(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】CFTRモジュレーターの結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 513/22 20060101AFI20230830BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230830BHJP
A61P 3/12 20060101ALI20230830BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230830BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230830BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20230830BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20230830BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C07D513/22 CSP
A61P3/00
A61P3/12
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K31/404
A61K31/47
A61K31/439
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509506
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021045691
(87)【国際公開番号】W WO2022036060
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イエムペルマル, サティシュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】ペレシープキン, アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】シー, イー
(72)【発明者】
【氏名】シュレスタ, ムナ
【テーマコード(参考)】
4C072
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072AA03
4C072BB04
4C072CC05
4C072CC16
4C072EE19
4C072FF03
4C072GG07
4C072GG08
4C072HH07
4C072JJ09
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZC011
4C084ZC012
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086BC29
4C086CB26
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZC01
4C086ZC21
4C086ZC75
(57)【要約】
化合物Iの塩の結晶形態が開示される。それらを含む医薬組成物、それらを使用して嚢胞性線維症を治療する方法、及びそれを作製するための方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に結晶性の化合物Iであって、
【化31】
前記結晶性の化合物Iが、実質的に純粋な化合物Iベンゼンスルホン酸形態A、化合物Iベンゼンスルホン酸形態B、化合物Iベンゼンスルホン酸形態C、化合物I p-トルエンスルホン酸形態A、及び化合物Iマグネシウム塩形態Aから選択される、実質的に結晶性の化合物I。
【請求項2】
化合物Iの15%未満が、非晶質形態にある、請求項1に記載の実質的に結晶性の化合物I。
【請求項3】
化合物Iの10%未満が、非晶質形態にある、請求項1に記載の実質的に結晶性の化合物I。
【請求項4】
化合物Iの5%未満が、非晶質形態にある、請求項1に記載の実質的に結晶性の化合物I。
【請求項5】
化合物Iの100%が、結晶性である、請求項1に記載の実質的に結晶性の化合物I。
【請求項6】
X線粉末ディフラクトグラム(XRPD)によって特徴付けられた、請求項1~5のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物I。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物Iを含む、医薬組成物。
【請求項8】
1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物が、CFTR増強因子である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物が、CFTR補正因子である、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、(a)化合物II、及び(b)化合物III又は化合物III-dから選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
嚢胞性線維症の治療のための医薬品の製造における、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物Iの実質的に結晶性の形態の、使用。
【請求項13】
前記医薬品が、1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、請求項12に記載の実質的に結晶性の化合物Iの使用。
【請求項14】
前記1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、(a)化合物II及び(b)化合物III又は化合物III-dから選択される、請求項12に記載の実質的に結晶性の化合物Iの使用。
【請求項15】
嚢胞性線維症を治療する方法であって、請求項1~6のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物I又は請求項7~11のいずれか一項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記実質的に結晶性の化合物Iが、1つ以上の追加のCFTR調節化合物とともに投与される、請求項15に記載の嚢胞性線維症を治療する方法。
【請求項17】
前記1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、(a)化合物II、及び(b)化合物III又は化合物III-dから選択される、請求項16に記載の嚢胞性線維症を治療する方法。
【請求項18】
前記嚢胞性線維症の治療に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物I又は請求項7~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記実質的に結晶性の化合物Iが、1つ以上の追加のCFTR調節化合物の前、その後、又はそれと同時の投与のために製剤化される、請求項18に記載の嚢胞性線維症の治療に使用するための実質的に結晶性の化合物I。
【請求項20】
前記1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、(a)化合物II、及び(b)化合物III又は化合物III-dから選択される、請求項19に記載の嚢胞性線維症の治療に使用するための実質的に結晶性の化合物I。
【請求項21】
請求項1~6のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物Iを調製する方法であって、
(a)化合物I遊離酸をエタノール中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを得ること、
(b)化合物I遊離酸をTHF中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを得ること、
(c)化合物I遊離酸を酢酸イソプロピル中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cを得ること、
(d)化合物I遊離酸を酢酸イソプロピル中のp-トルエンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、結晶性の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを得ること、又は
(e)化合物I遊離酸を、1,4-ジオキサン及び水の混合物中の塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムとスラリー化し、前記混合物を凍結乾燥させ、アセトン及び水を添加し、周囲温度~40℃で前記混合物を温度循環させ、固体を濾過し、真空下で乾燥させて、実質的に結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態Aを得ることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月13日に出願された米国仮出願第63/065,057号の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子(CFTR)のモジュレーター、それらのモジュレーターを含有する医薬組成物、それらのモジュレーター及び組成物を用いて嚢胞性線維症を治療する方法、並びにモジュレーターを作製するためのプロセスが、本明細書に開示される。
【0003】
嚢胞性線維症(CF)は、世界中でおよそ70,000人の子供及び成人に影響を及ぼす劣性遺伝子疾患である。CFの治療は進歩しているにもかかわらず、治癒法は存在しない。
【0004】
CFを有する患者において、呼吸器上皮に内因的に発現されるCFTRの変異は、頂端アニオン分泌を低減し、イオン及び流体輸送(transport)の不均衡を引き起こす。結果として生じるアニオン輸送の減少は、肺内の過剰な粘液蓄積、及びCF患者において最終的に死を引き起こす随伴する微生物感染の一因となる。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、典型的には、消化器障害及び膵臓機能不全に罹患しており、治療されないままだと、死に至る。更に、嚢胞性線維症を有する男性の大部分は不妊であり、嚢胞性線維症を有する女性では受胎能力は低い。
【0005】
CFTR遺伝子の配列分析により、多様な疾患を引き起こす変異が明らかにされている(Cutting,G.R.et al.(1990)Nature 346:366-369、Dean,M.et al.(1990)Cell 61:863:870、及びKerem,B-S.et al.(1989)Science 245:1073-1080、Kerem,B-S et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447-8451)。これまでに、CF遺伝子における2000個を超える変異が同定されており、現在、CFTR2データベースは、これらの同定された変異のうちの412個のみに関する情報を含み、346個の変異が疾患を引き起こすと定義するのに十分な証拠がある。最も高頻度に見られる疾患を引き起こす変異は、CFTRアミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失であり、一般にF508del変異と呼ばれる。この変異は、嚢胞性線維症の近似的に多くの症例で発生し、重症疾患を伴う。
【0006】
CFTRにおける残基508の欠失は、新生タンパク質が正確に折りたたまれるのを妨げる。これにより、変異タンパク質が小胞体(ER)を出て、原形質膜に輸送されることが不可能となる。結果として、膜内に存在するアニオン輸送のためのCFTRチャネルの数は、野生型CFTR、すなわち変異を有しないCFTRを発現する細胞において観察されるものよりもはるかに少なくなる。輸送(trafficking)障害に加えて、F508del変異は、チャネルゲーティングの欠陥をもたらす。合わせて、膜におけるチャネルの数の減少及び欠陥ゲーティングは、上皮を通過するアニオン及び流体輸送の減少につながる。(Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709-2727)。F508del変異のために欠陥があるチャネルは、野生型CFTRチャネルよりも機能は低いが、依然として機能的である。(Dalemans et al.(1991),Nature Lond.354:526-528、Pasyk and Foskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347-50)。F508delに加えて、欠陥のある輸送、合成、及び/又はチャネルゲーティングをもたらすCFTRにおける他の疾患を引き起こす変異は、上方又は下方制御されて、アニオン分泌を変化させ、疾患進行及び/又は重症度を修正することができる。
【0007】
CFTRは、吸収及び分泌上皮細胞を含む、様々な細胞型において発現されるcAMP/ATP媒介性アニオンチャネルであり、それは、膜を通過するアニオンフラックス、並びに他のイオンチャネル及びタンパク質の活性を制御する。上皮細胞において、CFTRの正常な機能は、呼吸器及び消化組織を含む、全身の電解質輸送を維持するために重要である。CFTRは、1480個のアミノ酸から構成されており、これらは、6回膜貫通ヘリックス及びヌクレオチド結合ドメインをそれぞれ含有する膜貫通ドメインのタンデムリピートから構成されるタンパク質をコードする。2つの膜貫通ドメインは、チャネル活性及び細胞輸送を制御する複数のリン酸化部位を有する、大きな極性制御(R)ドメインによって連結されている。
【0008】
塩化物輸送は、頂端膜上に存在するENaC及びCFTR、並びに細胞の側底面上に発現されるNa+-K+-ポンプ及びCl-チャネルの活性の協調によって生じる。管腔側からの塩化物の二次的能動輸送により、細胞内塩化物が蓄積し、次いで塩化物は、Cl-チャネルを介して細胞から受動的に離れて、一定方向に輸送され得る。側底面上のNa+/2Cl-/K+共輸送体、Na+-K+-ATPaseポンプ及び側底膜K+チャネルの配置、並びに管腔側上のCFTRは、管腔側上のCFTRを介して塩化物の分泌を調整する。水は、おそらくそれ自体では決して能動的に輸送されないので、上皮を通過する水の流れは、ナトリウム及び塩化物の全体的な流れによって生じるわずかな経上皮浸透圧勾配に依存する。
いくつかのCFTR調節化合物が最近同定された。しかしながら、嚢胞性線維症及び他のCFTR媒介性疾患、特にこれらの疾患のより重篤な形態の重症度を治療又は低減させることができる化合物が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Cutting,G.R.et al.(1990)Nature 346:366-369
【非特許文献2】Dean,M.et al.(1990)Cell 61:863:870
【非特許文献3】Kerem,B-S.et al.(1989)Science 245:1073-1080
【非特許文献4】Kerem,B-S et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447-8451
【非特許文献5】Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709-2727
【非特許文献6】Dalemans et al.(1991),Nature Lond.354:526-528
【非特許文献7】Pasyk and Foskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347-50
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本開示の一態様は、CFTR調節化合物(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオン(化合物I)の固体形態、及びその薬学的に許容される塩を提供する。化合物Iは、以下の構造を有するものとして描写され得る。
【化1】
【0011】
化合物Iは、最初にWO 2019/161078(参照により本明細書に組み込まれる)に、非晶質(遊離形態)固体として、かつ非晶質カルシウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩として記載された。
【0012】
結晶形態は、活性成分の結晶形態の制御が望ましいか、又は必要とさえし得る、製薬産業において興味深い。異なる結晶形態は、異なる特性を有し得るため、特定の結晶形態を有する化合物を高純度で生成するための再現性のあるプロセスは、医薬品に使用されることが意図される化合物にとって望ましくあり得る。例えば、異なる結晶形態は、異なる化学的、物理的、及び/又は薬学的特性を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される1つ以上の結晶形態は、WO 2019/161078で生成された形態と比較して、より高いレベルの純度、化学的安定性、及び/又は物理的安定性を示し得る。特定の結晶形態(例えば、化合物Iの結晶遊離形態、結晶塩、結晶塩溶媒和物、及び結晶塩水和物形態(集合的に「結晶形態」と称される)は、WO 2019/161078で生成された形態よりも低い吸湿性を示し得る。したがって、本開示の結晶形態は、WO 2019/161078で生成された非晶質形態より優れた原薬の製造、保管、及び取り扱い中の利点を提供し得る。したがって、化合物Iの薬学的に許容される結晶形態は、CFTR媒介性疾患の治療のための薬物の産生に特に有用であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bである。化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cである。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物Iマグネシウム塩結晶Aである。
【0014】
本開示の他の態様は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれかにある化合物Iを含む、医薬組成物を提供し、その組成物は、少なくとも1つの追加の活性医薬成分及び/又は少なくとも1つの担体を更に含み得る。本開示の更に他の態様は、任意選択的に、少なくとも1つの追加の成分(担体又は追加の活性剤など)を含む医薬組成物の一部として、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれかにある化合物Iを、それを必要とする対象に投与することを含む、CFTR媒介性疾患の嚢胞性線維症を治療する方法である。本開示の更なる態様は、本明細書に開示される化合物Iの結晶形態を作製するプロセスを提供する。
【0015】
一実施形態は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちの1つとして、(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオン(化合物I)を単独で、あるいは(R)-1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-2-(1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル)-1H-インドール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド(化合物II)、及び/若しくはN-[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5-ヒドロキシフェニル]-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボキサミド(化合物III)若しくはN-(2-(tert-ブチル)-5-ヒドロキシ-4-(2-(メチル-d3)プロパン-2-イル-1,1,1,3,3,3-d6)フェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(化合物III-d)と組み合わせて投与することを含む、CFTR媒介性疾患の嚢胞性線維症を治療する方法を提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、CFTR媒介性疾患の嚢胞性線維症を治療する方法は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちの1つにある化合物Iを、化合物III又はIII-dと組み合わせて投与することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちの1つにある化合物Iは、化合物II及び化合物IIIと同じ組成物中で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちの1つにある化合物Iは、化合物II及び化合物III-dと同じ組成物中で投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちの1つにある化合物Iを含む組成物は、化合物II及び/又は化合物IIIを含む別個の組成物と同時投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちの1つにある化合物Iを含む組成物は、化合物II及び/又は化合物III-dを含む別個の組成物と同時投与される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのXRPDパターンを示す。
【
図2】化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのTGA分析を示す。
【
図3】結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのDSC分析を示す。
【
図4】結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態BのXRPDパターンを示す。
【
図5】化合物Iベンゼンスルホン酸形態BのTGA/DSC分析を示す。
【
図6】結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態CのXRPDパターンを示す。
【
図7】化合物Iベンゼンスルホン酸形態CのTGA/DSC分析を示す。
【
図8】結晶性の化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのXRPDパターンを示す。
【
図9】化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのTGA分析を示す。
【
図10】結晶性の化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのDSC分析を示す。
【
図11】結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態AのXRPDパターンを示す。
【
図12】化合物Iマグネシウム塩形態AのTGA分析を示す。
【
図13】結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態AのDSC分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本開示全体を通して使用される場合、「化合物I」は、(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオンであり、これは、以下の構造を有するものとして描写され得る。
【化2】
【0021】
化合物Iは、ラセミ混合物、又は異性体のエナンチオ濃縮(例えば、90% ee超、95% ee超、98% ee超)混合物であってもよい。化合物Iは、薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び/又は水和物の形態にあり得る。化合物I、並びに化合物Iを作製及び使用するための方法は、参照により本明細書に組み込まれるPCT/US2019/018042に開示されている。
【0022】
本開示全体を通して使用される場合、「化合物II」は、(R)-1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-2-(1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル)-1H-インドール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミドを指し、これは、以下の構造を有するものとして描写され得る。
【化3】
【0023】
化合物IIは、薬学的に許容される塩の形態にあってもよい。化合物II、並びに化合物IIを作製及び使用する方法は、各々が参照により本明細書に組み込まれるWO 2010/053471、WO 2011/119984、及びWO 2015/160787に開示されている。
【0024】
本開示全体を通して使用される場合、「化合物III」は、N-[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5-ヒドロキシフェニル]-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボキサミド(N-(5-ヒドロキシ-2,4-ジ-tert-ブチル-フェニル)-4-オキソ-1H-キノリン-3-カルボキサミドとしても知られる)を指し、これは、以下の構造を有するものとして描写され得る。
【化4】
【0025】
化合物IIIはまた、薬学的に許容される塩の形態にあってもよい。化合物III、並びに化合物IIIを作製及び使用する方法は、各々参照により本明細書に組み込まれるWO 2006/002421、WO 2007/079139、及びWO 2010/019239に開示されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、化合物III(化合物III-d)の重水素化誘導体が、本明細書に開示される組成物及び方法に利用される。化合物III-dの化学名は、N-(2-(tert-ブチル)-5-ヒドロキシ-4-(2-(メチル-d3)プロパン-2-イル-1,1,1,3,3,3-d6)フェニル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミドであり、これは、以下の構造を有するものとして描写され得る。
【化5】
【0027】
化合物III-dは、薬学的に許容される塩の形態にあってもよい。化合物III-d、並びに化合物III-dを作製及び使用する方法は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2012/158885及びWO 2014/078842に開示されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、「CFTR」は、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「CFTRモジュレーター」及び「CFTR調節化合物」という用語は、CFTRの活性を増加させる化合物を互換的に指す。CFTRモジュレーターから生じる活性の増加には、CFTRを補正する、強化する、安定化する、及び/又は増幅させる化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される場合、「CFTR補正因子」という用語は、細胞表面におけるCFTRの量を増加させるためにCFTRの処理及び輸送を促進する化合物を指す。本明細書に開示される化合物I及びIIは、CFTR補正因子である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「CFTR増強因子」という用語は、細胞表面に位置するCFTRタンパク質のチャネル活性を増加させ、イオン輸送を増強する化合物を指す。本明細書に開示される化合物III及びIII-dは、CFTR増強因子である。化合物I及び他の特定のCFTR調節剤の組み合わせの説明が本明細書に提供される場合、その組み合わせに関連する「化合物III又はIII-d」への言及は、化合物III又は化合物III-dの両方ではなくいずれかが、その組み合わせに含まれることを意味することが理解されるであろう。
【0032】
本明細書で使用される場合、「活性医薬成分」又は「治療剤」(「API」)という用語は、生物学的に活性な化合物を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される結晶形態」という用語は、化合物Iの結晶形態(例えば、結晶遊離形態、結晶塩、結晶塩溶媒和物、及び結晶塩水和物)が、非毒性であり、医薬組成物における使用に適している、本開示の化合物Iの結晶形態を指す。
【0034】
「患者」及び「対象」という用語は、交換可能に使用され、ヒトを含む動物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療すること」などという用語は、概して、対象におけるCF若しくはその症状のうちの1つ以上の改善、又はCF若しくはその症状のうちの1つ以上の重症度の軽減を意味する。本明細書で使用される場合、「治療」は、以下を含むが、これらに限定されない:対象の成長の増加、体重増加の増加、肺内の粘膜の減少、膵臓及び/若しくは肝臓機能の改善、胸部感染の減少、並びに/又は咳若しくは息切れの減少。これらの症状のいずれかの改善又は重症度の軽減は、当該技術分野において公知の標準的な方法及び技術に従って容易に評価され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という用語は、2つ以上の化合物、薬剤、又は追加の活性医薬成分を指す場合、2つ以上の化合物、薬剤、又は活性医薬成分の、互いの前、同時、又は後の患者への投与を意味する。
【0037】
「約」及び「およそ」という用語は、組成物又は剤形の成分の用量、量、又は重量パーセントと関連して使用される場合、特定の用量、量、又は重量パーセントにより得られるのと等しい薬理効果を提供する、当業者に認識される特定の用量、量、若しくは重量パーセントの値、又は用量、量、若しくは重量パーセントの範囲を含む。「約」及び「およそ」という用語は、当業者により決定される特定の値について許容可能な誤差を指すこともあり、これは、一部では、どのようにその値が測定又は決定されるかに依存する。いくつかの実施形態では、「約」及び「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0.5%以内を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「非晶質」という用語は、その分子の位置において長距離秩序を有しない固体材料を指す。非晶質固体は、明確に画定された配置、例えば、分子充填が存在せず、また、長距離秩序が存在しないように、分子が無作為に配置されている、概して過冷却された液体である。非晶質固体は、概して等方的であり、すなわち、全ての方向において同様の特性を示し、確実な融点を有しない。例えば、非晶質材料は、そのX線粉末回折(XRPD)パターンにおいて、鋭い特徴的な結晶性のピークを有しない(すなわち、XRPDによって決定される結晶性ではない)固体材料である。代わりに、そのXRPDパターンにおいて1つ以上の幅広いピーク(例えば、ハロ)が見られる。幅広いピークは、非晶質固体の特徴である。非晶質材料及び結晶性材料のXRPDの比較については、US 2004/0006237を参照されたい。いくつかの実施形態では、固体材料は、非晶質化合物を含んでもよく、例えば、材料は、そのXRPDスペクトルにおける鋭い特徴的な結晶性のピークの欠如によって特徴付けられてもよい(すなわち、材料は、XRPDによって決定されるように、結晶性ではないが非晶質である)。代わりに、材料のXRPDパターンにおいて1つ以上の幅広いピーク(例えば、ハロ)が見られ得る。非晶質材料及び結晶性材料のXRPDの比較については、US 2004/0006237を参照されたい。非晶質化合物を含む固体材料は、例えば、純粋な結晶性固体の溶融の範囲と比較して、固体材料の溶融のより幅広い温度範囲によって特徴付けられ得る。例えば、固体NMRなどの他の技術を使用して、結晶形態又は非晶質形態を特徴付けてもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「結晶形態(crystal form)」、「結晶形態(crystalline form)」、及び「形態」という用語は、結晶格子内に特定の分子充填配置を有する結晶構造(又は多形)を互換的に指す。結晶形態は、例えば、X線粉末回折(XRPD)、単結晶X線回折、及び13C固体核磁気共鳴(13C ssNMR)を含む、1つ以上の特徴決定技術によって識別され、互いから区別され得る。したがって、本明細書で使用される場合、「化合物(I)の結晶形態[X]」及び「化合物(I)の結晶形態[C]カリウム塩は、例えば、XRPD、単結晶X線回折、及び13C ssNMRを含む1つ以上の特徴決定技術によって、識別され、互いから区別され得る、固有の結晶形態を指す。いくつかの実施形態では、新規結晶形態は、1つ以上の特定の2シータ値(°2θ)の1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「遊離形態」という用語は、固体状態にある化合物の非イオン化型を指す。遊離形態の例としては、遊離塩基及び遊離酸が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、本開示の化合物の1つ以上の分子を含み、かつ結晶格子に組み込まれた、化学量論量又は非化学量論量の溶媒の1つ以上の分子を含む結晶形態を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は、「水和物」と称される。
【0042】
いくつかの実施形態では、固体材料は、結晶性固体及び非晶質固体の混合物を含んでもよい。非晶質化合物を含む固体材料はまた、例えば、最大30%の結晶性固体を含有してもよい。いくつかの実施形態では、非晶質化合物を含むように調製された固体材料はまた、例えば、最大25%、20%、15%、10%、5%、又は2%の結晶性固体を含有してもよい。固体材料が結晶性固体及び非晶質固体の混合物を含有する実施形態では、XRPDなどの特徴決定データは、結晶性固体及び非晶質固体の両方の指標を含有してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の結晶形態は、最大30%の非晶質化合物を含有してもよい。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性調製物は、最大25%、20%、15%、10%、5%、又は2%の非晶質固体を含有してもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「実質的に非晶質」という用語は、その分子の位置においてほとんど又は全く長距離秩序を有しない固体材料を指す。例えば、実質的に非晶質な材料は、15%未満の結晶化度(例えば、10%未満の結晶化度、5%未満の結晶化度、又は2%未満の結晶化度)を有する。「実質的に非晶質」という用語は、記述語「非晶質」を含み、これは、結晶化度が全くない(0%)材料を指すことにも留意されたい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「実質的に結晶性」という用語は、非晶質分子がほとんど又は全くない固体材料を指す。例えば、実質的に結晶性の材料は、15%未満の非晶質分子(例えば、10%未満の非晶質分子、5%未満の非晶質分子、又は2%未満の非晶質分子)を有する。また、「実質的に結晶性」という用語は、記述語「結晶性」を含み、これは、100%結晶形態である材料を指すことにも留意されたい。
【0045】
本明細書で使用される場合、結晶形態は、定量XRPDなどの当該技術分野に従った方法によって決定される、試料中の全ての固体形態の合計の90%以上の重量での量を占める場合、「実質的に純粋」である。いくつかの実施形態では、固体形態は、試料中の全ての固体形態の合計の95%以上の重量での量を占める場合、「実質的に純粋」である。いくつかの実施形態では、固体形態は、試料中の全ての固体形態の合計の99%以上の重量での量を占める場合、「実質的に純粋」である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「XRPD」という用語は、X線粉末回折の分析的特徴付け方法を指す。本明細書に開示されるXRPDパターンは、回折計を使用して、透過又は反射形状において周囲条件で記録され得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「周囲条件」という用語は、室温、外気条件、及び制御されていない湿度条件を意味する。「室温」及び「周囲温度」という用語は、15℃~30℃を意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「X線粉末ディフラクトグラム」、「X線粉末回折パターン」、「XRPDパターン」、及び「XRPDスペクトル」という用語は、シグナル強度(縦座標上)に対してシグナル位置(横座標上)をプロットする実験的に取得されたパターンを互換的に指す。非晶質材料については、X線粉末ディフラクトグラムは、1つ以上の幅広いシグナルを含んでもよく、結晶性物質については、X線粉末ディフラクトグラムは、1つ以上のシグナルを含んでもよく、各々は、「…度2シータのシグナル」、「…の[a]2シータ値のシグナル」、及び/又は「…から選択される少なくとも…2シータ値のシグナル」として表され得る、X線粉末ディフラクトグラムの横座標上に示される、度2θ(°2θ)において測定されるその角度値によって識別される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「シグナル」又は「ピーク」は、カウントで測定された強度が局所最大値にある、XRPDパターンにおける点を指す。当業者は、XRPDパターンにおける1つ以上のシグナル(又はピーク)が、重複する場合があり、例えば、肉眼では明らかではない場合があることを認識するであろう。実際に、当業者は、いくつかの当該技術分野で認識されている方法は、シグナルがRietveld精密化などのパターンで存在するかどうかを決定する能力があり、かつ好適であることを認識するであろう。
【0050】
本明細書で使用される場合、「...度2シータのシグナル」は、X線粉末回折実験で測定及び観察されるX線反射位置(°2θ)を指す。
【0051】
測定された角度値の再現性は、±0.2°2θの範囲内であり、すなわち、角度値は、列挙された角度値+0.2度2シータ、角度値-0.2度2シータ、又はそれらの2つの終点(角度値+0.2度2シータ及び角度値-0.2度2シータ)の間の任意の値にあり得る。
【0052】
「シグナル強度」及び「ピーク強度」という用語は、所与のX線粉末ディフラクトグラム内の相対的シグナル強度を互換的に指す。相対的シグナル強度又はピーク強度に影響を与え得る要因は、試料の厚さ及び好ましい配向を含む(例えば、結晶性粒子はランダムに分布しない)。
【0053】
本明細書で使用される場合、X線粉末ディフラクトグラムは、2つのディフラクトグラム中のシグナルの少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%などの、少なくとも90%が重複する場合、「[特定の]図のものと実質的に類似」する。「実質的な類似性」を決定する際に、当業者は、同じ結晶形態であってもXRPDディフラクトグラムの強度及び/又はシグナル位置における変動が存在し得ることを理解するであろう。したがって、当業者は、XRPDディフラクトグラムにおける(度2シータにおける)シグナル最大値は、値が、当該技術分野が認識した分散である報告された値の±0.2度2シータとして識別されることを一般に意味することを理解するであろう。
【0054】
本明細書で使用される場合、「...2シータ値のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラム」という用語は、X線粉末回折実験において測定及び観察されるX線反射位置(°2シータ)を含有するXRPDパターンを指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「TGA」という用語は、熱重量分析を指し、「TGA/DSC」は、熱重量分析及び示差走査熱量測定(differential scnning calorimetry)を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「DSC」という用語は、示差走査熱量測定の分析方法を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「溶媒」という用語は、生成物が少なくとも部分的に可溶性である任意の液体(生成物の溶解度>1g/l)を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「分散体」という用語は、1つの物質である分散相が、第2の物質(連続相又はビヒクル)全体にわたって別個の単位で分布されている分散系を指す。分散相のサイズは、大幅に変動し得る(例えば、ナノメートル寸法から数ミクロンのサイズまでのコロイド粒子)。概して、分散相は、固体、液体、又は気体であり得る。固体分散体の場合、分散相及び連続相が両方とも固体である。薬学的用途において、固体分散体は、非晶質ポリマー(連続相)中に結晶薬物(分散相)、又は代替的には、非晶質ポリマー(連続相)中に非晶質薬物(分散相)を含み得る。いくつかの実施形態では、固体分散体は、分散相を構成するポリマーを含み、薬物は、連続相を構成する。又は、固体分散体は、分散相を構成する薬物、及び連続相を構成するポリマーを含む。
【0059】
化合物Iベンゼンスルホン酸形態A
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを提供する。
図1は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのX線粉末ディフラクトグラムを提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に純粋な結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、Cu Kα放射の入射ビームを用いたX線粉末回折分析によって生成されたX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、及び16.4±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、及び16.4±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、(a)6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、(a)6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、(a)6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、(a)6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、(a)6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、(a)6.6±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、6.6±0.2度シータ、10.3±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、22.4±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aは、
図1に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0066】
本発明の他の態様は、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Aを作製する方法を提供し、方法は、化合物I遊離酸をエタノール中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Aを得ることを含む。
【0067】
化合物Iベンゼンスルホン酸形態B
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを提供する。
図4は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態BのX線粉末ディフラクトグラムを提供する。
【0068】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に純粋な結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bである。いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bである。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、Cu Kα放射の入射ビームを用いたX線粉末回折分析によって生成されたX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0069】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナル、並びに(b 3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、15.2±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0073】
いくつかの実施形態では、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bは、
図4に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0074】
本発明の他の態様は、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Bを作製する方法を提供し、方法は、化合物I遊離酸及びテトラヒドロフラン中のベネゼンスルホン酸(benezenesulfonic acid)をビーズ粉砕して、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Bを得ることを含む。
【0075】
化合物Iベンゼンスルホン酸形態C
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cを提供する。
図6は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態CのX線粉末ディフラクトグラムを提供する。
【0076】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に純粋な結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cである。いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cである。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、Cu Kα放射の入射ビームを用いたX線粉末回折分析によって生成されたX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0078】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、5.0±0.2度シータ、6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、26.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cは、
図6に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0082】
本発明の他の態様は、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Cを作製する方法を提供し、方法は、化合物I遊離酸及び酢酸イソプロピル中のベンゼンスルホン酸をビーズ粉砕して、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Cを得ることを含む。
【0083】
化合物I p-トルエンスルホン酸形態A
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを提供する。
図8は、化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのX線粉末ディフラクトグラムを提供する。
【0084】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に純粋な化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に結晶性の化合物Iのp-トルエンスルホン形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iのp-トルエンスルホン形態Aは、Cu Kα放射の入射ビームを用いたX線粉末回折分析によって生成されたX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0085】
いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、結晶性の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aは、
図8に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0089】
本発明の他の態様は、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを作製する方法を提供し、方法は、化合物I遊離酸及び酢酸イソプロピル中のp-トルエンスルホン酸をビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを提供することを含む。
【0090】
化合物Iマグネシウム塩形態A
いくつかの実施形態では、本発明は、結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態Aを提供する。
図11は、化合物Iマグネシウム塩形態AのX線粉末ディフラクトグラムを提供する。
【0091】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に純粋な化合物Iマグネシウム塩形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iは、実質的に結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態Aである。いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、Cu Kα放射の入射ビームを用いたX線粉末回折分析によって生成されたX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの4つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、化合物Iマグネシウム塩形態Aは、4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0095】
いくつかの実施形態では、結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態Aは、
図11に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0096】
本発明の他の態様は、化合物Iマグネシウム塩形態Aを作製する方法を提供し、方法は、化合物I遊離酸を、水中の塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムとスラリー化し、1,4-ジオキサンを添加し、混合物を凍結乾燥させ、アセトン及び水を添加してスラリーを形成し、周囲温度~40℃で混合物を温度循環させ、固体を濾過し、真空下で乾燥させて、化合物Iマグネシウム塩形態Aを得ることを含む。
【0097】
治療方法
本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iは、CFTRモジュレーターとして作用し、すなわち、それは、体内のCFTR活性を調節する。CFTRをコードする遺伝子の変異に悩まされている個体は、CFTRモジュレーターの受容から利益を受け得る。CFTR変異は、CFTR量、すなわち、細胞表面におけるCFTRチャネルの数に影響を及ぼし得るか、又はCFTR機能、すなわち、各チャネルが開いてイオンを輸送する機能的能力に影響を及ぼし得る。CFTR量に影響を及ぼす変異には、欠陥合成を引き起こす変異(クラスI欠陥)、欠陥プロセシング及び輸送を引き起こす変異(クラスII欠陥)、CFTRの合成の低下を引き起こす変異(クラスV欠陥)、並びにCFTRの表面安定性を低下させる変異(クラスVI欠陥)が含まれる。CFTR機能に影響を及ぼす変異には、欠陥ゲーティングを引き起こす変異(クラスIII欠陥)及び欠陥コンダクタンスを引き起こす変異(クラスIV欠陥)が含まれる。いくつかのCFTR変異は、複数のクラスの特徴を示す。CFTR遺伝子のある特定の変異は、嚢胞性線維症をもたらす。
【0098】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、患者における嚢胞性線維症を治療するか、嚢胞性線維症の重症度を軽減するか、又は嚢胞性線維症を対症的に治療する方法を提供し、方法は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある有効量の化合物Iを、単独で、又は別のCFTR調節剤などの別の活性成分と組み合わせて、患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、患者は、F508del/最小機能(MF)遺伝子型、F508del/F508del遺伝子型(F508del変異についてホモ接合性)、F508del/ゲーティング遺伝子型、又はF508del/残存機能(RF)遺伝子型を有する。いくつかの実施形態では、患者は、ヘテロ接合性であり、1つのF508del変異を有する。いくつかの実施形態では、患者は、N1303K変異についてホモ接合性である。
【0099】
いくつかの実施形態では、患者は、ヘテロ接合性であり、一方の対立遺伝子にF508del変異を有し、他方の対立遺伝子に表1から選択される変異を有する。
【表1-1】
【表1-2】
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者における嚢胞性線維症を治療するか、嚢胞性線維症の重症度を軽減するか、又は嚢胞性線維症を対症的に治療する方法を提供し、方法は、有効量の化合物Iを、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aとして患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを利用する。いくつかの実施形態では、患者における嚢胞性線維症を治療するか、嚢胞性線維症の重症度を軽減するか、又は嚢胞性線維症を対症的に治療する方法は、有効量の化合物Iを、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cとして患者に投与することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、患者における嚢胞性線維症を治療するか、嚢胞性線維症の重症度を軽減するか、又は嚢胞性線維症を対症的に治療する方法は、有効量の化合物Iを、結晶性の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aとして患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、化合物Iを、結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態Aとして利用する。
【0102】
併用療法
本明細書に開示される一態様は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iを、CFTR調節剤を含む他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて用いて、嚢胞性線維症及び他のCFTR媒介性疾患を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iは、例えば、CFTR調節剤などの少なくとも1つの追加の活性医薬成分と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性医薬成分は、(a)化合物II及びその薬学的に許容される塩、並びに(b)化合物III又は化合物III-d及び化合物III又は化合物III-dの薬学的に許容される塩から選択される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される併用療法は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iと、化合物II、(化合物III又はIII-d)、及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される併用療法は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物と、(化合物III若しくはIII-d)、及び/又はその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、化合物III及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、化合物III-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、化合物II又はその薬学的に許容される塩、並びに化合物III及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせて投与される。
【0104】
化合物I、II、及びIII又はIII-dの各々、並びにそれらの薬学的に許容される塩は独立して、1日1回、1日2回、又は1日3回投与され得る。いくつかの実施形態では、化合物I及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日2回投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日2回投与される。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日1回投与され、化合物III-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、1日2回投与される。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、5mg~100mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、1日5mg~60mgの量で投与される。
【0108】
化合物I、II、(III又はIII-d)、及び/又はそれらの薬学的に許容される塩は、単一の医薬組成物又は別個の医薬組成物中で投与され得る。そのような医薬組成物は、1日1回又は1日2回などの1日に複数回投与され得る。本明細書で使用される場合、所与の量のAPI(例えば、化合物I、II、(III、III-d)、又はそれらの薬学的に許容される塩)が、1日又は1日当たり1回又は2回投与されるという語句は、その所与の量が、1投薬につき1日1回又は2回投与されることを意味する。例えば、50mgの化合物II又はその薬学的に許容される塩が、1日又は1日当たり2回投与されるという語句は、50mgの化合物II又は同等量のその薬学的に許容される塩が、1投薬につき1日当たり2回投与される(例えば、50mgの化合物II又は同等量のその薬学的に許容される塩が、朝に投与され、50mgの化合物II又は同等量のその薬学的に許容される塩が、夜に投与される)ことを意味する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、第1の医薬組成物中で投与され、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第2の医薬組成物中で投与され、化合物III及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第3の医薬組成物中で投与される。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、第1の医薬組成物中で投与され、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第2の医薬組成物中で投与され、化合物III-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第3の医薬組成物中で投与される。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、第1の医薬組成物中で投与され、化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第2の医薬組成物中で投与される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物は、第1の医薬組成物中で投与され、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III又はIII-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第2の医薬組成物中で投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、化合物III、III-d、及びそれらの薬学的に許容される塩から選択される該少なくとも1つの化合物の1日用量の半分を含み、化合物III、III-d、及びそれらの薬学的に許容される塩から選択される該少なくとも1つの化合物の残りの半分は、第3の医薬組成物中で投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物、化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物III、III-d、及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、第1の医薬組成物中で投与される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物は、患者に1日2回投与される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物は、1日1回投与され、化合物IIIのみを含む第2の組成物は、1日1回投与される。
【0114】
任意の好適な医薬製剤は、化合物I(本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つにある)、化合物II、化合物III、化合物III-d、及びそれらの薬学的に許容される塩に使用され得る。化合物Iのいくつかの例示的な医薬組成物が、実施例に記載される。化合物II及びその薬学的に許容される塩のいくつかの例示的な医薬組成物は、参照により本明細書に組み込まれる、WO2011/119984及びWO2014/014841に見出すことができる。化合物III及びその薬学的に許容される塩のいくつかの例示的な医薬組成物は、WO 2007/134279、WO 2010/019239、WO 2011/019413、WO 2012/027731、及びWO 2013/130669に見出すことができ、化合物III-d及びその薬学的に許容される塩のいくつかの例示的な医薬組成物は、US 8,865,902、US 9,181,192、US 9,512,079、WO 2017/053455、及びWO 2018/080591に見出すことができ、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の併用療法に使用される化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、併用療法は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを利用する。いくつかの実施形態では、併用療法は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cを利用する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法に使用される化合物Iの結晶形態は、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、本発明の併用療法に使用される化合物Iの結晶形態は、化合物Iマグネシウム塩形態Aである。
【0116】
医薬組成物
本発明の別の態様は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つとして化合物Iを含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの追加の活性医薬成分と組み合わせて、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれかとして化合物Iを含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性医薬成分は、CFTRモジュレーターである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性医薬成分は、CFTR補正因子である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性医薬成分は、CFTR増強因子である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つとしての化合物Iと、少なくとも2つの追加の活性医薬成分(そのうちの1つは、CFTR補正因子であり、そのうちの1つは、CFTR増強因子である)と、を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性医薬成分は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、及び抗炎症剤から選択される。
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つとしての化合物Iから選択される少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)5mg~60mgの化合物I(化合物Iは、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つである)と、(b)化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、(c)少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)5mg~60mgの化合物I(化合物Iは、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つである)と、(b)化合物III、III-d、及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、(c)少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)5mg~60mgの化合物I(化合物Iは、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つである)と、(b)化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、(c)化合物III及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、(d)少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)5mg~60mgの化合物I(化合物Iは、本明細書に開示される薬学的に許容される結晶形態のうちのいずれか1つである)と、(b)化合物II及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、(c)化合物III-d及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と、(d)少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0123】
本明細書に開示される任意の医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体は、薬学的に許容されるビヒクル及び薬学的に許容されるアジュバントから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容されるものは、薬学的に許容される充填剤、崩壊剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に使用される化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、併用療法は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを利用する。いくつかの実施形態では、併用療法は、結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cを利用する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に使用される化合物Iの結晶形態は、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aである。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物に使用される化合物Iの結晶形態は、化合物Iマグネシウム塩形態Aである。
【0125】
本明細書に記載される医薬組成物は、嚢胞性線維症及び他のCFTR媒介性疾患を治療するために有用である。
【0126】
上記のように、本明細書に開示される医薬組成物は、任意に、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を更に含み得る。少なくとも1つの薬学的に許容される担体は、アジュバント及びビヒクルから選択され得る。本明細書で使用される場合、少なくとも1つの薬学的に許容される担体には、所望の特定の剤形に適した、任意及び全ての溶媒、希釈剤、他の液体ビヒクル、分散補助剤、懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、防腐剤、固体結合剤、及び滑沢剤が含まれる。Remington: The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed. D.B.Troy,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia、及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds. J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkは、医薬組成物の製剤化に使用される種々の担体及びその調製のための公知の技術を開示している。任意の従来の担体が、何らかの望ましくない生物学的効果を生じるか、又は別様に医薬組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することなどによって、本開示の化合物と不適合であることを除いて、その使用は、本開示の範囲内であると企図される。好適な薬学的に許容される担体の非限定的な例には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸、グリシン、ソルビン酸、及びソルビン酸カリウムなど)、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、及び電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、及び亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、羊毛脂、糖(ラクトース、グルコース及びスクロースなど)、デンプン(コーンスターチ及びジャガイモデンプンなど)、セルロース及びその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートなど)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(カカオバター及び坐薬ワックスなど)、油(ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油など)、グリコール(プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)、エステル(オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなど)、寒天、緩衝剤(水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど)、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、非毒性適合性滑沢剤(ラウリル硫酸ナトリウム(tsodium lauryl sulfate)及びステアリン酸マグネシウムなど)、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤、並びに抗酸化剤が含まれるが、これらに限定されない。
例示的な実施形態の非限定的なリスト
1.化合物Iであって、
【化6】
実質的に結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aとしての(すなわち、化合物Iの15%未満が、非晶質形態である、化合物Iの10%未満が、非晶質形態である、化合物Iの5%未満が非晶質形態である)、化合物I。
2.化合物Iが、100%結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aである、実施形態1に記載の化合物I。
3.実質的に純粋な化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
4.6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、及び/又は16.4±0.2度2シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
5.6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、及び16.4±0.2度2シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
6.6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
7.6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
8.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
9.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
10.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
11.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
12.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
13.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
14.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
15.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの4つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
16.(a)6.6±0.2度2シータ、11.0±0.2度2シータ、16.4±0.2度2シータ、及び22.4±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.3±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのうちの5つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
17.6.6±0.2度シータ、10.3±0.2度シータ、11.0±0.2度シータ、12.1±0.2度シータ、13.7±0.2度シータ、16.4±0.2度シータ、17.5±0.2度シータ、20.8±0.2度シータ、22.4±0.2度シータ、及び25.7±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
18.
図1に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
19.
図2に実質的に類似するTGAデータによって特徴付けられた、実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
20.
図3に実質的に類似するDSC分析によって特徴付けられた、実施形態1~19のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
21.化合物I遊離酸をエタノール中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Aを得ることを含むプロセスによって調製された、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A。
22.実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを含み、任意選択的に1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、医薬組成物。
23.1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、又は
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III若しくは化合物III-d、である、実施形態22に記載の医薬組成物。
24.嚢胞性線維症の治療に使用するための、実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A、又は実施形態22若しくは23に記載の医薬組成物。
25.嚢胞性線維症の治療のための医薬品の製造における、実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A、又は実施形態22若しくは23に記載の組成物の、使用。
26.実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態A、又は実施形態22若しくは23の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
27.実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aが、少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物と組み合わせて投与される、実施形態24に記載の使用のための化合物、実施形態25に記載の使用、又は実施形態26に記載の方法。
28.実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aが、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III、又は
c.(i)化合物II及び(ii)化合物III-d、と組み合わせて投与される、実施形態27に記載の組成物、使用、又は方法。
29.化合物II及び/又は化合物IIIが、固体分散体の形態にある、実施形態23に記載の組成物、又は実施形態28に記載の化合物、使用、若しくは方法。
30.化合物I遊離酸をエタノール中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Aを得ることを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを調製する方法。
31.実質的に結晶性のベンゼンスルホン酸形態Bとしての(すなわち、化合物Iの15%未満が、非晶質形態である、化合物Iの10%未満が、非晶質形態である、化合物Iの5%未満が非晶質形態である)、化合物I。
32.化合物Iが、100%結晶性の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bである、実施形態1に記載の化合物I。
33.実質的に純粋な化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
34.8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
35.8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
36.8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
37.8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
38.8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
39.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
40.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
41.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
42.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
43.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
44.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
45.(a)8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、及び15.2±0.2度シータのシグナル、並びに(b)3.8±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
46.3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、12.6±0.2度シータ、15.2±0.2度シータ、17.1±0.2度シータ、及び23.2±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
47.
図4に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態31~33のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
48.
図5に実質的に類似するTGA/DSCデータによって特徴付けられた、実施形態31~47のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
49.化合物I遊離酸をTHF中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Bを得ることを含むプロセスによって調製された、実施形態31~48のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B。
50.実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを含み、任意選択的に1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、医薬組成物。
51.1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、又は
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III若しくは化合物III-d、である、実施形態50に記載の医薬組成物。
52.嚢胞性線維症の治療に使用するための、実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B、又は実施形態50若しくは51に記載の医薬組成物。
53.嚢胞性線維症の治療のための医薬品の製造における、実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B、又は実施形態50若しくは51に記載の組成物の、使用。
54.実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態B、又は実施形態50若しくは51の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
55.実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bが、少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物と組み合わせて投与される、実施形態52に記載の使用のための化合物、実施形態53に記載の使用、又は実施形態54に記載の方法。
56.実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bが、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III、又は
c.(i)化合物II及び(ii)化合物III-d、と組み合わせて投与される、実施形態55に記載の組成物、使用、又は方法。
57.化合物II及び/又は化合物IIIが、固体分散体の形態にある、実施形態51に記載の組成物、又は実施形態53に記載の化合物、使用、若しくは方法。
58.化合物I遊離酸をTHF中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Bを得ることを含む、実施形態31~49のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを調製する方法。
59.実質的に結晶性のベンゼンスルホン酸形態Cとしての(すなわち、化合物Iの15%未満が、非晶質形態である、化合物Iの10%未満が、非晶質形態である、化合物Iの5%未満が非晶質形態である)、化合物I。
60.化合物Iが、100%結晶性のベンゼンスルホン酸形態Cである、実施形態1に記載の化合物I。
61.実質的に純粋な化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
62.5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
63.5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
64.5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
65.5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
66.5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
67.(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
68.(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
69.(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
70.(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
71.(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
72.(a)85.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
73.(a)5.0±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、及び26.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
74.5.0±0.2度シータ、6.8±0.2度シータ、11.4±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、16.6±0.2度シータ、24.9±0.2度シータ、26.6±0.2度シータ、及び27.3±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
75.
図6に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態59~61のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
76.
図7に実質的に類似するTGA/DSCデータによって特徴付けられた、実施形態59~75のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
77.化合物I遊離酸を酢酸イソプロピル中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Cを得ることを含むプロセスによって調製された、実施形態59~76のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C。
78.実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cを含み、任意選択的に1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、医薬組成物。
79.1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、又は
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III若しくは化合物III-d、である、実施形態78に記載の医薬組成物。
80.嚢胞性線維症の治療に使用するための、実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C、又は実施形態78若しくは79に記載の医薬組成物。
81.嚢胞性線維症の治療のための医薬品の製造における、実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C、又は実施形態78若しくは79に記載の組成物の、使用。
82.実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態C、又は実施形態78若しくは79の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
83.実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cが、少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物と組み合わせて投与される、実施形態80に記載の使用のための化合物、実施形態81に記載の使用、又は実施形態82に記載の方法。
84.実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cが、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III、又は
c.(i)化合物II及び(ii)化合物III-d、と組み合わせて投与される、実施形態83に記載の組成物、使用、又は方法。
85.化合物II及び/又は化合物IIIが、固体分散体の形態にある、実施形態79に記載の組成物、又は実施形態84に記載の化合物、使用、若しくは方法。
86.化合物I遊離酸を酢酸イソプロピル中のベンゼンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸結晶形態Cを得ることを含む、実施形態59~77のいずれか1つに記載の化合物Iベンゼンスルホン酸形態を調製する方法。
87.実質的に結晶性のp-トルエンスルホン酸形態Aとしての(すなわち、化合物Iの15%未満が、非晶質形態である、化合物Iの10%未満が、非晶質形態である、化合物Iの5%未満が非晶質形態である)、化合物I。
88.化合物Iが、100%結晶性のp-トルエンスルホン酸形態Aである、実施形態1に記載の化合物I。
89.実質的に純粋な化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
90.3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び/又は10.7±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
91.3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
92.3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
93.(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
94.(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
95.(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
96.(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
97.(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
98.(a)3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、及び10.7±0.2度シータのシグナル、並びに(b)9.4±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
99.3.8±0.2度シータ、8.4±0.2度シータ、9.4±0.2度シータ、10.7±0.2度シータ、18.9±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
100.
図8に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態87~89のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
101.
図9に実質的に類似するTGAデータによって特徴付けられた、実施形態87~100のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
102.
図10に実質的に類似するDSC分析によって特徴付けられた、実施形態87~101のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
103.化合物I遊離酸を酢酸イソプロピル中のp-トルエンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物I p-トルエンスルホン酸結晶形態Aを得ることを含むプロセスによって調製された、実施形態87~102のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A。
104.実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを含み、任意選択的に1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、医薬組成物。
105.1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、又は
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III若しくは化合物III-d、である、実施形態104に記載の医薬組成物。
106.嚢胞性線維症の治療に使用するための、実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A、又は実施形態104若しくは105に記載の医薬組成物。
107.嚢胞性線維症の治療のための医薬品の製造における、実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A、又は実施形態104若しくは105に記載の組成物の、使用。
108.実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態A、又は実施形態104若しくは105の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
109.実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aが、少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物と組み合わせて投与される、実施形態106に記載の使用のための化合物、実施形態107に記載の使用、又は実施形態108に記載の方法。
110.実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aが、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III、又は
c.(i)化合物II及び(ii)化合物III-d、と組み合わせて投与される、実施形態109に記載の組成物、使用、又は方法。
111.化合物II及び/又は化合物IIIが、固体分散体の形態にある、実施形態105に記載の組成物、又は実施形態110に記載の化合物、使用、若しくは方法。
112.化合物I遊離酸を酢酸イソプロピル中のp-トルエンスルホン酸とビーズ粉砕し、真空下で乾燥させて、化合物I p-トルエンスルホン酸結晶形態Aを得ることを含む、実施形態87~103のいずれか1つに記載の化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを調製する方法。
113.実質的に結晶性のマグネシウム塩形態Aとしての(すなわち、化合物Iの15%未満が、非晶質形態である、化合物Iの10%未満が、非晶質形態である、化合物Iの5%未満が非晶質形態である)、化合物I。
114.化合物Iが、100%結晶性のマグネシウム塩形態Aである、実施形態1に記載の化合物I。
115.実質的に純粋な化合物Iマグネシウム塩形態A。
116.4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び/又は14.6±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
117.4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び/14.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
118.4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
119.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
120.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
121.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
122.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの1つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
123.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの2つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
124.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの3つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
125.(a)4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、及び14.6±0.2度シータのシグナル、並びに(b)10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのうちの4つ以上のシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
126.4.3±0.2度シータ、9.9±0.2度シータ、10.4±0.2度シータ、14.3±0.2度シータ、14.6±0.2度シータ、18.1±0.2度シータ、19.8±0.2度シータ、及び20.1±0.2度シータのシグナルを有するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
127.
図11に実質的に類似するX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられた、実施形態113~115のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
128.
図12に実質的に類似するTGAデータによって特徴付けられた、実施形態113~127のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
129.
図13に実質的に類似するDSC分析によって特徴付けられた、実施形態113~128のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
130.化合物I遊離酸を、1,4-ジオキサン及び水の混合物中の塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムとスラリー化し、混合物を凍結乾燥させ、アセトン及び水を添加し、周囲温度~40℃で混合物を温度循環させ、固体を濾過し、真空下で乾燥させて、化合物Iマグネシウム塩形態Aを得ることを含むプロセスによって調製された、実施形態113~129のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A。
131.実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態Aを含み、任意選択的に1つ以上の追加のCFTR調節化合物を更に含む、医薬組成物。
132.1つ以上の追加のCFTR調節化合物が、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、又は
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III若しくは化合物III-d、である、実施形態131に記載の医薬組成物。
133.嚢胞性線維症の治療に使用するための、実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A、又は実施形態131若しくは132に記載の医薬組成物。
134.嚢胞性線維症の治療のための医薬品の製造における、実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A、又は実施形態131若しくは132に記載の組成物の、使用。
135.実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態A、又は実施形態131若しくは132の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
136.実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態Aが、少なくとも1つの追加のCFTR調節化合物と組み合わせて投与される、実施形態133に記載のための使用の化合物、実施形態134に記載の使用、又は実施形態135に記載の方法。
137.実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態Aが、
a.(a)化合物III若しくは化合物III-d、
b.(i)化合物II及び(ii)化合物III、又は
c.(i)化合物II及び(ii)化合物III-d、と組み合わせて投与される、実施形態136に記載の組成物、使用、又は方法。
138.化合物II及び/又は化合物IIIが、固体分散体の形態にある、実施形態132に記載の組成物、又は実施形態137に記載の化合物、使用、若しくは方法。
139.実施形態113~130のいずれか1つに記載の化合物Iマグネシウム塩形態Aを調製する方法であって、化合物I遊離酸を、1,4-ジオキサン及び水の混合物中の塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムとスラリー化し、混合物を凍結乾燥させ、アセトン及び水を添加し、周囲温度~40℃で混合物を温度循環させ、固体を濾過し、真空下で乾燥させて、結晶性の化合物Iマグネシウム塩形態Aを得ることを含む、方法。
【0127】
化合物及び形態を調製する方法
一般的実験手順
以下の実施例のある特定の略語の定義を下に要約する。
【表A】
【0128】
化合物II、III、III-d、及びIVは、当該技術分野、例えば、PCT公開第2011/133751号、同第2011/133951号、同第2015/160787号及び米国特許第8,865,902号における任意の好適な方法によって調製され得る。
【0129】
固体NMR実験(全ての結晶形態に適用される): Bruker-Biospin 4mm HFXプローブを備えたBruker-Biospin 400MHzワイドボア分光計を使用した。試料を、4mmのローターに充填し、12.5kHzの典型的なスピン速度を含む磁気角度スピニング(MAS)条件下でスピンした。プロトン緩和時間を、1H MAS T1飽和回復緩和実験から推定し、13C交差分極(CP)MAS実験の適切なリサイクル遅延を設定するために使用した。CPMAS実験のCP接触時間を、2msに設定した。直線ランプ(50%~100%)を有するCPプロトンパルスを用いた。アダマンタンの炭素共鳴を29.5ppmに設定するように磁界を調整することによって、全てのスペクトルを外部から参照した。TPPM15プロトンデカップリング配列を、およそ100kHzの電界強度で使用した。
【実施例】
【0130】
実施例1:(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオン(化合物I)の合成
試薬及び出発物質は、特に明記しない限り、商業的供給源によって得られ、精製することなく使用した。
【0131】
プロトン及び炭素NMRスペクトル(実施例1に適用されるような)を、それぞれ、400及び100MHzの
1H及び
13C共振周波数で動作するBruker Biospin DRX 400MHz FTNMR分光計、又は300MHz NMR分光計のいずれかで取得した。1次元プロトン及び炭素スペクトルは、それぞれ、0.1834及び0.9083Hz/Ptのデジタル分解能で20Hzの試料回転でブロードバンド観察(BBFO)プローブを使用して取得した。全てのプロトン及び炭素スペクトルは、標準的な、以前に公開されたパルスシーケンス及びルーチン処理パラメータを使用して、30℃での温度制御で取得した。
パートA:2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸の合成
【化7】
ステップ1:7-(ブロモメチル)ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン
【化8】
【0132】
1000mLの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、冷却浴、添加漏斗、J-Kem温度プローブ、及び窒素吸気口/排気口を装着した。この容器に、窒素雰囲気下で、トリフェニルホスフィン(102.7mL、443.2mmol)及びジクロロメタン(1L)を充填し、これにより、透明な無色の溶液を得た。撹拌を開始し、冷却浴にアセトンを充填した。-15℃のポット温度が得られるまでドライアイスを冷却浴に少量ずつに分けて添加した。添加漏斗に臭素(22.82mL、443.0mmol)のジクロロメタン(220mL、10mL/g)溶液を充填し、その後、これを1時間にわたって滴加した。ポット温度を-15℃に維持するために、添加中にドライアイスを冷却浴に少量ずつに分けて添加した。臭素の添加が完了した後、淡黄色の懸濁液を-15℃で15分間撹拌し続け、その時点で、懸濁液を-30℃に冷却した。添加漏斗に、ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルメタノール(50g、402.6mmol)、ピリジン(35.82mL、442.9mmol)、及びジクロロメタン(250mL、5mL/g)の溶液を充填した。次いで、ポット温度を-30℃に維持しながら、透明な淡黄色の溶液を1.5時間にわたって滴加した。結果として生じた透明な淡黄色の反応混合物を、-5℃のポット温度に徐々に加温させ、次いで、-5℃で1時間撹拌し続けた。次いで、反応混合物をヘキサン(2000mL)中に注ぎ、これにより、沈殿物が形成された。懸濁液を室温で30分間撹拌し、次いで、20mmのセライト層を有するガラスフリットブフナー漏斗に通して濾過した。透明な濾液を減圧下で濃縮して(水浴温度20℃)、黄色の油を得たが、いくらかの沈殿物が存在した。油をいくらかのヘキサンで希釈し、室温で15分間静置させ、次いで、20mmのセライト層を有するガラスフリットブフナー漏斗に通して濾過した。透明な濾液を減圧下で濃縮して(水浴温度20℃)、透明な黄色の油として7-(ブロモメチル)ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン(70g、93%)を得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 3.49(d,J=7.5Hz,2H),1.90(t,J=7.5Hz,1H),1.06-0.84(m,4H),0.71(ddd,J=9.1,5.1,4.0Hz,2H),0.54(dddd,J=8.6,4.8,3.8,1.0Hz,2H).
ステップ2:2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルアセトニトリル
【化9】
【0133】
1000mLの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、二次格納容器として使用した冷却浴、J-Kem温度プローブ、及び窒素吸気口/排気口を装着した。この容器に、窒素雰囲気下で、7-(ブロモメチル)ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン(35g、187.1mmol)及びジメチルスルホキシド(245mL)を充填し、これにより、透明な琥珀色の溶液を得た。撹拌を開始し、ポット温度を19℃で記録した。次いで、容器にシアン化ナトリウム(11.46g、233.8mmol)を充填し、固体として一度に添加し、これにより、濃色の溶液が生じ、15分間にわたって徐々に発熱して49℃になった。数分後、ポット温度が低下し始め、混合物を室温で一晩(約15時間)撹拌し続けた。濃色の反応混合物を氷冷飽和炭酸ナトリウム溶液(500mL)でクエンチし、次いで、分液漏斗に移し、ジエチルエーテル(500mL)で分配した。有機層を除去し、残りの水層をジエチルエーテル(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層を水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(200g)で乾燥させ、次いで、ガラスフリットブフナー漏斗に通して濾過した。透明な琥珀色の濾液を減圧下で濃縮して(水浴温度20℃)、透明な濃琥珀色の油として2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルアセトニトリル(21g、84%)を得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 2.42(d,J=6.6Hz,2H),1.69(t,J=6.6Hz,1H),1.02-0.88(m,4H),0.79-0.70(m,2H),0.66-0.55(m,2H).
ステップ3:2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル酢酸
【化10】
【0134】
2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルアセトニトリル(2.1g、14.19mmol)のEtOH(32mL)溶液に、水酸化ナトリウム(5.12g、128.0mmol)、続いて、水(13mL)を添加し、結果として生じた溶液を撹拌し、一晩にわたって70℃に加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。6N塩酸を添加して水相をpH1に調整し(濁った沈殿物が生じた)、ジエチルエーテル(3回)で抽出した。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮して、オレンジ色の固体として2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル酢酸(2.19g、99%収率、98%純度)を得て、これを更に精製することなく次のステップに使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 2.44(d,J=6.9Hz,2H),1.67(t,J=6.9Hz,1H),0.91(ddd,J=9.0,5.2,3.9Hz,2H),0.81(dddd,J=8.9,5.2,3.9,0.5Hz,2H),0.69(ddd,J=8.9,5.2,3.9Hz,2H),0.56-0.44(m,2H).
ステップ4:2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエタノール
【化11】
【0135】
氷/水浴中で冷却したテトラヒドロフラン(33.71mL)中に溶解した水素化アルミニウムリチウム(827.4mg、902.3μL、21.80mmol)に、テトラヒドロフラン(7.470mL)中2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル酢酸(2.552g、16.77mmol)を15分間にわたって滴加し、反応温度を20℃未満に保った。混合物を合計18時間撹拌させ、周囲温度に徐々に加温した。混合物を氷/水浴で冷却し、水(838.4mg、838.4μL、46.54mmol)、続いて、水酸化ナトリウム(1.006mLの5M、5.031mmol)、次いで、水(2.493g、2.493mL、138.4mmol)を緩徐に添加して順次にクエンチし、白色の粒状スラリーを得て、これをセライトで濾過した。濾過した固体をジエチルエーテルで洗浄した。濾液を約300ミリバールの真空中及び30℃の水浴中で濃縮した。残渣をジエチルエーテルで希釈し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、約300ミリバールの真空中及び30℃の水浴中で濃縮し、続いて、約30秒間の真空下で、
2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエタノール(2.318g、100%)を得て、これを更に精製することなく、その後のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 3.64(s,2H),1.68(d,J=6.7Hz,2H),1.39(s,1H),1.31(s,1H),0.82(d,J=14.0Hz,4H),0.65(s,2H),0.50(d,J=3.6Hz,2H).
ステップ5:3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-カルボン酸tert-ブチル
【化12】
【0136】
5-オキソ-1H-ピラゾール-2-カルボン酸tert-ブチル(2.942g、15.97mmol)及び2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエタノール(2.318g、16.77mmol)のテトラヒドロフラン(36.78mL)溶液に、トリフェニルホスフィン(4.399g、16.77mmol)を添加した。混合物にアゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.391g、3.302mL、16.77mmol)を10分間にわたって緩徐に滴加した(軽度の発熱が認められた)。反応混合物を室温で30分間、次いで、50℃で30分間撹拌した。テトラヒドロフランを真空中で除去した。粗残渣にトルエン(23.54mL)を添加し、混合物を一晩撹拌し、沈殿物が徐々に結晶化した。セライトでスラリー化し、次いで、沈殿物を濾去し、トルエン(8.705mL)で洗浄し、トルエン(8.705mL)で再度洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。粗生成物を、100%ヘキサンから100%酢酸エチルへの緩やかな勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-カルボン酸tert-ブチル(3.449g、71%)を得た。ESI-MS m/z計算値304.17868、実測値305.1(M+1)
+;保持時間:0.82分(LC法A).
ステップ6: 3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)-1H-ピラゾール
【化13】
【0137】
3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-カルボン酸tert-ブチル(5.304g、17.43mmol)をトリフルオロ酢酸(29.81g、20.14mL、261.4mmol)とともにジクロロメタン(53.04mL)中に溶解し、反応物を室温で120分間撹拌した。反応物を蒸発させ、結果として生じた油を酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム溶液との間に分配し、層を分離した。水性部分を酢酸エチルで更に2回抽出し、次いで、有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、油として3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)-1H-ピラゾール(3.56g、100%)を得た。ESI-MS m/z計算値204.12627、実測値205.1(M+1)
+;保持時間:0.59分(LC法A).
ステップ7:2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【化14】
【0138】
2,6-ジクロロピリジン-3-カルボン酸tert-ブチル(4.322g、17.42mmol)、3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)-1H-ピラゾール(3.559g、17.42mmol)、及び炭酸カリウム(2.891g、20.92mmol)を無水ジメチルスルホキシド(71.18mL)中で合わせた。1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(391.1mg、3.487mmol)を添加し、混合物を窒素下室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(136.9mL)で希釈し、15分間撹拌した。結果として生じた白色の固体を濾過し、水で洗浄した。固体をジクロロメタン中に溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。混合物を濾過し、蒸発させて、白色の固体として2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸tert-ブチル(5.69g、79%)を得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.35(d,J=2.9Hz,1H),8.18(d,J=8.4Hz,1H),7.69(d,J=8.4Hz,1H),5.94(d,J=2.9Hz,1H),4.25(s,2H),1.90(d,J=6.8Hz,2H),1.62(s,9H),1.49(t,J=6.6Hz,1H),0.85(d,J=1.5Hz,4H),0.65(d,J=1.5Hz,2H),0.52(d,J=1.1Hz,2H). ESI-MS m/z計算値415.16626、実測値360.0(M-tBu)+;保持時間:2.09分(LC法B).
ステップ8: 2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸
【化15】
【0139】
2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸tert-ブチル(5.85g、14.07mmol)をトリフルオロ酢酸(16.26mL、211.1mmol)とともにジクロロメタン(58.5mL)中に溶解し、反応物を室温で16時間撹拌した。反応物を蒸発させ、結果として生じた固体にエーテルを添加し、次いで、エーテルを減圧下で除去した。このエーテルからの蒸発を更に2回繰り返して、白色の固体で2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸(5.06g、100%)を得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.41(d,J=8.5Hz,1H),8.37(d,J=2.9Hz,1H),7.75(d,J=8.5Hz,1H),5.97(d,J=2.9Hz,1H),4.27(s,2H),1.91(d,J=6.7Hz,2H),1.50(s,1H),0.85(d,J=1.5Hz,4H),0.71-0.62(m,2H),0.52(d,J=1.1Hz,2H). ESI-MS m/z計算値359.10367、実測値360.2(M+1)
+;保持時間:2.16分(LC法B).
パートB:(4S)-2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化16】
ステップ1:(E)-(2-オキソテトラヒドロピラン-3-イリデン)メタノラート(ナトリウム塩)
【化17】
【0140】
5Lの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、加熱マントル、添加漏斗、J-Kem温度プローブ/制御器及び窒素入口/出口を装着した。容器に、窒素雰囲気下で水素化ナトリウム(60%w/wの59.91g、1.498mol)、続いてヘプタン(1.5L)を充填し、灰色の懸濁液を得た。撹拌を開始し、ポット温度を19℃で記録した。次いで、シリンジによって添加したエチルアルコール(3.451g、74.91mmol)を容器に充填すると、ガスが発生した。添加漏斗に、テトラヒドロピラン-2-オン(150g、1.498mol)及びギ酸エチル(111g、1.50mol)の透明な淡黄色の溶液を充填した。溶液を1時間にわたって滴加し、ガス発生をもたらし、徐々に発熱して45℃になった。次いで、結果として生じた濃い白色の懸濁液を65℃に2時間加熱し、次いで、室温に冷却させた。混合物を室温で一晩(約10時間)撹拌し続けた。反応混合物を、窒素流下で、ガラスフリットブフナー漏斗(中程度の多孔性)を通して真空濾過した。濾過ケーキをヘプタン(2×250mL)で置換洗浄し、数分間吸引した。わずかにヘプタンで湿ったケーキをガラストレイに移し、真空オーブン中で、45℃で15時間乾燥させて、所望の生成物、(E)-(2-オキソテトラヒドロピラン-3-イリデン)メタノラート(ナトリウム塩)として白色の固体(205g、1.36mol、91%収率)を得た。
ステップ2:3-メチレンテトラヒドロピラン-2-オン
【化18】
【0141】
5Lの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、加熱マントル、添加漏斗、J-Kem温度プローブ/制御器及び窒素入口/出口を装着した。この容器に、窒素雰囲気下で、(E)-(2-オキソテトラヒドロピラン-3-イリデン)メタノラート(ナトリウム塩)(205g、1.366mol)(205g、1.366mol)及びテトラヒドロフラン(1640mL)を充填し、これにより、白色の懸濁液を得た。撹拌を開始し、ポット温度を19℃で記録した。次いで、一度に固体として添加したパラホルムアルデヒド(136.6g、4.549mol)を容器に充填した。得られた懸濁液を63℃に加熱し、条件を15時間維持した。加熱すると、反応混合物はわずかにゼラチン質になった。白色ゼラチン質の混合物を減圧下で濃縮して、テトラヒドロフランのほとんどを除去した。残っている残留物を、分液漏斗中に酢酸エチル(1000mL)、飽和塩化ナトリウム(500mL)、及び飽和炭酸水素ナトリウム(500mL)で分配した。有機物を除去し、残留水溶液を酢酸エチル(5×300mL)で抽出した。合わせた有機物を、硫酸ナトリウム(500g)上で乾燥させ、次いで、20mmのセライト層を有するガラスフリットブフナー漏斗を通して真空濾過した。濾過ケーキを酢酸エチル(250mL)で置換洗浄した。透明な濾液を減圧下で濃縮して、所望の粗生成物として透明な淡黄色の油(135g)を得た。この物質を、1時間にわたる100%ヘキサンからヘキサン中60%酢酸エチルへの勾配で溶出するシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(液体ロード)により精製し、450mLの画分を収集した。生成物を、3:1のヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのTLC分析によって検出し、UV下で可視化した。生成物画分を合わせ、減圧下で濃縮して、所望の生成物、3-メチレンテトラヒドロピラン-2-オンとして透明な無色の油(132g、1.18mol、72%収率、NMRにより16重量%の残留酢酸エチル含有)を得た。1
H NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド-d6)δ 6.18(q,J=1.9Hz,1H),5.60(q,J=1.9Hz,1H),4.40-4.26(m,2H),2.61(ddt,J=7.0,6.3,2.0Hz,2H),1.90-1.75(m,2H).
ステップ3:3-(2-メチル-2-ニトロ-プロピル)テトラヒドロピラン-2-オン
【化19】
【0142】
5000mLの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、二次格納容器として使用した冷却浴、J-Kem温度プローブ、添加漏斗、及び窒素吸気口/排気口を装着した。容器に、窒素雰囲気下で2-ニトロプロパン(104.9g、1.177mol)を充填した。撹拌を開始し、ポット温度を19℃で記録した。次いで、容器に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(22.41g、147.2mmol)を一度にそのままで添加して充填し、透明な淡黄色の溶液を得た。発熱は観察されなかった。添加漏斗に、アセトニトリル(1100mL)中の3-メチレンテトラヒドロピラン-2-オン(110g、981.0mmol)の溶液を1時間にわたって滴加して充填し、透明な淡黄色の溶液を得、徐々に発熱して24℃になった。反応混合物を、室温で3.5時間撹拌し続け、次いで減圧下で濃縮した。残りの残留物をジクロロメタン(1000mL)中に溶解し、1モルのクエン酸溶液/飽和塩化ナトリウム溶液の3:2混合物500mLで分配した。結果として生じた有機相は、透明な淡青色の溶液であり、水相は、わずかに濁った非常に淡い青色の溶液であった。有機層を除去し、残りの水層をジクロロメタン(300mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(250g)で乾燥させ、次いで、ガラスフリットブフナー漏斗に通して濾過した。濾液を減圧下で約200mLの体積まで濃縮した。透明な淡い青色のジクロロメタン溶液をメチルtert-ブチルエーテル(1500mL)で希釈し、濁った溶液を減圧下で約200mLの体積まで濃縮し、懸濁液を得た。混合物を再びメチルtert-ブチルエーテル(1500mL)で希釈し、減圧下で約250mLの体積まで濃縮した。得られた懸濁液を、一晩(約12時間)室温で静置させた。固体をガラスフリットブフナー漏斗内での真空濾過により収集し、濾過ケーキを冷メチルtert-ブチルエーテル(2×150mL)で置換洗浄し、次いで、30分間吸引した。この物質を更に真空オーブン中で、45℃で5時間乾燥させて、所望の生成物、3-(2-メチル-2-ニトロ-プロピル)テトラヒドロピラン-2-オンとして白色の固体(160g、0.795mol、81%収率)を得た。
1H NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド-d
6)δ 4.34(ddd,J=11.1,9.3,4.3Hz,1H),4.20(dt,J=11.1,5.1Hz,1H),2.75-2.62(m,1H),2.56(dd,J=14.9,5.2Hz,1H),2.01-1.89(m,2H),1.89-1.67(m,2H),1.55(d,J=6.0Hz,6H),1.44(dddd,J=12.8,11.5,8.1,6.6Hz,1H).
ステップ4:3-(3-ヒドロキシプロピル)-5,5-ジメチル-ピロリジン-2-オン
【化20】
【0143】
1000mLの三つ口丸底フラスコに、Teflon(登録商標)撹拌棒、加熱マントル、J-Kem温度プローブ/コントローラ、及びゴムセプタムを装着した。容器に、3-(2-メチル-2-ニトロ-プロピル)テトラヒドロピラン-2-オン(25g、124.2mmol)及びエチルアルコール(375mL)を充填し、白色懸濁液を得た。撹拌を開始し、懸濁液を40℃に10分間加熱し、透明な無色の溶液を得た。次いで、容器にガス分散チューブを装着し、溶液を15分間にわたって窒素で脱気した。次いで、容器にラネーニッケル(8.019gの50w/w%、68.31mmol)を充填し、次いで、容器にセプタムを装着した。容器を排気し、水素雰囲気下に置いた。このプロセスを3サイクル繰り返した。次いで、容器を1雰囲気の水素下に置き、反応混合物を徐々に60℃に加熱した。反応物を、60℃で24時間撹拌した。室温に冷却した後、容器にガス分散チューブを装着し、反応混合物を15分間にわたって窒素で脱気した。混合物を、20mmのセライト層を有するガラスフリットブフナー漏斗に通して真空濾過した。濾過ケーキをエタノール(2×100mL)で置換洗浄し、わずかにエチルアルコールが湿潤するまで吸引し、次いで水で湿らせ、使用したラネーニッケル触媒を水中に捨てた。透明な淡い琥珀色の濾液を減圧下で濃縮して、透明な粘性の淡い琥珀色の油を得た。油をメチルtert-ブチルエーテル(1500mL)で希釈し、濁った溶液を、約150mLの体積まで減圧下で濃縮して懸濁液を得た。混合物を再びメチルtert-ブチルエーテル(1500mL)で希釈し、減圧下で約150mLの体積まで濃縮した。得られた懸濁液を、一晩(約12時間)室温で静置させた。固体を、ガラスフリットブフナー漏斗内で真空濾過によって収集し、濾過ケーキを、冷たいメチルtert-ブチルエーテル(2×50mL)で置換洗浄し、次いで30分間吸引した。この物質を、45℃において3時間、真空オーブン中で更に乾燥させて、生成物、3-(3-ヒドロキシプロピル)-5,5-ジメチル-ピロリジン-2-オンとして白色の固体(19g、0.111mol、89%収率)を得た。
1H NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド-d
6)δ7.63(s,1H),3.38(t,J=6.5Hz,2H),2.37(tdd,J=9.8,8.5,4.4Hz,1H),2.02(dd,J=12.3,8.6Hz,1H),1.72(tdd,J=9.6,7.5,4.4Hz,1H),1.52-1.32(m,3H),1.28-1.03(m,7H)。
ステップ5: 3-(5,5-ジメチルピロリジン-3-イル)プロパン-1-オール
【化21】
【0144】
5Lの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、加熱マントル、添加漏斗、J-Kem温度プローブ/制御器及び窒素入口/出口を装着した。容器に、水素化アルミニウムリチウムペレット(19.39g、510.9mmol)を窒素雰囲気下で充填した。次いで容器にテトラヒドロフラン(500mL、20mL/g)を充填した。撹拌を開始し、ポット温度を20℃で記録した。混合物を室温で0.5時間撹拌させ、ペレットを溶解させた。得られた灰色懸濁液のポット温度を24℃で記録した。添加漏斗に、テトラヒドロフラン(500mL)中の3-(3-ヒドロキシプロピル)-5,5-ジメチル-ピロリジン-2-オン(25g、146.0mmol)の溶液を充填し、透明な淡黄色の溶液を90分にわたって滴加した。均質性を達成するために、わずかな加熱が必要であった。添加完了後、得られた灰色懸濁液のポット温度を24℃で記録した。次いで、混合物を65℃のポット温度に加熱し、条件を72時間維持した。この時点での反応混合物の分析により、いくらかの残留出発材料が依然として残っており、生成物形成に変化がなかったことが示された。反応はその後、この時点で停止した。加熱マントルを取り外し、容器に冷却浴を取り付けた。懸濁液を粉砕した氷/水冷却浴で0℃に冷却し、次いで水(19.93mL)の非常にゆっくりとした滴加によってクエンチし、続いて15重量%の水酸化ナトリウム溶液(19.93mL)を添加し、次いで最後に水(59.79mL)でクエンチした。得られた白色懸濁液のポット温度を5℃で記録した。冷却浴を取り外し、容器に再び加熱マントルを取り付けた。懸濁液を60℃に加温し、その条件を30分間維持した。温かい懸濁液を、20mmのセライト層を有するガラスフリットブフナー漏斗を通して真空濾過した。次いで、濾過ケーキを60℃のテトラヒドロフラン(2×250mL)で置換洗浄し、次いで30分間吸引した。透明な濾液を減圧下で濃縮して、所望の生成物、3-(5,5-ジメチルピロリジン-3-イル)プロパン-1-オールとして透明な淡黄色の粘性油(23.5g、0.149mol、99%収率)を得た。
1H NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド-d
6)δ3.37(dt,J=8.3,6.4Hz,3H),2.95(dd,J=10.6,7.6Hz,1H),2.40(dd,J=10.7,7.7Hz,1H),2.04(dt,J=16.1,8.1Hz,1H),1.69(dd,J=12.2,8.2Hz,1H),1.50-1.24(m,5H),1.11-0.94(m,7H)。
ステップ6:4-(3-ヒドロキシプロピル)-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化22】
【0145】
1Lの三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌器、冷却浴、添加漏斗、J-Kem温度プローブ、及び窒素入口/出口を装着した。容器に、3-(5,5-ジメチルピロリジン-3-イル)プロパン-1-オール(15g、95.39mmol)及びジクロロメタン(225mL、15mL/g)を窒素雰囲気下で充填し、透明な淡黄色の溶液を得た。撹拌を開始し、ポット温度を19℃で記録した。冷却浴に粉砕した氷/水を充填し、ポット温度を0℃に下げた。添加漏斗にトリエチルアミン(12.55g、124.0mmol)を充填し、続いて5分にわたって均一に滴加した。発熱は観察されなかった。次いで添加漏斗に、ジクロロメタン(225mL)中に溶解した二炭酸ジ-tert-ブチル(22.89g、104.9mmol)を充填した。次いで透明な淡黄色の溶液を30分にわたって滴加し、穏やかなガス発生が生じた。発熱は観察されなかった。冷却浴を除去し、結果として生じた透明な薄黄色の溶液を室温に加温させ、室温で3時間撹拌し続けた。反応混合物を分液漏斗に移し、水(75mL)で分配した。有機物を除去し、飽和塩化ナトリウム溶液(75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(150g)上で乾燥させ、次いでガラスフリットブフナー漏斗を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、所望の粗生成物として透明な淡黄色の油(30g)を得た。この物質を、ジクロロメタン中の100%ジクロロメタンからジクロロメタン中の10%メチルアルコールの勾配で60分にわたって溶出するシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタンによる液体充填)により精製して50mLの画分を収集した。所望の生成物画分を合わせ、減圧下で濃縮して、4-(3-ヒドロキシプロピル)-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(22g、0.0855mol、90%収率)を透明な淡黄色の粘性油として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6
6)δ4.38(td,J=5.2,1.4Hz,1H),3.54(dt,J=10.3,6.7Hz,1H),3.38(td,J=6.6,3.5Hz,2H),2.76(q,J=10.3Hz,1H),2.07(td,J=11.6,5.7Hz,1H),1.87(ddd,J=16.7,12.1,6.0Hz,1H),1.37(dd,J=14.2,10.4Hz,17H),1.24(s,3H)。
ステップ7:2,2-ジメチル-4-(3-メチルスルホニルオキシプロピル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化23】
【0146】
4-(3-ヒドロキシプロピル)-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(50.5g、196.22mmol)及びトリエチルアミン(39.711g、54.698mL、392.44mmol)をジクロロメタン(500mL)中に溶解し、結果として生じた溶液を氷水浴中で30分間冷やした。塩化メシル(24.725g、16.706mL、215.84mmol)を30分間にわたって滴加し、次いで、氷浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)でクエンチした。相を分離し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)及び水(2×100mL)で抽出した。水相を捨て、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、2,2-ジメチル-4-(3-メチルスルホニルオキシプロピル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(64.2g、93%)を淡黄色の油として得た。ESI-MS m/z計算値335.1766、実測値336.4(M+1)
+;保持時間:5.54分(LC法Q).
ステップ8:4-(3-アミノプロピル)-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化24】
【0147】
2,2-ジメチル-4-(3-メチルスルホニルオキシプロピル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(64.2g、191.38mmol)をジオキサン(650mL)中に溶解し、次いで、水酸化アンモニウム(650mL)を添加し、結果として生じた混合物を18時間にわたって45℃に加熱した。18時間後、反応物を室温に冷却した。溶液を1M水酸化ナトリウム(200mL)で希釈し、次いでジエチルエーテル(3×650mL)で抽出した。水相を捨て、合わせた有機相を水(2×200mL)で抽出した。水相を捨て、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、4-(3-アミノプロピル)-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(48.9g、95%)を淡黄色の油として得た。ESI-MS m/z計算値256.2151、実測値257.3(M+1)
+;保持時間:3.70分(LC法Q).
ステップ9:2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化25】
【0148】
ジメチルスルホキシド(75mL)中の4-(3-アミノプロピル)-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(8.91g、34.8mmol)及び6-フルオロピリジン-2-スルホンアミド(6.13g、34.8mmol)に、炭酸カリウム(4.91g、35.5mmol)を添加し、混合物を100℃で12時間撹拌し、次いで周囲温度に冷却し、更に4時間(合計16時間)撹拌した。反応混合物を、水(200mL)中の塩酸(1Mの35mL、35.00mmol)にゆっくりと注ぎ(いくらか泡立つ)、酢酸エチル(250mL)で希釈した。有機相を分離し、100mLのブラインで洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、セライト上で濾過し、真空中で濃縮して、暗黄色の油を得た。粗生成物を、ヘキサン中の0%~100%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。純粋物(9.0g)及び不純物(3g)の両方の画分を収集した。ヘキサン中の0%~100%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって不純物画分を精製して、全体で、2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(10.0g、69%)を得た。
1H NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド-d
6)δ7.52(dd,J=8.5,7.2Hz,1H),7.07(s,2H),6.95(dd,J=7.2,0.7Hz,2H),6.61(d,J=8.5Hz,1H),3.55(q,J=9.1Hz,1H),3.32-3.24(m,2H),2.79(q,J=10.0Hz,1H),2.13(d,J=16.1Hz,1H),1.96-1.82(m,1H),1.51(dt,J=18.0,9.3Hz,2H),1.37(dd,J=12.9,10.6Hz,15H),1.24(s,3H)。ESI-MS m/z計算値412.21442、実測値413.1(M+1)
+;保持時間:2.34分(LC法D).
ステップ10:(4S)-2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化26】
【0149】
ラセミ体2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(7g、16.97mmol)を、11.0分にわたって70mL/分で40%メタノール/60%二酸化炭素移動相(注入量=メタノール中の32mg/mL溶液の500μL)を用いてChiralPak IG(250×21.2mmカラム、5μm粒径)を使用してSFCクロマトグラフィーによるキラル分離に供して、第1のピークとして溶出する(4S)-2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(3.4481g、99%)を得た。ESI-MS m/z計算値412.21442、実測値413.2(M+1)
+;保持時間:0.63分(LC法A).
パートC:(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオン(化合物I)の合成
【化27】
ステップ1:(4S)-4-[3-[[6-[[2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボニル]スルファモイル]-2-ピリジル]アミノ]プロピル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【化28】
【0150】
2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボン酸(5.2g、14.45mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液にカルボニルジイミダゾール(2.8g、16.51mmol)を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。この混合物に、テトラヒドロフラン(15mL)中(4S)-2,2-ジメチル-4-[3-[(6-スルファモイル-2-ピリジル)アミノ]プロピル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6.0g、14.54mmol)、続いて、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(6.5mL、43.47mmol)を添加し、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応物を水(150mL)で希釈し、混合物を塩酸水溶液(15mLの6M、90.00mmol)で酸性化した。混合物を酢酸エチル(300mL)で抽出し、有機相を分離した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、セライト上で濾過し、真空中で濃縮して、白色の沈殿物を得た。沈殿物をアセトニトリルでスラリー化し、中型ガラスフリットを使用した濾過により固体を収集し、アセトニトリルで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、黄色の油を得た。粗油をアセトニトリル及びいくらかのN-メチル-2-ピロリドンで希釈し、415gの逆相C
18カラム上でクロマトグラフし、水中50%~100%のアセトニトリルで溶出して、(4S)-4-[3-[[6-[[2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボニル]スルファモイル]-2-ピリジル]アミノ]プロピル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(4.5g、41%)を得た。ESI-MS m/z計算値753.30756、実測値754.4(M+1)
+;保持時間:3.79分(LC法D).
ステップ2:2-クロロ-N-[[6-[3-[(3S)-5,5-ジメチルピロリジン-3-イル]プロピルアミノ]-2-ピリジル]スルホニル]-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボキサミド(トリフルオロ酢酸塩)
【化29】
【0151】
(4S)-4-[3-[[6-[[2-クロロ-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボニル]スルファモイル]-2-ピリジル]アミノ]プロピル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(5.9g、7.821mmol)のジクロロメタン(30mL)及びトルエン(15mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(6.0mL、77.88mmol)を添加し、混合物を周囲温度で18時間撹拌した。溶媒を、浴温度を45℃に設定して真空中で除去し、濃い黄色い油を得た。油をトルエン(125mL)で希釈し、溶媒を、浴温度を45℃に設定して真空中で除去した。油をトルエンで希釈し、溶媒を真空中で除去して、濃い粘性の黄色い油、2-クロロ-N-[[6-[3-[(3S)-5,5-ジメチルピロリジン-3-イル]プロピルアミノ]-2-ピリジル]スルホニル]-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボキサミド(トリフルオロ酢酸塩)(6.0g、100%)を得て、これを更に精製することなく、次のステップに使用した。ESI-MS m/z計算値653.2551、実測値654.3(M+1)
+;保持時間:2.6分(LC法B).
ステップ3:(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオン(化合物I)
【化30】
【0152】
2-クロロ-N-[[6-[3-[(3S)-5,5-ジメチルピロリジン-3-イル]プロピルアミノ]-2-ピリジル]スルホニル]-6-[3-(2-ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イルエトキシ)ピラゾール-1-イル]ピリジン-3-カルボキサミド(トリフルオロ酢酸塩)(6.0g、7.810mmol)のNMP(140mL)溶液に、炭酸カリウム(5.3g、38.35mmol)を添加した。混合物に窒素を5分間パージした。次いで、混合物を150℃で22時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(300mL)に添加し、オフホワイト色の固体沈殿物を得た。混合物を塩酸水溶液(12mLの6M、72.00mmol)で注意深く酸性化し、発泡スラリーを得た。中型ガラスフリットを使用した濾過により固体を収集した。湿潤フィルターケーキを酢酸エチル(500mL)中に溶解し、200mLのブラインで洗浄した。水相はわずかに混濁していたため、少量の6N塩酸で酸性化し、有機相に戻した。水相を分離し、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、淡黄色の油を得た。この粗生成物をアセトニトリルで希釈し、415gのC18逆相カラム上でクロマトグラフし、水中50%~100%のアセトニトリルで溶出した。生成物を、クリーム色の発泡体として単離した。発泡体を48時間45℃において真空中で乾燥させ、(14S)-8-[3-(2-{ジスピロ[2.0.2.1]ヘプタン-7-イル}エトキシ)-1H-ピラゾール-1-イル]-12,12-ジメチル-2λ6-チア-3,9,11,18,23-ペンタアザテトラシクロ[17.3.1.111,14.05,10]テトラコサ-1(22),5,7,9,19(23),20-ヘキサエン-2,2,4-トリオン(化合物I)(3.32g、68%)を得た。1H NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド-d6)δ 12.48(s,1H),8.20(d,J=2.8Hz,1H),7.81(d,J=8.2Hz,1H),7.57(dd,J=8.5,7.2Hz,1H),7.05(d,J=7.1Hz,1H),6.97(d,J=8.5Hz,1H),6.91(d,J=8.2Hz,1H),6.71(d,J=8.5Hz,1H),6.08(d,J=2.7Hz,1H),4.21(td,J=6.7,1.3Hz,2H),3.92(d,J=12.0Hz,1H),3.16(s,1H),2.95(d,J=13.3Hz,1H),2.78-2.66(m,1H),2.07(s,1H),1.92-1.72(m,4H),1.60(s,6H),1.51(s,3H),1.47(t,J=6.5Hz,1H),1.31(q,J=12.2Hz,1H),0.89-0.77(m,4H),0.69-0.61(m,2H),0.53-0.45(m,2H). ESI-MS m/z計算値617.27844、実測値618.4(M+1)+;保持時間:10.29分(LC法F).
【0153】
実施例2:化合物Iベンゼンスルホン酸形態A
およそ500mgの化合物I(遊離酸)を、15mLのビーズ粉砕バイアルに計量して入れた。1当量のベンゼンスルホン酸及び214μLのエタノールを添加した。調製物を5000rpmで、各間隔の間に10秒間の中断を伴い10×60秒間粉砕した。次いで、調製物を上記のように合計6サイクル粉砕し、XRPD及びTGA/DSCによって分析した。次いで固体を、周囲条件下でおよそ23時間、真空下で乾燥させて、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを得た。
【0154】
A.X線粉末回折
XRPD分析を、PIXcel検出器(128チャネル)を用いてPANalytical X’pert proで実施し、3~35°2θで試料を走査した。材料を穏やかに粉末状にして、いかなる凝集体も放出し、Kapton又はMylarポリマーフィルムを有するマルチウェルプレート上に装填して、試料を支持した。次いで、マルチウェルプレートを回折計に入れ、40kV/40mAの発電機設定を使用して、透過モード(ステップサイズ0.0130°2θ、ステップ時間18.87秒)で動作するCu K放射(α1 λ=1.54060Å、α2=1.54443Å、β=1.39225Å、α1:α2比=0.5)を使用して分析した。HighScore Plus 4.7デスクトップアプリケーション(PANalytical、2017)を使用して、データを可視化し、画像を生成した。
【0155】
化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのXRPDディフラクトグラムを
図1に提供し、XRPDデータを以下の表2に要約する。
【表2】
【0156】
B.熱重量分析(TGA)
およそ5~10mgの化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを、秤量された開放アルミニウムパンに添加し、TA Instruments Discovery SDT 650 Auto-Simultaneous DSCに装填し、室温で保持した。次いで試料を、10℃/分の速度で30℃から400℃に加熱し、その間、試料重量の変化を熱流応答(DSC)とともに記録した。窒素を200cm3/分の流量で、試料パージガスとして使用した。
【0157】
化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのTGAデータは、
図2に提供され、周囲温度から200℃までの約2%の重量損失を示す。
【0158】
C.示差走査熱量測定分析(DSC)
およそ1~5mgの化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aを、アルミニウムDSCパンに計量して入れ、アルミニウム蓋で非密封シールした。次いで試料パンを、RC90冷却器を備えたTA Instruments Discovery DSC 2500示差走査熱量計に装填した。試料及び参照を10℃/分の走査速度で300℃に加熱し、結果として生じる熱流応答を監視した。試料を20℃に再冷却し、次いで、再び205℃に再加熱した(全て10℃/分で)。窒素を50cm3/分の流量で、パージガスとして使用した。
【0159】
化合物Iベンゼンスルホン酸形態AのDSCデータは、
図3に提供され、75及び175℃で吸熱を示す。
【0160】
実施例3:化合物Iベンゼンスルホン酸形態B
およそ15mgの化合物I遊離酸/ベンゼンスルホン酸(1.05当量)を、2mLのビーズ粉砕バイアルに計量して入れた。5μLのTHF及び2~3個の金属ビーズを添加した。調製物を7500rpmで、各間隔の間に10秒間の中断を伴い5×60秒間粉砕した。固体を単離して、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Bを得た。
【0161】
A.X線粉末回折
XRPD分析を、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて記載したのと同じ手順に従って実施した。化合物Iベンゼンスルホン酸形態BのXRPDディフラクトグラムを
図4に提供し、XRPDデータを以下の表3に要約する。
【表3】
【0162】
B.熱重量/示差走査熱量測定分析
TGA/DSCを、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて上述したのと同じ手順に従って実施した。化合物Iベンゼンスルホン酸形態BのTGAデータは、
図5に提供され、周囲温度から150℃までのおよそ4%の重量損失、及びおよそ140℃の吸熱を示す。
【0163】
実施例4.化合物Iベンゼンスルホン酸形態C
およそ15mgの化合物I遊離酸/ベンゼンスルホン酸(1.05当量)を、2mLのビーズ粉砕バイアルに計量して入れた。5μLの酢酸イソプロピル及び2~3個の金属ビーズを添加した。調製物を7500rpmで、各間隔の間に10秒間の中断を伴い5×60秒間粉砕して、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Cを得た。
【0164】
A.X線粉末回折
XRPD分析を、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて記載したのと同じ手順に従って実施した。化合物Iベンゼンスルホン酸形態CのXRPDディフラクトグラムを
図6に提供し、XRPDデータを以下の表4に要約する。
【表4】
【0165】
B.熱重量/示差走査熱量測定分析
TGA/DSCを、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて上述したのと同じ手順に従って実施した。化合物Iベンゼンスルホン酸形態CのTGAデータは、
図7に提供され、周囲温度から162℃までのおよそ4%の重量損失を示し、およそ50℃の吸熱を示す。
【0166】
実施例5:化合物I p-トルエンスルホン酸形態A
およそ500mgの化合物I遊離酸を、15mLのビーズ粉砕バイアルに計量して入れた。1.05当量のp-トルエンスルホン酸を添加した。221μLの酢酸イソプロピルを添加した。調製物を5000rpmで、各間隔の間に10秒間の中断を伴い10×60秒間粉砕した。3サイクルを実施し、次いで、調製物を上記のように更に3サイクル粉砕した。次いで固体を、周囲温度においておよそ23時間、真空下で乾燥させて、化合物I p-トルエンスルホン酸形態Aを得た。
【0167】
A.X線粉末回折
XRPD分析を、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて記載したのと同じ手順に従って実施した。化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのXRPDディフラクトグラムを
図8に提供し、XRPDデータを以下の表5に要約する。
【表5】
【0168】
B.熱重量分析
TGAを、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて上述したのと同じ手順に従って実施した。化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのTGAデータは、
図9に提供され、周囲温度から200℃までのおよそ6%の重量損失を示す。
【0169】
C.示差走査熱量測定分析
DSCを、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて上述した手順に従って実施した。化合物I p-トルエンスルホン酸形態AのDSCデータは、
図10に提供され、71及び165℃で吸熱を示す。
【0170】
実施例6:化合物Iマグネシウム塩形態A
およそ1gの化合物I遊離酸を20バイアルに計量して入れた。水(10mL)を添加して、スラリーを生成した。塩化マグネシウム(0.53当量)及び水酸化ナトリウム(1.05当量)を、各々1mLの水中の溶液として添加した。50mLの水を添加した(かつDuranボトルに移した)。溶解は得られなかった。75mLの1,4-ジオキサンを添加して溶解を得て、1,4-ジオアン(dioane):水、59:41v/vを得た。溶液を凍結乾燥機のチャンバー内で凍結させ、約71時間凍結乾燥させた。得られた固体についてXRPD分析を実施した。2mLのアセトン及び2滴の水を添加して、スラリーを生成した。スラリーは最初に流動性であり、次いで、非流動性になることが観察された。更に1mLのアセトンを添加して、流動性スラリーを生成した。約3時間の温度サイクルの後、2mLのアセトンを添加して、流動性スラリーを維持した。調製物を約48時間、4時間サイクルで、周囲温度と40℃との間で温度循環させた。調製物を、グレード1の濾紙を使用したブフナー濾過により単離し、周囲温度において約70時間、真空下で乾燥させて、化合物Iマグネシウム塩形態Aを得た。
【0171】
A.X線粉末回折
XRPD分析を、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて記載したのと同じ手順に従って実施した。化合物Iマグネシウム塩形態AのXRPDディフラクトグラムを
図11に提供し、XRPDデータを以下の表6に要約する。
【表6】
【0172】
B.熱重量分析
TGAを、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて上述したのと同じ手順に従って実施した。化合物Iマグネシウム塩形態AのTGAデータは、
図12に提供され、周囲温度から115℃までのおよそ4%の重量損失を示す。
【0173】
C.示差走査熱量測定分析
DSCを、化合物Iベンゼンスルホン酸形態Aについて上述した手順に従って実施した。化合物Iマグネシウム塩形態AのDSCデータは、
図13に提供され、125℃で吸熱を示す。
【0174】
実施例7:5mgの化合物Iを含有する錠剤の調製
微結晶セルロースをステンレス鋼スクリーン(30メッシュ)に通し、210.1gを10LのBohle Binに充填した。化合物Iをステンレス鋼スクリーン(30メッシュ)に通し、210.0gを10LのBohle Binに充填した。ビンをシールし、成分を32RPMの速度で2分間をブレンドして、微結晶セルロース/化合物Iブレンドを得た。微結晶セルロース/化合物Iブレンドをステンレス鋼容器に排出した。以下の材料を、ステンレス鋼30メッシュスクリーンを通してふるいにかけ、この順序で10LのBohleビンに添加する:ラクトース(1022.2gのおよそ半分)、微結晶セルロース(812gのおよそ半分)、微結晶セルロース/化合物Iブレンド、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル(210.1g)、クロスカルメロースナトリウム(133g)、微結晶セルロース(812g量の残りの半分)、及びラクトース(1022.2g量の残りの半分)。ビンをシールし、成分を32rpmの速度で18.5分間ブレンドした。ステアリルフマル酸ナトリウムpruv(登録商標)を60メッシュステンレス鋼に通し、53.1gをBohleビンに充填した。ビンをシールし、成分を32rpmの速度で4分間ブレンドした。ビンを均一性について試験した。ブレンドをPiccola Tabletプレスに添加し、67.0mgの重量の錠剤に圧縮した。
【表7】
【0175】
実施例8:生物活性アッセイ
溶液
基礎培地(ADF+++)は、Advanced DMEM/HAM’s F12、2mMのGlutamax、10mMのHEPES、1μ/mlのペニシリン/ストレプトマイシンから構成された。
【0176】
腸内エンテロイド維持培地(IEMM)は、ADF+++、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、1.25mMのN-アセチルシステイン、10mMのニコチンアミド、50ng/mLのhEGF、10nMのガストリン、1μg/mLのhR-スポンジン-1、100ng/mLのhNoggin、TGF-b1型阻害剤A-83-01、100μg/mLのPrimocin、10μMのP38MAPK阻害剤SB202190から構成された。
【0177】
浴1の緩衝液は、1mMのMgCl2、160mMのNaCl、4.5mMのKCl、10mMのHEPES、10mMのグルコース、2mMのCaCl2から構成された。
【0178】
塩化物を含まない緩衝液は、1mMのグルコン酸マグネシウム、2mMのグルコン酸カルシウム、4.5mMのグルコン酸カリウム、160mMのグルコン酸ナトリウム、10mMのHEPES、10mMのグルコースから構成された。
【0179】
浴1の色素溶液は、浴1の緩衝液、0.04%のPluronic F127、20μMのメチルオキソノール、30μMのCaCCinh-A01、30μMのChicago Sky Blueから構成された。
【0180】
塩化物を含まない色素溶液は、塩化物を含まない緩衝液、0.04%のPluronic F127、20μMのメチルオキソノール、30μMのCaCCinh-A01、30μMのChicago Sky Blueから構成された。
【0181】
塩化物を含まない色素刺激溶液は、塩化物を含まない色素溶液、10μMのフォルスコリン、100μMのIBMX、及び300nMの化合物IIIから構成された。
【0182】
細胞培養
ヒト腸管上皮エンテロイド細胞を、Hubrecht Institute for Developmental Biology and Stem Cell Research、Utrecht、オランダから入手し、前述のようにT-フラスコ内で増殖させた(Dekkers JF,Wiegerinck CL,de Jonge HR,Bronsveld I,Janssens HM,de Winter-de Groot KM,Brandsma AM,de Jong NWM,Bijvelds MJC,Scholte BJ,Nieuwenhuis EES,van den Brink S,Clevers H,van der Ent CK,Middendorp S and M Beekman JM。一次嚢胞性線維症腸オルガノイドを使用した機能性CFTRアッセイは、Nat Med.2013 Jul;19(7):939-45に記載されている。
【0183】
エンテロイド細胞の採取及び播種
細胞を細胞回収溶液中で回収し、4℃で5分間650rpmでの遠心分離によって収集し、TryPLE中に再懸濁し、37℃で5分間インキュベートした。次いで、細胞を650rpmで5分間4℃での遠心分離によって収集し、10μMのROCK阻害剤(RI)を含有するIEMM中に再懸濁した。細胞懸濁液を40μmのセルストレーナーに通し、10μMのRIを含有するIEMM中で1×106細胞/mLで再懸濁した。細胞を5000細胞/ウェルでマルチウェルプレートに播種し、アッセイの前に、37℃、95%湿度及び5%CO2で一晩インキュベートした。
【0184】
膜電位色素アッセイ
エンテロイド細胞を、37℃、95%湿度及び5%CO2で18~24時間、IEMM中の試験化合物とインキュベートした。化合物のインキュベーション後、10μMのフォルスコリン及び300nMの化合物IIIの急速添加後のCFTR媒介性塩化物輸送に対する試験化合物の効力及び有効性を直接測定するために、FLIPR Tetraを使用した膜電位色素アッセイを用いた。簡単に述べると、細胞を浴1の緩衝液中で5回洗浄した。浴1の色素溶液を添加し、細胞を室温で25分間インキュベートした。色素インキュベーション後、細胞を塩化物を含まない色素溶液中で3回洗浄した。塩化物輸送を、塩化物を含まない色素刺激溶液の添加によって開始し、蛍光シグナルを15分間読み取った。急性フォルスコリン及び300nMの化合物III刺激に対する蛍光応答のAUCから、各状態についてのCFTR媒介性塩化物輸送を決定した。次いで、塩化物輸送を、3μMの化合物I、3μMの化合物II、及び300nMの急速化合物IIIの三重の組み合わせ対照(活性%)で処理した後の、塩化物輸送の割合として表した。
【0185】
以下は、表8のデータを表す。
最大活性:+++は60%超であり、++は30~60%であり、+は30%未満である。EC
50:+++は1μM未満であり、++は1~3μMであり、+は3μM超であり、NDは「未決定」である。
【表8】
【0186】
実施例9:化合物Iは、F508del/F508del HBE及びF508del/MF HBEにおいて、単独で、並びに化合物II及び/又は化合物IIIと組み合わせて、塩化物輸送を増加させる
Ussingチャンバー試験を実施して、3つのF508delホモ接合性ドナー及び5つのF508del/MFドナー(G542X、3つのドナー;E585X、1つのドナー;3905InsT、1つのドナー)に由来するHBE細胞におけるF508del CFTR媒介性塩化物輸送を測定した。正の対照として、最大有効濃度のN-(ベンゼンスルホニル)-6-[3-[2-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]エトキシ]ピラゾール-1-イル]-2-[(4S)-2,2,4-トリメチルピロリジン-l-イル]ピリジン-3-カルボキサミド(WO 2018/064632を参照されたい)、及びN-[(6-アミノ-2-ピリジル)スルホニル]-6-(3-フルオロ-5-イソブトキシ-フェニル)-2-[(4S)-2,2,4-トリメチルピロリジン-1-イル]ピリジン-3-カルボキサミド(WO 2016/057572を参照されたい)を、化合物II/化合物IIIと組み合わせて、各実験に含んだ。
【0187】
これらのCF細胞株では、CFTR媒介性塩化物輸送は、CFTRモジュレーターの非存在下では低く、これは、細胞表面にCFTRがほとんど又は全くないことと一致する。化合物I単独での16~24時間の処理は、F508del/F508del HBE細胞及びF508del/MF HBE細胞の両方で、塩化物輸送のわずかな増加を引き起こした。化合物I及び化合物IIの組み合わせは、化合物I単独と比較して塩化物輸送を更に増加させ、化合物II/化合物IIIと類似していた。化合物IIIの添加は、化合物Iの存在下で、又は化合物I/化合物IIと組み合わせて、塩化物輸送を強く増強した。相乗効果分析は、化合物Iの効果が、化合物III又は化合物II/化合物IIIの固定濃度と非常に相乗的であり、化合物IIの固定の組み合わせと多少相乗的であったことを示した。最大の化合物I濃度において、化合物I/化合物II/化合物IIIは、化合物I/化合物II又は化合物I/化合物IIIよりも塩化物輸送を増加させた。しかしながら、化合物I/化合物III及び化合物I/化合物II/化合物IIIの有効性は、それぞれのEC90値で類似していた。化合物I/化合物III及び化合物I/化合物II/化合物IIIに対するCFTRを最大に活性化する条件下でのそれぞれのEC90値は、F508del/F508del HBEでは0.848μM及び0.152μMであり、F508del/MF HBEでは1.15μM及び0.122μMであった。
【0188】
雄の動物における化合物Iの単回経口投与後に、化合物Iの平均t
max値は、ラットでは9時間、イヌでは4時間、及びサルでは3時間であった。平均経口バイオアベイラビリティ(F)は、ラット(76.9%)、イヌ(49.7%)、及びサル(12.9%)において低~中等度であった。
【表B】
【0189】
用量が増加すると、化合物Iの全身曝露は、ラット及びイヌにおいて用量比例的よりも大きく増加した。用量正規化された曝露は、雄のラットよりも雌のラットにおいて高かった。イヌでは、化合物Iへの全身曝露は、両方の性別で類似していた。ラット及びイヌにおける化合物Iの28日間の反復経口投与後に、化合物I曝露の蓄積が観察された。28日目の化合物Iへの全身曝露は、1日目よりも高かった(28日目/1日目のAUC024h比は、雄のラットでは1.63~2.70、雌のラットでは5.01~8.26、雄のイヌでは1.73~2.64、及び雌のイヌでは1.82~2.23の範囲であった)。
【0190】
実施例10:化合物Iの安全性及び有効性の試験
継続中の臨床試験の安全性分析を、単剤療法として、及び化合物II又は化合物IIIとの三重の組み合わせの一部として、少なくとも1用量の治験薬(化合物I又はプラセボ)に曝露された、コホートA1~A5の37名の対象、コホートBの33名の対象、及びコホートCの17名の対象に対して実施した。化合物Iは概して安全であり、単剤療法における1日1回60mg、並びに化合物II及び化合物IIIとの三重の組み合わせにおける1日1回20mgの用量まで忍容性良好であった。
【国際調査報告】