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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】殺虫剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 309/38 20060101AFI20230830BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230830BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20230830BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C07D309/38 CSP
A01P7/04
A01N43/16 B
A01P7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509612
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 AU2021050903
(87)【国際公開番号】W WO2022036393
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2020902941
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523044839
【氏名又は名称】ウエスタン・シドニー・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】523044840
【氏名又は名称】コットン・リサーチ・アンド・ディベロップメント・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Cotton Research and Development Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】スプーナー-ハート,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ビーティー,カレン ディーン
(72)【発明者】
【氏名】バスタ,アルバート ハビブ
(72)【発明者】
【氏名】マック,ミッシェル イベット
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジョンホア
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011AC04
4H011BB08
(57)【要約】
本発明は、殺虫剤として使用するためのγ-ピロン化合物を提供する。γ-ピロンは一般式(1):
〔式中、R、R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHから選択され;R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;-C=O;-COO-、N、SまたはOから選択され;そしてnは1~18である。〕のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。本発明の他の実施態様は、γ-ピロン化合物、その化合物を含む殺虫組成物の使用を定義し、商業的実施態様は商品棚での販売のためのキットを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺虫剤として使用するためのγ-ピロン化合物。
【請求項2】
γ-ピロンが一般式(1):
【化1】
〔式中、
、R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHから選択され;
、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;-C=O;-COO-、N、SまたはOから選択され;そして
nは1~18である、
請求項1の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【請求項3】
γ-ピロンが一般式(1):
【化2】
〔式中、
、R、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりエポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHで置換されていてよく;
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
nは1~18である。〕
である、請求項1の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【請求項4】
γ-ピロンが一般式(1):
【化3】
〔式中、
、R、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCH;または-R(CH)CHから選択され;
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
nは1~18である。〕
である、請求項1の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【請求項5】
γ-ピロンが一般式(1):
【化4】
〔式中、
、R、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCH;または-R(CH)CHから選択され;
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
nは1~18である、
ただし、R、R、RおよびRの少なくとも1個がR(CH)CHである。〕
である、請求項1の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【請求項6】
γ-ピロンが一般式(2):
【化5】
〔式中、
、R、Rは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりエポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、フェニル、ヘテロアリール;H;-COOH;-OH;または-OCHで置換されていてよく;
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
nは1~18である。〕
である、請求項1の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【請求項7】
γ-ピロンが一般式(2):
【化6】
〔式中、
、R、Rは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;または-OCHから選択され;
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
nは1~18である。〕
である、請求項1の化合物、その塩、溶媒和物または異性体。
【請求項8】
γ-ピロンが一般式(3):
【化7】
〔式中、
nは6、7または8であり;
はC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキであり;そして
、RおよびRは各々独立して-C=Oおよび-CH-から選択され、
ただし、R、RおよびRの1個が-C=Oであるならば、残りの基は-CH-である。〕
である、請求項1の化合物、その塩、溶媒和物または異性体。
【請求項9】
γ-ピロンが化合物(1a)~(1q)の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体からなる群から選択される、請求項1の化合物。
【化8】
【化9】
【請求項10】
請求項1~9の何れかの化合物を含む、殺虫組成物。
【請求項11】
γ-ピロンが(合計で)約20w/v%未満の濃度である、請求項10の殺虫組成物。
【請求項12】
農学的に重要な植物および/または作物を処理するのに適する、請求項1~9の何れかの殺虫化合物または請求項10~11の何れかの殺虫組成物。
【請求項13】
水ベース、溶媒ベースまたは油ベースである、請求項10~12の何れかの殺虫組成物。
【請求項14】
害虫がコットンボールウォーム、ネイティブバドウォーム、メクラカメムシ、アブラムシ、ミナミアオカメムシ、アップルディンプリングバグ、アザミウマ(プラークスリプス、タバコスリプス、オニオンスリプス、ミカンキイロアザミウマ)、コナジラミ、ナミハダニ、ノミ、シラミ、蚊、ハエ、ツェツェバエ、アリ、ダニ、ダニ、セイヨウシミ、スナノミなどから選択される、請求項10~13の何れかの殺虫組成物。
【請求項15】
害虫がアブラムシおよびダニから選択される、請求項14の殺虫組成物。
【請求項16】
害虫を制御するための製剤であって:
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤;および
殺虫剤として有効量の請求項1~9の何れかの殺虫化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物
を含み、ここで、使用に際し、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止する、製剤。
【請求項17】
殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することにより、害虫を制御するための殺虫剤として有効量の請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物の使用。
【請求項18】
殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することにより、1以上の害虫を制御する方法であって、場所を殺虫剤として有効量の請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物で処理することを含む、方法。
【請求項19】
請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物が害虫の少なくとも2個のイオンチャネルに影響する、請求項18の方法。
【請求項20】
請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物が害虫の少なくとも2個の神経イオンチャネルに影響する、請求項19の方法。
【請求項21】
少なくとも2個のイオンチャネルがナトリウム、カリウムおよび塩素イオンチャネルからなる群から選択される、請求項19または20の方法。
【請求項22】
請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物がナトリウムおよびカリウムイオンを流出させる、請求項21の方法。
【請求項23】
請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物が塩素イオンを流入させる、請求項22の方法。
【請求項24】
商品棚での販売のためのキットであって:
請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物;
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤;
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤の単位体積あたり殺虫剤として有効量の請求項1~9の何れかの化合物または請求項10~15の何れかの殺虫組成物を含む製剤を調製するための指示
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年8月18日出願のオーストラリア仮特許出願2020902941に基づく優先権を主張し、その内容は包含されると解釈されるべきである。
【0002】
発明の分野
本発明は、殺虫剤として使用するための、天然(例えば植物抽出物)または合成由来であり得るピロン誘導体化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本明細書をとおして、先行技術に関する何らかの記載は、決してこのような先行技術が当分野において広く知られているまたは技術常識の一部を形成することを認めるとして考慮されてはならない。
【0004】
害虫は、農耕が始まって以来、作物および貯蔵された食品にとって問題である。1950年代から、合成殺虫剤が農地、貯蔵された穀物、倉庫および食品加工施設などの農産業において、害虫汚染を制御する選択法である。
【0005】
オーストラリア綿工業も、作物の有害生物制御を合成駆除剤の反復適用に依存している。殺虫剤耐性、益虫種途絶、高い製造費および環境への影響に関連する付随する問題により、現在、害虫制御について別の戦略を研究する必要がある。これらは、バチルス・チューリンゲンシス(「Bt」)および他の宿主植物耐性の殺虫タンパク質を含む遺伝子組み換え綿作物、バイオペスティサイド、益虫種の良好な管理、捕獲作物、間作および混植ならびに害虫および益虫の行動操作を含む(しかしこれらに限定されない)。遺伝子組み換え(トランスジェニック)作物は、現在、オーストラリアおよび多くの国々で鱗翅類有害生物の制御のために育成されており、その導入はこれら有害生物に対する合成殺虫剤の使用を減らしている。
【0006】
植物由来殺虫剤が周知となり、実際綿工業に既に適用されているにも関わらず、新規殺虫化合物を発見したいとの要望が継続し続けている。さらに、オーストラリア綿工業は、特有の環境、気候および有害生物種 - 例えば、アブラムシ - に悩まされている。
【0007】
約5000種のアブラムシが記載されており、このうち約450種が食用および繊維作物にコロニーを作る。アブラムシは、農産業で重大な経済的被害をもたらし得る。アブラムシは、綿を含む作物に被害を与え、収量を減らし得るだけでなく、植物ウイルスの媒介生物となることでより大きな影響がある。これらウイルスの伝播は、アブラムシの植物の異なる部分への、近隣植物へのそしてさらなる畑への移動に依存する。この点において、宿主の味見をするアブラムシの探索行動が、留まる個体による長期にわたるアブラムシ摂食および繁殖よりも被害を与える。
【0008】
アブラムシの殺虫剤による制御は、繁殖が速く、失敗が小さな面積であっても、集団の迅速な回復が可能であり得るため、困難である。アブラムシは、噴霧しそこなう葉の裏側を占拠し得て、一方浸透殺虫剤は花弁に満足のいくように移動しない。最後に、一部アブラムシ種は、カルバメート系、有機リン酸系およびピレスロイド系を含む一般的殺虫剤クラスに耐性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術の欠点の1以上を克服するもしくは軽減するまたは少なくとも有用な代替を提供することが、本発明の目的である。
【0010】
作物または観賞植物における害虫を制御し得る化合物、殺虫組成物または抽出物を提供することが、本発明の少なくとも1つの好ましい形態の目的である。
【0011】
本発明は特定の例を参照して記載されるが、本発明は他の多くの形態で具現化し得ることは当業者には明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明の第一の態様により、殺虫剤として使用するためのγ-ピロン化合物が提供される。好ましい実施態様において、γ-ピロン化合物はポドピロンである。
【0013】
ある実施態様において、γ-ピロンは、一般式(1):
【化1】
【0014】
〔式中、
【0015】
、R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHから選択され;
【0016】
、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;-C=O;-COO-、N、SまたはOから選択され;そして
【0017】
nは1~18である。〕
【0018】
の化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0019】
ある実施態様において、γ-ピロンは、一般式(2):
【化2】
【0020】
〔式中、
【0021】
、R、Rは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりエポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、フェニル、ヘテロアリール;H;-COOH;-OH;または-OCHで置換されていてよく;
【0022】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
【0023】
nは1~18である。〕
【0024】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0025】
ある実施態様において、γ-ピロンは一般式(3):
【化3】
【0026】
〔式中、
【0027】
nは6、7または8であり;
【0028】
はC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルであり;そして
【0029】
、RおよびRは各々独立して-C=Oおよび-CH-から選択され、
【0030】
ただし、R、RおよびRの1個が-C=Oであるならば、残りの基は-CH-である。〕
のものである。
【0031】
ある実施態様において、γ-ピロンは、ここに記載する化合物(1a)~(1q)からなる群から選択される化合物、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0032】
本発明の第二の態様により、ここに記載するγ-ピロン化合物を含む殺虫組成物が提供される。
【0033】
驚くべきことに、本発明者らは、γ-ピロン化合物またはその化合物を含む殺虫組成物が特定の害虫に選択性を有し、益虫などの非標的生物に対する影響が最小であり得ることを発見した。
【0034】
好ましい実施態様において、本発明者らは、驚くべきことに、γ-ピロン化合物またはその化合物を含む殺虫組成物が、ミツバチ属に顕著に影響することなく、アブラムシおよびダニの死亡率が高いことを発見した。本発明者らは、γ-ピロン化合物が、豊富さおよびヒト取り扱いの快適性のために、世界中で農作物の最も重要な授粉媒介者と考えられるセイヨウミツバチ(Apis mellifera)への影響が最小であることを発見した。
【0035】
本発明の第三の態様により、害虫を制御するための製剤であって:
【0036】
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤;および
【0037】
殺虫剤として有効量のここに記載する1以上のγ-ピロン化合物を含む化合物または殺虫組成物
を含む製剤が提供され、
ここで、該製剤は、使用に際し、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止する。
【0038】
本発明の第四の態様により、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することにより害虫を制御するための、殺虫剤として有効量のここに記載する1以上のγ-ピロン化合物を含む化合物または殺虫組成物が提供される。
【0039】
本発明の第五の態様により、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することにより、1以上の害虫を制御する方法であって、殺虫剤として有効量のここに記載する1以上のγ-ピロン化合物を含む化合物または殺虫組成物で生息域を処理することを含む、方法が提供される。
【0040】
本発明者らは、驚くべきことにγ-ピロン化合物またはその化合物を含む殺虫組成物が害虫の少なくとも2個のイオンチャネル(例えば神経イオンチャネル)に影響を与え得ることを発見した。ある実施態様において、γ-ピロン化合物またはその化合物を含む殺虫組成物は、ナトリウム、カリウムおよび塩素イオンチャネルからなる群から選択される少なくとも2個のイオンチャネルに影響を与え得る。
【0041】
好ましい実施態様において、γ-ピロン化合物またはその化合物を含む殺虫組成物は、害虫の標的細胞からナトリウムおよびカリウムイオンを流出(アウトフロー)させ得る。好ましい実施態様において、γ-ピロン化合物またはその化合物を含む殺虫組成物は、害虫の標的細胞から塩素イオンを流入(インフロー)させ得る。
【0042】
典型的に、殺虫化合物は、単独イオンチャネルにのみ影響する。驚くべきことに、本発明のγ-ピロン化合物または殺虫組成物は、二重作用機序を有し得て、すなわち、神経毒作用型作用機序を誘発し得る害虫の少なくとも2個のイオンチャネルに影響し得る。
【0043】
本発明の第六の態様により、商品棚での販売のためのキットであって:
【0044】
ここに記載する1以上のγ-ピロン化合物を含む化合物または殺虫組成物;
【0045】
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤;
【0046】
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤の単位量あたり殺虫剤として有効量のここに記載する1以上のγ-ピロン化合物を含む化合物または殺虫組成物を含む製剤を調製するための指示
を含む、キットが提供される。
【0047】
ある実施態様において、キットは、さらに噴霧器などの形の適用手段を含み、所望によりその中で製剤が調製される。
【0048】
本発明の第七の態様により、害虫を制御するための殺虫組成物であって、殺虫活性を有するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止する、1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む、殺虫組成物が提供される。
【0049】
本発明の第八の態様により、害虫を制御するための製剤であって:
【0050】
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤;および
【0051】
殺虫剤として有効量のここに記載する1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む殺虫組成物
を含む製剤が提供され、
【0052】
ここで、該製剤は、使用に際し、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止する。
【0053】
本発明の第九の態様により、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することにより害虫を制御するための、殺虫剤として有効量のここに記載する1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む殺虫組成物の使用が提供される。
【0054】
本発明の第十の態様によって、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することにより、1以上の害虫を制御する方法であって、殺虫剤として有効量のここに記載する1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む殺虫組成物で生息域を処理することを含む、方法が提供される。
【0055】
ここに記載するとおり、本発明者らは、驚くべきことにここに記載する1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む組成物が、害虫の少なくとも2個のイオンチャネル(例えば神経イオンチャネル)に影響し得ることを発見した。ある実施態様において、SPCは、ナトリウム、カリウムおよび塩素イオンチャネルからなる群から選択される少なくとも2個のイオンチャネルに影響し得る。
【0056】
好ましい実施態様において、SPCは、害虫の標的細胞からナトリウムおよびカリウムイオンを流出(アウトフロー)させ得る。好ましい実施態様において、SPCは、害虫の標的細胞から塩素イオンを流入(インフロー)させ得る。
【0057】
本発明の第十一の態様によって、商品棚での販売のためのキットであって:
【0058】
ここに記載する1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む殺虫組成物;
【0059】
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤;
【0060】
1以上の農学的に許容される希釈剤および/または担体および/または乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの他の添加剤の単位量あたりの殺虫剤として有効量の1以上のSPCを含む製剤を調製するための指示
を含む、キットが提供される。
【0061】
ある実施態様において、キットは、さらに噴霧器などの形の適用手段を含み、所望によりその中で製剤が調製される。
【0062】
本発明者らは、驚くべきことにSPC(ある実施態様において、γ-ピロン)を含む抽出物が、害虫、特にアブラムシおよびダニに対する顕著な殺虫活性を有することを発見した。
【0063】
特に、本発明者らは、ポドピロンを含むPodolepis jaceoides由来の抽出物が害虫、特にアブラムシおよびダニに対する顕著な殺虫活性を有することを発見した。
【0064】
ある実施態様において、SPCはγ-ピロンである。ある実施態様において、γ-ピロンはポドピロンである。ある実施態様において、ポドピロンは、10’-オキソポドピロン、10’-オキソ-8-メチルポドピロン、9’-オキソポドピロン、9’-オキソ-8-メチルポドピロン、1’-オキソ-ノル-ポドピロン、1’-オキソポドピロン、1’-デオキソ-8-メチル-1’-オキソノルポドピロン、8-メチルポドピロン、8-メチル-1’-オキソ-ノル-ポドピロン、1’-オキソ-8-メチルポドピロン、ポドピロン、ノルポドピロン、ホモポドピロン、10’-ヒドロキシ-8-メチルポドピロン、10’-アセトキシ-8-メチルポドピロン、10’-アセトキシポドピロンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0065】
ある実施態様において、γ-ピロンを含む抽出物はポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせ由来である。
【0066】
ある実施態様において、ポドレピス属由来抽出物は、Podolepis labill、Podolepis acuminata、Podolepis affinis Sond.、Podolepis aristata、Podolepis arachnoidea、Podolepis auriculata、Podolepis basalt plain、Podolepis canescens、Podolepis capillaris、Podolepis carnarvon、Podolepis centauroides、Podolepis chrysantha、Podolepis contorta、Podolepis cupulata、Podolepis davisiana、Podolepis decipiens、Podolepis divaricata、Podolepis sect. Doratolepis、Podolepis eremaea、Podolepis ferruginea、Podolepis filiformis、Podolepis gardneri、Podolepis georgei、Podolepis gracilis、Podolepis gibertii、Podolepis gnaphalioides、Podolepis gracilis、Podolepis great victoria desert、Podolepis hieracioides、Podolepis inundata、Podolepis jaceoides、Podolepis kendallii、Podolepis laciniata、Podolepis laevigata、Podolepis lessonii、Podolepis linearifolia、Podolepis longipedata、Podolepis lucaeana、Podolepis macrocephala、Podolepis microcephala、Podolepis mitchellii、Podolepis monticola、Podolepis muelleri、Podolepis neglecta、Podolepis nutans、Podolepis omissa、Podolepis pallida、Podolepis papillosa、Podolepis remota、Podolepis rhytidochlamys、Podolepis robusta、Podolepis rosea、Podolepis rosmarinifolia、Podolepis rubida、Podolepis rugata、Podolepis rutidoclamys、Podolepis scalia、Podolepis siemssenia、Podolepis siemssenii、Podolepis simplicicaulis、Podolepis spenceri、Podolepis tepperi、Podolepis sp. aff. robusta、Podolepis N.E. Alps、Podolepis Warrabah、Podolepis Wollunga Well、Podolepis stylolepis、Podolepis subulata、Podolepis tepperi、Podolepis tetrachaetaおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
ある実施態様において、ゴニスティルス属由来抽出物は、Gonystylus acuminatus、Gonystylus affinis、Gonystylus areolatus、Gonystylus augescens、Gonystylus bancanus、Gonystylus borneensis、Gonystylus brunnescens、Gonystylus calophylloides、Gonystylus calophyllus、Gonystylus confusus、Gonystylus consanguineus、Gonystylus costalis、Gonystylus decipiens、Gonystylus eximius、Gonystylus forbesii、Gonystylus glaucescens、Gonystylus keithii、Gonystylus lucidulus、Gonystylus macrocarpus、Gonystylus macrophyllus、Gonystylus maingayi、Gonystylus micranthus、Gonystylus nervosus、Gonystylus nobilis、Gonystylus othmanii、Gonystylus pendulus、Gonystylus punctatus、Gonystylus reticulatus、Gonystylus spectabilis、Gonystylus stenosepalus、Gonystylus velutinus、Gonystylus xylocarpusおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0068】
好ましい実施態様において、γ-ピロンを含む抽出物はPodolepis jaceoides、Gonystylus keithiiおよびそれらの組み合わせ由来である。
【0069】
上記のとおり、本発明は、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することによる、1以上の害虫を制御する方法であって、場所を殺虫剤として有効量の本発明の化合物または殺虫組成物またここに記載する1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む殺虫組成物で処理することを含む、方法を提供する。
【0070】
本発明者らは、驚くべきことに低濃度のγ-ピロンを含む抽出物の使用が、害虫に対する顕著な殺虫活性を有することを発見した(例えば2w/v%活性成分未満、好ましくは1w/v%活性成分未満)。
【0071】
ある実施態様において、方法は、約20w/v%未満、約15w/v%未満、約10w/v%未満、約5w/v%未満、約3w/v%未満、約2w/v%未満、約1w/v%未満、約0.5w/v%未満および約0.25w/v%未満の濃度の本発明のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物で生息域を処理することを含む。
【0072】
ある実施態様において、方法は、約0.25~約20w/v%、約0.25~約15w/v%、約0.25~約10w/v%、約0.25~約5w/v%、約0.25~約3w/v%、好ましくは約0.25~約2w/v%、約0.25~約1w/v%、約0.5~約1w/v%の濃度の本発明のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物で生息域を処理することを含む。
【0073】
ある実施態様において、方法は、約20w/v%未満、約15w/v%未満、約10w/v%未満、約5w/v%未満、約3w/v%未満、約2w/v%未満、約1w/v%未満、約0.5w/v%未満および約0.25w/v%未満の濃度のSPC(すなわち、活性成分)で生息域を処理することを含む。
【0074】
ある実施態様において、方法は、約0.001~約20w/v%、約0.001~約15w/v%、約0.001~約10w/v%、約0.001~約5w/v%、約0.001~3w/v%、約0.001~2w/v%、約0.001~1w/v%、約0.005~0.5w/v%および約0.001~0.1w/v%の濃度のSPC(すなわち、活性成分)で生息域を処理することを含む。
【0075】
ある実施態様において、方法は、約1~約30000ppm、約30~約30000ppm、約50~約30000ppm、約100~約30000ppm、約150~約30000ppm、約200~約30000ppm、約300~約30000ppm、約300~約25000ppm、約300~約16000ppm、約300~約15000ppm、約300~約12000ppm、約3000~約12000ppmの濃度のSPC(すなわち、活性成分)で生息域を処理することを含む。
【0076】
ある実施態様において、害虫は植物有害生物であり、方法は、本発明のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物を植物またはその周辺に適用することを含む。
【0077】
定義
本発明の記載および請求に際し、次の用語は、下に示す定義に従い使用される。ここで使用する用語は、本発明の特定の実施態様を記載する目的でのみ使用され、限定を意図するものでないことも理解される。他に定義されない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が関与する分野の当業者に共通して理解されるのと同じ意味を有する。
【0078】
文脈から他の解釈が必要でない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む」、「含み」などは、排他的または網羅的意味ではなく、包括的意味;換言すると、「含むが、限定されない」の意味と解釈されるべきである。
【0079】
ここで使用する用語「からなる」は、特許請求の範囲に明記されないあらゆる要素、工程または成分を除外する。用語「からなる」(またはその変形)が特許請求の範囲の前文の直後ではなく、本文の条項にあるとき、その条項に示される要素のみ限定する;他の要素は全体として特許請求の範囲から除外されない。ここで使用する用語「本質的にからなる」は、特許請求の範囲を特定した要素または方法工程に加えて、請求した主題の基本および特徴に実質的に影響しないものに限定する。
【0080】
用語「含む」、「からなる」および「本質的にからなる」について、これら3つの用語の何れかがここで使用されるとき、ここに開示するおよび請求する主題は、他の2つの用語の何れかの使用を含み得る。故に、ある実施態様において他に明示的に記載されない限り、「含む」あらゆる場合は、「からなる」、あるいは、「本質的にからなる」に置き換えられ得る。
【0081】
操作例における以外または他に示されない限り、成分または反応条件の量を表す全ての数字は、当分野における通常の許容誤差を考慮して、全ての場合用語「約」により修飾されるとして解釈されるべきである。実施例は本発明の範囲を限定することを意図しない。以下でまたは他に示されない限り、「%」は「重量%」を意味し、「比」は「重量比」を意味し、そして「部」は「重量部」を意味する。
【0082】
ここで使用する用語「実質的に」は、特に断らない限り、適宜、50重量%超を含むことを意味する。
【0083】
終点を使用する数値範囲の記載は、その範囲に含まれる全数値を含む(例えば、1~5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0084】
用語「好ましい」および「好ましくは」は、ある状況下である利益をもたらし得る、本発明の実施態様をいう。しかしながら、他の実施態様も、同じまたは他の状況下で好ましいかもしれない。さらに、1以上の好ましい実施態様の記載は、他の実施態様が有用ではないことを含意するものではなく、本発明の範囲から他の実施態様を除外することを意図しない。
【0085】
本明細書および添付する特許請求の範囲で使用される単数表現は、文脈から他のことが明らかに示されない限り、複数を含むことも留意すべきである。
【0086】
開示するテクノロジーの例示的実施態様がここで詳細に説明されているが、他の実施態様が意図されることは理解されるべきである。従って、開示されるテクノロジーは、次の記載に示されるまたは図面に図示される構成要素の構造および配置にその範囲が限定されることは意図されない。開示されるテクノロジーは、他の実施態様が可能であり、種々の方法で実施または実行されることが可能である。
【0087】
明細書をとおして使用する用語「場合により置換されている」は、基が1以上の非水素置換基でさらに置換もしくは縮合(縮合多環式系を形成するように)されていてもいなくてもよいことを意味する。ある実施態様において、置換基は、ハロゲン、=O、=S、-CN、-NO、-CF、-OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシシクロアルキル、アルキルオキシヘテロシクロアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、-C(=O)OH、-C(=O)R、-C(=O)OR、C(=O)NR、C(=NOH)R、C(=NR)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRC(=O)NR、NRC(=NR)NR、NRSO、-SR、SONR、-OR、OC(=O)NR、OC(=O)Rおよびアシルからなる群から独立して選択される1以上の基であり、
【0088】
ここで、R、R、RおよびRは各々独立してH、C-C12アルキル、C-C12ハロアルキル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、C-C10ヘテロアルキル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C-C12ヘテロシクロアルキル、C-C12ヘテロシクロアルケニル、C-C18アリール、C-C18ヘテロアリールおよびアシルからなる群から選択されるかまたはR、R、RおよびRの任意の2個以上が、それらが結合している原子と一体となって、3~12環原子を有するヘテロ環式環系を形成する。
【0089】
ある実施態様において、各場合による置換基は、独立してハロゲン、=O、=S、-CN、-NO、-CF、-OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アミノアルキル、-COOH、-SHおよびアシルからなる群から選択される。
【0090】
特に適当な場合による置換基の例は、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、OH、OCH、CF、OCF、NO、NHおよびCNを含む。
【0091】
ここで使用する用語「二次的植物化合物」(SPC)は、植物生存に必須ではない、植物により合成される化学化合物である。本発明のSPCは殺虫活性を有するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止する。
【0092】
単純にすることを目的として、用語「昆虫」またはその同義語または「殺虫」などの派生語は、本明細書で使用される;しかしながら、用語「昆虫」は昆虫だけではなく、その未熟型および幼虫も含むと理解されるべきである。
【0093】
ここで使用する用語「殺虫活性」は、害虫の死滅、すなわち、害虫の死亡をいう。
【図面の簡単な説明】
【0094】
本発明のある好ましい実施態様を、単なる例として、添付する図面を参照してここで記載し、図面は次のとおりである。
【0095】
図1】制御条件下(0~15分)および陰性対照(A)DMSO 1.0%w/vおよび陽性対照(B)除虫菊0.01%w/vおよび(C)タスマノン0.01%w/vで処理後K-の正味のイオン束を示す。
【0096】
図2】制御条件下(0~15分)および陰性対照(A)DMSO 1.0%w/vおよび陽性対照(B)除虫菊0.01%w/vおよび(C)タスマノン0.01%w/vで処理後Naの正味のイオン束を示す。
図3】制御条件下(0~15分)および陰性対照(A)DMSO 1.0%w/vおよび陽性対照(B)除虫菊0.01%w/vおよび(C)タスマノン0.01%w/vで処理後Clの正味のイオン束を示す。
【0097】
図4】(A)制御条件下(0~15分)およびKの陰性対照で処理後の正味のイオン束トレース;および(B)0.01%w/v本発明の抽出物とDMSO 1.0%w/v、除虫菊0.01%w/vおよびタスマノン0.01%w/vを比較する、各処理のその各々の対照に対する相対的応答を示す。
【0098】
図5】(A)制御条件下(0~15分)およびClの陰性対照で処理後の正味のイオン束トレース;および(B)0.01%w/v本発明の抽出物とDMSO 1.0%w/v、除虫菊0.01%w/vおよびタスマノン0.01%w/vを比較する、各処理のその各々の対照に対する相対的応答を示す。
【0099】
図6】(A)制御条件下(0~15分)およびNaの陰性対照で処理後の正味のイオン束トレース;および(B)0.01%w/v本発明の抽出物とDMSO 1.0%w/v除虫菊0.01%w/vおよびタスマノン0.01%w/vを比較する、各処理のその各々の対照に対する相対的応答を示す。
【0100】
図7】本発明の選択されたγ-ピロンに対応するマーカッシュ構造である。特に、R、R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHから選択され;R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;-C=O;-COO-、N、SまたはOから選択され;そしてnは1~18である、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【発明を実施するための形態】
【0101】
発明の詳細な記載
当業者は、本発明がここに開示される実施態様および特性ならびに開示される実施態様および特性の全組み合わせおよび/または並べ替えを含むことを理解する。
【0102】
本発明者らは、有害生物に対する殺虫有効性を有するγ-ピロン化合物誘導体に基づく殺虫剤を開発した。
【0103】
化合物および組成物
上記のとおり、本発明は、殺虫剤として使用するためのγ-ピロン化合物を提供する。ある実施態様において、γ-ピロンはポドピロンである。
【0104】
当業者には知られるとおり、ピロンは1個の酸素原子およびケトン官能基を含む不飽和6員環を含む、ヘテロ環式化合物である。γ-ピロン(4-ピロンとしても知られる)は、C2、C3、C5およびC6炭素が官能化され得る。
【0105】
ある実施態様において、γ-ピロン化合物は、一般式(1):
【化4】
【0106】
〔式中、
【0107】
、R、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHから選択され;
【0108】
、RおよびRは各々独立して場合により置換されているC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;-C=O;-COO-、N、SまたはOから選択され;そして
【0109】
nは1~18である。〕
【0110】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0111】
ある実施態様において、γ-ピロン化合物は、一般式(1):
【化5】
【0112】
〔式中、
【0113】
、R、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりエポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;H;-COOH;-OH;-OCHまたは-R(CH)CHで置換されていてよく;
【0114】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
【0115】
nは1~18である。〕
【0116】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0117】
ある実施態様において、γ-ピロンは、一般式(1):
【化6】
【0118】
〔式中、
【0119】
、R、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCH;または-R(CH)CHから選択され;
【0120】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
【0121】
nは1~18である。〕
【0122】
その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0123】
ある実施態様において、γ-ピロンは一般式(1):
【化7】
【0124】
〔式中、
【0125】
、R、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;-OCH;または-R(CH)CHから選択され;
【0126】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
【0127】
nは1~18であり、
【0128】
ただし、R、R、RおよびRの少なくとも1個がR(CH)CHである。〕
【0129】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0130】
ある実施態様において、γ-ピロンは、一般式(2):
【化8】
【0131】
〔式中、
【0132】
、R、Rは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりエポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、フェニル、ヘテロアリール;H;-COOH;-OH;または-OCHで置換されていてよく;
【0133】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
【0134】
nは1~18である。〕
【0135】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体。
【0136】
ある実施態様において、γ-ピロン化合物は、一般式(2):
【化9】
【0137】
〔式中、
【0138】
、R、Rは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;H;-COOH;-OH;または-OCHから選択され;
【0139】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキルから選択され、ここで、該C-C12アルキル、C-CアルキルおよびC-Cアルキルは場合によりC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル、エポキシド、グリコシド、アセトキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルコール、フェニル、ヘテロアリール;-C=O;-COO-、N、SまたはOで置換されていてよく;そして
【0140】
nは1~18である。〕
【0141】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0142】
ある実施態様において、γ-ピロン化合物は一般式(2):
【化10】
【0143】
〔式中、
【0144】
、R、Rは各々C-Cアルキル;H;-COOH;-OH;または-OCHであり;
【0145】
、RおよびRは各々独立してC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキル;-C=O、-COO-、N、SまたはOから選択され;そして
【0146】
nは1~18である。〕
【0147】
のもの、その塩、溶媒和物、二量体または異性体である。
【0148】
ある実施態様において、γ-ピロンは、一般式(3):
【化11】
【0149】
〔式中、
【0150】
nは6、7または8であり;
【0151】
はC-C12アルキル、好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはC-Cアルキであり;そして
【0152】
、RおよびRは各々独立して-C=Oおよび-CH-から選択され、
【0153】
ただし、R、RおよびRの1個が-C=Oであるならば、残りの基は-CH-である。〕
のものである。
【0154】
好ましい実施態様において、γ-ピロンは化合物(1a)~(1q)からなる群から選択されるかまたはその塩、溶媒和物、二量体もしくは異性体である。
【表1】
【表2】
【0155】
好ましい実施態様において、一般式(1)のγ-ピロン化合物は10’-オキソポドピロン(1c)である。
【0156】
好ましい実施態様において、一般式(1)のγ-ピロン化合物は10’-オキソ-8-メチルポドピロン(1l)である。
【0157】
他の態様において、本発明は、ここに記載するγ-ピロン化合物を含む殺虫組成物を提供する。
【0158】
ある実施態様において、ポドピロンは10’-オキソポドピロン、10’-オキソ-8-メチルポドピロン、9’-オキソポドピロン、9’-オキソ-8-メチルポドピロン、1’-オキソ-ノル-ポドピロン、1’-オキソポドピロン、1’-デオキソ-8-メチル-1’-オキソノルポドピロン、8-メチルポドピロン、8-メチル-1’-オキソ-ノル-ポドピロン、1’-オキソ-8-メチルポドピロン、ポドピロン、ノルポドピロン、ホモポドピロン、10’-ヒドロキシ-8-メチルポドピロン、10’-アセトキシ-8-メチルポドピロン、10’-アセトキシポドピロンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0159】
ある実施態様において、ポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせ由来のγ-ピロンを含む抽出物が提供される。
【0160】
ある実施態様において、ポドレピス属由来抽出物はPodolepis labill、Podolepis acuminata、Podolepis affinis Sond.、Podolepis aristata、Podolepis arachnoidea、Podolepis auriculata、Podolepis basalt plain、Podolepis canescens、Podolepis capillaris、Podolepis carnarvon、Podolepis centauroides、Podolepis chrysantha、Podolepis contorta、Podolepis cupulata、Podolepis davisiana、Podolepis decipiens、Podolepis divaricata、Podolepis sect. Doratolepis、Podolepis eremaea、Podolepis ferruginea、Podolepis filiformis、Podolepis gardneri、Podolepis georgei、Podolepis gracilis、Podolepis gibertii、Podolepis gnaphalioides、Podolepis gracilis、Podolepis great victoria desert、Podolepis hieracioides、Podolepis inundata、Podolepis jaceoides、Podolepis kendallii、Podolepis laciniata、Podolepis laevigata、Podolepis lessonii、Podolepis linearifolia、Podolepis longipedata、Podolepis lucaeana、Podolepis macrocephala、Podolepis microcephala、Podolepis mitchellii、Podolepis monticola、Podolepis muelleri、Podolepis neglecta、Podolepis nutans、Podolepis omissa、Podolepis pallida、Podolepis papillosa、Podolepis remota、Podolepis rhytidochlamys、Podolepis robusta、Podolepis rosea、Podolepis rosmarinifolia、Podolepis rubida、Podolepis rugata、Podolepis rutidoclamys、Podolepis scalia、Podolepis siemssenia、Podolepis siemssenii、Podolepis simplicicaulis、Podolepis spenceri、Podolepis tepperi、Podolepis sp. aff. robusta、Podolepis N.E. Alps、Podolepis Warrabah、Podolepis Wollunga Well、Podolepis stylolepis、Podolepis subulata、Podolepis tepperi、Podolepis tetrachaetaおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0161】
ある実施態様において、ゴニスティルス属由来抽出物はGonystylus acuminatus、Gonystylus affinis、Gonystylus areolatus、Gonystylus augescens、Gonystylus bancanus、Gonystylus borneensis、Gonystylus brunnescens、Gonystylus calophylloides、Gonystylus calophyllus、Gonystylus confusus、Gonystylus consanguineus、Gonystylus costalis、Gonystylus decipiens、Gonystylus eximius、Gonystylus forbesii、Gonystylus glaucescens、Gonystylus keithii、Gonystylus lucidulus、Gonystylus macrocarpus、Gonystylus macrophyllus、Gonystylus maingayi、Gonystylus micranthus、Gonystylus nervosus、Gonystylus nobilis、Gonystylus othmanii、Gonystylus pendulus、Gonystylus punctatus、Gonystylus reticulatus、Gonystylus spectabilis、Gonystylus stenosepalus、Gonystylus velutinus、Gonystylus xylocarpusおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0162】
好ましい実施態様において、γ-ピロンを含む抽出物はPodolepis jaceoides、Gonystylus keithiiおよびそれらの組み合わせ由来である。
【0163】
本発明の実施態様を使用して、昆虫汚染を制限または予防するために、作物を処理し得る。本発明は、商業規模で収穫または栽培される植物をいう、農学的に重要な植物に特に適する。
【0164】
農学的に重要な作物の一例は綿である。このような農学的植物(または作物)の他の例は、小麦、大麦、ライ麦、オート麦、イネ、トウモロコシまたはソルガムなどの穀物;サトウダイコンまたは飼料ビートなどのビート;リンゴ、ナシ、プラム、プルーン、モモ、アーモンド、サクランボまたはベリー類、例えばストロベリー、ラズベリーまたはブラックベリーなどの果実、例えば仁果、核果および軟果;インゲン豆、レンティル豆、エンドウ豆またはダイズなどの豆科植物;アブラナ、カラシナ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、トウゴマ、カカオまたはピーナッツなどの油用作物;カボチャ、キュウリまたはメロンなどのウリ科;綿、亜麻、麻または黄麻などの繊維性植物;オレンジ、レモン、グレープフルーツまたはタンジェリンなどの柑橘類果実;ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ種、ニンジン、タマネギ、チリ・ペパー、トマト、ジャガイモまたはトウガラシなどの野菜;アボカド、ニッケイ属またはショウノウなどのクスノキ科;およびタバコ、ナッツ(例えばクルミ)、コーヒー、ナス、トウキビ、チャ、カラシ、ブドウ、ホップ、バショウ科、ラテックス植物および観賞植物である。また重要なのは、牧草および豆科植物などの飼料作物である。
【0165】
ある実施態様において、植物は繊維性植物、穀類作物、豆科植物作物、しゅく穀、野菜および果実、より具体的に、綿、トウモロコシ、ソルガム、ヒマワリ、ルーサン、種々の豆科植物、特にダイズ、キマメ、マングビーンおよびヒヨコマメ、トマト、オクラおよび類似植物である。
【0166】
ある実施態様において、植物は観賞植物を含む。例として、これら観賞植物はラン、バラ、チューリップ、木、低木、ハーブ、芝生および牧草、球根、つる植物、多年生植物、多肉植物、観葉植物であり得る。
【0167】
本発明は、担体(例えば非極性溶媒、極性溶媒、油、水または何らかの担体製品)中のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物を、有害生物の影響を受けている植物またはその周囲または有害生物により影響を受けている動物に適用することを含む。処理は、非極性溶媒ベースの製剤、油ベースの製剤、水ベースの製剤、残留製剤、水和剤、乾燥粉末剤などの使用を含み得る。ある実施態様において、γ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物を、粉末として乾燥した粉末植物物質などの植物物質に直接適用し得る。ある実施態様において、製剤の組み合わせを、異なる製剤タイプの利益を達成するために用い得る。γ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物を担体に添加するか、液体製剤の場合、例えば、クロロホルム、メタノール、水およびそれらの組み合わせなどの担体は、SPCの抽出に使用されているかもしれない。
【0168】
ある実施態様において、製剤は、界面活性剤をさらに含み得る油ベースの製剤である。
【0169】
ある実施態様において、製剤は油ベースの製剤であり、油はC19-C27炭化水素である。
【0170】
ある実施態様において、製剤は、アルコール、ケトン、アルデヒドまたはスルホキシドなどの有機溶媒にγ-ピロンを含む。ある実施態様において、適当な有機溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン,酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、炭酸プロピレン、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。特に、製剤はアルコール中にγ-ピロンを含む。
【0171】
ある実施態様において、製剤は、ポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからのメタノール性抽出物を含む。ある実施態様において、製剤は、ポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからのエタノール性抽出物を含む。
【0172】
ある実施態様において、製剤は、粗製または精製綿実油またはキャノーラ油などの低分子量油にγ-ピロンを含む。他の油は、園芸産業において知られる、白油、DC Tron油(nC21およびnC24油)、キャノピーオイル(nC27油)、Biopestオイル(nC24油)、ドルマントオイルまたはサマーオイルを含む。これらの油の大部分はnC19~nC27であるが、許容される毒性学的プロファイルを有する他の炭化水素は使用され得る。本発明において使用するのに適する多数のこのような製品が市販されている。これらは、Sunspray(登録商標)油、ティー・ツリー油およびSun Refining and Marketing Companyにより製造されるSunspray(登録商標)Ultra Fineを含む。
【0173】
石油系散布油を、適当な農学的に許容される希釈剤および/または担体および乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、展着剤などの当分野で一般的な他の添加剤と共に使用し得る。
【0174】
ある実施態様において、製剤は、γ-ピロンを含む水溶液を含む。
【0175】
ある実施態様において、製剤は、ヘキサンなどの低炭化水素溶媒にγ-ピロンを不空M。
【0176】
ある実施態様において、製剤は、粗製γ-ピロンを含む抽出物の留分を含む。
【0177】
ある実施態様において、製剤は、ポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの粗製抽出物の留分を含む。
【0178】
ある実施態様において、製剤は、ポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの粗製抽出物の留分の混合物を含む。
【0179】
ここで使用する用語「担体」は、無機または有機であり、合成または天然起源であり得て、それと活性化合物を混合または製剤化して、処理すべき生息域に適用される本発明による化合物、殺虫組成物、γ-ピロンを含む抽出物またはSPCの適用を促進するかまたは保存、輸送および/または取り扱いを促進する、液体または固体物質を意味する。一般に、殺虫剤の製剤に慣用的に用いられる物質の何れも適する。
【0180】
ここで使用する用語「生息域」は、本発明の組成物またはSPCが適用される場所をいう。個々の植物、植物および/またはその周囲などの植物群、個々のまたは群としての動物および植物が植えられ得るまたは動物が集まり得る領域への適用ならびに1以上の昆虫および/または定住している付近への適用を含む。
【0181】
本発明のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物を、単独でまたは、所望により、固体および/または液体分散性担体媒体および/または駆除剤またはダニ駆除剤、殺線虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺鼠剤、除草剤、肥料、成長調整剤などの他の既知適合性活性剤との混合物の形態でまたは液剤、エマルジョン剤、懸濁液剤、散剤、ペースト剤および顆粒剤などのそこから製造される特定の適用のための特定の投与量製剤の形態で、故に、使える状態である形態で、用い得る。
【0182】
本発明のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物を、所望により、慣用の有害生物防除剤で有用なタイプの慣用の不活性殺虫剤希釈剤または増量剤、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、乳剤、スプレーパウダー、ペースト、可溶性粉末、散布剤、顆粒またはフォームの形態の慣用の分散性担体媒体と製剤化または混合してよい。
【0183】
本発明の化合物、殺虫組成物または抽出物で使用するのに適し得る典型的乳化剤は、低分子量油(例えば、キャノーラ油、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、トウゴマ油およびゴマ油)および非アニオン性、アニオン性およびカチオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。上記乳化剤の何れかの混合物も、本発明の化合物、殺虫組成物または抽出物において使用され得る。
【0184】
典型的非イオン性界面活性剤は、エトキシル化アルカノール、特にエトキシル化脂肪アルコールおよびエトキシル化オキソアルコール、例えばエトキシル化ラウリルアルコール、エトキシル化イソトリデカノール、エトキシル化セチルアルコール、エトキシル化ステアリルアルコールおよびそのエステル、例えば酢酸エステル;エトキシル化アルキルフェノール、例えばエトキシル化ノニルフェニル、エトキシル化ドデシルフェニル、エトキシル化イソトリデシルフェノールおよびそのエステル、例えば、アルキルグルコシド酢酸エステルおよびアルキルポリグルコシド、エトキシル化アルキルグルコシド;エトキシル化脂肪アミン、エトキシル化脂肪酸、部分エステル、例えば脂肪酸とグリセリンまたはソルビタンのモノ、ジおよびトリエステル、例えばモノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン;脂肪酸とグリセリンまたはソルビタンのエトキシル化エステル、例えばポリオキシエチレンモノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン;植物油または動物脂肪のエトキシル化物、例えばエトキシル化トウモロコシ油、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化獣脂油;脂肪アミン、脂肪アミドまたは脂肪酸ジエタノールアミドのエトキシル化物を含む。
【0185】
典型的アニオン性界面活性剤は、アルキルスルホネート、例えばラウリルスルホネート、イソトリデシルスルホネート、アルキルスルフェート、特に脂肪アルコールスルフェート、例えばラウリルスルフェート、イソトリデシルスルフェート、セチルスルフェート、ステアリルスルフェート、アリール-およびアルキルアリールスルホネート、例えばナフチルスルホネート、ジブチルナフチルスルホネート、アルキルジフェニルエーテルスルホネート、例えばドデシルジフェニルエーテルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、例えばクミルスルホネート、ノニルベンゼンスルホネートおよびドデシルベンゼンスルホネートの塩、特に、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはアンモニウム塩;脂肪酸および脂肪酸エステルのスルホネート;脂肪酸および脂肪酸エステルのスルフェート;エトキシル化アルカノールのスルフェート、例えばエトキシル化ラウリルアルコールのスルフェート;アルコキシル化アルキルフェノールのスルフェート;アルキルホスフェートおよびジアルキルホスフェート;スルホスクシネートのジアルキルエステル、例えばジオクチルスルホスクシネート、アシルアルコシネート、脂肪酸、例えばステアレート、アシルグルタメート、リグニンスルホネート、ナフタリンスルホン酸またはフェノールスルホン酸とホルムアルデヒドおよび所望により尿素の低分子量縮合物を含む;
【0186】
典型的カチオン性界面活性剤は、4級アンモニウム化合物、特にアルキルトリメチルアンモニウム塩およびジアルキルジメチルアンモニウム塩、例えば、ハライド、スルフェートおよびアルキルスルフェートを含む。
【0187】
ある実施態様において、化合物、殺虫組成物または抽出物を、1以上の殺虫剤または駆除剤と組み合わせ得る。ある実施態様において、化合物、殺虫組成物または抽出物を、1以上の合成殺虫剤または駆除剤と組み合わせ得る。ある実施態様において、殺虫剤または駆除剤は、エンドスルファン、ジコホル、クロルピリホス、ジメトエート、ジスルホトン、オメトエート、パラチオン、ホレート、プロフェノホス、スルプロホス、チオメトン、アルジカルブ、カルバリル、ベータ-シフルトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、フルバリネート、ラムダ-シハロトリン、クロルフルアズロン、ピペロニルブトキシドおよび石油系散布油の1以上から選択される。他の実施態様において、駆除剤は、核多角体病ウイルスおよび/または有害生物の摂食阻害剤であることが知られる植物抽出物から選択される生物学的駆除剤である。さらに他の実施態様において、殺虫剤または駆除剤を、表示割合を減らして使用する。例えば、殺虫剤または駆除剤を、表示割合の半分または1/3で使用し得る。
【0188】
本発明の化合物、殺虫組成物または抽出物を、宿主を直接処理することによりまたは宿主が位置する領域を処理することにより、害虫の制御に使用し得る。例えば、宿主を、農作植物など、植物に個々に、または密集しているとき適用できる、スプレー製剤を使用して直接処理できる。
【0189】
本発明の製剤は、さらに、慣用量で農薬製剤の分野で知られる他の製剤助剤を含み得る。このような助剤は、不凍剤(例えばグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、シクロヘキサノールであるが、これらに限定されない)、緩衝剤(例えば水酸化ナトリウム、リン酸であるが、これらに限定されない)、防腐剤(例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンの誘導体、安息香酸、ソルビン酸、ホルムアルデヒド、パラヒドロキシ安息香酸メチルおよびパラヒドロキシ安息香酸プロピルの組み合わせであるが、これらに限定されない)、安定化剤(例えば酸、好ましくは有機酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸またはブチルヒドロキシルトルエン、ブチルヒドロキシルアニソールであるが、これらに限定されない)、濃化剤(例えばヘテロ多糖およびデンプンであるが、これらに限定されない)および消泡剤(例えばシリコーン、特にポリジメチルシロキサンに基づくものであるが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない。このような助剤は市販されており、当分野で知られる。
【0190】
ある実施態様において、本発明は、綿有害生物制御のために製剤化されたポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの留分、SPCおよび粗製抽出物を使用する。
【0191】
典型的に、抽出物は、植物サンプルに溶媒を加えて混合物を得ることにより得ることができる。次いで、混合物音波処理および/または浸軟によるなど拡販する。次いで、混合物を濾過し、溶媒抽出のために分液漏斗に移す。次いで、溶媒抽出中に形成された二層を分離し、溶媒を、例えば減圧下除去して、少なくとも2個の留分の抽出物を得る。
【0192】
方法
上記のとおり、本発明は、殺虫活性を発揮するおよび/または害虫を撃退するおよび/または害虫の産卵を抑止するおよび/または産卵場所に影響を与えるおよび/または害虫の植物摂食を抑止することによる、場所を、殺虫剤として有効量の本発明の1以上のγ-ピロン化合物を含む化合物、殺虫組成物または本発明の1以上の二次的植物化合物(SPC)を含むポドレピス属、ゴニスティルス属およびそれらの組み合わせからの1以上の抽出物を含む殺虫組成物で処理することを含む、1以上の害虫を制御する方法を提供する。
【0193】
適当な量の化合物、殺虫組成物または抽出物を害虫制御のために適用し得ることは当業者に認識される。ある実施態様において、方法は、場所を、約20w/v%未満、約15w/v%未満、約10w/v%未満、約5w/v%未満、約3w/v%未満、約2w/v%未満、約1w/v%未満、約0.5w/v%未満および約0.25w/v%未満の濃度のγ-ピロンを含む抽出物で処理することを含む。
【0194】
ある実施態様において、方法は、場所を、約0.25~約20w/v%、約0.25~約15w/v%、約0.25~約10w/v%、約0.25~約5w/v%、約0.25~約3w/v%、好ましくは約0.25~約2w/v%およびより好ましくは約0.25~約1w/v%の濃度のγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物で処理することを含む。
【0195】
適当な量のSPCを害虫制御のために適用し得ることは当業者に認識される。ある実施態様において、方法は、約20w/v%未満、約15w/v%未満、約10w/v%未満、約5w/v%未満、約3w/v%未満、約2w/v%未満、約1w/v%未満、約0.5w/v%未満および約0.25w/v%未満の濃度のSPC(すなわち、活性成分)で生息域を処理することを含む。
【0196】
ある実施態様において、方法は、約0.001~約20w/v%、約0.001~約15w/v%、約0.001~約10w/v%、約0.001~約5w/v%、約0.001~3w/v%、約0.001~2w/v%、約0.001~1w/v%、約0.005~0.5w/v%および約0.001~0.1w/v%の濃度のSPC(すなわち、活性成分)で生息域を処理することを含む。
【0197】
ある実施態様において、方法は、1~約30000ppm、約30~約30000ppm、約50~約30000ppm、約100~約30000ppm、約150~約30000ppm、約200~約30000ppm、約300~約30000ppm、約300~約25000ppm、約300~約16000ppm、約300~約15000ppm、約300~約12000ppm、約3000~約12000ppmの濃度のSPC(すなわち、活性成分)で生息域を処理することを含む。
【0198】
好ましくは、化合物、殺虫組成物、抽出物および本発明の製剤は、昆虫を殺すのに適する(すなわち、殺虫活性)。理論に拘束されないが、本発明者らは、γ-ピロンが、植物または昆虫に適用したとき、昆虫のクチクラ層に浸透するかまたは摂取されて、昆虫を殺すと考える。あるいは、植物上の残存抽出物が、昆虫を撃退するまたは昆虫の産卵または摂食を抑止することができる。製剤は、昆虫または標的作物への適用3~4日以内に昆虫を殺すまたは産卵もしくは摂食を抑止できる。
【0199】
本発明者らは、驚くべきことに本発明のγ-ピロンが、作用機序の一部として典型的に単独イオンチャネルにしか影響しない既知殺虫剤とは対照的に、害虫の少なくとも2個のイオンチャネルに影響を与え得ることを発見した。例えば、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)およびピレスロイドは、典型的に害虫のナトリウムチャネルを標的とする。
【0200】
ある実施態様において、γ-ピロンは、好ましくはナトリウム、カリウムおよび塩素イオンチャネルからなる群から選択される、害虫の少なくとも2個の神経イオンチャネルに影響を与える。ある実施態様において、γ-ピロンはナトリウムおよびカリウムイオンを流出させる。ある実施態様において、γ-ピロンは塩素イオンを流入させる。
【0201】
ある一つの理論に拘束されないが、本発明者らは、本発明のγ-ピロンの殺虫活性は、γ-ピロン部分「コア」を、γ-ピロン「コア」のC2、C3、C5またはC6炭素の何れか1個の少なくとも1つの場合により置換されている脂肪族鎖と組み合わせて有することにより提供されると考える。
【0202】
典型的に、本発明の化合物、殺虫組成物、抽出物、留分、粗製またはSPC(すなわち、活性成分)を、担体(例えば有機溶媒または有機溶媒/水混合物)に妖怪し、標的昆虫に荒らされている作物に適用する。γ-ピロンの適当な施用量を害虫制御に適用し得ることは当業者に認識される。本発明の化合物、殺虫組成物または抽出物の施用量は、典型的にヘクタールあたり担体中約1~500Lの化合物、殺虫組成物、抽出物またはSPC、好ましくはヘクタールあたり担体中約60~120Lの化合物、殺虫組成物、抽出物またはSPC、より好ましくはヘクタールあたり担体中約100Lの化合物、殺虫組成物、抽出物またはSPCである。処理は、所望により再度のスプレーを含む。ある実施態様において、処理は、3~28日間隔、3~14日間隔、好ましくは7日間隔で少なくとも2回、3回または4回のスプレーを含む。
【0203】
本発明者らは、本発明のγ-ピロンは、西洋蜜蜂(セイヨウミツバチ)を含む授粉媒介者などの益虫種に対する影響が最小であることを、驚くべきことにかつ有利に発見した。
【0204】
広域殺虫剤の無差別の使用および過度の依存は、以前管理された害虫の殺虫剤耐性および再出現をもたらし、環境汚染、食物残渣ならびにヒト健康および生物学的多様性への許容されないリスクに寄与する。広域殺虫剤はまた有益捕食者および授粉媒介者を殺し得て、これは望ましくない。
【0205】
オーストラリアにおいて、オオタバコガ殺虫剤耐性はCotton Research & Development Corporation (CRDC)により促進され、継続して更新される地理上の区域に特異的なInsecticide Resistance Management Strategiesの採用により厳しく管理されている。
【0206】
現在17種の化学殺虫剤群にわたる185種の登録製品がある。オオタバコガなどの害虫による耐性獲得を減らすため、これら化学群の大部分は、栽培期に1回または2回しか適用できない。インドキサカルブ、アベルメクチン、リナキシピル(登録商標)(ry-nax-ipier)および有機リン酸系への耐性は比較的低いが、しかしながら近年ビフェントリンへの耐性は40%まで増加し、一般的ピレスロイド系への耐性は90%まで増加している。
【0207】
オオタバコガは、単独で少なくとも47種の活性成分に耐性を示し、ある場合、これは類似作用機序部位で作用する化学物質への交差耐性をもたらし、栽培者が順番に使用できる有効な製品が減る。さらに、二次的綿有害生物は殺虫剤に対する多剤耐性を獲得し得る。
【0208】
本発明者らは、驚くべきことに、ある実施態様において、本発明のγ-ピロン化合物、殺虫組成物、抽出物および製剤が害虫に選択性を示すことを発見した。特に、本発明のγ-ピロン化合物は、アブラムシおよびナミハダニに対する殺虫活性を示し、タバコガ亜科に対する影響は最小である。さらに、上記のとおり、γ-ピロン化合物は西洋蜜蜂(セイヨウミツバチ)を含む授粉媒介者などの益虫種に対する影響が最小である。
【0209】
これは、本発明の化合物、殺虫組成物および抽出物を、上記のとおり農産業における問題として知られるタバコガ亜科などのある害虫による殺虫剤耐性の可能性を回避しながら、使用され得る。
【0210】
本発明の化合物、殺虫組成物および抽出物を、環境に配慮した選択肢を提供しながら、栽培者に完全な有害生物管理および耐性管理プログラムを補強するめに使用され得る。
【0211】
ある実施態様において、抽出物を得るために使用される植物構造は、葉、茎、根、さや、種子および植物部の何れかの組み合わせである。ある実施態様において、抽出物を得るために使用される植物構造は、開花前期である。ある実施態様において、抽出物を得るために使用される植物構造は、開花後期である。ある実施態様において、抽出物を得るために使用される植物構造は、開花期の間である。これらは、これらは、メタノール、水または何らかの他の担体などの製剤における留分または粗製抽出物として使用され、忌避作用、産卵抑制、摂食防止および直接接触活性を介して咀嚼するまたは樹液を吸う有害生物を制御し得る。
【0212】
植物学的に、ポドレピス属は、細かい有隔毛を有する、そしてしばしば微細腺毛を有するかまたは毛がほとんどない羊毛に似た見かけの一年生および多年生草本である。本植物は、典型的に根出葉および茎生葉を有する。花序は1~数個の末端頭部に生じ、本植物は孤立性であるかまたは集散花序を伸ばすために収縮する。末端頭部は鐘形~半球形であり、通常花梗頂点の鱗片葉は総苞片と同化する。周辺小花は典型的に黄色である。ポドレピス属は世界中に分布し、今日まで18種が知られ、オーストラリアに固有である。
【0213】
植物学的に、ゴニスティルス属は、堅い木の約30種の東南アジアの種であり、またラミン、メラウィス(マレイ)およびラミン・テルール(サラワク)としても知られる。ラミンはマレーシア、シンガポール、インドネシア、ブルネイ、フィリピンおよびパプアニューギニア原産であり、ボルネオで最も種多様性がある。Arnhemia、Deltaria、LethedonおよびSolmsiaとつながりがある。ラミンは中型の樹木であり、典型的に直線のすっきりした(分岐しない)、板根がない木の幹約18m長および60cm直径を有する、高さ約24mに達する。木の成長は遅く、主に沼沢林に生ずる。
【0214】
ある実施態様において、本発明の殺虫組成物は、経済的に重要な農業、森林、温室、苗床、観賞植物、食品および繊維、公衆および動物健康、家および商業建築、家庭および貯蔵された製品の有害生物を含み得る有害生物に対して活性を示す。害虫は、鞘翅目、双翅目、膜翅目、鱗翅目、食毛目、同翅目属、ダニ目、半翅目、直翅目、総翅目、革翅目、等翅目、シラミ目、ノミ目、毛翅目、鞘翅目など、特に半翅目およびケダニ亜目から選択される昆虫である。
【0215】
鱗翅目の幼虫は、ヤガ科のアーミーウォーム、ネキリムシ、シャクトリムシおよびヘリオチンSpodoptera frugiperda JE Smith (ツマジロクサヨトウ);S. exigua Huebner(シロイチモンジョトウ);S. litura Fabricius(タバコカットワーム、ハスモンヨトウ);Mamestra configurata Walker(バーサアーミーワーム);M. brassicae Linnaeus(コナガ);Agrotis ipsilon Hufnagel(タマナヤガ);A. orthogonia Morrison(ウェスタンカットワーム);A. subterranea Fabricius(グラニュレートカットワーム);Alabama argillacea Huebner(コットンリーフワーム);Trichoplusia ni Huebner(イラクサギンウワバ);Pseudoplusia includens Walker(大豆ルーパー);Anticarsia gemmatalis Huebner(ベルベットビーンキャタピラー);Hypena scabra Fabricius(グリーンクローバーウォーム);Heliothis virescens Fabricius(ニセアメリカタバコガ);Pseudaletia unipuncta Haworth(アーミーウォーム);Athetis mindara BarnesおよびMcdunnough(ラフスキンドカットウォーム);Euxoa messona Harris(ダークサイデッドカットウォーム);Earias insulana Boisduval(スピニルボールワーム);E. vittella Fabricius(スポッテドボウルウォーム);Helicoverpa armigera Huebner(オオタバコガ);H. zea Boddie(コーンイヤーウォームまたはコットンボールウォーム);Melanchra picta Harris(ゼブラキャタピラー);Egira(キシロミゲス)、curialis Grote(シトラスカットウォーム);メイガ科の穿孔虫、繭を作る昆虫、ウェブワーム、コーンワームおよび葉を食い荒らす幼虫Pyralidae Ostrinia nubilalis Huebner(ヨーロッパアワノメイガ);Amyelois transitella Walker(ネーブルオレンジ虫);Anagasta kuehniella Zeller(スジコナマダラメイガ);Cadra cautella Walker(コナマダラメイガ);Chilo suppressalis Walker(ニカメイガ);C. partellus(ソルガムボーラー);Corcyra cephalonica Stainton(ガイマイツヅリガ);Crambus caliginosellus Clemens(コーンルートウェブワーム);C. teterrellus Zincken(シバツトガ);Cnaphalocrocis medinalis Guenee(コブノメイガ);Desmia funeralis Huebner(グレープリーフフォールダー);Diaphania hyalinata Linnaeus(メロンワーム);D. nitidalis Stoll(ピックルワーム);Diatraea grandiosella Dyar(南西部アワノメイガ)、D. saccharalis Fabricius(サトウキビ害虫);Eoreuma loftini Dyar(イネミズゾウムシ);Ephestia elutella Huebner(タバコ(カカオ)モス);Galleria mellonella Linnaeus(オオハチミツガ);Herpetogramma licarsisalis Walker(ソッドウエブワーム);Homoeosoma electellum Hulst(サンフラワーモス);Elasmopalpus lignosellus Zeller(モロコシマダラメイガ);Achroia gnsella Fabricius(コハチノスツヅリガ);Loxostege sticticalis Linnaeus(シロオビノメイガ);Orthaga thyrisalis Walker(ティー・ツリーウェブモス);Maruca testulalis Geyer(マメノメイガ);Plodia interpunctella Huebner(ノシメマダラメイガ);Scirpophaga incertulas Walker(サンカメイガ);Udea rubigalis Guenee(セロリリーフティアー);およびハマキガ科のリーフローラー、青虫、シードワームおよびフルーツワームAcleris gloverana Walsingham(ウェスタンブラックヘッデッドバッドワーム);A. variana Fernald(イースタンブラックヘッデッドバッドワーム);Archips argyrospila Walker(果樹のハマキガ);A. rosana Linnaeus(ヨーロピアンリーフローラー);および他のArchips種、Adoxophyes orana Fischer von Rosslerstamm(サマーフルーツトートリックスモス);Cochylis hospes Walsingham(バンデドサンフラワーモス);Cydia latiferreana Walsingham(ファイバートワーム);C. pomonella Linnaeus(コドリンガ);Platynota flavedana Clemens(バリアゲイティドリーフローラー);P. stultana Walsingham(オムニヴァスリーフローラー);Lobesia botrana Denis & Schiffermiiller(ヨーロピアングレープバインモス);Spilonota ocellana Denis & Schiffermiiller(アイスポッテドバッドモス);Endopiza viteana Clemens(グレープベリーモス);Eupoecilia ambiguella Huebner(ヴァインベリーモス);Bonagota salubncola Meyrick(ブラジリアンアップルリーフローラー);Grapholita molesta Busck(ナシヒメシンクイ);Suleima helianthana Riley(サンフラワーバッドモス);Argyrotaenia spp.;Choristoneura spp.を含むが、これらに限定されない。
【0216】
鱗翅目の選択される他の農学的有害生物は、Alsophila pometaria Harris(フォールケンカーウォーム);Anarsia lineatella Zeller(モモキバガ);Anisota senatoria J. E. Smith(オレンジストライプドオークウォーム);Antheraea pernyi Guerin-Meneville(チャイニーズオークタッサーモス);Bombyx mori Linnaeus(カイコ);Bucculatnx thurbenella Busck(コットンリーフパーフォレイター);Colias eurytheme Boisduval(アルファルファキャタピラー);Datana integerrima Grote & Robinson(ウォルナットキャタピラー);Dendrolimus sibiricus Tschetwerikov(シベリアシルクモス)、Ennomos subsignaria Huebner(エルムスパンウォーム);Erannis tiliaria Harris(リンデンルーパー);Euproctis chrysorrhoea Linnaeus(シロバネドクガ);Harrisina americana Guerin-Meneville(グレープリーフスケルトナイザー);Hemileuca oliviae Cockrell(レンジキャタピラー);Hyphantria cunea Drury(アメリカシロヒトリ);Keiferia lycopersicella Walsingham(トマトピンウォーム);Lambdina fiscellaria fiscellaria Hulst(イースタンヘムロックルーパー);L. fiscellaria lugubrosa Hulst(ウェスタンヘムロックルーパー);Leucoma salicis Linnaeus(キアシドクガ);Lymantria dispar Linnaeus(マイマイガ);Manduca quinquemaculata Haworth(ファイブスポッテドホークモス、トマトホーンウォーム);M. sexta Haworth(トマトホーンウォーム、タバコスズメガ);Operophtera brumata Linnaeus(冬尺);Paleacrita vernata Peck(スプリングカンカーウォーム);Papilio cresphontes Cramer(ジャイアントスワローテイル、オレンジドッグ);Phryganidia californica Packard(カリフォルニアオークウォーム);Phyllocnistis citrella Stainton(シトラスリーフマイナー);Phyllonorycter blancardella Fabricius(スポッテッドテンチフォームリーフマイナー);Pieris brassicae Linnaeus(オオモンシロチョウ);P. rapae Linnaeus(モンシロチョウ);P. napi Linnaeus(エゾスジグロシロチョウ);Platyptilia carduidactyla Riley(アーティチョークプラムモス);Plutella xylostella Linnaeus(コナガ);Pectinophora gossypiella Saunders(ワタアカミムシ);Pontia protodice Boisduval & Leconte(サザンキャベツウォーム);Sabulodes aegrotata Guenee(オムニボラスルーパー);Schizura concinna J. E. Smith(レッドハンプドキャタピラー);Sitotroga cerealella Olivier(バクガ);Thaumetopoea pityocampa Schiffermuller(パインプロセッショナリーキャタピラー);Tineola bisselliella Hummel(ウェッビングクローズモス);Tuta absoluta Meyrick(トマトキバガ);Yponomeuta padella Linnaeus(エルミンモス);Heliothis subflexa Guenee;Malacosoma spp. およびOrgyia spp.を含むが、これらに限定されない。興味深いのはヒゲナガゾウムシ科、マメゾウムシ科およびゾウムシ科からのゾウムシ(Anthonomus grandis Boheman(ワタミハナゾウムシ);Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel(イネミズゾウムシ);Sitophilus granarius Linnaeus(グラナリアコクゾウムシ);S. oryzae Linnaeus(米食い虫);Hypera punctata Fabricius(クローバーリーフウェービル);Cylindrocopturus adspersus LeConte(サンフラワーステムウェービル);Smicronyx fulvus LeConte(レッドサンフラワーシードウェービル);S. sordidus LeConte(グレイサンフラワーシードウェービル);Sphenophorus maidis Chittenden(メイズビルバグ)を含むが、これに限定されない);ハムシ科のノミハムシ、キューカンバービートル、ルートワーム、リーフビートル、ポテトビートルおよび潜葉性昆虫(Leptinotarsa decemlineata Say(コロラドハムシ);Diabrotica virgifera virgifera LeConte(ウェスタンコーンルートウォーム);D. barberi Smith & Lawrence(ノーザンコーンルートウォーム);D. undecimpunctata howardi Barber(サザンコーンルートウォーム);Chaetocnema pulicaria Melsheimer(コーンフレアビートル);Phyllotreta cruciferae Goeze(コーンフレアビートル);Colaspis brunnea Fabricius(グレープコラスピス);Oulema melanopus Linnaeus(シリアルリーフビートル);Zygogramma exclamationis Fabricius(サンフラワービートル)を含むが、これらに限定されない);テントウムシ科の甲虫(Epilachna vanvestis Mulsant(インゲンテントウ)を含むが、これに限定されない);コガネムシおよびコガネムシ科の他の甲虫(Popilliajaponica Newman(マメコガネ);Cyclocephala borealis Arrow(コガネカブト、コガネムシ類幼虫);C. immaculata Olivier(スジコガネモドキ、コガネムシ類幼虫);Rhizotrogus majalis Razoumowsky(ヨーロピアン・シェーファー);Phyllophaga crinita Burmeister(コガネムシ類幼虫);Ligyrus gibbosus De Geer(クロマルコガネ));カツオブシムシ科のヒメマルカツオブシムシDermestidae;エラテダエ科のコメツキムシ、Eleodes spp.、Melanotus spp.;Conoderus spp.;Limonius spp.;Agriotes spp.;Ctenicera spp.;Aeolus spp.;キクイムシ科のキクイムシおよびゴミムシダマシ科の甲虫を含む鞘翅目の幼虫および成虫である。
【0217】
双翅目の成虫および未成熟のものは興味深く、潜葉性昆虫Agromyza parvicornis Loew(コーンブロッチリーフマイナー);小昆虫(Contarinia sorghicola Coquillett(ソルガムタマバエ);Mayetiola destructor Say(コムギタマバエ);Sitodiplosis mosellana Gehin(ムギアカタマバエ);Neolasioptera murtfeldtiana Felt(サンフラワーシードミッジ)を含むが、これらに限定されない);ミバエ(Tephritidae)、Oscinella frit Linnaeus(ミバエ)、Bactrocera tryoni(クイーンズランドミバエ);蛆(Delia platura Meigen(タネバエ);D. coarctata Fallen(ムギカラバエ);および他のDelia spp.、Meromyza americana Fitch(ムギキモグリバエ);Musca domestica Linnaeus(イエバエ);Fannia canicularis Linnaeus、F. femoralis Stein(小イエバエ);Stomoxys calcitrans Linnaeus (サシバエ)を含むが、これらに限定されない);フェースフライ、ノサシバエ、クロバエ、Chrysomya spp.;Phormia spp.;および他のキンバエ有害生物、ノサシバエTabanus spp.;ウマバエGastrophilus spp.;Oestrus spp.;ウウシバエHypoderma spp.;メクラアブChrysops spp.;Melophagus ovinus Linnaeus(ヒツジシラミバエ);および他のBrachycera、蚊Aedes spp.;Anopheles spp.;Culex spp.;ブユProsimulium spp.;Simulium spp.;ヌカカ、サシチョウバエ、シアドおよび他のNematoceraを含む。興味深い昆虫として含まれるのは、カサアブラムシ科のカサアブラムシ、メクラカメムシ科の半翅類、セミ科のセミ、ヨコバイ科のヨコバイ類、Empoasca spp.;ヒシウンカ科、アオバハゴロモ科、ビワハゴロモ上科、マルウンカ科およびウンカ科のウンカ、ツノゼミ科のツノゼミ、キジラミ科のキジラミ、Aleyrodes proletella(タマナコナジラミ、ケールホワイトフライ、ブラシカホワイトフライ)を含むコナジラミ科のコナジラミ、アブラムシ科のアブラムシ、ネアブラムシ科のブドウネアブラムシ、コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ、アステロレカニダエ、カタカイガラムシ科、コチニールカイガラムシ、マルカイガラムシ科、フクロカイガラムシ科、ハカマカイガラムシ科、コナカイガラムシ科およびワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ、グンバイムシ科のグンバイムシ、例えばオリーブレースバグ(Froggattia oliviana)、カメムシ科のクサギカメムシ、シンチバグ、Blissus spp.;およびナガカメムシ科の他のシードバグ、アワフキムシ科のアワフキムシ、ヘリカメムシ科のスカッシュバグおよびホシカメムシ科のツツガムシおよびコットンストレーナーなどであるが、これらに限定されない半翅目および同翅目属の成虫および若虫である。
【0218】
同翅目属からの農学的に重要なメンバーは、さらAcyrthisiphon pisum Harris(エンドウヒゲナガアブラムシ);Aphis craccivora Koch(ササゲアブラムシ);Aphis fabae Scopoli(マメクロアブラムシ);Aphis gossypii(ワタアブラムシ、メロンアブラムシ);A. maidiradicis Forbes(コーンルートアフィド);A. pomi De Geer(リンゴアブラムシ);A. spiraecola Patch(スピレアアフィッド);Aulacorthum solani Kaltenbach(ジャガイモヒゲナガアブラムシ);Chaetosiphon fragaefolii Cockerell(イチゴアブラムシ);Diuraphis noxia Kurdjumov/Mordvilko(ロシアコムギアブラムシ);Dysaphis plantaginea Paaserini(ロージーアップルアフィッド);Enosoma lanigerum Hausmann(リンゴワタムシ);Brevicoryne brassicae Linnaeus(ダイコンアブラムシ);Hyalopterus pruni Geoffroy(モモコフキアブラムシ);Lipaphis erysimi Kaltenbach(ニセダイコンアブラムシ);Metopolophium dirrhodum Walker(シリアルアフィッド);Macrosiphum euphorbiae Thomas(ジャガイモヒゲナガアブラムシ);Myzus persicae Sulzer(モモアカアブラムシ);Nasonovia ribisnigri Mosley(レタスアブラムシ);Pemphigus spp.(ルートアッフィドおよびガルアフィッド);Rhopalosiphum maidis Fitch(コーンリーフアブラムシ);R. padi Linnaeus(バードチェリーオートアフィッド);Schizaphis graminum Rondani(ムギミドリアブラムシ);Sipha flava Forbes(イエローシュガーケーンアフィッド);Sitobion avenae Fabricius(イングリッシュグレインアフィッド);Therioaphis maculata Buckton(アルファルファアブラムシ);Toxoptera aurantii Boyer de Fonscolombe(コミカンアブラムシ);およびT. citricida Kirkaldy(ブラウンシトラスアフィッド);Adelges spp.(カサアブラムシ);Phylloxera devastatrix Pergande(ペカンフィロキセラ);Bemisia tabaci Gennadius(タバココナジラミ、サツマイモコナジラミ);B. argentifolii Bellows & Perring(シルバーリーフコナジラミ);Dialeurodes citri Ashmead(ミカンコナジラミ);Trialeurodes abutiloneus(バンデッドウィングドホワイトフライ)およびT. vaporariorum Westwood(オンシツコナジラミ);Empoasca fabae Harris(ポテトリーフホッパ);Laodelphax striatellus Fallen(ヒメトビウンカ);Macrolestes quadrilineatus Forbes(アスターリーフホッパー);Nephotettix cinticeps Uhler(グリーンリーフホッパー);N. nigropictus Stal(ライスリーフホッパー);Nilaparvata lugens Stal(ブラウンプラントホッパー);Peregrinus maidis Ashmead(トウモロコシウンカ);Sogatella furcifera Horvath(セジロウンカ);Sogatodes orizicola Muir(ライスデルファシド);Typhlocyba pomaria McAtee(ホワイトアップルリーフホッパー);Erythroneoura spp.(グレープリーフホッパー);Magicicada septendecim Linnaeus(北アメリカの蝉);lcerya purchasi Maskell(ワタフキカイガラムシ);Quadraspidiotus perniciosus Comstock(サンホセカイガラムシ);Planococcus citri Risso(シトラスコナカイガラムシ);Pseudococcus spp.(他のコナカイガラムシ交雑種);Cacopsylla pyricola Foerster(ピアプシラ);Trioza diospyn Ash mead(パーシモンプシラ)を含むが、これらに限定されない。
【0219】
半翅目の興味深い農学的に重要な種は、Acrosternum hilare Say(アオクサカメムシ);Anasa tristis De Geer(スクアッシュバグ);Blissus leucopterus leucopterus Say(ヒメコガネナガカメムシ);Corythuca gossypii Fabricius(コットンレースバグ);Cyrtopeltis modesta Distant(トマトバグ);Dysdercus suturellus Herrich-Schaffer(コットンストレーナー);Euschistus servus Say(ブラウンスティンクバグ);E. vanolanus Palisot de Beauvois(ワンスポッテッドスティンクバグ);Graptostethus spp.(シードバグの交雑種);Leptoglossus corculus Say(リーフフッテッドパインシードバグ);Lygus lineolaris Palisot de Beauvois(サビイロメクラガメ);L. Hesperus Knight(ウェスタンターニッシュドプラントバグ);L. pratensis Linnaeus(コモンミドウバグ);L. rugulipennis Poppius(ヨーロピアンターニッシュドプラントバグ);Lygocoris pabulinus Linnaeus(コモングリーンカプシド);Nezara viridula Linnaeus(ミナミアオカメムシ);Oebalus pugnax Fabricius(ライススティンクバグ);Oncopeltus fasciatus Dallas(ラージミルクウィードバグ);Pseudatomoscelis seriatus Reuter(コットンフレアホッパー)を含むが、これらに限定されない。
【0220】
さらに、本発明の実施態様は、Calocoris norvegicus Gmelin(ストロベリーバグ);Orthops campestris Linnaeus;Plesiocons rugicollis Fallen(アップルカプシド);Cyrtopeltis modestus Distant(トマトバグ);Cyrtopeltis notatus Distant(サックフライ);Spanagonicus albofasciatus Reuter(ホワイトマークドフレアホッパー);Diaphnocoris chlorionis Say(ハニーロカストプラントバグ);Labopidicola allii Knight(オニオンプラントバグ);Pseudatomoscelis seriatus Reuter(コットンフレアホッパー);Adelphocoris rapidus Say(ラピッドプラントバグ);Poecilocapsus lineatus Fabricius(フォーラインドプラントバグ);Nysius ericae Schilling(フェールスチンチバグ);Nysius raphanus Howard(フェールスチンチバグ);Nezara viridula Linnaeus(南アオカメムシ);Eurygaster spp.;Coreidae spp.;Pyrrhocoridae spp.;Tinidae spp.;Blostomatidae spp.;Reduviidae spp.;およびCimicidae spp.などの半翅目に有効であり得る。
【0221】
また含まれるのは、ダニ目(ダニ)の成虫および幼虫、例えばAceria tosichella Keifer(ウィートカールマイト);Petrobia latens Mueller(ホモノハダニ);ハダニ科のハダニおよびアカダニ、Panonychus ulmi Koch(リンゴハダニ);Tetranychus urticae Koch(ナミハダニ);(T. mcdanieli McGregor(マクダニエルマイト);T. cinnabarinus Boisduval(カーミンスパイダーマイト);T. turkestani Ugarov & Nikolski(ストロベリースパイダーマイト);ヒメハダニ科のヒメハダニ、Brevipalpus lewisi McGregor(オンシツヒメハダニ);フシダニ科のサビおよびつぼみダニおよび他の葉を食べるダニならびにヒトおよび動物健康に重要なダニ、すなわち、ヒョウヒダニ科のイエダニ、ニキビダニ科のニキビダニ、ニクダニ科の穀物ダニ、マダニ科のダニIxodes scapularis Say(シカダニ);/. holocyclus Neumann(オーストラリアパラリシスティック);Dermacentor variabilis Say(アメリカ犬ダニ);Amblyomma americanum Linnaeus(ローンスターティック);およびキュウセンヒゼンダニ属、シラミダニ類およびヒゼンダニ科のヒゼンおよび疥癬ダニである。Lepisma saccharina Linnaeus(セイヨウシミ);Thermobia domestica Packard(マダラシミ)などのシミ目の害虫も興味深い。
【0222】
総翅目(アザミウマ)の興味深い農学的に重要な種は、Frankliniella occidentalis(ミカンキイロアザミウマ);F. occidentalis、Thrips simplex、Thrips palmi、Frankliniella triticiおよびHeliothrips haemorrhoidalis(グリーンハウススリプス)を含むが、これらに限定されない。
【0223】
ある実施態様において、害虫は、コットンボールウォーム、ネイティブバドウォーム、メクラカメムシ、アブラムシ、ミナミアオカメムシ、アップルディンプリングバグ、アザミウマ(プラークスリプス、タバコスリプス、オニオンスリプス、ミカンキイロアザミウマ)、コナジラミおよびナミハダニから選択される。
【0224】
ある実施態様において、動物の害虫はノミ、シラミ、蚊、ハエ、ツェツェバエ、アリ、マダニ、ダニ、セイヨウシミおよびスナノミを含む。
【0225】
本発明の殺虫活性を、生活環のどこかの段階の害虫に対して試験し得る。例えば、初期発育段階、例えば、幼虫または他の未熟型として。昆虫を、約20℃~約30℃および約30%~約70%相対湿度で完全暗所または天然光で飼育し得る。昆虫の幼虫を飼育し、バイオアッセイを実施する方法は、当業者に周知である。
【0226】
ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約10%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、害虫の少なくとも約25%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約50%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約75%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約90%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約95%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約99%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約99.5%を殺す効果である。ある実施態様において、殺虫効果は、処理が暴露された害虫の少なくとも約99.9%を殺す効果である。
【0227】
本発明により保護される益虫、すなわち、暴露により顕著に害されないのは、(1)捕食甲虫Harmonia arcuata(ファブリシウス)成虫、Diomus notescens(ブラックバーン)成虫、Coccinella repanda(ツンベルグ)成虫、Dicranolauis bellulus(ゲーリン);(2)肉食性虫、例えばGeocoris lubra(カーカルディ成虫、Cermatulus nasalis(ウェストウッド)成虫、Nabis capsiformis(ゲルマール)、(3)クモ、特にsalticidae、Araneus spp. Oxypes spp. および(擬寄生虫)Pterocormus promissorius(エリクソン)、Heteropelma scaposum(モレイ)、Netelia producta(ブルレ)および(4)授粉媒介者、例えばミツバチ(ミツバチ属)、特にセイヨウミツバチ(西洋蜜蜂)、Apis mellifera capensisアフリカミツバチ)、Apis koschevnikovi(コシェブニコフスハニービー)、Apis nigrocincta、Apis cerana(トウヨウミツバチまたはアジアミツバチ)、Apis cerana indica(インドミツバチ)およびApis cerana nuluensisを含む。
【0228】
本発明の実施態様は、また複合剤の1以上の留分を同定し、ここに開示される方法を使用して1以上の留分をスクリーニングし、そして1以上の留分を標的昆虫に対する活性の可能性について正または負の効果を有するとして特徴づけることによる、改善された害虫防除剤の製造にも関する。
【0229】
ある実施態様において、複合剤(例えば、精油)における1以上の留分を、例えば、分別溶媒抽出、分別蒸留、分別結晶、分別凍結、乾式留分、界面活性剤分別法、溶媒抽出、超臨界CO分別、真空蒸留、カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを含む分別技術を使用して、単離し得る。これらの方法は当業者に知られ、広く実施されている。真空蒸留が、用いるのが比較的単純であり、溶媒の使用を必要としないため、好ましい。
【0230】
ある実施態様において、複合剤の1以上の留分を、シリカまたはアルミナ固体支持体を使用するカラムクロマトグラフィーにより単離できる。例えば、アルカン類、例えばヘキサンおよび石油エーテル、トルエン、塩化メチレン(または他のハロゲン化炭化水素)、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、アルコール、酢酸などを含む有機溶媒を、単独でまたはカラム溶媒または移動相と組み合わせて使用し得る。ある実施態様において、複合剤を、溶出溶媒として極性溶媒の濃度の増加を使用するカラムクロマトグラフィーにより分別する。カラムクロマトグラフィーを実施する方法およびその使用に一般的な溶媒は当分野で周知である。
【0231】
ある実施態様において、SPCを溶媒抽出により単離し得る。例えば、抽出物を、例えばメタノール、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、t-ブチルアルコール、炭素テトラクロライド、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2-ジメトキシ-エタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチル-ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホロアミド(HMPA)、ヘキサメチルリントリアミド(HMPT)、ヘキサン、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、JV-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、水、重水、o-キシレン、m-キシレンおよび/または-キシレンなどの有機溶媒を含む、有機溶媒と混合し得る。当業者に知られる他の有機溶媒も用いられ得る。
【0232】
次いで、SPCおよび有機溶媒の混合物を、例えば、水、エタノールおよびメタノールを含む有機溶媒と非混和性の抽出溶媒と合わせ得る。この組み合わせを分液漏斗などのガラスコンテナで数分激しく振盪させ、次いで数分間別々の相へと落ち着かせる。次いで、下部の、濃い相を分液漏斗から排水する。次いで、有機相を抽出溶媒で繰り返し再抽出して、さらに抽出溶媒に可溶性である化合物を有機相から分離する。次いで、次いで、有機相および抽出された相の体積を回転蒸発を使用して減少させて、SPCの2個の別々の留分を得ることができる。
【0233】
ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤を同定する方法は、複合剤または複合剤の個々の単離留分に存在する化合物を同定し、活性について成分化合物をスクリーニングすることを含み得る。化合物の同定は、複合剤またはその単離留分をマススペクトロメトリー(MS)と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィー(GC)により分析することにより実施し得る。成分化合物はまた個々の成分を、例えば、分別溶媒抽出、分別蒸留、真空蒸留、分別結晶、分別凍結、乾式留分、界面活性剤分別法、溶媒抽出、超臨界CO分別、カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを含む技術を使用して、まず均質濃縮または精製することによっても同定され得る。濃縮または精製成分を、例えば、赤外線(IR)スペクトロスコピー、ラマンスペクトロスコピー、核磁気共鳴スペクトロスコピー(NMR)などを含む、スペクトロスコピー技術を使用して、同定し得る。
【0234】
ある実施態様は、標的昆虫に対する改善された薬剤を賛成するために、同定された化学物質の化学誘導体またはアナログの使用に関する。同定された化学物質の化学誘導体は、無機または有機官能基で誘導体化された化合物を含み得る。ある実施態様において、化学誘導体は、有機官能基で誘導体化された化合物である。ある実施態様において、有機官能基はアルキル基であり得る。ある実施態様において、有機官能基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、セリル、デシル、ヘプチル、ヘキシル、ミリシル、ミリスチル、ノニル、オクチル、パルミチル、ペンチル、ステアリル、イソプロピル、イソブチル、リグノセリル、ペンタコシル、ヘプタコシル、モンタニル、ノナコシル、ペンタン-2-イル、イソペンチル、3-メチルブタン-2-イル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、マルガリル、ノナデシル、アラキジル、ヘニコシル、ベヘニル、トリコシル、シクロブチル、シクロプロピル基などであり得る。ある実施態様において、有機官能基はアリール基であり得る。ある実施態様において、有機官能基はフェニルまたはビフェニル-4-イル基であり得る。
【0235】
ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のハロゲン化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、化学誘導体は、フッ素化、塩素化、臭素化またはヨウ素化誘導体である。
【0236】
ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、化合物のアルケニル化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、グリコシル化誘導体の水溶性を改善する化合物などである化学誘導体を含む。ある実施態様において、化学誘導体はオレイル化、アリル化、イソプロペニル化、ビニル化、プレニル化、グリコシル化またはフィチル化誘導体である。
【0237】
ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のヒドロキシル化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のチオール化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のカルボキシル化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のアミド化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のエステル化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のアシル化誘導体である化学誘導体を含む。ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、同定された化合物のスルホン化誘導体である化学誘導体を含む。
【0238】
ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、置換基ホモログの導入により誘導体化した化学誘導体を含む。
【0239】
ある実施態様において、標的昆虫に対する改善された薬剤は、環周囲の置換基を異なる位置に移動することにより誘導体化した化学誘導体を含む。
【0240】
ある実施態様において、試験組成物の有効性を、害虫で試験することにより決定し得る。例えば、試験組成物の害虫を殺す、摂食または産卵傾向を変えるなどに対する有効性を、昆虫を、害虫が試験組成物に暴露される制御された実験を使用して、試験できる。ある実施態様において、害虫に対する試験組成物の毒性を、昆虫が試験組成物に暴露される制御された実験を使用して試験し得る。試験組成物の有効性を、また有益および捕食性種を用いても決定できる。
【0241】
ある実施態様において、製剤は、水および殺有害生物性質も有し得る「担体」油中の総製剤の安定なエマルジョンを形成するための高溶解力および能力の乳化剤からなる。好ましい「担体」油はエステル化植物油である。
【0242】
ある実施態様において、害虫は、動物の有害生物であり、方法はγ-ピロンを含む化合物、殺虫組成物または抽出物の動物への適用を含む。ある実施態様において、動物はイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、モルモット、ロバ、アヒル、トリ、スイギュウ、ラクダ、トナカイ、ガチョウ、ラマ、アルパカ、ゾウ、シカ、ウサギ、ミンク、チンチラ、ハムスター、キツネ、エミューおよびダチョウであり得る。
【0243】
ある実施態様において、方法は、生息場所、例えば、上に特定した動物の何れか1以上の生息場所の処理を含む。
【0244】
ある実施態様において、化合物、殺虫組成物または抽出物のLC50値は約3000ppm(すなわち、0.3%)未満、約2500ppm未満、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満および好ましくは約30ppm未満である。
【0245】
ある実施態様において、化合物、殺虫組成物または抽出物のLC50値は約10~3000ppm、約10~2500ppm、約10~2000ppm、約10~1500ppm、約10~1000ppm、約10~500ppm、約10~200ppm、約10~100ppm、約10~50ppmおよび好ましくは約10~30ppmである。
【0246】
ある実施態様において、化合物、殺虫組成物または抽出物のLC95値は約1500ppm未満(すなわち、0.15%)、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満および好ましくは約10ppm未満である。
【0247】
ある実施態様において、化合物、殺虫組成物または抽出物のLC95値は約10~1500ppm、約10~1000ppm、約10~800ppm、約10~500ppmおよび好ましくは約100~300ppmである。
【0248】
使用に際し、本発明の方法を、分散溶液のスプレーにより実施し得る。スプレーは、缶、ビンまたは他のコンテナなどのスプレーコンテナから、ポンプの手段によりまたは加圧コンテナ、例えば、加圧エアロゾルスプレー缶から放出することにより、適用し得る。このようなスプレー組成物は、種々の形態をとり得て、例えば、スプレー、ミスト、フォーム、フュームまたはフォグであり得る。このようなスプレー組成物は、故に場合に応じてさらに噴射剤、発泡剤などを含み得る。
【0249】
他の本発明の実施態様において、商品棚での販売のためのキットが提供され、キットは噴霧手段、噴霧手段と一体であってもなくてもよいコンテナ手段、予定された量のスプレー製剤の構成成分(例えば、γ-ピロン、担体、界面活性剤、妥当ならば)および使用のための製剤の調製についての指示を含む。
【0250】
典型的噴射剤は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ペンテン、ヒドロフッ化炭素、クロロフッ化炭素、ジメチルエーテルおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0251】
他の実施態様において、方法を、クリーム、軟膏、エモリエント、ペースト、ゲル、粉末、固体およびそれらの組み合わせを使用して実施し得る。
【実施例
【0252】
実施例1:植物抽出物
アプローチ1
同定された生存植物からの植物サンプル(地上部)を集め、ラベルした紙袋に入れ、オーブンで40℃で7日間乾燥させて、その後物質を粉砕し、適切なコンテナ中室温で貯蔵した。Podolepis jaceoidesの花の元のサンプルは、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州、マウント・アナン、マウント・アナン・ボタニック・ガーデンで得た。その後植物をウェスタンシドニー大学ホークスベリーキャンパスで、商業的供給業者西オーストラリア、アルバニーのNindethana Australian Seedsから得た種子;およびこの作物から採取した種子から栽培した。
【0253】
工業銘柄メタノールおよびMilli-Q(超純)水を試験用抽出物の調製に使用した。約25gの各サンプルを、メタノール:クロロホルム1:1混合物(250mL)に加えた。混合物を60分間音波処理し、浸して柔らかくし(24時間)、吸引濾過し、濾液を分液漏斗に移した。少量の水(約25mL)を、非極性クロロホルム層(N)および極性水性-メタノール層(P)からなる二層系を作るため、混合物に加えた。これらの二層を、予め重さを測った丸底フラスコに分けた。留分を、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固するか(P)またはドラフトで蒸発させた(N)。各留分を別々に試験した。
【0254】
活性成分が決定されたら、メタノール、エタノール、アセトンまたは2成分(2溶媒)系などの適当な有機溶媒を使用した。
【0255】
アプローチ2
抽出物を、ウェスタンシドニー大学(WSU)で栽培したPodolepis jaceoides(植物#68)の乾燥させた、収穫した花から調製した。花をワーリングブレンダーを使用して微粉末まで粉砕し、純粋メタノールで抽出し(200mL純粋メタノール中20g粉砕植物)、Ratecプラットフォームミキサーで24時間振盪し、80分間音波処理し、次いで、ワットマン1番濾紙を合わせたガラスフィルター漏斗で濾過した。濾液は「メタノール抽出物」を形成した。
【0256】
次に、1.0%w/vエマルジョンを3試験生物、ナミハダニ、ワタアブラムシおよびタバコガ亜科の処理に十分量を調製するために抽出物から一定重量を取ることにより調製した。乾燥抽出物をまずアセトンに溶解し、5分間音波処理し、その後200ppm界面活性剤Triton X-100TM含有蒸留水で希釈して、各サンプルから1.00%w/vエマルジョンを調製した。
【0257】
次いで、原液をTriton X-100/水で連続希釈して、0.200%w/v、0.100%w/v、0.050%w/vおよび0.0125%w/v濃度とした。これら低濃度をTSMおよびワタアブラムシに対して試験し;1.0%をタバコガ亜科に対して試験した。
【0258】
実施例2:標的有害生物
一般にワタまたはメロンアブラムシとして知られるAphis gossypii Glover(半翅目:アブラムシ上科)は、宿主範囲が極めて広い世界的規模の有害生物である(例えば、www.cabi.org/isc/datasheet/6204)。また多数のウイルスの媒介生物である。Aphis gossypii(感受性種)(半翅目:アブラムシ上科)は、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州メナングル、NSW Department of Primary IndustriesのGrant Herron博士により提供された物質からの培養物として確立された。アブラムシを、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ナラブリ、NSW Department of Primary IndustriesのRobert Mensah博士から提供された非殺虫剤処理慣用綿種子から栽培した鉢植えGossypium hirsutum L.(アオイ科)上で飼育した。培養を27±3℃および55±10%RH(相対湿度)および天然光に設定した温度制御された温室で維持した。若年成熟雌のみバイオアッセイのために選択した。
【0259】
一般にナミハダニとして知られるTetranychus urticae Koch(ダニ目:ハダニ科)は、国際的、植食性種であり、多くの温帯および亜熱帯諸国で重要な農業害虫である。非常に雑食性であり、主に植物葉を食べる。もともとオーストラリア、ニューサウスウェールズ州メナングル、NSW Department of Primary IndustriesのGrant Herronから得て、約18年WSU ホークスベリーキャンパスで維持されている、Tetranychus urticae Koch UWS 1(有機リン酸感受性)種。鉢植えサヤマメ、Phaseolus vulgaris var Redland Pioneer(25±2℃、65±5%RHおよび14時間D:L光周期に維持された一定温度室)で飼育した。培養を、大(7.0m(l)×6.0m(w)×4.0m(h))、無駆除剤、一定温度室(28~30℃、50%RH、18:6、D:L)で、堆肥化された松の樹皮ベースの製陶培地中栽培した鉢植え矮性サヤマメ(Phaseolus vulgaris L. var. Redland Pioneer)植物で飼育した。若い妊娠雌ハダニのみバイオアッセイのために選択した。
【0260】
一般にコットンボールウォームまたはヘリオディスとして知られるHelicoverpa armigera(Huebner)(鱗翅目:ヤガ科)は、広く拡散している種であり、広範な宿主範囲を有する(例えば、https://www.cabi.org/isc/datasheet/26757参照)。典型的に花、つぼみおよび果実などの高タンパク質植物部を選択的に食べる。Helicoverpa armigeraを、オーストラリア、クイーンズランド州グランベール、AgBiTech Pty. Ltdまたはニューサウスウェールズ州マイオールベール、CSIRO Agriculture and Food, Cotton Research Instituteから新しい卵として得た。
【0261】
卵(50~75)を細かいラクダヘアブラシで、蒸留水で一部湿らせた90mmワットマン1番濾紙に移し、AgBiTechから提供された人工培地の薄片を、孵化イモムシの餌の源として濾紙に乗せた。卵を25±3℃および65±10%RHの研究室条件で孵化させた。孵化は24時間以内に起こり、バイオアッセイを平均重量4.12mgの新生幼虫で実施した。
【0262】
実施例3:バイオアッセイ
ナミハダニについて、各サンプルのスクリーニングを、90mm直径ペトリ皿に含まれる1~3サヤマメ葉片(25mm直径)に均一に分散した20~40成熟雌ダニで実施した。葉片を、湿った吸収性脱脂綿の上に裏側が上向きになるように置いた。水を毎日皿に加えて、葉片が乾くのを防止し、ダニが葉片から逃げるのを防止した。
【0263】
3.0mL量をHerron et al., Potter spray tower bioassay of selected citrus pests to petroleum spray oil, Journal of the Australian Entomological Society 34, 253-263, 1995に記載のとおり、ポッター型精密スプレータワーで各ペトリ皿に適用した。
【0264】
各皿にスプレーされた溶液の平均重量は5.385mg/cmまたは0.05385mg/cm活性成分(a.i.)と計算された。皿を処理後観察のために研究室条件(24±2℃、50±15%RH)下に保持した。死亡率を処理24時間および48時間後(HAT)記録した。試験生物をブラシで突いて機械的に刺激したとき移動がないことにより死亡と判断した。
【0265】
ワタアブラムシについて、単為生殖成熟雌アブラムシを綿植物の培養から集めた。15成虫を、50mm直径×15mm高さプラスチック昆虫繁殖50mm直径×15高さ(SPL L ife Sciences, Korea)と測定されるプラスチック虫かごの1.0%w/v寒天に載せた各葉片50mm直径の下側に細かいラクダヘアブラシを使用して移動させた。
【0266】
カゴは、細かい網で覆った穴(15mm直径)のある蓋を有した;蓋をスプレー直前除いた。1%w/v抽出物の等分(3mL)を、上記のとおり、各処理につきポッター型スプレータワーで適用し、スプレーをカゴを蓋する前に一部乾燥させ、カゴの横をパラフィルムM(登録商標)で覆った。
【0267】
皿を、処理後観察のために研究室条件(24±2℃、50±15%RH)に保持した。死亡率計数を24および48HAT実施した。細かいブラシで突いたときアブラムシが動かなければ、死亡の基準として取った。
【0268】
Helicoverpaについて、孵化4~12時間後の新生幼虫を、Easy Grip Tissue Culture Dish寸法35×10mm(Corning Incorporated, Corning NY, USA)の1%寒天上にその下側が上になるように個々に綿植物葉片(35mm直径)に移した。各皿に1新生生物のみ移し(新生生物の小群を分ける前に処理した最初の調査は、共食いによる幼虫の被害をもたらしたため)、これら皿の4個を大ペトリ皿90mm直径に移し、上記のとおり、ポッター型スプレータワーを使用して3mL量をスプレーした。故に、各反復は4新生生物からなる。
【0269】
スプレー後、小皿を穴あきプラスチックシートで覆い、次いでアブラムシバイオアッセイについて先に記載したプラスチック虫かごに入れた。サンプルあたりスプレーした皿の数は4~10であった。皿を、処理後観察のために研究室条件(24±2℃、50±15%RH)下に維持した。死亡率計数を24および48HAT実施した。細かいブラシで突いたときイモムシが動かなければ、死亡の基準として取った。
【0270】
調査の各バッチについて、他の処理と同じ方法の対照処理を実施した。対照処理溶液は、試験溶液と同じ濃度の蒸留水およびアセトンまたはヘキサン中3mL量の200ppm Triton X-100を含んだ。対照死亡率が15%を超えたら、調査を放棄した。処理死亡率を計算し、補正死亡率として表して、あらゆる対照死亡率を考慮した(Abbott WS., A method of computing the effectiveness of an insecticide. Journal of Economic Entomology, 18, 265-267, 1925)。
【0271】
実施例4:殺虫活性試験結果
表1は、初期実験データを示し、P. jaceiodesの非極性抽出物の有効性がワタアブラムシおよびナミハダニに対して効果的であるが、Helicoverpaについては有効ではないことを示す。極性抽出物は、これら標的種に対して実質的にあまり有効性はなかった。効果的濃度適用後ほぼすぐに活性を示し、処理後最初の1時間(HAT)以内の標的生物の毒性の徴候はなく、数時間以内に100%死亡率であり、子孫はなかった。しかしながら、極性留分は、特に、ワタアブラムシに対して非極性留分より標的種に対する有効性が実質的に低かった。
【0272】
その後の調査は、0.25%a.i.でワタアブラムシの100%死亡率を示した(表2)。
【0273】
溶媒としてメタノールのみを使用する他のP. jaceoides N抽出物(花)のさらなる評価は、ワタアブラムシの極めて高い死亡率、ナミハダニの高い死亡率およびタバコガ亜科死亡なしをもたらした(表3)。ワタアブラムシについて、ワタアブラムシの100%死亡率は0.05および0.20%処理で起こり、一方0.20%w/vではTSMの84.4%死亡率であった。ワタアブラムシの推定LC50およびLC95値はそれぞれ0.014%(0.004~0.021)、(すなわち140[40~210]ppm)および0.051%(0.039~0.112)(510[390~1120ppm])であった。
【表1】


低濃度試験せず;HAT=処理後時間;N=非極性留分;P=極性留分
【表2】


【表3】


=0.734
【0274】
回帰の不均一性をピアソンχ指標により決定し、有意レベルが<0.150であった、不均一因子を信頼限界の計算に使用した。これにより、LC値およびその95%信頼限界(CL)の計算が可能となり、LC50およびLC95を殺虫剤の可能性の活性を良好に表すとして選択した。分析をプログラムIBM SPSS Statistics 25を使用して実施した。
【0275】
実施例5:ワタアブラムシに対するP. jaceoidesメタノール抽出物を評価するためのポット試験
反復ポット試験はまたワタアブラムシに対するP. jaceoidesメタノール抽出物の高い有効性を示した。
【0276】
12の鉢植え綿植物を、制御された温室条件(26~28℃および60±10%RH)で、三週間、2枚の本葉が完全に伸びるまで栽培した。各鉢は一植物を含んだ。ワタアブラムシに大量に汚染されている鉢植え植物の間に3日間移動させて、葉の汚染を可能とさせた。新たに汚染された鉢を、各6植物の2群に無作為に分けた。
【0277】
200ppm Triton X-100含有水中1.0%w/v濃度のP. jaceoidesメタノール抽出物および先に記載したとおり抽出物以外全成分を含む対照を調製した。1群の植物に1.0%w/v抽出物をスプレーし、他に対照エマルジョンをスプレーした。500mL手持ち噴霧器を使用して、6植物への各処理45mLを適用した。各植物に、全葉の上および下表面を覆うために滴るまで別々に噴霧した;これは、植物あたり約7.5mLの処理であった。
【0278】
印をした葉のアブラムシのスプレー前後の計数を行い、処理後計数は24HATおよび48HATであった。2HATに観察して、何らかのノックダウン効果を決定した。死亡率が48HATに100%に到達したため、実験を停止した。植物を、処理による何らかの植物毒性を評価するため、5DAT保持した。
【0279】
データを、一般線形モデルの分散分析(ANOVA)を使用して分析した。各変数を、Q-Qプロットを使用して規定度について視覚的に試験し、ルビーン検定を誤差分散の同等性の試験のために使用した。有意レベルをP=0.05と設定した。この場合、しかしながら、結果は明確であり、一処理および対照があり、よって、統計分析は必要なかった。
【0280】
結果を表4に要約する。24HATで、平均アブラムシ死亡率は97.37(±SE。2.162)であり、6植物中5植物で48HATで100%死亡率であった。48HATで>90%死亡率が記録された他の植物は、十分にスプレーされていなかった可能性がある。対照処理の24および48HATの死亡率は無視でき、処理の結果は高度に有意であったそれぞれ(F1,11=1888.475、P<0.001およびF1,11=1603.362、P<0.001)。
【0281】
24HAT評価で、抽出物処理葉の多くのアブラムシがほぼ瀕死状態であり、一方対照植物は正常であった。この試験は、P. jaceoidesの非極性またはメタノール抽出物(ラベルした抽出物#68)が極めて高い殺アブラムシ活性を有するとの研究室バイオアッセイを確認する。
【表4】

【0282】
5HATまであらゆる植物で植物毒性の徴候はなかった。これは、P. jaceoidesメタノール抽出物が試験条件下で植物毒性効果を有しないことを示す。
【0283】
さらに、抽出物は有効であることが判明したよりはるかに高濃度で適用したとき、綿またはサヤマメ植物に植物毒性を起こさなかった。この結果は、本発明のこれら植物抽出物に由来する最終使用殺虫剤で作物被害は起こりそうにないことを示す。
【0284】
実施例6:ワタアブラムシに対するPodolepis jaceoidesメタノール抽出物の有効性を評価するための野外試験
材料および方法
試験を、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ナラブリのAustralian Cotton Research Institute(ACRI)の灌漑商業的Bollgard II綿作物(Sicot 74種)で実施した。試験に使用した綿作物は切り取りに近い成熟植物であり、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ナラブリのYarralの近隣商業的綿畑から集めたAphis gossypiiに汚染された葉により汚染された。
【0285】
処理プロットを、処理あたり3反復の完全乱塊法でアレンジした。各反復プロットは、2m(2列)幅および1m長と反復プロット間2m(列)緩衝地からなった。アブラムシに汚染された末端の各処理反復における3植物を無作為に選択し、末端を処理前および処理後評価のためにタグ付けした。次の処理をAphis gossypii成虫および若虫に対して評価した:(1)1.0%v/v P. jaceoidesメタノール抽出物、(2)125mL/ヘクタールクロチアニジン(Shield)、(3)対照。
【0286】
P. jaceoidesメタノール抽出物を10mLアセトンに溶解し、次いで100ppm Triton-X 100水で希釈した。対照は、100ppm Triton-X 100の水溶液のみスプレーした。
【0287】
各処理の葉適用を実施し、まず対照を適用し、次いで植物抽出物および最後に産業標品を適用した。各処理を、200μmの液滴サイズを送達するフラットファンノズルを備えた小携帯加圧噴霧器で滴るまで適用した(100L/ヘクタールの農地適用に相当)。処理の適用の決定は、植物末端の50%が汚染されるとのIPM Guidelines and CottonLogic推奨経済的閾値に基づき行った。
【0288】
A. gossypiiおよび益虫種(主に捕食性昆虫)の数を、タグ付けした植物末端3~4節下の葉の表及び裏のA. gossypii成虫および若虫および有益生物の目視による計数により評価した。処理前計数を処理24時間前および処理後計数を処理1日、2日、5日、6日、7日、8日、9日、12日および14日後(DAT)実施した。
【0289】
両A. gossypii成虫および若虫ならびに捕食性昆虫のデータを各々末端あたりの数として最初に表した。データを処理前計数と比較した集団のパーセンテージ減少として計算した。
【0290】
集団減少のデータ平均を、規定度確認後、一元配置ANOVAを使用して、SPSS v21を使用して比較した。有意性を通常5%(α=0.05)に設定し、有意であるとき、平均をダンカンの多重範囲検定を使用して分離した。
【0291】
データを表5に表す。1DATおよび2DATで、対照と比較してP. jaceoides抽出物およびビフェントリン処理でワタアブラムシ集団の有意な減少があるが(それぞれP2,9=0.047;P2,9=0.001)、それらの間に差はなかった。
【0292】
5DATで、処理間で、5%レベルで有意差はないが、10%(P2,9=0.087)であり、植物抽出物は対照より優れるが、他の差異はなかった。6DAT、7DATおよび14DATで、処理間に差はないが、P. jaceoides抽出物が優れているとの傾向はあった。
【0293】
益虫種の範囲を試験期間中記録した。最も一般的種はクモ、テントウムシ(成虫および幼虫)、パイレートバグおよびハナアブであった。処理間の比較は困難であった。まず、一部データ(例えば、1DATの対照のミイラ化アブラムシ)は、試験開始前の活性の結果であった。第二に5~6DATの対照における大量のアブラムシ捕食者は、先の大量のアブラムシを反映していると考えられる。一般に、益虫種数は試験初期段階で低かったが、一般に9DATまでに全処理(対照を含む)で増加した。
【0294】
試験は、益虫種が試験位置への移動前に滞在できる未処理緩衝行があった。シーズン終盤であり(益虫種が一般に多い)、他の周囲の綿作物の大部分は収穫されており、試験位置が魅力的となった。
【0295】
故に、益虫および他の種のデータは幾分可変であり、何らかの詳細な評価をするにはデータ点が不十分である。それにも関わらず、化学処理(P. jaceoides抽出物を含む)の何れも益虫種に有害に作用したとの証拠はない。
【表5】


#5%で有意ではなかったが、10%で有意であった
【0296】
実施例7:ミツバチに対するP. jaceoidesメタノール抽出物の急性毒性の評価
P. jaceoidesメタノール抽出物のミツバチに対する急性毒性を評価した。他の昆虫は効率的授粉媒介者であり得るが、西洋蜜蜂、セイヨウミツバチは、その豊富さおよびヒト取り扱いの快適性により、世界的に農作物の最も重要な送粉者として考えられている。
【0297】
材料および方法
研究室ベースのバイオアッセイを実施して、セイヨウミツバチの成熟採食働きバチに対する抽出物の急性毒性を評価した。3mL量のP. jaceoides抽出物を1.0%a.i。w/vで、試験昆虫に対するこの植物抽出物の調製および適用について先に記載した方法を使用して、ポッター型スプレータワーを使用して、適用した。
【0298】
ビフェントリン(CAS No 82657-04-3)97.0%技術的(Batch 50118)が、ドイツD-86190アウグスブルグのDr. Ehrenstorfer GmbHから提供された。0.05%w/v a.i。濃度を、0.013gビフェントリンを1mLアセトンに溶解し、5分間音波処理し、次いで蒸留水中200ppm Triton X-100で25mL容量フラスコ中希釈した。ポッター型スプレータワーを介して、0.05%a.iの3mL量を使用して適用した;この濃度は、綿における推奨表示割合に基づいた。対照は5mLアセトンおよび水-Triton X-100混合物のみからなった;2個の対照を実施した。
【0299】
バイオアッセイのためのセイヨウミツバチ採食働きバチは、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州リッチモンドのウェスタンシドニー大学養蜂場で強い、健康なミツバチの巣から、ミツバチの巣の入口を1分間遮断し、採食蜂を捕虫網で集めることにより集めた。
【0300】
網かご(25×33×33cm)にすぐに移し、24℃の研究室に維持し、そこで糖:水1:1w/vを、バイオアッセイまでカゴの上部の網に置いた脱脂綿から自由に摂取でき、アッセイをハチを集めて1時間以内に実施した。バイオアッセイのためのハチを、120mLプラスチック試料管を使用してカゴから無作為に集め、医薬グレードCOで30秒間麻酔し、次いで10匹のハチを、濾紙を敷いた90mm直径ペトリ皿に置いた。ハチが入った皿をポッター型スプレータワー台におき、対照で開始し、ビフェントリン処理で終了する、各処理を適用した。
【0301】
処理直後、処理したハチを250mLガラスビーカーにやさしく移し、細かいナイロンメッシュを輪ゴムで上につけ、ハチに、上記のとおり糖:水を与え、極微光で26℃に維持した。ハチの活動を、10分間隔で420分まで(すなわち7HAT)、次いで48HATまでそれより低頻度で定期的に観察および記録した。この時点までに、両対照でハチが死亡し、故に調査を停止した。記録したデータは、毒性、ノックダウン(K)および死亡率(D)の徴候であった。
【0302】
結果を表6に示す。P. jaceoides抽出物は、急性毒性により測定してミツバチに対して安全であり、産業的比較対照ビフェントリンよりはるかに優れた。36HATで死亡またはノックダウンはなく、その時点で死亡は対照反復の一方で始まっていた。対照的に、ビフェントリン処理において、ノックダウンは10MAT(処理後分)で開始し、死亡は90MATで開始し、50%ハチが45~50MATでノックダウンされ、50%が240MATで死亡した。480MATまでに、100%が死亡した。ハチ中毒の徴候が観察された唯一の処理はビフェントリン処理であった。ハチの協調欠如、胃内容物嘔吐および過活動が全て観察された。
【表6-1】


【表6-2】

【0303】
これは急性皮膚毒性(経口毒性ではない)を評価する単独調査であったが、P. jaceoides抽出物のミツバチに対する急性毒性は限定的であり、ミツバチが採食し得る開花期作物の適用に比較的安全である。適用濃度は、標的害虫に対するフィールド適用において典型的に適用することが必要であるより高い可能性のある1.0%w/vであり、また試験条件下、ハチはポッター型スプレータワーにより適用されるスプレーに直接曝されたことは留意すべきである。このレベルの暴露は、フィールドでは通常起こる可能性はない。
【0304】
実施例8:クイーンズランドミバエおよびタマナコナジラミに対するP. jaceoidesメタノール抽出物の有効性の評価
1.0%w/v P. jaceoides(ラベルした#68)花メタノール抽出物のポッター型スプレータワーでの局所適用は、先に記載した方法を使用して、48HATで性別が混ざった成熟クイーンズランドミバエ(QFF)(Bactrocera tryoni、双翅目:ミバエ科)の約100%死亡をもたらした。処理後まもなくして、ハエは過活動となり、20MATでノックダウンを示した。しかしながら、0.5%w/vで、抽出物は類似するノックダウンを示さず、48HATで5匹中1匹のハエのみ脂肪し、残りは生存したままであった。全処理対照は、48HATで0.0%死亡をもたらした。
【0305】
タマナコナジラミ、Aleyrodes proletella(半翅目:コナジラミ科)に対して、ポッター型スプレータワーを用いる1.0%w/v P. jaceoides(ラベルした#68)花メタノール抽出物は、30MATで100%死亡をもたらした。
【0306】
材料および方法
サザンクロス大学からP. jaceoides(ラベルした#68)花メタノール抽出物(batch ARL181076)を得た。
【0307】
クイーンズランドミバエの約50匹の蛹を、ウェスタンシドニー大学でMarkus Rieglerにより何代も近親交配させた培養から集めた。蛹を、25℃および70%RH条件下の温室のカゴ30×30×30cmに移した。約5日後成虫に羽化し、最近羽化した性別が混ざった成虫をバイオアッセイに使用した。
【0308】
タマナコナジラミは地球規模で分布し、種々のアブラナ属種(特にケールBrassica oleracea var. sabellica)の有害生物である。バイオアッセイ用標本を、ウェスタンシドニーの自然にひどく汚染された健常な鉢植えケール植物から集めた。ケール植物が成熟コナジラミを多数含むことが観察されたら、葉をやさしく切り、モスリン網で覆われた1個の1L Perspexビーカーに入れ、輪ゴムで固定した。
【0309】
クイーンズランドミバエバイオアッセイ
3~5日齢の、性別が混ざったハエを1L Perspexビーカーに移した。各ハエを、20mLガラスビーカーに捕まえ、その後それを大型ビーカー内に放し、次いで輪ゴムで固定されたモスリン網で覆うことによりビーカーに移した。ビーカーに入ったハエを、医薬グレード二酸化炭素で、動きが制限されるまで麻酔した。ハエのバッチを対照処理(すなわち#68抽出物以外エマルジョン中の全成分)および1.0%w/v濃度の#68メタノール抽出物に分けた。処理場所は、同じ直径の濾紙を敷いた小プラスチックペトリ皿50×15mmであった。3mL量をポッター型スプレータワーで、麻酔されたハエが入ったペトリ皿に適用した。カバーしていない処理皿を500mLガラスビーカーに移し、輪ゴムで固定したモスリン網で覆った。
【0310】
ケールホワイトフライバイオアッセイ
1L Perspexビーカーを使用して、新たに切断したケール葉のコナジラミを-20℃のディープフリーザーに移した。約40分ディープフリーザーに入れることが、コナジラミを移し、対照および#68メタノール抽出物処理のポッター型タワー適用での処理を可能とするのに十分動きを制限することが判明した。細かいラクダヘアブラシを使用して、成熟コナジラミを、小ペトリ皿50×15mmの底に敷かれた濾紙に移した。3mL量をポッター型スプレータワーで、対照(0.0%)および1.0%w/v濃度(3個の別々の皿、反復処理)で適用した。処理適用後、約25mm直径の新鮮ケール葉片をペトリ皿に入れ、その後、細かい網で覆った15mm直径穴があるその蓋で覆った。
結果
【0311】
結果を表7(クイーンズランドミバエ、QFF)および表8(ケールホワイトフライ)に示す。QFFについて、5匹中1匹のハエは身もだえしており、全て0.5%w/v処理48HATで生存していた。しかしながら、1.0%w/v処理において、1コンテナで48HATで処理ハエの80%は死亡し、身もだえしていた;他のコンテナで、100%死亡した。しかしながら、ハエは時々付属器官がわずかに収縮し、そうでなければ脂肪していた。興味深いことに、ハエの過活動が処理後数分観察された。その後、QFFはビーカーの底に落ち、再び飛ぶことができず、死亡するまで、身もだえした。
【0312】
ケールホワイトフライについて、全3個の処理皿で100%死亡し、死亡は30MAT内に起こった。48HATの観察は、単なるノックダウンではなく、死亡を確認した。
【表7】


【表8】

【0313】
これらの結果は、#68のメタノール抽出物がケールホワイトフライに高い有効性およびクイーンズランドミバエに中程度~高い有効性を有することを示した。
【0314】
実施例9:溶媒抽出物の活性成分を決定するためのPodolepis jaceoidesの化学の調査
この実施例は2つの目的がある:バイオアッセイ誘導分別実施による1)殺虫P. jaceoides抽出物の化学の解明および2)活性留分/化合物同定。
【0315】
P. jaceoidesの茎(葉を含む)および花を収穫し、別々に評価した。乾燥させ、粉砕したら、サンプルを音波処理(1時間)および浸軟(24時間)によりメタノール(1L)で抽出した。濾過抽出物を凍結乾燥し、分液漏斗で水(250mL)およびヘキサン(3×250mL)で分配し、続いてジエチルエーテル(3×250mL)および酢酸エチル(3×250mL)抽出した。得られた水性(AQ)、ヘキサン(Hex)、ジエチルエーテル(DE)および酢酸エチル(EA)留分を凍結乾燥して、4個の留分を得た。
【0316】
液体クロマトグラフィー-マススペクトロメトリー(LCMS)分析を、バイナリポンプ、測光ダイオードアレイ(PDA)検出器およびオートサンプラー(Waters, Milford, USA)に連結したWaters Acquity Xevo TQトリプル四重極マススペクトロメーターで、3μL注入体積で実施した。クロマトグラフ的分離を、C18カラム(Phenomenex kinetex 1.7μM、100A、150×2.10mm)およびACN/HO(アセトニトリル/水)勾配(両移動相に0.1%ギ酸含有)を使用して、流速0.2mL/分で10%ACN~95%ACNを25分間、次いで95%ACNを5分間の移動相勾配を用いて実施した。
【0317】
マススペクトルを、大気圧化学イオン化(APCI)ポジティブモードで、キャピラリー電圧2.5kV;コーン電圧10V;プローブ温度350~375℃およびガス流300L/時間で質量範囲m/z(質量対電化比)150~800a.m.u. (原子質量単位)およびダイオードアレイ検出(200~500nm)を使用して、実施した。データをMassLynxソフトウェア(Waters, Milford, USA)で分析した。
【0318】
植物全体のサンプルを100%メタノール(MeOH)で抽出し、1時間音波処理し、次いで1:10w/v(乾燥重量)比で一夜浸し、次いで濾過して分析した。留分または純粋化合物を、メタノール(MeOH)中0.5mg/mLで分析した。
【0319】
NMRスペクトロスコピー
NMRスペクトルをBruker Avance DRX-400で得た。Mnova NMRソフトウェア(Mestrelab, Santiago de Compostela, Spain)を使用して、スペクトルデータを分析した。H NMRスペクトルを400MHzおよび13C NMRスペクトルを100MHzで記録した。化学シフト(δ)を、δ値として百万分率(ppm)で表し、結合定数(J)をヘルツ(Hz)で表す。COSY、NOESY、HSQCおよびHMBC実験を、標準Brukerパルスプログラムを使用して得た。実験を重水素化溶媒で行い、化学シフトをメタノール溶媒ピーク(H δ 3.31および13C δ 49.00ppm)、DMSO溶媒ピーク(H δ 2.50および13C δ 39.52ppm)またはクロロホルム溶媒ピーク(H δ 7.26および13C δ 77.16ppm)に対して更正した。
【0320】
P. jaceoides全体抽出物の分取HPLC分別をLC-MS分析に基づき進め、バイオアッセイ結果は極性および非極性分別からである。
【0321】
バイオアッセイを先に記載したのと同じ3種の標的生物、すなわちナミハダニ、ワタアブラムシおよびHelicoverpaで実施し、死亡計数を24および48HATに採った。濃度は、表9で特に断らない限り1.0%w/vであった。データを補正死亡率として示す。さらに、標的植物物質(葉片)に対する植物毒性のあらゆる徴候を記し、記録した。
【0322】
留分のバイオアッセイの結果を表9に示す。#68の数留分、特に花(#68F_P(極性)および#68F_N(非極性))由来のものは、TSMおよびワタアブラムシに極めて高い活性を示し、留分#44はナミハダニおよびタバコガ亜科両者に極めて高い活性を示した;他の留分は、極めて高い活性をハダニに対してのみ示した。
【0323】
ワタアブラムシのさらなるデータは、ポドピロンを産生するためにさらに分別したため、HPLC留分について集めなかった。興味深いことに、おそらく長鎖化合物を含む廃棄物(カラム洗浄液)もまたワタアブラムシに極めて高い活性を示した。
【0324】
本発明者らは、その後ウェスタンシドニー大学栽培Podolepis jaceoidesの種子、頭状花、白い花びら(舌状花)からのメタノール抽出物のクロマトグラムも比較して、これら種々植物部におけるポドピロンの存在を決定した(示していない)。全体花メタノール性抽出物と種子、頭状花および白い花びらのクロマトグラムを比較した。花全体メタノール性抽出物および分割成分、白い花びら、頭状花および種子はポドピロンの存在を示した(約16および17分の優勢な大きな二重UVピーク)。種子、頭状花および白い花びらについて同じカラムを使用したため、比較可能であった。ポドピロンピークは種子、頭状花および花弁に18~20分に存在した。
【表9】

【0325】
植物全体抽出物と頭状花抽出物を比較して、ポドピロンは、他の化合物ピークがより優勢であるため、頭状花で高濃度であると考えられる。これはまた検出ポドピロンイオンが少ない総イオン計数(TIC)(示していない)でも確認された。種子抽出物のTIC(示していない)は、18.85および19.14分にポドピロン総イオンの高い存在を示した。白い花びらのTIC(示していない)は、19.02および19.3分に多数のポドピロンイオンを検出した。これらの結果は、P. jaceoidesの種子の冠毛を抽出する戦略が適切であったことを確認した。
【0326】
実施例10:Podolepis jaceoides(非極性)抽出物からの活性成分同定
表9は、これら3植物種からの多数の抽出物留分の有効性データを示す。生物活性成分は、茎および葉に花より濃縮された。さらに、留分44は最も活性な留分であった。
【0327】
Podolepis jaceoidesからの抽出および活性代謝物精製
植物の地上部を収穫し、乾燥させた。50gの乾燥植物物質を粉砕し、音波処理(1時間)および浸軟(24時間)により1:1クロロホルム:メタノール(250mL)で抽出した。濾過抽出物を、分液漏斗で、非混和層が形成されるまで、水(約75mL)を加えることにより、極性(#68P)および非極性(#68N)留分に分けた。極性留分をロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固し、非極性抽出物をドラフトで蒸発させた。乾燥抽出物を殺虫活性についてスクリーニングした。
【0328】
分取HPLC分別のための「植物全体抽出物」
P. jaceoidesの開花期、乾燥地上部を、ウェスタンシドニー大学ホークスベリーキャンパスで栽培した植物から集め、研究室オーブンで40℃で7日間乾燥させ、次いで粉砕し、音波処理(1時間)および浸軟(24時間)により1:1クロロホルム:メタノール(1L)に抽出した(100g乾燥重量)。濾過抽出物(多孔4焼結ガラスフリット)を、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発乾固し、暗緑色粗製抽出物16.6g(16.6%収量、w/w)を得た。
【0329】
活性抽出物のHPLC分別
分取HPLC分別を、DGU-20A3インライン真空脱ガスおよびSIL-20AHTオートインジェクターを備えた島津LC-20AP系(日本京都)で実施し、Lab Solutionsソフトウェアで操作した。粗製抽出物をMeOHに可溶化し、C18(Alltech, Davisil C18結合シリカ、35~75μm、150Å)に、各1:2グラム比で予め吸着させ、ステンレススチールガードカートリッジ(Alltech、10×30mm)に充填した。
【0330】
P. jaceoidesからのポドピロン精製
抽出物(2.5g)を逆相分取C18 Luna 5μm 100A(150×21.2mm)カラム(Phenomenex, Lane Cove, Australia)で、溶媒A(MQ水0.01%TFA(トリフルオロ酢酸))および溶媒B(MeOH(メタノール)、0.01%TFA)の2成分溶媒系で分別し、210nmでモニターした(島津SPD-20A UV/Vis検出器)。25%B~98%Bの勾配HPLC条件を、9mL/分流速で60分かけて用いた。60留分を1~60分で集めた。あらゆる強く吸着する物質を、後に100%Bで溶出してカラムを浄化し、各サンプルの「廃棄物」留分を作製した。5反復注入からの全ての対応する留分を合わせ、スピード真空濃縮を使用して、蒸発乾固した(Savant SC250EXP, Thermo Scientific)。
【0331】
殺虫活性は留分40、42、44、53、55にまたがり同定され、カラム洗浄液留分HPLC留分42(m/z323)および44(m/z337)は抽出物における主要代謝物を含み、続く凍結乾燥により、既知ポドピロン:10’-オキソポドピロン(1c)および10’-オキソ-8-メチルポドピロン(1l)をもたらした。
【0332】
留分#42、無色油、30.4mg、NMRで≧90%純度、粗製抽出物の1.22%収量乾燥重量、未最適化;1H NMR (400MHz, CDCl3): 3.94 (3H, s, 2-OMe), 2.57 (2H, t, J=7.5 Hz H-1’), 2.39 (2H, t, J=7.1 Hz H-9’), 2.11 (3H, s, 11’-Me), 1.91 (3H, S, H-7), 1.83 (3H, s, H-8), 1.62 (2H, dt, J=7.4, 6.9 Hz H-2’), 1.54 (2H, m, H-8’), 1.4 - 1.2 (10H, m, H-3’-H7’). Lit. 1H NMR 400MHz, CDCl3, 13C NMR 67.9MHz CDCl3 (Jaensch et al., Pyrones and other constituents from Podolepis species, Phytochemistry, 28, 3497-3501, 1989; (+)-LRAPCIMS m/z (rel. int.): [M+H+] (100%), C19H31O4計算値, 323.222 (100)
【化12】
【0333】
留分44、無色油、38.2mg、NMRで≧95%純度、粗製抽出物の1.53%収量乾燥重量、未最適化;1H NMR (400MHz, CD3OD): 4.03 (3H, s, 2-OMe), 2.69 (2H, t, J=7.4 Hz H-1’), 2.46 (2H, t, J=7.1 Hz H-9’), 2.38 (2H, q, J=7.5, 7.4 Hz H-8), 2.12 (3H, s, 11’-Me), 1.92 (3H, S, H-7), 1.70 (2H, dt, J=7.2, 7.4 Hz H-2’), 1.55 (2H, m, H-8’), 1.3 - 1.5 (10H, m, H-3’-H7’), 1.00 (3H, t, J=7.4 Hz, H-9). Lit. 1H NMR 400MHz, CDCl3 (Zdero et al., Pyrone derivatives from Podolepis hieracioides and sesquiterpene acids from Cassinia longifolia, Phytochemistry, 26, 187-190, 1986; (+)-LRAPCIMS m/z (rel. int.): [M+H+] C20H33O4計算値, 337.238, 337 (100)
【0334】
これらポドピロン(1c)および(1l)ならびに#68Nの3留分のサンプルを、ワタアブラムシに対するバイオアッセイに供した。バイオアッセイを先に記載のとおり実施した。
【0335】
結果(表10)は、ポドピロンがP. jaceoidesメタノール抽出物およびN留分の活性代謝物であることを示す。ポドピロン濃度が増加するにつれて死亡率が上昇し、0.0625%w/vで100%死亡率であった。また、最も活性な留分は19~30分、続いて14~19分であった。これら2個の留分はポドピロンを含む。
【表10】

【0336】
実施例11:作用機序 - イオン束応答
微小電極Ion Flux Estimation(MIFE)として知られる電気生理学技術を、細胞コミュニティの正味のイオン束を測定するために使用した(Schneider’s Drosophila cell line, D.mel-S1使用)。細胞を、制御条件下で15分測定し、続いて各処理をさらに25~35分した。チャンバーを使用して、各記録における等しい集団サイズの測定についてガラス台に沈着した既知量の細胞と共に、処理用の極めて小量のγ-ピロンを保持した。
【0337】
イオン選択的微小電極を細胞集団表面の近く(位置1の40μm - 第一位置)に置き、コンピュータ駆動マイクロマニピュレータにより、周囲の溶液を乱すことなくゆっくり表面を離した(位置2の80μm - 第二位置)。2位置間のイオン濃度変化(Δ)を使用して、細胞による正味のイオン流入または流出を計算し、どのイオンチャレンジが処理後濃度的にポンプ輸送されるか、共輸送されるかまたは受動拡散を受けるかの指標を得た。
【0338】
結果は、γ-ピロンが神経毒作用型作用機序を誘発することを示した。
【0339】
図1~3は、比較例として正味のカリウム、ナトリウムおよびクロライド流のMIFEトレースを示す。A)は1.0%での陰性対照DMSOの影響を示し、B)は0.01%での陽性対照除虫菊を示し、そしてC)は0.01%での植物抽出物陽性対照タスマノンを示す。
【0340】
図4~6は、本発明の抽出物で測定した正味イオン束を示し、比較のために陽性対照と比較する。
【0341】
D.mel-S2細胞を使用して、実施例1~9で使用したγ-ピロン含有非極性抽出物は、複数神経細胞活性を示し、カリウムおよびナトリウム両イオンの流出および塩素イオン流入をもたらす。
【0342】
γ-ピロン含有非極性抽出物は、除虫菊に類似する顕著なK流出濃度およびCl流入濃度を引き起こし、同時にまた顕著なNa流出濃度を引き起こし、これは、二重作用機序を有する強度および持続性両者で除虫菊より優れる(図4~6)。
【0343】
この抽出物が複数イオン束応答を誘発する能力は、これが複数作用機序を示唆するため、驚きである。これは、測定の安定化期相における永続性の高いNa流出と共に、この抽出物が解毒のために細胞により容易に代謝され得ないことを示す。
【0344】
当業者は、ここに記載する本発明が具体的に記載する以外の変更および修飾を受けることができることを認識する。本発明は、本発明の精神および範囲の範囲内に入る全てのこのような変更および修飾を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】