(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】電気ヒーターへの可変ランプダウン制御を提供する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H05B 1/02 20060101AFI20230830BHJP
H05B 3/22 20060101ALI20230830BHJP
G05D 23/19 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H05B1/02
H05B3/22
G05D23/19 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509497
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 US2021045735
(87)【国際公開番号】W WO2022036091
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、ブリタニー
(72)【発明者】
【氏名】ブライトロウ、スタントン、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】プタシエンスキ、ケビン
【テーマコード(参考)】
3K034
3K058
5H323
【Fターム(参考)】
3K034JA10
3K058BA19
3K058CA04
5H323CB02
5H323DA01
5H323KK05
5H323LL01
5H323LL02
5H323MM06
(57)【要約】
ある形態において、本開示は、抵抗加熱素子を含むヒーターの温度を制御する方法を対象とする。前記方法は、前記ヒーターの温度を所望の温度セットポイントに下げるように、可変ランプレートで前記抵抗加熱素子に電力を印加することを含む。前記可変ランプレートは、所望のランプレートに設定される。前記方法は、暴走状態を検出するために前記ヒーターの前記温度を監視することと、前記暴走状態が検出されたことに応じて、前記所望のランプレートから許容ランプレートに前記可変ランプレートを調節することと、をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗加熱素子を含むヒーターの温度を制御する方法であって、
前記ヒーターの温度を所望の温度セットポイントまで減少させるために、可変ランプレートで前記抵抗加熱素子に電力を印加することと、
前記可変ランプレートは、所望のランプレートに設定され、
暴走状態を検出するために、前記ヒーターの前記温度を監視することと、
前記暴走状態が検出されたことに応じて、前記可変ランプレートを前記所望のランプレートから許容ランプレートに調節することと、を具備する
方法。
【請求項2】
前記暴走状態は、ランプセットポイントずれを含み、
前記方法は、
前記ヒーターの前記温度がセットポイントずれ閾値だけ、温度ランピングセットポイントからずれるか否かを判定すること、をさらに具備し、
前記温度ランピングセットポイントは、前記ヒーターの前記温度が前記所望の温度セットポイントまで低下する際に、前記可変ランプレートに基づいて、前記ヒーターが制御される温度である、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記暴走状態として前記ランプセットポイントずれが検出されたことに応じて、セットポイントずれ量に基づいて、前記可変ランプレートを減少させること、をさらに具備する、
請求項2の方法。
【請求項4】
前記暴走状態は、ゾーン浮遊状態を含み、前記方法は、前記ゾーン浮遊状態を検出するために、前記ヒーターに印加される前記電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することをさらに具備し、前記公称電力出力は、最小電力出力よりも大きく、前記最小電力出力は、ゼロボルトよりも大きい、
請求項1の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記暴走状態が検出され、且つ前記暴走状態が前記ゾーン浮遊状態であることに応じて、前記ヒーターへの電力を前記公称電力出力まで増加させるように、前記可変ランプレートを減少させることをさらに具備する、請求項4の方法。
【請求項6】
前記ヒーターは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記複数のゾーンそれぞれのゾーン温度を監視することと、
前記暴走状態として、前記複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、前記複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記差が前記ゾーンずれ閾値よりも大きいことに応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの前記可変ランプレートを調整することと、をさらに具備し、
前記ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンのうちの一つであり、クールゾーンは、前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンの他方である、
請求項6の方法。
【請求項8】
前記暴走状態は、ゾーン間ずれ、ランプセットポイントずれ、ゾーン浮遊状態、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含み、
前記方法は、
前記ゾーン間ずれについて、前記複数のゾーンの中からの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、前記複数のゾーンの中からの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差が、ゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記ランプセットポイントずれについて、前記ヒーターの前記温度が温度ランピングセットポイントからセットポイントずれ閾値だけずれるか否かを判定することと、
前記温度ランピングセットポイントは、前記ヒーターの前記温度が前記所望の温度セットポイントまで下げられる際に、前記可変ランプレートに基づいて、前記ヒーターが制御される温度であり、
前記ゾーン浮遊状態について、前記ヒーターに印加された前記電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することと、
前記公称電力出力は、最小電力出力よりも大きく、
前記最小電力出力は、ゼロボルトよりも大きい、
をさらに具備する、
請求項6の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記暴走状態を検出することに応じて、是正措置を実行することと、をさらに具備し、
前記暴走状態がゾーン間ずれであることに応じて、前記是正措置として、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの可変ランプレートを調整することと、前記ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する、第1ゾーン、または第2ゾーンであり、クールゾーンは、第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方であり、
前記暴走状態が前記ランプセットポイントずれであることに応じて、前記是正措置として、前記セットポイントずれ量に基づいて、前記可変ランプレートを減少させることと、
前記暴走状態がゾーン浮遊状態であることに応じて、前記ヒーターへの電力を前記公称電力出力まで増加させることで、前記可変ランプレートを減少させることと、を具備する、
請求項8の方法。
【請求項10】
前記暴走状態が、前記ゾーン間ずれ、前記ランプセットポイントずれ、および前記ゾーン浮遊状態のうちの少なくとも二つを含み、
前記方法は、
前記ランウェイ状態に関連する前記是正措置の加重評価に基づいて、前記可変ランプレートを調節すること、をさらに具備する、
請求項9の方法。
【請求項11】
抵抗加熱素子を含むヒーターへの電力を制御するための制御システムであって、
前記制御システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体と、を具備し、
前記命令は、
前記ヒーターの温度を所望の温度セットポイントまで下げるために、可変ランプレートに基づいて、前記ヒーターの前記抵抗加熱素子に供給される電力量を決定することと、
前記可変ランプレートは、所望のランプレートに設定され、
暴走状態を検出するために、前記ヒーターの前記温度を監視することと、
前記暴走状態が検出されたことに応じて、前記可変ランプレートを前記所望のランプレートから許容ランプレートに調節することと、を含む、
制御システム。
【請求項12】
前記暴走状態は、ランプセットポイントずれを含み、
前記命令は、
前記ヒーターの前記温度がセットポイントずれ閾値だけ温度ランピングセットポイントからずれるか否かを判定すること、をさらに含み、
前記温度ランピングセットポイントは、前記ヒーターの前記温度が前記所望の温度セットポイントまで低下する際に、前記可変ランプレートに基づいて、前記ヒーターが制御される温度である、
請求項11の制御システム。
【請求項13】
前記命令は、
前記暴走状態として、前記ランプセットポイントずれを検出したことに応じて、セットポイントずれ量に基づいて、前記可変ランプレートを減少させることを、さらに含む、
請求項12の制御システム。
【請求項14】
前記暴走状態がゾーン浮遊状態を含み、
前記命令は、前記ゾーン浮遊状態を検出するために、前記ヒーターに印加される前記電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定すること、をさらに含み、
前記公称電力出力は、最小電力出力よりも大きく、
前記最小電力出力は、ゼロボルトよりも大きい、
請求項11の制御システム。
【請求項15】
前記命令は、前記暴走状態が検出され、且つ前記暴走状態が前記ゾーン浮遊状態であることに応じて、前記ヒーターへの電力を前記公称電力出力まで増加させるために、前記可変ランプレートを減少させることをさらに含む、請求項14の制御システム。
【請求項16】
前記ヒーターは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、
前記命令は、
前記複数のゾーンそれぞれのゾーン温度を監視することと、
前記暴走状態として、前記複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、前記複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記差が前記ゾーンずれ閾値よりも大きいこと応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの前記可変ランプレートを調節することと、をさらに含み、
前記ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンのうちの一つであり、クールゾーンは、前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンの他方である、
請求項11の制御システム。
【請求項17】
前記ヒーターは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、
前記暴走状態は、ゾーン間ずれ、ランプセットポイントずれ、ゾーン浮遊状態、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含み、
前記命令は、
前記ゾーン間ずれについて、前記複数のゾーンの中からの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、前記複数のゾーンの中からの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記ランプセットポイントずれについて、前記ヒーターの前記温度が温度ランピングセットポイントからセットポイントずれ閾値だけずれているか否かを判定することと、
前記温度ランピングセットポイントは、前記ヒーターの前記温度が前記所望の温度セットポイントまで減少される際に、前記可変ランプレートに基づいて前記ヒーターが制御されている温度であり、
前記ゾーン浮遊状態について、前記ヒーターに印加された前記電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することと、をさらに含み、
前記公称電力出力は、最小電力出力よりも大きく、
前記最小電力出力は、ゼロボルトよりも大きい、
請求項11の制御システム。
【請求項18】
前記命令は、前記暴走状態が検出されたことに応じて、是正措置を実行することをさらに含み、
前記暴走状態が前記ゾーン間ずれであることに応じて、前記命令は、前記是正措置として、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの前記可変ランプレートを調節することをさらに含み、前記ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する、前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンのうちの一つであり、クールゾーンは、前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンのうちの他方であり、
前記暴走状態が前記ランプセットポイントずれであることに応じて、前記命令は、前記是正措置として、セットポイントずれに基づいて、前記可変ランプレートを減少させることをさらに含み、
前記暴走状態が前記ゾーン浮遊状態であることに応じて、前記命令は、前記是正措置として、前記ヒーターへの電力を前記公称電力出力まで増加させるために、前記可変ランプレートを減少させることをさらに含む、
請求項17の制御システム。
【請求項19】
前記暴走状態は、前記ゾーン間ずれ、前記ランプセットポイントずれ、および前記ゾーン浮遊状態のうちの少なくとも二つを含み、
前記命令は、前記ランウェイ状態に関連する前記是正措置の加重評価に基づいて、可変ランプレートを調節すること、をさらに含む、
請求項18の制御システム。
【請求項20】
熱システムは、
複数の抵抗加熱素子を有するヒーターと、
前記複数の抵抗加熱素子は、複数のゾーンを画定し、
請求項11の制御システムと、を具備し、
前記命令は、さらに、
前記複数のゾーンそれぞれのゾーン温度を監視することと、
前記暴走状態として、前記複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、前記複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記差が前記ゾーンずれ閾値よりも大きいことに応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの前記可変ランプレートを調節することと、をさらに含み、
前記ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンのうちの一つであり、クールゾーンは、前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンの他方である、
熱システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年8月12日に出願された米国特許出願第62/064,523号の優先権および利益を主張する。上記出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ヒーターの温度を制御することに関連する。
【背景技術】
【0003】
このセクションの記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供し、先行技術を構成せずともよい。
【0004】
熱システムは、一般に、抵抗加熱素子を有するヒーターと、温度セットポイントで熱を生成するためにヒーターへの電力を制御するための制御システムとを含む。適用例において、半導体プロセスシステムは、セラミック基板を備えた加熱プレートと、一つまたはそれ以上の加熱ゾーンを画定する一つまたはそれ以上の抵抗加熱素子と、を含むペデスタルヒーターを有する熱システムを含む。ペデスタルヒーターは、半導体ウェハの加熱、クリーニングサイクル、および他の動作などのさまざまなプロセスを実行して、異なる温度セットポイントに加熱され得る。
【0005】
温度セットポイントに到達するために、制御システムは、典型的には、標準的なランプレート(例えば、5℃/分、10℃/分など)で温度をランプアップする。温度セットポイントの変更に費やされる時間は、典型的には、ヒーターを有する半導体チャンバーをアイドル状態にし、これは損失されたまたは非生産的な製造時間である。ヒーターの温度を調整することに関連するこれらおよび他の問題は、本開示によって対処される。
【発明の概要】
【0006】
このセクションは、本開示の一般的な要約を提供するものであり、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0007】
ある形態において、本開示は、抵抗加熱素子を含むヒーターの温度を制御する方法を対象とし、この方法は、所望の温度セットポイントにヒーターの温度を減少させるため、可変ランプレートで抵抗加熱素子に電力を印加することを含む。可変ランプレートは、所望のランプレートに設定される。この方法は、暴走(runaway)状態を検出するためにヒーターの温度を監視することと、暴走状態が検出されたことに応じて、可変ランプレートを所望のランプレートから許容ランプレートに調整することをさらに含む。
【0008】
ある変形例において、暴走状態は、ランプセットポイントずれを含み、方法は、ヒーターの温度が温度ランピングセットポイントからセットポイントずれ閾値だけずれるか否かを決定することをさらに含む。温度ランピングセットポイントは、ヒーターの温度が所望の温度セットポイントに低下するように、可変ランプレートに基づいてヒーターが制御される温度である。
【0009】
別の変形例において、この方法は、暴走状態として、ランプセットポイントずれが検出されたことに応じて、セットポイントずれ量に基づいて可変ランプレートを減少させることをさらに含む。
【0010】
さらに別の変形例において、暴走状態は、ゾーン浮遊状態を含み、方法は、ゾーン浮遊状態を検出するためにヒーターに印加される電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することをさらに含む。公称電力出力は最小電力出力より大きく、最小電力出力はゼロボルトより大きい。
【0011】
ある変形例において、方法は、暴走状態が検出され、且つ暴走状態がゾーン浮遊状態であることに応じて、ヒーターへの電力を公称電力出力に増加させるために可変ランプレートを減少させることをさらに含む。
【0012】
別の変形例において、ヒーターは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含む。
【0013】
さらに別の変形例では、方法は、複数のゾーンそれぞれについてゾーン温度を監視することと、複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを、暴走状態として、判定することと、その差がゾーンずれ閾値より大きいことに応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせに対する可変ランプレートを調節することと、をさらに含む。ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する、第1ゾーンまたは第2ゾーンの一つであり、クールゾーンは、第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方である。
【0014】
ある変形例において、暴走状態は、ゾーン間ずれ、ランプセットポイントずれ、ゾーン浮遊状態、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。この方法は、ゾーン間ずれについて、複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することをさらに含む。ランプセットポイントずれについて、方法は、ヒーターの温度がセットポイントずれ閾値だけ温度ランピングセットポイントからずれているか否かを判定することをさらに含み、温度ランピングセットポイントは、可変ランプレート率に基づいて、所望の温度セットポイントにヒーターの温度が下げられるように、ヒーターが制御されている温度である。ゾーン浮遊状態では、方法は、ヒーターに印加される電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することをさらに含み、公称電力出力は最小電力出力よりも大きく、最小電力出力はゼロボルトよりも大きい。
【0015】
別の変形例において、方法は、暴走状態が検出されたことに応じて、是正措置を実行することをさらに含む。暴走状態がゾーン間ずれであることに応じて、方法は、是正措置として、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの可変ランプレートを調節することをさらに含み、ここでホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する、第1ゾーンまたは第2ゾーンの一つであり、クールゾーンは、第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方である。暴走状態がランプセットポイントずれであることに応じて、方法は、是正措置として、セットポイントずれ量に基づいて可変ランプレートを減少させることをさらに含む。暴走状態がゾーン浮遊状態であることに応じて、方法は、可変ランプレートを減少させてヒーターへの電力を公称電力出力に増加させることをさらに含む。
【0016】
さらに別の変形例において、暴走状態は、ゾーン間ずれ、ランプセットポイントずれ、およびゾーン浮遊状態のうちの少なくとも二つを含み、方法はさらに、以下を含む。
【0017】
ある変形例において、方法は、ランウェイ(runway)状態に関連する是正措置の加重評価に基づいて、可変ランプレートを調節することをさらに含む。
【0018】
ある形態において、本開示は、抵抗加熱素子を含むヒーターへの電力を制御するための制御システムを対象とし、制御システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。命令は、ヒーターの温度を所望の温度セットポイントに下げるために、可変ランプレートに基づいて、ヒーターの抵抗加熱素子に供給される電力量を決定することを含み、可変ランプレートは所望のランプレートに設定される。命令は、暴走状態を検出するためにヒーターの温度を監視することと、暴走状態が検出されたことに応じて、可変ランプレートを所望のランプレートから許容ランプレートに調節することと、をさらに含む。
【0019】
ある変形例において、暴走状態はランプセットポイントずれを含み、命令は、ヒーターの温度が温度ランプセットポイントからセットポイントずれ閾値だけずれるか否かを判定することをさらに含む。温度ランピングセットポイントは、ヒーターの温度が所望の温度セットポイントに低下するように、可変ランプレートに基づいてヒーターが制御される温度である。
【0020】
別の変形例において、命令は、ランプセットポイントずれが暴走状態として検出されたことに応じて、セットポイントずれ量に基づいて可変ランプレートを減少させることをさらに含む。
【0021】
さらに別の変形において、暴走状態は、ゾーン浮遊状態を含み、命令は、ゾーン浮遊状態を検出するために、ヒーターに印加される電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することをさらに含む。公称電力出力は最小電力出力より大きく、最小電力出力はゼロボルトより大きい。
【0022】
ある変形例において、命令は、暴走状態が検出され、且つ暴走状態がゾーン浮遊状態であることに応じて、ヒーターへの電力を公称電力出力まで増加させるために可変ランプレートを減少させることをさらに含む。
【0023】
別の変形例において、ヒーターは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、命令は、複数のゾーンそれぞれのゾーン温度を監視することと、暴走状態として、複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、その差がゾーンずれ閾値よりも大きいことに応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの可変ランプレートを調節することと、をさらに含む。ホットゾーンは、より高いゾーン温度を有する第1ゾーンまたは第2ゾーンの一つであり、クールゾーンは、第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方である。
【0024】
さらに別の変形では、ヒーターは、複数のゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み、暴走状態は、ゾーン間ずれ、ランプセットポイントずれ、ゾーン浮遊状態、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。ゾーン間ずれについて、命令は、複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と、複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することをさらに含む。ランプセットポイントずれについて、命令は、ヒーターの温度がセットポイントずれ閾値だけ温度ランピングセットポイントからずれているか否かを判定することをさらに含み、温度ランピングセットポイントは、可変ランプレートに基づいて、ヒーターの温度が所望の温度セットポイントまで下がるように、ヒーターが制御される温度である。ゾーン浮遊状態について、命令は、ヒーターに印加される電力が公称電力出力よりも低いか否かを判定することをさらに含み、公称電力出力は最小電力出力よりも大きく、最小電力出力はゼロボルトよりも大きい。
【0025】
ある変形例において、命令は、以下のうちの少なくとも一つをさらに含む:暴走状態がゾーン間ずれであることに応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせについての、可変ランプレートを調節すること、ここで、ホットゾーンは第1ゾーンまたは第2ゾーンのうちのより高いゾーン温度を有する一方であり、クールゾーンは第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方である、暴走状態がランプセットポイントずれであることに応じて、セットポイントずれに基づいて可変ランプレートを減少させること、または、暴走状態がゾーン浮遊状態であることに応じて、ヒーターへの電力を公称電力出力まで増加させるように可変ランプレートを下げること。
【0026】
ある変形例において、暴走状態は、以下のうちの少なくとも二つを含む:ゾーン間ずれ、ランプセットポイントずれ、およびゾーン浮遊状態、そして命令は、ランウェイ(runway)状態に関する是正措置の加重評価に基づき、可変ランプレートを調節することをさらに含む。
【0027】
ある形態において、本開示は、複数の抵抗加熱素子を有するヒーターと、説明された制御システムと、を含む熱システムを対象とし、複数の抵抗加熱素子は、複数のゾーンを画定する。命令は、複数のゾーンそれぞれについてゾーン温度を監視することと、暴走状態として、複数のゾーンのうちの第1ゾーンの第1ゾーン温度と複数のゾーンのうちの第2ゾーンの第2ゾーン温度との間の差がゾーンずれ閾値よりも大きいか否かを判定することと、その差がゾーンずれ閾値よりも大きいことに応じて、ホットゾーン、クールゾーン、またはそれらの組み合わせの可変ランプレートを調節することと、を含む。ホットゾーンは、第1ゾーンまたは第2ゾーンの温度が高い方のゾーンであり、クールゾーンは、第1ゾーンまたは第2ゾーンの他方である。
【0028】
適用可能なさらなる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。説明および特定の例は、説明のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示を十分に理解できるようにするために、添付の図面を参照しながら、例として与えられたその様々な形態について説明する。
【0030】
【
図1】
図1は、本開示に係る可変ランプレート温度制御を備えた、ヒーターおよび制御システムを有する熱システムを示す図である。
【0031】
【
図2】
図2は、本開示に係る例示的な可変ランプレート温度制御のフローチャートである。
【0032】
【
図3】
図3は、
図2の可変ランプアップ制御の一例のフローチャートである。
【0033】
【
図4】
図4は、
図2の可変ランプダウン制御の一例のフローチャートである。
【0034】
【
図5A】
図5Aは、本開示に係る一定ランプアップ制御のグラフである。
【0035】
【
図5B】
図5Bは、本開示に係る可変ランプアップ制御のグラフである。
【0036】
【
図6】
図6は、本開示に係る可変ランプアップ制御のグラフである。
【0037】
【
図7A】
図7Aは、本開示に係る可変ランプダウン制御の第1のグラフである。
【
図7B】
図7Bは、本開示に係る可変ランプダウン制御の第2のグラフである。
【0038】
【
図8】
図8は、本開示に係るゾーンドリフト状態を抑制するための可変ランプダウン制御のグラフである。
【0039】
【
図9】
図9は、本開示に係る暴走状態を緩和するための可変ランプダウン制御のグラフである。
【0040】
本明細書に記載の図面は、説明のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、応用、または用途、を限定することを意図していない。図面を通して、対応する参照番号は、同様または対応する部品および特徴を示すことを理解されたい。
【0042】
図1を参照すると、熱システム100は、ペデスタルヒーター102と、コントローラ106およびパワーコンバータシステム108を有する制御システム104と、を含む。ある形態において、ヒーター102は、加熱プレート110と、加熱プレート110の底面に配設された支持シャフト112と、を含む。加熱プレート110は、基板111と、基板111の表面に埋め込まれた、または基板111の表面に沿って配置された複数の抵抗加熱素子(不図示)とを含む(すなわち、「複数」は二つまたはそれ以上を意味する)。ある形態において、基板111は、セラミックまたはアルミニウムから作られ得る。抵抗加熱素子は、制御システム104によって、独立して制御され、
図1の一点鎖線によって示されるように、複数の加熱ゾーン114を画定する。加熱ゾーン114は、本開示の範囲内に留まりながら、異なる構成を取り得ることは容易に理解される。さらに、ペデスタルヒーター102は、一つまたは複数のゾーンを含み得、マルチゾーンヒーターに限定されるべきではない。
【0043】
ある形態において、ヒーター102は、抵抗加熱素子がヒーターとして機能し、四本ではなく二本のリード線のみが加熱素子に動作可能に接続された温度センサとして機能する「二線式」ヒーターである。このような二線式機能は、例えば、本出願と共通にアサインされ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,196,295号において開示されている。典型的には、二線式システムにおいて、抵抗加熱素子は、抵抗加熱素子の抵抗の変化に基づいて抵抗加熱素子の平均温度が決定されるように、温度が変化することによって抵抗に変化を示す材料によって画定される。ある形態において、抵抗加熱素子の抵抗は、加熱素子にかかる電圧と加熱素子を通る電流とを最初に測定することによって計算され、そしてオームの法則を使用して、抵抗が決定される。抵抗温度変換データ(例えば、表、アルゴリズムなど)を使用して、抵抗加熱素子の温度、したがってゾーン114が決定される(すなわち、ゾーン温度)。抵抗加熱素子は、比較的高い抵抗温度係数(TCR)材料、負のTCR材料、または言い換えれば、非線形TCRを有する材料によって画定され得る。
【0044】
制御システム104は、ヒーター102の動作を制御し、より詳細には、各ゾーン114への電力を独立して制御するように構成される。ある形態において、制御システム104は、各ゾーン114が、電力を提供し、温度を感知する、二つの端子に接続されるように、端子115を介して、ゾーン114に電気的に結合される。
【0045】
ある形態において、制御システム104は、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、タッチスクリーンなどの一つまたは複数のユーザインターフェースを有するコンピューティングデバイス117に通信可能に結合される(例えば、無線および/または有線通信)。コンピューティングデバイス117を使用して、ユーザは、温度セットポイント、電力セットポイント、および/または制御システム104によって格納されたテストまたはプロセスを実行するためのコマンドのような、入力またはコマンドを提供することができる。
【0046】
制御システム104は、インターロック120を介して、パワーコンバータシステム108に入力電圧(例えば、240V、208V)を供給する電源118に電気的に結合される。インターロック120は、電源118とパワーコンバータシステム108との間を流れる電力を制御し、電源118からの電力を遮断するための安全機構としてコントローラ106によって動作可能である。
図1に示されるように、制御システム104は、インターロック120を含まなくてもよい。
【0047】
パワーコンバータシステム108は、入力電圧を調整し、ヒーター102に出力電圧(VOUT)を印加するように、動作可能である。ある形態において、パワーコンバータシステム108は、ゾーン114の抵抗加熱素子への調節可能な電力を印加するように動作可能な複数の電力コンバータ(不図示)を含む。そのようなパワーコンバータシステムの一例は、「POWER CONVERTER FOR A THERMAL SYSTEM」と題する米国特許第10,690,705号に記載されており、本出願およびその内容と共通に所有されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この例において、電力コンバータそれぞれは、所与のゾーン114の一つまたは複数の加熱素子への入力電圧以下の所望の出力電圧を生成するようにコントローラ106によって動作可能なバックコンバータを含む。従って、パワーコンバータシステム108は、ヒーター102の各ゾーン114に、カスタマイズ可能な量の電力(すなわち、所望の電力)を提供するように動作可能である。調節可能な電力をヒーター102に提供するように構成された他のパワーコンバータシステムも使用され得、本明細書で提供された例に限定されるべきではない。例えば、パワーコンバータシステムは、ヒーターに絶縁電力出力を提供するための絶縁パワーコンバータシステムであってもよい。このようなパワーコンバータシステムの一例は、「ISOLATED POWER CONVERTER FOR A THERMAL SYSTEM」という名称の米国特許第11,038,431号に記載されており、この特許は本出願と共通に所有されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0048】
二線式ヒーターの使用により、制御システム104は、抵抗加熱素子の電気的特性(すなわち、電圧および/または電流)を測定するためのセンサ回路124を含む。電気的特性は、抵抗、温度、電流、電圧、電力、および他の適切な情報などの、ゾーン114の性能特性を判定するために使用される。ある形態において、所与のセンサ回路124は、所与のゾーン114内の加熱素子(複数可)を流れる電流、および印加される電圧それぞれを測定する、電流計126および電圧計128を含む。別の形態において、米国特許第7,196,295号に記載されているように、電圧および/または電流の測定値は、ゼロ交差で取得され得る。
【0049】
「二線式ヒーター」の代わりに、またはそれに加えて、熱システム100は、ヒーター102の特性(例えば、電圧、電流、および/または温度)を測定するための別個のセンサを含み得、それぞれのデータをコントローラ106に提供し得る。例えば、ある形態において、電圧計および電流計の少なくとも一つは、ゾーン114の電気的特性(例えば、電圧および電流)を測定するために提供され得、温度センサの少なくとも一つは、ヒーターの温度および/または各ゾーン114の温度を測定するために提供され得る。
【0050】
ある形態において、コントローラ106は、一つまたは複数のマイクロプロセッサおよびマイクロプロセッサによって実行されるコンピュータ可読命令を格納するためのメモリを含む。ある形態において、コントローラ106は、入力電圧の100%、入力電圧の90%などの、ゾーン114に印加される所望の電力をコントローラ106が決定する、一つまたは複数の制御プロセスを実行するように構成される。制御プロセスの例は、米国特許第10,690,705号(上記参照)、および「SYSTEM AND METHOD FOR CONTROLLING POWER TO A HEATERと題された米国特許第10,908,195号に記載されており、これは本出願と、共通に所有され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある形態において、コントローラ106は、ヒーターの温度が温度セットポイントに制御される、閉ループ温度制御を実行する。例えば、抵抗加熱素子の抵抗および較正された抵抗温度モデルを使用して、コントローラ106は、ゾーン114の温度を決定し、ゾーン114の温度を温度セットポイントに近づけるように、ゾーン114への電力を調節する。
【0051】
ある形態において、制御プロセスは、可変ランプレート温度(Variable ramp rate temperature,VRRT)制御130も含み、この制御では、最初にヒーター102が可変温度ランプレートを受けて温度セットポイントに到達する。温度セットポイントにおいて、コントローラは、ヒーターの温度を温度セットポイントに維持するための定常状態閉ループ制御を提供する。特定の用途において、ヒーター102は、工業プロセス用の異なる温度セットポイントに制御され得、時には温度が変動し、第1の温度から第1の温度よりもはるかに低い第2の温度に変化し得る。
【0052】
ある形態において、VRRT制御130は、ヒーター102の温度を上昇させるための可変ランプアップ制御と、ヒーター102の温度を下げるための可変ランプダウン制御とを提供するように構成される。VRRT制御130は両方を有するものとして提供されるが、VRRT制御130は、可変ランプアップ制御および可変ランプダウン制御のうちの一つを含んでいてもよく、両方を有することは必要とされない。
【0053】
可変ランプアップ制御は、ヒーター102の温度を温度セットポイントまで上昇させるため、ヒーター102の抵抗加熱素子に可変ランプアップレートで電力を供給するように構成される。可変ランプアップレートは、ヒーター102に供給される電流に基づいて画定され、マルチゾーンヒーターについてはゾーン114の温度に基づいて画定される。より詳細には、特に、電源スイッチ、電力コンバータ、配線、および/またはヒューズなどのような、熱システム100の構成要素への損傷を抑制するために、ヒーター102に印加される電流は、ゾーン電流制限および/またはヒーター電流制限であり得る、システム電流制限未満に制御される。例えば、ゾーン114では、各ゾーン114への電流が監視され、各ゾーン114のシステム電流制限としてのゾーン電流制限未満に制御される。ある形態において、マルチゾーンヒーターでは、あるゾーンの電流が、他のゾーンの電流に影響を与える可能性がある。つまり、コヒーレントなランピングを提供するために、ある一つのゾーンがシステム電流制限に近づくと、可変ランプアップ制御は、すべてのゾーンの可変ランプアップレートを同じ減少レートで調節する(例えば、減らす)。温度セットポイントでは、可変ランプアップ制御は、システム電流制限(すなわち、ヒーターおよび/またはゾーンへの最大許容電流)および可変ランプアップレートの所望の最大ランプレートである所望のランプレートを画定する。
【0054】
マルチゾーンヒーターにコヒーレントな温度プロファイルを提供するために、可変ランプアップ制御は、任意の二つのゾーン114(例えば、第1ゾーンと第2ゾーン)の間の温度差がずれ閾値(ゾーン間ドリフト/ずれ)よりも小さくなるように、ゾーン114の温度を監視および制御する。より具体的には、ランピングは、レートセットポイント(RateSP、すなわち可変ランプレート)で移動するセットポイント(すなわち、温度ランピングセットポイント(TempRampSP))によって管理される。つまり、ある形態において、レートセットポイントは、1分あたりの℃であり、TempRampSPが変化するレートである。TempRampSPは、コントローラ106が例えば比例積分微分(PID)制御を使用して移動する際に、測定された温度を保持する絶対的な温度である。測定された温度は、プロセス値(PV)と呼ばれ得る。TempRampSPは、温度セットポイントに達するまで常に移動しているため、プロセス値もまた移動する。ある形態において、PIDにおける積分時定数は、レートセットポイントに対応するように電力を構築することに応答する。ある形態において、任意の一つのゾーンのプロセス変数が他のゾーン(複数可)114のプロセス変数からずれる場合、可変ランプアップ制御は、ヒーター102のコヒーレントな温度制御を提供するために、一つまたは複数のゾーンのRateSPを調節する。ある形態において、可変ランプアップ制御は、コヒーレントな温度プロファイルを提供するため、他のゾーンからずれるゾーンのRateSPを減少させ得る。別の形態において、可変ランプアップ制御は、ゾーン114への電流を監視しながら、他のゾーン(複数可)のRateSPを増加させて、それらのゾーン114の性能を高める。
【0055】
可変ランプアップ制御について、表1は、電流および温度に基づいてランプレートを制御するために使用される制御変数を提供する:
【表1】
【0056】
ある形態において、電流に基づいてランプレートを制御するために、可変ランプアップ制御は、ゾーンについて測定された電流およびヒーターへの総電流に基づいて、ゾーンの可変ランプレートを設定する。特に、可変ランプレートは、システム電流制限(たとえば、ゾーン電流制限および/またはゾーン電流制限)を下回るように留まるのに十分なだけ高く設定される。可変ランプレートは、最初に所望のランプレートに設定され、ゾーン電流制限が電流制限バンド内にある場合、可変ランプレートは、計算された減少量に基づいて、所望のランプレートから許容されたランプレートまで減少される。ゾーンがゾーン電流制限に近づくことに加えて、他のゾーンの可変ランプレートは、コヒーレントな電流制御を提供するため、同じ減少量だけ減少される。減少量は、測定された電流とシステム電流制限との間の差がより小さいほど、減少量が大きくなるように、測定された電流がシステム電流制限にどの程度近いかに依存する。
【0057】
より具体的には、可変ランプアップ制御は、減少ファクタのパーセンテージと、測定された電流およびゾーン電流制限などのシステム電流制限との間の差に基づいて、電流制限バンドのスケーリングされた減少量を画定する。つまり、適用例において、スケーリングされた減少は、システム電流制限への電流の近接に基づいている。例えば、減少量は、式1および2を使用して決定され、ここで「%Reduction」は、ゾーンの抵抗加熱素子の測定された電流がゾーン電流制限に近づくにつれて増加する可変減少ファクタとして提供される。
式1 RedAmt = (DesiredRate ×%Reduction × RedFactor)
式2 %Reduction = 1.0 - ((ZoneCurLim - MeasuredCurrent) / CurrentBand)
【0058】
式2で提供されるように、可変減少ファクタは、測定された電流が電流制限バンドを下回る場合に減少パラメータが0%、測定された電流が電流制限バンド以内にある場合に0~100%、測定された電流がシステム電流制限に等しい場合に100%、そして減少ファクタよりもさらに減少するように、測定された電流がシステム電流制限よりも大きい場合、100%を超えるように、スケーリングされた低減を提供するように構成される。ある形態において、測定された電流がゾーン電流制限を超えた場合、可変ランプレートは、1℃/分などの公称レート、または失速を防ぐための他の適切な値まで減少し続ける。
【0059】
ある形態において、温度に基づいてランプレートを制御するために、可変ランプアップ制御は、各ゾーンの温度を測定し、最初にゾーンの温度ランプセットポイントをそれぞれの測定された温度値に設定し、温度のジャンプを抑制する。この点から、温度は、温度セットポイントに向けて、上昇し始める。ゾーンの温度は、定期的に測定され、ゾーンの温度が他のゾーンからずれ始めた場合(つまり、高すぎる、または低すぎる)、コヒーレントな温度が提供されるように可変ランプアップレートが調整される。ある形態において、可変ランプアップ制御は、温度セットポイントに最も近いゾーン(すなわち、ホットゾーン)のランプレートを低下させ、他のゾーン(すなわちクールゾーン(複数可))がホットゾーンの温度ランピングセットポイントに追いつくことを可能にする。減少量は、応答性の高い減少を提供するように選択されるが、加熱動作を減少させるほど積極的ではない。例えば、ランプレートは、ずれの度合ごとに、5~15%ごとに減少させ得る。別の形態において、ヒーターおよびゾーンへの電流を監視しながら、可変ランプアップ制御は、クールゾーン(複数可)がホットゾーンの温度ランプセットポイントに追いつくことを可能にするように、クールゾーン(複数可)のランプレートを増加させる。たとえば、クールゾーン(複数可)のランプレートは、設定された増加量(例えば、1℃/分、2℃/分、0.5℃/分の増加)で増加させられ得る。このブースト方法において、可変ランプアップ制御は、ホットゾーンのランプレートを減らし、他のゾーンがホットゾーンの測定された温度またはそれに近づくまで、ホットゾーンの温度上昇率を下げるか、ホットゾーンの温度を現在のランプレートを減らす、またはホットゾーンの温度を現在の温度ランピングセットポイントに保持し得る。
【0060】
ある形態において、制御の開始時に、可変ランプアップ制御は、ランプレートが変化する速さを制御するグライド制御と、温度のスパイクを低減または抑制するために温度セットポイントに近づいているときのアプローチ制御とを提供し得る。より具体的には、ランプ速度は、所望のランプレートよりも大幅に低いランプレートである、グライド制御レートに設定される(例えば、グライド制御レート=1.0℃/分)。ある形態において、ランプレートは、グライド条件が満たされるまで、グライド制御レートに維持され、グライド条件は、例えば、所定の時間および/または所望の温度ランプセットポイント(すなわち、グライド温度セットポイント)に到達されたことを含み得る。その後、可変ランプレートは、所望のランプレートまで増加される。ある形態において、グライド制御レートは、ランプレートの加速を管理するためにランプレートが変化する度に、適用される。
【0061】
アプローチ制御は、測定された温度が最終温度セットポイントから画定された距離/範囲(すなわち、温度アプローチ閾値)にあるとき、ランプレートをアプローチランプレートに減少させるように構成される。ランプレートは、温度セットポイントをオーバーシュートすることなく、ヒーターが温度セットポイントに到達できるように、減少される。ある形態において、アプローチ制御は、温度セットポイントに近づいているとき(例えば、ランプアップ中、またはランプダウン中)に、温度セットポイントに適切な値を巻き込むための積分時間を与えるために適用される。たとえば、ファクタが1.0である場合、減少は、温度セットポイントから数度離れたレートで開始する。したがって、10℃/分の減少は、温度設定値から10℃離れて、減少を開始する。
【0062】
可変ランプダウン制御は、測定された温度よりも低い温度セットポイントまでヒーターのコヒーレントな冷却を提供するように構成される。半導体プロセスでは、ヒーターが冷却するレートは、チャンバーの関数であり、温度が低下するにつれて、および/またはチャンバーの壁が加熱されると、レートは減少し得る。マルチゾーンヒーターでは、電力が取り除かれる、あるいは大幅に削減されると、ヒーターの異なるゾーンが異なるレートで冷え得る。ゾーン間の温度差を減らすために、可変ランプダウン制御は、可変ランプレートを自然な下降レート(すなわち、電力なしでの減少レート)で、または以上で維持するように構成されている。
【0063】
ある形態において、可変ランプダウン制御は、温度セットポイントが画定されたレートで連続的に減少するように、冷却可変ランプレートでゾーンの温度を減少させる。例えば、ある形態において、冷却可変ランプレートは、最初に10℃/分などの所望の冷却ランプレートに設定され、冷却中のヒーターのコヒーレントな熱プロファイルが維持するようにゾーンの温度が監視される。
【0064】
コヒーレントな熱プロファイルを提供するために、可変ランプダウン制御は、以下の暴走状態、すなわちゾーン間ドリフト、ランプセットポイントずれ、および/またはゾーン浮遊状態のうちの一つまたは複数が存在するか否かを判定する。暴走状態が検出された場合、可変ランプダウン制御は、是正措置を実行する。
【0065】
ゾーン間ドリフトでは、可変ランプダウン制御は、ゾーンが他のゾーンよりも速く冷却されているか、または遅く冷却されているかを判定する。具体的には、ある形態では、可変ランプダウン制御は、対象ゾーンの温度が他のゾーンからのゾーンずれ閾値以内にあるか否かを判定する。ずれを減らし、コヒーレントなランプダウンを提供するために、対象のゾーンが一つまたは複数の他のゾーンからずれている場合、是正措置として、すべてのゾーンの可変ランプレートが調整される。
【0066】
ランプセットポイントずれでは、可変ランプダウン制御は、ランプダウン中にゾーンが温度ランプセットポイントからあまりにも遅れているか否かを判定する。具体的には、ランプダウン中、温度ランピングセットポイントは、可変ランプレートに従って、連続的に減少する。対象ゾーンの温度が遅れている場合(すなわち、十分に速く冷却されていない)、対象ゾーンが温度ランピングセットポイントに追いつくことができるようにしながら、対象ゾーンの温度が低下し続けるように、ランプレートが調節される。形式において、ランプセットポイントずれを検出するため、可変ランプダウン制御は、対象ゾーンの温度が、温度ランピングセットポイントからセットポイントずれ閾値(すなわち、ずれ閾値)以上の値だけずれているか否かを判定する。そうである場合、ランプセットポイントがずれている状態が検出される。
【0067】
ゾーン間ドリフト、および/またはランプセットポイントずれを緩和するために、可変ランプダウン制御は、是正措置として、可変ランプレートを所望のランプレートよりも小さい値に減少させる(例えば、10℃/分から5℃/分)。ある形態において、可変ランプダウン制御は、ゾーンの温度と他のゾーンの温度との間のずれの量および/または温度ランピングセットポイントに基づいて、減少量(すなわち、ランプ冷却減少量(RCoolRedAmt))を決定する。例えば、ある形態において、減少量は式3~5を使用して決定される。ここで、PVHは、測定されたホットゾーンの温度である。PVLは、測定されたクールゾーンの温度である。WeightPara1は、デルタ測定温度の加重パラメータであり、ずれ1度あたりの減少量として提供される(例えば、10%/℃)。WeightPara2は、クールゾーンと温度ランプセットポイントとの間の差の加重パラメータであり、ずれ1度あたりの減少量として提供される(例えば、5%/℃)。決定されると、ランプ冷却減少量は、ゾーナーの各ゾーンに適用される。
式3 RCoolRedAmt = ゾーンずれ減少 + セットポイントずれ減少
式4 ゾーンずれ減少 = |(PVH - PVL)| × WeightPara1
式5 セットポイントずれ減少 = |(PVL - TempRampSP)| × WeightPara2
【0068】
ある変形例において、ランプ冷却減少量は、ゾーンずれ減少またはセットポイントずれ減少(すなわち、セットポイントずれ量)のうちの一つに基づいている。例えば、ゾーン間ドリフトのみが存在する場合、セットポイントずれ減少は必要とされない場合がある。あるいは、両方のずれ状態が存在する場合、可変ランプダウン制御は、まず、ゾーンずれ減少に基づいて、且つゾーン間ずれが閾値以内になるまで、ゾーン間ドリフトのずれを減少させ得る。その後、ランプ冷却減少量は、式3で提供された、ゾーンずれ減少およびセットポイントずれ減少の両方を使用して決定される。本明細書で提供された数値は、単に例示を目的としたものであり、任意の好適な値を取り得ることは、難なく理解されたい。
【0069】
別の形態において、少なくとも一つのゾーンの温度が他のゾーンからずれ始める場合、クールゾーン(複数可)の温度ランピングセットポイントは、測定されたホットゾーンの温度に設定される。すなわち、可変ランプダウン制御は、より低い温度を有するゾーンへの電力を増加させて、そのゾーンの温度を、より高い温度を有するゾーンの温度まで上昇させる。したがって、可変ランプダウン制御は、ゾーンの温度を一緒、またはずれ閾値(例えば、±5℃)以内に維持し、ゾーンが温度セットポイントに近づく前に、温度ランピングセットポイント曲線を平坦化させ得る。
【0070】
ゾーン浮遊状態において、可変ランプダウン制御は、ゾーンが浮遊しているか、あるいはさまよっているかを判定する。より具体的には、ゾーン(複数可)への電力が減少すると、プロセス値(例えば、温度)を正確に測定することが難しくなり得、状況によっては、ゾーンが制御不能(例えば、電力が、ゼロボルトよりも大きいが、ゾーンを制御するには不十分な最小電力レベル/出力)になるほど、電力が非常に低くなり得る。つまり、ゾーンの温度が温度ランピングセットポイントからずれ始める可能性があり、複数のゾーンがある場合には、ゾーンの温度が別のゾーンからずれ始める可能性がある。ゾーン浮遊状態の間にランプダウンを制御するため、可変ランプダウン制御は、浮遊状態にあるゾーンへの電力を、ゾーンの温度を下げながらゾーンの制御を得るための最小電力レベル(すなわち、最小電力出力)よりも大きい公称電力出力(例えば、2%電力、5%電力)まで増加させるように構成されている。ある形態において、公称電力出力で電力が再び印加されるまで、可変ランプセットポイントを下げることによって、電力は増加する。ゾーンの浮遊状態を抑制するためにゾーンに印加される公称電力出力は、テストに基づいて画定され得、最小電力レベルをわずかに上回り得る(例えば、公称電力出力は、5Vを上回る)。
【0071】
一つ以上の暴走状態が検出された場合、減少量は、検出されたずれ状態の減少量の重み付けされた組み合わせとなる。ある形態において、各ずれ状態に割り当てられる重みは、ヒーターが冷却プロセスにおけるどの段階にあるかに基づくことができる。つまり、典型的には、ランプセットポイントずれは、ヒーターが冷たくなるにつれて発生し得るゾーン間ドリフトよりも早くに、ヒーターの冷却で発生する。従って、ランプセットポイントずれに関連する減少量は、ヒーターが最初に冷却し始めるときのゾーン間ドリフトに関連する減少量よりも高い重みが割り当てられる。しばらくしてから、および/またはヒーターの温度が所望の温度セットポイントよりも高い選択された温度セットポイントに達した後、可変ランプダウン制御は、ゾーン間ドリフトに関連する減少量に、ランピングセットポイントずれより高い重みを割り当て得る。温度が低い場合、ヒーターへの電力がもはや不要になる得るため、ゾーン間ドリフトおよびランプセットポイントずれよりも優先され得るゾーンの浮遊状態を抑制するために、最小量の電力が印可され得る。従って、重み付けファクタは、冷却中のヒーターの段階、およびヒーター自体(すなわち、ヒーターの応答性)に基づいて、割り当てられ得る。
【0072】
可変ランプダウン制御は、一つまたは複数の暴走状態を監視するように構成され得、すべてを監視する必要はないことを容易に理解されたい。例えば、単一ゾーンのヒーターでは、ゾーン間ドリフトは、必要とされない。
【0073】
図2を参照すると、例示的なVRRT制御ルーチン200が提供され、ヒーターの温度の一つまたは複数の温度セットポイントへの制御が、制御システムによって実行される。202で、制御システムは、例えば、ヒーターの温度セットポイントおよび継続時間を提供する画定された状態モードから、ヒーターの温度セットポイントを取得する。204では、温度セットポイントがヒーターの現在の温度よりも低いか否かが判定される。温度セットポイントが高い場合、制御システムは、206で、可変ランプアップ制御を実行する。一方、温度が低い場合、制御システムは、208で、可変ランプダウン制御を実行する。温度セットポイントが到達されたとき、制御システムは、ルーチン200に戻り、210で、温度制御モデル(例えば、PID制御)を使用して、温度を温度セットポイントに維持し、212で、新しい温度セットポイントがあるか否かを判定する。新しい温度セットポイントがある場合、制御システムは、202に戻る。ある形態では、その温度セットポイントは、その後ヒーターがオフにされたときの公称セットポイントを含み得る。
【0074】
図3を参照すると、例示的な可変ランプアップ制御300が提供される。302で、制御システムは、温度セットポイントおよび/またはシステム電流制限に基づいて画定される所望のランプレートに可変ランプレートを設定し、所望のランプレートに到達するために、ヒーターに電力を供給する。304で、制御システムは、ゾーンの抵抗加熱素子を通って流れる電流と、各ゾーンの温度と、を監視する。306で、制御システムは、各ゾーンについて測定された電流が電流制限バンド未満であるか否かを判定する。そうである場合、制御システムは、310に進む。そうでない場合、制御システムは、308で、減少ファクタを決定し、減少ファクタに基づいて各ゾーンの可変ランプレートを減少させる。特に、上記の方法論を使用して、制御システムは、測定された電流がシステム電流制限にどれだけ近いかに相関する減少ファクタを決定し、可変ランプレートを減少量だけ減らし、各ゾーンの可変ランプレートとして許容ランプレートを取得する。310で、制御システムは、ヒーターのコヒーレントな温度プロファイルを維持するために、隣接するゾーンの温度がずれ閾値以内にあるか否かを判定する。温度がずれ閾値以内である場合、制御システムは、314に進む。少なくとも一つのゾーンがずれている場合、312で、制御システムは、上述のように、より高い温度を有するゾーンの可変ランプレートを減少させる。あるいは、制御システムは、ゾーンの電流を監視しながら、他のゾーンへの電力をブーストするように構成され得る。314で、制御システムは、ゾーンが温度セットポイントにあるか否かを判定する。そうでない場合、制御システムは304に戻る。ゾーンが温度セットポイントにある場合、制御システムは、
図2のルーチン200に戻る。
【0075】
図4を参照すると、例示的な可変ランプダウン制御400が提供されている。402で、制御システムは、可変ランプレートを冷却ランプレート(例えば、第2可変ランプレート)に設定し、冷却ランプレートに基づいてゾーンを制御する。制御システムは、404で、各ゾーンの温度を監視し、制御システムは、406で、ヒーターが温度セットポイントまで冷却するときにコヒーレントな温度プロファイルを提供するように、ゾーン間の温度の差がずれ閾値以内にあるか否かを判定する。例えば、制御システムは、隣接するゾーン間の温度の差がずれ閾値より大きいか否かを判定する。温度の差がずれ閾値以内である場合、制御システムは、410に進む。少なくとも一つのゾーンがずれている場合、制御システムは、408で、温度がより低いゾーン(つまり、クールゾーン)の温度ランプセットポイントを、温度がより高いゾーン(ホットゾーン)の測定された温度に設定し、そして、新しい温度ランピングセットポイントに到達するためにクールゾーンの電力を増加させる。410で、制御システムは、ゾーンが温度セットポイントにあるか否かを判定する。そうでない場合、制御システムは、404に戻る。ヒーターが温度セットポイントにある場合、制御システムは、
図2のルーチン200に戻る。
【0076】
ルーチン200、300、および400は、さまざまな好適な方法で構成され得、本明細書で説明されたステップに限定されるべきではないことは容易に理解されるべきである。例えば、ヒーターが単一ゾーンのヒーターである場合、制御システムは、ルーチン300におけるコヒーレントな温度プロファイルを提供することに関連するステップをスキップすることができ、可変ランプダウンルーチンを省略することができる。別の例では、VRRT制御は、また、グライド速度制御および/またはアプローチ制御を含み、所望のランプレートおよび温度セットポイントそれぞれへのスムーズな移行を提供する。さらに別の例では、可変ランプダウン制御では、冷却ランピングレートを設定する代わりに、制御は、ヒーターへの電力をオフにし、ゾーンの温度を監視し、ずれる可能性のある温度を軽減する。
【0077】
図5Aから9は、本開示のVRRT制御の特性を示す。具体的には、
図5Aは、ランプレートが一定(例えば、20℃/分)であるランプアップ動作を示し、
図5Bは、本開示のVRRT制御を使用したランプアップ動作を示す。両方において、電流は、30A未満に維持されるが、
図5BのVRRT制御よりも
図5Aの一定のランプアップレートは、600℃に達するまでに、より長い時間がかかる。VRRT制御では、ランプレートは、28℃/minで開始し、電流が30Aに近づくにつれて減少する。つまり、測定された電流が、電流制限バンド(例えば、25~30A)以内に入ると、ヒーターが温度セットポイントに到達できるようにしながら、ヒーターに印加される電流を制御するようにランプレートは減少する。
【0078】
図6は、ランプレートがグライド速度から所望のランプレートに制御され、その後、測定された温度が温度セットポイントに近づくとアプローチ制御レートに制御されるランプアップ制御を示すグラフである。
【0079】
図7Aおよび7Bは、それぞれ可変ランプダウン制御なしおよび可変ランプダウン制御ありの2ゾーンヒーターの冷却を示すグラフである。
図7Aで示されるように、ゾーン温度が互いにずれ始め、これが熱応力を引き起こし得、
図7Bでは、ヒーターは、ずれた温度に対処することによって、コヒーレントな温度プロファイルを有する。
【0080】
図8は、VRRT制御の可変ランプダウン制御を示しており、ゾーン浮遊状態を抑制するための最小量(例えば、供給された5%電力)よりもわずかに高いレベルでヒーターに電力が供給される。ヒーターに少量の電力を供給することにより、ヒーターの温度が連続的に監視され、温度セットポイントまで減少される。
【0081】
図9は、上述のように、ランプレートおよび/または電力を制御することによって暴走状態が低減または抑制される可変ランプダウン制御を示す。図において、ヒーター温度を表すフィラメント温度と、温度ランピングセットポイント(すなわち、
図9におけるランピングセットポイント(SP))とは、ランプダウン中で実質的に同じである。図では、最適なランピングプロセス変動(PV)の減少は、さまざまなゾーンが大きくずれていることによる減少量であり、最適なランプボトム減少は、得ている電力が低すぎる(フロートしている)ことによる減少の量であり、最適なランプネットランプセットポイント(SP)ゲインは、3つの是正措置の加重合計であり(例えば、ネットゲインは、ランプレートを下げるためのランピングSPの0.0から1.0までの乗数であり、ここで、1.0は減少なし、0.5は、50%減少である)、そして、ゾーン(複数可)がランプSPからずれるために、最初にスパイクし得る最適なランプセットポイント(SP)減少。
【0082】
本明細書で使用される場合、ずれ閾値という用語は、一般に、測定された値(例えば、ゾーン温度、ヒーター温度)と、別の値(例えば、温度セットポイント、別のゾーンの温度など)との間の差を比較するために画定された様々な可能な閾値を取り得る。ある形態において、可変ランプアップ制御および可変ランプダウン制御において、ゾーン間ドリフト/ずれを監視するために使用されるずれ閾値は、同じまたは異なる閾値であり得る。ある形態において、可変ランプダウン制御では、ゾーン間ドリフトおよびランプセットポイントずれのずれ閾値は、同じであってもよいし、あるいは異なっていてもよい。さらに、ずれ閾値は、単一の絶対値(例えば、5℃)として提供され得、または、範囲(例えば、±5℃)として提供される。ずれ閾値の実際の値は、特定の用途に基づいており、したがって、本明細書で提供されるいずれの特定の数値にも限定されない。
【0083】
本明細書において特に明示的に示されない限り、力学的/熱的な特性、組成パーセンテージ、寸法および/または公差、または他の特性を示すすべての数値は、本開示の範囲を説明する際に、「約」または「およそ」という言葉によって修飾されると理解されるべきである。この修飾は、産業的な慣行、材料、製造、アセンブリ公差、および試験能力を含むさまざまな理由から望まれる。
【0084】
本明細書で使用される場合、A、B、およびCの少なくとも一つという語句は、非排他的論理ORを使用する論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「少なくとも一つのA、少なくとも一つのB、および少なくとも一つのC」を意味すると解釈されるべきではない。
【0085】
本出願において、「コントローラ」という用語は、「回路」という用語に置き換えられ得る。「コントローラ」という用語は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合のディスクリート回路、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合集積回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable gate array、FPGA)、コードを実行する(共有の、専用の、またはグループの)プロセッサ回路、プロセッサ回路によって実行されるコードを格納する(共有の、専用の、またはグループの)メモリ回路、説明された機能を提供する他の適切なハードウェアコンポーネント、または、システムオンチップなどによる、上記の一部またはすべての組み合わせ、を指すか、その一部であるか、またはこれらを含み得る。
【0086】
コードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含む得、プログラム、ルーチン、機能、クラス、データ構造、および/またはオブジェクトを指し得る。メモリ回路という用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。本明細書で使用される、コンピュータ可読媒体という用語は、(搬送波などの)、媒体を介して伝播する一時的な電気信号または電磁気信号を含まない。したがって、コンピュータ可読媒体という用語は、有形で非一時的であると見なされ得る。
【0087】
本開示の説明は、本質的に単なる例示である。したがって、本開示の内容から逸脱しない変形は、本開示の範囲内にあることが意図される。そのような変形は、本開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではない。
【国際調査報告】