(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】自動焦点合わせ顕微鏡システムのための深層学習モデル
(51)【国際特許分類】
G02B 21/26 20060101AFI20230830BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20230830BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20230830BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20230830BHJP
【FI】
G02B21/26
G02B21/36
G02B7/28 J
G03B13/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507491
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021044988
(87)【国際公開番号】W WO2022032126
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511289471
【氏名又は名称】ナノトロニクス イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NANOTRONICS IMAGING,INC.
【住所又は居所原語表記】2251 FRONT STREET,SUITE 110,P.O.BOX 306,CUYAHOGA FALLS,OHIO 44223,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャロウコフ,デニス ワイ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァノフ,トニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョナサン
【テーマコード(参考)】
2H011
2H052
2H151
【Fターム(参考)】
2H011AA06
2H011BB03
2H052AD09
2H052AD18
2H052AD20
2H052AF14
2H052AF25
2H151AA11
(57)【要約】
コンピューティングシステムは、イメージセンサから、顕微鏡システムの試料ステージ上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信する。コンピューティングシステムは、少なくとも2つの画像を試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給する。コンピューティングシステムは、自動焦点モデルによって、試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を特定する。特定するステップに基づいて、コンピューティングシステムは、顕微鏡システムの対物レンズに対しての試料ステージの位置を自動的に調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を撮像する光学系であって、対物レンズ、および撮像中に前記試料を支持するように構成された試料ステージを備える光学系と、
前記光学系を自動的に焦点合わせする焦点検出システムであって、前記焦点検出システムは、プロセッサおよびメモリを含むコンピューティングシステムを備える焦点検出システムと、を備える顕微鏡システムであって、
前記メモリは、そこに記憶されたプログラミングコードを有し、前記プログラミングコードは、前記プロセッサによって実行されるときに、前記コンピューティングシステムに、
前記コンピューティングシステムが、前記光学系から、前記試料ステージ上に配置された前記試料の少なくとも2つの画像を受信することと、
前記コンピューティングシステムが、前記少なくとも2つの画像を前記試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給することと、
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定することと、
前記特定することに基づいて、前記コンピューティングシステムが、前記顕微鏡システムの前記対物レンズに対しての前記試料ステージの位置を自動的に調整することと、を含む動作を実行させる、顕微鏡システム。
【請求項2】
前記コンピューティングシステムが、前記光学系から、前記顕微鏡システムの前記試料ステージ上に配置された前記試料の前記少なくとも2つの画像を受信することは、
第1のz位置における前記少なくとも2つの画像の第1の画像を受信することと、
第2のz位置における前記少なくとも2つの画像の第2の画像を受信することと、を含む、請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記試料ステージのx位置およびy位置は、一定のままであり、一方、前記第1のz位置は、前記第2のz位置とは異なる、請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定することは、
前記焦点面までの距離の範囲を生成することを含み、前記距離の範囲は、前記焦点面までの実際の距離を含む、請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記コンピューティングシステムが、前記光学系から、前記顕微鏡システムの前記試料ステージ上に配置された前記試料の前記少なくとも2つの画像を受信することは、
前記試料の第1の焦点面における少なくとも1つの画像を受信することと、
前記試料の第2の焦点面における少なくとも1つの画像を受信することと、を含む、請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項6】
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定することは、
前記試料の前記第1の焦点面までの少なくとも1つの第1の距離を特定することと、
前記試料の前記第2の焦点面までの少なくとも1つの第2の距離を特定することと、を含む、請求項5に記載の顕微鏡システム。
【請求項7】
前記コンピューティングシステムが、前記顕微鏡システムの前記対物レンズに対しての前記試料ステージの前記位置を自動的に調整することは、
前記顕微鏡システムの駆動機構に前記試料ステージと前記対物レンズとの間の距離を調整させることを含む、請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項8】
コンピューティングシステムが、イメージセンサから、顕微鏡システムの試料ステージ上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記少なくとも2つの画像を前記試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給するステップと、
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定するステップと、
前記特定するステップに基づいて、前記コンピューティングシステムが、前記顕微鏡システムの対物レンズに対しての前記試料ステージの位置を自動的に調整するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
前記コンピューティングシステムが、前記イメージセンサから、前記顕微鏡システムの前記試料ステージ上に配置された前記試料の前記少なくとも2つの画像を受信するステップは、
第1のz位置における前記少なくとも2つの画像の第1の画像を受信するステップと、
第2のz位置における前記少なくとも2つの画像の第2の画像を受信するステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記試料ステージのx位置およびy位置は、一定のままであり、一方、前記第1のz位置は、前記第2のz位置とは異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定するステップは、
前記焦点面までの距離の範囲を生成するステップを含み、前記距離の範囲は、前記焦点面までの実際の距離を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記コンピューティングシステムが、前記イメージセンサから、前記顕微鏡システムの前記試料ステージ上に配置された前記試料の前記少なくとも2つの画像を受信するステップは、
前記試料の第1の焦点面における少なくとも1つの画像を受信するステップと、
前記試料の第2の焦点面における少なくとも1つの画像を受信するステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定するステップは、
前記試料の前記第1の焦点面までの少なくとも1つの第1の距離を特定するステップと、
前記試料の前記第2の焦点面までの少なくとも1つの第2の距離を特定するステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピューティングシステムが、前記顕微鏡システムの前記対物レンズに対しての前記試料ステージの前記位置を自動的に調整するステップは、
前記顕微鏡システムの駆動機構に前記試料ステージと前記対物レンズとの間の前記距離を調整させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数の命令シーケンスを含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、1つまたは複数の命令シーケンスは、プロセッサによって実行されるときに、コンピューティングシステムに、
コンピューティングシステムが、イメージセンサから、顕微鏡システムの試料ステージ上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信することと、
前記コンピューティングシステムが、前記少なくとも2つの画像を前記試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給することと、
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定することと、
前記特定することに基づいて、前記コンピューティングシステムが、前記顕微鏡システムの対物レンズに対しての前記試料ステージの位置を自動的に調整することと、を含む動作を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記コンピューティングシステムが、前記イメージセンサから、前記顕微鏡システムの前記試料ステージ上に配置された前記試料の前記少なくとも2つの画像を受信することは、
第1のz位置における前記少なくとも2つの画像の第1の画像を受信することと、
第2のz位置における前記少なくとも2つの画像の第2の画像を受信することと、を含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定することは、
前記焦点面までの距離の範囲を生成することを含み、前記距離の範囲は、前記焦点面までの実際の距離を含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記コンピューティングシステムが、前記イメージセンサから、前記顕微鏡システムの前記試料ステージ上に配置された前記試料の前記少なくとも2つの画像を受信することは、
前記試料の第1の焦点面における少なくとも1つの画像を受信することと、
前記試料の第2の焦点面における少なくとも1つの画像を受信することと、を含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記自動焦点モデルによって、前記試料の前記焦点面までの前記少なくとも1つの距離を特定することは、
前記試料の前記第1の焦点面までの少なくとも1つの第1の距離を特定することと、
前記試料の前記第2の焦点面までの少なくとも1つの第2の距離を特定することと、を含む、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記コンピューティングシステムが、前記顕微鏡システムの前記対物レンズに対しての前記試料ステージの前記位置を自動的に調整することは、
前記顕微鏡システムの駆動機構に前記試料ステージと前記対物レンズとの間の前記距離を調整させることを含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月7日に出願した米国仮出願第63/062,592号の優先権を主張するものであり、これは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
焦点面を見つけることは、イメージングシステムにとって重要である。正確な焦点面において、関心の全ての特徴は、はっきり見え、高いコントラストを有する。顕微鏡検査において、この面を見つけることは、典型的には、画像がどのくらい焦点合わせされたのか評価するためのコントラストスコアリングメトリック、およびより高いコントラストスコアを有する画像にシステムを向けるためのZ軸探索アルゴリズムを用いることによって行われる。しかしながら、この焦点合わせ手順は、広いZ軸範囲にわたって多数の画像を収集および評価することにより時間がかかり得る。さらに、所与のサンプルについて最良のコントラストスコアリングメトリックを特定することは、簡単でない作業である。例えば、試料検査の分野において、これらの課題は、試料ごとに複数の位置で焦点合わせを必要とする多数の試料の検査を伴う高スループット生産目標を妨げ得る。別の例では、光に敏感な生体サンプルの検査分野では、サンプルの光退色は、サンプルに対する伝統的な焦点合わせの最中の光への長時間の露出により生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、顕微鏡システムが本明細書に開示される。顕微鏡システムは、試料を撮像する光学系と、光学系を自動的に焦点合わせする焦点検出システムとを含む。光学系は、対物レンズと、撮像中に試料を支持するように構成された試料ステージとを含む。焦点検出システムは、プロセッサおよびメモリを含むコンピューティングシステムを含む。メモリは、そこに記憶されたプログラミングコードを有し、プログラミングコードは、プロセッサによって実行されるときに、コンピューティングシステムに動作を実行させる。動作は、コンピューティングシステムが、光学系から、試料ステージ上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信することを含む。動作は、コンピューティングシステムが、少なくとも2つの画像を試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給することをさらに含む。動作は、自動焦点モデルによって、試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を特定することをさらに含む。動作は、特定することに基づいて、コンピューティングシステムが、顕微鏡システムの対物レンズに対しての試料ステージの位置を自動的に調整することをさらに含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、方法が本明細書中に開示される。コンピューティングシステムは、イメージセンサから、顕微鏡システムの試料ステージ上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信する。コンピューティングシステムは、少なくとも2つの画像を試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給する。コンピューティングシステムは、自動焦点モデルによって、試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を特定する。特定するステップに基づいて、コンピューティングシステムは、顕微鏡システムの対物レンズに対しての試料ステージの位置を自動的に調整する。
【0005】
いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体が本明細書中に開示される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、1つまたは複数の命令シーケンスを含み、1つまたは複数の命令シーケンスは、プロセッサによって実行されるときに、コンピューティングシステムに、動作を実行させる。この動作は、コンピューティングシステムが、イメージセンサから、顕微鏡システムの試料ステージ上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信することを含む。上記動作は、コンピューティングシステムによって、少なくとも2つの画像を試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を検出するための自動焦点モデルへ供給することをさらに含む。上記動作は、自動焦点モデルによって、試料の焦点面までの少なくとも1つの距離を特定することをさらに含む。上記動作は、特定するステップに基づいて、コンピューティングシステムが、顕微鏡システムの対物レンズに対しての試料ステージの位置を自動的に調整することをさらに含む。
【0006】
本開示の上に挙げた特徴を詳細に理解できるように、上に簡単に要約された本開示のより詳細な説明は、実施形態を参照することによって行われ得、その一部は、添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、その範囲の限定とみなされるべきでなく、本開示に関して、他の等しく有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示実施形態による例示的な顕微鏡システムを示す図である。
【0008】
【
図2】例示実施形態による自動焦点モデルのアーキテクチャを示す図である。
【0009】
【
図3】例示実施形態による顕微鏡システムを自動的に焦点合わせする方法を示す流れ図である。
【0010】
【
図4A】例示実施形態によるシステムバスコンピューティングシステムアーキテクチャを示す図である。
【0011】
【
図4B】例示実施形態によるチップセットアーキテクチャを有するコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を助けるために、可能であれば、各図に共通である同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。ある実施形態に開示される要素は、特定の詳述がなくても、他の実施形態に対して有益に利用され得ることが考えられる。
【0013】
焦点合わせは、顕微鏡システムの重要な機能であり、自動式焦点合わせに関する研究が、1970年代以来続いている。様々な解決策が探求されており、それらは、システムを焦点合わせするために顕微鏡に取り付けられた特別なハードウェアを使用するハードウェア自動焦点合わせ、およびシステムを焦点合わせするために画像データに対して実行されるアルゴリズムを使用するソフトウェア自動焦点合わせといった2つのカテゴリーに分類される。
【0014】
典型的には、市販のハードウェア自動焦点合わせシステムは、焦点が合っている位置を決定するために共焦点変位構成においてレーザまたは白色光を利用する。精確で高速であるが、これらのシステムは、かなり高価であり得、適切に反射するサンプルを必要とし、画像アーチファクトを引き起こし得る。いくつかの他のハードウェアベースの焦点合わせする方法は、焦点合わせを実行するより安上がりなハードウェアを必要とし、位相センサを用いて取得したデータを使用し、次いで、深層強化学習を適用して焦点までの距離を予測し、コヒーレントなLED照明の下で得られた焦点がぼけた画像のフーリエ変換を計算し、次いで、全結合フーリエニューラルネットワークを使用して焦点を予測するものが提案されている。ずっとより経済的であるが、これらの手法の両方は、位相センサおよびLEDパターン照明器を必要とするさらなるハードウェアを設置することを必要とする。そのようなハードウェアの設置は、一部のシステムに関しては実行不可能であり得る。本システムは、余分なハードウェアの要件を有さない。
【0015】
他方で、ソフトウェアアルゴリズムは、実時間でZ軸を調整することによって、および様々なZ軸の位置で画像を取得し、計算を実行することによって、最適な焦点面についての探索を実行する。スコアリングとしても知られる原画像に関するこの計算は、画像がどのくらい焦点合わせされているのかの定量化を可能にするメトリックを計算する。典型的には、焦点合わせスコアは、ソーベルカーネルなどのエッジ検出カーネルを画像中の全ての画素に適用し、画素値を合計することによって計算されるコントラストメトリックである。スコアリングメトリックと共に、次いで、いくつかの異なる探索アルゴリズムが、正確な焦点面を特定するために用いられてもよい。線形探索または二分探索は、予め定められた探索ウィンドウ内で焦点面を見つけるために用いることができる。代替として、パラボリック探索が、予め定められた探索ウィンドウの要求をなくすために使用されてもよい。このアルゴリズムは、焦点合わせスコア関数が放物線であると仮定し、次いで、焦点合わせスコア放物線の頂点を推定するためにスコア関数の導関数を計算する。良好な信号対ノイズ比および十分な量のエッジ特徴を有する画像では、コントラストスコアリング関数は、焦点面の精確な決定を与える。それにもかかわらず、顕微鏡チャックを移動させ、画像を取得することによって探索アルゴリズムを実行することは、時間がかかるものであり得る。
【0016】
従来の焦点合わせアルゴリズムの時間制限を克服するために、本明細書に記載の1つまたは複数の技法は、短い距離で(例えば、z方向に)離された少なくとも2つの画像を利用し、これは、ワンショットで焦点面までのオフセット距離を予測する。例えば、本明細書に記載の1つまたは複数の技法は、試料サンプルからの異なるX、Y、およびZ軸位置によるデータに対して訓練される回帰型畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを使用することができる。この手法は、Z軸を掃引する必要なく焦点までの距離をワンショットで予測するので、これは、古典的な方法と比較してずっと速い。限られた入力データでも、本手法は、非常に高いレベルの精度でフォーカス距離に対してのオフセットを見つける。いくつかの実施形態では、コントラストメトリックは、予測された位置が被写界深度内にあることを検証するために使用され得る。いくつかの実施形態では、焦点面に到達しなかったときにはそのように、手順が反復されてもよく、または高精度焦点合わせアルゴリズムが何らかの誤差について補正するように実行される。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像は、それらのZ軸位置においてのみ異なり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像は、それらのX、Y軸位置においてさらに異なり得る。そのような実施形態では、自動焦点モデルは、ある点における焦点面までのオフセット距離を予測することができる。この手法は、Z軸に移動するのを待ちつつ、XおよびY方向の移動を可能にすることができ、これにより、試料上の多くの点における推定された焦点位置のより高速な取得を可能にすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、手順は、分析されている試料に応じて複数のレベルについて繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような動作は、複数の焦点面を有する試料に適用されてもよく、したがって、試料内の特定の焦点面の一貫した選択を可能にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、手順は、明視野と暗視野の両方のイメージングに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、手順は、蛍光イメージングに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、手順は、UVイメージングに適用されてもよい。
【0020】
上述したように、従来の 顕微鏡検査の焦点合わせ方法は、焦点面を評価するためにZ軸を通じて時間がかかる掃引を実行する。本明細書に記載の1つまたは複数の技法は、設定距離だけ離された少なくとも2つの画像の入力を用いて、任意の初期位置から焦点面までの距離オフセットをワンショットで予測する深層学習モデルを実施するシステムを設けることによって従来の手法を改良する。これらの2つの画像の差は、焦点ずれ収差の量と焦点面からの距離との間のダイレクトマッピングを学習するように訓練され得る回帰型CNNモデルによって処理することができる。いくつかの実施形態では、訓練データセットは、サンプル上の異なる表面位置でおよび焦点から異なる距離で試料サンプルから取得することができる。いくつかの実施形態では、グラウンドトゥルース焦点面は、Tenengradスコアリングメトリックと共にパラボリック自動焦点合わせアルゴリズムを用いて決定することができる。いくつかの実施形態では、CNNモデルは、ベア試料サンプルおよびパターンのある試料サンプルに対してテストされ得る。モデルは、高い信頼性で焦点が合っている位置を決定することができ、古典的なコンピュータビジョンに頼る従来の方法よりもかなり高速である。さらに、本システムは、焦点面が見つからなかった稀なケースを検出し、高精度焦点合わせアルゴリズムを適用して結果を補正することができる。十分な訓練データの収集で、本深層学習焦点合わせモデルは、かなりより高速な、従来の焦点合わせ方法の代替を与える。
【0021】
自動焦点合わせのための従来の一手法は、焦点が合っているシステムを得るためにいくつかの粗いステップおよび細かいステップを通じて自動焦点合わせポリシーを学習する深層強化学習の使用である。このシステムとは異なり、本手法は、単一のステップで焦点合わせを実現する。他の従来の方法は、CNN特徴を使用して、システムを焦点合わせするために使用される焦点品質予測を生成するために焦点画像および/またはCNNと人の手で設計された特徴との組合せから検出するように使用される確率スコアを生成する。これらの方法とは異なり、本システムは、焦点までの距離を直接予測し、いくつかの抽象的なフォーカスメトリックを予測しないように構成される。
【0022】
別の従来の手法は、単一の焦点がぼけた画像から焦点合わせされた画像を生成する単一のショットの自動焦点合わせを説明した。例えば、この手法は、焦点が合っている画像と焦点が合っていない画像のペアから学習する敵対的生成ネットワーク(GAN)を利用した。本モデルとの重要な差異の1つは、それがオンライン設定で使用されるように設計され、焦点までの距離を生成することである。比較において、この従来のモデルは、合成されたオフラインの焦点合わせされた画像を生成する。さらに、自動焦点合わせの別の従来の手法は、単一の焦点がぼけた画像からのフォーカス距離を得るために残差CNNを使用する。この手法は、点像分布関数(PSF:Point Spread Function)における非対称性により、第2の画像を必要とすることなく、CNNが焦点面に対してのオフセット方向を特定することを可能にすることを必要とする。本システムは、決定を行う際に少なくとも2つの画像を利用するので、本システムは、同様の仮定を行う必要がない。
【0023】
またさらに別の従来の手法は、一定の距離で得られる2つの画像間の差異を活用し、次いで、これは、フォーカス距離を予測するためにCNNに送られる。差異は、対称PSFの場合には、(上へまたは下への)移動の方向を本質的に符号化する。他方で、本システムは、既製品のニューラルネットワークを活用する代わりに、カスタムのニューラルネットワークアーキテクチャを使用する。本システムは、特徴がなく、焦点合わせするのがずっとより難しい異なるタイプの画像データに対する実験も実行する。
【0024】
図1は、例示実施形態による例示的な顕微鏡システム10を示す。顕微鏡システム10は、試料をイメージングするための光学系12と、自動的な焦点合わせのための焦点検出システム14とを含むことができる。顕微鏡システム10は、改良型反射光顕微鏡を光学系12として用いることができるが、透過光顕微鏡に同様に適合され得ることに留意されたい。
【0025】
光学系12は、対物レンズ18の下で試料Sを保持する試料ステージ16を含むことができる。光学系12は、光源20と、試料Sを照明する垂直照明器22とをさらに含むことができる。光学系12は、調整可能なFストップ(F-Stop)24を含むこともできる。イメージセンサ26は、対物レンズ18を通って透過された画像を受信することができる。いくつかの実施形態では、イメージセンサ26は、焦点検出システム14の構成要素とみなされることができる。
【0026】
焦点検出システム14は、モータ28と、駆動機構30とを含むことができ、モータ28および駆動機構30は、対物レンズ18に向かっておよび対物レンズ18から離れるように試料ステージ16(および、したがって、その上の試料S)を移動させるように動作する。駆動機構30は、試料ステージ16を前進させるようにモータ28によって回転されることが可能であるねじを表し得る。例えば、試料ステージ16は、駆動機構30を一方向に(例えば、時計回りに)回転させることによって上向きの方向に移動させられ得る。同様に、試料ステージ16は、駆動機構30を反対方向に(例えば、反時計回りに)回転させることによって下向きの方向に移動させられ得る。駆動機構30は、本図においてスクリーン(screen)として具体化され得るが、他の駆動機構が使用されてもよいと理解される。対物レンズ18と試料Sの相対移動は、重要であり、代替としてまたはさらに、駆動機構が、試料Sに対して対物レンズ18を移動させるように顕微鏡を操作することができるようになっている。概して、駆動機構30は、本機器および方法によって実験的に決定される被写界深度の大きさが、典型的にはとても小さいので、ステージ16、およびしたがってその上の試料Sが、ミクロンのオーダーで、またはもっとより好ましくはナノメートルのオーダーで、とても小さい増分で移動することができるようになり得る。モータ28は、コンピューティングシステム32によって制御され、1つまたは複数の接続34、または無線通信などの他の適切な機構を介してモータ28と通信することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、焦点検出システム14は、Fストップ24を開閉するためにモータ36を含むこともできる。モータ28と同様に、モータ36も、コンピューティングシステム32によって制御され、1つまたは複数の接続34、または無線通信などの他の適切な機構を通じてモータ36と通信することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32およびイメージセンサ26は、1つまたは複数の接続40あるいは無線通信などの他の適切な機構を介して通信することができる。オペレータが所望の制御およびデータを入力することを可能にするために、オペレータ入力ユニット42、例えば、キーボード、タッチスクリーンモニタ、または他の標準的な手段が、利用可能であり得る。
【0029】
図示のように、コンピューティングシステム32は、自動焦点モデル100を含むことができる。自動焦点モデル100は、光学系12を焦点合わせする目的のために、対物レンズ18に対して試料ステージ16の位置を自動的に調整するように構成され得る。自動焦点モデル100は、試料の2つの画像の入力に基づいて、合焦するための符号付きの距離(例えば、正又は負の距離)を予測するために、(例示的な実施形態によるU-Netアーキテクチャに基づく予測モデルを示す)
図1に示された回帰型畳み込みニューラルネットワークを表し得る。例えば、自動焦点モデル100は、2つの画像の間で焦点合わせするための差異を特定することができる。上の画像は、焦点面よりも上の場合に合焦に満たない場合があり、焦点面の下の場合に合焦を上回り、したがって、符号付きの差異となるので、この差異は、焦点合わせするための方向を自動的に符号化することができる。
【0030】
図2は、例示実施形態による自動焦点モデル100の例示的なアーキテクチャ200を示すブロック図である。自動焦点モデルは、5つの畳み込みブロック202と、それに続く高密度出力層204とを含むことができる。各畳み込みブロック202は、3x3フィルタを有する畳み込み層206、正規化線形活性化関数(ReLU)(図示せず)、および2のダウンサンプリングファクタを有する最大プーリング層210を含むことができる。いくつかの実施形態では、バッチ正規化層(a batch normalization layer)212は、それぞれの最大プーリング層210の後に導入することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、自動焦点モデル100は、4で始まって64まで行く連続的な畳み込みブロック202ごとの特徴マップの個数を2倍にすることができる。自動焦点モデル100は、出力高密度層204をさらに含むことができる。出力高密度層204は、先の畳み込み層に完全に接続されている線形活性化を有する単一のノードを含むことができる。いくつかの実施形態では、線形活性化は、焦点合わせするための距離についての正および負の値を実現するために使用され得る。アーキテクチャ200は、過剰適合を避けるために選択することができるが、そのサイズは、訓練を効率的にさせる。
【0032】
訓練中、コンピューティングシステム32は、損失関数として、
【数1】
のように定義される二乗平均平方根誤差(RMSE)を使用することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32は、通常のHe初期化子を用いて自動焦点モデル100の重みを初期化することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32は、訓練中にアダムオプティマイザを使用することができる。例えば、コンピューティングシステム32は、初期学習率0.0001、およびバリデーション損失(the validation loss)のプラトー上で10の累乗だけ減衰する学習率を用いるアダムオプティマイザを使用することができる。しかしながら、当業者は、他の学習率が使用されてもよいことを理解する。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32は、例えば、訓練について約16およびバリデーションについて約4のバッチサイズで約100エポックにわたって自動焦点モデル100を訓練することができる。試験中、コンピューティングシステム32は、参照自動焦点合わせアルゴリズム(a reference auto-focus algorithm)によって決定されるとき、最適な焦点位置からの画像の距離を計算し、この距離が対物レンズ18の被写界深度(DoF)内に入るかチェックすることによって、画像が焦点にあるかを評価することができる。例えば、5x対物レンズの場合、距離は、約12.2μmである。次いで、コンピューティングシステム32は、以下のように、焦点が合っている画像の割合を計算することができる。
【数2】
【0034】
いくつかの実施形態では、焦点面を決定するために使用される参照自動焦点合わせアルゴリズムは、Tenengradスコアリングメトリックを有するパラボリック探索フォーカス(Parabolic Search Focus)であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、データセットは、自動検査プラットフォームであるnSpec(商標)を用いて生成することができる。いくつかの実施形態では、顕微鏡システム10は、閉じられたFストップ24を用いてベア試料を、および開いたFストップ24を用いてパターンのある試料を、約5x倍率でスキャンすることができる。図示のように、顕微鏡システム10は、各試料にわたって広がった複数の位置をスキャンすることができる。各位置において、顕微鏡10のシステムは、画像のZスタックを収集することができる。例えば、収集された画像のZスタックは、位置ごとに合計約600枚の画像を作製する約1μmの間隔で、焦点面のあたりで約+300μmから約-300μmの範囲内にあり得る。いくつかの実施形態では、2つの近くの画像の近接に関する増分zの移動、および訓練セットに関連したz移動の決定は、経験に従ってまたは被写界深度(DOF)の関数としてのステップサイズの関連によって設定され得る。例えば、特定の対物レンズのDOFが20μmである場合、ステップサイズは、DOFの5%などのDOFの関数として決定することができ、ステップを1μmであると割り当てる。当業者が認識するように、他の範囲、間隔、および画像が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、各画像の寸法は、約2200x2752であり得る。いくつかの実施形態では、各画像は、約1100x1376の単一チャンネル画像の半分にダウンサンプリングされてもよい。サンプル入力画像は、
図1に示される。各画像は、ニューラルネットワークへの入力である差分画像を計算するためにそれを上回る約+10μmの画像でペアにされ得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、各位置におけるデータは、訓練、バリデーション、および試験のセットにランダムに分けられた。例えば、データは、400:100:100の比で訓練、バリデーション、および試験のセットに分けられてもよい。いくつかの実施形態では、モデルは、初期学習率0.0001で訓練され、それは、プラトー上で10分の1に減少した。いくつかの実施形態では、バッチサイズは、訓練セットについて16に設定され、およびバリデーションセットについて4に設定された。
【0037】
いくつかの実施形態では、予測モデルの精度および速度を確立するために、顕微鏡システム10は、全てのデータ位置にわたっておよび焦点から様々な距離で複数の試験画像に対して試験を行うことができる。いくつかの実施形態では、システムは、焦点面までの距離のRMSE、および焦点内の画像の割合(対物レンズのDoF内の画像の枚数)を測定することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、比較のために、伝統的な焦点合わせアルゴリズムの精度および速度を確立するために、コンピューティングシステム32は、複数のランダムな位置で焦点を計算することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32は、手動で決定された真の焦点から±300μm、±200μm、±100μm、および0μmで現在のコントラストベースの自動焦点合わせアルゴリズムパラボリック探索を実行し、その誤差および時間持続期間を測定することができる。
【0039】
コンピューティングシステム32は、約6.23μmのRMSEで焦点画像の約95%の精度を実現することができる。従来の手法と比較して、パラボリック自動焦点合わせは、精度99%、およびRMSE5.89μmを有した。自動焦点モデル100は、低い焦点の割合を有することができるが、RMSEは、従来の方法のものに類似していた。しかしながら、コンピューティングシステム32の平均焦点合わせ時間は、約0.79秒であり、比較において、従来の方法の平均焦点合わせ時間は、2.3秒で3倍遅い。自動焦点モデル100は、自動焦点合わせ予測を行うために約0.009秒であり得、時間の残りは、Z軸を移動させ、入力画像を取得することによって占められ得る。したがって、コンピューティングシステム32は、当分野で現在使用されているものよりもかなり高速であり、コンピューティングシステム32は、より大きいスループットでの試料検査を可能にし得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、焦点が合っている平面を予測することが難しいもののように、コンピューティングシステム32は、自動焦点モデル100によって予測される位置まで試料ステージ16を移動させ、画像を撮り、コントラストスコアリングメトリックを用いて光学系12の焦点合わせを評価することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、自動焦点モデル100からの出力は、焦点面までの推定値として働くことができる。コンピューティングシステム32は、この推定値を使用して、1つまたは複数の高精度焦点合わせアルゴリズムを用いて試料の焦点面を特定することができる。このやり方では、自動焦点モデル100からの出力は、焦点面までの実際の距離の代わりに、コンピューティングシステム32が焦点面を特定するための開始位置として働くことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、自動焦点モデル100からの出力は、焦点面までの真の距離におそらく近い、または焦点面までの真の距離を含む距離の範囲であり得る。この距離の範囲を用いて、コンピューティングシステム32は、焦点面までの実際の距離を特定するために距離の範囲内で1つまたは複数の高精度焦点合わせアルゴリズムを実施することができる。そのような手法は、例えば、それがコンピューティングシステム32に焦点距離のより正確な推定値を与えることができるので、役立ち得る。このように、コンピューティングシステム32は、自動焦点モデル100を利用して、焦点面までの距離の実際の数値を与える代わりに、ある試料位置で焦点面を評価することができる。
【0043】
図3は、例示実施形態による顕微鏡システム10の光学系12を自動的に焦点合わせする方法300を示す流れ図である。方法300は、ステップ302で始まることができる。
【0044】
ステップ302において、コンピューティングシステム32は、顕微鏡システム10の試料ステージ16上に配置された試料の少なくとも2つの画像を受信することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像は、z方向に一定の距離離れたところで得られ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像は、試料の焦点面の上方で得られる第1の画像と、試料の焦点面の下方で得られる第2の画像とを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像は、試料の焦点面の上方で得られ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像は共に、試料の焦点面の下方で得られ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像の画像ごとに、試料ステージ16の位置または試料ステージ16上の試料は、一定であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの画像の画像ごとに、試料ステージ16の位置または試料ステージ16上の試料は、変えられてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、所与の対物レンズ18および試料についての複数の焦点面があってもよい。このようにして、コンピューティングシステム32は、複数の焦点面に基づいて2つ以上の画像のうちの複数のセットを受信することができる。
【0046】
ステップ304において、コンピューティングシステム32は、自動焦点モデル100に少なくとも2つの画像を与えることができる。自動焦点モデル100は、試料の焦点面までの距離を特定するように構成された回帰ベースの畳み込みニューラルネットワークを表すことができる。いくつかの実施形態では、試料の焦点面までの距離は、符号付きの差異であり得る。例えば、距離は、試料ステージ16が正または負の方向に移動されることを必要とするか示すことができる。
【0047】
ステップ306において、コンピューティングシステム32は、試料の焦点面までの距離を特定することができる。例えば、自動焦点モデル100は、少なくとも2つの画像を分析して、試料の焦点面および焦点面までの符号付きの差異を特定することができる。焦点面までの符号付きの距離は、対物レンズ18が合焦するために試料ステージ16が移動し得る距離を示すことができる。いくつかの実施形態では、焦点面までの単一の距離を特定するのではなく、コンピューティングシステム32は、焦点面までの距離の範囲を特定することができる。例えば、自動焦点モデル100は、少なくとも2つの画像を分析して、試料の焦点面、および焦点面までの符号付きの距離の範囲を特定することができる。
【0048】
ステップ308において、コンピューティングシステム32は、試料ステージ16の位置を自動的に調整することができる。例えば、特定された焦点面までの距離に基づいて、コンピューティングシステム32は、モータ28および/または駆動機構30に試料ステージ16と対物レンズ18との間の距離を調整させることができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32は、正の方向に試料ステージ16を調整することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム32は、負の方向に試料ステージ16を調整することができる。
【0049】
図4Aは、例示実施形態によるシステムバスコンピューティングシステム400のアーキテクチャを示す。システム400の1つまたは複数の構成要素は、バス405を用いて互いに電気通信していることができる。システム400は、プロセッサ(例えば、1つまたは複数のCPU、GPU、または他のタイプのプロセッサ)410と、システムメモリ415、例えば、リードオンリメモリ(ROM)420およびランダムアクセスメモリ(RAM)425を含む様々なシステム構成要素をプロセッサ410に結合するシステムバス405とを含むことができる。システム400は、プロセッサ410と直接接続され、そのすぐ近くに接続され、またはその一部として一体化された高速メモリのキャッシュを含むことができる。システム400は、プロセッサ410による迅速なアクセスのためにメモリ415および/または記憶装置430からキャッシュ412へデータをコピーすることができる。このようにして、キャッシュ412は、プロセッサ410がデータを待っている間に遅延するのを防ぐ性能ブーストを与えることができる。これらおよび他のモジュールは、様々なアクションを実行するためにプロセッサ410を制御するまたは制御するように構成されることが可能である。他のシステムメモリ415も、使用のために利用可能であり得る。メモリ415は、異なる性能特性を有する複数の異なるタイプのメモリを含むことができる。プロセッサ410は、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを表し得る。プロセッサ410は、プロセッサ410を制御するように構成された汎用プロセッサ、またはハードウェアモジュールもしくはソフトウェアモジュール、例えば、記憶装置430に記憶されたサービス1 432、サービス2 434、およびサービス4 436、ならびにソフトウェア命令が実際のプロセッサ設計に組み込まれている専用プロセッサのうちの1つまたは複数を含むことができる。本質的に、プロセッサ410は、マルチコアまたはプロセッサ、バス、メモリコントローラ、キャッシュなどを含む完全に自己完結したコンピューティングシステムであり得る。マルチコアプロセッサは、対称または非対称であり得る。
【0050】
システム400とのユーザインタラクションを可能にするために、入力装置445は、任意の個数の入力機構、例えば、スピーチ用のマイクロフォン、ジェスチャまたはグラフィカル入力用のタッチセンシティブスクリーン、キーボード、マウス、モーション入力、音声などであり得る。出力装置435(例えば、ディスプレイ)も、当業者に知られたいくつかの出力機構の1つまたは複数であり得る。いくつかの例では、多モードのシステムにより、システム400と通信するために、ユーザが複数のタイプの入力を行うことを可能にし得る。通信インタフェース440は、全体的に、ユーザ入力およびシステム出力を支配および管理することができる。いずれかの特定のハードウェア装置上の動作に関する制限はなく、したがって、ここで、基本的な特徴は、それらが開発されるときに、改善されたハードウェア構成またはフォームウェア構成に容易に取って代えられ得る。
【0051】
記憶装置430は、不揮発性メモリであり得るものであり、コンピュータによってアクセス可能であるデータを記憶することができるハードディスク、または他のタイプのコンピュータ可読媒体、例えば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、ソリッドステートメモリデバイス、デジタル多用途ディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)425、リードオンリメモリ(ROM)420、およびそれらのハイブリッドであり得る。
【0052】
記憶装置430は、プロセッサ410を制御するためのサービス432、434、および436を含むことができる。他のハードウェアモジュールまたはソフトウェアモジュールが考えられ得る。記憶装置430は、システムバス405に接続され得る。一態様では、特定の機能を実行するハードウェアモジュールは、機能を実行するために、必要なハードウェア構成要素、例えば、プロセッサ410、バス405、出力装置435(例えば、ディスプレイ)などに関連して、コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア構成要素を含むことができる。
【0053】
図4Bは、例示実施形態によるチップセットアーキテクチャを有するコンピュータシステム450を示す。コンピュータシステム450は、開示された技術を実施するために使用され得るコンピュータハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアの一例であり得る。システム450は、特定の計算を実行するように構成されたソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェアを実行することができる任意の個数の物理的におよび/または論理的に異なるリソースを表す1つまたは複数のプロセッサ455を含み得る。1つまたは複数のプロセッサ455は、1つまたは複数のプロセッサ455への入力、および1つまたは複数のプロセッサ455からの出力を制御することができるチップセット460と通信することができる。この例では、チップセット460は、ディスプレイなどの出力部465へ情報を出力し、例えば、磁気媒体およびソリッドステート媒体を含み得る記憶装置470への情報を読み書きすることができる。チップセット460は、RAM475からデータを読み込み、RAM475へデータを書き込むこともできる。種々のユーザインタフェース構成要素485とインタフェースをとるブリッジ480が、チップセット460とインタフェースをとるために設けられ得る。そのようなユーザインタフェース構成要素485は、キーボード、マイクロフォン、タッチ検出および処理回路、マウスなどのポインティングデバイスなどを含み得る。概して、システム450への入力は、種々のソースのいずれかから来る、機械生成される、および/または人により生成されることが可能である。
【0054】
チップセット460は、異なる物理インタフェースを有することができる1つまたは複数の通信インタフェース490とインタフェースをとることもできる。そのような通信インタフェースは、有線および無線ローカルエリアネットワークのための、ブロードバンド無線ネットワークのための、ならびにパーソナルエリアネットワークのためのインタフェースを含むこともできる。本明細書中に開示されるGUIを生成、表示、および使用する方法のいくつかの応用は、物理インタフェースを介して命じられたデータセットを受信することを含むことができ、あるいは記憶装置470または475に記憶されたデータを分析する1つまたは複数のプロセッサ455により機械自体によって生成されることができる。さらに、機械は、ユーザインタフェース構成要素485を通じてユーザから入力を受信し、1つまたは複数のプロセッサ455を用いてこれらの入力を解釈することによってブラウジング機能などの適切な機能を実行することができる。
【0055】
例示システム400および450は、2つ以上のプロセッサ410、455を有してもよく、あるいはより大きい処理能力を提供するために一緒にネットワーク接続されたコンピューティングデバイスの群またはクラスタの一部であってもよいことが理解できる。
【0056】
上記のとおり、従来の顕微鏡検査の自動焦点合わせ方法は、焦点面を決定するために各画像に対して焦点合わせスコアリングアルゴリズムを実行しつつ、焦軸を通じて時間がかかる掃引を行う。この手順は、試料検査において高速スループット生産スケジュールを妨げる可能性がある。また、それは、光に敏感なサンプルの光退色の量を増大させる。これらの障害を回避するために、本システムは、たった2つの画像の入力が任意の初期位置でとられる場合に、顕微鏡システムのための焦点までの正確な距離を(ワンショットで)予測するために深層学習モデルを実施することができる。自動焦点モデルは、焦点がぼけた画像間のマッピング、および焦点面からの絶対的な距離を学習することができる。自動焦点モデルは、伝統的な手法よりも3倍速い焦点合わせを提供することができ、焦点が合っている画像を生成することにおいて95%正確である。それは、何らかの誤差をなくすために伝統的な高精度焦点合わせ手法を用いて増大することができる。とりわけ、その速度のため、本方法は、迅速な試料検査、および光に反応する試料サンプルのイメージングにおいて利用され得る。
【0057】
前述のものは、本明細書に記載の実施形態に向けられるが、他のおよびさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考え出され得る。例えば、本開示の態様は、ハードウェア、またはソフトウェア、あるいはハードウェアとソフトウェアの組合せで実施され得る。本明細書に記載の一実施形態は、コンピュータシステムと共に使用するためのプログラム製品として実施することができる。プログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載の方法を含む)実施形態の機能を定義し、種々のコンピュータ可読記憶媒体上に含まれることが可能である。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、(i)情報が恒久的に記憶される書き込み不可の記憶媒体(例えば、コンピュータ内のリードオンリメモリ(ROM)デバイス、例えば、CD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意のタイプのソリッドステート不揮発性メモリ)、および(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピーディスク、またはハードディスクドライブ、あるいは任意のタイプのソリッドステートランダムアクセスメモリ)を含むが、これらに限定されない。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、開示された実施形態の機能を命じるコンピュータ可読命令を保持するときに、本開示の実施形態である。
【0058】
前述の例は、例示的であり、限定するものではないことが当業者によって理解されよう。それに対しての全ての置換、拡張、均等、および改善は、本明細書を読み、図面を研究すると、当業者に明らかであり、本開示の真の精神および範囲内に含まれることが意図される。したがって、以下の添付された特許請求の範囲は、これらの教示の真の精神および範囲内に入る全てのそのような修正、置換、および均等を含むことが意図される。
【国際調査報告】