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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】血管閉塞のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20230830BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230830BHJP
【FI】
A61B17/12
A61M25/10 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581437
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 CA2020050976
(87)【国際公開番号】W WO2022011446
(87)【国際公開日】2022-01-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520178353
【氏名又は名称】フロント ライン メディカル テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FRONT LINE MEDICAL TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】パレク、アシャ
(72)【発明者】
【氏名】パワー、アダム
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD54
4C160DD66
4C267AA06
4C267BB27
4C267CC08
(57)【要約】
【課題】患者の大動脈を閉塞するための閉塞アセンブリの提供。
【解決手段】閉塞アセンブリは、エラストマーバルーンエンベロープがそれぞれの端部に結合されている2つの別個の押出成形体の細長いシャフトを含む。支持ワイヤーが、細長いシャフトおよびバルーンエンベロープを通って延びている。シャフトの遠位端では、支持ワイヤーは、非外傷性Jチップを備えている。シャフトの近位端では、支持ワイヤーの近位端が近位ハブに固定され、アセンブリ全体に患者の血管系に進めるための十分な剛性を与えている。バルーンエンベロープは、逆ティアドロップ型または「アイスクリームコーン」型の形状にあらかじめ成形されており、完全に膨らんだ状態までその形状を維持することができる。バルーンが過度に膨張しても、周囲の血管に損傷を与えることなく、バルーンはサポートワイヤーに沿って遠位および近位に進む(長くなる)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の大動脈を閉塞するための閉塞アセンブリであって、
該閉塞アセンブリはバルーンエンベロープと細長いシャフトを備え、
前記バルーンエンベロープはエラストマー材料から構築され、該バルーンエンベロープは内部および外部を画定し、該バルーンエンベロープは成形されたままの状態を有し、該バルーンエンベロープは成形されたままの状態ではアイスクリームコーン形状を有し、該バルーンエンベロープは近位端と遠位端との間に延びる長手方向の長さを有するバルーンエンベロープであり、
前記バルーンエンベロープの近位端から円錐状近位肩セクションまで遠位に延在し、円錐状近位テーパーセクションが前記円錐状近位肩セクションから遠位に延在する、近位管状ネックと、
前記円錐状近位テーパーセクションから遠位に延び、その接合部を形成する、円錐台状遠位ブラントセクションと、
前記円錐台状遠位ブラントセクションから遠位管状ネックまで遠位に延び、前記遠位管状ネックが前記バルーンエンベロープの遠位端で終端している円錐状遠位肩セクションと、を備え、
前記円錐台状遠位ブラントセクションと前記円錐状近位テーパーセクションとの間の接合部が子午線を画定し、成形されたままの状態において、前記バルーンエンベロープの子午線が前記バルーンエンベロープの隣接セクションよりも大きな直径を有し、前記円錐状近位テーパーセクションが前記円錐台状遠位ブラントセクションよりも長い長手方向の長さを有しており、
前記細長いシャフトは、近位シャフト端、遠位シャフト端、およびその間に延びるシャフト長さを有し、該細長いシャフトは、
ワイヤー、第1の材料の近位シャフト領域、第2の材料の遠位シャフト領域、および、前記近位シャフト領域と前記遠位シャフト領域との間に延在するバルーン取付領域を有し、
前記ワイヤーは、前記近位シャフト領域、前記バルーン取付領域、および、前記遠位シャフト領域を通って延びるワイヤー部分を有する、前記細長いシャフトの長さを延長するワイヤーであり、
前記近位シャフト領域は、前記近位シャフト端から前記バルーン取付領域まで延びる膨張ルーメンを画定し、前記近位シャフト領域を通って延びるワイヤーの部分は前記膨張ルーメン内に配置され、前記遠位シャフト領域を通って延びる前記ワイヤーの部分は前記遠位シャフト領域に付着して係合され、
前記バルーン取付領域は、成形された状態における前記バルーンエンベロープの長さよりも長い長さを有し、前記バルーン取付領域の長さは、前記近位シャフト領域の遠位端に位置する近位結合領域から前記遠位シャフト領域の近位端に位置する遠位結合領域まで延びており、
前記バルーンエンベロープの近位端は前記近位結合領域に結合され、前記バルーンエンベロープの遠位端は前記遠位結合領域に結合され、
前記細長いシャフトに結合された前記バルーンエンベロープは、長手方向に伸ばされた状態を有し、前記バルーンエンベロープの長さは前記バルーン取付領域の長さに対応し、
前記バルーンエンベロープの内部は、前記膨張ルーメンと流体連結している、
ことを特徴とする閉塞アセンブリ。
【請求項2】
前記細長いシャフトに結合された前記バルーンエンベロープは、低膨張状態、部分的膨張状態、完全膨張状態、および過膨張状態からおよびそれらの間で膨張可能に移行し、
前記円錐状遠位肩セクションは円錐状遠位肩セクション容積を規定し、前記円錐状近位肩セクションは円錐状近位肩セクション容積を規定し、完全膨張状態では前記円錐状遠位肩セクション容積は部分的膨張状態の円錐状遠位肩セクション容積よりも小さく、完全膨張状態では前記円錐状近位肩セクション容積は部分的膨張状態の円錐状近位肩セクションの容積よりも大きい、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記部分的膨張状態では、前記子午線は第1の直径を有し、そして前記遠位シャフト端から第1の距離に位置し、前記完全膨張状態では、前記子午線は前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有し、そして前記遠位シャフト端から第2の距離に位置し、前記第2の距離は前記第1の距離より大きい、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記過膨張状態において、前記子午線は前記膨張状態と同じ直径を維持し、前記子午線は前記バルーンエンベロープの遠位端から第3の距離に位置し、該第3の距離は前記第2の距離より短い、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
第1の放射線不透過性マーカーおよび第2の放射線不透過性マーカーをさらに含み、前記第1の放射線不透過性マーカーは前記近位接合領域に対して遠位の位置で前記ワイヤーに係合し、前記第2の放射線不透過性マーカーは前記遠位接合領域に対して近位の位置で前記ワイヤーに係合する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
近位ハブをさらに備え、前記近位シャフト部分は前記ハブに係合し、そこから近位に延び、前記ハブは膨張ポートを画定し、該膨張ポートは前記膨張ルーメンと流体連結している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ワイヤーが近位チップを有し、該近位チップが前記ハブに固定的に係合される、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記細長いシャフトの長さが75cm以下である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記遠位シャフト領域は8cm以下の長さの遠位シャフト領域を有し、該遠位シャフト領域は前記遠位シャフト端に非外傷性Jチップを画定し、該非外傷性Jチップは5cm以下の長さを有する、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
Jチップストレートナーをさらに備え、該Jチップストレートナーは、ピールオフシャフトと、該ピールオフシャフトに取り付けられたユーザー係合タブとを備え、前記ピールオフシャフトは、前記非外傷性Jチップと前記バルーンエンベロープの遠位端との間の前記遠位シャフト領域の一部にスライド可能に係合し、取り外し可能に配置されている、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の材料および前記第2の材料が両方とも押出ポリエーテルブロックアミドであり、前記第1の材料が前記第2の材料とは異なる材料特性を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の材料がPEBAX(登録商標)であり、前記第2の材料がVESTAMIDE(登録商標)EVERGLIDE(登録商標)MEDであり、前記エラストマー材料がウレタンである、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
成形された状態の前記バルーンエンベロープの長手方向の長さは約70mmであり、前記子午線の直径は約8mmであり、前記遠位ネックが約2cmの長さであり、前記近位ネックが約10cmの長さであり、完全膨張状態において、前記子午線の直径は約20mmから約30mmの間にある、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
4Fr以下の動作直径を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
視覚マーカーをさらに備え、該視覚マーカーは前記近位シャフト領域の外面上の特定の領域に配置され、前記視覚マーカーのそれぞれは、該視覚マーカーの各々に対応する解剖学的ゾーンに配置されるために、前記バルーンエンベロープが大動脈内に前進しなければならない距離を示す、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記バルーンエンベロープのアイスクリームコーン形状が自己相似形状である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項17】
患者の大動脈を閉塞するための閉塞アセンブリであって、
バルーンエンベロープを備え、該バルーンエンベロープはシャフトに取り付けられ、そして第1の範囲の容積にわたって膨張するように適合されており、前記バルーンエンベロープは、前記第1の範囲の容積にわたって対応する範囲の自己相似形状を示す、閉塞アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、血管の一時的な閉塞のための閉塞装置の分野に関する。より具体的には、本開示は、独自の閉塞アセンブリによる大動脈の蘇生血管内バルーン閉塞(REBOA)およびそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
REBOA処置に利用される装置は、一般に、鼠径部から挿入されて大動脈に進められる閉塞カテーテルであり、バルーンなどの閉塞アセンブリは、大動脈を閉塞するために拡張され、それによってバルーンの下流にある臓器への血流が遮断または減少させ、バルーンの上または上流、特に心臓と脳への血流を増加させる。
【0003】
好ましくは、REBOA技術に使用されるカテーテルは、挿入時の合併症、特に動脈にアクセスする際の出血のリスクに関連する合併症を最小限に抑えるために、可能な限り低プロファイルにする必要がある。既知のREBOA装置は、7~12フレンチ(French)の比較的大きなイントロデューサシース(introducer sheaths)を介して挿入できるようなプロファイルを有している。プロファイルが低いと、動脈の小さなアクセスホールで十分であるため、装置の挿入が容易になる。その結果、挿入のための大きなシースの必要性が減少するか、あるいは排除される可能性がある。さらに、アクセスホールが小さいとアクセス部位からの出血が減少するため、低プロファイルを有する装置の取り外しは出血のリスクも低減する可能性があり、これは戦場や緊急時のセッティングにおいて特に重要である。
【0004】
低プロファイルの装置に非外傷性チップ(atraumatic tip)を追加することで、最初に配置した血管内ガイドワイヤーを追跡する必要がなくなる。また、バルーンを膨らませて動脈を閉塞させる前に、バルーンが所定の位置にあることを確認するための透視やX線ガイダンスなどの画像診断が不要になるなどの利点もある。これは、専門家ユーザーや画像機器が利用できない可能性がある緊急時に特に有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
REBOA装置には、プロファイルを可能な限り縮小し、非外傷性挿入が可能で、最初に配置された血管内ワイヤーを追跡する必要がなく、病院で訓練を受けた医師から緊急時や戦場での第一対応者まで、様々な状況で使用できる閉塞アセンブリに対するニーズが残されている。私たちは、REBOA装置は、使用時には大動脈の適切な閉塞を確保するためにスムーズな移行膨張と収縮が可能であると同時に、大動脈のさまざまな程度の部分閉塞を提供してバルーンを通過した虚血組織への一過性の流れを可能にする必要があることを発見した。私たちはまた、バルーンや血管の破裂のリスクを減らしながらバルーンを過剰に膨らませることができれば、安全な使用が可能になり、緊急時の装着も容易になるため、望ましい場合もあることも発見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される閉塞アセンブリは、単一の装置で上述のニーズのすべてを満たす。
【0007】
従来のREBOA閉塞装置とは対照的に、本装置(デバイス)は、4フレンチ程度のより低プロファイルのイントロデューサシースを介して患者に挿入することができる。
【0008】
装置には、非外傷性チップをイントロデューサシースに簡単に挿入できるようにする、ピールオフ式のJチップストレートナー(J-tip straightener)を内蔵した非外傷性Jチップが含まれている。
【0009】
装置の主な構成要素は、細長いシャフトの一部とその中心ワイヤーを包む単一のエラストマー成形バルーンである。バルーンエンベロープ(balloon envelope)の近位で、細長いシャフトは、膨張ルーメン(inflation lumen)およびワイヤー位置決めルーメン(wire positioning lumen)としての二重の役割をする長手方向通路を画定する。バルーンエンベロープの遠位では、細長いシャフトがワイヤーに接着されている。バルーンエンベロープの形状は、バルーンエンベロープの両端を、2種類の押出ポリエーテルブロックアミド(PEBA)材料からなる細長いシャフトの取り付け領域上に伸張させて結合(bonding)することで変更される。細長いシャフトは、中央通路と流体連結(fluid communication)するバルーンエンベロープの内部に膨張出口ポート(inflation outlet port)を有する。中央通路は、シャフトの長さに沿って近位方向に膨張入口ポート(inflation inlet port)まで延びており、バルーンエンベロープを拡張するための膨張流体が、注射器または他の機構を介して注入され得る。
【0010】
バルーンエンベロープのサイズと形状はあらかじめ成形されている。これは、そのエラストマー構造と、それが細長いシャフトの取り付け領域に結合される方法とともに、非拡張状態(unexpanded state)と完全拡張状態(fully expanded state)に限定される以外のいくつかの動作モードまたは動作状態をバルーンエンベロープに提供する。
【0011】
従来の球状または丸みを帯びた閉塞バルーンとは対照的に、本明細書に開示されるタイプのバルーンエンベロープは、一般に「逆ティアドロップ」(reverse tear drop)または「アイスクリームコーン」(ice cream cone)形状を有する。動作状態の範囲にわたって膨張容積に依存しないバルーンエンベロープの形状の本質的な同一性は、本明細書では「自己相似形状」(self-similar shape)と呼ばれる。この一般的な形状は、膨張状態(inflation states)の全範囲にわたってほぼ維持される。いくつかの膨張量での形状の再現性により、バルーンエンベロープは、下行大動脈(descending aorta)が作動している状態で可変弁(variable valve)を形成できる。この特性は、膨張ルーメンの細いプロファイルと相まって、装置が2つの重要な医学的懸念に対処することを可能にする。第1に、装置が完全に膨張した状態から最小限の、または膨張していない状態に移行するときに、流れが急速に回復することによるショックの軽減である。ショックの軽減により、この装置は以前の装置よりもはるかに安全に使用できる。第2に、中間の膨張値で操作できるため、医師は、バルーンの遠位側で限定的で制御された灌流を制御して臓器をサポートできるため、この装置を使用して患者を治療できる時間を延長できる。これは、緊急時と臨床現場の両方でメリットがあり、「オン」と「オフ」のフロー状態のみを提供する従来の装置とは対照的に、装置の有用性を大きく向上させる。
【0012】
本装置のバルーンエンベロープは、通常の「完全膨張」状態よりも安全に過膨張させることもできる。これにより、従来のREBOA装置よりもさらに有用性が高まる。従来のREBOA装置によるバルーンエンベロープの過膨張は、バルーンエンベロープの損傷および/または大動脈の破裂の素因となる可能性がある。大動脈内のバルーンエンベロープを過膨張させる能力は、本装置の重要な安全機能であり、使用者に膨張容積のより大きなウィンドウを許し、膨張の全体的なリスクを低減させることができる。大動脈腸骨分岐部(aorto-iliac bifurcation)などの逆Y字型(upside down Y-shaped)の血管分岐部でバルーンが過度に膨張すると、バルーンは基本的に、それ自体がより大きな血管に緩やかに引き込まれる。これにより、バルーンエンベロープが狭い腸骨動脈(iliac artery)を破裂させるリスクが軽減され、代わりにバルーンエンベロープが広い大動脈に緩やかに引き上げられるため、使いやすさと安全性が大幅に向上する。
【0013】
本閉塞装置のこれらおよび他の属性および実施形態は、添付の図面に示され、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、REBOA処置での使用における閉塞アセンブリの実施形態を示す人体解剖領域の図である。
図2図2は、使用前の閉塞装置の実施形態の側面図である。
図3図3は、線分Xに沿った、図2に示された実施形態の断面図である。
図4図4は、線分Yに沿った、図2に示された実施形態の断面図である。
図5図5は、線分Zに沿った、図2に示された実施形態の断面図である。
図6図6は、縦断面図で描かれた、図2に示される閉塞アセンブリのバルーンエンベロープおよび隣接するバルーン取り付け領域の拡大図である。
図7図7は、予め成形されたバルーンエンベロープを細長いシャフトに結合する前に示される、閉塞装置の一実施形態の遠位端部分の側面図である。
図8図8は、図7に示される閉塞装置の遠位端部分の縦断面図であるが、組み立てられた状態であり、バルーンエンベロープは非閉じ込め環境(unconfined environment)において、通常のまたは完全に膨張した状態まで膨張している。
図9図9は、バルーンエンベロープが完全に膨張した状態にあり、患者の大動脈を閉塞している、図8に示す実施形態の遠位端部分の縦断面図である。
図10図10は、バルーンエンベロープの初期膨張中を示す、図9に示される実施形態の遠位端部分の縦断面図である。
図11図11は、図10に示す実施形態の遠位端部分の縦断面図であり、バルーンエンベロープが部分的に膨張した状態で示されている。
図12図12は、図11に示す実施形態の遠位端部分の長手方向の断面図であり、バルーンエンベロープが過度に膨張した状態を示す図である。
図13図13は、図12に示す実施形態の遠位端部分の縦断面図であり、過膨張状態のバルーンが分岐部の側脈管内に遠位方向に引き込まれている。
図14図14は、完全に組み立てられた状態で示され、サイドアームシャフトアセンブリ、Jチップストレートナー、および膨張シリンジを備えた、図2に示される実施形態の側面図である。
図15図15は、図14に示される実施形態の遠位端の拡大斜視図である。
図16図16は、図15に示した実施形態を示し、Jチップストレートナーを部分的に剥がして、イントロデューサシース(図示せず)への挿入を容易にするために非外傷性チップを真っ直ぐにするやり方を示す。
図17図17は、実験観察と測定から作成されたグラフである。
図18図18は、実験観察と測定から作成されたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述したように、本発明の実施形態は、REBOA処置で使用するための閉塞アセンブリ10を対象としている。REBOA処置で使用され得るような閉塞アセンブリ10の実施形態の例が、図1に示されている。図示されているように、このアセンブリ10は、非外傷性Jチップ16の遠位シャフト端14で終端する細長いシャフト12を含む。Jチップ16の近位には、バルーンエンベロープ18が配置されている。シャフト12は、バルーンエンベロープ18の内部24と流体連結し、バルーンの遠位端でシールされる中央通路またはルーメン22を画定する。ルーメン22は、バルーンエンベロープ18から近位シャフト端28に位置する膨張ポート26まで延びる。膨張ポート26を通して膨張流体30がルーメン22に注入され、そして、シリンジ32または同等の機構を介してバルーンエンベロープ18に注入され得ることにより、バルーンエンベロープ18を拡張させ、大動脈102を閉塞させる。
【0016】
REBOA処置の間、閉塞装置10は、人間の患者100の大動脈102内の標的部位に進められる。閉塞装置10は、様々な異なる動脈経路を使用して大動脈100に挿入されてもよいが、示されている実施形態では、閉塞装置10は、最初に4Frイントロデューサーシース(図示せず)を介して大腿動脈104に挿入され、その後、大動脈分岐部106を越えて大動脈102に進入する。バルーンエンベロープ18が大動脈または他の分枝血管内の目標位置に到達すると、バルーンエンベロープ18は上述の方法で拡張される。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、バルーンエンベロープ18の適切な位置決めは、細長いシャフト12の外面に配置された1つまたは複数の視覚マーカー(visual marker)によって視覚的に推定することができる。このようなマーカー34は、バルーンエンベロープ18を所望の解剖学的領域またはゾーンに配置するために、細長いシャフト12の長さ、または細長いシャフトを大動脈102内に前進させなければならない距離に対応する。例えば、少なくとも1つの実施形態において、アセンブリは、バルーンエンベロープ18からマーカー34までの少なくとも40cmの長さ/距離に対応する視覚マーカー34を有し、これは、ほとんどの成人患者における最低腎動脈の接合部の上にバルーンエンベロープを配置することに対応する。
【0018】
アセンブリ10の実施形態は、特定の解剖学的位置決めのための適切な展開距離を示すために、任意の数の視覚マーカーを有することができる。少なくとも1つの実施形態では、細長いシャフトは2つの視覚マーカー34を有し、一方はバルーンエンベロープ18の中心から48cmの長さ/距離に対応し、他方はバルーンエンベロープ18の中心から28cmの長さに対応している。これらのマーカーの指定は、胸部大動脈のゾーン1と腎下大動脈のゾーン3に対応する。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、視覚マーカー34は、患者の使用前の検査に基づいてアセンブリ10に合わせてカスタマイズすることができる。
【0020】
図2を参照すると、使用前の閉塞アセンブリ10の実施形態が示されている。この図では、支持ワイヤー36の存在が示されている。支持ワイヤーまたはワイヤー36は、近位シャフト端28と遠位シャフト端14との間の細長いシャフト12の全長に延びる、0.03インチ(0.76mm)以下の直径を有する、ステンレス鋼または同等の材料のワイヤーである。少なくとも1つの実施形態では、ワイヤーは0.028インチ(0.71mm)の直径を有する。シャフト12およびワイヤー36の長さは、近位シャフト端28から遠位シャフト端14まで測定される。
【0021】
近位シャフト端28において、ハブ15が細長いシャフト12に係合される。ワイヤー36は、バルーンエンベロープ18と同様に、その近位端29がハブ15に埋め込まれるかまたは他の方法で固定されることによって、細長いシャフト12の他の構成要素(これらの構成要素は、以下でより詳細に特定および説明される)に対して所定の位置に保持される。ハブ15は、図1で参照される膨張ポート26も画定し、これは、細長いシャフト12の膨張ルーメン22と流体連結しており、シリンジ32または他の膨張装置が膨張ルーメン22とインターフェースし得る。
【0022】
アセンブリ10の反対側の端部で、ワイヤー36は非外傷性Jチップ16で終端している。Jチップ16は、遠位シャフト端14が、閉塞アセンブリ10が前進する血管を引っ掛けたり、その他の方法で傷つけないように、ワイヤー36に付与された約180~360度の5cmコイルまたはJカーブである。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、細長いシャフト12の長さは75cm以下である。少なくとも1つの実施形態では、細長いシャフトの長さは65cm以下である。アクセス部位が手首の橈骨動脈(radial artery)などの別の部位にある場合、細長いシャフトの長さは85cm以下である。小児患者のための別の実施形態では、細長いシャフトは45cm以下である。
【0024】
図2では、3つの断面基準線X、Y、およびZが、細長いシャフト12の長さに沿った異なる点にラベル付けされている。これらの断面は図3図4および図5に図示されており、バルーンエンベロープ18が細長いシャフト12の材料に接着(bonded)または溶着(welded)される態様が示されている。
【0025】
図3~6に示される実施形態では、バルーンエンベロープ18の細長いシャフト12への接着または溶着は、図示および説明の目的で、関連する構造が重なり合った係合状態で示されるが、関連する構造は代替的に、端から端まで(together end to end)接着または溶着され得ること(すなわち、突合せ溶接(butt welded)または接合(joined))が当業者には理解されるだろう。
【0026】
基準線X、YおよびZはまた、細長いシャフト12を構成する3つの構成要素領域に細長いシャフトを分割するのに有用である。近位シャフト端28から断面基準Zまで遠位に延び、細長いシャフト12は、近位シャフト領域38を備える。断面基準Xから遠位シャフト端14まで遠位に延び、細長いシャフト12は、遠位シャフト領域40を備える。近位シャフト領域38と遠位シャフト領域40との間(すなわち、断面基準Zと断面基準Xとの間)に延在する細長いシャフト12は、バルーン取付領域42を備えている。このバルーン取付領域42は、図6では直接見えているが、ここでは、バルーン取付領域42の上に取り付けられるバルーンエンベロープ18の存在により不明瞭である。
【0027】
次に、図3、4、および5に示された断面図に目を向けると、図3には、遠位結合領域(distal bonding region)44に対応する細長いシャフト12の断面が示されている。遠位結合領域44は、バルーン取付領域42の遠位端と、遠位方向に延びる遠位シャフト領域40の始まりとを示す。遠位シャフト領域40は、遠位結合領域44から非外傷性Jチップ16の終端48まで延びるワイヤー36の遠位部分上に押し出されるポリエーテルブロックアミド(PEBA)の層46を含む。バルーンエンベロープ18の遠位端50は、遠位シャフト領域40のPEBA層46の近位端52に接着または溶着されている。PEBA層46はワイヤー36に付着(adheres)し、したがって、バルーンエンベロープ18の遠位シャフト領域40および遠位端50の両方をワイヤー36にシールする。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、遠位シャフト領域40のPEBA層46は、Polymer Dynamix社によりVESTAMIDE(登録商標)EVERGLIDE(登録商標)MEDの商標名で販売されている潤滑形態のPEBAである。
【0029】
少なくとも1つの実施形態では、遠位シャフト領域40および対応する層46は、遠位結合領域44から非外傷性Jチップ16の末端48まで測定されるとき、8cm以下の長さを有する。
【0030】
図4をひとまずスキップして、ここで図5を参照すると、図5には、近位結合領域54の位置に対応する、細長いシャフト12の断面が描かれている。
【0031】
近位結合領域54は、バルーン取付領域42の近位端と、近位に延びる近位シャフト領域38の始まりとを示す。近位シャフト領域38は、近位結合領域54から近位シャフト端28まで延びるワイヤー36のその部分について配置されるポリエーテルブロックアミド(PEBA)のチューブ56を含む。チューブ56は膨張ルーメン22を画定し、これはワイヤー36が延びる通路として二重の役割を果たす。バルーンエンベロープ18の近位端58は、近位結合領域54でチューブ56の遠位端60に接着または溶着される。チューブ56の遠位端60は、バルーンエンベロープ18の内部24と流体連結する膨張ルーメン22の端に対応する。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、チューブ56は、PEBAX(登録商標)の商標で販売され、Compounding Solutions社によって製造されたPEBAの形態から製造される。
【0033】
ここで図4に戻ると、図4に示される断面は、バルーンエンベロープ18の作動部分のほぼ中間点に対応するアセンブリ10の断面である。図示されているように、バルーンエンベロープ18は、近位結合領域54と遠位結合領域44との間で、バルーンエンベロープ18の内部24を通過するむき出しのワイヤー36と共に、ワイヤー36の周りに配置される。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、バルーンエンベロープは、ウレタンなどのエラストマーポリマーから形成される。
【0035】
図7を参照すると、細長いシャフト12は、バルーンエンベロープが細長いシャフト12に取り付けられる前に、バルーンエンベロープ18に隣接して示されている。バルーンエンベロープ18は、成形されたままの状態で示されている。バルーンエンベロープ18は、作動部分がアイスクリームコーンまたは逆ティアドロップに類似した形状に成形されたエラストマー材料の連続エンベロープである。この形状には、バルーンとその性能特性を説明するのに役立ついくつかの識別可能な部分がある。近位端58から出発して、バルーンエンベロープ18は、近位ネック62を含み、これは、円錐状(conical)の近位肩セクション64に移行し、この肩セクションは、円錐状の近位テーパーセクション66に移行する。遠位端50から、バルーンエンベロープ18は遠位ネック68を含み、これは遠位肩セクション70に移行する。この肩セクションは、円錐台状(truncated conical)の遠位ブラント(blunt)セクション72に移行する。
【0036】
図示されているように、円錐状の近位テーパーセクション66と円錐台状の遠位ブラントセクション72は子午線74で交差し、子午線74は成形時の最大直径を有するバルーンエンベロープ18の領域をマークする。成形されたままの状態では、円錐状の近位テーパーセクション66は、遠位ブラントセクション72よりも長い縦方向の長さを有する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、成形された状態のバルーンエンベロープ18は、近位端58から遠位端50まで測定したときに約70mmの全長を有し、子午線74において約8mmの外径を有する。近位ネック62は約10cmの長さを有し、遠位ネック68は約2cmの長さを有し、両方とも約1.35mmの連続した外径を有する。
【0038】
図7に示されるように、バルーン取付領域42は、バルーンエンベロープ自体よりも長い長さを有する。したがって、バルーンエンベロープ18は、細長いシャフト12に取り付けるために縦方向に伸ばさなければならない。少なくとも1つの実施形態では、バルーン取付領域は、バルーンエンベロープ18よりも少なくとも2.5cm長い。
【0039】
バルーンエンベロープ18の寸法および形状は、細長いシャフト12の独特な構造と相まって、4FRという小さなイントロデューサシースを用いて患者に閉塞アセンブリを挿入することを可能にするだけでなく、バルーンエンベロープ18が複数の有用な膨張状態および独特な膨張特性を有することを可能にする。
【0040】
標準的なREBOAの使用の目的のために、バルーンエンベロープ18は、バルーンエンベロープ18が完全に膨張したとき、子午線74が、図8および図9に示される態様のように、最大直径を有するエンベロープ18の領域と対応するような、完全に膨らんだ状態を有している。このバルーンエンベロープ18の最も広い部分としての子午線の位置の関係は、図9の描写のようにエンベロープ18が大動脈102の範囲内で完全に膨張した状態に拡張され大動脈102に対して作用する血圧を受ける場合でも、また、図8の描写のように体外で完全に膨張した状態に拡張されている場合にも、一定である。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、バルーンエンベロープの完全膨張状態は、前述の方法でバルーンエンベロープの内部に10~15ccの膨張流体(例えば生理食塩水)を注入することによって達成される。完全に膨張したとき、子午線74は、約25~30mmの外径を有する。大動脈102内に配置され、図9に示す態様のように完全に膨張した状態まで膨張したとき、バルーンエンベロープ18の外面76は血管壁108と接触し、血流に対して完全な閉塞を提供する。
【0042】
上記に示唆したように、子午線74の位置は、様々な膨張状態において一定ではない。例えば、初期膨張中、すなわち図10に示されるような低膨張状態、または、図11に示されるような部分的膨張状態の間、子午線74は第1の直径を有し、遠位シャフト端14から第1の距離に配置される。しかし、バルーンエンベロープ18が図9に示される完全に膨張した状態に達すると、子午線74は他の状態よりも大きな直径を有し、遠位シャフト端14からさらに離れて移行する。
【0043】
バルーンエンベロープ18の他の側面も、同様に、拡張中に変化する。例えば、バルーンエンベロープ18が図11の部分的膨張状態から図9の完全膨張状態まで拡張されると、円錐状の遠位肩セクション70の容積は、完全膨張状態の円錐状遠位肩セクションの容積が部分的膨張状態の円錐状遠位肩セクションの容積より小さくなるように、減少する。一方、円錐状の近位肩セクション64では反対のことが起こる。バルーンエンベロープ18のそのセクションでは、バルーンエンベロープが膨張するにつれて容積が増し、完全に膨張した状態では、円錐状の近位肩セクションの容積が部分的に膨張した状態の円錐状の近位肩セクションの容積よりも大きくなる。
【0044】
膨張中、バルーンエンベロープ18が血圧によってますます作用を受けると、バルーンエンベロープ18はワイヤー36に沿って下方に(近位シャフト端の方向に)移動し、最終的に大動脈壁108を捕らえて完全に閉塞する。バルーンエンベロープ18が収縮し、血液がバルーン76の外面の周りを通過できるようになると、バルーンエンベロープ18は未移動の位置に戻り始める。
【0045】
バルーンエンベロープ18のオフセット性(offset nature)により、また、バルーンエンベロープ18がバルーン取付領域42に取り付けられる際に付与される伸縮性(上述のように少なくとも1つの実施形態では2.5cm)のために、膨張および収縮のプロセス中にバルーンエンベロープ18の一般的な形状が維持され、血流の微調整(滴定可能性(titratability))が可能となる。これは、カテーテルシャフトに固定され、伸張されない既知の球状バルーンとは対照的である。このようなバルーンは移動することができないため、血圧が作用するとバルーンの形状が大幅に変化する。そのようなバルーンは、性能の点でオン/オフスイッチのように機能し(すなわち、完全膨張時に完全に閉塞する前に感知できる閉塞効果がない)、本発明のバルーンエンベロープ18のように調整する能力を提供せず、本発明の装置10が提供するような収縮中に段階的に血流を徐々に再循環させる能力も備えていない。
【0046】
バルーンエンベロープ18および装置10が、段階的かつ漸進的な閉塞効果を提供する能力が、図17および図18に示されている。
【0047】
図17図18は合わせて考える必要がある。これらは、装置10の開発に使用した豚のモデル(porcine model)から生体内で取得したデータのプロットである。上述のように、従来技術では、閉塞バルーンは、完全に閉塞された状態か、装置を通過する完全な流れを許容する実質的に完全に収縮した状態のいずれかである。これとは対照的に、本発明の装置10は、完全閉塞の前および後にバルーンエンベロープ18を通過できる比例的な流れ(proportionate flow)を提供する。
【0048】
これは、大動脈を閉塞し、バルーンの遠位で平均動脈圧(MAP)を測定することによって実証される。測定されたMAPは、図17図18の両方でY軸に表示されている図17を参照すると、測定された圧力とバルーンエンベロープ容積との関係は、バルーンエンベロープから1ml未満をわずかに取り除いたところから4mlが取り除かれる点までの範囲において、ほぼ直線的であることに留意されたい。手順的には、これは、完全閉塞から完全収縮に近い状態までバルーンエンベロープの容積を減少させることに相当する。この線形性は、バルーンエンベロープ容積が徐々に減少するにつれて、臓器内の流れを駆動する圧力が緩やかに増加することを示すものである。
【0049】
図18では、同じ情報が、パーセントバルーンエンベロープ容積減少の関数として表されている。定性的には、これは、完全閉塞から最大流量までの全範囲にわたって、膨張量がMAPを制御していることを示している。バルーンエンベロープの自己相似形状属性(self-similar shape attribute)は、膨張容積の実質的に直線的な範囲にわたって維持される。このグラフ化されたデータは、バルーンエンベロープを通過する血流量が、バルーンの自己相似形状の範囲によって定義される動作範囲にわたって膨張量に比例することを示している。
【0050】
本発明のアセンブリ10のユニークな特徴は、バルーンエンベロープ18を、図12および図13に示されるような過膨張状態に安全に膨張させる能力である。完全に膨張した状態を超えて大動脈102内でバルーン18を過膨張させると、子午線74は完全に膨張した状態から直径がそれ以上増加せず、むしろ長手方向の長さが増し、子午線が大動脈壁108と交差する狭いバンドから、潜在的にバルーンエンベロープの外部表面76の大部分が大動脈壁108と接触している状態に移行することになる。これは、円錐状の近位テーパーセクション66および円錐台状の遠位ブラントセクション72によるさらなる伸張の結果ではなく、肩セクション64および70の拡張(growing)の結果として達成される。
【0051】
この子午線74の長手方向の拡大は、バルーンエンベロープ18の長手方向の前進/成長を伴い、過膨張状態では、子午線74は、完全膨張状態、部分的膨張状態、または低膨張状態よりも遠位シャフト端14に近づく。
【0052】
肩セクション64および70の「成長」(growth)を介してバルーンエンベロープ18を遠位に前進させる能力により、分岐部(bifurcation)での血管損傷を防止するという追加の利点がある。
【0053】
例えば、図13に示すように、バルーンエンベロープ18が逆さY字型の血管分岐部(大動脈腸骨分岐部)で過度に膨張させられると、バルーンはそれ自体をより大きな血管(大動脈)に緩やかに引き込み、小さな血管(腸骨動脈)の損傷を防止する。
【0054】
バルーンエンベロープ18のアイスクリームコーン形状はまた、バルーンのこの部分が分岐部の上にある限り、バルーンエンベロープ18の円錐台状の遠位ブラントセクション72のより広いアイスクリームコーンセクションを優先的に膨張させることによって、より大きな血管へのこの成長を促進する。
【0055】
いくつかの実施形態では、バルーンエンベロープ18は、完全に膨張した状態よりも容積で700%まで過膨張することがある。本アセンブリ10の重要な特徴は、本明細書に記載の方法で適切に使用された場合、過膨張の程度に関係なく、大動脈を損傷する前にバルーンエンベロープが破損することである。
【0056】
これまでに議論された特徴に加えて、本明細書に開示される閉塞アセンブリ10の実施形態は、REBOA処置中の安全性と使いやすさの両方に利益をもたらすいくつかの他の特徴を備えており、そのような実施形態の例が図14に示されている。
【0057】
示される実施形態では、アセンブリ10は、tバルブ80を介して細長いシャフト12の膨張ルーメン22と流体連結するサイドアームシャフトアセンブリ78を備える。サイドアームシャフトアセンブリ78は、膨張流体がルーメン22から出ることを可能にするために開閉することができるストップコックバルブ82を含み、シリンジ32がそれ自体で可能にし得るバルーンエンベロープの膨張および収縮のより優れた制御をユーザーに提供する。サイドアームアセンブリは、血圧モニターのインターフェースとしても機能する。
【0058】
本実施形態では、アセンブリ10はまた、バルーンエンベロープ18の遠位端50と非外傷性Jチップ16との間で、遠位シャフト領域40の一部にわたって予め搭載されているJチップストレートナー84を備える。
【0059】
Jチップストレートナー84は、図15および図16のより詳細な図に示されるように、ユニークな構造および役割を有する。Jチップストレートナーは、本質的に、遠位シャフト領域40の一部の周りに配置された中空の剥離シャフト(peel-off shaft)またはチューブ86である。アセンブリ10が使用可能な状態になると、ユーザーはJチップストレートナー84を非外傷性Jチップ16のコイル上およびその上にスライドさせ、Jチップストレートナー84のチップ16の上での閉じ込めと前進の結果として、一時的に真っ直ぐになる。非外傷性のJチップ16を一時的に真っ直ぐにすることにより、REBOA処置中のアセンブリの最初の挿入中に4Frイントロデューサ(図示せず)に容易にねじ込むことができる。
【0060】
操作をさらに容易にするために、Jチップストレートナー84は、剥離シャフト86から突出するユーザー係合タブまたはグリップ88を含み、ユーザーはこれをつかんで遠位方向に引っ張って、Jチップストレートナー84をJチップ16上により容易に前進させることができる。
【0061】
最後に、少なくともいくつかの実施形態では、細長いシャフト12には、図6~13に示されるような、少なくとも2つの放射線不透過性(RO)マーカー90および92が設けられる。図示のように、ROマーカー90および92は、アセンブリ10を利用するREBOA手順の実行中において、ワイヤー36上のバルーン取付領域42内の位置に配置され、視覚化機構(蛍光透視鏡など)を介して、患者内でバルーンエンベロープ18の位置を監視できるようにする。
【0062】
本発明の多くの特徴および利点は、上記の説明から明らかである。当業者には、多数の修正および変更が容易に想起されるであろう。このような変更が可能であるため、本発明は、図示および説明された構造および動作それのみには限定されない。むしろ、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0063】
本明細書で使用される「約」または「ほぼ」などの用語は、閉塞アセンブリ10の任意の態様またはその構成要素のいずれかに起因する測定値を説明するために使用される場合、このような用語は、当業者によって理解されるように所定の製造品またはその組立品の製造に固有の公差の範囲を反映するように提供されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】