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特表2023-537938真空システムのための逆止弁及び逆止弁装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】真空システムのための逆止弁及び逆止弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/12 20060101AFI20230830BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F16K17/12
F16K51/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023509419
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 GB2021052087
(87)【国際公開番号】W WO2022034324
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】2012603.3
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ロング ケイナン
(72)【発明者】
【氏名】ストーンズ イアン ディヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ノース フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】バート クリフォード ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ホックレイ ロビン
(72)【発明者】
【氏名】カロラス コンスタンティノス
【テーマコード(参考)】
3H059
3H066
【Fターム(参考)】
3H059AA08
3H059BB04
3H059BB23
3H059BB25
3H059CA12
3H059CA25
3H059CB02
3H059CB12
3H059CB25
3H059CB29
3H059CC08
3H059CD08
3H059EE01
3H059FF11
3H066AA01
3H066BA13
3H066BA14
3H066BA38
(57)【要約】
真空システムの逆止弁は、真空システムの流路を横切って延びるバッフルと、弁部材とを備える。バッフルは開口を有し、開口の外周は弁座を備える。弁部材は、弁座と嵌合するように構成された湾曲シール面を有する。弁部材及び開口は、弁部材が開口を覆い隠して、閉位置において弁座でシールして、出口端から入口端への流体流れを妨げ、使用時に弁座から離れて移動して開位置において入口端から出口端への流体流れを許容するように変位可能に構成されており、開口を取り囲むバッフルの表面の少なくとも一部は、逆止弁の入口端に向かって内向きに傾斜し、開口が入口端で出口端よりも小さくなるようになっている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空システムの逆止弁であって、
前記真空システムの流路を横切って延びるバッフルであって、前記バッフルは開口を含み、前記開口の外周は弁座を含む、バッフルと、
前記弁座と嵌合するように構成された湾曲シール面を含む弁部材であって、前記弁部材及び前記開口は、閉位置において前記弁部材が前記開口を覆い隠して前記弁座でシールして、出口端から入口端への流体流れを妨げ、使用時に前記弁座から離れて移動して開位置において前記入口端から前記出口端への流体流れを許容するように変位可能に構成されている、弁部材と、
を備え、
前記開口を取り囲む前記バッフルの表面の少なくとも一部は、前記逆止弁の前記入口端に向かって内向きに傾斜し、前記開口が前記入口端で前記出口端よりも小さくなるようになっており、
前記開口の傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30゜と70゜との間の角度をなす、真空システムの逆止弁。
【請求項2】
前記開口の前記傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30°と55°との間の角度をなす、請求項1に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項3】
前記開口の前記傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30゜と45゜との間の角度をなす、請求項1又は2に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項4】
前記弁部材を形成する材料は、0.01と0.5Raとの間の粗さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項5】
前記弁座を形成する材料は、0.1と1.0Raとの間、好ましくは0.3と0.5Raとの間の粗さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項6】
前記弁部材及び前記弁座は、ステンレス鋼で形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項7】
前記弁部材及び前記弁座は、異なる金属で形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項8】
前記開口を取り囲む前記表面の傾斜部分は、前記逆止弁の前記出口端に面する表面から前記入口端に面する表面に向かって延び、前記入口端に面する前記表面に延びる部分で急勾配になり、前記弁座は、傾斜角度の変化点又は変化点に近い位置にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項9】
前記開口を取り囲む前記バッフルの前記傾斜面は、窪みを備え、前記弁部材は、前記開口を取り囲む前記傾斜面に、前記窪みの両側の2箇所で接触するように構成されている、請求項1に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項10】
前記弁部材は中空である、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項11】
前記弁部材の前記湾曲面から延びる突出部を備え、前記突出部は、前記開口を貫通して延び、前記突出部から外向きに延びて前記逆止弁が前記開位置にある場合に前記出口端に向かう前記弁部材の移動を制限するように構成された保持部分を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項12】
互いに対して直列に配置された2つの請求項1から11のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁を備える、真空システムの逆止弁装置であって、前記逆止弁装置の入口端からの流体は、前記逆止弁の第1のものを通って流れ、次に、前記逆止弁の第2のものを通って流れるようになっている、真空システムの逆止弁装置。
【請求項13】
前記2つの逆止弁の前記弁座の間に流路を提供する中間容積をさらに備え、前記流路の長さは、前記弁座の直径の1.5倍と10倍との間である、請求項12に記載の真空システムの逆止弁装置。
【請求項14】
前記流路の長さは、前記弁座の直径の1.5倍と6倍との間である、請求項13に記載の真空システムの逆止弁装置。
【請求項15】
前記中間容積は、中間の前記第1及び第2の逆止弁を接続するパイプの中にある、請求項12から14のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁装置。
【請求項16】
前記第1及び第2の逆止弁の両方を収容するための、結合された外側ハウジングを備える、請求項12又は13に記載の真空システムの逆止弁装置。
【請求項17】
前記結合された外側ハウジングは、前記逆止弁の間の流路が、前記逆止弁装置の流入及び流出流路と反対方向に延在する部分を備えるように構成されている、請求項16に記載の真空システムの逆止弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、真空システムで使用するための逆止弁に関する。本出願は、2020年8月13日に出願の英国出願番号2012603.3号の優先権を主張し、その開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
逆止弁は、真空システムにおいて、流体が一方向にポンプ送給されることを可能にし、流体が高圧領域から真空領域へ戻ることを阻止するために使用される。これらは、例えば、ブローオフ弁などの内部圧力解放弁、乾式ポンプの排気逆止弁、除害システムの逆止弁として使用される。真空システム内の圧力差は大きい場合があり、効果的なシールが必要とされる
【0003】
半導体用途のような厳しい熱的、化学的条件の用途では、処理チャンバは、固体及び凝縮性の副生成物と共に強い酸/アルカリガスを含む場合がある。一般的にこのような弁のシールに使用されている材料であるエラストマーを含む逆止弁の使用は、特に腐食環境内では、ポンプ又はパイプのより高い動作温度要件によってますます制限されるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腐食性ガス及び高温プロセスガスへの耐性を有し、効果的なシールを提供する改良された逆止弁を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、真空システムの逆止弁が提供され、これは、真空システムの流路を横切って延びるバッフルであって、バッフルは開口を含み、開口の外周は弁座を含む、バッフルと;弁座と嵌合するように構成された湾曲シール面を含む弁部材であって、弁部材及び開口は、閉位置において弁部材が開口を覆い隠して弁座でシールして、出口端から入口端への流体流れを妨げ、使用時に弁座から離れて移動して開位置において入口端から出口端への流体流れを許容するように変位可能に構成されている、弁部材と;を備え、開口を取り囲むバッフルの表面の少なくとも一部は、逆止弁の入口端に向かって内向きに傾斜し、開口が入口端で出口端よりも小さくなるようになっており;開口の傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30゜と70゜との間の角度をなす。
【0006】
逆止弁の開口の周りの傾斜面は、弁部材の湾曲面との効果的なシールを提供できることが分かっており、特に30°と55°との間の角度、いくつかの実施形態では30°と45°との間の角度は、弁部材をしっかりと、堅牢に受け入れ、効果的なシールを提供することが分かっている。他の実施形態では、45°と55°との間、場合によっては45°と100°との間の角度が効果的であることが分かっている。
【0007】
本発明の発明者は、圧縮性エラストマータイプの材料がシールに利用できない場合、シールが効果的であるためには、シール面が良好に接触していることが特に重要であることを認識している。さらに、弁が絶えず変位する場合、変位するたびにその方向がわずかに変化することができ、結果として、利用可能なシール面が特定の方向に限定されない場合は有利である。湾曲面及び傾斜した弁座を有する弁は、有効なシール面を提供し、異なる方向で弁部材を有効にシールすることができる。これに関連して、弁座は、弁部材の湾曲断面に対応する湾曲断面を有することが有利に思えるが、製造を容易にし、変形がシール特性に及ぼす影響を制限するために、傾斜した、好ましくは円錐形の弁座が有効であることが分かっている。
【0008】
傾斜の角度及び開口と弁部材の相対的な大きさは、弁座の表面の傾斜が、所望の嵌合位置で弁部材の湾曲面に対して接線方向になるように選択される。これに関連して、弁座と弁部材が同じ直径をもつように選択される場合、弁部材は、弁部材表面の傾斜が急勾配である弁部材の最も広い部分に近い位置で弁座と嵌合し、この場合、適切な角度はより小さい角度となる。弁部材の直径が弁座と同様であるが僅かに大きくすると、より広い直径の弁座が可能になり、コンダクタンス(conductance)が改善される。しかしながら、真空システムにおいては、角度が小さいほど、弁部材の最初の変位は狭い開口をもたらし、この開口は弁座の急勾配に起因して緩やかに大きくなることが分かっている。この緩やかに開くことは、システムの背圧の変化を調整し、緩やかな圧力変化をもたらし、逆止弁からのガスの初期漏れ率を低減させることで、ボールが弁座に出たり入ったりする何らかの傾向を低減する。これにより、より広い角度の弁座を有する逆止弁を備えた真空システムと比較して、真空システムの性能を向上させ、弁の摩耗を低減させることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記弁部材は、金属で作られており、他の実施形態では、セラミックで作られている。
【0010】
いくつかの実施形態では、弁部材はステンレス鋼で作られており、いくつかの実施形態では、弁座はステンレス鋼で作られている。
【0011】
ステンレス製シールは、堅牢で、硬く、高温に耐性があり、効果的なシール面を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、弁部材は、弁座とは異なる金属で作られており、いくつかの実施形態では、弁部材は、ニッケル-クロム-モリブデン合金、場合によってはハステロイC276(登録商標)(ニッケル57%、モリブデン15-17%、クロム14.5-16.5%、鉄4-7%)からなっている。
【0013】
弁座と弁部材を異なる金属で形成することで、高温での両者の結合を抑制することができる。特に、ハステロイC276(登録商標)のようなニッケル-クロム-モリブデン合金は、過酷な環境と高温に耐えることができるため、弁体として最適な材料である。
【0014】
この逆止弁の構成により、高温及び腐食環境で劣化する可能性のある圧縮性エラストマー材料を使用することなく、効果的なシールが可能になる。これにより、多くの過酷な環境に対して堅牢で耐性を有する金属などの材料を使用することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、開口を取り囲む表面の傾斜部分は、逆止弁の出口側に面する表面から入口側に面する表面に向かって延び、入口側に面する表面に延びる部分で急勾配になり、弁座は、傾斜角度の変化点又は変化点に近い位置にある。
【0016】
いくつかの実施形態では、傾斜の角度が入口側端部に向かって急になっており、これにより、弁座の位置は、急になっている領域に近く、入口側の開口の端部から離れた位置とすることができる。これにより、弁部材を支持している弁座部分が開口の縁部に近接しない、より堅牢な弁座を作ることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、弁座を形成する材料は、0.1と1.0Raとの間、好ましくは0.3と0.5Raとの間の粗さを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、弁部材を形成する材料は、0.01と0.5Raとの間の粗さを有する。
【0019】
弁部材及び弁座の粗さは、シールの品質に影響を与え、弁部材及び弁座が、より弾力性のある材料ではなく、金属で作られている場合、この影響は特に重要である可能性がある。0.1と1.0Raとの間、好ましくは0.3と0.5Raとの間の粗さが、弁座の効果的な表面及び効果的なシールを提供することが分かっている。さらに、このような表面は、費用対効果の高い方法で製造することができる。弁部材が弁座よりも滑らかになるように形成されると有利な場合がある。
【0020】
別の実施形態では、開口の傾斜面は窪みを備え、この窪みは、弁部材の湾曲面に接触しない領域を提供し、弁部材は、窪みの両側の2箇所で弁座に接触するようになっている。これは、シールに効果的とすることができ、実質的に2つのシール位置を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、弁部材は中実であり、他の実施形態では、弁部材は中空である。弁部材は、多くの材料で形成することができ、中空又は中実とすることができ、一般に、所定の質量を有するように構成され、この質量は、ガスの逆流に対する適切な保護を提供するが、そこで真空システムに有意な背圧を生じさせるような、大きすぎる質量でないように選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、逆止弁は、弁部材の湾曲面から延びる突出部を備え、突出部は、開口を貫通して延び、突出部から外向きに延びて逆止弁が開位置にある場合に出口端に向かう弁部材の移動を制限するように構成された保持部分を備える。
【0023】
弁部材は、逆止弁の中に保持する必要があり、これは、出口に向かう弁部材の移動を制限するためのケージタイプの機構を用いて行うこと、あるいは、開口を貫通して延びる突出部と、突出部から延びて開口よりも広い保持部分とによって行うこともできる。
【0024】
いくつかの実施形態では、バッフルはパイプを横切って延びることができ、ケージタイプの機構が使用される場合、これもパイプを横切って延びることができ、いくつかの実施形態では、締まり嵌めでパイプの中に保持することができる。
【0025】
さらなる態様では、互いに対して直列に配置された一態様による真空システムの逆止弁を備える、真空システムの逆止弁装置が提供され、逆止弁装置の入口端からの流体は、逆止弁の第1のものを通って流れ、次に、逆止弁の第2のものを通って流れるようになっている。
【0026】
実施形態の逆止弁は、逆流に対する追加の保護を提供するために、二重逆止弁として使用することができる。逆止弁は、真空システムの外部のより高い圧力から真空システムの中へのガスのための可能性のある漏れ経路を提供する。これは、経験する過酷な条件に起因して従来のエラストマーシール手段が使用されないバルブにおいて特に問題となる可能性がある。漏れ率は、逆止弁を横切る圧力差に依存する。二重逆止弁は、2つの逆止弁の間に中間容積があり、この容積はバルブが閉じているときに中間圧力であり、各逆止弁を横切る圧力損失は、単一の逆止弁を横切る圧力損失よりも小さい。この結果、各逆止弁、従って、組み合わされた逆止弁の漏れ率は、単一の逆止弁を使用する場合よりも小さくなる。
【0027】
いくつかの実施形態では、システムは、2つの弁座の間に流路を提供する中間容積をさらに備え、流路の長さは、前記弁座の直径の1.5倍から10倍との間、好ましくは1.5倍から6倍との間である。
【0028】
二重逆止弁が特に効果的になるためには、真空システムと外部との間の圧力差が2つの逆止弁を横切って分割されるように、2つの逆止弁の間に容積があることが必要である。中間容積が小さいほど、逆止弁が閉じたときに中間容積の圧力が迅速に平衡定常値に達する。しかしながら、この容積は、各逆止弁を、他方の逆止弁に物理的な影響を与えることなく開閉できるのに十分である必要がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、中間容積は、中間の第1及び第2の逆止弁を接続するパイプの中にある。
【0030】
いくつかの実施形態では、2つの逆止弁は、独立したユニットとすることができ、及び接続パイプによって接続することができる。接続パイプの長さは、適切な中間容積を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、弁座の直径は、2つの逆止弁の2つの弁座の間のパイプの長さの1.5倍と10倍との間である。
【0031】
他の実施形態では、装置は、第1及び第2の逆止弁の両方を収容するための、結合された外側ハウジングを備える。
【0032】
二重逆止弁は、装置に取り付けることができ単一のハウジングで形成することが有利であり、それによって、必要なシール手段を少なくすることができる。上述したように、腐食環境及び高温環境ではシール手段が劣化するため、必要なシール手段を少なくすることが有利である。
【0033】
いくつかの実施形態では、結合された外側ハウジングは、逆止弁の間の流路が、逆止弁装置の流入及び流出流路と反対方向に延在する部分を備えるように構成されている。
【0034】
結合されたハウジングは、2つの逆止弁が、それらの間の流路が第1の逆止弁から出て第2の逆止弁に向かって後退するよう方向を変えるように、実質的に横並びに配置されるように構成することができる。ガスの流入及び流出方向は、各逆止弁の間を通過する際に流れの方向が単純に変化する単一方向とすることができる。
【0035】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と及び請求項に明示的に規定されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0036】
本発明の実施形態は、以下に、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第1の実施形態による逆流防止逆止弁を概略的に示す。
図2】より広い角度の斜面を有する逆流防止逆止弁を概略的に示す。
図3】さらなる実施形態による逆流防止逆止弁を概略的に示す。
図4】一実施形態による二重逆止弁を示す。
図5】別の実施形態の二重逆止弁を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施形態についてさらに詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。
【0039】
過酷な熱的及び化学的課題を伴う用途(例えば、半導体用途)では、良好な耐腐食性でもって高温で使用可能な逆止弁と組み合わせた高温ポンプが望まれる。実施形態は、良好なシール性能を示す完全に金属で作ることができる逆止弁を提供する。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼が使用され、弁座のステンレス鋼は、0.1と1Raとの間、好ましくは0.3と0.5Raとの間の表面粗さを有するように機械加工される。いくつかの実施形態では、弁部材は、0.01と0.5Raとの間の表面粗さを有するように機械加工される。いくつかの実施形態では、弁部材は、弁座とは異なる金属で形成されており、いくつかの実施形態では、ニッケル-クロム-モリブデン合金で形成されている。いくつかの実施形態では、二重逆止弁の使用により、シール性がさらに向上する。
【0040】
実施形態は、傾斜した弁座に当接する湾曲面を有する弁部材を備えた逆止弁を提供する。弁座の傾斜角度は、弁部材及び開部のサイズと連動して選択され、効果的なシールを提供する。いくつかの実施形態では、弁部材は、直径30mmのボールで構成される。弁座の内径は、26mmである。ボールと弁座との間の接触は、単一の線接触である。いくつかの実施形態では、弁は金属弁であるが、他の実施形態では、弁体及び弁座はセラミックで形成することができる。金属及びセラミックは、高温及び腐食環境に適している。
【0041】
いくつかの実施形態では、弁部材及び弁座は同じ材料で形成されるが、他の実施形態では、それらは異なる材料で形成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、逆止弁はシステムのパイプの中に取り付けられるが、他の実施形態では、パイプコネクタが使用される。
【0043】
図1は、一実施形態による逆止弁5を通る断面を示す。逆止弁5は、ボールの形態の弁部材18を備え、そこから突出部及び保持部材22が延びている。保持部材は、ガスが通過できるように穴が開けられている。弁部材18は、逆止弁が取り付けられるパイプを横切って延び、第1の角度及びより急勾配で傾斜した面の傾斜面25を有する開口を備えるバッフル14に形成された弁座22に嵌合する。弁座22は、傾斜の角度の変化部に近接して配置される。
【0044】
逆止弁5は、パイプ内にシールを介して取り付けられ、ガスは真空システムから出口に向かって矢印7の方向に流れる。真空システム内の圧力が上昇すると、弁部材18に力がかかり、弁部材18は弁座23から押し出されて開位置になり、ガスは、その位置で弁部材18によって覆い隠されなくなった開口を通ってパイプの上部から流出することができる。システム内の圧力が低下すると、弁体18は、その重量で開口に戻り、真空システムの外部のより高い圧力のガスが真空システムに入らないように、弁座23でシールすることになる。
【0045】
バッフル14の開口は、出口に隣接して、開口の直径方向で反対側の傾斜面と60°の角度をなす傾斜面25を有し、これは、ボールの曲面との嵌合に適した傾斜を提供し、良好なシールをもたらす。この傾斜は、弁の入口に向かって急勾配になっており、弁座の位置は、明確に定義されて傾斜面の一端に面していないので、ボールを確実に保持でき、弁座が容易に損傷しないようになっている。
【0046】
しかし、60°の角度は、ボールの直径が弁座の直径に近い弁部材に有効であることが分かっている。いくつかの実施形態では、ボールの直径が開口の直径より5%と18%との間で大きい場合、好ましくは5%と10%との間で大きい場合、35°と40°との間のより小さい角度が好ましい場合もある。この角度でボールが弁座から離れると、最初は狭い流路がもたらされ、その結果、圧力の変化のより穏やかな制御が可能になる。
【0047】
図2は、代替案を示し、傾斜面25の角度は、それほど急でなく、この実施形態では、開口の直径方向で反対側の傾斜面と90°の角度をなす。上記の実施形態と同様に、傾斜は、弁座が表面上の規定された場所にあるように、入口に向かってより急勾配になっている。この例では、弁部材の直径と弁座の直径は、より相違しており、弁部材は、弁部材の中央に近くない位置に保持されるので、曲面の傾斜角度はより浅く、弁座の傾斜と一致している。本実施形態では、ボールの直径は、弁座の直径よりも15%と30%との間で大きい。この場合、弁部材の変位は、流体流れのより大きな初期変化を引き起こし、より急な角度を有する弁座と比較すると、真空システムのポンプ送給においてより劣った性能をもたらす可能性がある。
【0048】
図3は、別の実施形態を示し、弁座を形成する開口の表面形状は、その中に窪み27を有し、2つの弁座22が窪みの両側に形成されるようになっている。開口の入口側は出口側よりも小さく、弁部材は、両方の箇所で保持され、効果的なシールが2箇所で得られるので良好なシールがもたらされる。
【0049】
図4は、別の実施形態を示し、上記の実施形態の2つの逆止弁5a及び5bを用いて二重逆止弁60が提供される。2つの逆止弁は二重逆止弁を形成し、ガスは、入口32から入り、第1の逆止弁5aに接触する。入口32の圧力がパイプ50内の中間容積内の圧力を超えて上昇すると、第1の逆止弁5aは開き、ガスはパイプ50の中間容積に入ることになる。ここでの圧力が上昇すると、第2の逆止弁5bが開き、ガスはシステムの外に流出することになる。入口の圧力が中間容積50内の圧力よりも低下すると、逆止弁5aは閉じることになる。同様に、中間容積内の圧力が外部圧力よりも低下すると、第2の逆止弁5bは閉じることになる。真空システムでは、ポンプが始動すると、逆止弁5aより下流の圧力が上昇し、逆止弁5aが開くことになる。ポンプ入口での圧力が低下し(真空)、ガスの圧縮によりポンプ出口での圧力が上昇する。中間容積50の圧力が上昇し、逆止弁5bが開くことになる。ポンプが作動している限り、通常、圧力差を維持するのに十分なガス流があり、逆止弁5a及び5bは開いたままである。
【0050】
ポンプが停止すると、逆止弁5aの下流の圧力が低下し、逆止弁5aの重さを支持できなくなり、逆止弁5bが閉じることになる。同様に、中間容積50の圧力が低下し、逆止弁5bは閉じることになる。
【0051】
パイプの中間容積50は、2つの逆止弁が閉じているときに中間圧力となり、入口32と外部との間の圧力降下は、異なる逆止弁の各々を横切って分割されるようになっており、これは、逆方向の漏れを減少させる。これに関連して、各弁を横切る漏れは、弁を横切る圧力降下に依存するので、圧力降下を2つの弁の間で分割することによって圧力降下を低減させると、漏れが低減する。中間容積は、動作中に2つの弁が物理的に衝突しない程度に選択する必要があるが、好ましくはこれより著しく大きくは選択されない。大きな中間容積では、二重逆止弁が閉じたときに平衡中間圧力に達するまでの時間が長くなり、逆止弁が取り付けられている真空システムに影響を与える。
【0052】
図5は、別の実施形態を示し、多重逆止弁60は、単一のハウジング70内に取り付けられている。単一のハウジングとすることで、弁は、システムに取り付けることが容易になり、また、システムをシールするために必要なシールの数を低減することもできる。上述のように、高温腐食性システムに対するシールは問題がある場合があり、必要な数を少なくすることは有利となり得る。
【0053】
この実施形態は、狭い空間に適合することができる特に小型の逆止弁を提供する。2つの逆止弁は横並びに取り付けられているので、このことを、ガス流が弁を移動する際に方向を変えることを必要とする。
【0054】
二重逆止弁は、突出部及び保持部材22を備える弁部材で示されているが、これは、湾曲した弁部材と、弁部材と出口との間のグリッド又はケージなどの何らかの他の保持手段とを使用することもできる。
【0055】
発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその等価物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく当業者が様々な変更及び修正を行い得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
5、5a、5b 逆止弁
7 ガス流
14 バッフル
18 弁部材
22 保持部
23 弁座
25 傾斜開口面
50 中間パイプ
52 シール
60 多重逆止弁
70 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空システムの逆止弁であって、
前記真空システムの流路を横切って延びるバッフルであって、前記バッフルは開口を含み、前記開口の外周は弁座を含む、バッフルと、
前記弁座と嵌合するように構成された湾曲シール面を含む弁部材であって、前記弁部材及び前記開口は、閉位置において前記弁部材が前記開口を覆い隠して前記弁座でシールして、出口端から入口端への流体流れを妨げ、使用時に前記弁座から離れて移動して開位置において前記入口端から前記出口端への流体流れを許容するように変位可能に構成されている、弁部材と、
を備え、
前記開口を取り囲む前記バッフルの表面の少なくとも一部は、前記逆止弁の前記入口端に向かって内向きに傾斜し、前記開口が前記入口端で前記出口端よりも小さくなるようになっており、
前記開口の傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30゜と70゜との間の角度をなし、
前記傾斜面の角度及び前記開口と前記弁部材の相対的な大きさは、前記傾斜面が前記弁座において前記弁部材の前記湾曲シール面に対して接線方向になるように選択される、真空システムの逆止弁。
【請求項2】
前記開口の前記傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30°と55°との間の角度をなす、請求項1に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項3】
前記開口の前記傾斜面の直径方向に反対側の部分は、30゜と45゜との間の角度をなす、請求項1又は2に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項4】
前記弁部材を形成する材料は、0.01と0.5Raとの間の粗さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項5】
前記弁座を形成する材料は、0.1と1.0Raとの間、好ましくは0.3と0.5Raとの間の粗さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項6】
前記逆止弁が、完全に金属で作られている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項7】
前記弁部材及び前記弁座は、ステンレス鋼で形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項8】
前記弁部材及び前記弁座は、異なる金属で形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項9】
前記開口を取り囲む前記表面の傾斜部分は、前記逆止弁の前記出口端に面する表面から前記入口端に面する表面に向かって延び、前記入口端に面する前記表面に延びる部分で急勾配になり、前記弁座は、傾斜角度の変化点又は変化点に近い位置にある、請求項1からのいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項10】
前記弁部材を前記逆止弁の中に保持するためのケージタイプの機構をさらに備え、前記ケージタイプの機構は、前記逆止弁の前記出口端に向かう前記弁部材の移動を制限する、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空システムの逆止弁。
【請求項11】
請求項10に記載の真空システムの逆止弁を備えるパイプであって、前記バッフル及び前記ケージタイプの機構は、前記パイプを横切って延びている、パイプ。
【請求項12】
前記ケージタイプの機構は、締まり嵌めで前記パイプの中に保持されている、請求項11に記載のパイプ。
【国際調査報告】