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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】光化学装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20230830BHJP
   B01F 33/45 20220101ALI20230830BHJP
【FI】
B01J19/12 C
B01F33/45
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528172
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020063333
(87)【国際公開番号】W WO2021097467
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】17/096,282
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/922,232
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519179486
【氏名又は名称】ヘパトケム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バザン、マーク、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バズディゴン、ライアン、エス.
【テーマコード(参考)】
4G036
4G075
【Fターム(参考)】
4G036AC21
4G075AA02
4G075AA61
4G075AA63
4G075BA04
4G075CA32
4G075CA33
4G075DA02
4G075EA06
4G075EB01
4G075EB21
4G075EB31
4G075EC11
4G075EC13
4G075FC04
(57)【要約】
装置は絶縁反応チャンバと、撹拌モジュールの上方の光源と、反応チャンバを取り囲む光源と、反応容器を収容するホルダとを含み、ホルダは、反応容器間の光の均一な分配を可能にするように絶縁反応チャンバ内に嵌合するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁反応チャンバと、
撹拌モジュールの上方の複数の光源であって、前記複数の光源は、反応チャンバを取り囲む、複数の光源と、
反応容器を収容する複数のホルダであって、前記複数のホルダは反応容器間の光の均一な分布を可能にするように、前記絶縁反応チャンバ内に嵌合するように構成されている、複数のホルダと、
を含む装置。
【請求項2】
前記絶縁反応チャンバは、サーモスタット制御された流体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記撹拌モジュールが磁気撹拌モジュールである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記絶縁反応チャンバは、紫外線(UV)光に対して透明である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記絶縁反応チャンバは、可視光に対して透明である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の光源の各々は、独立して制御可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の光源の各々は、主波長を中心とする特定の光スペクトルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記反応容器の各々が反応サンプリングを可能にしながら、前記反応チャンバから漏れる光を推進するように構成されたキャップを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記キャップが、
中央円形膜を有する上部と、
内壁と、
外壁と、
を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記内壁は、前記反応容器に直接固定されるように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記外壁は前記ホルダ上に傾き、光の漏洩を遮断するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
絶縁反応チャンバへのサーモスタット流体の導入を可能にするための入口と出口を有する光反応器と、
サーモスタット流体のリザーバと、
熱交換器と、
ヒーター/冷却器ユニットと、
を備え、
前記流体のリザーバは前記光反応器と前記熱交換器に連結され、前記熱交換器は前記ヒーター/冷却器ユニットに連結されている、
システム。
【請求項13】
前記光反応器が、
撹拌モジュールの上方の複数の光源であって、前記複数の光源は、反応チャンバを取り囲む、複数の光源と、
反応容器を収容する複数のホルダであって、前記複数のホルダは反応容器間の光の均一な分布を可能にするように、前記絶縁反応チャンバ内に嵌合するように構成されている、複数のホルダと、
を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の光源の各々は、独立して制御可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記出口は第1の三方弁に連結され、
前記第1の三方弁はポンプおよびサーモスタット流体のリザーバに連結され、
前記第1の三方弁はサーモスタット流体のリザーバまたは絶縁反応チャンバを空にするように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ポンプは第2の三方弁に連結され、
前記第2の三方弁は前記サーモスタット流体の前記リザーバおよび前記熱交換器に連結され、
前記第2の三方弁は前記サーモスタット流体の前記リザーバまたは前記絶縁反応チャンバを充填するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記入口が流量制御装置を介して前記熱交換器に連結されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により組み込まれる、2019年11月13日に出願された仮特許出願第62/922,232号からの利益を主張する、2020年11月12日に出願された米国特許出願第17/096,282号からの利益を主張する。
【0002】
本発明は一般に光化学(photochemistry)に関し、特に光化学装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、光化学は、光によって開始される化学反応を含む。光反応するために、分子は光エネルギーを吸収しなければならない。分子は、可視および紫外領域の光を吸収する。この光エネルギーは、分子を光反応させて他の分子を形成させる。分子がどこで光を吸収するかを決定するために、吸収スペクトルをとることができる。スペクトルのピークは分子を励起し、それを反応させる光エネルギーに対応する。
【発明の概要】
【0004】
以下は本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、イノベーションの簡略化された概要を提示する。この要約は、本発明の広い概観ではない。これは、本発明の重要な要素を識別しかつ正確に概説するものでもない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0005】
一般に、一態様では本発明は絶縁反応チャンバと、撹拌モジュールの上方の光源と、反応チャンバを取り囲む光源と、反応容器を収容するホルダとを含む装置を特徴とし、ホルダは反応容器間の光の均一な分布を可能にするように絶縁反応チャンバ内に嵌合するように構成される。
【0006】
別の態様では本発明は絶縁反応チャンバ、サーモスタット流体のリザーバ、熱交換器、およびヒータ/冷却器ユニットへのサーモスタット流体の導入を可能にするための入口および出口を有する光反応器を含むシステムを特徴とし、該リザーバは光反応器および熱交換器に連結された流体のリザーバであって、該熱交換器はヒータ/冷却器ユニットに連結されている。
【0007】
本発明の実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を含み得る。
【0008】
本発明は、流体温度管理、マルチバイアル/マルチフォーマットホルダ、磁気撹拌能力、および反応バイアル間の均一な光分布のためのモジュラー光源を含む。
【0009】
本発明は反応サンプリングを可能にしながら、光を反応チャンバから漏出させる特別なバイアルカバー/キャップを使用することができる。
【0010】
本発明は、光化学反応の調査およびスケールアップを容易にする。
【0011】
光源は放射線への均質な曝露を可能にし、したがって、反応チャンバ内に挿入される反応容器のタイプおよび数に適合するように、独立して制御することができる。
【0012】
光源の波長は異なることができ、反応チャンバ内の波長のスクリーンを可能にする。
【0013】
これらおよび他の特徴および利点は以下の詳細な説明を読み、関連する図面を検討することによって明らかになるのであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は単に説明のためのものであり、特許請求される態様を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を参照することにより、より良く理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、例示的なデバイスを示す。
図2図2は、図1の例示的な装置の側面図を示す。
図3図3は、反応チャンバを示す。
図4A図4Aはホルダを示す。
図4B図4Bはホルダを示す。
図5A図5Aは光源を示す。
図5B図5Bは光源を示す。
図6図6は、例示的なホルダ構成を示す。
図7A図7Aは、例示的なホルダを示す。
図7B図7Bは、例示的なホルダを示す。
図7C図7Cは、例示的なホルダを示す。
図7D図7Dは、例示的なホルダを示す。
図8図8は、例示的なキャップを示す。
図9図9は、透明チューブの反応容器を示す。
図10A図10Aは、例示的なホルダの異なる図を示す。
図10B図10Bは、例示的なホルダの異なる図を示す。
図10C図10Cは、例示的なホルダの異なる図を示す。
図11A】例示的なモジュール式光源を示す図である。
図11B】例示的なモジュール式光源を示す図である。
図12図12は、第1の例示的な光化学システムを示す。
図13図13は、第2の例示的な光化学システムを示す。
図14図14は、様々な反応ホルダ構成を示す。
図15】例示的な光化学システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は図面を参照して説明され、ここで、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明目的のために、本発明の完全な理解を提供すべく、様々な特定の詳細が記載されている。しかし、このような特定の詳細がなくても、本発明が実行され得ることは明瞭であり得る。他の例では、本発明を説明しやすくするために、周知の構造とデバイスとがブロック図で示される。
【0017】
本発明の実施形態は光化学反応を促進し、望ましくない要因が光化学反応に影響を及ぼすのを制限または防止する装置を提供する。装置は、絶縁反応チャンバと、撹拌モジュールの上方で反応チャンバを取り囲む光源と、反応チャンバを取り囲む光源と、反応容器間の光の均一な分配を可能にするように絶縁反応チャンバ内に嵌合するように構成された反応容器を収容するホルダとを含むことができる。
【0018】
図1に示すように、本発明の原理による例示的な装置10は、光源14によって囲まれた反応チャンバ12を含む。反応チャンバ12は、温度制御を容易にするために断熱され、サーモスタット流体(恒温流体)の導入を可能にするために入口16および出口18を含んでもよい。
【0019】
図2に示すように、例示的な装置10の側面図は、光源14、20および磁気撹拌モジュール22を示す。
【0020】
図3に示すように、例示的な装置10は、反応チャンバを流体20の循環によって温度調節することができることを示している。ここで、反応チャンバは、光透過および熱絶縁を可能にする二重壁22、24によって光源14から分離される。
【0021】
図4に示されるように、1つ以上の反応容器30は、反応チャンバ中のホルダ32中に配置される。1つ以上の反応容器30は、ホルダ32内の所定の位置に維持される。
【0022】
図5において、光源14は、光照射を反応チャンバ内のホルダ(図示せず)に挿入されたタイプ及び多数の反応容器(図示せず)に適合させるために独立して制御されてもよい。一実施形態では、光源14が本質的にモジュール40である。したがって、一連のモジュール式光源は反応チャンバを取り囲み、1つまたは複数の分離壁42を使用して反応チャンバ内に収容されるように構成することができる。この実施形態では、各光源モジュール40が分離壁42を使用して反応チャンバ内で異なる波長を可能にする異なる波長を有することができる。
【0023】
ホルダ32は取り外し可能であり、任意の数の反応容器を収容するために、様々なサイズで構成されてもよい。図6には、3つの例示的なホルダ構成50、52、54が示されている。より具体的にはホルダ50が3つの200ml反応容器を固定するように適合された構成を示し、ホルダ52は10個の20ml反応容器を固定するように適合された構成を示し、ホルダ55は24個の4ml反応容器を固定するように適合された構成を示す。特定の科学的必要性を満たすために、他のホルダ構成が採用されてもよい。
【0024】
図7Aに示されるように、一般に、各ホルダ60は、反応容器64の上方の反応器チャンバの側面から来る光を遮断する壁62を含む。各反応容器はホルダ60上に寄りかかり、反応容器の底部からの光漏れを遮断するキャップ66を含む。さらに、ガスケット68が反応容器の上端に配置され、反応容器からの光漏れを回避する。
【0025】
図7Bは、空の反応チャンバを示す。図7Cは反応チャンバ内に配置されたホルダ60を示し、図7Dは、ホルダ60上の反応チャンバの上縁部上のガスケット68の配置を示す。
【0026】
図8に示すように、各反応容器70はホルダ60上に寄りかかり(lean)、反応容器72の底部からの光漏れを阻止するキャップ66を含む。キャップ66は、中央円形膜を有する頂部74を含む。キャップ66は、内壁78及び外壁80を含む。キャップ66の内壁78は、反応容器70に直接固定され、キャップ66の外壁80はホルダ60上に寄りかかり、光漏れを阻止する。内壁78は例えば、反応容器70上の対向するネジ山に適合するネジ山を有する構成、圧入構成など、様々な方法で反応容器70に固定されてもよい。
【0027】
図9に示されるように、反応容器90は、フロー化学反応セットアップを可能にする透明なチューブから作製される。
【0028】
図10A図10Bおよび図10Cは、例示的なホルダ100の異なる図を示す。図中、ホルダ100は、略円形の穿孔反応容器カルーセル102と、流体入口104と、流体出口106とを含む。図10Cでは、ホルダ100が周囲壁108と共に示されている。
【0029】
上述したように、光源は、モジュール式であってもよい。図11Aにおいて、光源モジュール120は、3つの横方向光源を含む。図11Bにおいて、底部光源モジュール122は、7つの光源を含む。
【0030】
図12に示すように、第1の例示的な光化学システム200は、熱交換器214を介してヒータ冷却器ユニット212に連結された光化学装置210を含む。より具体的には、第1のポンプ216がヒータ冷却器ユニット212から熱交換器214に流体を送達する。第2のポンプ218は、熱交換器214から光化学装置210上の入口220に流体を送達する。光化学装置210から出た流体は、出口230から熱交換器214に出て、ヒータ冷却器ユニット212に戻る。
【0031】
図13に示すように、第2の例示的な光化学システム300は、熱電ヒートポンプ314を介してラジエータおよびファンユニット312に連結された光化学装置310を含む。より具体的には、第1のポンプ316が放熱器およびファンユニット312からの液体流体を熱電ヒートポンプ314に送る。第2のポンプ318は、熱電ヒートポンプ314からの流体を、光化学装置310上の注入口320に送達する。光化学装置310から出た流体は、出口330から熱電ヒートポンプ314に出て、放熱器およびファンユニット312に戻る。
【0032】
図14は、様々な反応ホルダ構成を示す。
【0033】
図15に示すように、例示的な500システムは、光反応器502と、サーモスタット流体のリザーバ(reservoir)504と、熱交換器506と、ヒータ/チラー(冷却器)ユニット508とを含む。光反応器502は、光反応器502へのサーモスタット流体の導入を可能にするための入口510および出口512を含む。
【0034】
上記で詳細に説明したように、光反応器502は、絶縁反応チャンバを取り囲む撹拌モジュールの上方の光源と、反応容器を収容するホルダとを含む。ホルダは反応容器間の光の均一な分布を可能にするように、絶縁反応チャンバ内に嵌合するように構成される。一実施形態では、光源の各々が独立して制御可能である。
【0035】
光反応器502の出口512は、ポンプ516およびサーモスタット流体のリザーバ504に連結された第1の三方弁514に連結されている。第1の三方弁514は、サーモスタット流体のリザーバ504または光反応器502の絶縁反応チャンバを空にするように構成される。
【0036】
ポンプ516は、サーモスタット流体のリザーバ504および熱交換器506に連結された第2の三方弁518に連結される。第2の三方弁518は、サーモスタット流体のリザーバ504または光反応器502の絶縁反応チャンバを充填するように構成される。
【0037】
一実施形態によると、注入口510は、流量制御装置520を介して熱交換器506に連結される。
【0038】
運用中、第1の三方弁514および第2の三方弁518は、光反応器502の絶縁反応チャンバからおよび絶縁反応チャンバへサーモスタット流体を循環させるように設定される。
【0039】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、図示の実施形態に様々な変更および修正を加えることができることを理解するのであろう。そのような修正および変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって限定されることを除いて、本発明の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】