IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エアー カンパニー ホールディングス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-537890蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法
<>
  • 特表-蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法 図1
  • 特表-蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法 図2
  • 特表-蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法 図3
  • 特表-蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法 図4
  • 特表-蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】蒸留プロセスにおける不純物除去を増強するための合金及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/32 20060101AFI20230830BHJP
   C07C 29/80 20060101ALI20230830BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20230830BHJP
   C07C 31/08 20060101ALI20230830BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20230830BHJP
   B01D 3/18 20060101ALI20230830BHJP
   B01D 3/26 20060101ALI20230830BHJP
   C07C 31/10 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
B01D3/32 Z
C07C29/80
C07C31/04
C07C31/08
B01D3/14 A
B01D3/18 C
B01D3/26 A
C07C31/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507454
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021044740
(87)【国際公開番号】W WO2022031967
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/062,039
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522058693
【氏名又は名称】エアー カンパニー ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Air Company Holdings, Inc.
【住所又は居所原語表記】407 Johnson Avenue, Brooklyn, New York 11206, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,スタッフォード,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】トレイナー,マイケル
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D076AA16
4D076AA24
4D076BB04
4D076BB05
4D076CA19
4D076CC03
4D076CC04
4D076EA08Z
4D076EA11Z
4D076EA20Z
4D076FA04
4D076FA11
4D076FA15
4D076FA22
4D076FA33
4D076HA20
4H006AA02
4H006AA04
4H006AD11
4H006AD17
4H006BD80
4H006BD83
(57)【要約】
不純物をアルコール含有混合物から除去するために有用な金属合金構成要素が本明細書に提供される。また、記載の金属合金構成要素を含む蒸留装置、並びに不純物をアルコール含有混合物から除去するために該構成要素及び装置を使用するための方法も本明細書に提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸留装置の構成要素であって、前記構成要素が、金属又は金属合金を含み、前記金属又は金属合金が、少なくとも1つの第11族金属を含む、構成要素。
【請求項2】
前記構成要素が、少なくとも2つの第11族金属を含む金属合金を含む、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第11族金属が、銅、銀、及び金から選択される、請求項1又は2に記載の構成要素。
【請求項4】
前記少なくとも2つの第11族金属が、銅及び銀である、請求項2に記載の構成要素。
【請求項5】
前記構成要素が、スズ、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、又はゲルマニウムから選択される少なくとも1つの追加の金属又は半金属を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項6】
前記合金が、約5%~約98%の銀(w/w)を含む、請求項2に記載の構成要素。
【請求項7】
前記合金が、約2%~約90%の銅(w/w)を含む、請求項2又は6に記載の構成要素。
【請求項8】
前記合金が、約0.1%~約90%の前記追加の金属又は半金属(w/w)を含む、請求項2、6、又は7のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項9】
前記金属又は金属合金が、前記構成要素の上に配置されたコーティングである、請求項1~8のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項10】
前記コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである、請求項9に記載の構成要素。
【請求項11】
前記コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである、請求項9又は10に記載の構成要素。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の構成要素を含む、蒸留装置。
【請求項13】
前記蒸留装置が連続蒸留装置である、請求項12に記載の蒸留装置。
【請求項14】
前記装置が少なくとも1つの蒸留塔を含む、請求項12又は13に記載の蒸留装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの蒸留塔が充填物構成要素を含む、請求項14に記載の蒸留装置。
【請求項16】
前記充填物構成要素が前記金属又は金属合金を含む、請求項15に記載の蒸留装置。
【請求項17】
前記金属又は金属合金が、前記充填物構成要素の上に配置される、請求項15に記載の蒸留装置。
【請求項18】
前記金属又は金属合金が、前記構成要素の上に配置されたコーティングである、請求項17に記載の蒸留装置。
【請求項19】
前記コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである、請求項18に記載の蒸留装置。
【請求項20】
前記コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンから選択される、請求項18又は19に記載の蒸留装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの蒸留塔が少なくとも1つのプレートを含む、請求項14に記載の蒸留装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプレートが前記金属又は金属合金を含む、請求項21に記載の蒸留装置。
【請求項23】
前記金属又は金属合金が、前記少なくとも1つのプレートの上に配置される、請求項21に記載の蒸留装置。
【請求項24】
前記金属又は金属合金構成要素が、少なくとも1つのプレートの上に配置されたコーティングである、請求項23に記載の蒸留装置。
【請求項25】
前記コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである、請求項24に記載の蒸留装置。
【請求項26】
前記コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンから選択される、請求項24又は25に記載の蒸留装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの蒸留塔が少なくとも1つのトレイを含む、請求項15に記載の蒸留装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つのトレイが前記金属又は金属合金を含む、請求項27に記載の蒸留装置。
【請求項29】
前記金属又は金属合金が、前記少なくとも1つのトレイの上に配置される、請求項27に記載の蒸留装置。
【請求項30】
前記金属又は金属合金構成要素が、少なくとも1つのトレイの上に配置されたコーティングである、請求項29に記載の蒸留装置。
【請求項31】
前記コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである、請求項30に記載の蒸留装置。
【請求項32】
前記コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンから選択される、請求項30又は31に記載の蒸留装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの蒸留塔が、第1の蒸留塔及び第2の蒸留塔を含む、請求項14~32のいずれか一項に記載の蒸留装置。
【請求項34】
前記連続蒸留装置が乾燥塔を更に含む、請求項13~33のいずれか一項に記載の蒸留装置。
【請求項35】
前記乾燥塔が分子篩を含む、請求項34に記載蒸留装置。
【請求項36】
不純物をアルコール含有原料から除去する蒸留システムであって、前記アルコール含有原料が、アルコールと、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物とを含み、前記システムが、
水及び重質不純物の除去のための重質不純物塔と、
メタノール及び軽質不純物の除去のための軽質不純物塔と、
請求項12~35のいずれか一項に記載の蒸留装置を含む反応蒸留塔と、を含む、蒸留システム。
【請求項37】
水の精製及び除去のための分子篩を更に含む、請求項36に記載の蒸留システム。
【請求項38】
前記塔が連続蒸留塔である、請求項36又は37に記載の蒸留システム。
【請求項39】
前記連続蒸留塔が、不規則充填物又は規則充填物を含む、請求項38に記載の蒸留システム。
【請求項40】
前記システムが、1つ以上の追加の重質不純物塔を更に含む、請求項36~39のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項41】
前記システムが、1つ以上の追加の軽質不純物塔を更に含む、請求項36~40のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項42】
前記システムが、1つ以上の追加の反応蒸留塔を更に含む、請求項36~41のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項43】
前記重質不純物塔が、水をエタノール及びメタノールから分離させるために最適化されている、請求項36~42のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項44】
前記重質不純物塔が、n-プロパノールをエタノール及びメタノールから分離させるために最適化されている、請求項36~42のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項45】
前記重質不純物塔が、メタノールからエタノールに最適化されている、請求項36~42のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項46】
前記重質不純物塔が、メタノールからイソプロパノールに最適化されている、請求項36~42のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項47】
前記軽質不純物塔が、メタノールをエタノールから分離させるために最適化されている、請求項36~46のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項48】
前記軽質不純物塔が、ジメチルエーテルをメタノールから分離させるために最適化されている、請求項36~46のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項49】
前記軽質不純物塔が、純エタノールを生成するために最適化されている、請求項36~46のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項50】
前記軽質不純物塔が、純メタノールを生成するために最適化されている、請求項36~46のいずれか一項に記載の蒸留システム。
【請求項51】
反応蒸留により少なくとも1つの不純物を不純アルコール混合物から除去するための方法であって、前記不純アルコール混合物を、請求項1~11のいずれか一項に記載の構成要素、請求項12~35のいずれか一項に記載の蒸留装置、又は請求項36~50のいずれか一項に記載の蒸留システムと接触させ、それにより純アルコール混合物を生じさせることを含む、方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの不純物が、硫黄含有不純物、窒素含有不純物、又はそれらの組み合わせを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの不純物が、ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、2-エトキシ-3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3,4-ジチアヘキサン、2,4,5-トリチアヘキサン、3-メチルチオ-2,4-ジチアペンタン、チオ酢酸メチル、チオプロピオン酸メチル、チオ酪酸メチル、チオイソ吉草酸メチル、チオイソ酪酸メチル、メチオナール、メチルチオアセトアルデヒド、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記純アルコール混合物が、前記少なくとも1つの不純物を実質的に含まない、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記純アルコール混合物が、10ppm未満の不純物を含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記純アルコール混合物が、0.1ppm未満の不純物を含む、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記純アルコール混合物が、1ppb未満の不純物を含む、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記不純アルコール混合物がエタノールを含む、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記不純アルコール混合物が、エタノール及び少なくとも1つの不純物からなる、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、
a)前記不純アルコール混合物を加熱して、不純アルコール蒸気を生じさせるステップと、
b)前記不純アルコール蒸気を前記金属合金構成要素と接触させて、純アルコール蒸気を形成するステップと、
c)前記純アルコール蒸気を凝縮させて、前記純アルコール混合物を形成するステップと、を含む、請求項51~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
アルコール含有原料を純化するための方法であって、前記アルコール含有原料が、アルコールと少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物とを含み、前記方法が、前記アルコール含有原料を請求項1~10のいずれか一項に記載の構成要素と接触させ、それにより、前記少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を前記金属合金構成要素に吸着させ、純化されたアルコール含有原料を生成することを含む、方法。
【請求項62】
前記アルコールがエタノールである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物が、ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、2-エトキシ-3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3,4-ジチアヘキサン、2,4,5-トリチアヘキサン、3-メチルチオ-2,4-ジチアペンタン、チオ酢酸メチル、チオプロピオン酸メチル、チオ酪酸メチル、チオイソ吉草酸メチル、チオイソ酪酸メチル、メチオナール、メチルチオアセトアルデヒド、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
前記純化されたアルコール含有原料が、前記少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を実質的に含まない、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記純化されたアルコール含有原料が、10ppm未満の前記少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む、請求項61~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記純化されたアルコール含有原料が、0.1ppm未満の前記少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む、請求項61~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記純化されたアルコール含有原料が、1ppb未満の前記少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む、請求項61~66のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月6日出願の米国仮特許出願第63/062,039号に対する優先権の利益を主張する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
液体原料からの不純物の除去は、工業プロセス化学の重要な構成要素である。そのような不純物を除去するための多数の方法が歴史的に用いられてきたが、これらの方法の多くは、高コスト又は低効率などの欠点を抱える。蒸留は、液体原料、特にアルコール飲料の工業規模の精製に一般的に使用される技法となっている。本明細書では、反応蒸留によるアルコール原料からの不純物除去を増強するための金属合金及び方法が提供される。
【発明の概要】
【0003】
ある特定の態様では、蒸留装置の構成要素が本明細書に提供され、本構成要素は、金属又は金属合金を含み、金属又は金属合金は、少なくとも1つの第11族金属を含む。ある特定の実施形態では、本構成要素は金属合金を含み、金属合金は少なくとも2つの第11族金属を含む。ある特定の実施形態では、少なくとも2つの第11族金属は、銅、銀、及び金から選択される。更なる実施形態では、少なくとも2つの第11族金属は、銅及び銀である。なお更なる実施形態では、本金属合金構成要素は、スズ、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、又はゲルマニウムから選択される少なくとも1つの追加の金属又は半金属を更に含む。
【0004】
ある特定の実施形態では、合金は、約2%~約98%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約2%~約98%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約0.1%~約90%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、金属合金は、構成要素の上に配置されたコーティングである。ある特定の実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0005】
更なる態様では、本明細書に記載の構成要素を含む蒸留装置が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本蒸留装置は連続蒸留装置である。更なる実施形態では、本装置は少なくとも1つの蒸留塔を含む。なお更なる実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は充填物構成要素を含む。なお更なる実施形態では、充填物構成要素は金属又は金属合金を含む。ある特定の実施形態では、金属又は金属合金は、充填物構成要素の上に配置される。更なる実施形態では、金属又は金属合金は、充填物構成要素の上に配置されたコーティングである。なお更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。また更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0006】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は少なくとも1つのプレートを含む。更なる実施形態では、少なくとも1つのプレートは金属又は金属合金を含む。なお更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのプレートの上に配置される。また更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのプレートの上に配置されたコーティングである。ある特定の実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0007】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は少なくとも1つのトレイを含む。更なる実施形態では、少なくとも1つのトレイは金属又は金属合金を含む。なお更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのトレイの上に配置される。また更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのトレイの上に配置されたコーティングである。ある特定の実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。更なる更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0008】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は、第1の蒸留塔及び第2の蒸留塔を含む。更なる実施形態では、連続蒸留システムは乾燥塔を更に含む。なお更なる実施形態では、乾燥塔は分子篩を含む。
【0009】
なお更なる実施形態では、反応蒸留により少なくとも1つの不純物を不純アルコール混合物から除去するための方法が本明細書に提供され、本方法は、不純アルコール混合物を、本明細書に記載の構成要素又は蒸留装置と接触させ、それにより、純アルコール混合物を生じさせることを含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの不純物は、硫黄含有不純物、窒素含有不純物、又はそれらの組み合わせを含む。更なる実施形態では、少なくとも1つの不純物は、ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、2-エトキシ-3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3,4-ジチアヘキサン、2,4,5-トリチアヘキサン、3-メチルチオ-2,4-ジチアペンタン、チオ酢酸メチル、チオプロピオン酸メチル、チオ酪酸メチル、チオイソ吉草酸メチル、チオイソ酪酸メチル、メチオナール、メチルチオアセトアルデヒド、又はそれらの組み合わせから選択される。なお更なる実施形態では、純アルコール混合物は、少なくとも1つの不純物を実質的に含まない。また更なる実施形態では、純アルコール混合物は、10ppm未満の不純物を含む。ある特定の実施形態では、純アルコール混合物は、0.1ppm未満の不純物を含む。更なる実施形態では、純アルコール混合物は、1ppb未満の不純物を含む。なお更なる実施形態では、不純アルコール混合物はエタノールを含む。また更なる実施形態では、不純アルコール混合物は、エタノール及び少なくとも1つの不純物からなる。
【0011】
ある特定の実施形態では、本方法は、
a)不純アルコール混合物を加熱して、不純アルコール蒸気を生じさせるステップと、
b)不純アルコール蒸気を金属合金構成要素と接触させて、純アルコール蒸気を形成するステップと、
c)純アルコール蒸気を凝縮させて、純アルコール混合物を形成するステップと、を含む。
【0012】
また更なる態様では、アルコール含有原料を純化するための方法が本明細書に提供され、アルコール含有原料は、アルコールと少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物とを含み、本方法は、アルコール含有原料を本開示の構成要素と接触させ、それにより、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を金属合金構成要素に吸着させ、純化されたアルコール含有原料を生成することを含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、アルコールはエタノールである。更なる実施形態では、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物は、ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、2-エトキシ-3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3,4-ジチアヘキサン、2,4,5-トリチアヘキサン、3-メチルチオ-2,4-ジチアペンタン、チオ酢酸メチル、チオプロピオン酸メチル、チオ酪酸メチル、チオイソ吉草酸メチル、チオイソ酪酸メチル、メチオナール、メチルチオアセトアルデヒド、又はそれらの組み合わせから選択される。なお更なる実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を実質的に含まない。また更なる実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、10ppm未満の少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む。ある特定の実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、0.1ppm未満の少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む。更なる実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、1ppb未満の少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む。
【0014】
ある特定の態様では、エタノール及び/又はメタノールを水性液体流から精製するためのシステムが本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本システムは、第1の塔において水及び重質不純物の除去を、第2の塔においてメタノール及び軽質不純物の除去を、そして第3の塔において反応蒸留を提供する。ある特定の実施形態では、分子篩を使用して、得られたエタノールから水を精製及び除去する。ある特定の実施形態では、本システムは、不規則充填物又は規則充填物を使用する連続蒸留塔を利用する。
【0015】
ある特定の実施形態では、水性液体流からのエタノール又はメタノールの精製方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本システムは、第1の塔において水及び重質不純物の除去を、第2の塔においてメタノール及び軽質不純物の除去を、そして第3の塔において反応蒸留を提供する。ある特定の実施形態では、分子篩の使用を可能にする方法を使用して、得られたエタノールから水を精製及び除去する。ある特定の実施形態では、本方法は、不規則充填物又は規則充填物を使用する連続蒸留塔を利用する。
【0016】
ある特定の実施形態では、メタノールの蒸留において不純物を除去する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、メタノールは、水中約64%の濃度で生成され、蒸留システムに導入される。いくつかの実施形態では、メタノールは、微量の軽質不純物及び重質不純物を含む。いくつかの実施形態では、微量の軽質不純物及び重質不純物は、蒸留により除去される。いくつかの実施形態では、メタノールは、反応蒸留塔を通過して、メタノール流中の微量の不純物、例えば、硫黄又は窒素含有化合物を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的な連続蒸留装置の概略図であり、ここで、塔1(100)は、アルコール含有液を取り込み、メタノール及びエタノールを主に含むアルコール混合物から水及び重質留分を分離させる蒸留塔である。塔2(101)は、メタノール及び他の軽質不純物をアルコール混合物から分離させる。塔3(102)は、エタノール中の微量の硫黄不純物を除去するために反応蒸留塔として機能する銅基充填物を含む。塔4(103)は分子篩を含み、精製されたエタノールがこの分子篩を通過して、水を除去する。水中の原液アルコールは、トート(104)に貯蔵され、ポンプ(105)を使用して蒸留システムに供給される。
図2】銅/銀合金で構築された、ライザー、スロット、及びキャップ(203)を含むバブルプレート(202)を備えるトレイ蒸留塔(200)の概略図である。
図3】銅/銀合金で構築された、規則充填物(302)を含む充填された蒸留塔(301)の概略図である。
図4図1に示される例示的な連続蒸留装置の代替側面図である。
図5図1に示される例示的な連続蒸留装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
蒸留は、異なる空間的及び/又は時間的プロファイルにわたって選択された化合物を沸騰及び凝縮させることにより、液体の混合物の構成要素を分離させるプロセスである。蒸留は、人類史上最も古い化学プロセスのうちの1つであり、飲用蒸留酒の生成のために数世紀にわたって使用されている。広義には、蒸留技法は、バッチ蒸留(又は不連続)蒸留又は連続蒸留の2つの異なるカテゴリーに分類することができる。蒸留の最初の応用は、所望の蒸留物の沸点又はそれ以上に加熱されるケトルに原料液体材料を供給することにより典型的に動作するバッチ蒸留(batch distillation)又はバッチスチル(batch still)を使用した。原料液体材料は、その構成要素画分が沸騰し除去されるにつれて徐々に枯渇し、得られた画分は、割られて収集されるか、又は液体画分は、沸点が所望の蒸留物よりも低い最も揮発性の高い画分から始まって、異なる時間で連続して収集される。最も揮発性の高い画分は、典型的には初垂れと称され、これに時間的に連続して、所望の化合物を含む本垂れが続き、最後に、最も揮発性の低い画分を含む末垂れが続く。バッチ蒸留システムを再チャージして、バッチでプロセスを繰り返すことができる。
【0019】
より最近になって、現代の燃焼機関で使用するために蒸留を必要とする液体石油燃料の出現とともに蒸留が化学工業のより不可欠な部分となるにつれ、連続蒸留が広く使用されるようになった。連続蒸留は、典型的には、原料液体材料の構成要素画分を空間的及び時間的に分離させる。連続蒸留では、原料液体材料は、蒸留塔に連続的して直接供給される。典型的には、塔の加熱プロファイルに基づいて、蒸留塔上に垂直に特定の空間的間隔で2つ以上の液体出口があり、これらにより、特定の沸騰範囲で画分の引き抜きが可能になる。沸点が最も低い液体画分は、塔の上部で除去され、沸点が最も高い画分は塔の下部で除去される。バッチ蒸留及び連続蒸留の他のハイブリッド形態も開発されている。
【0020】
アルコール飲料は、典型的にはバッチ蒸留システムを使用して生成され、これは、画分組成物の制御が良好であることと組み合わせて、バッチ蒸留システムを飲料に使用した歴史と、バッチ蒸留システムのコストが低いこととの両方を理由とする。エタノールを生成するための糖発酵の多くの副産物、及び他のいくつかのエタノール生成プロセスは、安全性の観点からも、味及び品質の観点からも望ましくないため、蒸留はアルコール飲料の品質を制御するために不可欠である。味は、非常に主観的な感覚及び製品の特徴であるものの、耐性が更に高度な化学工業プロセスよりもはるかに低いある特定の化合物に極めて感受性である。例えば、キャベツなどの発酵食品中に見出される化合物であるメタンチオールのヒト臭気閾値は、1兆分の数十の程度で、10億分の0.06(ppb)として記録されている(S.Landaud,S.Helnick,P.Bonnarme,「Formation of volatile sulfur compounds and metabolism of methionine and other sulfur compounds in fermented food」Appl.Microbiol.Biotechnol.2008,77,1191-1205)。メタンチオール及びウレタンなどであるがこれらに限定されない極めて微量でありほとんど検出不可能な量のいくつかの化合物の存在は、得られる蒸留酒の品質に相当な悪影響を有し得る。
【0021】
歴史的に、蒸留酒の生産者は、銅から飲料蒸留システムを製造することにより、メタンチオール並びに他の刺激性アミン及びチオールのような化合物の濃度を低下させてきた。銅は、熱伝導性が高く、これにより、蒸留システムにおける温度制御の改善が助けられる。銅はまた、反応蒸留としても知られる、酒蒸留中に発生する化学反応である加熱されたエタノール蒸気の存在に起因する硫化銅の高速で自発的な形成により、硫化物及びチオレートなどの硫黄を含む化合物を容易に吸着する。銅のこの化学的特性はまた、1兆分率範囲の濃度でヒトによっても検出され得るジメチルトリスルフィド(B.Harrison,O.Fagnen,F.Jack,J.Brosnan,「The Impact of Copper in Different parts of Malt Whisky Pot Stills on New Make Spirit Composition and Aroma」J.Inst.Brew.,2011,117,106-112)などの反応蒸留によるウイスキーの品質を改善することが観察されている。しかしながら、エタノール中のこれらの微量不純物の効率的な除去は、刺激性で不快な味又は臭気を有する一部の蒸留酒製品の存在によって証明されるように、依然として十分に実施されていない。
【0022】
加熱された硫黄吸着化合物と反応する銅は、化学工業、水素化脱硫システム及び反応蒸留において研究されている。水素化脱硫は、典型的には、ガス状生成物が高温及び高圧で触媒に導入される固定床反応器中で行われる。触媒材料は、ガス状原料材料から硫化水素を除去する。水素化脱硫用の主要な触媒材料は、コバルトモリブデン硫化物であるが、銅を含む触媒も使用されている。これらの材料及びプロセスは、最大濃度が15~30ppmほどである化学及び燃料業界の基準を満たすように硫黄を除去する。しかしながら、化学工業における硫黄除去要件は、アルコール飲料の硫黄除去よりもはるかに多くの量の除去を必要とし、微量を除去しない。例えば、水素化脱硫プロセスは、硫黄濃度を50ppmから2ppmに減少させるが、飲用酒に必要とされる1ppmから1兆分の0.1には減少させない。それらはまた、酒の蒸留プロセスと比べて非常に高い温度及び圧力で発生し、これは、多くの場合、コストがかかるか、又は蒸留酒には不要なものである。
【0023】
金属合金構成要素
ある特定の態様では、蒸留装置の構成要素が本明細書に提供され、本構成要素は、金属又は金属合金を含み、金属又は金属合金は、少なくとも1つの第11族金属を含む。ある特定の実施形態では、本構成要素は金属合金を含み、金属合金は少なくとも2つの第11族金属を含む。ある特定の実施形態では、少なくとも2つの第11族金属は、銅、銀、及び金から選択される。更なる実施形態では、少なくとも2つの第11族金属は、銅及び銀である。なお更なる実施形態では、本金属合金構成要素は、少なくとも1つの追加の金属又は半金属を更に含む。また更なる実施形態では、追加の金属又は半金属は、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、スズ、亜鉛、アルミニウム、又はニッケルから選択される。なお更なる実施形態では、追加の金属又は半金属は、スズ、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、又はゲルマニウムから選択される。
【0024】
ある特定の実施形態では、合金は、約2%~約98%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約5%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約10%の銀(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約15%の銀(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約20%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約25%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約30%の銀(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約35%の銀(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約40%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約45%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約50%の銀(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約55%の銀(w/w)を含む。
【0025】
ある特定の実施形態では、合金は、約60%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約65%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約70%の銀(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約75%の銀(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約80%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約82%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約84%の銀(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約86%の銀(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約88%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約90%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約92%の銀(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約93.5%の銀(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約94%の銀(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約96%の銀(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約98%の銀(w/w)を含む。
【0026】
ある特定の実施形態では、合金は、約2%~98%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約5%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約10%の金(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約15%の金(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約20%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約25%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約30%の金(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約35%の金(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約40%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約45%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約50%の金(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約55%の金(w/w)を含む。
【0027】
ある特定の実施形態では、合金は、約60%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約65%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約70%の金(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約75%の金(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約80%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約82%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約84%の金(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約86%の金(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約88%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約90%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約92%の金(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約93.5%の金(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約94%の金(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約96%の金(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約98%の金(w/w)を含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、合金は、約2%~98%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約2%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約4%の銅(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約5%の銅(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約5.3%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約6%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約6.1%の銅(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約6.3%の銅(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約7%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約8%の銅(w/w)を含む。
【0029】
ある特定の実施形態では、合金は、約10%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約15%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約20%の銅(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約25%の銅(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約30%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約35%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約40%の銅(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約45%の銅(w/w)を含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、合金は、約50%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約55%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約60%の銅(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約65%の銅(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約70%の銅(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約75%の銅(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約80%の銅(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約85%の銅(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約90%の銅(w/w)を含む。
【0031】
ある特定の実施形態では、合金は、約0.1%~90%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約0.1%~50%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約0.1%~30%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約0.1%~20%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約0.1%~10%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約0.1%~3%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約0.1%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約0.5%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。ある特定の実施形態では、合金は、約1%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。更なる実施形態では、合金は、約1.2%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。なお更なる実施形態では、合金は、約1.5%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。また更なる実施形態では、合金は、約2%の追加の金属又は半金属(w/w)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、金属合金は、銅と銀との比が、約0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.4~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.8~1、0.9~1、1~1、1~0.9、1~0.8、1~0.7、1~0.6、1~0.5、1~0.4、1~0.3、1~0.2、1~0.1、又はそれ以下である。
【0033】
蒸留装置
更なる態様では、本明細書に記載の金属合金構成要素を含む蒸留装置が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本蒸留装置は連続蒸留装置である。
【0034】
ある特定の実施形態では、本装置は、蒸留塔、乾燥塔、デミスター、デフレグメーター、バルブ、注入器、スクラバー、チューブ、蒸発器、ケトル、規則充填物、不規則充填物、蒸留トレイ、蒸留プレート、及び他の蒸留システム部品から選択される1つ以上の構成要素を含む。更なる実施形態では、本装置は少なくとも1つの蒸留塔を含む。
【0035】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は充填物構成要素を含む。更なる実施形態では、充填物構成要素は金属又は金属合金を含む。なお更なる実施形態では、金属又は金属合金は、充填物構成要素の上に配置される。また実施形態では、金属又は金属合金は、充填物構成要素の上に配置されたコーティングである。ある特定の実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0036】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は少なくとも1つのプレートを含む。更なる実施形態では、少なくとも1つのプレートは金属又は金属合金を含む。なお更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのプレートの上に配置される。また更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのプレートの上に配置されたコーティングである。ある特定の実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0037】
また更なる実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は少なくとも1つのトレイを含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのトレイは金属又は金属合金を含む。更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのトレイの上に配置される。また更なる実施形態では、金属又は金属合金は、少なくとも1つのトレイの上に配置されたコーティングである。ある特定の実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm~約100ミクロンである。更なる実施形態では、コーティングは、厚さが、約50nm、約100nm、約1ミクロン、約5ミクロン、又は100ミクロンである。
【0038】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの蒸留塔は、第1の蒸留塔及び第2の蒸留塔を含む。更なる実施形態では、連続蒸留システムは乾燥塔を更に含む。なお更なる実施形態では、乾燥塔は分子篩を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示は、銅及び銀の一方又は両方を含む蒸留システムの構成要素に関する。いくつかの実施形態では、蒸留システムは、加圧式工業用蒸留システムである。現在、工業用連続蒸留システムは、主にバッチ蒸留システムを使用する蒸留酒業界により教示されているように、アルコール流中の不純物と反応するために銅を用いない。ある特定の実施形態では、316Lステンレス鋼などの工業用蒸留に典型的に使用される金属の高い引張強度及び構造的完全性を維持しながら反応性構成要素として作用するために他の金属に合金化又はコーティングされた銅を含む蒸留システムが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本開示は、不純物除去のための反応蒸留を促進する金属又は金属合金でコーティングされた蒸留システムの構成要素を説明する。いくつかの実施形態では、金属又は金属合金は、鋼規則充填物上にコーティングされる。いくつかの実施形態では、銅層の厚さは、50nm、100nm、1ミクロン、5ミクロン、100ミクロン、又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、層は、銅を含む金属合金である。ある特定の実施形態では、層又はコーティングは、コーティングの表面上に銅などの金属原子を含む。
【0040】
精製の方法
なお更なる実施形態では、反応蒸留により少なくとも1つの不純物を不純アルコール混合物から除去するための方法が本明細書に提供され、本方法は、不純アルコール混合物を、本明細書に記載の構成要素又は蒸留装置と接触させ、それにより、純アルコール混合物を生じさせることを含む。
【0041】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの不純物は、硫黄含有不純物、窒素含有不純物、又はそれらの組み合わせを含む。更なる実施形態では、少なくとも1つの不純物は、ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、2-エトキシ-3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3,4-ジチアヘキサン、2,4,5-トリチアヘキサン、3-メチルチオ-2,4-ジチアペンタン、チオ酢酸メチル、チオプロピオン酸メチル、チオ酪酸メチル、チオイソ吉草酸メチル、チオイソ酪酸メチル、メチオナール、メチルチオアセトアルデヒド、又はそれらの組み合わせから選択される。なお更なる実施形態では、純アルコール混合物は、少なくとも1つの不純物を実質的に含まない。また更なる実施形態では、純アルコール混合物は、10ppm未満の不純物を含む。ある特定の実施形態では、純アルコール混合物は、0.1ppm未満の不純物を含む。更なる実施形態では、純アルコール混合物は、1ppb未満の不純物を含む。なお更なる実施形態では、不純アルコール混合物はエタノールを含む。また更なる実施形態では、不純アルコール混合物は、エタノール及び少なくとも1つの不純物からなる。
【0042】
ある特定の実施形態では、本方法は、
a)不純アルコール混合物を加熱して、不純アルコール蒸気を生じさせるステップと、
b)不純アルコール蒸気を金属合金構成要素と接触させて、純アルコール蒸気を形成するステップと、
c)純アルコール蒸気を凝縮させて、純アルコール混合物を形成するステップと、を含む。
【0043】
当業者によって理解されるように、不純アルコール混合物又は不純物アルコール蒸気が金属合金構成要素と接触するとき、これは、蒸留装置内の合金構成要素の場所に応じて、純粋に液体の状態であっても、純粋に蒸気の状態であっても、2つの物理状態の混合であってもよい。
【0044】
また更なる態様では、アルコール含有原料を純化するための方法が本明細書に提供され、アルコール含有原料は、アルコールと少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物とを含み、本方法は、アルコール含有原料を本開示の構成要素と接触させ、それにより、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を金属合金構成要素に吸着させ、純化されたアルコール含有原料を生成することを含む。
【0045】
ある特定の実施形態では、アルコールはエタノールである。更なる実施形態では、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物は、ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、2-エトキシ-3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジメチルテトラスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3,4-ジチアヘキサン、2,4,5-トリチアヘキサン、3-メチルチオ-2,4-ジチアペンタン、チオ酢酸メチル、チオプロピオン酸メチル、チオ酪酸メチル、チオイソ吉草酸メチル、チオイソ酪酸メチル、メチオナール、メチルチオアセトアルデヒド、又はそれらの組み合わせから選択される。なお更なる実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を実質的に含まない。また更なる実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、10ppm未満の少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む。ある特定の実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、0.1ppm未満の少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む。更なる実施形態では、純化されたアルコール含有原料は、1ppb未満の少なくとも1つの窒素及び/又は硫黄含有不純物を含む。
【0046】
バッチ(不連続)蒸留が使用されるいくつかの実施形態では、本開示は、不純アルコール混合物がケトルにチャージされる蒸留方法を含む。ケトルのサイズは、1ガロン、5ガロン、10ガロン、50ガロン、250ガロン、500ガロン、1000ガロン、又はそれ以上であってもよい。ケトルは、モーターに取り付けられた回転ブレード、又は蒸留液の再循環のいずれかによって、熱均一性を達成するために撹拌される。いくつかの実施形態では、ケトルは蒸気によって加熱され、他の実施形態では、ケトルは熱い油によって加熱され、他の実施形態では、ケトルは電気的に直接加熱される。他の実施形態では、ケトルは、天然ガス、油、又は石炭により加熱される。いくつかの実施形態では、ケトルは、別のプロセスからの廃熱により加熱される。本蒸留システムは、供給源に関係なく、熱の供給を受ける。
【0047】
いくつかの実施形態では、ケトルは、約50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、130℃、150℃、又はそれ以上の温度に加熱される。混合物の構成要素をケトルの温度未満の沸点で沸騰させることから得られた蒸気性アルコールは、垂直に配向された蒸留塔を通り、ここで、加熱された蒸気性アルコールは、蒸気性アルコールから不純物を吸着する金属合金で構成されたプレート又はトレイと接触する。不純物は、硫黄又は窒素のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、金属合金は、蒸気アルコールが金属合金と接触する蒸留システム内の任意の地点に存在することができる。
【0048】
連続蒸留が使用されるいくつかの実施形態では、本開示は、アルコール含有混合物が加熱された蒸留塔に導入される蒸留方法に関する。いくつかの実施形態では、アルコール含有混合物は、その沸点で又は沸点付近で、加熱された蒸留塔に導入される。アルコール含有混合物が塔に導入される入口点は、供給プレートと呼ばれ、供給プレートの上にあるプレートが整流部を構成し、供給プレートの下にあるプレートが回収部を構成する。いくつかの実施形態では、整流部は加熱され、一方で回収部は冷却されるか、又は整流部よりも低い温度に加熱される。いくつかの実施形態では、整流部及び回収部の両方又は一方は、プレート、規則充填物、又は金属合金で構成される任意の他の充填物で構成される。いくつかの実施形態では、金属合金は、蒸気アルコールが金属合金と接触する蒸留システム内の任意の地点に存在することができる。いくつかの実施形態では、金属合金は、最大の表面積を有するように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、本蒸留システムは、初期蒸留ステップ、続いてコンデンサ内での凝縮、続いて分子篩システム内での脱水、続いて仕上げ蒸留ステップを含む分離システムの構成要素である。いくつかの実施形態では、本蒸留システムは、初期蒸留ステップ及び仕上げ蒸留ステップを含むシステムの構成要素である。
【0050】
いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、エタノールである。いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、メタノールである。いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、n-プロパノール又はイソプロパノールなどのプロパノールの異性体である。いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、ブタノールの異性体である。いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、ペンタノールの異性体である。
【0051】
いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、蒸留酒又は任意の他のアルコール飲料の成分として使用されるエタノールである。いくつかの実施形態では、アルコール混合物から蒸留される所望の生成化合物は、殺菌剤又は他の薬物若しくは医薬品の成分として使用されるエタノールである。
【0052】
蒸留のためのシステム
なお更なる態様では、不純物除去のための反応性要素を組み込む蒸留のシステムが本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本システムは、第1の塔において水及び重質不純物の除去を、第2の塔においてメタノール及び軽質不純物の除去を、そして第3の塔において反応蒸留を提供する。ある特定の実施形態では、分子篩を使用して、得られたエタノールから水を精製及び除去する。ある特定の実施形態では、本システムは、不規則充填物又は規則充填物を使用する連続蒸留塔を利用する。
【0053】
水及び重質不純物を除去するための任意の好適な塔を、本開示のシステムとともに使用することができる。水及び重質不純物を除去するための例示的な塔は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,813,890号に開示されている。メタノール及び軽質不純物を除去するための任意の好適な塔を、本開示のシステムとともに使用することができる。メタノール及び軽質不純物を除去するための例示的な塔は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,813,890号に開示されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、本システムは、1つの重質不純物除去塔を含む。いくつかの実施形態では、本システムは、2つ以上の重質不純物除去塔を含む。いくつかの実施形態では、本システムは、1つの軽質不純物除去塔を含む。いくつかの実施形態では、本システムは、2つ以上の軽質不純物除去塔を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、重質不純物除去塔は、水をエタノール及びメタノールから分離させるために最適化される。いくつかの実施形態では、重質除去塔は、n-プロパノールをエタノール及びメタノールから分離させるために最適化される。いくつかの実施形態では、重質除去塔は、エタノールメタノールから分離させるために最適化される。いくつかの実施形態では、重質除去塔は、イソプロパノールをメタノールから分離させるために使用される。
【0056】
いくつかの実施形態では、軽質不純物除去塔は、メタノールをエタノールから分離させるために最適化される。いくつかの実施形態では、軽質除去塔は、ジメチルエーテルをメタノールから分離させるために最適化される。いくつかの実施形態では、軽質除去塔は、純エタノールを生成するために最適化される。いくつかの実施形態では、軽質除去塔は、純メタノールを生成するために最適化される。
【0057】
定義
本明細書で使用される場合、数値の前に使用される「約」という用語は、その値が、記載された値の±10%、±5%、又は±1%以内など、合理的な範囲内で変化してもよいことを示す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「重量パーセント」又は「%w/w」という用語は、組成物中の化合物及び/又は構成要素の重量による量を、総組成物の重量のパーセンテージとしての組成物の構成成分の重量による量として指すことを意味する。重量パーセントは、質量分率に100を乗じて計算することもできる。「質量分率」は、質量rmの1つの物質と総組成物の質量mとの比であり、このため、質量パーセント=(m/m)*100となる。
【0059】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙されたエンドポイントを含むものであり、独立して組み合わせ可能である(例えば、「50mg~500mg」の範囲は、エンドポイントである50mg及び500mg、並びに全ての中間値を含む)。
【0060】
本明細書で使用される場合、「合金」という用語は、金属マトリックス中の1つ以上の元素の部分的又は完全な固体溶液を指す。
【実施例
【0061】
実施例1:銀/銅合金不規則充填物を使用するバッチ分別蒸留システムにおける不純物のエタノールからの除去
加熱のために撹拌した熱い油浴に部分的に浸漬した1000mLの丸底フラスコからなるガラス分別蒸留装置を組み立てる。メッシュ支持体を、1000mLのフラスコと、銀/銅合金鋳造粒(93.5%銀、5.3%銅、及び1.2%ゲルマニウム)を充填したVigreuxカラムとの間に置く。3方向温度計アダプタ、水冷式Liebigコンデンサ、真空アダプタ、及び500mLの受取フラスコを、合金充填したVigreuxカラムに接続する。Vigreuxカラムをアルミホイルで包んで、熱損失を最小にする。1000mLの加熱した丸底フラスコに、微量の硫黄化合物を示すわずかな臭気及び味を伴う500mLの約80%エタノールと水との混合物、及び撹拌棒を入れる。熱い油浴を約95℃に加熱し、温度プローブを使用して6時間モニタリングした後、生成物である微量の硫黄臭及び味を伴わない純化されたエタノール(約約95%)を500mLの受取フラスコから除去する。
【0062】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同じように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書のあらゆる定義を含めて、本出願が優先されることになる。
【0063】
均等物
本発明の具体的な実施形態を考察してきたが、上記の明細書は、例示であり、制限するものではない。本発明の多くの変形例が、本明細書及び以下の特許請求の範囲の精査により、当業者に明白となるであろう。本発明の全範囲は、それらの均等物の全範囲とともに特許請求の範囲、及びそのような変形例とともに本明細書を参照することによって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】