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特表2023-538056流量計測システムのフローダンプナー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】流量計測システムのフローダンプナー
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/04 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
F16L55/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511882
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 US2021044391
(87)【国際公開番号】W WO2022039923
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】16/994,611
(32)【優先日】2020-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510179283
【氏名又は名称】マレマ エンジニアリング コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MALEMA ENGINEERING CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1060 South Rogers Circle,Boca Raton,FL 33487 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ エー.セントファンテ
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025CA02
3H025CB16
(57)【要約】
流体の流れの脈動を減衰させるフローダンプナーは、本体シェル、可撓性膜、および2つのフローポートを備える。本体シェルは、内面と、内面に形成された細長い溝とを有する。可撓性膜は本体シェルの内面に密封され、細長い溝を覆う。いくつかの実施形態では、可撓性膜は本体シェル上にオーバーモールドされる。可撓性膜は細長い溝と協働して、流体の流れのための細長い流路を形成する。可撓性膜の厚さは、0.5mmから6mmの範囲である。膜は柔軟であるため、流体が細長い流路を流れるときに振動し、流体の流れの運動エネルギーを吸収し、それによって流体の流れの脈動を減衰させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの部分であって、
内面と、前記内面に形成された細長い溝とを有する本体シェルと、
前記本体シェルの前記内面に密封され、細長い溝を覆う可撓性膜であって、前記細長い溝と協働して細長い流路を形成し、前記細長い流路は2つの端部を有し、前記膜の柔軟性が前記細長い流路を通る流体の流れの振動を減衰させる、可撓性膜と、
を備えた、2つの部分と、
2つの外部フローポートであって、各部分の前記細長い流路の一端に1つの外部フローポートが接続される、2つの外部フローポートと、
前記細長い流路の他端間に流路を提供するスルーフローポートと、
を備えた、フローダンプナー。
【請求項2】
前記2つの部分の前記本体シェルが互いに固定される、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項3】
前記2つの外部フローポートのそれぞれが、1つの部分の本体シェルを通る穴を備え、前記スルーフローポートが、各部分の前記可撓性膜を通る穴を備えた、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項4】
少なくとも1つの部分の前記本体シェルが、熱可塑性材料、熱硬化性材料、および金属からなる群から選択される材料から作られる、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項5】
少なくとも1つの部分の前記可撓性膜が、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性PTFE、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびシリコーンからなる群から選択される材料から作製される、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項6】
少なくとも1つの部分の前記可撓性膜が、前記部分の本体シェル上にオーバーモールドされる、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項7】
少なくとも1つの部分の前記可撓性膜が、0.5mmから6mmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項8】
前記2つの外部フローポートを通る流路が同一線上にある、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項9】
前記2つの部分内の前記細長い流路が逆回転である、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項10】
前記2つの部分の一方の可撓性膜が、他方の部分の可撓性膜よりも軟らかい、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項11】
前記フローダンプナーが使い捨てである、請求項1に記載のフローダンプナー。
【請求項12】
内面と、前記内面に形成された細長い溝とを有する本体シェルと、
前記本体シェルの前記内面に密封され、前記細長い溝を覆う可撓性膜であって、前記細長い溝と協働して細長い流路を形成し、前記膜の柔軟性は、前記細長い流路を通る流体の流れの脈動を減衰させる、可撓性膜と、
前記細長い流路への2つのフローポートであって、それぞれが前記細長い流路の一端に接続される、2つのフローポートと、
を備えたフローダンプナー。
【請求項13】
前記2つのフローポートが前記フローダンプナーの反対側に取り付けられる、請求項12に記載のフローダンプナー。
【請求項14】
前記フローポートの一方が前記本体シェルを通る穴を備え、他方のフローポートが前記可撓性膜を通る穴を備えた、請求項13に記載のフローダンプナー。
【請求項15】
前記本体シェルは、前記フローダンプナーの外側カバーとして機能する、請求項12に記載のフローダンプナー。
【請求項16】
前記可撓性膜が0.5mmから6mmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載のフローダンプナー。
【請求項17】
前記可撓性膜は、前記本体シェル上にオーバーモールドされる、請求項12に記載のフローダンプナー。
【請求項18】
コリオリフローセンサによって提供される流路を通って流れる流体の1つまたは複数の流れ特性を測定するように構成されたコリオリフローセンサと、
フローダンプナーであって、
内面および前記内面に形成された細長い溝を有する本体シェルと、
前記本体シェルの内面に密封され、前記細長い溝を覆う可撓性膜であって、前記細長い溝と協働して細長い流路を形成し、前記細長い流路は第1の端部および第2の端部を有し、前記可撓性膜の可撓性は、前記細長い流路を通る流体の流れの脈動を減衰させる、可撓性膜と、
前記細長い流路の第1の端部に接続された入口フローポートと、
前記細長い流路の第2の端部および前記コリオリフローセンサによって提供される流路に接続された出口フローポートと、
を備えたフローダンプナーと、
を備えた、フローシステム。
【請求項19】
ポンプをさらに備え、
前記フローダンプナーの前記入口フローポートは、前記ポンプによって提供される流路に接続される、請求項18に記載のフローシステム。
【請求項20】
前記ポンプに設けられた前記流路に接続された出口フローポートを有する第2のフローダンプナーをさらに備えた、請求項19に記載のフローシステム。
【請求項21】
前記フローセンサが、0.05g/分-5g/分の範囲の質量流量を測定するように構成される、請求項18に記載のフローシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その全体が参照により組み込まれる、2020年8月16日に出願された米国実用新案出願第16/994,611号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、フローダンプナーに関し、具体的には、本体シェル上に密封された可撓性膜を通る流体脈動を減衰させるフローダンプナーに関する。
【0003】
フロープロセススキッド(flowprocessskid)は、通常、流体の流れに脈動を引き起こす可能性のあるデバイス(ポンプなど)が含む。流体流の脈動は、流体の過剰な移動をもたらし、プロセススキッド内の他のデバイスの動作を妨げる可能性がある。たとえば、過剰な動きは、パイプのジョイントとサポートを損傷する可能性がある。また、フロー測定の不正確さを引き起こす可能性がある。
【0004】
現在入手可能な脈動ダンプナーは、典型的には金属でできており、したがって、それらは通常、重くて高価である。このようなダンプナーは、使い捨てまたは使い捨ての用途には適さない。それらはまた殺菌のための高い条件がある適用のために適さない。金属部品の滅菌は、通常、化学物質を介して行われる。このような滅菌は、バイオ医薬品または医薬品プロセススキッドなどの特定のプロセススキッドでの使用にとって困難であり、有効ではない場合がある。また、現在利用可能なダンプナーは、低流量を正確に測定するための十分な減衰を提供しない。したがって、脈動を抑制するための改善された技術が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、流体の流れにおける脈動を減衰させるフローダンプナーに関する。いくつかの実施形態では、フローダンプナーは、2つの半分部(halves)、2つの外部フローポート、およびスルーフローポートを含む。各半分部は本体シェルおよび可撓性の膜を含む。本体シェルは、細長い溝が形成される内面を有する。細長い溝は、円形形状または他の形状を有し得る。可撓性膜は、例えば、オーバーモールドを通して、本体シェルの内面に密封され、細長い溝を覆う。細長い流路は、細長い溝と可撓性膜によって形成される。可撓性膜の柔軟性は、流れの振動を減衰させる。流れが細長い流路を通過すると、可撓性膜は流れとともに振動し、流れ中の運動エネルギーを吸収する。各半分部の細長い流路は2つの端を有する。各半分部の細長い流路の一方の端は、2つの外部フローポートの1つに接続される。2つの細長い流路の他の端部は、スルーフローポートを介して互いに接続される。
【0006】
いくつかの実施形態では、フローダンプナーは、1つの本体シェル、1つの可撓性膜、および2つのフローポートを含む。本体シェルおよび可撓性膜は、細長い流路を形成する。2つのフローポートのそれぞれは、細長い流路の一方の端部に接続する。
【0007】
フローダンプナーの構成要素の一部またはすべては、ポリマー材料から作製することができる。したがって、フローダンプナーは低コストであり、使い捨て/使い捨て用途に適している。また、化学滅菌よりも効果的なガンマ線照射を使用して滅菌することができる。
【0008】
フローダンプナーは、ポンプおよびコリオリフローセンサを含むフロー測定システムで使用され得る。フローダンプナーは、ポンプとコリオリフローセンサーの間に配置される。フローダンプナーは、流体がコリオリフローセンサに入る前にポンプによって引き起こされる流体フローの脈動を低減し、コリオリフローセンサの測定精度を向上させる。いくつかの実施形態では、別のフローダンプナーがポンプの入口側で使用され、その結果、流体が一方のフローダンプナーからポンプに流れ込み、ポンプから他方のフローダンプナーに排出し、次いでコリオリフローセンサに流入する。ポンプの入口側と出口側に2つのフローダンプナーを配置することで、より良い減衰を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施形態の教示は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することによって、容易に理解され得る。
【0010】
図1図1は、一実施形態による、フローダンプナーを含むフロー測定システムの斜視図である。
図2A図2Aは、一実施形態による、フローダンプナーの斜視図である。
図2B図2Bは、一実施形態による、フローダンプナーの断面図である。
図2C図2Cは、一実施形態による、フローダンプナーの分解図である。
図3図3は、一実施形態による、フローダンプナー内の対向回転する細長い流路を示す。
図4図4は、様々な実施形態による、異なる形状の細長い流路を示す。
図5図5は、一実施形態による、別のフローダンプナーの斜視図である。
図6図6は、一実施形態による、フローダンプナーのフローポートのためのトゲ付きチューブアダプタの例を示す。
【0011】
図は、例示のみを目的として本開示の実施形態を示している。当業者は、以下の説明から、本明細書で説明される開示の原理または利益から逸脱することなく、本明細書で説明される構造および方法の代替実施形態を採用できることを容易に認識する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態は、1つ以上の本体シェルおよび1つ以上の可撓性膜を含むフローダンプナーに関する。各可撓性膜は、細長い溝が形成された本体シェルに密封される。可撓性膜および細長い溝は、本体シェルの内面に細長い溝を形成した細長い流路を形成する。流体が細長い流路を流れるにつれて、可撓性膜の柔軟性は流体流れの振動を減衰させる。本体シェルと可撓性膜は、ポリマー材料で作ることができる。フローダンプナーは、コリオリフローセンサーに結合され、コリオリフローセンサーによるフロー測定の精度を向上させることができる。
【0013】
このようなフローダンプナーは、単回使用/使い捨て用途、例えば、バイオプロセス、バイオ医薬用途、および医薬用途のための利点を有する。第1に、フローダンプナーは、金属の代わりにポリマー材料で作ることができるため、従来のフローダンプナーよりもコストが低く、使い捨て用途ではフローダンプナーがより経済的である。第2に、可撓性膜の使用は、フローダンプナーをより効率的にし、より小さいサイズでも同じまたはさらに優れた減衰効果を達成できるようにする。フローダンプナーは従来のフローダンプナーよりも軽量かつ小型であるため、各プロセス後にユーザーがフローダンプナーを持ち運び、交換することが容易である。第3に、フローダンプナーは、低流量(0.05g/分-5g/分など)で流体流量を効果的に減衰させ、低流量でコリオリフローセンサの測定精度を向上させることができる。第4に、ガンマ滅菌を使用することにより、フローダンプナーを滅菌することができる。いくつかの実施形態では、フローダンプナーは、最大50kGyのクラスVIガンマ滅菌に準拠する。従来のフローダンプナーは、金属成分がガンマ線照射を遮断し、影を生成する可能性があるため、ガンマ線照射で滅菌することはできない。プロセススキッド内の金属部品は、典型的に化学物質を使用して滅菌されるが、ガンマ線ほど効果的ではない。
【0014】
図1は、一実施形態による、フローダンプナー120を含むフロー測定システム100の斜視図である。フロー測定システム100はまた、ポンプ110、コリオリフローセンサ130、コントローラ140、およびポンプ110、フローダンプナー120、およびコリオリフローセンサ130を接続するチューブを含む。他の実施形態では、フロー測定システム100は、追加の、より少ない、または異なる構成要素を含み得る。例えば、フロー測定システム100は、より多くのフローダンプナー、フローセンサ、またはポンプを含むことができる。フロー測定システム100は、プロセススキッド、例えば、バイオ医薬品または医薬品スキッドの一部であることができる。
【0015】
ポンプ110は、流体をフローダンプナー120内に送り込む。いくつかの実施形態では、ポンプ110は、蠕動ポンプ、歯車ポンプ、膜ポンプ、または任意のタイプのダイヤフラムベースの脈動ポンプなどのダイヤフラムベースの脈動ポンプである。ポンプ110の脈動動作は、流体の流れに脈動を引き起こし、フロー測定システム100に損傷をもたらす可能性がある。損傷は、フロー測定システム100の構成要素への物理的損傷、ならびに他のデバイス(例えば、コリオリフローセンサ130)の不正確性または誤動作を引き起こすフロー測定システム100内のこれらのデバイスの動作への干渉を含み得る。例えば、ポンプ110は、コリオリフローセンサ130の共振周波数と同様または同じ周波数で動作し得、不正確な測定を引き起こす。このような干渉は、破壊的高調波干渉(destructiveharmonicinterference)と呼ばれる。
【0016】
フローダンプナー120は、流体流量の脈動を減衰させ、それによって、ポンプ110によってフロー測定システム100に引き起こされる損傷、例えば、コリオリフローセンサ130のポンプ110からの破壊的高調波干渉を減少させる。フローダンプナー120は、本体シェルおよび可撓性膜を含む。本体シェルの表面に細長い溝が形成される。膜は、細長い溝が形成される表面に密封され、流体が流れることができる細長いチャネル(「細長い流路」と呼ばれる)を形成する。膜は、オーバーモールド、機械的固定、接着剤取り付けなどを介して表面に密封され得る。細長い溝は、ジグザグ、楕円形、円、正方形、長方形などの他の形状を有し得る。流体が細長い流路を流れるにつれて、可撓性膜の柔軟性は流体流れの振動を減衰させる。膜が可撓性であるため、流体の流れの脈動が膜を振動させる。膜の振動は、例えば、運動エネルギーを熱に移すことによって、流体の流れにおける運動エネルギーを吸収し、したがって、流体の流れにおける振動を減少させる。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つの本体シェルおよび対応する膜は、フローダンプナー120の半分部を構成する。フローダンプナー120の他の半分部は、別の細長い流路を形成する別の本体シェルおよび膜を含む。本体シェルおよび膜の追加のペアにより、フローダンプナー120によって提供される総流路が倍増され、減衰効果が強化される。フロー減衰剤120は、減衰効果をさらに高めるために、より多くのペアのダンプナーおよび膜を有し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、フローダンプナー120は、流体流の脈動の少なくとも95%を除去することができる。フローダンプナー120を用いると、コリオリフローセンサ130によるフロー測定の精度は、0.05g/分-5g/分などの低流量であっても、約+/-1%であることができる。
【0019】
図1において、フローダンプナー120は、ポンプ110の出口側に配置される。フローダンプナー110は、2つの外部フローポート、すなわち、入口フローポート125および出口フローポート127を含む。入口フローポート125は、フローダンプナー120を通って流路の一端に接続され、また、ポンプ110によって提供される流路に接続され、流体がポンプ110からフローダンプナー120に流れることを可能にする。出口フローポート127は、フローダンプナー120を通る流路の他端およびコリオリフローセンサ130への流路に接続され、流体がフローダンプナー120を出てコリオリフローセンサ130に入ることを可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態では、フロー測定システムは、ポンプ110の入口側に第2のフローダンプナー配置を含む。第2のフローダンプナーの出口フローポートはポンプ110内の流路に接続され、流体が第2のフローダンプナーからポンプ110に、次いでフローダンプナー120に流れる。第2のフローダンプナーは、流体がポンプ110に入る前に、流体の脈動を減衰させる。
【0021】
コリオリフローセンサ130は、流体の流動特性(例えば、質量流量、体積流量、流量密度など)を測定する。コリオリフローセンサ130は、0.05g/分-5g/分、0.25g/分-50g/分、15g/分-3kg/分、90g/分-20kg/分、1kg/分-250kg/分、またはそれらのいくつかの組み合わせなどの様々な範囲の流量を測定することができる。いくつかの実施形態では、コリオリフローセンサ130は、流路を提供する1つまたは2つのフローチューブ135を含む。フローチューブ135は、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフルオロビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)からなる群から選択される材料から作製され得る。フローチューブは、例えば、磁石およびコイルによって駆動されるように振動することができる。流体がフローチューブ135を通って流れるにつれて、コリオリ力はフローチューブのねじれ振動を生成し、フローチューブ135の振動の位相シフトをもたらす。流体は、フローチューブ135の共振周波数を変化させる。コリオリフローセンサ130は、位相シフトおよび/またはその共振周波数の変化を表す信号、例えば電気信号を生成する。信号は、コリオリフローセンサ130のインターフェースコネクタを介してコントローラ140に送信される。図1の実施形態では、コリオリフローセンサ130は、U字形のフローチューブ135を含む。他の実施形態では、フローセンサは、V字形などの他の形態のフローチューブを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、コリオリフローセンサ130はまた、コリオリフローセンサ130によって行われたフロー測定値を調整するために使用することができる較正情報を格納するメモリチップ(図1には示されていない)を含む。例えば、較正情報は、1つまたは複数の流量較正係数を含むことができる。各流量較正係数は、コリオリフローセンサ130によって測定された流量と基準流量との間の差を示し、コリオリフローセンサ130によって測定された流量を調整するために使用することができる。較正情報はまた、1つ以上の流量密度較正係数を含むことができる。各流量密度較正係数は、コリオリフローセンサ130によって測定された流量密度と基準流量密度との間の差を示し、コリオリフローセンサ130によって測定された流量密度を調整するために使用することができる。較正情報は、製造中に決定することができる。
【0023】
コリオリフローセンサ130は、流体の温度を測定する温度プローブ(図1には示されていない)を含むことができる。測定された温度を使用して、コリオリフローセンサ130によって測定された流量および/または密度を調整することができる。
【0024】
コントローラ140は、コリオリフローセンサ130から信号を受信し、信号に基づいて流量解析を行う。流量分析は、例えば、流量チューブの位相シフトを表す信号に基づいて流量を決定すること、流量チューブの共振周波数の変化を表す信号に基づいて流量密度を決定すること、流量密度の変化に基づいて流体中の気泡を検出すること、流体の他の流量特性の決定、またはそれらのいくつかの組み合わせを含む。
【0025】
コントローラ140は、コリオリフローセンサ130のメモリチップから較正情報を読み出し、そのフロー分析に較正情報を使用することができる。例えば、コントローラは、流量較正係数を使用して流体の流量を決定するか、または流量密度較正係数を使用して流体の密度を決定する。コントローラ140はまた、温度プローブから温度情報を受信し、温度情報を使用して流れ分析を動的に調整することができる。例えば、コントローラは、温度情報をモデルに入力することができ、モデルは、調整された流量および/または流量密度を出力することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、コントローラは、フロー送信機である。図1において、各フローセンサは、フロー分析のためにそれぞれのコントローラに接続される。コリオリフローセンサ130、フローセンサのクレードル(通常はステンレス鋼製)、およびコントローラ140は、共に流量計または流量計システムと称され得る。
【0027】
図1のフロー測定システム100では、ポンプ110、フローダンプナー120、およびコリオリフローセンサ130が垂直に配置され、矢印150によって示されるように、流体が底部から上部に流れる。フロー測定システムは、異なる設計を有し得、例えば、ポンプ110は、コリオリフローセンサ130の上にあるフローダンプナー120の上に配置される。別の例として、3つの構成要素のうちの任意の2つは、左右に配置され得る。いくつかの実施形態では、フローダンプナー120は、流体の排出を容易にするために、フローダンプナー120の入口フローポートが上部にあり、フローダンプナー120のの出口フローポートが底部にあるように配向される。
【0028】
図2A-2Cは、フローダンプナー200を示す。図2Aは、一実施形態による、フローダンプナー200の斜視図である。図2Bは、一実施形態による、フローダンプナー200の断面図である。図2Cは、一実施形態による、フローダンプナー200の分解図である。フローダンプナー200は、図1のフローダンプナー120の一実施形態である。フローダンプナー200は、2つのセクション(図2A-2Cの実施形態では半分部とも称される)210Aおよび210B、2つの外部フローポート230(総称して「外部フローポート230」と称される)、ならびにスルーフローポート250を含む。
【0029】
半分部210Aは、本体シェル260Aおよび可撓性膜270Aを含む。本体シェル260Aは、平坦であり得る内面263Aを有し、内面263Aに細長い溝265Aが形成される。本体シェル260Aは、ポリマー材料または金属で作製され得る。ポリマー材料は、硬質熱可塑性材料(アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ナイロン、酢酸塩、熱可塑性ポリウレタン(TPU)およびポリ塩化ビニル(PVC)、PTFE、変性PTFE(TFM)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)など)、または硬質熱硬化性材料(エポキシ、フェノール、シリコーンなど)であり得る。金属は、例えば、鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどであり得る。いくつかの実施形態では、本体シェル260Aは、モデリング、圧縮成形、転写成形、鋳造、または機械加工を注入することによって形成される。本体シェル260Aは、丸い形状または長方形、楕円形、正方形などの他の形状を有し得る。本体シェル260Aは、様々なサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、本体シェル260Aの直径は、0.5-36インチの範囲である。細長い溝265Aは、長方形スパイラル、レーストラック、ジグザグ、円形スパイラル、長方形、蛇行、半円、正方形、長方形、または他の幾何学的形状などの様々な形状であり得る。細長い溝265Aが円形形状を有するいくつかの実施形態では、その半径は、約1/8インチ以上である。細長い溝265Aが正方形の形状を有するいくつかの実施形態では、正方形の各側面は、約1/8インチ以上である。いくつかの実施形態では、溝265Aは、2インチまでの幅および/または1インチから4フィートまでの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、細長い溝265Aの深さは、必要とされる減衰レベルに基づいて決定される。例えば、細長い溝265Aは、より多くの減衰のためにより深い。
【0030】
可撓性膜270Aは、内面263Aに密封され、細長い溝265Aを覆う。いくつかの実施形態では、可撓性膜270Aは、内面263a上にオーバーモールドされる。いくつかの他の実施形態では、可撓性膜270Aは、接着剤(例えば、接着剤)、機械的留め具、または他の方法を介して内面263Aに結合される。可撓性膜270Aは、細長い溝265Aと協働して、細長い流路267Aを形成する。細長い流路267Aは、2つの端部を有し、一方は、本体シェル260Aの近くにまたは中心に位置し(中心端部と称される)、他方の端部は、本体シェル260Aの端部近くに位置する(端部と称される)。いくつかの他の実施形態では、細長い流路267Aの端部は、異なる位置にあることができる。細長い流路267Aは、細長い溝の形状によって定義される形状を有する。細長い流路は、円形形状または他の形状、例えば、図4に示される形状を有し得る。
【0031】
可撓性膜270Aの柔軟性は、細長い流路を通る流体の流れにおける振動を減衰させる。いくつかの実施形態では、可撓性膜270AのデュロメータショアAスケール硬度は、45A-90Aの範囲である。特定の用途では、可撓性膜270Aのデュロメータは約70Aである。可撓性膜270Aの厚さは、0.5mm-12mmの範囲である。いくつかの実施形態では、可撓性膜270Aの厚さは、フローダンプナー200がポンプによって引き起こされる流量の脈動を減衰させるために取り付けられるポンプの圧力定格に基づいて決定される。可撓性膜270Aは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、修飾PTFE、ペルフルオロアルコキシアルカン、またはシリコーンなどの可撓性熱可塑性または可撓性熱硬化性材料から作製され得る。可撓性膜270Aは、射出成形、圧縮成形、転写成形、鋳造、または機械加工によって作ることができる。可撓性膜270Aは、細長い流路267Aの端部に対応する位置にポート275Aを含む。ポートは、可撓性膜270Aを通る穴を含み、流体のフローダンプナーの他の半分部210Bへの流れを容易にする。
【0032】
他方の半分部210Bは、同様の設計を有し、また、本体シェル260Bおよび可撓性膜270Bを含む。本体シェル260Bは、本体シェル260Aに類似し得、または同じであり得る。2つの本体シェル260Aおよび260Bは、例えば、ボルトによって互いに固定される。可撓性膜270Bは、可撓性膜270Aに類似し得、または同様であり得る。いくつかの実施形態では、可撓性膜270Bは、可撓性膜270Aとは異なる柔らかさを有する。例えば、可撓性膜270Bは、可撓性膜270Aよりも柔らかい。この設計は、2つの可撓性膜270が同じまたは類似の柔らかさを有する設計と比較して、より広い範囲の周波数を減衰させることを可能にする。可撓性膜270Bは、細長い流路267Bの端部に対応する位置に穴を含むポート275Bを有する。本体シェル260bおよび可撓性膜270Bは、別の細長い流路267Bを形成する。細長い流路267Bは、細長い流路267Aに対して反転し得る。細長い流路についてのより詳細は、図3と併せて以下に説明される。
【0033】
スルーフローポート250は、細長い流路267Aおよび267Bの端部間の流路を提供する。スルーフローポート250は、可撓性膜270Aおよび270Bのポート275Aおよび275Bに接続することができる。図2A-2Cの実施形態では、スルーフローポートは、チューブの形状である。これは、例えば、接着剤またはねじ山によって、可撓性膜267Aおよび267Bのそれぞれに形成されたポートに接続することができる。いくつかの他の実施形態では、スルーフローポートは、可撓性膜267Aおよび267Bと統合される。スルーフローポートは、可撓性膜270Aおよび270Bのそれぞれを通る穴と、穴の間にチャネルを提供するチューブとを含む。細長い流路267Aおよび267Bは、異なる方向を有し得る。
【0034】
2つの外部フローポート230は、細長い流路267Aおよび267Bに接続されて、流体がフローダンプナー200に出入りすることを可能にする。例えば、外部フローポート230Aは細長い流路267Aの中心端に接続され、外部フローポート230Bは細長い流路267Bの中心端に接続される。他の実施形態では、外部フローポート230のそれぞれは、細長い流路267Aおよび267Bの端部に接続され得る。いくつかの実施形態では、2つの外部フローポート230は同一である。他の実施形態では、2つの外部フローポート230は、フローダンプナー200に接続された異なるタイプまたはサイズのチューブに対応するために異なる。
【0035】
2つの外部フローポート230のそれぞれは、対応する本体シェル260A、260Bを通る穴を備える。外部フローポート230は、ネジ接続、テーパ接続、Oリングを介した接続など、チューブへの様々な接続(柔らかいまたは剛性のいずれか)をサポートし得る。トゲ付きチューブアダプタは、外部フローポート230に取り付けられて、外部フローポート230をチューブに接続することができる。トゲ付きチューブアダプタに関するより詳細は、図6と併せて以下に説明される。いくつかの実施形態では、プッシュインフィッティングは、外部フローポート230をチューブに接続するために使用される。
【0036】
外部フローポート230は、フローダンプナー200の反対側に取り付けられる。2つの外部フローポート230のうちの1つは、入口フローポートとして機能し、他の1つは、出口フローポートとして機能する。例えば、外部フローポート230のうちの1つは、本体シェル260Aに取り付けられ、他の1つは、本体シェル260Bに取り付けられる。いくつかの実施形態では、外部フローポート230を通る流路は同一線上(collinear)である。いくつかの他の実施形態では、流路は直角である。
【0037】
フローダンプナー200は、フロー測定システム内で垂直に配向され得、これは、外部フローポート230のうちの1つ(例えば、入口フローポートとして機能するもの)がフローダンプナー200の上部にあり、他の1つ(出口フローポートとして機能するもの)がフローダンプナー200の底部にあることを意味する。そのような配向は、重力の下で流体の排水を容易にする。そのような方向性では、自己流出は十分である。いくつかの実施形態では、流体は、フローダンプナー200内を流れるときに、いかなる金属にも接触しない。いくつかの実施形態では、フローダンプナー200は、単回使用後に使い捨て可能である。
【0038】
図3は、一実施形態による、フローダンプナー200内の対向回転する細長い流路350および360を示す。図3は、フローダンプナーの2つの本体シェル310および320の平面断面図を示す。いくつかの実施形態では、フローダンプナーは、動作中に垂直に配向され、本体シェル310は、本体シェル320の上部にある。図3の両方の図は、本体シェル310、320を見下ろしている。フローポート330は、本体シェル310に取り付けられ、入口流路を提供する。フローポート330は、本体シェル310の中心を通る穴を含む。フローポート340は、本体シェル320の中心を通る穴を含む。フローポート340は、出口流路を提供する。このような設計では、流体は、本体シェル310の中心を通ってフローダンプナーの上部に入り、本体シェル320の中心を通ってフローダンプナーの下部を出る。図3の矢印に示されるように、本体シェル310およびその対応する可撓性膜(図3には示されていない)は、時計回りの細長い流路350を提供し、一方、本体シェル320およびその対応する可撓性膜(図3には示されていない)は、反時計回りの細長い流路360を提供する。言い換えれば、2つの細長い流路350および360は、逆回転である。
図4は、一実施形態による、異なる形状の細長い流路410および420を示す。図4は、図2図3のスパイラル流路とは異なる形状を有する2つの細長い流路410および420を含む。細長い流路410は、長方形のスパイラル形状を有する。細長い流路430は、競馬場形状(racetrackshape)を有する。図4には示されていないが、細長い流路は、ジグザグ、円形スパイラル、長方形、蛇行等の他の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの形状が好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、細長い流路420は、細長い流路410がコーナーを有するので、細長い流路410よりも有利であり得る。流体の流れは、コーナーで圧力(例えば、ウォーターハンマー)を引き起こすことができ、流体中の物質(例えば、有機細胞)は、コーナーで蓄積することができる。いくつかの他の実施形態では、細長い流路410は、細長い流路410がより長いため、細長い流路420よりも有利であり得る。スパイラル設計は、より良好な減衰を達成することができるように、フローダンプナー内の細長い流路410の長さを最大化することができる。細長い流路の形状は、対応する本体シェルに形成された細長い溝の形状によって決定される。すなわち、特定の形状を有する細長い流路は、特定の形状に細長い溝を形成することによって得ることができる。
【0039】
図5は、一実施形態による、別のフローダンプナー500の斜視図である。フローダンプナー500は、図1のフローダンプナー120の一実施形態である。フローダンプナー500は、本体シェル560、可撓性膜570、および2つの外部フローポート530および540を含む。他の実施形態では、フローダンプナー500は、より少ないまたはより多くの構成要素を含むことができる。
【0040】
本体シェル560は、フローダンプナー500のための外側カバーとして機能する。本体シェルは内面を有する。内面に細長い溝が形成される。いくつかの実施形態では、本体シェル560は、図2A-2Cと併せて上述した本体シェル260A、260Bと同様であるか、または同じである。可撓性膜570は、本体シェル560の内面に密封され、細長い流路を形成するために細長い溝を覆う。可撓性膜570の柔軟性は、細長い流路を通る流体の流れにおける振動を減衰させる。いくつかの実施形態では、可撓性膜570は、図2A-2Cと併せて上述した可撓性膜270A、270Bに類似または同一である。
【0041】
2つの外部流路530および540は、細長い流路に接続される。例えば、外部フローポート530は細長い流路の中心端に接続し、一方、外部フローポート540は本体シェルの細長い流路の端に接続する。外部フローポート530は、本体シェル560を通る穴を有し、外部フローポート540は、可撓性膜570を通る穴を有する。いくつかの実施形態では、外部フローポート530は、フローダンプナー500への入口流路を提供し、外部フローポート540は、フローダンプナー500への出口流路を提供する。図5に示されるように、2つの外部フローポート530および540は、流動減衰器500の反対側に取り付けられている。いくつかの実施形態では、フローダンプナー500は、流体の排出を容易にするために、外部フローポート530が上部に、外部フローポート540が下部にある状態で、垂直に配向される。
【0042】
図6は、一実施形態による、フローダンプナーのフローポートのためのトゲ付きチューブアダプタの例を示す。図6は、各々が異なるサイズを有する6つのトゲ付きチューブアダプタを示す。いくつかの実施形態では、トゲ付きチューブアダプタの内径は、1/16インチ-2インチの範囲である。トゲ付きチューブアダプタは、音波溶接、トリクランプ、接着剤(例えば、FDAが承認したクラスVIエポキシ)、または他の方法を介して、外部フローポートの内面に接着され得る。いくつかの実施形態では、トゲ付きチューブアダプタは、ホーストゲ付き継手、トライクランプ継手、および/または1/4-28継手などの継手である。
【0043】
最後に、明細書で使用される文言は、主に読みやすさと教育目的のために選択されたものであり、本発明の主題を描写または制限するために選択されていない場合がある。したがって、本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本明細書に基づいた出願で発行される請求項によって制限されることが意図されている。したがって、実施形態の開示は、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲を例示することを意図するものであり、限定することを意図するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】