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特表2023-537918アンテナ挿入電極構造体およびそれを含む画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】アンテナ挿入電極構造体およびそれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230830BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230830BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/044 124
H01Q1/22 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508541
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2021010585
(87)【国際公開番号】W WO2022035189
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0100222
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ビョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ドン ピル
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジェ ヒョン
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA03
5J047AB13
5J047EF04
(57)【要約】
本発明の実施形態によると、アンテナ挿入電極構造体およびそれを含む画像表示装置が提供される。アンテナ挿入電極構造体は、タッチセンシング領域およびアンテナ-タッチセンシング領域を含む基材層と、基材層のタッチセンシング領域上に配列される第1のセンシング電極と、基材層のアンテナ-タッチセンシング領域上に配列される第2のセンシング電極と、基材層のアンテナ-タッチセンシング領域上に第2のセンシング電極と離隔して配列されるアンテナユニットとを含む。アンテナユニットおよび第2のセンシング電極は、第1のセンシング電極よりも低い抵抗を有する導電物質を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンシング領域およびアンテナ-タッチセンシング領域を含む基材層と、
前記基材層の前記タッチセンシング領域上に配列される第1のセンシング電極と、
前記基材層の前記アンテナ-タッチセンシング領域上に配列される第2のセンシング電極と、
前記基材層の前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記第2のセンシング電極と離隔して配列されるアンテナユニットとを含み、
前記アンテナユニットおよび前記第2のセンシング電極は、前記第1のセンシング電極よりも低い抵抗を有する導電物質を含む、アンテナ挿入電極構造体。
【請求項2】
前記第1のセンシング電極は透明導電性酸化物を含む、請求項1に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項3】
前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットは、金属または合金で形成されたメッシュ構造を有する、請求項2に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項4】
前記第2のセンシング電極と前記アンテナユニットとの間に配置され、前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットとは分離されたダミーメッシュ電極をさらに含む、請求項3に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項5】
前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットは、金属ナノワイヤまたは伝導性高分子を含む、請求項2に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項6】
前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットは、透明導電性酸化物層および金属層の複層構造を有する、請求項2に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項7】
前記第1のセンシング電極は、第1の行センシング電極および第1の列センシング電極を含み、
前記第2のセンシング電極は、第2の行センシング電極および第2の列センシング電極を含む、請求項1に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項8】
前記タッチセンシング領域上で行方向に隣り合う前記第1の行センシング電極を電気的に接続する第1のブリッジ電極と、
前記タッチセンシング領域上で列方向に隣り合う前記第1の列センシング電極を接続する第1の接続部とをさらに含む、請求項7に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項9】
前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記アンテナユニットの周辺で前記行方向に隣り合う前記第2の行センシング電極を電気的に接続する仲介電極と、
前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記アンテナユニットの周辺で前記列方向に隣り合う前記第2の列センシング電極を接続する第2の接続部とをさらに含む、請求項8に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項10】
前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記仲介電極と前記行方向に隣り合う前記第2の行センシング電極とを互いに接続する第2のブリッジ電極をさらに含み、
前記仲介電極は、前記第2の行センシング電極とは分離されて配置される、請求項9に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項11】
前記第2の接続部は、前記第1の接続部とは異なる形状を有する、請求項9に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項12】
前記第1の行センシング電極は、行方向に互いに接続され、前記タッチセンシング領域上で列方向に沿って離隔して配置される第1のセンシング電極行を形成し、
前記第2の行センシング電極は、前記行方向に互いに接続され、前記アンテナ-タッチセンシング領域上で第2のセンシング電極行を形成する、請求項7に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項13】
前記アンテナユニットは、前記第2のセンシング電極行と同一平面で前記行方向に重なる、請求項12に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項14】
前記第1の列センシング電極は、前記列方向に互いに接続され、前記タッチセンシング領域上で前記行方向に沿って離隔して配置される第1のセンシング電極列を形成し、
前記第2の列センシング電極は、前記第1のセンシング電極列に接続される、請求項12に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項15】
前記アンテナユニットおよび前記第2のセンシング電極は同じ導電物質を含む、請求項1に記載のアンテナ挿入電極構造体。
【請求項16】
請求項1に記載のアンテナ挿入電極構造体を含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ挿入電極構造体およびそれを含む画像表示装置に関する。より詳細には、アンテナユニットおよびセンシング電極を含むアンテナ挿入電極構造体、並びにそれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置とタッチセンサが共に結合され、画像表示装置に表示される指示内容を人の手や物体で選択してユーザの命令を入力できる電子機器が、例えばタブレットPCのような様々な形態で開発されている。
【0003】
また、前記画像表示装置は、スマートフォンなどの通信機器と結合されている。そのため、高周波または超高周波の通信を実現するためのアンテナが前記画像表示装置に適用され得る。
【0004】
前述のように、タッチセンサおよびアンテナが1つの画像表示装置内に含まれる場合には、限られた空間内に複数の電極を挿入するためのデザインの設計が必要となる。また、前記電極が画像表示装置の表示領域内に配列される場合には、透過率の低下および画像品質の低下が引き起こされることがある。
【0005】
高周波または超高周波帯域のアンテナの場合は、信号損失に脆弱であり、タッチセンサのセンシング電極と同じデザイン、材質で設計される場合、十分なアンテナ放射特性が実現されないことがある。
【0006】
そこで、表示領域における画像特性の向上を考慮しながらタッチセンシングの感度、放射特性も向上させるための電極設計が必要である。
【0007】
最近では、例えば韓国公開特許第2014-0092366号のように、様々な画像表示装置にタッチセンサが結合したタッチスクリーンパネルが開発されている。韓国公開特許第2013-0095451号では、ディスプレイパネルに一体化されたアンテナを開示している。しかし、アンテナとタッチセンサを共に効率よく配置した画像表示装置については開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、向上した電気的、光学特性を有するアンテナ挿入電極構造体を提供することである。
【0009】
本発明の課題は、向上した電気的、光学特性を有するアンテナ挿入電極構造体を含む画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.タッチセンシング領域およびアンテナ-タッチセンシング領域を含む基材層と、前記基材層の前記タッチセンシング領域上に配列される第1のセンシング電極と、前記基材層の前記アンテナ-タッチセンシング領域上に配列される第2のセンシング電極と、前記基材層の前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記第2のセンシング電極と離隔して配列されるアンテナユニットとを含み、前記アンテナユニットおよび前記第2のセンシング電極は、前記第1のセンシング電極よりも低い抵抗を有する導電物質を含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0011】
2.前記項目1において、前記第1のセンシング電極は透明導電性酸化物を含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0012】
3.前記項目2において、前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットは、金属または合金で形成されたメッシュ構造を有する、アンテナ挿入電極構造体。
【0013】
4.前記項目3において、前記第2のセンシング電極と前記アンテナユニットとの間に配置され、前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットとは分離されたダミーメッシュ電極をさらに含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0014】
5.前記項目2において、前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットは、金属ナノワイヤまたは伝導性高分子を含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0015】
6.前記項目2において、前記第2のセンシング電極および前記アンテナユニットは、透明導電性酸化物層および金属層の複層構造を有する、アンテナ挿入電極構造体。
【0016】
7.前記項目1において、前記第1のセンシング電極は、第1の行センシング電極および第1の列センシング電極を含み、
前記第2のセンシング電極は、第2の行センシング電極および第2の列センシング電極を含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0017】
8.前記項目7において、前記タッチセンシング領域上で行方向に隣り合う前記第1の行センシング電極を電気的に接続する第1のブリッジ電極と、
前記タッチセンシング領域上で列方向に隣り合う前記第1の列センシング電極を接続する第1の接続部とをさらに含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0018】
9.前記項目8において、前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記アンテナユニットの周辺で前記行方向に隣り合う前記第2の行センシング電極を電気的に接続する仲介電極と、
前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記アンテナユニットの周辺で前記列方向に隣り合う前記第2の列センシング電極を接続する第2の接続部とをさらに含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0019】
10.前記項目9において、前記アンテナ-タッチセンシング領域上で前記仲介電極と前記第2の行センシング電極とを互いに接続する第2のブリッジ電極をさらに含み、
前記仲介電極は、前記第2の行センシング電極とは分離されて配置される、アンテナ挿入電極構造体。
【0020】
11.前記項目9において、前記第2の接続部は、前記第1の接続部とは異なる形状を有する、アンテナ挿入電極構造体。
【0021】
12.前記項目7において、前記第1の行センシング電極は、前記行方向に互いに接続され、前記タッチセンシング領域上で前記列方向に沿って離隔して配置される第1のセンシング電極行を形成し、
前記第2の行センシング電極は、前記行方向に互いに接続され、前記アンテナ-タッチセンシング領域上で第2のセンシング電極行を形成する、アンテナ挿入電極構造体。
【0022】
13.前記項目12において、前記アンテナユニットは、前記第2のセンシング電極行と同一平面で前記行方向に重なる、アンテナ挿入電極構造体。
【0023】
14.前記項目12において、前記第1の列センシング電極は、前記列方向に互いに接続され、前記タッチセンシング領域上で前記行方向に沿って離隔して配置される第1のセンシング電極列を形成し、
前記第2の列センシング電極は、前記第1のセンシング電極列に接続される、アンテナ挿入電極構造体。
【0024】
15.前記項目1において、前記アンテナユニットおよび前記第2のセンシング電極は同じ導電物質を含む、アンテナ挿入電極構造体。
【0025】
16.前述の実施形態のアンテナ挿入電極構造体を含む、画像表示装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によるアンテナ挿入電極構造体では、タッチセンシング領域に配列される第1のセンシング電極と、アンテナ-タッチセンシング領域に配列される電極(アンテナユニットおよび第2のセンシング電極)は、互いに異なる導電性物質で形成することができる。例えば、前記アンテナユニットおよび前記第2のセンシング電極は、前記第1のセンシング電極よりも抵抗の低い導電性物質で形成し、前記第1のセンシング電極は相対的に透過率の高い導電性物質で形成することができる。
【0027】
これにより、前記タッチセンシング領域では透過率を向上させながらモアレ現象を防止し、前記アンテナ-タッチセンシング領域では十分な高周波または超高周波帯域でのアンテナ放射特性を確保することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記アンテナ-タッチセンシング領域に配置された第2のセンシング電極は、前記アンテナユニットの周りに沿って形成された仲介電極または接続部を介して互いに接続することができる。これにより、アンテナユニットの挿入にもチャネル連続性を維持しつつ、所望のタッチセンシング感度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体を説明するための概略平面図である。
図2図2は、例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体のセンシング電極配列を説明するための概略平面図である。
図3図3は、例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体のセンシング電極配置を説明するための概略断面図である。
図4図4は、いくつかの例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体を説明するための概略平面図である。
図5図5は、例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体の電極およびパターン配列を説明するための部分拡大平面図である。
図6図6は、例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は、アンテナユニットおよびセンシング電極が同一平面内に共に配列され、互いに異なる材質を含むアンテナ挿入電極構造体を提供する。また、前記アンテナ挿入電極構造体を含む画像表示装置を提供する。
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0032】
本出願で使用される「列方向」および「行方向」は、絶対的な方向を指すのではなく、互いに異なる2つの方向を指す相対的な意味として使用される。
【0033】
図1は、例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体を説明するための概略平面図である。図2及び図3は、それぞれ例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体のセンシング電極の配列を説明するための概略的な平面図および断面図である。
【0034】
具体的には、図2は、タッチセンシング領域TRにおけるセンシング電極の配列を説明するための部分拡大平面図である。図3は、図2のI-I’線に沿って厚さ方向に切断した断面図である。例えば、図3は、図1に示すセンシング電極行とセンシング電極列との交差領域Cにおける断面図である。
【0035】
図1図3を参照すると、アンテナ挿入電極構造体は、センシング電極およびアンテナユニットが配列される基材層100を含むことができる。
【0036】
基材層100または前記アンテナ挿入電極構造体は、タッチセンシング領域TRと、アンテナ-タッチセンシング領域ARとを含むことができる。
【0037】
タッチセンシング領域TRは、基材層100の中央部を含み、ユーザのタッチ入力がセンシングされる実質的なタッチセンサの活性領域として提供され得る。アンテナ-タッチセンシング領域ARは、タッチセンシング領域TRの一端部に隣接するように配置できる。
【0038】
アンテナ-タッチセンシング領域ARは、例えば、高周波または超高周波(例えば、3G、4G、5Gまたはそれ以上)の移動通信を実現するためのアンテナユニット50が配置される領域であってもよい。例示的な実施形態によると、アンテナ-タッチセンシング領域AR内には、アンテナユニット50と共にタッチセンサのセンシング電極の一部を共に分布させることができる。
【0039】
一実施形態では、例えば図5に示すように、アンテナ-タッチセンシング領域ARの全体にわたってアンテナユニット50とセンシング電極(第2のセンシング電極)を共に分布させることができる。一実施形態では、アンテナ-タッチセンシング領域AR内でアンテナユニット50が配列される領域、および前記第2のセンシング電極が配列される領域を列方向または行方向に区分することもできる。
【0040】
基材層100は、前記センシング電極およびアンテナユニットを形成するための支持層またはフィルムタイプの基材を包括する意味で使用される。例えば、基材層100は、タッチセンサまたはアンテナ誘電層に通常使用されるフィルム素材を特に制限なく使用することができ、例えば、ガラス、高分子及び/又は無機絶縁物質を含むことができる。前記高分子の例としては、環状オレフィン重合体(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(PI)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。前記無機絶縁物質の例としては、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、金属酸化物などが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記アンテナ挿入電極構造体が積層される画像表示装置の層またはフィルム部材を基材層100として提供することもできる。例えば、ディスプレイパネルに含まれるエンキャプセレーション層またはパッシベーション層などを基材層100として提供することもできる。
【0042】
前記センシング電極は、相互静電容量(Mutual Capacitance)方式で駆動するように配列することができる。前記センシング電極は、タッチセンシング領域TR上に配列される第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120を含むことができる。前記センシング電極は、アンテナ-タッチセンシング領域AR上に配列される第2の行センシング電極130および第2の列センシング電極140をさらに含むことができる。
【0043】
アンテナ-タッチセンシング領域AR上において、アンテナユニット50は、第2の行センシング電極130および第2の列センシング電極140と電気的、物理的に離隔または分離して配置することができる。例えば、複数のアンテナユニット50を第2の行センシング電極130と第2の列センシング電極140との間の空間に配置することができる。
【0044】
第1の行センシング電極110および第2の行センシング電極130は、行方向に沿って配列され、それぞれ独立した島(island)パターン形状を有することができる。前記行方向に沿って互いに隣り合う第1の行センシング電極110は、第1のブリッジ電極115を介して互いに電気的に接続することができる。前記行方向に沿って互いに隣り合う第2の行センシング電極130は、第2のブリッジ電極135(図5を参照)を介して互いに電気的に接続することができる。
【0045】
これにより、前記行方向に配列される前記行センシング電極が接続されて形成され、前記行方向に延びるセンシング電極行が定義され、複数の前記センシング電極行を列方向に沿って配列することができる。
【0046】
例示的な実施形態によると、前記複数のセンシング電極行の少なくとも1つのセンシング電極行を、アンテナ-タッチセンシング領域AR上にアンテナユニット50と共に配置することができる。これにより、アンテナユニット50は、少なくとも1つのセンシング電極行と同一平面で前記行方向に沿って重なることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記センシング電極行のうち平面方向(図1の方向)において最下部に配置されたセンシング電極行を、アンテナ-タッチセンシング領域AR上にアンテナユニット50と共に配置することができる。
【0048】
前記センシング電極行は、タッチセンシング領域TR上に配列された第1のセンシング電極行SR1と、アンテナ-タッチセンシング領域AR上に配列された第2のセンシング電極行SR2とを含むことができる。
【0049】
第1の列センシング電極120および第2の列センシング電極140は、前記列方向に沿って配列することができる。第1の列センシング電極120は、第1の接続部125によって互いに接続することができる。第1の列センシング電極120と第1の接続部125は互いに一体に接続され、実質的に単一の部材で提供され得る。第2の列センシング電極140は、第2の接続部145(図5を参照)によって互いに接続することができる。第2の列センシング電極140と第2の接続部145は互いに一体に接続され、実質的に単一の部材で提供され得る。
【0050】
例えば、第1の列センシング電極120および第2の列センシング電極140は、第1の接続部125および第2の接続部145によって共に前記列方向に沿って接続することができる。これにより、タッチセンシング領域TRおよびアンテナ-タッチセンシング領域ARにわたって前記列方向に延びるセンシング電極列を定義することができる。また、複数の前記センシング電極列を前記行方向に沿って配列することができる。
【0051】
前述のセンシング電極およびアンテナユニット50は、同じ層または同じレベルに共に位置させることができる。
【0052】
図3に示すように、基材層100の上面上には、前記アンテナユニットと前記センシング電極とを共に覆う絶縁層150を形成することができる。ブリッジ電極115,135は、絶縁層150上に形成することができる。ブリッジ電極115,135は、絶縁層150を貫通して隣り合う行センシング電極110,130を互いに電気的に接続することができる。
【0053】
絶縁層150上には、ブリッジ電極115,135を覆うように保護層160を形成することができる。絶縁層150および保護層160は、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機絶縁物質、またはアクリル系樹脂、シロキサン系樹脂などの有機絶縁物質を含むことができる。
【0054】
図1及び図2に示すように、前記センシング電極はそれぞれ菱形またはダイヤモンド形状を有することができる。しかし、前記センシング電極の形状は、モアレ現像の防止、電極視認の防止のような光学的特性を考慮して適宜変更することができる。例えば、前記センシング電極の枠は波状を有してもよい。
【0055】
例示的な実施形態によると、タッチセンシング領域TR内に配置された第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120は、アンテナ-タッチセンシング領域AR内に配列されたアンテナユニット50とは異なる導電性物質を含むことができる。
【0056】
例示的な実施形態によると、第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)などの透明導電性酸化物を含むことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120は、前記透明導電性酸化物で形成された中身が詰まった(solid)パターンであってもよい。これにより、金属または合金と比較して相対的に高抵抗の透明導電性酸化物を使用し、十分な電荷流れ面積を提供することができる。
【0058】
また、表示領域と実質的に全体として重畳するタッチセンシング領域TR上で十分な透過率を確保し、表示パネルに含まれる回路構造とのモアレ現象を抑制することができる。
【0059】
一実施形態では、第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120は実質的に透明導電性酸化物で構成され、他の導電性物質を含まなくてもよい。一実施形態では、第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120は、透明導電性酸化物で構成された単層構造を有することができる。
【0060】
アンテナユニット50は、第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120よりも抵抗(例えば、面抵抗)が低い物質を含むことができる。これにより、基材層100の一端部において相対的に小さい面積の領域に形成されるアンテナユニット50の信号抵抗を低減しながら十分な放射特性を確保することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット50は、金属または合金で形成されたメッシュ構造を有することができる。例えば、アンテナユニット50は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、又はこれらのうちの少なくとも1つを含有する合金を含むことができる。これらは単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
一実施形態では、低抵抗および微細線幅を実現するために、アンテナユニット50は銀または銀含有合金(例えば、銀-パラジウム-銅(APC))、若しくは銅または銅含有合金(例えば、銅-カルシウム(CuCa))を含むことができる。
【0063】
一実施形態では、アンテナユニット50は金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を含むことができる。
【0064】
一実施形態では、アンテナユニット50は、透明導電性酸化物よりも抵抗が低い伝導性高分子を含むことができる。例えば、アンテナユニット50は、PEDOT:PSS(ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene):ポリ(スチレンスルフォネート)poly(styrenesulfonate))を含むことができる。
【0065】
一実施形態では、アンテナユニット50は金属層を含む複層構造を有することができる。例えば、アンテナユニット50は、透明導電性酸化物層-金属層の複層構造、または順次積層された第1の透明導電性酸化物層-金属層-第2の透明導電性酸化物層の複層構造を有することもできる。
【0066】
この場合、前記金属層によってフレキシブル特性が向上しつつ、抵抗を下げて信号伝達速度を向上させることができ、前記透明導電性酸化物層により耐食性、透明性を向上させることができる。
【0067】
アンテナ-タッチセンシング領域AR内に配置される第2の行センシング電極130および第2の列センシング電極140は、前述のアンテナユニット50と同じ導電性物質を含むことができる。例えば、第2の行センシング電極130および第2の列センシング電極140は、金属/合金、金属ナノワイヤ、低抵抗の伝導性高分子、または金属層/透明導電性酸化物層の複層構造を含むことができる。
【0068】
したがって、第2の行センシング電極130および第2の列センシング電極140は、アンテナユニット50と同様の成膜工程およびエッチング工程によって形成することができる。また、例えば、相対的に小さい面積の画像表示装置の端部領域におけるセンシング感度を効果的に増加させることができる。
【0069】
前述のように、タッチセンシング領域TRでは、ユーザのタッチ入力を広い領域に容易に伝達するので、相対的に高い面抵抗物質を用いても十分なタッチセンシングを実現することができる。したがって、タッチセンシング領域TRでは、相対的に高透過率の透明導電性酸化物を用いて電極を形成することにより、画像表示装置における十分な透過率を提供することができる。
【0070】
相対的に小さい面積のアンテナ-タッチセンシング領域ARでは、前述の低抵抗物質で形成された電極を配列して、十分なアンテナゲイン、放射特性およびタッチセンシングを共に実現することができる。また、アンテナ-タッチセンシング領域ARにおける透過度を考慮して、メッシュ構造の電極を配列することができる。
【0071】
図1に戻ると、前述のセンシング電極行およびセンシング電極列の末端部から、それぞれ行トレース180および列トレース185を延ばすことができる。トレース180,185は、タッチセンシング領域TRの周辺領域上で基材層100の他端部上に割り当てられたタッチセンサボンディング領域(例えば、図1に示すタッチセンサ駆動集積回路(IC)チップ190の下の領域)に延びることができる。
【0072】
例えば、トレース180,185の末端部が前記タッチセンサボンディング領域上に集合され、タッチセンサ駆動ICチップ190と電気的に接続することができる。説明の都合上、図1では、例えばトレース180,185の詳細な延長および接続構造の図示を省略している。
【0073】
基材層100の一端部は、アンテナボンディング領域ABR(図5を参照)として提供することができる。前記アンテナボンディング領域を介して、アンテナ駆動ICチップ195とアンテナユニット50とを電気的に接続することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、アンテナ駆動ICチップ195とアンテナユニット50との間、およびタッチセンサ駆動ICチップ190とトレース180,185の前記末端部との間には、それぞれフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を配置することができる。例えば、アンテナ駆動ICチップ195は、前記フレキシブルプリント回路基板上に直接実装することができる。
【0075】
一実施形態では、前記フレキシブルプリント回路基板とアンテナ駆動ICチップ195との間には、追加の仲介回路基板(例えば、リジッドプリント回路基板)をさらに配置することもできる。
【0076】
図4は、いくつかの例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体を説明するための概略平面図である。図1図3で説明したものと実質的に同一または類似の構造および構成については詳細な説明を省略する。
【0077】
図4を参照すると、アンテナ-タッチセンシング領域ARは、タッチセンシング領域TRの側部に隣接するように配置してもよい。
【0078】
この場合、アンテナユニット50は、前述のように、列センシング電極130,140が接続されて定義されたセンシング電極列のうちの少なくとも1つのセンシング電極列と列方向に重なることができる。
【0079】
例えば、タッチセンシング領域TRには第1のセンシング電極列SC1を配置し、アンテナ-タッチセンシング領域ARには第2のセンシング電極列SC2を配置することができる。アンテナユニット50は、第2のセンシング電極列SC2と共にアンテナ-タッチセンシング領域ARに配置することができる。
【0080】
前述のように、アンテナ-タッチセンシング領域ARに配置されたアンテナユニット50、第2の行センシング電極130、および第2の列センシング電極140は、タッチセンシング領域TRに配置された第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120とは異なる低抵抗の導電物質を含むことができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、アンテナ-タッチセンシング領域ARは、タッチセンシング領域TRの両側部に隣接するように配置することもできる。
【0082】
図5は、例示的な実施形態によるアンテナ挿入電極構造体の電極およびパターンの配列を説明するための部分拡大平面図である。
【0083】
図5を参照すると、前述のように基材層100のアンテナ-タッチセンシング領域AR部分上には、アンテナユニット50、第2の行センシング電極130および第2の列センシング電極140を共に配列することができる。
【0084】
アンテナユニット50は、放射体52と、伝送線路54とを含むことができる。放射体52は、例えば菱形などの多角形パターン形状を有することができる。伝送線路54は、放射体52の一端から延びることができる。いくつかの実施形態では、放射体52および伝送線路54は実質的に一体に接続された単一部材であってもよい。
【0085】
伝送線路54の末端には、信号パッド56を接続することができる。信号パッド56の周辺にはグランドパッド58を配置することができる。例えば、一対のグランドパッド58は、信号パッド56を挟んで互いに対向するように配置できる。グランドパッド58は、伝送線路54および信号パッド56と電気的、物理的に分離することができる。
【0086】
信号パッド56およびグランドパッド58は、アンテナ-タッチセンシング領域ARに隣接し、基材層100の一端部に割り当てられたアンテナボンディング領域ABR上に配置することができる。前述のように、アンテナボンディング領域ABRを介して信号パッド56およびアンテナ駆動ICチップ195を、例えばフレキシブルプリント回路基板を介して電気的に接続することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、放射体52および伝送線路54は、前述の低抵抗の金属または合金を含むメッシュ構造を含むことができる。信号パッド56およびグランドパッド58は、回路接続抵抗を低減するために、前述の低抵抗の金属または合金を含む中身が詰まった(solid)パターンであってもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、アンテナ-タッチセンシング領域AR上には、第2の行センシング電極130を接続するための仲介電極133を形成することができる。仲介電極133は、アンテナユニット50の周辺において、例えば放射体52の周りに沿って形成することができる。仲介電極133は、隣り合う第2の行センシング電極130と第2のブリッジ電極135を介して電気的に接続することができる。
【0089】
これにより、第2のセンシング電極行SR2が行方向にアンテナユニット50と重なる場合でも、仲介電極133を介してアンテナ-タッチセンシング領域AR上でセンシング電極行の電気的連続性を維持することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、第2の列センシング電極140は、アンテナ-タッチセンシング領域ARにおいて第2の接続部145を介して互いに接続することができる。一実施形態では、第2の列センシング電極140は、第2の接続部145を介してタッチセンシング領域TRにおけるセンシング電極列SCとの接続性または連続性を維持することができる。
【0091】
例えば、第2の接続部145および仲介電極133は、放射体52の周りに沿って折れた形状を有することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、図5に示すように、タッチセンシング領域TR上に配置されたセンシング電極110,120は、アンテナ-タッチセンシング領域AR上に配置されたセンシング電極130,140よりも大きい面積を有することができる。
【0093】
タッチセンシング領域TRでは、センシング電極110,120の面積を大きくしてパターニング工程の容易性を確保しつつ、相対的に高抵抗の導電物質を含んでいてもセンシングチャネルの抵抗を下げることができる。
【0094】
図5では、説明の都合上、センシング電極110,120,130,140が菱形を有するように示されているが、センシング電極110,120,130,140の枠は波状を有してもよい。
【0095】
図6は、例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略平面図である。例えば、図6は、画像表示装置のウィンドウを含む外部形状を示している。
【0096】
図6を参照すると、画像表示装置300は、表示領域310および周辺領域320を含むことができる。周辺領域320は、例えば、表示領域310の両側部及び/又は両端部に配置することができる。周辺領域320は、例えば、画像表示装置の遮光部またはベゼル部に相当し得る。
【0097】
図1で説明したアンテナ挿入電極構造体のタッチセンシング領域TRおよびアンテナ-タッチセンシング領域ARは、表示領域310に含まれてもよい。これにより、センシング電極110,120,130,140および放射体52は、表示領域310内に配列することができる。前述のように、タッチセンシング領域TRに含まれる第1の行センシング電極110および第1の列センシング電極120は透明導電性酸化物を含み、表示領域310における透過性を向上させることができる。
【0098】
一実施形態では、アンテナ-タッチセンシング領域ARに含まれる放射体52、第2の行センシング電極130、および第2の列センシング電極140は、低抵抗の金属または合金で形成されたメッシュ構造を含み、ユーザへの視認を防ぐことができる。
【0099】
アンテナ挿入電極構造体のアンテナボンディング領域ABRは、周辺領域320に含まれてもよい。これにより、信号パッド56を介して周辺領域320においてアンテナ駆動ICチップ195との電気的接続を実現することができる。
【0100】
また、トレース180,185の末端部を、周辺領域320においてタッチセンサ駆動ICチップ195と電気的に接続することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】