(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】2枚の基板の接合および剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564851
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2020065012
(87)【国際公開番号】W WO2021239253
(87)【国際公開日】2021-12-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504359709
【氏名又は名称】エリッヒ・タールナー
【氏名又は名称原語表記】Erich Thallner
【住所又は居所原語表記】DI Erich Thallner Strasse 1, A-4782 St. Florian am Inn, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エリッヒ・タールナー
(57)【要約】
本発明は、製品基板とキャリア基板とを仮接合する方法、キャリア基板から製品基板を剥離する方法、対応する装置および基板スタックに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品基板(4,4’)とキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを仮接合する方法であって、前記方法は、
- 前記製品基板(4,4’)および/または前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)上に、メタライズされた仮接合層(2,2’)を生成する工程と、
- 前記メタライズされた仮接合層(2,2’)上で、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを接合する工程と
を少なくとも含む、方法。
【請求項2】
前記仮接合層(2)を全領域にわたって、特に前記製品基板(4,4’)上の保護層(3,3’)上に生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記仮接合層(2’)を部分的に、好ましくは前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)の高所(1’’e,1’’’e,1
IVe)上に生成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記製品基板(4,4’)および/または前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)上に前記メタライズされた仮接合層(2,2’)を生成する前に、前記製品基板(4,4’)に保護層(3,3’)を施与する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記接合を熱により実施する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)が、構造化された状態で形成されており、前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)が、高所(1’’e,1’’’e,1
IVe)およびキャビティ(1’’k,1’’’k,1
IVk)を有し、前記高所(1’’e,1’’’e,1
IVe)が、金属コンタクトを介して前記製品基板(4,4’)に安定的に接続されており、前記キャビティ(1’’k,1’’’k,1
IVk)が、前記高所(1’’e,1’’’e,1
IVe)間に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
製品基板(4,4’)とキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを含む、特に請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により製造された基板スタック(6,6’)であって、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とが、メタライズされた仮接合層(2,2’)によって接続されていることを特徴とする、基板スタック(6,6’)。
【請求項8】
特に請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により製品基板(4,4’)とキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを仮接合するための装置であって、
- 前記製品基板(4,4’)および/または前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)上に、メタライズされた仮接合層(2,2’)を生成することができ、
- 前記メタライズされた仮接合層(2,2’)上で、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを接合することができる、
装置。
【請求項9】
キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から製品基板(4,4’)を剥離する方法であって、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とがメタライズされた仮接合層(2,2’)によって接続されて、基板スタック(6,6’)を形成している方法において、前記方法は、
- 前記基板スタック(6,6’)を基板ホルダに取り付け、固定する工程と、
- 剥離放射線(5)、特にレーザービームを、前記キャリア基板を通過して前記メタライズされた仮接合層(2,2’)に集束させることにより、前記メタライズされた仮接合層(2,2’)を溶融、蒸発および/または昇華させる工程と、
- 前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から前記製品基板(4,4’)を分離する工程と
を少なくとも含む、方法。
【請求項10】
前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)の熱伝導率が、0.1W/(m・K)~5000W/(m・K)、好ましくは1W/(m・K)~2500W/(m・K)、さらにより好ましくは0.5W/(m・K)~1000W/(m・K)である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記基板スタック(6,6’)を、加熱部および/または冷却部により加熱および/または冷却する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記剥離放射線(5)を、前記メタライズされた仮接合層(2,2’)にパルス状に集束させる、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記メタライズされた仮接合層(2,2’)への前記剥離放射線(5)のエネルギー入力を測定し、前記剥離放射線(5)の放射出力を制御する、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から前記製品基板(4,4’)を分離する前に、溶融して蒸発したおよび/または昇華した前記メタライズされた仮接合層(2,2’)が、キャビティ(1k、1’k、1’’k,1’’’k,1
IVk)内で凝縮および凝固ならびに/または再昇華する、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
特に請求項9から14までのいずれか1項記載の方法によりキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から製品基板(4,4’)を剥離するための装置であって、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とがメタライズされた仮接合層(2,2’)によって接続されて、基板スタック(6,6’)を形成している装置において、
- 前記基板スタック(6,6’)を取り付け、固定するための基板ホルダと、
- 剥離放射線(5)、特にレーザービームを、前記キャリア基板を通過して前記メタライズされた仮接合層(2,2’)に集束させることにより、前記メタライズされた仮接合層(2,2’)を溶融、蒸発および/または昇華させるための放射線源と、
- 前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から前記製品基板(4,4’)を分離するための分離手段と
を少なくとも備えた、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の2枚の基板の接合および剥離方法、ならびに対応する基板スタックおよび対応する装置に関する。
【0002】
マイクロエレクトロニクスおよびマイクロシステム技術のほぼすべての部分において進む小型化によって、あらゆる技術の絶え間ない発展がもたらされ、こうした発展により、基板上のあらゆるタイプの機能素子の高密度化が可能となる。このような機能素子には、例えば、マイクロコントローラ、メモリーチップ、MEMS、あらゆるタイプのセンサ、またはマイクロ流体コンポーネントなどが含まれる。
【0003】
これらの機能素子の横方向の高密度化の技術は、近年、大幅に改善されている。マイクロエレクトロニクスやマイクロシステム技術の一部の分野では、機能素子の横方向のさらなる高密度化がもはや不可能なほどですらある。マイクロチップの製造ではすでに、リソグラフィーで製造すべき構造体の最大限達成可能な解像度の限界にほぼ達している。したがって数年後には、物理的または技術的な限界から、機能素子の横方向の高密度化はこれ以上不可能となる。この問題については、すでに数年前から2.5Dや3Dの技術開発により産業界が取り組んできた。これらの技術により、同一のまたはさらには異なる性質の機能素子同士を整列させ、上下に積み重ね、互いに恒久的に接続し、対応するストリップ導体によって互いにクロスリンクさせることが可能である。
【0004】
このような構造を実現するための重要な技術の1つが、仮接合である。仮接合とは、基板を破壊せずにその分離が可能となるように基板同士を接続する方法であると理解される。
【0005】
先行技術には、2枚の基板(製品基板およびキャリア基板)を剥離/分離する方法が複数存在する。ほとんどの方法では、2枚の基板を比較的容易に分離できるよう仮接着するために、いわゆる接合用接着剤が使用される。接合用接着剤は、主にポリマー、特に熱可塑性樹脂である。
【0006】
しかし、仮接合用接着剤としてのポリマーの使用は、特に洗浄用薬品による環境汚染や消耗材のコストゆえに不利であることが明らかになっている。さらに、ポリマー系の仮接合用接着剤にはいずれも、製品基板の他の加工温度に比べて耐熱性がはるかに低いという欠点がある。したがって、ポリマーによる仮接合は、製品基板の処理に技術的な制約をもたらす。
【0007】
したがって、本発明の課題は、先行技術で挙げられた欠点を少なくとも部分的に、特に完全に、解消することである。特に、本発明の課題は、改良された接合および剥離方法を規定することである。
【0008】
本発明の課題は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に規定される。本明細書、特許請求の範囲および/または図面に示された少なくとも2つの特徴のすべての組み合わせも、本発明の範囲に包含される。記載された値の範囲において、言及された限界の内側にある値も限界値として開示されているものとみなされ、任意の組み合わせで特許請求することが可能である。
【0009】
本発明は、製品基板とキャリア基板とを仮接合する方法であって、
- 製品基板および/またはキャリア基板上に、メタライズされた仮接合層を生成する工程と、
- メタライズされた仮接合層上で、製品基板とキャリア基板とを接合する工程と
を少なくとも含む方法に関する。
【0010】
本発明はさらに、製品基板とキャリア基板とを含む、特に本発明による方法を用いて製造された基板スタックであって、製品基板とキャリア基板とがメタライズされた仮接合層によって接続されている、基板スタックに関する。
【0011】
仮接合層は、好ましくは、本発明による接合あるいは剥離方法に使用される唯一の層である。これにより、接合のためのものと剥離のためのものとの通常は複数のポリマー層が重ねて使用される先行技術に勝るさらなる利点が生じる。
【0012】
本発明はさらに、特に前述の実施形態の少なくとも1つによる方法により製品基板とキャリア基板とを仮接合するための装置であって、
- 製品基板および/またはキャリア基板上に、メタライズされた仮接合層を生成することができ、
- メタライズされた仮接合層上で、製品基板とキャリア基板とを接合することができる、
装置に関する。
【0013】
以下、メタライズされた仮接合層を、メタライゼーションとも呼ぶ。
【0014】
メタライズされた仮接合層は、キャリア基板の直上および/または製品基板の直上に生成することができる。あるいは、メタライズされた仮接合層と製品基板との間に保護層が配置されていてもよい。
【0015】
保護層は、好ましくは、剥離放射線から製品基板を保護するために高い反射率を有する。
【0016】
したがって本発明によれば、仮接合層は、金属または金属合金からなる。
【0017】
好ましい一実施形態では、メタライゼーションの前に製品基板の基板表面に保護層を施与することが規定されている。
【0018】
別の好ましい一実施形態では、仮接合層を全領域にわたって、特に製品基板上の保護層上に生成することが規定されている。
【0019】
別の好ましい一実施形態では、仮接合層を部分的に、さらに好ましくはキャリア基板の高所上に生成することが規定されている。
【0020】
別の好ましい一実施形態では、製品基板および/またはキャリア基板上にメタライズされた仮接合層を生成する前に、製品基板に保護層を施与することが規定されている。
【0021】
別の好ましい一実施形態では、接合を熱により実施することが規定されている。
【0022】
別の好ましい一実施形態では、キャリア基板は、構造化された状態で形成されており、キャリア基板は、高所およびキャビティを有し、高所は、金属コンタクトを介して製品基板に安定的に接続されており、キャビティは、高所間に配置されていることが規定されている。
【0023】
さらに考えられる実施形態では、キャリア基板上にある層を設け、この層において構造化によってキャビティを生成する。
【0024】
例えば、フォトリソグラフィーやインプリントリソグラフィーにより容易に構造化可能なポリマーを施与することが考えられる。
【0025】
また、インプリントや構造化が容易でありながら、SiO2のように非常に強く硬化する接続を生成するために、ゾルゲルの使用も考えられる。
【0026】
このような層では、キャビティを特に容易に生成することができる。特に、このようなキャリアは、施与された層を洗浄により除去して非常に容易に再使用に供給することができる。キャビティに堆積された金属も、そのような洗浄によって極めて容易にまとめて除去される。
【0027】
キャビティは、任意の形状および任意の配置とすることができる。しかし、好ましくは、キャビティは、可能な限り単純な幾何学的形状を有し、規則正しく配置される。
【0028】
キャビティ壁の外形の特に好ましい形状は、
- 矩形、特に正方形
- 円形
- 楕円形
- 三角形
である。
【0029】
特に、三角形の形状は、(111)配向のシリコンウエハにエッチングにより非常に容易に生成することができる。
【0030】
キャビティは、好ましくは、二次元の、矩形、特に正方形の格子に沿って配置される。
【0031】
本発明による別の一実施形態では、キャビティは、二次元の、矩形、特に正方形の面心格子に沿って配置することができる。
【0032】
キャビティの総体積は、好ましくは、仮接合層の体積の10倍超、好ましくは100倍超、さらにより好ましくは1000倍超、非常に好ましくは10000倍超、最も好ましくは100000倍超である。このような値になる理由は、仮接合層が溶融して蒸発または昇華し、ガス体積が固体体積の数倍を占めるためである。
【0033】
キャビティの深さは、1nm~100μm、好ましくは10nm~50μm、さらにより好ましくは50nm~30μm、非常に好ましくは70nm~20μm、最も好ましくは100nm~10μmである。
【0034】
キャビティの横方向寸法(例えば、円形キャビティの直径、または矩形キャビティの辺長)は、10nm~5mm、好ましくは50nm~1mm、さらにより好ましくは100nm~500μm、非常に好ましくは500nm~100μm、最も好ましくは1μm~50μmである。
【0035】
接合後、少なくともキャリア基板と、メタライズされた仮接合層と、製品基板とからなる接合基板スタックを、さらに加工することができる。
【0036】
本発明はさらに、キャリア基板から製品基板を剥離する方法であって、製品基板とキャリア基板とがメタライズされた仮接合層によって接続されて、基板スタックを形成している方法において、
- 基板スタックを基板ホルダに取り付け、固定する工程と、
- 剥離放射線、特にレーザービームを、キャリア基板を通過してメタライズされた仮接合層に集束させることにより、メタライズされた仮接合層を溶融、蒸発および/または昇華させる工程と、
- キャリア基板から製品基板を分離する工程と
を少なくとも含む方法に関する。
【0037】
本発明はさらに、特に前述の実施形態の少なくとも1つによる方法によりキャリア基板から製品基板を剥離するための装置であって、製品基板とキャリア基板とがメタライズされた仮接合層によって接続されて、基板スタックを形成している装置において、
- 基板スタックを取り付け、固定するための基板ホルダと、
- 剥離放射線、特にレーザービームを、キャリア基板を通過してメタライズされた仮接合層に集束させることにより、メタライズされた仮接合層を溶融、蒸発および/または昇華させるための放射線源と、
- キャリア基板から製品基板を分離するための分離手段と
を少なくとも備えた、装置に関する。
【0038】
分離手段は、特に、例えばブレードのような機械的分離手段であってよい。
【0039】
本発明によるさらなる一実施形態では、分離手段は、ブレードの代わりに、2枚の基板間を押圧する流体流であってよい。
【0040】
本発明によるより好ましい一実施形態では、分離手段は基板ホルダであり、該基板ホルダに、製品基板およびキャリア基板が固定されている。本発明による第1の実施形態では、本発明による剥離が完全に行われた後に、特に基板表面に対して垂直な方向での、2つの基板ホルダの間の単純な相対移動が行われる。本発明による第2の実施形態では、2つの基板ホルダのうち少なくとも一方は、2枚の基板の分離が周縁部で始まるように、回転軸を中心として傾けられる。本発明による第3の実施形態では、基板ホルダのうち少なくとも一方は、傾けるだけでなく曲げることもできるように設計されている。この場合、基板ホルダは、好ましくは、可撓性の板である。その場合、2枚の基板のうちの一方、好ましくはキャリア基板は、可撓性の基板ホルダに固定された状態で、周縁部から始まって連続的に引き剥がされる。可撓性の基板ホルダの剛性により、リフトオフプロセスを非常に正確に制御することができる。
【0041】
本発明による、さほど好ましくないさらなる一実施形態では、分離手段は、その固定面または基板面に対して平行に変位可能な基板ホルダである。その場合、2枚の基板は、せん断プロセスによって互いに分離される。本実施形態は、先行技術において「スライドオフ」技術として知られており、特にポリマー系の接合用接着剤によって仮接合された基板において使用される。その場合、先行技術では、基板、したがって接合用接着剤は、せん断プロセスによって互いに分離できるようになるまで加熱装置によって加熱される。しかし、本発明による方法では、このせん断プロセスが破壊を生じることなく機能するのは、製品基板とキャリア基板との間に金属コンタクトが存在しないも同然であることが保証できる場合のみである。しかし、製品基板とキャリア基板との間に数個の金属コンタクトしか存在しない場合、せん断プロセスにより金属コンタクトの塑性変形が生じることができ、これにより、破壊のない分離が可能となる。
【0042】
特に、上記の分離手段を互いに組み合わせることができる。
【0043】
好ましくは、キャリア基板の熱伝導率が、0.1W/(m・K)~5000W/(m・K)、さらに好ましくは1W/(m・K)~2500W/(m・K)、さらにより好ましくは0.5W/(m・K)~1000W/(m・K)であることが規定されている。
【0044】
好ましくは、さらに、基板スタックを加熱部および/または冷却部により加熱および/または冷却することが規定されている。
【0045】
好ましくは、さらに、剥離放射線を、メタライズされた仮接合層にパルス状に集束させることが規定されている。
【0046】
好ましくは、さらに、メタライズされた仮接合層への剥離放射線のエネルギー入力を測定し、剥離放射線の放射出力を制御することが規定されている。
【0047】
好ましくは、さらに、少なくともキャリア基板は、剥離放射線に対して透明であることが規定されている。製品基板が剥離放射線に対して透明であることは、あり得なさそうではあるが、考えられる。
【0048】
好ましくは、さらに、キャリア基板から製品基板を分離する前に、溶融して蒸発したおよび/または昇華したメタライズされた仮接合層が、キャビティ内で凝縮および凝固ならびに/または再昇華することが規定されている。
【0049】
特に、局所的に加熱された金属蒸気は、キャリア基板の周囲のキャビティ内に吸収される。その場合、金属蒸気は、キャビティ内で再昇華することも、まず凝縮し、次いで凝固することも可能である。
【0050】
言い換えれば、仮接合層は、特にレーザー放射によって局所的に除去される。
【0051】
特に好ましいレーザーおよびその波長は、
- YAG(1.64μm)
- Ho:YLF(2.05μm)
- Ho:YAG(2.09μm)
- Cr:ZnS
である。
【0052】
さらなる任意の方法工程では、キャリア基板を再使用できるようにするために、キャリア基板を測定して、キャビティに堆積されたメタライゼーションを除去する必要があるか否かを確認することができる。その後、キャリア基板を他の製品基板の仮接合に使用することができる。
【0053】
キャリア基板
キャリア基板は、任意のあらゆる形状を有することができるが、好ましくは円形である。基板の直径は、特に工業的に標準化されている。ウエハの場合、工業的に標準的な直径は、1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、および18インチである。キャリア基板は、採用されたハンドリング技術が可能な限り簡単になるように、製品基板のサイズや形状に合わせたサイズや形状になっている。基板サイズが異なると、いわゆるブリッジツールが必要となり、1枚の基板サイズ用の装置やツールよりも複雑に構成される。
【0054】
しかし原理的には、本発明は、その直径に関係なく、あらゆる基板を取り扱うことができる。本発明による仮接合および剥離方法のキャリア基板は、ウエハとして実施されていてよい。好ましくは、キャリア基板は、ガラス基板である。
【0055】
本発明によれば、記載された仮接合方法を用いて非円形基板であるパネルを固定し、これを加工して、キャリア基板から分離することが考えられる。
【0056】
キャリア基板の材料は、半導体材料、特にシリコンであってよい。好ましくは、好都合な多結晶シリコンウエハをキャリア基板として使用することができる。本発明による特に好ましい一実施形態では、キャリア基板は、工業用ガラスから製造されたものである。
【0057】
キャリア基板は、好ましくは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:
- パーティクルフリー性および/または
- CMOS互換性および/または
- 機械的剛性および/または
- 製品基板に適合した、またはそれを上回る熱伝導性および/または
- 最高加工温度を超える耐熱性および/または
- 最高加工温度を超える熱安定性および/または
- ガス発生が最小限であり、好ましくは全く生じず、低蒸気圧とも表現することができ、結果として高真空適合性であること、および/または
- 製品基板に適合した熱膨張性および/または
- 剥離放射線に対する透明性。
【0058】
透明性は、透過放射線と入射放射線との比率を示す透過率によって表されることが望ましい。しかし、透過率は被透過体の厚さに依存するため、純粋に材料固有の特性ではない。したがって、透過率の値は、1cmの単位長さに対して示される。選択された1cmの厚さに対して、またそれぞれ選択された波長に対して、材料は特に、70%より大きい、好ましくは80%より大きい、さらにより好ましくは90%より大きい、非常に好ましくは95%より大きい、最も好ましくは99%より大きい透過率を有する。透明性は、特に好ましくは、剥離放射線の波長に関連する。
【0059】
キャリア基板の機能性については、その熱伝導率も同様に重要である。なぜならば、局所加熱としての剥離放射線の作用が迅速に放散することが望ましいためである。キャリア基板の熱伝導率は、好ましくは0.1W/(m・K)~5000W/(m・K)、さらに好ましくは1W/(m・K)~2500W/(m・K)、さらにより好ましくは0.5W/(m・K)~1000W/(m・K)である。
【0060】
キャリア基板の特に好ましい一実施形態では、キャリア基板は、構造化された状態で実施されている。キャリア基板は、金属コンタクトを介して製品基板に安定的に接続される高所と、高所間にチャネルまたはキャビティとして存在する低所とを含む。キャリア基板の性質に関する特徴的な因子として、支持面積割合、すなわちキャリア基板の総面積に対する高所の決定された面積の比率を決定することができる。キャリア基板の支持面積割合は、好ましくは80%未満、さらに好ましくは75%未満、特に好ましくは50%未満、非常に特に好ましくは25%未満、理想的な場合には10%未満である。しかし、基板スタックをモノリシック体としてさらに加工することができ、かつ望ましくない分離が生じないように、製品基板をキャリア基板に非常に堅固に接続させることができる。
【0061】
キャビティおよび高所を配置する際の思想は、効率的な保持と、キャリア基板からの製品基板の迅速かつ効率的な分離とを可能にすることにある。このために、製品基板との金属接続点の所定のパターンのみが存在し、面状のメタライゼーションは存在しないように、キャリア基板あるいはキャリア基板の高所を構造化する。
【0062】
あるいは、キャリア基板の別の一実施形態では、製品基板との金属仮接合を全領域にわたって生成することも考えられる。
【0063】
さらに、キャリア基板の例示的な一実施形態では、好ましくは、製品基板との金属仮接合が、特に完全に閉じた環状体でキャリア基板縁部の近傍にて生成され、キャリア基板のさらなる高所が(好ましくは、メタライズされた環状体の内側の面にわたって均一に)、金属コンタクトなしに点状および/または小領域状で製品基板を支持することが考えられる。
【0064】
すべての高所が製品基板と金属的に接触しているわけではなく、好ましくは単に基板スタックの周縁部に分布する所定の点でのみ接触していることが可能である。
【0065】
したがって本発明によれば、メタライゼーション領域の表面が、高所の非メタライゼーション領域の表面と共平面性であると、より有利である。本発明によればこれは、メタライゼーション自体を小さな低所で生成することによって容易に実施することができる。例えば、キャリアウエハの周縁部に完全な環状溝を生成することが考えられるであろう。その場合、本発明によれば、メタライゼーションはこの溝のみで生成され、一方で、製品基板を安定させ支持することを目的とする溝の内側の高所にはメタライゼーションが存在しない。中心部近傍の領域をメタライズしたままとしつつ溝のみをメタライズするための様々な方法工程については、本明細書ではこれ以上扱わない。当業者は、キャリア基板の内側部分をどのようにマスキングして保護できるかを知っている。
【0066】
キャリア基板のこのような構造により、分離時に、高所、特に点状の高所のそばの蒸発または液化した金属が低温のキャビティ内で凝縮および凝固ならびに/または再昇華することが可能となる。このようにして、仮接合層から材料が狙い通りに局所的に除去される。したがって、仮接合層が最終的に固相へと相転移したら、金属は新たにろう接および/または接合されない。したがって、その結果、すべての接合箇所を狙い通りに破壊した後、基板スタックを容易に分離することができる。
【0067】
キャリア基板の特に好ましい一実施形態では、高所は、全体厚みムラ(total thickness Variation)(TTV)と表される平坦度が、100μm未満、好ましくは10μm未満、より好ましくは1μm未満、非常に好ましくは100nm未満、最も好ましくは10nm未満、極めて好ましくは1nm未満である。このようにして、製品基板は、特に平坦さを保持することができる。
【0068】
キャリア基板の別の特に好ましい一実施形態では、高所は、反った個々の領域として実施されているため、キャリア基板と製品基板との間に好ましくは点状の接触が生じ、自己整列の形態のメタライゼーションが、好ましくは毛管作用により仮接合される金属コンタクトの面積を減少させることができる。
【0069】
さらに、キャリア基板を、メタライゼーションの前に部分的に金属をはじくように処理して、特に浸漬メタライゼーションによって所望の高所のみが濡れるようにすることが考えられる。
【0070】
有利に、キャリア基板の高所の個々の領域を、剥離放射線の直径に適合させることが考えられる。具体的な数値例として、特にレーザースポットサイズが直径30マイクロメートルの場合には、高所は、30マイクロメートル、好ましくは28マイクロメートル、特に好ましくは25マイクロメートルの直径を有する領域として実施されていてよい。
【0071】
一般的にこれは、基板スタックの分離時に迅速、効率的かつ高エネルギー的なエネルギー取込みを達成するために、高所が剥離スポットサイズの95%未満、好ましくは剥離スポットサイズの90%未満、特に好ましくは剥離スポットサイズの85%未満であることを意味する。
【0072】
仮接合方法
好ましくは、接合すべき基板表面に仮接合する前に、製品基板に保護層を施与することが考えられる。製品基板の保護層の形成は、仮接合のさらなる方法工程から場所的におよび/または時間的に離して実施することができる。
【0073】
好ましい一実施形態では、保護層は、メタライゼーションの拡散バリアとして、仮接合層から製品基板を保護することができる。
【0074】
さらなる好ましい一実施形態では、保護層は、特にキャビティの取り外し可能な充填および被覆によって、製品基板の構造化された基板表面を保護することができる。
【0075】
保護層のさらなる好ましい一実施形態では、保護層は、製品基板とメタライゼーションとの間の付着促進体として機能することができる。
【0076】
メタライゼーションは、接合すべき準備された基板表面に施与される。本方法の代替的一実施形態では、メタライゼーションは、保護層に施与される。
【0077】
本発明による方法の代替的一実施形態では、メタライゼーションをキャリア基板に施与することができる。
【0078】
有利に、低融点金属または合金、特に共晶合金を使用することができる。特に有利に、製品基板の施与されたメタライゼーションは、製品基板の構造内には浸透しないため、本方法は、いかなるドーピングやいかなる汚染も引き起こさない。
【0079】
さらなる好ましい一実施形態では、メタライゼーションは、メタライゼーションの拡散が製品基板に有害な影響を与えないように、さらなる加工で使用される永久接合層の金属または合金からなることができる。
【0080】
特に、CMOSと互換性のある金属および/または合金を使用することができる。
【0081】
特に、以下の化合物または元素がメタライゼーションに含まれていてよい:
- 金属、特にCu、Ag、Au、Al、Fe、Ni、Co、Pt、W、Cr、Pb、Ti、Ta、Zn、Sn
- 化合物、特に窒化物化合物、特にAlN、GaN、TiN、TaN。
【0082】
好ましくは、仮接合層用の金属および/または合金は、十分に低い溶融温度で加工に十分な強度を有する金属から選択される。
【0083】
合金としては、メタライゼーションとして共晶合金を使用することが特に有利である。
【0084】
共晶濃度を有する合金を使用する場合、共晶濃度は、メタライゼーションの製造時に生じることができ、また接合時に調整することもできる。共晶合金は、合金成分の変化により製造可能な考え得るすべての合金の中で融点が最も低いことを特徴とする。共晶温度、すなわち、液相が共晶の固相と平衡状態にある温度を超えることにより、共晶は完全に溶融する。生成された共晶濃度の液相は、互いに接合すべき2枚の基板のまだ液状化していない領域の表面を濡らす。そして、凝固過程でこの液相が凝固して共晶となり、2枚の基板間に仮接合層としての接続層を形成する。
【0085】
本発明によれば、メタライゼーションの製造時に製品基板に1つの合金成分を施与し、キャリア基板に1つの合金成分を施与することが特に考えられる。
【0086】
本発明によれば、製品基板に、合金成分としての異なる金属および/もしくは合金の層シーケンスとして、ならびに/または完全なメタライゼーションとして、メタライゼーションを施与することが特に考えられる。
【0087】
本発明によれば、本方法の代替的な一実施形態では特に、メタライゼーションを、キャリア基板に、合金成分の層シーケンスおよび/または完全なメタライゼーションとして施与することが可能である。
【0088】
特に留意すべきは、第3の方法工程を最適に実施できるようにするためには、生成された層、すなわち保護層および少なくとも1つのメタライゼーションが、室温および通常の雰囲気においていかなる劣化および/または腐食現象も示さないことが望ましいということである。あるいは、メタライズされた基板を、不活性雰囲気および/または真空中で保護した状態で保存することもできる。
【0089】
メタライゼーションの施与技術としては、めっき、蒸着、スパッタリング、化学蒸着(CVD)などの電気化学的堆積プロセスが特に適している。
【0090】
さらなる方法工程では、製品基板は、金属仮接合用の仮接合方法において、特に熱によりキャリア基板と一緒に接続される。本発明によれば、仮接合を真空接合チャンバ内で実施することが特に考えられる。
【0091】
好ましい一実施形態では、特に望ましくない拡散プロセスを遅延または好ましくは防止するために、仮接合方法の温度を、製品基板のさらなる加工温度よりも十分に低い温度とすることが可能である。
【0092】
本発明によれば、金属-金属接合の使用によって、特に有機残留物の粒子による基板の粒子負荷が低減されることが特に有利である。
【0093】
本発明によれば、溶融金属仮接合層がそれ自体に粒子を包接物として取り込むことが特に有利であり、それにより、より良好な接合品質を達成することができる。
【0094】
特に本発明によれば、金属-金属仮接合を遷移的液相(transient-Liquid-Phase)(TLP)接合として実施することが考えられる。
【0095】
特に本発明によれば、有利に、仮接合のためのメタライゼーションをキャリア基板に施与し、キャリア基板のメタライズされた基板表面と製品基板の保護層との間に仮接合が生じることが考えられる。
【0096】
特に本発明によれば、仮接合のためのメタライゼーションをキャリア基板に施与し、キャリア基板のメタライズされた基板表面と製品基板の接合すべき基板表面との間に仮接合が生じることも同様に考えられる。
【0097】
特に本発明によれば、使用した金属接合を、仮接合を生成するためのその後の熱処理を伴うハイブリッド接合方法と同様にフュージョン接合方法で互いに接続することが考えられる。フュージョン接合は、主に非金属-非有機材料の表面で生じる。この場合、製品基板およびキャリア基板の表面部分が特に互いに密接に接合していると、水素橋かけ結合を生じさせることができるため、特に基板は保護され、熱処理などのさらなる加工に輸送可能となる。フュージョン接合自体は、単に予備固定のためのものであり、互いに接続される金属領域を所定の位置に保持することができる。この予備固定は、先行技術では予備接合と呼ばれている。
【0098】
予備接合方法とは、2枚の基板をファンデルワールス力のみにより互いに接合するプロセスを表す。この接合プロセスは、主にシリコン基板および/または酸化シリコン基板間で行われる。このようにして生成された接合は、さらなる接続のための前段階であるため、予備接合と呼ばれる。半導体産業では、予備接合の後に、2枚の基板が互いに最適に配置されていない、またはさらには誤って配置されていることが判明した場合に、予備接合によって生成された(仮)接続を再び分離することが非常に頻繁に望まれる。予備接合によって互いに接続された2枚の基板を、通常は損傷することなく再び互いに分離することができる。
【0099】
言い換えれば、基板スタックの予備固定のために、製品基板とキャリア基板との間の非金属表面部分に予備接合としてフュージョン接合が生成される。
【0100】
その後、キャリア基板のメタライズされた面状の表面部分を、製品基板と互いに熱処理で金属的に仮接合することができる。
【0101】
製品基板とキャリア基板とのフュージョン接合のための本発明による方法は、例示的な一実施形態では以下の方法工程を有する:
例示的な方法の第1の方法工程では、製品基板および/またはキャリア基板の接合すべき表面を準備し、構造化する。
【0102】
第2の方法工程では、製品基板および/またはキャリア基板の接合すべき表面を、特にプラズマチャンバ内でプラズマ処理により活性化する。
【0103】
第3の方法工程では、接合すべき表面を特に純水で洗浄する。こうして、発生した粒子も同様に除去する。
【0104】
第4の方法工程では、製品基板およびキャリア基板を少なくとも純粋に機械的に互いに位置合わせする。
【0105】
第5の方法工程では、製品基板およびキャリア基板を互いに少なくとも一点で接触させ、接合波を発生させる。接合波の通過により、基板スタックを互いに予備接合する。
【0106】
第6の方法工程では、製品基板とキャリア基板とからなる基板スタックに熱処理を施して、金属-金属の仮接合を生成する。その際、予備接合の接合力(ファンデルワールス力)は、金属仮接合層の保持力より小さい。
【0107】
通常のハイブリッド接合技術とは異なり、本仮接合方法では、非金属基板表面部分の面状の永久接合は行われない。
【0108】
本明細書で規定する仮接合方法の基本的な思想は、少なくともキャリア基板と、金属仮接合層と、製品基板とからなる基板スタックを製造することである。
【0109】
言い換えれば、本開示の仮接合方法により基板スタックが製造され、その際、仮接合層は、金属または金属合金層であり、本発明による仮接合方法における仮接合層は、特に残留物なくパーティクルフリーで製品基板から除去することが可能である。さらなる利点は、基板スタックの基板が、ポリマー中間層を用いた場合よりも大きな加工力を吸収できることである。後述の分離方法によって、基板スタックを、わずかな力で、かつ/またはわずかな歪みで、かつ/またはわずかな応力で分離することができる。さらに、分離のために溶媒および/または薬品、換言すれば湿式化学を使用する必要がないことが有利である。
【0110】
したがって、このようにして基板スタックの一部として保護および支持された製品基板を、接着ポリマーで固定された基板スタックよりも簡便に、材料に優しく、かつコスト効率良くさらに処理することができる。
【0111】
剥離方法
キャリア基板を製品基板から分離するための方法は、例示的な一実施形態では、以下の工程を特に以下の順序で有する:
第1の方法工程では、仮接合された基板スタックを基板ホルダに取り付け、固定する。
【0112】
基板ホルダ、固定手段を有する。固定手段は、基板を固定する役割を果たす。固定手段は、
1. 機械的固定手段、特に
1.1. クランプ
2. 真空固定手段であって、特に
2.1. 個別に制御可能な真空トラック
2.2. 互いに接続された真空トラック
を有するもの、
電気的固定手段、特に
3.1. 静電固定手段
4. 磁気的固定手段
5. 接着剤による固定手段、特にゲルパックによる固定手段および/または
6. 接着性の、特に制御可能な表面を有する固定手段
であってよい。
【0113】
固定手段は、特に電子制御可能である。
【0114】
真空固定手段は、好ましい固定タイプである。真空固定手段は、好ましくは基板ホルダの表面で出る複数の真空トラックからなる。真空トラックは、好ましくは個別に制御可能である。技術的に実現可能な用途では、複数の真空トラックが一体化されて、個別に制御可能であり、したがって個別に排気または注水可能な真空トラックセグメントが形成される。しかし、各真空セグメントは、他の真空セグメントから独立している。このようにして、個別に制御可能な真空セグメントを構成する可能性が得られる。真空セグメントは、好ましくは環状である。これにより、基板、特に製品基板を基板ホルダから、特に内側から外側に向かって狙いどおりに半径方向に対称的に固定および/または分離することが可能となる。
【0115】
第2の方法工程では、少なくとも1つの波長を有する少なくとも1つのエネルギービーム束、特にレーザービームを、キャリア基板を通過して金属仮接合層に集束させることにより、仮接合層を溶融および蒸発または昇華させる。
【0116】
代替的な一実施形態では、仮接合層へのエネルギー入力のために、複数のビームを並行して導入することができる。
【0117】
好ましい一実施形態では、基板スタックを基板ホルダ上で所定の温度にし、冷却または加熱することができる。これにより特に、クラック形成のためのより大きな熱勾配を達成することができる。さらに、温度処理、特に冷却の利点は、剥離放射線のガス状生成物がより迅速に凝縮および/または再昇華し得ることである。
【0118】
金属仮接合層の相転移のためのエネルギー入力は、好ましくは、仮接合層にパルス状に導入される。これにより、基板スタックの望ましくない全体的な加熱が低減される。
【0119】
エネルギー入力は、特に、剥離放射線に対して少なくとも概ね透明であるキャリア基板を通過して、仮接合層に直接行われる。これにより、任意にドープされたおよび/または剥離放射線に対して不透明にメタライズされた製品基板をキャリア基板から分離することができる。
【0120】
本発明によれば、仮接合層への剥離放射線のエネルギー入力の際に、特に反射放射線を特に連続的に測定することが特に有利である。これにより、剥離装置の放射出力を、特にリアルタイムで制御することができる。さらに、反射放射線の量から、局所的な分離が起こったか否かを推論することができる。反射放射線の比率は、剥離プロセスの間に変化する。
【0121】
第3の方法工程では、特にキャリア基板のより深い周辺のキャビティ内の局所的に加熱された金属蒸気を再昇華あるいは凝縮および凝固させる。
【0122】
代替的な一実施形態では、キャリア基板のより深い周辺のキャビティにおいて局所的に加熱された金属蒸気が、まず凝縮し、次いで凝固することができる。
【0123】
言い換えれば、第3の方法工程では、パルスレーザービームによって仮接合層が局所的に除去される。
【0124】
その場合、キャリア基板は、金属蒸気が特に最適な流れでキャビティ内に搬送されるように設計され、したがって、再昇華または凝縮および凝固は、制御されたプロセスであり、物理的作用に委ねられているわけではない。
【0125】
これには、特に以下の能動的に調整可能なパラメータによって影響を及ぼすことができる:
- キャリア基板の設計(支持面積割合、キャビティの形状および位置、基板スタックのキャビティ内の圧力)および/または
- 剥離放射線のエネルギー入力(パラメータとしての、時間、波長、エネルギー密度、レーザースポットの面積)および/または
- 基板スタックの全体的な温度、および/またはキャリア基板上の高所にある剥離放射線により加熱されるスポットとキャビティの底部との間の温度勾配)。
【0126】
剥離工程に狙いどおりに影響を及ぼすために、本発明によれば、基板スタックの一方の側を冷却し、基板スタックの他方の側を加熱することが特に考えられる。特に、製品基板を加熱すると同時に、キャリア基板を特にドライアイス洗浄または液体窒素洗浄によって冷却することで、狙いどおりの凝縮および/または再昇華に局所的に影響を与えることができる。
【0127】
除去されたメタライゼーションは、特にキャリア基板のキャビティに埋め込まれる。
【0128】
特に、製品基板に施与された保護層は、再昇華または凝縮および凝固したメタライゼーションの一部を吸収することができる。
【0129】
第4の方法工程では、キャリア基板と製品基板とを互いに適切に分離する。
【0130】
第5の任意の方法工程では、キャリア基板を測定して、堆積されたメタライゼーションを除去すべきか否かを確認することができる。その後、キャリア基板を他の製品基板の仮接合に使用することができる。
【0131】
本方法は、装置内で自動化された様式で進行し得る。このために、各方法工程をレシピとして保存し、実施することができる。
【0132】
レシピは、機能的または方法技術的に関連するパラメータの最適化された値の集合体である。レシピを使用することで、生産工程の再現性を確保することができる。
【0133】
金属仮接合用装置
本発明による仮接合に使用される装置は、金属仮接合用の接合装置である。
【0134】
仮接合装置の機能的に重要な部品は、特にモジュール方式で以下のモジュールを含むことができる:
- 接合モジュール
- アライメントモジュール
- 洗浄モジュール
- 活性化モジュール
- メタライゼーションモジュール
- コーティングモジュール
- 移動装置および/または
- 特に圧縮空気、真空用の供給モジュール。
【0135】
本発明による仮接合方法は、接合モジュールで実施される。このために、基板を好ましくは基板ホルダに固定保持して熱により接合する。こうして、熱接合チャックと基板ホルダとの機能統合を行うことができる。
【0136】
本発明によれば、本発明による仮接合を永久接合装置により実施することが特に考えられる。
【0137】
仮接合のために、ハイブリッド接合と同様にアライメントモジュールにより予備接合を生成し、温度制御オーブンなどの接合モジュールにより、特にバッチプロセスで複数の基板スタックを同時に互いに金属的に接続することができる。
【0138】
製品基板とキャリア基板との間のアライメント精度は、機械的アライメント、または特に基板縁部の光学的アライメントにより生じ得る。場合によっては、基板および/または基板ホルダ上のアライメントマークを使用したアライメントも同様に可能である。
【0139】
製品基板とキャリア基板との間のアライメント精度は、基板の中心点および/または周縁部および/または存在するアライメントマークに対して、±150マイクロメートル未満、好ましくは±100マイクロメートル未満、特に好ましくは±50マイクロメートル未満、非常に特に好ましくは±25マイクロメートル未満、最適な場合には±10マイクロメートル未満、理想的には±1マイクロメートル未満である。
【0140】
本発明によれば、基板間に金属仮接合を生成できる接合装置を、金属永久接合にも同様に使用できることが特に有利である。
【0141】
金属仮接合用の仮接合装置では、特にキャリア基板の高所が製品基板の対応する領域と金属的に接合され、結果的に接続される。言い換えれば、金属仮接合層によって製品基板のさらなる加工のためにキャリア基板の高所を製品基板に接続する基板スタックが、仮接合装置で製造される。
【0142】
製品基板をキャリア基板に接合するのに必要な接合力は、いずれの基板サイズ、および/またはいずれのメタライゼーション、および/またはメタライズされたいずれの接合面が工業的に必要とされるかによって異なる。
【0143】
10N~100kN、好ましくは10kN~90kN、特に好ましくは30kN~80kNの接合力を用いることができる。この接合力を用いて、特に基板同士の良好な接触を得ることができる。金属接合には比較的高い接合力が有利であることが判明しており、その際、メタライゼーションの出発物質は、薄い自然酸化層を発生させることができ、この層は、接合力で破壊することができる。
【0144】
金属仮接合の剥離装置
本発明による剥離に使用される装置は、金属仮接合用の剥離装置である。
【0145】
金属仮接合用の剥離装置は、特にモジュール方式で構成することができる。剥離装置がモジュールを含まない個々の装置として構成されている場合、モジュールの名称は、個々の機能群および/またはコンポーネントの特徴とみなされる。
【0146】
特に、少なくとも以下のモジュールが剥離装置内に存在することができる:
- 剥離モジュール
- さらなるモジュール。
【0147】
さらなるモジュールは、以下のモジュールを含むことができる:
- 特に保護層を除去するための洗浄モジュール
- キャリア基板から過剰なメタライゼーションを除去するための洗浄モジュール
- キャリアフリップフロップ用モジュール、特に薄い製品基板を固定するためのテープまたはラミネートモジュール
- メタライゼーション用測定モジュールおよび/または
- 剥離モジュール用の独立したレーザーモジュール。
【0148】
本発明によれば、別個のレーザーモジュールにより剥離放射線を発生させ、「低温の」放射線のみを剥離モジュールに取り込むことが有利にも特に可能である。このようにして、装置内の付属熱源を低減することができる。レーザーモジュールは、レーザーモジュールの光学素子を適切に封止した上でクリーンルームのグレイルームに移動させることができ、その際、放射線源の適切な冷却を保証することができる。そのため、正確に空調されたクリーンルームは加熱されず、したがって、廃熱を装置からより良好に排出することができる。
【0149】
剥離モジュールの放射線源により、剥離放射線、特にレーザービームを発生させる。しかし、剥離放射線として電子ビームを使用することもできる。
【0150】
電磁放射線について、剥離放射線を生成するための、本発明による分離に使用可能な様々な電磁源の使用を開示する:
- マイクロ波源
- 赤外線源、特に中赤外線(MIR)を放射する赤外線源
- 可視光放射源
- 紫外線源および/または
- X線源。
【0151】
特に金属接続層の崩壊、非常に好ましくは昇華による製品基板からのキャリア基板の本発明による分離を電磁波により生じさせるのに適した線源が特に考えられる。
【0152】
また本発明によるさらなる一態様は、金属が赤外線に対して非常に高い吸収能力を有することからなる。したがって、金属仮接合層は、赤外線レーザーによる破壊に非常によく適している。
【0153】
このような線源の電磁放射線は、インコヒーレントであってもコヒーレントであってもよい。コヒーレントな電磁放射線を放射する線源(レーザー)が好ましい。コヒーレントなマイクロ波放射線を放射するマイクロ波源は、メーザーと呼ばれる。
【0154】
本特許明細書の以下の文面において、コヒーレントとは、空間的および/または時間的なコヒーレンスを意味する。
【0155】
剥離放射線の波長は、10nm~10mm、好ましくは150nm~200マイクロメートル、特に好ましくは400nm~30マイクロメートル、非常に特に好ましくは1マイクロメートル~10マイクロメートルである。
【0156】
本発明によれば、金属仮接合層の最大吸光度と剥離放射線源の波長とが互いに調整されていると特に有利であり、それにより剥離が効果的に生じ得る。さらに本発明によれば、金属仮接合層の最大吸光度とキャリア基板の最大透過率と剥離放射線の波長とが、互いに調整されていると有利である。このために、当業者は、公知のランベルト・ベールの法則を用いることができる。
【0157】
本発明によれば、剥離放射線を使用しないが放射線源のスイッチが入り続けている場合、連続作動放射線源による剥離放射線を電気機械式チョッパおよび/またはミラーシステムで中断することができ、かつ/またはシンクに送ることが規定されている。
【0158】
LEDレーザーのような切り替え可能な放射源の場合、剥離放射線のパルス持続時間を電子的に制御および/または調整することが可能である。
【0159】
剥離放射線は、剥離装置内で、基板スタックの金属的に接続された領域に照射される。
【0160】
使用される電磁放射線の重要な物理パラメータの1つが、強度である。強度は、ワット単位で示される。電磁放射線の強度は、特に0.1ワット超、好ましくは1ワット超、さらにより好ましくは100ワット超、非常に好ましくは1000ワット超、最も好ましくは10キロワット超である。
【0161】
剥離装置において、強度プロファイル、すなわち剥離放射線の放射形態を通る方向に沿った強度の推移を、光学素子により任意に調整することができる。好ましい強度プロファイルは、
- ガウスプロファイル
- 矩形プロファイル
- 三角形プロファイルおよび/または
- 楕円形プロファイル、特に円形プロファイル
である。
【0162】
基板スタック、特に仮接合層に連続的に放出可能な光出力、特に放射出力として測定されるレーザー出力は、特に少なくとも5W、好ましくは10W超、さらにより好ましくは15W超、非常に好ましくは17W超、最も好ましくは30W超である。
【0163】
レーザーの好ましい波長範囲は、100nm~10000nm、好ましくは250nm~1100nm、さらにより好ましくは270nm~430nm、非常に好ましくは280nm~380nmである。
【0164】
別の実施形態では、レーザーの好ましい波長範囲は、1000nm~10000nmである。
【0165】
特に好ましい一実施形態では、レーザーの波長は、周波数変換器、特に音響光学変調器、特にブラッグセルによって調整および/またはフィルタリング可能である。
【0166】
本装置のさらに好ましい一実施形態では、レーザービームは、1064nm、420nm、380nm、343nm、318nm、308nm、280nmの全体のうち少なくとも1つの波長を含む。
【0167】
特に、少なくとも2つの波長を有するレーザービームの使用は、仮接合層において特に光化学的処理と光熱的処理とを組み合わせたプロセスを生じさせ得るのに特に有利である。
【0168】
本装置の特に好ましい一実施形態では、放射線源はダイオードレーザーである。
【0169】
基板1枚当たりのレーザービームの総エネルギーは、特に0.01mJ~5000kJ、好ましくは0.1mJ~4000kJ、特に好ましくは100mJ~2000kJに設定される。
【0170】
レーザービームは、連続モードで動作させることも、パルスで動作させることも可能である。
【0171】
パルス周波数は、特に0.1Hz~300MHz、好ましくは100Hz~500kHz、特に好ましくは10kHz~400kHz、非常に特に好ましくは100kHz~300kHzに設定される。
【0172】
基板スタック1つ当たりのパルス数は、必要な総エネルギーに応じて、好ましくは100万パルス超、好ましくは300万パルス超、特に好ましくは500万パルス超、非常に特に好ましくは600万パルスである。
【0173】
パルス照射1回当たりに基板スタックに向けられるエネルギーは、特に0.1nJ~1J、好ましくは1nJ~900μJ、特に好ましくは10nJ~500μJに設定される。
【0174】
パルス1回当たりの照射面積は、特に1μm2~100000μm2、好ましくは10000μm2~50000μm2、特に好ましくは1000μm2~40000μm2、非常に特に好ましくは2500μm2~26000μm2である。
【0175】
照射面積の同義語は、当業者には、スポットサイズ、レーザースポットサイズとして知られている。
【0176】
より大きな領域の照射は、全領域にわたって、または走査工程によって行うことができる。仮接合層を有する領域が照射面積とほぼ同じ大きさである場合には、単純な非走査式の照射が行われる。仮接合層を有する領域が照射面積より大きい場合には、好ましくは走査照射が行われる。
【0177】
照射領域の形状は、特に円形であり、他の好ましい一実施形態では楕円形であり、特に好ましい実施形態では矩形である。
【0178】
剥離放射線は、好ましくは集束可能である。焦点位置を変えることができる長さは、特に0.1mm超、好ましくは1mm超、さらにより好ましくは5mm超、非常に好ましくは10mm超、最も好ましくは20mm超である。
【0179】
本発明の好ましい一発展形態によれば、電磁剥離放射線に使用される線源のパルスモード操作が規定されている。強度および出力密度が比較的高いと、仮接合層から基板への熱伝導が生じ得る。このような熱伝導を可能な限り阻止するために、パルス電磁放射線を使用することが好ましい。パルス持続時間は、特に10秒未満、好ましくは1秒未満、さらにより好ましくは1マイクロ秒未満、非常に好ましくは1ナノ秒未満、最も好ましくは1ピコ秒未満である。
【0180】
剥離放射線のパルスモード操作の目的は、仮接合層の迅速で局所的な点状の加熱であり、これにより金属仮接合層を昇華させることが好ましく、まず溶融させてから次いで蒸気相に移行させることはさほど好ましくない。
【0181】
剥離放射線を制御することにより、温度プロファイル、特に温度勾配に影響を与えることができ、それにより、崩壊した仮接合層の再昇華あるいは凝縮および凝固が、目的に応じて位置的に局所的に定められる。
【0182】
したがって、剥離放射線の制御によって、仮接合層の再昇華あるいは凝縮および凝固も同様に定めることもできる。
【0183】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい実施例の以下の説明から、および図面により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【
図1】第1の実施形態での本発明による基板スタックの概略図を示す。
【
図2】剥離時の第2の実施形態での本発明による基板スタックの概略図を示す。
【
図3】a~cは、異なる実施形態でのキャリア基板の概略図を示す。
【0185】
図面において、同一の構成要素または同一の機能を有する構成要素は、同一の参照符号で示されている。いずれの図示も、表示の目的で拡大して示されている場合があるため、図面は、実際の実施形態の比率を示しているとは限らない。
【0186】
図1は、本発明による基板スタック6の概略図である。基板スタック6は、構造化されたキャリア基板1と、特に金属製の仮接合層2と、保護層3と、製品基板4とを備えている。
【0187】
本実施形態では、仮接合層2は、図示されている保護層3に全領域にわたってメタライゼーションとして施与され、この保護層3は、原子または分子の薄いバリア層であってよい。
【0188】
図2は、剥離時の本発明による別の基板スタック6’の概略図である。基板スタック6’の本実施形態では、メタライゼーション2’は、キャリア基板1’の高所1’eにのみ施与されているため、メタライゼーション2’は、仮接合層の目的とする部分領域のみを表している。言い換えれば、仮接合層2’は、島状に施与されている。保護層3’によって、製品基板4’と金属仮接合層2’とが分かれている。
【0189】
剥離放射線5は、キャリア基板1’を通過して、高所1’eに施与された仮接合層2’上の位置に当たる。
【0190】
キャリア基板1’の周辺のキャビティ1’kへの仮接合層2’の移動は、示されていない。剥離放射線5の収斂は、剥離放射線5の目標に応じた偏向と集束との双方を表している。
【0191】
図3aは、特に透明なキャリア基板1’’の本発明によるさらなる一実施形態を表す。キャリア基板1’’は、複数の高所1’’eを有し、これらの高所1’’eは、製品基板(図示せず)を支持できるとともに、仮接合層(図示せず)の接触箇所を形成している。
【0192】
高所1’’eは、加工力の均一な力吸収を可能にすることができるように、キャリア基板上に直線的にまたは格子状に、特に均一に分布させることができる。高所1’’eの間には、キャリア基板1’’のキャビティ1’’kが配置される。
【0193】
再昇華あるいは凝縮および凝固後の仮接合層の残渣の堆積は、図示されていない。
【0194】
図3bは、特に透明なキャリア基板1’’’の本発明による別の一実施形態を表す。キャリア基板1’’’は、複数の高所1’’’eを有し、これらの高所1’’’eは、製品基板(図示せず)を支持できるとともに、仮接合層(図示せず)の接触箇所を形成している。キャリア基板1’’’の本実施形態では、高所1’’’eは凸面を有するため、特に製品基板(図示せず)との点状の接触が可能となる。
図3aの実施形態と比較して、凸状の高所1’’’eの毛管作用により、仮接合層(図示せず)の有効面積は小さくなる。したがって、一方では、仮接合層によって材料の節約を達成することができる。他方では、支持面積の縮小により、効果的な剥離を達成することができる。
【0195】
図3cは、特に透明なキャリア基板1
IVの本発明によるさらなる一実施形態を表す。キャリア基板1
IVは、複数の高所1
IVeを有し、これらの高所1
IVeは、製品基板(図示せず)を支持できるとともに、仮接合層(図示せず)の接触箇所を形成している。キャリア基板の本実施形態1
IVでは、高所1
IVeは、点状である。これらは、キャビティ1
IVkによって囲まれている。本実施形態では、キャリア基板1
IV上の高所1
IVeの均一な分布が特に有利であり、他の実施形態3aおよび3bと比較した支持面積割合は、より小さくなり得る。
【符号の説明】
【0196】
1,1’,1’’,1’’’,1IV キャリア基板
1’’e,1’’’e,1IVe 高所
1’’k,1’’’k,1IVk キャビティ
2,2’ 仮接合層
3,3’ 保護層
4,4’ 製品基板
5 剥離放射線
6,6’ 基板スタック
【手続補正書】
【提出日】2022-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品基板(4,4’)とキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを仮接合する方法であって、前記方法は、
- 前記製品基板(4,4’)および/または前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)上に、メタライズされた仮接合層(2,2’)を生成する工程と、
- 前記メタライズされた仮接合層(2,2’)上で、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを接合する工程と
を少なくとも含
み、
前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV
)は、構造化された状態で形成されており、前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV
)は、高所(1’’e,1’’’e,1
IV
e)およびキャビティ(1’’k,1’’’k,1
IV
k)を有し、前記高所(1’’e,1’’’e,1
IV
e)は、金属コンタクトを介して前記製品基板(4,4’)に安定的に接続されており、前記キャビティ(1’’k,1’’’k,1
IV
k)は、前記高所(1’’e,1’’’e,1
IV
e)間に配置されている、方法。
【請求項2】
前記仮接合層(2)を全領域にわたって、特に前記製品基板(4,4’)上の保護層(3,3’)上に生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記仮接合層(2’)を部分的に、好ましくは前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)の高所(1’’e,1’’’e,1
IVe)上に生成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記製品基板(4,4’)および/または前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)上に前記メタライズされた仮接合層(2,2’)を生成する前に、前記製品基板(4,4’)に保護層(3,3’)を施与する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記接合を熱により実施する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
製品基板(4,4’)とキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを含む
、請求項1から
5までのいずれか1項記載の方法により製造された基板スタック(6,6’)であって、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とが、メタライズされた仮接合層(2,2’)によって接続されていることを特徴とする、基板スタック(6,6’)。
【請求項7】
請求項1から
5までのいずれか1項記載の方法により製品基板(4,4’)とキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを仮接合するための装置であって、
- 前記製品基板(4,4’)および/または前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)上に、メタライズされた仮接合層(2,2’)を生成することができ、
- 前記メタライズされた仮接合層(2,2’)上で、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とを接合することができる、
装置。
【請求項8】
キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から製品基板(4,4’)を剥離する方法であって、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法により前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とがメタライズされた仮接合層(2,2’)によって接続されて、基板スタック(6,6’)を形成している方法において、前記方法は、
- 前記基板スタック(6,6’)を基板ホルダに取り付け、固定する工程と、
- 剥離放射線(5)、特にレーザービームを、前記キャリア基板を通過して前記メタライズされた仮接合層(2,2’)に集束させることにより、前記メタライズされた仮接合層(2,2’)を溶融、蒸発および/または昇華させる工程と、
- 前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から前記製品基板(4,4’)を分離する工程と
を少なくとも含む、方法。
【請求項9】
前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)の熱伝導率が、0.1W/(m・K)~5000W/(m・K)、好ましくは1W/(m・K)~2500W/(m・K)、さらにより好ましくは0.5W/(m・K)~1000W/(m・K)である、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
前記基板スタック(6,6’)を、加熱部および/または冷却部により加熱および/または冷却する、請求項
8または
9記載の方法。
【請求項11】
前記剥離放射線(5)を、前記メタライズされた仮接合層(2,2’)にパルス状に集束させる、請求項
8から
10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記メタライズされた仮接合層(2,2’)への前記剥離放射線(5)のエネルギー入力を測定し、前記剥離放射線(5)の放射出力を制御する、請求項
8から
11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から前記製品基板(4,4’)を分離する前に、溶融して蒸発したおよび/または昇華した前記メタライズされた仮接合層(2,2’)が、キャビティ(1k、1’k、1’’k,1’’’k,1
IVk)内で凝縮および凝固ならびに/または再昇華する、請求項
8から
12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項
8から
13までのいずれか1項記載の方法によりキャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から製品基板(4,4’)を剥離するための装置であって、前記製品基板(4,4’)と前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)とがメタライズされた仮接合層(2,2’)によって接続されて、基板スタック(6,6’)を形成している装置において、
- 前記基板スタック(6,6’)を取り付け、固定するための基板ホルダと、
- 剥離放射線(5)、特にレーザービームを、前記キャリア基板を通過して前記メタライズされた仮接合層(2,2’)に集束させることにより、前記メタライズされた仮接合層(2,2’)を溶融、蒸発および/または昇華させるための放射線源と、
- 前記キャリア基板(1,1’,1’’,1’’’,1
IV)から前記製品基板(4,4’)を分離するための分離手段と
を少なくとも備えた、装置。
【国際調査報告】