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特表2023-537990車両の制御方法、装置、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】車両の制御方法、装置、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20230830BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20230830BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230830BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B60W30/02 300
B60W50/00
B60W60/00
G08G1/16 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509829
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2021115788
(87)【国際公開番号】W WO2022105361
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202011302765.2
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】320015083
【氏名又は名称】北京京東乾石科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING JINGDONG QIANSHI TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM A1905, 19TH FLOOR, NO. 2 BUILDING, NO. 18 KECHUANG 11 STREET, BEIJING ECONOMIC AND TECHNOLOGICAL DEVELOPMENT ZONE, BEIJING 100176, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邊 学 鵬
(72)【発明者】
【氏名】張 亮 亮
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241DA55Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
5H181AA01
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC27
5H181EE02
5H181EE13
5H181FF32
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL16
(57)【要約】
本発明に係る車両の制御方法は、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するステップ(S1)と、前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すステップ(S2)と、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するステップ(S3)と、を含む。当該車両の制御方法は、異なるスリップ率の場合に異なる計算ストラテジーを使用して対応する道路の摩擦係数を取得することを実現し、パラメータに対する識別精度を向上させ、さらに精度の高い道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルの構築に用いて予測して車両制御命令を得ることにより、走行路面で切り替わる車両に対する適応制御の精度を向上させることができる。本発明は、上記の方法を実現する装置、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するステップと、
前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すステップと、
前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するステップと、を含む
車両の制御方法。
【請求項2】
前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すステップは、
前記スリップ率が位置するスリップ率の区間を確定し、各前記スリップ率の区間には、それぞれの計算ストラテジーが対応して配置されているステップと、
スリップ率が第1区間にある場合、対応する第1計算ストラテジーを呼び出し、又は、スリップ率が第2区間にある場合、対応する第2計算ストラテジーを呼び出すステップと、を含み、
前記第1計算ストラテジーは、前後輪の摩擦影響比率を取得するステップと、前記前後輪の摩擦影響比率、スリップ率及び路面の摩擦係数に基づいて車両全体の縦力を計算するステップと、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップと、を含み、
前記第2計算ストラテジーは、前後輪で正規化された車両全体の縦力を計算するステップと、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む
請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項3】
前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップは、
呼び出された計算ストラテジーに基づいて係数の入力値を確定するステップと、
車両の現在の制御周期におけるパラメータを取得し、出力値を計算するステップと、
前記入力値及び出力値に基づいて、忘却係数付き最小二乗法により推定される道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む
請求項2に記載の車両の制御方法。
【請求項4】
前記方法は、前記車両制御最適化モデルを事前に構築するステップをさらに含み、
前記車両制御最適化モデルを事前に構築するステップは、
状態変数及び制御変数を含む車両制御最適化モデルの決定変数を配置するステップと、
車両制御最適化モデルを構築するように、損失関数を目的関数として確立するとともに、前記道路の摩擦係数に関連する制限条件を設定するステップと、を含む
請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項5】
前記状態変数は、位置座標、針路角、縦線速度、タイヤのスリップ角及び針路角の加速度を含み、前記制御変数は、車両全体の縦力及び前輪舵角を含む
請求項4に記載の車両の制御方法。
【請求項6】
前記制限条件は、動力学モデルの制限条件、開始点の制限条件、前輪舵角の制限条件、前輪舵角の増分の制限条件、縦力の制限条件、縦力の増分の制限条件、速度の制限条件、及び速度の増分の制限条件を含む
請求項4に記載の車両の制御方法。
【請求項7】
予測された前記車両の参考軌跡点の状態変数の動力学モデル方程式を前記動力学モデルの制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項8】
前記車両の開始点での状態変数の初期値を前記開始点の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項9】
前記車両の最大横加速度値、車両のホイールベース、縦線速度及び最大と最小前輪舵角に基づいて確定された前輪舵角の制限値の範囲を前記前輪舵角の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項10】
前記車両の最大と最小前輪舵角の増分に基づいて確定された前輪舵角の増分の制限値の範囲を前記前輪舵角の増分の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項11】
前記車両の最大と最小縦力に基づいて確定された縦力の制限値の範囲を前記縦力の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項12】
前記車両の最大と最小縦力の増分に基づいて確定された縦力の増分の制限値の範囲を前記縦力の増分の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項13】
前記車両の最大と最小縦線速度に基づいて確定された速度の制限値の範囲を前記速度の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項14】
前記車両の最大と最小縦線速度の増分に基づいて確定された速度の増分の制限値の範囲を前記速度の増分の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項15】
前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するステップは、
現在の制御周期における状態変数パラメータ値を取得して前記車両制御最適化モデルに入力し、前記道路の摩擦係数に基づいてモデルを更新するステップと、
前記車両制御最適化モデルにおける目的関数及び制限条件に基づいて制御変数パラメータ値を求めるステップと、
前記制御変数パラメータ値に基づいて制御命令を生成するステップと、を含む
請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項16】
車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するためのスリップ率モジュールと、
前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すための摩擦係数モジュールと、
前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するための制御命令モジュールと、を含む
車両の制御装置。
【請求項17】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記プログラムがプロセッサーにより実行される場合、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の車両の制御方法を実行するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
1つ又は複数のプロセッサーと、
1つ又は複数のプログラムが記憶され、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサーにより実行される場合、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の車両の制御方法を前記1つ又は複数のプロセッサーに実現させる記憶装置と、を含む
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2020年11月19日に出願され、出願番号が202011302765.2であり、発明の名称が「車両の制御方法、装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器」である中国特許出願を基礎として優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を本願に援用する。
【0002】
本発明は、車両制御分野に関し、特に、車両の制御方法、車両の制御装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
自動運転技術の発展に伴って、無人車の応用は広まりつつある。現在、無人車に対する制御は、主に上下2位のコントローラに分けられ、上位のコントローラの主な役割は、参考軌跡を処理するとともに、参考軌跡、車両の状態及び位置決め情報に基づいてアクセルのブレーキに対する百分率を生成することであり、下位のコントローラの主な役割は、上位のコントローラから出力されたアクセル及びブレーキ命令や前輪舵角命令を実行して、車両が走行するように駆動することである。
【0004】
関連技術において、下位のコントローラに関する技術は成熟しているが、上位のコントローラについてはさらなる研究が必要である。通常、標定表方法を採用し、車両が摩擦係数の異なる道路を走行する場合、システムは、車両の状態情報をアルタイムで取得し、多次元で分析して標定表をオンラインで更新することにより、ブレーキ・アクセルの適応的な出力を実現する。しかし、この方法の弊害は、事前にデータをオフラインで収集して標定表を生成すると同時に、リアルタイムで車両からフィードバックされたデータの信号対雑音が悪いので、標定表をオンラインで更新する場合、ノイズが導入されてモデルがますます悪くなってしまい、車両の制御不能なリスクを増加させることである。
【0005】
なお、上記の背景技術記載されている内容は、本発明の背景技術に対する理解を深めるためのものに過ぎないため、当業者に知られている従来技術を構成しない内容を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、異なる路面で切り替わる車両に対する適応制御の精度を向上させることを実現するために、車両の制御方法、車両の制御装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例の一態様によれば、車両の制御方法を提供し、前記車両の制御方法は、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するステップと、前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すステップと、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するステップと、を含む。
【0008】
本発明の実施例の第2態様によれば、車両の制御装置を提供し、前記車両の制御装置は、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するためのスリップ率モジュールと、前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すための摩擦係数モジュールと、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するための制御命令モジュールと、を含む。
【0009】
本発明の実施例の第3態様によれば、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供し、前記プログラムがプロセッサーによって実行される場合、上記の実施例に係る車両の制御方法を実現する。
【0010】
本発明の実施例の第4態様によれば、電子機器を提供し、前記電子機器は、1つ又は複数のプロセッサーと、1つ又は複数のプログラムが記憶され、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサーにより実行される場合、上記の実施例に係る車両の制御方法を前記1つ又は複数のプロセッサーに実現させる記憶装置と、を含む。
【0011】
なお、前記一般的な記載及び後述の詳細な記載は、単なる例示的で解釈的な記載であり、本発明を限定しない。
【0012】
図面の簡単な説明
以下の図面は、明細書に組み入れて本明細書の一部分を構成し、本発明に該当する実施例を例示するとともに、明細書とともに本発明の原理を解釈する。なお、以下の記載における図面は、ただ本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者は、創造的な労働を付与しない前提で、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の例示的な実施例に係る車両の制御方法のフローを模式的に示す模式図である。
図2】本発明の例示的な実施例に係る道路の摩擦係数の計算方法のフローを模式的に示す模式図である。
図3】本発明の例示的な実施例に係る車両制御命令の生成方法のフローを模式的に示す模式図である。
図4】本発明の例示的な実施例に係る車両の制御装置の構成を模式的に示す模式図である。
図5】本発明の例示的な実施例に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体を模式的に示す模式図である。
図6】本発明の例示的な実施例に係る電子機器のコンピュータシステムの構造を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において、同じ又は対応する符号は、同じ又は対応する部分を示す。
以下、図面を参照しながら、例示的な実施形態をより全面的に説明する。ただし、例示的な実施形態は複数種類の形態で実施することができ、ここに記述する実施例に限定されないことを理解すべきである。逆に、これらの実施形態を提供することで、本発明がさらに全面で完全になるとともに、例示的な実施形態の思想を全面で当業者に伝達する。
【0015】
なお、説明される特徴、構成又は特性は、任意の適切な方式で一つ又は複数の実施例に組み合わせることができる。以下の説明において、本発明の実施例を充分に理解するために、多くの具体的な細部を提供する。しかしながら、当業者であれば、特定の詳細の1つ又は複数を省略してもよく、又は他の方法、ユニット、装置、ステップなどを本発明の技術案を実施する際に使用してもよいことは理解されるべきである。他の場合において、本発明の各態様を不明瞭にすることを避けるために、公知の方法、装置、実現又は操作を詳しく示し又は説明しない。
【0016】
図面に示されるブロック図は、機能的実体に過ぎず、必ずしも物理的に独立している実体に対応する必要がない。これらの機能的実体は、ソフトウェア形式で実現され、又は、1つ又は複数のハードウェアモジュール或いは集積回路で実現され、又は、異なるネットワーク及び/又はプロセッサー装置及び/又はマイクロコントローラ装置で実現される。
【0017】
図面に示されるフローチャートは、例示的な説明に過ぎず、必ずしもすべての内容及び操作/ステップを含む必要はなく、必ずしも記載された順序で実行される必要もない。例えば、ある操作/ステップは、分解されてもよいが、ある操作/ステップは、合併され又は部分的に合併されてもよいので、実際に実行される順序は、実際の状況に応じて変更される可能性がある。
【0018】
無人車用軌跡追跡コントローラは、自動運転ソフトウェアシステムにおいて重要な役割を果たし、車両が計画された軌跡上を走行するように駆動することができ、現在のコントローラは、上下2位のコントローラに分けることができる。上位のコントローラの主な役割は、参考軌跡を処理するとともに、参考軌跡、車両の状態及び位置決め情報に基づいてアクセルのブレーキに対する百分率を生成し、下位のコントローラは、ドライブバイワイヤシステム及び車両シャーシコントローラを含み、その主な役割は、上位のコントローラから出力されたアクセル及びブレーキ命令、前輪舵角命令を実行して、車両が走行するように駆動することである。下位のコントローラの技術は既に非常に成熟しており、現在、主流の研究の大部分は、上位のコントローラに集中している。
【0019】
無人車の物流配送分野への応用は、明るい見通しを持ち、例えばスマート無人配送車が挙げられ、無人配送車が走行する道路の状況は、乗用車が走行する道路の状況よりも複雑であり、それが走行する道路は一般的に歩道であり、夏季及び冬季において、水溜まりのある道路、雪面や氷面を走行することはよく見られる現象であり、また、前者の走行速度は後者よりも高い。このため、どのように無人配送車がこれらの摩擦係数の低い路面を良好に走行することを実現するかが重要な課題である。また、無人車は、車輪型移動ロボットと類似するが、走行状況は全く異なり、前者は屋外で走行することが多く、後者は屋内で走行することが多く、前者は後者よりも走行速度が高くなる。
【0020】
現在、冰面や雪面に対処するための無人車の制御方法はまだ少ないが、関連技術において、通常、標定表方法を採用し、車両が摩擦係数の異なる道路を走行する場合、システムは、車両の状態情報をアルタイムで取得し、多次元で分析して標定表をオンラインで更新することにより、ブレーキ・アクセルの適応的な出力を実現する。しかし、この方法の弊害は、事前にデータをオフラインで収集して標定表を生成すると同時に、リアルタイムで車両からフィードバックされたデータの信号対雑音が悪いので、標定表をオンラインで更新する場合、ノイズが導入されてモデルがますます悪くなってしまい、車両の制御不能なリスクを増加させることである。
【0021】
関連技術に存在する問題に鑑み、本発明は、異なるスリップ率の場合に前後輪の縦力の摩擦係数への影響を考慮した上で、それぞれ異なる計算ストラテジーを使用して対応する縦力を計算することにより、摩擦係数が異なる路面を走行する車両を適応制御するために、精度の高い道路の摩擦係数を得る車両の制御方法を提供する。
【0022】
以下、本発明の実施例の技術案の実現の詳細について詳細に説明する。
図1は、本発明の例示的な実施例に係る車両の制御方法のフローを模式的に示す模式図である。図1に示すように、この車両の制御方法は、ステップS1~ステップS3を含む。
【0023】
ステップS1において、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得する。
ステップS2において、前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出す。
【0024】
ステップS3において、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得する。
【0025】
本発明の実施例に提供される技術案において、車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記車両の現在の制御周期におけるスリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出し、さらに、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得する。異なるスリップ率の場合に異なる計算ストラテジーを使用して対応する道路の摩擦係数を取得することを実現し、パラメータに対する識別精度を向上させ、さらに精度の高い道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルの構築に用いて予測して車両制御命令を得ることにより、走行路面で切り替わる車両に対する適応制御の精度を向上させることができる。
【0026】
以下、図面及び実施例を参照して例示的な本実施形態に係る車両の制御方法の各ステップをより詳細に説明する。
【0027】
ステップS1において、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得する。
本発明の一実施例において、設定された制御周期内に車両の制御命令を更新する必要があるので、車両の運転状態をリアルタイムで監視する必要があり、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得する。制御周期は、設定値であり、必要に応じて設定されてもよく、例えば20msや50msであってもよい。また、制御周期は、車両が走行する路面の状況や外部環境に応じて合理的に設定されてもよく、例えば、同じ天気環境中で、アスファルト路面とセメント路面を走行する車両について異なる周期を設定したり、冬の雨や雪時に走行する車両の制御期間を夏の晴天時よりも短く設定したりことができる。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
車両全体のスリップ率を計算する場合、前輪及び後輪に基づいて総合的に得ることができ、例えば前輪のスリップ率、後輪のスリップ率、前後輪のスリップ率の平均値又はその他の値の取り方が挙げられるが、本発明は、ここでは具体的に限定しない。本発明の実施例において、前後輪のスリップ率の平均値を車両全体のスリップ率とすることができる。
【0031】
【数3】
【0032】
車両の駆動方式は異なる可能性があるので、スリップ率を計算する際に、前輪又は後輪のみに基づいてスリップ率を取得するのではなく、総合的に考慮した上で、識別される車両のスリップ率を車両の実際の運転状況により近づける。
【0033】
ステップS2において、前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出す。
【0034】
図2は、本発明の例示的な実施例に係る道路の摩擦係数を計算するフローを模式的に示す模式図であり、以下のステップを含む。
【0035】
ステップS201において、前記スリップ率が位置するスリップ率の区間を確定する。ここで、各前記スリップ率の区間には、それぞれの計算ストラテジーが対応して配置されている。
【0036】
ステップS202において、スリップ率が第1区間にある場合、対応する第1計算ストラテジーを呼び出し、又は、スリップ率が第2区間にある場合、対応する第2計算ストラテジーを呼び出す。
【0037】
ステップS201において、低スリップ率及び高スリップ率の2つの場合を考慮して道路の摩擦係数に対する識別を行うので、まず、車両のスリップ率を対応する区間に分ける。
【0038】
【数4】
【0039】
ステップ202において、計算された車両のスリップ率が第1区間にある場合、即ち、低スリップ率の場合、対応する第1計算ストラテジーを呼び出す。
【0040】
具体的に、前記第1計算ストラテジーは、前後輪の摩擦影響比率を取得するステップと、前記前後輪の摩擦影響比率、スリップ率及び路面の摩擦係数に基づいて車両全体の縦力を計算するステップと、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む。
【0041】
本発明の一実施例において、低スリップ率の場合、車両全体の縦力を計算する際に前輪と後輪を個別に考慮するので、前後輪の摩擦影響比率パラメータρを導入する。無人配送車を例とすると、無人配送車は、一般的に後輪駆動であり、加速時に前輪が駆動力を与えなく、即ち、ρが0であり、ブレーキ時に、ρ値がシャーシの配置によって決定され、一般的に0.1~0.3を取る。
【0042】
その後、前記前後輪の摩擦影響比率、スリップ率及び路面の摩擦係数に基づいて車両全体の縦力を計算し、車両全体の縦力と車輪のスリップ率との関係に基づいて、
【0043】
【数5】
【0044】
ここで、mは、車両の重量を表し、gは、重力加速度を表し、L、Lは、それぞれ車両の質量中心から前軸又は后軸までの距離を表し、Lは、車両のホイールベースを表し、aは、車両の縦加速度を表し、hは、車両の質量中心の高さを表し、Dは、空気抵抗係数を表し、hは、車両のフロントフェイスの高さを表す。
【0045】
低スリップ率の場合、異なる駆動方式で無人車の前輪と後輪の走行状況が異なる可能性があることを考慮したので、車両全体の縦力を計算する時に前輪と後輪の摩擦影響比率を導入し、前輪と後輪のスリップ率の車両全体の縦力への影響を個別に考慮し、これにより、計算された車両全体の縦力を車両の実際の運転状況により適合させることができ、縦力の値の精度がより高くなり、また、異なる無人機への適用性も高くなる。
【0046】
ステップ202において、計算された車両のスリップ率が第2区間にある場合、即ち、低スリップ率の場合、対応する第2計算ストラテジーを呼び出す。
【0047】
具体的に、前記第2計算ストラテジーは、前後輪で正規化された車両全体の縦力を計算するステップと、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む。
【0048】
高スリップ率又は緊急ブレーキの場合、スリップ率の値と道路の摩擦係数μとが非線形関係を成すので、低スリップ率の場合における方法を適用できない。このため、車両全体の縦力と車輪のスリップ率との関係に基づいて、
【0049】
【数6】
【0050】
本発明の一実施例において、車両全体の縦力を計算する場合、マジックフォーミュラタイヤモデルにより車両全体の縦力を計算することもでき、即ち、
【0051】
【数7】
【0052】
本発明の一実施例において、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算する場合、忘却係数付き最小二乗法により計算し、具体的なステップは、呼び出された計算ストラテジーに基づいて係数の入力値を確定するステップと、車両の現在の制御周期におけるパラメータを取得し、出力値を計算するステップと、前記入力値及び出力値に基づいて、忘却係数付き最小二乗法により、推定される道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む。
【0053】
式(12)は、パラメータの識別基準として表される。
【0054】
【数8】
【0055】
その後、忘却係数付き最小二乗法を適用してパラメータの識別を行い、そのステップは、以下の通りである。
【0056】
【数9】
【0057】
本発明の一実施例において、スリップ率の区間は、複数の区間であってもよく、例えば、第1区間と第2区間との臨界値を含む第3区間を追加してもよく、例えばσ’=0.3になるように設定する場合、
【0058】
【数10】
【0059】
スリップ率が第3区間にある場合、第1計算ストラテジー及び第2計算ストラテジーから計算された小さな値を道路の摩擦係数として取ることができる。異なるスリップ率の値に対応する車両の運転特性を基にし、高スリップ率と低スリップ率との間の区間を考慮して、対応する計算ストラテジーを設計して道路の摩擦係数を取得し、さらに道路の摩擦係数の精度を向上させる。
【0060】
本発明の一実施例において、道路の摩擦係数を推定した後、検証ステップを追加してパラメータの計算を修正することもでき、例えば先に推定された道路の摩擦係数を観測量とし、κ、μ、ρなどに対応するパラメータを拡張状態として状態方程式及び観測方程式を確立し、拡張カルマンフィルタのアルゴリズムにより標準的なフィルタ再帰プロセスを確立し、信号ノイズをフィルタリングして最終的な道路の摩擦係数を計算することにより、道路の摩擦係数の計算がより正確になる。
【0061】
無人車が一般的な道路や氷面や雪面などの異なる路面を走行するので、車両のスリップ率を低スリップ率と高スリップ率の2つの場合に分けてパラメータの識別をそれぞれ行うことにより、識別された道路の摩擦係数を車両の実際の走行状況により適合させることができる。
【0062】
ステップS3において、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得する。
【0063】
本発明の一実施例において、ステップS3は、前記車両制御最適化モデルを事前に構築するステップS300をさらに含み、前記ステップS300は、状態変数及び制御変数を含む車両制御最適化モデルの決定変数を配置するステップと、車両制御最適化モデルを構築するように、損失関数を目的関数として確立するとともに、前記道路の摩擦係数に関連する制限条件を設定するステップと、を含む。
【0064】
【数11】
【0065】
その後、車両制御最適化モデルを構築し、即ち、ローリング最適化(rolling optimization)により最適な制御ソリューションを求め、制限に基づいて、1つ又はいくつかの性能指標が制御機能を実現するために最適化される。
【0066】
最適化モデルの目的関数を確立し、目的関数の一般的な形態は、状態と制御入力の二次関数として表すことができ、ここで、制御変数を効果的に抑制するために、それを目的関数に追加し、以下のように表される。
【0067】
【数12】
【0068】
損失関数を目的関数として構築した後、制限条件を設定する必要もある。制限条件には、動力学モデルの制限、開始点の制限、前輪舵角及び前輪舵角の増分の制限、縦力及び縦力の増分の制限、速度及び速度の増分の制限が含まれる。具体的な内容は、以下の通りである。
【0069】
1)動力学モデルの制限:
本発明の一実施例において、予測された前記車両の参考軌跡点の状態変数の動力学モデル方程式を前記動力学モデルの制限条件として配置する。
【0070】
以下のように、動力学モデルの簡略化モデルを確立する。
【0071】
【数13】
【0072】
空気抵抗Fdragの計算方式は、以下の通りである。
【0073】
【数14】
【0074】
ここで、Dは、空気抵抗係数である。
【0075】
【数15】
【0076】
ここで、μは、道路の摩擦係数、即ち、上記の方法に基づいて取得された道路の摩擦係数を表す。
【0077】
2)開始点の制限:
本発明の一実施例において、前記車両の開始点での状態変数の初期値を前記開始点の制限条件として配置する。
【0078】
開始点の制限は、車両の状態を予測する際に現在の状態から開始する必要があることを示し、制限条件は、以下の通りである。
【0079】
【数16】
【0080】
3)前輪舵角及び前輪舵角の増分の制限:
本発明の一実施例において、前記車両の最大横加速度値、車両のホイールベース、縦線速度及び最大と最小の前輪舵角に基づいて確定された前輪舵角の制限値の範囲を前記前輪舵角の制限条件として配置する。前記車両の最大と最小前輪舵角の増分に基づいて確定された前輪舵角の増分の制限値の範囲を前記前輪舵角の増分の制限条件として配置する。
【0081】
車両が高速で迂回したり曲がったりする際に横転することを防止するために、本発明は、舵角を制限する。その制限範囲は、車両の速度に伴って変化する。
【0082】
【数17】
【0083】
4)縦力及び縦力の増分の制限:
本発明の一実施例において、前記車両の最大と最小縦力に基づいて確定された縦力の制限値の範囲を前記縦力の制限条件として配置する。前記車両の最大と最小縦力の増分に基づいて確定された縦力の増分の制限値の範囲を前記縦力の増分の制限条件として配置する。
【0084】
縦力の制限は、車両が実際にサポートできる縦力の値を参照し、制限条件を次のように設定する。
【0085】
【数18】
【0086】
5)速度及び速度の増分の制限:
本発明の一実施例において、前記車両の最大と最小縦線速度に基づいて確定された速度の制限値の範囲を前記速度の制限条件として配置する。前記車両の最大と最小縦線速度の増分に基づいて確定された速度の増分の制限値の範囲を前記速度の増分の制限条件として配置する。
【0087】
車両の速度超過を防止するために、車両の速度を制限する必要があり、車両によりサポートされる最大速度及び自動運転システムによりサポートされる最大速度に基づいてこの制限を設定し、制限条件は、以下の通りである。
【0088】
【数19】
【0089】
車両制御最適化モデルを構築する場合、目的関数の確立と制限条件の設定の順序に制限はなく、制限条件を設定してから目的関数を確立してもよい。
【0090】
無人車が摩擦係数の異なる路面で切り替わって走行するので、タイヤのスリップ角及び縦方向のスリップ率のリアルタイムな変化は、その走行効果に深刻な影響を与える。このため、タイヤのスリップ角を車両制御最適化モデルに入力される状態変数であるタイヤのスリップ角とすることを考慮し、縦方向のスリップ率については、縦方向のスリップ率が異なる場合における異なる計算ストラテジーにより道路の摩擦係数を計算して、動力学モデルを更新して予測し、さらに、このモデルに基づいてローリング最適化モデルを設計することにより、モデルによる予測の精度を向上させ、車両が一般的な道路から氷面や雪面に切り替わる際の適応制御の効果を実現し、車両が高速で走行する場合の制御効果を改善する。
【0091】
同時に、車両の縦方向走行の安定性を向上させるために、縦力及び縦力の増分の制限、速度及び速度の増分の制限などを追加し、車両の横方向の安定性を向上させるために、前輪舵角の制限を追加する。
【0092】
車両制御最適化モデルを設計する場合、必要な状態変数、例えば車両の座標、針路角などを選択するとともに、走行効果に大きな影響を与えるタイヤのスリップ角を追加することにより、制御精度の需要を満たしながら、過剰なパラメータによる計算過程の煩雑さ及び速度の低下を避けることを確保することができる。
【0093】
図3は、本発明の例示的な実施例に係る車両制御命令の生成を模式的に示す模式図であり、以下のステップを含む。
【0094】
ステップS301において、現在の制御周期における状態変数パラメータ値を取得して前記車両制御最適化モデルに入力する。
【0095】
【数20】
【0096】
ステップS302において、前記道路の摩擦係数に基づいてモデルを更新する。
上記の方法に基づいて、取得された道路の摩擦係数μをFfricに導入して道路の摩擦抵抗を計算することにより、モデルにおける更新目的関数及び制限条件を最適化する。
【0097】
ステップS303において、前記車両制御最適化モデルにおける目的関数及び制限条件に基づいて制御変数パラメータ値を求める。
【0098】
具体的に、車両制御最適化モデルの入力は、状態変数であり、その出力は、制御変数である。取得された現在の制御周期における状態変数パラメータ値を更新された最適化モデルに入力し、車両全体の縦力F及び前輪舵角δを含む制御変数を出力する。
【0099】
ステップS304において、前記制御変数パラメータ値に基づいて制御命令を生成する。
【0100】
最適化モデルから出力された車両全体の縦力Fをトルクに変換してドライブバイワイヤシステムに入力するとともに、前輪舵角δから前輪舵角命令を生成して車両を制御する。
【0101】
車両全体の縦力を出力変数として配置することにより、車両制御最適化モデルがそのままトルク命令を出力するようにして、これにより、従来の方法における加速度命令からトルクに変換する標定ステップを省略し、システムを簡略化するとともにシステムの遅延を低減させ、制御効果のリアルタイム性を向上させる。
【0102】
本発明の一実施例において、制御命令を算出した後、制御命令を検証するステップを追加することができ、命令が検証された後、それをコントローラに入力して車両を制御する。車両が走行する環境情報を事前に収集して仮想的な車両の運転環境を生成して、車両の走行状況をリアルタイムで監視し、制御命令が生成された後、仮想的な環境で命令実行のシミュレーションを事前に行い、シミュレーションに合格した場合、この制御命令を使用して制御を行い、シミュレーションによって命令が実行された後に車両が異常に走行することが示された場合、この制御命令を使用せずに緊急ブレーキを実行する。
【0103】
ここで、走行状況に応じて、選択的に制御命令の検証をオンにすることができる。例えば、車両が雨天時や積雪時のウェット路面を走行する場合、又は、走行経路に凹凸や坂道がある道路状況の場合、又は、出力された制御命令データに異常がある場合に、命令を検証するステップをオンにすることを選択する。算出された制御命令を検証することにより、車両の適応命令の正確性をさらに確保し、計算エラーによる車両制御エラーを回避することができる。
【0104】
本発明の一実施例において、無人車の前端又は他の部位に障害物検出装置を設けることもできる。障害物と車両との距離が予め設定された距離未満であることを検出した場合、障害物ブレーキ命令をトリガーし、このブレーキ命令は、最も高い優先度を持ち、車両に緊急ブレーキをかけることができる。障害物ブレーキ命令が自動的にトリガーされるように設定することにより、動物や歩行者や物品が突然に出現するような突発的な状況による車両の衝突や損傷を回避し、不要な損失を減らすことができる。
【0105】
なお、図面において、本発明における方法の様々なステップは、所定の順序で説明されているが、これは、所望の結果を実現するために、これらのステップがこの所定の順序で実行されなければならないこと、又は示された全てのステップが実行されなければならないことを必要とせず、又は暗示しない。追加的に又は代替的に、いくつかのステップは省略されてもよく、複数のステップが1つのステップとして併合されて実行されてもよく、及び/又は1つのステップが複数のステップに分解されて実行されてもよい。
【0106】
図4は、本発明の例示的な実施例に係る車両の制御装置の構成を模式的に示す模式図である。図4に示すように、この車両の制御装置は、スリップ率モジュール401、摩擦係数モジュール402及び制御命令モジュール403を含むことができる。ここで、
スリップ率モジュール401は、車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するためのものである。
【0107】
摩擦係数モジュール402は、前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すためのものである。
【0108】
制御命令モジュール403は、前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するためのものである。
【0109】
本発明の例示的な実施例によれば、前記摩擦係数モジュール402は、スリップ率区間ユニット及び計算ストラテジーユニット(図示せず)を含み、スリップ率区間ユニットは、前記スリップ率が位置するスリップ率の区間を確定するためのものである。ここで、各前記スリップ率の区間には、それぞれの計算ストラテジーが対応して配置されている。計算ストラテジーユニットは、スリップ率が第1区間にある場合、対応する第1計算ストラテジーを呼び出し、又は、スリップ率が第2区間にある場合、対応する第2計算ストラテジーを呼び出すためのものである。
【0110】
本発明の例示的な実施例によれば、前記計算ストラテジーユニットは、第1計算ストラテジーユニットを含み、前記第1計算ストラテジーユニットは、前後輪の摩擦影響比率を取得し、前記前後輪の摩擦影響比率、スリップ率及び路面の摩擦係数に基づいて車両全体の縦力を計算し、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するためのものである。
【0111】
本発明の例示的な実施例によれば、前記計算ストラテジーユニットは、第2計算ストラテジーユニットをさらに含み、前記第2計算ストラテジーユニットは、前後輪で正規化された車両全体の縦力を計算し、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するためのものである。
【0112】
本発明の例示的な実施例によれば、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を忘却係数付き最小二乗法により計算する。
【0113】
本発明の例示的な実施例によれば、前記車両の制御装置は、車両制御最適化モデル構築モジュール(図示せず)をさらに含み、前記車両制御最適化モデル構築モジュールは、状態変数及び制御変数を含む車両制御最適化モデルの決定変数を配置し、車両制御最適化モデルを構築するように、損失関数を目的関数として確立するとともに、前記道路の摩擦係数に関連する制限条件を設定するためのものである。
【0114】
本発明の例示的な実施例によれば、前記状態変数は、車両の位置座標、針路角、縦線速度、タイヤのスリップ角及び針路角の加速度を含む。前記制御変数は、車両全体の縦力及び前輪舵角を含む。
【0115】
本発明の例示的な実施例によれば、前記制限条件は、動力学モデルの制限、開始点の制限、前輪舵角及び前輪舵角の増分の制限、縦力及び縦力の増分の制限、速度及び速度の増分の制限を含む。
【0116】
本発明の例示的な実施例によれば、制御命令モジュール403は、入力ユニット、出力ユニット及び制御命令ユニット(図示せず)を含む。ここで、入力ユニットは、現在の制御周期における状態変数パラメータ値を取得して前記車両制御最適化モデルに入力し、前記道路の摩擦係数に基づいてモデルを更新するためのものである。出力ユニットは、前記車両制御最適化モデルにおける目的関数及び制限条件に基づいて制御変数パラメータ値を求めるためのものである。制御命令ユニットは、前記制御変数パラメータ値に基づいて制御命令を生成するためのものである。
【0117】
上記の車両の制御装置400における各モジュールの具体的な細部は、既に対応する車両の制御方法において詳細に説明したので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0118】
なお、以上の詳細な説明では、動作を実行するための機器のいくつかのモジュール及びユニットを説明したが、このような区分は、強制的なものではない。実際には、本発明の実施例によれば、上述した2つ以上のモジュール及びユニットの特徴及び機能は、1つのモジュール及びユニットで具体化されてもよい。逆に、上述した1つのモジュール及びユニットの特徴及び機能は、複数のモジュール及びユニットによりさらに具体化されてもよい。
【0119】
本発明の例示的な実施例において、上記の方法を実現できる記録媒体をさらに提供する。図5は、本発明の例示的な実施例に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体を模式的に示す模式図である。図5に示すように、本発明の実施形態による上記の方法を実現するためのプログラム製品500を説明し、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)を使用し、プログラムコードを含み、端末機器、例えば携帯電話で実行されることができる。しかしながら、本発明のプログラム製品は、これに限定されない。本願において、読み取り可能な記憶媒体は、プログラムを含む又は記憶する任意の有形媒体であってもよく、当該プログラムは、指令実行システム、装置又は部品により使用されてもよく、又は、それらに結合して使用されてもよい。
【0120】
本発明の例示的な実施例において、上記の方法を実現できる電子機器をさらに提供する。図6は、本発明の例示的な実施例に係る電子機器のコンピュータシステムの構造を模式的に示す模式図である。
【0121】
なお、図6に示される電子機器のコンピュータシステム600は、単なる一例に過ぎず、本発明の実施例の機能及び使用範囲に何ら制限を課すものではない。
【0122】
図6に示すように、コンピュータシステム600は、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)602に記憶されているプログラム又は記憶部608からランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)603にロードされたプログラムに基づいて、適切な各種動作及び処理を実行することができる中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)601を含む。RAM603には、システム操作に必要な各種プログラム及びデータがさらに記憶される。CPU601、ROM602及びRAM603は、バス604を介して相互に接続されている。入力/出力(Input/Output、I/O)インタフェース605もバス604に接続される。
【0123】
I/Oインタフェース605には、キーボード、マウスなどを含む入力部606、例えば陰極線管(CRT、Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)など及びスピーカなどを含む出力部607、ハードディスクなどを含む記憶部608及び例えばLAN(Local Area Network、ローカルエリアネットワーク)カード、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信部609が接続される。通信部609は、例えばインターネットのようなネットワークを介して通信処理を実行する。ドライバ610も必要に応じてI/Oインタフェース605に接続される。例えば磁気ディスク、光ディスク、磁光ディスク、半導体メモリなどのような取り外し可能な媒体611は、必要に応じてドライバ610にインストールされることにより、それから読み出されたコンピュータプログラムは、必要に応じて記憶部608にインストールされる。
【0124】
特に、本発明の実施例によれば、以下、フローチャートを参照して説明する過程は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができる。例えば、本発明の実施例は、コンピュータ読み取り可能な媒体に担持されるコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を含み、前記コンピュータプログラムは、フローチャートに示される方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例において、前記コンピュータプログラムは、通信部609を介してネットワークからダウンロード及びインストールされ、及び/又は取り外し可能な媒体611からインストールされることができる。前記コンピュータプログラムが中央処理装置(CPU)601により実行される場合、本発明のシステムに限定される各種機能を実行する。
【0125】
なお、本発明の実施例に示されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はそれらの任意の組み合せであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば電気、磁気、光、電磁、赤外線、若しくは半導体のシステム、装置、若しくはデバイス、又はそれらの任意の組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記録媒体のより具体的な例として、1つ以上のワイヤを有する電気接続、携帯型コンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、EPROM)、フラッシュメモリ、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。本発明において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと共に使用され得るプログラムを包含又は記憶する任意の有形媒体であってもよい。本発明において、コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドで、又は搬送波の一部として伝搬されるデータ信号を含むことができ、その中にコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが担持される。そのような伝搬されるデータ信号は、電磁信号、光信号、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な形態をとり得る。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、また、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと関連して使用するためのプログラムを送信、伝搬、又は伝送し得る、コンピュータ読み取り可能な記録媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体に含まれるプログラムコードは、無線、有線等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体によって伝送されてもよい。
【0126】
図面におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施例によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点で、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント又はコードの一部を代表することができ、上記のモジュール、プログラムセグメント又はコードの一部は、所定の論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む。また、いくつかの代替的な実施形態において、ブロックに記載された機能は、図面に記載された順序と異なる順序で実行されてもよいことに留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際に略並列に実行されてもよく、関連する機能によっては逆の順序で実行されることもある。なお、ブロック図又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行するための専用のハードウェアベースのシステムで実現され、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されてもよいことに留意されたい。
【0127】
本発明の実施例に係るユニットは、ソフトウェアとして実現されることができ、ハードウェアとして実現されることもでき、記載されるユニットは、プロセッサーに設けられることもできる。ここで、これらのユニットの名称は、ある場合には、前記ユニットを限定するものではない。
【0128】
他の態様によれば、本発明は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体をさらに提供する。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記の実施例に係る電子機器に含まれるものであってもよく、単独で存在するが前記電子機器に組み込まれていないものであってもよい。上記のコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、1つ又は複数のプログラムが担持され、上記の1つ又は複数のプログラムが前記電子機器により実行される場合、前記電子機器は、上記の実施例で説明されるような方法を実現する。
【0129】
なお、以上の詳細な説明では、動作を実行するための機器のいくつかのモジュール又はユニットを説明したが、このような区分は、強制的なものではない。実際には、本発明の実施形態によれば、上述した2つ以上のモジュール又はユニットの特徴及び機能は、1つのモジュール又はユニットで具体化されてもよい。逆に、上述した1つのモジュール又はユニットの特徴及び機能は、複数のモジュール又はユニットによりさらに具体化されてもよい。
【0130】
以上の実施形態の説明によって、当業者は、本明細書に記載される例示的な実施形態がソフトウェアにより実現されてもよいこと、ソフトウェアと必要なハードウェアを結合することにより実現されてもよいことを容易に理解することができる。したがって、本発明の実施形態に係る技術案は、ソフトウェア製品の形態で体現されてもよく、当該ソフトウェア製品は、1つの不揮発性記録媒体(CD-ROM、USBデバイス、モバイルハードディスク等であってもよい)又はネットワークに記憶されてもよく、本発明の実施形態に係る方法を計算機器(パーソナルコンピュータ、サーバー、タッチ端末又はネットワーク機器等であってもよい)に実行させるいくつかの指令を含む。
【0131】
当業者は、本明細書を考慮し、本明細書に開示された発明を実施した後、本発明の他の実施形態を容易に想到できる。本発明は、本発明の任意の変形、用途又は適応性の変更を含み、これらの変形、用途又は適応性の変更は、本発明の一般的な原理に従うと共に、本発明に開示されない当技術分野における公知な常識又は慣用の技術手段を含む。
【0132】
本発明は、前記で記述され、図面で図示した特定の構成に限定されず、その範囲を離脱しない状況で、様々な修正や変更を実施してもよい。本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲のみにより限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するステップと、
前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すステップと、
前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するステップと、を含む
車両の制御方法。
【請求項2】
前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すステップは、
前記スリップ率が位置するスリップ率の区間を確定し、各前記スリップ率の区間には、それぞれの計算ストラテジーが対応して配置されているステップと、
スリップ率が第1区間にある場合、対応する第1計算ストラテジーを呼び出し、又は、スリップ率が第2区間にある場合、対応する第2計算ストラテジーを呼び出すステップと、を含み、
前記第1計算ストラテジーは、前後輪の摩擦影響比率を取得するステップと、前記前後輪の摩擦影響比率、スリップ率及び路面の摩擦係数に基づいて車両全体の縦力を計算するステップと、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップと、を含み、
前記第2計算ストラテジーは、前後輪で正規化された車両全体の縦力を計算するステップと、前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む
請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項3】
前記車両全体の縦力に基づいて前記道路の摩擦係数を計算するステップは、
呼び出された計算ストラテジーに基づいて係数の入力値を確定するステップと、
車両の現在の制御周期におけるパラメータを取得し、出力値を計算するステップと、
前記入力値及び出力値に基づいて、忘却係数付き最小二乗法により推定される道路の摩擦係数を計算するステップと、を含む
請求項2に記載の車両の制御方法。
【請求項4】
前記方法は、前記車両制御最適化モデルを事前に構築するステップをさらに含み、
前記車両制御最適化モデルを事前に構築するステップは、
状態変数及び制御変数を含む車両制御最適化モデルの決定変数を配置するステップと、
車両制御最適化モデルを構築するように、損失関数を目的関数として確立するとともに、前記道路の摩擦係数に関連する制限条件を設定するステップと、を含む
請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項5】
前記状態変数は、位置座標、針路角、縦線速度、タイヤのスリップ角及び針路角の加速度を含み、前記制御変数は、車両全体の縦力及び前輪舵角を含む
請求項4に記載の車両の制御方法。
【請求項6】
前記制限条件は、動力学モデルの制限条件、開始点の制限条件、前輪舵角の制限条件、前輪舵角の増分の制限条件、縦力の制限条件、縦力の増分の制限条件、速度の制限条件、及び速度の増分の制限条件を含む
請求項4に記載の車両の制御方法。
【請求項7】
予測された前記車両の参考軌跡点の状態変数の動力学モデル方程式を前記動力学モデルの制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項8】
前記車両の開始点での状態変数の初期値を前記開始点の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項9】
前記車両の最大横加速度値、車両のホイールベース、縦線速度及び最大と最小前輪舵角に基づいて確定された前輪舵角の制限値の範囲を前記前輪舵角の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項10】
前記車両の最大と最小前輪舵角の増分に基づいて確定された前輪舵角の増分の制限値の範囲を前記前輪舵角の増分の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項11】
前記車両の最大と最小縦力に基づいて確定された縦力の制限値の範囲を前記縦力の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項12】
前記車両の最大と最小縦力の増分に基づいて確定された縦力の増分の制限値の範囲を前記縦力の増分の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項13】
前記車両の最大と最小縦線速度に基づいて確定された速度の制限値の範囲を前記速度の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項14】
前記車両の最大と最小縦線速度の増分に基づいて確定された速度の増分の制限値の範囲を前記速度の増分の制限条件として配置する
請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項15】
前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するステップは、
現在の制御周期における状態変数パラメータ値を取得して前記車両制御最適化モデルに入力し、前記道路の摩擦係数に基づいてモデルを更新するステップと、
前記車両制御最適化モデルにおける目的関数及び制限条件に基づいて制御変数パラメータ値を求めるステップと、
前記制御変数パラメータ値に基づいて制御命令を生成するステップと、を含む
請求項1に記載の車両の制御方法。
【請求項16】
車両の現在の制御周期におけるスリップ率を取得するためのスリップ率モジュールと、
前記車両の現在の制御周期における道路の摩擦係数を計算するように、前記スリップ率に基づいて対応する計算ストラテジーを呼び出すための摩擦係数モジュールと、
前記車両をリアルタイムで制御するように、前記道路の摩擦係数を車両制御最適化モデルに入力して車両の現在の制御周期における制御命令を取得するための制御命令モジュールと、を含む
車両の制御装置。
【請求項17】
プロセッサにより実行される場合、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の車両の制御方法を実現することを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
1つ又は複数のプロセッサーと、
1つ又は複数のプログラムが記憶され、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサーにより実行される場合、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の車両の制御方法を前記1つ又は複数のプロセッサーに実現させる記憶装置と、を含む
電子機器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
本発明は、車両制御分野に関し、特に、車両の制御方法、車両の制御装置、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、異なる路面で切り替わる車両に対する適応制御の精度を向上させることを実現するために、車両の制御方法、車両の制御装置、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び電子機器を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の実施例の第3態様によれば、プロセッサにより実行される場合、上記の実施例に係る車両の制御方法を実現するプログラムを提供する。
本発明の実施例の第4態様によれば、上記のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の実施例の第5態様によれば、電子機器を提供し、前記電子機器は、1つ又は複数のプロセッサーと、1つ又は複数のプログラムが記憶され、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサーにより実行される場合、上記の実施例に係る車両の制御方法を前記1つ又は複数のプロセッサーに実現させる記憶装置と、を含む。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
【数20】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
ステップS302において、前記道路の摩擦係数に基づいてモデルを更新する。
上記の方法に基づいて、取得された道路の摩擦係数μをFfricに導入して道路の摩擦抵抗を計算することにより、モデルにおける目的関数及び制限条件を最適化して更新する
【国際調査報告】