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特表2023-538032混合廃プラスチック熱分解油からの商業グレードの超低硫黄ディーゼル生成方法
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  • 特表-混合廃プラスチック熱分解油からの商業グレードの超低硫黄ディーゼル生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】混合廃プラスチック熱分解油からの商業グレードの超低硫黄ディーゼル生成方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
C10G1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511602
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 GB2021051924
(87)【国際公開番号】W WO2022034287
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】2012708.0
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523050335
【氏名又は名称】クリーン・プラネット・エナジー・ア・トレイディング・ネイム・オブ・パイロプラスト・エナジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オジョ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンズ,バーティ
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC13
4H129BC15
4H129BC34
4H129BC35
4H129BC37
4H129NA01
4H129NA02
4H129NA04
4H129NA05
4H129NA23
4H129NA31
4H129NA32
4H129NA43
(57)【要約】
本発明は、混合廃プラスチックに由来する熱分解油流を提供するステップと、熱分解油流を分別凝縮に供して、3つの熱分解油留分を得るステップと、熱分解油留分の特性を決定するステップと、所定の製品仕様を有する生成物を得るための水素化品質向上セクションに供給される熱分解油留分の調整された割合を決定するステップと、熱分解油水素化品質向上セクションに調整された割合の熱分解油留分を供給し、水素化品質向上操作を実行するステップと、熱分解油留分の調整された割合及び所定の製品仕様に従って、熱分解油水素化品質向上セクションの1つ以上の制御パラメータを調整するステップと、水素化品質向上セクション出口流を分離し、所定の製品仕様を有する生成物流を得るステップと、を含む、混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させる方法を提供する。このようにして、熱分解油の品質向上は、プレミアムな市場価値を達成することができる均一な市販グレードの燃料を得るために、混合プラスチック廃棄物熱分解に由来する熱分解油の特性の大きな変動性に合わせて調整及び適合させることができる。この方法は、太陽光発電エネルギーによって電力供給される水電解によるその場水素発生を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させる方法であって、
-混合廃プラスチック熱分解に由来する熱分解油流を提供するステップと、
-前記熱分解油流を3段階分別凝縮に供して、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分を得るステップと、
-ディーゼル生成物流の1つ以上の特性を取得するステップと、
-所定のディーゼル生成物仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の調整された割合を決定するステップと、
-熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに前記調整された割合で前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分を供給して、水素化品質向上操作を実行するステップと、
-前記水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の調整された割合、前記ディーゼル生成物流の前記取得された1つ以上の特性、並びに前記所定のディーゼル生成物仕様に従って、前記熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整するステップと、
-水素化品質向上セクション出口流を分離して、前記所定のディーゼル生成物仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記熱分解油流の前記3段階分別凝縮が、前記重質熱分解油留分を分離するための320~340℃の温度での第1の凝縮を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱分解油流の前記3段階分別凝縮が、前記中質熱分解油留分を分離するための170~190℃の温度での第2の凝縮を含み得る、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱分解油流の前記3段階分別凝縮が、前記軽質熱分解油留分とガス留分とを分離するための40~60℃の温度での第3の凝縮を含み得る、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の凝縮後に残存するガス留分が、水素化品質向上セクション及び/又は分離のための燃料として使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ディーゼル生成物流の1つ以上の特性を取得することが、圧力、温度、流量、PIONA分析値、密度、粘度、腐食性、臭素価、流動点、曇り点、硫黄含有量、セタン価及び/又はSARA価の群から選択される1つ以上の特性のインライン又はオフラインのデータ取得を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の1つ以上の特性を取得することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の1つ以上の特性をそれぞれ取得することが、各熱分解油留分の圧力、温度、流量、PIONA分析値、密度、粘度、腐食性、臭素価、流動点、曇り点、硫黄含有量及び/又はSARA価の群から選択される1つ以上の特性のインライン又はオフラインのデータ取得を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整することが、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の取得された1つ以上の特性に従っても行われる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
所定のディーゼル生成物仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の調整された割合を決定するステップが、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の取得された1つ以上の特性を考慮に入れる、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱分解油水素化品質向上の操作が、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分を異なる割合及びそれらの組み合わせで水素化分解及び/又は水素化処理することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱分解油水素化品質向上の操作が、前記重質熱分解油留分の少なくとも一部のハイブリッド流体接触分解を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
所定の製品仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の調整された割合を決定することと、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の調整された割合並びに前記所定の製品仕様に従って前記熱分解油水素化品質向上セクションの1つ以上の制御パラメータを調整することとが、プログラム可能な処理ユニットを備える動的制御システムによって実施される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
所定の製品仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の調整された割合を決定することと、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の調整された割合並びに前記所定の製品仕様に従って前記熱分解油水素化品質向上セクションの1つ以上の制御パラメータを調整することとが、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び/又は前記軽質熱分解油留分の取得された1つ以上の特性を考慮に入れて行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記熱分解油水素化品質向上の操作が、太陽エネルギーによって電力供給される水電解によるその場水素発生を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水素化品質向上セクション出口流を分離して、所定の製品仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得ることが、1つ以上の水素化品質向上セクション出口流の分別蒸留を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションであって、
-混合廃プラスチック熱分解油供給流を提供するための手段と、
-前記熱分解油供給流の3段階分別凝縮を実行し、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分を得るための直列に接続された3つの冷却器と、
-少なくとも1つの熱分解油留分又はそれらの組み合わせに対して水素化品質向上操作を実行するための熱分解油水素化品質向上セクションと、
-水素化品質向上セクション出口流を分離して、ディーゼル生成物流を得るための分離ユニットと、
-前記ディーゼル生成物流の1つ以上の特性を取得し、所定のディーゼル生成物仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の調整された割合を決定するためと、前記水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の調整された割合、前記ディーゼル生成物流の前記取得された1つ以上の特性、並びに前記所定のディーゼル生成物仕様に従って、前記熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整するためとの動的制御システムと
を備える、混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション。
【請求項18】
動的制御システムが、前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の1つ以上の特性を取得又は監視し、所定の製品仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の調整された割合を決定し、前記水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の調整された割合と、前記ディーゼル生成物流の取得された特性並びに前記重質熱分解油留分、前記中質熱分解油留分及び前記軽質熱分解油留分の特性と、前記所定の製品仕様とに従って、前記熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整するように構成されている、請求項17に記載の混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション。
【請求項19】
前記熱分解油水素化品質向上セクションが、水素化処理ユニット及び水素化分解ユニットのうちの少なくとも1つを備える、請求項17又は18に記載の混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション。
【請求項20】
前記熱分解油水素化品質向上セクションが、前記重質熱分解油留分の少なくとも一部を処理するためにハイブリッド流体接触分解ユニットを備える、請求項17~19のいずれか一項に記載の混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション。
【請求項21】
水素を発生するための電気分解装置を備える、請求項17~20のいずれか一項に記載の混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション。
【請求項22】
太陽光発電設備を備える、請求項17~21のいずれか一項に記載の混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工学の一般的な技術分野、より詳細には、従来の石油精製技術を使用して熱分解油を品質向上させることによって商業グレードの燃料を生成するための熱分解による混合廃プラスチックリサイクルの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック廃棄物は、今日、先進社会において大きな環境問題である。プラスチック廃棄物は、その低いかさ密度のために、埋め立て地において大きな体積を占める。先進国では、埋め立てスペースがますます狭くなっており、したがって、埋め立て地に堆積されるプラスチック廃棄物の量を最小限に抑える必要がある。混合プラスチック廃棄物は、家庭内のごみ分別から回収されるため、含有するプラスチックの多様性及びその中に存在する不純物のレベルのために、再利用又はリサイクルが困難である。第三国への輸出又は熱分解による燃料へのその変換を含む、混合プラスチック廃棄物に対処する選択肢は限られている。
【0003】
第三国は、先進国からのプラスチック廃棄物を受け入れることにますます消極的になっており、したがって、混合廃プラスチックを燃料に変換する選択肢が必要になるだけでなく、原油由来燃料への依存を減らすと同時に、海洋などの世界的な生息環境における廃プラスチック汚染を減らす機会にもなり得る。
【0004】
現在、混合廃プラスチックを熱分解によってリサイクルして、それに由来する熱分解油を生成し、後加工をほとんど又は全く伴わずに熱分解ユニットから直接来るものとして販売するいくつかの事業者が存在する。廃プラスチックに由来する未処理又は未加工の熱分解油は、多くの問題又は欠点を呈する:
-それは、点火特性、流動点、粘度及び密度の点で市販グレードの燃料と比較して低品質の燃料である。
【0005】
-それは、プラスチック添加剤に由来するかなりの量の硫黄、窒素、ハロゲン及び金属を含有し、したがって多くの商業グレードの燃料規制に適合しないので、有害又は汚れた燃料である。
【0006】
-それは、その高い酸素含有量のために非常に不安定である。
【0007】
-それは、高度にオレフィン性又は不飽和であり、長期間貯蔵するその能力を低下させる。
【0008】
-その特性は、混合プラスチック廃棄物の組成に依存しすぎるため、非常に変わりやすい。
【0009】
上記のすべての欠点は、廃プラスチック由来の熱分解油を市場価値の低い燃料にし、これにより、混合廃プラスチックリサイクルが投資家にとって魅力のない方法になり、したがって、混合プラスチック廃棄物の問題は、発生する廃プラスチックの量が絶えず増加し、その輸出の選択肢が現在減少しているため、それが対処される必要性が最も高いシナリオでは未解決のままである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様は、
-混合廃プラスチック熱分解に由来する熱分解油流を提供するステップと、
-熱分解油流を3段階分別凝縮に供して、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分を得るステップと、
-ディーゼル生成物流の1つ以上の特性を取得するステップと、
-所定のディーゼル生成物仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の調整された割合を決定するステップと、
-熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに調整された割合で重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分を供給して、水素化品質向上操作を実行するステップと、
-水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の調整された割合、ディーゼル生成物流の取得された1つ以上の特性、並びに所定のディーゼル生成物仕様に従って、熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整するステップと、
-水素化品質向上セクション出口流を分離して、所定の製品仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るステップと
を含む、混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させる方法を提供する。
【0011】
上記の混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させる方法の最も重要な利点のうちの1つは、より一貫した特性を有する燃料を得るために熱分解油の特性の大きな変動を排除し、したがってその市場価値を高めることである。
【0012】
別の重要な利点は、非常に少量の硫黄、窒素、ハロゲン、不飽和(二重結合)及び酸素化物を有する燃料である生成物流が生成され、したがって、それは、商業グレードの燃料規制に適合することができ、その超クリーン燃焼のためにプレミアム価格で販売することができるので、高い市場価値を有する商業グレードの燃料製品になることである。
【0013】
熱分解油水素化品質向上の操作は、オレフィン飽和、水素化脱硫、水素化脱窒、水素化脱酸素化、水素化脱金属又は水素化脱金属、水素化脱芳香族化、脱環化並びに分解及び異性化の効果を、処理の重大さに応じて様々な程度まで有する。
【0014】
別の利点は、流動点、潤滑性、点火パラメータなどの点で、生成物流が熱分解油よりも優れた燃料であることであり、したがって、これはまた、そのためのプレミアム価格を得ることを可能にする。
【0015】
これらすべての利点は、混合廃プラスチックのリサイクルの選択肢を魅力的な投資にするために一緒になり、したがって、プラスチック廃棄物汚染における劇的な世界的減少を意味するこのリサイクル技術の世界的な採用をもたらす。
【0016】
熱分解油流の3段階分別凝縮は、重質熱分解油留分を分離するために320~340℃の温度での第1の凝縮を含み得る。
【0017】
熱分解油流の3段階分別凝縮は、中質熱分解油留分を分離するために170~190℃の温度での第2の凝縮を含み得る。
【0018】
熱分解油流の3段階分別凝縮は、軽質熱分解油留分とガス留分とを分離するために40~60℃の温度での第3の凝縮を含み得る。
【0019】
第3の凝縮後に残ったガス留分は、水素化品質向上セクション及び/又は分離のための燃料として使用され得る。
【0020】
したがって、重質熱分解油留分は、600~320-340℃の沸点範囲を有し得、中質熱分解油留分は、320-341~170-190℃の沸点範囲を有し得、軽質熱分解油留分は、170-190~40-60℃の沸点範囲を有し得る。
【0021】
ディーゼル生成物流の1つ以上の特性を取得することは、圧力、温度、流量、PIONA分析値、密度、粘度、腐食性、臭素価、流動点、曇り点、セタン価、硫黄含有量及び/又はSARA価のような特性のインライン又はオフラインのデータ取得を含み得る。
【0022】
この方法は、それぞれ、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の1つ以上の特性を取得することを含み得、これは、各熱分解油留分の圧力、温度、流量、PIONA分析値、密度、粘度、腐食性、臭素価、流動点、曇り点、硫黄含有量、SARA価などのような特性のインライン又はオフラインのデータ取得を含み得る。
【0023】
この方法は、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の取得された1つ以上の特性にも応じて、熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整するステップを含み得る。
【0024】
所定のディーゼル生成物仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の調整された割合を決定するステップはまた、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の取得された1つ以上の特性を考慮に入れることができる。
【0025】
熱分解油水素化品質向上の操作は、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分を異なる割合及び組み合わせで水素化分解及び/又は水素化処理することを含み得る。
【0026】
水素化分解は、典型的には、適切な触媒の存在下で水素に富む雰囲気中で供給流を高温(260~425℃)及び高圧(35~200bar)に供することを含む。典型的には、水素化分解は、二重結合が飽和し、硫黄、窒素、酸素及び金属などの他のヘテロ原子が炭化水素鎖から水素によって除去されると同時に大きな炭化水素分子がより小さな分子に分解するように、高い水素分圧下及び高温下で二重機能を有する触媒反応器中で実行される。同時に、芳香族化合物は、飽和して環状化合物になり、いくらかのさらなる分岐が生成され得る。
【0027】
水素化処理は、典型的には、適切な触媒の存在下で水素に富む雰囲気中で供給流を高温及び高圧に供することを含む。典型的には、水素化処理は、二重結合が飽和し、硫黄、窒素、酸素及び金属などの他のヘテロ原子が炭化水素鎖から水素によって著しく分解することなく除去されるように、高い水素分圧下及び高温下のニッケル-モリブデン又はコバルト-モリブデン触媒を用いた触媒反応器中で実行される。同時に、芳香族化合物は、飽和して環状化合物になり、いくらかのさらなる分岐が生成され得る。
【0028】
任意選択的に、熱分解油水素化品質向上の操作は、重質熱分解油留分の少なくとも一部のハイブリッド流体接触分解を含み得る。このようにして、重質熱分解油留分の平均分子量を少なくとも部分的に減少させることによって、工程全体のディーゼル油収率を改善することが可能である。
【0029】
所定の製品仕様を有する生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションに供給される重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び/又は軽質熱分解油留分の調整された割合を決定し、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分の調整された割合及び所定の製品仕様に従って熱分解油水素化品質向上セクションの1つ以上の制御パラメータを調整することは、プログラム可能な処理ユニットを備える動的制御システムによって実施され得る。
【0030】
熱分解油水素化品質向上の操作は、太陽エネルギーによって電力供給される水電解によるその場水素発生を含み得る。この特徴は、自由なエネルギー源を使用することによって、操作の収益性マージンを増加させるのに役立つ。さらに、太陽エネルギーは、再生可能エネルギー源であり、これにより工程の環境フットプリントが減少する。
【0031】
水素化品質向上セクション出口流を分離して、所定の製品仕様を有する生成物流を得ることは、1つ以上の水素化品質向上セクション出口流の分別蒸留を含み得る。分別蒸留は、典型的には蒸留塔で実施され、その出口流のうちの1つが生成物流である。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、
-混合廃プラスチック熱分解油供給流と、
-重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分を得るために熱分解油供給流の3段階分別凝縮を実行するために直列に接続された3つの冷却器と、
-少なくとも1つの熱分解油留分又はそれらの組み合わせに対して水素化品質向上操作を実行するための熱分解油水素化品質向上セクションと、
-水素化品質向上セクション出口流を分離して生成物流を得るための分離ユニットと、
-ディーゼル生成物流の1つ以上の特性を取得し、所定の製品仕様に可能な限り近い1つ以上の特性を有するディーゼル生成物流を得るための熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットに供給される重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分の調整された割合を決定するためと、水素化品質向上セクション及び所定の製品仕様の各ユニットに供給される重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分の調整された割合に従って、熱分解油水素化品質向上セクションの各ユニットの1つ以上の制御パラメータを調整するために構成された動的制御システムと、を備える、混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションが提供される。
【0033】
上述の混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションは、本発明の第1の態様に記載の混合廃プラスチック熱分解油を経済的に実行可能な方法で品質向上させる方法を実施するのに適している。それは、供給原料中の熱分解油特性の高い変動性にもかかわらず、市場でプレミアム価格を得るために必要な特性均一性を有する市販グレードの燃料を得ることを可能にする。これは、部分的には、直列に接続された3つの冷却器における分別凝縮による3つの留分の熱分解油流の分割、及び初期熱分解油特性から最終生成物特性を切り離すことを可能にし、したがってオペレータがより均一な市販グレードの生成物を得ることを可能にするこれらの留分のそれぞれの種々の割合の水素化品質向上に起因する。
【0034】
任意選択的に、動的制御システムは、それぞれ、重質熱分解油留分、中質熱分解油留分及び軽質熱分解油留分の1つ以上の特性を取得又は監視するように構成され得る。
【0035】
熱分解油水素化品質向上セクションは、水素化処理ユニット及び水素化分解ユニットのうちの少なくとも1つを備え得る。
【0036】
水素化処理ユニット又は水素化分解ユニットはいずれも、オレフィン飽和、水素化脱硫、水素化脱窒、水素化脱酸素、水素化脱金属又は水素化脱金属、水素化脱芳香族化、脱環化の効果を有し、水素化分解ユニットは、処理の重大さに応じて様々な程度まで分解及び異性化の効果をさらに有する。これらの効果は、酸素化物、不飽和、金属及びヘテロ原子のその含有量が高く、芳香族含有量が中程度であるため、熱分解油に非常に適している。
【0037】
任意選択的に、熱分解油水素化品質向上セクションは、重質熱分解油留分の平均鎖長を短縮することによってディーゼル全体の収率を改善するために、重質熱分解油留分の少なくとも一部を処理するためのハイブリッド流体接触分解ユニットを備え得る。
【0038】
任意選択的に、混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションは、水素を発生するための電気分解装置を備える。このようにして、水素化処理又は水素化分解を実行するために必要な水素のコストが大幅に低減され、これは方法の経済的実行可能性にとって重要であり得る。
【0039】
任意選択的に、混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションは、太陽光発電設備を備える。このようにして、水素化処理又は水素化分解のために水素を発生するのに必要な電気コストが大幅に削減され、これは方法の経済的実行可能性にとって重要であり得る。さらに、再生可能エネルギーから発電することにより、混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションの環境フットプリントが大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1の実施形態による、混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションの流れ図である。
図2】本発明の第2の実施形態による、混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションの流れ図である。
図3】本発明の第3の実施形態による混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションの流れ図である。
図4】本発明の第4の実施形態による、混合廃プラスチック熱分解油を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を以下に詳細に説明する:
図1を参照すると、本発明の実施形態による混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション10の流れ図が示されている。混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクションは、混合廃プラスチック熱分解ユニットから来る熱分解油供給流12を含む。
【0042】
熱分解油は、液体状態の重質熱分解油留分16を分離するために320~340℃の温度に保たれた第1の冷却器14に供給される。第1の冷却器14のガス状出口18は、液体状態の中質熱分解油留分22を分離するために170~190℃の範囲の温度に保たれた第2の冷却器20に供給される。第2の冷却器20のガス状出口24は、液体状態の軽質熱分解油留分28を分離するために40~60℃の範囲の温度に保たれた第3の冷却器26に供給される。第3の冷却器26のガス状出口30は、熱分解油水素化品質向上セクション32のための熱を生成するための燃料として使用される。
【0043】
熱分解油水素化品質向上セクション32は、ハイブリッド流体接触分解ユニット34及び水素化処理ユニット38を備える。重質熱分解油留分16は、ハイブリッド流体接触分解ユニット34に供給されるのに対して、中質熱分解油留分22は、部分的にハイブリッド流体接触分解ユニット34に供給され、部分的に水素化処理ユニット38に供給される。熱分解油軽質留分28は、中質熱分解油留分22の一部及びハイブリッド流体接触分解ユニット出口流42と共に水素化処理ユニット38に供給される。水素化処理ユニット出口流44は、蒸留塔46に供給されて、熱分解油水素化品質向上セクション32に動力供給するための燃料として使用される煙道ガス流48、超低硫黄ナフサ流50、超低硫黄ディーゼル流52及び超低硫黄燃料油流54を得る。超低硫黄ナフサ流50、超低硫黄ディーゼル流52及び超低硫黄燃料油流54は、特性調整をほとんど又は全く伴わずにプレミアム価格で商品化することができる。
【0044】
混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション10は、ディーゼル生成物流52のセタン価、密度及び粘度を取得又は監視し、15℃での820~845kg/mの密度、40℃での2.5~4mm/sの粘度、10mg/kg未満の硫黄含有量及び51を超えるセタン価の製品仕様に可能な限り近い密度、セタン価及び粘度を有する超低硫黄ディーゼル流52を得るための熱分解油水素化品質向上セクション32の各ユニット34、38にそれぞれ供給される中質熱分解油留分22の割合を決定するため、並びに熱分解油水素化品質向上セクション32の各ユニット34、38に供給される重質熱分解油留分16、中質熱分解油留分22及び軽質熱分解油留分28の調整された割合、並びに上記で取得されたディーゼル生成物特性及び所定のディーゼル生成物仕様に従って、水素化品質向上セクション32中の各ユニット34、38の温度、圧力、滞留時間及び水素流のうちの1つ以上を調整又は制御するために構成された制御システム(図示せず)を備える。
【0045】
図2を参照すると、本発明の別の実施形態による混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション100の流れ図が示されている。混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション100は、混合廃プラスチック熱分解ユニット(図示せず)から来る熱分解油供給流112を含む。
【0046】
熱分解油は、液体状態の重質熱分解油留分116を分離するために320~340℃の温度に保たれた第1の冷却器114に供給される。第1の冷却器114のガス状出口118は、液体状態の中質熱分解油留分122を分離するために170~190℃の範囲の温度に保たれた第2の冷却器120に供給される。第2の冷却器120のガス状出口124は、液体状態の軽質熱分解油留分128を分離するために40~60℃の範囲の温度に保たれた第3の冷却器126に供給される。第3の冷却器126のガス状出口130は、熱分解油水素化品質向上セクション132のための熱を生成するための燃料として使用される。
【0047】
熱分解油水素化品質向上セクション132は、水素化処理ユニット138を備える。重質熱分解油留分116は、水素化処理ユニット138に部分的に供給され、低硫黄燃料油生成物流154と部分的に混合されるのに対して、中質熱分解油留分122は、水素化処理ユニット138に完全に供給され、熱分解油軽質留分128は、中質熱分解油留分122及び重質熱分解油留分116の一部と共に水素化処理ユニット138に部分的に供給され、低硫黄ナフサ生成物流150と部分的に混合される。水素化処理ユニット出口流144は、蒸留塔146に供給されて、熱分解油水素化品質向上セクション132に動力供給するための燃料として使用される煙道ガス流148、低硫黄ナフサ流150、超低硫黄ディーゼル流152及び低硫黄燃料油流154を得る。低硫黄ナフサ流150、超低硫黄ディーゼル流152及び低硫黄燃料油流154は、特性調整をほとんど又は全く伴わずにプレミアム価格で商品化することができる。
【0048】
混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション100は、超低硫黄ディーゼル流152のセタン価、密度及び粘度を取得し、15℃で820~845kg/mの密度、40℃で2.5~4mm/sの粘度、10mg/kg未満の硫黄含有量及び51を超えるセタン価に可能な限り近い密度、粘度及びセタン価を有する超低硫黄ディーゼル流152を得るための熱分解油水素化品質向上セクション132の水素化処理ユニット138に中質熱分解油留分122と共に、それぞれ供給される重質熱分解油留分116及び軽質熱分解油留分128の割合を決定するため、並びに水素化品質向上セクション32の前記ユニット138に供給される重質熱分解油留分116、中質熱分解油留分122及び軽質熱分解油留分128の調整された割合、取得された超低硫黄ディーゼル生成物流152の特性及び上記の所定のディーゼル生成物仕様に従って、熱分解油水素化品質向上セクション132中の水素化処理ユニット138の温度、圧力、滞留時間及び水素流を調整又は制御するために構成された動的制御システム(図示せず)を備える。
【0049】
図3を参照すると、本発明の別の実施形態による混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション200の流れ図が示されている。混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション200は、混合廃プラスチック熱分解ユニット(図示せず)から来る熱分解油供給流212を含む。
【0050】
熱分解油は、液体状態の重質熱分解油留分216を分離するために320~340℃の温度に保たれた第1の冷却器214に供給される。第1の冷却器214のガス状出口218は、液体状態の中質熱分解油留分222を分離するために170~190℃の範囲の温度に保たれた第2の冷却器220に供給される。第2の冷却器220のガス状出口224は、液体状態の軽質熱分解油留分228を分離するために40~60℃の範囲の温度に保たれた第3の冷却器226に供給される。第3の冷却器226のガス状出口230は、熱分解油水素化品質向上セクション232のための熱を生成するための燃料として使用される。
【0051】
熱分解油水素化品質向上セクション232は、2つの水素化処理ユニット236、238及び水素化分解ユニット234を備える。重質熱分解油留分216は、中質熱分解油留分222aの一部と共に第1の水素化処理ユニット236に供給されるのに対して、中質熱分解油留分222bの他の部分は、軽質熱分解油留分228と共に第2の水素化処理ユニット238に供給される。第1の水素化処理ユニット出口流240は、水素化分解ユニット234に供給される。水素化分解ユニット出口流242は、第2の水素化処理ユニット出口流244と共に蒸留塔246に供給されて、熱分解油水素化品質向上セクション232に動力供給するための燃料として使用される煙道ガス流248、超低硫黄ナフサ流250、超低硫黄ディーゼル流252及び超低硫黄燃料油流254を得る。超低硫黄ナフサ流250、超低硫黄ディーゼル流252及び超低硫黄燃料油流254は、特性調整をほとんど又は全く伴わずにプレミアム価格で商品化することができる。
【0052】
混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション200は、超低硫黄ディーゼル生成物流252のセタン価、密度及び粘度を取得又は監視し、15℃で820~845kg/mの密度、40℃で2.5~4mm/sの粘度、10mg/kg未満の硫黄含有量及び51を超えるセタン価に可能な限り近い密度、粘度及びセタン価を有する超低硫黄ディーゼル生成物流252を得るための熱分解油水素化品質向上セクション232の各水素化処理ユニット236、238にそれぞれ供給される中質熱分解油留分222の割合を決定するため、並びに水素化品質向上セクション232の各水素化処理ユニット236、238に供給される重質熱分解油留分216、中質熱分解油留分222及び軽質熱分解油留分228の割合、取得された超低硫黄ディーゼル生成物流252の特性及び上記の所定のディーゼル生成物仕様に従って、熱分解油水素化品質向上セクション232中の各ユニット234、236、238の温度、圧力、滞留時間及び水素流を調整又は制御するために構成された動的制御システム(図示せず)を備える。
【0053】
図4を参照すると、本発明の実施形態による混合廃プラスチック熱分解を品質向上させるための混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション300の流れ図が示されている。混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション300は、混合廃プラスチック熱分解ユニット(図示せず)から来る熱分解油供給流312を含む。
【0054】
熱分解油は、液体状態の重質熱分解油留分316を分離するために320~340℃の温度に保たれた第1の冷却器314に供給される。第1の冷却器314のガス状出口318は、液体状態の中質熱分解油留分322を分離するために170~190℃の範囲の温度に保たれた第2の冷却器320に供給される。第2の冷却器320のガス状出口324は、液体状態の軽質熱分解油留分328を分離するために40~60℃の範囲の温度に保たれた第3の冷却器326に供給される。第3の冷却器326のガス状出口330は、熱分解油水素化品質向上セクションのための熱を生成するための燃料として使用される。
【0055】
熱分解油水素化品質向上セクション332は、ハイブリッド流体接触分解ユニット(HFCC)336及び水素化処理ユニット338を備える。重質熱分解油留分316は、HFCCユニット336に完全に供給されるのに対して、中質熱分解油留分322は、HFCCユニット出口流340及び軽質熱分解油留分328aの一部と共に水素化処理ユニット338に完全に供給されるのに対して、軽質熱分解油留分328bの残りの部分は、低硫黄ナフサ流350と混合される。水素化処理ユニット出口流344は、蒸留塔346に供給されて、熱分解油水素化品質向上セクション332に動力供給するための燃料として使用される煙道ガス流348、低硫黄ナフサ流350、超低硫黄ディーゼル流352及び低硫黄燃料油流354を得る。低硫黄ナフサ流350、超低硫黄ディーゼル流352及び低硫黄燃料油流354は、特性調整をほとんど又は全く伴わずにプレミアム価格で商品化することができる。
【0056】
混合廃プラスチックリサイクルプラントサブセクション300は、超低硫黄ディーゼル生成物流352のセタン価、密度及び粘度を取得又は監視し、15℃で820~845kg/mの密度、40℃で2.5~4mm/sの粘度、10mg/kg未満の硫黄含有量及び51を超えるセタン価に可能な限り近い密度、粘度及びセタン価を有する超低硫黄ディーゼル生成物流352を得るための熱分解油水素化品質向上セクション332の水素化処理ユニット338に供給される軽質熱分解油留分328aの割合を決定するため、並びに水素化品質向上セクション332の各ユニット336、338に供給される重質熱分解油留分316、中質熱分解油留分322及び軽質熱分解油留分328の相対的割合、取得された超低硫黄ディーゼル流252の特性及び上記の所定のディーゼル生成物仕様に従って、熱分解油水素化品質向上セクション332中の各ユニット336、338の温度、圧力、滞留時間及び水素流を調整又は制御するために構成された動的制御システム(図示せず)を備える。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】