(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】検知コリメートユニット、検知装置及びSPECT結像システム
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20230830BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20230830BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G01T7/00 B
G01T1/20 E
G01T1/161 B
G01T1/161 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509847
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2021112298
(87)【国際公開番号】W WO2022037473
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010840410.2
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】1 Qinghuayuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 天予
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲亜▼▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】王 学武
(72)【発明者】
【氏名】王 忠
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188AA03
2G188AA25
2G188BB04
2G188CC19
2G188CC21
2G188CC23
2G188DD05
2G188DD17
2G188EE37
4C188EE02
4C188FF04
4C188GG19
4C188JJ05
4C188JJ12
4C188JJ17
4C188KK33
(57)【要約】
本開示は、検知コリメートユニット、検知装置及びSPECT結像システムを提供し、検知コリメートユニットは、被検体内の放射源から放射されたガンマ光子を受信するためのシンチレーション結晶アレイと、ガンマ光子を受信してデジタル信号に変換する若干の光電デバイスと、を含み、シンチレーション結晶アレイは、若干のシンチレーション結晶を含み、若干のシンチレーション結晶は大体平行でありかつ間隔を隔てて配置され、各シンチレーション結晶は端面及び放射源から放射された放射線を受信可能な側面を有し、若干の光電デバイスは若干のシンチレーション結晶の端面にカップリングされる。本開示の検知コリメートユニットは、SPECT結像時に必要な重金属コリメートを取り替え、ガンマ光子の損失を減少させ、かつガンマ光子が検知コリメートユニット内で回路板及び光電デバイスに吸収されることを回避し、SPECT結像の空間解像度及び検知効率を顕著に向上させる。そして、重金属コリメートにおいて複数の小平行孔又はピンホールを加工する加工プロセスの難しさを回避し、加工プロセスを簡略化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知コリメートユニットであって、
被検体(30)内の放射源から放射されたガンマ光子を受信するためのシンチレーション結晶アレイ(10)と、
前記ガンマ光子を受信してデジタル信号に変換するための若干の光電デバイス(20)と、を含み、
前記シンチレーション結晶アレイ(10)は、若干のシンチレーション結晶(101)を含み、前記若干のシンチレーション結晶(101)は大体平行でありかつ間隔を隔てて配置され、各前記シンチレーション結晶(101)は端面及び放射源から放射された放射線を受信可能な側面を有し、
前記若干の光電デバイス(20)は前記若干のシンチレーション結晶(101)の端面にカップリングされる
ことを特徴とする検知コリメートユニット。
【請求項2】
前記シンチレーション結晶アレイ(10)は、二次元配列アレイであり、前記シンチレーション結晶アレイ(10)は、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に沿って配列された若干のシンチレーション結晶(101)、及び放射源から放射されたガンマ線の入射方向に垂直に配列された若干のシンチレーション結晶(101)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の検知コリメートユニット。
【請求項3】
前記シンチレーション結晶(101)は、少なくとも一つの独立したシンチレーション結晶バー(1011)及び/又はスティッチングされた複数のシンチレーション結晶バー(1011)を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検知コリメートユニット。
【請求項4】
前記シンチレーション結晶バー(1011)の少なくとも一つの端面に光電デバイス(20)がカップリングされる
ことを特徴とする請求項3に記載の検知コリメートユニット。
【請求項5】
前記シンチレーション結晶アレイ(10)において、間隔を隔てて設置されたシンチレーション結晶(101)の間に充填物を有し、前記充填物は、樹脂、ポリエチレンプラスチック、有機ガラス及び重金属のうちの少なくとも一種材質を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の検知コリメートユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の若干の検知コリメートユニットを含む
ことを特徴とする検知装置。
【請求項7】
若干の前記検知コリメートユニットが固定的に接続され、被検体(30)の周りに取り囲まれる円形、多角形、弧状及び一部の多角形のうちのいずれかの形状の分布になる検知コリメートユニット層を形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
前記検知装置は、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に沿って間隔を隔てて設置された若干の検知コリメートユニット層を含み、若干の検知コリメートユニット層が位置ずれして配置されることにより、最後の検知コリメートユニット層の検知コリメートユニットに少なくとも一つのシンチレーション結晶(101)が存在し、結像視野から一点放射されたガンマ光子が入射して最後の検知コリメートユニット層の該シンチレーション結晶(101)に到達した伝送経路に、任意の光電デバイス(20)又は回路基板材料を通過させない
ことを特徴とする請求項7に記載の検知装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の検知装置(2)、データ処理ユニット(301)及び画像再構成ユニット(302)を含むSPECT結像システムであって、
前記データ処理ユニット(301)は、前記検知装置(2)から出力されたデジタル信号を受信して処理し、各入射されたガンマ光子の入射情報を取得し、
前記画像再構成ユニット(302)は、前記データ処理ユニット(301)から出力された複数の入射されたガンマ光子の入射情報を受信して処理し、被検体(30)内の放射源の分布情報を取得し、かつデジタル化画像を形成する
ことを特徴とするSPECT結像システム。
【請求項10】
前記検知装置(2)の各検知コリメートユニット層は、前記被検体(30)の周りに選択的に回転する
ことを特徴とする請求項9に記載のSPECT結像システム。
【請求項11】
前記SPECT結像システムは、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に沿って間隔を隔てて設置された少なくとも二つの検知装置(2)を含み、かつ放射源から放射されたガンマ線の入射方向に、被検体(30)から離れた遠位検知装置は、被検体内の放射源から放射された、一つ又は複数の近位検知装置を通過したガンマ光子を受信してデジタル信号に変換する
ことを特徴とする請求項9に記載のSPECT結像システム。
【請求項12】
前記SPECT結像システムに要求される空間解像度及び画像信号対雑音比に基づいて、各検知装置の前記SPECT結像システムにおける相対位置、隣接する二つの検知装置(2)の間隔、及び各検知コリメートユニットにおけるシンチレーション結晶バー(1011)の数、シンチレーション結晶バー(1011)のサイズ、シンチレーション結晶バー(1011)の配列方式パラメータを選択する
ことを特徴とする請求項9に記載のSPECT結像システム。
【請求項13】
被検体に近接する最初の検知装置(2)と被検体(30)との間に、及び/又は、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に隣接する二つの検知装置(2)の間に、及び/又は、各検知装置(2)の検知コリメートユニット層との間に、開孔された重金属コリメート(3’)が設置される
ことを特徴とする請求項9に記載のSPECT結像システム。
【請求項14】
前記重金属コリメート(3’)の光子透過率が1%より大きい
ことを特徴とする請求項13に記載のSPECT結像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、核医学結像技術分野に関し、具体的には、特に検知コリメートユニット、検知コリメートユニットを含む検知装置及びSPECT結像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
核医学映像診断の単一光子放射断層結像のSPECT装置において、SPECT結像機能を完了するために必要な少なくとも以下の二種類の部品を少なくとも含む必要がある:一種類はプローブ部品であり、それは、被検体内の異なる時刻に送信された複数のガンマ光子を一つずつ受信し、各光子の時間情報、エネルギー情報及びプローブに作用する位置情報を電気信号に変換しかつデジタル化してコンピュータに入力する;もう一つは、コリメート部品であり、それは一般的に被検体とプローブ部品との間に位置し、被検体内の特定の方向から放射された光子を吸収することにより、プローブ部品に到達した光子が上記方向からの時に検知できないか、又はプローブ部品に到達した光子がある特定の方向からの確率と他の方向からの確率に明らかな差があり、それによりプローブ部品が受信した光子はさらに入射方向情報を含む。プローブ部品上の全ての検知ユニットは一定の結像時間内に一定数のガンマ光子を一つずつ受信し、かつ各検知ユニット上のガンマ光子の数を積算して得て、各検知ユニット上のガンマ光子数情報をコンピュータ内の画像再構成アルゴリズム部品に入力する。画像再構成アルゴリズムにおいて、幾何モデル式により計算する又は事前に離散化測定を行うシステム伝送行列形式で、結像空間内の各点から放射されたガンマ光子がプローブ部品内の各検知ユニットにより受信された確率を記録した。画像再構成アルゴリズムは、上記確率情報と入力されたガンマ光子情報により、数学的演算により、被検体内の放射源強度分布情報を求め、かつデジタル化画像を形成して表示ユニットに表示した。
【0003】
透過型CT結像システム(その線源が人体外に位置し、一般的にはX線球管などのX線発生装置などを線源として使用し、したがって人体を通過する放射線自体は方向性を有する)が異なり、SPECT結像システムの放射源は、注射、経口又は吸込方式により人体に導入された放射性トレーサーであり、トレーサーは等方的にガンマ光子を放射し、したがってSPECTシステムにより検知されたガンマ光子自体は方向性情報を有しない。したがって、従来のSPECTシステムは重金属で製造された吸収コリメートを使用する必要があり、特定の方向からのガンマ光子がプローブに入って他の方向からのガンマ光子を吸収し、それによりプローブが受信したガンマ光子に方向情報を付ける。しかしながら、SPECTシステムにおいて、コリメート部品の設計は二つの難しい選択に直面する。一方では、コリメート部品が多くの方向からの光子を吸収すれば、少数の方向からの光子がプローブに入ることを許可すれば、プローブに到達する各光子がより効果的な方向情報を携帯させることができ、結像システムの空間識別能力を向上させることに有利であるが、放射源が単位時間内に放射された光子数はポアソン統計分布に従うことにより、検知ユニットに収集された光子数が相対的に変動し、かつ標準偏差の形式で表示された相対的な変動は収集された光子数の平方根値に反比例することを引き起こす。したがって、コリメートを設計する時により多くの光子を検知器に入らせることを考慮する必要があり、すなわち、結像システムの検知効率を向上させることにより、各検知ユニットで受信されたガンマ光子数を増加させ、それに対応してその相対的な統計変動を減少させる。しかし、これはコリメートがより多くの方向からの光子がプローブに入ることを許可する必要があることを意味し、したがってプローブが受信した各光子が携帯する方向情報の有効性を低下させ、すなわち、結像システムの空間識別能力を低下させる。
【0004】
SPECTシステムの空間識別能力を保証するために、従来の重金属コリメートはできるだけガンマ光子の入射方向に沿って開孔の大きさ及び間隔を減少させるが、このように大量のガンマ光子がコリメートで減衰吸収されて検知器に検知されないことを引き起こす。したがって大量の光子損失を引き起こし、SPECT装置の検知効率に深刻な影響を与える。
【0005】
したがって、重金属コリメート部品の存在によりSPECTシステムの空間識別能力と検知効率を同時に向上させることができない。
【0006】
一方、重金属コリメート部品において、ガンマ光子を通過させるために、それに互いに平行な複数のストレート孔、又は円錐形のピンホールを加工する必要がある。その孔の形状パラメータはSPECTシステムの性能への影響が大きいため、その加工寸法を精密に制御する必要があり、金属加工プロセスの難易度が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題の少なくとも一つを解決するために、本開示は、空間識別能力を向上させ、及び/又は検知効率を向上させ、及び/又は金属加工プロセス難度を減少させる検知コリメートユニット、検知装置及びSPECT結像システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第一態様によれば、
被検体内の放射源から放射されたガンマ光子を受信するためのシンチレーション結晶アレイと、
前記ガンマ光子を受信してデジタル信号に変換するための若干の光電デバイスと、を含み、
前記シンチレーション結晶アレイは、若干のシンチレーション結晶を含み、前記若干のシンチレーション結晶は大体平行でありかつ間隔を隔てて配置され、各前記シンチレーション結晶は端面及び放射源から放射された放射線を受信可能な側面を有し、
前記若干の光電デバイスは前記若干のシンチレーション結晶の端面にカップリングされる検知コリメートユニットを提供する。
【0009】
好ましくは、前記シンチレーション結晶アレイは、二次元配列アレイであり、前記シンチレーション結晶アレイは、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に沿って配列された若干のシンチレーション結晶、及び放射源から放射されたガンマ線の入射方向に垂直に配列された若干のシンチレーション結晶を含む。
【0010】
好ましくは、前記シンチレーション結晶は、一つの独立したシンチレーション結晶バー及び/又はスティッチングされた複数のシンチレーション結晶バーを含む。
【0011】
好ましくは、前記シンチレーション結晶バーの少なくとも一つの端面に光電デバイスがカップリングされる。
【0012】
好ましくは、前記シンチレーション結晶アレイにおいて、間隔を隔てて設置されたシンチレーション結晶の間に充填物を有し、前記充填物は、樹脂、ポリエチレンプラスチック、有機ガラス及び重金属のうちの少なくとも一種材質を含む。
【0013】
本開示の第二態様によれば、上記いずれかの技術案に記載の若干の検知コリメートユニットを含む検知装置を提供する。
【0014】
好ましくは、若干の前記検知コリメートユニットが固定的に接続され、被検体の周りに取り囲まれる円形、多角形、弧状及び一部の多角形のうちのいずれかの形状の分布になる検知コリメートユニット層を形成する。
【0015】
好ましくは、前記検知装置は、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に沿って間隔を隔てて設置された若干の検知コリメートユニット層を含み、若干の検知コリメートユニット層が位置ずれして配置されることにより、最後の検知コリメートユニット層の検知コリメートユニットに少なくとも一つのシンチレーション結晶が存在し、結像視野から一点放射されたガンマ光子が入射して最後の検知コリメートユニット層の該シンチレーション結晶に到達した伝送経路に、任意の光電デバイス又は回路基板材料を通過させない。
【0016】
本開示の第三態様によれば、SPECT結像システムを提供し、上記いずれかの技術案に記載の検知装置、データ処理ユニット、画像再構成ユニット及び画像表示ユニットを含み、
前記データ処理ユニットは、前記検知装置から出力されたデジタル信号を受信して処理し、各入射されたガンマ光子の入射情報を取得し、
前記画像再構成ユニットは、前記データ処理ユニットから出力された複数の入射されたガンマ光子の入射情報を受信して処理し、被検体内の放射源の分布情報を取得し、かつデジタル化画像を形成し、
前記画像表示ユニットは、デジタル化画像を表示して臨床診断に必要な情報を提供する。
【0017】
好ましくは、前記検知装置の各検知コリメートユニット層は、前記被検体の周りに選択的に回転する。
【0018】
好ましくは、前記SPECT結像システムは、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に沿って間隔を隔てて設置された少なくとも二つの検知装置を含み、かつ放射源から放射されたガンマ線の入射方向に、被検体から離れた遠位検知装置は、被検体内の放射源から放射された、一つ又は複数の近位検知装置を通過したガンマ光子を受信してデジタル信号に変換する。
【0019】
好ましくは、前記SPECT結像システムに要求される空間解像度及び画像信号対雑音比に基づいて、各検知装置の前記SPECT結像システムにおける相対位置、隣接する二つの検知装置の間隔、及び各検知コリメートユニットにおけるシンチレーション結晶バーの数、シンチレーション結晶バーのサイズ、シンチレーション結晶バーの配列方式パラメータを選択する。
【0020】
好ましくは、被検体に近接する最初の検知装置と被検体との間に、及び/又は、放射源から放射されたガンマ線の入射方向に隣接する二つの検知装置の間に、及び/又は、各検知装置の検知コリメートユニット層との間に、開孔された重金属コリメートが設置される。
【0021】
さらに、前記重金属コリメートの光子透過率は1%より大きい。
【発明の効果】
【0022】
本開示は従来の技術に比べて以下の技術的効果を達成する。
【0023】
本開示は、検知コリメートユニットを提供する。該検知コリメートユニットは、複数の光電デバイスと複数の略平行で間隔を隔てて設置されたシンチレーション結晶で構成されたシンチレーション結晶アレイとを含み、複数の光電デバイスは複数のシンチレーション結晶の端面にカップリングされ、被検体内の放射源から放射されたガンマ光子は、シンチレーション結晶の側面から入射する時に、光電デバイスを通過する必要がなく(すなわち、光電デバイスを被検体内の放射源から放射されたガンマ光子の入射方向にほぼ平行に設置し)、ガンマ線方向のコリメートの効果を実現するだけでなく、光子検知の目的を達成し、さらに画像品質に影響を与えない。同時に、従来の、放射線通過を許可しない重金属コリメートを採用する結像システムと比較して、本開示の検知コリメートユニットはガンマ光子の損失を回避することができるだけでなく、ガンマ光子の検知効率を大幅に向上させ、かつSPECT結像システムを応用してイメージングする画像品質に影響を与えることがなく、同時に重金属コリメートにおいて複数の小平行孔又はピンホールを加工する加工プロセスの難しさを回避し、加工プロセスを簡略化する。
【0024】
また、本開示はさらに上記検知コリメートユニットの検知装置及びSPECT結像システムを提供し、検知装置及びSPECT結像システムは上記検知コリメートユニットと同様の技術効果を有し、ここでは説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の開示する図面は本開示の技術案及び利点をよりよく理解するためだけであるが、本開示の技術案を限定するものではない。
【0026】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例の検知コリメートユニットの構造概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例における人体内のガンマ光子が二つの検知コリメートユニットを通過する動作原理図である。
【
図3】
図3は、本開示の第一実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の第二実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の第三実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の第四実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図7】
図7は、本開示の第五実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図8】
図8は、本開示の第六実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図9】
図9は、本開示の第七実施例における検知装置の構造概略図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施例の弧状検知コリメートユニット層の構造概略図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施例の円形検知コリメートユニット層の構造概略図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施例の正八角形検知コリメートユニット層の構造概略図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施例のSPECT結像システムの構造構成図である。
【
図14】
図14は、本開示の一実施例のSPECT結像システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下は、具体的な実施例を参照して本開示をさらに詳細に、完全に説明する。以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、適用、又は用途を限定するものではない。
【0028】
図1は、本開示の一実施例の検知コリメートユニットの構造概略図である。
図2は、本開示の一実施例における人体内のガンマ光子が二つの検知コリメートユニットを通過する動作原理図である。
図1及び
図2に示すように、本開示の実施例の検知コリメートユニット1は、SPECT結像機器又はシステムに応用することができ、それは、シンチレーション結晶アレイ10及び若干の光電デバイス20を含み、シンチレーション結晶アレイ10は、被検体30内の放射源から放射されたガンマ光子を受信する。若干の光電デバイス20は、ガンマ光子を受光してデジタル信号に変換するものである。前述の被検体30は多くが人体内の目標器官又は人体であり、もちろん他の被検体であってもよい。
【0029】
ここで、シンチレーション結晶アレイ10は、二次元配列アレイであり、複数のシンチレーション結晶101を含み、各シンチレーション結晶101はいずれも独立した長方体シンチレーション結晶バー1011であり、複数のシンチレーション結晶バー1011は平行でかつ間隔を置いて配置される。各シンチレーション結晶バー1011は、二つの端面及び四つの側面を有し、シンチレーション結晶101の側面は、被検体30内の放射源から放射されたガンマ線pが入射され、すなわち、シンチレーション結晶101の側面は、放射源がガンマ線pを放射する入射面とされる。全てのシンチレーション結晶バー1011の同一端に一つ又は複数の光電デバイス20がカップリングされ、他端に一つ又は複数の光電デバイス20がカップリングされる。
【0030】
従来のSPECT装置に使用された低エネルギー(数十keV~数百keV)核種検知ユニットは、一般的に光電デバイスをシンチレーション結晶のガンマ光子入射面(又は出射面)にカップリングし、このようにしてガンマ光子が通過する時に光電デバイス及び対応する電子デバイスと回路基板等により遮断されて減衰されやすくことを引き起こし、さらにガンマ光子の損失を引き起こして画像品質に影響を与える。
【0031】
本開示の上記構造の検知コリメートユニットの設計に基づいて、被検体30内の放射源から放射されたガンマ光子がシンチレーション結晶バー1011の側面から入射する時に、光電デバイス20を通過する必要がなく(すなわち、光電デバイス20を、被検体30内の放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に大体に平行して設置する)、ガンマ線方向のコリメートの効果を実現するとともに、光子検知の目的を達成し、さらに画像品質に影響を与えない。同時に、従来の射線通過を許可しない重金属コリメートを採用する結像システムと比較して、本開示の検知コリメートユニット1は、ガンマ光子の損失を回避することができるだけでなく、ガンマ光子の検知効率を大幅に向上させ、かつSPECT結像システムを応用して結像する画像品質に影響を与えることがない。同時に重金属コリメートにおいて複数の小平行孔又はピンホールを加工する加工プロセスの難しさを回避し、加工プロセスを簡略化する。
【0032】
図1及び
図2に示すように、本開示のシンチレーション結晶アレイ10の配列方式は限定されず、複数の放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って配列されたシンチレーション結晶101、及び放射源から放射された複数のガンマ線pの入射方向に垂直に配列された若干のシンチレーション結晶101で構成された二次元配列アレイ方式であってもよく、さらに他の二次元配列アレイ方式であってもよい。
【0033】
図3に示すように、本開示の第一実施例は、検知装置を提供する。第一実施例における検知装置2は、間隔を隔てて配列された一列のプローブ結晶(各プローブ結晶はシンチレーション結晶バー1011とカップリング接続された光電デバイス20を含む)が配列されて構成された検知コリメートユニット1’(被検体30に近接するため、検知コリメートユニットの前層とすることができる)と一列のプローブ結晶が緊密に配列されて構成された一つの検知コリメートユニット2’(被検体30から離れるため、検知コリメートユニットの後層とすることができる)とを含む。検知コリメートユニット1’の存在により、検知コリメートユニット2’の所在位置で検知可能な一つのガンマ光子は、人体内1’’-7’’の異なる位置からの確率が異なる。ここで、位置3’’と位置5’’からの確率は大きく、1’’、2’’、4’’、6’’、7’’からの確率は小さい。本実施例では、検知コリメートユニット1’の存在により、検知コリメートユニット2’は、ガンマ光子の入射方向に対する識別能力やコリメート効果を有する。
【0034】
上記検知コリメートユニット前層の設計は、同時に検知コリメートユニット後層の検知効率とガンマ光子の入射方向の識別能力に影響を与える。検知コリメートユニット前層の結晶アレイの配列ギャップが小さいほど、検知コリメートユニット後層のガンマ光子の入射方向の識別能力がよくなるが、検知効率が低下する。検知コリメートユニット前層の結晶の、光子入射方向に沿った厚さが大きいほど、検知コリメートユニット後層のガンマ光子の入射方向の識別能力がよくなるが、検知効率が小さい。
図3は、シンチレーション結晶101領域のある横断面を示し、シンチレーション結晶バー101は人体の軸方向に沿って配列される。検知コリメートユニット1’における結晶間隔距離を調整することにより、それが検知コリメートユニット2’における結晶に対するコリメート効果を改善し、ガンマ光子の入射方向に対する検知コリメートユニット2’における結晶の識別能力を調整することができる。
【0035】
図4に示すように、本開示の第二実施例は、検知装置を提供する。第二実施例における検知装置2は、二つの検知コリメートユニット層(交差配列された二列のプローブ結晶で構成された検知コリメートユニット前層と緊密に接続された一列のプローブ結晶で構成された検知コリメートユニット後層とを含むことに相当)で構成され、この実施例において、検知コリメートユニット1’と検知コリメートユニット2’の複数列の結晶効果により、光子が位置3’’からの確率が大きく、他の位置からの確率が小さい。すなわち、第一実施例に比べて、検知コリメートユニット後層のガンマ光子の入射方向の識別能力がより高いが、検知効率が相対的に小さくなる。しかし、検知コリメートユニット前層の検知効率が大きくなるため、検知装置の総検知効率が小さくならない。かつ、検知コリメートユニット前層における検知コリメートユニット1’の近位の一列のプローブ結晶は、遠位の一列のプローブ結晶に対しても、光子検知コリメートの役割も果たす。
【0036】
本開示の一実施例において、シンチレーション結晶アレイ10の複数のシンチレーション結晶101を配置する時に、複数のシンチレーション結晶101を完全に平行に配列することができない場合があり、ほぼ平行を満たすでもよく、すなわち、一部のシンチレーション結晶101は傾斜して設置されてもよく、他のシンチレーション結晶101との間に僅かに小さい傾斜角を形成することができ、例えば、傾斜角は0-15°の範囲内のいずれか数を選択することができる。
【0037】
図5に示すように、本開示の第三実施例は、検知装置を提供する。第三実施例の検知装置を構成するシンチレーション結晶アレイ10において、間隔を隔てて設置されたシンチレーション結晶101の間に空気を充填する以外に、さらに低密度の軽量材質の充填物を有することによって、シンチレーション結晶101を安定させる。好ましくは、充填物は、樹脂、ポリエチレンプラスチック及び有機ガラスのうちの少なくとも一種の材質を含む。さらに、シンチレーション結晶アレイ10の構造の安定性能を保証する前提で、中空設計を採用するか、又は充填物のサイズを変更して、ガンマ光子に対する減衰を減少させることができる。
【0038】
本開示の別の実施例において、シンチレーション結晶アレイ10において、間隔を隔てて設置されたシンチレーション結晶101の間に高密度の重金属材質を充填することができ、それとシンチレーション結晶101材料のガンマ光子に対する減衰係数に明らかな差異があり、すなわち、SPECT結像デバイスが放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って複数の検知コリメートユニットを間隔を隔てて配置する場合、ガンマ光子が近位検知コリメートユニットのシンチレーション結晶バー1011の領域を透過して遠位検知コリメートユニットに到達する確率とガンマ光子が近位検知コリメートの充填物領域を透過して遠位検知コリメートユニットに到達する確率が明らかに異なり、さらに、遠位検知コリメートユニットで検知されたガンマ光子に対して、異なる方向からの確率に明らかな差があり、それにより、遠位検知コリメートユニットに対する近位検知コリメートユニットのコリメート効果を強化することができる。ここでの近位検知コリメートユニット及び遠位検知コリメートユニットはいずれも相対的な概念に属し、具体的には、被検体30を基準とし、被検体30に近接する検知コリメートユニットは近位検知コリメートユニットと呼ばれ、被検体30から離れた検知コリメートユニットは遠位検知コリメートユニットと呼ばれる。
【0039】
図6に示すように、本開示の第四実施例は、検知装置を提供する。コリメート効果を強化するために、被検体30に近接する最初の検知装置2(すなわち
図6における検知コリメートユニット1’)と被検体30との間に開孔された重金属コリメート3’を増設し、及び/又は、放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って隣接する二つの検知装置2の間(すなわち
図6における検知コリメートユニット1’と検知コリメートユニット2’との間に)に開孔された重金属コリメート3’を増設し、及び/又は、各検知装置2の検知コリメートユニット層の間(複数の検知コリメートユニット層を含む検知装置の内部で、かつ任意の二つの検知コリメートユニット層の間に位置する)に開孔された重金属コリメート3’を増設することができる。また、増設された重金属コリメート3’はさらに後端検知コリメートユニットの空間識別効果を強化することができる。
【0040】
さらに、一定の検知効率を保証するために、重金属コリメート3’の光子透過率は1%より大きい必要があり、すなわち、重金属コリメート3’の前面に入射した光子において、コリメートを透過して重金属コリメート3’の後面から出射された光子の割合は1%より大きい必要がある。重金属コリメート3’上の開孔は、スリット孔、角孔、丸孔、テーパ孔等のいずれであってもよい。
【0041】
図7-
図9に示すように、本開示の第五、第六及び第七実施例は、それぞれ、検知装置を提供する。以上の実施例のシンチレーション結晶アレイ10の構造(各シンチレーション結晶101は独立したシンチレーション結晶バー1011である)とは異なり、この三つの実施例のシンチレーション結晶アレイ10において、各シンチレーション結晶101は、接着剤によりスティッチングされた複数のシンチレーション結晶バー1011を含む。当然のことながら、それ以外に、本開示の他の実施例において、各シンチレーション結晶101は、一つの独立したシンチレーション結晶バー1011とスティッチングされた複数のシンチレーション結晶バー1011で共に構成されてもよい。
【0042】
図9に示すように、本開示の第七実施例が提供する検知装置2は、一つの50%の開孔率の重金属検知コリメートユニット3’、検知コリメートユニット1’が配列して検知コリメートユニット前層とし、及び、検知コリメートユニット2’を検知コリメートユニット後層とする。
【0043】
重金属検知コリメートユニット3’と検知コリメートユニット1’の存在により、検知コリメートユニット2’上に検知された一つのガンマ光子は、人体内1’’-7’’の異なる位置からの確率が異なる。この実施例では、光子が位置3’’からの確率が大きく、他の位置からの確率が小さい。すなわち、第一実施例に比べて、検知コリメートユニット後層のガンマ光子の入射方向の識別能力がより高いが、検知効率が相対的に小さくなる。第五実施例に比べて、重金属検知コリメートユニット3’の存在により、検知装置2の総検知効率が小さくなる。しかし、重金属検知コリメートユニット3’は、検知コリメートユニット1’の一列のプローブ結晶に対してもコリメート作用を果たし、したがって、検知装置2のガンマ光子の入射方向に対する識別能力がより高い。
【0044】
本開示の一実施例において、シンチレーション結晶バー1011の形状は、長方体に限定されず、円柱体又は他の形式の条状体であってもよく、本開示は、長方体、円柱体及び他の形式の帯状体のうちのいずれか一種又は複数種の形状のシンチレーション結晶バー1011を採用してシンチレーション結晶マトリックス10を組み立てることができる。
【0045】
本開示の一実施例において、複数の光電デバイス20と複数のシンチレーション結晶バー1011の端面とをカップリングする方式は、限定されず、シンチレーション結晶バー1011の少なくとも一つの端面に光電デバイス20がカップリングされればよい。全ての光電デバイス20はいずれも全てのシンチレーション結晶バー1011の同一端の端面にカップリングされ、全てのシンチレーション結晶バー1011の他端は自由端であってもよい。上記第一実施例に示すカップリング方式、すなわち、一部の光電デバイス20が全てのシンチレーション結晶101の同一端の端面にカップリングされ、残りの光電デバイス20が全てのシンチレーション結晶101の他端の端面にカップリングされてもよい。さらに、一部の光電デバイス20が一部のシンチレーション結晶101の同一端の端面にカップリングされ、残りの光電デバイス20が該部分のシンチレーション結晶101の少なくとも一つのシンチレーション結晶101の他端の端面及び該部分のシンチレーション結晶101以外の残りのシンチレーション結晶101の他端の端面などにカップリングされてもよい。
【0046】
第一実施例において、全てのシンチレーション結晶101の両端にカップリングされた二つの光電デバイス20の出力信号は、共同で該検知コリメートユニット1においてガンマ光子イベントが作用する三次元空間位置を計算することに用いられ、これにより、SPECT結像機器又はシステムは三次元結像を実現する。具体的な計算式は以下のとおりである。
【0047】
【0048】
式において、DOIは、ガンマ光子イベントが作用する三次元空間位置を示し、E1及びE2は、両端がカップリングされた光電デバイス上の信号幅値又は面積を示し、k及びbは適合係数であり、キャリブレーション測定実験によりフィッティングして得られ、その具体的なキャリブレーションフローは以下のとおりである。
1)コリメートされた放射源を検知コリメートユニット側に配置し、かつそれが検知コリメートユニットに入射したDOI位置を決定し、
2)複数のイベントを収集し、各イベントにE1、E2値を得ており、
3)各イベントの[数2]の値を計算する;
4)DOI値と[数2]の値に基づいて一次多項式線形フィッティングを行い、フィッティング係数k及びbを求める。
【0049】
【0050】
本開示の一実施例において、シンチレーション結晶バー1011の材質は、NaI、CsI、LaBr3、CLYC、BGO、LSO、LYSO、GSO、YSO、YAP、GAGGのうちのいずれか一種を選択することができ、当然のことながら、シンチレーション結晶アレイ10における複数のシンチレーション結晶バー1011は同じ材質を選択して製造されてもよく、異なる材質を選択して製造されてもよい。異なる材質のシンチレーション結晶バー1011を選択する場合、そのガンマ光子に対する減衰比率が異なる。シンチレーション結晶バー1011の長さは限定されず、実際の応用状況に応じて合理的に選択することができる。
【0051】
本開示の一実施例において、光電デバイス20は、アバランシェ型フォトダイオードAPD、シリコンフォトマルチサイザーSiPM、光電子増倍管PMT、ガイガーモードアバランシェ型フォトダイオードGAPD、固体光電子増倍体SSPMのうちの少なくとも一種を選択することができる。検知装置において放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って複数の検知コリメートユニットを間隔的に設置する場合、PMT装置を採用することに比べて、SiPM、APD、GAPD、SSPMのうちのいずれか一つのデバイスを採用すれば、検知コリメートユニットの間の距離を減少させることができ、さらに検知装置又は全てのSPECT結像機器のサイズ及び占有空間を減少させることができる。
【0052】
図10は、本開示の一実施例の弧状検知コリメートユニット層の構造概略図である。
図10に示すように、本開示の実施例の検知装置2は、複数の前記したいずれか一つの検知コリメートユニット1を含み、複数の検知コリメートユニット1は固定的に接続され、被検体20の周りに取り囲まれる円弧状の分布になる検知コリメートユニット層を形成する。
【0053】
本開示の他の実施例において、一つの検知装置2は、放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って間隔を隔てて設置された複数の検知コリメートユニット層を含み、複数の検知コリメートユニット層が位置ずれして配置されることにより、最後の検知コリメートユニット層の検知コリメートユニット1に少なくとも一つのシンチレーション結晶101が存在し、これにより、結像視野から一点放射されたガンマ光子が入射して最後の検知コリメートユニット層の該シンチレーション結晶に到達した伝送経路に、任意の光電デバイス又は回路基板材料を通過せず、このように、ガンマ光子はシンチレーション結晶アレイのシンチレーション結晶バー1011の側面に入射する時に、ガンマ光子損失を回避することができ、画像品質に影響を与えない。
【0054】
本開示の実施例において、同一の検知コリメートユニット層を構成する複数の検知コリメートユニット1の間の固定接続方式は限定されず、例えば、接着剤又は固定接続部品により接続を実現すればよい。
【0055】
本開示の実施例において、複数の検知コリメートユニット1を固定接続した後に被検体30の周りに分布する形状(すなわち検知コリメートユニット層を形成形状)は円弧状に限定されず、円形(
図11参照)、多角形(例えば、正六角形又は正八角形等、
図12を参照)及び一部の多角形(即ち多角形の局所形状、例えば、正六角形又は正八角形の半分の形状)のうちのいずれか一種の形状であってもよい。
【0056】
図13は、本開示の一実施例のSPECT結像システムの構造構成図である。
図14は、本開示の一実施例において二つの検知コリメートユニット層を含むSPECT結像システムの構造概略図である。
図13、
図14に示すように、本開示の実施例のSPECT結像システム3は、二つの検知コリメートユニット層を有する検知装置2、データ処理ユニット301、画像再構成ユニット302及び表示ユニット303を含む。当然のことながら、本開示の実施例の検知装置2を構成する検知コリメートユニット層の具体的な数及び構造は実際の応用状況に応じて設計することができる。
【0057】
本開示の一実施例において、検知装置2の各検知コリメートユニット層は被検体30の周りに選択的に回転することができ、例えば、被検体30の周方向に沿って回転し、もちろんこれに限定されるものではなく、このようにシステムの柔軟性を向上させるだけでなく、異なるサイズの異なる構造の被検体30の検出を容易にする。さらに、システム使用の柔軟性をさらに向上させるために、複数の検知コリメートユニット層の間の被検体30の周りに回転する速度及び方向は同じであってもよく、異なってもよい。
【0058】
本開示の別の実施例において、SPECT結像システム3は少なくとも二つの検知装置2を含み、隣接する二つの検知装置2は、放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って間隔を隔てて配置され、かつ放射源から放射されたガンマ線pの入射方向に沿って、被検体30から離れた遠位検知装置は、被検体30内の放射源から放射された、一つ又は複数の近位検知装置を通過したガンマ光子を受信しかつデジタル信号に変換するために用いられる。
【0059】
本開示の一実施例において、SPECT結像システム3に要求される空間解像度及び画像信号対雑音比に基づいて各検知装置のSPECT結像システム3における相対位置、隣接する二つの検知装置2の間隔、及び各検知コリメートユニット1におけるシンチレーション結晶バー1011の数、シンチレーション結晶バー1011のサイズ、シンチレーション結晶バー1011の配列方式パラメータを選択する。
【0060】
以上のパラメータの選択は、結像システムの空間解像度と画像信号対雑音比特性との両方の間にトレードオフに選択する必要がある。以下のステップにより最適化して計算したことにより、SPECT結像システムの最終的な物理的構造を決定することができる。
1)結像視野領域を離散的な画像画素ユニットに分割し、ある一組のシステムによりパラメータ値を設計し、システム伝送行列A={aij}を計算し、ここで、aijは、結像システムにおいて画像画素ユニットjから放射された光子がシンチレーション結晶バーiにより検知された確率を表す。
2)一つの視野に満たす均一画像ベクトルfを定義し、すなわち、ベクトルf中のi番目の要素が視野内にあれば、その値が1であり、そうでなければ、その値がゼロであり、結像システムがfを測定して得られた投影データの期待値を計算する。
【0061】
【0062】
ここで、〔・〕は行列にベクトルを乗算する操作である。システムがI個の検知ユニット、J個の画像ユニットを有すると仮定すると、AはI行×J列の行列であり、fは1行×J列の列ベクトルであり、yは1行×I列の列ベクトルである。
【0063】
かつフィッシャー(Fisher)情報行列Fを計算する。
【0064】
【0065】
ここで、A’はAの転置であり、[数5]はI行×I列の対角行列であり、その非対角線における元素は0であり、その第i行第i列における元素値はyの第i列における元素値の逆数である。
【0066】
【0067】
3)システムローカル衝撃応答行列を計算する。
【0068】
【0069】
ここで、F+はFのモル-ペデス(Moore-Penrose)の一般化の逆行列であり、LIRはJ行×J列の行列である。ここで第j(j=1、…、J)列におけるJ個の値は、視野空間のj番目の画像画素ユニットに一つの衝撃入力を与える時、結像システムが応答して出力された画像ベクトル値を示す。理想的には、第j列におけるJ個の値において、第j行の値のみが1であり、残りの値が0であり、この時に結像システムの空間識別能力が最適である。結像システムの空間識別能力が有限である場合、第j列の第j行の値は0から1までの間の正の整数であり、かつその値が小さいほど、結像システムの衝撃応答の分布が広く、結像システムの空間識別能力が低くなることを示す。
【0070】
4)LIRの対角線におけるj番目の元素の値を取り、Rjと記し、結像システムのj番目の画素ユニットでの空間識別能力特性を示す。
【0071】
5)LIRの各画像画素ユニットでの値をトラバースし、かつ平均を求める:
【0072】
【0073】
[数7],Rを結像システムの空間識別能力の評価指標とする。
【0074】
6)共分散行列を計算する。
【0075】
【0076】
ここで、COVはJ行×J列の行列である。ここで、その対角線におけるj番目の要素、即ちCOVの第j(j=1、…、J)行、第j(j=1、…、J)列における値は、j番目の画像画素ユニットの統計変動分散を示し、結像システムのノイズ感度程度を示す。その値が小さいほど、結像システムの測定データにおけるノイズに対する感受性が低くなり、画質が高くなることを示す。
【0077】
6)COVの対角線におけるj番目の元素の値を取り、Vjと記し、j番目の画素ユニットでの分散を代表する。
【0078】
7)COVの各画像画素ユニットでの値をトラバースし、かつ平均を求める:
【0079】
【0080】
[数9],Vを結像システムの測定データノイズに対する感度の評価指標とする。
【0081】
8)異なる設計パラメータ値を取り、ステップ1)-7)を繰り返し、R値とV値を総合的に比較し、R値が相対的に大きくかつV値が相対的に小さいシステム設計パラメータの組み合わせをシステム構造の最適化設計結果として出力する。
【0082】
本実施例のデータ処理ユニット301は、複数の検知装置2から出力されたデジタル信号を受信して処理し、各入射されたガンマ光子の入射情報を取得する。ここで、データ処理ユニット301は、各入射されたガンマ光子の情報データを取得し、各入射されたガンマ光子の位置、エネルギー及び時間等のデータを含む。
【0083】
本実施例の画像再構成ユニット302は、データ処理ユニット301から出力された複数の入射されたガンマ光子の入射情報を受信して処理し、被検体30内の放射源の分布情報を取得し、かつデジタル化画像を形成する。
【0084】
さらに、画像再構成ユニット302は、解析再構成アルゴリズム、代数反復アルゴリズム又は統計反復再構成アルゴリズムを利用して、被検体内の放射源の分布情報を取得することができる。
【0085】
ここで、解析再構成アルゴリズム、例えばフィルタ逆投影式は以下のとおりである。
【0086】
【0087】
式において、f(x,y)は再構成された画像であり、P(ω,θ)は画像投影の一次元フーリエ変換であり、|ω|はハイパスフィルタである。
【0088】
代数反復アルゴリズム式は、以下のとおりである。
【0089】
【0090】
式において、fkはk回目の反復の画像であり、fk+1はk+1回目の反復の画像であり、Cは反復のシステム伝送行列であり、画像上の画素の投影への寄与を表し、λkはk回目の反復時の緩和係数である。
【0091】
統計反復再構成アルゴリズム式は、以下のとおりである。
【0092】
【0093】
式において、[数13]は画像上のj番目の画素がk回目の反復時の画素値を示し、cijはシステム伝送行列において、第i行第j列の値は、画像上のj番目の点がi番目の検知ユニットへの寄与を示し、[数14]は画像上のj番目の画素がk+1回目の反復時の画素値を示し、cijはシステム伝送行列において、第i行第j列の値であり、画像上のj番目の点がi番目の検知ユニットへの寄与を示す。
【0094】
【0095】
【0096】
本実施例の表示ユニット303は、画像再構成ユニット302により形成されたデジタル化画像を受信して表示する。
【0097】
また、本開示の実施例は、さらに、前述のいずれかのSPECT結像システムを応用する結像方法を提供する。結像方法は、
被検体内の放射源から放射されたガンマ光子を受信してデジタル信号に変換するステップと、
前記デジタル信号を受信して処理し、各入射されたガンマ光子の入射情報を取得するステップと、
複数の入射されたガンマ光子の入射情報を受信して処理し、被検体内の放射源の分布情報を取得し、デジタル化画像を形成するステップと、
画像再構成ユニット302により形成されたデジタル化画像を受信して表示するステップと、を含む。
【0098】
本開示の一実施例において、一つ以上の検知コリメートユニット層を含む複数の検知装置2は、被検体30内の放射源から放射されたガンマ光子を受信してデジタル信号に変換することができる。デジタル処理ユニット301は、複数の検知装置2から出力されたデジタル信号を受信して信号を一つずつ処理し、各入射されたガンマ光子の位置、エネルギー、時間などの情報を取得することができる。画像再構成ユニット302は、単位時間内のデータ処理ユニット301から出力された複数のガンマ光子の位置、エネルギー、時間等の情報を受信することができ、画像再構成アルゴリズム(例えば、解析再構成アルゴリズム、代数反復アルゴリズム又は統計反復再構成アルゴリズム)により求め、被検体30内の放射源の分布情報を取得し、同時にデジタル化画像を形成する。表示ユニット303は、画像再構成ユニット302で形成されたデジタル化画像を最終的に表示する。
【0099】
本開示の実施例は、さらに、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、コンピュータ命令が記憶され、コンピュータ命令が実行される時に以上の結像方法の各ステップを実行する。
【0100】
本開示の実施例は、さらに、端末を提供し、メモリ及びプロセッサを含み、メモリにプロセッサで実行可能なコンピュータ命令が記憶され、プロセッサがコンピュータ命令を実行する時に以上の結像方法の各ステップを実行する。
【0101】
以上説明したように、本開示の提供する検知コリメートユニット、検知装置及びSPECT結像システムは、ガンマ線方向コリメートの効果を実現するだけでなく、光子検知の目的を達成し、画像品質に影響を与えない。そして、従来の放射線の通過を許可しない重金属コリメートを採用する結像システムと比較して、ガンマ光子の損失を回避することができるだけでなく、ガンマ光子の検知効率を大幅に向上させ、かつSPECT結像システムを応用して結像する画像品質に影響を与えることがなく、同時に重金属コリメートにおいて複数の小平行孔又はピンホールを加工する加工プロセスの難しさを回避し、加工プロセスを簡略化する。
【0102】
また、従来の結像におけるプローブ部分が本開示の検知装置であるように最適化することにより、システム感度及び識別度を実現すると同時に顕著に向上する。
【0103】
【0104】
視野範囲及びシンチレーション結晶サイズなどのパラメータを合理的に設計することにより、本開示のSPECT結像システムは、従来の重金属コリメートを設置する結像システム(ガンマ光子の検知効率が約0.01%であり、システムの結像解像度が約12mmである)に比べて、ガンマ光子の検知効率(0.1%~1%以上に達することができる)及び解像度(0.1mm~1mmよりも小さい)を大幅に向上させる。
【0105】
上記具体的な実施形態は、本開示の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば理解すべきこととして、設計要件及び他の要因に依存し、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション及び代替を行うことができる。本開示の精神と原則内で行われた任意の修正、均等置換及び改善などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】