IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グライドウェイズ、インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-537952自律車両システムのためのデマンドベース制御方式
<>
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図1
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図2
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図3
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図4
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図5
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図6
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図7
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図8
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図9
  • 特表-自律車両システムのためのデマンドベース制御方式 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】自律車両システムのためのデマンドベース制御方式
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230830BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/123 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509543
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021045444
(87)【国際公開番号】W WO2022035901
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/064,317
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522008344
【氏名又は名称】グライドウェイズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー, パトリック
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA06
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB15
5H181MA02
5H181MA07
5H181MA12
5H181MA28
(57)【要約】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて車両をトリップ要求に割り当てる方法は、輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、トリップ要求を、受信することを含み得る。トリップ要求は、起点位置と、目的地位置と、要求された車両の到着時間と、を含み得る。本方法は更に、複数の車両から車両のサブセットを識別することを含み得て、車両の識別されたサブセット内の各車両はそれぞれ、起点位置から目的地位置まで移動するのに十分なエネルギーを有しており、及び、乗降能力起点位置でのそれぞれの推定到着時間を有しており、当該推定到着時間は、起点位置が利用可能な乗降能力を有すると予測される時間に対応している。本方法は更に、車両のサブセットから、起点位置への最も早い推定された到着時間を有する、選択された車両を、選ぶことを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて車両をトリップ要求に割り当てる方法であって、
前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、
起点位置と、
目的地位置と、
要求された車両の到着時間と、
を含むトリップ要求を、受信することを含み、
前記複数の車両から車両のサブセットを識別することを含み、車両の識別された前記サブセット内の各車両はそれぞれ、
前記起点位置から前記目的地位置まで移動するのに十分なエネルギーを有しており、及び、
乗降能力起点位置でのそれぞれの推定到着時間を有しており、当該推定到着時間は、起点位置が利用可能な乗降能力を有すると予測される時間に対応しており、
車両の前記サブセットから、前記起点位置への最も早い推定された到着時間を有する、選択された車両を、選ぶことを含み、
前記選択された車両を前記トリップ要求に割り当てることを含み、
前記トリップ要求に関する情報を、前記選択された車両に送信することを含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
車両の識別された前記サブセット内の各車両はそれぞれ、前記サブセットが識別された時点で、前記起点位置へ向かって移動している、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
車両の識別された前記サブセット内の前記車両の各推定到着時間はそれぞれ、要求された前記車両到着時間後の閾値時間内にある、
方法。
【請求項4】
方法1であって、
前記起点位置は、前記輸送システム内の第1の固定位置を有する第1の乗降ゾーンに対応し、及び、
前記目的地位置は、前記輸送システム内の第2の固定位置を有する第2の乗降ゾーンに対応する、
方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記トリップ要求が、携帯電話から受信される、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記携帯電話に、前記選択された車両の識別子を送信すること、をさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
車両の識別された前記サブセット内の各車両はそれぞれ、前記トリップ要求に関連するトリップの終了後に、前記目的地位置から充電ステーションへ移動するための十分なエネルギーを有する、
方法。
【請求項8】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて車両をトリップ要求に割り当てる方法であって、
前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、
起点位置と、
目的地位置と、
要求された車両の到着時間と、
を含むトリップ要求を、受信することを含み、
前記複数の車両から、候補車両の第1のサブセットを、識別することを含み、当該第1のサブセットでは、各車両は、前記目的地位置へ向かって移動しており、また、要求された前記車両到着時間後の閾値時間内にある、前記起点位置での到着時間を有しており、
候補車両の前記第1のサブセットから、候補車両の第2のサブセットを識別することを含み、当該第2のサブセットは、前記起点位置から前記目的地位置に到達するのに十分なエネルギーを有しており、
前記候補車両の第2のサブセットから、前記起点位置への最も早い推定された到着時間を有する、選択された車両を選ぶことを含み、
前記選択された車両を前記トリップ要求に割り当てることを含み、
前記トリップ要求に関する情報を、前記選択された車両に送信することを含む、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記ディスパッチサーバシステムは、車両が割り当てられていない保留中のトリップ要求のリストを維持し、
前記トリップ要求は、車両が割り当てられていない保留中のトリップ要求の前記リストの中で、最も古いトリップ要求である、
方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記閾値時間は、前記要求された車両到着時間の後から、10分以内である、
方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記選択された車両を前記トリップ要求に割り当てた後で、且つ、前記選択された車両が前記起点位置に到着する前に、
- 前記選択されたビークルよりも、前記起点位置へのより早い推定された到着時間を有する追加の車両ビークルを識別すること、
- 前記選択された車両の前記トリップ要求に対する前記割り当てをキャンセルすること、
- 前記追加の車両を前記トリップ要求に割り当てること、
を更に含む、
方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、
車両の前記第2のサブセット内の各車両それぞれは、前記トリップ要求に関連するトリップの終了後に、前記目的地位置から充電ステーションに移動するのに十分なエネルギーを有する、
方法。
【請求項13】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて目標位置に車両を割り当てる方法であって、
前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、
目標位置を割り当てられる車両を識別することを含み、
前記輸送システム内の複数の乗降ゾーンからの乗降ゾーンのサブセットを識別することを含み、乗降ゾーンの識別された前記サブセット内にある各乗降ゾーンはそれぞれ、
車両のそれぞれの乗降ゾーンへの推定された到着推定時間において、利用可能な車両収容能力を有する
前記車両の現在の位置および現在のエネルギー状態に基づいて、前記車両によって到達可能であり、
それぞれの推定された車両需要に関連しており、
乗降ゾーンの前記サブセットから、最も高い推定された車両需要を有する選択された乗降ゾーンを乗降ゾーン選ぶことを含み、
前記選択された乗降ゾーンを、前記車両の前記目標位置として、割り当てることを含み、
前記車両に、前記目標位置に関する情報を、送信すること、またそれにより、前記車両を前記選択された乗降ゾーンへ、移動させること、を含む、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
乗降ゾーンの前記サブセットの前記各乗降ゾーンに対して、前記各乗降ゾーンへの前記車両の推定された到着時間での、それぞれの推定された車両需要を決定すること、を更に含む、
方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
各乗降ゾーンそれぞれに対する前記推定された車両需要は、少なくとも部分的に、
前記各乗降ゾーンから出発したトリップの履歴数、
前記各乗降ゾーンへ移動し、特定の時間枠内で前記各乗降ゾーンに到着することが推定される、車両の数、および、
前記各乗降ゾーンから出発することが予定されており、それに対して車両が割り当てられていない、トリップ数、
に基づいている、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
各乗降ゾーンのそれぞれに対する前記推定された車両需要は、さらに、少なくとも部分的に、前記各乗降ゾーンにおける天気予報に基づく、
方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
各乗降ゾーンのそれぞれに対する前記推定された車両需要は、さらに、少なくとも部分的に、前記各乗降ゾーンの近隣でのイベントの終了時刻に基づく、
方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記特定の時間枠が、前記車両の前記推定された到着時間よりも前の時間である、
方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記車両の前記目標位置として前記選択された乗降ゾーンを割り当てた後に、1台の車両によって、前記選択された乗降ゾーンの前記推定された車両需要を減じること、を更に含む、
方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記車両は、それが識別されると、充電ステーションに駐車される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許協力条約特許出願は、2020年8月11日出願の米国仮特許出願第63/064,317号「Demand-Based Control Schemes for Autonomous Vehicle System」に対する優先権を主張するものであり、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
説明される実施形態は、概して車両に関し、より詳細には、自律車両システムの動作を制御するためのスキームに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車、トラック、バン、バス、路面電車などの車両は、現代社会において各所に存在する。自動車、トラック、及び、バンは、往々にして、比較的少数の乗客を輸送する個人輸送のために使用され、一方、バス、路面電車、および他の大型車両は、往々にして、公共輸送のために使用される。車両は、荷物の搬送または他の目的のために使用することもできる。このような車両は、道路で運転されることがあり、当該道路は、路面道路、橋、高速道路、オーバーパス、または他のタイプの車両通行権を含んでもよい。運転手のいないまたは自動運転の車両は、個人に対して、自らの輸送ニーズのために車両を手動で操作する必要性を、緩和し得る。
【発明の概要】
【0004】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにて、車両をトリップ要求に割り当てる方法は、輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、トリップ要求を受け取ることを、含むことができる。トリップ要求は、起点位置、目的地位置、及び要求された車両到着時間、を含むことができる。この方法はさらに、複数の車両から車両のサブセットを識別することを、含むことができ、車両の識別されたサブセット内の各車両は、起点位置から目的地位置まで移動するのに十分なエネルギーを有しており、また、乗降能力起点位置でのそれぞれの推定到着時間を有しており、当該推定到着時間は、起点位置が利用可能な乗降能力を有すると予測される時間に対応している。この方法はさらに、車両のサブセットから、起点位置への到着の最早の推定時間を有する選択された車両を選ぶことと、選択された車両をトリップ要求に割り当てることと、トリップ要求についての情報を選択された車両に送信すること、とを含むことができる。車両の識別されたサブセット内の各車両は、サブセットが識別された時点で、起点位置へ向かって移動してもよい。車両の識別されたサブセット内の車両のそれぞれの推定到着時間は、要求された車両到着時間後の閾値時間内とするとよい。車両の識別されたサブセット内の各車両は、トリップ要求に関連するトリップの終了後、目的地点から充電ステーションまで移動するのに十分なエネルギーを有するとよい。
【0005】
起点位置は、輸送システム内の第1の固定位置を有する第1の乗降ゾーン(英:boarding zone)に対応することができ、目的地位置は、輸送システム内の第2の固定位置を有する第2の乗降ゾーンに対応することができる。トリップ要求は、携帯電話から受信されてもよい。この方法は、さらに、携帯電話に、選択された車両の識別子を送信すること、を含むことができる。
【0006】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにて、車両をトリップ要求に割り当てる方法は、輸送システムのディスパッチサーバシステムで受信すること、を含むことができる。トリップ要求は、起点位置、目的地位置、及び要求された車両到着時間を、含むことができる。本方法は、複数の車両から、各車両が起点位置へと走行しており、要求された車両到着時間後の閾値時間内に起点位置に到着する推定時間を有している候補車両の第1のサブセットを特定することと、候補車両の第1のサブセットから、起点位置から目的地位置に到達するのに十分なエネルギーを有している候補車両の第2のサブセットを特定することと、候補車両の第2のサブセットから、起点位置に到着する推定時間が最も早い選択された車両を選ぶことと、選択された車両をトリップ要求に割り当てることと、トリップ要求に関する情報を選択された車両に送信することと、を更に含むことができる。ディスパッチサーバシステムは、車両を割り当てられていない保留中のトリップ要求のリストを維持してもよく、トリップ要求は、車両を割り当てられていない保留中のトリップ要求のリストの中で最も古いトリップ要求であってもよい。閾値時間は、要求された車両到着時間後10分以下であってもよい。車両の第2のサブセット内の各車両は、トリップ要求に関連するトリップの終了後に、目的地点から充電ステーションまで移動するのに十分なエネルギーを有することができる。
【0007】
本方法は、更に、選択された車両をトリップ要求に割り当てた後であって、且つ、選択された車両が起点位置に到着する前に、選択された車両よりも早い推定された起点位置への到着時間を有する追加の車両を特定すること、選択された車両のトリップ要求への割り当てをキャンセルすること、及び、追加の車両をトリップ要求に割り当てること、を含むことができる。
【0008】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにて、目標位置に車両を割り当てる方法は、前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、目標位置を割り当てられるべき車両を特定することと、前記輸送システムにおける複数の乗降ゾーンのサブセットを特定することとを含み、識別されたサブセットの乗降ゾーン内のそれぞれの乗降ゾーンは、それぞれの乗降ゾーンに車両の到着の推定時間に利用可能な車両収容能力を有しており、車両の現在位置および現在のエネルギー状態に基づいて車両によって到達可能であり、それぞれの推定車両需要に関連している。本方法は、乗降ゾーンのサブセットから、最も高い推定車両需要を有する選択された乗降ゾーンを選ぶことと、選択された乗降ゾーンを車両の目標位置として割り当てることと、車両に、目標位置に関する情報を送信し、これにより、車両を、選択された乗降ゾーンへ移動を開始させること、を更に含んでもよい。本方法は、車両の目標位置として選択された乗降ゾーンを割り当てた後に、1台の車両により選択された乗降ゾーンの推定された車両需要を減じること、を更に含んでもよい。車両は、識別されると、充電ステーションに駐車され得る。
【0009】
本方法は、更に、乗降ゾーンのサブセットのそれぞれの乗降ゾーンに対して、それぞれの乗降ゾーンでの車両の推定到着時間におけるそれぞれの推定車両需要を決定すること、を含むことができる。各乗降ゾーンそれぞれに対する推定された車両需要は、少なくとも部分的に、各乗降ゾーンから出発したトリップの履歴数、各乗降ゾーンへ移動し、特定の時間枠内で各乗降ゾーンに到着することが推定される車両の数、および、各乗降ゾーンから出発することが予定されており、それに対して車両が割り当てられていない、トリップ数に、基づいていてもよい。各乗降ゾーンのそれぞれに対する推定された車両需要は、さらに、少なくとも部分的に、各乗降ゾーンにおける天気予報に基づいていてもよい。各乗降ゾーンのそれぞれに対する推定された車両需要は、さらに、少なくとも部分的に、各乗降ゾーンの近近接でのイベントの終了時刻に基づいてもよい。特定の時間枠は、車両の推定到着時間よりも前の時間であってもよい。
【0010】
本開示は、添付図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。ここで、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(FIG.1)は、搬送システムの概略的な図を示す。
【0012】
図2図2(FIG.2)は、搬送システムの例示的なマップを示す。
【0013】
図3図3(FIG.3)は、トリップ要求のリスト化の例を表す表を示す。
【0014】
図4図4(FIG.4)は、トリップ要求へ車両を割り当てるためのデータセットの例を表す表を示す。
【0015】
図5図5(FIG.5)は、搬送システム内の乗降ゾーンへ車両を割り振るためのデータセットの例を表す表を示す。
【0016】
図6図6(FIG.6)は、搬送システム内の乗降ゾーンへ駐車される車両を割り振るためのデータセットの例を表す表を示す。
【0017】
図7図7(FIG.7A~7B)は、例示的な車両を示す。
【0018】
図8図8(FIG.8A~8B)は、ドアが開いた状態の図7のFIG.7A~7Bの車両を示す。
【0019】
図9図9(FIG.9)は、例示的な車両の部分分解図を示す。
【0020】
図10図10(FIG.10)は、本明細書に記載する処理を実行することができる電子装置の電気的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に図示された代表的な実施形態について詳細に説明する。以下の説明は、実施例を1つの好ましい実施例に限定することを意図するものではないことを、理解すべきである。反対に、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、説明される実施形態の思想および範囲内に含まれ得るような代替、修正、および等価物をカバーすることが意図されている。
【0022】
本明細書の実施形態は、概して、輸送システムを対象としており、当該輸送システムでは、多数の車両が、乗客および/または貨物を道路に沿って輸送するために、自律的に動作されてもよい。例えば、輸送システムまたは輸送サービスは、車両の一群を提供することができ、当該車両は、あらかじめ設定された位置または停留所のいずれかで、または、動的に選択される(例えば、スマートフォンを介して人により選択される)位置で、乗客を乗せたり、降ろしたりするために、道路に沿って動作する。本明細書で使用する「道路」という用語は、移動する車両を支持する構造体を指すことができる。
【0023】
しかしながら、車両が利用者から要求される特定の時間と場所は、予測が困難であり得るので、輸送システムのオペレーションは複雑な仕事である。このことは、過度な待ち時間なしに、迅速にトリップ要望を果たすことができるように、輸送システムの中の車両をどこに出現させるか、または収容するかを計画することを、困難にする可能性がある。例えば、乗客をアクティブに運んでいるときに、輸送システムのすべての車両を中央駐車場で安定させようとする場合、車両が遠くの乗降ゾーンに移動してトリップ要求を果たすまでの時間は、顧客の好みを満足させるには合理性に欠けるほどに長くなることがある。さらに、たとえ車両収容設備が輸送システム全体に分散されたとしても、いくつかのオペレーション条件の下では、輸送システムのその領域での可能な最大の需要を満たすために必要な最大数の車両で、各収容設備に単に満たすことは、費用効果が高くないか、またはスペース効率が良くない可能性がある。
【0024】
したがって、本明細書に記載するように、集中ディスパッチサーバシステム(英:centralized dispatch server system)は、輸送システム内の様々な場所(例えば、乗降ゾーン)での車両需要を特定および/または予測するため、そして、予測された需要に基づいて、それらの場所に車両をインテリジェントにルーティングすることができる。全体の輸送システム制御装置の一部であるか、これと連携して作動する、集中ディスパッチサーバシステムは、車両の場所、交通状況、道路状況、全トリップ要求(例えば、起点、目的地、時間)のパラメータなどを含む、システム全体の既知のデータおよびパラメータを使用することができるので、車両の需要を特定するおよび/または予測するのに、特によく適している。集中ディスパッチサーバシステムは、システム全体への視認性を活用して、車両を、それらが必要と思われる時期に、それらが必要と思われる場所に、インテリジェントに配車することができる。集中ディスパッチサーバシステムは、本明細書では、単に集中ディスパッチシステムと呼ぶことができる。
【0025】
車両需要を予測し、予測された需要に基づいて車両を特定の乗降ゾーンに合理的に割り当てることに加えて、集中ディスパッチシステムは、特定の車両をトリップ要求にインテリジェントに割り当てるために、輸送システムのリアルタイム動作パラメータへのそのアクセスを使用してもよい。特に、ユーザに最速の応答時間を提供することがシステムの目標であり得るが、最速の応答時間は、必ずしもユーザに最良の全体的なサービスを提供するとは限らない、または、システムに効率を提供するとは限らない。例えば、トリップ要求が受信された場合に、要求された乗降ゾーンに最も近い車両を送信することは、応答時間が最も早い結果となり得る。しかしながら、最も近い車両を割り当てることは、その車両が、トリップ要求の目的地の乗降ゾーンに到達するのに十分なエネルギーを有していない場合、及び/又は、目的地の乗降ゾーンに到達した後に充電ステーションに到達するのに十分なエネルギーを有していない場合には、不適切となる。さらに、その車両を割り当てることは、目的地の搭乗ゾーンが満車になった時点であって、ユーザは車両内で搭乗位置が利用可能になるのを待つ必要がある時点に、乗客を最終的に目的地まで届けることになる場合、満足のいくユーザ体験を提供しない可能性がある。
【0026】
本明細書で説明する集中ディスパッチシステムは、サービス速度とシステム全体の効率をバランシングさせる様態で、車両をトリップ要求に効率的に割り当てるために、システムの過去、現在、そして将来の状態に関するその広範なデータを活用する。例えば、車両をトリップ要求に割り当てるとき、集中ディスパッチシステムは、各車両の充電状態又は燃料状態に関するその知識を使用して、適切なエネルギー(例えば、バッテリ充電、燃料量など)を有する車両を選び、要求されたトリップを完了し、また、後続のトリップ(例えば、充電ステーションに戻ること)を完了することができる。また、集中ディスパッチシステムは、候補車両が、乗降ゾーンが収容能力を有する時間に目的地の乗降ゾーンに到着するか否かを推定し、そうでない候補車両を拒否することができる。そのような推定は、過去のデータ及び/又は将来のイベントの知識に基づいて行うことができ、それにより、車両を割り当て、及び、ユーザへの継ぎ目のない体験の提供に関して、より大きな柔軟性及び正確性を提供する。輸送システムのこれらおよび他の機能について、本明細書で説明する。
【0027】
本明細書に記載される輸送システムは、1つの専用タイプの車両(または、いくつかの専用タイプの車両)を含むか、またはそれと共に運用されてもよく、当該車両は、特定の車道セグメントおよび/または他の輸送システムインフラストラクチャのために確立された特定の車両制御スキームに従って、独立して、及び、少なくとも半自律的に、運用されるように構成されていてもよい。車両動作の特定の態様は、車両自体によって完全に制御されてもよいが、他の態様は、輸送システム制御装置によって、制御及び/又は決定されてもよい。例えば、車両は、加速、ブレーキ、及びステアリングのような車両制御機能、並びに、交通への合流又は交通からの離脱、乗降ゾーンへの進入及び乗降ゾーンからの退出、集団の動的な形成等の、より上位レベルの動作、を自律的に独立して管理するように構成されてもよい。一方、輸送システム制御装置は、より具体的には輸送システム制御装置の集中ディスパッチシステムは、特定の目的地に車両を割り当て、トリップ要求を満たすために、システム全体に車両を割り当てる等を行うことができる。
【0028】
図1は、本明細書に記載される技術を使用し得る例示的な輸送システム100を図示する。輸送システム100は輸送システム制御装置102を含み、当該輸送システム制御装置は、輸送システム100の様々な構成要素と通信し、これから情報を受け取り、および/または、これらの操作を制御する。例えば、輸送システム制御装置102は、システムのユーザ104からトリップ要求(およびオプションとして他の情報)を受け取る。トリップ要求は、要求者のアイデンティティ、起点位置(例えば、ユーザが拾われるべき乗降ゾーン又は他の位置)、目的地位置(例えば、乗降ゾーン又はユーザが降ろされるべき他の位置)、及びオプションとして、要求された車両到着時間(例えば、車両が起点位置に到着すべき時間)等の情報を、含むことができる。要求された車両到着時間は、ユーザによって指定されてもよい、また、即時またはできるだけ早いピックアップの要求に、または、指定された将来の時間に、対応してもよい。場合によっては、要求された車両到着時間は、ユーザ指定の目的地到着時間に基づいて、計算または推定されてもよい。例えば、ユーザは、指定された時間に空港に乗降ゾーンに到着することを指定することができる。ユーザの装置および/または輸送システム制御装置102は、起点位置への車両到着時間を、特定された目的地到着時間、トリップの長さ、予測されたまたは実際の交通状況、気象状況などを含むが、それ件限定はされない、要因に基づいて、計算することができる。トリップ要求は、スマートフォン、コンピュータ、従来の電話、ウェアラブルデバイス、又は任意の他の適切な装置、及び/又は、通信技術、を介して、輸送システム制御装置102に送られてもよい。輸送システム制御装置102は、図10に関して説明した電子デバイス1000のような、コンピュータシステムのような1つ以上の電子装置を、含んでいてもよい。
【0029】
輸送システム制御装置102は、輸送システムの様々な局面の操作を容易にする他の可能なモジュール、プログラム、または他のシステムの中でも、システム状態モニタ(システム状態監視部)103および集中ディスパッチサーバシステム105(本明細書では単に集中ディスパッチシステム105と称される)を含み得る。システム状態モニタ103及び集中ディスパッチシステム105は、コンピュータハードウェア(例えば、プロセッサ、メモリ、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)、コンピュータソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム、アプリケーション、ファームウェアなど)、センサ、通信システムなどの任意の適切な組み合わせによって実行することができ、それらはシステム状態モニタ103及び/又は集中ディスパッチシステム105によって実行される動作を容易にするものである。例えば、システム状態モニタ103および集中ディスパッチシステム105は、電子デバイス1000の実装であってもよく、または電子デバイス1000の1つ以上のリソースとしてインスタンス化されていてもよい。輸送システム制御装置102、システム状態モニタ103、および集中ディスパッチシステム105の間の略図は、単にそれらの機能性の説明を補助するものであり、必ずしも任意のハードウェア、ソフトウェア、プログラム、または他の区別に対応しないことが理解されるであろう。例えば、場合によっては、輸送システム制御装置102は、単一プログラムを実行する単一コンピュータシステム(例えばサーバ)によって実現されてもよく、当該単一コンピュータシステムは、システム状態監視機能、集中ディスパッチ機能、および任意の他の輸送システム機能を、実行するものである。他の場合には、輸送システム制御装置102は、種々のコンピュータシステム(例えば、複数のサーバ)によって実施されてもよく、異なるコンピュータシステムが異なるタスク、動作または機能(例えば、輸送システム状態監視機能、ディスパッチ機能など)を実行してもよい。
【0030】
輸送システム制御装置102は、輸送システムインフラストラクチャ106と同様に、輸送システム100の車両108からの情報を受信すること、それらへ情報及び/又はコマンドを送信すること、それらの動作を制御すること、及び/又は、他の方法でそれらと通信すること、ができる。車両108は、特定の車両制御スキームに従って、独立して、そして、少なくとも半自律的に、動作するように構成された専用タイプの車両の集団、であってもよい。車両108の一例が、図7A図9に関して本明細書に記載されている。一部の例では、車両108は電気自動車であり、双方向移動用に構成されている。車両108は、輸送システム制御装置102に情報を送信し、輸送システム制御装置102から情報およびコマンドを受信することができる。例えば、車両108は、それらの充電状態、それらの現在の位置、それらの乗客/ペイロードの状態、それらの現在の目標位置、それらの将来の目標位置、車両の状態情報(例えば、現在の速度、加速度、転向方向、制動状態、車両の向き)、車両のメンテナンス情報(例えば、最後の充電の時刻、バッテリヘルス、バッテリの寿命、流面、タイヤ圧レベル)などの情報を、輸送システム制御装置102に送信することができる。輸送システム制御装置102は、車両に割り当てられたトリップ要求に関する情報(例えば、起点位置、目的地位置、要求された車両到着時間など)、(例えば、最高速度、最低速度、車両追従距離などのような車両制御パラメータを変更する)車両制御コマンド、目的地及び/又はサービスコマンド(例えば、充電のために充電ステーションまで移動する、出現するために特定の駐車場又は乗降ゾーンまで移動する、など)などの情報を、車両108に送信することができる。他のタイプの情報が、輸送システム制御装置102と車両108との間で、送信および/または受信されてもよい。
【0031】
また、輸送システム制御装置102は、輸送システムインフラストラクチャ106から情報を受信すること、それへ情報及び/又はコマンドを送信すること、その動作を制御すること、及び/又は、それと他の方法で通信すること、ができる。輸送システムインフラストラクチャ106は、道路110、駐車場(駐車ガレージ)112、および乗降ゾーン114を、含むことができる。道路110は、道路、橋、オーバーパス、高架道路セクション、および車両が走行する他の表面を、含み得る。駐車場112は、駐車設備、充電及び/又は給油ステーション、メンテナンスベイを含み得る。車両は、(例えば、トリップ要求の処理、切迫して使用するための乗降ゾーンでのステージング等の)別の目的のためにシステムで使用されていないときには、駐車場に収容することができる。乗降ゾーン114は、輸送システム100内の固定された位置及び/又は施設であってもよく、これらは車両への乗客の乗車、及び、車両からの乗客の降車ために、設計されている。したがって、乗降ゾーン114は、歩行者アクセスインフラストラクチャ(例えば、歩道、階段など)ならびに乗客の乗車及び降車中に車両を駐車できる駐車スポット、を含むことができる。また、乗降ゾーン114は、車両用の駐車スポットを含み得て、当該車両は待機モード(英:standby mode)又は出現モード(英:staging mode)にある車両(例えば、乗客を乗車又は降車させていないが、代わりにトリップ割り当てを待っている車両)である。本明細書に記載するように、乗降ゾーン114は、双方向移動が可能な車両によって使用されるように設計されていてもよい。したがって、乗降ゾーン114は、搭乗プロセスにおいて速度または効率を犠牲にすることなく、従来の一方向車両で可能であるよりも、より小さくかつ/またはよりコンパクトであり得る。
【0032】
道路110は、輸送システム100の全体地図を定義することができ、乗降ゾーン114および駐車場112は、道路110に沿って様々な場所に分散させることができる。場合によっては、乗降ゾーン114は、輸送システム100のユーザが容易にアクセス可能な場所(例えば、建物または人々がそこへ又はそこから移動したい場所)に配置されており、一方、駐車場112は、輸送システム100内の、より遠く離れた場所またはより人口の少ない場所に、配置されていてもよい。場合によっては、単一の施設又は場所が、乗降ゾーン及び駐車場を含んでいてもよい。
【0033】
輸送システムインフラストラクチャ106の各要素は、センサ、コンピュータ、通信システム、人間のオペレータ、および/または、輸送システムインフラストラクチャの監視および運用を容易にする他のハードウェアおよびソフトウェア構成要素、を含んでもよい。例えば、道路110は、車両存在センサ、車速センサ、交通センサ、カメラ、交通制御出力システム(例えば、ライト、標識、無線通信システム)、スケールなど、を含んでもいてもよい。駐車場112は、車両存在センサ、目録データ(例えば、車庫に現在収容されている全ての車両のリスト、並びに車両の状態及び車両情報)、充電の可用性、燃料補給、又は他の保守サービス等、を含んでいてもよい。乗降ゾーン114は、車両存在センサ、交通センサ、ユーザの存在および/または位置を検出するセンサ、目録データ(例えば、乗降ゾーン114に現在出現されている全ての車両のリスト)など、を含んでいてもよい。道路110、駐車場112、および、乗降ゾーン114の、これらの構成要素は、輸送システム制御装置102と通信し、ステータス情報、データ、信号、コマンド、および/または、他の情報を、送信および/または受信することができる。このような通信には、無線および/または有線通信技術が含まれる。
【0034】
車両108、道路110、駐車場112、および乗降ゾーン114(およびオプションとして輸送システムの他の構成要素)から受信された情報を使用して、システム状態モニタ103は、システム全体の状態を随時監視および評価することができ、システム状態に関するデータを履歴記録に記録または記憶することができる。輸送システム制御装置102は、輸送システム状態の履歴記録を使用して、輸送システムの様々な側面に関する予測を行ってもよい。例えば、輸送システム制御装置102は、過去のトリップデータを使用して、特定の乗降ゾーンにおける将来の車両需要を予測してもよい。また、輸送システム制御装置102は、過去の乗降ゾーンのスループットデータを使用して、その乗降ゾーンにおける将来のスループットを予測してもよい。また、輸送システム制御装置102は、過去の交通データを使用して、車両の経路を計画し、交通渋滞を回避すること、及び、道路110上で自由に流れる交通を維持すること、を助けることができる。
【0035】
集中ディスパッチシステム105は、ユーザ104からトリップ要求を受け取り、トリップ要求に車両108を割り当てることができる。例えば、集中ディスパッチシステム105は、起点位置、目的地位置、及び要求された車両到着時間(これはユーザにより指定されても、システムにより計算又は推定されてもよい)を含むトリップ要求、を受信することができる。集中ディスパッチシステム105は、各トリップ要求について候補車両を識別するために、システム状態モニタ103と通信すること、および/または、その情報を使用することができ、最終的には、選択された車両を各トリップ要求に割り当てることができる。車両は、その現在位置、その現在のエネルギーレベル(例えば、バッテリ充電レベル)、起点位置及び/又は目的地位置の予測乗車容量等の様々な要因に基づいて、選択されてもよい。これらの要因は、システム状態モニタ103内の現在のデータ及び/又は過去のデータから、利用可能である及び/又は、決定され得る。
【0036】
図2図6は、どのようにして輸送システム制御装置102が輸送システム100全体にわたって車両をトリップ要求およびステージへインテリジェントに割り当てるかを、示している。図2は、輸送システム100(またはその一部)の例示的なマップ200である。マップ200は、道道ネットワーク202に沿った、例示的な車両(例えば、車両1~4)の位置、例示的な乗降ゾーン(例えば、乗降ゾーンA~F)の位置、および、例示的な駐車場(例えば、駐車場XおよびY)の位置、を示す。当然であるが、マップ200は単に例示の目的のためのものであり、車両、乗降ゾーンおよび駐車場の実際の数および位置は、輸送システムの異なる実装において、異なるものとなる。
【0037】
上述したように、輸送システム制御装置102は、システムのユーザ104からトリップ要求を受信することができる。ユーザに関連付けられる携帯電話または他の装置から輸送システム制御装置102において受信することができるトリップ要求は、図3に表300に示すように、保留中の不対トリップ要求(例えば、車両に割り当てられていないトリップ要求)のリストを含められていてもよい。表300は、3つのトリップ要求を含み、各々のトリップ要求に対して、要求が受信された時刻(tn)、起点位置(例えば起点乗降ゾーン)、目的地位置(例えば目的地乗降ゾーン)、及び、要求された車両到着時間、を含む。上述のように、要求された車両到着時間は、ユーザによって指定されてもよく、または他のトリップパラメータに基づいて計算されてもよい。ユーザが時間を指定しない場合、またはトリップをできるだけ早く開始するように要求する場合、テーブル300は、そのトリップ要求に「できるだけ早く(英:as soon as possible)」フラグを割り当て、できるだけ早く車両の提供を試みてもよい。
【0038】
車両をトリップ要求に割り当てるために、集中ディスパッチシステム105は、ペアリングされていないトリップ要求のリスト内でペアリングされていない最も古いトリップ(例えば、図3の要求1)を選び出し、そのトリップ要求に割り当てる選択された車両を選んでもよい。車両が選らばれ、トリップ要求に割り当てられると、集中ディスパッチシステム105は、ペアリングされていない、次に最も古い(英:next oldest)トリップ要求に移り、そのトリップ要求に割り当てる選択された車両を選び出すことができる。集中ディスパッチシステム105は、ペアリングされていないトリップ要求リストを周期的に(例えば、5秒ごと、10秒ごと)、または他の任意の適切なサイクルまたは時間フレームで、循環してもよい。
【0039】
車両をトリップ要求に割り当てるために、集中ディスパッチシステム105は、トリップに割り当てるのに適した車両を特定するために、数多くの異なる車両のステータスを評価してもよい。例えば、集中ディスパッチシステム105は、輸送システム内の車両のサブセットを識別することによって、候補車両の、以下のような、リストを形成してもよい、すなわち、車両の識別されたサブセット内の各車両は、起点位置から目的地点へ移動するのに十分なエネルギーを有し(さらに、任意に、トリップ要求に関連するトリップの終了後に目的地点から充電ステーションへ移動するのに十分なエネルギーを有し)、起点位置が利用可能な乗降能力を有すると予測される時間枠に対応した、目的地点でのそれぞれの推定到着時間を有するような、リストを形成してもよい。このようにして、集中ディスパッチシステム105は、トリップ要求に割り当てられた車両がトリップを完了することができること、及び、乗客が降りることを可能にするには乗降ゾーンが過度に混雑になっている時間にユーザを目的地の乗降ゾーン降ろさないこと、を確実にすることができる。
【0040】
集中ディスパッチシステム105はまた、トリップ要求を満たす候補として使用され得る車両のサブセットを識別するために、他の基準を使用してもよい。例えば、識別されたサブセットは、サブセットが識別された時点で、起点位置へ向かって移動している車両または起点位置にある(例えば、駐車し、トリップ割り当てを待っている)車両、に限定されてもよい。これは、全体的なシステム効率を向上し得る、なぜなら、割り当てられる車両は、交通量および渋滞を増加させ、待ち時間、乗降ゾーン遅延などを増加させる可能性がある他の車両を、起点位置にルーティングまたは再ルーティングするのではなく、既に起点位置にルーティングされている車両または起点位置にある車両の中から、選択されるからである。別の例として、識別されたサブセットは、要求された車両到着時間後の閾値時間内に、起点位置に到着する推定時間を有する車両に限定されてもよい。したがって、集中ディスパッチシステム105は、ユーザにとって許容できる車両よりも後に起点位置に到着する予定である車両を、リストから除外することになる。場合によっては、閾値時間は、要求された車両到着時間後、約20分以下、約15分以下、約10分以下、または、約5分以下(または任意の他の適切な閾値時間)であってもよい。場合によっては、車両のサブセットを識別するための基準のいずれかが、実行可能な候補車両を含まないリストをもたらす場合、その基準は排除または緩和されてもよい。例えば、現在、起点位置に車両がない場合、または要求された到着時間の5分の時間閾値内に到着する予定の車両がない場合、集中ディスパッチシステム105は、時間閾値を10分間にまで増加させることができる。
【0041】
一旦、集中ディスパッチシステム105が車両のサブセットを識別すると(当該集中ディスパッチシステム105はエネルギーが不十分な車両を除外するか、目的地が過度に混雑しているときに目的地に到着する予定の車両を除外する)、集中ディスパッチシステム105は、車両のサブセットから、起点位置に到着する最も早い推定時間を持つ車両を選択してもよい。次に、集中ディスパッチシステム105は、トリップ要求に関連してユーザに車両についての情報を送信することができる。そのような情報は、例えば、選択された車両の識別子、選択された車両が起点乗降ゾーンに到着する時間、選択された車両の現在位置など、を含み得る。
【0042】
場合によっては、車両が特定のトリップに割り当てられた後に、そのトリップは、ペアリングされていないトリップ要求のリスト(例えば、表300、図3)から除去されてもよく、オプションとして、ペアリングされたトリップ要求のリストに含まれてもよい。ペアリングされたトリップ要求のリストは、以下のことを判定するために、監視および/または評価されてもよい、すなわち、特定の車両と現在ペアリングされているトリップが、異なる車両(例えば、現在割り当てられている車両よりも、起点位置へのより早い推定された到着時間を有する車両)によってより良好にサービスされ得るかどうかを判定するために、監視および/または評価されてもよい。車両がトリップに割り当てられた後、トリップに対してより早期に到着する車両が識別された場合であって、現在割り当てられている車両が起点位置にまだ到着していない場合には、現在の車両割り当てがキャンセル、代わりに、より早期に到着する車両がトリップ要求に割り当てられてもよい。そのような場合、輸送システム制御装置102は、ユーザに(例えば、ユーザの携帯電話に)メッセージを送信し、ユーザが再割り当てを受け入れる、または拒否するようにしてもよい。
【0043】
図4は、上記で概説した車両割り当てプロセスが、図3のトリップ要求1のためにどのように進行するかを示す。例えば、表400は、図2のマップ200に示される輸送システムにおける車両1~4のための様々なパラメータを示す。図示のように、パラメータは、それぞれの車両の起点位置への到着推定時間、それぞれの車両のエネルギー状態、およびそれぞれの車両が乗客とともにその位置に到着するだろう時間に目的地位置に到着する他の車両の数(これは、起点への到着推定時間、起点と目的地位置との間の距離、速度制限、天候状態、実際または予測された交通状況などに基づいて計算することができる)、を含む。
【0044】
集中ディスパッチシステム105は、特定の基準が満たされていないそれらの車両を拒否(例えば、リストからパージ)してもよい。例えば、車両4は12%の充電しか持っておらず、集中ディスパッチシステム105は、12%の充電が不十分であると判断し、車両がトリップ要求1に関連付けられたトリップを完了すること、及び、そのトリップ後に充電又は燃料補給ステーションに戻ることを許可してもよい。この判定は、車両4の現在の位置、トリップ要求1のトリップの長さ、および、目的地ステーションから充電または燃料補給ステーションまでの距離(さらに、トリップ経路に沿った高さの変化、交通状況などの、他の要因)に基づいてもよい。従って、車両4は、候補車両のサブセットからパージされても、又はそうでなければ当該サブセットに含まれなくても、よい、当該サブセットから、車両はトリップ要求1に割り当てられる。
【0045】
集中ディスパッチシステム105はまた、目的地点が乗客をタイムリーに降ろすことを可能にする十分な容量を有していないときに、目的地点に到着するはずの車両を、拒絶してもよい。例えば、集中ディスパッチシステム105は、乗降ゾーンD(トリップ要求1の目的地)が15台の車両の乗降能力を有すると判断し得る。従って、他の28台の車両が到着している時間枠内で、乗降ゾーンDに到着するであろう車両1は、候補車両のサブセットからパージされても又はさもなければ当該サブセットに含まれなくてもよい。目的地ゾーンに到着する他の車両の数を決定するための時間枠は、目的地位置への到着の推定時間から、約+/-1分、約+/-2分、約+/-3分、又は、任意の他の適切な時間枠であってよい。
【0046】
乗降ゾーンの乗降能力は、乗降ゾーンごとに異なっていてもよく、利用可能な乗降機会(英:boarding opportunities)が時間枠内の乗降ゾーンで何回になるかの推定値を表してもよい。より詳細には、乗降ゾーンの乗降能力は、乗降ゾーン内の各駐車スポットが時間枠にわたって複数の車両を収容することができるという事実、を考慮することができる。従って、乗降能力は、乗降ゾーンの各駐車スポットが車両を処理できるレート(例えば、降車/乗車サイクル)と、乗降ゾーンの駐車スポットの数とに、少なくとも部分的に、基づいてもよい。時間枠において目的地に到着する車両の数を評価し、車両を処理できるレートに基づいて乗降容量を決定することによって、単一の即時的な時間を選択する場合と比較して、乗降ゾーンの混雑具合のより有用で正確な推定、を達成することができる。例えば、目的地の乗降ゾーンへの車両1の到着の推定時間が正確に8:00である場合に、8:00ちょうどでの乗降ゾーンの混雑具合を評価することは、不満足な結果となり得る、なぜならば、7:59に目的地の乗降ゾーンに到着する車両が多数存在する可能性があり、これは、ユーザ経験に影響することになるであろうが、システムが8:00の到着のみを考慮する場合には予測されないからである。
【0047】
前述の説明は、目的地点への到着の推定時間が、目的地点が過度に混雑しており便利な降車ができない時間と、一致する場合に、車両を拒否またはパージすること、に関する。場合によっては、トリップの起点位置の混雑さに基づいて、同様の評価が行われてもよい。例えば、起点位置への車両の到着の推定時間が、起点位置がその時点でユーザが乗降できる十分な容量(例えば、利用可能な容量)を有していない時間と、一致する場合、その車両はパージされてもよい、さもなければ、候補車両のサブセットから除外されてもよい。
【0048】
候補車両のサブセットが、不十分なエネルギーレベルを有する車両(例えば、車両4)、または、過剰キャパシティ時間に目的地の乗降ゾーンに到着することになる車両(例えば、車両1)、などの特定の基準を満たさない車両をパージまたは除外することによって作成されると、集中ディスパッチシステム105は、残りの車両から、トリップ要求に対する要求された車両到着時間に最も近い(ただし、要求された車両到着時間よりも早くはない)起点位置へ到着の推定時間を有する車両、を選んでもよい。図4に戻り、車両1および車両4は、(Xマークによって示されている)候補車両のサブセット内にはなく、したがって、候補車両のリストは、車両2および車両3のみを含む。車両2は、車両3よりもより早い起点位置へ到着する推定時間を有しているので、集中ディスパッチシステム105は、(図4のチェックマークで示すように)車両2を選び、車両2をトリップ要求1に対して割り当てる。車両がトリップ要求に割り当てられると、集中ディスパッチシステム105は、車両が割り当てられていないシステム内の次に最も古いトリップに移り、そのトリップ要求に対する車両の特定及び割り当てのために、同様の分析を行ってもよい。
【0049】
車両をトリップ要求に割り当てることに加えて、集中ディスパッチシステム105は、車両配置バランシング処理(英:vehicle allocation balancing processes)を実行してもよく、それにより、車両需要を迅速に満たすのを助けるために、車両は、将来を見越して(英:proactively)、出現されるべき乗降ゾーンにルーティングされる、または、乗降ゾーンに駐車される。本明細書に記載するように、集中ディスパッチシステム105は、予測されたニーズに基づいて、乗降ゾーンの将来のニーズを予測し、乗降ゾーンに車両を送ることができる。さらに、集中ディスパッチシステム105は、連続的または周期的に、異なる乗降ゾーンでの車両需要の予測、および、どの車両がどの乗降ゾーンに位置するかを更新することを含む、システムの状態の監視を行ってもよく、また、更新されたシステム状態に従って車両の再配置を行ってもよい。このようにして、集中ディスパッチシステム105は、輸送システムにおいて時々刻々と変化する車両需要に迅速に対応し、車両を需要の高い場所(それらはどこであってもよい)付近に出現されることを確実にすることによって、効率およびユーザ体験を改善することができる。
【0050】
システム内の異なる乗降ゾーンに車両をインテリジェントにルーティングするために、集中ディスパッチシステム105は、システム内の、割り当てられたトリップを終了した車両であって、まだ別のトリップに割り当てられていない車両、を識別することができる(例えば、図4に関して説明したプロセスでは、それらの車両がトリップ要求に割り当てられた結果になっていない)。このような車両は、車両配置バランシング目的のために評価され、車両を必要とする乗降ゾーンにルーティングされてもよい、または、適切な乗降ゾーンが車両を必要としない場合は、駐車場にルーティングされてもよい。
【0051】
目標位置を割り当てる必要があると識別された各車両に対して、集中ディスパッチシステム105(および/またはシステム状態モニタ103)は、システム内のどの乗降ゾーンが、もしあるのであれば、その車両を受け入れることによって最も利益を受けることができるかどうかを、決定することができる。車両を割り当てるための乗降ゾーンの決定には、いくつかの考慮事項が含まれていてもよい。例えば、集中ディスパッチシステム105は、まず、適切なオプションである輸送システム内の乗降ゾーン(例えば、候補の乗降ゾーン)のサブセット、を識別することができる。これは、サブセットに対して、それぞれの乗降ゾーンへの車両の到着の推定時間に、利用可能な車両収容能力(例えば、空の駐車スポット)を有する乗降ゾーンを識別することを含んでもよい。このようにして、集中ディスパッチシステム105は、乗降ゾーンに駐車する場所がない時間や、車両を収容する場所がない時間には、空車を乗降ゾーンに送り込まない。車両収容能力は、前述したように乗降能力と同じまたは同様の方法で、決定することができる。例えば、車両収容能力は、少なくとも部分的に、乗降ゾーンでの各駐車スポットが車両を処理できるレート(例えば、乗客の降車/乗車サイクル)、及び、乗降ゾーンでの駐車スポットの数、に基づいてもよい。車両収容能力を決定するための他の技術も可能である。
【0052】
集中ディスパッチシステム105はまた、乗降ゾーンのサブセットに含まれるように、乗降ゾーンを識別してもよく、当該乗降ゾーンは、車両の現在位置および現在のエネルギー状態に基づいて、車両によって到達可能である。したがって、現在の位置およびその現在のエネルギー状態に基づけば車両にとって到達するには遠すぎる乗降ゾーンは、候補の乗降ゾーンのサブセットから、除外され得る。
【0053】
集中ディスパッチシステム105(及び/又はシステム状態モニタ103)はまた、候補の乗降ゾーンの各々での推定車両需要であって、その乗降ゾーンでの車両の到着の推定時間における推定車両需要、を決定することができる。したがって、推定された各車両需要は、特定の乗降ゾーンに固有であり、また、いつ問題の車両(例えば、乗降ゾーン割り当てが決定されている車両)がその特定の乗降ゾーンに到着すると予想されているかに、基づいている。このようにして、輸送システム制御装置102は、車両が乗降ゾーンに到着するであろうときの予測される車両需要に基づいて、車両を乗降ゾーンに割り当てることができ、予測される車両需要は、単に、車両が乗降ゾーンに割り当てられている時点での車両需要ではない(当該車両需要は、車両が実際にそこに到着する時間によっては期限が切れていれる)。
【0054】
乗降ゾーンにおける推定車両需要は、将来の車両需要を予測するのに役立つ要因、に基づいてもよい。車両需要の初期基準として、集中ディスパッチシステム105は、最近の時間枠(例えば、直近の5分、10分等)にわたって、乗降ゾーンから出発する予定であったトリップの回数、を決定してもよい。これは、乗降ゾーンからの平均出発率を提供することができ、乗降ゾーンでの現在の需要の状態をリアルタイムで表すことができる。この値は、問題の車両が実際に到着したときの、乗降ゾーンでの車両需要の一般的な予測として使用されてもよい。しかし、この値だけでは、問題の車両が実際に到着する時点で車両需要に影響を及ぼし得る他の要因を考慮していないが、集中ディスパッチシステム105は、車両需要をより良好に推定するため、他の要因を適用してもよい。例えば、推定された車両需要は、問題の車両がそこに到着すると推定される時間頃に乗降ゾーンから出発する予定であったトリップ要求であって、それに対して車両がまだ割り当てられていないトリップ要求、の数を含み得る。
【0055】
これらの値は、合計すると、車両需要のより正確な推定をもたらし得るが、それらは、乗降ゾーンにおける既存のあるいは予測される車両の供給量を必ずしも説明する必要はない。したがって、乗降ゾーンでの推定車両需要を最終的に決定するために、集中ディスパッチシステム105は、現在乗降ゾーンに向かっている車両であって、乗降ゾーンに到着すると乗客を運ぶ能力を有するようになる車両(例えば、現在、割り当てられていないか、または発生すると予測される、乗降ゾーンからのトリップ要求の1つを満足できるようになる車両)、の数を差し引いてもよい。予測された需要(例えば、トリップの最近の平均履歴数)を実際に来ている需要(例えば、実際のペアリングされていないトリップ要求)に加え、すでに乗降ゾーンに向かって移動している車両であって、したがって実際の需要を低減させる車両、の数を差し引くことによって、集中ディスパッチシステム105は、乗降ゾーンに対する全体的な純車両需要(英:net vehicle demand)の全体像を作り出す。
【0056】
また、追加の要因は、推定車両需要を決定するために用いられてもよい。例えば、集中ディスパッチシステム105は、予測された車両需要を増減させるために、(問題の車両が乗降ゾーンに到着するであろう時間での)乗降ゾーンにおける天気予報を使用してもよい。1つの具体的な例では、問題の車両が到着するであろうときに降雨が乗降ゾーンで予測される場合、その乗降ゾーンに対して推定される車両需要は増加され得る。別の例として、集中ディスパッチシステム105は、乗降ゾーンに近隣のエリアでのイベントのスケジュールを使用してもよく、推定された車両需要を、少なくとも部分的に、イベントの終了時刻に、基づかせてもよい。1つの具体的な例では、乗降ゾーンがスポーツスタジアムの近くにあり、ゲームが特定の時間に終了する予定である場合、集中ディスパッチシステム105は、予測される車両需要の増加を考慮して、ゲームの終了時間でのまたはゲームの終了時間頃での推定車両需要を増加させてもよい。
【0057】
図5は、上記に概説した車両配置バランシング処理が、2つの異なる車両に対して、どのように進行するかを示している。例えば、表500は、車両1(図2)に対して乗降ゾーンの割り当てを決定するために乗降ゾーンがどのように評価されるかを示しており、表502は、車両2(図2)に対して乗降ゾーンの割り当てを決定するために乗降ゾーンがどのように評価されるかを示している。示されるように、評価されるパラメータは、その乗降ゾーンへの車両の推定到着時間での推定車両需要、その乗降ゾーンがその車両の推定到着時間で十分な車両収容量を有するかどうか、その乗降ゾーンに到達するのに車両のエネルギーが十分であるかどうか、を含む。上述のように、輸送システムにおいて、どの乗降ゾーンに車両を送るかを選ぶ際には、これら及び他の可能性のある要因が考慮される。
【0058】
表500を参照すると、集中ディスパッチシステム105は、特定の基準が満たされていない乗降ゾーンを、拒否すること、パージすること、または、さもなければそれらを含めないこと、によって、候補の乗降ゾーンのサブセットを識別することができる。例えば、評価プロセスが発生しているときの車両1の位置に基づくと、車両1は、(例えば、距離、交通状況、車両のエネルギーレベルなどに基づくと、)乗降ゾーンDに到達するのに十分なエネルギーを有していない可能性がある。したがって、乗降ゾーンDは、候補の乗降ゾーンのサブセットから除外されることになる(Xによって示される)。同様に、集中ディスパッチシステム105による、車両1がそこに到着するであろうときに十分な車両収容能力を有していないという判定に基づいて、乗降ゾーンBは除外され得る。また、車両1の推定到着時間における推定車両需要は、乗降ゾーンごとに決定される。
【0059】
表502を参照すると、集中ディスパッチシステム105は、表500に示すものと同じ乗降ゾーンに対して、しかし車両2に固有のデータを用いて、同様のプロセスを適用することができる。例えば、車両2の推定到着時における推定車両需要と、車両2の推定到着時における車両収容能力とを、乗降ゾーンごとに決定してもよい。さらに、(例えば、距離、交通状況、車両のエネルギーレベルなどに基づいて、)車両2が各乗降ゾーンに到達するのに十分なエネルギー容量を有するかどうかが判断される。なお、車両1および車両2は、各乗降ゾーンから異なる距離で離れており、各乗降ゾーンへの異なる推定到着時間を有するので、要因の値は、車両ごとに異なる。したがって、例えば、乗降ゾーンEおよびFは、車両2にとっては、その特定の位置およびエネルギーレベルに基づくと、距離が離れすぎている可能性があり、したがって、車両2に対する候補乗降ゾーンのサブセットからは除外され得る。同様に、乗降ゾーンCは、車両2の推定到着時間に十分な車両収容能力を有していない可能性があり、したがって、乗降ゾーン候補のリストから除外される可能性もある。
【0060】
候補の乗降ゾーンのリストが、(例えば、到達できない乗降ゾーン、又は、車両が到着したときに過度に混雑しているがあろう乗降ゾーン、を除外することによって、)いったん確立されると、集中ディスパッチシステムは、各車両に対して、最も高い車両需要を有する候補の乗降ゾーン、を選んでもよい。車両1に対しては、これは、乗降ゾーンCに対応し、車両2に対しては、これは、乗降ゾーンDに対応する(チェックマークによって示される)。なお、たとえこれらの割り当てが実質的に同時に行われたとしても、車両固有の要因(例えば、位置、乗降ゾーンからの距離、エネルギーレベルなど)に基づいて乗降ゾーンを割り当てると、そのプロセスは、車両が異なる乗降ゾーンに割り当てられる結果となる。
【0061】
車両配置バランシング処理の前述の説明は、現在システム内で道路を走行している車両(、例えば、乗客を降ろすために位置まで走行しており、まだ別のトリップに割り当てられていない車両)、に適用するものとして説明されているが、同様の処理は集中ディスパッチシステム105によって、駐車場から乗降ゾーンに車両を送り、システム全体の車両の配置の均衡化を助けるために、用いられてもよい。しかし、システム内を通行中の車両であって、それらがトリップを終了中であってまたはトリップを終えており、且つ、別のトリップに割り当てられていない場合に(例えば、予定の乗降ゾーンターゲットがない場合に)、車両配置バランシングのために用いられる車両、とは異なり、駐車場内の車両は、それら自体では、集中ディスパッチシステム105がそれらを車両配置版ラスに使用するようになる独立したトリガーイベントまたはトリガー状態を、生成することはない。したがって、集中ディスパッチシステム105は、駐車場からの車両を、周期的に、割り当てることができる。例えば、システムに関して乗降ゾーンに送られる追加の車両についての予測される需要がある限り、集中ディスパッチシステム105は、車両を周期的に、例えば10秒ごとに1台の車両、1分ごとに1台の車両、5分ごとに1台の車両などで、発送することができる。
【0062】
図6は、車両配置バランシング処理が、図2の駐車場Xのような駐車場に対して、どのように進行するかを示している。特に、表600は、駐車場内の次の車両に対して乗降ゾーンの割り当てを決定するために乗降ゾーンがどのように評価されるか、を示している。特には、駐車場の車両はすべて同じ位置を持つ(また、すべてフル充電または満タンの燃料タンクを持つ可能性もある)ので、車両配置プロセスは、車両を個別に考慮する必要はない。しかし、場合によっては、乗り物を乗降ゾーンに割り当てる際に、乗り物固有の態様(例えば、乗り物の範囲、バッテリヘルス/バッテリ寿命、バッテリ容量、燃料タンク容量、車両の寿命または走行距離など)を考慮してもよい。
【0063】
表600に示されるように、駐車場Xから車両をどこに送るかを決定するときに評価されるパラメータは、その乗降ゾーンにおける車両の(例えば、駐車場Xとそれぞれの乗降ゾーンとの間の距離、交通状況などに基づいて)推定される到着時間における推定車両需要、車両の推定到着時間におけるそれぞれの乗降ゾーンの収容能力、およびそれぞれの乗降ゾーンにおける車両バランシングの純需要(英:net vehicle balancing demand)、を含む。それぞれの乗降ゾーンに対する車両バランシングの純需要は、(1)車両の推定到着時間における乗降ゾーンの推定車両需要、または、(2)車両の推定到着時間における乗降ゾーンの収容能力、のうちのより大きい方に、対応してもよい。より詳細には、乗降ゾーンは車両の需要が高いかもしれないが、もし乗降ゾーンがそれらの車両のための十分な駐車容易性(英:parking facilitate)または保管容易性(英:storage facilitate)を有していないならば、その乗降ゾーンに車両を送ることは効果的でないかもしれない。
【0064】
一旦、集中ディスパッチシステム105が車両バランシングの純需要を決定すると、それは、車両を、最も高い車両バランシングの純需要を有する乗降ゾーンに、割り当てることができる。同一の最も高い車両バランシングの純需要を有する複数の乗降ゾーンが存在する場合、集中ディスパッチシステム105は、ランダムに、または他の要因(例えば、最も近い乗降ゾーン、履歴的に最も混雑する乗降ゾーンなど)に基づいて、それらの乗降ゾーンのうちの1つを、選択してもよい。テーブル600に戻って、集中ディスパッチシステム105は、車両を、乗降ゾーンCに割り当ててもよく、その理由は、それが最も高い車両バランシングの純需要を有するからである。
【0065】
一旦、車両が、最も高い車両バランシングの純需要を有する乗降ゾーンに割り当てられると、その乗降ゾーンに対する推定車両需要値は、乗降ゾーンに送られている車両が乗降ゾーンのニーズを1つ減らすという事実を反映して、1、減じられてもよい。推定車両需要の減少は、推定された車両需要の計算を単純に再計算するか、さもなければ更新することによって、考慮されてもよく、その理由は、その計算が、すでに、乗降ゾーンへ移動する車両の数、を考慮しているからである。
【0066】
車両を乗降ゾーンCに割り当てた後、集中ディスパッチシステム105は、車両配分バランシング処理を周期的に実行し、車両を最も必要とし、それらが到着した時にそれらの車両を駐車および/または保管する収容能力を有する乗降ゾーンに、車両を割り当てることができる。このプロセスは、車両バランシングの純需要を有する駐車場の範囲内にある乗降ゾーンがなくなるまで、または、駐車場がディスパッチする車両を使い切るまで、継続することができる。
【0067】
車両がトリップ要求に割り当てられると(、および/または、トリップ要求が車両に割り当てられると)、車両は、割り当てられた乗降ゾーン、駐車場、または他の指定された位置に、自律的または半自律的にナビゲーションすることができる。場合によっては、輸送システム制御装置102は、車両が指定された位置に進むために従うためのルート、を提供することができる。場合によっては、車両は、オプションとして、システム状態モニタ103を用いて、指定された位置への自分のルートを決定することができる。場合によっては、車両と輸送システム制御装置102が協働して、指定位置までのルートを決定する。
【0068】
本明細書に記載されたトリップ割り当てスキームは、多数の車両を自律的に運転して乗員及び/又は貨物を道路に沿って輸送する輸送システムと共に、又は、それにより、使用されてもよい。例えば、輸送システムまたはサービスは、道路に沿って動作する車両群を提供してもよい。このような輸送システム内の車両は、本明細書に記載された1つ以上の車両スキーム(例えば集団化スキーム、ムービングポジションターゲットスキーム等)に従って、自律的に動作するように構成されていてもよい。本明細書で用いるように、「自律」という用語は、車両が人間のオペレータによる連続的な手動制御なしに作動することができるモードまたはスキーム、を指すことができる。例えば、ドライバレス車両は、車両の速度及び方向を制御する、自動駆動のシステム及びステアリングシステムを使用して、道路に沿ってナビゲーションすることができる。場合によっては、車両は、乗員からの操舵、速度、方向制御を必要としなくてもよく、また、乗員がアクセス可能なアクセル及びブレーキペダル、ステアリングホイール、及び他の手動制御装置などの、制御装置を除外してもよい。場合によっては、車両は、メンテナンス、緊急オーバライド等に使用され得る手動駆動制御装置を、含んでもよい。このような制御装置は、隠されていたり、収納されていたり、またはその他の方法で、通常の車両の動作中にユーザが直接アクセスできないようにされていたり、してもよい。例えば、それらは、訓練を受けたオペレータ、保守要員などによってのみアクセスできるように、設計されていてもよい。
【0069】
自律動作は、車両または輸送システム全体の人間のまたは手動の全ての動作を除外する必要はない。例えば、人間のオペレータは、安全性、利便性、テスト、またはその他、の目的のために、車両の操作に介入することができてもよい。このような介入は、人間の運転者が車両の制御を取る場合のように、車両に対して局所的であってもよいし、オペレータが遠隔制御システムを介して車両にコマンドを送信する場合のように、遠隔的であってもよい。同様に、車両のいくつかの態様は、車両の乗員によって制御されてもよい。例えば、車両の乗員は、目標の目的地、経路、速度、を選択すること、ドア及び/又は窓の動作を制御すること、等ができるとよい。従って、「自律」及び「自律動作」という用語は、個々の車両又は全体的な輸送システムの全ての人間の介在又は動作を、必ずしも排除するものではないことが理解されよう。
【0070】
輸送システム内の車両は、自律動作を容易にするのに役立つ種々の、センサ、カメラ、通信システム、プロセッサ、および/または、他の構成要素またはシステム、を含んでもよい。例えば、車両は、センサアレイを含んでいてもよく、当該センサアレイは道路に埋め込まれた磁石または他のマーカーを検出する、また、当該センサアレイは、車両がその道路上での、場所、位置、および/または、方向を決定することを支援する。車両は同様に、光学通信システムなどの無線車両対車両通信システム(英:wireless vehicle-to-vehicle communications systems)を含んでもよく、当該無線車両対車両通信システムは、車両が、それらの減速状態、集団内の前方の車両の数、加速状態、それらの近く発生する操縦(例えば、右折、左折、計画した停止)、それらのペイロード(例えば、人や積荷)の数や種類などの動作パラメータを、互いに通知することを可能にする。車両は同様に、輸送システム上の監視コマンドおよび制御権限を有する輸送システム制御部との通信を容易にするために、無線通信システムを含んでもよい。
【0071】
輸送システム内の車両は、輸送システムの運用及び利便性を高めるように設計されていてもよい。例えば、輸送システムの主要な目的は、快適で、便利で、迅速かつ効率的な、個人輸送を提供することであり得る。個人の快適さを提供するために、車両は乗客が容易に出入りできるように設計され得て、また、十分な脚部空間と頭部空間を備えた快適な座席配置を有し得る。また、車両は、精巧なサスペンションシステムを有していてもよく、当該サスペンションシステムは、快適な乗り心地と、動的に調節可能なパラメータとを提供し、便利な高さに位置決めした車両レベルを維持することを補助し、可変負荷重量の範囲全体にわたって、快適な乗り心地を確保する。
【0072】
従来の個人用自動車は、主に一方向のみの操作用に、設計されている。これは、部分的には以下のような事実によるものである、すなわち、ドライバが前方を向いており、長距離の間、逆方向に動作することは、一般に安全でないか、または必要でないという事実によるものである。しかしながら、人間がリアルタイムで車両の動作を直接制御していない自律車両においては、車両を双方向に動作できることが有利である場合がある。例えば、本明細書に記載する輸送システム内の車両は、車両が視覚的または機械的に明確な前面または背面を欠くように、実質的に対称であってもよい。更に、車輪は、車両のどの端部が進行方向を向いていても、車両が実質的に同一に作動するように、十分に独立に制御され得る。この対称的な設計は、いくつかの利点を提供する。例えば、車両は、移動を開始する前に、車両が「前方」を向くように方向を変えるためにUターンまたは他の操縦を行う必要性を、潜在的に排除することによって、より小さな空間で操縦され得る。
【0073】
図7のFIG.7A、FIG.7Bは、本明細書に記載する輸送システムに使用することができる例示的な四輪の道路車両700(ここでは単に「車両」と呼ぶ)の斜視図である。図7のFIG.7A、FIG.7Bは、車両700の対称性および双方向性を示す。特に、車両700は、図7のFIG.7Aに前面に示されている第1の端部702と、図7のFIG.7Bに前面に示されている第2の端部704とを画定している。いくつかの例では、および、図示するように、第1の端部702および第2の端部704は、実質的に同一である。また、車両700は、いずれかの端部を進行方向に向けても走行できるように、構成されていてもよい。例えば、車両700が矢印714で示す方向に走行しているとき、第1の端部702が車両700の先頭部分であり、一方、車両700が矢印712で示す方向に走行しているとき、第2の端部704が車両700の先頭部分である。
【0074】
車両を双方向的に操作する能力は、車道システムを、特に乗降ゾーンを、よりコンパクトにすることを可能にし得る。例えば、主に一方向にのみ走行するように構成された(、例えば、逆方向操作が利便性と操縦のために提供されているものの、連続的な運転機能のためには提供されていない、)車両が、ブラインドパーキングスポット(英:blind parking spot)に寄ると、それは、駐車スポットから出て前方への走行を開始するために、yターン操作を実行しなければならない。一方、いずれの方向においても同等に良好に動作するように構成された車両(例えば、双方向車両)は、単に、既に向いている進行方向へ駐車スポットを出ることができる。従って、双方向動作が可能な車両は、乗降ゾーンにおいて、操縦するためのスペースが少なくてすむので、乗降ゾーンをよりコンパクトにし、より効率的に運用することができる。例えば、yターン操作は、どの方向であるかに関係なく、その所望の進行方向に向かって直接的に方向転換することができる車両よりも、より多くの近傍の駐車スポットを一時的にブロックする可能性がある。また、プルスルーパーキングスポット(英:pull-through parking spots)は、一方向車両でyターン操作を行う必要性を排除し得るが、プルスルー駐車スポットを有する乗降ゾーンは、ブラインドパーキングスポットを有する乗降ゾーンよりも、より大きな面積を必要とする。従って、車両700のような双方向車両を使用することにより、より小さく、よりコンパクトな乗降ゾーンの使用が容易になり、また、乗降ゾーンのより効率的な運用が可能になる。
【0075】
車両700はまた、車輪706(例えば、車輪706-1~706-4)を含んでいてもよい。車輪706は、車両の端部への接近に応じて対にされていてもよい。したがって、車輪706-1、706-3は、車両の第1の端部702の近くに配置することができ、車輪706の第1の対と呼ぶことができ、車輪706-2、706-4は、車両の第2の端部704の近くに配置することができ、車輪706の第2の対と呼ぶことができる。車輪の各対は、少なくとも1つのモータ(例えば、電気モータ)によって、駆動され得て、車輪の各対は、車両を操縦することができる。各対の車輪は、車両を操舵するためにターンすることができるので、車両は、進行方向に関係なく、同様の運転およびハンドリング特性を有し得る。場合によっては、車両は、2輪操舵モードで運転されてもよく、この場合、1対の車輪のみが所定の時間に車両700を操舵する。このような場合、走行方向が変わると、車両700を操縦する特定の車輪対は、変更し得る。他の場合には、車両は4輪操舵モードで操作されてもよく、この場合、車輪は車両を操縦するために協調して操作される。四輪操舵モードでは、車輪の対は、実行される操舵操作及び/又は車両の速度に応じて、同じ方向又は反対方向にターンすることができる。
【0076】
車両700はまた、ドア708、710を含んでいてもよく、当該ドア708、710は、乗員および他のペイロード(例えば、パッケージ、荷物、貨物)を車両700の内部に配置できるように開く。ここでより詳細に説明するドア708、710は、各々が2つの向かい合う側のセグメントを画定するように、車両の上部に延在してもよい。例えば、各ドアは、車両の第1の側面で側方セグメントを画定し、車両の第2の両側で別の側面セグメントを画定する。また、ドアは、それぞれ、側面セグメント間に延在するルーフセグメントを画定し、車両のルーフ(または上部側)の一部を画定する。場合によっては、ドア708、710は、横断面において上下逆「U」に似ており、キャノピードアと称されてもよい。ドアの側面セグメントおよび上部セグメントは、ドアの構成要素(例えば、側面セグメントおよび上部セグメント)のすべてが互いに協調して移動するように、剛性の構造ユニットとして形成されていてもよい。場合によっては、ドア708、710は、モノリシック構造から形成された一体のシェルまたはドアシャーシを、含む。一体のシェルまたはドアシャーシは、例えば、ガラス繊維、炭素複合材、および/または、他の軽量複合材、を含む複合シートまたは複合構造から形成されていてもよい。
【0077】
車両700は、車両700の動作及び車両のシステム及び/又はサブシステムを制御する車両制御部を含んでもよい。例えば、車両制御部は、車両の駆動システム、操舵システム、サスペンションシステム、ドア等を制御して、1以上の車両制御スキームに従って道路に沿って車両をナビゲートすることを含み、車両動作を容易にする。車両制御装置はまた、他の車両、輸送システム制御部、車両存在検知部、又は、輸送システムの他の構成要素、と通信するように、構成されていてもよい。例えば、車両制御装置は、他の車両から、集団内でのそれらの車両の位置、速度、近く発生する速度または方向の変化、などに関する情報を、受信するように構成されていてもよい。車両制御部は、利用可能な車両位置について、車両存在検知部から情報を受け取るように構成されていてもよい。車両制御部は、コンピュータ、プロセッサ、メモリ、回路、または任意の他の適切なハードウェア構成部品を、含んでもいてもよく、また、他の車両動作と同様に、本明細書で説明する動作を容易にするために、車両の他のシステムと相互接続されていてもよい。
【0078】
図8Aおよび図8Bは、ドア708、710が開状態にある、車両700の側面図および斜視図である。ドア708、710は、それぞれ、2つの向かい合う側のセグメント、および、ルーフセグメント、を画定しているので、ドア708、710が開放されると、中断されていない内部空間802が明らかになり得る。図8Aおよび図8Bに描かれた例においては、ドア708、710が開かれている場合、ドア708、710の間に、車両700の一方の側面から他方の側面に延在する開区間を、画定することができる。これは、車両700の両側の乗客による、車両700への妨害されない進入及び退出を、可能にすることができる。ドア708、710が開かれたときに頭上の構造が欠如していることは、乗客に、頭上クリアランスに制限なく、車両700を横切って歩くことを可能にし得る。
【0079】
車両700はまた、座席804を含んでもよく、当該シートは車両700の両端に配置され得て、互いに向かい合っていてもよい。図示のように、車両は2つの座席804を含むが、他の数の座席および他の座席の配列も、可能である(例えば、0座席、1座席、3座席等)。場合によっては、座席804は、取り外したり、倒したり、または格納したりされ得るとよく、その結果、車椅子、ベビーカー、自転車、または荷物が、車両700内により容易に配置できる。
【0080】
車両700などの本明細書に記載の輸送システムで使用する車両は、安全かつ快適な操作のほか、製造およびメンテナンスの容易さを考慮して設計され得る。これらの利点を達成するために、車両は、車両の構造的および動作的な構成要素(例えば、モータ、サスペンション、バッテリなど)の多くを含むフレーム構造であって、地面に対して低い位置にあるフレーム構造を、有するように設計されてもよい。本体構造は、フレーム構造に取り付けられていても、固定されていてもよい。図9は、車両の部分分解図を示しており、当該車両は、車両700の実施形態であり得て、フレーム構造及び車体構造の構成の例を示している。後述するように、フレーム構造の低い位置と比較的軽量な車体構造との組み合わせによって、重心が非常に低い車両が製造され、その結果、車両の安全性およびハンドリング性が高まる。例えば、低重心は、車両が傾斜した路面、風の負荷、鋭いターン等に遭遇した場合の車両の横転リスクを減少させ、また、ターン又は他の操縦中の車両のボディロールを減少させる。さらに、車両の動作的な構成要素の多く、例えば、モータ、バッテリ、車両制御部、センサ(例えば、道路に設置された磁石又は他のマーカーを検出するセンサ)等をフレーム構造(例えば、フレーム構造904、図9)上に位置決めすることによって、製造及び修理が簡略化され得る。
【0081】
図9は、車両700の実施形態であり得る、車両900の部分分解図である。車両700の詳細は、車両900に同様に適用可能であり、ここでは繰り返さない。車両900は、ドア(例えば、前述のドア708、710)および他の車体構成要素を含み得る車体構造902と、車体構造902が取り付けられているフレーム構造904と、を含むことができる。
【0082】
フレーム構造904は、車両の駆動部品、サスペンション部品、ステアリング部品を含んでいてもよい。例えば、フレーム構造904は、(ホイールマウント、車軸、又はハブを規定するか、又は含むことができ、図9では点912として表されている)ホイールサスペンションシステム、ステアリングシステム、駆動モータ、及び、オプションでモータ制御部、を含むことができる。ホイールは、ホイールマウント、車軸、ハブ等を介して、ホイールサスペンションシステムに取り付けられていてもよい。駆動モータは、独立に又は互いに協調して車輪を駆動する1つ又はそれ以上の駆動モータを含んでいてもよい。駆動モータは、フレーム構造904上に取り付けられている電源(例えば、バッテリ)から電力を受け取ってもよい。駆動モータ用のモータ制御部もまた、フレーム構造904に取り付けられていてもよい。
【0083】
サスペンションシステムは、任意の適切なタイプのサスペンションシステムであってよい。場合によっては、サスペンションシステムは、各車輪に対して独立のサスペンションシステムを含む。例えば、サスペンションシステムは、ダブルウィッシュボーン・トーションバー・サスペンションシステム(英:double-wishbone torsion-bar suspension systems)であってもよい。また、サスペンションシステムは、車両が静止している間、または車両が移動している間に、ライド高さ、サスペンションプリロード、ダンピング、または他のサスペンションパラメータを制御するように、動的に調整可能であってもよい。スイングアクスルサスペンション(英:swing axle suspension)、スライディングピラーサスペンション(英:sliding pillar suspension)、マクファーソンストラットサスペンション(英:MacPherson strut suspension)等の他のサスペンションシステムも考えられる。更に、スプリング機能及び減衰機能は、コイルスプリング、板スプリング、空圧スプリング(英:pneumatic springs)、流空圧スプリング(英:hydropneumatic springs)、磁気レオロジーショックダンパ(英:magneto-rheological shock absorbers)等の、任意の適当な構成要素又は装置によって、提供され得る。サスペンションシステムは、(例えば、上述したような道路の)路面の輪郭と連動して作動し、乗員の所望の体験を維持するように、構成されていてもよい。
【0084】
フレーム構造904は、車両を操舵することために車輪をターンさせることを可能にするステアリングシステムを含んでもよい。場合によっては、車輪は独立して操舵可能であってもよく、または、それらは、車両の通常の作動中にそれらが常にほぼ同じ方向を向くように(例えばステアリングラックを介して)連結されていてもよい。さらに、これは、車両に、四輪操舵スキームを使用できるようにする、また、二輪操舵スキームと四輪操舵スキームとを交互に行うことができるようにする。
【0085】
フレーム構造904は、バッテリ、モータ、車両のドアを開閉する機構、(コンピュータまたは他の処理ユニットを含む)制御システムなどの、構成要素を含むことができる。
【0086】
図9は、車両およびフレーム構造の例示的な構成を示す。しかし、他の構成も可能である。さらに、図9に示されるフレーム構造および本体構造は、これらの構成要素を概略的に表すことを意図しており、これらの構成要素は、明確さのために、図9から省略された他の構造を含んでもよい。図9に明示的に表されるものよりも、追加の構造的な接続および一体化が、本体構造とフレーム構造との間に形成されていてもよい。例えば、本体構造のドアを開閉するドア機構の構成要素は、ドアとフレーム構造の両方に接続されていてもよい。
【0087】
図10は、本明細書に記載する動作を実行することができる電子デバイス1000の電気ブロック図の例を示す。電子デバイス1000は、場合によっては、本明細書に記載する電子デバイス(またはシステムに関連するサービスを提供する)のいずれかの形態をとることができ、それは、輸送システム制御装置102、システム状態モニタ103、集中ディスパッチシステム105、または本明細書に記載の他の計算装置またはシステムを含む。電子デバイス1000は、ディスプレイ1012、処理ユニット1002、電源1014、メモリ1004またはストレージデバイス、入力デバイス1006、および出力デバイス1010のうち、1つまたは複数を含むことができる。場合によっては、電子デバイス1000の様々な実装は、これらの構成要素の一部又は全てを欠いていてもよく、及び/又は、追加の又は代替の構成要素を含んでもよい。
【0088】
処理ユニット1002は、電子デバイス1000の動作の一部または全部を制御し得る。処理ユニット1002は、直接的に又は間接的に、電子デバイス1000の一部の構成要素又は全ての構成要素、と通信することができる。例えば、システムバスまたは他の通信機構1016は、処理ユニット1002、電源1014、メモリ1004、入力デバイス1006、および出力デバイス1010の間の通信、を提供し得る。
【0089】
処理ユニット1002は、データまたは命令を処理し、受信し、または送信することが可能な任意の電子デバイスとして実装され得る。例えば、処理ユニット1002は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそのような装置の組合せであり得る。本明細書で説明するように、「処理ユニット(英:processing unit)」という用語は、単一のプロセッサ又は処理ユニット、複数のプロセッサ、複数の処理ユニット、又は他の適切に構成された1つ又は複数の演算器を包含することを意味する。
【0090】
電子デバイス1000の構成要素は、複数の処理ユニットによって制御され得ることに留意されたい。例えば、電子デバイス1000の選択コンポーネント(例えば、入力デバイス1006)は、第1の処理ユニットによって制御されてもよく、電子デバイス1000の他のコンポーネント(例えば、ディスプレイ1012)は、第2の処理ユニットによって制御されてもよく、第1および第2の処理ユニットは、互いに通信していても、通信していなくても、よい。
【0091】
電源1014は、電子デバイス1000にエネルギーを供給することができる任意のデバイスで実装することができる。例えば、電源1014は、1つ以上のバッテリまたは充電式バッテリであってもよい。これに加えて又はこれに代えて、電源1014は、電子デバイス1000を、壁コンセント等の別の電源に接続する電源コネクタ又は電源コードとしてもよい。
【0092】
メモリ1004は、電子デバイス1000によって使用可能な電子データを格納することができる。例えば、メモリ1004は、例えば、トリップ要求、ユーザ情報、過去の使用データ、搬送システムの地図及び/又はレイアウト、車両データ(例えば、割り当てステータス、残り充電量、メンテナンス履歴等を含む、システム内の各車両に関する情報)等の、電子データ又は電子コンテンツ、を格納することができる。メモリ1004は、任意のタイプのメモリとして構成可能である。単なる例として、メモリ1004は、ランダム・アクセス・メモリ、リード・オンリー・メモリ、フラッシュ・メモリ、リムーバブル・メモリ、他のタイプの記憶素子、またはそのような装置の組合せとして実現されていてもよい。
【0093】
様々な実施形態では、ディスプレイ1012は、例えば、電子デバイス1000のオペレーティングシステム、ユーザインタフェース、及び/又はアプリケーションに関連する、グラフィカルな出力、を提供する。一実施形態では、ディスプレイ1012は、1つ又は複数のセンサを含み、ユーザからの入力を受けるために、タッチセンシティブな(例えば、シングルタッチの、マルチタッチの)及び/又はフォースセンシティブな、ディスプレイとして構成されている。例えば、ディスプレイ1012は、タッチセンサ(例えば、静電容量式タッチセンサ)および/またはフォースセンサと一体化されて、接触感知/または力感知のディスプレイを提供してもよい。ディスプレイ1012は、動作可能に、電子デバイス1000の処理ユニット1002と結合されている。
【0094】
ディスプレイ1012は、液晶ディスプレイ(LCD)技術、発光ダイオード(LED)技術、有機発光ディスプレイ(OLED)技術、有機エレクトロルミネセンス(OEL)技術、または別の種類のディスプレイ技術を含むが、それらに限定されない、任意の適切な技術によって実装されてもよい。場合によっては、ディスプレイ1012は、電子デバイス1000のエンクロージャの少なくとも一部を形成するカバーの下に配置され、それを介して見ることができる。
【0095】
様々な実施形態では、入力デバイス1006は、入力を検知するための任意の適切な構成要素を含み得る。入力デバイス1006の例としては、光センサ、温度センサ、オーディオセンサ(例えばマイクロフォン)、光学センサまたは視覚センサ(例えばカメラ、可視光センサ、または不可視光センサ)、近接センサ、タッチセンサ、フォースセンサ、機械的なデバイス(例えばクラウン、スイッチ、ボタン、またはキー)、振動センサ、方向センサ、モーションセンサ(例えば加速度計または速度センサ)、位置センサ(例えば全地球測位システム(GPS)デバイス)、熱センサ、通信デバイス(例えば有線または無線の通信デバイス)、抵抗センサ、磁気センサ、電気活性ポリマー(EAP)、歪ゲージ、電極など、またはそれらのいくつかの組合せが挙げられる。各入力デバイス1006は、1つ以上の特定の種類の入力を検知し、検知された入力に対応する信号(例えば、入力信号)を提供するように、構成されていてもよい。この信号は、例えば、処理ユニット1002に供給され得る。
【0096】
出力デバイス1010は、出力を供給するための任意の適切な構成要素を含むことができる。出力デバイス1010の例としては、発光体、音声出力装置(例えばスピーカ)、視覚的出力装置(例えばライトまたはディスプレイ)、触覚的出力装置(例えばハプティック出力装置)、通信デバイス(例えば有線または無線の通信デバイス)等、またはこれらのいくつかの組合せが挙げられる。各出力デバイス1010は、1つ以上の信号(例えば、処理ユニット1002によって提供される出力信号)を受信し、その信号に対応する出力を提供するように構成されていてもよい。
【0097】
場合によっては、入力デバイス1006および出力デバイス1010は、単一デバイスとして一緒に実装される。例えば、入/出力デバイス又はポートは、無線の及び/又は有線のネットワーク接続のような、通信ネットワークを介して、電子信号を送信することができる。無線のおよび有線のネットワーク接続の例には、セルラー、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、IR、およびイーサネット(登録商標)接続が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
処理ユニット1002は、動作可能に、入力デバイス1006および出力デバイス1010に結合されていてもよい。処理ユニット1002は、入力デバイス1006および出力デバイス1010と信号を交換するように構成されてもよい。例えば、処理ユニット1002は、入力デバイス1006によって検出された入力に対応する入力デバイス1006から入力信号を受信することができる。処理ユニット1002は、受け取った入力信号を解釈して、入力信号に応答して、1つまたは複数の出力を提供すべきか、および/または変更すべきか、を判断してもよい。処理ユニット1002は、次いで、出力信号を出力デバイス1010のうちの1つまたは複数に送信し、適宜、出力を提供および/または変更してもよい。
【0099】
前述の説明は、説明の目的のために、説明される実施形態を完全に理解するために、特定の用語を使用した。しかしながら、説明される実施例を実施するために、特定の詳細が必要とされないことは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本明細書に記載する特定の実施の前述の説明は、実例および説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、または実施形態を開示される正確な形態に限定すること、を目的とするものではない。上記の教示を鑑みれば、多くの修正および変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、本明細書に開示の方法又はプロセスは、特定の順序で実行される特定の操作を参照して説明し、示したが、これらの操作は、本開示の教示からの逸脱なしに、組み合わせる、細分化する、又は、同等の方法又はプロセスを形成するように再順序付けする、ことができる。さらに、一実施形態に関して本明細書に記載されている、構造、特徴、構成要素、材料、ステップ、プロセスなどは、その実施形態から省略するか、または他の実施形態に組み込むことができる。さらに、本明細書では「道路」という用語は、移動する車両を支持する構造物を指すために使用されるが、本明細書で説明される道路は、法律、規則、輸送コードなどで使用され得るような、「道路」という用語に関連し得るいかなる定義、規格、または要件に、必ずしも適合しない。このように、本明細書に記載された道路は、従来の「道路」と同じ特徴及び/又は同じ構造を必ずしも(そして実際に)提供する必要はない。もちろん、本明細書に記載された道路は、乗員、傍観者、運転者、建設者、保守員等の安全のための、任意の又は全ての、適用可能な法規、安全規則、又は他の規則に、適合することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて車両をトリップ要求に割り当てる方法であって、
前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、
起点位置と、
目的地位置と、
要求された車両到着時間と、
を含む前記トリップ要求を、受信することを含み、
前記複数の車両から車両のサブセットを識別することを含み、車両の識別された前記サブセット内の各車両はそれぞれ、
前記起点位置から前記目的地位置まで移動するのに十分なエネルギーを有しており、及び、
乗降能力起点位置でのそれぞれの推定到着時間を有しており、当該推定到着時間は、前記起点位置が利用可能な乗降能力を有すると予測される時間に対応しており、
車両の前記サブセットから、前記起点位置への最早推定到着時間を有する、選択された車両を、選ぶことを含み、
前記選択された車両を前記トリップ要求に割り当てることを含み、
前記トリップ要求に関する情報を、前記選択された車両に送信することを含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
車両の識別された前記サブセット内の各車両はそれぞれ、前記サブセットが識別された時点で、前記起点位置へ向かって移動している、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
車両の識別された前記サブセット内の前記車両の各推定到着時間はそれぞれ、要求された前記車両到着時間後の閾値時間内にある、
方法。
【請求項4】
請求項1に記載の法であって、
前記起点位置は、前記輸送システム内の第1の固定位置を有する第1の乗降ゾーンに対応し、及び、
前記目的地位置は、前記輸送システム内の第2の固定位置を有する第2の乗降ゾーンに対応する、
方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記トリップ要求が、携帯電話から受信される、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記携帯電話に、前記選択された車両の識別子を送信すること、をさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
車両の識別された前記サブセット内の各車両はそれぞれ、前記トリップ要求に関連するトリップの終了後に、前記目的地位置から充電ステーションへ移動するための十分なエネルギーを有する、
方法。
【請求項8】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて車両をトリップ要求に割り当てる方法であって、
前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、
起点位置と、
目的地位置と、
要求された車両到着時間と、
を含む前記トリップ要求を、受信することを含み、
前記複数の車両から、候補車両の第1のサブセットを、識別することを含み、当該第1のサブセットでは、各車両は、前記目的地位置へ向かって移動しており、また、前記要求された車両到着時間後の閾値時間内にある、前記起点位置での到着時間を有しており、
前記候補車両の前記第1のサブセットから、前記候補車両の第2のサブセットを識別することを含み、当該第2のサブセットは、前記起点位置から前記目的地位置に到達するのに十分なエネルギーを有しており、
前記候補車両の前記第2のサブセットから、前記起点位置への最早推定到着時間を有する、選択された車両を選ぶことを含み、
前記選択された車両を前記トリップ要求に割り当てることを含み、
前記トリップ要求に関する情報を、前記選択された車両に送信することを含む、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記ディスパッチサーバシステムは、車両が割り当てられていない保留中のトリップ要求のリストを維持し、
前記トリップ要求は、車両が割り当てられていない保留中のトリップ要求の前記リストの中最古トリップ要求である、
方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記閾値時間は、前記要求された車両到着時間の後から、10分以内である、
方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記選択された車両を前記トリップ要求に割り当てた後で、且つ、前記選択された車両が前記起点位置に到着する前に、
- 前記選択されたビークルよりも、前記起点位置へのより早い推定された到着時間を有する追加の車両ビークルを識別すること、
- 前記選択された車両の前記トリップ要求に対する前記割り当てをキャンセルすること、
- 前記追加の車両を前記トリップ要求に割り当てること、
を更に含む、
方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、
車両の前記第2のサブセット内の各車両それぞれは、前記トリップ要求に関連するトリップの終了後に、前記目的地位置から充電ステーションに移動するのに十分なエネルギーを有する、
方法。
【請求項13】
道路に沿って自律的に操縦するように構成された複数の車両を含む輸送システムにおいて目標位置に車両を割り当てる方法であって、
前記輸送システムのディスパッチサーバシステムにて、
前記目標位置を割り当てられる車両を識別することを含み、
前記輸送システム内の複数の乗降ゾーンからの乗降ゾーンのサブセットを識別することを含み、乗降ゾーンの識別された前記サブセット内にある各乗降ゾーンはそれぞれ、
車両のそれぞれの乗降ゾーンへの推定された到着推定時間において、利用可能な車両収容能力を有する
前記車両の現在の位置および現在のエネルギー状態に基づいて、前記車両によって到達可能であり、
それぞれの推定された車両需要に関連しており、
乗降ゾーンの前記サブセットから、最も高い推定された車両需要を有する選択された乗降ゾーンを乗降ゾーン選ぶことを含み、
前記選択された乗降ゾーンを、前記車両の前記目標位置として、割り当てることを含み、
前記車両に、前記目標位置に関する情報を、送信すること、またそれにより、前記車両を前記選択された乗降ゾーンへ、移動させること、を含む、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
乗降ゾーンの前記サブセットの前記各乗降ゾーンに対して、前記各乗降ゾーンへの前記車両の推定された到着時間での、それぞれの前記推定された車両需要を決定すること、を更に含む、
方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
各乗降ゾーンそれぞれに対する前記推定された車両需要は、少なくとも部分的に、
前記各乗降ゾーンから出発したトリップの履歴数、
前記各乗降ゾーンへ移動し、特定の時間枠内で前記各乗降ゾーンに到着することが推定される、車両の数、および、
前記各乗降ゾーンから出発することが予定されており、それに対して車両が割り当てられていない、トリップ数、
に基づいている、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
各乗降ゾーンのそれぞれに対する前記推定された車両需要は、さらに、少なくとも部分的に、前記各乗降ゾーンにおける天気予報に基づく、
方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
各乗降ゾーンのそれぞれに対する前記推定された車両需要は、さらに、少なくとも部分的に、前記各乗降ゾーンの近隣でのイベントの終了時刻に基づく、
方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記特定の時間枠が、前記車両の前記推定された到着時間よりも前の時間である、
方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記車両の前記目標位置として前記選択された乗降ゾーンを割り当てた後に、1台の車両によって、前記選択された乗降ゾーンの前記推定された車両需要を減じること、を更に含む、
方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記車両は、それが識別されると、充電ステーションに駐車される、
方法。
【国際調査報告】