(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】冷凍システム用のアキュムレータ及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25B 43/00 20060101AFI20230830BHJP
F25B 43/02 20060101ALI20230830BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F25B43/00 D
F25B43/02 G
F25B43/00 C
F25D19/00 510F
F25D19/00 520Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511901
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 CN2021100126
(87)【国際公開番号】W WO2021223775
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】202021727434.9
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358039
【氏名又は名称】青島海尓特種電冰箱有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(71)【出願人】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】陳 建全
(72)【発明者】
【氏名】劉 建如
(72)【発明者】
【氏名】曹 東強
(57)【要約】
冷凍システム用のアキュムレータ(100)及び冷蔵庫(10)を提供する。アキュムレータ(100)は、気液分離室(120)が内部に画定されている筒体(110)と、冷凍システムの蒸発器(220)の蒸発管(222)に接続され、筒体(110)の一端から気液分離室(120)内に伸びる吸気管(130)であって、吸気管(130)のうち気液分離室(120)内に伸びた一端に吸気管(130)の開口部に合わせるストッパー(140)が設けられることによって、吸気管(130)から排出された混合物がストッパー(140)に衝突してから、ストッパー(140)と吸気管(130)との間の間隔を介して気液分離室(120)に排出される吸気管(130)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍システム用のアキュムレータであって、
気液分離室が内部に画定されている筒体と、
前記冷凍システムの蒸発器の蒸発管に接続され、前記筒体の一端から前記気液分離室内に伸びる吸気管と、を含み、
前記吸気管は、当該吸気管のうち前記気液分離室内に伸びた一端に前記吸気管の開口部に合わせるストッパーが設けられることによって、前記吸気管から排出された混合物が前記ストッパーに衝突してから、前記ストッパーと前記吸気管との間の間隔を介して前記気液分離室に排出されるよう構成されている、
冷凍システム用のアキュムレータ。
【請求項2】
前記吸気管のうち前記気液分離室内に伸びた一端から前記吸気管の延伸方向に沿って延出する複数の支持リブに、前記ストッパーが固定して接続されており、これによって、複数の前記支持リブによって前記ストッパーと前記吸気管との間に間隔が形成されている請求項2に記載のアキュムレータ。
【請求項3】
前記吸気管のうち前記気液分離室内に伸びた部分は伸び長さが増加するにつれて管径が小さくなるよう構成されている請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項4】
前記筒体の他端から前記気液分離室内に伸び、前記気液分離室内に伸びた一端と前記ストッパーとの間に所定の間隔を有する排気管をさらに含む請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項5】
前記排気管の前記気液分離室内に伸びた長さ部分が、前記吸気管の前記気液分離室内に伸びた長さ部分よりも短く形成されている請求項4に記載のアキュムレータ。
【請求項6】
蒸発器と、
前記蒸発器の蒸発管に連結される請求項1~5のいずれか1項に記載のアキュムレータと、を含む冷蔵庫。
【請求項7】
冷却室と貯蔵空間が画定されている底部内箱を有し、前記冷却室が前記貯蔵空間の下方に設けられる箱体をさらに含み、
前記蒸発器は全体として扁平直方体の形状をしており、前記冷却室の前部に配置され、
前記アキュムレータは前記蒸発器の後ろに設けられる請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記アキュムレータは前記吸気管を有する一端から上方へ傾斜して設けられる請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記蒸発器は、
前記箱体の前後方向に沿って平行に設けられる1組のフィンと、
前記フィンの間に貫装された蒸発管と、
前記フィンの両側に設けられる支持端板と、を含むフィン蒸発器であり、
前記蒸発管の出口は一側にある前記支持端板の後部に設けられ、円弧状をもって前記アキュムレータまで延びている請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記蒸発器は水平方向に対して前記冷蔵庫の奥行方向に傾斜して配置され、傾斜方向は前から後に向かうに従って上向きになり、
前記底部内箱の後壁の前方に設けられ、前記底部内箱の後壁とともに送風ダクトを画定し、前記送風ダクト及び前記貯蔵空間に連通するための送風口が少なくとも1つ開けられるダクトカバープレートと、
全体として前記蒸発器の後側に傾斜して設けられ、前記冷却室の前方で形成された空気が前記蒸発器を介して前記送風ダクトの冷凍気流に排出されることを促進し、吹込み口の中心は前記底部内箱の両側の側板までの距離が異なり、前記吹込み口の中心から前記底部内箱の前記蒸発管の出口に近い側の側壁までの距離が、前記吹込み口の中心から前記底部内箱の前記蒸発管の出口から遠い側の側壁までの距離よりも大きい遠心ファンと、をさらに含む請求項9に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家電の技術分野に関し、特に冷凍システム用のアキュムレータ及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷凍システムは、圧縮機、凝縮器、フィルタ、キャピラリーチューブ、蒸発器、サクションチューブなどの主要部品と、いくつかの配管とが接続されて構成されている。冷凍機のアキュムレータは、蒸発器とサクションチューブとの間に設計されており、冷媒を気液分離し、液状冷媒をまずアキュムレータに貯蔵し、圧縮機に戻るのが気体であることを確保し、圧縮機の液撃を防止する一方、一定量の液状冷媒を貯蔵し、周辺温度に応じて、冷凍システムのサイクルに使用する冷媒の量を調整する。
【0003】
従来のアキュムレータの設計では、アキュムレータの吸気管の底部に油戻し穴を設けて、冷媒と圧縮機の油混合物がアキュムレータに入ると、油は比重が大きいのでアキュムレータの底部に沈み、気体冷媒は排気管を通って圧縮機に戻って再び冷凍サイクルに入る。圧縮機オイルは、吸気管内の気流の衝撃の作用によってアキュムレータの上部に入り、圧縮機内部に吸引されて潤滑に用いられる。しかし、圧縮機オイルは比重が大きいため、十分に圧縮機に戻ることができない。また、圧縮機の油戻し穴が冷媒の液面より下に開いているので、油戻し穴の中にも冷凍機の気泡が飛び出して、空気が液を吹く現象が発生して、騒音が発生する。さらに、上記アキュムレータ内の液状冷媒のガス化効率も低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、上記の問題又はその少なくとも一部を解決する冷凍システム用のアキュムレータ及び冷蔵庫を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、アキュムレータ内の液状冷媒のガス化効率を高め、冷蔵庫の冷凍効率を高めることである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は圧縮機油の回収効率を高めることである。
【0007】
本発明のさらに別の目的はアキュムレータによる騒音を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特に、本発明は、気液分離室が内部に画定されている筒体と、
冷凍システムの蒸発器の蒸発管に接続され、筒体の一端から気液分離室内に伸びる吸気管であって、吸気管のうち気液分離室内に伸びた一端に吸気管の開口部に合わせるストッパーが設けられることによって、吸気管から排出された混合物がストッパーに衝突してから、ストッパーと吸気管との間の間隔を介して気液分離室に排出される吸気管と、を含む冷凍システム用のアキュムレータを提供する。
【0009】
さらに、アキュムレータは、吸気管のうち気液分離室内に伸びた一端から吸気管の延伸方向に沿って延出する複数の支持リブであって、ストッパーが支持リブに固定して接続され、これによって、複数の支持リブによってストッパーと吸気管との間の間隔を形成する複数の支持リブをさらに含む。
【0010】
さらに、吸気管のうち気液分離室内に伸びた部分は伸び長さの増加につれて管径が小さくなる。
【0011】
さらに、アキュムレータは、筒体の他端から気液分離室内に伸び、気液分離室内に伸びた一端とストッパーとの間に所定の間隔を有する排気管をさらに含む。
【0012】
さらに、排気管の気液分離室内に伸びた部分の長さが、吸気管の気液分離室内に伸びた部分の長さよりも短い。
【0013】
本発明は、蒸発器と、
蒸発器の蒸発管に連結される上記のいずれか1項に記載のアキュムレータと、を含む冷蔵庫をさらに提供する。
【0014】
さらに、冷蔵庫は、冷却室と貯蔵空間が画定されている底部内箱を有し、冷却室が貯蔵空間の下方に設けられる箱体をさらに含み、
蒸発器は全体として扁平直方体の形状をしており、冷却室の前部に配置され、
アキュムレータは蒸発器の後ろに設けられる。
【0015】
さらに、アキュムレータは吸気管を有する一端から上方へ傾斜して設けられる。
【0016】
さらに、蒸発器は、
箱体の前後方向に沿って平行に設けられる1組のフィンと、
フィンの間に貫装された蒸発管と、
フィンの両側に設けられる支持端板と、を含むフィン蒸発器であり、
蒸発管の出口は一側にある支持端板の後部に設けられ、円弧状をもってアキュムレータまで延びている。
【0017】
さらに、蒸発器は水平方向に対して冷蔵庫の奥行方向に傾斜して配置され、傾斜方向は前から後に向かうに従って上向きになり、
冷蔵庫は、底部内箱の後壁の前方に設けられ、底部内箱の後壁とともに送風ダクトを画定し、送風ダクト及び貯蔵空間に連通するための送風口が少なくとも1つ開けられるダクトカバープレートと、
全体として蒸発器の後側に傾斜して設けられ、冷却室の前方で形成された空気が蒸発器を介して送風ダクトの冷凍気流に排出されることを促進し、吹込み口の中心は底部内箱の両側の側板までの距離が異なり、吹込み口の中心から底部内箱の蒸発管の出口に近い側の側壁までの距離が、吹込み口の中心から底部内箱の蒸発管の出口から遠い側の側壁までの距離よりも大きい遠心ファンと、をさらに含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷凍システム用のアキュムレータ及び冷蔵庫では、アキュムレータ内において吸気管に対向する位置にストッパーが設けられることによって、吸気管から排出される冷媒がストッパーに衝突してから霧化し、霧化後の液状冷媒のガス化が速まり、これによって、アキュムレータ内の液状冷媒のガス化効率が向上し、冷蔵庫の冷凍効率が向上し、液状冷媒が圧縮機に侵入して、圧縮機にマイナスの影響を与えることが回避される。
【0019】
さらに、本発明の冷凍システム用のアキュムレータ及び冷蔵庫では、吸気管に対向する位置にストッパーが設けられていることによって、吸気管から排出された圧縮機油がストッパーに衝突してから霧化し、霧化後の油も排気管により効率的に戻って圧縮機に入り、圧縮機を効果的に潤滑することができ、これによって、油の回収効率を高める。
【0020】
さらに、本発明の冷凍システム用のアキュムレータ及び冷蔵庫では、吸気管の底部に位置する油戻し穴を減少させることで、冷媒気泡が油戻し穴から放出されることを回避し、アキュムレータによる騒音を低減させる。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の特定実施例を詳細に説明し、これによって、本発明の上記及び他の目的、利点及び特徴が当業者によってより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下では、本発明のいくつかの特定実施例は図面を参照して限定的ではなく例示的に説明される。図面における同じ符号は同一又は類似の部材又は部分を表す。当業者にとって明らかなように、これらの図面は必ずしも比例して描かれたものではない。
【
図1】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略構造図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略解体図である。
【
図4】
図3におけるアキュムレータ部分を切断線A-Aに沿って切断した概略断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の冷凍システムの作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
なお、本実施例の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「水平」、「底」、「奥行」などの用語により示される方位又は位置関係は冷蔵庫が正常に使用される状態での方位を参照とし、また図面に示される方位又は位置関係を参照して決定されるものであり、例えば、示される方位の「前」とは冷蔵庫の利用者に面する側である。本発明を説明しやすくし、説明を簡素化させるために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0024】
本実施例は、まず、冷凍システム用のアキュムレータ100を提供し、該アキュムレータ100は筒体110と吸気管130を含んでもよい。筒体110内には気液分離室120が画定されている。吸気管130は冷凍システムの蒸発器220の蒸発管222に接続され、筒体110の一端から気液分離室120内に伸び、吸気管130のうち気液分離室120内に伸びた一端に吸気管130の開口部に合わせるストッパー140が設けられることによって、吸気管130から排出された混合物がストッパー140に衝突してから、ストッパー140と吸気管130との間の間隔を介して気液分離室120に排出される。
【0025】
一般的には、冷凍システムは圧縮機250、凝縮器260、フィルタ270、絞り素子280をさらに含んでもよく、これらのうち、絞り素子280はキャピラリーチューブであってもよい。冷凍システムの作動原理は当業者に公知のことであるため、ここでは詳しく説明しない。本実施例の形態では、アキュムレータ100は圧縮機250と蒸発器220との間に設けられ、蒸発器220から圧縮機250に流れる冷媒を気液分離し、液状冷媒が圧縮機250に入って圧縮機250の正常な作動に影響を与えることを回避する。
【0026】
本実施例の形態では、ストッパー140が設けられることによって、吸気管130から排出された混合物がストッパー140に衝突して、混合物の霧化が促進される。本実施例では、吸気管130内から排出された混合物は冷媒と圧縮機油との気液混合物であり、混合物中の冷媒液体はストッパー140に衝突して霧化し、霧化後の液状冷媒のガス化がより速まり、これによって、アキュムレータ100内の液状冷媒のガス化効率が向上し、冷蔵庫10の冷凍効率が向上し、また、液状冷媒が圧縮機250に侵入して、圧縮機250にマイナスの影響を与えることが回避される。
【0027】
さらに、本実施例では、混合物中の圧縮機油はストッパー140に衝突して霧化し、霧化後の圧縮機油は気流に同伴して圧縮機250に入りやすく、これによって、圧縮機250が効果的に潤滑され、油の回収効率が高まる。
【0028】
アキュムレータ100は複数の支持リブ150をさらに含んでもよい。複数の支持リブ150は吸気管130から気液分離室120内に伸びた一端が吸気管130の延伸方向に沿って延出する。また、ストッパー140は支持リブ150に固定して接続され、これによって、複数の支持リブ150によってストッパー140と吸気管130との間の間隔を形成する。
【0029】
本実施例の形態では、支持リブ150が複数設けられて共同作用することによって、ストッパー140は吸気管130の開口部に合わせる位置に固定され、ストッパー140の構造の位置がより安定的になり、ストッパー140は、吸気管130から排出された気流による衝突を受けても、所定の位置に保持でき、これによって、吸気管130から排出された混合物の効果的な霧化が確保される。
【0030】
吸気管130のうち気液分離室120内に伸びた部分は、伸び長さが長くなるほど管径が小さくなってもよい。本実施例の形態では、吸気管130のうち気液分離室120内に伸びた部分について、伸び長さの増加に伴い管径が小さくなる、すなわち、吸気管130がテーパ管で構成されることにより、吸気管130から排出された混合物の気流がストッパーに衝突するときの衝突力がより大きくなり、混合物の霧化効果が高まる。
【0031】
アキュムレータ100は排気管160をさらに含んでもよい。排気管160は筒体110の他端から気液分離室120内に伸び、排気管160の気液分離室120内に伸びた一端とストッパー140との間に所定の間隔を有する。
【0032】
本実施例における排気管160は気液分離室120に入った冷媒気流を圧縮機250に送り、将排気管160は気液分離室120内に伸びた一端とストッパー140との間に所定の間隔を有するように構成される。これにより、気体冷媒は排気管160に入りやすい。さらに、排気管160とストッパー140との間に間隔が存在する、すなわち排気管160と吸気管130との間に一定の距離が存在するために、アキュムレータ100内に大量の液状冷媒が貯蔵されている場合、過量の液状冷媒は吸気管130の開口部から蒸発器220に戻る。これにより、アキュムレータ100内に蓄積された液状冷媒が排気管160に入ることを防止し、液状冷媒が圧縮機250に入って、圧縮機250の運行にマイナスの影響を与えることを回避する。
【0033】
排気管160の気液分離室120内に伸びた部分長さが、吸気管130の気液分離室120内に伸びた部分の長さよりも短くしてもよい。本実施例の形態では、アキュムレータ100内の液状冷媒の液面の最高位置は吸気管130の開口部の位置であり、液状冷媒が多すぎる場合、液状冷媒は吸気管130の開口部から戻る。つまり、排気管160の気液分離室120内に伸びた部分の長さが長いほど、アキュムレータ100内に貯蔵可能な液状冷媒が多く、排気管160の気液分離室120内に伸びた部分の長さを吸気管130の気液分離室120内に伸びた部分の長さよりも短くすることによって、アキュムレータ100内で液状冷媒の貯蔵空間を大きく確保することができ、アキュムレータ100内の霧化冷媒が飽和になると、液体に凝結してアキュムレータ100の底部に蓄積され、これにより、過剰な冷媒が貯蔵される。アキュムレータ100内に所定の量の液体冷媒を貯蔵することによって、周辺温度に応じて、冷凍システムのサイクル用の冷媒量を調整することができ、周辺温度が低下する場合、システムサイクルに関与する冷媒が減少し、アキュムレータ100は過量の冷媒を貯蔵し、周辺温度が上昇する場合、システムには多くの冷媒サイクル量が必要とされ、アキュムレータ100に貯蔵された冷媒は冷凍サイクルに関与し、このように、冷蔵庫10はさまざまな周辺温度で良好な冷凍効果を得ることができる。
【0034】
本実施例はまた、蒸発器220と、上記のアキュムレータ100とを含む冷蔵庫10を提供する。該アキュムレータ100は蒸発器220の蒸発管222に連結される。
【0035】
本実施の形態では、アキュムレータ100が蒸発器220の蒸発管222に連結されるように構成されることによって、蒸発管222を介して蒸発器220からアキュムレータ100に流入した冷媒が気液分離され、液体冷媒は先にアキュムレータ100に貯蔵され、圧縮機250に戻るのが気体であることを確保し、圧縮機250に対する液撃を防止する。
【0036】
本実施例の冷蔵庫10は箱体200をさらに含んでもよい。箱体200は冷却室212と貯蔵空間211が画定されている底部内箱210を有し、冷却室212は貯蔵空間211の下方に設けられる。蒸発器220は全体として扁平直方体の形状をしており、冷却室212の前部に配置される。アキュムレータ100は蒸発器220の後ろに設けられる。箱体200の前側には貯蔵空間211を開閉するためのドアがさらに設けられ、箱体200の内部構造を示すために、図においてドアが省略される。
【0037】
一般には、冷蔵庫10は複数の内箱をさらに含んでもよく、この複数の内箱は、機能に応じて冷凍内箱、可変温度内箱、及び冷藏内箱に分けられ、これによって、複数の貯蔵区画室例えば冷藏区画室、可変温度区画室及び冷凍区画室を画定する。本実施例では、底部内箱210は冷蔵庫10の最下方にある内箱を指す。
【0038】
本実施例では、冷蔵庫10の底部に位置する底部内箱210は、分隔板213によって貯蔵空間211と貯蔵空間211の下方に位置する冷却室212が画定されている。ここでは、底部内箱210において画定されている貯蔵空間211は冷凍区画室であってもよい。さらに、貯蔵空間211の上方には、冷蔵庫10の他の内箱において画定されている可変温度区画室、及び可変温度区画室の上方に位置する冷藏区画室を有してもよい。
【0039】
アキュムレータ100は吸気管130を有する一端から上方へ傾斜して設けられる。本実施例の形態では、アキュムレータ100が傾斜して設けられる角度は10度~35度であってもよく、アキュムレータ100は、吸気管130を有する一端から上方へ傾斜して設けられることによって、底部内箱210の形状によりフィットし、冷却室212に占める空間が小さくなり、冷却室212の空間利用効率を高める一方、アキュムレータ100が傾斜して設けられることによって、アキュムレータ100内に貯蔵される過量の液状冷媒が蒸発器220に戻りやすく、アキュムレータ100内に蓄積された液状冷媒が排気管160に入らないことを確保する。
【0040】
蒸発器220は、1組のフィンと、蒸発管222と、支持端板221と、を含むフィン蒸発器である。1組のフィンは箱体200の前後方向に沿って平行に設けられる。蒸発管222はフィンの間に貫装される。支持端板221はフィンの両側に設けられる。蒸発管222の出口は一側の支持端板221の後部に設けられ、円弧状をもってアキュムレータ100まで延びている。
【0041】
本実施例の形態では、フィン蒸発器が使用されるため、構造がコンパクトであり、占有面積が小さく、しかも、熱伝達率が高く、これによって、蒸発器220の熱交換効率がさらに高まり、冷蔵庫10の冷凍貯蔵機能が確保される。
【0042】
蒸発器220は水平方向に対して冷蔵庫10の奥行方向に沿って傾斜して設けられ、傾斜方向は前から後に向かうに従って上向きになり、冷蔵庫10はダクトカバープレート230と遠心ファン240をさらに含んでもよい。ダクトカバープレート230は底部内箱210の後壁の前方に設けられ、底部内箱210の後壁とともに送風ダクトを画定し、ダクトカバープレート230には、送風ダクト及び貯蔵空間211に連通するための少なくとも1つの送風口231が開けられる。遠心ファン240は全体として蒸発器220の後ろに傾斜して設けられ、冷却室212の前方で形成された空気が蒸発器220を介して送風ダクトの冷凍気流に排出されることを促進し、遠心ファン240の吹込み口241の中心は底部内箱210の両側の側板までの距離が異なり、吹込み口241の中心から底部内箱210の蒸発管222の出口に近い側の側壁までの距離が、吹込み口241の中心から底部内箱210の蒸発管222の出口から遠い側の側壁までの距離よりも大きい。
【0043】
従来技術における蒸発器底置式冷蔵庫では、蒸発器は水平に配置され、気流が冷却室に入って蒸発器の先端で凝集しやすく、蒸発器にスムーズに入って熱交換を行うことができない。一方、本実施例では、蒸発器220は傾斜して配置されることによって、冷却室212内の部品の配置がより合理的であり、しかも、気流の流れ場を実際に分析した結果、風のサイクル効率もより高くなり、排水がさらに順調になる。
【0044】
本実施例の形態では、底部内箱210の後ろにダクトカバープレート230と遠心ファン240が設けられることによって、冷凍空気が冷却室212から貯蔵空間211に流入する流通速度が高まり、冷蔵庫10の冷凍貯蔵効果が確保される。本実施例の形態では、送風口231は1つ又は複数設けられてもよく、
図3に示す一実施例では、ダクトカバープレート230には4つの送風口231が設けられ、送風がより均一かつスムーズになる。
【0045】
実施例の形態では、運行が安定的で、メンテナンスが実施されやすく、丈夫で耐久性に優れる遠心ファン240が使用される。本実施例では、遠心ファン240は、吹込み口241の中心から、底部内箱210のサクションチューブ170に近い側の側壁までの距離が、吹込み口241の中心から底部内箱210のサクションチューブ170に遠い側の側壁までの距離よりも大きい、つまり、送風ファンの吹込み口241の中心が底部内箱210の左壁に寄る、すなわち送風ファンが底部内箱210の左側寄りの位置に設けられるように構成され、これによって、冷凍空気がファンの吹き出し口から送風ダクトにより順調に流れ、ファンの送風効率がさらに高まる。上記の遠心ファン240を取り付ける位置は、空間の要求及び冷凍性能要求に応じた構造の最適化であり、また、試作品により効果が検証される。
【0046】
本実施例の形態では、アキュムレータ100内において吸気管130の開口部に合わせる位置にストッパー140が設けられることによって、吸気管130から排出された混合物はストッパー140に衝突して、霧化を促進される。一方、混合物中の冷媒液体がストッパー140に衝突して霧化し、霧化後の液状冷媒のガス化がより促進され、これによって、アキュムレータ100内の液状冷媒のガス化効率が高まり、冷蔵庫10の冷凍効率が高まり、また、液状冷媒が圧縮機250に入って圧縮機250にマイナスの影響を与えることを回避することができる。一方、混合物中の圧縮機油はストッパー140に衝突して霧化し、霧化後の圧縮機油は気流に同伴させて圧縮機250により入りやすく、このように、圧縮機250が効果的に潤滑され、圧縮機油の回収効率が高まる。
【0047】
さらに、本実施例の形態では、吸気管130の底部に位置する油戻し穴を減少させることで、冷媒気泡が油戻し穴を介して放出されることを回避し、アキュムレータ100による騒音を低減させる。
【0048】
以上より、当業者にとって明らかなように、本明細書は本発明の複数の例示的な実施例を示して説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明で開示された内容に基づいて本発明の原理に合致する多くの他の変形や修正を直接決定又は導出することができる。よって、本発明の範囲はこれらの他の変化や修正をカバーするものとして理解、確認すべきである。
【国際調査報告】