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特表2023-538080ガラス管の変換における管の消費中の熱のばらつきを制御するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ガラス管の変換における管の消費中の熱のばらつきを制御するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 23/043 20060101AFI20230830BHJP
   C03B 23/11 20060101ALI20230830BHJP
   C03B 23/09 20060101ALI20230830BHJP
   C03B 33/085 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C03B23/043
C03B23/11
C03B23/09
C03B33/085
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511965
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021044581
(87)【国際公開番号】W WO2022039931
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/066,475
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,クリステル ルビー
(72)【発明者】
【氏名】マツシック,ジョセフ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクネリス,ケヴィン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】オマリー,コナー トーマス
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015BA05
4G015BA13
4G015BB01
4G015FA07
4G015FA09
4G015FB04
4G015FC10
(57)【要約】
ガラス管から物品を製造する方法は、加熱ステーションと形成ステーションとを含む複数の加工ステーションを有する変換器のガラス管ホルダ内にガラス管の作業端部を固定することを含む。ガラス管の初期の長さ部分は、複数の連続セグメントを含み、複数の連続セグメントの各々は、1つの物品に対応していて、物品番号を有する。方法は、ガラス管の作業端部を加熱ステーションで加熱することと、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、加熱ステーション内のガラス管の加熱量を調整することと、物品の特徴部を形成ステーションで形成することとを含む。物品番号に基づき加熱量を調整することにより、所定の物品番号から次の物品番号への管温度、製品寸法またはその両方のばらつきが低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管から複数の物品を製造する方法であって、
前記ガラス管の作業端部を、少なくとも1つの加熱ステーションと、前記少なくとも1つの加熱ステーションの後の少なくとも1つの形成ステーションとを備える複数の加工ステーションを有する変換器のガラス管ホルダ内に固定するステップであって、前記変換器は、前記ガラス管ホルダを前記複数の加工ステーションを通して移動させ、前記ガラス管の初期の長さ部分は、複数の連続セグメントを備え、前記複数の連続セグメントの各々は、1つの物品に対応していて、物品番号を有する、固定するステップと、
前記ガラス管の前記作業端部を前記少なくとも1つの加熱ステーションで加熱するステップと、
前記ガラス管の前記作業端部に対応する前記物品番号に基づき、前記ガラス管の加熱量を増大または減少させるステップであって、前記物品番号に基づき前記加熱量を増大または減少させるステップにより、所定の物品番号から次の物品番号への管温度、物品寸法またはその両方のばらつきが低減される、増大または減少させるステップと、
前記物品の少なくとも1つの特徴部を前記ガラス管の前記作業端部に前記少なくとも1つの形成ステーションで形成するステップと、
前記物品を前記ガラス管の前記作業端部から分離ステーションで分離するステップと、
次の物品を形成するために、前記ガラス管を前記ガラス管ホルダ内で下方に割り出すステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ガラス管の前記加熱量を増大または減少させるステップは、
前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素に接触する前記ガラス管の前記作業端部のバーナ滞留時間を増大または減少させるステップ、
前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記加熱要素の加熱速度を増大または減少させるステップ、または
前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記ガラス管に近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の加工ステーションは、複数の加熱ステーションを備え、前記方法は、前記ガラス管の前記作業端部に対応する前記物品番号に基づき、前記複数の加熱ステーションの各々で前記ガラス管の加熱量を増大または減少させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス管の前記作業端部の前記加熱量を増大または減少させるステップは、前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素に接触する前記ガラス管のバーナ滞留時間を増大または減少させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス管の前記作業端部の前記加熱量を増大または減少させるステップは、前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素の加熱速度を増大または減少させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記加熱要素は、バーナを備え、前記加熱速度を増大または減少させるステップは、前記バーナに供給される1種以上の燃焼ガスの流量を増大または減少させるステップを含み、前記燃焼ガスは、燃料ガスと、酸素、空気またはその両方とを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ガラス管の前記作業端部の前記加熱量を増大または減少させるステップは、前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーションに近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの加熱ステーションに近接している前記排気システムによって生成される前記負圧を調整するステップは、前記少なくとも1つの加熱ステーションに近接して位置決めされた入口ベントに流体接続されたエアハンドラの速度を減少または増大させるステップ、前記エアハンドラと前記入口ベントとの間に配置されたダンパの位置を調整するステップ、前記排気システムの入口ベントの位置を前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記ガラス管に対して相対的に調整するステップ、またはこれらのステップの組合せを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記変換器は、複数のガラス管ホルダを備え、前記方法は、
前記複数のガラス管ホルダの各々を前記複数の加工ステーションの各々を通して移動させるステップと、
前記複数のガラス管ホルダが次の前記加工ステーションに移動するたびに、前記物品番号に基づき、前記ガラス管の前記作業端部における前記加熱量を増大または減少させるステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記変換器は、複数のガラス管ホルダを備え、前記方法は、前記ガラス管の新しい長さ部分を、第1のガラス管から開始して、連続した順序で前記複数のガラス管ホルダの各々に固定するステップをさらに含み、
前記少なくとも1つの加熱ステーションでの前記第1のガラス管の作業端部における物品番号の変化に応じて、前記物品番号に基づき、前記第1のガラス管の前記作業端部の加熱量を変更するステップと、前記第1のガラス管が前記少なくとも1つの加熱ステーションに戻り、前記第1のガラス管の前記作業端部における前記物品番号が変化するまで、ガラス管からガラス管への前記少なくとも1つの加熱ステーションでの前記加熱量を維持するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ガラス管から複数の物品を製造するためのシステムであって、
少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの形成ステーションと、分離ステーションとを備える複数の加工ステーションを含む変換器であって、前記ガラス管を前記複数の加工ステーションを通して移動させるように動作可能である変換器と、
前記変換器に通信可能に接続されたシステムコントローラであって、プロセッサと、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令を含む記憶媒体とを備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、自動的に、
前記ガラス管の作業端部における物品番号を決定させ、前記物品番号は、前記ガラス管の初期の長さ部分の連続セグメントに対応する整数を含み、各々の連続セグメントは、1つの物品に対応しており、
前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーションでの前記ガラス管の加熱量を増大または減少させる、
システムコントローラと
を含む、システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの加熱ステーションは、旋回して前記ガラス管の前記作業端部に係合したりしなかったりするように動作可能な旋回バーナを備え、前記システムコントローラは、前記旋回バーナに通信可能に接続されている、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、前記旋回バーナが前記ガラス管の前記作業端部に係合するようにまたは係合しないように旋回することによって、前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記ガラス管の前記作業端部のバーナ滞留時間を自動的に増大または減少させる、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの加熱ステーションは、少なくとも1つのバーナと、前記少なくとも1つのバーナへの1種以上の燃焼ガスの質量流量を増大または減少させるように動作可能な少なくとも1つの流量制御器とを備える、請求項11記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、自動的に、前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つのバーナへの1種以上の燃焼ガスの質量流量を増大または減少させる、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記変換器は、少なくとも1つの入口ベントと、前記少なくとも1つの入口ベントに流体接続されたエアハンドラとを備える排気システムを備える、請求項11記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、自動的に、前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記ガラス管に近接している前記排気システムによって生成される負圧を調整させる、請求項16記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2020年8月17日に出願された米国仮出願第63/066,475号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、ガラス管からガラス物品を製造するシステムおよび方法に関し、特に、ガラス管の変換プロセス中の温度および寸法のばらつきを低減させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に見て、ガラスは、気密性と、光学的透明性と、他の材料に対して相対的に優れた化学的耐久性とを有するため、医薬品を包装するための好ましい材料として使用されている。具体的には、医薬品パッケージに使用されるガラスは、適切な化学的耐久性を有し、医薬品パッケージに収容される医薬品製剤の安定性への影響を防止する必要がある。適切な化学的耐久性を有するガラスは、化学的耐久性の実績が証明されているASTM規格の「Type IA」および「Type IB」のガラス組成の範囲内のガラス組成を含む。
【0004】
ガラス管は、限定されないが、バイアル、シリンジ、アンプル、カートリッジ、および他のガラス物品を含む、製薬用途で使用するための様々なガラス容器などの他のガラス物品に変換することができる。ガラス管は、例えば「変換機械」で変換することができる。変換機械は75年以上にわたって使用されており、現在、様々な業務用機器および内部機器のサプライヤによって製造されている。これらの変換機械は、典型的には、火炎加工ステップ、回転・静止ツール形成ステップ、熱分離ステップ、または筋入れ・衝撃切断ステップを含むステップを使用して、長いガラス管の長さ部分を複数のガラス物品に変換する。一連のバーナが使用され、部分またはセグメントがガラス管から分離され、特定の寸法に成形されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
変換プロセス中、変換機械にローディングされたガラス管の長さ部分の温度は、ガラス管が変換プロセスを複数回通過して消費されるにつれて変化する可能性がある。ガラス管の長さ部分のこれらの温度のばらつきは、ガラス管から作製されるガラス物品の寸法および外観のばらつきを招く可能性がある。したがって、変換プロセスにおいて、ガラス管を医薬品パッケージなどのガラス物品に変換しながら、ガラス管が徐々に消費される最中にガラス管温度のばらつきを低減させるシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様では、ガラス管から複数の物品を製造する方法は、ガラス管の作業端部を、少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの加熱ステーションの後の少なくとも1つの形成ステーションとを備える複数の加工ステーションを有する変換器のガラス管ホルダ内に固定するステップを含んでよい。変換器は、ガラス管ホルダを複数の加工ステーションを通して移動させてよい。ガラス管の初期の長さ部分は、複数の連続セグメントを備えてよく、複数の連続セグメントの各々は、1つの物品に対応していて、物品番号を有する。方法は、ガラス管の作業端部を少なくとも1つの加熱ステーションで加熱するステップと、ガラス管の作業端部に対応する物品番号に基づき、ガラス管の加熱量を増大または減少させるステップとをさらに含んでよい。物品番号に基づき加熱量を増大または減少させるステップは、所定の物品番号から次の物品番号への管温度、物品寸法またはその両方のばらつきを低減してよい。方法は、物品の少なくとも1つの特徴部をガラス管の作業端部に少なくとも1つの形成ステーションで形成するステップと、物品をガラス管の作業端部から分離ステーションで分離するステップと、次の物品を形成するために、ガラス管をガラス管ホルダ内で下方に割り出すステップとをさらに含んでよい。
【0007】
本開示の第2の態様は、ガラス管の加熱量を増大または減少させるステップは、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素に接触するガラス管の作業端部のバーナ滞留時間を増大または減少させるステップ、ガラス管の作業端部の物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素の加熱速度を増大または減少させるステップ、またはガラス管の作業端部の物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーション内のガラス管に近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップのうちの少なくとも1つを含んでよい、第1の態様を含んでよい。
【0008】
本開示の第3の態様は、複数の加工ステーションは、複数の加熱ステーションを備えてよく、方法は、ガラス管の作業端部に対応する物品番号に基づき、複数の加熱ステーションの各々でガラス管の加熱量を増大または減少させるステップを含んでよい、第1または第2の態様を含んでよい。
【0009】
本開示の第4の態様は、ガラス管の作業端部での管温度、物品寸法またはその両方のばらつきは、ガラス管の作業端部で形成される物品の、物品番号の関数であってよい、第1から第3までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0010】
本開示の第5の態様は、ガラス管の作業端部の加熱量を増大または減少させるステップは、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素に接触するガラス管のバーナ滞留時間を増大または減少させるステップを含んでよい、第1から第4までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0011】
本開示の第6の態様は、少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素は、ガラス管の作業端部に係合したりしなかったりするように旋回してよい旋回バーナを備えてよい、第5の態様を含んでよい。
【0012】
本開示の第7の態様は、バーナ滞留時間を増大または減少させるステップは、旋回バーナがガラス管の作業端部に係合するようにまたは係合しないように旋回するタイミングを調整するステップを含んでよい、第6の態様を含んでよい。
【0013】
本開示の第8の態様は、ガラス管の作業端部の加熱量を増大または減少させるステップは、ガラス管の作業端部の物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素の加熱速度を増大または減少させるステップを含んでよい、第1から第7までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0014】
本開示の第9の態様は、加熱要素は、バーナを備えてよく、加熱速度を増大または減少させるステップは、バーナに供給される1種以上の燃焼ガスの流量を増大または減少させるステップを含んでよい、第8の態様を含んでよい。燃焼ガスは、燃料ガスと、酸素、空気またはその両方とを含んでよい。
【0015】
本開示の第10の態様は、加熱速度を増大または減少させるステップは、バーナへの全ての燃焼ガスの流量を比例して増大または減少させるステップを含んでよい、第9の態様を含んでよい。
【0016】
本開示の第11の態様は、加熱速度を増大または減少させるステップは、バーナに供給される酸素に対する燃料ガスの流量比を修正することを含んでよい、第9の態様を含んでよい。
【0017】
本開示の第12の態様は、ガラス管の作業端部の加熱量を増大または減少させるステップは、ガラス管の作業端部の物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーションに近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップを含んでよい、第1から第11までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0018】
本開示の第13の態様は、少なくとも1つの加熱ステーションに近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップは、少なくとも1つの加熱ステーションに近接して位置決めされた入口ベントに流体接続されたエアハンドラの速度を減少または増大させるステップ、エアハンドラと入口ベントとの間に配置されたダンパの位置を調整するステップ、または両ステップを含んでよい、第12の態様を含んでよい。
【0019】
本開示の第14の態様は、少なくとも1つの加熱ステーションに近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップは、排気システムの入口ベントの位置を少なくとも1つの加熱ステーション内のガラス管に対して相対的に調整するステップを含んでよい、第12の態様を含んでよい。
【0020】
本開示の第15の態様は、変換器は、複数のガラス管ホルダを備えてよく、方法は、複数のガラス管ホルダの各々を複数の加工ステーションの各々を通して移動させるステップと、複数のガラス管ホルダが次の加工ステーションに移動するたびに、物品番号に基づき、ガラス管の作業端部における加熱量を増大または減少させるステップとを含んでよい、第1から第14までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0021】
本開示の第16の態様は、ガラス管の最後の物品番号に対応する最後の物品が製造されたのち、ガラス管の新しい長さ部分を管ホルダ内に固定するステップをさらに含む、第1から第14までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0022】
本開示の第17の態様は、変換器は、複数のガラス管ホルダを備えてよく、方法は、ガラス管の新しい長さ部分を、第1のガラス管から開始して、連続した順序で複数のガラス管ホルダの各々に固定するステップをさらに含んでよい、第16の態様を含んでよい。
【0023】
本開示の第18の態様は、少なくとも1つの加熱ステーションでの第1のガラス管の作業端部における物品番号の変化に応じて、物品番号に基づき、第1のガラス管の作業端部の加熱量を変更するステップと、第1のガラス管が少なくとも1つの加熱ステーションに戻り、第1のガラス管の作業端部における物品番号が変化するまで、ガラス管からガラス管への少なくとも1つの加熱ステーションでの加熱量を維持するステップとを含む、第17の態様を含んでよい。
【0024】
本開示の第19の態様では、ガラス管から複数の物品を製造する方法は、ガラス管を、少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの加熱ステーションの後の少なくとも1つの形成ステーションとを備える複数の加工ステーションを有する変換器のガラス管ホルダに導入するステップを含んでよい。変換器は、ガラス管ホルダを、複数の加工ステーションを通して移動させてよい。方法は、ガラス管の作業端部を、少なくとも1つの加熱ステーションで加熱するステップと、第1の物品の少なくとも1つの特徴部を、少なくとも1つの形成ステーションでガラス管の作業端部に形成するステップとをさらに含んでよく、第1の物品は、ガラス管の長さ部分に沿った第1の連続位置に対応する。方法は、第1の物品を分離ステーションでガラス管の作業端部から分離するステップと、分離後、第2の物品をガラス管から成形するために、ガラス管をガラス管ホルダ内で下方に割り出すステップとをさらに含んでよく、第2の物品は、ガラス管の長さ部分に沿った第2の連続位置に対応する。方法は、第2の連続位置に対応するガラス管の作業端部を、少なくとも1つの加熱ステーションで加熱するステップと、第2の連続位置に対応するガラス管の加熱量を、第1の物品の加熱に対して相対的に増大または減少させるステップとをさらに含んでよい。第2の物品のガラス管の作業端部の加熱量を、第1の物品に対して相対的に増大または減少させることにより、第1の物品に対して相対的に、第2の物品の温度または寸法の変動性を低減させてよい。
【0025】
本開示の第20の態様では、ガラス管から複数の物品を製造するためのシステムは、少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの形成ステーションと、分離ステーションとを備える複数の加工ステーションを含む変換器を含んでよい。変換器は、ガラス管を複数の加工ステーションを通して移動させるように動作可能であってよい。システムは、変換器に通信可能に接続されたシステムコントローラをさらに含んでよい。システムコントローラは、プロセッサと、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令を含む記憶媒体とを備えてよく、命令は、プロセッサによって実行されると、システムコントローラに、自動的に、ガラス管の作業端部における物品番号を決定させてよく、物品番号は、ガラス管の初期の長さ部分の連続セグメントに対応する整数を含み、各々の連続セグメントは、1つの物品に対応しており、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーションでのガラス管の加熱量を増大または減少させる。
【0026】
本開示の第21の態様は、少なくとも1つの加熱ステーションは、旋回してガラス管の作業端部に係合したりしなかったりするように動作可能な旋回バーナを備えてよく、システムコントローラは、旋回バーナに通信可能に接続されてよい、第20の態様を含んでよい。
【0027】
本開示の第22の態様は、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、プロセッサによって実行されると、システムコントローラに、旋回バーナがガラス管の作業端部に係合するようにまたは係合しないように旋回することによって、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、ガラス管の作業端部のバーナ滞留時間を自動的に増大または減少させてよい、第20または第21の態様を含んでよい。
【0028】
本開示の第23の態様は、少なくとも1つの加熱ステーションは、少なくとも1つのバーナと、少なくとも1つのバーナへの1種以上の燃焼ガスの質量流量を増大または減少させるように動作可能であってよい少なくとも1つの流量制御器とを備えてよい、第20から第22までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0029】
本開示の第24の態様は、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、プロセッサによって実行されると、システムコントローラに、自動的に、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、少なくとも1つのバーナへの1種以上の燃焼ガスの質量流量を増大または減少させてよい、第23の態様を含んでよい。
【0030】
本開示の第25の態様は、変換器は、少なくとも1つの入口ベントと、少なくとも1つの入口ベントに流体接続されたエアハンドラとを備える排気システムを備えてよい、第20から第24までのいずれか1つの態様を含んでよい。
【0031】
本開示の第26の態様は、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、プロセッサによって実行されると、システムコントローラに、自動的に、ガラス管の作業端部の物品番号に基づき、ガラス管に近接している排気システムによって生成される負圧を調整させてよい、第25の態様を含んでよい。
【0032】
前述の全体的な説明と以下の詳細な説明との両方が、様々な実施形態を説明しており、特許請求された主題の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、様々な実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書で説明する様々な実施形態を示し、説明とともに、特許請求される主題の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、ガラス管からガラス物品を製造するための変換器の実施形態を概略的に示す図である。
図2】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器のメインタレット、二次タレット、および供給タレットの上面図を概略的に示す図である。
図3A】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の加熱ステーションを概略的に示す図である。
図3B】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の形成ステーションを概略的に示す図である。
図3C】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の形成ステーションの別の実施形態を概略的に示す図である。
図3D】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の冷却ステーションを概略的に示す図である。
図3E】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の分離ステーションを概略的に示す図である。
図3F】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の穿孔ステーションを概略的に示す図である。
図4】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器で変換する前のガラス管の斜視図を概略的に示す図である。
図5】ガラスバイアル(y軸)の特徴部の寸法を、ガラス管の熱の変動性を補正せずに製造された物品番号(x軸)の関数としてグラフで示した図である。
図6】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の別の加熱ステーションを概略的に示す図である。
図7A】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図6の加熱ステーション内のガラス管に係合する位置にある図1の変換器の旋回バーナの上面図を概略的に示す図である。
図7B】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図6の加熱ステーション内のガラス管に係合しない位置にある図1の変換器の旋回バーナの上面図を概略的に示す図である。
図8】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、ガラス物品寸法(y軸)を、図6の加熱ステーション内のバーナ滞留時間を変動させた場合と変動させない場合で物品番号(x軸)の関数としてグラフで示した図である。
図9】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、ガラス管温度(y軸)を、図7の加熱ステーション内のバーナ滞留時間中の時間(x軸)の関数としてグラフで示した図である。
図10A】物品寸法(y軸)を、変換中のガラス管の熱の変動性を補正せずに物品番号(x軸)の関数としてグラフで示した図である。
図10B】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、物品寸法(y軸)を、図6の加熱ステーション内のバーナの加熱速度を調整した物品番号(x軸)の関数としてグラフで示した図である。
図11】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、図1の変換器の別の加熱ステーションを概略的に示す図である。
図12】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、物品寸法(y軸)を、排気流の様々な速度における物品番号(x軸)の関数としてグラフで示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、ガラス管をガラス物品に変換するための変換プロセスに基づき製造されるガラス物品の温度および寸法のばらつきを低減させるためのシステムおよび方法の実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面全体を通して同一の参照符号を使用して、同一または同様の部品が参照される。ガラス管は、ガラス物品、特に医薬品用途で使用するためのガラス物品に変換することができ、限定されないが、バイアル、シリンジ、アンプル、カートリッジ、および他のガラス物品を含んでよい。ガラス管は、複数の加工ステーションを備える変換機械などの変換器を使用して、これらのガラス物品に変換することができる。加工ステーションは、他の種類の加工ステーションのなかでも、加熱ステーションと、形成ステーションと、熱分離ステーションと、穿孔ステーションとを含んでよい。変換機械は、典型的には、限定されないが、火炎加工ステップ、回転・静止ツール形成ステップ、熱分離ステップ、または筋入れ・衝撃切断ステップを含むステップを使用して、長いガラス管の長さ部分を複数のガラス物品に変換する。したがって、変換機械で行われる変換プロセスによって製造されるガラス物品は、一連の火炎バーナまたは他の加熱要素に供されて、一部がガラス管から分離されて、特定の寸法に成形される。
【0035】
変換プロセス中、ガラス管は室温(約23℃)で変換機械にローディングされるが、ガラス管の非作業部分は、変換器または変換機械の、火炎バーナによって放出される熱により、ガラス管の消費中に温度が200℃以上に上昇する可能性がある。ガラス管が完全に消費されると、ガラス管の長さ部分が短くなることにより、管を通るガス流量が増大し、それにより、ガラス管温度にも影響を与える可能性がある。ガラス管の加工中および消費中のガラス管温度変化により、変換プロセス中に形成されるガラス物品の寸法および外観のばらつきが生じる可能性がある。ガラス管温度のばらつきと、その結果として生じる寸法および外観のばらつきとにより、変換プロセスの動作ウィンドウが制約され、プロセス能力(Cpk)が低下し、歩留まりが低下する可能性がある。歩留まりの低下は、物品が仕様外になる原因となる寸法および外観のばらつきによる生産速度の低下または歩留まり損失に起因する可能性がある。特定のプロセス条件下で実行される特定のSKU番号では、寸法および外観のばらつきによる歩留まり損失が30%を超える可能性があり、この歩留まり損失の少なくとも一部は、変換中のガラス管温度のばらつきに起因する可能性がある。
【0036】
ガラス管のストックが消費されるときのガラス管のストックの温度のばらつきを低減させるための様々な解決手段が提案されてきたが、ガラス管が消費されるときのガラス管温度のばらつきによって生じる寸法および外観の変動性を低減させるのに十分であるかは判っていない。例えば、一部の作業者は、ガラス管を変換機械にローディングする前に管カルーセルでまたは変換機械の上方でガラス管を予熱している。この方法は現在の変換プロセスでは実行することができない。なぜなら、管ローダが、金属とガラスとの接触を避けるためにプラスチックで構成されており、ガラス管を十分な温度に予熱して熱のばらつきを低減させると、管ローダのプラスチックが変形するからである。提案された別の解決手段では、ガラス管は、閉鎖されているか、または閉鎖されて通気されており、加熱されたガスがガラス管の中央の空洞を通って流れることが防止されている。しかしながら、閉鎖されたガラス管、または閉鎖されて通気されるガラス管は、変換機械に特殊な形成設備を必要とし、実現されたとしても、プロセスの熱の変動性を排除しない。
【0037】
したがって、ガラス管を医薬品パッケージなどのガラス物品に変換する一方で、変換プロセスによってガラス管が徐々に消費されるときにガラス管温度のばらつきを低減させるためのシステムおよび方法が引き続き必要とされている。本開示のシステムおよび方法は、ガラス管が消費されるときに、ガラス管の長さ部分の温度の変化が補正されるように、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、ガラス管の加熱量を調整することを対象としている。ガラス管の加熱量は、ガラス管が消費されるときに、1つの物品ごとにかつ/またはメインタレットの1回転ごとに管理することができる。
【0038】
ガラス管の初期の長さ部分は、概念的に複数の連続したセグメントに分割することができ、複数の連続したセグメントの各々が1つの物品に対応していて、物品番号に関連付けられている。物品番号1に割り当てられたガラス管から作製された第1の物品から始まり、連続する各々の連続セグメントの温度は、物品番号が増加するにつれて変化する。ガラス管の作業端部における物品番号を追跡する関係データベースを使用することで、コントローラを使用して、バーナ滞留時間、バーナの出力/加熱速度、または排気流を1つの物品ごとに制御して、管温度をより「安定した状態」の条件に調整することができる。
【0039】
ガラス管から物品を製造するためのシステムの実施形態が、図1に示されている。図1に示す実施形態では、ガラス管102からガラス物品を製造するためのシステムは、少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの形成ステーションと、分離ステーションとを含む複数の加工ステーション106を有する変換器100を含む。変換器100は、ガラス管102を複数の加工ステーション106を通して移動させるように動作可能である。図5を参照すると、システムは、変換器100に通信可能に接続されたシステムコントローラ400(図5)を含んでよい。システムコントローラ400は、ガラス管102の作業端部150における物品番号を決定し、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき、少なくとも1つの加熱ステーション202内のガラス管102の加熱量を増大または減少させるように動作可能であってよい。
【0040】
ガラス管102から複数の物品を製造する方法は、ガラス管102の作業端部150を、複数の加工ステーション106を有する変換器100のガラス管ホルダ130に固定することを含んでよい。加工ステーション106は、少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの加熱ステーションの後の少なくとも1つの形成ステーションとを含んでよい。変換器100は、ガラス管ホルダ130と、ガラス管ホルダ130内に固定されたガラス管102とを、複数の加工ステーション106を通して移動させる。ガラス管の初期の長さ部分は、複数の連続セグメントを備え、複数の連続セグメントの各々は、1つの物品に対応していて、物品番号を有する。この方法は、ガラス管102の作業端部150を少なくとも1つの加熱ステーション202で加熱することと、ガラス管102の作業端部150に対応する物品番号に基づき、ガラス管102の加熱量を増大または減少させることと、物品の少なくとも1つの特徴部を少なくとも1つの形成ステーションでガラス管102の作業端部150に形成することと、物品を分離ステーションでガラス管102の作業端部150から分離することと、次の物品を形成するために、ガラス管102をガラス管ホルダ130内で下方に割り出すこととを含んでよい。
【0041】
物品番号に基づき加熱量を増大または減少させることにより、所定の物品番号から次の物品番号への管温度、物品寸法またはその両方のばらつきを低減させることができる。ガラス管の作業端部における物品番号に基づき、ガラス管の加熱量を制御することにより、制御スキームにおける粒度をより大きくすることができ、バイアル番号によるプロセスの変動性を低減させることができる。これにより、変換プロセスのプロセスウィンドウが広がり、仕様外の物品を減少させることができる。したがって、他の特徴のなかでも、歩留まり損失を低減させて、生産速度を増大させることによって、変換プロセスからの歩留まりを増大させることができる。本明細書で開示されるシステムおよび方法の様々な態様は、医薬品バイアルを製造するための変換プロセスの文脈で説明されることを理解されたい。しかしながら、システムおよび方法は、限定されないが、カートリッジ、シリンジ、アンプルなどの他の物品を製造するための変換プロセスに適用してよいことを理解されたい。
【0042】
本明細書で使用される方向に関する用語、例えば、上、下、右、左、前、後、頂、底は、図示された図とそれに付随する座標軸とを参照してのみ使用され、絶対的な配向を意図するものではない。
【0043】
別段の明示的な記載がない限り、本明細書に記載されている方法が、そのステップを特定の順序で実行する必要があると解釈されることも、特定の配向が任意の装置で必要とされることも決して意図されていない。したがって、方法の請求項がそのステップが従うべき順序を実際には述べていない場合、または装置の請求項が個々の構成要素に対する順序または配向を実際には述べていない場合、または特許請求の範囲もしくは説明で、ステップが特定の順序に限定されることが特に別段述べられていない場合、または装置の構成要素に対する特定の順序または配向が列挙されていない場合、いかなる点においても、順序または配向が推測されることは決して意図されていない。これは、ステップの構成、動作の流れ、構成要素の順序、もしくは構成要素の配向に関する、論理の問題と、文法構成もしくは句読点に由来する平易な意味と、明細書に記載されている実施形態の数もしくは種類とを含む、解釈のための可能な非明示的根拠に適用される。
【0044】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a」構成要素への言及は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0045】
本明細書で使用されるガラス管の「作業端部」は、ホルダに対して変換器の加工ステーションに向かって配向されたガラス管の端部であり、ガラス管の「非作業端部」は、加工ステーションから離れるように配向されたガラス管の端部である。
【0046】
本明細書で使用される変換器の「滞留時間」は、ガラス管が次の後続の加工ステーションに移動される前に、特定の加工ステーションで費やされる持続時間を指す。
【0047】
本明細書で使用される「バーナ滞留時間」は、バーナの火炎がガラス管に係合もしくは作用し、ガラス管が加熱されている持続時間を指す。
【0048】
ここで図1を参照すると、ガラス管102からガラス物品を製造するための変換器100が概略的に示されている。変換器100を使用して、ガラス管102を、限定されないが、バイアル、シリンジ、カートリッジ、アンプル、または他のガラス物品などの複数のガラス物品に変換することができる。変換器100は、複数の加工ステーション106を有するベース104と、ベース104の上方に位置決めされ、中心軸線Aを中心としてベース104に対して相対的に回転可能なメインタレット108とを含む。変換器100は、メインタレット108の上方に位置決めされたガラス管ローディングタレット110をさらに含んでよく、ガラス管102がメインタレット108に供給される。変換器100はまた、ベース104上の複数の二次加工ステーション112と、ベース104に対して相対的に回転可能な二次タレット114とを含んでよい。
【0049】
図1に概略的に示されるように、変換器100のベース104は静止しており、加工ステーション106はベース104の上側部分105に結合することができる。複数の加工ステーション106は、互いに離隔され、メインサーキット116内に配置される。1つ以上の実施形態では、メインサーキット116は、円形であってよく、メインタレット108は、中心軸線A周りのメインタレット108の回転によって、複数の加工ステーション106を通してガラス管102を移動させることができる。代替的に、他の実施形態では、メインサーキット116は線形であってもよい。加工ステーション106の円形のレイアウトを参照して本明細書に記載されているが、本明細書に開示される主題は、加工ステーション106の他の配置を有する変換器にも同様に適用されてよいことを理解されたい。
【0050】
ガラス管102から作製される物品の種類および/または形状は、ベース104に結合された加工ステーション106の数に影響を与える可能性がある。メインタレット108の加工ステーション106の数は、14個から32個の加工ステーション106であってよい。本明細書では、変換器100および変換プロセスは、メインサーキット116内に16個の加工ステーション106を有する変換器100の文脈で説明されるが、変換器100は、メインサーキット116内に16個より多いまたは少ない加工ステーション106を有してよいことを理解されたい。加工ステーション106は、限定ではなく一例として、1つ以上の加熱、形成、研磨、冷却、分離、穿孔、測定、供給、もしくは排出するための、ステーション、または他の加工ステーションを含んでよく、ガラス物品がガラス管102から製造される。ガラス管102から作製されるべき物品の種類および/または形状は、変換器100の加工ステーション106の種類および/または加工ステーション106の順序にも影響を与える可能性がある。
【0051】
メインタレット108は、ベース104の上方に位置決めすることができ、かつベース104に回転可能に結合することができ、これにより、メインタレット108は、ベース104に対して相対的に中心軸線Aを中心として回転可能である。駆動モータ(図示せず)を利用して、ベース104に対して相対的にメインタレット108を回転させることができる。メインタレット108は、複数のホルダ130を含み、ホルダ130は、各ガラス管102をメインタレット108に取外し可能に固定するように構成されている。ホルダ130は、クランプ、チャック、もしくは他の保持装置、または保持装置の組合せであってよい。ホルダ130は、ガラス管102がメインタレット108の中心軸線Aに対してほぼ平行になり、ベース104の上側部分105に対してほぼ垂直になるように、各ガラス管102を配向することができる。変換器100は、本明細書では鉛直に配向された変換器100の文脈で説明されているが、変換器100は水平または傾斜して配向されてもよいことを理解されたい。ホルダ130の各々は、メインタレット108の底部部分109からベース104に向かう方向(すなわち、図1の座標軸に対して-Z方向)に延在しており、各ホルダ130は、メインタレット108が中心軸線Aを中心として割り出されるときに、ガラス管102をベース104のメインサーキット116の連続する加工ステーション106の各々に位置決めするように、または加工ステーション106の各々に近接して位置決めするように、配向される。ガラス管102の鉛直配向は、各ガラス管102の下向きの突出部分がメインサーキット116の加工ステーション106を通って漸進的に循環されることを可能にする。実施形態では、変換器100は、複数のホルダ130の各々を漸進的に、複数の加工ステーション106を通して、割り出すように動作可能であってよい。代替的に、実施形態では、変換器100は、複数のホルダ130を、変換プロセスを通じて連続的に並進させるように動作可能であってよい。各ホルダ130は、メインタレット108に対して相対的にホルダ軸線Dを中心として個別に回転可能であってよく、ホルダ軸線Dは、メインタレット108の中心軸線Aに対してほぼ平行であってよい。ホルダ130の各々は、メインタレット108に対して相対的にホルダ130の各々を回転させるための、モータ(図示せず)、連続駆動ベルト、または他の駆動機構に動作可能に結合することができる。ホルダ130の回転により、ガラス管102が、静止したバーナ、形成ツール、冷却ノズル、または加工ステーション106の他の特徴部に対して相対的に回転することが可能になる。
【0052】
図1および図2を参照すると、変換器100は、複数の二次加工ステーション112であって、二次サーキット118(図2)内に離隔して配置される二次加工ステーション112と、ガラス管102から分離された物品103(図1)を複数の二次加工ステーション112を通して割り出すための二次タレット114(図1)とを有することができる。二次タレット114は、ベース104に対して相対的に第2の軸線Bを中心として回転可能であってよい。第2の軸線Bは、メインタレット108の中心軸線Aに対してほぼ平行であってよい。二次タレット114はまた、複数のホルダ130を含み、ガラス物品103が保持され、ガラス物品103が位置決めされて二次加工ステーション112の各々と連続して係合する。二次タレット114は、メインタレット108の分離ステーション206(図2)から物品103を受け取り、二次タレット114の回転によって複数の二次加工ステーション112を通して物品103を割り出し、完成した物品を変換器100から排出することができる。
【0053】
ガラス管ローディングタレット110は、メインタレット108の上方に位置決めすることができる。実施形態では、ガラス管ローディングタレット110は、メインタレット108の中心軸線Aからずれてよい。ガラス管ローディングタレット110は、メインタレット108の中心軸線Aに対してほぼ平行であってよい軸線Cを中心として回転可能であってよい。ガラス管ローディングタレット110は、メインタレット108に対して静止位置に独立して支持されてよく、ガラス管ローディングタレット110の回転は、メインタレット108の回転とは独立してよい。図1および図2を参照すると、幾つかの実施形態では、ガラス管ローディングタレット110は、円形のサーキット134内に配置されてガラス管102を保持するように構成された複数のローディング通路132を含んでよい。ガラス管ローディングタレット110は、ローディング通路132の1つを、変換器100のメインサーキット116の加工ステーション106と、メインサーキット116の加工ステーション106を通して割り出されるメインタレット108上の対応するホルダ130とを鉛直整列させる(すなわち、メインタレット108の中心軸線Aに対して平行な方向および/または図1のZ軸に対して平行な方向に整列させる)ように配置することができる。1つ以上の実施形態では、ガラス管ローディングタレット110と整列された加工ステーション106は、管ローディングステーション214(図2)であってよい。変換器100が、ガラス管102の全部または少なくとも一部を特定のホルダ位置136で1つ以上の物品に変換したとき、ガラス管ローディングタレット110は、ガラス管102の新しい長さ部分を、メインタレット108の頂部を通してホルダ位置136のホルダ130に送ることができ、ホルダ位置136は、メインサーキット116の管ローディングステーション214(図2)と整列するように割り出される。代替的な実施形態では、変換器100は、メインタレット108とガラス管ローディングタレット110との間で移動可能なアーム(図示せず)を含んでよい。変換器100がガラス管102の全部または一部を特定のホルダ位置136で変換すると、アームは、ガラス管ローディングタレット110または他のガラス管ステージング装置から新しいガラス管102の長さ部分を掴み、新しいガラス管102の長さ部分を特定のホルダ位置136でメインタレット108に送ることができる。新しいガラス管102の長さ部分をメインタレット108に送るための他の方法および装置が考えられる。
【0054】
図2を参照すると、前述したように、変換器100の複数の加工ステーション106は、1つ以上の加熱ステーション202、形成ステーション204、分離ステーション206、冷却ステーション210、穿孔ステーション212、管ローディングステーション214、排出ステーション216、測定ステーション218、管長落下ステーション220、または他のステーションおよび/またはこれらのステーションの組合せを含んでよい。図2は、16個の加工ステーション106のメインサーキット116と、8個の二次加工ステーション112の二次サーキット118とを有する変換器100の加工ステーション106の構成を概略的に示す。前述したように、メインサーキット116の加工ステーション106は、円形のサーキットの周りに等しい間隔で等しく分布しており、二次サーキット118の二次加工ステーション112も、円形のサーキットの周りに等しい間隔で等しく分布している。図2はまた、複数のローディング通路132を有するガラス管ローディングタレット110を概略的に示している。図2では、ガラス管ローディングタレット110は、説明のためにメインサーキット116から離隔した位置に示されている。ガラス管ローディングタレット110は、24個のローディング通路132を有するものとして示されているが、ガラス管ローディングタレットは、24個より多いまたは少ないローディング通路132を有してよいことを理解されたい。
【0055】
図2に概略的に示されている変換器のメインサーキット116は、1つ以上の加熱ステーション202と、分離ステーション206と、穿孔ステーション212と、1つ以上の形成ステーション204と、1つ以上の冷却ステーション210と、測定ステーション218と、管長落下ステーション220と、管ローディングステーション214とを含んでよい。図2では、メインサーキット116は加工ステーション106の円形の配置を有するものとして示されているが、前述したように、メインサーキット116は、直線、多角形、または他の配置など、他の形状の配置で位置決めされた加工ステーション106を有してよい。メインタレット108の割出し方向222に関して、加熱ステーション202は、分離ステーション206と各形成ステーション204との前に位置決めすることができ、ガラス管102の目標領域は、ガラス管102の目標領域が粘性に、かつ変形可能になり、効果的に成形または伸張および分離することができる目標温度まで、予熱される。分離ステーション206では、形成されたガラス物品103(図1)は、ガラス物品103の底部が同時に形成されるときに、ガラス管102(図1)から分離することができる。分離ステーション206はまた、加工ステーション106であってよく、加工ステーション106で、部分的に形成されたガラス物品103は、分離されると、二次タレット114(図1)に移送され、二次加工ステーション112の二次サーキット118を通して割り出される。穿孔ステーション212は、メインタレット108の割出し方向222で、分離ステーション206の下流のメインサーキット116上に位置決めすることができる。穿孔ステーション212では、分離ステーション206で前もって形成されたガラス管102のメニスカス350が穿孔され、それによってガラス管102の作業端部150が再び開放される。
【0056】
メインタレット108の形成ステーション204は、割出し方向222で穿孔ステーション212の下流に位置決めすることができる。形成ステーション204では、ガラス管102は、完成したガラス物品の所望の形状に反復して成形される。上述のように、1つ以上の加熱ステーション202は各形成ステーション204の前に位置決めすることができ、ガラス管102の目標領域は、ガラス管102を形成することができる温度まで予熱される。メインタレット108の形成ステーション204は、ガラス管102の作業端部150(図3A)を成形して、ガラス物品103の一端部が成形され、二次タレット114の形成ステーション204は、ガラス物品103がガラス管102から分離されたのち、ガラス物品103の他端部を成形する。実施形態では、変換器100を使用して、バイアルをガラス管102から製造することができ、変換器100の形成ステーション204は、1つ以上のショルダ形成ステーションと、1つ以上のフランジ形成ステーションと、1つ以上のフランジ仕上げステーションとを含んでよく、1つ以上の加熱ステーション202は、形成ステーション204の各々の前および間に位置決めされる。メインサーキット116は、測定ステーション218をさらに含んでよく、測定ステーション218では、寸法測定システム(図示せず)を使用して、例えば直径および厚さなどのガラス管102の1つ以上の寸法と、形成ステーション204によって形成された特徴部の1つ以上の寸法とを測定することができる。特徴部の寸法は、フランジの厚さ、フランジの長さ、ネックの長さ、ネックの厚さ、物品全体の長さ、他の特徴部の寸法、またはそれらの組合せを含んでよい。測定ステーション218は、最後の形成ステーション204の直後に位置決めすることができ、これにより、寸法はガラス管102がまだ高温である間に測定される。代替的に、測定ステーション218は、1つ以上の冷却ステーション210の後に位置決めすることができ、ガラス管102の寸法および/またはガラス物品寸法がより低い温度で測定される。
【0057】
引き続き図2を参照すると、1つ以上の冷却ステーション210は、メインタレット108の割出し方向222で、形成ステーション204の後に位置決めすることができる。管長落下ステーション220は、形成ステーション204の後に、形成ステーション204と分離ステーション206との間で位置決めすることができ、部分的に形成されたガラス管102が落下して、それにより、ガラス物品103が分離ステーション206でガラス管102から分離するように、ガラス管102が位置決めされる。メインサーキット116はまた、新しいガラス管102の長さ部分の供給原料を、ガラス管ローディングタレット110からメインタレット108(図1)にローディングするための管ローディングステーション214を含んでよい。1つ以上の実施形態では、管ローディングステーション214は、冷却ステーション210に組み込むことができる。管ローディングステーション214は、最後の形成ステーション204と分離ステーション206との間に位置決めすることができる。
【0058】
メインタレット108の形成ステーション204は、ガラス物品103の第1の端部に特徴部を形成することができる。例えば、形成ステーション204は、ショルダ142とフランジ144とをバイアルまたはカートリッジであるガラス物品103の頂部(第1の端部)に形成することができる。ガラス物品103が分離ステーション206でガラス管102から分離されると、ガラス物品103は二次タレット114の二次加工ステーション112に移送される。二次加工ステーション112は、1つ以上の形成ステーション204を含んでよく、ガラス物品103の第2の端部が形成され、第2の端部は、ガラス物品103の第1の端部の反対側にある。例えば、二次加工ステーション112の形成ステーション204は、1つ以上の特徴部を、ガラス物品103の底部(第2の端部)に形成することができる。
【0059】
二次サーキットの二次加工ステーションは、1つ以上の加熱ステーション202、形成ステーション204、研磨ステーション208、冷却ステーション210、排出ステーション216、もしくは他のステーション、または二次加工ステーション112の組合せを含んでよい。図2では、二次サーキットは、二次加工ステーション112の円形の配置を有するものとして示されているが、前述したように、二次サーキットは、二次加工ステーション112を、線形、多角形、または他の配置など、他の形状の配置で位置決めすることができる。1つ以上の実施形態では、二次サーキット118の二次加工ステーション112を使用して、バイアル、アンプル、カートリッジ、またはシリンジなどのガラス物品103の1つ以上の特徴部を、例えば、ガラス物品103の、メインタレット108によって形成された端部と反対側の端部に形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ガラス物品103はバイアルであり、二次サーキット118の形成ステーション204は、バイアルの底部を形成することができる。アンプル、カートリッジ、シリンジなどに特徴的な特徴部など、他の特徴部も考えられる。二次サーキット118は、1つ以上の研磨ステーション208を含んでよく、ガラス物品の表面が仕上げられる。二次サーキット118は、複数の冷却ステーション210と排出ステーション216とをさらに含んでよく、排出ステーション216では、完成したガラス物品103を変換器100から排出することができる。
【0060】
メインサーキット116の加工ステーション106および二次サーキット118の二次加工ステーション112の前述の説明は、バイアルをガラス管102から製造するための典型的な変換器100を表すことができる。しかしながら、より多くのまたはより少ない加工ステーション106と二次加工ステーション112とを利用して、異なる形状を有するバイアル、またはカートリッジ、シリンジ、アンプル、もしくは他のガラス物品などの他のガラス物品を製造してよいことを理解されたい。付加的に、加工ステーション106と二次加工ステーション112とを任意の数の異なる順序および/または構成で配置して、異なる形状のガラス物品を製造してよいことを理解されたい。
【0061】
ここで図3Aを参照すると、変換器100の加熱ステーション202が概略的に示されている。加熱ステーション202の各々は、1つ以上の加熱要素301を含んでよい。図3Aに示すように、実施形態では、加熱要素301は、1つ以上のバーナ302を含んでよく、バーナ302を使用して、形成ステーション204(図2)で実行される形成動作または分離ステーション206(図2)で実行される分離動作の前に、ガラス管102の目標領域を加熱することができる。図3Aは単一のバーナ302を示しているが、単一の加熱ステーション202で複数のバーナ302を使用してよいことを理解されたい。各バーナ302は、燃料供給部304と、酸素供給部306と、任意選択的に、空気供給部308とに流体接続することができる。バーナ302の燃料の例は、限定されないが、水素、炭化水素燃料ガス(例えばメタン、プロパン、ブタンなど)、他の燃料、またはこれらの組合せを含んでよい。各バーナ302は、燃料制御弁310を含んでよく、バーナ302への燃料ガスの流量が制御される。各バーナ302はまた、酸素制御弁312を含んでよく、バーナ302への酸素の質量流量が制御される。各バーナ302は、空気制御弁314をさらに含んでよく、任意選択的に、バーナ302への空気の流量が制御される。バーナ302は、酸素および/または空気の存在下で燃料ガスを燃焼させて、火炎が生成され、ガラス管102の少なくとも目標領域が加熱される。変換器100の加熱ステーション202は、本明細書ではバーナを使用してガラス管102を加熱するものとして説明されているが、バーナ以外の他の加熱要素または方法を使用してガラス管102を加熱してよいことを理解されたい。
【0062】
ここで図3Bおよび図3Cを参照すると、変換器100の形成ステーション204の例が概略的に示されている。各形成ステーション204は、ベース104(図1)に対して相対的にツール軸線Eを中心として回転可能な1つ以上の形成ツール324を含んでよい。形成ステーション204へ割り出されると、その前の加熱ステーション202で加熱されたガラス管102は、ホルダ130によって回転させられる。形成ツール324は、ガラス管102が回転するとき、ガラス管102の外側表面140に係合することができる。形成ツール324と加熱されたガラス管102の外側表面140との接触により、ガラス管102を所望の形状に成形することができる。接触時間が満了すると、形成ツールアクチュエータ326が、形成ツール324をガラス管102との係合から引き離す。図3Bは、ガラス管102から形成されたガラスバイアルのショルダ142を形成するための形成ステーション204の一実施形態を概略的に示している。図3Cは、ガラス管102から形成されたガラスバイアルのフランジ144を形成するための形成ステーション204’の例示的な実施形態を概略的に示す。フランジ144を形成するための形成ステーション204’は、3つの形成ツール324a,324bおよび324cを備える。
【0063】
図3Dは、例えば冷却空気または不活性ガスなどの冷却流体342を、ガラス管102に向けて導くように位置決めされた1つ以上の冷却ノズル340を有する冷却ステーション210を概略的に示している。冷却ノズル340のうちの1つ以上は、冷却流体342をガラス管102の特定の領域に導くように位置決めすることができる。1つ以上の冷却流体制御弁344を、冷却ノズル340に流体接続することができ、冷却ノズル340への冷却流体342の質量流量が制御され、これにより、ガラス管102の冷却速度、ガラス管102の温度およびガラス管102内の温度勾配の制御が可能になる。
【0064】
ここで図3Eを参照すると、変換器100の分離ステーション206が概略的に示されている。図3Eに示される分離ステーション206は、熱分離ステーションであり、メインタレット108の割出し方向222で1つ以上の加熱ステーション202の後に位置決めされる。分離ステーション206の前に位置決めされた加熱ステーション202は、ガラス管102を加熱して、ガラスを粘性にする。分離ステーション206は、分離バーナ348を含んでよい。前の加熱ステーション202によって粘性的に変形可能にされたガラス管102が、ホルダ軸線Dを中心としてホルダ130によって回転する間、分離バーナ348は、ガラス管102の外側表面140に係合することができ、ガラス管102は、ガラスの粘度により物品がガラス管102から分離する温度まで加熱される。ガラス管102から分離されると、物品は二次タレット114(図1)に移送されるか、変換器100から排出することができる。図3Eでは熱分離ステーションとして示されているが、分離ステーション206は、例えばシリンジおよびカートリッジに使用することができるように、筋入れ・破断技術を使用する分離ステーションなどの非熱分離ステーションであってもよい。
【0065】
ここで図3Fを参照すると、変換器100の典型的な穿孔ステーション212が概略的に示されている。穿孔ステーション212は、メインタレット108の割出し方向222で分離ステーション206の後に位置決めされる。前述したように、物品103を、分離ステーション206でガラス管102から熱分離することにより、ガラス管102の作業端部150を横切ってガラスのメニスカス350が形成される可能性がある。穿孔ステーションでは、次の物品をガラス管102の作業端部150で形成する準備として、メニスカス350が穿孔される。穿孔ステーション212は、穿孔バーナ352を含んでよい。穿孔バーナ352は、ガラス管102の作業端部150の下方に位置決めすることができ、ガラス管102の作業端部150に向かって配向することができる。穿孔バーナ352は、燃料ガス供給部304、酸素供給部306、空気供給部308のうちの1つ以上と、またはこれらの組合せと流体接続することができる。燃料ガス供給部304と、酸素供給部306と、空気供給部308とは、図3Aのバーナ302に関連して前述した。メインタレット108が、ガラス管102を穿孔ステーション212に割り出すとき、穿孔バーナ352からの火炎は、ガラスのメニスカス350を加熱し、メニスカス350を溶融して、ガラスのメニスカス350が穿孔され、ガラス管102の作業端部150が再び開放される。
【0066】
図3A図3Fは、変換器100で利用することができる加工ステーション106の幾つかの異なる例の概略図を含む。しかしながら、異なる構造、構造の組合せ、または機能を有する他の加工ステーション106を利用して、ガラス管102の1つ以上のガラス物品への所望の変換が実現されてよいことを理解されたい。
【0067】
図1および図2を再び参照すると、動作中、メインタレット108は、ホルダ130に固定されたガラス管102を加工ステーション106へ割り出す。加熱、形成、穿孔、分離、冷却、落下、供給などの特定の動作が、加工ステーション106の各々でガラス管102に対して実行される。本明細書で使用される変換器100の「滞留時間」は、ガラス管102が、メインタレット108によって次の後続の加工ステーション106に割り出される前に、特定の加工ステーション106で費やす時間を指す。変換器100は、全ての加工ステーション106が滞留時間内に動作を完了するように調整することができる。滞留時間の終了時に、メインタレット108はガラス管102を次の加工ステーション106へ割り出す。本明細書で使用される「割出し時間」は、メインタレット108がガラス管102をある加工ステーション106からその次の加工ステーション106まで割り出すのにかかる時間を指し、これは、時間単位で測定される。本開示で使用される、部品ごとのステーションごとの合計時間は、滞留時間と割出し時間との合計である。
【0068】
ガラス管102をガラスバイアルに変換するための変換器100の例としては、AMBEG Dr. J. Dichter GmbH製の自動管供給器を備えたバイアル形成機モデルRP16があり、これはメインサーキット116内の16個の加工ステーション106と、8個の二次加工ステーション112とを含む。他の例は、AMBEG Dr. J. Dichter GmbH製のバイアル形成機モデルRP32であって、メインサーキット116内の32個の加工ステーション106と、各二次サーキット118内に8個の二次加工ステーション112を有する2個の二次サーキット118とを有するバイアル形成機モデルRP32と、36個の加工ステーションを有するEuromatic S.R.L.製のZeta098バイアル形成機とを含む。別の例は、Euromatic S.R.L.製のZeta103カートリッジ形成機を含み、これは、ガラス管をカートリッジに変換する変換器である。カートリッジ変換器は、前述のバイアル変換器100と同様の特徴部を有しているが、バイアルではなくカートリッジのフォームファクタを有するガラス物品を製造するために利用される。
【0069】
ガラスバイアルをガラス管102から製造するための変換器100の文脈で説明されているが、変換器100は、形成ツール324を変更することによって、かつ/またはメインサーキット116内の加工ステーション106もしくは1つ以上の二次サーキット118内の二次加工ステーション112の、順序または構成を変更することによって、カートリッジ、シリンジ、アンプル、または他のガラス物品などの1つ以上の他の物品を製造するように構成されてよいことを理解されたい。
【0070】
図1および図2を再び参照すると、変換プロセス中、ガラス管102は、室温(約23℃)で変換器100にローディングされるが、ガラス管102の消費中に温度が200℃以上に上昇する可能性がある。消費中のガラス管102の温度のばらつきは、バーナ302と変換器100に設けられた他の熱源とによって発せられる熱に少なくとも部分的に起因する。温度はまた、ガラス管102の長さ部分が減少するにつれて、ガラス管102を通るガス流量の変化により変化する可能性がある。前述したように、ガラス管102の温度は、ガラス管102の加工中および消費中に変化し、これは、変換プロセス中に形成されるガラス物品に、寸法および外観のばらつきを引き起こす可能性がある。ガラス管温度のばらつきと、結果として生じる寸法および外観のばらつきとは、変換プロセスの動作ウィンドウを制約し、プロセス能力(Cpk)を低下させ、歩留まりを低下させる可能性がある。
【0071】
本開示のシステムおよび方法は、ガラス管102の作業端部150における加熱量を、ガラス管102の作業端部150に対応する物品番号に基づき増大または減少させることにより、ガラス管102の温度のばらつきと、その結果として生じるガラス管102から製造される物品の寸法および外観のばらつきとを低減させることに関する。図4を参照すると、変換前のガラス管102の長さ部分が概略的に示されている。ガラス管102は、開始長さLと、外径ODと、内径IDと、ガラス厚さTとを有する。ガラス管102は、複数の連続セグメント146に部分化または概念的に分割することができ、各連続セグメント146は、1つの物品を連続セグメント146から形成するのに十分な長さLを有する。複数の連続セグメント146の各々は、1つの物品に対応することができ、物品番号に関連付けることができる。物品番号は、1からnまでの整数であってよく、1はガラス管102から作製された第1の物品に対応していて、nはガラス管102から作製された最後の物品に対応していて、かつガラス管102から作製することができる物品の総数に対応している。物品番号は、物品番号1から物品番号nまでのガラス管から作製された連続する物品ごとに1つずつ割り当てることができる。ガラス管102が、変換器100に設けられた加工ステーション106のサーキットを通過するたびに、ガラス物品が作製され、ガラス管102の作業端部150における物品番号が1ずつ増加する。物品nが形成されたのち、ガラス管102は消費されており、別のガラス管102をホルダ130にローディングすることができる。
【0072】
前述したように、ガラス管102の温度は、変換器100のメインタレット108が回転するたびに、ガラス管102が徐々に消費されるにつれて変化する可能性がある。したがって、ガラス管102の温度は、ガラス管102の作業端部150における物品番号の関数であってよい。この温度のばらつきにより、ガラス管102の加熱されたガラスは、加熱中および成形中に粘度がばらつく可能性があり、これにより、寸法および外観のばらつきが生じる可能性がある。ガラス管102から作製されたガラス物品の寸法のばらつきは、ガラス管102の温度のばらつきに正比例する。
【0073】
図5を参照すると、ガラス管102から作製された物品の寸法(y軸)を示すパラメータが、物品番号(x軸)の関数として、グラフで示されている。図5に示すように、完成した物品の寸法は、新たにローディングされたガラス管から製造された最初の10~15個の物品にわたって急速に変化する可能性がある。最初の10~15個の物品にわたる完成した物品の寸法のこの劇的な変化の少なくとも一部は、この間に変化するガラス管温度に起因する可能性がある。寸法の変動性は、大きい物品番号では、減少する可能性がある。しかしながら、ガラス管から製造された最初の幾つかの物品の寸法の変動性により、これらの物品が仕様外になる可能性がある。仕様外のためにこれらの物品が拒否されると、ガラス管からのガラス物品への歩留まりが低下する可能性がある。
【0074】
前述したように、本開示のシステムおよび方法は、変換器100の1つ以上の加熱ステーション202内のガラス管102の加熱を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することにより、変換器100でのガラス管102の消費中のガラス管102の温度のばらつきを低減させることに関する。ガラス管102を加熱することは、1つ以上の加熱ステーション202でのガラス管102に係合するバーナ302のバーナ滞留時間を変更すること、1つ以上の加熱ステーション202内のバーナ302の加熱速度を変更すること、1つ以上の加熱ステーション202に近接している排気流量を変更すること、またはこれらの組合せによって調整することができる。ガラス管102の加熱は、物品番号に基づき1つの物品ごとおよび/または1回転ごとに(例えば、変換器100のメインタレット108の各回転ごとに)調整することができる。1つの物品ごとに、加熱量は、変換器100のメインタレット108が割り出すたびに、物品番号に基づき調整される。1回転ごとに、加熱量はメインタレット108の各回転の開始時に一度調整され、加熱量は回転全体にわたって維持される。
【0075】
図6を参照すると、本開示の一実施形態による変換器100の加熱ステーション202が概略的に示されている。ガラス管102から複数の物品を製造するための本開示のシステムは、変換器100を含んでよい。変換器100は、少なくとも1つの加熱ステーション202と、少なくとも1つの形成ステーション204と、分離ステーション206とを備える複数の加工ステーション106を含んでよい。変換器100は、複数の加工ステーション106を通してガラス管102を割り出すように動作可能であってよい。変換器100は、変換器100について本明細書で前述した他の特徴または特性のいずれかを有することができる。システムは、変換器100に通信可能に接続されたシステムコントローラ400をさらに含んでよく、システムコントローラ400は、プロセッサ402と、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406を含む記憶媒体404とを含んでよい。システムコントローラ400は、ガラス管102の作業端部150における物品番号を追跡するように動作可能であり、加熱ステーション202内でガラス管102の加熱を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整するように動作可能であってよい。プロセッサ402によって実行されると、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、システムコントローラ400に、自動的に、ガラス管102の作業端部150における物品番号を追跡させることができる。図4に関して前述したように、物品番号は、ガラス管102の初期の長さ部分の連続セグメント146に対応する整数であってよく、各連続セグメントは1つの物品に対応する。プロセッサ402によって実行されると、機械読取り可能かつ実行可能な命令406はさらに、システムコントローラ400に、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき、ガラス管102の作業端部150の加熱量を増大または減少させることができる。ガラス管102の作業端部150の加熱は、1つ以上の加熱ステーション202でのバーナ滞留時間を変更すること、1つ以上の加熱ステーション202内のバーナ302の加熱速度を変更すること、1つ以上の加熱ステーション202に近接している排気流量を変更すること、またはこれらの組合せによって、増大または減少させることができる。ガラス管102の加熱は、単一の加熱ステーション202または複数の加熱ステーション202で増大または減少させることができる。
【0076】
再び図6を参照すると、ガラス管102の加熱は、加熱ステーション202内のバーナ滞留時間を増大させることによって増大させることができ、バーナ滞留時間を減少させることによって減少させることができる。前述したように、バーナ滞留時間は、バーナ302の火炎がガラス管102に係合し、ガラス管102が加熱されている時間の持続時間を指す。ガラス管102の作業端部150の加熱量を増大または減少させることは、少なくとも1つの加熱ステーション202内のバーナ302に係合するガラス管102のバーナ滞留時間を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。バーナ滞留時間は、1つ以上の加熱ステーション202で、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることができる。
【0077】
バーナ滞留時間は、バーナ302がガラス管102に係合するようにまたは係合しないように移動するタイミングを調整することによって、増大または減少させることができる。バーナ302とガラス管102との係合は、バーナ302からの火炎がガラス管102に向かって延びる位置に、またはバーナ302からの火炎がガラス管102に接触してガラス管102を加熱する位置に、バーナ302を配置することを指すことができる。逆に、バーナ302がガラス管102に係合しないとき、バーナ302は、バーナ302からの火炎がガラス管102から離れるように向けられる位置に配置され、これにより、火炎は、ガラス管102に接触しないか、またはガラス管102を直接的に加熱しない。バーナ302からガラス管102への熱伝達は、バーナ302がガラス管102に係合しないときでも、ある程度発生する可能性があるが、この加熱は偶発的であり、バーナ302がガラス管102に係合している場合のガラス管102の加熱と比較して最小限である。
【0078】
図7Aおよび図7Bを参照すると、実施形態では、加熱ステーション202内のバーナ302は、軸線Fを中心として(例えば、図6の座標軸によるX-Y平面内で)横方向に旋回してガラス管102に係合したりしなかったりするように動作可能な旋回バーナ330であってよい。旋回バーナ330は、旋回バーナ330に動作可能に結合された旋回バーナアクチュエータ332を含んでよい。旋回バーナアクチュエータ332は、旋回バーナ330を軸線Fを中心として旋回させることができ、旋回バーナ330の火炎がガラス管102に係合したりしなかったりするように移動させられる。旋回バーナアクチュエータ332は、システムコントローラ400と電気通信するなど、システムコントローラ400に通信可能に接続することができる。旋回バーナアクチュエータ332は、制御信号をシステムコントローラ400から受信するように動作可能であってよく、制御信号は、旋回バーナアクチュエータ332を、旋回バーナ330がガラス管102に係合するようにまたは係合しないように旋回させることができる。
【0079】
旋回バーナ300は、ガラス管102の作業端部150に係合したりしなかったりするように旋回することができる。図7Aを参照すると、旋回バーナ330は、旋回バーナ330の火炎がガラス管102に係合して、ガラス管102が加熱される位置に図示されている。ガラス管102に係合する位置では、旋回バーナ330の火炎は、ガラス管102に接触するか、またはガラス管102の方を向くことができる。実施形態では、ガラス管102に係合する位置では、旋回バーナ330および火炎は、ガラス管102の回転軸線Dを通って延在する線Gに沿って整列することができる。図7Bは、旋回バーナ330の火炎がガラス管102に係合しない位置にある旋回バーナ330を示す。ガラス管102に係合しない位置では、旋回バーナ330の火炎はガラス管102から離れる方向を向いており、これにより、火炎がガラス管102に接触せず、またはガラス管102に直接的に向いていない。実施形態では、係合しないとき、旋回バーナ330は、旋回バーナ330がガラス管102の回転軸線Dと交差する線Gと整列しないように配向することができる。
【0080】
実施形態では、旋回バーナアクチュエータ332は、ガラス管102に係合する位置と、ガラス管102に係合しない位置との間で旋回バーナ330を移行させるように動作可能であってよい。換言すれば、旋回バーナアクチュエータ332は、旋回バーナ330をガラス管102に係合したりしなかったりするように旋回させることができる。実施形態では、旋回バーナ330は、通常、ガラス管102に係合する位置にあってよく、旋回バーナアクチュエータ332は、旋回バーナ330をガラス管102に係合しないように旋回させるように動作することができる。代替的に、旋回バーナ330は、通常、ガラス管102に係合していなくてよく、旋回バーナアクチュエータ332は、旋回バーナ330をガラス管102に係合するように旋回させるように動作することができる。
【0081】
図7Aを参照すると、システムの動作中に、ガラス管102は加熱ステーション202に割り出すことができる。ガラス管102は、作業端部150における物品番号が1である新品のガラス管であってよく、または物品番号が1より大きい部分的に消費されたガラス管であってもよい。旋回バーナ330は、ガラス管102に係合する位置に時間T1で移行することができる。実施形態では、時間T1は、変換器100の割出しの終了時の時間に等しくすることができ、それは、ガラス管102が加熱ステーション202へ完全に移行する時間である。例えば、旋回バーナ330は、変換器100の割出し中に、またはガラス管102が加熱ステーション202に完全に割り出されると同時に(例えば、加熱ステーション202内の静止位置に到達すると)図7Aの関与する位置に移行することができ、これにより、ガラス管102が加熱ステーション202内の静止位置に到達するとすぐに旋回バーナ330の火炎はガラス管102に接触して加熱する。代替的に、実施形態では、時間T1は、ガラス管102が加熱ステーション202へ完全に割り出されたのちに生じてもよい。
【0082】
旋回バーナ330は、バーナ滞留時間の持続時間中(時間T1と時間T2との間の持続時間中)、ガラス管102との係合を維持することができる。バーナ滞留時間の終了時である時間T2で、旋回バーナ330は、図7Bに示されるように、ガラス管102に係合しないように旋回することができ、ガラス管102の加熱が停止される。前述したように、ガラス管102の目標バーナ滞留時間は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき決定することができる。加熱ステーション202内のガラス管102のバーナ滞留時間は、旋回バーナ330がガラス管102の作業端部150に係合するようにまたは係合しないように旋回するタイミングを変更することによって調整することができる。時間T1、時間T2またはその両方を調整して、バーナ滞留時間を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることができる。
【0083】
バーナ滞留時間は、変換器100のメインタレット108の各割出しののちに、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することができる。換言すれば、バーナ滞留時間は、加熱ステーション202へ割り出された連続する各ガラス管102の物品番号に基づき調整することができる。したがって、各ガラス管102の作業端部150における物品番号を個別に追跡することができ、これにより、バーナ滞留時間は、各ガラス管102の各物品で、他の全てのガラス管102とは独立して調整することができる。バーナ滞留時間を、変換器100の割出しのたびにガラス管102の物品番号に基づき調整することにより、ガラス管102が完全に消費されるたびに、新しいガラス管102をランダムに交換することを可能にすることができ、新しいガラス管102を連続した順序でローディングする必要がなくなる。
【0084】
実施形態では、バーナ滞留時間は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき変換器100のメインタレット108の回転のたびに1回転ごとに調整することができる。これらの実施形態では、消費されると、各ガラス管102は、(他のものの直後に)直接的に連続して新しいガラス管102の長さ部分と交換することができ、これにより、メインタレット108の同一の回転中に、メインタレット108内の全てのホルダ130に新しいガラス管102の長さ部分がローディングされる。新しいガラス管102が順番に連続してローディングされると、ガラス管102の作業端部150における物品番号は、単一の回転中に加熱ステーション202を通して割り出される全てのガラス管102について同一となるはずである。したがって、これらの実施形態では、バーナ滞留時間は、変換器100の1回転ごとに1回、全てのガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることができる。新しいガラス管102の長さ部分は、第1のガラス管から開始して、連続した順序で各ガラス管ホルダに固定することができる。少なくとも1つの加熱ステーション202での第1のガラス管102の作業端部150における物品番号の変化に応じて、第1のガラス管102の作業端部150のバーナ滞留時間は、物品番号に基づき調整することができ、バーナ滞留時間は、第1のガラス管が加熱ステーション202に戻り、第1のガラス管の作業端部150における物品番号が変化するまで、ガラス管102からガラス管102への加熱ステーション202において維持することができる。
【0085】
図7Aおよび図7Bを再び参照すると、システムは、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406であって、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、ガラス管102の作業端部150に対応する物品番号を決定させ、旋回バーナ330をガラス管102の作業端部150に係合するようにまたは係合しないように旋回させることによって、ガラス管102の作業端部150のバーナ滞留時間を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき自動的に増大または減少させる、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406を含んでよい。システムコントローラ400は、第1の制御信号を旋回バーナ330または旋回バーナアクチュエータ332に時間T1で送信することができ、旋回バーナ330または旋回バーナアクチュエータ332に、旋回バーナ330をガラス管102に係合するように移行させることができる。時間T2でのバーナ滞留時間の終了時に、システムコントローラ400は、旋回バーナ330をガラス管102に係合しない位置に移行させるコマンドを指示する第2の制御信号を、旋回バーナ330または旋回バーナアクチュエータ332に送信することができる。
【0086】
図7Aおよび図7Bでは、軸線Fを中心として旋回して、火炎をガラス管102に係合したりしなかったりするように移動させる旋回バーナ330を含むものとして示されているが、バーナ302をガラス管102に係合したりしなかったりするように移動させる他の機構が考えられることを理解されたい。実施形態では、加熱ステーション202は、バーナ302を直線方向に並進させて、ガラス管102に係合したりしなかったりするように動作可能な並進システムを含んでよい。例えば、並進システムは、軌道と、バーナ支持体であって、軌道に係合し、軌道に沿って並進可能であり、バーナ302をガラス管102に係合したりしなかったりするように移動させるバーナ支持体とを含んでよい。並進システムはまた、ピストンなどの1つまたは複数の線形アクチュエータを含んでよく、それにより、バーナ302をガラス管102に係合したりしなかったりするように移行させることができる。
【0087】
加熱ステーション202は、ガラス管102を加熱するために使用されるバーナ302の文脈で、本明細書において説明されている。しかしながら、他の加熱要素を使用して、ガラス管を加熱してよいことも理解されたい。他の加熱要素は、限定されないが、例えばCOレーザなどのレーザ、誘導加熱器、他の加熱装置、またはこれらの組合せを含む。レーザ加熱要素は、加熱要素をガラス管102に係合するようにまたは係合しないようにオフおよびオンにすることができる。
【0088】
ここで図8を参照すると、バーナ滞留時間をガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することがガラス管102から作製されるガラス物品寸法の変動性に与える影響が、グラフで示されている。図8は、ガラス物品の特定の寸法(y軸)を物品番号(x軸)の関数として示すパラメータを示す。線502は、ガラス管102の補助的な加熱を伴わずに動作する変換器に対応する。線502は、各物品番号のガラス物品の平均寸法を示しており、各物品番号の平均寸法は、メインタレットに16個の加工ステーションを有する変換器が1回転する間に製造された同一の物品番号を備えた16個の物品全ての平均である。図8に示されるように、ガラス管102の補助的な加熱が提供されない場合、物品寸法は、第1の物品から第nの物品(第29の物品)まで大きくばらつく可能性がある。特に、ガラス管102の寸法は、ガラス管102の温度が上昇するにつれて、最初の幾つかの物品にわたって急激に変化する。寸法は、ガラス管102の全長が減少するためにガラス管102を通るガス流量が増大するにつれて、物品番号が12を超えて再び急速に変化する前に、さらに幾つかの物品で横ばいになる。
【0089】
図8の線504は、一定の滞留時間を有する旋回バーナによって提供される、1つの加熱ステーション202での決められた持続時間の補助的な加熱を伴うように動作する変換器によって生成されるデータに対応する。線504によって示されるように、一定の決められた持続時間の補助的な加熱を提供することにより、補助的な加熱を伴わない変換器100の動作と比較して、ガラス物品寸法のずれをもたらすことができる。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、これは、作業端部150でのガラス管102の全体的な温度上昇によるものであると考えられ、これにより、ガラスの粘度が低下し、寸法のずれを生じさせることができる。一定の滞留時間の補助的な加熱を使用したこの寸法のずれにより、仕様外の物品が生じる可能性がある。しかしながら、これは、加熱ステーション202での加熱量を変更すると、ガラス管102から製造される物品寸法を変更することができることを示している。
【0090】
図8の線506は、変換器100であって、以前はバーナを有していなかった加工ステーション106に旋回バーナ330を設置し、バーナ滞留時間を、加工ステーション106に割り出された各ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整した変換器100の動作に対応している。線506では、バーナ滞留時間は、変換器100の割出しのたびに(例えば、物品ごとに)調整される。線506によって示されるように、バーナ滞留時間をガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することにより、寸法のばらつきを低減させることができる。また、バーナ滞留時間をガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整しても、目標寸法と比較して寸法のずれが生じることはない。同様の結果は、加熱ステーション202の固定バーナを旋回バーナ330と交換し、バーナ滞留時間を修正することによって示すことができる。線506の寸法の変動性は、滞留時間の調整を制御するために使用されるモデル、アルゴリズム、およびプログラムをさらに強化および改良することによって、さらに低減させることができる。
【0091】
実施形態では、ガラス管102から製造される物品の特徴部の位置または寸法の変動性は、ガラス管102の加熱をガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することによって、加熱量を物品番号に基づき調整しない変換プロセスと比較して、0.5mm未満、0.4mm未満、0.3mm未満、または0.2mm未満にさえ低減させることができる。実施形態では、ガラス管102から製造される物品の特徴部の位置または寸法の変動性は、ガラス管102の加熱を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することによって、加熱量を物品番号に基づき調整しない変換プロセスと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、またはさらに少なくとも80%低減させることができる。
【0092】
再び図6を参照すると、加熱ステーション202内のガラス管102の加熱量は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に応じて、加熱ステーション202での加熱速度を増大させることによって増大させることができ、加熱速度を減少させることによって減少させることができる。加熱ステーション202での加熱速度は、加熱ステーション202内の加熱要素の単位時間当たりの熱エネルギー出力の量を指すことができる。加熱ステーション202内の加熱要素は、本明細書で前述したようにバーナ302であってよい。バーナ302の加熱速度は、バーナ302に導入される1種以上の燃焼ガスの量(流量)を変更することによって調整することができる。本明細書で使用される「燃焼ガス」という用語は、燃焼反応物質の供給源としてバーナ302に送られる燃料ガス、酸素、および/または空気などのガスを指し、これらは、燃焼されて、ガラス管102を加熱するための熱が生成される。「燃焼ガス」という用語は、燃焼によって生成される、燃焼反応生成物を含むガス流を意味することが意図されているわけではない。燃焼ガスは、燃料ガスと、酸素ガス、空気、またはこれらの組合せとを含んでよい。バーナ302などの加熱要素の加熱速度は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき、変換器に設けられた1つまたは複数の加熱ステーション202で調整することができ、変換プロセス全体にわたるガラス管102の温度の変動性が補正される。
【0093】
本明細書で前述したように、加熱ステーション202は、1つまたは複数のバーナ302を含んでよい。各バーナ302は、燃料供給部304と、酸素供給部306と、任意選択的に空気供給部308とに流体接続することができる。各バーナ302は、動作可能な少なくとも1つの流体制御弁を含んでよく、バーナ302への1種以上の燃焼ガスの質量流量などの流量が制御される。例えば、各バーナ302は、バーナ302への燃料ガスの流量を制御するための燃料制御弁310と、バーナ302への酸素の質量流量を制御するための酸素制御弁312と、任意選択的に、バーナ302への空気の流量を任意選択的に制御するための空気制御弁314とに流体接続することができる。バーナ302は、酸素および/または空気の存在下で燃料ガスを燃焼させて、ガラス管102の少なくとも目標領域を加熱する火炎が生成される。燃料制御弁310と、酸素制御弁312と、任意選択的に空気制御弁314とはそれぞれ、システムコントローラ400と電子的に通信することなどによって、システムコントローラ400に通信可能に接続することができる。燃料制御弁310、酸素制御弁312、および任意選択的に、空気制御弁314はそれぞれ、バーナ302に供給するための燃料ガス、酸素、および空気の流量を指示するシステムコントローラ400からの信号を受信するように動作可能であってよい。各ガスの流量は質量流量であってよく、燃料制御弁310、酸素制御弁312、および任意選択的に空気制御弁314は、質量流量コントローラであってよい。実施形態では、燃料制御弁310、酸素制御弁312、および任意選択的に空気制御弁314は、システムコントローラ400に通信可能に接続されなくてもよいが、一定の燃料対酸素比を提供するように設定することができる。これらの実施形態では、システムは、メイン燃焼ガス流量コントローラであって、バーナ302に流体接続され、システムコントローラ400に通信可能に接続されたメイン燃焼ガス流量コントローラを含んでよい。メイン燃焼ガス流量コントローラは、バーナ302への燃焼ガスの総質量流量を制御するように動作可能であってよく、燃焼ガスは、燃料制御弁310と、酸素制御弁312と、任意選択的に空気制御弁314とによって設定される一定の燃料ガス対酸素比を有する。燃焼ガスのための様々な制御弁の他の構成が企図されて、加熱ステーション202内のバーナ302の加熱速度が制御される。
【0094】
各バーナ302の加熱速度は、バーナ302への燃料ガス、酸素ガス、空気、またはこれらの組合せのうちの1つ以上の質量流量などの流量を増大または減少させることによって、増大または減少させることができる。加熱ステーション202内のバーナ302の加熱速度を増大または減少させることは、全ての燃焼ガスの流量を比例して増大または減少させることを含んでよい。換言すれば、バーナ302に導入される燃焼ガスの燃料ガス対酸素比を一定に維持することができ、燃焼ガスの総流量を増大させて、バーナ302の加熱速度を増大させることができ、燃焼ガスの総流量を減少させて、バーナ302の加熱速度を減少させることができる。実施形態では、燃料制御弁310と、酸素制御弁312と、任意選択的に空気制御弁314とを動作させて、燃料ガス対酸素比を一定に維持しながら、バーナ302への全ての燃焼ガスの質量流量を増大または減少させることができる。実施形態では、ガラス管102の加熱速度を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることは、バーナ302に供給される酸素に対する燃料ガスの質量流量比を修正することを含んでよい。
【0095】
図6をなおも参照すると、システムは、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406であって、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、ガラス管102の作業端部150における物品番号を決定させ、加熱ステーション202内の少なくとも1つのバーナ302への1種以上の燃焼ガスの質量流量を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき自動的に増大または減少させる、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406を含んでよい。プロセッサ402によって実行されると、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、システムコントローラ400に、燃料ガス制御弁310、酸素制御弁312、空気制御弁314、またはこれらの組合せのうちの1つ以上へ制御信号を送信させることができ、制御信号は、バーナ302の望ましい加熱速度を実現するための各々の流量制御弁の位置を指示している。実施形態では、プロセッサ402によって実行されると、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、システムコントローラ400に、燃料ガス制御弁310、酸素制御弁312、および、任意選択的に空気制御弁314へ制御信号を送信させて、バーナ302に導入される燃料ガス対酸素質量流量比を一定に維持しながら、燃料ガス、酸素、および任意選択的に空気の、バーナ302への流量を増大または減少させることができる。
【0096】
次に図9を参照すると、時間(x軸)の関数としての加熱ステーション202内のガラス管102の温度(y軸)が、一定の燃焼ガス流量(参照符号902)およびゼロに等しい時間における燃焼燃料ガス流量の増大(参照符号904)について図示されている。ゼロに等しい時間は、変換器100の割出し時間の終了と、ガラス管102が加熱ステーション202内の静止位置に到達する点を表す。一定の燃焼ガス流量の下では、ガラス管102の温度は、線902によって示されるように、加熱ステーション202での滞留時間が長くなるにつれて上昇する可能性がある。線904では、加熱ステーション202内のバーナ302への燃焼ガスの流量は、ゼロに等しい時間で、徐々に増大する。図9に示すように、バーナ302への燃焼ガスの流量の変化に応じたガラス管102の温度の応答には遅れが存在する。初期に、ゼロに等しい時間で燃焼ガスの流量を変更すると、ガラス管102の温度(904)は、一定の燃焼ガス流を有するガラス管102の温度(902)と同一の速度で上昇し続ける。約0.5秒の滞留時間で、燃焼ガス流量を変更する効果が現れ始め、バーナ302の加熱速度が増大し、これは、ゼロに等しい時間の約0.5秒後に始まる線902からの線904の偏差によって示される。バーナ302の加熱速度は、燃焼ガスの流量の変化ののち、最終加熱速度まで増大するのに時間がかかる。これは、0.5秒から約0.8秒の間の期間によって図9に示され、その間、温度変化の傾きは、0.8秒後の温度変化の傾きよりも大きい。これは、燃焼ガスの流量の変化に対するバーナ302の加熱速度の応答の遅れを示している。
【0097】
加熱ステーション202内の加熱要素/バーナ302の加熱速度は、変換器100のメインタレット108の各割出しののちに、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することができる。換言すれば、バーナ302の加熱速度は、加熱ステーション202に割り出された連続する各ガラス管102の物品番号に基づき調整することができる。したがって、各ガラス管102の作業端部150における物品番号を個別に追跡することができ、これにより、加熱要素の加熱速度は、他の全てのガラス管102とは無関係に、各ガラス管102の物品ごとに調整することができる。加熱速度を、変換器100の割出しのたびにガラス管102の物品番号に基づき調整することにより、ガラス管102が完全に消費されるたびに、新しいガラス管102をランダムにローディングすることを可能にすることができ、新しいガラス管102を連続した順序でローディングする必要がなくなる。しかしながら、図9に示すように、バーナ302への燃焼ガスの流量の変化に対するガラス管102の温度の応答の遅れは、加熱速度の変化が1回の割出しごとにガラス管102の温度の変化を適切に補正する能力を、制限する可能性がある。
【0098】
実施形態では、加熱要素またはバーナ302の加熱速度は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき、変換器100のメインタレット108の回転のたびに1回転ごとに調整することができる。これらの実施形態では、消費されると、各ガラス管102は、直接的に連続して(他のものの直後に)新しいガラス管102の長さ部分に交換することができ、これにより、メインタレット108の同一の回転中に、メインタレット108の全てのホルダ130に、新しいガラス管102の長さ部分がローディングされる。これらの状況下では、ガラス管102の作業端部150における物品番号は、単一の回転中に加熱ステーション202を通して割り出される全てのガラス管102について同一であってよい。したがって、これらの実施形態では、加熱速度は、変換器100の1回転ごとに1回、全てのガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることができる。新しいガラス管102の長さ部分は、第1のガラス管から開始して、連続した順序で各ホルダ130に固定することができる。少なくとも1つの加熱ステーション202での第1のガラス管102の作業端部150における物品番号の変化に応じて、バーナ302の加熱速度は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することができ、バーナ302の加熱速度は、第1のガラス管が加熱ステーション202に戻り、第1のガラス管の作業端部150における物品番号が変化するまで、ガラス管102からガラス管102への加熱ステーション202において維持することができる。バーナ302の加熱速度を1回転ごとに変更することにより、燃焼ガスの流量の変化に対するバーナ302の熱応答の遅れの影響を低減させることができる。
【0099】
ここで図10Aを参照すると、ガラス管102の温度の変動性に対する補正がない変換器の、ガラス管102からの物品寸法(y軸)がガラス管102の作業端部150における物品番号(x軸)の関数として概略的に図示されている。図10Aに示すように、物品の平均寸法は、ガラス管から製造された最初の10~15個(メインタレットの最初の10~15回転)の物品にわたって劇的に変化する。この変動性は、ガラス管から初期に製造される物品が仕様外になる可能性があり、これにより、変換プロセスからの歩留まりが低下し、廃棄物が増加する可能性がある。
【0100】
次に図10Bを参照すると、加熱ステーション202内のバーナ302の加熱速度が、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき1回転ごとに調整される変換器について、ガラス管102から製造される物品寸法(y軸)が、ガラス管102の作業端部150における物品番号(x軸)の関数としてグラフで示される。図10Bに示すように、加熱ステーション202内のバーナ302の加熱速度を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき1回転ごとに調整することにより、ガラス管から製造される物品の寸法の変動性を、特に各ガラス管102から製造される最初の10~15個の物品にわたって、大幅に低減させることができる。バーナの加熱速度を物品番号に基づき1回転ごとに調整することにより、物品寸法の変動性を、バーナの加熱速度が一定に維持される変換器と比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、あるいはさらに少なくとも80%低減させることができる。したがって、1つ以上の加熱ステーション202内の1つ以上のバーナ302の加熱速度を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき変更することにより、完成した物品の寸法および外観の変動性を低減させることができる。
【0101】
ここで図11を参照すると、加熱ステーション202でガラス管102を加熱することは、加熱ステーション202に近接している排気の流量を変更することによって、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整することもできる。変換器100は、ダクト676によってエアハンドラ674に流体接続された1つまたは複数の入口ベント672を含んでよい排気システム670を含んでよい。エアハンドラ674は、空気を入口ベント672内へ、ダクト676を通して引き込むことが可能であってよい。入口ベント672を通して排気システムに空気を引き込むことにより、ガラス管102の作業端部150の領域で局所的な負圧を生じさせることができ、これは、ガラス管102内の煙突効果を十分に低減または克服することができ、少なくともガラス管102の中心を通るガスの上昇流が低減または防止される。ガラス管102を通る上方へのガスの流れを低減または防止することにより、ガラス管102の温度の変動性に対するこれらのガスの影響を低減させることができる。付加的または代替的に、ガラス管102の作業端部150付近の負圧を変更することにより、ガラス管102の内部容積を通るガスの流量を調整することができ、それによってガラス管102の加工されていない長さ部分への熱の伝達が制御される。排気システム670によって生成された局所的な負圧は、ガラス管102の外部を取り囲む空気などのガラス管102の外部から、過剰な熱を除去することもできる。
【0102】
入口ベント672は、ガラス管102の作業端部150でガラス管102の外側表面140から距離Mに位置決めすることができる。距離Mは、十分に小さくすることができ、排気システム670が、ガラス管102の内部容積での煙突効果を少なくとも部分的または完全に克服するのに十分な負圧をガラス管102の作業端部150に発生させることが可能になる。しかしながら、距離Mが小さすぎると、入口ベント672は、ガラス管102が加工ステーション106の内外に割り出すときに、ガラス管102および/または変換器100のわずかな寸法のばらつきにより、ガラス管102の作業端部150に接触する可能性がある。付加的に、距離Mが小さすぎると、入口ベント672は、加熱ステーション202のうちの1つの、バーナ302などのバーナの性能を妨げる可能性がある。
【0103】
エアハンドラ674は、限定されないが、送風機、ファン、ポンプ、真空ポンプ、他の真空装置またはエアハンドリング装置、またはこれらの組合せのうちの1つ以上を含んでよい。実施形態では、排気システム670は、複数のエアハンドラ674を含んでよく、加熱ステーション202または分離ステーション212などの1つ以上の加工ステーション106は、その加工ステーション106専用のエアハンドラを有することができる。エアハンドラ674を入口ベント672に結合するダクト676は、剛性ダクト、可撓性ダクト、または両方の組合せを含んでよい。可撓性ダクトが提供されてよく、入口ベント672の位置が、ガラス管102の作業端部150に対して相対的に自動的に調整される。入口ベント672とダクト676とが加工ステーション106に近接しているため、幾つかの実施形態では、入口ベント672およびダクト676は、加熱ステーション202でガラス管102に近接して生成される加熱されたガスおよび蒸気の、温度に耐えることが可能な耐熱材料で構成されてよい。
【0104】
排気システム670は、ダクト676内、ダクト676とエアハンドラ674との間、またはダクト676と入口ベント672との間に配置されたダンパ680を任意選択的に含んでよい。ダンパ680は、排気システム670を通る気流を制御するように調整可能であり、それにより、ガラス管102の作業端部150で排気システム670によって生成される負圧が制御される。ダンパ680は、空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、流体圧アクチュエータ、電磁アクチュエータ、または他の種類のアクチュエータのうちの1つ以上を含んでよい。幾つかの実施形態では、ダンパ680はソレノイドを含んでよい。エアハンドラ674、ダンパ680またはその両方は、システムコントローラ400に通信可能に接続することができ、制御信号をシステムコントローラ400から受信するように動作可能であってよく、排気システム670を通る気流が制御される。
【0105】
図11を再度参照すると、入口ベント672は、加熱ステーション202に近接して位置決めすることができる。実施形態では、排気システム670は、加熱ステーション202などの加工ステーション106のうちの1つに位置決めされたベント672の各々を有する複数のベント672を含んでよい。動作中、入口ベント672は、前述したように、ガラス管102の作業端部150に近接して位置決めすることができる。エアハンドラ674は、ダクト676を通り、入口ベント672からエアハンドラ674に向かって気流を生成することができる。ガラス管102の作業端部150の近傍からの空気およびガスは、ダクト676を通る空気の流れによって入口ベント672に引き込まれ、それによってガラス管102の作業端部150に近接して負圧を生成することができる。負圧は、煙突効果を低減または克服して、ガラス管102の内部容積を通るガスおよび蒸気の、流れを低減または防止することができる。排気システム670を通る気流は、エアハンドラ674の速度を変更すること、ダンパ680の位置を変更することまたはその両方によって調整することができる。ガラス管102の作業端部150に近接して生成される負圧は、エアハンドラ674の速度を変更すること、ダンパ680の位置を変更すること、入口ベント672の位置をガラス管102の作業端部150に対して相対的に変更すること、またはこれらの組合せによって修正することができる。負圧を変更することにより、ガラス管102の内部容積を通るガスの流量を調整することができる。
【0106】
前述したように、加熱ステーション202内のガラス管102を加熱することは、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき、加熱ステーション202での排気システム670の動作を変更することにより調整することができる。1つ以上の加熱ステーション202内のガラス管102の加熱量を増大または減少させることは、ガラス管102に近接している排気システム670によって生成される負圧をガラス管102の作業端部150の物品番号に基づき調整することを含んでよい。前述したように、ガラス管102に近接している排気システム670によって生成される負圧を調整することは、エアハンドラ674の速度を調整すること、ダンパ680の位置を調整すること、入口ベント672の位置をガラス管102に対して相対的に調整すること、またはこれらの組合せを含んでよい。実施形態では、加熱ステーション内のガラス管102の加熱量を増大または減少させることは、少なくとも1つの加熱ステーション202に近接している排気流量を、ガラス管102の作業端部150の物品番号に基づき調整することを含んでよい。排気流量を調整することは、エアハンドラ674の速度を調整すること、ダンパ680の位置を調整することまたはその両方を含んでよい。
【0107】
再び図11を参照すると、システムは、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406であって、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、ガラス管102の作業端部150における物品番号を決定させ、ガラス管102に近接している排気システム670によって生じる負圧を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき自動的に調整させることができる、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406を含んでよい。実施形態では、排気システム670は、システムコントローラ400に通信可能に接続することができるエアハンドラ674と、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406であって、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、自動的に、エアハンドラ674の速度を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整させることができる、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406とを含んでよい。コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、エアハンドラ674の調整された速度を指示する制御信号を、ガラス管102の作業端部150の物品番号に応じて、エアハンドラ674へ送信させることができる。
【0108】
実施形態では、排気システム670は、システムコントローラ400に通信可能に接続することができるダンパ680を含んでよく、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、自動的に、ダンパ680の位置を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整させることができる。コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、ダンパ680の位置を指示する制御信号を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に応じて、ダンパ680へ送信させることができる。
【0109】
実施形態では、排気システム670は、入口ベント672をガラス管102に近づくように、またはガラス管102から離れるように移動させるなど、入口ベント672をガラス管102に対して相対的に並進させるように動作可能なベントアクチュエータを含んでよい。ベントアクチュエータは、システムコントローラ400に通信可能に接続することができ、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、自動的に、ベントアクチュエータの位置を調整させることによって、入口ベント672の位置を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整させることができる。コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令406は、プロセッサ402によって実行されると、システムコントローラ400に、入口ベント672の位置を指示する制御信号を、ガラス管102の作業端部150の物品番号に応じて、ベントアクチュエータへ送信させることができる。
【0110】
排気システム670によって生成される負圧は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき1回の割出しごとに調整することができる。しかしながら、排気システム670の変更とガラス管102の温度との間のタイムラグは、1回の割出しごとに排気システム670への調整(例えば、変換器のメインタレットの割出しのたびの排気システムの変更)の適用可能性を制限する可能性がある。代替的に、排気システム670によって生成される負圧は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき1回転ごとに調整することができ、排気システム670によって生成される負圧は、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき調整され、排気システム670によって生成される負圧は、変換器100のメインタレット108の1回転全体を通じて保持される。排気流量を変更することにより、ガラス物品におけるSHRの形成、機械の発展、または他の要因など、管変換プロセスの他の態様にも影響を与える可能性がある。
【0111】
ここで図12を参照すると、排気ガス流量が寸法の変動性に及ぼす影響がグラフで示されている。線1202は、排気流がゼロで製造された物品を表す。気流は、線1204、線1206、および線1208によって表される物品について、徐々に増大する。図12に示すように、気流速度を増大させることにより、ガラス管102から製造される最初の5つの物品にわたって寸法の変動性を減少させることができ、それは、最初の5つの物品にわたる曲線の傾きの減少と、それらの物品番号にわたる最大平均寸法と最小平均寸法との間の最大差の減少とによって示されている。
【0112】
前述したように、ガラス管102を加熱することは、1つまたは2つ以上の加熱ステーション202で、ガラス管102の作業端部における物品番号に基づき調整することができる。複数の加熱ステーション202でガラス管102の加熱を調整することは、変換器100の複数の加熱ステーション202で、バーナ滞留時間を調整すること、加熱要素(例えば、バーナ302)の加熱速度を調整すること、または排気システム670が生成する排気流量もしくは負圧を調整することを含んでよい。バーナ滞留時間、バーナ302の加熱速度、または排気流量を調整することの様々な組合せも、変換器100の1つまたは複数の加熱ステーション202で使用することができる。これらの方法の任意の組合せを変換器100の1つまたは複数の加熱ステーション202で使用して、変換プロセスでのガラス管102の消費中のガラス管102の温度の変動性を制御してよいことを理解されたい。前述したように、バーナ滞留時間、加熱速度、排気流、またはこれらの組合せは、変換器100の1回の割出しごとにまたは1回転ごとに調整することができる。
【0113】
本開示の実施形態は、ハードウェアおよび/または(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)ソフトウェアで具現化することができる。変換器のシステムコントローラ400および/または変換器100に設けられた他のコントローラは、本明細書で前述したように、少なくとも1つのプロセッサとコンピュータ読取り可能な媒体(すなわち、メモリモジュール)とを含んでよい。コンピュータ使用可能もしくはコンピュータ読取り可能な、媒体もしくはメモリモジュールは、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって使用するための、またはそれらに関連して使用するためのプログラムを含み、格納し、通信し、伝播し、または転送することができる任意の媒体であってよい。
【0114】
コンピュータ使用可能もしくはコンピュータ読取り可能な、媒体もしくはメモリモジュールは、例えば、限定されないが、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線、もしくは半導体の、システム、装置、デバイス、または伝播媒体であってよい。コンピュータ読取り可能な媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、1本以上のワイヤを有する電気接続部、携帯用コンピュータフロッピーディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能かつプログラム可能な読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯用コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)等がある。コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ読取り可能な媒体は、プログラムが印刷された紙または他の適切な媒体であってもよいことに留意されたい。なぜなら、プログラムは、例えば、紙または他の媒体を光学的に走査して電子的に取り込み、次に、必要に応じて適切な様式でコンパイル、解釈、または他の加工が行われ、次にコンピュータメモリに格納することができるからである。
【0115】
コンピュータ読取り可能な媒体は、機械読取り可能かつ実行可能な命令を含んでよく、本開示の動作が実行される。機械読取り可能かつ実行可能な命令は、開発の便宜のためにCまたはC++などの高級プログラミング言語で記述することができるコンピュータプログラムコードを含んでよい。加えて、本開示の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、これに限定されないが、インタプリタ言語など他のプログラミング言語で記述されてよい。一部のモジュールまたはルーチンは、アセンブリ言語またはマイクロコードで記述することができ、パフォーマンスおよび/またはメモリ使用量が向上する。しかしながら、本開示のソフトウェア実施形態は、特定のプログラミング言語による実装に依存しない。プログラムモジュールのいずれかまたは全ての機能は、個別のハードウェア構成要素、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプログラムされたデジタル信号プロセッサもしくはマイクロコントローラを使用して実装されてよいことをさらに理解されたい。
【0116】
再び図6を参照すると、ガラス管102から複数の物品を製造する方法は、ガラス管102の作業端部150を、複数の加工ステーション106を有する変換器100のガラス管ホルダ130に固定することを含んでよい。複数の加工ステーション106は、少なくとも1つの加熱ステーション202と、少なくとも1つの加熱ステーション202の後に配置された少なくとも1つの形成ステーション204とを含んでよい。変換器100は、ガラス管ホルダ130を、複数の加工ステーション106を通して割り出すことができる。方法は、ガラス管102を、複数の加工ステーション106の各々を通して割り出すことをさらに含んでよい。ガラス管102の初期の長さ部分は、複数の連続したセグメント146を含んでよい。換言すれば、ガラス管102は、概念的に、一連の連続セグメント146に部分化することができる。複数の連続セグメント146の各々は、1つの物品に対応することができ、各物品は、物品番号を有することができる。物品番号は、整数であって、ガラス管の初期の作業端部で1から開始し、ガラス管102の非作業端部における物品番号nまで連続する連続セグメント146ごとに1ずつ増加する整数であってよく、nは、単一のガラス管102の長さ部分から製造することができる物品の総数である。
【0117】
方法は、ガラス管102の作業端部150を、少なくとも1つの加熱ステーション202で加熱することをさらに含んでよい。方法は、物品の少なくとも1つの特徴部を、少なくとも1つの形成ステーション204でガラス管102の作業端部150に形成することと、物品を、分離ステーション206でガラス管102の作業端部150から分離することと、後続の物品を形成するために、ガラス管102をガラス管ホルダ130内で下方に割り出すこととを含んでよい。ガラス管102を下方に割り出すことは、物品をガラス管102の作業端部150から分離する前またはのちに行うことができる。方法は、ガラス管102の加熱量を、ガラス管102の作業端部150に対応する物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。ガラス管102の加熱量を、物品番号に基づき増大または減少させることにより、所定の物品番号から次の物品番号への管温度、物品寸法またはその両方のばらつきを低減させることができる。ガラス管102の作業端部150での管温度、物品寸法またはその両方のばらつきは、ガラス管102の作業端部150で形成される物品の、物品番号の関数であってよい。物品は、限定されないが、バイアル、カートリッジ、シリンジ、アンプル、または他の医薬品容器などの医薬品容器であってよい。
【0118】
ガラス管102の加熱量を増大または減少させることは、少なくとも1つの加熱ステーション202内の加熱要素(例えば、バーナ302)に接触するガラス管102の作業端部150のバーナ滞留時間を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させること、少なくとも1つの加熱ステーション202内の加熱要素またはバーナ302の加熱速度を、ガラス管102の作業端部150の物品番号に基づき増大または減少させること、または少なくとも1つの加熱ステーション202内のガラス管102に近接している排気システム670によって生成される負圧または排気流量を、ガラス管102の作業端部150の物品番号に基づき調整することのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0119】
実施形態では、複数の加工ステーション106は、複数の加熱ステーション202を含んでよく、方法は、複数の加熱ステーション202内のガラス管102の作業端部150などのガラス管102の加熱量を、ガラス管102の作業端部150に対応する物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。実施形態では、方法は、各々の加熱ステーション202内のガラス管102の作業端部150などでのガラス管102の加熱量を、ガラス管102の作業端部150に対応する物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。
【0120】
図7Aおよび図7Bを参照すると、実施形態では、ガラス管102の加熱量を増大または減少させることは、少なくとも1つの加熱ステーション202内のバーナ302などの加熱要素に接触しているガラス管102のバーナ滞留時間を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素は、ガラス管102の作業端部150に係合したりしなかったりするように旋回することができる旋回バーナ330を備えることができる。実施形態では、旋回バーナ330は、旋回バーナアクチュエータ332を含んでよく、方法は、旋回バーナアクチュエータ332を作動させることを含み、旋回バーナアクチュエータ332の作動により、旋回バーナ330がガラス管102の作業端部150に係合したりしなかったりするように旋回または移動し、バーナ滞留時間が調整される。実施形態では、バーナ滞留時間を増大または減少させることは、旋回バーナ330がガラス管102の作業端部150に係合するようにまたは係合しないように旋回するタイミングを調整することを含んでよい。
【0121】
再び図6を参照すると、実施形態では、ガラス管102の作業端部150の加熱量を増大または減少させることは、少なくとも1つの加熱ステーション202内の加熱要素の加熱速度を、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。実施形態では、加熱要素は、バーナ302または旋回バーナ330を含んでよく、加熱速度を増大または減少させることは、バーナ302または旋回バーナ330に供給される1種以上の燃焼ガスの流量を増大または減少させることを含んでよい。燃焼ガスは、燃料ガスと、酸素、空気またはその両方とを含んでよい。実施形態では、少なくとも1つの加熱ステーション202内のバーナ302または旋回バーナ330の加熱速度を増大または減少させることは、バーナ302または旋回バーナ330への全ての燃焼ガスの流量を比例して増大または減少させることを含んでよい。方法は、バーナ302または旋回バーナ330に送られる燃焼ガスについて、酸素に対する燃料ガスの質量流量比を一定に維持することを含んでよい。実施形態では、少なくとも1つの加熱ステーション202内のバーナ302または旋回バーナ330の加熱速度を増大または減少させることは、バーナ302または旋回バーナ330に供給される酸素に対する燃料ガスの流量比を修正することを含んでよい。
【0122】
再び図11を参照すると、実施形態では、ガラス管102の作業端部150の加熱量を増大または減少させることは、少なくとも1つの加熱ステーション202内のガラス管102に近接している排気システム670によって生成される負圧または排気流量を、ガラス管102の作業端部150の物品番号に基づき調整することを含んでよい。実施形態では、少なくとも1つの加熱ステーション202に近接している排気システム670によって生成される負圧または排気流量を調整することは、少なくとも1つの加熱ステーション202に近接して位置決めされた入口ベント672に流体接続されたエアハンドラ674の速度を増大または減少させること、エアハンドラ674と入口ベント672との間に配置されたダンパ680の位置を調整することまたはその両方を含んでよい。代替的または付加的に、実施形態では、少なくとも1つの加熱ステーション202に近接している排気システム670によって生成される負圧または排気流量を調整することは、排気システム670の入口ベント672の位置を、少なくとも1つの加熱ステーション202内のガラス管102に対して相対的に調整することを含んでよい。
【0123】
図1および図6を参照すると、実施形態では、変換器100は、複数のガラス管ホルダ130を含んでよく、方法は、複数のガラス管ホルダ130の各々を、複数の加工ステーション106の各々を通して割り出すことと、少なくとも1つの加熱ステーション202内のガラス管102の作業端部150の加熱量を、複数のガラス管ホルダ130が加工ステーション106同士の間で割り出されるたびに、ガラス管102の作業端部150における物品番号に基づき増大または減少させることを含んでよい。
【0124】
方法は、ガラス管102の最後の物品番号nに対応する最後の物品が製造されたのち、新しいガラス管102の長さ部分を管ホルダ130内に固定することを含んでよい。実施形態では、変換器100は、複数のガラス管ホルダ130を含んでよく、方法は、第1のガラス管から開始して連続した順序で新しいガラス管102の長さ部分を、複数のガラス管ホルダ130の各々に固定することをさらに含んでよい。換言すれば、方法は、ガラス管ホルダ130内のガラス管102を次々に連続して交換することを含んでよい。少なくとも1つの加熱ステーション202での第1のガラス管の作業端部150の物品番号の変化に応じて、方法は、第1のガラス管の作業端部150の加熱量を、物品番号に基づき変更することと、第1のガラス管が少なくとも1つの加熱ステーション202に戻り、第1のガラス管の作業端部150の物品番号が変化するまで、ガラス管102からガラス管102への少なくとも1つの加熱ステーション202での加熱量を維持することとをさらに含んでよい。
【0125】
再び図1および図6を参照すると、ガラス管102から複数の物品を製造する方法は、ガラス管102を、複数の加工ステーション106を有する変換器100のガラス管ホルダ130に導入することを含んでよい。複数の加工ステーション106は、少なくとも1つの加熱ステーション202と、少なくとも1つの加熱ステーション202の後に配置された少なくとも1つの形成ステーション204とを含んでよい。変換器100は、ガラス管ホルダ130を、複数の加工ステーション106を通して割り出すことができる。方法は、ガラス管102の作業端部150を、少なくとも1つの加熱ステーション202で加熱することと、第1の物品の少なくとも1つの特徴部を、少なくとも1つの形成ステーション204でガラス管102の作業端部150に形成することとを含んでよい。第1の物品は、ガラス管102の長さ部分Lに沿った第1の連続位置に対応することができる。方法は、第1の物品を、形成ステーション204の後に配置された分離ステーション106でガラス管102の作業端部150から分離することと、第2の物品をガラス管102から成形するために、ガラス管102をガラス管ホルダ130内で下方に割り出すこととを含んでよい。第2の物品は、ガラス管102の長さ部分に沿った第2の連続位置に対応することができる。ガラス管102は、分離の前またはのちに下方に割り出すことができる。方法は、第2の連続位置に対応するガラス管102の作業端部150を、少なくとも1つの加熱ステーション202で加熱することと、第2の連続位置に対応するガラス管102の作業端部150の加熱量を、第1の物品の加熱に対して相対的に増大または減少させることとを含んでよい。第2の物品のガラス管102の作業端部150の加熱量を、第1の物品に対して相対的に増大または減少させることにより、第1の物品に対して相対的に、第2の物品の温度または寸法の変動性を低減させることができる。ガラス管102を加熱することは、本明細書で前述した方法または技術のいずれかに従って増大または減少させることができる。
【実施例
【0126】
以下の例は、変換器でガラス管から複数のガラス物品を製造する、開示されたシステムの動作および方法を示している。以下の例は、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0127】
以下の例は、ガラス管が変換プロセス中に徐々に消費されるときに、ガラス管温度の変動性を低減させることによって、ガラス管から作製された物品の寸法および外観のばらつきを低減させるための開示されたシステムおよび方法の使用を示している。これらの実施例におけるガラス管は、Corning Incorporatedによって製造および販売されているVALOR(商標)ガラスなどのアルミノシリケートガラス管であった。アルミノシリケートガラス管は、変換後にガラス管を焼なましおよび/またはイオン交換することによってさらに加工することができる。
【0128】
バーナ滞留時間-比較例1および比較例2ならびに実施例3
比較例1および比較例2ならびに実施例3について、ガラス管から作製されたガラス物品寸法の変動性に対するバーナ滞留時間の影響が調査された。アルミノシリケートガラス管は、変換器を使用して、ガラスバイアルに変換された。アルミノシリケートガラス管は、Corning Incorporated製のVALOR(商標)ガラス管であった。使用した変換器は、AMBEG Dr. J. Dichter GmbH製の自動管供給器を備えたバイアル形成機モデルRP16であり、これは、メインサーキットに16個の加工ステーションと、二次サーキットに8個の二次加工ステーションとを含む。実施例1に使用した変換器のメインサーキットの加工ステーションの説明を以下の表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
比較例1については、変換器に補助的な加熱を加えずにガラスバイアルを製造した。比較例2および実施例3では、旋回バーナが加工ステーションA2に設置された。比較例2では、ガラスバイアルは、加工ステーションA2で決められた時間、補助的に加熱して製造された。比較例2での決められた持続時間の補助的な加熱は、加工ステーションA2で一定の滞留時間を有する旋回バーナによって提供された。実施例3では、ガラスバイアルは、旋回バーナのバーナ滞留時間を比較例2から変更しながら、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき製造された。比較例1および比較例2ならびに実施例3では、バーナへの燃焼ガスの質量流量が一定に維持され、その結果、バーナの加熱速度が一定になった。バーナの火炎とガラス管との接触時間のみが変更された。
【0131】
合計16本の管が、変換器にローディングされた。したがって、各物品番号について、変換器の1回転あたり16個の物品が製造された。物品番号(x軸)の関数としての物品の特定の寸法(y軸)の値の結果は、図8にグラフで示されている。比較例1のデータは円で示され、線502は各物品番号について全16個の物品の平均を表す。比較例2のデータは三角形で示され、線504は各物品番号について全16個の物品の平均を表す。実施例3のデータは四角形で示され、線506は実施例3の各物品番号について全16個の物品の平均を表す。
【0132】
図8に示されるように、比較例1(線502)について、物品寸法は、第1の物品から第nの物品(第29の物品)まで大きく変動する。特に、ガラス管温度が上昇するにつれて、物品寸法は最初の幾つかの物品にわたって急激に変化する。寸法は、物品番号が12を超えて再び急速に変化する前に、さらに幾つかの物品で横ばいになる。比較例2(線504)で付加された決められた加熱量により、物品寸法は、比較例1で製造された物品と比較してずれたが、ガラス管が加熱されるにつれて最初の5、6本のバイアルにわたって寸法が大幅に変化し、物品12ののち、寸法に付加的な変動性があるという同一の全般的な傾向をたどった。特定の理論に拘束されるつもりはないが、これは変換器が複数回回転する間にガラス管温度が変化することにより、ガラス管の粘度が変化して寸法のずれが生じるためであると考えられている。しかしながら、比較例2は、加熱量を変更することにより、ガラス管から製造されるバイアルの寸法が変化することを示している。
【0133】
実施例3(線506)では、加熱量は、1回の割出しごとにガラス管の作業端部における物品番号に基づき調整される。線506によって示されるように、ガラス管の作業端部における物品番号に基づく加熱量の調整は、ガラス管から製造されるガラス物品寸法の変動性を低減させる。特に、線506については、最初の5個の物品にわたるガラス管の寸法の大幅な変化を、大きく減少および/または排除させることができる。実施例3の物品番号に基づく加熱量の調整を付加することにより、ガラス物品寸法の変動性は、加熱量を調整しなかった比較例1の寸法の変動性の約1/3または1/3未満にさえ低減した。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、実施例3の寸法の変動性の更なる低減は、制御アルゴリズムであって、物品番号を追跡し、物品番号に基づきバーナ滞留時間を調整するための制御アルゴリズムをさらに強化することによって実現することができると考えられる。
【0134】
加熱速度-比較例4および実施例5
比較例4および実施例5では、加熱ステーション内のバーナの加熱速度を、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき調整することによる、ガラス管から製造されたガラス物品寸法の変動性への影響が調査された。アルミノシリケートガラス管は、上記の比較例1に記載された変換器を使用してガラスバイアルに変換された。比較例4について、加熱ステーション内のバーナの加熱速度は、バーナへの燃焼ガス(燃料および酸素)の質量流量を一定の燃料対酸素比で一定に維持することによって、一定に維持された。実施例5について、バーナの加熱速度は、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき一定の燃料対酸素比で、燃焼ガスの質量流量を増大または減少させることにより、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき調整された。
【0135】
時間の関数としての加熱ステーション内のガラス管温度を、比較例4および実施例5について図9に示す。図9では、ゼロに等しい時間は、変換器100の割出し時間の終了と、ガラス管102が加熱ステーション202内の静止位置に到達する点とを表す。比較例4(線902)の一定燃焼ガス流量下では、ガラス管温度は時間の経過とともに上昇した。実施例5(線904)については、加熱ステーション内のバーナへの燃焼ガスの流量は、ゼロに等しい時間で徐々に増大した。図9に示すように、バーナへの燃焼ガス流量の変化に対するガラス管温度の応答の遅れが観察された。初期に、燃焼ガスの流量をゼロに等しい時間で変更すると、実施例5のガラス管温度(904)は、比較例4のガラス管温度(902)と同一の速度で上昇し続けた。バーナの加熱速度を変更してから約0.5秒の時点で、燃焼ガス流量を変更する効果が現れ始め、ガラス管温度が上昇し始めた。これは、ゼロに等しい時間の約0.5秒後に始まる線902からの線904の偏差によって示される。バーナ302の加熱速度は、燃焼ガスの流量が変化したのち、最終加熱速度まで増大するのに時間がかかる。これは、0.5秒~約0.8秒の期間によって図9に示され、その間、温度変化の傾きは、0.8秒後の温度変化の傾きよりも大きい。これは、燃焼ガスの流量変化に対するガラス管温度の応答が遅れていることを示している。
【0136】
図10Aは、バーナの加熱速度が一定に維持された比較例4について、ガラス管から製造された物品の寸法(y軸)を物品番号(x軸)の関数としてグラフで示す。図10Aに示されるように、物品番号に基づくガラス管温度のばらつきを補正するためにバーナの加熱速度を変更しなければ、物品の平均寸法は、製造された最初の10~15個の物品にわたって劇的に変化する。
【0137】
実施例5では、ガラス管は各ホルダに連続した順序でローディングされており、バーナの加熱速度は、変換器のメインタレットの1回転ごとに1回調整された。図10Bは、バーナの加熱速度が1回転ごとにガラス管の作業端部における物品番号に基づき調整される実施例5について、ガラス管から製造される物品の寸法(y軸)を、物品番号(x軸)の関数としてグラフで示している。図10Bに示すように、加熱ステーション内のバーナの加熱速度を、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき1回転ごとに調整することにより、特に各ガラス管102から製造される最初の10~15個の物品にわたって、ガラス管から製造される物品寸法の変動性を大きく低減させることができる。図10Aおよび図10Bの比較に示されるように、製造される物品寸法の変動性は、加熱ステーション内のバーナの加熱速度を、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき1回転ごとに調整することにより、80%減少させることができる。したがって、1つ以上の加熱ステーション内の1つ以上のバーナの加熱速度を、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき変更することにより、完成した物品の寸法および外観の変動性を低減させることができる。
【0138】
排気流-実施例6~実施例9
実施例6~実施例9について、加熱ステーションに近接している排気流量を、ガラス管の作業端部における物品番号に基づき調整することによる、ガラス管から製造されたガラス物品寸法の変動性への影響が調査された。アルミノシリケートガラス管は、上記の比較例1に記載された変換器を使用してガラスバイアルに変換された。実施例6では、変換器は、加熱ステーションで排気流を伴わずに運転された。実施例7~実施例9の各々について、加熱ステーションに近接している排気流は、ガラス管全体の消費を通じて一定に維持された。実施例6~実施例9に対応する図12の気流および参照符号を以下の表2に提供する。
【0139】
【表2】
【0140】
図12は、実施例6~実施例9について、ガラスバイアルの寸法(y軸)を物品番号(x軸)の関数として示すパラメータをグラフで示す。図12に示すように、加熱ステーションに近接している排気流量は、ガラスバイアルの寸法の変動性に影響を与える可能性がある。加熱ステーションに近接している排気流量を変更することにより、寸法をずらすこともできる。これらの効果を使用して、加熱中に作業端部でガラス管温度を操作することができ、変換器の複数回転にわたるガラス管の消費中のガラス管温度変化が補正される。
【0141】
ガラス管102から複数の物品を製造するための変換器100、システムおよび方法の様々な実施形態を本明細書で説明してきたが、これらの実施形態および技術の各々は、別個に、または1つ以上の実施形態および技術と併せて使用されてよいことが企図されることを理解されたい。
【0142】
特許請求された主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであるはずである。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲およびそれらに相当するものの範囲内にある場合、本明細書に記載された様々な実施形態の修正および変形をカバーすることが意図される。
【0143】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0144】
実施形態1
ガラス管から複数の物品を製造する方法であって、
前記ガラス管の作業端部を、少なくとも1つの加熱ステーションと、前記少なくとも1つの加熱ステーションの後の少なくとも1つの形成ステーションとを備える複数の加工ステーションを有する変換器のガラス管ホルダ内に固定するステップであって、前記変換器は、前記ガラス管ホルダを前記複数の加工ステーションを通して移動させ、前記ガラス管の初期の長さ部分は、複数の連続セグメントを備え、前記複数の連続セグメントの各々は、1つの物品に対応していて、物品番号を有する、固定するステップと、
前記ガラス管の前記作業端部を前記少なくとも1つの加熱ステーションで加熱するステップと、
前記ガラス管の前記作業端部に対応する前記物品番号に基づき、前記ガラス管の加熱量を増大または減少させるステップであって、前記物品番号に基づき前記加熱量を増大または減少させるステップにより、所定の物品番号から次の物品番号への管温度、物品寸法またはその両方のばらつきが低減される、増大または減少させるステップと、
前記物品の少なくとも1つの特徴部を前記ガラス管の前記作業端部に前記少なくとも1つの形成ステーションで形成するステップと、
前記物品を前記ガラス管の前記作業端部から分離ステーションで分離するステップと、
次の物品を形成するために、前記ガラス管を前記ガラス管ホルダ内で下方に割り出すステップと
を含む、方法。
【0145】
実施形態2
前記ガラス管の前記加熱量を増大または減少させるステップは、
前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素に接触する前記ガラス管の前記作業端部のバーナ滞留時間を増大または減少させるステップ、
前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記加熱要素の加熱速度を増大または減少させるステップ、または
前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記ガラス管に近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1記載の方法。
【0146】
実施形態3
前記複数の加工ステーションは、複数の加熱ステーションを備え、前記方法は、前記ガラス管の前記作業端部に対応する前記物品番号に基づき、前記複数の加熱ステーションの各々で前記ガラス管の加熱量を増大または減少させるステップを含む、実施形態1記載の方法。
【0147】
実施形態4
前記ガラス管の前記作業端部の前記加熱量を増大または減少させるステップは、前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素に接触する前記ガラス管のバーナ滞留時間を増大または減少させるステップを含む、実施形態1記載の方法。
【0148】
実施形態5
前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記加熱要素は、前記ガラス管の前記作業端部に係合したりしなかったりするように旋回する旋回バーナを備え、前記バーナ滞留時間を増大または減少させるステップは、前記旋回バーナが前記ガラス管の前記作業端部に係合するようにまたは係合しないように旋回するタイミングを調整するステップを含む、実施形態4記載の方法。
【0149】
実施形態6
前記ガラス管の前記作業端部の前記加熱量を増大または減少させるステップは、前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーション内の加熱要素の加熱速度を増大または減少させるステップを含む、実施形態1記載の方法。
【0150】
実施形態7
前記加熱要素は、バーナを備え、前記加熱速度を増大または減少させるステップは、前記バーナに供給される1種以上の燃焼ガスの流量を増大または減少させるステップを含み、前記燃焼ガスは、燃料ガスと、酸素、空気またはその両方とを含む、実施形態6記載の方法。
【0151】
実施形態8
前記加熱速度を増大または減少させるステップは、前記バーナへの全ての前記燃焼ガスの流量を比例して増大または減少させるステップを含む、実施形態7記載の方法。
【0152】
実施形態9
前記ガラス管の前記作業端部の前記加熱量を増大または減少させるステップは、前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーションに近接している排気システムによって生成される負圧を調整するステップを含む、実施形態1記載の方法。
【0153】
実施形態10
前記少なくとも1つの加熱ステーションに近接している前記排気システムによって生成される前記負圧を調整するステップは、前記少なくとも1つの加熱ステーションに近接して位置決めされた入口ベントに流体接続されたエアハンドラの速度を減少または増大させるステップ、前記エアハンドラと前記入口ベントとの間に配置されたダンパの位置を調整するステップ、前記排気システムの入口ベントの位置を前記少なくとも1つの加熱ステーション内の前記ガラス管に対して相対的に調整するステップ、またはこれらのステップの組合せを含む、実施形態9記載の方法。
【0154】
実施形態11
前記変換器は、複数のガラス管ホルダを備え、前記方法は、
前記複数のガラス管ホルダの各々を前記複数の加工ステーションの各々を通して移動させるステップと、
前記複数のガラス管ホルダが次の前記加工ステーションに移動するたびに、前記物品番号に基づき、前記ガラス管の前記作業端部における前記加熱量を増大または減少させるステップと
を含む、実施形態1記載の方法。
【0155】
実施形態12
前記変換器は、複数のガラス管ホルダを備え、前記方法は、前記ガラス管の新しい長さ部分を、第1のガラス管から開始して、連続した順序で前記複数のガラス管ホルダの各々に固定するステップをさらに含む、実施形態1記載の方法。
【0156】
実施形態13
前記少なくとも1つの加熱ステーションでの前記第1のガラス管の作業端部における物品番号の変化に応じて、前記物品番号に基づき、前記第1のガラス管の前記作業端部の加熱量を変更するステップと、前記第1のガラス管が前記少なくとも1つの加熱ステーションに戻り、前記第1のガラス管の前記作業端部における前記物品番号が変化するまで、ガラス管からガラス管への前記少なくとも1つの加熱ステーションでの前記加熱量を維持するステップとを含む、実施形態12記載の方法。
【0157】
実施形態14
ガラス管から複数の物品を製造するためのシステムであって、
少なくとも1つの加熱ステーションと、少なくとも1つの形成ステーションと、分離ステーションとを備える複数の加工ステーションを含む変換器であって、前記ガラス管を前記複数の加工ステーションを通して移動させるように動作可能である変換器と、
前記変換器に通信可能に接続されたシステムコントローラであって、プロセッサと、コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令を含む記憶媒体とを備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、自動的に、
前記ガラス管の作業端部における物品番号を決定させ、前記物品番号は、前記ガラス管の初期の長さ部分の連続セグメントに対応する整数を含み、各々の連続セグメントは、1つの物品に対応しており、
前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つの加熱ステーションでの前記ガラス管の加熱量を増大または減少させる、
システムコントローラと
を含む、システム。
【0158】
実施形態15
前記少なくとも1つの加熱ステーションは、旋回して前記ガラス管の前記作業端部に係合したりしなかったりするように動作可能な旋回バーナを備え、前記システムコントローラは、前記旋回バーナに通信可能に接続されている、実施形態14記載のシステム。
【0159】
実施形態16
前記コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、前記旋回バーナが前記ガラス管の前記作業端部に係合するようにまたは係合しないように旋回することによって、前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記ガラス管の前記作業端部のバーナ滞留時間を自動的に増大または減少させる、実施形態15記載のシステム。
【0160】
実施形態17
前記少なくとも1つの加熱ステーションは、少なくとも1つのバーナと、前記少なくとも1つのバーナへの1種以上の燃焼ガスの質量流量を増大または減少させるように動作可能な少なくとも1つの流量制御器とを備える、実施形態14記載のシステム。
【0161】
実施形態18
前記コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、自動的に、前記ガラス管の前記作業端部における前記物品番号に基づき、前記少なくとも1つのバーナへの1種以上の燃焼ガスの質量流量を増大または減少させる、実施形態17記載のシステム。
【0162】
実施形態19
前記変換器は、少なくとも1つの入口ベントと、前記少なくとも1つの入口ベントに流体接続されたエアハンドラとを備える排気システムを備える、実施形態14記載のシステム。
【0163】
実施形態20
前記コンピュータ読取り可能かつ実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムコントローラに、自動的に、前記ガラス管の前記作業端部の前記物品番号に基づき、前記ガラス管に近接している前記排気システムによって生成される負圧を調整させる、実施形態19記載のシステム。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
【国際調査報告】