(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】基板の化学及び/又は電解表面処理中に基板を保持するメッキフレーム装置
(51)【国際特許分類】
C25D 17/08 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
C25D17/08 G
C25D17/08 C
C25D17/08 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505745
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021061540
(87)【国際公開番号】W WO2022042892
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518264310
【氏名又は名称】セムシスコ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SEMSYSCO GmbH
【住所又は居所原語表記】Karolingerstrasse 7C 5020 Salzburg Republic of Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グライスナー
(72)【発明者】
【氏名】ウールリッヒ タスチンデルレ
(57)【要約】
本開示は、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキフレーム装置及び基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキフレーム装置の組立方法に関する。当該メッキフレーム装置は、前面板、背面板、及び真空装置を備える。前記前面板は、前面凹部を取り囲む前面フレーム部を含む。前記背面板は、背面フレーム部を含む。前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部は相互に接続されることで、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で前記基板を保持する。前記真空装置は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間での内圧を周辺圧力未満に減圧することで、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を取り付けるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキフレーム装置であって、
- 前面板、
- 背面板、及び
- 真空装置
を備え、
前記前面板は、前面凹部を取り囲む前面フレーム部を含み、
前記背面板は、背面フレーム部を含み、
前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部は相互に接続されることで、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で前記基板を保持し、
前記真空装置は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間での内圧を周辺圧力未満に減圧することで、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を取り付けるように構成される、
メッキフレーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のメッキフレーム装置であって、前記真空装置は、当該メッキフレーム装置内に配置された内部減圧源又は当該メッキフレーム装置外部に配置される外部減圧源に接続されるように構成される真空接続ラインを備える、メッキフレーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のメッキフレーム装置であって、前記背面フレーム部は背面凹部を取り囲む、メッキフレーム装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記基板と電気的につながるように前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部に配置される電気コンタクト部をさらに備える、メッキフレーム装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記電気コンタクト部は、前記前面フレーム部から前記前面凹部へ及び/又は前記背面フレーム部から前記背面凹部へ入り込むように延在する、メッキフレーム装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のメッキフレーム装置であって、前記電気コンタクト部は指形である、メッキフレーム装置。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、
前記電気コンタクト部は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部に設けられ、
前記前面フレーム部での前記電気コンタクト部は、前記背面フレーム部での前記電気コンタクト部に対してずれている、
メッキフレーム装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記電気コンタクト部はばねによる負荷を受ける、メッキフレーム装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を封止する封止部を前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部にさらに備える、メッキフレーム装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部が1つになった厚さは15mm以下である、メッキフレーム装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部は、降伏強度が500MPa以下で、電気伝導度が2×10
6S/m以上で、かつ/あるいは、熱気伝導度が65W/mK以上の材料で作られる、メッキフレーム装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部をロックするように前記前面板及び/又は前記背面板に配置されるロック装置をさらに備える、メッキフレーム装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記基板の無接触保持用のハンドリング装置をさらに備え、
前記ハンドリング装置は、当該メッキフレーム装置に対して前記基板を動かすように前記前面板及び/又は前記背面板に対して移動可能である、
メッキフレーム装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のメッキフレーム装置であって、前記基板の所定の保持部分に触れて保持するように構成されるハンドリングアームをさらに備え、
前記ハンドリングアームは、当該メッキフレーム装置に対して前記基板を移動させるように前記前面板及び/又は前記背面板に対して移動可能である、
メッキフレーム装置。
【請求項15】
基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキフレーム装置の組立方法であって、
- 前面凹部を取り囲む前面フレーム部を前面板に供する段階と、
- 背面フレーム部を背面板に供する段階と、
- 前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間に基板を挿入して、前記基板が前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で保持されるようにする段階と、
- 前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間の内圧を周辺圧力未満に減圧することで前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を取り付ける段階
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するためのメッキフレーム装置、並びに基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するためのメッキフレーム装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解メッキは、様々な産業、特に半導体関連産業において、表面又は表面の一部を金属化するために最も使用される技術の一つである。その理由は、電解メッキプロセスが単純であり、様々な種類の基板や様々なサイズの基板に対応できる拡張性があるためである。さらに、電解メッキや電解メッキは、作業コストが低いという利点もあり、基板のメタライゼーションに好ましい方法とされている。さらに、複数の基板を同時に処理することも可能である。
【0003】
電解メッキプロセスにおいて適切な膜質と均一性を達成するためには、通常は基板の表面全体にわたって電流密度を分布させるように1つ以上の伝導性シード層が既に存在している基板の1つ以上の表面への非常に良好な電気コンタクトを保証することが特に重要である。非常に良好な電気コンタクトは、電解メッキプロセス中に支持フレームとして機能するめっきフレームに電解メッキプロセス用の基板を取り付けることによって実現される。めっきフレームは、同時に、基板を搬入/搬出ステーションから電解めっきシステム及びプロセスシーケンスを経て、搬入/搬出ステーションに戻すためのハンドリングフレームとして機能する。めっきフレームは、複数の基板を同時に取り扱うように設計することも可能である。
【0004】
従来技術のめっきフレームは、上部及び下部ハーフフレームの2つのフレーム部品からなり、その間に機械的な力によって基板が挟まれる。フレーム部品は、電解メッキプロセスのためのシード層で準備された基板表面に電気コンタクトを押し付けている。フレームはクランプで固定されるものと、手動でネジ止めされるものがある。電気コンタクトが電解メッキされるのを避けるために、電気コンタクトの周りに封止リングを使用することもあり、その場合はドライコンタクトフレームと呼ばれる。また、電気コンタクトを電解質溶液から密閉しない、いわゆるウェットコンタクトフレームも存在する。
【0005】
従来技術のメッキフレームは、複雑な形状のクランプシステムを通じて基板の確実な固定を確保するために機械的な力を加えており、一般に、かなりの量のネジを手動で締め付ける必要がある。このような手作業による固定は、基板に不均質な力がかかることが多く、その結果、電気コンタクトが不安定になり、電解メッキプロセスも不均質になることがよくある。
【0006】
手動のネジ締めによる基板固定に必要な介入により、基板の完全自動搬入及び搬出は不可能であるか、複雑なロボットシステムの実装によってしかできない。
【0007】
このような複雑な形状のクランプシステムのもう一つの大きな欠点は、隅部、端部、ギャップが存在することで、電解メッキプロセス後の洗浄と乾燥が非常に困難で時間がかかることである。電解メッキプロセスを成功させるためには、すべての化学残留物を除去するための徹底した水洗いと、乾燥残留物を残さないための徹底した乾燥が不可欠である。
【0008】
ドライコンタクトフレームの場合、基板表面の大部分が電解メッキ液から遮断される。このため、基板上面の大きな面積が電気コンタクト形成のために消費され、デバイスを構成するために利用できる表面積が減少してしまう。より多くの表面積を機能的に利用できれば、電解メッキプロセスにとって大きなコストメリットとなる。
【0009】
また、封止リングを用いて電気コンタクトを保護するドライコンタクトフレームは、大型基板の自動搬入及び搬出に非常に問題があり、たいていの場合電気コンタクトが故障することが判明している。このような電気コンタクトの不良はすぐに発見されないことがほとんどで、電解メッキ工程後にしか検出されない。そのときには基板にはすでに誤ったプロセスが施されているため、その基板は高いコストで廃棄されなければならない。
【0010】
ウェットコンタクトフレームの場合、電気コンタクト又はピンは通常、非常に信頼性の高い電気コンタクトを提供するが、電解メッキプロセス中に厚くコーティングされることになる。電気コンタクトが厚くコーティングされると、時間の経過とともに表面の接触面積が大きくなり、その後に処理される基板のメッキのばらつきにつながる(接触面積が大きくなると、より大量の電流が流れる)。
【0011】
同時に、ウェットコンタクトフレームを使用した場合の電気コンタクト部は、基板の他の部分と比較して、基板表面に厚い金属層でメッキされる(過メッキ)傾向にある。デバイスの製造中に基板が電解メッキプロセスで何度も処理される場合(多くの場合、10回以上)、電気コンタクト部の金属層が著しく厚くなると、その後の基板の処理、例えばフォトレジスト層又は絶縁層若しくはパッシベーション層などの表面層のコーティング時に問題が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って基板の化学及び/又は電解表面処理中に基板を保持するメッキフレーム装置を改善する-特により均一な電解メッキプロセスを可能にする-必要があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の問題は独立請求項に記載の発明の対象によって解決される。他の実施形態は従属請求項に組み込まれる。以降で説明する本発明の態様もまた、基板の化学及び/又は電解表面処理中に基板を保持するメッキフレーム装置、並びに、基板の化学及び/又は電解表面処理中に基板を保持するメッキフレーム装置を組み立てる方法に適用され得ることに留意して欲しい。
【0014】
本開示によると、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキフレーム装置が提供される。当該メッキフレーム装置は、
- 前面板、
- 背面板、及び
- 真空装置
を備える。
【0015】
前記前面板は、前面凹部を取り囲む前面フレーム部を含む。
【0016】
前記背面板は、背面フレーム部を含む。任意で前記背面フレーム部は背面凹部を取り囲む。
【0017】
前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部は相互に接続されることで、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で前記基板を保持する。
【0018】
前記真空装置は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間での内圧を周辺圧力未満に減圧することで、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を取り付けるように構成される。
【0019】
前記前面板と前記背面板は共にメッキフレームを構成する。前記前面板と前記背面板の各々は凹部すなわち孔を取り囲むフレームを構成し得る。
【0020】
前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部は相互に接続される。これは、前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部が単に接しているだけで、互いに隣に位置して触れていると解され得る。前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部は相互に固定されない。
【0021】
前記内圧は、前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部によって形成及び取り囲まれるキャビティの内部での圧力と解され得る。
【0022】
前記周辺圧力は大気圧と解され得る。
【0023】
前記真空装置は、ポンプで特に吸引ポンプと解され得る。前記内圧と前記周辺圧力との差圧によって、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間に吸引力が生じ得る。前記吸引力によって、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で前記基板を機械的に保持及び電気的につながるように前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間での取り付けすなわち固定された接合が生じ得る。
【0024】
新たなメッキフレーム装置は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部が吸引力によって所定の位置に保持される湿式接触真空フレームと解され得る。前記吸引力によって、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で前記基板を保持する前記基板への機械的な力が生じ得る。換言すると、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部は、2部品フレームすなわち半フレームと解され得る。前記前面フレーム部と前記背面フレーム部は、従来用いられてきた機械的固定装置-たとえば基板を固定及び接触させるネジ-の代わりに減圧すなわち真空によって共に引かれる。
【0025】
前記新たなメッキフレーム装置は、優れた機械的安定性を有した状態-具体的には均一で境界の明確な力が前記基板に加えられる-で前記基板の固定を改善することを可能にする。この結果、特に前記基板の少なくとも前面及び/又は背面上において非常に信頼性のある電気コンタクトが実現され得て、その結果非常に均一な電解メッキが可能となる。前記新たなメッキフレーム装置は、大型基板の単純で、高速で、信頼性のある自動搬送及び搬出を可能にし得る一方で、手動搬入も依然として可能であることが好ましい。
【0026】
前記新たなメッキフレーム装置は、前記電気コンタクト上での電解メッキの副作用を除去又は少なくとも顕著に軽減し得る。その結果、以降で処理される基板の安定した電解メッキが可能となり得る。前記新たなメッキフレーム装置は、前記基板表面上での前記電気コンタクト領域内での過メッキを顕著に緩和又は減少させ得る。その結果、同一基板の後続プロセス中での安定した電解メッキが可能となり得る。前記新たなメッキフレーム装置は、電解メッキ中での遮蔽されたコンタクト領域を顕著に減少させ得る。その結果、より多くの基板領域が機能実現に用いるために残される。
【0027】
前記新たなメッキフレーム装置は、リンス及び乾燥時間を増大させることなく、並びに/又は、前記基板表面上-特に材料の隅、端部、及びギャップ-に乾燥残留物(水の汚れ等)を残すことなく、非常に容易に、効率的でかつ実効的にリンス及び乾燥し得る。
【0028】
ある実施形態では、前記真空装置は、前記メッキフレーム内に配置された内部減圧源を備える。前記内部減圧源はポンプで、好適には真空ポンプであり得る。前記内部減圧源は前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間に配置され得る。前記内部減圧源は前面板及び/又は背面板に取り付けられ得る。
【0029】
ある実施形態では、前記真空装置は、前記メッキフレーム外部に配置される外部減圧源に接続されるように構成される真空接続ラインを備える。これは、前記内部減圧源の代替又は追加であり得る。後者の場合、前記外部減圧源は、最初に前記減圧にするような寸法に形成され得る一方で、前記内部減圧源は、たとえば変更された条件又は圧力損失への前記減圧の調節専用の寸法に形成され得る。前記外部減圧源は、前記基板用の搬入/搬出ステーションに配置され得る。前記外部減圧源はポンプで、好適には真空ポンプであり得る。
【0030】
ある実施形態では、当該メッキフレーム装置は、前記基板と電気的につながるように前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部に配置される電気コンタクト部をさらに備える。前記電気コンタクト部は、前記基板を押し付ける電気コンタクトを含み得る。ある実施形態では、前記電気コンタクト部は、前記前面フレーム部から前記前面凹部へ入り込むように延在する。ある実施形態では、前記電気コンタクト部は、前記背面フレーム部から前記背面凹部へ入り込むように延在する。ある実施形態では、前記電気コンタクト部は指形である。このことは、前記電気コンタクト部が長手延長部を有し、前記長手延長部は該長手延長部に垂直な幅よりも長いことを意味する。さらに前記長手延長部及び/又は前記幅は好適には、前記長手延長部及び/又は前記幅の材料若しくは壁の厚さよりも長い。前記電気コンタクトは、(たとえばプラスチックで特に熱可塑性フルオロポリマーのようなポリマー(たとえばヘイラー(登録商標))で作られた)非伝導性コーティングを備える金属又は合金(たとえば銅の合金)で作られ得る。前記非伝導性コーティングは、前記基板に対して前記電気コンタクト部が直接接触する場所でのみ前記の伝導性金属又は合金を露出させる。前記電気コンタクト部上での過メッキを顕著に減少させるため、前記電気コンタクト部の形状は、コーティングの有無にかかわらず、解放電気コンタクト領域を前記基板表面と直接接触する部分のみに減らし得る。
【0031】
上述の設計は、前記基板の最小限しか電解液から遮蔽又は隠されないことを保証し得る。このため、前記基板表面のより多くが機能に使用するために残される。前記の延在する又は指形の電気コンタクト部の他の利点は、優れたリンス及び乾燥特性である。これは、前記基板の最小限しかリンス液体及び乾燥気体流から遮蔽又は隠されないためである。前記基板がリンスタンクから引き出されるときのリンス液のメニスカスに対する抵抗が最小限しかなく、隅部が隠れていないだけではなく乾燥気体に対する抵抗が最小限しかない。そのため、残される残留物のリスクは極端に低くなる。
【0032】
ある実施形態では、前記電気コンタクト部は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部に設けられる。前記前面フレーム部での前記電気コンタクト部は、前記背面フレーム部での前記電気コンタクト部に対してずれ得る。換言すると、前記前面フレーム部すなわち半フレーム上の前記電気コンタクト部すなわち指部と前記背面フレーム部すなわち半フレーム上の前記電気コンタクト部すなわち指部は、同一位置に位置合わせされておらず、互いにある距離だけ動かされる。具体的には、前記コンタクト部又は指部は、左から右へ、かつ上部から底部へオフセットされ得る。このような前記電気コンタクト部が変位して配置することによって、より均一な電解メッキが可能となり得る。
【0033】
前記前面フレーム部での前記の長手方向に延びるすなわち指形の電気コンタクト部は第1方向を有し得る。前記背面フレーム部での前記の指形の電気コンタクト部は第2方向を有し得る。前記方向は同一であってよいが好適には異なる。たとえば、前記前面フレーム部での前記の指形の電気コンタクト部及び前記背面フレーム部での前記の指形の電気コンタクト部が上から見て互いに交差するように、前記第1方向及び前記第2方向は交差する。前記方向は、それぞれのフレーム部分の端部との角度によって特徴づけられる。前記の指形の電気コンタクト部と対応するフレーム部の隣接する端部との間の角度は10°~80°の範囲であってよく、好適には20°~70°の範囲で、より好適には30°~70°の範囲であってよい。
【0034】
前記電気コンタクト部がずれた配置となることで、前記コンタクト領域内での前記の堆積された金属層を増大させることなく同一基板の複数の後続の処理を行うことが可能となり得る。これは、2つの後続の処理において最初に前記基板をひっくり返して、その後180°回転させるように前記基板を取り付けることによって実現され得る。このようにして、前記コンタクト領域内での平均的な過メッキは前記基板全体の端部にわたって平衡になっていく。たとえば後続の処理中に2,3以上のメッキフレームからなり、前記メッキフレームのすべては前記指部の配置だけ異なるような組が用いられる場合、電気コンタクト部は二度接触しない。この結果、前記基板の端部上での前記金属の堆積は究極的に滑らかになり得て、これにより機能性デバイス用に前記基板の大部分を用いることが可能となる。これは、消耗資材費用(COC)を削減させ、かつ、基板のみならず化学物質、電気、及び他の必要な資源の節約を可能にする。
【0035】
ある実施形態では、前記電気コンタクト部はばねによる負荷を受ける。前記電気コンタクトは、金属(たとえばAu)又は合金で作られてよく、かつ、プラスチック材料(たとえばPTFE)で作られた膜が、ばね負荷機能を実現するように実装され得る。前記のばねによる負荷を受けた電気コンタクト部は、ポゴピンと理解されてよく、プランジャ、バレル、及びばねを備えてよい。前記ピンに力が印加されるとき、前記ばねは圧縮され、前記プランジャは前記バレル内部へ移動する。前記バレルの形状は、前記プランジャを保持し、前記ピンが所定の位置にロックされないときに前記ばねが前記プランジャを押し出すのを止める。好適には、いかなる液体又は電解質も前記バレルに入り込んで前記ばねと接触しないように前記プランジャと前記バレルとの間には封止体又は膜が存在する。さもなければ前記液体又は電解質は、結晶化して前記ばねの運動を妨げることで、前記電気コンタクト部の運動をも妨げる。換言すれば、前記ばねの負荷は、液体も電解質も触れてはいけない領域へ液体又は電解質が漏れるのを防止し得る。優れた電気コンタクトが常に保証され、前記メッキフレームが前記基板と共に電解液に浸漬される前に自動的に試験され得る。ばねの負荷による力の構成及び設計は、各電気コンタクト部が前記基板に同一で一定の力をかけることで、一定の出力密度が前記電気コンタクト部から前記基板へ伝わることで均一の電解メッキを保証するようなものであり得る。
【0036】
ある実施形態では、前記メッキフレーム装置はさらに、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を封止する封止部を前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部に備える。前記封止部は、封止リングであってよいし、あるいは封止リングを含んでよい。前記封止部は前記電気コンタクトの周辺に配置され得る。前記封止部は、前記電気コンタクトが前記電解液にさらされて電解メッキされるのを防止し得る。
【0037】
従来の機械式固定装置-たとえばネジ-と比較した、減圧すなわち真空を利用して2部品すなわち半フレームとしての前記前面板と前記背面板を一つに保持する利点は、非常に均一で境界が明確であるため、加える力を小さくできることである。これにより、従来技術でステンレス鋼等を用いるのと比較して柔らかい材料を用いて前記メッキフレーム装置を構築することが可能となる。多くの柔らかい材料-たとえばAl又は多くの銅合金-の利点は、基本的な材料特性として熱伝導度と電気伝導度が非常に高いので、高い電流密度(最大400アンペア)が前記基板表面に到達することを可能にして、それにより顕著な速さでの堆積プロセスを可能にすることである。この結果、堆積装置あたりの基板処理能力が顕著に増大し、これにより装置の保有コストが顕著に減少して利益率が増大する。高い熱伝導度もまた、たとえば突然の局所的な非常に高い電流密度の場合での過熱を防止するための安全上の理由で有利である。多くの材料-たとえばステンレス鋼、Ti-Pt,Au,Pt,CuSn6,Ag,CuBe等-がこの設計によって、前記新しいメッキフレーム装置を構築するのに利用可能となる。
【0038】
上述したように、減圧すなわち真空を利用することで、従来用いられてきた機械式固定装置-たとえばネジ-と比較して、より均一つまりは小さな力で前記基板を保持することが可能となり得る。前記小さな力により、前記前面フレームと前記背面フレームで構成されるメッキフレームを従来技術よりも薄くして用いることが可能となり得る。ある実施形態では、前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部が接続される位置での前記メッキフレームの厚さは15mm以下で、好適には13mm以下である。一例では、前記前面フレーム部及び前記背面フレーム部が接続される位置での前記メッキフレームの厚さは5~15mmの範囲で、より好適には5~10mmの範囲である。前記の薄くなったメッキフレームは、従来技術と比較して前記基板を(たとえば高速メッキ)供給部へ顕著に近づけて設置することを可能にし得る。これによりメッキ速さはさらに増加しし得る。
【0039】
上で説明したように、減圧すなわち真空を利用することで、用いる力がより小さくなり得ることで、従来技術よりも柔らかい材料を用いることが可能となり得る。ある実施形態では、前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部は、降伏強度が500MPa以下の材料で作られる。前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部は、降伏強度が400MPa以下の材料で作られ得る。前記降伏強度は50~300MPaの範囲で、好適には50~200MPaの範囲で、より好適には50~100MPaの範囲であり得る。前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部は、従来用いられてきた鋼鉄よりも降伏強度の小さい材料で作られ得る。
【0040】
減圧すなわち真空を利用することで、用いる力がより小さくなり得ることで、従来技術よりも柔らかい及び/又は薄いメッキフレーム(前面フレーム及び背面フレーム共に)を用いることが可能となり得る。柔らかい及び/又は薄いメッキフレームは、従来技術に係る材料(例えば鋼鉄)よりも高い電気伝導度及び熱伝導度を有することで、より大きな電流密度を基板表面に到達させることを可能にして、これにより堆積プロセスを顕著に速くすることを可能にし得る。ある実施形態では、前記前面フレーム部及び/前記背面フレーム部は、20℃での電気伝導度が2×106S/m以上で、好適には20℃での電気伝導度が3×106S/m以上で、より好適には20℃での電気伝導度が4×106S/m以上の材料で作られる。ある実施形態では、前記前面フレーム部及び/前記背面フレーム部は、20℃での熱気伝導度が65W/mK以上で、好適には20℃での電気伝導度が150W/mK以上で、より好適には20℃での250W/mK以上の材料で作られる。前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部は、従来用いられてきた鋼鉄よりも大きな電気伝導度及び/又は熱伝導度を有する材料で作られ得る。
【0041】
ある実施形態では、前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部はポリマー材料等によってコーティングされる。前記コーティングはプラスチック-特に熱可塑性フルオロポリマー-で作られ得る。前記コーティングはヘイラー(登録商標)、ペルフルオロアルコキシアルカン等で作られ得る。前記コーティングは、前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部を化学侵襲から保護し得る。
【0042】
ある実施形態では、当該メッキフレーム装置は、前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部をロックするように前記前面板及び/又は前記背面板に配置されるロック装置をさらに備える。前記ロック装置は、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間での前記減圧による上述した第1ロック部に加えた第2ロック部と理解されてよい。換言すると、前記ロック装置は、前記減圧すなわち真空に加えて追加のロック機構を構成し得る。前記ロック装置は、前記減圧すなわち真空の不具合が生じた場合のバックアップになり得る。前記第1ロック部及び前記第2ロック部は共に好適には二重ロック機構を構成し得る。前記ロック装置又は前記第2ロック部は、減圧すなわち真空容器、(電)磁力、機械クランプ力、又は他の技術に基づいてよい。これは、前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間での前記減圧による前記第1ロック部が2つのフレーム装置を1つに保持するのに失敗した場合に前記基板を所定の位置に固定することができる。
【0043】
ある実施形態では、当該メッキフレーム装置はハンドリング装置をさらに備える。当該メッキフレーム装置と前記ハンドリング装置との組み合わせは、メッキフレームシステムとも理解され得る。前記ハンドリング装置又はベルヌーイ装置は、前記基板の無接触保持用に構成され得る。このことは前記ハンドリング装置又はベルヌーイ装置が、前記基板と接触することなく前記基板を保持し得ることを意味する。前記無接触保持は、前記基板に触ることなく、すなわち接触することなく前記基板を保持又は支持すると理解され得る。「無接触」及び「前記基板に触ることなく、すなわち接触することなく」は、本質的に無接触かつ本質的に前記基板に触ることなく、すなわち接触しないと理解され得る。前記基板の特定部分若しくは実用性を有する部分又は機能構造若しくは最大面積は触れられない。しかし前記基板は、該基板の(複数の)端部、(複数の)隅部、又は(複数の)特別に設計された(排他)領域若しくは(複数の)小領域では触れられてよい。前記ハンドリング装置は、受動的手段(たとえばピン)又は受動的手段(たとえばクランプ)によって前記基板に触れて保持し得る。その理由は、前記基板の表面と前記基板の表面上に設けられる前記機能構造を保護するためである。前記ハンドリング装置は前記基板を保持し得る。具体的には前記ハンドリング装置は、滑動体-たとえば横方向滑動体-に抗するように前記基板を固定し得る。前記ハンドリング装置はまた、曲面を有する基板を真っすぐに-前記曲面を有する基板をより均等又は平坦に-し得る。前記ハンドリング装置は、前記前面板及び前記背面板によって形成される前記メッキフレームに対して前記基板を移動させるように前記前面板及び前記背面板に対して移動可能であり得る。前記ハンドリング装置は、前記メッキフレーム内部-具体的には前記前面板及び前記背面板によって形成されるチャンバ内部-で前記基板を移動、ハンドリング、又は移送するように構成され得る。前記ハンドリング装置は、前記メッキフレーム及び/又は前記基板の長手延長部に対して垂直な前記メッキフレーム及び/又は前記基板の幅に沿った横(水平)方向に移動可能であり得る。前記ハンドリング装置は、前記メッキフレーム及び/又は前記基板の長手延長部に対して垂直な第1(X)横(水平)方向及び第2(Y)横(水平)方向に移動可能であり得る。
【0044】
ある実施形態では、当該メッキフレーム装置は、前記基板の所定の保持部分-たとえば前記基板表面上の所謂機能構造又は他の実用性を有する部分の外部の排他領域-内でのみ前記基板に触れて保持するように構成されるハンドリングアームをさらに備える。当該メッキフレーム装置と前記ハンドリング装置との組み合わせは、メッキフレームシステムとも理解され得る。前記基板の前記所定の保持部分は、前記基板の端部及び/又は隅部に配置され得る。前記ハンドリングアーム又はロボットアームは、たとえば真空エンドエフェクタ、磁気グリップ、機械クランプ等によって前記基板を保持し得る。前記ハンドリングアームは、前記メッキフレーム(前面板と背面板が1つになっている)に対して前記基板を移動させるように前記前面板及び/又は前記背面板に対して移動可能であり得る。前記ハンドリング装置は、前記メッキフレームへ入り込み及び/又はメッキフレームから外へ出るように-具体的には前記前面板及び前記背面板によって構成される開口チャンバへ入り込み及び/又は開口チャンバから外へ出るように-前記基板を移動、ハンドリング、並びに移送するのに用いられ得る。前記ハンドリングアームは、前記メッキフレーム及び/又は前記基板の前記長手延長部に沿った直線(垂直)方向に移動可能であり得る。
【0045】
前記ハンドリングアーム及び前記無接触ハンドリング装置の組み合わせは、前記基板の少なくとも適切な所定の保持部分(排他領域)にて前記基板をつかんで保持する前記ハンドリングアームによって前記基板を前記メッキフレーム(付近)へ運ぶように構成され得る。続いて前記ハンドリングアームは、前記基板を前記ハンドリング装置へ移行又は引き渡すように構成され得る。前記ハンドリング装置は、前記基板表面上の機能構造の領域内又は他の実用性を有する部分でも前記基板を無接触で保持し得る。前記ハンドリングアーム及び/又は前記ハンドリング装置は、前記前面板及び前記背面板によって構成される前記開口メッキフレームへ入り込むように前記基板を運ぶように構成され得る。前記ハンドリング装置は、前記メッキフレーム内部で前記基板を移動及び調節するように構成され得る。前記ハンドリング装置は、前記メッキフレームが印加された吸引力によって前記基板を保持するのに用いられるまで前記基板を保持するように構成され得る。その後前記ハンドリング装置は、前記基板を解放するように構成され得る。前記ハンドリング装置及びハンドリングアームは、該ハンドリング装置及びハンドリングアームの静止位置へ戻るように動かされ得る。
【0046】
換言すると、前記基板は最初に、該基板の前記所定の保持部分を保持する前記ハンドリングアームによって保持されて動かされ得る。続いて前記基板は、たとえば前記基板表面上の任意かつさらには機能部分又は実用性を有する部分で前記ハンドリング装置によってつかまれ得る。前記ハンドリング装置が前記基板を保持するとすぐに、前記保持アームは、前記所定の保持部分を解放し得る。前記ハンドリング装置は前記メッキフレームへ入り込むように前記基板を操作し得る。ここで前記基板の前記所定の保持部分は前記メッキフレームによってつかめられない。前記メッキフレームが前記基板を保持するとすぐに、前記ハンドリング装置は前記基板表面を解放し得る。その結果、前記基板は、前記基板表面上の機能構造及び他の実用性を有する部分を損傷することなくハンドリング及び操作され得る。
【0047】
ある実施形態では、当該メッキフレーム装置は、前記ハンドリング装置及び前記ハンドリングアーム並びに前記ハンドリング装置及び前記ハンドリングアームによる前記基板の固定及び/又は解放を制御する制御装置をさらに備える。前記制御装置は、前記メッキフレームによって前記基板の固定及び/又は解放を制御するように構成され得る。
【0048】
本開示によると、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキシステムが供される。当該メッキシステムは、上述のメッキフレーム装置と基板を備える。前記基板は、前記メッキフレーム装置の前面フレーム部と背面フレーム部との間で保持される。
【0049】
本開示によると、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持するメッキフレーム装置の組立方法も供される。前記メッキフレーム装置の組立方法は、以下の段階を有するが、必ずしもこの順序ではない。
- 前面凹部を取り囲む前面フレーム部を前面板に供する段階と、
- 背面フレーム部を背面板に供する段階と、
- 前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間に基板を挿入して、前記基板が前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間で保持されるようにする段階と、
- 前記前面フレーム部と前記背面フレーム部との間の内圧を周辺圧力未満に減圧することで前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を取り付ける段階
を有する。
【0050】
メッキフレーム装置を組み立てる新たな方法は、優れた機械的安定性を有する-具体的には特に均一で境界が明確な力が前記基板に加えられる-ように前記基板の固定が改善されたメッキフレーム装置の組み立てを可能にする。この結果、特に前記基板の少なくとも前面及び/又は背面上に非常に信頼性のある電気コンタクトが供され得る。これにより、組立後に非常に均一な電解メッキが可能となる。
【0051】
メッキフレーム装置を組み立てる新たな方法は、前記電気コンタクトへの電解メッキの副作用を除去又は少なくとも顕著に軽減し得る。これにより後で処理される基板の安定的な電解メッキが可能となり得る。
【0052】
メッキフレーム装置を組み立てる新たな方法は、リンス及び乾燥時間を増大させることなく及び/又は前記基板表面上-特に材料の隅部、端部、及びギャップ-に乾燥残留物(水の汚れ等)を残すことなく非常に容易で、効率的かつ実効的にリンスと乾燥を行うメッキフレーム装置の組み立てを可能にし得る。
【0053】
ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記メッキフレーム装置内部に配置される内部減圧源を供する段階を有する。ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記メッキフレーム外部に配置される外部減圧源に接続されるように構成される真空接続ラインを供する段階を有する。
【0054】
ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記基板と電気的につながるように電気コンタクト部を前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部に配置する段階を有する。前記電気コンタクト部は、前記基板上に押し付けられる電気コンタクトを含み得る。前記電気コンタクト部は、前記前面フレーム部から前記前面凹部へ延在し得る。前記電気コンタクト部は、前記背面フレーム部から前記背面凹部へ延在し得る。ある実施形態では、前記電気コンタクト部は指形である。前記前面フレーム部での前記電気コンタクト部は、前記背面フレーム部での前記電気コンタクト部に対してずれ得る。
【0055】
ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部を封止するように封止部を前記前面フレーム部及び/又は前記背面フレーム部に配置する段階を有する。
【0056】
ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記前記背面フレーム部に対して前記前面フレーム部をロックするように封止部を前記前面板及び/又は前記背面板に配置する段階を有する。
【0057】
ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、少なくとも前記基板の所定の保持部分と接触するハンドリングアームによって前記基板を当該メッキフレーム装置の近くで保持及び/又は近くに移動させる段階を有する。ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、たとえば前記基板表面上の任意で機能的又は実用性を有する部分と接触するハンドリング装置によって当該メッキフレーム内部で前記基板を保持及び/又は近くに移動させる段階を有する。ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記ハンドリング装置が前記基板を保持するとすぐに前記ハンドリングアーム及び前記所定の保持部分を解放する段階を有する。ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記メッキフレームによって好適には前記基板の前記所定の保持部分で前記基板を保持及び/又は前記基板に接触する段階を有する。ある実施形態では、ある実施形態では、メッキフレーム装置を組み立てる方法は、前記メッキフレームが前記板を保持するとすぐに前記ハンドリング装置を解放する段階を有する。
【0058】
独立請求項による装置及び方法は、特に従属請求項で定義されるような類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することが理解されるものとする。本開示の好ましい実施形態は、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせでもあり得ることがさらに理解されるものとする。
【0059】
本開示のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照することにより明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本開示の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して以降で説明する。
【
図1】基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための、本開示によるメッキ装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示している。
【
図2】基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための、本開示によるメッキフレーム装置の実施形態の詳細を概略的及び例示的に示す図である。
【
図3a】基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための本開示によるメッキ装置の一実施形態を上面図で概略的及び例示的に示している。
【
図3b】側面図において、同じメッキシステムを示す。
【
図4】基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための本開示によるメッキフレーム装置の一実施形態を概略的及び例示的に断面で示す図である。
【
図5】基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための、本開示によるメッキフレーム装置の一実施形態を概略的及び例示的に断面で示す図である。
【
図6】基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための、本開示によるメッキシステムの一実施形態を概略的及び例示的に示す図である。
【
図7】基板を非接触で保持するためのハンドリング装置又はベルヌーイ装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、基板30の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板30を保持するための、本開示によるメッキシステムの一実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
図1には、メッキシステムが分解図で示されている。メッキシステムは、基板30と、基板30の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板30を保持するための本開示によるメッキフレーム装置10を備える。メッキフレーム装置10は、前面板11と、背面板14と、真空装置17と、を備える。前面板11は、前面凹部13を囲む前面フレーム部12を含む。背面板14は、背面凹部16を取り囲む背面フレーム部15を含む。前面フレーム部12と背面フレーム部15とは、基板30を挟んで保持するように互いに連結されている。前面フレーム部12と背面フレーム部15とは、互いに固定されていない組立状態であり、互いに接触しているだけである。
【0062】
真空装置17は、前面フレーム部12と背面フレーム部15との間の内圧を周囲の圧力よりも低下させることで前面フレーム部12を背面フレーム部15に対して取り付けるように構成されている。真空装置17は、ここでは、少なくとも吸引ポンプである。内圧とは、前面フレーム部12と背面フレーム部15とで形成され、囲まれた空洞又はチャンバの内部の圧力である。周囲の圧力は、ここでは、大気圧である。
【0063】
真空装置17は、ここでは、メッキフレーム装置10内と背面板14とに配置された内部減圧源を含む。真空装置17は、ここでは、さらに、メッキフレーム装置10の外部に配置された外部減圧源(図示せず)に接続される真空接続ライン18を備える。
【0064】
基板30は、メッキフレーム装置10の前面フレーム部12と背面フレーム部15との間に挟持される。内圧と周囲圧力との圧力差により、前フレーム部12と背面フレーム部15との間に吸引力が生じる。そして、この吸引力により、前面フレーム部12が背面フレーム部15に対して装着され、基板30は前面フレーム部12と背面フレーム部15との間で機械的に保持されて電気的につながる。
【0065】
メッキフレーム装置10は、ここでは、電気コンタクトが電解液を受けて電解メッキされることを回避するように、背面フレーム部15に配置されて前面フレーム部12及び背面フレーム部15を互いに対して封止する封止体20を備える。封止体20は、ここでは2つの封止リングを含む。
【0066】
図2は、基板30の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板30を保持する本開示によるメッキフレーム装置10の一実施形態の詳細を模式的かつ例示的に示している。
図1及び
図2に示すように、メッキフレーム装置10は、前面フレーム部12及び背面フレーム部15に配置され、基板30に電気的につながる複数の電気コンタクト部19を備える。電気コンタクト部19は、前フレーム部12から前凹部13又は後凹部16に延びている。電気コンタクト部19は指形である。つまり電気コンタクト部19は、長手方向の延長部を有し、その長手方向の延長部に対して垂直な方向の幅よりも大きくなっている。前面フレーム部12に取り付けられた電気コンタクト部19の長手方向延長部は、背面フレーム部15に取り付けられた電気コンタクト部19の長手方向延長部に対して反対方向へ延在している。
図2の上面図で見ると、前フレーム部12に取り付けられた電気コンタクト部19は、背面フレーム部15に取り付けられた電気コンタクト部19と交差している。さらに、前面フレーム部12における電気コンタクト部19と、背面フレーム部15に取り付けられた電気コンタクト部19とは、同じ位置で起点とならず、互いに相対的にずれたりオフセットされたりしている。
【0067】
図3aは、基板30の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板30を保持する本開示によるメッキシステムの一実施形態の概略的かつ例示的な上面図を示し、
図3bは、同メッキシステムの側面図を示している。
図1と同様に、メッキシステムは、基板30と、メッキフレーム装置10とを備える。メッキフレーム装置10は、前面板11と、背面板14と、真空装置を備える。前面板11は、前面凹部13を囲む前面フレーム部12を含む。背面板14は、背面凹部16を取り囲む背面フレーム部15を含む。ここで真空装置は、メッキフレーム装置10の外部に配置された外部の減圧源(図示せず)に接続される真空接続ライン18を含む。
【0068】
前面フレーム部12と背面フレーム部15とは、組立状態において、互いに接触しているだけである。内圧と周囲圧力との圧力差は、前面フレーム部12と背面フレーム部15との間に吸引力をもたらす。そして、この吸引力により、前面フレーム部12が背面フレーム部15に対して固定的に取り付けられ、基板30が前面フレーム部12と背面フレーム部15との間で機械的に保持されて、電気的につながることができる。
【0069】
図4及び
図5は、基板の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板を保持するための本開示によるメッキフレーム装置10の一実施形態の概略的かつ例示的な断面を示している。電気コンタクト部19はバネ式である。
【0070】
図6は、基板30の化学的及び/又は電解的な表面処理において基板30を保持する本開示によるメッキシステムの一実施形態の概略的かつ例示的に示す全体立体図である。ここでのメッキシステムは、基板30の表面及び基板30の表面に設けられた機能構造を保護するために、基板30に触れることなく基板30を非接触で保持するためのハンドリング装置25又はベルヌーイ装置を備える。ハンドリング装置25は、メッキフレーム装置10の前面板11と背面板14とによって形成されるチャンバとして理解することができるメッキフレーム内で、基板30を搬送することができる。ハンドリング装置25は、ここでは、メッキフレーム装置10及び/又は基板30の長手方向延長線に垂直な幅に沿って、少なくとも1つの横方向(水平方向)に移動可能である。
【0071】
ここでのメッキシステムは、基板表面上の機能的構造又は他の実用性を有する部分の外側の基板30の所定の保持部分に基板30を接触させて保持するためのハンドリングアーム24をさらに備える。ハンドリングアーム又はロボットアームは、例えば真空エンドエフェクタ等によって基板30を保持することができる。ハンドリングアーム24は、前面板11及び/又は背面板14に対して移動可能であり、前面板11及び/又は背面板14に対して基板30を移動させることが可能である。ハンドリング装置25は、メッキフレーム装置10の前面板11と背面板14とによって形成されるチャンバとして理解することができるメッキフレームの中及び/又は外に基板30を搬送移動させることができる。ハンドリングアーム24は、ここでは、メッキフレーム装置10及び/又は基板30の長手方向延長線に沿って直線(垂直)方向に移動可能である。
【0072】
ハンドリングアーム24と非接触型ハンドリング装置25との組み合わせにより、基板30を適当な所定の保持部で把持して保持するハンドリングアーム24によって、基板30をメッキフレームの近傍に近づけることができる。その後、ハンドリングアーム24は、基板30をハンドリング装置25に移行させることができ、このハンドリング装置25は、基板表面の機能構造又は他の実用性を有する部分の領域でも基板30を非接触で保持することができる。ハンドリング装置25は、開口メッキフレーム内に基板30を挿入し、調整することができる。ハンドリング装置25は、メッキフレームが閉じられるまで基板30を保持して、基板30に加えられる吸引力によって基板30を保持し、その後、ハンドリング装置25を解放して開始位置又は静止位置に移動させることが可能である。
【0073】
図7は、基板の非接触保持のためのハンドリング装置25又はベルヌーイ装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示している。基板30は、ハンドリング装置25を通る空気圧A又は空気流によって提供される持ち上げ力L又は吸引力によって保持される。
【0074】
本開示の実施形態は、異なる発明の対象を参照して説明されていることに留意しなければならない。特に、一部の実施形態は、方法型クレームを参照して説明されるのに対し、他の実施形態は、装置型クレームを参照して説明される。しかし当業者は、上記及び以下の説明から、特に断らない限り、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に関連する特徴間の任意の組み合わせも、本願で開示されると考えられることを理解する。しかし、すべての特徴は、特徴の単純な合計以上の相乗効果を提供するように組み合わせることができる。
【0075】
本開示は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は、例示的又は例示的であるとみなされ、制限的ではないとみなされる。本開示は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の検討から、請求された開示を実施する当業者によって理解され、効果を発揮することができる。
【0076】
特許請求の範囲において、単語「含む(有する、備える)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞(”a”又は”an”)は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に再掲されている複数の項目の機能を果たすこともある。ある手段が相互に異なる従属請求項に再参照されているという事実だけで、これらの手段の組合せが有利に使用されないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】