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  • 特表-空気入り車両用タイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】空気入り車両用タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/00 20060101AFI20230830BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20230830BHJP
   D07B 1/06 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B60C9/00 B
B60C9/22 C
D07B1/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507683
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 DE2021200099
(87)【国際公開番号】W WO2022033640
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102020210392.5
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】レーゼ・ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
3B153
3D131
【Fターム(参考)】
3B153AA04
3B153BB01
3B153CC21
3B153DD01
3B153FF16
3B153GG05
3D131AA33
3D131AA39
3D131AA44
3D131AA45
3D131AA48
3D131BA08
3D131BA11
3D131BC09
3D131BC31
3D131BC36
3D131BC43
3D131DA34
3D131DA43
3D131DA54
3D131DA57
3D131LA28
(57)【要約】
本発明は、トレッド(1)と、ラジアルカーカスと、少なくとも2つのベルトプライ(8a、8b)及びベルトの半径方向外側に配置された少なくとも1つのベルトバンデージ層(9)を有するベルトアセンブリ(8)とを備えたラジアルタイプの空気入り車両用タイヤであって、ベルトバンデージ層が、ベルトバンデージ層(9)の内部に互いに平行に配置された少なくとも2本の撚り合わされたマルチフィラメントヤーンで作られたコードを含み、マルチフィラメントヤーンが再生ポリエチレンテレフタレート(rPET)から構成される、空気入り車両用タイヤに関する。rPETコード(10)が、1.56cN/dtexの力の下で、20℃において2%~5%の伸びを有し、120℃において6%~9%の伸びを有する。更に、rPETコード(10)の破断伸びと熱収縮率との和が、180℃において0.01cN/dtexのプレテンション力及び2分間の作用時間で測定されたときに、17%より大きく、rPETコード(10)が、180℃において0.01cN/dtexのプレテンション力及び2分間の作用時間で測定されたときに、2.5%より大きい熱収縮率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド(1)と、ラジアルカーカスと、少なくとも2つのベルトプライ(8a、8b)及び前記ベルトの半径方向外側に配置された少なくとも1つのベルトバンデージプライ(9)を有するベルトバンデージ(8)とを備えたラジアル構造の空気入り車両用タイヤであって、前記ベルトバンデージプライ(9)が、前記ベルトバンデージプライ(9)の内部に互いに平行に配置された少なくとも2本の撚り合わされたマルチフィラメントヤーンのコードを含み、前記マルチフィラメントヤーンが再生ポリエチレンテレフタレート(rPET)から作られる、空気入り車両用タイヤにおいて、
前記rPETコード(10)が、1.56cN/dtexの力の下で、20℃において2%~5%の伸びを有し、120℃において6%~9%の伸びを有することと、
前記rPETコード(10)の破断伸びと熱収縮率との和が、180℃において0.01cN/dtexの予荷重力及び2分間の曝露時間で測定されたときに、17%より大きいことと、
前記rPETコード(10)が、180℃において0.01cN/dtexの予荷重力及び2分間の曝露時間で測定されたときに、2.5%より大きい熱収縮率を有することと
を特徴とする、空気入り車両用タイヤ。
【請求項2】
強度部材の正味の伸張が、3%~6%の範囲、好ましくは3.5%~5%の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の空気入り車両用タイヤ。
【請求項3】
前記rPETコード(10)が、500dtex~6000dtexの総繊度、好ましくは500dtex~3500dtexの総繊度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気入り車両用タイヤ。
【請求項4】
前記rPETコード(10)が、150tpm~650tpmのコード撚数、好ましくは200tpm~650tpmのコード撚数を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入り車両用タイヤ。
【請求項5】
前記rPETコード(10)が、rPET 550dtex×2、rPET 1100dtex×2、rPET 1440dtex×2、rPET 720dtex×2、又はrPET 1670dtex×2の構造を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気入り車両用タイヤ。
【請求項6】
前記rPETコード(10)が、前記ベルトバンデージプライ(9)において、60epdm~160epdmとなるように、特に80epdm~140epdmとなるように配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の空気入り車両用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッドと、ラジアルカーカスと、少なくとも2つのベルトプライ及びベルトの半径方向外側に配置された少なくとも1つのベルトバンデージプライを有するベルトバンデージとを備えたラジアル構造の空気入り車両用タイヤであって、ベルトバンデージプライが、ベルトバンデージプライの内部に互いに平行に配置された少なくとも2本の撚り合わされたマルチフィラメントヤーンのコードを含み、マルチフィラメントヤーンが再生ポリエチレンテレフタレート(rPET)から作られる、空気入り車両用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような空気入り車両用タイヤは、欧州特許第2576245B1号明細書から公知である。再生PET(rPET)は、化石原料から直接得られるものではなく、飲料用PETボトルなどの使用済みのPET製品から100%再生されるものである。使用済みPET材料が洗浄され、破砕され、溶融紡糸プロセスを用いて繊維状に押し出され、繊維がマルチフィラメントヤーン及びコードに更に加工される。このように使用済みPET材料を空気入り車両用タイヤの強度部材に再利用することは、環境に優しく、省資源である。
【0003】
単一プライ又は複数プライのベルトバンデージが当業者に周知である。
【0004】
更に、欧州特許第B-1671813号明細書は、29.4Nの負荷の下で160℃において測定される弾性率が2.5mN/dtex%以上であるPETコードを空気入り車両用タイヤのベルトバンデージプライに用いることを開示している。このコードは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性の水性ポリウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂化合物を含む接着促進組成物で更に処理される。更に、ナイロンコード、特にPA6.6を空気入り車両用タイヤのバンデージプライに使用することも一般的である。ナイロンコードの引張弾性率が比較的低いことに起因して、特定の用途では、特にタイヤの高速耐久性が重要である場合には、ナイロンコードを含む2つのバンデージプライを強度部材として設けることが必要になる。タイヤにおけるバンデージプライの主な目的は、ベルトプライの縁部の剥離を避けるために、ベルトプライの横方向の縁部における相対的な動きを防止することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、単一プライ構成のバンデージの場合であっても、タイヤが良好な高速耐久性、長い耐用年数、及びフラットスポット現象の抑制を確実に呈するようにする、1つ又は複数のベルトバンデージプライのためのrPETコードを提供する目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、rPETコードが、1.56cN/dtexの力の下で、20℃において2%~5%の伸びを有し、且つ120℃において6%~9%の伸びを有する場合、rPETコードの破断伸びと熱収縮率との和が、180℃において0.01cN/dtexの予荷重力及び2分間の曝露時間で測定されたときに、17%より大きい場合、及びrPETコードが、180℃において0.01cN/dtexの予荷重力及び2分間の曝露時間で測定されたときに、2.5%より大きい熱収縮率を有する場合に、本発明にしたがって達成される。
【0007】
空気入り車両用タイヤにおける、このようなrPETコードを備えたベルトバンデージプライは、環境に優しく、ベルトの縁部の剥離を効果的に防止し、タイヤの良好な高速耐久性及び長い耐用年数を確実にし、フラットスポット現象を抑制する。
【0008】
再生PET(rPET)から作られたフィラメントヤーンは、一般に、再生したものではないPETから作られたフィラメントヤーンよりも低い弾性率を有する。本発明によるrPETコードの特性は、驚くべきことに、3%~6%、好ましくは3.5%~5%の正味の伸張(転換プロセスを通過する際の個々のオーブンにおける強度部材の伸張の和)として実現される。同等の引張伸縮を有する再生したものではないPETから作られたコードは、最大1.5%の正味の伸縮を生じる。関連する強度部材の伸張を含む転換プロセスは、当業者に周知である。
【0009】
いくつかのコードパラメータは、これらの効果を実現するのを助けるのに特に重要である。例えば、コードの総繊度が重要であり、本発明によるrPETコードは、500dtex~6000dtexの総繊度、特に500dtex~3500dtexの総繊度を有するべきである。更に、rPETコードは、150tpm~650tpmのコード撚数、特に200tpm~650tpmのコード撚数を有するべきである。
【0010】
本発明によるrPETコードが、バンデージプライにおいて、60epdm~160epdmとなるように、特に80epdm~140epdmとなるように構成されることが、ベルトプライの縁部の剥離の防止と、タイヤの良好な高速耐久性及び長い耐用年数とのために特に好都合であることが判明している。この場合に必要とされるのは、単一のバンデージプライのみである。
【0011】
更なる実施形態では、本発明による空気入り車両用タイヤは、複数プライ、特に2プライのベルトバンデージを有する。
【0012】
次に、例示的実施形態を示す図面に基づいて、本発明の更なる特徴、利点、及び細部をより詳細に説明する。図面は1枚であり、図1は、空気入り車両用タイヤの断面図を概略的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】空気入り車両用タイヤの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す空気入り車両用タイヤは、ラジアル構造の乗用車用タイヤであり、トレッド1と、サイドウォール2と、ビードコア4及びビードプロファイル5を有するビード領域3と、2つのビードコア4を囲むカーカスプライ6と、内層7と、カーカスプライ6とトレッド1との間に配置されたベルトバンデージ8とを備える。図示の実施態様では、ベルトバンデージ8は2つのベルトプライ8a及び8bを有し、2つのベルトプライ8a及び8bは、既知の仕方で、ゴム混合物に埋め込まれるスチールコードから作られた平行な強度部材から構成され得る。一方のベルトプライ8aにあるスチールコードは、他方のベルトプライ8bにあるスチールコードと交差し、20°~35°の大きさの程度の一般に使用される角度のうち1つの角度をなして、タイヤ円周方向に閉じる。2つのベルトプライ8a、8bの半径方向外側にはバンデージプライ9(キャッププライ)があり、バンデージプライ9は、rPET(再生ポリエチレンテレフタレート)から作られたコード10をタイヤの円周方向において連続的且つ螺旋状に巻回することによって形成され、ベルトバンデージ8の横方向の周縁の縁部を覆う。
【0015】
本発明によれば、構造1100dtex×2又は1440dtex×2又は720dtex×2又は550dtex×2又は1670dtex×2のrPETコード10であって、以下の特性を有するものが採用される。コード10の伸びは、1.56cN/dtexの力の影響下で、20℃の温度において2%~5%であり、且つ120℃の温度において6%~9%である。破断伸びと熱収縮率との和が、2分間有効である0.01cN/dtexの予荷重力及び180℃の温度では、17%より大きい。更に、180℃において、2分間の曝露時間での0.01cN/dtexの予荷重力の影響下での熱収縮率は、2.5%より大きい。正味の伸張(転換プロセスを通過する際の個々のオーブンにおける強度部材の伸張の和)は、3%~6%の範囲、好ましくは3.5%~5%の範囲にある。
【0016】
本発明によるrPETコード10は、1100dtex~3340dtexの総繊度を有する。特に、150tpm~650tpm(turns per meter、メートル当たりの撚数)のコード撚数、特に200tpm~650tpmのコード撚数を有するrPETコード10が採用される。
【0017】
ベルトバンデージを形成するためにrPETコード10を巻回する際の相互の間隔は、完成したバンデージプライが60~160epdm(ends per decimeter、デシメートル当たりの末端数)を有するように調整される。本発明の好ましい実施形態では、バンデージプライ9は80epdm~140epdmを有する。
【0018】
本発明にしたがって構成される単一バンデージプライ9を有するタイヤは、強度部材としてナイロン6.6を含む既知の2プライバンデージ構成を有するタイヤに匹敵する高速耐久性を有する。本発明によるバンデージプライの更に有利な効果は、ベルトプライにおけるコード破損のリスクなしで衝撃応力に対する堅牢性が良好であることである。一般的に採用されているナイロンコードと比較して、本発明にしたがって構成されたタイヤは、フラットスポット現象(駐車時のタイヤのフットプリントの一時的な変形)の著しい抑制を呈し、従来のコードよりも環境に優しい。
【符号の説明】
【0019】
1 トレッド
2 サイドウォール
3 ビード領域
4 ビードコア
5 ビードプロファイル
6 カーカスプライ
7 内層
8 ベルトバンデージ
8a ベルトプライ
8b ベルトプライ
9 バンデージプライ
10 rPETコード
図1
【国際調査報告】