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2023-537984電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子を有する遮断グレージングユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子を有する遮断グレージングユニット
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/153 20060101AFI20230830BHJP
   G02F 1/155 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G02F1/153
G02F1/155
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509785
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2021074108
(87)【国際公開番号】W WO2022063535
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】20197977.0
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【弁理士】
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ザルラッハ
(72)【発明者】
【氏名】アリアーネ バイスラー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヒルシュ
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101EA01
2K101EA06
2K101EA11
2K101EA16
2K101EB01
2K101EB41
2K101EB52
2K101EB71
2K101EC54
2K101EC57
2K101EC62
2K101EC63
2K101EF01
2K101EG37
2K101EG52
2K101EG54
2K101EG65
2K101EJ31
2K101EK05
(57)【要約】
【課題】遮断グレージングユニットの提供。
【解決手段】少なくとも2つのペイン(6,8)と、互いに平行に延在する2つのペイン接触表面(9.1,9.2)を有する少なくとも1つのスペーサー(9)とを含む、遮断グレージングユニット(10)であって、グレージングの内部空間(11)及びグレージングの外部空間(13)が形成されるように、第一のペイン接触表面(9.1)は、第一のペイン(6)に封止剤を介して接続され、かつ、第二のペイン接触表面(9.2)は、第二のペイン(8)に封止剤を介して接続されており、少なくとも1つのペイン(6,8)は、グレージングの内部空間(11)に面する側に、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子(5)を少なくとも部分的に備え、2つのバスバー(7.1,7.2)が、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子(5)の電気的接触のために提供されており、バスバー(7.1,7.2)が、電気伝導性接着テープ(1)を含み、電気伝導性接着テープ(1)が、電気伝導性接着層(2)、導体トラック(4)、及び不透明な電気遮断カバー(3)を含み、電気伝導性接着テープ(1)が、電気伝導性接着層(2)を介して、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子(5)に接続されている、遮断グレージングユニット(10)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのペイン(6,8)と、互いに平行に延在する2つのペイン接触表面(9.1,9.2)を有する少なくとも1つのスペーサー(9)とを含む、遮断グレージングユニットであって、
グレージングの内部空間(11)及びグレージングの外部空間(13)が形成されるように、第一のペイン接触表面(9.1)は、第一のペイン(6)に封止剤を介して接続され、かつ、第二のペイン接触表面(9.2)は、第二のペイン(8)に封止剤を介して接続されており、
少なくとも1つのペイン(6)は、前記グレージングの内部空間に面する側に、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子(5)を少なくとも部分的に備え、2つのバスバー(7.1,7.2)が、前記電気伝導性コーティング及び/又は前記電気的に制御可能な機能素子(5)の電気的接触のために提供されており、
バスバー(7.1,7.2)が、電気伝導性接着テープ(1)を含み、
前記電気伝導性接着テープ(1)が、電気伝導性接着層(2)、導体トラック(4)、及び不透明な電気遮断カバー(3)を含み、
前記電気伝導性接着テープ(1)が、前記電気伝導性接着層(2)を介して、前記電気伝導性コーティング及び/又は前記電気的に制御可能な機能素子(5)に接続されている、遮断グレージングユニット。
【請求項2】
前記電気伝導性コーティング及び/又は前記電気的に制御可能な機能素子(5)が、前記接着テープ(1)で形成された第一のバスバー(7.1)、及び前記接着テープ(1)で形成された第二のバスバー(7.2)によって、電気的に接触されている、請求項1に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項3】
前記電気伝導性接着テープの前記不透明な電気遮断カバー(3)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項1又は2に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項4】
前記不透明な電気遮断カバー(3)が、ほとんど完全に前記電気伝導性接着テープ(1)を覆っている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項5】
前記接着テープ(1)が80μm~120μm厚さであり、前記接着層(2)が25μm厚さであり、前記導体トラック(4)が35μm厚さである、請求項1~4のいずれか一項に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項6】
前記接着テープ(1)の前記導体トラック(4)が、金属、好ましくは、銅、スズ、及び/又は銀を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項7】
第一のバスバー(7.1)が、前記電気伝導性コーティング及び/又は前記電気的に制御可能な機能素子(5)の第一の側端部に沿って延在し、第二のバスバー(7.2)が、前記電気伝導性コーティング及び/又は前記電気的に制御可能な機能素子(5)の第二の側端部に沿って延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項8】
前記バスバー(7.1,7.2)のうちの1つが、2つの部分において形成されており、互いに対して角度のついた2つの脚部(7a,7b)を有し、これらの脚部は、互いに対して、ある角度で、特に、およそ90°の角度で配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項9】
前記脚部(7a,7b)が、電気伝導性ブリッジ要素(17)を介して互いに電気伝導的に接続されている、請求項8に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項10】
第一の脚部(7a)は、前記遮断グレージングユニット(10)の角において、第二の脚部(7b)と少なくとも部分的に重なっており、前記第一の脚部(7a)及び前記第二の脚部(7b)が、互いに対してある角度で配置されている、請求項8に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項11】
前記第二の脚部(7b)が、前記第一の脚部(7a)を前記第二の脚部(7b)と電気的に接触させるための接続領域(18)を有する、請求項10に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項12】
前記第二の脚部(7b)の前記接続領域(18)が、前記不透明な電気遮断カバー(3)に切り欠き(16)を有する、請求項11に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項13】
前記第二の脚部(7b)が、第一のセクション(19a)、第二のセクション(19b)、及び折り目(19)を有し、前記第二の脚部(7b)の、前記第一のセクション(19a)及び前記第二のセクション(19b)が、少なくとも部分的に互いに上下に配置されている、請求項7に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項14】
前記第一の脚部(7a)と前記第二の脚部(7b)との間の電気伝導性接続が生じるように、前記第二のセクション(19b)が、前記第一の脚部(7a)と電気的に接触するために設けられた接触領域を有する、請求項12に記載の遮断グレージングユニット。
【請求項15】
不透明なコーティング(15)をさらに含み、前記不透明なコーティング(15)は、ペイン(6,8)の端部領域で、好ましくは前記第一のペイン(6)の外部側に、適用されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の遮断グレージングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子を含む遮断グレージングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
遮断グレージングユニットは、審美的な理由から、特に、ファサードが全ガラスファサードとして光学的に実装される場合、ガラスファサードに設置されることがますます多くなっている。そのような遮断グレージングユニットは、スペーサーによって互いから距離を置いて保持された少なくとも2つのペインでできている。ペインは、熱保護コーティング及び/又は太陽光保護コーティングを有してよい。そのようなコーティングは銀を含有してもよく、したがって、赤外線放射の低い透過率が可能となる。これにより、建物の内部の温度を下げることができる。熱遮断の重要な特性に加えて、機能的、並びに光学的及び審美的な特徴も、建築用グレージングの分野でますます重要な役割を果たしている。
【0003】
近年、エレクトロクロミック特性を有するグレージング、又は光透過率を制御するための電気的に制御可能な液晶層を含むグレージングが、ますます用いられている。エレクトロクロミックコーティングを有する遮断グレージングユニットは、電気的接続及びバスバーを要求する。例えば、遮断グレージングユニット中に存在するバスバーに関連した1つの問題は、バスバーが、通常、グレージングの内部スペースに位置しており、外側及び内側の両方から見えるため、窓の可視領域を低減し、さらに審美的に見苦しいことにある。
【0004】
通常スクリーンプリントによってペインに適用される不透明なコーティング、又はバスバーを隠すためにペインに取り付けられる不透明な構成要素が知られている。外側から見た場合のバスバーの適切な覆いを達成するために、ペインの比較的大きい領域に不透明なコーティング又は構成要素を設ける必要があり、遮断グレージングの可視領域が著しく制限されるため、審美的な利益はかなり制限される。さらに、生産技術上の理由から、不透明なコーティング又は構成要素と、用いられるスペーサーとは、異なる色を有しており、これは、同様に、内側から見た場合の審美的な理由で望ましくない。最近、遮断グレージングユニット中のバスバーは、外側からのみ隠される。しかし、空間の内部側から見た場合に、バスバー及びはんだパッドが見え、同様に美観が損なわれる。
【0005】
バスバーは、例えば、ストリップ状、又はワイヤー状である。バスバーは、銀又は銅などの電気伝導性材料で製造される。それは、例えば、電気的接触のために、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に切り替え可能なコーティングに伝導性銀ペーストを印刷することによって製造することができる。ベークされた伝導性銀ペーストは、銀粒子を含有する。銀ペーストがベーク(焼成)される場合、エレクトロクロミックコーティングの表面電極間の短絡などの損傷は、回避されるのがよい。
【0006】
WO2020/173785A1は、スペーサープロファイル材を介して既定の距離で互いに接続された2つのガラスペインを有するグレージングユニットを開示する。ガラスペインのうちの1つは、グレージングユニットの内側に、電気伝導性コーティングと、伝導性コーティングを電気的に接続するためのバスバーとを有する。バスバーは、不透明なカバーを備える。
【0007】
US2014/133005A1は、少なくとも1つのバスバーと、色隠蔽材料とを含むエレクトロクロミックデバイスであって、バスバーが、コーティング材料でコーティングされており、このコーティング材料は、本質的に非多孔質であり、かつ、色隠蔽材料、スペーサー、又はポリマーシールと色が一致する、エレクトロクロミックデバイスを開示する。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、審美的な点で改善されており、特には審美的な点及び機能的な点の両方で改善されており、簡単かつ経済的に実装することができる遮断グレージングユニットを特定することである。
【0009】
本発明の目的は、請求項1に係る遮断グレージングユニットによって、本発明に従って達成される。好ましい実施態様は、従属クレームから明白である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下において、本発明は、図面及び例示的な実施態様を参照して詳細に説明される。図は、概略図であり、縮尺どおりではない。図面は、本発明を全く制限しない。
それらは次のものを表す:
図1図1は、カバーを有する電気伝導性接着テープの概略断面図である。
図2図2は、電気的に制御可能な機能素子の概略断面図である。
図3図3は、断面における本発明に係る遮断グレージングユニットの詳細である。
図4図4は、バスバーの角接続の第一の本発明の実施態様の概略断面図である。
図5図5は、図4の角配置の平面図である。
図6図6は、角接続の第二の本発明の実施態様の概略断面図である。
図7図7は、図6の角配置の平面図である。
図8図8は、角接続の第三の本発明の実施態様の概略断面図である。
図9図9は、図8の角配置の平面図である。
図10図10は、角接続の第四の本発明の実施態様の概略断面図である。
図11図11は、図10の角配置の平面図である。
図12図12は、角接続の第五の本発明の実施態様の概略断面図である。
図13図13は、異なる角度による角接続の第五の実施態様の平面図である。
図14図14は、角接続のさらなる実施態様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る遮断グレージングユニットは、少なくとも2つのペインと、互いに平行に延在する2つのペイン接触表面を有する少なくとも1つのスペーサーとを含む。グレージングの内部空間及びグレージングの外部空間が形成されるように、第一のペイン接触表面は、封止剤を介して2つのペインのうちの第一のペインに接続され、第二のペイン接触表面は、封止剤を介して第二のペインに接続される。2つのペインのうちの1つは、グレージングの内部空間に面する側に、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子を少なくとも部分的に備える。2つのバスバーが、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子の電気的接触のために提供される。少なくとも1つのバスバーは、電気伝導性接着テープを含み、電気伝導性接着テープは、電気伝導性接着層、導体トラック、及び不透明な電気遮断カバーを含む。バスバーは、好ましくはストリップ状である。
【0012】
不透明度は、一般的に、透明度の反対を指す。言いかえれば、接着テープのカバーは、透明度が不足している。それは、不透明であるか、曇っているか、暗く、特に、黒である。
【0013】
本発明に係る遮断グレージングユニットによって、先行技術と比較して、遮断グレージングユニットの美的外観の著しい改善を達成することができる。なぜならば、バスバーの導体トラックはカバーによって覆われ、したがって、特に空間の内側から見た場合に、可視性が低減されるからである。
【0014】
本発明は、複数の利点を提供する。例えば、一方では、相当なコストを、電気伝導性接着テープを用いることによって節約することができる。加えて、接着テープを電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子に結合することによって、機能素子上のバスバーをベーク(焼成)することにより生じる機能素子の電極層間の短絡を防止することが可能である。
【0015】
電気伝導性接着テープは、電気伝導性接着層を介して、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子に接続される。電気伝導性接着層は、少なくとも1種の電気伝導性材料、好ましくは、金属材料、例えば、銀、金、又はアルミニウムを含有する。電気伝導性接着層が、非金属の電気伝導性材料、例えば、グラファイト、又は炭素を含有することも可能である。少なくとも1種の電気伝導性材料は、電気的に非伝導性の接着マトリクス、例えば、エポキシ樹脂に導入することができる。少なくとも1種の電気伝導性材料は、所望の電流容量が達成されるような量で接着層に含有される。好ましくは、少なくとも1種の電気伝導性材料は、少なくとも70%の質量含有率で接着層に含有される。
【0016】
接着テープの導体トラックは、導電体であり、その幅はその厚さより著しく大きい。好ましくは、導体トラックは、柔軟で曲げることができるように、十分に薄く(すなわち、厚さが十分に小さい)設計される。接着テープの有利な実施態様において、導体トラックは、ストリップ又はテープの形態の金属箔を含む。例えば、導体トラックは、銅、アルミニウム、スズ、金、又は銀を含有する。導体トラックは、言及された金属を含む合金を含有してもよく、これで製造してもよい。
【0017】
本発明に係る接着テープの有利な実施態様において、不透明な電気遮断カバーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含有する。電気伝導性接着テープの厚さは、50μm~1mmであり、好ましくは110μmである。例えば、接着テープは、80μm~120μm厚さであってよく、このとき接着層の厚さは25μmであってよく、導体トラックの厚さは35μmであってよい。これは、接着テープを曲げることができるという利点を提供する。
【0018】
別の有利な実施態様において、電気伝導性接着テープの幅は、1mm~10mm、好ましくは2mm~4mmである。そのような幅は、前述の厚さと併せて、十分な電流容量を達成するために特に適切である。接着テープの長さ、幅、及び厚さを、それぞれの個々の場合の要件に適合させることができることは言うまでもない。
【0019】
別の有利な実施態様において、不透明な電気遮断カバーは、ほとんど完全に電気伝導性接着テープの導体トラックを覆う。これは、導体トラックが腐食及び汚染物から一層よく保護されるという利点を提供する。
【0020】
さらに、第一のバスバーは、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子の第一の側端部に沿って延在することができ;第二のバスバーは、電気伝導性コーティング及び/又は電気的に制御可能な機能素子の第二の側端部に沿って延在することができる。特に好ましい実施態様において、2つのバスバーは、グレージングの内部空間において遮断グレージングユニットの対向面に配置される。好ましくは、バスバーは、それらが遮断グレージングユニットの設置された状態において水平に配置されるように配置される。しかし、それらが、設置された状態において垂直に配置されることも可能である。
【0021】
別の実施態様において、バスバーは、角(コーナー)の周りを巡らせることもでき、すなわち、バスバーは、遮断グレージングユニットの、互いに接続された2つの側に配置される。この場合、バスバーは、特に、大きい遮断グレージングユニットの場合に、不連続的に実装することもでき、2つの部分において形成することもできる。したがって、バスバーは、ある角度、特に、180°未満、好ましくは、およそ90°の角度で、互いに対して角度のついた2つの脚部を有する。遮断グレージングユニットの1つの角において、脚部を、例えば、電気伝導性ブリッジ要素を介して互いに電気伝導的に接続することができる。このために、ブリッジ要素は、電気伝導性材料、例えば、銅を有する。
【0022】
ブリッジ要素を介する接続の代わりとして、第一の脚部は、第二の脚部と少なくとも部分的にオーバーラップすることができ、第一の脚部及び第二の脚部は、互いに対してある角度で配置される。
【0023】
別の有利な実施態様によれば、第二の脚部は、第一の脚部を第二の脚部と電気的に接触させるための接続領域を有する。この目的のために、第二の脚部の不透明な電気遮断カバーは、接続領域において切り欠きを有する。切り欠きは、第二の脚部の導体トラックまでずっと、材料のない通路を形成する。切り欠きは、例えば、不透明な電気遮断カバーにおける、矩形、円形、又は楕円形の開口部であり、原則として、任意形状が可能であることは言うまでもない。切り欠きは、バスバーの第一の脚部を、電気伝導性接着層によって、第二の脚部の導体トラックに確実にしっかりと接着することができるような体積を有する。接続領域は、有利には、平らに実装され、好ましくは、第二の脚部の遮断されていない領域からなる。そのような平らな接続領域は、電気伝導性接着テープと接触するのに特に適切である。なぜならば、それらは、接着テープの電気伝導性接着層と接触できる大きい表面積を有し、したがって、低インピーダンスの電線路接続を形成するからである。
【0024】
別の実施態様において、第二の脚部は、第一のセクション、第二のセクション、及び折り目を有し、第二の脚部の第一のセクション及び第二のセクションは、少なくとも部分的に互いに上下に配置される。第一のセクションは、第二のセクションに垂直に延在し、第二のセクションの接着層は、グレージングの内部空間に面する。第二のセクションは、第一のバスバー及び第二のバスバーがオーバーラップする領域を有し、その結果、バスバーの第一の脚部と第二の脚部との間の電気伝導性接続が生じるようになっている。第二のセクションは、第一の脚部と電気的に接触するために設けられる接触領域を有し、その結果、第一の脚部と第二の脚部との間の電気伝導性接続が生じるようになっている。
【0025】
遮断グレージングユニットは、少なくとも2つのペインを含み、これらは、少なくとも1つのスペーサーによって互いに離間して保持される。遮断グレージングユニットの別名は、「複数ペインの遮断グレージング」である。遮断グレージングユニットは、例えば、2つのペインを含む二重ペイン遮断グレージングであってよく、3つのペインを含む三重ペイン遮断グレージングであってよく、4つのペインを含む四重ペイン遮断グレージングであってもよい。遮断グレージングユニットは、好ましくは、2つ又は3つのペインを含む。
【0026】
遮断グレージングユニットの少なくとも2つのペインのうち、2つのペインは、外部環境に接している外側のペインである。1つの外側のペインの一方の側(内部側又は内側)は、グレージングの内部空間に面し;他方の側(外部側又は外側)は、外部環境に面する。好ましい実施態様において、外側のペインは、少なくとも2つの個々のガラスの複合ガラスであり、特に、設置された状態において外部に面する外側のペインである。遮断グレージングユニットが2つより多くのペインを含む場合、1つ又はそれより多くのペイン(内側のペイン)は、2つの外側のペインの間に配置される。内側のペインの一方の側は、グレージングの内部空間に面し、他方の側は、別のグレージングの内部空間に面する。
【0027】
本発明に係る遮断グレージングユニットは、少なくとも1つのスペーサー、好ましくは、1つ又は2つのスペーサーを含む。スペーサーは、互いに平行に延在する2つのペイン接触表面を有する。先行技術から知られているスペーサーを、スペーサーとして用いることができる。
【0028】
2つのペインを互いから隔てるスペーサーは一般的である。これらは、一般的に、二重ペイン遮断ガラス、三重ペイン遮断ガラス、及び四重ペイン遮断ガラスなどの多重ペイン遮断ガラスに用いることができる。したがって、三重ペイン遮断ガラス及び四重ペイン遮断ガラスについては、2つ又は3つのそのようなスペーサーが必要である:外側のペインを内側のペインから隔てる第一のスペーサー、及び他の外側のペインを内側のペインから隔てる第二のスペーサー。3つのペインを互いから隔てることができるスペーサーも知られている。
【0029】
好ましい実施態様において、スペーサーは、2つのペイン接触表面に接続されるグレージング内部表面と、2つのペイン接触表面に直接又は接続表面を介して接続される外側表面とを有する。グレージング内部表面はグレージングの内部空間に面し、一方で結合表面と呼ばれることも多い外側表面は、グレージングの外部空間に面する。
【0030】
好ましい実施態様において、外側表面は、2つのペイン接触表面に接続表面を介して接続され、すなわち、ペイン接触表面に接続表面を介して、及び/又は他のペイン接触表面に別の接続表面を介して接続され、好ましくは、両方のペイン接触表面は、外側表面にそのような接続表面を介して接続される。接続表面は、例えば、外側表面に対して30°~60°の範囲の角度であってよい。2つのペイン接触表面は、通常、外側表面が配置される面、及び/又はグレージング内部表面が配置される面に対して、略垂直又は垂直である。一般的に、外側表面及びグレージング内部表面は、互いに平行に延在する。グレージング内部表面は、通常、2つのペイン接触表面に直接接続される。しかし、任意選択的に、グレージング内部表面も、ペイン接触表面に接続表面を介して接続することができる。
【0031】
スペーサーは、任意選択的に、内部に、1つ又は複数のキャビティ、好ましくは中心のキャビティを有してよい。乾燥剤は、通常、1つ又は複数のキャビティに含有される。グレージング内部表面は、好ましくは、スペーサー中に任意選択的に存在する乾燥剤による大気水分の吸収を容易にする開口部を有する。
【0032】
スペーサーの寸法が、遮断グレージングユニットの寸法に依存することは言うまでもない。スペーサーの幅は、例えば、4~30mm、好ましくは8~16mmの範囲であってよい。スペーサーの高さは、例えば、5~15mm、好ましくは5~10mmの範囲であってよい。スペーサーの幅は、一方の接触表面から他方の接触表面への方向を指す。高さは、外側表面からグレージング内部表面への方向を指す。
【0033】
代替的な実施態様において、三重ペイン遮断グレージングの場合には、3つのペインを隔てるのに適切なスペーサーを用いることができる。そのようなスペーサーは、ペインの受容デバイスがグレージング内部表面において追加的に設けられるという点を除いて、上記で記載されたスペーサーに対応する。ペインの受容デバイスは、例えば、溝の形態で設計することができる。このタイプのスペーサーが1つ又はそれより多くの乾燥剤含有キャビティを有する場合、好ましくは2つのキャビティがあり、1つのキャビティは受容デバイスのある側に位置し、もう1つのキャビティは受容デバイスの反対側に位置する。前述のように、三重ペイン遮断窓ガラスについて、2つの個々のスペーサーを、それぞれ、2つのペインを隔てるために用いることもできる。
【0034】
3つのペインの間隔を置くのに適切なスペーサーの寸法も、遮断グレージングユニットの寸法に依存することは言うまでもない。そのようなスペーサーの幅は、例えば、10~50mm、好ましくは20~36mmの範囲であってよい。高さは、例えば、5~15mm、好ましくは5~10mmの範囲であってよい。
【0035】
遮断グレージングユニットにおいて用いられるスペーサーは、例えば、金属又はプラスチックで形成され、プラスチックが好ましい。適切な金属の例としては、ステンレス鋼、及びアルミニウムが挙げられる。プラスチックとして、熱伝導率が比較的低い材料、いわゆる「ウォームエッジ」システムが好ましい。プラスチックのスペーサーは、ポリマースペーサーとも呼ばれる。
【0036】
プラスチックで製造されたスペーサーは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルスチレンアクリルエステル(ASA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン-ポリカーボネート(ABS/PC)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、PET/PC、PBT/PC、及び/又はこれらとABS、ASA、ABS/PC、SAN、PET/PC、PBT/PCとのコポリマーから選択される1種又はそれより多くのポリマーを含有してよく、かつ/またはこれらのコポリマーが好ましい。
【0037】
スペーサー、特に、プラスチックで製造されたスペーサーは、任意選択的に、そのような材料に通例の、1種又はそれより多くの添加剤、例えば、乾燥剤、着色剤(例えば、顔料又は染料)、補強材、フィラー、光線保護手段、安定剤、離型剤などを含有してよい。乾燥剤は、スペーサーのキャビティ若しくは切り欠き内、又はスペーサーのプラスチックマトリクス中に含有されてよい。他の添加剤は、通常、スペーサーのプラスチックマトリクス内に含有される。適切な乾燥剤の例としては、シリカゲル、モレキュラーシーブ、CaCl、NaSO、活性炭、シリケート、ベントナイト、ゼオライト、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
スペーサーは、透明であってよい;しかし、好ましい実施態様において、それは、非透明、すなわち、不透明である。スペーサーについて一般的な色は、特に、スペーサーがプラスチックで製造されている場合、例えば、黒、白、茶色、又は灰色である。金属で製造されたスペーサーの場合には、色は、通常、用いられる材料によって決まる。
【0039】
遮断グレージングユニットのペインは、有機ガラス、又は好ましくは無機ガラスで製造することができる。本発明に係る遮断グレージングユニットの有利な実施態様において、ペインは、互いに独立して、板ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス、又はホウケイ酸ガラスで製造することができる。各ペインの厚さは可変であり、したがって、個々の場合の要件に適合させることができる。好ましくは、1mm~19mm、好ましくは2mm~8mmの標準厚さを有するペインが用いられる。ペインは、無色であっても、有色であってもよい。少なくとも1つのペインを、パターン化ガラスとして設計することができる。
【0040】
遮断グレージングユニットのペインは、特に、遮断ガラスペイン、複合ペイン、又は単一のガラスペインである。複合ペインは、中間層を介して互いに連結された少なくとも2つのペインを含むことができる。中間層は、好ましくは、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、又はこれらの多層などの熱可塑性プラスチックであってよく、好ましくは、その厚さは0.3mm~0.9mmである。
【0041】
遮断グレージングユニットは、好ましくは少なくとも1つのペインを含み、より好ましくは少なくとも2つのペインを含み、この又はこれらのペインは、互いに独立して、フロートガラスペイン、複合ペイン、パターン化ガラス、又は着色若しくはサテン仕上げガラスである。より好ましくは、少なくとも1つのペインは、フロートガラスペインである。
【0042】
遮断グレージングユニットは、少なくとも1つのペインを含み、これは、グレージングの内部空間に面する側に、少なくとも部分的に、電気伝導性コーティング及び/又は電気伝導性機能素子を備える。電気伝導性コーティングは、任意選択的に、電気的に切り替え可能なコーティングであってよい。電気伝導性機能素子は、任意選択的に、電気的に切り替え可能な機能素子であってよい。
【0043】
電気伝導性コーティング又は電気伝導性機能素子は、通常、2つの外側のペインの一方の内部側、又は存在する場合には、内側のペインの側の一方に提供され、電気伝導性コーティング又は電気伝導性機能素子は、好ましくは、外側のペインの内部側に適用される。好ましい実施態様において、内部側に電気伝導性コーティング又は電気伝導性機能素子が取り付けられた外側のペインは、設置された状態において外部に面する外側のペインであり、好ましくは、外側のペインは、少なくとも2つの個々のガラスで構成された複合ガラスである。
【0044】
そのような電気伝導性コーティング又はそのような電気伝導性機能素子は、例えば、照明、加熱、又はアンテナとして機能することができ、またはディスプレイ又はエレクトロクロミックグレージングなどの電気的に切り替え可能なグレージングにおいて用いることができる。そのようなコーティング又はそのような機能素子は、例えば、盗難警報用の警告ガラス、又は電磁放射線に対する保護のためのガラスにも適している可能性がある。
【0045】
電気伝導性コーティング又は電気伝導性機能素子は、好ましくは、エレクトロクロミックコーティング、透明電気伝導性コーティング、又は発電用太陽電池などの1つ若しく複数の光起電力素子であり、エレクトロクロミックコーティングが特に好ましい。
【0046】
エレクトロクロミックコーティングは、好ましくは、少なくとも2つの電極層と、2つの電極層の間に位置する2つの電気化学的活性層とを含み、これらは電解質層によって互いから分離されている。2つの活性層は、それぞれ、小さいイオンを可逆的に貯蔵することができ、2つの層の少なくとも一方は、イオンの貯蔵状態又は放出状態に対応し、かつ、異なる呈色を有する、異なる酸化状態を有するエレクトロクロミック材料で製造される。コーティングの光透過率に選択的に影響を及ぼすために、異なる極性の電圧の印加によって、イオンの貯蔵又は放出を制御することができる。
【0047】
透明な電気伝導性コーティングは、電磁放射線、好ましくは、300~1300nmの波長の電磁放射線、特に、390nm~780nmの可視光に対して透明であってよい。「透明」とは、ペインの全透過率が、特に、可視光に対して、好ましくは>70%、特に、>75%透過性であることを意味する。
【0048】
透明な電気伝導性コーティングは、好ましくは機能性コーティングであり、より好ましくは太陽光保護を備えるコーティングである。太陽光保護を備えるコーティングは、赤外線領域において反射特性を有する。透明な電気伝導性コーティングは、特に低い放射率(低-E)を有することができる。その結果として、太陽光による建物の内部の加熱が、有利に低減される。そのような透明な電気伝導性コーティングを備えるペインは、市販で入手可能であり、低-Eガラス(低放射率ガラス)と呼ばれる。
【0049】
そのようなコーティングは、典型的には、少なくとも1種の金属、特に、銀又は銀含有合金を含む。透明な電気伝導性コーティングは、複数の個々の層のシーケンス、特に、少なくとも1つの金属層と、例えば、少なくとも1種の金属酸化物を含有する誘電体層とを含むことができる。金属酸化物は、好ましくは、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど、これらの1種又はそれより多くの組み合わせを含有する。誘電体材料は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、又は窒化アルミニウムを含有してもよい。
【0050】
特に適切な透明な電気伝導性コーティングは、少なくとも1種の金属、好ましくは、銀、ニッケル、クロム、ニオブ、スズ、チタン、銅、パラジウム、亜鉛、金、カドミウム、アルミニウム、ケイ素、タングステン、若しくはこれらの合金、並びに/又は少なくとも1種の金属酸化物層、好ましくは、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO、SnO:F)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO、SnO:Sb)、並びに/又はカーボンナノチューブ、並びに/又は光学的透明な電気伝導性ポリマー、好ましくは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(4,4-ジオクチル-シクロペンタジチオフェン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、これらの混合物及び/若しくはコポリマーを含有する。
【0051】
透明な電気伝導性コーティングは、好ましくは、10nm~5μm、特に好ましくは30nm~1μmの層厚さを有する。透明な電気伝導性コーティングのシート抵抗は、例えば、0.35オーム/スクエア~200オーム/スクエア、好ましくは、0.6オーム/スクエア~30オーム/スクエア、特に、2オーム/スクエア~20オーム/スクエアである。
【0052】
遮断グレージングユニットは、少なくとも2つのバスバーを含み、これらは、電気伝導性コーティング及び/又は電気伝導性機能素子上に配置され、それと電気的に接触している。
【0053】
したがって、電気伝導性コーティング、特にエレクトロクロミックコーティング、又は電気伝導性機能素子は、少なくとも2つのバスバーに電気的に接続される。通常、2つのバスバーは、電気伝導性コーティング又は電気伝導性機能素子上に提供される。
【0054】
本発明に係る遮断グレージングユニットにおいて、スペーサーの1つのペイン接触表面は、1つのペインに封止剤を介して接続され、スペーサーの他のペイン接触表面は、別のペインに封止剤を介して接続される。このように、少なくとも1つのグレージングの内部空間及び少なくとも1つのグレージングの外部空間が形成される。
【0055】
グレージングの内部空間は、2つのペイン、スペーサー、及びペインとペイン接触表面との間に位置する封止剤によって画定され、封止されたキャビティを構成する。グレージングの内部空間は、空気又は別のガス、特に、アルゴン又はクリプトンなどの貴ガスで充填することができる。スペーサーが、3つのペインを互いから隔てるために用いられる場合、上記のように、2つのグレージングの内部空間が形成され、1つは外側のペインと内側のペインとの間、もう1つは他の外側のペインと内側のペインとの間である。スペーサーのグレージング内部表面は、グレージングの内部空間に面する。
【0056】
グレージングの外部空間は、2つのペイン、スペーサー、及びペインとペイン接触表面との間に位置する封止剤によって同様に形成され、遮断グレージングユニットの外側の端部領域において、グレージングの内部空間の反対側に位置している。グレージングの外部空間は、スペーサー反対側の側で開いている。スペーサーの外側表面は、グレージングの外部空間に面する。
【0057】
ペイン、ペインとペイン接触表面との間に位置する封止剤、及びスペーサーは、グレージングの外部空間からグレージングの内部空間を区切り、グレージングの内部空間又はグレージングの外部空間のいずれにも属さない。
【0058】
スペーサーの側面の接触表面とペインとを連結するための封止剤は、一方ではスペーサーをペインに結合するように、他方では、スペーサーとペインとの間の隙間を封止するように機能する。適切な封止剤は、例えば、ブチルゴム、ポリイソブチレン(PIB)、ポリエチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、ポリオレフィンゴム、コポリマー、及び/又はこれらの混合物に基づく。
【0059】
電気伝導性コーティング及び/又は電気伝導性機能素子は、グレージングの内部空間の領域のペインの表面の、全表面又は一部の上に配置することができる。
【0060】
電気伝導性コーティング又は電気伝導性機能素子の位置に応じて、少なくとも2つのバスバーが、通常、2つの外側のペインのうちの1つのペインの内部側、又は存在する場合には、内側のペインの側の一方に接続され、バスバーは、好ましくは、外側のペインの内部側に接続される。遮断グレージングユニットの設置された状態において、これは、内部に面する外側のペインであっても、内部から見て外方を向く外側のペインであってもよい。
【0061】
さらに、遮断グレージングユニットは、通常、1つ又は複数の、好ましくは、少なくとも1つ又は2つの、電源に接続するための電気的接続要素と、1つ又は複数の、好ましくは、少なくとも1つ又は2つの、電気的接続要素にバスバーを電気的に接続するための電気的接触要素とを有する。
【0062】
接続要素は、例えば、ケーブル、及び/又は少なくとも1つの電気部品を含むフレキシブルプリント回路基板であってよい。ケーブルは、例えば、フラットケーブル又は丸形ケーブルであってよい。ケーブルは、1つ又は複数の導体を有してよい。フレキシブルプリント回路基板は、通常、電子回路で印刷された柔軟なプラスチックキャリアを有する。
【0063】
電気的接続要素にバスバーを電気的に接続するための電気的接触要素は、例えば、スプリング接触子であり、または接触は、好ましくははんだ付けによってなされる;接着剤による接触も考えられる。適切な接触要素は、例えば、プラグ接触又はクリンプ接続の形態でも、当業者によく知られている。
【0064】
本発明に係る遮断グレージングユニットにおいて、外側のシールは、通常、少なくとも1つのグレージングの外部空間に通常どおり導入される。外側のシールは、スペーサーの外側表面に直接隣接してよく、封止剤を介してそれに接続されてもよい。適切な介在封止剤は、例えば、上記の封止剤である。外側のシールは、通常、ペイン間の幅全体でグレージングの外部空間を充填する。
【0065】
外側のシールは、好ましくは、ポリマー又はシラン変性ポリマーを含有し、特に好ましくは、有機ポリスルフィド、シリコーン、室温加硫、高温加硫、ペルオキシド加硫、及び/若しくは付加加硫が可能なシリコーンゴム、ポリウレタン、並びに/又はブチルゴムを含有する。そのような材料は、ガラスに対して非常に良好な接着性を有するため、外側のシールは、とりわけペインの結合のために機能し、遮断グレージングユニットの機械的安定性に寄与する。任意選択の実施態様において、耐老化性を増加させる添加剤、例えば、紫外線安定剤を含めることもできる。
【0066】
遮断グレージングユニットは、不透明なコーティングを含み、このコーティングは、ペインの端部領域で、好ましくは第一のペインの外部側に、適用される。不透明なコーティングは、ペインの端部領域において適用される平坦なプライバシー要素として機能する。不透明なコーティングは、ペインの端部領域上で周方向に形成することもできる。
【0067】
本発明に係る遮断グレージングは、建物の内部グレージング、建物の外部グレージング、又はファサードグレージングとして特に適切である。したがって、本発明はさらに、本発明に係る遮断グレージングユニットの、建物の内部グレージング、建物の外部グレージング、又はファサードグレージングとしての使用に関する。
【0068】
数値による仕様は、一般的に、正確な値として理解されるべきではなく、±1%から最大±10%までの許容差を含む。
【0069】
図1は、電気伝導性接着テープ1の概略断面図を表す。電気伝導性接着テープ1は、電気伝導性接着層2を有する。導体トラック4は、電気伝導性接着層とカバー3との間に位置する。カバー3の厚さは、およそ50μmである。導体トラック4は、銅のストリップ状の層を含む。導体トラック4の厚さは、およそ35μmである。電気伝導性接着層2は、導体トラック4をペインに接着する働きをし、多量の電気伝導性材料を含む。電気伝導性接着層2の厚さは、およそ25μmである。電気伝導性接着テープ1は柔軟である。
【0070】
図2は、電気的に制御可能な機能素子5の概略断面図を表す。機能素子5は、第一のペイン6の内側表面に配置されたエレクトロクロミック機能素子である。ペイン6は、代わりに、電気伝導性コーティングを備えていてもよい。
【0071】
機能素子5は、ペイン6の端部からの端部領域を除いて、第一のペイン6の内側表面にわたってほとんど完全に延在する。
【0072】
機能素子5は、接着テープ1で形成された第一のバスバー7.1、及び接着テープ1で形成された第二のバスバー7.2によって、電気的に接触される。第一のバスバー7.1は、第一の電極層5.1に適用され、第二のバスバー7.2は、機能素子5の第二の電極層5.1に適用される。
【0073】
エレクトロクロミック機能素子5は、2つの電極層5.1と、2つの電極層5.1間に位置し、かつ、電解質層5.4によって互いから分離された、2つの電気化学的活性層5.2、5.3とを含む。2つの活性層は、それぞれ、イオンを可逆的に貯蔵することができ、2つの層5.2、5.3の少なくとも一方は、イオンの貯蔵状態又は放出状態に対応し、かつ、異なる呈色を有する、異なる酸化状態を有するエレクトロクロミック材料で製造されている。イオンの貯蔵又は放出は、電圧を2つのバスバー7.1、7.2に印加することによって制御することができ、したがって機能素子5の光透過率を選択的に制御することができる。
【0074】
加えて、電気遮断反射防止層5.6を、上側電極層5.1上に配置することができる。反射防止層は、1.4~1.6の屈折率を有する誘電体材料を含む。この目的のために、反射防止層5.6は、バスバー7.1の領域に複数の切り欠きを有し、その結果、電極層5.1は、バスバー7.1に電気伝導性接着層2を介して電気的に接続されることができ、または電気的に接続されている。反射防止層の厚さは、好ましくは20nm~100nmである。切り欠きの幅は、表面電極5.1とバスバー7.1との間の電気的接触を保証するのに十分である。そのような反射防止層は、例としてWO2019/055306A1において記載されており、反射防止層及び切り欠きについて言及されている。
【0075】
図3は、断面において遮断グレージングユニット10の詳細を表す。遮断グレージングユニット10は、スペーサー9を介して接続された第一のペイン6及び第二のペイン8を含む。スペーサー9は、第一のペイン6と、それに平行に配置された第二のペイン8との間に取り付けられる。スペーサー9は、第一のペイン接触表面9.1、第一のペイン接触表面9.1と平行に延在する第二のペイン接触表面9.2、外側表面9.3、及びグレージング内部表面9.4を有する。外側表面9.3は、2つのペイン接触表面9.1、9.2に接続表面を介して接続される。スペーサー9は、乾燥剤を含有することができるキャビティ9.5を有する。
【0076】
グレージングの内部空間11(全体は図示されていない)は、第一のペイン6、第二のペイン8、及びスペーサー9のグレージング内部表面9.4によって画定される。第一のペイン6は、封止剤を介して第一のペイン接触表面9.1に接続され、第二のペイン8は、封止剤を介して第二のペイン接触表面9.2に接続される。グレージングの外部空間13は、第一のペイン6、第二のペイン8、及びスペーサー9の外側表面9.3によって画定され、外側のシール14で充填される。
【0077】
第一のペイン6は、内側表面にエレクトロクロミック機能素子5を有する。機能素子5は、ペインの端部からの端部領域を除いて、第一のペイン6の内側表面のほぼ全表面にわたって延在する。機能素子5は、グレージングの内部空間11に位置する第一のバスバー7.1によって接触される。遮断グレージングユニット10は、(図3に示されない)電気的接続要素、例えば、リボンケーブル又はケーブルを有し、これは、(図3に示されない)外部電圧源に接続することができる。第一のバスバー7.1及び接続要素は、接触要素を介して互いに電気伝導的に接続される。第一の電極層5.1と第一のバスバー7.1との間の電気的接触は、電気伝導性接着層2によって確立される。接触要素は、柔軟なT字形のケーブルとして実装することができる。T字形のケーブルは、バスバー7.1の導体トラック4と接触するために設けられた2つのサイドアームに、2つの金属製接触表面を有することができる。接触要素と導体トラック4との間の電気的接触は、はんだ付け又は電気伝導性接着剤による接着によって確立することができる。
【0078】
第一のペイン6は、合わせ安全ガラスVSGの形態のフロートガラスである。合わせ安全ガラスは、中間層6.2を介して共に連結された、2つの個々のペイン(6.1及び6.3)を有する。好ましくは、それは、2.2mm厚さのECペイン6.3(エレクトロクロミックガラス)に結合した4mm厚さ(又は5mm厚さ)のペイン6.1で構成されたVSGである。4mm厚さのペイン6.1は、フロートガラスである。
【0079】
厚いペイン6.1は、内側に、ブラックスクリーン印刷である不透明なコーティング15を備える。不透明なコーティング15は、ストリップの形態で適用され、ペインの下端から第一のバスバー7.1の上端までの高さの領域のほとんどに配置される。不透明なコーティング15は、(ガラスの端部から)およそ15mm~30mm幅であってよい。不透明なコーティング15は、遮断グレージングユニット10の透視領域を制限し、一定の視角範囲内で外側から見た場合、完全にバスバー7.1を覆い隠す。
【0080】
スペーサーは、不透明なスチレン-アクリロニトリル(SAN)で形成される。グレージング内部表面9.4の面からバスバー7.1の上部までの距離は、およそ9mmである。ブチルが封止剤として用いられ、シリコーンが外側のシール14として用いられた。スペーサーは、例えば、およそ6mmの高さ及びおよそ15mmの幅を有する。当然、寸法は、それぞれの要件に適合させる必要があり、例えば、幅は、良好な熱遮断の要件に適合させる必要がある。
【0081】
図4は、遮断グレージングユニット10の角配置でのバスバー7.1の第一の本発明の実施態様の概略断面図を表す。バスバー7.1は、接着テープ1で形成される。接着テープ1が柔軟であるため、バスバー7.1は、有利には、角の周りで導かれることができる。バスバー7.1は、第一の脚部7a及び第二の脚部7bを含む。図4は、2つの脚部7a、7bの直角の電気伝導性接続を示す。2つの脚部7a、7bは、それぞれ、導体トラック4を有し、これは、電極層5.1に接着層2を介して電気伝導的に接続されている。したがって、電気伝導性接続が、電極層5を介して第一の脚部7aから第二の脚部7bまで作り出される。それぞれ、カバー3は、2つの脚部7a及び7bの導体トラック4を完全に覆う。
【0082】
図5は、図4に従う角配置(コーナー配置)の平面図を示す。直角の角接続を作り出すように、脚部7a及び7bは、互いに対して直角に配置される。
【0083】
図6は、角配置でのバスバー7.1の第二の本発明の実施態様の概略断面図を表す。図4とは対照的に、図6のバスバー7.1は、伝導性電極層上に配置されておらず、代わりに、第一のペイン6に直接配置される。図4と同様に、バスバー7.1は、導体トラック4、接着層2、及びカバー3を含む。第二の脚部7bは、接続領域18を有する。接続領域18は、第一の脚部7aを第二の脚部7bと電気的に接触させる働きをする。接続領域18において、脚部7a及び7bは、脚部7aの導体トラック4が脚部7bの導体トラック4に電気伝導的に接続されるように重なる。
【0084】
図7は、図6の角配置の平面図を示す。図5とは対照的に、第二の脚部7bのカバー3は、切り欠き16を有する。切り欠き16は、接続領域18を形成する。
【0085】
図8は、角配置でのバスバー7.1の第三の本発明の実施態様の概略断面図を表す。図6とは対照的に、バスバー7.1の2つの脚部7a及び7bは、ブリッジ要素17を介して互いに電気伝導的に接続される。ブリッジ要素17は、導体トラック4及び接着層2を含む。接着層2は、ブリッジ要素17の、第一のペイン6に面する表面に、適用される。第一の脚部7a及び第二の脚部7bは、ブリッジ要素17の、第一のペイン6とは反対側の表面に配置される。第一の脚部7a及び第二の脚部7bは、接着層2を介して、ブリッジ要素17に接着によって電気伝導的に接続される。
【0086】
図9は、図8の角配置の平面図を示す。第一の脚部7a及び第二の脚部7bは、直角を形成する。
【0087】
図10は、角配置でのバスバー7.1の第四の本発明の実施態様の概略断面図を表す。第二の脚部7aは、第一のセクション19a、第二のセクション19b、及び折り目19を有する。折りたたみ中に、第二の脚部7bの、第一のセクション19a及び第二のセクション19bは、部分的に互いに上下に配置される。第一のセクション19aは、第二のセクション19bに垂直に延在する。折り目19の領域において、第二のセクション19bの接着層2は、グレージングの内部空間11に面する。第二のセクション19bは、第一の脚部7a及び第二の脚部7bが重なる領域を有し、その結果、第一の脚部7aの導体トラック4と第二の脚部7bの導体トラック4との間の電気伝導性接続が作り出される。
【0088】
図11は、図10の角配置の平面図を示す。第一の脚部7a及び第二の脚部7bは、互いに対して直角に配置される。
【0089】
図12は、角配置でのバスバー7.1の第五の本発明の実施態様の平面図を表す。バスバー7.1は、一体で形成され、第一の脚部7a及び第二の脚部7bを含む。バスバー7.1は、補助線19cに沿った第一の折り目と、補助線19dに沿った第二の折り目とを有し、第一の脚部7aの第一の三角形のセクションと、第二の脚部7bの第二の三角形のセクションとにおいて、脚部7a及び7bは互いに接着層2を介して接着する。ここでは、脚部7bは脚部7aに垂直に延在し、それによって、第一のセクション19dの外側、かつ第二のセクション19eの外側で、バスバー7.1の接着層2が機能素子5に面する。
【0090】
図13は、図12と同様に、角配置でのバスバー7.1の第五の実施態様を示す。図13において示されるように、代替的に、脚部7a及び7bを、互いに対して異なる角度で配置することができる。脚部7aと7bとの間の角度は、およそ10°~170°であってよい。
【0091】
図14は、平面図で折り目19のさらなる可能な実施態様を表す。バスバー7.1は、一体で実装され、第一の脚部7a及び第二の脚部7bを含む。バスバー7.1は、折り目領域に第二の脚部7bの2重の回転(360°の回転)を有することができ、その結果、第二の脚部7bは、表面電極5.1にその接着層2によって接着する。脚部7a及び7bは、およそ10°~170°の角度を形成することができる。
【符号の説明】
【0092】
参照番号のリスト:
1 接着テープ
2 接着層
3 カバー
4 導体トラック
5 機能素子
5.1 電極層
5.2 活性層
5.3 活性層
5.4 電解質層
5.6 反射防止層
6 第一のペイン
6.1 厚いペイン
6.2 中間層
6.3 EC(エレクトロクロミック)ペイン
7.1 第一のバスバー
7.2 第二バスバー
7a バスバーの第一の脚部(7.1)
7b バスバーの第二の脚部(7.1)
8 第二のペイン
9 スペーサー
9.1 第一のペイン接触表面
9.2 第二のペイン接触表面
9.3 スペーサーの外側表面
9.4 スペーサーのグレージング内部表面
9.5 スペーサーのキャビティ
10 遮断グレージングユニット
11 グレージングの内部空間
13 グレージングの外部空間
14 シール
15 不透明なコーティング
16 切り欠き
17 ブリッジ要素
18 接続領域
19 折り目
19a 第一のセクション
19b 第二のセクション
19c、19d 補助線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-11】
図12
図13
図14
【国際調査報告】