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特表2023-537895三重活性体持続型結合体を有効成分として含む薬学組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】三重活性体持続型結合体を有効成分として含む薬学組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20230830BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230830BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230830BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230830BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20230830BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P3/04
A61P1/16
A61P43/00 105
C12N15/62 Z ZNA
C07K19/00
C12N15/13
C12N15/12
C07K16/00
C07K14/605
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507508
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 KR2021010780
(87)【国際公開番号】W WO2022035271
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0102604
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ベック ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジェドク
(72)【発明者】
【氏名】シン ウォンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョングク
【テーマコード(参考)】
4C076
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB16
4C076CC16
4C076CC30
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
三重活性体持続型結合体を有効成分として含む薬学組成物及びこれを利用した肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療方法に関する。本発明による三重活性体の持続型結合体を含む組成物は、安定性と肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療効能により副作用なしに肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療に適用できる。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカゴン、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体のすべてに活性を有する下記化学式(1)で表される三重活性体持続型結合体を有効成分として含む組成物であって、前記三重活性体持続型結合体は1週間に1回肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与することを特徴とする肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学組成物:
【化1】
ここで、Xは、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり;
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【請求項2】
前記三重活性体持続型結合体は、1週間に1回肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に2~6mg非経口投与することを特徴とする、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記非経口投与は、皮下投与であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項4】
前記肥満患者は、BMI(Body mass index)が23kg/m2以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項5】
前記非アルコール性脂肪肝疾患の患者は、磁気共鳴画像-陽子密度脂肪比率(MRI-PDFF)による脂肪肝が8%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項6】
前記薬学組成物が投与された個体は、下記(a)~(f)のいずれか一つ以上の特性を示す、請求項1に記載の薬学組成物。
(a)体重減少;
(b)血圧の低下;
(c)肝臓の内臓脂肪量の減少;
(d)NASスコアの減少;
(e)肝細胞風船様変性又は小葉内炎症の個数の減少;及び
(f)線維化スコアの減少
【請求項7】
前記薬学組成物は、腕、大腿部、又は腹部に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項8】
前記Fは、IgG Fc領域であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項9】
前記持続型結合体は、前記Fc領域が二個のポリペプチド鎖からなる二量体形態であり、前記持続型結合体内のFc二量体の二個のポリペプチド鎖のいずれか一つのみにXペプチドが連結されている構造であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項10】
前記Fc二量体のポリペプチド鎖は、配列番号123のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項9に記載の薬学組成物。
【請求項11】
前記Xは、配列番号21、22、27、30-32、34、36、37、42、43、50~56、58、64~80、83、86、91、93、及び96~102からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項12】
前記Xは、21、22、31、32、37、42、43、50、53、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、79、96、97、98、99、100、101、及び102からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項13】
前記Xは、配列番号42、43及び50からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項14】
前記Lは、1~20kDaの分子量を有するポリエチレングリコールである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項15】
前記非アルコール性脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver、NAFL)、非アルコール性脂肪肝炎(non-acoholic steatohepatitis、NASH)、肝線維症(liver fibrosis)、肝硬変(cirrhosis)、及びこれらの組み合わせで構成された群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
三重活性体持続型結合体を有効成分として含む薬学組成物及びこれを利用した肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、長期間にわたってエネルギー消費量に比べて栄養素を過剰に摂取する場合、エネルギー不均衡により誘発され、身体全体に影響を及ぼす代謝疾患である。肥満は、メタボリックシンドロームの代表的な疾患であり、肥満自体も一つの疾患となるが、肥満により様々な疾患(例えば、糖尿、高脂血症、高血圧、脂肪肝など)の発症リスクを高めることが知られている。
【0003】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD、nonalcoholic steatohepatitis disease)は、アルコール摂取と関連がないにもかかわらず、アルコール肝炎と類似した組織所見を示す疾患の一種で、非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver、NAFL)から非アルコール性脂肪肝炎(non-acoholic steatohepatitis、NASH)、肝線維症(liver fibrosis)、及び肝臓癌(hepatocellular carcinomas)をも含む疾患である。非アルコール性脂肪肝疾患は、肥満及び糖尿人口が増加するにつれて共に増加している傾向であり、韓国でも年間発病率が約16%に達している。このような非アルコール性脂肪肝疾患の病因としては、インスリン抵抗性、肥満、脂質毒性(lipotoxicity)、炎症反応などの様々な病因に起因することが知られている。その中で最大の病因としてインスリン抵抗性を挙げる。
【0004】
このような非アルコール性脂肪肝疾患を予防及び/又は治療するために、インスリン抵抗性を改善するのに多くの努力をしている。例えば、インスリン反応改善剤(insulin sensitizer)の一種であるTZD(thiazolidnedinones)やメトホルミンに対する臨床試験は、現在も活発に行われており(Hepatology(2003)38:1008-17、J Clin Invest.(2001)108:1167-74)、ビクトーザ(Victoza)、バイエッタ(Byetta)、又はオゼンピックのようなGLP-1受容体アゴニストを利用した非アルコール性脂肪肝疾患に対する臨床実験も活発になされている。しかし、依然として患者の利便性の確保及び副作用なしに肥満及び非アルコール性脂肪肝疾患を治療できる薬物の開発が求められている。
【0005】
このように、半減期を増加させて患者の投薬便宜性を高めながらも、副作用なしに肥満をはじめとするメタボリックシンドロームを治療できる薬物としてGLP-1(Glucagon-like peptide-1)、GIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)、及びグルカゴン受容体に作用できる三重活性体が提示されている(WO2017/116204A;WO2017/116205A)。
【0006】
しかし、試験管実験を基礎に薬物の効果が確認されたとしても、これを個体(特にヒト)に投与する際には、臨床実験を通じて安全性を有しながらも効能を発揮できる用法と用量を決定することが必要であり、このような点から実際の臨床を通過して商用化が可能な薬物の開発に困難を来たしている。
【0007】
実験動物から臨床試験の用量転換(dose translation from animal to human study)は非常に複雑で困難であるため、新薬開発に直面する代表的な難関の一つとして提示されている(Reagan-Shaw S et al.、Dose translation from animal to human studies revisited. Fed Am Soc Exp Biol J 2008)。すなわち、これは、人体における薬理作用、副作用、耐薬用量(安全に投与できる投与量)などを全て考慮した臨床試験設計及びその結果を通じてのみ最適な投与周期及び投与用量を導き出すことができるという意味である。
【0008】
例えば、勃起不全治療剤「バイアグラ」の医薬物質であるシルデナフィルに関する医薬物質発明の特許(登録番号第78931号)では、シルデナフィルの投与用量と投与周期を「ヒトに投与するための化合物の経口投与量は、一般に平均成人患者(70kg)に対して1日4~800mgの範囲内にある。」と提示している。ところが、実際に、シルデナフィルは米国で25mg未満は薬効の不足により許可を受けられず、1日投与用量25mg、50mg及び100mgとして許可を受けて発売されたが、このうち、25mgの場合、用量不足により患者があまり求めず、韓国内では50mgと100mgだけが発売された。前記の例から分かるように、医薬物質発明で提示した用法用量である「1日4mg~800mg」は最小値と最大値が200倍に達する広範囲な数値である。すなわち、シルデナフィル医薬物質特許の明細書は、投与用量の最小値4mgと最大値800mgとの間に何の差別も設けず、全て人体に適用できるように開示しているが、前記数値範囲内で薬理効果と安全性を保障できない。実際に、臨床試験を経て確認された結果によると、4mgから25mg未満の用量では薬効が不足し、勃起不全の病症を治療できず、100mgでもある程度の潮紅及び視力異常の副作用が現れたため、最大値である800mgではもちろん、100mgを超える用量においても決して安全性を担保することはできない。
【0009】
また、投与周期を定めるにおいて留意すべき点は薬物の持続力であるが、よく半減期を通じて予測する。すなわち、薬物有効量の持続力が6時間の場合には、一日に4回投与するのが効果的である。薬物は、投与量を増加させるほど薬効が増加するのが普通であるが、副作用も増加するため、無制限に投与量を増やすことは望ましくない。また、大抵の薬物は、一定の投与量に至ると、薬効の最大値に到達し、これ以上増加しない傾向を示したり(シグモイド曲線)、むしろ薬物の効果が落ちる場合(biphasic effect)も存在する。したがって、投与周期と投与用量を決定するに当たっては、このような諸般の事情を全て同時に決定しなければならないため、決して容易な作業とは言えない。
【0010】
このような側面で、既存に効能が知られた薬物であっても、従来使われていた用法用量とは異なる用法用量で治療効能を高め、副作用を減少させ、服薬便宜性を増大させることができれば、これも新たな医薬物質や医薬用途を開発することに劣らない価値を有すると言える。投与用量や投与周期を従来より減らしながらも同じ治療効果を得ることができれば、服用の便宜性の側面で患者に与える価値も小さくない。毎日一定の時間に持続的に薬物を服用することは容易なことではなく、服用の困難のために治療を中断したり、決められた用法を守らず、疾病がうまく治療できない場合も多い。
【0011】
これに対し、医薬としての有用性と決定的副作用を避けられ、薬効が発揮される範囲を広範囲に確認した三重活性体が実際の臨床に適用されるように臨床的に有効な用法と用量を究明することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2017/116204A
【特許文献2】WO2017/116205A
【特許文献3】韓国登録番号第78931号
【特許文献4】国際特許公開第WO97/34631号
【特許文献5】国際特許公開第96/32478号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Hepatology(2003)38:1008-17、J Clin Invest.(2001)108:1167-74
【非特許文献2】Reagan-Shaw S et al.、Dose translation from animal to human studies revisited.Fed Am Soc Exp Biol J 2008
【非特許文献3】H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979
【非特許文献4】Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444
【非特許文献5】The European Molecular Biology Open Software Suite、Rice et al.、2000、Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献6】Needleman and Wunsch、1970、J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献7】Devereux、J.、et al、Nucleic Acid
【非特許文献8】Atschul、[S.] [F.、] [ET AL、J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献9】Guide to Huge Computers、Martin J. Bishop、[ED.、] Academic Press、San Diego、1994
【非特許文献10】[CARILLO ETA/.](1988)SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献11】Smith and Waterman、Adv. Appl. Math (1981)2:482
【非特許文献12】Schwartz and Dayhoff、eds.、Atlas Of Protein Sequence And Structure、National Biomedical Research Foundation、pp. 353-358 (1979)
【非特許文献13】Gribskov et al(1986)Nucl. Acids Res.14:6745
【非特許文献14】H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一つの目的は、グルカゴン、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)受容体のすべてに活性を有する三重活性体持続型結合体を有効成分として含む組成物であって、前記三重活性体持続型結合体は1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与することを特徴とする肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明を具現する一つの態様は、グルカゴン、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体のすべてに活性を有する三重活性体持続型結合体を有効成分として含む組成物である。
【0016】
一つの具体例として、前記三重活性体持続型結合体は、1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与することを特徴とする肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学組成物である。
【0017】
他の具体例として、前記三重活性体持続型結合体を1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に2~6mg投与することを特徴とする。
【0018】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記非経口投与は、皮下投与であることを特徴とする。
【0019】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記肥満患者は、BMI(Body mass index)が23kg/m2以上であることを特徴とする。
【0020】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記非アルコール性脂肪肝疾患の患者は、磁気共鳴画像-陽子密度脂肪比率(MRI-PDFF)による脂肪肝が8%以上であることを特徴とする。
【0021】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記結合体は、下記化学式(1)で表される薬学的組成物であることを特徴とする。
【0022】
X-L-F・・・(1)
【0023】
ここで、Xは、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり、
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【0024】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記薬学的組成物が投与された個体は、下記(a)~(f)のいずれか一つ以上の特性を示すことを特徴とする:
【0025】
(a)体重減少;
(b)血圧の低下;
(c)肝臓の内臓脂肪量の減少;
(d)NASスコアの減少;
(e)肝細胞風船様変性又は小葉内炎症の個数減少;及び
(f)線維化スコアの減少
【0026】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記薬学組成物は腕(上腕)、大腿部、腹部に投与されることを特徴とする。
【0027】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記FはIgG Fc領域であることを特徴とする。
【0028】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記持続型結合体は、前記Fc領域が二個のポリペプチド鎖からなる二量体形態であり、前記持続型結合体内のFc二量体の二個のポリペプチド鎖のいずれか一つのみにXペプチドが連結されている構造であることを特徴とする。
【0029】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Fc二量体のポリペプチド鎖は、配列番号123のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0030】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記XのN末端から16番アミノ酸と20番アミノ酸は互いに環を形成することを特徴とする。
【0031】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Xは、配列番号21、22、27、30-32、34、36、37、42、43、50~56、58、64~80、83、86、91、93、及び96~102からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0032】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Xは、21、22、31、32、37、42、43、50、53、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、79、96、97、98、99、100、101、及び102からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0033】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Xは、配列番号42、43及び50からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0034】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Xは、配列番号1~102からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されるペプチドであることを特徴とする。
【0035】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記Lは、1~20kDaの分子量を有するポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0036】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記非アルコール性脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver、NAFL)、非アルコール性脂肪肝炎(non-acoholic steatohepatitis、NASH)、肝線維症(liver fibrosis)、肝硬変(cirrhossis)、及びこれらの組み合わせで構成された群から選択されることを特徴とする。
【0037】
本発明を具現する他の態様は、前記結合体又はこれを有効成分として含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、組成物が目的とする疾患を治療する方法である。
【0038】
一つの具体例として、前記疾患は、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患であることを特徴とする。
【0039】
他の具体例として、前記方法は、前記結合体を1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与することを特徴とする。
【0040】
前述の具体例のいずれか一つによる方法であって、前記方法は、前記結合体又は組成物を皮下投与することを特徴とする。
【0041】
本発明を具現する他の態様は、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療のための前記結合体又はこれを有効成分として含む組成物の用途である。
【0042】
一つの具体例として、前記結合体は、1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与されることを特徴とする。
【0043】
前述の具体例のいずれか一つによる用途であって、前記用途は、前記結合体又は組成物が皮下投与されることを特徴とする。
【0044】
本発明を具現する他の態様は、前記結合体を有効成分として含む製剤である。
【0045】
一つの具体例として、前記製剤は、1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与されることを特徴とする。
【0046】
前述の具体例のいずれか一つによる製剤であって、前記製剤は、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療用途を有することを特徴とする。
【0047】
前述の具体例のいずれか一つによる製剤であって、前記製剤は、皮下投与されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明による三重活性体の持続型結合体を含む組成物は、安定性と肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療効能により副作用なしに肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】高脂肪食餌による肥満動物モデル(マウス)に配列番号42、43、及び50の持続型結合体を2日1回、28日間投与する間、2日単位でマウスの体重変化を測定し、投与後28日目の体重を示した図である(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、vs. vehicle by One-way ANOVA)。
図2】高脂肪食餌による肥満動物モデル(マウス)に配列番号42、43、及び50の持続型結合体を2日1回、28日間投与する間、2日単位のマウスの腸間膜脂肪量を測定し、投与後28日目の腸間膜脂肪量を示した図である(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、vs. vehicle by One-way ANOVA)。
図3】配列番号42の持続型結合体を投与した肥満患者群の情報を整理した図である。
図4】配列番号42の持続型結合体を投与した肥満患者において、配列番号42の持続型結合体の血中濃度を確認した図である。
図5】配列番号42の持続型結合体を投与した肥満患者において、Cmax(ng/mL)、Tmax(hr)、T1/2(hr)、AUC0-inf(ng/mL・h)、Dose-normalized Cmax(ng/mL/mg)及びDose-normalized AUCinf(ng/mL・h/mg)を確認した図である。
図6】配列番号42の持続型結合体投与後、1ヶ月間異常反応(TEAE、treatment emergent adverse events)を確認した図である。
図7】配列番号42の持続型結合体を投与後、4日間心拍数(HR)、収縮期血圧(SPB)、拡張期血圧(DBP)、心筋酸素消耗量(RPP、Rate pressure product)を確認した図である。
図8-10】配列番号42の持続型結合体を投与した後、免疫原性(Immunogenicity:ADAbs、Anti-drug antibodies; nAbs、neutralizing antibodies;anti-PEG、anti-polyethylene glycol antibodies)を確認した図である。
図11】配列番号42の持続型結合体を投与した非アルコール性脂肪肝疾患の患者群の情報を整理した図である。
図12】配列番号42の持続型結合体を投与した非アルコール性脂肪肝疾患の患者において、配列番号42の持続型結合体の血中濃度を確認した図である。
図13】配列番号42の持続型結合体を投与した非アルコール性脂肪肝疾患の患者においてCmax(ng/mL)、Tmax(hr)、T1/2(hr)及びAUC0-168 (ng/mL・h)を確認した図である。W1は1週目、W12は12週目を意味する。
図14】配列番号42の持続型結合体投与後、1ヶ月間異常反応(TEAE、treatment emergent adverse events)を確認した図である。
図15】配列番号42の持続型結合体を投与した非アルコール性脂肪肝疾患の患者において、肝臓の内臓脂肪減少を、MRI撮影を通じて確認した図である。
図16】配列番号42の持続型結合体を投与した非アルコール性脂肪肝疾患の患者の肝脂肪含有量の減少を確認した図である。
図17】配列番号42の持続型結合体を投与した非アルコール性脂肪肝疾患の患者の肝脂肪含有量の減少を確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下では、本発明をさらに詳しく説明する。
【0051】
一方、本願で開示されるそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが本発明の範疇に属する。また、下記記述される具体的な記述により本発明の範疇が制限されるとは言えない。
【0052】
本明細書の全般を通じて、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなくAib(2-Aminoisobutyric acid)、Sar(N-methylglycine)、アルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)などのような他のアミノ酸に対して一般的に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書で略語に言及されたアミノ酸はIUPAC-IUB命名法により記載された。
【0053】
アラニン Ala、A アルギニン Arg、R
アスパラギン Asn、N アスパラギン酸 Asp、D
システイン Cys、C グルタミン酸 Glu、E
グルタミン Gln、Q グリシン Gly、G
ヒスチジン His、H イソロイシン Ile、I
ロイシン Leu、L リシン Lys、K
メチオニン Met、M フェニルアラニン Phe、F
プロリン Pro、P セリン Ser、S
トレオニン Thr、T トリプトファン Trp、W
チロシン Tyr、Y バリン Val、V
【0054】
本発明を実現するための一態様は、グルカゴン、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体の全てに活性を有する三重活性体持続型結合体を有効成分として含む組成物であり、前記三重活性体持続型結合体は、1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与することを特徴とする肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0055】
本発明による薬学組成物は、安全かつ効果的な効能を示す具体的な投与用量及び投与周期を究明し、実際に人体に適用できるようにしたことに技術的意義がある。
【0056】
本発明の一つの具体的な態様として、本発明の薬学組成物は三重活性体又はその持続型結合体を有効成分として含むものであってもよい。具体的には、前記薬学組成物は、薬理学的有効量の三重活性体又はその持続型結合体と薬学的に許容可能な賦形剤を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0057】
本発明において、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する三重活性体持続型結合体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド(すなわち、三重活性体)にその生体内半減期を増加させるための生体適合性物質が結合された形態であってもよい。本明細書において、前記生体適合性物質はキャリアと混用され得る。
【0058】
本発明において、前記三重活性体持続型結合体は、キャリアが結合されていない前記ペプチドに比べて増加した効力の持続性を示すことができる。一方、このような結合体は、非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0059】
本発明の一つの具体例において、前記結合体は、下記化学式(1)で表される結合体である:
【0060】
X-L-F・・・(1)
【0061】
ここで、Xは、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり、
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、
Fは、免疫グロブリンFc領域であり、
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【0062】
本発明において、前記「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド」は、前記結合体を構成する一部位の構成に該当してもよい。具体的には、前記化学式(1)においてXに該当する。
【0063】
前記グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドは、本発明において三重活性体として混用され得る。本発明の三重活性体は、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列を含むペプチドを含むことができる。又は、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列で必須で構成されたり、構成されたペプチドも本発明の三重活性体に含むことができるが、これに制限されない。
【0064】
本発明の三重活性体又はその持続型結合体は、薬理学的有効量で肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に投与されてもよい。
【0065】
本発明において、「薬理学的有効量」とは、三重活性体又はその持続型結合体が肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者の治療効果を示しながらも、患者に毒性や副作用を示さない安全な投与用量を意味し、具体的には、肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者において体重減少、内臓脂肪量の減少、血中脂質濃度の減少、グルコース代謝パラメータ(Glucose Metabolism Parameter)の改善、血圧の減少、及び/又は脂肪肝減少の効果を示し、肝組織における肝脂肪蓄積分布(steatosis grade)、小葉内炎症の数、肝細胞風船様変性などが減少し、NAS(NAFLD activity score)スコアの減少、及び/又は線維化スコアの減少を示す用量であってもよい。前記血中脂質濃度は、総コレステロール、LDL-C、HDL-C、VLDL-C、トリグリセリド、遊離脂肪酸などの血中濃度を意味し、前記グルコース代謝パラメータは、FPG(Fasting Plassma Glucose)、空腹時インスリン(Fasting Insulin)、空腹時C-ペプチド(Fasting C-Peptide)、HbA1c、インスリン抵抗性(Homeostatic Model Assessment For Insulin Resistance、HOMA-IR)、インスリン分泌(Homeostatic Model Assessment For Insulin Secretion、HOMA-B)などを意味することができるが、これに限定されない。さらに、本発明の「薬理学的有効量」は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のバイオマーカー(Cytokeratin-18 M30/65 fragments、Enhanced Liver Fibrosis Score、Pro-C3、Non-invasive score 4、Fibrosis-4 index、NAFLD Fibrosis Score)の有意な変化を示す用量を意味する。
【0066】
又は、本発明の「薬理学的有効量」は、投与後の最高濃度(Cmax)30~1000ng/mL、又は曲線下面積平均(AUC mean)5000~110000h*ng/mLを示す用量であってもよいが、これに制限されない。
【0067】
本発明の薬学組成物は、一定水準以上の最高濃度(Cmax)又は曲線下面積平均(AUC mean)を維持できるように1回又は1回以上投与されるものであってもよいが、これに制限されない。具体的には、30~1000ng/mL、40~900ng/mL又は41.8~820ng/mLの最高濃度を示すように投与され、又は0.01mg/kg~0.12mg/kgの範囲で5000~110000h*ng/mL、5500~105000h*ng/mL、又は5609.2~100933.9h*ng/mLのAUC平均を示すように投与されるものであってもよいが、これに限定されない。
【0068】
具体的な本発明の実施態様においては、本発明による三重活性体持続型結合体は、1回に約0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg又は2.0mg以上で投与され、約10mg、9.9mg、9.8mg、9.7mg、9.6mg、9.5mg、9.4mg、9.3mg、9.2mg、9.1mg、9mg、8.9mg、8.8mg、8.7mg、8.6mg、8.5mg、8.4mg、8.3mg、8.2mg、8.1mg、8mg、7.9mg、7.8mg、7.7mg、7.6mg、7.5mg、7.4mg、7.3mg、7.2mg、7.1mg、7mg、6.9mg、6.8mg、6.7mg、6.6mg、6.5mg、6.4mg、6.3mg、6.2mg、6.1mg又は6.0mg以下で投与することができるが、これに限定されない。具体的には、本発明の三重活性体持続型結合体の投与用量は、1回に約0.01~10mg、約0.1~10mg、約0.5~8mg、約1~7mg、又は約2~6mgであってもよいが、これに制限されず、前記1回の投与用量は医師又は処方する者の判断により疾患の程度、患者の年齢、投与期間などにより適切に調節することができる。前記1回の投与用量は肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療のために一定周期で投与されなければならない用量を意味する。
【0069】
前記三重活性体持続型結合体は、患者の体重に関係なく一定用量で投与できるが、必要な場合、体重に応じて適切に調節できる。
【0070】
本発明において用語、「約」は±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、±0.05、±0.01などを全て含む範囲であり、約という用語に続く数値と同等又は類似の範囲の数値を全て含むが、これに限定されない。
【0071】
本発明の三重活性体又はその持続型結合体は、前記1回の投与用量で、一定周期で一定期間投与され、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患に予防又は治療効果を示すものであってもよいが、これに制限されない。
【0072】
本発明の薬学組成物は、三重活性体又は持続型結合体を前記1回の投与用量として含むものであってもよく、薬学的に許容される賦形剤を必要量でさらに含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0073】
本発明の三重活性体持続型結合体は、免疫グロブリンFc領域の結合により三重活性体としての活性を有しながらも半減期が増え、十分な時間、薬理効果を発揮するため、投薬の周期を延ばすことができ、患者の便宜性を高めることができる。
【0074】
具体的には、本発明の三重活性体又はその持続型結合体は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は1ヶ月に1回投与されてもよいが、薬理効果を発揮できる体内濃度を維持できる投与周期であれば、特にこれに制限されない。
【0075】
本発明の三重活性体持続型結合体は、患者に多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与できる。
【0076】
具体的には、本発明の薬学組成物は、十分な治療効果を示す程度の期間投与されるものであってもよい。一例として、体重、BMI、脂肪肝、内臓脂肪量、血中脂質濃度、グルコース代謝パラメータ(Glucose Metabolism Parameter)などの肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者の非正常な指標の一つ以上を、技術分野において認められる正常範囲(BMI23未満、脂肪肝5%以下など)に戻すことができる期間であり、又は、当業界において非アルコール性脂肪肝疾患の診断及び治療のために使用する指標であるNAS(NAFLD activity score)スコア、肝細胞の風船様変性又は小葉内炎症の個数、線維化スコアを正常水準に復帰させる期間であってもよいが、上記十分な期間は医師や処方を行う者の判断により適切に決定することができ、特にこれに限定されない。例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、36週間、37週間、38週間、39週間、40週間、42週間、43週間、44週間、45週間、48週間、48週間、47週間、48週間、47週間、47週間、48週間、48週間、49週間、50週間、51週間、又は52週間以上投与でき、疾患の程度によって投与期間は適切に調節できる。
【0077】
本発明による薬学組成物は、前記投与期間中に1週間に1回投与することができる。
【0078】
本発明の薬学組成物は、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に投与することができる。
【0079】
本発明において用語「肥満」は体内に脂肪組織が過多な状態であり、肥満は長い期間にわたりエネルギー消費量に比べて栄養素を過多に摂取する場合、エネルギー不均衡により誘発されることが通常である。肥満は、身体全体に影響を及ぼす代謝疾患であり、糖尿病や高脂血症にかかる可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発病リスクが高くなり、一部の場合、癌の発生とも関連がある。
【0080】
本発明の薬学的組成物は、肥満患者に投与でき、対象の肥満患者は、代表的にBMI(Body mass index)指数により決定することができる。
【0081】
本発明において、BMIは体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値を意味し、本発明の肥満患者はBMI指数が23kg/m2、24kg/m2、25kg/m2、26kg/m2、27kg/m2、28kg/m2、29kg/m2、30kg/m2、31kg/m2、32kg/m2、33kg/m2、34kg/m2、35kg/m2、36kg/m2、37kg/m2、38kg/m2、39kg/m2、又は40kg/m2以上であるとき、肥満患者と定義することができる。
【0082】
又は、生体電気抵抗測定法で測定された体脂肪率が男性の場合25%以上、女性の場合30%以上の者、ウエストサイズが男性の場合90cm以上、女性の場合85cm以上の者、腹部脂肪CT撮影の結果、内臓脂肪と皮下脂肪の割合が0.4以上の者などを肥満患者と診断することができるが、技術分野に知られている肥満診断基準により肥満と診断された患者に本発明の薬学組成物を投与することができる。
【0083】
本発明の薬学組成物は、肥満患者において体重の減少、内臓脂肪量の減少、血圧の減少などの効果を示すことができる。
【0084】
本発明において用語「非アルコール性脂肪肝疾患」は、アルコール摂取と関連がないにもかかわらず、アルコール肝炎と類似した組織所見を示す疾患の一種であり、非アルコール性脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver、NAFL)、非アルコール性脂肪肝炎(non-acoholic steatohepatitis、NASH)、肝線維症(liver fibrosis)、及び肝硬変(cirrhosis)までを含む疾患である。具体的には、本発明の非アルコール性脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝とこれを伴う非アルコール性脂肪肝炎を含むことができる。
【0085】
本発明の薬学的組成物は、非アルコール性脂肪肝疾患の患者に投与することができ、対象非アルコール性脂肪肝疾患の患者は、代表的に、磁気共鳴画像-陽子密度脂肪比率(MRI-PDFF)による脂肪肝スコアにより決定できる。
【0086】
本発明において、磁気共鳴画像-陽子密度脂肪比率(MRI-PDFF)は、MRIを用いて肝臓内脂肪量を定量的に測定した指標であり、本発明の非アルコール性脂肪肝疾患の患者は、脂肪肝が8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上又は30%以上であるとき、非アルコール性脂肪肝疾患の患者と定義できる。
【0087】
又は、技術分野において知られている生化学的、映像学的方法などを通じて非アルコール性脂肪肝疾患の患者を診断することができ、例えば、NASスコア(NAFLD activity score)が4以上であるか、AST/ALT比(ratio)が1以上の場合、FibroScanによる脂肪肝測定技術(CAP、Controlled Attenuation Parameter)数値が300dB/m以上の場合、線維化スコア(Fibrosis Score)1以上、非アルコール性脂肪肝疾患の患者と診断することができるが、技術分野で知られている非アルコール性脂肪肝疾患の診断基準により非アルコール性脂肪肝疾患と診断された患者に本発明の薬学組成物を投与することができる。
【0088】
本発明において、非アルコール性脂肪肝疾患の患者は、特定の一つの非アルコール性脂肪肝疾患のみを有する患者であってもよいが、他の疾患(例えば、肥満)又は複数の非アルコール性脂肪肝疾患を共に有する患者であってもよい。例えば、肥満でありながら非アルコール性脂肪肝疾患(例えば、非アルコール性脂肪肝炎(non-acoholic steatohepatitis、NASH))を有する患者であってもよく、非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fattyliver、NAFL)患者でありながら、非アルコール性脂肪肝炎を有する患者であってもよいが、本発明の薬学組成物により予防又は治療効果が得られる限り、これに限定されない。
【0089】
本発明の薬学組成物は、非アルコール性脂肪肝疾患の患者の体重の減少、内臓脂肪量の減少、肝内脂肪量の減少、血中脂質濃度の減少、グルコース代謝パラメータ(Glucose Metabolism Parameter)の改善などの非アルコール性脂肪肝疾患の患者の予防又は治療のための薬理効果を示すことができ、それにより、肝組織における肝脂肪蓄積分布(steatosis grade)の減少、NAS(NAFLD activity score)スコアの減少、肝細胞風船様変性又は小葉内炎症の個数減少、線維化スコアの減少、及び/又は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のバイオマーカー(Cytokeratin-18 M30/65 fragments、Enhanced Liver Fibrosis Score、Pro-C3、Non-invasive score 4、Fibrosis-4 index、NAFLD Fibrosis Score)の有意な変化などの特性を示し、非アルコール性脂肪肝疾患に対する予防又は治療効果を示すことができる。
【0090】
本発明の薬学組成物は、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の病症の程度、投与期間に応じて投与量を調節することができる。
【0091】
本発明の薬学組成物の製剤は、薬学的に許容可能な賦形剤と混合して多様に製造することができる。具体的な態様として、本発明の薬学組成物は、三重活性体又はその持続型結合体を投与、特に、非経口投与に適した剤形に製剤化されたものであってもよい。また、本発明の薬学組成物は、三重活性体又はその持続型結合体が薬理活性を維持できる安定化された剤形に製剤化されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0092】
例えば、本発明の薬学組成物を単位投薬アンプル又は複数回の投薬形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などに剤形化することができる。
【0093】
具体的には、皮下に投与できるように注射剤の形態に剤形化されたものであってもよい。
【0094】
注射剤は、直に人体の皮下、血管(血液注射)や筋肉(筋肉注射)に投与されるため、胃腸管における吸収や肝臓における代謝を経ないため、溶解度や吸収率などに関係なく直接的に効果を発揮できるが、直に人体組織に影響を及ぼすため、薬物成分による毒性に極めて留意する必要がある、すなわち、人体における薬理作用、副作用、内薬用量(安全に投与できる投与量)などをすべて考慮した臨床試験の設計及びその結果を通じてのみ非経口投与経路に対する安定性を担保することができる。
【0095】
また、本発明の薬学組成物は、薬学的分野において、常法により患者の体内投与に適した単位投与型の製剤、具体的には、タンパク質医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化させ、当業界において通常使用する非経口投与方法を用いて投与することができ、非経口投与方法として皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内又は直腸経路を当業者は適切に選択することができる。具体的には、皮下投与により本発明の薬学組成物を投与することができ、より具体的には、本発明の薬学組成物を患者の腕(上腕)、大腿部又は腹部に皮下投与することができるが、これに制限されない。
【0096】
本発明の目的上、前記薬学組成物が投与された個体は、下記(a)~(f)のいずれか一つの特性を示し、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患に対する予防又は治療効果を有することができる。
【0097】
(a)体重減少;
(b)血圧の低下;
(c)肝臓の内臓脂肪量の減少;
(d)NASスコアの減少;
(e)肝細胞風船様変性又は小葉内炎症の個数減少;及び
(f)線維化スコアの減少
【0098】
具体的には、本発明の薬学組成物が投与された患者は、最初の投与時点に比べて脂肪量が30%以上減少、体重5%以上減少することができるが、これに制限されない。
【0099】
本発明の薬学組成物は、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列を含むか、必須で構成されるか、構成されたペプチド(三重活性体)を薬理学的有効量として含むことができるが、これに制限されない。
【0100】
本発明において、前記三重活性体は、下記化学式(1)で表される持続型結合体の形態であってもよい。
【0101】
X-L-F・・・(1)
【0102】
ここで、Xは、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり、
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合の連結を示す。
【0103】
前記結合体において、Xは本発明の三重活性体に該当し、具体的には、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、必須で構成されるか、構成されたペプチドであってもよい。
【0104】
本願において特定の配列番号で「構成される」ペプチドと記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一あるいは相応の活性を有する場合であれば、当該配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加又は自然に発生し得る突然変異、又はそのサイレント突然変異(silent mutation)を除外するものではなく、このような配列の追加もしくは突然変異を有する場合であっても、本願の範囲内に属することが自明である。すなわち、一部配列の差があっても一定水準以上の相同性を示し、グルカゴン受容体に対する活性を示すならば、本発明の範囲に属することができる。
【0105】
例えば、本発明の三重活性体にWO2017-116204及びWO2017-116205を参照することができる。
【0106】
特にこれに限定されるものではないが、前記グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体に対して有意なレベルの活性を有する三重活性体は、グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体のいずれか一つ以上の受容体、具体的には二つ又はそれ以上の受容体、より具体的には、三つの受容体すべてに対してin vitro活性が当該受容体の天然型リガンド(天然型グルカゴン、天然型GLP-1、及び天然型GIP)比0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上を示してもよい。
【0107】
このような三重活性体のin vitro活性を測定する方法は、本願明細書の実験例1を参照できるが、特にこれに制限されるものではない。
【0108】
一方、前記ペプチドは、下記i)~iii)のいずれか一つ以上、2つ以上、具体的に3つの活性を有すること、具体的には、有意な活性を有することを特徴とする:
【0109】
i)GLP-1受容体の活性化;ii)グルカゴン受容体の活性化;及びiii)GIP受容体の活性化。
【0110】
ここで、受容体を活性化させるということは、天然型比受容体に対するin vitro活性が0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上を示す場合が挙げられる。しかし、これに限定されるものではない。
【0111】
また、前記ペプチドは、天然型GLP-1、天然型グルカゴン及び天然型GIPのいずれかに比べて体内半減期が増加したものであってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0112】
特にこれに制限されるものではないが、このような前記ペプチドは非自然な(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0113】
本発明の結合体は、結合体の形態でもグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して有意な活性を示すことができ、したがって肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患に対する予防又は治療効果を発揮することができる。
【0114】
具体的には、本発明の結合体は、天然型比グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及び/又はGIP受容体に対するin vitro活性が0.01%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、0.7%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0115】
本発明による具体的な態様として、前記三重活性体は、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列で(必須で)構成されるか、又は配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、又は95%以上の配列同一性を有するペプチドを含むことができるが、肥満又は非アルコール性疾患に治療効果を示す限り、特定配列に限定されない。
【0116】
他の具体的な態様として、前記三重活性体は、配列番号21、22、27、30-32、34、36、37、42、43、50~56、58、64~80、83、86、91、93、96~102からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、又は、配列番号21、22、27、30-32、34、36、37、42、43、50~56、58、64~80、83、86、91、93及び96~102のいずれか一つのアミノ酸配列で(必須で)構成されるか、又は配列番号21、22、27、30-32、34、36、37、42、43、50~56、58、64~80、83、86、91、93、及び96~102 のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、又は95%以上の配列同一性を有するペプチドも含むことができるが、これに限定されない。
【0117】
他の具体的な態様として、前記三重活性体は、配列番号21、22、31、32、37、42、43、50、53、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、79、96、97、98、99、100、101、及び102からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、配列番号21、22、31、32、37、42、43、50、53、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、79、96、97、98、99、100、101、及び102のいずれか一つのアミノ酸配列で(必須で)構成されるか、又は配列番号21、22、31、32、37、42、43、50、53、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、79、96、97、98、99、100、101、及び102のいずれか一つのアミノ酸配列少なくとも60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、又は95%以上の配列同一性を有するペプチドも含むことができるが、これに限定されない。
【0118】
他の具体的な態様として、前記三重活性体は、配列番号42、43及び50からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、又は配列番号42、43及び50のいずれか一つのアミノ酸配列で(必須で)構成されるか、又は配列番号42、43及び50のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、又は95%以上の配列同一性を有するペプチドも含むことができるが、これに限定されない。
【0119】
本発明において用語、「相同性(homology)」又は「同一性(identity)」は、二つの与えられたアミノ酸配列又は塩基配列と互いに関連した程度を意味し、パーセンテージで表示することができる。
【0120】
用語の相同性及び同一性は、しばしば相互交換して使用することができる。
【0121】
任意の2つのペプチド配列が相同性、類似性、又は同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al(1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444のようなデフォルトパラメータを用いて、「FASTA」プログラムのような公知のコンピュータアルゴリズムを用いて決定することができる。又は、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)(バージョン5.0又は以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J. Mol. Biol.48:443-453)を使用して決定することができる(GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12: 387(1984)),BLASTP,BLASTN,FASTA (Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990);Guide to Huge Computers,Martin J. Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego,1994,及び[CARILLO ETA/.](1988)SIAM J Applied Math 48: 1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLAST、又はClustalWを用いて相同性、類似性又は同一性を決定することができる。
【0122】
ペプチドの相同性、類似性、又は同一性は、例えば、Smith and Waterman、Adv.Appl.Math(1981)2:482に公知となった通り、例えば、Needleman et al.(1970)、J Mol Biol.48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、二配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(すなわち、アミノ酸)の数を除した値と定義する。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)一進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含有する)及びSchwartz and Dayhoff、eds.、Atlas Of Protein Sequence And Structure、National Biomedical Research Foundation、pp.353-358(1979)により開示された通り、Gribskov et al(1986)Nucl. Acids Res.14:6745の加重比較マトリックス(又はEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(又はギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);及び(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。したがって、本願で使用されたものとして、用語「相同性」又は「同一性」は配列間の関連性(relevance)を示す。
【0123】
このような三重活性体は、分子内架橋(intramolecular bridge)を含んでもよく(例えば、共有結合的架橋又は非共有結合的架橋)、具体的には環を含む形態であってもよく、例えば、三重活性体の16番及び20番アミノ酸との間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0124】
前記環の非制限的な例として、ラクタム架橋(又はラクタム環)を含んでもよい。
【0125】
また、前記三重活性体は環を含むように、目的とする位置に環を形成することができるアミノ酸を含むように変形されたものをすべて含む。
【0126】
例えば、三重活性体の16番及び20番アミノ酸対がそれぞれ環を形成できるグルタミン酸又はリシンで置換されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0127】
このような環は、前記三重活性体内のアミノ酸の側鎖間に形成されてもよく、その例としてリシンの側鎖とグルタミン酸の側鎖間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0128】
また、特にこれに制限されないが、本発明のペプチドは、体内半減期の増加のために活性体分解酵素の認識作用を回避するために、一部のアミノ酸を他のアミノ酸あるいは非天然型化合物で置換されてもよい。
【0129】
具体的には、前記三重活性体のアミノ酸配列中、2番目のアミノ酸配列の置換を通じて分解酵素の認識作用を回避して体内半減期を増加させたペプチドであってもよいが、体内分解酵素の認識作用を回避するためのアミノ酸置換又は変更は制限なく含まれる。
【0130】
また、三重活性体の製造のためのこのような変形は、L-型あるいはD-型アミノ酸、及び/又は非天然型アミノ酸を用いた変形、及び/又は天然型配列を改質、例えば、側鎖作用基の変形、分子内共有結合、例えば、側鎖間環形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化などのように改質することにより変形することを全て含む。
【0131】
また、三重活性体のアミノ及び/又はカルボキシ末端に1つ又はそれ以上のアミノ酸が追加されたものをすべて含む。
【0132】
前記置換又は追加されるアミノ酸は、ヒトのタンパク質で通常観察される20個のアミノ酸だけでなく、非定型又は非自然発生のアミノ酸を使用することができる。非定型アミノ酸の商業的出所には、Sigma-Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。このようなアミノ酸が含まれたペプチドと定型的なペプチド配列は、商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachem、又は韓国のAnygenを通じて合成及び購入できる。
【0133】
アミノ酸誘導体も同様の方法で入手できるが、その例を一部のみを挙げると、4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などが使用できる。
【0134】
また、本発明による三重活性体は、生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加させるために、そのN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾されたり有機基で保護されたり、又はペプチド末端などにアミノ酸が追加されて変形された形態であってもよい。
【0135】
特に、化学的に合成したペプチドの場合、N及びC末端が電荷を帯びているため、このような電荷を除去するためにN末端をアセチル化(acetylation)及び/又はC末端をアミド化(amidation)することができるが、特にこれに制限されない。
【0136】
また、本発明による三重活性体は、三重活性体そのもの、その塩(例えば、ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、又はその溶媒和物の形態を全て含む。また、ペプチドは薬学的に許容される任意の形態であってもよい。
【0137】
前記塩の種類は、特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全かつ効果的な形態であることが望ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0138】
前記用語、「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、又はアレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0139】
本発明において用語、「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、又は塩基から誘導された塩を含む。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適した塩基から誘導された塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含んでもよい。
【0140】
また、本発明で用いられた用語「溶媒和物」とは、本発明による三重活性体又はその塩が溶媒分子と複合体を形成したものをいう。
【0141】
一方、本発明のペプチドは、その長さによってこの分野でよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成器により合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0142】
具体的には、本発明のペプチドは、標準合成方法、組換え発現システム、又は任意の他の当該分野の方法により製造することができる。したがって、本発明によるペプチドは、例えば、下記を含む方法を含む複数の方法で合成することができる。
【0143】
(a)ペプチドを固相又は液相法の手段で段階的に又は断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;又は
(b)ペプチドをエンコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;又は
(c)ペプチドをエンコードする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;又は
(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせによりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0144】
前記化学式(1)の持続型結合体において、FはX、すなわち、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドの半減期を増加させることができる物質として、本発明の結合体を構成する部位の一構成に該当する。
【0145】
前記Fは、Xと共有化学結合又は非共有化学結合で互いに結合されてもよく、共有化学結合、非共有化学結合又はこれらの組み合わせによりLを通じてFとXが互いに結合されるものであってもよい。
【0146】
より具体的には、XとL、及びLとFは共有結合で互いに連結されるものであってもよく、この時、前記結合体は、化学式(1)の順に、X、L、及びFが共有結合を通じてそれぞれ連結された結合体である。
【0147】
前記Fは免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的には、前記免疫グロブリンFc領域はIgG由来であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0148】
本発明において、「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いた、重鎖定常領域2(CH2)及び/又は重鎖定常領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の持続型結合体の部位をなす一構成であってもよい。
【0149】
本明細書においてFc領域とは、免疫グロブリンのパパイン消化から得られる天然型配列だけでなく、その誘導体、例えば、天然配列中の1以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換又はそれらの組合せにより変換され、天然型と相異なった配列まで網羅して含まれる。
【0150】
前記Fは、二つのポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記二鎖のうちの一鎖の窒素原子を介してのみ連結されている構造であってもよいが、これに限定されない。前記窒素原子を介した連結は、リシンのイプシロンアミノ原子やN末端アミノ基に還元的アミノ化を通じて連結することができる。
【0151】
還元的アミノ化反応とは、反応物のアミン基又はアミノ基が他の反応物のアルデヒド(即ち、還元的アミノ化が可能な官能基)と反応してアミンを生成した後、還元反応によりアミン結合を形成させる反応を意味し、当技術分野において広く知られている有機合成反応である。
【0152】
一具体例として、前記Fは、そのN末端プロリンの窒素原子を介して連結されていてもよいが、これらに限定されない。
【0153】
前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の化学式(1)の結合体の部位を成す一構成であり、具体的には、前記化学式(1)においてFに該当することができる。
【0154】
そのような免疫グロブリンFc領域は、重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含むことができるが、これらに限定されない。
【0155】
本発明において、免疫グロブリンFc領域は、N末端に特定のヒンジ配列を含んでもよい。
【0156】
本発明の用語「ヒンジ配列」は、重鎖に位置し、ジスルフィド結合(inter disulfide bond)を通じて免疫グロブリンFc領域の二量体を形成する部位を意味する。
【0157】
本発明において、ヒンジ配列は、下記のアミノ酸配列を有するヒンジ配列の一部が欠失して一つのシステイン残基のみを有するように変異したものであってもよいが、これに限定されない:
【0158】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号103)。
【0159】
前記ヒンジ配列は、配列番号103のヒンジ配列のうちの8番目又は11番目のシステイン残基が欠失して一つのシステイン残基のみを含むものであってもよい。本発明のヒンジ配列は、一つのシステイン残基のみを含む3~12個のアミノ酸で構成されてもよいが、これらに限定されない。より具体的には、本発明のヒンジ配列は、以下のような配列を有することができる:Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号104)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Pro(配列番号105)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号106)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Pro(配列番号107)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号108)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号109)、Glu-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号110)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号111)、Glu-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号112)、Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号113)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号114)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号115)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号116)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号117)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro(配列番号118)、Glu-Ser-Lys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号119)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号120)、Glu-Pro-Ser-Cys(配列番号121)、Ser-Cys-Pro(配列番号122)。
【0160】
より具体的には、前記ヒンジ配列は、配列番号113(Pro-Ser-Cys-Pro)又は配列番号122(Ser-Cys-Pro)のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これらに限定されない。
【0161】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列の存在で免疫グロブリンFc鎖2分子が二量体を形成した形態であってもよく、また、本発明の化学式(1)の結合体は、リンカーの一末端が二量体の免疫グロブリンFc領域の一本鎖に連結した形態であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0162】
本発明の用語、「N末端」とは、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端を意味するものであり、アミノ末端の最末端、又は最末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個以上のアミノ酸まで含むものであってもよい。本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列をN末端に含むことができるが、これらに限定されない。
【0163】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等又は向上した効果を奏する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域のみを除いて、一部又は全体重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、CH2及び/又はCH3に該当する相当長い一部アミノ酸配列が除去された領域であってもよい。
【0164】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個又は2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、6)重鎖定常領域各ドメインと軽鎖定常領域の二量体であってもよい。しかし、これに制限されるものではない。
【0165】
また、本発明の持続型結合体の一つの実施形態として、前記免疫グロブリンFc領域Fは二個のポリペプチド鎖からなる二量体(dimer)であり、この時、前記Fc領域二量体FとXはエチレングリコール繰り返し単位を含む一つの同一のリンカーLを通じて共有結合的に連結されている。この実施形態の一つの具体例において、XはこのようなFc領域二量体Fの二個のポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみリンカーLを通じて共有結合で連結されている。この実施形態のより具体的な例において、このようなFc領域二量体Fの二個のポリペプチド鎖中、Xが連結された一つのポリペプチド鎖には一分子のXだけがLを通じて共有結合的に連結されている。この実施形態の最も具体的な例において、前記Fはホモ二量体(homodimer)である。
【0166】
他の具体例において、前記免疫グロブリンFc領域Fは、二個のポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一末端が前記二個のポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されていてもよいが、これに制限されない。
【0167】
本発明の持続型結合体の他の実施形態では、二量体形態の一つのFc領域にXの二分子が対称的に結合することも可能である。この時、前記免疫グロブリンFcとXは、非ペプチド性リンカーにより互いに連結されてもよい。しかし、前記例に限定されるものではない。
【0168】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的又は保存的置換又はこれらの組み合わせにより相違する配列を有することを意味する。
【0169】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であると知られている214~238、297~299、318~322又は327~331番アミノ酸残基が変形のために適当な部位として用いられ得る。
【0170】
また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcでN末端のいくつかのアミノ酸が除去されたり、又は天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されることができる等、多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクタ機能をなくすために補体結合部位、例としてC1q結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、国際特許公開第WO97/34631号、国際特許公開第96/32478号等に開示されている。
【0171】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は当該分野において公知となっている(H. Neurath、R. L. Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も通常生じる交換は、アミノ酸残基 Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミド化(amidation)などで修飾(modification)されてもよい。
【0172】
上述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を増大させたものであってもよい。
【0173】
また、このようなFc領域は、ヒト、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット又はモルモットなどの動物の生体内で分離した天然型から得ることもでき、形質転換された動物細胞又は微生物から得られた組換え型又はその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は、全体免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、Fab及びFcに切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c及びF(ab)2に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離することができる。さらに具体的な実施形態ではヒト由来のFc領域を微生物から得た組換え型免疫グロブリンFc領域である。
【0174】
また、免疫グロブリンFc領域は天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖又は糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減又は除去には、化学的方法、酵素学的方法及び微生物を用いた遺伝工学的方法のような通常の方法が用いられる。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は補体(c1a)との結合力が顕著に低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が減少又は除去されるため、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このような点で薬物のキャリアとしての本来の目的に、より符合する形態は糖鎖が除去されたり、非グリコシル化された免疫グロブリンFc領域と言える。
【0175】
本発明において「糖鎖の除去(Deglycosylation)」とは、酵素で糖を除去したFc領域を言い、非グリコシル化(Aglycosylation)は原核動物、さらに具体的な実施形態では大腸菌で生産してグリコシル化されないFc領域を意味する。
【0176】
一方、免疫グロブリンFC領域は、ヒト又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、さらに具体的な実施形態ではヒト起源である。
【0177】
また、免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来又はこれらの組み合わせ(combination)又はこれらの混成(hybrid)によるものであってもよい。さらに具体的な実施形態では、ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgM由来であり、より具体的な実施形態ではリガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となったIgG由来である。より一層具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であるが、これに制限されるものではない。
【0178】
また、一つの具体的な実施形態において、免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4 Fcの領域であり、各モノマー(monomer)の3番アミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合(inter-chain形態)を通じて二個のモノマーが連結されたホモ二量体(homodimer)の形態であってもよく、このとき、ホモ二量体の各モノマーは、独立して35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合、即ち、二個の内部のジスルフィド結合(intra-chainの形態)を有したり/有することができる。各モノマーのアミノ酸の数は221個のアミノ酸で構成されてもよく、ホモ二量体を形成するアミノ酸は、全部で442個のアミノ酸からなってもよいが、これに限定されない。具体的には、免疫グロブリンFc領域は、配列番号123のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有するモノマー2個が各モノマーの3番アミノ酸であるシステイン間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体のモノマーは、それぞれ独立して35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものであってもよいが、これらに限定されない。
【0179】
一方、本発明において免疫グロブリンFc領域と関連した「組み合わせ(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する時、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが相違する起源の単鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc領域からなるグループから選択された2個以上の領域から二量体又は多量体の製造が可能である。
【0180】
本発明において「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖の免疫グロブリン定常領域内に2個以上の相違する起源の免疫グロブリンFc領域に該当する配列が存在することを意味する用語である。本発明の場合、種々の形態のハイブリッドが可能である。即ち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなるグループから1個~4個のドメインからなるドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジを含めてもよい。
【0181】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明ではそれらの組み合わせ又はこれらのハイブリダイゼーションも可能である。具体的には、IgG2及びIgG4サブクラスであり、最も具体的には補体依存的傷害(CDC、Complement dependent cytotoxicity)のようなエフェクタ機能(effector function)がほとんどないIgG4のFc切片である。
【0182】
また、上述した結合体は、効力の持続性が天然型GLP-1、GIP、あるいはグルカゴンに比べて、又はFcが修飾されていないZに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などを全て含むが、これに制限されない。
【0183】
一方、前記化学式(1)において、前記Lは非ペプチド性リンカー、例えば、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであってもよい。
【0184】
本発明において「非ペプチド性リンカー」は、繰り返し単位が二個以上結合した生体適合性ポリマーを含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記非ペプチド性リンカーは、本発明の結合体の部位をなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLに該当する。
【0185】
本発明で使用し得る非ペプチド性リンカーは、インビボタンパク質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば、制限なく使用することができる。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性ポリマーと混用されてもよい。
【0186】
また、前記Fに該当するポリペプチドと結合される本発明の非ペプチド性リンカーは、一種類のポリマーだけでなく、異なる種類のポリマーの組み合わせを使用することもできる。
【0187】
一つの具体的な実施形態において、前記結合体は、両末端にF、具体的には、免疫グロブリンFc領域及びX、具体的には、三重活性体と結合できる反応基を含む非ペプチド性リンカーを通じてFとXが互いに共有結合的に連結されたものであってもよい。
【0188】
具体的には、本発明において非ペプチド性リンカーは末端に反応基を含み、結合体を構成する他の構成要素との反応を通じて結合体を形成することができる。両末端に反応性作用基を有する非ペプチド性リンカーが各反応基を通じて前記化学式(1)のX及びFと結合して結合体を形成する場合、前記非ペプチド性リンカー又は非ペプチド性ポリマーは非ペプチド性ポリマー連結部(linker moiety)又は非ペプチド性リンカー連結部と命名できる。
【0189】
特にこれに制限されないが、前記非ペプチド性リンカーはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよく、また、当該分野において既に知られているこれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0190】
前記非ペプチド性リンカーの繰り返し単位は、エチレングリコール繰り返し単位であってもよく、具体的には、前記非ペプチド性リンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含みながら、結合体の製造に用いられる作用基を末端に含むものであってもよい。本発明による持続型結合体は、前記作用基を介してXとFが連結された形態であってもよいが、これらに限定されない。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、2個、又は3個以上の作用基を含んでいてもよく、各作用基は同一又は互いに異なっていてもよいが、これらに限定されない。
【0191】
具体的には、前記リンカーは、下記化学式(2)で表されるポリエチレングリコール(PEG)であってもよいが、これに限定されるものではない:
【0192】
・・・(2)
【0193】
ここで、n=10~2400、n=10~480、又はn=50~250であるが、これに限定されない。
【0194】
前記持続型結合体においてPEG部位は、-(CH2CH2O)n-構造だけでなく、連結要素とこの-(CH2CH2O)n-との間に介在する酸素原子も含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0195】
また、一つの具体的な実施形態において、前記結合体は、三重活性体(X)と免疫グロブリンFc領域(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー(L)を通じて共有結合で連結された構造であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0196】
前記ポリエチレングリコールは、エチレングリコール同種重合体、PEG共重合体、又はモノメチル置換されたPEG重合体(mPEG)の形態をすべて包括する用語であるが、特にこれに制限されるものではない。
【0197】
本発明で使用できる非ペプチド性リンカーは、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のあるエチレングリコール繰り返し単位を含むポリマーであれば、制限なく使用できる。前記非ペプチド性ポリマーの分子量は0超過約100kDaの範囲、約1~約100kDaの範囲、具体的には約1~約20kDaの範囲、又は約1~約10kDaの範囲であるが、これに制限されない。また、前記Fに該当するポリペプチドと結合される本発明の非ペプチド性リンカーは、一種類のポリマーだけでなく、異なる種類のポリマーの組み合わせを使用することもできる。
【0198】
具体的には、前記非ペプチド性リンカーは、F及びXと結合していない状態で両末端に反応基を有し、前記反応基を通じてF及びXと結合することができる。
【0199】
一つの具体的な実施形態において、前記非ペプチド性リンカーの両末端は、それぞれF、例えば、免疫グロブリンFc領域のアミン基又はチオール基及びXのアミン基又はチオール基に結合することができる。
【0200】
具体的には、前記非ペプチド性ポリマーは、両末端にそれぞれF(例えば、免疫グロブリンFc領域)及びXと結合できる反応基、具体的には、X又はF(例えば、免疫グロブリンFc領域)のN末端又はリシンに位置するアミン基、又はシステインのチオール基と結合できる反応基を含むことができるが、これに限定されない。
【0201】
また、F、例えば、免疫グロブリンFc領域及びXと結合できる、前記非ペプチド性ポリマーの反応基は、アルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体で構成された群から選択できるが、これに制限されない。
【0202】
前記において、アルデヒド基としてプロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を例として挙げられるが、これに制限されない。
【0203】
前記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジル吉草酸、スクシンイミジルメチルブタン酸、スクシンイミジルメチルプロピオン酸、スクシンイミジルブタン酸、スクシンイミジルプロピオン酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネートが用いられ得るが、これに限定されない。
【0204】
非ペプチド性リンカーは、このような反応基を通じてXとFに連結されてもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0205】
また、アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものより遥かに安定している。アルデヒド反応基は、低いpHでN末端に選択的に反応し、高いpH、例えば、pH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成できる。
【0206】
また、前記非ペプチド性リンカーの両末端の反応基は互いに同一又は相異してもよく、例えば、一方の末端にはマレイミド基、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、又はブチルアルデヒド基を有することができる。しかし、非ペプチド性リンカーの各末端にF、具体的には、免疫グロブリンFc領域とXが結合できれば、特にこれに制限されない。
【0207】
例えば、前記非ペプチド性リンカーの一方の末端には反応基としてマレイミド基を含み、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基などを含むことができる。
【0208】
両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性ポリマーとして利用する場合には、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前記多様な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを利用して本発明の持続型タンパク質結合体を製造することができる。
【0209】
一つの具体的な実施形態において前記非ペプチド性ポリマーは、Xのシステイン残基、より具体的にはシステインの-SH基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0210】
例えば、前記Xに該当するペプチドにおいて、10番システイン残基、13番システイン残基、15番システイン残基、17番システイン残基、19番システイン残基、21番システイン残基、24番システイン残基、28番システイン残基、29番システイン残基、30番システイン残基、31番システイン残基、40番システイン残基、又は41番システイン残基に前記非ペプチド性ポリマーが連結されたものであってもよいが、特にこれに限定されない。具体的には、前記システイン残基の-SH基に非ペプチド性ポリマーの反応基が連結されてもよく、反応基については前述の内容が全て適用される。
【0211】
もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを使用する場合、マレイミド基はXの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基はF、具体的には免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アルキル化反応を通じて連結できるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0212】
このような還元的アルキル化を通じてPEGの一方の末端に位置する酸素原子に免疫グロブリンFc領域のN末端アミノ基が-CH2CH2CH2-の構造を有するリンカー作用基を通じて互いに連結され、-PEG-O-CH2CH2CH2NH-免疫グロブリンFcと同様な構造を形成することができ、チオエーテル結合を通じてPEGの一方の末端が三重活性体のシステインに位置する硫黄原子を形成することができる。上述のチオエーテル結合は、
の構造を含むことができる。
【0213】
しかし、上述した例に特に制限されるものではなく、これは一例に該当する。
【0214】
他の具体的な実施形態において、前記非ペプチド性ポリマーは、Xのリシン残基、より具体的にはリシンのアミノ基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0215】
また、前記結合体において、非ペプチド性ポリマーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0216】
本明細書において別途に指すことがなければ、本発明による「ペプチド」又はこのようなペプチドが生体適合性物質に共有結合で連結された「結合体」に関する明細書の詳細な説明や請求の範囲の記述は、当該ペプチド又は結合体はもちろん、当該ペプチド又は結合体の塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、又はその溶媒和物の形態を全て含む範疇にも適用される。従って明細書に「ペプチド」又は「結合体」とだけ記載されていても当該記載内容はその特定塩、その特定溶媒和物、その特定塩の特定溶媒和物にも同様に適用される。このような塩形態は、例えば、薬学的に許容される任意の塩を用いた形態であってもよい。前記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全で効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0217】
以上の内容は、本発明の他の具体例あるいは他の態様にも適用できるが、これに制限されるものではない。
【0218】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含み得る。このような薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤は、非自然なものであってもよい。
【0219】
本発明において、用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができる程度の十分な量と副作用を引き起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合又は同時用いられる薬物など、医学分野によく知られている要素に応じて当業者により容易に決定され得る。
【0220】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。前記担体は、特にこれに制限されないが、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができる。
【0221】
本発明の薬学組成物は、三重活性体又はその持続型結合体を薬理学的有効量、具体的には、0.5~8mgを含み、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に1週間に1回投与されることを特徴とする。
【0222】
このような1週間に1回、0.5~8mgの投与は、実際の肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者を対象とした臨床試験を通じて効能、耐薬性及び安定性を試験的に確保した最適の投与周期及び投与用量であることに技術的意義を有し、本発明による薬学組成物の投与により肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患に対する実質的な予防又は治療効果を有する。
【0223】
本発明を具現するもう一つの態様は、前記三重活性体持続型結合体又はこれを含む薬学組成物を肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に投与する段階を含む肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0224】
具体的には、前記肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療方法は、三重活性体持続型結合体を1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与(特に、皮下投与)することができるが、これに制限されない。
【0225】
三重活性体、持続型結合体、薬学組成物、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患、及び投与については、前述の通りである。
【0226】
本発明を具現するもう一つの態様は、肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療のための薬剤の製造において、前記三重活性体持続型結合体又はこれを含む組成物の用途を提供する。
【0227】
具体的には、前記三重活性体持続型結合体は、1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与(特に、皮下投与)することであってもよいが、これに制限されない。
【0228】
三重活性体、持続型結合体、薬学組成物、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患、及び投与については、前述の通りである。
【0229】
本発明を具現するもう一つの態様は、三重活性体持続型結合体を含む肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の予防又は治療のための製剤を提供する。
【0230】
具体的には、前記製剤は1週間に1回肥満及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者に0.5~8mg非経口投与(特に、皮下投与)することであってもよいが、これに制限されない。
【0231】
三重活性体、持続型結合体、薬学組成物、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患、及び投与については、前述の通りである。
【0232】
以下、下記実施例により本発明をより詳しく説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0233】
実施例1:三重活性体の製造
GLP-1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体の全てに活性を示す三重活性体を製造し、下記表1にその配列を示した。
【0234】
【表1】



【0235】
前記表1に記載された配列においてXと表記されたアミノ酸は、非天然型アミノ酸であるAib(2-aminoisobutyric acid))であり、下線で表示されたアミノ酸は下線で表示されたアミノ酸が互いに環を形成することを意味する。また、前記の表1において、CAは4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)を、Yはチロシンを意味する。
【0236】
実施例2:三重活性体の持続型結合体の製造
両末端にそれぞれマレイミド基及びアルデヒド基を有する10kDaのPEG、即ち、マレイミド-PEG-アルデヒド(10kDa、NOF、日本)を実施例1の三重活性体(配列番号21、22、42、43、50、77、96)のシステイン残基にペギル化させるために、三重活性体とマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1~3、タンパク質の濃度を1~5mg/mlにして低温で0.5~3時間反応させた。この時、反応は50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20~60%のイソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をSPセファロースHP(GE healthcare、米国)に適用してシステインにモノペギル化された三重活性体を精製した。
【0237】
次に、前記精製されたモノペギル化された三重活性体と免疫グロブリンFc(配列番号123のホモ二量体)を、モル比を1:1~5、タンパク質の濃度を10~50mg/mlにして4~8℃で12~18時間反応させた。反応は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.0)に還元剤である10~50mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10~30%のイソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をブチルセファロースFF精製カラム(GE healthcare、米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare、米国)に適用し、三重活性体と免疫グロブリンFcを含む結合体を精製した。
【0238】
一方、前記免疫グロブリンFcは、配列番号123のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有するモノマー2個が、各モノマーの3番アミノ酸であるシステインの間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体のモノマーはそれぞれ独立して35番と95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合が形成されたものである。
【0239】
製造後、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーで分析した純度は95%以上であった。
【0240】
ここで、配列番号21の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号21と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号21の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0241】
ここで、配列番号22の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号22と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号22の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0242】
ここで、配列番号42の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号42と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号42の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0243】
ここで、配列番号43の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号43と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号43の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0244】
ここで、配列番号50の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号50と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号50の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0245】
ここで、配列番号77の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号77と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号77の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0246】
ここで、配列番号96の三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号96と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号96の持続型結合体」と命名し、これらは本願において混用され得る。
【0247】
実験例1:三重活性体及びその持続型結合体のin vitro活性の測定
前記実施例1及び2で製造された三重活性体とその持続型結合体の活性を測定するためにGLP-1受容体、グルカゴン(GCG)受容体、及びGIP受容体がそれぞれ形質転換された細胞株を用いてin vitroで細胞活性を測定する方法を用いた。
【0248】
前記各細胞株は、CHO(chinese hamster ovary)にヒトGLP-1受容体、ヒトGCG受容体及びヒトGIP受容体遺伝子をそれぞれ発現するように形質転換されたものであり、GLP-1、GCG及びGIPの活性を測定するのに適している。従って、各部分に対する活性をそれぞれの形質転換細胞株を用いて測定した。
【0249】
前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体のGLP-1活性の測定のために、ヒトGLP-1を50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGLP-1受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、互いに比較した。ヒトGLP-1比相対力価は下記表2と表3に示す。
【0250】
前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体のGCG活性の測定のために、ヒトGCGを50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGCG受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、互いに比較した。ヒトGCG比相対力価は下記表2と表3に示す。
【0251】
前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体のGIP活性の測定のために、ヒトGIPを50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1と2で製造された三重活性体とその持続型結合体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGIP受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、互いに比較した。ヒトGIP比相対力価は下記表2と表3に示した。
【0252】
【表2】



【0253】
【表3】

【0254】
前記で製造した新規な三重活性体持続型結合体は、GLP-1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体を全て活性化させる三重活性体として機能を有するところ、肥満又は非アルコール性脂肪肝疾患の患者の治療剤物質として利用できる。
【0255】
実験例2:三重活性体持続型結合体のin vivo活性の測定
肥満動物モデルとして広く用いられている高脂肪食餌誘導肥満マウスをこの研究のために用いた。マウスの体重は投与前に約50-60gであった。研究期間中、マウスは群別に収容され、飲水に自由に接近するようにした。光は6PMから6AMまで消しておいた。
【0256】
高脂肪食餌給食された試験群は、群1:賦形剤(2日1回注射)-高脂肪食餌誘導肥満マウス対照群、群2:配列番号42の持続型結合体1.44nmol/kg(2日1回注射)、群3:配列番号42の持続型結合体2.88nmol/kg(2日1回注射)、群4:配列番号43の持続型結合体1.44nmol/kg(2日1回注射)、群5:配列番号43の持続型結合体2.88nmol/kg(2日1回注射)、群6:配列番号50の持続型結合体1.44nmol/kg(2日1回注射)、群7:配列番号50の持続型結合体2.88nmol/kg(2日1回注射)がある。実験は28日目に終了し、実験の進行中に2日単位で各群に対応するマウスの体重変化を測定した。実験終了後、剖検により腸間膜脂肪量を測定した。統計処理は一元ANOVAを使用して高脂肪食餌誘導肥満マウス対照群と試験群とを比較した。
【0257】
体重変化を測定した結果、図1で確認できるように、投与後28日が経過した時点で配列番号42、43、及び50の持続型結合体の高用量投与群をすべて投与開始前に比べてそれぞれ-56.9%、-57.0%、そして-63.5%の体重減少を示した(***p<0.001vs. 賦形剤対照群 by one-way ANOVA)。
【0258】
また、腸間膜脂肪量を測定した結果、図2から確認できるように、投与後28日が経過した時点で配列番号42、43、及び50の持続型結合体の高用量投与群のすべてが賦形剤投与群との比較で体内脂肪が有意に減少することが確認された(***p<0.001 vs. 賦形剤対照群 by one-way ANOVA)。
【0259】
実験例3:三重活性体持続型結合体の肥満患者に対する安定性及び耐薬性の実験
配列番号42の持続型結合体を0.01~0.12mg/kgで肥満患者に1回皮下投与し、投与後1ヶ月間の安定性及び耐薬性について確認し、その結果を図3図10に示した。
【0260】
18歳以上65歳未満、BMIが30kg/m2以上40kg/m2以下、HbA1cが6.5%未満の肥満患者を募集し、計41人の肥満患者が募集された。肥満患者41人の平均年齢は45.7歳、平均BMIは33.6kg/m2であり、男性比率は51.2%で、前記肥満患者の具体的な情報は図3の通りである。図3に示すように、0.08mg/kg投与群の肥満患者(7人)を除き、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg及び0.12mg/kg投与群の肥満患者はそれぞれ6人である。プラセボ(placebo)群の肥満患者には免疫グロブリンFcとPEGのみ連結された結合体(配列番号42の三重活性体は含まない)を含む滅菌された無色の溶液を投与し、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.08mg/kg及び0.12mg/kg投与群それぞれ2人ずつ計10人の肥満患者を対象に投与した。
【0261】
投与2日前から投与7日目までは病院入院下で肥満患者の状態を確認し、10日目及び17日目には外来診療で観察し、その後(30日目)から後続観察を継続した。
【0262】
臨床試験のマニュアルに基づき、投与1日目(投与時から4時間、8時間及び12時間後)、2日目(24時間及び36時間後)、3日目(48時間後)、4日目(72時間後)、5日目(96時間後)、7日目(144時間後)、10日目(216時間後)、17日目(384時間後)及び30日目(696時間後)の肥満患者の血液サンプル2mLを採取し、配列番号42の持続型結合体の血中濃度を測定し、その結果を図4に示した。
【0263】
図5は、配列番号42の持続型結合体を投与したときのCmax(ng/mL)、Tmax(hr)、T1/2(hr)、AUC0-inf(ng/mL・h)、Dose-normalized Cmax (ng/mL/mg)及びDose-normalized AUCinf (ng/mL・h/mg)を示した。
【0264】
投与後一ヶ月間異常反応(TEAE、treatment emergent adverse events)を観察し、その結果を図6に示した。
【0265】
投与後、4日間持続的に血圧を測定(24-hour ABPM、ambulatory blood pressure monitoring)し、図7に心拍数(HR)、収縮期血圧(SPB)、拡張期血圧(DBP)、心筋酸素消耗量(RPP、Rate pressure product)を示した。
【0266】
臨床試験マニュアルに基づき、投与前(1日前)、7日目(144時間後)及び30日目(696時間後)の肥満患者の血液サンプル12mLを採取し、免疫原性(Immunogenicity:ADAbs、Anti-drug antibodies; nAbs、neutralizing antibodies;anti-PEG、anti-polyethylene glycol antibodies)を測定し、その結果を図8図10に示した。
【0267】
前記の結果により、肥満患者に1週間に1回0.5~8mg非経口(皮下)投与時に安定性及び耐薬性が確保されることを確認した。
【0268】
実験例4:三重活性体持続型結合体の非アルコール性脂肪肝疾患の患者に対する安定性、耐薬性及び効能実験
配列番号42の持続型結合体を週1回0.01~0.08mg/kgで非アルコール性脂肪肝疾患の患者に12週間皮下投与し、その結果を図11~17に示した。
【0269】
具体的には、BMIが30kg/m2以上、ウエストサイズ57インチ以下、空腹血糖(Fasting Plasma Glucose)7mmol/L(126mg/dL)以下、HbA1c 6.5%未満、FibroScanによる脂肪肝測定技術(CAP、Controlled Attenuation Parameter)300dB/m以上、MRI-PDFFによる脂肪肝が10%以上の非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の患者を募集し、計66人の非アルコール性脂肪肝疾患の患者が募集された。非アルコール性脂肪肝疾患の患者66人の女性比率は50%、平均年齢は46歳(SD:11.4)、BM1は36kg/m2(SD:4.96)、MRI-PDFFによる脂肪肝19.2%(SD:6.5)であり、前記非アルコール性脂肪肝疾患の患者の具体的な情報は図11の通りである。
【0270】
図11に示すように、0.01mg/kg投与群9人、0.02mg/kg投与群10人、0.04mg/kg投与群12人、0.06mg/kg投与群9人、0.08mg/kg投与群9人の非アルコール性脂肪肝疾患の患者に配列番号42の持続型結合体を12週間1週間に1回皮下投与した。プラセボ(placebo)群の非アルコール性脂肪肝疾患の患者には、免疫グロブリンFcとPEGのみが連結された結合体(配列番号42の三重活性体は含まない)を含む滅菌された無色の溶液を投与し、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.06mg/kg及び0.08mg/kg投与群それぞれ3人ずつ、計15人の非アルコール性脂肪肝疾患の患者を対象に12週間1週間に1回皮下投与した。
【0271】
最初の投与2日前から2回目の投与日(最初の投与日基準で8日目)までは、病院入院下で投与及び非アルコール性脂肪肝疾患の患者の状態を確認し、3回目の投与(最初の投与日基準で15日目)、4回目の投与(最初の投与日基準で22日目)、5回目の投与(最初の投与日基準で29日目)、6回目の投与(最初の投与日基準で36日目)、7回目の投与(最初の投与日基準で43日目)、8回目の投与(最初の投与日基準で50日目)、9回目の投与(最初の投与日基準で57日目)、10回目の投与(最初の投与日基準で64日目)及び11回目の投与(最初の投与日基準で71日目)は外来診療で行い、病院入院下で12回目の投与(最初の投与日基準で78日目)と共に患者の状態を確認した。最初の投与日基準で13週目及び15週目に外来診療で患者の状態を再度確認し、その後、2週間継続追跡観察した。
【0272】
臨床試験マニュアルに基づき、投与前、投与1週目(最初投与時から8時間、24時間、48時間及び72時間後)、投与2週目(2次投与前及び2次投与後48時間後)、投与3週目(3次投与前で最初投与基準で15日目)、投与4週目(4次投与前で最初投与基準で22日目)、投与5週目(5次投与前で最初投与基準で29日目)、投与6週目(6次投与前で最初投与基準で36日目)、投与8週目(8次投与前で最初投与基準で50日目)、投与9週目(9次投与前で最初投与基準で57日目)、投与12週目(12次投与前、12次投与時から48時間後及び72時間後)、12次投与時から168時間後(初回投与基準で85日目)、12次投与時から504時間後(初回投与基準99日目)及び12次投与時から840時間後(初回投与基準で113日目)の非アルコール性脂肪肝疾患の患者の血液サンプル2mLを採取して配列番号42の持続型結合体の血中濃度を測定し、その結果を図12に示す。
【0273】
図13は、配列番号42の持続型結合体を投与したときのCmax(ng/mL)、Tmax(hr)、T1/2(hr)及びAUC0-168(ng/mL・h)を最初投与1週目及び12週目に確認して示した。
【0274】
最初の投与後、17週目までに異常反応(TEAE、treatment emergent adverse events)を観察し、その結果を図14に示した。
【0275】
MRIベースのイメージング技術を用いた脂肪測定方法(MRI-PDFF,Magnetic resonance imaging-derived proton density fat fraction)を通じて、非アルコール性脂肪肝疾患患者の肝脂肪含有量(liver fat content)及び肝脂肪症(hepatic steatosis)の程度を最初投与基準で8週目及び12週目に確認し、その結果を図15図17に示した。
【0276】
前記の実験を通じて、本発明による三重活性体持続型結合体を非アルコール性脂肪肝疾患の患者に投与することにより、肝臓内脂肪量を減少させ、非アルコール性脂肪肝疾患に対する治療効果が得られることを確認した。
【0277】
前記結果により、非アルコール性脂肪肝疾患の患者に1週間に1回0.5~8mg非経口(皮下)投与時に安定性、耐薬性及び効能が確保されることを確認した。
【0278】
実験例5:三重活性体持続型結合体の非アルコール性脂肪肝疾患の患者に対する安定性、耐薬性及び効能実験
実験例4の結果により、非アルコール性脂肪肝疾患の患者の1週間に1回2mg投与群、1週間に1回4mg投与群及び1週間に1回6mg投与群に対する実験例5の試験を設計し、その結果を確認した。
【0279】
前記実験例4で効果を確認した配列番号42の持続型結合体を1週間に1回2~6mgで非アルコール性脂肪肝疾患の患者に52週間皮下投与した。
【0280】
18歳以上70歳未満、BMIが18kg/m2以上、肝線維症(線維化F1-F3段階)と共に非硬変性の非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis、NASH)の診断を受け、MRI-PDFFによる脂肪肝が8%以上の非アルコール性脂肪肝疾患の患者を募集した。
【0281】
具体的には、次のような3投与群とプラセボ群に分類し、52週間1週間に1回皮下投与を行い、最終投与後4週間安定性(異常反応)に対する追跡観察を行った:
【0282】
- 1週間に1回2mg投与群
- 1週間に1回4mg投与群
- 1週間に1回6mg投与群
【0283】
MRIベースのイメージング技術を用いた脂肪測定方法(MRI-PDFF、Magnetic resonance imaging-derived proton density fat fraction)により、非アルコール性脂肪肝疾患の患者の肝脂肪含有量(liver fat content)及び肝脂肪症(hepatic steatosis)の程度を最初の投与基準で26週目及び52週目に確認した。
【0284】
最初の投与基準で14週目、26週目、38週目、52週目に肝線維化スキャン(Fibroscan、echosens)を行い、血中脂質濃度(総コレステロール、LDL-C、HDL-C、VLDL-C、トリグリセリド、遊離脂肪酸)、NASHバイオマーカー(Cytokeratin-18 M30/65 fragments, Enhanced Liver Fibrosis Score, Pro-C3, Non-invasive score 4, Fibrosis-4 index, NAFLD Fibrosis Score)、PK/PD 分析及び以下に記載されるグルコース代謝パラメータ(Glucose Metabolism Parameter)も、最初の投与基準で14週目、26週目、38週目及び52週目に確認した。
【0285】
<グルコース代謝パラメータ>
- FPG(Fasting Plasma Glucose)
- 空腹時インスリン(Fasting Insulin)
- 空腹時C-ペプチド(Fasting C-Peptide)
- HbA1c
- インスリン抵抗性: HOMA-IR(Homeostatic Model Assessment For Insulin Resistance)
- インスリン分泌: HOMA-B(Homeostatic Model Assessment For Insulin Secretion)
【0286】
非アルコール性脂肪肝疾患の患者の改善程度を評価するために、肝組織検査(Liver Biopsy)を最初投与基準で52週目に行い、改善程度の評価は下表4のNASスコア(NAFLD activity score、0~8点)及び線維化スコア(fibrosis score、0~4点)を利用した。
【0287】
【表4】
【0288】
線維化スコアは、血管周辺線維症(Perisinusoidal Chicken-Wire Fibrosis)、門脈周辺部線維症(Portal Fibrosis)及び架橋線維症(Bridging Fibrosis)に対して0~4点で点数化して評価した。
【0289】
本発明において、以下の3項目中、1以上項目を満たす場合には、非アルコール性脂肪肝疾患が改善されたものと見られる。
【0290】
- NASスコアが2点以上減少した場合
- 肝細胞風船様変性の点数が0点、又は小葉内炎症の個数点数が0~1点の場合
- 繊維化点数が1点以上改善された場合
【0291】
安定性、耐薬性及び効能実験の結果により、非アルコール性脂肪肝疾患の患者に1週間に1回0.5~8mg非経口投与時に安定性、耐薬性及び効能が確保され、望ましくは、1週間に1回2~6mg投与が提案される。
【0292】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
2023537895000001.app
【国際調査報告】