(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】摂取可能薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20230830BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A61M5/145 502
A61M5/14 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508522
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 US2021045196
(87)【国際公開番号】W WO2022035750
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アリック, グラハム
(72)【発明者】
【氏名】グウィン, デクラン
(72)【発明者】
【氏名】ワイナー, ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】トラベルソ, カルロ ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】スティッカー, ドラゴ
(72)【発明者】
【氏名】クリーブランド, コーディー
(72)【発明者】
【氏名】ガザル, アギアド
(72)【発明者】
【氏名】ワータラ, ヨリト イェルーン
(72)【発明者】
【氏名】モウリトスン, ブリアン
(72)【発明者】
【氏名】ポウルスン, メッテ
(72)【発明者】
【氏名】サーアンスン, ダン ノートフト
(72)【発明者】
【氏名】イェプスン, ヤコブ ピョン ファ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066AA05
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD02
4C066EE14
4C066HH02
4C066QQ35
(57)【要約】
対象への投与のための薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するリザーバと、ポテンシャルエネルギー源とを含み得る。薬物送達デバイスはまた、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガを含み得る。トリガは、対象内の所定の場所で作動し、胃腸管の隣接する部分の組織の中に活性医薬成分の噴射を展開するように構成され得る。いくつかの事例では、噴射は、対象の胃および/または小腸の組織の中に展開され得る。さらに、いくつかの実施形態では、噴射の動作パラメータは、噴射が胃腸管の組織を貫通し、組織内に配置される活性医薬成分のデポを形成するように選択され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、前記対象の胃内で作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記胃の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記活性医薬成分の噴射を形成するために前記ポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、9ワット(W)~130Wである、出口と
を備える、デバイス。
【請求項2】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、20m/秒~250m/秒の速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記活性医薬成分の噴射を形成するために前記ポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、9ワット(W)~130Wである、出口と
を備える、デバイス。
【請求項3】
前記トリガは、前記対象の胃内で作動するように構成される、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記胃の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射する、請求項2または請求項3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記ピークパワーは、9W~70Wである、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記ピークパワーは、9W~12Wである、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、前記胃の筋層を穿孔することなく、前記胃の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成するように構成される、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、前記対象の胃内で作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記胃の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、前記胃の筋層を穿孔することなく、前記胃の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成するように構成される、出口と
を備える、デバイス。
【請求項9】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、20m/秒~250m/秒の速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、前記胃の筋層を穿孔することなく、前記胃の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成するように構成される、出口と
を備える、デバイス。
【請求項10】
前記トリガは、前記対象の胃内で作動するように構成される、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記胃の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射する、請求項9または請求項10に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記活性医薬成分の噴射を形成するために前記ポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、9W~130Wである、請求項8-11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、少なくとも50%のデポ効率で粘膜下組織内に前記デポを形成するように構成される、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記噴射の速度は、80m/秒~130m/秒である、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
前記出口の最大横断寸法は、50μm~450μmである、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
前記ポテンシャルエネルギー源は、圧縮ガス、ばね、爆発物、および反応チャンバのうちの少なくとも1つを備える、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
前記薬物送達デバイスの全体的体積は、3,000mm
3未満である、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項18】
前記リザーバ内に配置される前記活性医薬成分をさらに備える、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項19】
前記対象は、ヒト対象である、前記請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項20】
対象に活性医薬成分を投与する方法であって、前記方法は、
前記対象の胃内の前記活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、
噴射を用いて前記対象の胃の組織を貫通させることであって、前記活性医薬成分の噴射を形成するために印加されるピークパワーは、9W~130Wである、ことと
を含む、方法。
【請求項21】
前記ピークパワーは、9W~70Wである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ピークパワーは、9W~12Wである、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記胃の筋層を穿孔することなく、前記胃の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成することをさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
対象に活性医薬成分を投与する方法であって、前記方法は、
前記対象の胃内の前記活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、
前記噴射を用いて前記対象の胃の組織を貫通させることと、
前記胃の筋層を穿孔することなく、前記胃の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成することと
を含む、方法。
【請求項25】
前記活性医薬成分の噴射を形成するために印加されるピークパワーは、9W~130Wである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記活性医薬成分によって形成される前記デポのデポ効率は、少なくとも50%である、請求項20-25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記噴射の速度は、80m/秒~130m/秒である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記噴射は、50μm~450μmの最大横断寸法を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象の胃内に前記活性医薬成分を含む薬物送達デバイスを位置付けることをさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬物送達デバイスの全体的体積は、3,000mm
3未満である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記対象は、ヒト対象である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、前記対象の小腸内で作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記小腸の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記活性医薬成分の噴射を形成するために前記ポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、3W~6.5Wである、出口と
を備える、デバイス。
【請求項33】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、40m/秒~80m/秒の速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記活性医薬成分の噴射を形成するために前記ポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、3W~6.5Wである、出口と
を備える、デバイス。
【請求項34】
前記トリガは、前記対象の小腸内で作動するように構成される、請求項33に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記小腸の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射する、請求項33または請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項36】
前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、前記小腸の筋層を穿孔することなく、前記小腸の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成するように構成される、請求項32-35のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項37】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、前記対象の小腸内で作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記小腸の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、前記小腸の筋層を穿孔することなく、前記小腸の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成するように構成される、出口と
を備える、デバイス。
【請求項38】
対象への投与のために構成される薬物送達デバイスであって、前記デバイスは、
活性医薬成分を含有するように構成されるリザーバと、
ポテンシャルエネルギー源と、
前記ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられるトリガであって、前記トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、
前記リザーバと流体連通する出口であって、前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接して40m/秒~80m/秒の速度で前記活性医薬成分を噴射し、前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、前記小腸の筋層を穿孔することなく、前記小腸の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成するように構成される、出口と
を備える、デバイス。
【請求項39】
前記トリガは、前記対象の小腸内で作動するように構成される、請求項38に記載の薬物送達デバイス。
【請求項40】
前記トリガが作動されると、前記ポテンシャルエネルギー源は、前記リザーバを圧縮し、前記リザーバから前記出口を通して、前記出口に隣接する前記小腸の組織を貫通するために十分な速度で前記活性医薬成分を噴射する、請求項38または請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項41】
前記活性医薬成分の噴射を形成するために前記ポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、3W~6.5Wである、請求項37-40のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記出口、前記リザーバ、および前記ポテンシャルエネルギー源は、少なくとも50%のデポ効率で粘膜下組織内に前記デポを形成するように構成される、請求項32-41のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記噴射の速度は、40m/秒~80m/秒である、請求項32~42のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記出口の最大横断寸法は、50μm~450μmである、請求項32-43のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記ポテンシャルエネルギー源は、圧縮ガス、ばね、爆発物、および反応チャンバのうちの少なくとも1つを備える、請求項32-44のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
前記薬物送達デバイスの全体的体積は、3,000mm
3未満である、請求項32-45のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
前記リザーバ内に配置される前記活性医薬成分をさらに備える、請求項32-46のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
前記対象は、ヒト対象である、請求項32-47のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項49】
対象に活性医薬成分を投与する方法であって、前記方法は、
前記対象の小腸内の前記活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、
前記噴射を用いて前記対象の小腸の組織を貫通させることであって、前記活性医薬成分の噴射を形成するために印加されるピークパワーは、3W~6.5Wである、ことと
を含む、方法。
【請求項50】
前記小腸の筋層を穿孔することなく、前記小腸の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
対象に活性医薬成分を投与する方法であって、前記方法は、
前記対象の小腸内の前記活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、
前記噴射を用いて前記対象の小腸の組織を貫通させることと、
前記小腸の筋層を穿孔することなく、前記小腸の組織内に前記活性医薬成分のデポを形成することと
を含む、方法。
【請求項52】
前記活性医薬成分の噴射を形成するために印加されるピークパワーは、3W~6.5Wである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記活性医薬成分によって形成される前記デポのデポ効率は、少なくとも50%である、請求項49-52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記噴射の速度は、80m/秒~130m/秒である、請求項49-53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記噴射は、50μm~450μmの最大横断寸法を有する、請求項49-54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象の小腸内に前記活性医薬成分を含む薬物送達デバイスを位置付けることをさらに含む、請求項49-55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記薬物送達デバイスの全体的体積は、3,000mm
3未満である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象は、ヒト対象である、請求項49-57のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全体として本明細書に組み込まれる、2020年8月10日に出願された、米国仮出願第63/063,818号の35 U.S.C. § 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0002】
開示される実施形態は、摂取可能薬物送達デバイスおよび関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ある治療薬は、経口-胃腸(GI)経路を介して投与されるときに容易に変成する、大きい複雑な分子から成る。故に、これらの治療薬を必要とする患者は、典型的には、例えば、皮下注入を含む、GI経路外であるより侵襲的な形態の薬物投与を使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、対象の胃内で作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する胃の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射する。活性医薬成分の噴射を形成するためにポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、9ワット(W)~130Wである。
【0005】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、対象の胃内で作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する胃の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射する。出口、リザーバ、およびポテンシャルエネルギー源は、胃の筋層を穿孔することなく、胃の組織内に活性医薬成分のデポを形成するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、対象に活性医薬成分を投与する方法は、対象の胃内の活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、噴射を用いて対象の胃の組織を貫通させることであって、活性医薬成分の噴射を形成するために印加されるピークパワーは、9ワット(W)~130Wである、こととを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、対象に活性医薬成分を投与する方法は、対象の胃内の活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、噴射を用いて対象の胃の組織を貫通させることと、胃の筋層を穿孔することなく、胃の組織内に活性医薬成分のデポを形成することとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、対象の小腸内で作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する小腸の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射する。活性医薬成分の噴射を形成するためにポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、3ワット(W)~6.5Wである。
【0009】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、対象の小腸内で作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する小腸の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射する。出口、リザーバ、およびポテンシャルエネルギー源は、小腸の筋層を穿孔することなく、小腸の組織内に活性医薬成分のデポを形成するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、対象に活性医薬成分を投与する方法は、対象の小腸内の活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、噴射を用いて対象の小腸の組織を貫通させることであって、活性医薬成分の噴射を形成するために印加されるピークパワーは、3ワット(W)~6.5Wである、こととを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、対象に活性医薬成分を投与する方法は、対象の小腸内の活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることと、噴射を用いて対象の小腸の組織を貫通させることと、小腸の筋層を穿孔することなく、小腸の組織内に活性医薬成分のデポを形成することとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、20m/秒~250m/秒の速度で活性医薬成分を噴射する。いくつかの実施形態では、活性医薬成分の噴射を形成するためにポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、9ワット(W)~130Wである。いくつかの実施形態では、トリガは、対象の胃内で作動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する胃の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、20m/秒~250m/秒の速度で活性医薬成分を噴射する。いくつかの実施形態では、出口、リザーバ、およびポテンシャルエネルギー源は、胃の筋層を穿孔することなく、胃の組織内に活性医薬成分のデポを形成するように構成される。いくつかの実施形態では、トリガは、対象の胃内で作動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する胃の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、40m/秒~80m/秒の速度で活性医薬成分を噴射する。いくつかの実施形態では、活性医薬成分の噴射を形成するためにポテンシャルエネルギー源によって提供されるピークパワーは、3W~6.5Wである。いくつかの実施形態では、トリガは、対象の小腸内で作動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する小腸の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射する。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象への投与のために構成される、薬物送達デバイスは、活性医薬成分を含有するように構成される、リザーバと、ポテンシャルエネルギー源と、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガであって、トリガは、1つまたはそれを上回る所定の条件に応答して作動するように構成される、トリガと、リザーバと流体連通する、出口とを含む。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接して40m/秒~80m/秒の速度で活性医薬成分を噴射する。いくつかの実施形態では、出口、リザーバ、およびポテンシャルエネルギー源は、小腸の筋層を穿孔することなく、小腸の組織内に活性医薬成分のデポを形成するように構成される。いくつかの実施形態では、トリガは、対象の小腸内で作動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トリガが作動されると、ポテンシャルエネルギー源は、リザーバを圧縮し、リザーバから出口を通して、出口に隣接する小腸の組織を貫通するために十分な速度で活性医薬成分を噴射する。
【0016】
本開示がこの点で限定されないため、前述の概念および下記に議論される付加的概念が、任意の好適な組み合わせにおいて配列され得ることを理解されたい。さらに、本開示の他の利点および新規の特徴が、付随の図と併せて考慮されるとき、種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
付随の図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面では、種々の図に図示される各同じまたはほぼ同じ構成要素は、同様の数字によって表され得る。明確にする目的のために、全ての構成要素が、全ての図面において標識化されるわけではない場合がある。
【0018】
【
図1A】
図1Aは、薬物送達デバイスの一実施形態の概略図を描写する。
【0019】
【0020】
【0021】
【
図2A】
図2Aは、第1の状態における薬物送達デバイスの一実施形態を描写する。
【0022】
【0023】
【
図3】
図3は、対象の胃腸管系を通して通過する薬物送達デバイスの一実施形態を描写する。
【0024】
【
図4】
図4は、噴射パワー対時間の概略グラフを描写する。
【0025】
【
図5A】
図5Aは、異なるノズルサイズに関する計算された噴射力対時間のグラフを描写する。
【0026】
【
図5B】
図5Bは、異なるノズルサイズに関する計算された噴射パワー対時間のグラフを描写する。
【0027】
【
図5C】
図5Cは、異なるノズルサイズに関する実験的噴射力対時間のグラフを描写する。
【0028】
【
図5D】
図5Dは、実験的噴射パワー対噴射直径のグラフを描写する。
【0029】
【
図5E】
図5Eは、実験的送達効率対ノズルサイズのグラフを描写する。
【0030】
【
図5F】
図5Fは、実験的噴射パワー対ノズルサイズのグラフを描写する。
【0031】
【
図6A】
図6Aは、胃腸管に沿った異なる解剖学的構造における測定および予測された噴射性能パラメータを描写する。
【0032】
【
図6B】
図6Bは、種々の胃腸管組織に関する測定された噴射注入効率対噴射力のグラフを描写する。
【0033】
【
図7】
図7は、胃内にAPIを投与する、テザー式薬物送達デバイスの概略図である。
【0034】
【
図8A】
図8Aは、噴射力を含むパラメータ入力およびそれらの結果として生じる胃組織内の送達効率の予備的実験概要である。
【0035】
【
図8B】
図8Bは、噴射圧力を含むパラメータ入力およびそれらの結果として生じる胃組織内の送達効率の予備的実験概要である。
【0036】
【
図9A】
図9Aは、噴射力を含むパラメータ入力およびそれらの結果として生じる腸組織内の送達効率の予備的実験概要である。
【0037】
【
図9B】
図9Bは、噴射圧力を含むパラメータ入力およびそれらの結果として生じる腸組織内の送達効率の予備的実験概要である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
経口-胃腸(GI)経路を介して投与されるときに容易に変成する、大きい複雑な分子が、療法的治療の一部として定期的に投与される。これらの治療薬を要求する患者は、多くの場合、皮下注入等のより侵襲的な形態の薬物投与を使用しなければならない。これらのより侵襲的な形態の送達の使用は、時として、日常的な手順遵守の喪失および/または低減された生活の質につながる。
【0039】
上記を考慮して、本発明者らは、薬物純度、効能、および/または投薬量を損なうことなく、胃腸(GI)管に沿った所望の場所に所望の活性医薬成分(API)の用量を送達するために針なしマイクロ噴射を活用する、摂取可能送達デバイスの利益を認識している。特に、本発明者らは、GI管内の所望の場所に用量を自動的に放出するトリガを採用する、摂取可能送達デバイスの利益を認識している。本明細書に使用されるように、GI管は、食道、胃、十二指腸、空腸、小腸、および大腸を含む。送達デバイスは、そうでなければGI管を通した送達のために好適ではない場合がある、タンパク質および他の生物製剤等の大きい複雑な分子の送達に好適であり得るが、任意の適切なAPIが、使用されてもよい。本明細書に説明される例示的実施形態によると、活性医薬成分(API)の送達のためにマイクロ噴射を採用する摂取可能送達デバイスは、多くの潜在的利益を有する。第1に、本明細書に説明される例示的実施形態による摂取可能送達デバイスは、鋭的先端を含まなくてもよい。第2に、マイクロ噴射は、針の作動および/または後退と関連付けられる機構を回避し、それによって、針ベースのシステムに対してシステム複雑性および費用を低減させる。噴射展開されるAPIの使用はまた、一般的な化学透過促進剤(約2%の生物学的利用能)を具備する他の摂取されたAPIと比較して、皮下注入と同等のAPIの生物学的利用能の有意な増加をもたらし得る。最後に、本明細書に説明される例示的実施形態の針なし送達システムの実装は、針ベースの送達に対して注入の部位におけるより少ない痛みおよび/または外傷、および強化された薬物動態(PK)をもたらし得る。
【0040】
上記を考慮して、本発明者らは、対象の胃腸組織の中への活性医薬成分の噴射ベースの注入と関連付けられる利益を認識している。しかしながら、活性医薬成分(API)の噴射ベースの展開が針なしであることに起因して、噴射と関連付けられる種々の動作パラメータの制御は、APIの噴射が展開される解剖学的構造を決定付け得る。例えば、薬物送達デバイスは、胃腸管の管腔内空間の中へのAPIの管腔内送達(すなわち、ウェットショット)、胃腸管の粘膜組織の中へのAPIの粘膜内送達、胃腸管の粘膜下組織の中へのAPIの粘膜下内送達、対象の腹膜空間の中へのAPIの腹膜内送達、前述の組み合わせ、および/または任意の他の適切な形態の送達のために適切に調整される、APIの噴射を提供するように構成されてもよい。標的組織および噴射の具体的パラメータに応じて、いくつかの実施形態では、APIのデポが、標的組織内に形成されてもよく、デポは、標的組織内および/または胃腸管の異なる組織の層の間に配置されるある体積のAPIであり得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、対象の胃および/または小腸内の組織の中にAPIの噴射を送達するために構成されてもよい。これらの異なる組織場所の中への送達のために噴射を最適化するように選択され得る具体的動作パラメータは、例えば、噴射パワー、直径、投薬量、隔離距離、流体粘度、流体密度、および下記にさらに詳述されるような他の適切なパラメータを含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、活性医薬成分は、薬物送達デバイスが対象の胃腸管内の所望の場所に位置するとき、薬物送達デバイスからの活性医薬成分の噴射の展開をトリガすることによって、対象に投与されてもよい。本明細書に説明される例示的実施形態によると、噴射は、所定の条件によってトリガされてもよい。いくつかの実施形態では、所定の条件は、薬物送達デバイスの摂取後の所定の時間、GI管内の所定の場所、GI管との物理的接触、GI管内の物理的操作(例えば、蠕動を介した圧縮)、GI管の1つまたはそれを上回る特性(例えば、pH、圧力、酸度、温度等)、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれを上回るものを含む。いくつかの実施形態では、噴射は、薬物送達デバイスが対象の胃および/または小腸内に位置するときに展開されてもよい。いずれの場合も、噴射の動作パラメータは、噴射が、十分な速度で薬物送達デバイスから放出され、したがって、噴射が、薬物送達デバイスに隣接する対象の胃腸管の組織を貫通し、作動に応じて、薬物送達デバイスに近接する胃腸管の組織内に活性医薬成分のデポを形成するように適切に選択されてもよい。いくつかの実施形態では、噴射は、噴射が胃腸管の組織に衝突する注入部位の下にある胃腸管の筋層を穿孔することなく、胃腸管の組織内に活性医薬成分のデポを形成してもよい。本明細書に使用されるように、用語「~に近接する」および「~に隣接する」は、同義的に使用され、本明細書に使用されるような隔離距離のために離間されること等、規定された機能を達成するために、規定された要素が直接接触すること、または空間内で十分に近接近することを意味するように本明細書では定義される。
【0042】
理論によって拘束されることを所望するわけではないが、本発明者らは、活性医薬成分(API)を対象の胃腸管の組織内の所望の標的場所に送達するための制御パラメータのうちの1つが、標的組織の中へのAPIの送達の間の噴射のピークパワーであることを認識している。例えば、標的組織の中にAPIを展開するために使用される噴射のピークパワーは、噴射が、胃腸管の下にある層を穿孔することなく、標的組織内に配置されるAPIのデポを形成するように選択されてもよい。有利なこととして、本パラメータは、展開力、密度、粘度、噴射の面積、および噴射の速度等の種々の他の動作パラメータを考慮し、所望の用途のために異なるAPIおよび/または展開システムを伴う送達デバイスの設計および比較を可能にし得る。加えて、本発明者らは、標的組織内にデポを形成するために適切なピークパワーが、対象の胃腸管内の送達デバイスの場所に基づいて変動することを認識している。例えば、対象の胃内での動作のために最適なピークパワーは、対象の小腸および/または胃腸管の他の部分内での動作のために最適なピークパワーと異なる。
【0043】
上記のように、いくつかの実施形態では、活性医薬成分を対象の胃の組織に送達することが、望ましい。故に、適切なピークパワーが、噴射が対象の胃内に配置される薬物送達デバイスに近接する胃の組織を貫通することを可能にするように選択されてもよい。いくつかの事例では、ピークパワーは、胃の筋層を穿孔することを回避するように選択されてもよい。そのような実施形態では、対象の胃の表面に向かって配向される噴射のピークパワーは、9W、10W、12W、15W、20W、25W、50W、100W、および/または任意の他の適切なパワーを上回る、またはそれに等しくてもよい。対応して、噴射のピークパワーは、130W、100W、50W、25W、21W、15W、12W、および/または任意の他の適切なパワーを下回る、またはそれに等しくてもよい。9W~130W、9W~100W、9W~50W、9W~25W、9W~21W、9W~15W、9W~12W、10W~130W、10W~100W、10W~50W、10W~25W、10W~21W、10W~15W、12W~130W、12W~100W、12W~50W、12W~25W、12W~21W、12W~15W、15W~130W、15W~100W、15W~50W、15W~25W、15W~21W、20W~130W、20W~100W、20W~50W、20W~21W、25W~130W、25W~100W、25W~50W、50W~130W、50W~100W、または100W~130Wのピークパワーを含む、前述の範囲の組み合わせが、想定される。本明細書に説明されるように、語句「1つの値~別の値」は、端点および端点の間の全ての値を含む。いくつかの事例では、上記のパワーは、対象の胃の粘膜下組織および/または筋層においてデポを形成するために適切であってもよい。代替として、薬物送達デバイスが、活性医薬成分の大部分が胃の管腔内空間の中に注入される、管腔内送達のための噴射を提供するように構成される実施形態もまた、想定される。そのような実施形態では、噴射のピークパワーは、9Wを下回ってもよい。加えて、薬物送達デバイスが、活性医薬成分の大部分が胃の筋層を穿孔することによって腹膜空間の中に注入される、腹膜内送達のために構成される実施形態も、そのように想定される。いくつかの実施形態では、胃内の腹膜内注入は、約40Wを上回るピークパワーを伴う噴射に対応してもよい。
【0044】
また、上記のように、いくつかの実施形態では、活性医薬成分を対象の小腸の組織に送達することが、望ましい。故に、適切なピークパワーが、噴射が対象の小腸内に配置される薬物送達デバイスに近接する小腸の組織を貫通することを可能にするように選択されてもよい。いくつかの事例では、ピークパワーは、小腸の筋層を穿孔することを回避するように選択されてもよい。そのような実施形態では、対象の小腸の表面に向かって配向される噴射のピークパワーは、3.0W、3.1W、3.2W、3.3W、3.4W、3.5W、4.0W、4.5W、5W、5.5W、6.0W、および/または任意の他の適切なパワーを上回る、またはそれに等しくてもよい。対応して、噴射のピークパワーは、6.5W、6.4W、6.3W、6.2W、6.1W、6.0W、5.5W、5.0W、4.5W、および/または任意の他の適切なパワーを下回る、またはそれに等しくてもよい。3.0W~6.5W、3.0W~6.4W、3.0W~6.3W、3.0W~6.2W、3.0W~6.1W、3.0W~6.0W、3.0W~5.5W、3.0W~5.0W、3.0W~4.5W、3.1W~6.5W、3.1W~6.4W、3.1W~6.3W、3.1W~6.2W、3.1W~6.1W、3.1W~6.0W、3.1W~5.5W、3.1W~5.0W、3.1W~4.5W、3.2W~6.5W、3.2W~6.4W、3.2W~6.3W、3.2W~6.2W、3.2W~6.1W、3.2W~6.0W、3.2W~5.5W、3.2W~5.0W、3.2W~4.5W、3.3W~6.5W、3.3W~6.4W、3.3W~6.3W、3.3W~6.2W、3.3W~6.1W、3.3W~6.0W、3.3W~5.5W、3.3W~5.0W、3.3W~4.5W、3.4W~6.5W、3.4W~6.4W、3.4W~6.3W、3.4W~6.2W、3.4W~6.1W、3.4W~6.0W、3.4W~5.5W、3.4W~5.0W、3.4W~4.5W、3.5W~6.5W、3.5W~6.4W、3.5W~6.3W、3.5W~6.2W、3.5W~6.1W、3.5W~6.0W、3.5W~5.5W、3.5W~5.0W、3.5W~4.5W、4.0W~6.5W、4.0W~6.4W、4.0W~6.3W、4.0W~6.2W、4.0W~6.1W、4.0W~6.0W、4.0W~5.5W、4.0W~5.0W、4.0W~4.5W、4.5W~6.5W、4.5W~6.4W、4.5W~6.3W、4.5W~6.2W、4.5W~6.1W、4.5W~6.0W、4.5W~5.5W、4.5W~5.0W、5.0W~6.5W、5.0W~6.4W、5.0W~6.3W、5.0W~6.2W、5.0W~6.1W、5.0W~6.0W、5.0W~5.5W、5.5W~6.5W、5.5W~6.4W、5.5W~6.3W、5.5W~6.2W、5.5W~6.1W、5.5W~6.0W、6.0W~6.5W、6.0W~6.4W、6.0W~6.3W、6.0W~6.2W、6.0W~6.1Wのピークパワー、および/または任意の他の適切な範囲のピークパワーを含む、前述の範囲の組み合わせが、想定される。ある場合には、3.5W~6.5Wまたは4.0W~6.5Wの噴射パワーが、それらの噴射パワーが他の噴射パワーよりも高い注入効率を有し得るため、好ましくあり得る。いくつかの事例では、上記のパワーは、対象の小腸の粘膜下組織および/筋層においてデポを形成するために適切であってもよい。代替として、薬物送達デバイスが、活性医薬成分の大部分が小腸の管腔内空間の中に注入される、管腔内送達のための噴射を提供するように構成される実施形態もまた、想定される。そのような実施形態では、噴射のピークパワーは、3.0Wを下回ってもよい。加えて、薬物送達デバイスが、活性医薬成分の大部分が小腸の筋層を穿孔することによって腹膜空間の中に注入される、腹膜内送達のために構成される実施形態もまた、想定される。いくつかの実施形態では、小腸内の腹膜内注入は、約6.5W、7.0W、および/または任意の他の適切なパワー範囲を上回るピークパワーを伴う噴射に対応してもよい。
【0045】
標的組織におけるデポ形成の効率は、特定の標的組織と、組織に向かって活性医薬成分の噴射を指向するときに適用される動作パラメータとに依存し得る。本明細書に使用されるように、APIの投薬量は、薬物送達デバイス内に最初に含有されるAPIの量を指す。デポ効率は、薬物送達デバイス内に最初に含有され、続けて、標的組織内に配置されるデポの中に送達されるAPIの量のパーセンテージを指す。例えば、デポは、対象の胃および/または小腸の粘膜下組織および/または筋組織内に形成されてもよい。下記に詳述されるように、噴射の動作パラメータを適切に選択することによって、40%を上回るデポ効率が、達成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのデポ効率は、40%、50%、60%、70%、および/または任意の他の適切なパーセンテージを上回る、またはそれに等しくてもよい。対応して、薬物送達デバイスのデポ効率は、95%、90%、80%、70%、60%、および/または任意の他の適切なパーセンテージを下回る、またはそれに等しくてもよい。40%~95%、50%~95%、60%~95%、70%~95%、40%~90%、50%~90%、60%~90%、70%~90%、40%~80%、50%~80%、60%~80%、70%~80%、40%~70%、50%~70%、60%~70%、40%~60%、50%~60%、および/または他の適切な組み合わせにおけるデポ効率を含む、前述の組み合わせが、想定される。加えて、本開示がこのように限定されないため、上記に記述されるものを上回るデポ効率および下回るデポ効率の両方が、可能性として考えられることを理解されたい。
【0046】
対象に投与される特定のAPIに応じて、本明細書に説明される例示的実施形態の薬物送達デバイスは、様々な異なる用量体積のAPIを対象に送達するように構成されてもよい。本明細書に説明される例示的実施形態によると、薬物送達デバイスは、500μL、300μL、200μL、150μL、100μL、75μL、50μL、25μL、10μL、および/または任意の他の適切な容積を下回る、またはそれに等しい、APIがその中に配置されるAPIリザーバ容積を含んでもよい。対応して、薬物送達デバイスは、1μL、5μL、10μL、25μL、50μL、75μL、100μL、200μL、300μL、および/または任意の他の適切な容積を上回る、またはそれに等しいAPIリザーバ容積を含有してもよい。限定ではないが、1μL~500μL、1μL~300μL、1μL~200μL、1μL~150μL、1μL~100μL、1μL~75μL、1μL~50μL、1μL~25μL、1μL~10μL、10μL~500μL、10μL~300μL、10μL~200μL、10μL~150μL、10μL~100μL、10μL~75μL、10μL~50μL、10μL~25μL、25μL~500μL、25μL~300μL、25μL~200μL、25μL~150μL、25μL~100μL、25μL~75μL、25μL~50μL、50μL~500μL、50μL~300μL、50μL~200μL、50μL~150μL、50μL~100μL、50μL~75μL、75μL~500μL、75μL~300μL、75μL~200μL、75μL~150μL、75μL~100μL、100μL~500μL、100μL~300μL、100μL~200μL、100μL~150μL、150μL~500μL、150μL~300μL、150μL~200μL、200μL~500μL、200μL~300μL、または300μL~500μLのリザーバ容積を含む、上記に記述される容積の組み合わせが、想定される。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、任意の好適なリザーバ容積が、薬物送達デバイスにおいて採用されてもよい。加えて、標的組織内に配置されるAPIのデポは、上記に説明される対応するデポ効率によって上記に記述される容積に関連する容積を有してもよい。
【0047】
標的組織内に効率的なデポを形成するために、所定の期間にわたって噴射のピークパワーの所定の範囲内に噴射のパワーを維持することが、望ましくあり得る。本明細書に定義されるように、かつ
図4に示されるように、噴射のピークパワー(P
peak)は、噴射の最大パワーを指す。閾値パワーは、対象の胃腸管内の場所における標的組織を貫通するために要求される噴射の最小パワーを指す。いくつかの実施形態では、ピークパワーは、閾値パワーを上回る、またはそれに等しい。「最適なピークパワー」は、対象の胃腸管内の場所における標的組織において少なくとも50%のデポ効率を伴う所望のデポを形成するために適切な噴射の最小ピークパワーを指す。例えば、噴射のパワーは、所定の期間にわたってピークパワーの5%、10%、または他の適切なパーセンテージ以内に維持されてもよい。例えば、
図4に示されるように、噴射パワーは、最初に、これが時間t
1において閾値パワーP
Thを上回るまで増加し得、その後、パワーは、ピークパワーP
peakまで増加し続け得る。噴射パワーは、次いで、これが時間t
2において閾値パワーに等しくなるまで減少し得、所定の期間は、時間t
1とt
2との間の差異に対応する。パワーは、図に示されるように、この時間の後に減少し続け得る。特定の用途に応じて、所定の期間は、1m秒、10m秒、50m秒、100m秒、および/または任意の他の適切な期間を上回る、またはそれに等しくてもよい。対応して、所定の期間は、300m秒、200m秒、100m秒、50m秒、および/または任意の他の適切な期間を下回る、またはそれに等しくてもよい。例えば、1m秒~300m秒、1m秒~200m秒、1m秒~100m秒、1m秒~50m秒、10m秒~300m秒、10m秒~200m秒、10m秒~100m秒、10m秒~50m秒、50m秒~300m秒、50m秒~200m秒、50m秒~100m秒、100m秒~300m秒、または100m秒~200m秒である所定の期間を含む、前述の組み合わせが、想定される。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、上記に記述されるもの以外の所定の期間およびピークパワーに対する噴射パワーの適切な範囲もまた、想定されることを理解されたい。
【0048】
本明細書に説明される例示的実施形態によると、薬物送達デバイスのトリガは、GI管内で所定の時間および/または場所において対象のGI管内の薬物送達デバイスを作動させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トリガは、GI管の環境と相互作用し、薬物送達デバイスを作動させるように構成される、受動的構成要素であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、トリガは、GI管内で溶解するように構成される、糖プラグまたは他の溶解可能材料であってもよい。溶解可能プラグは、少なくとも部分的に、溶解可能プラグが溶解し、最終的に、薬物送達デバイスを作動させる速度を決定する、ある厚さおよび/または形状を有してもよい。別の実施形態では、トリガは、少なくとも部分的に、腸溶性コーティングによって形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示がそのように限定されないため、トリガは、溶解可能プラグおよび溶解可能プラグの外面上に配置される腸溶性コーティングの両方を含んでもよい。溶解可能トリガに関する他の適切な材料は、限定ではないが、二糖類(例えば、イソマルト)等の糖アルコール、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、腸溶性コーティング、時間依存性コーティング、腸溶性および時間依存性コーティング、温度依存性コーティング、光依存性コーティング、および/または対象のGI管内で溶解することが可能な任意の他の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、トリガは、エチレンジアミン四酢酸、グルタチオン、または別の好適な化学物質を含む、トリガ可能な膜を含んでもよい。いくつかの実施形態では、糖アルコールトリガは、薬物送達デバイスが対象のGI管内で受容されるまで、糖アルコールトリガを保護するように構成される、腸溶性コーティングと組み合わせて採用されてもよい。他の実施形態では、トリガは、摂取後までトリガを遅延させることを支援するために、pH応答性コーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、トリガは、本デバイスを作動させるために、GIの1つまたはそれを上回る特性を検出するか、またはそれと相互作用するかのいずれかのために構成される、センサおよび/または電極であってもよい。例えば、GI粘膜内壁との接触を検出するセンサが、本デバイスを作動させるために使用されてもよい。センサが採用される実施形態では、トリガはまた、所定の条件がセンサによって検出されることに応答して移動する、または別様に作動される、能動的構成要素を含んでもよい。例えば、ゲートが、GI粘膜管との接触が検出されるときに移動されてもよい。他の実施形態では、トリガは、(例えば、伝導性破裂可能膜を横断して電圧を印加することによって)破裂可能膜を融解または弱化させる、および/または化学反応をトリガするために、電力を採用してもよい。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、任意の好適な能動的または受動的トリガが、薬物送達デバイスのために採用されてもよい。
【0049】
本明細書に説明される例示的実施形態によると、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスが作動されるとき、APIの噴射を発生させるために使用される薬物送達デバイス内のエネルギーを貯蔵するために使用される、ポテンシャルエネルギー源を含む。いくつかの実施形態では、ポテンシャルエネルギー源は、圧縮ガスであってもよい。圧縮ガスは、薬物送達デバイス内に直接貯蔵されてもよい、または圧縮ガスは、化学反応または相変化を介して発生されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ドライアイスが、ドライアイスが昇華する際に圧縮ガスが発生されるように、薬物送達デバイスのチャンバ内に貯蔵されてもよい。代替として、圧縮ガスが、薬物送達デバイスをシールすることに先立って、所望のチャンバに提供されてもよい。いくつかの実施形態では、ポテンシャルエネルギー源は、ばね(例えば、圧縮された圧縮ばね)であってもよい。いくつかの実施形態では、ポテンシャルエネルギー源は、反応チャンバであってもよい。例えば、反応チャンバは、酸および塩基が組み合わせられ、ガスを発生させることを可能にし、本デバイスが作動されるとき、薬物送達デバイスからのAPIの排出につながり得る。代替として、別の実施形態では、トリガは、薬物送達デバイスからAPIを排出するための加圧ガスを発生させるために、チャンバ内に位置する爆発材料を爆発させてもよい。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、任意の好適な反応または他のポテンシャルエネルギー源が、薬物送達デバイスが作動されるときに噴射内のAPIを加圧および駆動するために採用されてもよい。
【0050】
上記のように、噴射パワーは、異なる貫通特性を伴ってGI管内の異なる標的組織の中にAPIを送達するために調整されてもよい。噴射パワーは、少なくとも部分的に、噴射速度、流体密度、および噴射直径によって決定されてもよい。故に、本明細書に説明される例示的実施形態による、薬物送達デバイスは、所望の場所においてGI管の組織の中にAPIを送達するために十分なパワーを伴う噴射を発生させるために、適切に定寸され、適切な量のポテンシャルエネルギーを含んでもよい。
【0051】
本明細書に説明される例示的噴射パワーを達成するために、本明細書に説明される例示的実施形態の薬物送達デバイスによって発生される噴射は、対応する速度を有してもよい。故に、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、250m/秒、200m/秒、150m/秒、130m/秒、100m/秒、75m/秒、50m/秒、および/または別の適切な速度を下回る、またはそれに等しい速度を有する噴射を発生させるように構成されてもよい。対応して、薬物送達デバイスは、20m/秒、30m/秒、50m/秒、80m/秒、100m/秒、150m/秒、200m/秒、および/または別の適切な速度を上回る、またはそれに等しい速度を有する噴射を発生させるように構成されてもよい。限定ではないが、20m/秒~250m/秒、20m/秒~200m/秒、20m/秒~100m/秒、20m/秒~150m/秒、20m/秒~100m/秒、20m/秒~75m/秒、20m/秒~50m/秒、50m/秒~250m/秒、50m/秒~200m/秒、50m/秒~100m/秒、50m/秒~150m/秒、50m/秒~100m/秒、50m/秒~75m/秒、75m/秒~250m/秒、75m/秒~200m/秒、75m/秒~100m/秒、75m/秒~150m/秒、75m/秒~100m/秒、100m/秒~250m/秒、100m/秒~200m/秒、100m/秒~150m/秒、150m/秒~250m/秒、150m/秒~200m/秒、または200m/秒~250m/秒の噴射速度を含む、上記に記述される範囲の組み合わせが、想定される。一具体的実施形態では、標的組織場所は、胃に対応してもよく、噴射の噴射速度は、好ましくは、80m/秒~130m/秒または40m/秒~60m/秒であってもよい。別の実施形態では、標的組織場所は、対象の小腸に対応してもよく、噴射の噴射速度は、好ましくは、40m/秒~80m/秒であってもよい。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、対象の胃腸管の対応する組織の中にAPIを送達するために好適な任意の噴射速度が、使用されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、噴射が放出されるノズル等の出口の最大横断寸法(例えば、直径)および/または出口から放出される噴射の最大横断寸法(例えば、直径)は、550μm、450μm、400μm、350μm、300μm、250μm、200μm、150μm、100μm、75μm、50μm、25μm、10μm、および/または任意の他の適切な寸法を下回る、またはそれに等しくてもよい。対応して、出口および/または噴射の最大横断寸法は、5μm、10μm、25μm、50μm、75μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、および/または任意の他の適切な寸法を上回る、またはそれに等しくてもよい。限定ではないが、5μm~550μm、5μm~450μm、10μm~450μm、25μm~450μm、50μm~450μm、75μm~450μm、100μm~450μm、150μm~450μm、200μm~450μm、250μm~450μm、300μm~450μm、5μm~400μm、10μm~400μm、25μm~400μm、50μm~400μm、75μm~400μm、100μm~400μm、150μm~400μm、200μm~400μm、250μm~400μm、300μm~400μm、5μm~350μm、10μm~350μm、25μm~350μm、50μm~350μm、75μm~350μm、100μm~350μm、150μm~350μm、200μm~350μm、250μm~350μm、300μm~350μm、5μm~300μm、10μm~300μm、25μm~300μm、50μm~300μm、75μm~300μm、100μm~300μm、150μm~300μm、200μm~300μm、250μm~300μm、5μm~250μm、10μm~250μm、25μm~250μm、50μm~250μm、75μm~250μm、100μm~250μm、150μm~250μm、200μm~250μm、5μm~200μm、10μm~200μm、25μm~200μm、50μm~200μm、75μm~200μm、100μm~200μm、150μm~200μm、5μm~150μm,、10μm~150μm、25μm~150μm、50μm~150μm、75μm~150μm、100μm~150μm、5μm~100μm、10μm~100μm、25μm~100μm、50μm~100μm、75μm~100μm、5μm~75μm、10μm~75μm、25μm~75μm、50μm~75μm、5μm~50μm、10μm~50μm、25μm~50μm、5μm~25μm、10μm~25μm、または5μm~10μmの噴射および/または出口の最大横断寸法を含む、上記に記述される範囲の組み合わせが、想定される。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、対象の胃腸管の所望の部分の組織の中へのAPIの送達のために好適な出口および/または噴射の任意の好適な寸法が、採用されてもよい。
【0053】
本明細書に説明される例示的実施形態によると、薬物送達デバイスは、APIが、GI管粘膜内壁の中に噴射において放出され得るように、APIを加圧するように構成される、ポテンシャルエネルギー源を含む。リザーバに印加される圧力は、薬物送達デバイスによって放出されるAPI噴射の噴射パワーおよび/または噴射速度に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、ポテンシャルエネルギー源は、1,000バール、800バール、600バール、500バール、250バール、100バール、60バール、45バール、40バール、10バール、1バール、および/または任意の他の適切な圧力を下回る、またはそれに等しい圧力をAPIリザーバに印加するように構成されてもよい。対応して、ポテンシャルエネルギー源は、0.1バール、1バール、10バール、15バール、20バール、40バール、45バール、60バール、100バール、250バール、500バール、600バール、800バール、および/または任意の他の適切な圧力を上回る、またはそれに等しい圧力をAPIリザーバに印加してもよい。限定ではないが、0.1バール~1,000バール、0.1バール~800バール、0.1バール~600バール、0.1バール~500バール、0.1バール~250バール、0.1バール~100バール、0.1バール~60バール、0.1バール~40バール、0.1バール~10バール、0.1バール~1バール、1バール~1,000バール、1バール~800バール、1バール~600バール、1バール~500バール、1バール~250バール、1バール~100バール、1バール~60バール、1バール~40バール、1バール~10バール、10バール~1,000バール、10バール~800バール、10バール~600バール、10バール~500バール、10バール~250バール、10バール~100バール、10バール~60バール、10バール~40バール、10バール~800バール、10バール~600バール、10バール~500バール、10バール~250バール、10バール~100バール、10バール~60バール、10バール~40バール、40バール~800バール、40バール~600バール、40バール~500バール、40バール~250バール、40バール~100バール、40バール~60バール、60バール~800バール、60バール~600バール、60バール~500バール、60バール~250バール、60バール~100バール、100バール~800バール、100バール~600バール、100バール~500バール、100バール~250バール、250バール~800バール、250バール~600バール、250バール~500バール、500バール~800バール、500バール~600バール、または600バール~800バールの圧力を含む、上記に記述される範囲の組み合わせが、想定される。いくつかの実施形態では、15バール~60バール、より好ましくは、15バール~45バールのAPIリザーバに印加される圧力が、適切に定寸されたノズルと組み合わせられるとき、胃の粘膜下組織内に高効率デポを形成することにおいて特に有効であり得る。同様に、10バール~20バールのAPIリザーバに印加される圧力が、適切に定寸されたノズルと組み合わせられるとき、対象の腸の粘膜下組織内に高効率デポを形成する際に効果的であり得る。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、任意の好適な圧力が、APIリザーバに印加されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、対象によって摂取されるように定寸および成形される。故に、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスが容易に嚥下され、続けて、食道および胃内の幽門口を含むGI管を通して通過し得るように、適切に小さくてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、40mm、30mm、20mm、10mm、5mm、および/または別の適切な長さを下回る、またはそれに等しい、本デバイスの縦方向軸に沿った最大寸法等の全長を含んでもよい。対応して、薬物送達デバイスは、3mm、5mm、10mm、20mm、25mm、および/または別の適切な長さを上回る、またはそれに等しい全長を有してもよい。限定ではないが、5mm~30mm、10mm~30mm、5mm~20mm、および5mm~10mmの全長を含む、上記に記述される範囲の組み合わせが、想定される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、11mm、10mm、7mm、5mm、および/または別の適切な寸法を下回る、またはそれに等しい、縦方向軸に垂直であり得る直径または他の寸法等の最大外形横断寸法を有してもよい。対応して、薬物送達デバイスは、3mm、5mm、7mm、9mm、および/または別の適切な寸法を上回る、またはそれに等しい最大外形横断寸法を有してもよい。限定ではないが、3mm~11mm、3mm~10mm、3mm~7mm、3mm~5mm、および5mm~11mmの最大外形横断寸法を含む、上記に記述される範囲の組み合わせが、想定される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、3,500mm3、3,000mm3、2,500mm3、2,000mm3、1,500mm3、1,000mm3、750mm3、500mm3、250mm3、100mm3、および/または任意の他の適切な体積を下回る、またはそれに等しい全体的体積を有してもよい。対応して、薬物送達デバイスは、50mm3、100mm3、250mm3、500mm3、750mm3、1,000mm3、1,500mm3、2,000mm3、2,500mm3、および/または任意の他の適切な体積を上回る、またはそれに等しい全体的体積を有してもよい。限定ではないが、1,000mm3~3,000mm3、1,500mm3~3,000mm3、50mm3~500mm3、50mm3~100mm3、および2,000mm3~3,000mm3の体積を含む、上記に記述される範囲の組み合わせが、想定される。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、摂取可能送達デバイスに関する任意の好適な全長、最大外形横断寸法、および体積が、採用されてもよい。
【0055】
本明細書に説明される例示的実施形態によると、薬物送達デバイスは、対象に経口的に投与される。他の実施形態では、本開示がそのように限定されないため、薬物送達デバイスは、経直腸的に、内視鏡的に、または経鼻的に投与されてもよい。故に、本開示される薬物送達デバイスが、いくつかの異なる方法で対象の胃腸管の所望の部分に送達され得、本開示が、薬物送達デバイスを展開する具体的方法に限定されないことを理解されたい。
【0056】
いくつかの実施形態では、所望の組織の中へのAPIの送達を確実にすることに役立つために、送達デバイスを作動させることに先立って、対象のGI管の表面に近接して噴射の出口を位置付けること、および/または表面に向かって出口を配向することが、望ましくあり得る。故に、特定の実施形態に応じて、種々の異なる方略が、採用されてもよい。例えば、種々の粘膜付着物質、組織に取り付けるための溶解可能フック、粘膜接触センサ、自己配向送達デバイス(例えば、浮力および/または重心ベースの配向システム)、および送達デバイスがGI管内の所望の組織と接触することを維持するか、または送達デバイスがそれに近接する、および/またはそれに向かって配向されるときを決定するかのいずれかの他の方法が、使用されてもよい。例えば、第WO 2018/213600 Al号に説明される種々の自己復元または自己配向構造および/または方法が、本開示による薬物送達デバイスによって採用されることができる。第WO 2018/213600 Al号は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。加えて、いくつかの実施形態では、送達デバイスの外部上の異なる位置に位置する複数の出口および対応する複数の噴射が、噴射のうちの1つが送達デバイスに近接する組織に向かって配向される機会を増加させるために使用されてもよい。当然ながら、送達デバイスが対象の粘膜内壁との接触を感知するためのセンサおよび/またはそれに取り付けるための構成要素を含まない実施形態もまた、想定されることを理解されたい。
【0057】
出口が薬物送達デバイスに近接する胃腸組織に向かって配向されるとき、APIの送達を作動させるためのシステムおよび/または方法が使用される実施形態では、出口および対応する噴射の配向を、下にある組織に対して所定の範囲の角度内に維持することが、望ましくあり得る。これは、隣接する組織の表面に垂直に配向される方向において噴射の力および/またはパワーの所望の組み合わせを提供することに役立ち得る。例えば、下にある組織表面に対して法線の方向に対する出口から放出される噴射の角度は、20°、15°、10°、5°を下回る、またはそれに等しい、および/または上記に記述されるものを上回る角度および下回る角度の両方を含む、任意の他の適切な範囲の角度であってもよい。デバイスの出口から放出される噴射方向対下にある組織表面に対して法線の方向の上記に記述される角度関係は、下にある組織に対して所望の配向にある間に送達デバイスを作動させるための上記に記述される方法および構造のうちのいずれかを使用して提供されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、噴射は、噴射が衝突する送達デバイスの下にある組織から距離のある出口から放出されてもよい。本発明者らは、閾値距離を下回る出口と下にある組織との間の隔離距離に関して、組織貫通およびAPI送達における最小差異が指摘されていることを認識している。本明細書に定義されるように、隔離距離は、出口と、出口から発射された噴射が衝突する下にある組織の表面との間の最短距離を指す。故に、いくつかの実施形態では、隔離距離は、10mm、7.5mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、および/または任意の他の適切な距離を下回る、またはそれに等しくてもよい。特定の範囲の距離が、上記に与えられるが、出口と下にある組織との間の許容可能な隔離距離が、具体的噴射パラメータおよび展開される組織、および薬物送達デバイスが使用される具体的用途に応じて変動し得ることを理解されたい。故に、本開示がそのように限定されないため、上記に記述されるものを上回る隔離距離および下回る隔離距離の両方が、想定される。
【0059】
いくつかの実施形態では、生体適合性および/または生体不活性材料から薬物送達デバイスの1つまたはそれを上回る構成要素を形成することが、望ましくあり得る。例えば、種々の構成要素は、摂取されるときに対象の胃腸管内に存在する流体および/または固体に暴露され得る。故に、胃腸管内に存在する流体および/または固体に暴露され得る構成要素は、限定ではないが、チタン等の胃腸環境に対して比較的に不活性である金属、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカプロラクトン(PCL)等の非毒性および/または不活性ポリマー、塩類、炭水化物、および/または所望の用途のための任意の他の適切な材料を含む材料から作製されてもよい。送達デバイスにおいて使用される特定の構成要素が対象の胃腸系内の環境への暴露に関して不適切であり得る事例では、非反応性ポリマーおよび/または金属コーティングが、外部環境から下にある材料を隔離するために、構成要素に適用されてもよい。代替として、そのような構成要素は、動作の間に外部環境に暴露されない送達デバイスの部分内に含有されてもよい。上記を考慮して、本開示が種々の構成要素の材料の任意の特定の構造および/または組み合わせに限定されないため、本明細書に開示される種々の構成要素が、任意の適切な組み合わせの材料を使用して作製され得ることを理解されたい。
【0060】
本明細書に使用されるように、用語「活性医薬成分」(「薬物」または「治療剤」とも称される)は、疾患、障害、または他の臨床的に認識される条件を治療するために、または予防目的のために対象に投与され、疾患、障害、または条件を治療、予防、および/または診断するために対象の身体に臨床的に有意な効果を及ぼす作用物質を指す。活性医薬成分は、対象における治療反応に影響を及ぼすために、微量を上回る量において対象に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、活性医薬成分(API)は、限定ではないが、対象(例えば、ヒトまたは非ヒト動物)に投与されると、局所的および/または全身的作用によって所望の薬理的、免疫原性、および/または生理学的効果を誘発する、任意の合成または天然由来の生物学的活性化合物または組成物を含むことができる。例えば、ある実施形態の文脈内の有用または潜在的に有用なものは、従来的に薬物、ワクチン、および生物製剤と見なされる化合物または化学物質である。あるそのようなAPIは、療法、診断、および/または強化の分野における使用のためのタンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構築物等の分子を含んでもよい。ある実施形態では、APIは、小分子および/または大分子である。故に、本明細書に説明されるAPIが、任意の特定のタイプのAPIに限定されないことを理解されたい。加えて、本明細書に説明される例示的実施形態によると、薬物送達デバイスは、非圧縮性液体噴射の形態におけるAPIを送達し得るが、本開示がそのように限定されないため、他の実施形態では、薬物送達デバイスによって発生されるAPIを含む噴射は、ガス、粘性流体、エアロゾル化粉末、および/または他の適切な材料から形成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に使用されるように、噴射は、ガス、流体、エアロゾル化粉末、前述の組み合わせ、および/または他の適切な材料の平行流動を指し得る。
【0062】
図に目を向けると、具体的な非限定的実施形態が、さらに詳細に説明される。本開示が本明細書に説明される具体的実施形態のみに限定されないため、これらの実施形態に対して説明される種々のシステム、構成要素、特徴、および方法が、個々に、および/または任意の所望の組み合わせのいずれかで使用され得ることを理解されたい。
【0063】
図1A-1Cは、薬物送達デバイス100の一実施形態の概略図を描写する。
図1Bに示されるように、薬物送達デバイス100は、圧縮ガスコンパートメント104および活性医薬成分(API)リザーバ110として構成されるポテンシャルエネルギー源を含有する、筐体102を含む。圧縮ガスコンパートメント104およびリザーバ110は、ガスコンパートメント104とリザーバ110との間の筐体102の内部内に摺動可能に受容される、ピストン106によって分離される。ピストン106は、圧縮ガスコンパートメント104とリザーバ110との間の流体移送を阻止するように構成される、ピストンシール108を含む。ピストン106は、圧縮ガスコンパートメント104からの圧力をリザーバ110に移送する。すなわち、ガスコンパートメント104の内側の圧縮ガスは、リザーバ110の内側に配置されるAPIを加圧する。
図1Aに示されるように、リザーバ110は、本デバイスの外部環境と流体連通する、出口114を含む。いくつかの実施形態では、出口114は、噴射116の形成のためのノズルとして機能してもよい。出口の最大横断寸法(例えば、直径)は、加圧されたAPIがリーザ110から外に流動するとき、出口114から放出される対応する噴射116の所望の最大横断寸法を提供するように選択されてもよい。
【0064】
本デバイスはまた、この場合では加圧ガスコンパートメント104である、ポテンシャルエネルギー源と動作的に関連付けられる、トリガ112を含んでもよい。トリガ112は、本実施形態では圧縮ガスコンパートメント104であるポテンシャルエネルギー源が、リザーバ110を圧縮し、活性医薬成分の噴射116を出口114から外へ、本デバイスに近接して位置し、出口114がそれに向かって配向される胃腸管の対応する部分の組織200の中に展開するように、対象の胃腸管内の所定の場所においてデバイス100を作動させるように構成される。例えば、描写される実施形態では、トリガ112は、トリガ112が溶解すると、本デバイスが下記に詳述されるように作動するように、本デバイスの出口114内に物理的に留保される溶解可能プラグに対応してもよいが、本開示がそのように限定されないため、任意の適切なトリガが、使用されてもよい。
【0065】
図1Cに示されるように、トリガ112が溶解する、または別様に対象のGI管の内側で作動されると、出口114を通してAPIの展開を防止する障壁が、除去される。故に、圧縮ガスコンパートメント104と関連付けられるピストン106によってAPIリザーバ110に印加される圧力は、ピストン106をリザーバ110を圧縮する方向に移動させる。リザーバ110が圧縮される際、APIは、出口114に近接して位置する胃腸管の組織200を貫通するために十分な速度で噴射116の形態において出口114から外に流動する。再び、胃腸管の描写される組織200は、胃、小腸、および/または本明細書に説明される対象の胃腸管の任意の他の解剖学的構造に対応してもよい。実施形態に応じて、噴射116は、胃腸管を穿孔することなく、胃腸管の組織200内にAPIのデポ118を形成してもよい。例えば、出口114、APIリザーバ110、および関連付けられるポテンシャルエネルギー源(例えば、圧縮ガスコンパートメント104)は、胃腸管の筋層202を穿孔することなく、胃腸管の粘膜下組織内に配置されるAPIの体積に対応するデポを形成するように最適化される噴射を提供するように適切に構成されてもよい。さらに、具体的動作パラメータに応じて、デポ118は、少なくとも部分的に、胃腸管の粘膜下組織および/または筋層202内に配置されてもよい。
【0066】
図2A-2Bは、異なるタイプのポテンシャルエネルギー源およびトリガを含む、薬物送達デバイス100の概略実施形態を描写する。描写される実施形態では、トリガは、溶解可能プラグの溶解の代わりに、反応に基づく。例えば、薬物送達デバイス100は、反応チャンバ104aおよびAPIリザーバ110を有する、筐体102を含んでもよい。
図1A-1Cの実施形態のように、本デバイスはまた、ピストン106が作動に応じてリザーバ110を圧縮するように、反応チャンバ104aとAPIリザーバ110との間で圧力を移送するように構成される、ピストン106を含む。APIリザーバ110はまた、出口114と流体連通してもよい。いくつかの実施形態では、破裂可能膜120または他のシールが、本デバイスが作動され、膜120が破裂されるまで、APIリザーバ110の内側にAPIをシールするために、出口114上に配置される、その中に配置される、または別様にそれと関連付けられる。描写される実施形態では、反応チャンバ104aは、圧力が、静止状態において破裂可能膜120に印加されないように、
図2Aに示される状態において加圧されない。代わりに、トリガは、前述で説明される方法のうちのいずれかを使用して、対象の胃腸管内で(例えば、胃および/または小腸内で)所定の時間および/または場所において作動される電気トリガ(例えば、センサ)および/または化学トリガであってもよい。反応チャンバ104aは、トリガによって作動されるとき、圧力を発生させるように構成される、反応物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電気センサは、酸塩基反応、爆発反応、および/または加圧ガスを発生させるための任意の他の適切な反応をトリガしてもよい。当然ながら、本開示がそのように限定されないため、任意の好適な反応物が、圧力を発生させるために使用されてもよい。当然ながら、溶解するトリガは、
図2A-2Bの実施形態において使用されないが、他の実施形態では、溶解するトリガが、反応チャンバ104aとともに採用されてもよく、そこで、溶解可能トリガは、反応物が、胃環境に暴露されると、ガスを生成するように反応し得るように、溶解に応じて、外部胃環境に反応チャンバ104aを暴露する。
【0067】
図2Bに示されるように、反応が、反応チャンバ104aを加圧するために反応チャンバ104aの内側でトリガされると、ピストン106は、下に押進され、APIリザーバ110内のAPIを加圧し、これは、破裂可能膜120または他のシールを破裂させる。APIは、次いで、前述で説明されるように、GI管組織200を貫通し、APIの治療用量を患者に送達するために十分なパワーを伴う噴射116においてリザーバ110の出口114から外に推進される。
【0068】
図3は、経口的に摂取され、対象の胃腸管300を通して通過する、薬物送達デバイス100の一実施形態を描写する。実施例として、そのような実施形態の例示的セットによって限定されることを所望するわけではないが、本システムは、対象に経口的に投与されてもよく、これは、これが胃腸管300内で所定の時間および/または場所において作動されるまで、対象の胃腸管300を通して進行する。例えば、
図3に図式的に図示されるように、薬物送達デバイス100は、本デバイスが食道302を介して対象の胃腸管300に進入するように、対象に(例えば、経口的に)投与されてもよい(デバイス100a)。本デバイスは、対象の胃304に到達するまで、胃腸系を通して進行してもよい(デバイス100b)。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス100は、胃304またはGI管の他の部分内の周辺流体よりも高密度であり、本デバイスの外面が、胃304の内面に接触するように、本デバイスを胃304の底部に沈下させてもよい(100c)。実施形態に応じて、本デバイスは、前述で説明されるように、適切な取付方法を使用して胃304の表面に取り付けられ得るか、および/または本システムは、単純に、胃304の組織に取り付けられることなく作動し得るかのいずれかとなる。いずれの場合も、本デバイスは、活性医薬成分の噴射を本デバイスに近接して位置する胃腸管300の組織(例えば、胃の表面)の中に展開するために、胃腸管300内の適切な場所にあるときに自己作動してもよい。続けて、本デバイスは、胃304の幽門口を通して通過し、対象の胃腸管300の残りの部分を通して通過してもよい(デバイス100d)。
図3は、対象の胃304内に活性医薬成分を展開するデバイスの動作を図示するが、当業者は、本明細書の教示に基づいて、本明細書に開示される薬物送達デバイスが、対象の小腸を含む、対象の胃腸管300の長さに沿った任意の所望の場所において活性医薬成分を展開し得、噴射が、限定ではないが、粘膜、粘膜下、および/または筋組織層を含む、胃腸管300の標的部分の任意の適切な組織内に活性医薬成分のデポを形成し得ることを理解するであろう。前述で記述されるように、いくつかの実施形態では、噴射は、胃腸管の筋組織を穿孔することなく、胃腸管の組織の1つまたはそれを上回る層内にデポを形成してもよい。
【実施例】
【0069】
実施例:胃腸管組織の比較
【0070】
下記の表Iは、異なる胃腸組織の解剖学的構造の特性の比較を提示する。概して、GI組織は、4つの広範囲の細胞層、すなわち、粘液を分泌し、大分子等の物質の吸収に対する第1の障壁として作用する粘膜、粘膜の下に配置され、粘膜に、およびそれから栄養素を搬送するための脈管が豊富である粘膜下層、粘膜下層の下に配置され、運動性に関与する筋層、および筋層の下に配置され、器官毎の最外側保護層として機能する漿膜から成る。
【表1】
【0071】
器官パラメータの上記の比較を考慮して、胃は、比較的に長いボーラス通過時間およびより大きい壁厚に起因して、魅力的な標的場所である。加えて、小腸壁は、比較的に薄くあり得る(1~2mm)が、小腸の比較的に小さい直径は、デバイスの全ての側が、腸壁に比較的に近接近するであろうため、APIの噴射展開に関してこれを魅力的にする。故に、対象の胃および小腸の両方が、本明細書に開示される噴射方法を使用するAPIの展開にとって魅力的な標的である。
【0072】
実施例:噴射パワー
【0073】
対象の胃腸管の長さに沿って位置する異なる組織における差異に起因して、各タイプの胃腸組織が、標的組織内のデポの形成に関して異なるパワー要件を有するであろうことが予期される。これらの差異を前提として、胃内にデポを形成するために最適化される噴射が、小腸または他の解剖学的構造内にデポを形成するために適切であろうことは予期されない。APIを扱うとき、これらの差異は、適切に考慮されない場合、投薬量が標的組織に送達されないか、および/または1つまたはそれを上回る解剖学的構造を意図せず穿孔するかのいずれかの結果をもたらし得る。故に、所望の量のAPIを所望の標的組織に提供するために、噴射が展開される方法および対象の胃腸管の所望の部分においてデポを形成するための具体的パワー要件の両方を特性評価することが、望ましい。
【0074】
薬物送達デバイスから放出される噴射のパワーに関するモデルが、開発された。モデルは、対応する出口を通して流体を推進するためのピストンを駆動するために使用されるポテンシャルエネルギー源として線形圧縮ばねの使用を仮定した。ばねは、展開に先立って貯蔵された圧縮力を伴い、拡張および噴射排出後に「消失した」圧縮力を伴う線形ばねとしてモデル化された。モデルは、摩擦を考慮しなかった。しかしながら、下記に議論されるように、一部のエネルギーが、実際の使用の間にピストンの摺動によって付与される摩擦およびノズルからの流動狭窄に対して失われ得る。ベルヌーイ方程式が、本デバイスから排出される液体噴射の流動をモデル化するために使用され、流体密度は、1,000kg/m3であると仮定された。モデルを解くために使用された初期境界条件は、時間ゼロにおける初期ピストン位置およびピストンの加速のために要求される時間が無視できることであった(すなわち、速度境界条件は、t=0において「なし」であった)。モデルの正確度を改良するために、ピストンからの摩擦およびノズル効率損失を含む、2つのタイプの摩擦損失が、使用された。
【0075】
結果として生じるモデルは、異なるノズル直径に関する噴射力およびパワー対時間を決定するために使用された。結果は、
図5A-5Fに示される。モデルは、所与のパワーシステムに関してノズル直径を変更することが、ピーク噴射力および噴射パワーの両方、およびモデルにおいて仮定された線形ばね等の設定されたポテンシャルエネルギー源に関する噴射の持続時間に影響を及ぼし得る様子を明確に図示する。
【0076】
上記のモデルを検証するために、ハンドヘルドシステムおよび力トランスデューサが、使用された。試験スタンドは、ノズルオリフィスサイズ、初期ばね力および最終ばね力、隔離距離、流体粘度、入射角、および排出体積を含む、パラメータを変動させながら、噴射力を測定するために設計された。試験スタンドは、主に、結果として生じる噴射力を測定するためのセンサを伴うアルミニウムレール上に搭載されたハンドヘルド噴射デバイスから成っていた。本デバイスは、オペレータが、所望される場合、ノズルおよびばねを迅速に切り替えることを可能にするため、噴射パラメータのいくつかの異なる組み合わせを迅速に測定することが、可能であった。実験が、66Nの初期ばね力および0.45の噴射後の最終ばね力対初期ばね力の比率を伴うコイルばねを使用して実施された。迅速接続解除ホース継手が、試験用具のためのトリガとして使用された。圧電力トランスデューサが、噴射からの推力を測定するために使用された。高速ビデオもまた、噴射が実際に円柱状であり、噴霧ではないことを検証するために、噴射の形状を観察するために使用された。5回の反復が、実験データ点毎に実施された。100%脱イオン水の200μLのアンプル体積が、流体粘度が変動されるものを除く全ての実験に関して使用された。
【0077】
各場合では、ノズル効率は、噴射への理論的なエネルギー入力(すなわち、ピストン摩擦を差し引いたもの)との比較によって推論された。実験的に測定されたデータを適合させるために使用された結果として生じるノズル効率は、約75%~85%に変動したが、200μmノズルに関する効率は、
図5C-5Fに示されるように、約88%であった。故に、所望の噴射パワーを送達するためのデバイスを設計するとき、噴射が放出される出口のノズル効率を決定することが、望ましくあり得る。いずれの場合も、実験は、適切なパラメータのモデル化および実験的決定を用いてデバイスの噴射パワーを予測する能力を確認した。
【0078】
実施例:生体外試験
【0079】
理論によって拘束されることを所望するわけではないが、いくつかの実施形態では、胃腸ベースの噴射デバイスは、2つのタイプの注入、すなわち、デポが粘膜下組織の直下またはその中に形成される、粘膜下注入、および噴射が筋層の中に堆積される、筋肉内注入を達成することができる。また、粘膜細胞が真皮細胞よりも軟質であり、殆どの場合、はるかに薄いため、胃腸管内のデポ形成に関するパワー要件が、皮膚のものよりも低いと仮定された。これらの仮定を裏付けるために、200μLの造影剤および/または組織ダイが、ブタの腸および胃組織の5cm×5cmサンプルの中に注入された。0.90の最終対初期圧縮比を伴う空気圧シリンダが、種々の直径の出口を通して噴射を排出するためにピストンを変位させるために、全ての試験に関して使用された。本デバイスは、垂直に搭載され、組織は、その真下に、ペトリ皿内の生理食塩水を浸したスポンジの上に設置された。組織は、次いで、ベンチトップシザージャッキを使用して、出口ノズルと直接接触させられた。組織は、実験室で飼育されたブタから採取され、切除から6時間以内に試験された。マイクロCTが、サンプル毎の送達のデポ効率を分析するために使用された。5重量%硫酸バリウムの懸濁液が、注入に関する造影剤として採用された。組織サンプルは、拡散が評価に先立って最小限にされるように、注入から10分以内に走査された。
【0080】
上記に言及される実験および撮像方法の適用を通して、異なる初期圧力に関する異なる解剖学的構造におけるGI管における噴射性能が、それぞれ、液体の大部分が組織を貫通することができないウェットショット、デポ形成、および組織の穿孔に対応する範囲で決定された。デポは、可視のデポが、視覚的に、およびマイクロCT走査を通しての両方で観察されるときに形成されていると決定された。「穿孔」は、明確な創傷が組織の漿膜側上で可視であり、造影剤が組織内に殆どまたは全く含有されていないことを意味するように定義された。
図6Aは、食道、結腸、直腸、頬、および胃を含む、異なる組織において噴射を形成するために使用される、初期圧力および対応するオリフィス直径を示す。ウェットショット、デポ形成、および組織に関する穿孔は、それぞれ、破線、円、および×によって示される。加えて、予測された噴射性能が、破線記号によって示される。
図6Bは、頬、食道、胃、小腸(SI)、結腸、直腸、およびイヌSIを含む、種々の組織に関する噴射注入効率対噴射力に関する付加的測定データを示す。
実験データは、測定データに基づいて、各器官におけるデポ形成に関する最小の観察されるピークパワーを計算するために使用された。結果は、表IIに集計される。より低い最小要件が、測定されなかったより小さいノズルサイズを前提として可能であり得ることに留意されたい。計算された噴射パワーは、80%のノズル効率を仮定して計算された。予期されるように、各組織タイプにおけるデポ形成に関する最小ピークパワーは、器官毎に大きく変動した。
【0081】
【表2】
胃に関して、高い効率を伴うデポを形成するための最適なパワーは、約21.4Wであった。しかしながら、デポは、約9Wから形成され始め、穿孔が、約30Wおよび450μmのノズル直径においてより高い噴射効率に伴って観察された。加えて、穿孔が、約40Wから観察され始めた。
【0082】
試験はまた、小腸組織に対して行われた。腸内のデポが形成されるピークパワーの範囲は、穿孔が観察される前に約3W~6.5Wに及んだ。
【0083】
実施例:デポ効率試験
【0084】
上記に記述されるモデルおよび実験データから、理論によって拘束されることを所望するわけではないが、出口の直径を増加させることは、より高い力、したがって、より高いピークパワーをもたらす。したがって、デポ形成の最も高い効率(装填された薬物の体積対形成されたデポの体積)を達成するために、最も大きいノズルオリフィス直径および最も小さい入力力を識別することが、望ましくあり得る。本概念を検証するために、デポ形成の効率の試験が、行われた。
【0085】
図8A-8Bは、パラメータ入力(噴射力または圧力、ノズル直径、および噴射パワー)およびそれらの結果として生じる胃組織内の送達効率の実験概要を描写する。
図8Aは、力(N)を使用してプロットされ、
図8Bは、APIリザーバに印加される圧力(バール)を使用してプロットされた。線は、6mmのピストン直径、1,200kg/m
3の密度、および80%の一定のシステム効率を仮定する一定のパワーの曲線を定義する。穿孔されるものとしてマーキングされる影付き領域は、組織の穿孔が観察されたデータ点である。チャートでは、各ボックス内でデータが適用可能である実際の点は、ボックスの厳密な中心である。
図8に示されるように、様々な直径と組み合わせられた広範囲の噴射力および圧力は、胃に関して50%を上回る注入効率をもたらし得る。胃組織に関して、穿孔を伴わない高効率が、150μm~550μmの噴射直径に関して、
図8Aでは9W~40W、および
図8Bでは5W~45Wの噴射パワーを伴う異なる試験において達成された。さらなるデポ形成もまた、75N~200Nの噴射力および15バール~60バールの噴射圧力の組み合わせを用いて観察された。特に、70%を上回る高効率が、250μm~550μmの噴射直径、および75N~175Nまたはそれに等しい噴射力、および/または15バール~45バールまたはそれに等しい噴射圧力を伴う20W~40Wの噴射パワーに関して達成され得る。上記に記述される範囲のより精緻化された組み合わせが、さらなる実験試験を用いて識別されることが予期される。故に、本特定の実験において、ある範囲が、他の範囲よりも高い効率を有して示されたが、胃送達に関する付加的有効範囲が、予期され、本開示は、そのように限定されない。
【0086】
図8Bに示されるように、広範囲の噴射圧力および直径は、胃に関して50%を上回る注入効率をもたらし得る。胃組織に関して、穿孔を伴わない高効率が、150μm~550μmの噴射直径および15~60バールの噴射圧力に関して、5W~45Wの噴射パワーで達成され得る。特に、70%を上回る高効率が、250μm~550μmの噴射直径および15~45バールの噴射力を伴う20W~40Wの噴射パワーに関して達成され得る。上記に記述される範囲のより精緻化された組み合わせが、さらなる実験試験を用いて識別されることが予期される。故に、本特定の実験において、ある範囲が、他の範囲よりも高い効率を有して示されたが、胃送達に関する付加的有効範囲が、予期され、本開示は、そのように限定されない。
【0087】
図9Aは、パラメータ入力(噴射力または圧力、ノズル直径、および噴射パワー)およびそれらの結果として生じる腸組織内の送達効率の予備的実験概要を描写する。
図9Aは、力(N)を使用してプロットされ、
図9Bは、APIリザーバに印加される圧力(バール)を使用してプロットされた。線は、6mmのピストン直径、1,200kg/m
3の密度、および80%の一定のシステム効率を仮定する一定のパワーの曲線を定義する。穿孔されるものとしてマーキングされる影付き領域は、組織の穿孔が観察されたデータ点である。チャートでは、各ボックス内でデータが適用可能である実際の点は、ボックスの厳密な中心である。
図9に示されるように、広範囲の噴射力および直径は、腸組織に関して50%を上回る注入効率をもたらし得る。腸組織に関して、穿孔を伴わない高効率が、150μm~550μmの噴射直径および20~90Nの噴射力に関して、3W~6.5Wの噴射パワーで達成され得る。特に、70%を上回る高効率が、150μm~350μmの噴射直径および30~80Nの噴射力を伴う3W~6Wの噴射パワーに関して達成され得る。上記に記述される範囲のより精緻化された組み合わせが、さらなる実験試験を用いて識別されることが予期される。故に、本特定の実験において、ある範囲が、他の範囲よりも高い効率を有して示されたが、腸組織送達に関する付加的有効範囲が、予期され、本開示は、そのように限定されない。
【0088】
図9Bに示されるように、広範囲の噴射圧力および直径は、腸組織に関して50%を上回る注入効率をもたらし得る。腸組織に関して、穿孔を伴わない高効率が、150μm~550μmの噴射直径および5~20バールの噴射圧力に関して、3W~6.5Wの噴射パワーで達成され得る。特に、70%を上回る高効率が、150μm~350μmの噴射直径および10~20バールの噴射圧力を伴う3W~6Wの噴射パワーに関して達成され得る。上記に記述される範囲のより精緻化された組み合わせが、さらなる実験試験を用いて識別されることが予期される。故に、本特定の実験において、ある範囲が、他の範囲よりも高い効率を有して示されたが、腸組織送達に関する付加的有効範囲が、予期され、本開示は、そのように限定されない。
【0089】
実施例:生体内試験
【0090】
研究が、MITの動物試験施設における訓練された獣医技師によって実施された。70~90kgの重量のヨークシャーブタが、使用された。全ての研究は、末期研究であった(動物が直後に安楽死させられたことを意味する)。
図7は、動物の胃壁内にデポ118を形成するためにインスリンの噴射を送達するために使用された、テザー式デバイス100の使用を図示する。試験プロトコルは、下記にさらに説明される。
【0091】
試験の間、ブタの体重が、決定され、インスリンの量が、0.5ユニット/キログラム(1ユニット=0.0347mg)の用量を達成するように選択された。粉末インスリンが、次いで、0.1M NaOH溶液に添加され、PF68およびHEPESが、安定化剤として使用された。そこから、0.1M HClが、インスリンの溶解を支援するために添加され、さらなる希釈が所望される場合、脱イオン水が、添加された。最後に、少量のNaOHが、溶液のpHが8.0を上回る値(インスリンが最も安定する)に到達するまで添加された。本製剤手順は、各生体内研究の前の朝または夕方に実行され、結果として生じる溶液は、投与の時間まで4℃において保管された。
【0092】
本デバイスは、動物が鎮静され、挿管された手術室においてAPIおよびCO2を装填された。本デバイスは、開腹を通した胃の中への直接設置によって、または内視鏡および絞断器を伴うオーバーチューブを介してのいずれかで展開された。本デバイスを用いて実施された5回の展開のうち、最初の3回は、開腹によって実施され、後の2回は、内視鏡によって実施された。トリガは、概して、15分以内に起こり、本デバイスの基部の近傍の反動および微小な発泡を通して識別され得る。
【0093】
血液サンプルが、耳カテーテルまたは大腿カテーテルによって収集された。サンプルが、血糖レベルの安定性を確実にするために、スケジューリングされた展開の1時間前から約15分間隔で採取された。展開後、血液サンプルは、最初の30分にわたって5分間隔で収集され、次いで、展開後2時間まで15分間隔で収集された。サンプルは、研究の完了まで、3mL EDTA管内の氷上で保管された。血糖レベルは、商業的グルコース監視ストリップを使用して、各採血において監視された。レベルが、20mg/dLを下回って低下した場合、12mLの50%ブドウ糖溶液の静脈内注入が、高血糖を回避するために投与された。サンプルは、次いで、血糖レベルに関するカスタム酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて続けて分析された。
【0094】
5回のデバイス試験のうちの3回は、血糖レベルの低下および対応する血漿インスリン濃度の増加を生じさせた。あるデバイスがインスリンを送達し、その他が送達しなかった事実は、デバイスオリフィスサイズにおける製造変動に起因する可能性が高かった。プロトタイプデバイスに関して、オリフィスサイズは、広く変動することが観察されたが、問題は、機械加工の自動化を通して後のバージョンにおいて対処された。いずれの場合も、これらの試験は、生物製剤の経口送達の実行可能性を確認している。
【0095】
類似する試験もまた、ブタモデルの小腸においてテザー式デバイスを使用して行われた。噴射送達されたインスリンの生物学的利用能を示す類似する結果もまた、小腸における噴射展開されたインスリンに関して同様に観察された。
【0096】
本教示は、種々の実施形態および実施例と併せて説明されたが、本教示が、そのような実施形態または実施例に限定されることを意図していない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。故に、前述の説明および図面は、実施例にすぎない。
【国際調査報告】