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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】付加及び除去製造時の乾燥
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/64 20210101AFI20230830BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20230830BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20230830BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20230830BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230830BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230830BHJP
   B22F 10/66 20210101ALN20230830BHJP
【FI】
B22F10/64
B22F10/85
B22F12/90
B33Y40/20
B33Y80/00
B33Y10/00
B22F10/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506125
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021045928
(87)【国際公開番号】W WO2022036207
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,950
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518403322
【氏名又は名称】マントル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ティー コナー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー マッケイ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA09
4K018AA10
4K018AA13
4K018AA14
4K018AA19
4K018AA21
4K018AA24
4K018AA28
4K018AA33
4K018AA40
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA07
4K018BA08
4K018BA09
4K018BA13
4K018BA15
4K018BA17
4K018BA20
4K018CA44
4K018EA51
4K018FA01
4K018FA08
(57)【要約】
乾燥を含む変質ステップが、部品の付加製造のプロセスに取り入れられる。変質を実現するプロセス及びデバイスが記載される。製造のサイクルは、金属ペーストなどの原料を付加して部分的部品を形成することによって開始され、金属ペーストから溶媒を除去するなどの付加原料の変質が続き、加工などの操作ステップに適した変質済み部品を形成する。加工などの操作プロセスを含むことは、単一サイクルの製造プロセスを含む。1以上の上記サイクルは、金属ペースト原料の場合では、最終部品を形成する焼結などの更なる処理に適した完成部品を生成するプロセスを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完成物理部品を形成する方法であって、
第1のプロセスによって部品を付加製造するステップと、
変質プロセスを含む第2のプロセスによって前記部品を変質させて変質済み部品を生成する変質ステップと、
第3のプロセスによって前記変質済み部品を操作して操作済み部品を生成する操作ステップと、
前記付加製造するステップ、変質ステップ又は操作ステップの少なくとも1つを反復して前記完成物理部品を形成するステップと、
を備える完成物理部品を形成する方法。
【請求項2】
前記第1のプロセスは、堆積、印刷、噴射又はこれらの組合せをさらに、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項3】
前記第1のプロセスは、押出し、載置又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項4】
前記第2のプロセスは、前記部品の一部分を加熱することをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項5】
前記第2のプロセスは、除去、昇華、蒸発、乾燥、焼付け又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項6】
前記第2のプロセスは、前記部品を真空、加熱源又はこれらの組合せに曝露することをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項7】
前記第2のプロセスは、輻射加熱、対流加熱、分圧蒸発、伝導加熱又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項8】
前記第2のプロセスは、誘導加熱をさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項9】
前記第3のプロセスは、前記変質済み部品の一部分を除去することをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項10】
前記第3のプロセスは、粉砕、切削、アブレーション、すり潰し又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項11】
前記完成物理部品を二次作業に進めて最終物理部品を形成するステップをさらに備える請求項1に記載の物理部品を形成する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法によって形成された最終物理部品。
【請求項13】
変質プロセスを制御する方法であって、
第1の部品を評価して第1の測定結果を生成するステップと、
前記第1の測定結果を1以上の既知の基準と比較するステップと、
前記第1の測定結果と前記1以上の既知の基準との比較に基づいて前記変質プロセスのパラメータを調整するステップと、
を備える変質プロセスを制御する方法。
【請求項14】
前記第1の測定結果は、所定期間にわたる複数の測定値を備える、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項15】
前記第1の部品を評価するステップは、前記第1の部品の1以上の個別部分を評価することをさらに含む、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項16】
前記第1の測定結果は、前記第1の部品の前記1以上の個別部分から取得された1以上の測定値の比較結果である、請求項15に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項17】
第2の部品を評価して第2の測定結果を生成するステップをさらに備える請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項18】
前記第1の部品を評価して第1の測定結果を生成するステップ及び前記第2の部品を評価して第2の測定結果を生成するステップは、実質的に同時に完了する、請求項17に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項19】
前記第2の部品を評価するステップは、前記第1の部品を評価するのとは異なる測定を含む、請求項17に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項20】
前記第2の部品を評価するステップは、前記第2の部品に物理的に接触することをさらに含む、請求項17に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項21】
前記第1の部品を評価するステップは、ビルド材料の1以上の成分の濃度を測定することをさらに含む、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項22】
前記ビルド材料の1以上の成分は、蒸気を含む、請求項21に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項23】
前記ビルド材料の1以上の成分は、溶媒を含む、請求項21に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項24】
前記第1の部品を評価するステップは、前記第1の部品に物理的に接触することをさらに含む、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項25】
前記部品を評価するステップは、検知システムから信号を受信することをさらに含む、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項26】
前記検知システムは、赤外スペクトル及び可視スペクトルにおいて動作可能なカメラシステムである、請求項25に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項27】
前記検知システムは、個別のセンサである、請求項25に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項28】
前記1以上の既知の基準は、前記第1の部品の幾何形状に基づく、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項29】
前記第1の部品の前記幾何形状は、前記第1の部品のコンピュータ支援設計(CAD)モデルに基づく、請求項28に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項30】
前記1以上の既知の基準は、前記検知システムによる測定結果に基づく、請求項25に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項31】
前記測定結果は、前記第1の部品の1以上の個別温度又は温度マップである、請求項30に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項32】
前記1以上の既知の基準は、前記変質プロセスの較正に基づく、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項33】
前記パラメータを調整するステップは、部品の温度を調整することをさらに含む、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項34】
前記パラメータを調整するステップは、照射源、ガスポート、ビルド面又はこれらの組合せを調整することをさらに含む、請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項35】
前記測定結果と前記1以上の既知の基準との比較に基づいて前記変質プロセスを停止するステップをさらに備える請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項36】
前記第1の部品の底部を第1の温度に維持するステップと、
前記第1の部品の上部を第2の温度に維持するステップと、
をさらに備える請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項37】
前記第1の温度は前記第2の温度よりも低い、請求項36に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項38】
前記第2の温度は約0℃~約300℃である、請求項36に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項39】
前記第1の温度は約0℃~約150℃である、請求項36に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項40】
前記第1の部品を評価して第1の測定結果を生成するステップの前に、前記第1の部品の第1の部分を照射するステップ、前記第1の部品の第1の部分を加熱ガスに曝露するステップ又はこれらの組合せをさらに備える請求項13に記載の変質プロセスを制御する方法。
【請求項41】
完成物理部品を形成する方法であって、
第1のプロセスによって部品を付加製造するステップと、
変質プロセスを備える第2のプロセスによって前記部品を変質させて変質済み部品を生成する変質ステップと、
前記変質プロセスを制御するステップであって、
部品を評価して測定結果を生成するステップと、
前記測定結果を1以上の既知の基準と比較するステップと、
前記測定結果と前記1以上の既知の基準との比較に基づいて前記変質プロセスのパラメータを調整するステップと、
を備えるステップと、
第3のプロセスによって前記変質済み部品を操作して操作済み部品を生成する操作ステップと、
前記付加製造するステップ、変質ステップ又は操作ステップの少なくとも1つを反復して前記完成物理部品を形成するステップと、
を備える方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法によって形成された最終物理部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年8月14日出願の米国仮特許出願第63/065950号の利益を主張し、その開示の全体がここに参照により取り込まれる。
【0002】
本発明は、金属及び他の材料からなる複雑な部品を製造することに関する。
【背景技術】
【0003】
除去加工は、ビレットから材料を除去して、厳しい公差、最小の残留歪及び平滑な表面を有する部品を生成するが、単一部品での複雑さのレベルに限界がある。例えば、加工による除去製法は、冷却路又は空洞の閉ウェブコアなど、除去加工要素にアクセスできない内部構造を有する部品を生成することができない。部品が金属、ポリマー、セラミック及び複合材などの材料の焼結粉末ペースト若しくはフィラメントなどの原料の付加又は原料粉末床におけるレーザー焼結若しくはバインダー印刷によってビルドされる付加製法は、複雑な内部形状の部品の製造を可能とするが、(1)~(3)の一部又は全部を欠くものである。(1)厳しい公差:外部の溶媒除去及びバインダー洗浄時の収縮及び反りに起因する。(2)最小残留歪:その場での付加焼結中に蓄積される温度勾配による。(3)平滑な表面:個別の付加ステップの有限の空間サイズに起因する。付加製法には、迅速なプロトタイピング及び材料の無駄の削減などの他の利点がある。しかし、付加製法の不利益は、アニーリング及び加工などの後処理が必要となることが多い。
【0004】
付加製法及び除去加工の態様を組み合わせてハイブリッドプロセス及びプラットフォームとすることの価値が、認識されてきている。例えば、DMG MORIは、作業部品を脱チャックすることなしに付加及び除去ステップを交互に行うことを可能とする単一のプラットフォーム上の5軸フライス加工装置とハイブリッド化されたレーザー焼結金属粉末噴射装置を提供する。このハイブリッド手段は、平滑な仕上げ面を与えるが、焼結による高温が最終部品における高い残留応力及び反りをもたらし得る。
【0005】
開示の実施形態は、付加製法の全ての利点とともに、かつその周知の利点とともに除去製法によって、ただし、さらには、付加製法の上記に強調した不利益のいずれも有さず、付加的に製造する方法を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本教示の1以上の実施形態の幾つかの態様の基本的な理解を与えるために、以下に簡略な概要を提示する。この概要は、網羅的な概略でもなければ、本教示の重要な若しくは決定的な要素を特定するものでもなければ、本開示の範囲を規定するものでもない。むしろ、その主目的は、単に、後述の詳細な説明の序章として1以上のコンセプトを簡略な形態で提示するに過ぎない。
【0007】
完成物理部品を形成する方法が開示される。物理部品を形成する方法は、第1のプロセスによって部品を付加製造するステップと、変質プロセスを含む第2のプロセスによって部品を変質させて変質済み部品を生成するステップと、第3のプロセスによって変質済み部品を操作して操作済み部品を生成するステップと、付加製造するステップ、変質させるステップ又は操作するステップの少なくとも1つを反復して完成物理部品を形成するステップと、を含む。
【0008】
物理部品を形成する方法では、第1のプロセスは、堆積、印刷、噴射又はこれらの組合せをさらに含む。第1のプロセスは、押出し、載置又はこれらの組合せを含み得る。第2のプロセスは、部品の一部分を加熱することをさらに含み得る。第2のプロセスは、除去、昇華、蒸発、乾燥、焼付け又はこれらの組合せを含み得る。第2のプロセスは、部品を真空、加熱源又はこれらの組合せに曝露することも含み得る。第2のプロセスは、輻射加熱、対流加熱、分圧蒸発及び伝導加熱も含み得る。第2のプロセスは、誘導加熱を含み得る。第3のプロセスは、変質済み部品の一部分を除去することを含み得る。第3のプロセスは、粉砕、切削、アブレーション、すり潰し又はこれらの組合せを含み得る。物理部品を形成する方法は、完成物理部品を二次作業に進めて最終部品を形成するステップを含み得る。上記方法によって形成された最終物理部品も開示される。
【0009】
変質プロセスを制御する方法も開示される。変質プロセスを制御する方法は、第1の部品を評価して第1の測定結果を生成するステップと、第1の測定結果を1以上の既知の基準と比較するステップと、第1の測定結果と1以上の既知の基準との比較に基づいて変質プロセスのパラメータを調整するステップと、も含む。
【0010】
変質プロセスを制御する方法の実施例では、第1の測定結果は、所定期間にわたる複数の測定値を含む。第1の部品を評価するステップは、第1の部品の1以上の個別部分を評価することをさらに含み得る。第1の測定結果は、第1の部品の1以上の個別部分から取得された1以上の測定値の比較結果であり得る。第1の部品を評価して第1の測定結果を生成するステップ及び第2の部品を評価して第2の測定結果を生成するステップは、実質的に同時に完了し得る。変質プロセスを制御する方法は、第1の部品を評価するのとは異なる測定によって第2の部品を評価するステップを含み、第2の部品に物理的に接触することを含み得る。変質プロセスを制御する方法は、第2の部品を評価して第2の測定結果を生成するステップを含み得る。第1の部品を評価するステップは、ビルド材料の1以上の成分の濃度を測定することをさらに含み得る。ビルド材料の1以上の成分は、蒸気又は溶媒を含み得る。第1の部品を評価するステップは、第1の部品に物理的に接触することを含み得る。部品を評価するステップは、検知システムから信号を受信することをさらに含み得る。検知システムは、可視光カメラ、サーマルカメラ又はこれらの組合せを含み得る。検知システムは、個別のセンサを含み得る。カメラシステムは、赤外スペクトル及び可視スペクトルにおいて動作可能であり得る。1以上の既知の基準は、第1の部品のコンピュータ支援設計(CAD)モデルに基づき得る。変質プロセスを制御する方法では、既知の基準は、第1の部品の幾何形状に基づき得る。第1の部品の幾何形状は、第1の部品のコンピュータ支援設計(CAD)モデルに基づき得る。1以上の既知の基準は検知システムによる測定結果に基づき、測定結果は第1の部品の1以上の個別温度又は温度マップであり得る。1以上の既知の基準は、変質プロセスの較正に基づき得る。変質プロセスのパラメータを調整するステップは、部品の温度を調整することを含み得る。変質プロセスのパラメータを調整するステップは、照射源、ガスポート、ビルド面又はこれらの組合せを調整することを含み得る。変質プロセスを制御する方法は、測定結果と1以上の既知の基準との比較に基づいて変質プロセスを停止するステップを含み得る。変質プロセスを制御する方法は、第1の部品の底部を第1の温度に維持するステップと、第1の部品の上部を第2の温度に維持するステップと、を含み得る。第1の温度は第2の温度よりも低くてもよい。第2の温度は約0℃~約300℃であり得る。第1の温度は約0℃~約150℃である。変質プロセスを制御する方法は、第1の部品を評価して第1の測定結果を生成するステップの前に、第1の部品の第1の部分を照射するステップ、第1の部品の第1の部分を加熱ガスに曝露するステップ又はこれらの組合せを含み得る。
【0011】
完成物理部品を形成する方法が開示される。物理部品を形成する方法は、第1のプロセスによって部品を付加製造するステップを含み得る。第2のプロセスによって部品を変質させるステップは、変質済み部品を生成する変質プロセスを含み得る。変質プロセスを制御するステップは、部品を評価して測定結果を生成するステップと、測定結果を1以上の既知の基準と比較するステップと、測定結果と1以上の既知の基準との比較に基づいて変質プロセスのパラメータを調整するステップと、を含み得る。物理部品を形成する方法は、第3のプロセスによって変質済み部品を操作して操作済み部品を生成するステップと、付加製造するステップ、変質させるステップ又は操作するステップの少なくとも1つを反復して完成物理部品を形成するステップと、を含み得る。上記方法によって形成された最終物理部品も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る多サイクル製造プロセスのうちの1つのサイクルのステップを含む方法を示す。
図2】本開示の実施形態に係る対流、分圧蒸発、輻射及び伝導を含むビルド時の乾燥による部分的部品を変質させる方法を模式的に示す。
図3】本開示の実施形態に係る、パージ又は排気するように構成された任意選択的な乾燥ポートを示す。
図4】本開示の実施形態に係る、乾燥領域を生成及び制御する方法を示す。
図5】本開示の実施形態に係る、部品に隣接するフロー領域を確立するためのガスポートの構成を示す。
図6】本開示の実施形態に係る、乾燥の変質ステップを制御する方法を示す。
図7】本開示の実施形態に係る、乾燥の変質ステップを制御するためのデジタルソフトウェアコンピュータアルゴリズムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語であるペースト、多成分原料、原料、金属ペースト、金属粉末ペースト、材料担体、ビルド材料、バインダーレスペースト及び作用材料は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である支持材ペースト、多成分原料、原料、不活性支持ペースト、支持材、支持(のための材料)は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語であるビルドプレート、ビルド面及び基板は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語であるペーストを分注すること、ペーストを堆積させること、材料の堆積、付加すること、並びに押出し、分注、堆積、印刷、噴射及び載置することを含む付加は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語であるペーストを乾燥させること、添加物除去及び変質並びに乾燥させること、蒸発させること及び除去することを含む変質させることは、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である素地、乾燥膜、乾燥ペースト、部品前駆体、部品、部分的部品、物理部品、完成部品、完成物理部品、更なる処理に適した完成部品、上部、底部、及び操作済み底部は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である焼結体、部品、物理部品、焼結ワーク、最終部品及び最終物理部品は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語であるバインダー、溶媒、添加物、成分、他の流体化剤及びビヒクルは、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である分注工具及び堆積機構は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である加熱工具及び添加物除去機構は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である加工工具及び材料操作機構は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である粉砕する(mill)、切削する(cut)、すり潰す(grind)、サンド研磨する(sand)、ポリッシュ研磨する(polish)、艶出しする(burnish)、エッチングする(etch)及びアブレーションする(ablate)は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語である炉、焼結工具及び焼結機構は、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。また、当業者であれば、本開示及び参照によりここに含まれる開示において使用される用語であるコンピュータ支援設計モデル、CADモデル、仮想部品モデル及びビルドモデルは、場合に応じて同じ物又は同じ分類の同様の物を指すのに使用され得ることを認識するはずである。
【0014】
物理部品を形成する製造プロセス及び当該製造プロセスを実現する方法が開示される。物理部品を形成する製造プロセスは、部品への材料の付加のステップ101、操作プロセスに適した形態を得るように直近に部品に付加された材料を変質させるステップ102及び操作ステップ103のサイクル100を反復して適用することによって実現される。付加は、堆積、分注、押出し、印刷、噴射又は載置によるものであり得るが、他の物理的及び化学的プロセスによるものであってもよい。付加された材料を変質させることは、主に蒸発(例えば、乾燥)による、付加材料の成分の除去によって主に達成されるが、昇華、硬化、反応、酸化、被覆、焼付け、拡散、移植、冷凍若しくは重合又はこれらの組合せなどの他の物理的又は化学的プロセスによるものであってもよい。操作は主に除去によるものであり、付加材料は、好ましくは粉砕プロセスによって、及び主に切削プロセスによって物理的に除去されるが、必ずしも実質的正味材料を除去しないすり潰し、サンド研磨、ポリッシュ研磨、艶出し、エッチング及びアブレーションなどの他の物理的、化学的又はエネルギー的プロセスも有利となり得る。単一のサイクルの各回の適用は、上記の概説した3ステップの1個、2個又は全3個を含み得る。これらのサイクルは、ここでは完成部品ともいう部品を完全に形成するのに充分となるように1回又は多数回反復される。完成部品は、通常は、最終部品を形成するように、脱バインディングなどの他の二次的なプロセス、二次的な再加工動作(例えば、すり潰し、粉砕)及び焼結に進められる。
【0015】
付加ステップ101は、最終部品及び任意の関連する不活性支持構造体の主組成となることが意図されて含められた金属及び金属合金、ポリマー、複合材及びセラミックなどの主材料と、溶媒、バインダー、流動特性を向上する成分、付加ステップ101、変質ステップ102、操作ステップ103又は最後の操作ステップ103の完了後の任意の後処理ステップを向上する成分、多成分原料の保存性を向上する成分、及び多成分原料に他の所望の特性を付与する成分などの二次材料と、を含む多成分原料を分注、堆積、押出し、噴射、印刷又は載置することをと含むことによって実現され得る。主材料及び二次材料の双方は、これらに限定されないが、金属、金属合金、酸化物、硫化物、窒化物、プニクチド、ポリマー及び各種セラミックを含み得る。金属の例は、これらに限定されないが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、炭素、シリコン、スズ、リン及びこれらの混合物、合金又は複合材を含む。金属合金の例は、これらに限定されないが、炭素鋼、ステンレス鋼及び工具鋼を含む。酸化物、硫化物、窒化物、プニクチド及びセラミックの例は、これらに限定されないが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムシリコン、酸化セリウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、イットリウム安定化酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タングステン、炭化タングステン、炭素繊維及びグラファイトを含む。ポリマーの例は、これらに限定されないが、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリビニルピロリジノン、ポリアクリル酸、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース並びに液晶ポリマーを含む。付加ステップの前に多成分原料がとる具体的な物理的形態は、ペースト、フィラメント、インク、インゴット、ブール、ペレット、顆粒、スラリー、ゲル、懸濁物、凝集物などを含み得る。
【0016】
多成分原料の形態は、金属粒子、1以上の溶媒又は他の流体化剤、バインダー及び添加物を含む金属ペーストであってもよく、これらは、金属ペーストの流動特性、及び変質ステップ102時に溶媒及び他の二次成分を乾燥させ、すなわち、蒸発又はそれ以外で除去する間において固化及び高密度化に影響する特性、並びに保存性などの他の重要な要因を修正することによって金属粒子のためのビヒクルとして作用する。支持構造体のためのセラミックペースト及びその他の不活性支持ペーストなどの上記乾燥プロセスによって有利に除去可能な溶媒を含む他の多成分原料が付加されてもよい。付加ステップは、他の態様で又は所望の主材料及び二次材料からなる他の任意の適切な形態で乾燥又は変質されるように設計され得るフィラメント形態の原料によって達成されてもよい。溶媒の例は、これらに限定されないが、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、テルピネオール、テキサノールブチルエステル、ミネラルスピリット、炭酸プロピレン、ペンタン、へキサン、シクロへキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、エタノールアミン及びN-メチルピロリドン、ジクロロメタン、ケトン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル及び酢酸n-ブチルを含む。添加物及びバインダーの例は、これらに限定されないが、ポリ(エチレンオキシド)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリルコポリマー、マレイン酸及びマレイン酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリ(カーボネート)、ポリ(アクリル酸)、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、パラフィンワックス、エチレンビニルアルコール、ポリカプロラクタム並びにこれらの組合せを含む。
【0017】
切削、すり潰し、サンド研磨、ポリッシュ研磨及び艶出しなどの操作ステップ103で使用される物理的プロセスは、構築中の部品に特定の要件を課す。精密で、平滑でかつ安定した表面を生成することができる望ましい粉砕プロセスは、部品の材料が実質的に加工可能となることを必要とする。機械的作用中及び機械的作用後に不十分に固体化又は乾燥し、すなわち、歪易く又は破砕し易い表面に適用される上記プロセスは、より劣った仕上げ面及び低い最終公差をもたらすので、中間的な変質ステップ102がさらに必要となる。
【0018】
金属粉末ペーストを乾燥させることなどの変質ステップ102は、固化及び高密度化の必須要件を満たすことによって部品を操作ステップに適したものとする。金属粉末ペーストを乾燥することは、対流加熱、輻射加熱、伝導加熱、分圧蒸発及び部分的真空引きの1以上の組合せを金属ペーストに対して行うことによって実現可能である。これらの2以上の固有の組合せは、1つのみの上記プロセスの適用では起こらない有利な乾燥特性を示す。例えば、対流加熱が、蒸発を加速してから溶媒を収集及び排気するとともに機械チャンバ温度を制御するように部分的真空引きとともに構成されてもよいし、輻射加熱が、速い蒸発及び高温の制御のための対流加熱とともに構成されてもよいし、ビルド面210からの伝導加熱が、ビルド面と新たに付加された材料の体積部との間の温度勾配を制御するように輻射加熱とともに構成されてもよい。ビルド面210は、基板、ビルドプレート又は既存部品を含む多数のタイプの表面であり得る。金属ペーストを乾燥させる場合、部品の乾燥部分の温度は、0℃と200℃の間、より有利には0℃と150℃の間、さらに有利には0℃と100℃の間に維持され得る。金属ペーストの他の組成物について、部品の乾燥部分の温度は、正確な組成に応じて、0℃と80℃の間、40℃と100℃の間、又は40℃と80℃の間に維持され得る。新たに付加される金属ペーストの温度は、分注特性を向上し、多成分原料の対象種の揮発を迅速化し、完全に形成されてから均一に高密度の部品の生成を促進するために、組成に応じて、約0℃~約350℃以上、約0℃~約300℃、又は約0℃~約250℃に維持され得る。新たに付加された金属ペーストを部品の乾燥部分よりも高い温度に維持することが有利となり得ることが理解されるはずである。また、最も有利な乾燥温度は成分溶媒、金属及びペーストにおける他の添加物の特性、対流などの適用される他の同時の乾燥、部品の幾何形状及びその比熱などの熱特性、最適な所望の乾燥速度及び乾燥エンドポイント、並びに当業者には明らかとなる他の多数のプロセスパラメータに依存することになることも理解されるはずである。
【0019】
図2に示す実施形態では、支持構造体201、既に乾燥及び加工した金属ペーストからなる実施形態において完成部品となった場合の底部202、並びに付加されて乾燥過程にあり、かつ好ましくは加工による操作を受けていない上部203を備える部品が、加熱されて温度制御されたビルド面210に載置及び固定される。ビルド面の温度制御は、部分的完成部品を通じた伝導加熱による、上部の制御された加熱及びそれによる熱的に駆動された乾燥を可能とする。ビルド面は、機械チャンバ211から遮熱されていてもよい。機械チャンバは、機械チャンバ内の雰囲気200の温度制御を補助するために、温度制御される。機械チャンバは、周囲雰囲気に対する逆浸出を防止し、好ましくは周囲雰囲気に対する負圧又は0.5atm、0.1atm、0.01atm若しくは0.001atm程度に低い真空を実現するように実質的に封止される。チャンバ雰囲気の組成及び圧力は、それぞれ出口ポート212及び入口ポート213を通じて変更され得る。部品から除去されている揮発性溶媒又は複数の揮発性溶媒が少ない雰囲気による機械チャンバのパージとともに機械チャンバの排出又は真空引きは、分圧蒸発を通じた部品乾燥を高める。乾燥キャリッジ220がビルド面に対して直線的に若しくはラスター的に移動し、ビルド面が乾燥キャリッジに対して移動し、又は乾燥キャリッジ及びビルド面の双方が移動して、その二者間の相対移動を実現する。
【0020】
乾燥キャリッジは、以下のように上部の乾燥に影響を与える。加熱された清浄乾燥空気又は他の不活性ガスが、ポート224に供給されて部品付近のポート225から流出する。不活性ガスの例は、これらに限定されないが、窒素及びアルゴンを含む。そして、ここで溶媒を含むフローは、ポート223を通じて実質的に流出し、ポート222を通じてチャンバから排出されることになる。このポートの対は、部品の上部の周囲に沿って横断フロー226を生成し、それにより、上部を乾燥させるために部品に近接する雰囲気における揮発化溶媒の除去を通じて対流加熱及び分圧蒸発の双方を提供する。この実施形態では、作業部品付近の単一の対のポート222及び224並びに不随するポート223及び225、2対のポート又は3対以上のそのようなポートが、加熱された清浄乾燥空気又は他の不活性ガスを上部に近接するフローの領域に供給して部品の均一かつ制御された乾燥を促進するために、乾燥キャリッジに取り付けられてもよい。適宜の軽減システムが、除去される溶媒の廃棄物の性質により、必要に応じて排気ガスの下流側に採用されてもよい。乾燥キャリッジ及び機械チャンバの潜在的に相対的な移動に起因して、ポート222及び224は機械チャンバを通じて柔軟に結合され得る。あるいは、出口及び入口ポートは、乾燥キャリッジとビルド面の間の相対移動の方向に応じて役割を逆転してもよい。上部の追加の加熱が、照射源227によって与えられる。乾燥キャリッジ内の照射源は、これらに限定されないが、約1μmスペクトル波長にピーク強度を有する実質的に黒体放射を与える赤外フィラメントランプ、赤外発光ダイオード(LED)、部品を含むビルド面領域に応じた加熱空間的フットプリントの詳細な制御を可能とし得るLEDレンズ化アレイ、0.5μm未満の波長にスペクトル強度ピークを有する黒体放射エネルギーを与えることができる高輝度アークランプ、及びより長い約4μm~約15μmのスペクトル波長ピークにおいて黒体放射エネルギーを与えることができるGlobarを含む複数の適宜の照射源のうちの1つであり得る。
【0021】
同様の実施形態において、ビルド面210は、部品の底部202、部品の上部203又はそれらの組合せの加熱を含む電磁界を生成することができる。誘導加熱は、有利なことに、ビルド材料の揮発性成分の蒸発をもたらす。当業者は、導電材料のみが誘導によって加熱され得ることを直ちに認識する。この実施形態では、部品の主成分は、ここに記載する金属の粒子である。金属の例は、これらに限定されないが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、炭素、シリコン、スズ、及びこれらの混合物、合金又は複合材を含む。金属合金の例は、これらに限定されないが、炭素鋼、ステンレス鋼及び工具鋼を含む。この具体的実施形態では、誘導加熱される金属粒子は、熱伝導による発熱の一部を、揮発性成分を含むビルド材料の残余部分に伝達する。
【0022】
図3に示す他の実施形態では、ポート222及び224はともに、加熱された清浄乾燥空気又は不活性ガスを含む他のガスを機械チャンバに搬送し、又は機械チャンバから溶媒を含む雰囲気を排気するように構成される。図3に示す実施形態では、ポート223及び225はともに、乾燥キャリッジがビルド面に対して移動するにつれて、加熱された清浄乾燥空気又は他のガスを部品及びビルド面領域に供給する。これは、作業部品及び上部を含むビルド面領域に直接作用し、それにより対流加熱及び分圧蒸発による部品の乾燥を促進するフロー228を与える。この実施形態では、出口ポート212は、溶媒の分圧を所望の範囲に維持するために機械チャンバ内の余剰な圧力を排出(238)しなければならない。この実施形態では、ポート222及び224の一方のみ、その両方、又は3個以上のそのようなポートが、加熱された清浄乾燥空気又は他のガスを供給することによって部品の乾燥を促進するために、部品付近のポート223及び225などの付随するポート群とともに乾燥キャリッジに取り付けられてもよい。逆に、図3にも示すように、ポート223及び225はともに、新たなパージガスが入口ポート213を通じて供給(239)され得る一方で、部品及びビルド面領域に近接する排気フロー229を供給する機械チャンバからの溶媒を含む雰囲気を排気するように構成される。1個、2個又はそれ以上のポートの全てが、排気用に構成されてもよい。
【0023】
図4に示す他の実施形態では、乾燥プロセスにわたって空間的及び時間的制御を生成するように輻射加熱、対流加熱、分圧蒸発及び伝導加熱が組み合わされる。部品400は、ビルド面210に取り付けられた状態で製造されていく。照射分布411を有する赤外LED又はフィラメントランプのアレイなどの照射源410の集合を備える照射源アレイ413は、アレイにおける各個々の照射源が隣接照射源間の縮小された照射密度の重なりでビルド面領域の一部分のみに実質的に作用するように、配置される。個々の照射源は、特定の照射分布を確保するように、レンズ並びにストップ及びバッフルなどの他の光学デバイスで装備されてもよく、それらは、各個々の照射源がビルド面の平面における個別制御可能な照射加熱領域を生成するように、それらの照射分布において本来的に方向性であってもよい。照射源アレイは、接続部412を介してコントローラ499によって制御され、それによりアレイにおける各個々の照射源の輝度が、乾燥キャリッジが部品との関係においてどこにあるのか、部品が製造サイクルのどのステップを通過しているのか(例えば、乾燥しているのか、付加しているのか、除去しているのか)、部品、ビルド面又はその温度が乾燥に影響し得る機械の他の構成要素の温度などの他の周囲条件に応じて調整され得る。この制御能力は、部品及びビルド面の縁部及び角部などの領域、並びに機械チャンバにおける冷却点付近であることに起因してより速い輻射損失を経験する領域における局所的な冷却を補償するのに使用されてもよい。それは、特定の幾何形状又は表面の結果として部品において輻射吸収が高くなること又は低くなることを補償するのに使用され得る。そのような表面は、物理部品の仮想部品モデルからの層堆積指示及び層操作指示の生成を通じて予め決定されてもよいし、接続部451を介してコントローラに接続された検知システム(カメラシステム)450を介してリアルタイムで確認されてもよい。
【0024】
好適な実施形態では、検知システムは、カメラシステム、1以上の個別の検知システム又はそれらの組合せである。個別の検知システムは、部品の個別部分を評価することができる。個別の検知システムの例は、部品の1以上の個別部分の温度を測定可能な放射温度計である。そのような放射温度計の例は、オメガ(Norwalk、CT)製のOS130Aシリーズの小型IRセンサである。カメラシステムは、約7μm~約15μmの波長における赤外スペクトルにおいて、約900nm~約400nmの波長における可視スペクトルにおいて動作可能であり、その有利な視野452を介してビルド構造体領域及びその間近において温度異常を物理地点に正確に相関付けることができる。カメラシステムは、赤外スペクトルで収集された部品の温度マップを特定し、それを可視スペクトルで収集された部品の写真に重畳することができる。カメラシステムは、1以上のスペクトル範囲を可能とする単一のイメージセンサ(例えば、CMOS又はマイクロボロメータアレイ)を備える1つのカメラ及びレンズシステム(例えば、市販の35mmCマウントレンズ)又は1以上のスペクトル範囲を可能とする2以上のカメラを備え得る。そのようなカメラシステムの例は、マイクロボロメータアレイを取り込み、FLIR Systems Inc.(Wilsonville、OR)から入手できる。物理部品の仮想部品モデル(CADモデル)からの予測及び層指示並びにカメラシステムからのリアルタイム画像が通知され、コントローラは、ビルドプロセス及び具体的には乾燥プロセスを最適化するために、照射源アレイ413、ガスポートアレイ420、ビルド面201及び他の相関するプロセスパラメータに対する調整を行い得る。さらに、コントローラは、更なる材料を付加し始める前に、部品を事前加熱し又はその温度を調整するなどの更なる加熱要件についての予測及び調整を可能とする。そのような温度調整は、ガスポートアレイから入来するガスの温度及びフローを制御することによって実現され得る。さらに、ビルド面温度は、バイアス温度を部品に与えるために、接続部401を介してコントローラから制御されてもよい。また、ガスポートアレイ420は、接続部425を介してコントローラの制御下で及び接続部423を介してコントローラによって制御されるバルブ及びアクチュエータ422を用いてポート431などのポートを通じて、加熱された清浄乾燥空気又は他の不活性ガスを注入し、又は乾燥プロセスからの溶媒を含むガスを排気するのに使用され得る切換バルブ426を有する一対のマニフォールドを備える。ポート431、432、433、434、435、436のアレイは、図5に示すような対流加熱及び分圧蒸発の画定可能な領域501、502及び503を与えるように乾燥キャリッジの直線的相対移動に対して横断的に又はそれに沿って対で直線状に配置され得る。ポートは、ポートからの又はポートへのフロー特性を向上するようにディフューザー又はバッフル500で装備され得る。図示するように、均一な乾燥を実現する気流の調整を可能とするために、ポート431及び434の対は領域501を形成し、ポート432及び435の対は領域502を形成し、ポート433及び436の対は領域503を形成し、結果として中央領域及び2つの縁領域を確立する。他の多数の領域配置が可能である。
【0025】
他の実施形態では、検知システムは、部品の1以上の部分によって放射又は反射された光のスペクトルを測定することができる。この実施形態では、検知システムは、好ましくは分光計であり、例えば、IR分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計などである。光源は、単色であってもよいし多色であってもよく、1つのレーザー、複数のレーザー、LED、フィルタ処理されたランプ、フィルタ処理されていないランプなどであり得る。この実施形態では、検知システムは、部品における、好ましくは部品の上部における分子、化合物又は成分の存在又は濃度を測定するのに使用される。
【0026】
更なる実施形態では、変質プロセスは、図6に図示するように、操作ステップの前に物理的テストによってモニタリングされてもよい。物理的テストは、操作ステップが開始するまでに付加された材料が適切に変質されたか否かを判定する「継続か中止か」型のテストとして用いられてもよい。物理的テストが不完全な変質を示す場合、乾燥などの追加の変質が行われて更なるテスト及び処理が続くことになる。あるいは、測定又は設定される他のプロセスパラメータとともに1以上の物理的テストからのメトリクスが、操作ステップに移行する前に必要となる追加の必要な変質処理を、モデル化又は較正によって予測するのに使用され得る。図6では、アクチュエータ600がコントローラ499の制御下でプローブ601を作動させる。プローブは、インデンテーションプローブであってもよいし、スクラッチプローブ又は変質の度合を示すことになるインデンテーション若しくはスクラッチなどのマーク603を生成するように設計された任意の適切なプローブであってもよい。プローブは、上部並びに既に変質及び操作された底部202を備える部品の上部203におけるマークを生成する。マークの特性は、複数のプロセス要因、幾つか挙げると、プローブの特定の形状及び硬度、マーキング時にアクチュエータによって掛けられる力、付加ステップ及び変質ステップの全てにおいて使用される原料、乾燥温度設定及び測定値、出口ポート212よりも下流側に搭載された濃度モニタ250によって好ましくは測定可能な分圧溶媒濃度、各種ポートからの各種領域におけるフロー温度及び体積並びに乾燥時間などの原料付加プロセスパラメータに依存し得る。濃度モニタは、電気化学ガスセンサ、赤外分光光度計、又は分子、化合物若しくは成分の濃度を測定可能な他の何らかの適宜のセンサであり得る。具体的実施形態では、濃度モニタは、溶媒などのビルド材料の揮発性成分の濃度を測定する。同様に、濃度モニタは、溶媒を含むフローを排出するのに使用される場合のポート222又は223よりも下流側に搭載され得る。あるいは、濃度モニタは、機械チャンバ211内部に、その表面において又はその真上の蒸気において部品の上部203における分子又は化合物の濃度をモニタすることができるように位置決めされて搭載されてもよい。当業者であれば、部品の上部203の乾燥度が、出口ポート212、222、223において、部品の上部203において、部品の上部203の真上の蒸気において、又はそれらの組合せにおいて、溶媒の濃度に反比例することを直ちに認識するはずである。
【0027】
実施形態では、カメラシステム450は、マークが付けられるにつれて又はマークが付けられた後に、マークの物理的寸法及び拡散反射率などのメトリクスを測定するのに使用される。カメラシステムは、操作ステップに移行する準備ができていることなど、対象パラメータに最も強く相関付けられる特定のメトリクスに対する感度、例えば、インデンテーションの深さ又はスクラッチの長さを最適化するような傾斜角453及び視野452で有利に配置され得る。傾斜角は、好ましくは5度と85度の間、一部の実施形態では、有利には25度と55度の間から選択され得る。視野は、ビルド面全体を取り入れるべきであるが、有利には、ランプ及びヒーターなどの高温領域並びに正反射及び拡散反射を視野に入れるのを避けるべきである。当業者であれば、物理マーク603が、最終部品における永久欠陥をもたらすことがない部品の領域に有利に生成され得ることを認識するはずである。一層有利には、物理マークは別個の犠牲部品に生成されてもよく、犠牲部品は「実際の」部品と同時に全く同じ形成プロセスを用いて形成されるが、その専らの目的は変質プロセスの完了度をモニタリングする監視部品として作用することにある。カメラシステムからの測定値はコントローラに送信され、その後、測定値(例えば、溶媒の分圧、濃度、温度)から又はビルドモデルから導出された他の全てのプロセスパラメータ情報に基づいて、変質ステップが充分に完了したか否かを判定し、完了していない場合には、追加の変質処理及び場合によっては確認テストを決定し得る。変質プロセスの完了度は、既知の基準としてここに記載される、実行される測定に対して決められた目標値又は値範囲によって規定される。コントローラは、1以上の測定結果と既知の基準との比較に基づいて変質プロセスの完了度を判定する。パラメータの測定値は、連続的に又は所定の間隔で取得され、変質ステップが完了したとコントローラが判定するまで既知の基準と比較される。例えば、部品の温度及び溶媒の濃度が、既知の値に到達するまで、又は既知の時間にわたって既知の値の範囲内に収まるまで、連続的に測定される。他の例では、部品の温度及び溶媒の濃度は、例えば、10秒、1分、5分などの個別の間隔でのみ測定され、測定値が既知の範囲内となった場合に変質プロセスが停止される。測定間隔は、一定に維持され、又は測定値と既知の基準値との差に応じて調整され得る。比較のために用いられる測定は、部品全体の測定又は1以上の部分の重み付け測定であり得る。例えば、変質ステップを停止する決定は、部品全体の平均温度、最低温度と最高温度の差、温度測定値の絶対分散(例えば、標準偏差)、相対差若しくは分散(すなわち、パーセンテージ)又は他の基準に基づき得る。
【0028】
またさらに、乾燥プロセスにおける、最適なフロー及び温度、ビルド面及びチャンバ温度、乾燥キャリッジ相対速度、ラスターパターン密度、周波数、単数又は複数の照射源の時間、タイミング及び強度、並びに機械チャンバに供給される排気及びパージガスなど、前サイクルによる前回テストから取得されたテストデータは、データベースに記憶され、モデルに取り入れられ、後続の変質処理に伝えてそれを較正する。取得されたテストデータはまた、製造プロセス、部品の最終特性又はその両方をさらに最適化するために、付加ステップ及び操作ステップの双方、例えば、付加時の堆積速度又は操作時の切削速度を修正するのに使用され得る。
【0029】
乾燥プロセスの制御及び較正は、コントローラ499に存在して稼働するデジタルソフトウェアコンピュータアルゴリズムによるものであってもよく、当該コントローラはコンピュータシステムを備える。あるいは、デジタルソフトウェアアルゴリズムは、コントローラ499が通信するネットワークの一部であるリモートコンピュータシステムに存在して稼働するものであってもよく、当該リモートコンピュータシステムによって指示され得る。一実施形態では、デジタルソフトウェアコンピュータアルゴリズムは、図7に図示するような変質ステップ102を制御する。最初に、ランプ加熱、ガス吹付け、チャンバ真空引き及び溶媒を含むガスの除去などの両適用可能な変質ステップが、経過プロセス時間、設定点、例えば、流量、照射源設定などのプロセスパラメータ、並びにこれらに限定されないが、カメラシステム450、温度センサから導出された温度及び寸法並びに濃度モニタ250から導出された溶媒濃度を含む連続的にモニタリングされたプロセスメトリクスの取得と同時に又はその前に開始される。上記プロセスパラメータ及びプロセスメトリクスの取得は、デジタルコンピュータ制御下で、プロセスパラメータをアルゴリズム調整するのに使用され得る。例えば、輻射加熱要素の強度は、初期設定パラメータを超えて乾燥プロセスを最適化するように調整され得る。処理は、レシピにより決定される又はアルゴリズムにより決定される基準のセットが満たされるまで継続する。基準は、これらに限定されないが、主成分回帰(PCR)及び主成分分析(PCA)、k-近傍法並びに人工ニューラルネットワーク(ANN)パターンマッチングを含む適宜の方法に基づき得る。基準が満たされると、処理は停止されてもよいし、任意選択的に、物理的テストがコントローラ499の制御下でアクチュエータ600、アクチュエータプローブ601及びカメラシステム450によって実行されてもよい。上記物理的テストが合格した場合には、変質ステップは完了したとみなされてもよく、あるいは更なる処理が開始されてもよい。
【0030】
好適な実施形態に加えて他の多数の拡張例及び構成が可能であり、これらの好適な実施形態のここでの例示は本開示の目的のために他の実施形態を除外しないことが、当業者には明らかなはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】