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特表2023-538050被験者の生理学的状態を改善するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】被験者の生理学的状態を改善するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/00 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A61M21/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511848
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 NL2021050514
(87)【国際公開番号】W WO2022039598
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2026299
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232721
【氏名又は名称】リキッド・オキシゲン・(エルオーイクス)・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パウルス・オーメン
(72)【発明者】
【氏名】ロナ・ゲフィン
(57)【要約】
被験者、例えばヒトまたは動物の生理学的状態を改善する方法が開示される。この方法は、音声信号を被験者に提供するステップを含み、音声信号は、被験者に対する位置および形状を有する仮想音源に関連付けられる。仮想音源は複数の仮想点によって規定され、各仮想点は被験者に対する位置を有する。音声信号は、仮想音源のそれぞれの仮想点の音声信号成分を含み、各音声信号成分は、音声信号が、被験者に対する前記位置および前記形状を有する仮想音源に由来するものとして被験者によって知覚されるように、その関連する仮想点の仮想位置に基づいて決定される。さらに、この方法を実行するためのシステムも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者、例えばヒトまたは動物の生理学的状態を改善するための方法であって、
前記被験者に音声信号を提供するステップであって、前記音声信号は、前記被験者に対する位置および形状を有する仮想音源に関連付けられる、ステップ、を含み、
前記仮想音源は複数の仮想点によって規定され、各仮想点は前記被験者に対する位置を有し、
前記音声信号は、前記仮想音源のそれぞれの前記仮想点の音声信号成分を含み、各音声信号成分は、前記音声信号が、前記被験者に対する前記位置および前記形状を有する前記仮想音源に由来するものとして前記被験者によって知覚されるように、その関連する仮想点の仮想位置に基づいて決定される、方法。
【請求項2】
非治療的方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記音声信号は、
- 前記被験者に対する前記仮想点のそれぞれの前記位置を規定する仮想音源情報を取得するステップであって、前記仮想点が、前記被験者に対する前記位置および前記形状を有する前記仮想音源を規定する、ステップと、
- 入力音声信号を取得するステップと、
- 前記入力音声信号に基づいて、および前記仮想点のそれぞれの前記位置に基づいて、それぞれの前記仮想点のそれぞれの前記音声信号成分を決定するステップと、によって取得可能であり、
それぞれ仮想点に関連付けられている各音声信号成分について、前記音声信号成分を決定するステップは、
- 変更された音声信号成分を取得するために、時間遅延を導入する信号遅延操作を使用して、前記入力音声信号を変更するステップであって、前記時間遅延は、前記仮想音源の次元形状に対する前記音声信号成分に関連付けられた前記仮想点の前記規定された位置に基づく、ステップ、
- 前記入力音声信号、または前記入力音声信号の反転および/もしくは減衰版もしくは増幅版と、前記変更された音声信号成分との組合せ、例えば合計に基づいて前記音声信号成分を決定するステップ、および
- 前記音声信号を取得するために、前記決定された音声信号成分を組み合わせるステップ、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記入力音声信号は、音叉によって、好ましくは重み付けされていない音叉によって生成される音声信号である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数のラウドスピーカを使用して前記被験者に前記音声信号を提供するステップと、
各ラウドスピーカのラウドスピーカ音声信号を決定するステップであって、各ラウドスピーカ音声信号は複数の前記音声信号成分に基づいて決定される、ステップと、
前記ラウドスピーカ音声信号をそれぞれの前記ラウドスピーカに提供するステップと、
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ラウドスピーカごとにラウドスピーカ音声信号を決定するステップは、ラウドスピーカ音声信号ごとに、減衰された音声信号成分のラウドスピーカ固有のセットを取得するために、ラウドスピーカ固有の係数に基づいて各音声信号成分を減衰させるステップと、減衰された音声信号成分の前記ラウドスピーカ固有のセット内の前記減衰された音声信号成分を結合する、例えば合計するステップと、を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のラウドスピーカは、前記被験者の前のラウドスピーカと、前記被験者の後ろのラウドスピーカと、前記被験者の右側のラウドスピーカと、前記被験者の左側のラウドスピーカと、前記被験者の上方のラウドスピーカと、前記被験者の下方のラウドスピーカとを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のラウドスピーカは、少なくとも8つのラウドスピーカ、すなわち、
- 前記被験者の上方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の前であって、下方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の前であって、左側であって、上方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の前であって、右側であって、上方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の後ろであって、上方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の後ろであって、左側であって、下方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の後ろであって、右側であって、下方のラウドスピーカと、
- 前記被験者の下方のラウドスピーカと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記仮想音源が、立方体、または角錐、または球体として形作られている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記音声信号は、前記仮想音源が前記被験者を取り囲んでいると前記被験者によって知覚されるように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記被験者を取り囲む複数のラウドスピーカを使用して、前記音声信号を前記被験者に提供するステップを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記音声信号が、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、より好ましくは少なくとも5分間、前記被験者に提供される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記音声信号に関連付けられた前記仮想音源は、前記音声信号が前記被験者に提供されている間に形状および/または位置を変化させ、したがって、前記仮想音源を規定するそれぞれの前記仮想点の前記被験者に対するそれぞれの位置は、前記音声信号が、前記被験者に対する様々な位置および/または方向を有する前記仮想音源に由来するものとして前記被験者によって知覚されるように、前記音声信号が前記被験者に提供される間に変化する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記仮想音源の1つまたは複数の仮想点は、前記被験者の下の深さに仮想的に配置され、
前記音声信号は、
前記被験者の下の仮想深度に配置されている仮想点に関連付けられた各音声信号成分について、問題の前記音声信号成分に深さ特性を追加するステップであって、前記音声信号成分の変更版を取得するために、時間遅延を導入する時間遅延操作、信号減衰、および信号フィードバック操作を使用して、問題の前記音声信号成分を変更するステップを含む、ステップと、前記音声信号成分の前記変更版と問題の前記音声信号成分とを組み合わせるステップと、によって取得可能であり、
前記信号減衰は、問題の前記音声信号成分に関連付けられた前記仮想点の前記被験者の下の前記仮想深度に応じて実行される、
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記仮想音源の1つまたは複数の仮想点は、前記被験者の上の高さに仮想的に配置され、
前記音声信号は、
前記被験者の上の仮想高さに配置されている仮想点に関連付けられた各音声信号成分について、問題の前記音声信号成分に高さ特性を追加するステップであって、前記音声信号成分の変更版を取得するために、信号反転操作、時間遅延を導入する信号遅延操作、および信号減衰を使用して、問題の前記音声信号成分を変更するステップを含む、ステップと、前記音声信号成分の前記変更版と問題の前記音声信号成分とを組み合わせるステップと、によって取得可能であり、
前記信号減衰は、前記仮想音源の前記仮想高さに応じて実行される、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記仮想音源の1つまたは複数の仮想点は、前記被験者からの仮想的距離に仮想的に配置され、
前記音声信号は、
前記被験者からの仮想距離に配置されている仮想点に関連付けられた各音声信号成分について、問題の前記音声信号成分に距離特性を追加するステップであって、前記音声信号成分の第1の変更版を取得するために、第1の時間遅延を導入する第1の信号遅延操作、第1の信号減衰操作、および信号フィードバック操作を使用して、問題の前記音声信号成分を変更するステップを含む、ステップと、前記音声信号成分の第2の変更版を取得するために、前記音声信号成分の前記第1の変更版と問題の前記音声信号成分とを組み合わせるステップと、第2の信号減衰を実行し、任意選択的に前記音声信号成分の前記第2の変更版に第2の時間遅延を導入する第2の信号遅延操作を実行するステップと、によって取得可能であり、
前記第1および第2の信号減衰は、前記被験者からの前記仮想距離に応じて実行される、
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
被験者、例えばヒトまたは動物の生理学的状態を改善するためのシステムであって、
前記被験者に対する位置および形状を有する仮想音源に関連付けられた音声信号を決定するためのデータ処理システムを備え、
前記仮想音源は、複数の仮想点によって規定され、各仮想点は前記被験者に対する位置を有し、
前記音声信号は、前記仮想音源のそれぞれの前記仮想点の音声信号成分を含み、前記データ処理システムは、
前記音声信号が、前記被験者に対する前記位置および前記形状を有する前記仮想音源に由来するものとして前記被験者によって知覚されるように、その関連する仮想点の仮想位置に基づいて、各音声信号成分を決定するように構成され、前記システムは、
前記被験者に前記決定された音声信号を提供するための1つまたは複数のラウドスピーカを備える、
システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムに、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人間や動物など、被験者の生理学的状態を改善するための方法およびシステムに関する。特に、音声信号が位置および形状を有する仮想音源から発信されるものとして被験者によって知覚されるように構成されているこのような方法に関する。本開示は、このような音声信号を被験者に提供するためのシステムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
恒常性とは、生存に最適な条件に適応しながら生物学的系が安定性を維持する傾向がある自己調節プロセスを指す。恒常性が成功した場合、人生は続き、失敗した場合、災害または死亡が続く。達成される安定性は、継続的な変化が起こるが、比較的均一な条件が優先される動的平衡である(Encyclopaedia Britannica,2018)。恒常性は、環境の変化に応じて一定の内部環境を維持する能力である。それは生物学の統一原則である。神経および内分泌系は、様々な臓器や臓器システムを含むフィードバックメカニズムを通じて体内の恒常性を制御する(R Bailey,2017)。
【0003】
瞑想とマインドフルネスの実践(M Goyal,JAMA Intern Med 2014 Mar;174(3):357-68)、音楽療法(H S Shin et al.,Asian Nursing Research,Volume 5,Issue 1,March 2011,Pages 19-27)、ヨガ(C Woodyard,Int J Yoga.2011 Jul-Dec;4(2):49-54)およびダンスセラピー(Y Ja Jeong et al.2009 International Journal of Neuroscience,Volume 115,2005-Issue 12 Pages 1711-1720)などの身体活動、そして、マッサージ(T Field,Complement Ther Clin Pract.2016 Aug;24:19-31)およびサウナ(J A.Laukkanen et al,Mayo Clinic Proceedings,Volume 93,ISSUE 8,P1111-1121,August 01,2018)などの身体の治療、精神安定剤(K A.Holroyd et al,JAMA.2001;285(17):2208-2215)および薬草(D R Wilson,2019)などの薬物など、人の生理学的状態を改善することが知られている様々な方法が存在する。
【0004】
これらの方法の欠点は、生理学的状態を改善するために、人がかなりの努力および/もしくは時間を投資する必要があること、ならびに/または負の副作用を引き起こすことである。通常、後者の欠点は、薬を使用すると発生する。したがって、誰かがより少ない時間や努力を必要とする生理学的状態を改善し、負の副作用を引き起こさない方法およびシステムのために、本技術には必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Encyclopaedia Britannica,2018
【非特許文献2】R Bailey,2017
【非特許文献3】M Goyal,JAMA Intern Med 2014 Mar;174(3):357-68
【非特許文献4】H S Shin et al.,Asian Nursing Research,Volume 5,Issue 1,March 2011,Pages 19-27
【非特許文献5】C Woodyard,Int J Yoga.2011 Jul-Dec;4(2):49-54
【非特許文献6】Y Ja Jeong et al.2009 International Journal of Neuroscience,Volume 115,2005-Issue 12 Pages 1711-1720
【非特許文献7】T Field,Complement Ther Clin Pract.2016 Aug;24:19-31
【非特許文献8】J A.Laukkanen et al,Mayo Clinic Proceedings,Volume 93,ISSUE 8,P1111-1121,August 01,2018
【非特許文献9】K A.Holroyd et al,JAMA.2001;285(17):2208-2215
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、被験者、例えば人間や動物の生理学的状態を改善する方法が開示されている。本方法は、被験者に音声信号を提供するステップを含み、音声信号は、被験者に対する位置および形状を有する仮想音源に関連付けられている。仮想音源は、複数の仮想点によって規定され、各仮想点は被験者に対する位置を有する。音声信号は、仮想音源のそれぞれの仮想点の音声信号成分を含み、各音声信号成分は、音声信号が、被験者に対する前記位置と前記形状を有する仮想音源に由来するものとして被験者によって知覚されるように、関連する仮想点の仮想位置に基づいて決定されている。
【0007】
音声信号は、被験者の下の深さ、または被験者の上の高さ、および/または被験者からの距離、例えば水平距離、に配置される仮想音源から発生していると被験者によって知覚されるように構成され得る。
【0008】
本発明者は、被験者にこのような音声信号を提供することで、被験者の生理学的状態が改善されること、例えば、相互依存の要素間の安定した平衡への身体の傾向を指し、その影響が、被験者による精神的および肉体的健康の増加感に関連している人体の恒常性が改善されることを発見した。この方法は、被験者が体験したようなストレスを軽減したり、および/または被験者をよりリラックスさせたり、および/または被験者に心地よい感覚を引き起こすと理解され得る。したがって、本開示は、既知の方法よりも速い、生理学的状態を改善するための効果的な方法を提供する。本方法は、5分以内に有益な結果をもたらし得る。さらに、本方法は眠気や疲労感を与えず、したがって、高いレベルでタスクを行うために戻るまで時間がかからず、学生、労働人口、家事専業の親にとって非常に有益である可能性がある。
【0009】
本明細書では、被験者に音声信号を提供するステップも、仮想音源を投影するものとして言及され得る。
【0010】
前述のように、このような音声信号にさらされた被験者は、短期間の暴露の後、つまり5分未満の後に生理学的状態の変化を体験し得る。本明細書に記載されている方法によって達成される被験者の生理学的状態の改善は、脳活動のアルファ帯域と他の周波数帯域(デルタ、シータ、ベータ、ガンマ)との間のパワー比の測定された減少、特に、アルファ平均出力の大幅な減少とアルファ:ベータパワー比の大幅な減少、つまり平均差勾配に基づいて決定され得る。この比率の減少は、被験者の生理学的状態の改善を示している。追加的にまたは代替的に、被験者の生理学的状態の改善は、心拍数変動(HRV:Heart Rate Variability)の低周波(LF:Low-Frequency):高周波(HF:High-Frequency)パワー比の大幅な減少に基づいて決定されてもよい。この比率の減少は、被験者の生理学的状態の改善を示す。追加的にまたは代替的に、改善された生理学的状態は、弛緩の増加、感情バランスの改善、および被験者によって報告された精神的明確性の強化の影響に基づいて決定でき、その結果は、研究を通じて得られたデータによって確認される。
【0011】
このような音声信号の生理学的影響は、音声信号への暴露前後のアンケートに回答し、被験者の基本状態と比較した方法の効果を示す脳活動(EEG)および心拍数変動(HRV)について監視された50人の参加被験者から得られたデータに基づいて主張されている。参加している被験者のうち、試験グループには、「標準」音声信号、つまり、ユーザが特定の形状および位置を有する仮想音源から発信されたものと知覚していない音声信号が提供され、参照測定値を取得する。すべての被験者について、同じラウドスピーカを使用して、被験者に音声信号を提供した。
【0012】
研究を通じて得られたデータは、例えば、位置と形状とを有する仮想音源に由来するものとして被験者によって知覚されるように構成された音声信号に応じた恒常性の改善など、改善された生理学的状態に関連する生理学的効果の重要な結果を示している。健全な投影の方法は、脳の活動に顕著な変化を生成し、生理学的状態の改善を示すバイタルサインを生成できること、および、人体のそのような生理学的変化は標準的な音声信号では達成されていないことは、発明の前に知られていなかったので、効果は斬新であると見なし得る。したがって、ピッチ、音圧、音色など、音声の他の一般的に既知の属性と比較して、そのように構成されている音声信号に起因する効果を区別できる。
【0013】
本方法は被験者にとって楽であり、つまり、被験者には事前の指示、訓練の実践、または特定のスキルは必要なく、したがって、より人々の広範なグループにとって達成可能である。
【0014】
本方法では、使用前またはリアルタイムで測定される前に被験者の生理学的データを取得する必要がないため、必要な技術インフラストラクチャを簡素化し、簡単で受動的なユーザの参加を許容する。
【0015】
本方法は、被験者による物質の摂取量が不要であり、負の副作用が存在しないため、物理的に非侵襲的である。
【0016】
本方法は、プライベートで行うことができるため、社会的に非侵襲的であり、専門家との物理的な接触、もしくは衣服の除去、および/または妥協する可能性のある被験者による他の行動は必要ない。
【0017】
さらに、本方法は、様々な頭部外傷やコマストアシスの状態に苦しむ人々など、コミュニケーションや音への耐性が低い人々に非常に適している。これらの集団は、その状態のために、非常に短い期間(20分以内)にのみ音にさらされてもよい。さらに、急性の身体的状態に苦しんでいる他の重傷を負った集団など、これらの集団は、機動性の障害や意識の剥奪のために、他の多くの既存の方法に従事することはできない。本方法は、ADHDにかかっている子供や認知条件などの忍耐力の短い人にも非常に適している。
【0018】
音声信号は、既存の音声複製フォーマットと既存の業界標準とを使用して有利に提供され得る。
【0019】
したがって、本明細書に記載されている方法は、被験者の生理学的状態をより効果的に改善するのに役立つ可能性があり、このことは、例えば、仕事や研究の場所の生産性を改善し、社会の恐怖および攻撃性、ならびにその結果の表現を減らすのに役立つ。本方法は、家庭の音響調整室、スパ、健康センター、および調停援助としても有益に使用され得る。
【0020】
好ましくは、この方法は非治療的方法である。これは、本方法の目的は、生物を病理学から元の状態に回復したり、またはそもそも病理を予防したりすることではなく、その出発点として通常の健康な状態の摂取する生物の性能を改善することであると理解され得る。
【0021】
本明細書に記載されている実施形態の方法の手順は、コンピュータに実装されていてもよいことを理解されたい。
【0022】
実施形態では、音声信号は、
- 被験者に対する仮想点のそれぞれの位置を規定する仮想音源情報を取得するステップであって、仮想点は、被験者に対する前記位置および前記形状を有する仮想音源を規定する、ステップと、
- 入力音声信号を取得するステップと、
- 入力音声信号に基づいて、および仮想点のそれぞれの位置に基づいて、それぞれの仮想点のそれぞれの音声信号成分を決定するステップと、
によって取得され得、それぞれ仮想点に関連付けられている各音声信号成分について、音声信号成分を決定するステップは、
- 変更された音声信号成分を取得するために、時間遅延を導入する信号遅延操作を使用して、入力音声信号を変更するステップであって、時間遅延は、音声信号成分に関連付けられた仮想点の規定された位置に基づいている、ステップと、
- 入力音声信号、または入力音声信号の反転および/もしくは減衰版もしくは増幅版と変更された音声信号成分との組合せ、例えば合計に基づいて音声信号成分を決定するステップと、
- 音声信号を取得するために、決定された音声信号成分を組み合わせるステップと、を含む。
【0023】
本実施形態は、複数の仮想点と入力音声信号とで定義されている仮想音源に基づいて簡単に決定できる音声信号を使用する。
【0024】
本実施形態では、好ましくは、問題の音声信号成分の決定のために信号遅延操作によって導入される時間遅延は、問題の音声信号成分に関連付けられた仮想点の仮想位置に基づいており、特に、仮想音源の次元形状に対するこの仮想点の仮想位置に基づいている。
【0025】
仮想音源情報によって定義された仮想点の位置は、互いに、そして被験者に関して定義されることが好ましい。
【0026】
被験者の生理学的状態を改善する方法は、入力音声信号と、仮想音源を規定する、例えば仮想音源の形状と被験者に関するその位置とを規定する仮想音源情報とに基づいて、音声信号を決定するステップを含み得ることを理解されたい。このような音声信号の決定は、ここで説明されている手順のいずれかを含み得、音声信号を取得することになる。
【0027】
実施形態では、入力音声信号は音叉、好ましくは重み付けされていない音叉によって生成される音声信号である。
【0028】
原則として、被験者に提供される音声信号の生成に使用される入力音声信号は、任意の音声信号であってもよい。
【0029】
実施形態では、本方法は、複数のラウドスピーカを使用して被験者に音声信号を提供するステップを含む。本実施形態は、各ラウドスピーカのラウドスピーカ音声信号を決定するステップであって、各ラウドスピーカ音声信号は、複数の音声信号成分に基づいて決定される、ステップと、ラウドスピーカ音声信号をそれぞれのラウドスピーカに提供するステップとをさらに含む。
【0030】
本実施形態は、音声信号を複数のラウドスピーカに配信する便利な方法を提供する。このような配信は、パンニングとも呼ばれる。
【0031】
一実施形態では、ラウドスピーカごとにラウドスピーカ音声信号を決定するステップは、ラウドスピーカ音声信号ごとに、減衰された音声信号成分のラウドスピーカ固有のセットを取得するために、ラウドスピーカ固有の係数に基づいて各音声信号成分を減衰するステップと、減衰された音声信号成分のラウドスピーカ固有のセット内の減衰された音声信号成分を結合する、例えば合計するステップと、を含む。
【0032】
ラウドスピーカ固有とは、各ラウドスピーカがそれ自体のラウドスピーカ固有係数に関連付けられていると理解され得ることを理解されたい。異なるラウドスピーカの異なるラウドスピーカ係数は、必ずしも互いにすべて異なるわけではなく、これらの係数の一部、またはすべての係数でさえ、同じ値を有し得る。さらに、ラウドスピーカ固有のセットは、各ラウドスピーカがそれ自体の減衰音声信号成分のセットを有するものとして理解され得る。異なるラウドスピーカのラウドスピーカ固有成分の異なるセットは、必ずしもすべてが互いに異なるわけではない。
【0033】
そのような実施形態では、ラウドスピーカのラウドスピーカ係数は、被験者に対する問題のラウドスピーカの位置に基づいて決定され得る。そのような実施形態では、被験者は、好ましくは、ラウドスピーカのそれぞれに対して所定の位置を有する。
【0034】
一実施形態では、仮想音源は、立方体、または角錐、または球体として形作られる。これらの形状は、被験者の生理的状態を効果的に改善する。仮想音源は、任意の形状または形態を有することができることを理解されたい。
【0035】
一実施形態では、音声信号は、前記仮想音源が被験者を取り囲んでいることが被験者によって知覚されるように構成される。本実施形態では、換言すれば、仮想音源は被験者を取り囲んでいる。
【0036】
一実施形態では、本方法は、被験者を取り囲む複数のラウドスピーカを使用して被験者に音声信号を提供するステップを含む。
【0037】
複数のラウドスピーカは、被験者の前のラウドスピーカと、被験者の後ろのラウドスピーカとを含み得る。追加的にまたは代替的に、複数のラウドスピーカは、被験者の右側のラウドスピーカと、被験者の左側のラウドスピーカとを含む。追加的にまたは代替的に、複数のラウドスピーカは、被験者の上方のラウドスピーカと被験者の下方のラウドスピーカとを含む。
【0038】
例えば、一実施形態では、複数のラウドスピーカは少なくとも8つのラウドスピーカ、すなわち、
- 被験者の上方のラウドスピーカと、
- 被験者の前であって、下方のラウドスピーカと、
- 被験者の前であって、左側であって、上方のラウドスピーカと、
- 被験者の前であって、右側であって、上方のラウドスピーカと、
- 被験者の後ろであって、上方のラウドスピーカと、
- 被験者の後ろであって、左側であって、下方のラウドスピーカと、
- 被験者の後ろであって、右側であって、下方のラウドスピーカと、
- 被験者の下方のラウドスピーカと、
を含む。
【0039】
複数のラウドスピーカは、被験者から等距離にそれぞれ配置され得る。追加的にまたは代替的に、複数のラウドスピーカを互いに等距離に配置してもよい。
【0040】
一実施形態では、音声信号は、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、より好ましくは少なくとも5分間、被験者に提供される。本発明者は、被験者の生理学的状態の改善が、5分以内であっても迅速に達成できることを発見した。
【0041】
一実施形態では、音声信号に関連付けられた仮想音源は、音声信号が被験者に提供される間に、形状および/または位置を変化させ、したがって、仮想音源を規定するそれぞれの仮想点の被験者に対するそれぞれの位置は、音声信号が、被験者に対して様々な位置および/または方向を有する仮想音源から発生したものとして被験者によって知覚されるように、音声信号が被験者に提供される間に変化する。
【0042】
したがって、本実施形態では、被験者は、音声信号が、移動するおよび/または形状が変化する仮想音源から発生していると知覚する。発明者は、そのような移動および/または変化する仮想音源が被験者の生理学的状態にも利益をもたらす可能性があることを発見した。
【0043】
本実施形態では、仮想音源が被験者に対して移動する場合、仮想点は被験者に対して移動すると理解され得る。さらに、仮想音源が形状を変える場合、仮想点は互いに対して移動すると理解され得る。
【0044】
一実施形態では、仮想音源の1つまたは複数の仮想点が、被験者の下の深さに仮想的に配置される。そして、音声信号は、
- 被験者の下の仮想深度に配置されている仮想点に関連付けられた各音声信号成分について、問題の音声信号成分に深さ特性を追加するステップであって、音声信号成分の変更版を取得するために、時間遅延を導入する時間遅延操作、信号減衰、および信号フィードバック操作を使用して、問題の音声信号成分を変更するステップを含む、ステップと、音声信号成分の変更版と問題の音声信号成分とを組み合わせるステップと、によって取得可能であり、
- 信号減衰は、問題の音声信号成分に関連付けられた仮想点の被験者の下の仮想深度に応じて実行される。
【0045】
深さ入力信号は、仮想点に関連付けられた音声信号成分であり、深さ出力信号は、深さ情報が追加された同じ音声信号成分であることが理解されたい。次いで、前記信号減衰は、問題の音声信号成分に関連する仮想点の被験者の下の深さに応じて実行され得る。
【0046】
一実施形態では、仮想音源の1つまたは複数の仮想点が、被験者の上の高さに仮想的に配置され、音声信号は、
- 被験者の上の仮想高さに配置されている仮想点に関連付けられた各音声信号成分について、問題の音声信号成分に高さ特性を追加するステップであって、音声信号成分の変更版を取得するために、信号反転操作、時間遅延を導入する信号遅延操作、および信号減衰を使用して、問題の音声信号成分を変更するステップを含む、ステップと、音声信号成分の変更版と問題の音声信号成分とを組み合わせるステップと、によって取得可能であり、
- 信号減衰は、仮想音源の仮想高さに応じて実行される。
【0047】
高さ入力信号は、仮想点に関連付けられた音声信号成分であってもよく、高さ出力信号は、高さ情報が追加された同じ音声信号成分であることを理解されたい。次いで、前記信号減衰は、問題の音声信号成分に関連付けられた仮想点の被験者の上の高さに応じて実行され得る。
【0048】
一実施形態では、仮想音源の1つまたは複数の仮想点が、被験者から仮想距離に仮想的に配置され、音声信号は、
- 被験者からの仮想距離に配置されている仮想点に関連付けられた各音声信号成分について、問題の音声信号成分に距離特性を追加するステップであって、音声信号成分の第1の変更版を取得するために、第1の時間遅延を導入する第1の信号遅延操作、第1の信号減衰操作、および信号フィードバック操作を使用して、問題の音声信号成分を変更するステップを含む、ステップと、音声信号成分の第2の変更版を取得するために、音声信号成分の第1の変更版と問題の音声信号成分とを組み合わせるステップと、第2の信号減衰を実行し、任意選択的に音声信号成分の第2の変更版に第2の時間遅延を導入する第2の信号遅延操作を実行するステップと、によって取得可能であり、
- 第1および第2の信号減衰は、被験者からの仮想距離に応じて実行される。
【0049】
次いで、前記第1および第2の信号減衰は、被験者と問題の音声信号成分に関連付けられた仮想点との間の距離に応じて実行され得る。
【0050】
本開示はさらに、被験者、例えばヒトまたは動物の生理学的状態を改善するためのシステムに関する。本システムは、入力音声信号に基づいて、形状および任意選択的に位置を有する仮想音源に由来するものとして被験者によって知覚されるように構成された音声信号を決定するためのデータ処理システムを備える。システムは、決定された音声信号を被験者に提供するための1つまたは複数のラウドスピーカをさらに備える。
【0051】
本開示の一態様は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化されたコンピュータ可読記憶媒体と、コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサであって、コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成される、プロセッサと、を備える、コンピュータに関する。
【0052】
本開示の一態様は、少なくとも1つのソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムのスイート、または少なくとも1つのソフトウェアコード部分を記憶するコンピュータプログラム製品に関し、ソフトウェアコード部分は、コンピュータシステム上で実行されると、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成されている。
【0053】
本開示の一態様は、少なくとも1つのソフトウェアコード部分を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関し、ソフトウェアコード部分は、コンピュータによって実行または処理されると、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成されている。
【0054】
本開示の一態様は、本明細書に記載の被験者の生理学的状態を改善するためのシステムのいずれかに、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0055】
当業者には理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化することができる。したがって、本発明の態様は、全体的にハードウェアの実施形態、全体的にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)または、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得るソフトウェアとハードウェアとの側面を組み合わせた実施形態、の形をとり得る。本開示で説明される機能は、コンピュータのプロセッサ/マイクロプロセッサによって実行されるアルゴリズムとして実装され得る。さらに、本発明の態様は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された、例えば記憶された、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形をとり得る。
【0056】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、またはデバイス、または前述の任意の適切な組合せであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、1つまたは複数のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memory、またはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前述の任意の適切な組合せ、を含み得るが、これらに限定されない。本発明の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれに関連して使用するためのプログラムを含む、または記憶することができる任意の有形の媒体であり得る。
【0057】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドで、または搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが組み込まれた伝搬データ信号を含み得る。そのような伝播信号は、電磁、光学、またはそれらの任意の適切な組合せを含むがこれらに限定されない、様々な形態のいずれかを取ることができる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはこれらと関連して使用するためのプログラムを通信、伝達、または転送できる任意のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0058】
コンピュータ可読媒体に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RFなど、または前述の任意の適切な組合せを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体を使用して送信され得る。本発明の態様の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(商標)など、スモールトーク、C++など、および「C」プログラミング言語や類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語などのオブジェクト指向プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータおよび部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータまたはサーバー上で実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)またはワイドエリアネットワーク(WAN:wide area network)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続でき、または、外部コンピュータへの接続(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネット経由)が確立されていてもよい。
【0059】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して以下に説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスのプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を作成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または機械を生産するための他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、特にマイクロプロセッサまたは中央処理装置(CPU:central processing unit)に提供され得る。
【0060】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装する命令を含む製品を生成するように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスを特定の方法で機能させるように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。
【0061】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供するように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または一連の操作手順をコンピュータ上で実行させるためのその他のデバイス、コンピュータで実行されるプロセスを生成するためのその他のプログラム可能な装置またはその他のデバイスにロードされてもよい。
【0062】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、またはコードの一部を表し得る。また、いくつかの代替実装では、ブロックに記載されている機能が、図に記載されている順序とは異なる場合があることにも留意されたい。例えば、関連する機能に応じて、連続して示される2つのブロックが実際には実質的に同時に実行されるか、ブロックが逆の順序で実行され得る。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組合せは、指定された機能または行為を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実装できることにも留意されたい。
【0063】
さらに、本明細書に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラムは、例えば、光受信機、リモコン、スマートフォン、またはタブレットコンピュータなどの既存のシステムにダウンロード(更新)するか、これらのシステムの製造時に記憶することができる。
【0064】
特定の実施形態に関して、または特定の実施形態に関連して論じられる要素および態様は、別段の明示的な記載がない限り、他の実施形態の要素および態様と適切に組み合わせることができる。本発明の実施形態を、本発明による実施形態を概略的に示す添付の図面を参照してさらに説明する。本発明は、これらの特定の実施形態に決して限定されないことが理解されるであろう。
【0065】
本発明の態様は、図面に示される例示的な実施形態を参照することにより、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1A】実施形態による方法およびシステムを示すフローチャートである。
図1B】角錐として形作られ、被験者を取り囲む仮想音源を概略的に示す図である。
図2A】一実施形態を示す図である。
図2B】一実施形態を示す図である。
図2C】一実施形態を示す図である。
図3】デジタル信号処理が実施される実施形態を示す図である。
図4A】一実施形態に従って仮想音源をどのように規定できるかを示している図である。
図4B】一実施形態による仮想音源を規定するために使用できるグリッドの例を示す図である。
図4C】一実施形態による仮想音源を規定するために使用できるグリッドの例を示す図である。
図4D】一実施形態による仮想音源を規定するために使用できるグリッドの例を示す図である。
図4E】仮想音源の例を示した図である。
図4F】仮想音源の例を示した図である。
図4G】仮想音源の例を示した図である。
図4H】仮想音源の例を示した図である。
図4I】仮想音源の例を示した図である。
図4J】仮想音源の例を示した図である。
図4K】仮想音源の例を示した図である。
図4L】仮想音源の例を示した図である。
図4M】仮想音源の例を示した図である。
図4N】仮想音源の例を示した図である。
図4O】仮想音源の例を示した図である。
図4P】仮想音源の例を示した図である。
図4Q】仮想音源の例を示した図である。
図4R】仮想音源の例を示した図である。
図4S】仮想音源の例を示した図である。
図4T】仮想音源の例を示した図である。
図5A】一実施形態によるラウドスピーカ構成を概略的に示す図である。
図5B】実施された実験で使用される仮想音源を示す図である。
図5C】実施された実験で使用される仮想音源を示す図である。
図5D】実施された実験で使用される仮想音源を示す図である。
図5E】実施された実験において基準音響信号として使用された「標準」ステレオ投影を示し、実施された実験中に基準音響信号を得るために使用された信号プロセスを示した図である。
図5F】実施された実験中に仮想音源を取得するために使用された信号プロセスを示した図である。
図6】ラウドスピーカ音声信号を決定する方法を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に従って、仮想点にそれぞれ関連付けられた音声信号成分をどのように決定できるかを示した図である。
図8A】一実施形態による音声信号成分に形状特性をどのように追加できるかを示した図である。
図8B】一実施形態による音声信号成分に形状特性をどのように追加できるかを示した図である。
図8C】一実施形態による音声信号成分に形状特性をどのように追加できるかを示した図である。
図9A】一実施形態による、音声信号成分に深さ特性をどのように追加できるかを示した図である。
図9B】一実施形態による、音声信号成分に深さ特性をどのように追加できるかを示した図である。
図9C】一実施形態による、音声信号成分に深さ特性をどのように追加できるかを示した図である。
図10A】一実施形態による音声信号成分に高さ特性をどのように追加できるかを示した図である。
図10B】一実施形態による音声信号成分に高さ特性をどのように追加できるかを示した図である。
図10C】一実施形態による音声信号成分に高さ特性をどのように追加できるかを示した図である。
図11A】一実施形態に従って距離特性を音声信号成分にどのように追加できるかを示す図である。
図11B】一実施形態に従って距離特性を音声信号成分にどのように追加できるかを示す図である。
図11C】一実施形態に従って距離特性を音声信号成分にどのように追加できるかを示す図である。
図12】一実施形態に従って音声信号をどのように決定できるかを詳細に示した図である。
図13A】一実施形態に従って音声信号をどのように決定できるかを示した図である。
図13B】一実施形態に従って音声信号をどのように決定できるかを示した図である。
図13C】一実施形態に従って音声信号をどのように決定できるかを示した図である。
図14A】一実施形態による入力音声信号として機能し得る録音スタジオで記録された重み付けされていない音叉の音声信号を示す図である。
図14B】重み付けされていない音叉のスペクトログラフを示す図である。
図15A】実施された実験中に基準音声信号として使用された、記録された重み付けされていない音叉の平均スペクトログラフを示す図である。
図15B】入力音声信号として記録された重み付けされていない音叉を用いて生成され、角錐形状の仮想音源を投影する、一実施形態による音声信号の平均スペクトログラフを示す図である。
図15C】入力音声信号として記録された重み付けされていない音叉を用いて生成され、立方体形状の仮想音源を投影する、一実施形態による音声信号の平均スペクトログラフを示す図である。
図15D】入力音声信号として記録された重み付けされていない音叉を用いて生成され、球状の仮想音源を投影する、一実施形態による音声信号の平均スペクトログラフを示す図である。
図16A】基準音声信号が提供された後の被験者における測定された生理学的効果を示す図である。
図16B】音声信号が角錐形状の仮想音源を投影する実施形態による、音声信号を提供された後の被験者における測定された生理学的効果を示す図である。
図16C】音声信号が立方体形状の仮想音源を投影する実施形態による、音声信号を提供された後の被験者における測定された生理学的効果を示す図である。
図16D】音声信号が球状の仮想音源を投影する実施形態による、音声信号を提供された後の被験者における測定された生理学的効果を示す図である。
図17】実施された様々な実験の脳活動に関する結果をまとめた図である。
図18】アルファ:ベータパワー比に関する実験結果を示した図である。
図19】心拍変動のLF:HFパワー比に関する実験結果を示した図である。
図20A】音刺激への暴露前および暴露後に被験者が回答したMDQMアンケートからの結果の要約を示す図である。
図20B】音刺激への暴露前および暴露後に被験者が回答したMDQMアンケートから得られたより大きなレポートを示す図である。
図21A】一実施形態によるシステムを示す図である。
図21B】一実施形態によるシステムを示す図である。
図21C】一実施形態によるシステムを示す図である。
図21D】一実施形態によるシステムを示す図である。
図21E】一実施形態によるシステムを示す図である。
図22A】一実施形態によるシステムを示す図である。
図22B】一実施形態によるシステムを示す図である。
図23】一実施形態によるデータ処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図面において、同一の参照番号は、同一または類似の要素を指す。さらに、フローチャートは、いくつかのステップが示されている方法の実施形態と、フローチャートに示されているように信号を処理するように構成された回路などのシステムの実施形態の両方を示していると理解することができる。また、破線で示されている要素は任意選択的な要素である。
【0068】
図1Aは、被験者の生理学的状態、例えば恒常性を改善する方法を示すフローチャートである。図示の実施形態では、1つ(または複数)の音声信号8および仮想音源情報6が、被験者2の生理学的状態を改善するために使用できる音声信号を決定する方法のために入力される。この実施形態における仮想音源情報6は、複数の仮想点を定義し、各仮想点は、仮想点が一緒になって仮想音源の形状を定義するように、他の仮想点に対して仮想位置を有する。さらに、仮想音源情報6は、仮想音源が被検体2に対して特定の位置を有するように、被検体2に対する仮想位置を定義することができる。仮想音源は、例えば、被験者2の上または下に配置することができ、および/または被験者2から特定の水平距離、例えば被験者2の数メートル前方に配置することができる。原則として、距離、高さ、または深さは無限に大きくすることができ、ラウドスピーカの物理的な構成によって制限されない。仮想音源情報6は、音声入力信号8を変更し、音声信号を取得するために使用される。音声信号は、仮想点によって定義されるような形状および位置を有する仮想音源に由来するものとして音声信号が被験者によって知覚されるように、それぞれの仮想点の音声信号成分を含む。次に、音声信号は、図示の実施形態では、1つ(または複数)のラウドスピーカ4に分配される。異なる形状と位置を持つ仮想音源の結果として生じる投影は、被験者2の生理学的状態の改善を誘発する。
【0069】
音声信号を決定するための方法10は、
- 仮想音源の次元形状および被験者2に対する仮想点のそれぞれの位置を定義する仮想音源情報6を取得するステップであって、仮想点は、前記形状および被験者2に対する前記位置を有する仮想音源を定義する、ステップと、
- 入力音声信号8を取得するステップと、
- 入力音声信号8および仮想点のそれぞれの位置に基づいて、それぞれの仮想点のそれぞれの音声信号成分を決定するステップと、を含むことができ、仮想点にそれぞれ関連付けられた各音声信号成分について、音声信号成分を決定するステップは、
- 入力音声信号8を変更して、時間遅延を導入する信号遅延操作を使用して、変更された音声信号成分を取得するステップであって、時間遅延は、仮想音源の次元形状に対する音声信号成分に関連付けられた仮想点の定義された位置に基づく、ステップと、
- 入力音声信号8、または入力音声信号8の反転および/または減衰版もしくは増幅版と、変更された音声信号成分との組合せ、例えば合計に基づいて音声信号成分を決定するステップと、
- 決定された音声信号成分を組み合わせて音声信号を取得するステップと、
を含む。
【0070】
本明細書で言及される方法は、仮想音源情報6を音声出力媒体、例えばラウドスピーカ4から伝搬する音波に符号化することによって、被験者2の生理学的状態を改善する、例えば恒常性を改善するためのアクセス可能で効率的な方法を提供する。記載された改善された生理学的効果の主張は、使用された記載された方法全体、および/またはそのような効果を達成するために使用される説明された方法の任意の別の部分、および/または、先行技術の方法であろうと将来発明される方法であろうと、形状を有する仮想音源から生じると被験者によって知覚される音声信号を取得するために使用される他の方法で有効であると考えられることが理解されたい。音声信号を決定および/または生成するための本明細書に記載の方法は、音声信号のデジタル処理、音声信号を変更するためのアナログ回路、および/または定義された次元形状、サイズおよび密度の音声投影を得るために音響変更および音声生成の方法と組み合わせて含むことができる。
【0071】
図1Bは、別個の形状および位置を有する仮想音源10の投影を提供する、本明細書に記載の音声信号を再生するラウドスピーカ4a~4hを備えるラウドスピーカ構成の中央に配置された被験者2を示す。仮想音源投影に対する被験者2の結果として生じる生理学的反応は、改善された恒常性を示す。
【0072】
一実施形態では、仮想音源10は、図示のように角錐として形作られる。この方法は、1つの種類の形状に限定されず、請求された効果は、ピッチ、音圧、音色など、他の一般的に説明される音の属性とは異なり、音声信号における形状の符号化を含み、そして、実施形態は、形状の任意の種類および/または組合せ、およびそのような形状の空間変換を含み得ることを理解されたい。
【0073】
一実施形態では、ラウドスピーカ4は、被験者2を垂直方向および水平方向に取り囲む、すなわち、被験者の上方、下方、前、後ろ、左および右から等しく取り囲むように配置することができ、そして、各ラウドスピーカは、被験者2が位置する中心から等半径に位置することができる。本方法は、ラウドスピーカの1つの形状構成および/またはラウドスピーカの固定された量および位置に限定されず、実施形態は、その任意の空間構成における任意の量のラウドスピーカを含み得ることが理解されたい。
【0074】
一実施形態では、そのような構成に使用されるラウドスピーカ4は、無指向性、すなわち、構成されたラウドスピーカ間の最適なコヒーレンスを達成するために、軸から90度離れた角度にわたって可聴周波数範囲の均等な分布を有するものとすることができる。本方法は、振動変換器、骨伝導変換器、およびヘッドフォンを含むがこれらに限定されないラウドスピーカの任意の他の組合せおよび/または任意の他の種類のラウドスピーカもしくは音声変換器を用いて、記載された効果を得ることを含み得ることを理解されたい。本発明は、人間の可聴周波数範囲内の音を投射する装置の構成だけでなく、人間の可聴周波数範囲と通常見なされる範囲を超え得る超音波範囲(>20kHz)および超低周波範囲(<20Hz)で投射する装置を含むことができることを理解されたい。
【0075】
一実施形態では、被験者2はラウドスピーカ構成の中央に配置され、これにより、被験者2は音声信号の音響的合計をすべての側から均等に受信できるようになる。本方法は、横たわる、座る、立つ、および/または空間内を移動することを含む、任意の他の位置または姿勢で被験者2を位置決めすることを含むことができ、そして、被験者2は、仮想音源10の内側または外側に物理的に配置されている間、投影された音の形状の説明された生理学的効果を体験することができることを理解されたい。
【0076】
図2Aは、入力として1つ(または複数)の音声信号8と、仮想音源の仮想点を規定し、したがって、仮想音源10の形状および/またはサイズおよび/または密度などの仮想音源10の空間次元および/または被験者2に対する仮想音源10の位置を規定する仮想音源情報6とを有する実施形態を説明する。
【0077】
処理は、一実施形態では、入力音声信号を別個の形状に関連付けること、すなわち、仮想音源情報に基づいて入力音声信号を変更し、仮想音源を規定するそれぞれの仮想点について音声信号成分を生成することを含む。任意選択的に、各音声信号成分を決定する際に、空間波変換操作が実行される。そのような空間波変換は、図8Aを参照して説明される。被験者2に提供される音声信号12は、仮想点にそれぞれ関連付けられた音声信号成分を含む。音声信号12は、複数のラウドスピーカ4にパンされ得る。
【0078】
ある形状および位置を有する仮想音源10に由来すると被験者2が知覚する、被験者2に提供される音声信号12は、その形状を有する仮想音源10の投影を形成すると言うことができる。形状以外の仮想音源10は、被験者2に対する位置も有し、一定の密度を有してもよい。仮想点は、容積当たりの仮想点の密度が高いほど、仮想音源10の密度が高くなるという点で、仮想音源10の密度を規定することができる。
【0079】
例えば改善された恒常性を示す音形状投影12に対する生理学的反応は、脳活動におけるアルファ波平均出力の大幅な減少14およびアルファ波:ベータ波パワー比の大幅な減少16、および、心拍変動(HRV)のLF:HFパワー比の大幅な減少18(LFは「低周波」を表し、HFは「高周波」を表す)によって測定され得る。記載された効果、すなわち被験者2の生理学的状態の改善は、音声信号への短い暴露期間内、例えば5分未満で観察可能であり得る。
【0080】
音声信号が提供された結果として被験者2によって記述された体験は、深いリラクゼーション20の被験者2の感情、つまり、暴露前よりも暴露後の方が明らかにリラックスし、緊張が和らいだ状態、自信の向上22、つまり、暴露前よりも暴露後の方が、自信があり、不安が少ない状態、および、幸福度の向上24、つまり、暴露後は、暴露前よりも幸福度が高く、欲求不満および/または落ち込みが少ない状態、に関連付けられる。
【0081】
図2Bは、仮想音源10が複数の仮想点によって規定される実施形態を説明している。各仮想点は、他の仮想点に対して仮想位置を有し、被験者2に対して仮想位置を有する。さらに、音声信号12は、複数の音声信号成分を含み、複数の音声信号成分の各音声信号成分は、複数の仮想点の仮想点にそれぞれ関連付けられる。
【0082】
図2Bは、音声信号を取得することができる方法を示している。仮想音源情報6は、各仮想点の位置を規定する。入力音声信号8が入力として取り込まれる。次に、複数の仮想点のそれぞれの音声信号成分26が、入力音声信号8に基づいて、および複数の仮想点のそれぞれの位置に基づいて決定される。各音声信号成分26_xについて、音声信号成分26_xを決定するステップは、時間遅延を導入する信号遅延操作を使用して変更された音声信号成分を取得するために、入力音声信号8を変更するステップと、入力音声信号、または入力音声信号の反転版および/もしくは減衰版または増幅版と、変更された音声信号成分との組合せ、例えば合計に基づいて音声信号成分を決定するステップと、を含む。
【0083】
次に、音声信号12は、以下でより詳細に説明するように、信号分配行列13を使用していくつかのラウドスピーカ4に分配され得る。
【0084】
このようにしてラウドスピーカ構成内の個々のラウドスピーカzごとに得られた音声出力信号28の音響的合計30は、音形状投影32をもたらす。すなわち、音源は、別個の形状、サイズを有し、被験者2に関連して特定の距離、高さ、および深さに配置される。生成された音声信号12は、ラウドスピーカシステム4によって再生されると、使用されるラウドスピーカの数に関係なく、またラウドスピーカ4に対する観察者2の位置に関係なく、仮想音源の形状の投影と見なすことができる。説明されている音形状投影は、個々のラウドスピーカの空間スペクトル特性を(少なくとも部分的に)無効にし、そのサイズと形状によって音響信号の一貫した空間投影を作成する。これは、音声信号を仮想音源に関連付ける方法を記載した特許出願NL2024434およびNL2025950にも記載されており、その内容は本開示に完全に含まれていると見なされるべきである。
【0085】
図2Cは、「x(t)」で示される音声信号を入力として有する実施形態を説明する。この実施形態では、「形状生成器」34は、次元形状を表すデータを生成する。「格子生成器」36は、次元形状を表すこのデータを入力として取り、次元形状上に均等に分散された仮想点の格子を生成する。このような格子は、仮想音源を構成する仮想点の位置を規定するため、仮想音源情報と呼ばれ得る。仮想音源情報は、仮想点の互いに対する仮想位置、および被験者2に対するそれらの位置を少なくとも規定する。
【0086】
その後、仮想音源情報6を使用して、任意選択的に、仮想音源の次元形状に対して「空間波変換」38を適用する、例えば、仮想音源情報によって規定される仮想点にそれぞれ関連する複数の音声信号成分26_xを決定することにより、入力音声信号8を変更することができる。仮想点のそれぞれの位置は、デカルト座標(x,y,z)で表すことができる。
【0087】
音声信号成分26は、それらの関連する仮想点の被験者2に対する距離、高さ、および深さに基づいてさらに変更される。次に、得られた音声信号成分26は、入力として任意選択的に変更された音声信号成分y(t)と粒子位置とを使用して、「信号分配行列」13に入力することができる。つまり、粒子格子生成器によって生成された仮想形状上の決定された各点の仮想位置であり、任意選択的にデカルト座標(x,y,z)で示される。
【0088】
次に、信号分配行列13は、以下でより詳細に説明するように、音声信号を複数のラウドスピーカ4に分配することができる。
【0089】
音声信号8がラウドスピーカ4を使用して被験者2に提供されると、被験者2は音声信号8を、あたかも形状生成器34によって出力されたような形状を有する仮想音源10から生じているかのように知覚する。
【0090】
図3は、被験者2の生理学的状態を改善するために音声信号12を被験者2に提供するためのシステムおよび/または方法を説明している。一実施形態では、システムは、マイクロホンアクチュエータ52、またはそのような圧力速度変換器に衝突する音波に基づいて入力音声信号8を生成するための任意の他の種類の圧力速度変換器を備えている。システムは、圧力速度変換器52によって生成された入力音声信号8を増幅するように構成された前置増幅器50を備えていてもよい。システムは、アナログ入力音声信号をデジタル版に変換するために、アナログデジタル変換器42をさらに備えている。このシステムは、本明細書で説明する方法で仮想音源情報に基づいて音声信号を処理するように構成されたデータ処理システム100をさらに備えている。システムはまた、データ処理システムによって出力されたデジタル音声信号をアナログ版に変換するように構成されたデジタル/アナログ変換器54を備えている。システムは、結果として得られる音声信号を増幅してから、システムが含む複数のラウドスピーカ4に供給するための1つまたは複数の増幅器52をさらに含む。システムは、各ラウドスピーカ用の増幅器を備えていてもよい。さらに、各ラウドスピーカは、独自の音声ケーブルを使用して独自の増幅器に接続され得る。
【0091】
本システムに照らして、被験者の生理学的状態を改善するための方法が、そのような圧力速度変換器に当たる音波に基づいて入力音声信号を生成するステップと、圧力速度変換器によって生成された入力音声信号を増幅するステップと、アナログ入力音声信号をデジタル版に変換するステップと、本明細書に記載の方法で、仮想音源情報に基づいて音声信号を処理するステップと、データ処理システムによって出力されたアナログ音声信号をアナログ版に変換するステップと、複数のラウドスピーカに供給する前に、結果として得られる音声信号を増幅するステップと、含み得ることは明らかである。ここで、結果として得られる音声信号を増幅するステップは、各ラウドスピーカ音声信号を別々に増幅するステップを含み得る。
【0092】
図3に示されるシステムおよび方法は、圧力速度変換器52、例えばマイクロホンを使用して入力音声信号を取得し、音声信号を決定し、それを被験者2に提供することをすべてリアルタイムで可能にする。
【0093】
別の実施形態では、音声入力信号46は、音声が再生前に取得または生成され、読み取り可能なデジタルまたはアナログ記憶媒体に記憶される録音処理によって出力されたものであってもよい。
【0094】
別の実施形態では、音声入力信号48は、デジタルまたはアナログ合成処理によって出力され、再生前に取得されて、デジタルまたはアナログ記憶媒体に記憶され、および/またはリアルタイムで取得および/または任意選択的にデジタル信号に変換されている。
【0095】
本開示は、音声入力信号を変更し、仮想形状上の点に関連付けられた変更された音声信号成分を生成するように設計されたコンピュータプログラムおよび/またはコード部分を実行し、ラウドスピーカ構成の一部として個別のラウドスピーカに関連付けられた音声信号成分、つまり音声出力信号を生成する、データ処理システムとも呼ばれるコンピュータ処理ユニット100にも関する。
【0096】
図4Aは、本明細書に記載の仮想音源情報6を決定する方法を示す。仮想音源情報6は、仮想対象物10の空間的寸法、すなわち形状およびサイズ、ならびに被験者2に対するその位置、および任意選択的に仮想音源10の密度を示す。
【0097】
仮想点は、仮想音源10の表面上に均等に分布され得る。このような表面上の仮想点の密度が高いほど、分解能が高くなる。
【0098】
仮想音源10は、中空であるように規定できることを理解されたい。そのような場合、仮想音源情報6は、仮想音源10の「内側」の仮想点を規定せず、仮想音源10の外面およびエッジ上にのみ規定する。仮想音源10は「立体」でもよい。このような場合には、仮想音源情報6は、仮想音源10の外面およびエッジ上の仮想点に加えて、仮想音源10の内部容積全体に均等に分配され得る、仮想音源10の「内部」の仮想点を規定する。
【0099】
一実施形態では、仮想音源10は、幾何学的形状、すなわち純粋な次元形状、または半幾何学的、不規則な形状を有し、または有機的に形作られてもよい。仮想音源10は、任意の形態を有することができ、仮想音源の形状およびその形状を構成する仮想点を決定するために任意の方法を使用することができることを理解されたい。
【0100】
仮想点の密度は、仮想点の分解能および/または「格子分解能」とも呼ばれ得る。
【0101】
図4Aは、仮想音源情報の取得が、仮想音源6aおよび仮想点の位置6bの寸法を含み得ることを示している。形状寸法6aを取得するステップは、仮想音源10の寸法を取得するために、スケーリング可能な寸法(xyz)の容器56を生成し、スケーリングされた寸法の境界内で形状座標58および形状容積を決定する形状生成器34を含み得る。図示の例では、仮想音源10は角錐として形作られる。さらに、仮想点の位置6bを取得するステップは、選択された形状の寸法に従って3つの主要な格子が導入される、格子60を決定する格子生成器36と、形状内の仮想点の位置を得るために、導入された格子のそれぞれに沿った点の分解能を規定することによって仮想点密度62を決定するステップと、を含み得る。
【0102】
無限格子Lは、
L=a.(Z.v_1+Z.v_2+Z.v_3)
のように規定でき、
Zは整数の環で、v_1、v_2、v_3は3つのベクトルを記述し、定数aは、
={点(x,y)、x=a.n.(v_1.x)+a.m.(v_2.x)、y=a.n.(v_1.y)+a.m.(v_2.y)、n,m整数}
の最小増分に関連する。
【0103】
音はすべての方向に対称的に伝播すると考えられるため、格子によって生成される重なり合う円または正接する円のパターンが考慮され、この場合、球体は格子の各仮想点を中心としている。円の半径を大きくして、生成された空間内の音の伝播パターンに影響を与えることができ、これについては、以下の例でさらに説明する。
【0104】
図4Bは、ベクトルv_1(1,0)、v_2(0,1)を有する直交格子2を示し、左側は半径aの重なり合う円で、円の中心は格子の点であり、右側には、半径a/2の接円がある。
【0105】
図4Cは、ベクトルv_1(1,0)、v_2(1/2,1/2)を有する中心正方形格子4を示し、左側では、半径aの円が重なっており、円の中心は格子の点であり、右側には、半径a/2の円が重なっている。
【0106】
図4Dは、ベクトルv_1(1,0)、v_2(1/2,√3/2)を有する三角格子3を示し、左側には、半径aの円が重なっており、右側には、半径a/2の正接円がある。
【0107】
図4Eは、形状が有限格子を有する格子上の円である本発明の一実施形態を示す。k個の円は、「ネストされた円格子」に相当する回転2π/6の六方対称を持つ6*k個の点で構成される。各k円(0からresまでのk)は、半径
k*R/res
を有し、Rは実際の形状の半径であり、その上に6*k個の点がある。0-circleは中心点であり、res-circleは実際の形状である。
【0108】
図4Fは、形状が円であり、Lattice_2に基づく実施形態を示す。一実施形態では、形状の内側にある格子の点のみが格子に含まれる。別の実施形態では、考慮すべき形状の境界に十分近い「境界補正指数」を有する追加の点を格子に追加してもよい。
【0109】
図4Gは、形状が「ネストされた三角形格子」に相当するLattice_3に基づく三角形である本発明の一実施形態を示す。各k三角形(0からresまでのk)は、長さ
k*L/res
を有し、Lは実際の形状の辺の長さであり、各エッジに9*k個の点、または、3*k個の点を有する。
【0110】
図4Hは、形状がLattice_2に基づく正方形、または「ネストされた正方形格子」に相当するLattice_4である本発明の一実施形態を示す。各k平方(0からresまでのk)は、長さ
k*L/res
を有し、Lは実際の形状の辺の長さであり、8*k個の点、またはエッジごとに2*k個の点を有する。
【0111】
図4Iは、形状が、「ネストされた五角形格子」に相当する規則的なテッセレーションを有する格子に基づく五角形である、本発明の一実施形態を示す。ここでは、テッセレーションは規則的であるが、点は完全に等距離ではなく、アイコセル(icosele)である。各k五角形(0からresまでのk)は、半径
k*R/res
を有し、Rは実際の形状の半径であり、5*k個の点、つまりエッジごとにk個の点を有する。
【0112】
図4Jおよび図4Kは、形状が「ネストされた六角形」格子に相当するLattice_3に基づく六角形である本発明の実施形態を示す。各k六角形(0からresまでのk)は、半径
k*R/res
を有し、Rは実際の形状の半径であり、6*k個の点、つまりエッジごとにk個の点を有する。
【0113】
形状内の点の数、つまり格子分解能を決定するには、res=分解能(resolution)およびinteger>=0である。res=0の場合、1つの点のみが中央に配置される。res=1の場合、1つの点が中心に配置され、各頂点に1つの点が配置される、などである。図4Kは、六角形のres=1、res=3、およびres=9をそれぞれ記述している。
【0114】
図4Lは、形状がネストされた球体であり、左側が中空の球体であり、右側が中実の球体である本発明の一実施形態を示す。中空形状の場合、選択した分解能に従って2次元形状のエッジに点を配置するだけのように、点の格子が形状の面にのみ適用される。中実形状の決定された各格子から、中空形状の分解能を推定できる。中空形状は、ネストされた完全な形状の境界上にないすべての点を省略することに対応する。
【0115】
k個の球体(0<k<res)は半径k*aを有し、一実施形態では、球体は、各円上に6*k個の点を有する高さで結合する3*k個の円から構成される。
【0116】
図4Mは、形状がネストされた四面体であり、左側が中空の四面体であり、右側が中実の四面体である本発明の一実施形態を示す。各k四面体(0からresまでのk)は半径Xを有し、Rは実際の形状の半径であり、X個の点、またはエッジごとにk個の点を有する。
【0117】
図4Nは、形状がネストされた八面体であり、左側が中空の八面体であり、右側が中実の八面体である本発明の一実施形態を示す。各k八面体(0からresまでのk)は半径Xを有し、Rは実際の形状の半径であり、X個の点、またはエッジごとにk個の点を有する。
【0118】
図4Oは、形状がネストされた立方体であり、左側が中空の立方体であり、右側が中実の立方体である本発明の一実施形態を示す。各k立方体(0からresまでのk)は半径Xを有し、Rは実際の形状の半径であり、X個の点、またはエッジごとにk個の点を有する。
【0119】
図4Pは、形状がネストされた20面体であり、左側が中空の20面体であり、右側がres=2の中実の20面体である本発明の実施形態を示す。各k個のネストされた20面体は、三角形の中心点を課すことを除いて、三角形分解として、分解能=kに従って、それぞれが格子内で分解される20個の三角形の面に分解される。
【0120】
図4Qは、形状がネストされた12面体であり、左側が中空の12面体であり、右側がres=2の中実の12面体である、本発明の実施形態を示す。各k個のネストされた12面体は、五角形に選択されたメッシュによって与えられる分解能=kに従って、それぞれが格子内で分解される12の五角形の面に分解される。
【0121】
一実施形態では、形状は、群、次元形状の領域または境界内で跳ね返るか、形状の無限、決定論的または確率論的変換を形成する有界点のクラスタであり得る。
【0122】
図4Rは、形状がネストされたトーラスである本発明の一実施形態を示しており、デフォルト当たりのネストされたトーラスの数=resであるが、パラメータとして追加することができる。動的格子内の仮想点の位置は、式
x=r(a+cosv)cosu y=r(a+cosv)sinu z=rsinv
で与えられる。
【0123】
次に、rとaのパラメータを変更することで、トーラス形状を3つの種類に変換できる。a=1の場合、「ホーントーラス」が形成され、a<1の場合、「スピンドルトーラス」が形成され、a>1の場合、「リングトーラス」が形成される。
【0124】
図4Sは、形状がアルキメデスの螺旋である本発明の一実施形態を示しており、動的格子内の仮想点の位置は、式
r=a.u+b:x=(a.u+b)*cos(u) y=(a.u+b)*sin(u) z=0
で与えられる。
【0125】
図4Tは、形状が螺旋である本発明の一実施形態を示しており、動的格子内の仮想点の位置は、
x=r.cos(a.u) y=r.sin(b.u) z=u r,a,bは固定
またはヘリコイド変数
x=r.cos(a.u) y=r.sin(a.u) z=u
で与えられ、例えば:1≦r≦1および-π≦u≦π、またはその他の、-inf、+infである。
【0126】
図5Aは、中心[0,0,0]から等半径、および中心から上、下、前、後、左、右に均等に配置され、「傾斜した立方体」または「星型四面体」の形状、すなわち、本発明の一実施形態におけるラウドスピーカ構成形状を形成する8個のラウドスピーカz_1~z_8からなる実施形態によるラウドスピーカ構成を示す。このラウドスピーカ構成は、以下で説明するタスク2~4に使用された。
【0127】
図5Bは、ここではx.8 y.6 z.8、としても示され、x方向に沿って8メートル、y方向に沿って6メートル、z方向に沿って8メートルの寸法を有する角錐として形作られ、以下で説明するタスク2に使用された、格子k=3の格子を有する仮想音源10を示す。
【0128】
図5Cは、x.8 y.8 z.8mの寸法を有する中空の立方体および格子k=3を有する格子として形作られ、以下に説明するタスク3に使用された仮想音源10を示す。
【0129】
図5Dは、Dm=6を有する中実の球体および格子k=1.33を有する格子として形作られ、以下に説明するタスク4に使用された仮想音源10を示す。
【0130】
図5Eは、以下に説明するタスク1に使用された、ステレオ設定[L=R]である一実施形態によるラウドスピーカ構成である。
【0131】
図5Fは、以下に説明するタスク2~4に使用された信号処理を示している。タスク2~4の信号処理は、図8A図8Cで参照されるように空間波変換を実行することを含まないことに留意されたい。
【0132】
図6は、複数のラウドスピーカの各ラウドスピーカについてラウドスピーカ音声信号を決定するための方法およびシステムを示すフローチャートである。図示の方法およびシステムは、信号分配行列13と呼ばれることもある。この実施形態では、ラウドスピーカ音声信号z_kは、複数のラウドスピーカのラウドスピーカk(図示せず)ごとに決定される。信号分配行列への入力は、仮想音源のそれぞれの仮想点に関連付けられた複数の音声信号成分であり、複数の音声信号成分y_nは、本明細書に記載の方法に従って決定されたものである。
【0133】
各ラウドスピーカkは、ラウドスピーカ係数a_kに関連付けられている。図示の実施形態では、ラウドスピーカkのラウドスピーカ音声信号z_kを決定するステップは、減衰された音声信号成分のラウドスピーカ固有のセットを取得するために、ラウドスピーカ係数a_kに基づいて各音声信号成分y_nを減衰させるステップを含む。ラウドスピーカのラウドスピーカ係数は、問題のラウドスピーカと仮想点との間の距離に基づいて決定され得る。各音声信号成分y_nをラウドスピーカ係数a_kに基づいて減衰するには、単純に乗算y_n*a_kを使用する必要がある。このような場合、ラウドスピーカkの減衰音声信号成分のラウドスピーカ固有のセットは、{y_1*a_k;y_2*a_k;y_3*a_k;…;y_N*a_k}、のように記述でき、Nは仮想音源に対して規定された仮想点の総数を示す。続いて、ラウドスピーカkのラウドスピーカ音声信号z_kに到達するために、このセット内の音声信号成分が組み合わされ、例えば合計される。本方法は、すべてのラウドスピーカkに対して実行される。
【0134】
本開示において、三角形内の値、すなわち減衰または増幅操作における値は、信号が乗算される定数を示すと理解され得る。これらの定数は、多くの場合、「a」または「b」で示される。したがって、そのような値が1より大きい場合、信号増幅が実行される。そのような値が1より小さい場合、信号の減衰が実行される。
【0135】
信号分配行列13は、図6に示されるように、乗算器の出力信号が供給される入力ラインが出力と交差する各位置に、乗算器および合計を有し得る。乗算器は、入力ラインから受信した信号を、コントローラによって指定され、当該技術分野で一般に知られているパニングシステムによって各ラウドスピーカの振幅に対して生成された値などの所定のラウドスピーカ係数によって減衰させ、結果として得られる信号を合計に出力する。乗算器が信号に所定の係数を乗じる処理を「3次元パンニング処理」と呼ぶことがある。すなわち、コントローラは、それぞれの出力システムに対応する関連する係数の適切な値を与えることができ、その結果、複数のラウドスピーカによって被験者に提供される結果として得られる音声信号は、立体的な形状と、任意選択的に密度および空間内の位置、例えば、被験者に対する角度、距離、深さ、および高さを有するようになる。乗算器の処理の結果、仮想音源から被験者への方向および次元の伝搬について、音が適切にシミュレートされる。合計は、乗算器の音声出力信号をそれぞれの出力ラインに供給し、それぞれがラウドスピーカ構成形状のラウドスピーカに関連付けられている。
【0136】
各出力ラインは、減衰係数として、
a=1/N
を有する信号減衰器をさらに備えてもよく、
Nは信号分配行列の音声信号成分yの数であり、
得られたaの減衰は、
G(dB)=10log10(a)
のようにデシベルdB単位でゲインGに変換される。
【0137】
ラウドスピーカ音声信号への入力音声信号の音声信号成分への変更x->y_n->z_kは、仮想音源の事前計算された形状、および/またはリアルタイムで変換される形状の処理である可能性がある、つまり、形状、サイズ、密度、および/または空間内の形状の位置と回転は、コントローラ、リアルタイムで実行される事前に自動化されたデータセット、および/またはリアルタイムのコンピュータ生成処理によって生成されるリアルタイムの変更の影響を受けることを理解されたい。
【0138】
図7は、仮想音源10を規定するそれぞれの仮想点に関連付けられた音声信号成分26を決定するための一実施形態による方法を示す。この実施形態では、本方法は、仮想音源情報6として形状データを取得することを含む。形状データは、音声信号を聞いたときに被験者2によって知覚される仮想音源10の仮想点を規定する。
【0139】
そのような実施形態では、方法は、空間波変換64を含み、このことは、各音声信号成分の決定のために、入力音声信号x(t)を変更して、時間遅延を導入する信号遅延操作を使用して変更された音声信号成分を取得し、入力音声信号、または入力音声信号の反転および/または減衰または増幅版と、変更された音声信号成分の組合せ、例えば、合計に基づいて音声信号成分を決定することを意味する。変更された音声信号成分を決定するために導入される時間遅延を決定する式は、式
Δt=Vx/v
で与えられ、
Vは形状の次元容積であり、xは仮想形状上の点nの係数を示し、各点はデカルト座標(xyz)で示される相対空間位置を有し、vは媒体を通る音速に関連する定数である。空間波変換による音声信号成分の決定は、特許出願NL2024434およびNL2025950にも記載されており、これらの内容は全体として本開示に含まれると見なされるべきである。
【0140】
仮想音源の仮想点にそれぞれ関連付けられた複数の音声信号成分の決定は、形状符号化66と呼ばれることがあることを理解されたい。
【0141】
仮想音源のそれぞれの仮想点に関連する取得された音声信号成分は、図7で深さ符号化68、高さ符号化70、および距離符号化72と呼ばれるものによってさらに変更され得る。これらの追加の変更は、被験者2に対する仮想点の仮想位置(xyz)に依存して実行され得る。
【0142】
本明細書に記載された実施形態は、例示されたものとは異なる処理フローを使用して別の順序で実行されてもよいこと、および、すべての実施形態ですべてのステップが必要なわけではないことを理解されたい。換言すれば、1つまたは複数のステップを省略または置換し、異なる順序で、互いに並行して実行することができ、および/または追加のステップを追加することができる。
【0143】
図8Aは、仮想音源10の仮想点の音声信号成分を決定するための方法およびシステムを示すフローチャートである。すべての仮想点の音声信号成分を決定することは、空間波変換を実行することと呼ばれることがあり、これは任意選択的に実行される。本方法は、仮想音源を規定するそれぞれの仮想点のすべての音声信号成分を取得するために、仮想音源の個々の仮想点ごとに実行されることを理解されたい。音声信号成分を決定するための方法は、特許出願NL2024434およびNL2025950にも記載されており、その内容全体が本開示に含まれると見なされるべきである。さらに、図8Aのフローチャートは、図8D図8E図8Fに示されるフローチャートのいずれかに置き換えることができることを理解されたい。
【0144】
図示の実施形態では、入力音声信号x(t)は、第1の変更された音声信号成分を取得するために変更される(図8Aの下の分岐を参照)。入力音声信号x(t)のこの変更は、任意選択的に、示されるように、信号反転操作74を含み、時間遅延を導入する信号遅延操作75を含み、信号フィードバック操作73を含む。信号遅延操作75で使用される時間遅延は、図7に関して上述した時間遅延を決定するための式に従って決定され得る。図示の実施形態では、フィードバックされる信号は、1より小さい利得を有する増幅器76によって示されるように減衰される。次に、第2の変更された音声信号成分を得るために、第1の変更された音声信号成分が入力音声信号と結合される(合計78を参照)。さらに、第2の変更された音声信号は、仮想音源10の仮想点に関連付けられた音声信号成分y(t)_nを取得するために、減衰操作79および任意選択的にハイパスフィルタ操作80によってさらに変更される。
【0145】
合計操作78の後の減衰操作79は、音声信号のゲインGを-6dB減少させるステップを含み得る。仮想形状上の点nに依存するハイパスフィルタのカットオフ周波数fは、
/R≦0.5に関して、f=v/V2(1-r/R)
/R>0.5に関して、f=v/V2(r/R)
のように決定でき、
vは媒体を通る音速に関連する定数、Vは仮想形状の次元容積、rは仮想形状の中心から点nまでの球面半径を示し、Rは、仮想形状の2つ以上のエッジが交わる頂点を通る形状の中心からの球面半径を示す。Rの値が2つ以上の場合、最大値のRが考慮される。
【0146】
図8Bは、信号x(t)に対して実行される時間遅延操作、信号反転操作、および信号減衰が信号にどのように影響するかを示す。図8Bは、縦軸に振幅を、横軸に時間をとった音声入力信号x(t)、および音声入力信号に対して反転され、Δtだけ時間が遅延され、係数bによって減衰された、変更された音声信号を示す。
【0147】
図8Cは、一実施形態による、仮想点に関連付けられた音声信号成分を決定するための方法およびシステムを示す。この例では、音声入力信号x(t)を変更して、仮想形状上の点に関連付けられた第1の時間遅延Δtn.1を導入する信号遅延操作を使用して、第1の変更された音声信号成分を取得する。さらに、音声入力信号x(t)は、仮想形状上の同じ点に関連する第2の時間遅延Δtn.2を導入する信号遅延操作を使用して、第2の変更された音声信号を得るために変更される。同様に、仮想形状上の1つの同じ点に関連付けられた、2つ以上または多くの変更された音声信号成分を取得することができる。図8Cでは、変更された音声信号成分の数が「P」で示されている。
【0148】
さらに、変更された信号成分y(t)は、合計、例えば、第1および第2の変更された音声信号成分それぞれの組合せ、仮想形状上の1つの同じ点に関連付けられた変更された音声信号成分の数に応じた減衰操作、を含むように取得され、
a=1/Pであり、
G(dB)=10log10(a)であり、
任意選択的に、仮想形状上の点nに依存するハイパスフィルタのカットオフ周波数fを取得することに関して、上記の式を使用したハイパスフィルタ操作を含むように取得される。
【0149】
図8Cのフローチャートは、図8G図8H図8Iに示されるフローチャートのいずれかに置き換えられてもよいことを理解されたい。さらに、図8C図8G図8H図8Iは反復部分を含む(破線のボックスによって示される)。図8D図8E図8Fに示されるフローチャートのいずれも、図8C図8G図8H図8Iの代わりに反復部分として使用できることを理解されたい。
【0150】
図9Aは、音声信号成分に深さ特性を追加する方法を示すフローチャートである。このような音声信号成分y_nは、例えば、図8Aまたは図8Cに示されるフローチャートに従って取得され得る。
【0151】
図9Aの音声信号成分に深さ特性を追加するステップは、音声信号成分の変更版を得るために、時間遅延、信号減衰88および信号フィードバック操作90を導入する時間遅延操作86を使用して、問題の音声信号成分y_nを変更するステップと、音声信号成分の変更版を問題の音声信号成分と組み合わせるステップ92と、を含む。信号減衰88は、問題の音声信号成分に関連する仮想点の被験者の下の仮想深度に応じて実行される。
【0152】
この実施形態では、信号減衰はパラメータ「b」によって規定される。値b=0の場合、被験者の下の仮想点の深度は符号化されず、値b=1の場合、音声信号成分に関連付けられた仮想点の最大深度が符号化される。
【0153】
変更された音声信号と入力音声信号の組合せの結果が任意選択的に減衰または増幅94される値「a」は、
a=(1-b)x
の値に等しくなり、
xは、信号フィードバックbの量に応じて信号ゲインGを補正するための増倍率であり、高周波散逸曲線の急峻さに影響を与える。値bを、好ましくは0~1の間で変化させることにより、深さの変化が音声信号に追加される。
【0154】
好ましくは、時間遅延操作によって導入される時間遅延Δtは、可能な限り短く、例えば0.00007秒より短く、好ましくは0.00005秒より短く、より好ましくは0.00002秒より短い。最も好ましくは、約0.00001秒である。デジタルサンプルレートが96kHzの場合、時間遅延は0.00001秒になる場合がある。
【0155】
図9Aのフローチャートは、図9Dに示されるフローチャートのいずれかに置き換えられてもよいことを理解されたい。
【0156】
図9Bは、ローパスフィルタ操作を使用することにより、音声信号成分y_nを変更して、さらに変更された音声信号を取得するステップと、ローシェルフフィルタ操作および減衰操作と、を含む、本発明の一実施形態、信号処理モジュールおよび/または深さ符号化のためのコード部分を説明する図であり、ローパスフィルタのカットオフ周波数f、ローシェルフフィルタのカットオフ周波数fおよびゲインGは、相対的な深度に依存する変数である。
【0157】
図9Cは、縦軸に振幅、横軸に周波数をとった音声信号成分(実線)と、深さ特性が追加された音声信号成分(破線)とを示し、その効果は、低周波エネルギーと比較して高周波エネルギーが徐々に散逸することによって示される。
【0158】
図10Aは、被験者の上方の高さに配置された仮想点に関連付けられた音声信号成分y_nに高さ特性を追加する方法を示すフローチャートである。高さ特性を音声信号成分に追加するステップは、信号反転操作140を使用して問題の音声信号成分を変更するステップと、時間遅延および信号減衰144を導入して音声信号成分の変更版を取得する信号遅延操作142と、音声信号成分の変更版を問題の音声信号成分と組み合わせるステップ146と、を含む。ここで、信号減衰144は、仮想音源の仮想高さに依存して実行される。
【0159】
この実施形態では、値b=0の場合、高さ特性は音声信号成分に追加されない。値b=1の場合、仮想点の最大の高さが知覚される。第1の減衰操作が実行される場合、減衰148の値「a」のゲインGは、
a=(1-b)x
と等しくてもよく、
xは減衰量bに応じて信号ゲインGを補正するための増倍率であり、低周波散逸曲線の急峻さに影響を与える。値bを、好ましくは0~1の間で変化させることにより、音声信号成分に高さの変化を加えることができる。
【0160】
好ましくは、時間遅延操作142によって導入される時間遅延Δtは、可能な限り短く、例えば0.00007秒より短く、好ましくは0.00005秒より短く、より好ましくは0.00002秒より短い。最も好ましくは、約0.00001秒である。デジタルサンプルレートが96kHzの場合、時間遅延は0.00001秒になる場合がある。
【0161】
図10Bは、ハイパスフィルタ操作、ハイシェルフフィルタ操作、および減衰操作を使用することにより、音声信号成分y_nを変更して、さらに変更された音声信号を取得するステップを含む、本発明の一実施形態、信号処理モジュールおよび/または高さ符号化のためのコード部分を説明する図であり、ハイパスフィルタのカットオフ周波数f、ハイシェルフフィルタのカットオフ周波数fおよびゲインGは、選択した高さに依存する変数である。
【0162】
図10Cは、縦軸に振幅、横軸に周波数をとった音声信号成分(実線)と、高さ特性が付加された音声信号成分(破線)と、を示し、その効果は、高周波エネルギーと比較して低周波エネルギーが徐々に消散することによって示される。
【0163】
図11Aは、音声信号成分y_nに距離特性を追加する方法を示すフローチャートである。音声信号成分に距離特性を追加するステップは、第1の時間遅延を導入する第1の信号遅延操作160を使用して問題の音声信号成分を変更するステップと、音声信号成分の第1の変更版を取得するための第1の信号減衰操作162および信号フィードバック操作164と、音声信号成分の第1の変更版を問題の音声信号成分と組み合わせて(166)、音声信号成分の第2の変更版を取得するステップと、第2の信号減衰168を実行し、任意選択的に第2の信号遅延操作170を実行して、音声信号成分の第2の変更版に第2の時間遅延を導入するステップと、を含む。ここで、第1の信号減衰162および第2の信号減衰168は、被験者からの仮想距離に依存して実行される。
【0164】
問題の音声信号成分に関連付けられた仮想点の距離に応じて、操作162の減衰定数であるbの値と、操作168の減衰定数であるaの値が変化する。定数は、信号に乗算される定数を示すと理解することができる。したがって、そのような値が1より大きい場合、信号増幅が実行される。そのような値が1より小さい場合、信号の減衰が実行される。b=0およびa=1の場合、距離は符号化されず、b=1およびa=0の場合、最大距離が符号化される。値aのゲインGは、
a=(1-b)x
のようにbの値に関連していてもよく、
xの値は、高周波散逸曲線の急峻さに影響を与える信号フィードバックの量に適用される増倍率である。
【0165】
好ましくは、時間遅延操作160によって導入される時間遅延Δt1は、可能な限り短く、例えば0.00007秒より短く、好ましくは0.00005秒より短く、より好ましくは0.00002秒より短い。最も好ましくは、約0.00001秒である。デジタルサンプルレートが96kHzの場合、時間遅延は0.00001秒になる場合がある。
【0166】
時間遅延操作170によって導入される任意選択的な時間遅延Δt2は、仮想音源の移動に関連するドップラー効果を生み出す。時間遅延は、
Δt2=r/v
のように決定でき、
rは、デカルト座標(xyz)で示される問題の音声信号成分に関連付けられた仮想点の位置と、視点(xyz)として表すことができる被写体との間の距離であり、vは、媒体中の音速を表す定数である。
【0167】
図11Aのフローチャートは、図11Dに示されるフローチャートのいずれかに置き換えられてもよいことを理解されたい。
【0168】
図11Bは、本発明の一実施形態である、ローパスフィルタ操作を使用することにより、音声信号成分y_nを変更して、さらに変更された音声信号を取得するステップと、第1の減衰操作および時間遅延を導入する時間遅延操作と、を含む、信号処理モジュールおよび/または距離符号化のためのコード部分を説明する。任意選択的に、第2の変更された音声信号は、フィルタリングされ減衰された第1の変更された音声信号を残響操作および第2の減衰操作によって変更するステップによって取得され、合計、例えば第1および第2の変更された音声信号それぞれ組み合わせて第3の変更された音声信号y(t)を取得し、ローパスフィルタのカットオフ周波数f、それぞれ第1および第2の減衰操作のゲインG、ならびに時間遅延Δtは、選択した距離に依存する変数である。
【0169】
図11Cは、縦軸に振幅、横軸に時間を有する音声信号成分(実線)と、その効果が、音声入力信号と比較して、変更された音声信号の振幅が徐々に減少することによって示される、時間とともに増加する距離の特性が追加された音声信号成分(破線)と、を示し、音声入力信号と比較して、変更された音声信号の時間遅延が徐々に増加する。
【0170】
図12は、変更された音声信号成分y’を得るために入力音声信号が形状符号化操作によって変更され、変更された音声信号成分y’’を取得するために深さ符号化操作によってさらに変更され、変更された音声信号成分y’’’を取得するために、高さ符号化操作によってさらに変更され、変更された音声信号成分y’’’’を取得するために、距離符号化操作によってさらに変更される、本発明の一実施形態を説明する。形状、深さ、高さ、および距離の符号化操作は、仮想形状上の点に関連付けられたy(x,y,z)の位置、および仮想形状Vの次元容積に応じて、および/またはy(x,y,z)の位置と被験者の位置、つまり視点(x,y,z)によって示される観察者の位置に応じて実行される。図12は、3つの仮想点「1」、「2」、および「N」について、音声信号成分がどのように決定されるかを概略的に示している。
【0171】
結果として得られる音声出力信号は、スペクトルが変更された音声信号を取得するための音声信号成分y’’’’の合計であり、これにより、明確な形状、すなわち、被験者に対する特定の距離、高さ、深さでの次元形状、サイズ、密度を備えた仮想音源の投影、「音形状投影」を有する音源の共鳴に非常に似ている。
【0172】
変更された音声信号yを取得するために使用される形状データは、事前に計算され、読み取り可能なデジタルまたはアナログ記憶媒体に記憶され、リアルタイムで生成および/または変更され、データストリーミング入力としてシステムに提供され得る。別の実施形態では、形状データは、特定の形状、サイズ、および材料の音響物体の事前に記録された信号を含み、物体までの規定された角度および距離で捕捉され、空間における物体の音響伝播の属性を記述する。別の実施形態では、形状データは、規定された角度および距離、すなわち、空間内の物体の音響伝搬の属性であるすべての周波数または周波数帯域間の振幅の比率で補足された、特定の形状、サイズ、および材料の音響物体に由来する音響信号の取得されたスペクトル変更データを含む。
【0173】
本発明の一実施形態では、本発明で使用される音声信号処理および/またはコード部分は、リアルタイムFFT(高速フーリエ変換)解析、レイトレーシング、バンドパスフィルタ合成、畳み込み合成を含む、変更された音声信号を取得し、変更された音声信号内の形状データ(の一部)を符号化するために、当技術分野で知られている他の方法を含み得る。別の実施形態では、形状データの取得は、音信号生成デバイスへの入力であり、加算合成などの当技術分野で知られている方法を適用することによって、正弦波信号などの生成された音声信号を変更することができる。
【0174】
図13Aは、本発明の一実施形態である、3次元空間における音源の形状変換のリアルタイムおよび/またはスクリプト化されたFFT分析に依存して、周波数帯域の選択された分解能のためにバンドパスフィルタのセットを変調することにより、入力音声信号を変更するステップを含む、信号処理モジュールおよび/または空間符号化のためのコード部分を説明する。結果として得られる音声出力信号は、明確な形状、すなわち、被験者に対する特定の距離、高さ、深さでの次元形状、サイズ、密度を備えた仮想音源の投影、「音形状投影」を有する音源の共鳴に似るように、スペクトルの変更を符号化している。
【0175】
図13Bは、本発明の一実施形態である、畳み込み信号が音源から特定の位置、特定の距離、高さ、深さで補足された、形状を持つ音源の事前に録音された時間ベースの音声ファイルである、入力音声信号および畳み込み信号と、周波数帯域の選択された分解能のための畳み込み演算によって入力音声信号を変更するステップと、を含む、信号処理モジュールおよび/または空間符号化のためのコード部分を説明する。結果として得られる音声出力信号は、明確な形状、すなわち、被験者に対する特定の距離、高さ、深さでの次元形状、サイズ、密度を備えた仮想音源の投影、「音形状投影」を有する音源の共鳴に似るように、スペクトルの変更を符号化している。
【0176】
図13Cは、本発明の一実施形態である、固定周波数の正弦波生成器の選択された分解能の振幅を変更するために、リアルタイムおよび/またはスクリプト化された形状データおよび/または空間シミュレーションデータを含む、信号生成モジュールおよび/またはコード部分、加算合成操作を説明する。結果として得られる音声出力信号は、明確な形状、すなわち、被験者に対する特定の距離、高さ、深さでの次元形状、サイズ、密度を備えた仮想音源の投影、「音形状投影」を有する音源の共鳴に似るように、スペクトルの変更を符号化している。
【0177】
図14Aは、録音スタジオで録音された重み付けされていない音叉の音声信号を示している。音声信号は、トーンの衝突から約30秒で終了するまでの振幅の合計サステインを示す。信号は、音声信号の最初の0.5秒間の短い衝突および崩壊、ならびに音声信号のそれぞれの0.5~30秒間の長い持続および解放によって特徴付けられる。
【0178】
本発明の一実施形態では、音声入力信号は、1つまたは複数の楽音またはリズミカルな脈動、つまり、安定した周期的振動、「ピッチ」または「パルス」を伴う音信号であり、「音色」は、音に存在し、音源を特徴付ける基本ピッチまでの高次高調波の識別可能な構造を意味する。一実施形態では、加重されていない音叉によって得られるような楽音がスタジオで録音されて、本明細書で説明されるように被験者の生理学的状態を改善するシステムに入力される音声信号が得られる。本発明は、他の音源に由来する、ならびに/または信号の反復およびそのような音声信号(の繰り返し)に対する聴取者の様々な時間暴露を含む他の手段によって取得された、他の任意の特性および継続時間の他の音声入力信号の使用を含むことができることを理解されたい。
【0179】
本開示で言及される実施された実験は、音声入力信号として重み付けされていない音叉の音刺激で得られたものである。音叉の楽音は、合計5分間の暴露期間中に全体で数回繰り返される。
【0180】
図14Bは、544.4Hz(周波数比1:2、基本ピッチ~C#の第1のオクターブ)および1701.25Hz(6.25:1)で識別可能な高調波を有する、272.2Hz(基本ピッチ~C#)での重み付けされていない音叉の0.5~30秒の平均スペクトログラフを示す。基本波と第1の高調波とのパワー比は1:0.0015(-28dB)、基本波と第2の高調波とのパワー比は1:0.0015(-28dB)である。以下でさらに詳細に説明するように、図14Bに示される信号は、タスク1~4のための入力音声信号として使用された。
【0181】
本明細書で説明する音声信号に対する被験者の反応を検査するために、いくつかの実験が行われた。実験には、タスク1、タスク2、タスク3、およびタスク4と呼ばれる4つの「タスク」が含まれていた。タスク1は、本明細書に記載の仮想音源を投影しない基準信号を被験者に提供することを伴った(図5Eを参照)。タスク2では、角錐として形作られた仮想音源に関連付けられた音声信号を提供することを伴った(図5Bを参照)。タスク3では、立方体として形作られた仮想音源に関連付けられた音声信号を提供することを伴った(図5Cを参照)。タスク4では、球体として形作られた仮想音源に関連付けられた音声信号を提供することを伴った(図5Dを参照)。
【0182】
タスク2~4(図5Fを参照)に関連する音声信号を生成するために図9A図10A図11A、および図6のフローチャートで使用される正確なパラメータは、以下のように決定された。
【0183】
図9Aおよび図10AのビルディングブロックのΔt、a、およびbの値は、次のように取得された。
【0184】
図9Aの操作86の遅延時間Δtは可能な限り小さいが、>0である。図9Aおよび図10Aに関する上記の説明を参照されたい。タスク1~4を実行するサンプルレートは48,000Hzであったため、Δtは約0.02msである。
【0185】
[y]は、仮想点nのデカルト座標(x,y,z)の縦軸、つまり高さを表す。[y]<0の場合、深さDはD=y/-1および高さH=0として規定され、[y]>0の場合、高さHはH=yおよびD=0として規定される。
【0186】
図9Aの操作88の係数bは、b=(1/D)Dとして得られ、
は閾値深度(m)であり、dB単位の減衰ゲインG(b)は、式
G(b)=10log10(P/P
で与えられ、Pは電力値b、Pは基準電力P=1である。
【0187】
図9Aの操作94の係数aは、a=(1-b)xとして得られ、x=0.75の値に設定されたタスク2~4を実行する場合、xは増倍率であり、
dB単位の減衰ゲインG(a)は、式
G(a)=(10log10(P/P))x
で与えられ、
は電力値a、Pは基準電力P=1である。
【0188】
図10Aの操作144の係数bは、式
b=(1/H)H
のように得られ、
は閾値の高さ(m)であり、減衰ゲインG(dB)は、式
G(b)=10log10(P/P
で与えられ、
は電力値b、Pは基準電力(P=1)である。
【0189】
図10Aの操作148の係数aは、a=(1-b)xとして得られ、x=0.115の値に設定されたタスク2~4を実行する場合、xは増倍率であり、
dB単位の減衰ゲインG(a)は、式
G(a)=(10log10(P/P))x
で与えられ、
は電力値a、Pは基準電力P=1である。
【0190】
図11Aのビルディングブロック160、168、162、170のそれぞれにおけるΔt1、a、b、およびΔt2の値は、次のように得られる。
【0191】
遅延時間Δt1は可能な限り小さくするが、>0である。図9Aおよび図10Aの説明を参照されたい。タスク1~4を実行するサンプルレートは48,000Hzであったため、Δt1は約0.02msである。
【0192】
図11Aの操作162の係数bは、b=(1/r)rO->nとして得られ、
は閾値距離(m)であり、
観測者O(0,0,0)と仮想点n(x,y,z)の間の距離rO->nは、
O->n=√((x-x+(y-y+(z-z
のように規定され、
dB単位の減衰ゲインG(b)は、式
G(b)=10log10(P/P
で与えられ、
は電力値b、Pは基準電力P=1である。
【0193】
図11Aの操作168の係数aは、
a=P(1/rO->n)x
のように決定され、
は基準電力レベルであり、得られた係数aは、
G(a)=(10log10(P/P))x
のようにdB単位のゲインG(a)に変換され、
xは倍率であり、タスク2~4を実行する場合はx=1.1の値に設定される。
【0194】
図11Aの操作170の遅延時間Δt2は、
Δt2=rO->n/v
で得られ、
vは媒体中を伝わる音の伝播速度であり、タスク2~4が343m/秒に設定されている場合、つまり、平均温度20℃、湿度約50%での空気中の音速である。
【0195】
図6のビルディングブロック13のラウドスピーカ係数a(yn->)は、パニングアルゴリズムを使用して取得され、タスク1~4を実行する場合、次のパニングアルゴリズムが使用された。
【0196】
ラウドスピーカ構成(図5Aを参照)は、ラウドスピーカ構成形状に分割され、
<speaker speakerType=“satellite” z=“0” y=“1.26” x=“0” ch=“1” id=“A”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“0.59” y=“0.41” x=“-1.02” ch=“2” id=“B”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“0.59” y=“0.41” x=“1.02” ch=“3” id=“C”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“-1.18” y=“0.41” x=“0” ch=“4” id=“D”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“1.18” y=“-0.41” x=“0” ch=“5” id=“E”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“-0.59” y=“-0.41” x=“1.02” ch=“6” id=“F”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“-0.59” y=“-0.41” x=“-1.02” ch=“7” id=“G”/>
<speaker speakerType=“satellite” z=“0” y=“-1.26” x=“0” ch=“8” id=“H”/>
<--Top Layer-->
<shape speakers=“D B A” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“B C A” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“C D A” type=“projectionTriangle”/>
<--Mid Layer-->
<shape speakers=“E C B” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“E F C” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“F D C” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“F G D” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“G B D” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“G E B” type=“projectionTriangle”/>
<--Bottom Layer-->
<shape speakers=“H E G” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“H F E” type=“projectionTriangle”/>
<shape speakers=“H G F” type=“projectionTriangle”/>
<--Six Tetrahedrons filling the inside-->
<shape speakers=“F E C D” type=“tetrahedron”/>
<shape speakers=“G E D B” type=“tetrahedron”/>
<shape speakers=“B D C E” type=“tetrahedron”/>
<shape speakers=“F G E D” type=“tetrahedron”/>
<shape speakers=“G F E H” type=“tetrahedron”/>
<shape speakers=“C D B A” type=“tetrahedron”/>
<projectionPoint z=“0” y=“2” x=“0”/>
</grid>
<routing value=“1 2 3 4 5 6 7 8”/>
<center z=“0” y=“0” x=“0”/>
</setup>
のように、投影面および容積で構成される。
【0197】
に関連付けられた点がラウドスピーカ投影面の投影角度にある場合、またはラウドスピーカ構成の特定の容積内の特定の面にあるラウドスピーカzで構成されるラウドスピーカ容積内にある場合、ラウドスピーカ構成形状に含まれていないすべてのラウドスピーカについて
a(yn->)=0であり、
ラウドスピーカ構成形状に配置された各ラウドスピーカについて、yn->の距離rは、
=√((xyn-xzn+(yyn-yzn+(zyn-zzn
さらに、
Σr=r+r+...+r
のように決定され、
各ラウドスピーカzの信号yの振幅は、
a(yn->)=1/(Σr/r
のように決定され、
dB単位の減衰ゲインは、
G(yn->)=10log10(P/P
したがって、
(a)=Σa(yn->)=1
のように決定され、
これにより、同等の出力パンニングが得られる。
【0198】
図6で得られた各ラウドスピーカ信号zの減衰aは、a=1/Nとして得られ、N=形状上で規定された点の数(タスク1ではN=2、タスク2ではN=14、タスク3ではN=26、タスク4ではN=18)である。各タスクについて、ラウドスピーカに供給されるすべての音声出力信号の出力レベルをさらに手動で減衰または増幅して、被験者で正確に同じ音圧レベルを取得した(dBメーターデバイスで音響的に測定)。
【0199】
図15Aは、「タスク1」とも呼ばれる、防音され、音響的に処理された環境で、ハイファイラウドスピーカを使用してステレオ音投影で再生された、記録された重み付けされていない音叉の0.5~30秒の平均スペクトログラフを示している。図5Eは、タスク1に使用されたラウドスピーカ構成を示している。
【0200】
入力音声信号と比較して、ステレオ音投影を含む音声出力信号は、基本波と第1の高調波とのパワー比が1:0.0003(-35dB)増加し、基本波と第2の高調波とのパワー比が1:0.00008(-41dB)増加する。
【0201】
ステレオ音システムなどの「標準的な」方法を使用して音声信号を再生すると、記録された情報の一部が変更されていると結論付けることができる。つまり、録音された音源のスペクトルで発生する高調波の強度または存在は、出力媒体の伝播によって部分的に減少または不明瞭になる。
【0202】
図15Bは、入力音声信号として録音された重み付けされていない音叉で生成された音声信号の0.5~30秒の平均スペクトログラフを示す。生成された音声信号は、防音および音響処理された環境でハイファイラウドスピーカを使用して再生された。この実施形態では、仮想音源は角錐である。この音声信号を被験者に提供することは、「タスク2」とも呼ばれる。図5Aはタスク2に使用されたラウドスピーカ構成を示し、図5Bはタスク2に使用された仮想音源を示し、図5Fはタスク2に使用された信号処理を示す。
【0203】
図14Bに示す入力音声信号と比較すると、被験者に提供される図15Bの音声信号では、被験者が、この音声信号を聞いて、音声信号が角錐形状の仮想音源に由来するものとして知覚し、基本波と第1高調波のパワー比(2:1)の大幅な減少、1:0.025(-16dB)および1:0.04(-14dB)の基本波から第2の高調波(6.25:1)までを観測できる。さらに、816.6Hz(3:1)で第3の高調波が識別可能になり、基本波に対するパワー比は1:0.0004(-34dB)になる。
【0204】
図15Cは、入力音声信号として記録された重み付けされていない音叉で生成された音声信号の0.5~30秒の平均スペクトログラフを示す。生成された音声信号は、防音および音響処理された環境でハイファイラウドスピーカを使用して再生された。この実施形態では、仮想音源は立方体である。この音声信号を被験者に提供することは、「タスク3」とも呼ばれる。図5Aはタスク3に使用されたラウドスピーカ構成を示し、図5Cはタスク3に使用された仮想音源を示し、図5Fはタスク3に使用された信号処理を示す。
【0205】
音声入力信号(図14Bを参照)と比較して、立方体の音形状投影を含む音声信号(図15Cを参照)では、基本波と第1高調波のパワー比(2:1)が大幅に減少し、1:0.015(-18dB)と1:0.00025(-36dB)の基本波から第3の高調波(3:1)までを観測できる。基本波と2次高調波のパワー比(6.25:1)は、音声入力信号1:0.0015(-28dB)に等しくなる。
【0206】
図15Dは、防音され、音響的に処理された環境においてハイファイ度ラウドスピーカを使用して音形状投影として再生された、録音された重み付けされていない音叉の0.5~30秒の平均スペクトログラフを示す。この実施形態では、仮想音源は、「タスク4」とも呼ばれる球体である。図5Aはタスク4に使用されたラウドスピーカ構成を示し、図5Dはタスク4に使用された仮想音源を示し、図5Fはタスク4に使用された信号処理を示す。
【0207】
音声入力信号(図14Bを参照)と比較して、球体の音形状射影を含む音声出力信号(図15D)では、基本波と第1の高調波との等しいパワー比(2:1)、1:0.0015(-28dB)が観測され、基本波から第3の高調波(3:1)へのパワー比が1:0.00025(-36dB)増加する。
【0208】
音像投影を利用した音声信号の再生により、記録された情報は、結果として得られるスペクトルが、投影された形状の共鳴、例えば、角錐、立方体、または球体の形状を持つ音源の共鳴に似るように変更され、音声入力ソースのスペクトルで発生する高調波の強度または存在は、形状投影により増加または減少する可能性があり、そして、そのような音形状射影は、(少なくとも部分的に)出力媒体、つまり個々のラウドスピーカの伝播から生じる空間スペクトル特性を無効にする、と結論付けることができる。
【0209】
一実施形態では、仮想音源は、角錐、立方体、または球体として形作ることができる。本開示で言及されるような形状の投影にさらされた後の人体の生理学的反応に関するデータは、これらの3つの形状の前記投影を例として取得されている。これらの3つの形状は、基本的な基本形状と、自然の処理(Y Li et al.,2015)、結晶化処理(C Park et al.,2010)、および生理学的実験の以前の被験者(I R Kumar et al.,2005)との関係として選択された。音形状の効果と呼ばれる効果は、これらの形状のいずれかでかなりの程度に得られる観察可能な効果、すなわち、音に一般的に存在するリズム、ピッチ、または音色情報の効果以外の、形状を音に帰する一般的な効果を指し、形状の正確な投影は、投影された音響物体の形状を特に考慮せずに、ステレオ音投影など、当技術分野で知られている標準的な方法を使用して、同じ音声信号の投影と比較して、そのような効果の明確な違いおよび/または増加を有する。本開示で言及されるそれぞれの異なる形状の効果は、明確な違いを示し得るが、本明細書で説明される方法に関する特許請求の範囲は、形状の投影が共通して有する観察可能で測定可能な効果を指す。発明を含む方法は、形状の可聴生成を指し、したがって、任意の幾何学的形状および/もしくは非幾何学的形状、ならびに/または任意の空間次元の形状、ならびに/または螺旋などの周期的な振動で変形する形状の数学的に一貫した投影を含み得ることが理解されたい。
【0210】
図16Aは、一実施形態による被験者の生理学的状態を改善するための方法を示す。ここで、被験者2は、ステレオ音投影の中心、つまり、「タスク1」に配置され(ラウドスピーカ構成については図5Eを、提供された音声信号については図15Aを参照)、音声入力信号は、被験者の左右に均等に、および被験者の位置から測定された正規化された音圧レベルで分配される。すべてのタスク1~4の音圧レベルは同じであることに留意されたい。
【0211】
右側には、5分間の音暴露後に観察された、測定された生理学的効果の要約が示されている。暴露後と暴露前とを比較したアルファ波活動の平均出力では、被験者に識別可能な効果は観察されず、以下では「基本条件」とも呼ばれる。脳活動のアルファ:ベータ波比および心拍数変動のLF:HF比は、暴露後とタスク1を基本条件に比べてわずかに減少したが、大幅には減少しなかった。
【0212】
図16Bは、被験者を角錐の音形状投影の中心に配置する実施形態、すなわち「タスク2」を示し(仮想音源については図5Bを、提供された音声信号については図15Bを参照)、生成された音声信号は、被験者の左、右、上、下、前、および後ろに配置されたラウドスピーカによって分配され、被験者の位置から測定された正規化された音圧レベルで分配される。
【0213】
右側には、5分間の音暴露後に観察された、測定された生理学的効果の要約が示されている。脳活動のアルファ波平均出力とアルファ波:ベータ波パワー比の大幅な減少、心拍数変動のLF:HFパワー比の大幅な減少、および、被験者の恒常性の改善を示す測定された効果が観察される。
【0214】
図16Cは、立方体の音形状投影の中心に被験者を配置する実施形態、すなわち「タスク3」を示し(仮想音源については図5Cを、提供された音声信号については図15Cを参照)、音声入力信号が分配される場所は、被験者の左、右、上、下、前、および後ろに配置されたラウドスピーカによって分配され、被験者の位置から測定された正規化された音圧レベルで分配される。
【0215】
右側には、5分間の音暴露後に観察された、測定された生理学的効果の要約が示されている。アルファ波平均出力の大幅な減少、脳活動のアルファ波:ベータ波パワー比の非常に大幅な減少、および、心拍数変動のLF:HFパワー比の大幅な減少、被験者の恒常性の改善を示す測定された効果が観察される。
【0216】
図16Dは、被験者を球体の音形状投影の中心に配置する実施形態、すなわち「タスク4」を示し(仮想音源については図5Dを、提供された音声信号については図15Dを参照)、音声入力信号は、被験者の左、右、上、下、前、および後ろに配置されたラウドスピーカによって分配され、被験者の位置から測定された正規化された音圧レベルで分配される。
【0217】
右側には、5分間の音暴露後に観察された、測定された生理学的効果の要約が示されている。脳活動のアルファ波平均出力とアルファ波:ベータ波パワー比との大幅な減少、および、心拍数変動のLF:HFパワー比の大幅な減少、被験者の恒常性の改善を示す測定された効果が観察される。
【0218】
重要なことは、タスク2~4のように音形状投影の観察された効果は、観察されたすべての効果がタスク1と比較して、また基本条件と比較して大幅に増加することであり、つまり、脳のアルファ波活動の平均出力が減少し、アルファ波とベータ波の間の差比勾配が大幅に減少し、心拍変動のLF:HFパワー比の間の差比勾配が大幅に減少する。
【0219】
アルファ波:ベータ波パワー比の減少は、リラクゼーションの強化(International Medical Journal(1994)23(no.1):1-3・April 2016&R F Navea et al,Conference paper-Project Einstein 2015,At De La Salle University-Manila)および脳波の結束の強化を示すとして解釈され得る。左前中央部のアルファ波のレベルが低いほど、自己受容、環境への習熟、個人の成長のレベルが高いことに有意に関連しており、また、総合的な心理的幸福(H L.Urryet et al.,Psychol Sci.2004 Jun;15(6):367-72)、および、気分誘導(Matti Grohn et al,Proceedings of the 18th International Conference on Auditory Display,Atlanta,GA,USA,June 18-21,2012)による心血管系および呼吸器系へのプラスの効果を示唆している。アルファ波活動の低下は、血液中の酸素レベルの上昇にも関連していると報告されている(H Yuan et al,Neuroimage.2010 February 1;49(3):2596)。結果は、参加者が集中力を高めた状態、つまり没入状態にあったことを示している(S.Lim et al,Sensors(Basel)2019 Apr 8;19(7):1669)。さらに、VR体験に没頭している間、純粋に精神的なタスクと比較して、アルファ波の活動が算術タスク中に減少することが示されており、内部に注意を向けていることも示唆されている(Elisa Magosso et al,Computational Intelligence and Neuroscience Volume 2019)。
【0220】
交感神経系(SNS)と副交感神経系(PNS)からなる自律神経系(ANS)の活動は、心拍変動(HRV)内の低周波(LF)および高周波(HF)帯域に反映され、一方、これらの周波数帯域の出力の比率、いわゆるLF:HFパワー比は、交感神経バランスの程度を定量化するために使用される(Sin-Ae Park et al;Int J Environ Res Public Health.2017 Sep;14(9):1087)ことが一般に認められている。
【0221】
高分解能の音声刺激は、低分解能の音声刺激と比較してリラクゼーションを強化し、アルファ波出力の減少を示すことが証明されている(T.Harada et al,International Medical Journal(1994)23(no.1):1-3・April 2016)。実施された実験で観察された同じ結果と比較して、本開示に記載の方法は、高分解能音声信号を取得するための新規な方法と見なすことができ、より具体的には、形状情報が信号に符号化されているため、同じハイファイ音声機器を使用したステレオ音投影と比較して、結果に顕著な違いが見られる。
【0222】
図17は、前述のタスク1~4に5分間さらされた後の、周波数帯域(デルタ:1.5~3.5Hz、シータ:3.5~7Hz、アルファ:8~13Hz、ベータ1:13~20Hz、ベータ2:18~25Hz、ガンマ:30~40Hz)のそれぞれの平均振幅値を示している。測定は、各エポックの最後の1分間に行われた。タスク1の「ステレオ音投影」とタスク2~4の「音形状投影」とを比較すると、アルファ波活動の大幅な減少が観察される。
【0223】
さらに、得られたデータは、アルファ波の範囲では、基本条件とタスク2~4の間に有意差があることを示唆している。アルファは、基本状態とステレオ音投影との間でわずかに減少し(タスク1:N=12、p≦0.061)、その後、タスク1と音形状投影(タスク2:N=12、p≦0.01、タスク3:N=12、p≦0.023、タスク4:N=12、p≦0.059)との間で変動とともに大幅に減少する。示されているように、基本条件とタスク2の間、および基本条件とタスク3の間で、そして、程度は低いが、基本条件とタスク4の間で有意な結果が得られる。
【0224】
0.05未満のp値(通常は≦0.05)は、統計的に有意である。帰無仮説が正しく、結果がランダムである可能性は5%未満であるため、帰無仮説に対する強力な証拠を示す。(Saul McLeod,https://www.simplypsychology.org/p-value.html)。
【0225】
図18は、基本状態と比較してタスク2~4の間、アルファ波:ベータ波パワー比が大幅に減少し、さらに、ステレオ音投影(タスク1)と音形状投影(タスク2~4)の間で大幅に減少することを示している。
【0226】
図19は、心拍変動のLF:HFパワー比が基本状態と比較してタスク2~4で大幅に減少し、さらにステレオ音投影(タスク1)と音形状投影(タスク2~4)の間で大幅に減少することを示している。
【0227】
ここで言及した実験データは、音形状投影の提示かどうか、すなわち、形状を有する仮想音源に由来するものとして被験者によって知覚されるように構成された音声信号の提供が、生理学的測定値(EEG、HRV)に影響を与えるかどうかを調査することを目的とした研究、および、異なる音形状射影が生理学的測定値(EEG、HRV)に異なる影響を与えるかどうかの調査から得られたものである。この研究は、合計50人の参加者、N=50人の被験者のうち、22人の女性被験者と28人の男性被験者で実施された。すべての被験者は20歳から40歳までの健康な若者であった。被験者は、精神的または健康上の問題に苦しんでいないと宣言し、定期的に薬を服用していなかった。この研究は、ヘルシンキ倫理宣言に従って実施された。
【0228】
EEG(脳波)データは、Thomas Feiner教授、博士およびFrank Hegger教授、博士によって収集され、Anat Barnea博士によって処理された。HRV(心拍変動)データは、Bertram Reinbergによって収集された。HRVデータは、EEG記録と並行して記録された。統計のために考慮された観察は、すべての電極で平均化された周波数帯域の平均増幅e=19(被験者ごと、帯域ごと)である。左:右以外の信号の空間的局在は考慮されていない。
【0229】
実験は、図5Aに示すように、被験者の上、下、および周囲に配置された無指向性ラウドスピーカを備えた、防音され、音響的に処理されたスタジオ環境で実施された。被験者は、実験手順全体で目を閉じてじっと座っているように指示された。タスク1~4のすべての位置は、同じラウドスピーカで、被験者の同じ正規化された音圧レベルで、同じ条件下で再生された。音刺激のサンプルは、オクターブの間隔で、事前に録音された高周波数の重み付けされていない音叉と同じ長さおよび音量でループ再生された(再生周波数:#1=272.2Hz、#2=544.4Hz)。
【0230】
被験者は、ステレオ音投影(タスク1)または音形状投影(タスク2、3、または4)にさらされた。各音刺激は5分間再生された。すべての被験者は、5分間の基本条件(目を閉じて無音)と5分間の音刺激についても監視された。形状の提示(タスク1~4)は、被験者間でランダムに混合された。実験は「ブラインドツーブラインド」で実施され、参加者と生理学的測定を行っている博士の両方が、どのタスクが再生されているか、および音サンプルの特徴が何であるかを認識していなかった。参加者は、音刺激への暴露の前後に評価アンケートに回答するよう求められた。
【0231】
基本条件を含む各条件は5分間測定され、最後の1分間が分析された。ノイズの多いアーティファクトを有する被験者は、統計分析を実行する前に分析パラダイムから削除された。
【0232】
図20Aは、音刺激への暴露前および暴露後の被験者によって回答されたMDQMからの結果の要約を示す。MDMQは、ドイツの多次元気分質問票(MDBF)の英語版であり、多くの研究で信頼できる尺度であることが証明されている(https://www.metheval.uni-jena.de/mdbf.php)。結果は、暴露前と暴露後を投影された音の形状と比較し(タスク2~4)、ステレオ音投影(タスク1)の暴露後の効果を音形状投影(タスク2~4)と比較して、参加者の報告された深いリラクゼーションの大幅な増加と緊張の大幅な減少を示している。
【0233】
図20Bは、音刺激への暴露前および暴露後に被験者が回答したMDQMアンケートから得られたより大きな報告を示している。すべてのカテゴリは、測定されたすべての肯定的な感情の増加と測定されたすべての負の感情の減少で、音刺激への暴露前と暴露後に比較して同じ傾向を示す。すべてのカテゴリは、タスク2~4(N=36)にさらされた後に回答されたMDMQアンケートの統計的に有意な結果を示している。休んでいるp≦0.002、落ち着かないp≦0.045、悪いp≦0.001、疲れているp≦0.030、不安なp≦0.025、リラックスしているp≦0.001、不幸なp≦0.048、緊張しているp≦0.000、深くリラックスしているp≦0.001、である。
【0234】
すべての参加者は、実験に登録する前にBECK Depression Inventory(BDI)に回答する必要があり、すべての参加者の平均スコアは7.45で、これは正常と見なされる。BECK Depression Inventory(BDI)は、Hamilton Psychiatric Rating Scale for Depression(HRSD)に関する臨床および非臨床被験者の評価の同時妥当性に使用される。(Aaron T.Beck,Clinical Psychology Review Volume 8,Issue 1,1988,Pages 77-100)。
【0235】
すべての参加者は、健康と感情的な反応を監視するために、各音刺激の直前と直後に多次元気分質問票(MDMQ)に回答するように求められた。SPSS 25.0で対応のあるt検定法を使用して、すべてのアンケートの結果の統計分析を実施した。
【0236】
図21Aは、音響的に透明な球状シェルを取り囲む音形状投影のためのラウドスピーカ構成を含む、被験者の生理学的状態を改善するための音響システムの実施形態を示す。一実施形態では、無指向性ラウドスピーカは、中心から等半径で互いに等距離に配置され、上下から直角になり、「傾斜した立方体」または「星型四面体」形状を形成する。
【0237】
図21Bは、音響システムの円周の内側に音響的に透明な球状シェルを備えたラウドスピーカ構成である、本発明の一実施形態を示す。そして、音響システムの円周の外側には、音響システムを球状ポッド内に囲む防音シェルがある。
【0238】
図21Cは、本発明の実施形態である、音響的に透明な内側シェルの背後にラウドスピーカ構成形状が組み込まれた防音球状ポッド、および被験者がその中心に座るためにポッドの中心に配置された専用のプラットフォームおよび椅子を示す。
【0239】
図21Dは、本発明の一実施形態である、8つのコーナーピースで接続された6つの外側シェルを備えた球状ポッドのシースルー、球状ポッドの寸法内で、傾斜した立方体または星型四面体構成形状の角に配置された8つのラウドスピーカ、8つのコーナーピースで接続された6つの内側シェル、および、球状ポッドの中心に被験者が座るためのプラットフォームおよび椅子を示す。
【0240】
図21Eは、本発明の一実施形態である、被験者の生理学的状態を改善し、被験者がその中心に座るための音響システムを収容する閉じた球状ポッドを示す。
【0241】
図22Aは、本発明の一実施形態である、被験者の生理学的状態を改善するための音響システムを含む球状ポッドの中心に配置される「蓮華座」を支持する椅子に座っている被験者、および/または音形状投影用の統合ラウドスピーカ構成を含む椅子を示す。
【0242】
図22Bは、本発明の一実施形態である、蓮華座に座る被験者を支持する椅子に統合された音形状投影のためのラウドスピーカ構成を備えている被験者の生理学的状態を改善するための音響システムを示す。椅子の座面、背もたれ、および側面には、椅子に座っている被験者の肩、背中、後ろ、および膝をカバーする統合ラウドスピーカおよび/または振動変換器が配置されている。
【0243】
図23は、一実施形態による例示的なデータ処理システムを示すブロック図である。
【0244】
図23に示すように、データ処理システム100は、システムバス106を介してメモリ要素104に結合された少なくとも1つのプロセッサ102を含み得る。したがって、データ処理システムは、メモリ要素104内にプログラムコードを記憶することができる。さらに、プロセッサ102は、システムバス106を介してメモリ要素104からアクセスされたプログラムコードを実行することができる。一態様では、データ処理システムは、プログラムコードを記憶および/または実行するのに適したコンピュータとして実装され得る。ただし、データ処理システム100は、本明細書に記載された機能を実行することができるプロセッサおよびメモリを含む任意のシステムの形で実装され得ることが理解されたい。
【0245】
メモリ要素104は、例えば、ローカルメモリ108および1つまたは複数の大容量記憶装置110などの1つまたは複数の物理メモリデバイスを含み得る。ローカルメモリは、プログラムコードの実際の実行中に一般的に使用されるランダムアクセスメモリまたはその他の非永続メモリデバイスを指す場合がある。大容量記憶装置は、ハードドライブまたはその他の永続的なデータ記憶デバイスとして実装され得る。処理システム100は、実行中に大容量記憶装置110からプログラムコードを検索しなければならない回数を減らすために、少なくともいくつかのプログラムコードの一時記憶を提供する1つまたは複数のキャッシュメモリ(図示せず)も含み得る。
【0246】
入力デバイス112および出力デバイス114として示される入力/出力(I/O)デバイスは、任意選択的に、データ処理システムに結合することができる。入力デバイスの例には、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス、タッチセンシティブディスプレイなどがあるが、これらに限定されない。出力デバイスの例としては、モニタまたはディスプレイ、スピーカなどがあるが、これらに限定されない。入力および/または出力デバイスは、直接または介在するI/Oコントローラを介してのいずれかで、データ処理システムに結合することができる。
【0247】
実施形態では、入力デバイスおよび出力デバイスは、入力/出力デバイスを組み合わせて実装され得る(入力デバイス112および出力デバイス114を囲む破線がある図23に示されている)。このような結合されたデバイスの例は、タッチセンシティブディスプレイであり、「タッチスクリーンディスプレイ」または単に「タッチスクリーン」とも呼ばれ得る。このような実施形態では、デバイスへの入力は、タッチスクリーンディスプレイの上またはその近くで、例えば、スタイラスやユーザの指などの物理対象物の動きによって提供され得る。
【0248】
ネットワークアダプタ116は、データ処理システムと結合して、介入するプライベートまたはパブリックネットワークを介して、他のシステム、コンピュータシステム、リモートネットワークデバイス、および/またはリモートストレージデバイスと結合できるようにすることもできる。ネットワークアダプタは、当該システムによって送信されるデータを受信するためのデータ受信機と、データ処理システム100へのデバイスおよび/またはネットワークと、データ処理システム100から、当該システム、デバイス、および/またはネットワークにデータを送信するためのデータ送信機と、を含み得る。モデム、ケーブルモデム、イーサネットカードは、データ処理システム100で使用できる様々な種類のネットワークアダプタの例である。
【0249】
図23に描かれているように、メモリ要素104はアプリケーション118を記憶することができる。様々な実施形態では、アプリケーション118は、ローカルメモリ108、1つもしくは複数の大容量記憶装置110、またはローカルメモリおよび大容量記憶装置とは別に記憶できる。データ処理システム100が、アプリケーション118の実行を容易にし得るオペレーティングシステム(図1には示されていない)をさらに実行できることを理解されたい。実行可能なプログラムコードの形式で実装されているアプリケーション118は、データ処理システム100、例えばプロセッサ102によって実行され得る。アプリケーションの実行に応答してデータ処理システム100は、本明細書で説明する1つまたは複数の操作または方法の手順を実行するように構成され得る。
【0250】
本発明の様々な実施形態は、コンピュータシステムで使用するプログラム製品として実装される可能性があり、プログラム製品のプログラムが実施形態の機能を規定する(本明細書に記載されている方法を含む)。一実施形態では、プログラムは、様々な非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に含めることができ、本明細書で使用されているように、「非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」という言い回しはすべてのコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、唯一の例外が一時的で伝播する信号である。別の実施形態では、プログラムは、様々な一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に含めることができる。実例のようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、(i)情報が永久に記憶されている、書き込み不可能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブが読み取ることができるCD-ROMディスク、ROMチップ、またはあらゆる種類のソリッドステートの非揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス)、および(ii)変更可能な情報が記憶されている書き込み可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ、ディスケットドライブ内のフロッピーディスク、またはハードディスクドライブ、またはあらゆる種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)、を含むが、これらに限定されない。コンピュータプログラムは、本明細書に記載されているプロセッサ102で実行され得る。
【0251】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記述する目的であり、本発明の制限を意図していない。本明細書で使用されているように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段に明記されていない限り、複数形を含めることも目的としている。本明細書で使用される場合、「備える」および/または「備えている」という用語は、指定された機能、整数、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を指定することがさらに理解されるが、他の1つまたは複数の機能、整数、ステップ、操作、要素、成分、および/またはグループの存在または追加を排除しない。
【0252】
以下のクレームのあらゆる手段またはステッププラスファンクション要素の対応する構造、材料、行為、および同等のものは、具体的に主張されているように、他の主張された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含めることを目的としている。本発明の実施形態の説明は、説明目的のために提示されているが、網羅的であることを意図していないか、開示された形式の実装に限定することを意図していない。多くの変更および変形は、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、当業者に明らかになる。実施形態は、本発明の原則といくつかの実用的な応用を最もよく説明するために、そして、当業者が、想定されている特定の使用に適した様々な変更を伴う様々な実施形態の現在の発明を理解できるようにするために選択され、説明された。
【0253】
発明者らは、Claire Glanois博士、およびGalit Fuhrmann Alpert博士の本開示への貢献を認める。
【符号の説明】
【0254】
2 被験者、観察者
4 ラウドスピーカ
4a~4h ラウドスピーカ
6 仮想音源情報
6a 形状寸法
6b 仮想点の位置
8 音声信号、音声入力信号、入力音声信号
10 仮想音源、仮想対象物
12 音声信号、音形状投影
13 信号分配行列
14、16、18 減少
20 深いリラクゼーション
22 自信の向上
24 幸福度の向上
26 音声信号成分
28 音声出力信号
30 音響的合計
32 音形状投影
34 形状生成器
36 格子生成器
38 空間波変換
42 アナログデジタル変換器
46、48 音声入力信号
50 前置増幅器
52 圧力速度変換器
56 容器
58 形状座標
60 格子
62 仮想点密度
64 空間波変換
66 形状符号化
68 深さ符号化
70 高さ符号化
72 距離符号化
73 信号フィードバック操作
74 信号反転操作
75 信号遅延操作
76 増幅器
78 合計、合計操作
79 減衰操作
80 ハイパスフィルタ操作
86 時間遅延操作
88 信号減衰
90 信号フィードバック操作
100 データ処理システム
102 プロセッサ
104 メモリ要素
106 システムバス
108 ローカルメモリ
110 大容量記憶装置
112 入力デバイス
114 出力デバイス
118 アプリケーション
140 信号反転操作
142 信号遅延操作
144 信号減衰
148 減衰
160 第1の信号遅延操作、時間遅延操作
162 第1の信号減衰操作
164 信号フィードバック操作
168 第2の信号減衰
170 時間遅延操作
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図4Q
図4R
図4S
図4T
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図22A
図22B
図23
【国際調査報告】