030年までに50%にするという目標を設定している。
【0003】
廃棄された消費後の(市場回収された)ポリエステル(PCR)をそれらの出発原料(モノマー)に化学的に解重合し、次いでそれを用いてPET樹脂を製造することができるということも公知である。これらのプロセスは、メタノリシス(加メタノール分解)、加水分解、又はグリコリシス反応を使用して、廃ポリエステルを、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、グリコール又はモノマー(テレフタル酸ビスヒドロキシメチル)等の基本原料に解重合する。これらのプロセスはすべて、上記原材料又はモノマーがPETを製造するための供給原料として使用することができるか、又はバージン(未使用)の供給原料とブレンドすることができるまでに、上記原材料又はモノマーを精製するために追加の工程を必要とし、これはコストの増加につながる。
【0004】
メタノリシスポリエチレンテレフタレート(PET)プロセスでは、廃棄PETをメタノールと反応させて、原料テレフタル酸ジメチル(DMT)及びエチレングリコール(EG)を生成する。これらの反応生成物は、バージンポリエステル(その原材料から形成されるポリエステル)を生成するために使用される前に、バージン供給原料と同じ仕様を満たすように精製されなければならない。しかしながら、ほとんどの商業用のPET製造設備は、DMTではなくテレフタル酸(TA)を使用し、それゆえ、DMTをTAに変換するために追加の処理が必要とされる。
【0005】
PETの加水分解は、廃棄PETを水と反応させてTA及びEGに解重合させることである。しかしながら、廃棄PET中に通常存在するある種の混入物質は非常に困難であり、高純度TAを得るために追加の精製工程を必要とするということが知られている。
【0006】
PETのグリコリシスは、廃棄PETをグリコール(EG等)と反応させて、モノマーテレフタル酸ビスヒドロキシエチル(BHET)及び他のオリゴマーを生成することである。このプロセスは、BHETが製造設備の著しい大幅な改変なしにDMT又はTAポリエステル製造プロセスのいずれかにおいて原材料として使用されてもよいことが主な理由で、メタノリシス又は加水分解に対して著しい利点を有する。しかしながら、BHETは、バージンPETと同じ品質水準を有するPET樹脂を製造するために使用することができるまでに、精製されなければならない。
【0007】
PCRを押出機内で溶融し、連続重合ユニットのエステル化反応器に添加する様々なプロセスが開示されている。米国特許出願公開第2003/0134915号明細書は、PCRがエチレングリコールの添加とともに溶融され、オリゴマー状のエステル化生成物への解重合のためにエステル化反応器に押し出され、次いで、この反応生成物が、連続重合ユニットの後続の反応器において重合されるプロセスを開示する。最終重縮合反応器(「フィニッシャー」)内の真空は、PCRに吸収された混入物質を除去する。非晶質ペレットは、容器用途に必要とされる分子量まで固相重合させることができるし、又はフィニッシャーにおいて最終分子量まで重合させることができる。既存のCPラインにPCRフレークを添加するための現在のプロセスは、平均25%のリサイクル含有量で稼働する。設置されている最新のCPラインは、30トン/日を超える能力を有し、50%のPCRを加えるためにこれらのラインを改良するためには、現行の押出機技術の速度を超える15トン/時間で動作可能な押出機が必要になる。1つ以上の高スループット押出機の資本コスト、並びにこれらの押出機のモータ及びギアボックスにおいて失われるエネルギーのコストは、この技術を魅力的でないものにする。
【0008】
加えて、PET連続製造プロセス中に回収されたグリコールは、テレフタル酸を用いた初期エステル化プロセスにおいてバージングリコールと共に使用されるようにリサイクルされる。多量のPCRフレークを添加することについての混入物質及び分解生成物は、回収されたグリコールが出発原料として使用される前に精製されることを必要とする。
【0009】
国際公開第2019/162265号パンフレットは、PCRフレークが加熱され、その後で、ダイナミックミキサ内でPET連続重合ユニットからの中間体流と混合されてPCRが解重合された後、その重合を完了させるために連続重合ユニットに戻される概念的なプロセスを開示する。この特許出願は、このプロセスの有効化をサポートするいかなる例も提供しない。
【0010】
それゆえ、連続PET重合ユニットにおいてPCRフレークを最大75%の割合で利用するための、よりエネルギー効率が高く資本コストが低いプロセスが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0134915号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/162265号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、廃ポリエステルを含有するポリエステルポリマーを連続重合ユニットにおいて製造する方法であって、
上記連続重合ユニットから中間体プレポリマー流を提供し、この中間体ポリマー流の一部分を遠心ミキサに分流する工程と、
廃ポリエステルを上記遠心ミキサに添加して、均質な溶融物流を得る工程と、
上記均質な溶融物流を上記中間体ポリマー流の残りの部分と合わせて、出口流を形成する工程と
を含み、工程b)における廃ポリエステルは加熱も溶融もされないことを特徴とする方法が提供される。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、廃ポリエステルとしてPCRフレーク又は産業廃棄物PETを含む。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、75%までの廃ポリエステルを有する出口流を含む。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記均質な溶融物流と上記中間体ポリマー流の残りの部分との固有粘度の差が、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した場合に約±0.10dl/gの範囲にある、上記ポリエステルポリマーを製造する方法。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記均質な溶融物流と上記中間体ポリマー流の残りの部分との固有粘度の差が、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した場合に約±0.05dl/gの範囲にある、上記ポリエステルポリマーを製造する方法。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記遠心ミキサにおける上記廃ポリエステルの滞留時間が約3分未満である、上記ポリエステルポリマーを製造する方法。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記遠心ミキサで使用されるエネルギーが約0.69MJ/kg~約1.21MJ/kgである、上記ポリエステルポリマーを製造する方法。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、エチレングリコール、着色剤、トナー、染料、離型剤、再加熱剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、鎖延長剤、耐衝撃性改良剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、遠心ミキサに入る追加の供給流を含む。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、上記遠心ミキサに添加する前に上記ポリエステル廃棄物を乾燥装置内で乾燥する工程を含む。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記出口流中の上記中間体ポリマー流の残りの部分に対する上記均質な溶融物流の比が約1:5~約2:1であることを含む、上記ポリエステルポリマーを製造する方法。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記遠心ミキサに分流される上記中間体流の量が、上記連続重合ユニットのフィニッシャーセクションへの上記出口流の一定流量を維持しながら、上記出口流中の廃ポリエステルの所望の量に基づいて変化してもよい、上記ポリエステルポリマーを製造する方法。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、上記均質な溶融物流を濾過する工程を含む。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、第1の濾過装置及び第2の濾過装置を含む。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、上記出口流を上記連続重合ユニットの次のセクションに移す前に、上記出口流をスタティックミキサ(静的ミキサ)に導入する工程を含む。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態によれば、当該ポリエステルポリマーを製造する方法は、上記出口流を上記連続重合ユニットのフィニッシャーセクションに移す前に、上記出口流をスタティックミキサに導入する工程を含む。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態によれば、ポリエステルポリマーを製造するためのシステムであって、
少なくとも第1の入口、第2の入口、及び出口を有する遠心ミキサと、
ポリエステル廃棄物を上記遠心ミキサの上記第1の入口に導入するように構成されている第1のパイプと、
プレポリマー流の一部分を上記遠心ミキサの上記第2の入口に分流するように構成されているプレポリマー流ラインであって、均質な溶融物流が上記遠心ミキサの上記出口を出るプレポリマー流ラインと、
上記均質な溶融物流を中間体ポリマー流の残りの部分と合わせて、出口流を形成するように構成されている混合装置と
を含み、上記廃ポリエステルは、上記遠心ミキサに入る前に加熱も溶融もされない
システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態のプロセスフローシートを示す。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態のプロセスフローシートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、本開示の一部を形成する添付の図面と併せて解釈される、以下の本発明の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されてもよい。本発明は、本明細書に記載及び/又は示される特定の装置(デバイス)、方法、条件又はパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、単に例として特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、請求項に係る発明を限定することは意図されていないことを理解されたい。本明細書において特定される任意の及びすべての特許及び他の刊行物は、参照により、本明細書に完全に示されているかのように、組み込まれる。
【0030】
本明細書に記載される範囲は、範囲のまさに定義であるので、各範囲の端の数字及びその間の任意の考えられる数字の両方を含む。それゆえ、本明細書で言及される範囲及び限界は、規定された限界内に位置するすべての範囲(すなわち、部分範囲)を含むことを理解されたい。例えば、約100~約200の範囲は、110~150、170~190、153~162、及び145.3~149.6の範囲も含む。さらに、約7までの限界は、例として、約5まで、3まで、及び約4.5までの限界、並びにその限界内の範囲、例えば、約1~約5、及び約3.2~約6.5も含む。
【0031】
特段の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量等の特性、反応条件等を表すすべての数は、すべての場合において用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。従って、反対のことが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動しうる近似値である。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「comprise(含む)」、「comprises(含む)」、「containing(含有する)」、並びに「has(有する)」、「have(有する)」、「having(有する)」、並びに「includes(含む)」、「include(含む)」、及び「including(含む)」は、その用語の前に記載された主題からその用語の後に記載された1つ以上の要素に移行するために使用されるオープンエンド型の移行用語であり、この移行用語の後に列挙された1つ以上の要素は、必ずしもその主題を構成する排他的な要素ではない。
【0033】
本明細書で使用する場合の用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含むことが意図されており、1つ以上の二官能性カルボン酸及び/又は多官能性カルボン酸と1つ以上の二官能性ヒドロキシル化合物及び/又は多官能性ヒドロキシル化合物、例えば分岐コモノマー、との反応によって調製される合成ポリマーを意味すると理解される。典型的には、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であることができ、二官能性ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールであることができる。本明細書で使用する場合の用語「グリコール」は、ジオール、グリコール、及び/又は多官能性ヒドロキシル化合物、例えば、分岐コモノマーを含むが、これらに限定されない。
【0034】
用語「残基」は、本明細書で使用する場合、対応するモノマーからの重縮合及び/又はエステル化反応によってポリマーに組み込まれる任意の有機構造を意味する。用語「反復単位」は、本明細書で使用する場合、カルボニルオキシ基を介して結合したジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、例えば、ジカルボン酸残基はジカルボン酸モノマー又はその関連する酸ハライド、エステル、塩、無水物及び/又はそれらの混合物に由来してもよい。それゆえ、本明細書で使用する場合、用語「ジカルボン酸」は、ジカルボン酸、並びにポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なその関連酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩(half-salt)、無水物、混合無水物及び/又はそれらの混合物を含むジカルボン酸の任意の誘導体を含むことが意図されている。本明細書で使用する場合、用語「テレフタル酸」は、テレフタル酸自体及びその残基、並びにポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なその関連酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物及び/若しくはそれらの混合物、又はそれらの残基を含むテレフタル酸の任意の誘導体を含むことが意図されている。
【0035】
本発明において使用されるポリエステルは、典型的には、実質的に等しい比率で反応して対応する残基としてポリエステルポリマー中に組み入れられるジカルボン酸及びジオールから調製できる。それゆえ、本発明のポリエステルは、実質的に等しいモル比率の酸残基(100モル%)並びにグリコール(及び/又は多官能性ヒドロキシル化合物)残基(100モル%)を含むことができるので、繰り返し単位の総モルは100モル%に等しい。それゆえ、本開示において提供されるモルパーセントは、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は繰り返し単位の総モルに基づいてもよい。例えば、総酸残基に基づき5モル%のイソフタル酸を含むポリエステルは、そのポリエステルが、合計100モル%の酸残基のうち5モル%のイソフタル酸残基を含むことを意味する。従って、酸残基100モル当たりイソフタル酸残基が5モル存在する。別の例において、合計100モル%のグリコール残基のうち1.5モル%のジエチレングリコールを含むポリエステルは、グリコール残基100モル当たり1.5モルのジエチレングリコール残基を有する。
【0036】
本発明のポリエステルポリマーは、ポリマー鎖中にエチレンテレフタレート繰り返し単位を含有する。このポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モルパーセント及びヒドロキシル成分残基100モルパーセントを基準にして、
(a)少なくとも90モルパーセント、少なくとも92モルパーセント、少なくとも93モルパーセント、若しくは少なくとも96モルパーセントのテレフタル酸若しくはテレフタル酸の誘導体、又はそれらの混合物の残基を含むカルボン酸成分と、
(b)少なくとも90モルパーセント、少なくとも92モルパーセント、少なくとも93モルパーセント、又は少なくとも96モルパーセントのエチレングリコールの残基を含むジオール成分と
を含む。
【0037】
ポリエステル樹脂は、任意選択で、10重量%までの、本発明の樹脂の形成に有用であるテレフタル酸以外のジカルボン酸によって変性することができる。好適な二酸は、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、又は芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸;2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビ安息香酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、又はこれらの混合物及びそれらの等価物であることができる。上記ジカルボン酸のジメチル、ジエチル、又はジプロピルエステル等の機能的酸誘導体等価物を使用することがしばしば適切である。好ましい変性用ジカルボン酸はイソフタル酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸である。
【0038】
あるいは、ポリエステル樹脂は、任意選択で、10重量%までの、エチレングリコール以外の1種以上の異なるジオールによって変性することができる。典型的なPETプロセスでは、約2モルパーセントのジエチレングリコールがエチレングリコールのエステル化によって形成される。このような追加のジオールとしては、例えば6~20個の炭素原子を有する脂環式ジオール又は好ましくは3~20個の炭素原子を有する脂肪族ジオールが挙げられる。エチレングリコールと共に含まれるべきこのようなジオールの例は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール-(1,3)、2-エチルヘキサンジオール-(1,3)、2,2-ジエチルプロパンジオール-(1,3)、ヘキサンジオール-(1,3)、1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン、及び2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンである。好ましい変性用ジオールはジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール及び2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオールである。
【0039】
本発明のポリエステルは、少なくとも1種の鎖延長剤も含むことができる。好適な鎖延長剤としては、多官能性(二官能性を含むが、これに限定されない)イソシアネート、例えばエポキシ化ノボラックを含む多官能性エポキシド、及びフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、鎖延長剤は、重合プロセスの終わりに、又は重合プロセスの後に添加されてもよい。重合プロセス後に添加される場合、鎖延長剤は、コンパウンディングによって、又は射出成形若しくは押出等の変換プロセス中の添加によって組み込むことができる。使用される鎖延長剤の量は、使用される具体的なモノマー組成及び所望の物理的性質によって異なることができるが、一般にポリエステルの総重量に基づいて約0.1~約5重量%又は約0.1~約2重量%である。
【0040】
加えて、本発明において有用なポリエステル組成物及びポリマーブレンド組成物は、任意の量の少なくとも1種の添加剤、例えば組成物全体の0.01~2.5重量%の一般的な添加剤、例えば着色剤、染料、離型剤、難燃剤、再加熱添加剤、可塑剤、UV安定剤、熱酸化安定剤及び/又はその反応生成物を含むがこれらに限定されない安定剤、鎖延長剤並びに耐衝撃性改良剤も含有してもよい。熱酸化安定剤の例としては、リン化合物並びにポリエステル樹脂に使用するために市販されている一次及び二次酸化防止剤が挙げられる。当該技術分野において周知であり本発明において有用な典型的な市販の耐衝撃性改良剤の例としては、エチレン/プロピレンターポリマー、官能化ポリオレフィン、例えばアクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸グリシジルを含有するもの、スチレン系ブロックコポリマー耐衝撃性改良剤、並びに様々なアクリルコア/シェル型耐衝撃性改良剤が挙げられるが、これらに限定されない。鎖延長剤の例としては、多官能性(二官能性を含むが、これに限定されない)イソシアネート、例えばエポキシ化ノボラックを含む多官能性エポキシド、及びフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。そのような添加剤の残基も、ポリエステル組成物の一部として企図される。
【0041】
加えて、ポリマーを調色する特定の薬剤を重縮合プロセスに添加することができる。得られるポリエステルポリマー溶融相生成物の黄色度を低下させるために、青味を帯びたトナーを使用することができる。このような青味剤としては、コバルト塩、青色の無機及び有機のトナー等が挙げられる。加えて、赤味を調整するために赤色トナー(複数種可)を用いることもできる。有機トナー、例えば青色及び赤色の有機トナーを使用することができる。有機トナーはプレミックス組成物として供給することができる。プレミックス組成物は、赤色及び青色の化合物のニートブレンドであってもよく、又はその組成物は、ポリエステルの原材料の1つ、例えばエチレングリコールに溶解又はスラリー化されてもよい。
【0042】
トナー成分の総添加量は、ベースポリエステル中の固有黄色の量及びトナーの有効性に依存する。一般に、約15ppmまでの濃度の混合有機トナー成分及び約0.5ppmの最小濃度が使用され、青味添加剤の総量は、典型的には約0.5ppm~約10ppmの範囲である。
【0043】
重合プロセス
本発明のポリエステルは、連続プロセスによって製造される。連続プロセスは、典型的には、4つの主要なプロセスユニット、(i)ジカルボン酸及びジオールが混合されるスラリー調製容器、(ii)エステル化ユニット、(iii)予備重合(又は低重合)ユニット、及び(iv)高重合器又はフィニッシャーユニットからなる。ほとんどの設計において、溶融相重合は、1つ以上のエステル化反応器、1つ以上の予備重合器及び1つ又は2つの高重合器において行われる。いくつかの設計では、エステル化及び予備重合は、1つの容器中で行われる。
【0044】
本明細書及び請求項において使用される用語「エステル化器」、「予備重合器」、「高重合器」又は「フィニッシャー」は、各ユニットにおける単一及び複数の反応器の両方を意味することが意図される。典型的なポリエステル化プロセスは、1つ以上の段階を含み、2つの一般的経路のうちの1つにおいて商業的に実施される。プロセスの初期段階で直接エステル化を用いるプロセスの場合、ジカルボン酸は、約200℃~約270℃の温度で1種以上のジオールと反応して、マクロモノマー構造及び小縮合物分子である水を形成する。反応は可逆的であるため、水は連続的に除去されて、反応は所望の第1段階生成物へと推進される。同様に、(二酸の代わりに)ジエステルを使用する場合、酢酸マンガン、酢酸亜鉛、又は酢酸コバルト等の特定の周知の触媒を用いてジエステルのエステル基及びジオールを反応させるためにエステル交換プロセスが使用される。エステル交換反応の完了後、これらの触媒は、重縮合プロセス中の分解を防止するために、リン酸等のリン化合物で捕捉される。
【0045】
次に、反応の第2段階において、通常はオリゴマー状のエステル化生成物と記載される、マクロモノマー構造(直接エステル化生成物)又は交換された部分(エステル交換生成物)のいずれかが、重縮合反応を受け、ポリマーを形成する。
【0046】
次いで、エステル化段階からの反応物は、わずかな真空、好ましくは約200mm絶対水銀(水銀柱)未満を有し、約240~300℃の範囲で約30~75分間稼働する予備重合器に連続的に移される。この予備重合器は、エステル化プロセスの不可欠な部分であることができる。この段階では、プレポリマーは、その固有粘度(IV)によって測定して、約0.2~約0.3dl/gの範囲の分子量を有する。次いで、このプレポリマーは中間重合器に連続的に移されるか、又は高重合器に直接移され、それらの反応器では、真空が約10ミリメートル絶対水銀未満、好ましくは約5mm未満に上昇され、温度は約45分~90分間にわたって約260~300℃である。ジオールは、予備重合器及び高重合器において連続的に除去され、エステル化器に再循環される。
【0047】
この重合反応は、必要な/目標の分子量が達成され、かつ/又は設備の設計の最大分子量に達したときに停止される。ポリエステルはダイを通してストランドに押し出され、これは急冷されてペレットに切断されるか、又は水中で切断されてペレットが形成される。必要であれば、このポリエステルペレットは、周知の固相重合処理技術によってさらに高分子量に重合させることができる。
【0048】
重縮合反応に通常使用される触媒は、アンチモン、ゲルマニウム、アルミニウム、チタンを含有する化合物若しくは当業者に公知の他の触媒、又はこれらの混合物である。使用される具体的な添加剤及び反応中の導入点は、当該技術分野において公知であり、本発明の一部を形成しない。任意の従来の系が用いられてもよく、当業者は、最適な結果を達成するために、添加剤の導入のために様々な市販の系の中から選択することができる。
【0049】
テレフタル酸及び/又はエチレングリコールは、好ましくは、石油ベースの供給原料ではなく、バイオマス供給原料に由来する。加えて、使用済みポリエステル廃棄物からの化学的にリサイクルされたテレフタル酸(又はテレフタル酸ジメチル)及びエチレングリコールの使用も、本発明のポリエステルに好ましい。
【0050】
PCRフレークの添加
本発明のプロセスは、PCRフレークの熱劣化を最小限に抑え、資本コストを低減し、内部リサイクルEGの汚染を回避し、連続重合(CP)ラインへの最大75%のPCRフレークの添加に関連するエネルギー損失を低減するための3つの原理に基づく。
【0051】
第1の原理は、ポリエステルの重合についてのCPユニットのスループットが、目標分子量(固有粘度)についてのフィニッシャーの設計によって制限されることを認識している。重縮合の反応速度は、溶融液塊からのエチレングリコール副生成物の拡散によって支配される。重合のこの最後の段階では、ポリエステルの粘度は分子量の増加と共に急速に上昇し、これらの反応器は、溶融ポリマーを持ち上げて薄膜を作り出すディスク又はケージを備えた水平撹拌機によって撹拌され、この薄膜からエチレングリコールが反応器内の高真空中に拡散することができる。ディスクの間隔は、粘度の上昇に基づいて反応器の軸に沿って増加し、これらのディスク上に薄膜が生成され、連続するディスク間にブリッジを形成しないことが確保される。結果として、フィニッシャー反応器の設計は、入口の分子量と最終的な所望の分子量との間の差に基づく。ディスク・リング反応器の典型的な設計は米国特許第3,248,180号明細書で、ケージ反応器の典型的な設計は米国特許第5,599,507号明細書で開示されている。本発明のプロセスは、約50%までのPCRリサイクル率でフィニッシャー容器に入るプレポリマーの名目上同じ分子量を提供し、従ってCPラインのスループットを維持してその目標分子量に到達する。
【0052】
第2の原理は、高スループット押出機中でPCRフレークを溶融することによってCPユニットへのPCRフレークの添加に関連するエネルギー損失及び資本費用を低減することである。第3の原理は、PCRフレークの添加に関連する熱劣化があればそれを最小限に抑え、揮発性有機化合物がればそれをCPプロセスに入らないように分離することである。
【0053】
これらの上述の原理の両方は、本発明の方法において、PCRフレークを、溶融又は加熱することなく固体として、約3分未満の滞留時間で遠心ミキサ中のプレポリマーの側流に添加し、プレポリマーと名目上同じ分子量を有する、混合されたPCRフレークとプレポリマーのこの溶融物流を、ミキサに分流されなかったプレポリマー流に戻し、そしてフィニッシャーに向かわせることによって達成される。
【0054】
遠心ミキサ
遠心ミキサ(centrifugal mixer)は、チョコレート等のカカオ含有製品の精製において一般に使用される。例えば、国際公開第2007/066362号パンフレットはそのようなミキサを記載する。この場合、処理されるべき物質は、好ましくは実質的に水平に配置されたドラム内で案内される。ドラムには、ドラムに沿って材料を移動させるように螺旋状に配置されたピンを少なくとも部分的に備える回転シャフトがある。この回転シャフトは、遠心力の作用によってドラムの内壁に対して材料を投げる高い回転速度で作動される。
【0055】
導入された物質又は混合物は、ピンによって絶えず混合される。ピンの密度は、シャフトに沿って変化することができる。ピンは、同様であってもよく、例えば、同じ直径の丸い断面積を有してもよい。あるいは、例えば、異なる断面積(多角形、楕円形、円形)又は異なる直径を有する異なるタイプのピンをシャフト上に配置することができる。好ましくは、ピンは円筒形である。ピンの回転によって、混合物へのエネルギー入力は、遠心力によって形成された薄層に起こり、このエネルギー入力は、混合物の全体積にわたって比較的均一である。
【0056】
遠心ミキサは、PCRフレークをプレポリマーの溶融物流と混合するのに理想的に適している。ドラムの壁、及び任意選択で回転シャフトは加熱され、これは、ドラムの内壁に対するこの混合物の摩擦とともに、PCRフレークを溶融し、均質な溶融混合物を形成するのに充分なエネルギーを提供する。開放遠心ミキサは、混合物のよどみ(停滞)及び劣化を引き起こしうるいかなる制限もなく溶融混合物の自由排出を提供するので、本発明にとって好ましい。
【0057】
回転シャフトは、高速、好ましくは約250回転毎分(rpm)超、より好ましくは約500rpm超で動作する。遠心ミキサは、溶融プレポリマーのための入口と、PCRフレークのための1つ以上の入口とを有し、シャフトは、入口端部で支持され、モータによって駆動される。PCRフレークを溶融しそれをプレポリマーと均質に混合するための滞留時間は、約3分未満である。滞留時間は、バレルの長さ、内部ピンの角度によって部分的に設定され、シャフトの回転速度によって制御することができる。短い滞留時間で大気圧でPCRフレークを溶融することは、モータ負荷を最小限にし、ギアボックス内の損失及び押出機の出口で溶融物を圧縮するために必要なエネルギーを排除することによって、PCRフレークの熱劣化があればそれを最小限にし、押出機内でPCRフレークを溶融することと比較してエネルギー損失を低減する。
【0058】
PCRフレーク
好ましいPCRフレークは、機械的リサイクルプロセスによって得られたPETボトルのリサイクルから得られる。典型的には、ボトルは4つの主要な収集方法から収集される:歩道脇の回収ボックス(curbside)、店舗の回収ボックス(drop-off)、買い取り(buy back)、デポジット・リファンド・プログラム(deposit refund program)。機械的リサイクルプロセスの第1の工程は、廃棄物流中の金属からプラスチックを選別及び分離することである。次に、非剛性プラスチックを剛性プラスチックから分離し、剛性プラスチックは、次いで洗浄されてラベル及び他の表面混入物質が除去される。剛性プラスチックは、およそ9~12mmの最大寸法のサイズ範囲のフレークに細断又は粉砕される。
【0059】
この段階で、フレークは、クロージャからのプラスチック、通常はポリエチレン又はポリプロピレン、並びに緑色、青色及び他の色のボトルからのフレークを含有する。ポリオレフィンは苛性洗浄プロセスで除去される。これは、これらのポリマーが表面に浮遊し、PET及びポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の水より重い他のプラスチックが底部に沈むからである。次いで、これらのフレークを光学走査によって選別して、着色フレークを透明フレークから分離する。次いで、透明フレークのこの流れをNIRによって選別して、他のフレークの大部分を除去し、PCR PETフレークの流れを残す。本発明において使用することができるPCRフレークの好ましい仕様は、PCRの意味をこれらの仕様に限定することなく、表1に列挙されている。
【0060】
【0061】
本発明のプロセスにPCRフレークを使用することに加えて、規格外樹脂等の産業廃棄物PETを、本発明のプロセスにおけるPCRフレークと併せて又はその代わりに使用することができるということが企図される。
【0062】
プロセス
図1に示すように、PCRフレークは供給ホッパー100内に貯蔵され、パイプ40を通して遠心ミキサ300の入口に接続された重量計量装置110に供給される。CPユニットからの溶融プレポリマー10は、ポリマーポンプ200を介して三方弁210に供給される。この三方弁210は、プレポリマー流の一部分を、遠心ミキサ300の別の入口に供給するポンプ220に分流するように設定される。遠心ミキサ300のバレルは、熱伝導流体によって約275℃~約290℃の範囲の温度に加熱され、ミキサの回転軸も同じ温度範囲に加熱することができる。シャフトは、約250~約1000rpmの範囲の速度で回転される。遠心ミキサ300で使用されるエネルギーは、約0.7~約1.2MJ・kg
-1の範囲にある。PCRフレーク及びプレポリマーからなる均質に混合された溶融物流は、遠心ミキサ300からパイプ45を通ってスクリューポンプ310に出て、スクリューポンプ310は粗フィルタ320に供給する。粗フィルタ320は、スクリーンチェンジャフィルタ又は微細フィルタ340の寿命を延ばすために使用され、典型的には1000ミクロン(1000μm)の濾過精度を有する。粗フィルタ320の出口は、パイプ55を通して、PCRフレーク中に存在するか又は混合プロセス中に形成される任意の揮発性生成物を除去する脱気装置325へ、パイプ85を通して、ガススクラバ500へポンプで送られ、揮発性有機化学物質は、パイプ90を通して排出される。脱気装置325の出口は、パイプ58を通してポリマーポンプ330に接続し、このポンプは、PCRフレークに残留している混入物質があればPCRフレークからそれを除去するためにパイプ60を通して溶融物流を微細フィルタ340に供給し、微細フィルタ340は約60~約100ミクロン(約60~約100μm)の濾過精度を有する。微細フィルタ340の出口は、パイプ65を通って三方弁360に向けられる。三方弁210によって遠心ミキサからバイパスされる溶融プレポリマーは、流れ70を三方弁360の他方の入口に提供し、三方弁360の出口流は、スタティックミキサ400に通され、次いでパイプ80を通ってCPユニットのフィニッシャーに流れる。
【0063】
図2は、乾燥機105が、PCR供給ホッパー100と重量測定計量装置110との間に配置される、上述のプロセスの代替的なプロセスを示す。これは、PCRフレークが高い水分を有する場合に使用され、水分は、PCRが遠心ミキサ300内で溶融されるときにPCRを加水分解して、遠心ミキサ300を出るPCRとプレポリマーとの溶融混合物の流れが所望のIVよりも低い分子量を有するようにする可能性がある。加えて、
図2に示されるプロセスは、遠心ミキサ300の入口への追加の供給流95を有する。この供給流は、PCRの分子量が高く、遠心ミキサ300を出る混合ポリマー流45の所望のIVのために低下される必要がある状況において遠心ミキサ内で溶融混合物をグリコール化する、エチレングリコールからなってもよい。この供給流95は、PCRフレーク及びプレポリマー並びに最終生成物において必要とされる他の添加剤の混合物の色を調整するためのトナーを添加するために使用することもできる。
【0064】
三方弁210を介して遠心ミキサ300の入口25に分流されるプレポリマー流15の量と、遠心ミキサの入口40に供給されるPCRフレークの量との比は、約1:5~約2:1の範囲にあることができる。
【0065】
三方弁210を介して流れ20により混合及び濾過プロセスに分流されるプレポリマー流10と、それを三方弁350を介して、分流されなかったプレポリマー流70に戻す出口流65との間のIV及び温度の差は、それぞれ、約±0.10dl/g、好ましくは約±0.05dl/gの範囲、及び約±5℃の範囲にあるべきである。
【0066】
最終樹脂中の所望の%PCR含有量のために、このプロセスは、CPユニットのフィニッシャーセクションへの上記混合物の一定速度を維持しながら、異なる量のプレポリマーを遠心ミキサ300に分流するという柔軟性を提供する。これは、プレポリマー流のIVがPCRフレークの添加によって大きくは変化しないという要件を満たすように、PCRフレークのIVに応じてプロセスが調整されることを可能にする。これは表2に示されており、フィニッシャーセクションへのプレポリマー材料の一定速度(100の無次元数に正規化される)について、遠心ミキサに分流されるプレポリマーの相対量は、最終ポリマーにおいて同じ量のPCRフレークを与えるように調整することができる。
【0067】
【0068】
本発明のプロセスは、CPプロセスの他の段階においてPCRフレークを添加するために使用することができ、例えば、エステル化セクションからのオリゴマー流を使用して、このオリゴマー流の分流された流れを遠心ミキサに混合してPCRフレークを混合して均質に溶融して、得られた流れは、分流されていない流れとともに重縮合ユニットの第1の段階にポンプ輸送されることも企図される。あるいは、複数のフィニッシャーを含むCPプロセスについては、1つのフィニッシャーからの出口流の一部分を遠心ミキサに分流してPCRフレークを混合して均質に溶融し、得られた流れを、分流されていない流れとともに次のフィニッシャーユニットにポンプ輸送されることができる。
【0069】
試験方法
固有粘度
固有粘度は、ASTM D4603-96に従って25℃で測定した。
【0070】
色
CIELAB色指数(L*、a*及びb*)は、ASTM D6290-05に従って、コニカミノルタ分光計モデルCM-5を用いて、d/8照明の反射モードで測定した。D65発光体をCIE 1964 10°標準観察者と共に使用した。L*は明度の尺度であり、a*は赤色度(+)又は緑色度(-)の尺度であり、b*は黄色度(+)又は青色度(-)の尺度である。
【実施例】
【0071】
プレポリマーは、0.62dl/gのIVを有する標準的なボトルグレードの非晶質樹脂を製造する連続重合ユニットの、フィニッシャーの前の、予備重合器の出口からドレインを通してポリマー流の一部を押出すことによって得た。この溶融プレポリマーを窒素下でスチールパンに収集し、冷却後、フレークに粉砕した。
【0072】
PCRフレークはWellman France Recyclage S.A.S.(ウェルマン・フランス・リサイクル)から入手した。プレポリマー及びPCRフレークの特性を表3にまとめる。
【0073】
【表3】
1 測定せず、プレポリマーをPCRフレークとは異なるサイズに粉砕した。
【0074】
試験はパイロットスケール遠心ミキサ(Lico S.p.A.(リコ))で行った。プレポリマーを285℃の溶融温度で押出機内で溶融し、制御された速度でミキサの1つの入口に供給した。PCRを、融解又は乾燥させることなく、他方の入口に計量した。ミキサからの出力を空気中で急冷した後、窒素下のスチールパン中で凝固させ、冷却後、粉砕してフレークにした。
【0075】
最終生成物中の%PCRフレークを0%~98%とし、142~767rpmの異なるミキサシャフト回転速度で、27~249kg/hのスループットで試験を行った。ミキサを出る溶融物の温度及びミキサで使用されるエネルギーを記録し、最終生成物のIV及び色指数を測定した。これらの試験の結果を表4に要約する。
【0076】
【表4】
1 試験1からのポリマーを他のすべての試験と比較して異なるサイズに粉砕したため測定しなかった。
【0077】
試験2、3及び4は、100kg/hの一定のスループット及び615rpmのシャフト回転速度で、それぞれ25%、50%及び75%のPCRフレーク含有量で実行した。均質に混合されたプレポリマーのIV及び色指数は、このプロセスが、幅広い範囲のPCR含有量にわたってフィニッシャー中で重合される満足のいく生成物を生成することができるということを示す。加えて、この範囲のPCRフレーク含有量を混合するのに必要な出力(電力)は、約1.1±0.1MJ/kgの範囲にあった。
【0078】
試験5~8は、50%の一定のPCRフレーク含有量及び100kg/hの一定のスループットで行い、漸進的に増加するシャフト回転速度及びバレル温度で混合した。先の試験と同様に、これらの試験は、PCRフレークとプレポリマーの溶融混合物を最終非晶質ポリマーの目標特性へと重合させるためのフィニッシャーユニットの要件に適合するようにこの溶融混合物の特性を最適化するように選択することができるプロセスパラメータの範囲にわたってPCRフレークを溶融プレポリマー流と均質に溶融及び混合するこのプロセスの柔軟性を示す。
【0079】
試験9及び10は、先の試験と比較して150及び200kg/hのより高いスループットで50%のPCR含有量で実行した。満足のいく混合PCRフレーク/プレポリマー溶融流を連続重合ユニットのフィニッシャーに送達するために必要とされる、100kg/hでの試行と比較してより低いエネルギーは、この本発明のプロセスにおいて必要とされる低いエネルギーを実証する。
【0080】
試験11及び12は、名目上25kg/h及び250kg/h並びに50%PCRフレーク含有量で実行した。高スループットでシャフト回転速度を増加させることによって、PCR及びプレポリマーの混合物のIV及び色指数は、連続重合ユニットの特定のスループットに適合するスループットの範囲にわたって操作される本発明のプロセスの柔軟性を実証する。
【0081】
試験13及び14は、1%~98%の範囲のPCR含有量をプレポリマー流と混合して、CPユニットのフィニッシャーにおいて重合される満足のいく生成物を提供する本発明のプロセスの柔軟性を再び示す。
【0082】
これらの試験は、遠心ミキサを、ある範囲の条件にわたって使用して、PCRフレークをCPユニットからのプレポリマー流の一部と混合しながら、ミキサの出口におけるIVを入口プレポリマーの±0.05dl/gの範囲に維持することができるということを示す。ミキサからの流れは、濾過後、CPユニットの仕上げセクションの前に、CPユニットのスループットに影響を及ぼすことなく、プレポリマーストリームの残りと組み合わせることができる。
【0083】
本発明は、好ましい実施形態及びその特定の実施例を参照して本明細書に図示及び説明されたが、他の実施形態及び実施例が、同様の機能を果たし、かつ/又は同様の結果を達成してもよいことが、当業者に容易に明白となるであろう。すべてのそのような等価な実施形態及び実施例は、本発明の趣旨及び射程内にあり、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【国際調査報告】